可動部品のないこの飛行機はイオン風に乗って飛ぶ

飛行機はそれが発明されたときから、可動部品を使って空気を押すことにより、飛行した。グライダーや気球は飛ぶというより浮かぶものだが、動力による飛行はもっぱらプロペラ、すなわち“押し進める(propel)”部品が頼りだ。しかし今日(米国時間11/21)それが変わり、世界初の“ソリッドステートな”(固体状態の)航空機が、“イオン風”を生成して可動部品まったくなしで飛ぶ。

SFみたいだ、と思ったそこのあなた、まさにそのとおり、それはSFなのだ。これを作ったMITのStephen Barrett〔航空学と宇宙航行学の准教授〕は、Star Trekからヒントを得た、と言っている。

BarrettはMITのニュースリリースで言っている: “遠い未来の飛行機は、プロペラやタービンがないだろう。それはむしろ‘Star Trek’に似ていて、青く輝きながら無音で滑空する”。

彼は説明する; “大学に職を得たとき、これを研究する良いチャンスだと思った。そして物理学の中に、それを可能にするものを探した”。

彼は、彼のチームの航空機を飛ばせるための原理を‘発見’しなかった…それは、1世紀も前から‘知られて’いた。ただし、それを飛行に応用して成功した者はいなかった。

その単純な原理では、陰電気で荷電した強力な電源があると、それらはその電荷をまわりの空気に放電し、それを“イオン化”する。そしてそのとき、それはその電源から流出し、正しくセットアップされた近くの“コレクター”の表面に向かって流れる(Nature誌にもっと詳しい説明がある)。チームのペーパーも今日(米国時間11/21)同誌に載った

それで一体何をしているのか、というと、マイナス電気を帯びた空気を人間が指定した方向へ流しているのだ。この現象は1920年代には知られていて、60年代にはそれを利用して何かを推進(押し進める)することが試みられた。でもそのときの電気エネルギーの利用効率は、わずか1%だった。それは、あえて穏やかな言い方をすれば、非効率だった。

実は、Barrettらのシステムもそれとあまり変らず、入力エネルギーのわずか2.6%が推進に使われただけだ。でも彼らは、現代の最新技術、CAD(コンピューター支援設計)と、超軽量素材を利用できた。そしてチームは、一定の重量(軽さ)と翼長のある航空機なら、大きな推進力さえ生成できれば飛行は理論的に可能である、と判定した。この結論に達するまでに、彼らは数年を費やしている。

何度も修正し(何度も墜落し)てたどり着いたのが、幅5メートル、重量2.5キログラムの複翼機だ。それは、数回離陸に失敗したあと、約10秒間飛んだ。テストに使った部屋がもっと大きければ、もっと飛べたと思われるが、ふつうに滑空した場合よりもずっと長い時間/距離飛べたということは、概念実証として十分だ。

Barrettは曰く: “推進系に可動部品のない飛行機が飛行を持続したのは、これが初めてだ。これにより、まだ誰も探求しなかった、もっと静かで、機械的に単純で、排気のない航空機の可能性が開けた”。

チームの全員も含めて誰もが、これが近い将来プロペラやジェットエンジンを置換するとは考えていない。でも、静かで機械的に単純な推力機構の用途は、たくさんある。たとえばドローンの微調整や軟着陸にも使えるだろう。

まだやるべきことは大量にある。でも目標はソリッドステートな飛行機械を発明することであり、彼らはそれには成功した。残っているのは、その実用工学だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LINE PayがQUICPay対応、スマホをかざして決済可能に Android限定

eng-logo-2015LINE PayがQUICPay決済に対応しました。本日(11月21日)よりAndroid端末限定で利用できます。

LINEアプリ内にある「LINE Pay」のメインメニューからGoogle Payに登録することで利用可能。全国81万か所のQUICPay+に対応した店舗で、アプリの立ち上げ不要、スマホをかざすだけの非接触決済が使えるようになります。

利用方法は下記の通りです。

  • 「Android」対応スマートフォン端末に、「おサイフケータイ」「Google Pay」の両アプリをダウンロードする
  • スマートフォンの「LINE」アプリ内、「ウォレット」の残高表示部分を選択する
  • 「LINE Pay」メインメニュー内「QUICPay」を選択
  • 「Google Payに登録」を選んで「LINE Pay」をメインカードに登録し、設定完了

対応デバイスはAndroid 5.0以上、かつおサイフケータイアプリ(6.1.5以上)を搭載した機種。

なお、物理LINE Payカードを持っていないユーザーに対しては、非接触決済を利用できるバーチャルカードを発行。後日物理カードを郵送します。また、Google Payアプリ経由の登録も順次提供するとしています。

Google Payに登録で1000ポイント付与キャンペーンも

この対応を記念して、LINE PayアカウントをGoogle Payに登録完了したユーザーを対象に、初回登録時に限り一律LINEポイント1000ポイントをプレゼントするキャンペーンも実施します。

Engadget 日本版からの転載。

Facebookはプラットフォーム上での16才の花嫁オークションを防げなかった

Facebookは、同社が展開するプラットフォームで南スーダンの16才の少女が花嫁としてオークションにかけられるのを防ぐことができなかった。

戦争で荒廃した地域に住む思春期の少女が抱える多くのリスクについてまとめている国際NGOプランインターナショナルの最新レポートによると、子どもの強制結婚(Child early and forced marriage =CEFM)は南スーダンで最も多く報告されているジェンダーに基づく暴力なのだという。

そうした地域に住む少女はいま、ソーシャルメディアについても心配しなければならないようだ。

Viceがこの件について昨日詳細に報じた。それによると、Facebookは少女がすでに結婚してしまった後にオークションの投稿を削除した。この削除は、少女の家族が10月25日にFacebookのプラットフォームで子どもを売るとアナウンスしてから2週間以上たってのことだった。

オークションの投稿に気づいたのは11月9日で、気づいてから24時間以内に削除した、とFacebookは言っている。その24時間のうち、投稿を削除するとFacebookが決定するのに何時間かかったのかは不明だ。

オークションを落札したのは南スーダンの首都に住む大富豪のビジネスマンで、記録的な“値段”で競り落としたと報道されている。その少女Nyalong Ngong Deng Jalangと結婚するのに払われた値段とは、牛530頭、3台のランドクルーザーV8、そして1万ドルだ。

プランインターナショナルは、子どもの花嫁オークションにFacebookが使用されたと確認された初の事案だ、とViceに語っている。

「これはかなり憂慮すべき事案だ。というのも、かなりもうけのある取引で、多くの注意をひきつけた。今回の件が、他の人も後に続こうとインセンティブのように作用するのではと憂慮している」としている。

別の人権NGOは、削除されたオークション投稿のスクリーンキャプチャをTwitterに投稿し、こう書き込んでいる:人権グループによるさまざまな訴えにもかかわらず、16才の少女が南スーダンでFacebookが削除しなかったオンライン結婚オークション投稿の犠牲になった。

なぜオークションを防ぐことができなかったのか、我々がFacebookに説明を求めたところ、広報から次のような返事があった。

投稿、ページ、広告、グループといった全てのフォームにおいて、Facebookではいかなる人身売買も許されない。我々は投稿を削除し、この投稿を行なった人のアカウントを永久使用禁止にした。我々は、安全・セキュリティチームの人員を3万人超に倍増させ、またテクノロジーに投資するなど、我々のポリシーに反するコンテンツを特定するための方策改善に常に取り組んでいる。

オークションが投稿されてから、その投稿がFacebookによって削除されるまでに2週間以上も間があったというのは、モデレーションプロセスの改善にたっぷり投資してきたというFacebookの主張に深刻な疑念を生じさせる。

人権グループはこの投稿についてFacebookに直接注意を促そうとした。またこの投稿は、かなり地元のメディアの注意もひいたとされている。にもかかわらず、投稿を認識して行動に移すまで数週間もかかったーFacebookの対応は遅きに失し、行動したときにはすでに少女は売られ、結婚してしまっていた。

Facebookはプラットフォームについて国レベルでのデータは公開していないので、南スーダンにどのくらいのユーザーがいるのかは不明だ。

また、世界のコンテンツプラットフォーム(20億人超のユーザーを抱える)のコンテンツレビューを実行するためにFacebookが雇用、もしくは契約しているおおよそ1万5000人をどのように配置しているのかも明らかではない。

Facebookは、コンテンツをレビューする人がプラットフォームが使われている世界各地の言語を理解するわけではないことを認めている。彼らは世界で広く使われている言語ですら話すわけでもない。なので、南スーダンで使用されている言語をしっかり理解できるレビュー者がいる、というのはとても考えられない。

我々はFacebookに、南スーダンで使用されている言語(複数だ)のいずれかを話せるモデレーターを何人配置しているのか尋ねた。広報はすぐさま回答することはできなかった。

Facebookが少ない数のレビュー者(トータルのユーザー数と比較しての話だ)に頼り、遠くからのコンテンツレビューを行なっているということの結末が、人権リスクへの素早い対応がすべきときに行えていないということになる。

事業を展開する全てのマーケットにおいて、プラットフォームでつくられるリスクに直接、そして素早く対応できるよう、言語的そして文化的にセンシティブでならなければならないところにFacebookはレビューチームを配置できていない(かなり多くのレビュー者がドイツに配置されているードイツでは1年前にソーシャルメディアヘイトスピーチ法案が可決された)。

AIもまた、この難題を解決はしないー人間の時間の尺度でもだ。そのため、Facebookはこの作業を実際に人にさせている。

しかし少女花嫁オークションに気づいて削除するのに2週間というのは、いくらなんでも時間がかかりすぎた。

実に高いコストを伴うことになるかもしれないテクノロジーツールが人権に与える影響を監視し、管理するために、Facebookが国際事業全般にわたって十分に投資できていないという実態が鮮明になりつつある。

南スーダンにおいては、不十分な監視がハイテック奴隷マーケットと同等のことのためにプラットフォームが利用されるという事態を招いた。

Facebookはまたミャンマーでの深刻な過失でも窮地に立たされている。ミャンマーでは、Facebookのプラットフォームがヘイトスピーチを広め、民族抗争を激化させたとして非難されてきた。

チェックされていないソーシャルメディアツールにアクセスすることで、幇助されている他の人権侵害を我々はまたすぐ目にすることになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

誰でも先生になれるスキルシェアサービス「ストアカ」が3.8億円を調達

教えたい人と学びたい人をつなぐ、まなびのマーケットプレイス「ストアカ」。同サービスを展開するストリートアカデミーは11月22日、複数の投資家より総額3.8億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回同社に出資したのはスパイラル・ベンチャーズ・ジャパン、TBSイノベーション・パートナーズ、モバイル・インターネットキャピタルの各社が運営するファンドとAPAMANグループのグループ会社だ。

ストリートアカデミーは2012年の設立。2016年9月に総額1.5億円を調達しているほか、これまでに複数回の資金調達を実施している。

同社が運営するストアカ(2017年1月にストリートアカデミーから名称を変更)は、個人間でナレッジを共有できるスキルシェアのマーケットプレイスだ。講師としての経験がなくても教えたいスキルと情熱があれば、すぐに誰でも先生になって講座を開くことができる。

この領域のサービスは「ココナラ」のようなオンライン完結型と対面でレクチャーを行うオフライン型があるけれど、ストアカは後者のオフライン形式。サービス上で出会ったユーザー同士がリアルの場で直接会ってスキルをシェアする。

また同じ対面でも「サイタ」のようなマンツーマンのプライベートレッスンではなく、基本的には1人の先生が複数の参加者に教える教室スタイルだ(マンツーマンレッスンを行うことも可能)。

各講座は単発で受講可能で、1講座はだいたい数千円のものが多く気軽に参加できるのが特徴。現在は生徒ユーザーが25万人、先生ユーザーも1万6000人を超えていて、ビジネスやIT、ハンドメイド、フィットネスなど170ジャンル2万3000以上の講座が掲載されている。

対面式のためオンライン完結型と比べて場所の制約は受けるが、現在は福岡や関西への展開も強化。東京メトロ、蔦屋書店、近鉄百貨店、丸井グループなどとの共同講座や、北九州市との創業支援などにも取り組む。

ストリートアカデミーでは今回調達した資金を用いて、マーケティング・システム開発への投資や地域展開に向けた人材採用を進めていく方針。具体的には先生ユーザーに対する顧客管理機能や、生徒ユーザーに対する最適な「まなび」を提案するマッチング機能の開発、首都圏以外のエリア展開に注力する。

また調達先の企業とは事業連携も視野に入れていく計画。APAMANグループのグループ会社とは、同グループ企業のfabbitが運営するコワーキングスペースの活用面での連携、TBSホールディングスとはTBSグループの番組・イベントとの連動などを検討しているようだ。

20歳を迎えた国際宇宙ステーション:重要な11の瞬間

1万7500MPH(時速2万8000キロ)で飛ぶ国際協調

天文学者、技術者、ロケット科学者たちの、前例のない国際協調作業が実を結び、国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)の最初のコンポーネントが打ち上げられたのは1998年11月20日のことだった。それ以来、この史上最大の宇宙船には、数えきれない数の宇宙飛行士、実験、その他の工作テーマが送り込まれて来た。以下に紹介するのは、このインスピレーションに満ちた数十年におよぶミッションの歴史の中から選ばれた、いくつかの素晴らしい瞬間だ。

1984年:レーガンがISSを提案 ― ただしロシアは抜きで

この宇宙ステーションはもともと米国単独の取り組みになる予定だった。しかし程なく、カナダ、日本そしてヨーロッパとの共同プロジェクトとなった。ただし当時のUSSR(ソビエト社会主義共和国連邦)は除外されていた。ご存知かもしれないが、当時米国とロシアの関係は緊迫していたからだ。宇宙産業の中で働く人たちのそのものは、その多くが協業を望んでいたかも知れないのだが、政治的な状況がそれを許さなかったのだ。それにもかかわらず、初期の仕事が始まった。

1993年:クリントンがロシアを仲間にした

ソビエト連邦の崩壊と、それに続く国際関係の活性化を受けて、ブッシュ大統領は旧ソ連勢力をプログラムへある程度の制限付きで迎え入れた。例えばサプライヤーやシャトルミッションのゲストとしてである。しかし翌年クリントン大統領は、ロシアを完全なパートナーにするという発表で、ブッシュを一歩出し抜いた。これは現実的かつ政治的な決定であった。ロシアが参加することによって米国の出費が数十億ドル抑制されるだけでなく、ロシアを他の様々な課題、例えばICBMの拡散防止努力に巻き込むことに役立った。いずれにせよ、最終デザインが形になり始めた。

1998年:最初のコンポーネントのZaryaとUnityが軌道に乗る

Zaryaが唯一のコンポーネントであったときに、アプローチしているEndeavor

ロシアは、当初招かれざる客だったが、1998年11月20日に最初のISSコアコンポーネントを打ち上げる名誉を手にした。それが20年前の記念すべき今日(米国時間)である。この時に打ち上げられたZarya Functional Cargo Blockは今でも使用されており、ステーションのロシア側の入口になっている。

その1ヶ月後、Space ShuttleのEndeavorは、39A発射台からUnity Node1を搭載して発射された(私たちもそこにいた)。Unityもまた、Zaryaに接続された日からずっと稼働中である。

2000年:多くの長期滞在者たちが初搭乗

左から:ステーションに搭乗したShepherd, GidzenkoそしてKrikalev

Zaryaが打ち上げられてから丁度1年後、初めて長期滞在する目的で宇宙飛行士たちが送り込まれた。この後に続く230人の居住者の最初の人びとだ。Bill ShepherdはNASAの最初の代表であり、ロシアの宇宙飛行士であるYuri GidzenkoならびにSergei Krikalevと、141日にわたって滞在を続けた。

2003年:Columbia号の悲劇が拡大を遅らせる

スペースシャトルColumbiaが、28回目のミッションを終えて大気圏に再突入を行った際に起きた事故は、他のシャトルのミッションを2年にわたって延期させるほど悲惨なものだった。米国にとっては、シャトルがISSに追加を行ったり保守を行ったするための主要な手段であったため、必要な任務はシャトルの発射が2005年に再開されるまで、Roscosmos(ロシア連邦宇宙局)に託された。有人の打ち上げは2006年の半ばまで再開されなかった。

2007年:きぼうが打ち上げられる

何年もかけて、ISSには数多くのモジュールが追加されてきたが、日本の「きぼう」はその中でも最大のものである。全ての部品を届けるために複数回のミッションを必要とし、ステーションの太陽電池容量を増強するミッションを経て稼働が可能となった。きぼうは、予圧された室内で利用できる多数の再構成可能なスペースを提供しており、宇宙で行わなければならない実験に、官民を問わず人気が高い。

2010年:Cupolaの投入

「きぼう」は最も大きなコンポーネントだが、Cupolaはおそらく最も有名なコンポーネントだ。7つの窓を持つ巨大なバブルは、SFの世界から抜け出たもののように見える(特にミレニアム・ファルコンのフロンエンドを思わせる)、そして内側外側を問わず、ステーションのもっとも美しい写真を撮影できる場所だ。

2014年:美しいタイムラプス

Cupolaが設置されたことで、素晴らしい地球の映像を撮影することが容易になった。特にAlexander GerstやDon Pettitのような、優れた宇宙飛行士写真家が段々高品質になるデジタルカメラを持参した場合には。この窓から撮影された無数の写真によって、無数のタイムラプス映像やデスクトップの壁紙が生み出されただけでなく、オーロラや雷雨のような驚異的な現象を、新しく価値ある視点から目の当たりにすることができた。1つだけを選び出すことは困難だが、Don Pettitの”The World Outside My Window”はすばらしい例であり、Gerstの4K動画はまた別の素晴らしい作品である。

2015年:Gennady Padalkaが宇宙滞在記録を打ち立てる

Gennady Padalkaは、その5回目の宇宙滞在中に、宇宙滞在の世界記録を打ち立てた。彼が地球に帰還したとき、その滞在時間の合計は878日と数時間に及んだ。これはライバルたち(そのほとんどはロシア人だ)よりもかなり先を行っている。なおNASAのPeggy Whitsonは、3回のミッションで666日間滞在している。

2016年:中国の宇宙ステーションがISSに呼びかける

宇宙で混雑を経験することほとんどないが、孤独を感じることはあり得る。なので、飛ぶ名誉を持っている人たちが、お互いに手を差し伸べることは素晴らしいことだ。このケースでは、中国の宇宙飛行士Jing Haipengが、中国のTiangong-2宇宙ステーションからの心温まるビデオメッセージで、新しくやってきたISSの乗組員たちに挨拶し、こうしたことを可能にしたグローバル協力の共同体を賞賛した。

2018年:ソユーズの事故が長期的な滞在を脅かす

宇宙飛行士Nick HagueとAlexey OvchininによるISSへの有人ミッションは、打ち上げ時に重大な失敗に終わった。幸いなことに死傷者はいなかったが、このことは宇宙コミュニティを震撼させた。ソユーズロケットとカプセルは長年にわたり十分に実証されてきたものだが、人命をかけたリスクをとることはできず、後続のミッションは延期された。交代要員がいないまま乗員が去ることにより、最初の投入以来初めてISSが無人になる可能性が生じた。

幸いなことに調査は終了し12月上旬に新しいミッションが計画されている。このため歴史的「乗員不在」は回避される予定だ。

では2019年は?初の商用有人ミッションとその先

ロシアは何年もの間、すべての有人打ち上げに対して、その責任を一手に背負って来た。米国はソユーズシステムの安全性と信頼に匹敵しそれを凌ぐ、新世代の有人飛行可能なシステムを育成することによって、ロシアへの依存を断ち切ることを計画してきた。SpaceXとBoeingの両社は、2019年にそれぞれCrew DragonとStarlinerロケットの打ち上げを計画している。しかし、工程の遅れや規制当局からの新しい注意が、そうした計画をさらに遅らせる可能性がある。

ISSには、その20年にわたる驚異的な連続運行にもかかわらず、明るい未来が待っている。2025年までは多かれ少なかれ資金が提供されているが、ロシアと中国からの新しい宇宙ステーションの話題が聞こえてきている。一方米国は次の大きな挑戦として月の周回軌道に着目している。現在は、乗員が沢山乗ったISS抜きに、宇宙のことを考えることは難しいが、打ち上げコストの低下によって、ISSの寿命はさらに伸び、さらに維持コストが安くなるかもしれない。ISSにまた次の20年があることを期待したいと思う。

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(翻訳:sako)

DMMがプログラミングスクールのインフラトップを買収ーー今月だけで2度目、DMMの財産が起業家を惹きつける

DMM.comは11月22日、プログラミング教育スクール「WEBCAMP」を運営するインフラトップを買収したと発表した。インフラトップが発行する株式の60%を取得する。株式取得総額は非公開。なお、今回の買収によりDMM.com COOの村中悠介氏、同CTOの松本勇気氏がインフラトップ取締役に就任する。

写真左より、DMM.com CTOの松本勇気氏、インフラトップ代表取締役の大島礼頌氏

インフラトップは、社会人向けプログラミングスクールのWEBCAMPを運営するスタートアップ。これまでに3000人の卒業生を輩出しているという。同社はWEBCAMPの上位コースとして転職に特化した「WEBCAMP PRO」も提供。プログラミング未経験者であっても、3ヶ月のコースを修了後にエンジニアとしての転職を保証するというものだ(転職が決まらなかった場合、スクール費用は返却する)。

インフラトップ代表取締役の大島礼頌氏は、「転職保証は、弊社のビジョンでもある“プログラミング教育を通して人生を実際に変える”ことにコミットするという意思表示だった。それを達成するため、Gitによるチーム開発なども想定した実践的なカリキュラムを設計した」と語る。その結果、現在までにWEBCAMP PRO卒業生の転職成功率は98%、転職後3ヶ月間の離職率は0%と高水準となっている。

今回の買収を主導したDMM.com CTOの松本勇気氏も、「インフラトップはチーム開発を含めたカリキュラムによる実践的な教育や、またその成果として、その後の就職率の高さなどが際立っている」とコメントし、同社のプログラミングスクールの質を評価している。

DMM.comによるスタートアップ買収と言えば、2018年11月に発表された終活ねっとの買収が記憶に新しい。「当初は上場しか考えておらず、今回の買収以前にも並行して他社からの増資の話もあった。しかし、DMM.comには『DMM英会話』を通してスクール運営のナレッジが溜まっていたこと、そしてサービスの磨き上げについて、松本さんからのコミットメントを感じたことを踏まえ、今後1〜2年の成長速度を考えるとDMMグループに入ることが正解だと思った」と大島氏はDMM傘下入りの理由を語る。

インフラトップのこれまでの株主構成は、総数の約80%が同社代表取締役の大島礼頌氏、残り20%がEast VenturesやMistletoeなどの外部投資家だった。今回の買収により、株式60%をDMM.comが所有、40%が大島氏が保有することになる。現時点での増資はなく、同社に直接キャッシュが入るわけではない。だが、大島氏は今後利用可能になるDMMのリソースを利用して、サービスのさらなる改善とマスプロモーションに注力すると話す。

「転職市場の現状として、40代や50代のエンジニア転職は難しいという現実がある。しかし、今後はWEBCAMPを利用すれば年齢や経歴関係なく転職によって人生を変えられるということを実現したい。また、弊社はリアルとオンラインのどちらでもスクールを運営しているが、オンラインでもリアルと遜色ないクオリティを追求していく」(大島氏)

終活ねっとの買収でも同様だが、DMM.comが事業拡大のためにアクセルを踏みたいと願う起業家を強く惹きつけている。DMMの事業は非常に広範囲に渡り、それだけ蓄積されたノウハウの種類も多い。キャッシュカウ化した本業から潤沢な資金も流れ込む。だからこそ、即時買い取り、終活メディア、プログラミングスクールなど、彼らが手を組めるスタートアップのスコープも当然広くなる。DMM.comが日本の若手起業家を惹きつける“シェアハウス”のようだと感じるのは僕だけだろうか。

優れたジャーナリズムを育てる育成事業Google News Initiativeがアジア太平洋地域でも活動を開始

Googleはアジア太平洋地域のメディアを支援するために、同社のGoogle News Initiativeを同地域で展開する計画だ。

GNIと呼ばれるこの事業は、“デジタル時代の優れたジャーナリズムを育成”するために、同社が将来性を認めたメディア企業や団体に助成金を交付する。2015年に始まったヨーロッパでは1億7000万ドル、そしてアメリカでは今年前半に3億ドルが投じられた。フェイクニュース防止のためにYouTubeも助成対象となり、GNIはそのために2500万ドルを確保した。

アジア太平洋地域に関してGoogleはその規模を明言しないが、新しくて革新的なビジネスモデルと収益源を開発しているパブリッシャーに最大で30万ドルを助成する、と言っている。

Googleで報道と出版関連のパートナーシップを担当しているKate Beddoeは、ブログ記事でこう述べている: “有料会員制や賛助制度、新しいデジタル製品やサービスなどで読者からの収益を増やそうとするプロジェクトの提案を募集している。Google内部とそのほかのテクノロジー業界の役員たちが申請を審査し、選ばれたプロジェクトには最大で30万ドルを出資、プロジェクトの総費用の最大70%を支援する”。

同社のスポークスパーソンによると、助成金は分割で交付される。交付が決定した応募者には助成金が何度かに分けて交付され、彼らの経験を広範なコミュニティと共有しなければならない。それは、オンラインやイベントにおける資料の作成配布の形でもよい。その情報交換のねらいは、アジア太平洋地域のメディアがお互いから学び合い、持続可能なアイデアや経験談をより広く共有することにある。

ファンドは今日(米国時間11/20)発表されたが、実際の交付は2019年からだ。

応募申込は、専用の窓口で、11月28日から1月9日までに行なう。Googleによると、12月11日に同社のシンガポールオフィスでタウンホールミーティングを行なうときに、詳細を発表する。それはここから、ライブでストリーミングされる。

アジア太平洋地域のメディアを助成金で支援しているのは、Googleだけではない。ブロックチェーンメディアのスタートアップCivilは最近、アジア対象の100万ドルのファンドを発表したが、同社はその後、予定のICOをキャンセルしたため、今後の動向が不明だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、司法省のシリコンバレー反トラスト法責任者を引き抜く

Facebookは米国司法省の古参でシリコンバレー反トラスト局長Kate Patchenを、訴訟責任者・法律副顧問に採用した。

Patchenは、 同社が進行中スキャンダル危機的評判問題の数々を抱える中、今月Facebookの一員になったことをLindedInプロフィールに書いている。

この人事をいち早く見つけたのはFinancial Timesで、2週間前にFacebookが、LinkedInで競争問題担当者としてワシントンの「主任弁護士」を募集していたことも報じている——社内の専門家体制を強化する取り組みの現れだ。

Patchenは、反トラスト問題の豊富な経験を新たな雇用主にもたらす。司法省で16年間の経験を持ち、法廷弁護士として活動を始めた後2014年に反トラスト部門の次席になった。そして2年後に部門長になった。

この採用について問い合わせたところ、Facebookは本誌のメール内容を認めたが、反トラスト法執行専門家を採用する決定についてのコメントは出さなかった。

ソーシャルメディアの巨人がこの問題に関して山ほど悩みを抱えていることは間違いない。

2016年、ロシアが支援する選挙妨害活動が最初に起きた際、Facebookは議員らのレーダーにはっきりと捕らえられ、政界の渦中に立たされた。以来、相次ぐセキュリティーやデータの不正スキャンダルによって、Facebookに対する議会の圧力は高まるばかりだ。

現在米国の議員たちはソーシャルメディアの規制化に向けてこれまでになく活発に動いている。不当競争の監視は大規模IT企業全般に対して厳しくなっており、被害の影響を緩和するために巨大プラットフォームの分割を要求する向きもある。

例えばFinancial Timesによると、最近民主党は「経済集中の脅威」に対処る法案を提出した。また、民主党が推進する競争法の強化は、同党とシリコンバレーのIT巨人らとの熱愛関係が完全に終わったことを示唆している。

欧州では、競争監視当局がすでにIT大手に対抗する動きを見せており、ここ数年の間にGoogleのサービスに対して2件の巨額な罰金を科し、捜査は今も続いている。

Amazonも現在当局の目に捕らえられている。EU規制当局は国家レベルで、IT広告業界がGoogleとFacebookの複占状態になっていることに対する監視を強めている。

一方PatchenがFacebookに入ると同時に、長年務めたベテランたちが社を去っていった——公開ポリシー責任者Elliot Schrageもその一人だ。

Schrageの退社は数ヶ月前から準備されていたが、本誌が今週入手した社内メモによると、同氏が最近発覚した広報スキャンダルのスケープゴートとして体よく追い出されたことを示唆している。

先月もFacebookは新勢力の採用を発表した。元英国副首相のニック・クレッグが国際ポリシーおよび報道の新しい責任者に就任した——当時Schrageは顧問として残る予定だった。

別の上級幹部人事では、Facebook CSO Alex Stamosもこの夏に会社を去り、最高法務責任者のColin Stretchは年末に退社すると表明した。

しかし今月のRecodeの記事によると、Strechは退社を保留——来年夏まで——しており、これは現在進行中の政治問題に対応するためだと思われる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2万人登録のデイワークアプリ「ワクラク」運営が1億調達、資格が必要な業種での活用も視野に

Wakrak代表取締役 谷口怜央氏

デイワークアプリ「ワクラク」運営のWakrakは11月22日、オプトベンチャーズ、ANRI、ドリームインキュベータを引受先とする第三者割当増資による総額1億円の実施を発表した。調達した資金をもとに同社は導入企業・利用者拡大に向け開発・体制を強化するとともに、現在サービスの中心は東京となっているが地方への展開も実施していく予定だという。

ワクラクは「1日単位のワーク探し」「面接なしで雇用契約締結」「給与振込申請」が行えるデイワークサービスだ。ユーザーは「アプリのダウンロード」「プロフィールの入力」「契約書の発行」の3ステップで仕事が決定できる。要するに、履歴書や面接を受ける必要がない。登録者は学生やフリーター、主婦がメインで、登録者数は2万人を超える。Wakrakのミッションは“いつでも、どこでも、なんでも、好きなことができる世界を作る”こと。そんな風に自由で楽しく働けるワークスタイルを実現できるようなサービスとなっている。給与も最短で翌日振込なのも魅力的だ。

活用している企業は飲食店、ホテル、物流企業、EC企業、IT企業など。Wakrakいわく導入の目的には「即時性」と「コスト削減」などがあげられるという。初期費用や月額費用が一切かからず、Wakrakはユーザーの給与の10%分を求人企業から徴収するのみ。手数料の平均は600円なのでコストカットにつながる。また、ユーザーの大半はリピーターとなり2回3回と同じ企業でワークを行うことから“スポットでの雇用は合わない”という企業も利用しているそうだ。

競合として、人手が足りない飲食店などのお店と暇な時間を有効活用したい人たちをマッチングするサービス「タイミー」などもあるが、月に数千件のワークが行われているというワクラクは今後どのような方向を目指しているのだろうか。Wakrak代表取締役 谷口怜央氏は「次のフェーズはデータを貯めていく段階だ」と話した。

Wakrakは2017年6月に設立された。当時の企業名はSpacelookでサービス名は「Spacework」だった。正式ローンチした2017年9月以降、サービスへの「ニーズがあるかどうかは確信が持てた」と谷口氏は話す。需要が明らかになり、これからは「誰がどこで働いたことがあって、何が得意で不得意だったかなどのデータを作らなければならない」という。これまでのワクラクは簡易なものだったが、データを取る仕組みを構築するために「裏側をしっかりと作り込んだ」そうだ。

「一人が3、4回働いたデータには価値がないと思っている。これが10、20回となってきたときにやっと価値があるものとなる。そのためには仕事の数が必要なので、事業者・ユーザーを増やすことを徹底して行なっている」(谷口氏)

それを経て谷口氏が目指しているのが、資格やスキルが必要となる業界でのワクラクの活用だ。サービス業以外の専門性が必要となる仕事でもワクラクを通して求職できることを目標としている。

「A社で自分が築き上げた価値や役職は、B社に移った瞬間にまた1から積み上げなければならない。だが、アプリやサービスの中に自分の評価が溜まっていくならば、どこで働こうが関係がない。ブルーカラーだけではなくてホワイトカラーも、ありとあらゆる仕事をこのサービスを通して行える、かつ、やりたくないことをやめられる。そのような世界観を僕たちは持っている」(谷口氏)

そんなWakrakは2018年10月30日、01Boosterと愛知県庁が主催の「あいちアクセラレーター」に採択されたと発表している。これを通じて、愛知県内の企業に向けて今後の人手不足解消の新たなサービスとしてワクラクの導入がさらに加速することとなるという。単に愛知県内の飲食店やホテル、清掃会社、物流企業、イベント会社などへ導入を進めるだけでなく、自動車関連技術を有する技術者のデータ登録を実施することも併せて発表している。これは「サービス業以外の領域での展開を検討するための実証実験」なのだと谷口氏は説明した。今後は他の領域でも実証実験を行う予定だ。

取材中、谷口氏は「“やりたくないこと”をやっている人たちが“やりたくないこと”をやめて、“やりたいこと”をできるようにしたい」と話していた。近い将来、専門性が強い仕事に就く人でもより自由に簡単に働ける未来が到来することに期待したい。

阪大のロボット・ヘッド、Affettoの表情は不気味なまでに人間そっくり

Affettoは魂の底を見通すような視線をこちらに向けたまま微笑することができる。大阪大学の研究グループが開発したこの子供の頭のロボットは人間の表情を巧みに模倣することができる。微笑するだけでなく、鼻をうごめかしたり、 目を閉じて物思いにふけったりする。総じていえば、正気では目を覚ますことができない悪夢ができあがりそうだ。

大阪大学の石原尚助教は研究のリリースで「アンドロイドの表情は、柔らかい顔被覆の内部に搭載された機構の動きを操ることで作り出されます。これまでは、顔表面の変形の特性が調べられていなかったため、変形の作り分けは大まかにしか実現されていませんでした。…〔この研究の成果により〕ぱっと開く笑顔や恐る恐る出す笑顔など、ニュアンスを含んだ生き生きとした表情をアンドロイドで表現できるようになることが期待されます」と述べている。

実はTechCrunchでは2011年にも開発初期のAffettoを取り上げている。このときは今よりもさらに怖かった。研究グループはロボットの顔に皮膚を貼り、髪を乗せたのでAffettoの表情のない目にじっと睨まれたときの恐怖がほんのわずかだが減った。未来バンザイだ。

Affettoが頭だけでなく身体を得たらわれわれの支配者になってしまうのではないと心配だが、ともあれ研究グループはこう述べている。

〔石原助教らの〕研究グループでは、アンドロイドの顔表面に多数の三次元位置計測(モーションキャプチャ)用マーカを貼り付け、各内部機構の動きに伴う表面の動きを精密に計測し、表面の操りやすさと変形の特性を機構毎に評価しました。…各機構に対して表面の変形の特性を考慮に入れた制御器を設けることで、無表情から笑顔に至る5パターンの表情の変化を作り分けることに成功しました。…このような研究によって、コミュニケーションロボットが状況に応じてより効果的な情報を、より豊かに人と交わすことができるようになると期待されます。

このロボット・ヘッドをルンバに載せて家の中を掃除させてみよう。子供たちは大喜びだろうが、ネコは心臓マヒを起こすかもしれない。

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滑川海彦@Facebook Google+

ラズベリーパイより簡単にIoT電子工作ができる「obniz」が1億円を調達、コンセプトは“ハードウェアのAPI化”

数年前、3Dプリンターやレーザーカッターなどが普及することで“製造業の民主化”が実現するという「メイカーズムーブメント」が大きな話題を呼んだ。

技術革新によって製造コストが大幅に削減されただけでなく、クラウドファンディングのように資金と顧客を募れる仕組みが登場したことで“おもしろいアイデアと熱量”を持った個人が、思いのままにものづくりにチャレンジできる環境が整い始めている。

今回紹介する「obniz(オブナイズ)」が目指している世界観もメイカーズの文化に近いかもしれない。このプロダクトが叶えてくれるのは「電子工作をやってみたい、IoTプロダクトを作ってみたい」というロマンだ。

詳しくは後述するけれど、クラウドサービスと専用の組み込みデバイスによってさまざまな電子部品をインターネット経由で、あらゆるプログラム言語で操作できるのが特徴。電子工作やIoT機器の開発ハードルを下げ、高度な専門知識のない人でもその魅力を体験できる仕組みを提供する。

そんなobnizを開発するのはCambrianRobotics(カンブリアンロボティクス)という日本のスタートアップ。小学生の頃からマイコンやパソコンのプログラムをやっていたという2人のエンジニアが立ち上げたチームだ。

同社は11月22日、UTECを引受先とする第三者割当増資により約1億円を調達したことを明らかにした。

JavaScriptで電子工作が可能に、面倒な初期設定は不要

上述した通り、obnizは“インターネットと連携して動くもの”を簡単に作れるサービスだ。

写真にあるブルーの組み込みデバイスをWifiに接続した状態でセンサーやモーターといった部品に繋げば、それらの部品をインターネット(API)経由であらゆるプログラム言語から操作できるようになる。

実際に使い始めるまでの工程はわずか3ステップ。まずはobnizをWifiにつなぎ、使いたいモーターなどを接続する。あとはスマホからobnizに表示されるQRコードを読み込み、表示されたプログラムを実行するだけ。IoT機器を作ってスマートホーム化に挑戦したり、ラジコンやロボットを作ったりいろいろと応用の幅も広い。

最大の特徴はそのハードルの低さだ。

obnizの場合、組み込みデバイスに接続されたモーターやセンサーを操作するのに必要なのは、ブラウザでプログラムを書いて実行するだけ。従来IoTプロダクトを開発する際に高い壁となっていた「組み込みデバイスにおけるファームウェアの作成(ハードウェアを制御するソフトウェア)」を必要としない。

SDKを使えばJavaScriptから利用が可能。obnizにつないだリアルな部品をHTMLの中で“プログラム上のオブジェクト”として扱えるようになる。

全くの初心者であってもブロックプログラムを通じて簡単な操作を実行することができる上に、専用のアプリも不要で複雑な環境構築で行き詰まる心配もない。

kickstarterのプロジェクトを経て(160万円以上を集めることに成功)2018年5月より開発ボードの販売をスタート。1台の価格は5980円で、すでに2000台以上の販売実績があるという。

エンジニアが趣味でIoT機器の電子工作をする際や教育用のコンテンツとして活用されるケースが多いそう。obnizが電子工作デビューというユーザーも一定数いて、中にはプログラミング未経験ながら挑戦する人もいるようだ。

何か動くものを自作したいとなった場合、今であればArduino(アルディーノ)やRaspberry Pi(ラズベリーパイ)が代表的な選択肢にあがるだろう。obnizは両者では少しハードルが高いと感じる層のユーザーにもリーチしていきたい考え。使いやすさと作れるものの幅が広い点をウリに「グローバルにおいて、動くものを作る際の選択肢として1番最初に想起されるような存在を目指したい」という。

また個人だけでなく企業におけるPoC(概念実証)などプロトタイプ作成や、IoTへの導入目的でも使われ始めている。具体的には遠隔地のデータ収集や装置の監視などでの利用が考えられ、とある装置の故障予知を目的とした実証実験も企業と計画しているとのことだ。

コンセプトは「ハードウェアのAPI化」

そもそもobnizはどのような背景で生まれたのか。CambrianRobotics創業者でCEOの佐藤雄紀氏によると、IoT開発の壁をなくし「すべてのエンジニア、個人が自由にIoTを作れるようにする」という思いが根本にあるようだ。

IoTプロダクトの開発にはその性質上、ハードウェアとソフトウェア、そしてネットワークなど複数の領域に関する知見と開発スキルが必要とされ、それが大きな障壁となってきた。特に難点となっていたのがファームウェアの開発だ。

「スマホアプリで言えばiOSとAndroidがあって、iOSアプリはAndroidの機種では動かない。それと同じようなことがいろいろな世界で起きていて、組み込みの世界における小さなコンピューターにおいても同様だ。メーカーが違えばiOSとAndroidぐらいの違いがあるため、同じ電子部品を使う際にもソフトを書き換える必要がある」(佐藤氏)

佐藤氏によると、一般的には使うセンサーや装置が変わるごとにファームウェアを書き直す必要があるそう。しかも「(そこで動くようなソフトは)LinuxやMacやiOSのように洗練されたシステムと違って、機械言語に近いレベルで書かないといけない」ため、できる人が限られているのだという。

「IoTを進めたい場合には必ずそういったエンジニアの力が必要になるが、そもそも人材が足りない。また回路やその上で動くファームウェアには詳しくても、クラウドに繋ぐためのネットワークの知識は別の領域になるので、余計に難易度があがる」(佐藤氏)

そんな状況を打破するために開発したobnizのコンセプトは“ハードウェア(電子部品)のAPI化”だ。

それこそ今ではさまざまなWebサービスがAPIを公開している。たとえば天気の情報を取得したいような場合、該当するAPIの使い方さえわかれば、詳しい知識がなくとも欲しい情報を取ることができる。ハードウェアにおいても同じような仕組みがあるべきだというのがobnizの考え方だ。

「たとえ温度に関するデータの取り方を知らなかったとしても、APIがわかっていることで、どんなエンジニアでもその情報を使える。そのような環境を整えていければ、電子工作やIoTが初めてのエンジニアもチャレンジしやすくなるし、企業でのIoT活用も進められると考えている」(佐藤氏)

電子工作にチャレンジしたいユーザーを後押しできるプロダクトへ

写真左からCambrianRobotics共同創業者でCEOの佐藤雄紀氏、同じく共同創業者の木戸康平氏

CambrianRoboticsの創業は2014年。佐藤氏と共同創業者の木戸康平氏は早稲田大学総合機械工学科の同級生。学生時代には他の友人も含めて起業し「papelook」という1000万DL超えの画像加工アプリの開発に携わった。

その後佐藤氏はスポットライト(連続起業家の柴田陽氏が創業、2013年に楽天により買収)にジョインし、ポイントサービス「スマポ」のiOSアプリや超音波ビーコン、超音波プロトコルの設計や開発を担当。高校時代からロボコンなどに関わっていたという木戸氏はpapelookで一緒に活動した後、大学院を経てKDDIで働いた。

そんな2人が再び合流して立ち上げたのがCambrianRoboticsというわけだ。

同社では今回調達した資金を活用して、開発やテクニカルセールスを中心とした人材採用を進めるほか、国内外でのマーケティングにも力を入れる方針。現在はプログラミング教育などコンシューマー向けのプロダクトを強化していて、ロボットやセンサーなどをセットにしたAIロボットキット、IoTホームキットの準備も進めている(クラウドファンディングのMakuakeで先行販売中)。

「もちろん今まで回路に携わっていたような人が便利に使えるツールでもあるが、回路などの知識がないWebエンジニアの人が『ハードにも挑戦してみたい』と思った時に、それを後押しできるようなプロダクトにしていきたい」(木戸氏)

「(個人法人問わず)obnizがあったからIoTを始められたという声がいろんな所から出てくるような、そんなプロダクトを目指したい」(佐藤氏)

「ヘイ、Siri, オーケー Google」でアシスタントを起動できる――ただしプライバシーには十分注意

AppleはライバルがSiriのショートカットをこんなふうに利用するとは予想していなかったに違いない。しかしiPhoneに「ヘイSiri, オーケーGoogle」と呼びかけることでGoogleアシスタントを起動できる。

ただし設定には多少手間がかかる。まずiOS版のGoogleアシスタントをアップデートして最新版にする。次に Google Assistant起動のためのSiriショートカットを作成する。

名前のとおりSiriショートカットを利用すればカスタム・フレーズを録音して音声で特定のアプリないし機能を起動することができる。またSiriのショートカットでプレイリストを再生させたり、誰かにメッセージを送ったりすることも可能だ。もしいくつかの動作を連続して実行させたい場合はAppleが提供するショートカットを使う。

Googleアシスタントの起動はデフォールトでOK Googleに設定されているが、ユーザーは自分の好みで「ねーGoogle」などに変えることができる。フレーズを設定してSiriに呼びかけるとGoogleアシスタントが立ち上がる。

最初のトライでiPhoneまたはiPadのiOSにアプリを開く許可を与える必要があるかもしれない。Googleアシスタントが起動されると自動的にコマンドの聞き取りモードで待機する。アプリが立ち上がってから聞き取り可能になるまでわずかに時間がかかるので、その後で呼びかける。

ここまで手間をかけるユーザーがどのくらいいるかはともかく、「ヘイSiri、オーケーGoogle」でGoogleアシスタントが起動するのはやはり面白い。

ちなみにGoogle Assistantはプライバシーの点からは最悪アプリの一つだ。このアプリは例の 「ウエブとアプリのアクティビティ」を有効にするよう求めてくる。この機能はあらゆるプライベートな情報を収集することで悪名高い。有効になっている場合、Googleは検索履歴、Chromeのブラウズ履歴、位置、クレジットカードの履歴その他ありとあらゆる履歴を集めることができる。.

もし有効にしていない場合、目立つ青いバナーがアプリの下に表示され、「ウェブとアプリのアクティビティを有効にするとアシスタントでさらに多くの機能をアンロックできる」と勧めてくる。心理的トリックでユーザーに特定の行動を取らせることを企むダーク・パターンUIの例だ

クリックするとキュートなアニメが表示されるが気を取られてはいけない。内容が肝心だ。表示されるボタンはMoreしかない。Moreボタンをクリックするといつの間にか「オンにする」に変わっている。たいていのユーザーは左の「今はしない」ボタンに気づかないだろう。

これは古典的なトリックだ。相手が常にイェスと答えるような質問をいくつか続ける。相手はいつの間にかイェスと答えるのに慣れてしまい、最後の質問にもイェスと答えてしまう。これが「スタート」だの「さらに詳しく」だのと表示されたボタンの意味だ。なんども「さらに詳しく」ボタンをクリックしていると最後のボタンの内容に納得していなくてもついクリックしてしまうことになる。もし「無効にする」ボタンを選択すると、「本当によいですか」とうるさく尋ねてくる。

無名のゲーム・アプリからAmazon、Googleまでユーザーを誘導するデザインをひんぱんに使っているので、ことプライバシーに関してユーザーは自分が何をしているのか十分に意識する必要がある。

〔日本版〕日本版iOSでも上記手順で設定できる。手持ちのiPadの場合、電源が接続されている場合は「ヘイSiri」と呼びかけるだけで起動される。接続されていない場合はホームボタンを押して「へいSiri」と呼びかける。Siriが起動した後、「オーケーGoogle」と呼びかけるとGoogleアシスタントが起動する。利用法はGoogle Home/Miniと同様だが、常に身近に置かれるモバイル・デバイスの場合は上記記事のようにプライバシーに注意する必要がある。

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滑川海彦@Facebook Google+

Amazon Comprehendでは機械学習の技術とは無縁なデベロッパーでも専門用語で自然言語処理モデルを訓練できる

昨年Amazonは、自然言語処理のツールComprehendを発表した。それは情報のコーパスから、よく使われている語や語句を取り出し、ドキュメントを分類する。今日Amazonは同社のデベロッパーカンファレンスRe:inventに一週間先駆けて、Comprehendの機能向上を発表した。それにより機械学習の専門知識のないデベロッパーでも、専門用語や語句のリストを作るだけで機械学習のモデルを構築できる。

その機能アップを発表するブログ記事で、AmazonのディープラーニングとAIのゼネラルマネージャーMatt Woodがこう書いている: “本日Comprehendに新しいカスタム化機能を導入することを嬉しく思う。これによってデベロッパーは、Comprehendを拡張して自然言語で書かれている用語を見つけ、チームや企業や業界にとって専門的なテキストを分類できる”。

重要なのは、すべての複雑な処理をAmazonが面倒見るので、機械学習や自然言語処理の素養のないデベロッパーでも言葉のリストをシステムに与えるだけで、テキストからそれらの語を検出/取り出しできるようになることだ。Woodは書いている: “カスタマイズされた機械学習のモデルを構築、訓練、そしてホストする重労働はすべてComprehendが行い、これらのモデルをプライベートなAPIでデベロッパーが利用できるようにする”。

これには、二つの部分がある。まず、デベロッパーは専門用語などのリストを作る。それは、たとえば法律事務所なら法律用語、自動車会社なら部品番号のリストだったりするだろう。デベロッパーがすることは、これらの用語のリストを公開するだけだ。Comprehendがカスタマイズされた言葉を見つけることを学習し、そのリストに基づくプライベートでカスタマイズされたモデルを作る。

第二の部分は、分類のカスタマイズだ。言葉のリストを作ったら、次は、それらの用語が現れる論理(ロジック)のリストを作る。それについてWoodは、こう書いている:

“言葉の用例がわずか50件でも、Comprehendはカスタムの分類モデルを自動的に訓練し、それを使ってユーザーのドキュメントを各カテゴリーに分類する。たとえばカスタマーサポートのメールを、担当部門ごとにグループ化したり、ソーシャルメディアのポストを製品別に分類、あるいはアナリストの報告書を事業部別に分類したりできるだろう”。

これらの雑多で大量のドキュメントは、カテゴリー分けして初めて役に立つし、適切な担当者にそれを渡したり、あるいはアプリケーションがプログラムの一環として利用したりできるようになる。

Comprehendはユーザーに、カスタマイズされた機械学習のモデルを作る方法を、上述のようなごく単純な方法として提供し、楽屋裏の細部は自分でやる。一般的に言っても、クラウド企業は複雑難解なものを単純化して、専門的な知識や技能のないデベロッパーでも一連のサービスを利用できるようにする。Comprehendの場合は、機械学習の知識のない者がカスタマイズされたモデルを作れる方法を提供する。

Comprehendのこの新しい機能は、今日(米国時間11/19)から利用できる。

〔参考記事
Amazon Comprehend日本語ドキュメンテーション(1)
Amazon Comprehend日本語ドキュメンテーション(2)
Amazon Comprehend用例解説(1)
Amazon Comprehend用例解説(2)
「amazon comprehend 日本語」でググると、さまざまな日本語ドキュメンテーションが出てきます。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ジョニー・アイヴ、iPhoneのマルチタッチや創造プロセスを語る。「Macを開発した人と確かな繋がりを感じた」

eng-logo-2015MacやiPod、iPhoneなど数々のアップル製品を手がけたジョニー・アイヴ氏が、英ケンブリッジ大学にて講演会を行ったことを海外メディアが報じています。この講演は、今年9月にアイヴ氏がスティーブン・ホーキング・フェローシップを受賞したことを記念したものです。

講演の内容は、アイヴ氏とMacとの出会いや入社後のキャリア、手がけた技術やデザイン、創造のプロセス全般といった多岐にわたる話題に及んでいます。

アイヴ氏は大学でインダストリアルデザインを学んだものの、技術には苦手意識があったとのこと。しかし、アップルのMacとの出会いがすべてを変えたと語っています。

1988年に出会ったMacでは、2つのことを学びました。1つは、実際に使いこなせるということ。Macを使うのが大好きで、デザインや作成に役立つとても強力な道具となりました。もう1つは……デザインを4年も勉強してから分かったと認めるのは恥ずかしいのですが、創られたものは、創った人が何者かを語っていると分かったことです。

製品とは、創った人の価値観や考え方を形にしたものです。私はMacを使って、実際にMacを開発した人たちと確かな繋がりを感じました。初めて、機能的なものを超えて明らかな人間性と思いやりに気づいたんです

そしてアイヴ氏は、初代iPhoneの最重要テクノロジーと言えるマルチタッチの開発に言及。このインターフェース開発が2002年から2003年頃に始まったことから、2008年のAppStoreに至った経緯を振り返っています。

それはマルチタッチと呼んだプロジェクトでした。このインターフェイスを初めて体験したときのことを覚えている人もいるかもしれません。おそらく、それは初代iPhoneやiPadだったでしょう。しかし、元々マルチタッチの狙いは、画像をズームしたり指でフリックできるという風に、コンテンツに直接触れたり対話する機能だったんです。

重要なのは、(マルチタッチが)独自のインターフェイスを持つアプリケーションを作成できる場となったことです(中略)。私達はアプリケーションを具体的で魅力があり、使いやすいものにできました。そうして膨大な数のアプリの可能性が明らかになり、AppStoreのアイデアも浮かび上がってきたわけです

アイヴ氏がアップル製品と出会って30年近くが経ちますが、いまだに衰えを知らない創造への意欲も語られています。

今でも創造的なプロセスには惚れ込んでいますし、畏敬の念さえ抱いていますよ。私は予測不能なことと驚きが大好きなんです。創造のプロセスは、全てがとても恐ろしくて先が見えません。でも、(休み明けの)月曜日には大好きになってる。アイディアも何もなく、会話もなく部屋も静かで、もちろん描かれた絵もない。試作品は、将来にしかないんです。月曜日には何もないが、水曜日には存在している。部分的なものであれ、暫定的なものであれかまいません。問題は、何週目の水曜か?ということです

そしてアイディアを生み出す「好奇心」と、それを製品に導入するための現実的な「解決策」は、得てして矛盾しかねません。そんな創造を巡る葛藤について、アイヴ氏は次のように述べています。

正直なところ、私は仕事の2つの方法、2つの両極にあるやり方について、確たる考えはありません。一方では絶えず疑問を抱き、驚きを愛し、好奇心で夢中になりながら、他方では集中力を振り絞って、たとえ前例や参考になる事柄がなかったとしても、克服不能な問題を解決しようと力を注がなければならない。

そうした好奇心と解決方法を両立するという、難しい問題を解決するためには新しいアイデアが必要となり、アイデアをひねり出すにはオープンな好奇心を持っていなければなりません。数年にもわたるプロジェクトでは、そうした考えの切り替えは1回か2回ではすみませんね。1日に1〜2回は起こることもありますし、「好奇心と解決方法」の2つを行き来するのはとても厄介ですよ

一時はデザインの現場から離れてCDO(Chief Design Officer)職についていたアイヴ氏ですが、2017年末にはデザインチームの陣頭指揮へと復帰。アイヴ氏が設計から建設まで関わっていた新社屋アップル・パークはスティーブ・ジョブズ・シアターをはじめ驚きに満ちていますが、今後は再び目をみはるようなデザインのアップル新製品が登場するのかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

京急がVCファンドへ初の出資、アクセラレータープログラムもスタート

京浜急行電鉄は11月21日、VCのサムライインキュベートとともに「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」を発表した。募集期間は2018年11月〜2019年8月。2017年に続く第2期の募集となる。また「Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合」に出資することも発表。京急としては初のVCファンドへの出資となる。出資額は明らかにしなかったが、数億円規模とのこと。

京急の新規事業企画室で部長を務める沼田英治氏によると、ファンド出資については社内でもかなり調整が必要だったという。京急としては投資による儲けではなく、スタートアップとの事業連携を重視したうえでの決断だったそうだ。

今後、京急自らが投資する可能性としては、社内でもCVCを作るという話は議論したが、当面はサムライインキュベートなど連携してスタートアップに投資していきたいと沼田氏。ただし、京急としても数社への直接出資は検討しているようだ。

京浜急行電鉄の新規事業企画室で部長を務める沼田英治氏

KEIKYU ACCELERATOR PROGRAMは、少子高齢化や労働力不足の深刻化を背景に、AIやIoTによるオープンイノベーションの進展を図るのが狙い。新たな顧客体験や鉄道を中心とした生活インフラ、沿線周辺にある資源の活性化などで新たなライフスタイルの創出を考えていくというものだ。第2期では、移動、くらし・働き方、買い物、観光・レジャー、テクノロジーの活用という5つのテーマで募集する。

サムライインキュベート創業者/共同経営パートナーの榊原健太郎氏

昨年の第1期の募集では、7件の事業を採択し、4件の実証実験や事業連携を実現。エンジョイワークスが葉山の空き蔵を宿泊施設にリノベーションしたほか、チャプターエイトは民泊施設へのチェックインの代行事業を手がけるといった展開があった。そのほかヤマップは、三浦半島の新たな観光資源を掘り起こす「MIURA ALPSD PROJECT」を立ち上げた。

また今回のファンド出資にともなう提携により、サムライインキュベートは京急に対して、国内外の有望なスタートアップの紹介、投資や育成のノウハウの提供などを行うという。

Facebook、「Facebookで費やした時間」ダッシュボードを提供

発表から15週間後、Facebookは “Your Time on Facebook” (Facebookで費やした時間)を世界に向けて公開する。Facebookアプリを何分使ったかを数えるツールだ。自分のソーシャルネットワーク時間を管理するために作られたもので、ユーザーは過去一週間毎日どれだけ使ったか平均時間はどれだけだったかをダッシュボードで見ることができる。

一日の上限を設定してそれに達したときにリマインダーを受け取ることもできるほか、通知、ニュースフィード、友達申請の設定へのショートカットもある。後の2つのショートカットは新らしいが、それ以外の機能はプレビューで見たものと同じだ。

6月にFacebookがこの機能を開発していることを最初に報じたのがTechCrunchだった。

iOSとAndroidが最新OSに同様の機能を搭載し、InstagramにもYour Activityタブが追加されたことで、デジタル健康機能はスマートフォンユーザーに普及してきた。問題は、こうした機能を設定メニューの奥深く埋めておくだけで本当に人々に健康的生活を推進できるのかだ。

FacebookとInstagramの機能は特に強制力が弱い。利用を減らすためのオプションはなく、警告の通知を消させるだけだ。 iOS 12のスクリーンタイムは、少なくとも週間レポートをデフォルトで表示する。 Androidのデジタル健康ダッシュボードははるかに強力で、一日の上限に達するとアプリアイコンをグレイ表示にして設定でアプリをアンロックするまで使うことができない。Facebookがもっと強い制約を課す必要はないが、少なくともユーザーが実際に端末を置いてリアル世界に目をやるよう説得するツールは提供すべきだろう。

FacebookのダッシュボードはInstagramと連携していない。Instagramの方がユーザーの同サービスでの活動についてより総合的感覚を伝えようとしている。さらに言えば、ダッシュボードからはデスクトップやタブレットなどの2台めのモバイル機器の時間もわからない。

しかしYou Time on Facebook最大の問題は、あらゆる時間を同等に扱っていることだ。それはソーシャルネットワーク上のデジタル健康についてFacebook自身が提唱してきたことや、CEO Mark Zuckerbergの健康的行動と不健康な行動に関するコメントとも一致していない。Zuckerbergは2018年Q1の決算会見で、「われわれが実施した健康調査によると…人と対話して人間関係を構築するためにインターネットを使うことは、長期的な健康や幸福、つながっていると感じることによる寂しさの緩和など、健康によいと思われるあらゆる事象と相関している。一方、受動的にコンテンツを消費するだけでは必ずしもポジティブな効果を得られない」と言っていた。

しかし、Facebookの受動的利用と能動的利用をダッシュボードから区別することはできない。ニュースフィードを読みストーリーを見てプロフィール写真を眺めていた時間と、投稿やコメントやメッセージを書いていた時間を比べる方法はない。そうした分類があれば、ユーザーは無駄に費やした時間がわかり、どうすれば健康的利用ができるかをずっと判断しやすくなるだろう。いずれFacebookがダッシュボードをもっと精緻化して、利用時間だけでなく、有益に使われた時間を見られるようにすることを願いたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ZuckerbergはFacebookの会長職を降りる気なし…CNNインタビューより

CNNの短いけど派手に誇大宣伝されたインタビュー番組で、FacebookのファウンダーでCEOが再び、同社の最最近の危機に対する批判に答えた。

そのインタビューは、もっと長いQ&A番組“Human Code,”からの抜粋で、Facebookの失敗と、会社に対するZuckerbergの一面的すぎるコントロールに対する批判の部分に限定していた。

そこに新しい情報は何もなかったが、リーダーシップをめぐるいくつかの問題に対する、同社の最近の姿勢は分かる。最初の問題は、Sheryl Sandbergが今後もCOOの地位にとどまるのか?だ。

ZuckerbergはCNNにこう答えている: “Sherylはこの会社にとって実に重要だ。…。彼女はこれまでの10年間、私の重要なパートナーだった。二人でやってきた仕事を本当に誇らしく思っており、今後も末永く一緒に仕事をしていきたい”。

これが、少なくとも当面の答だ。

次の大きなリーダーシップの問題は: Zuckerbergは現在Facebookの会長として行使している権力のすべてを今後も維持するのか? 先週の記者発表ではZuckerbergその権能を降りない、と語り、“権限を制限せよという提案は正しい方向性ではない”と述べている。でもそれは、この、身から出た錆(さび)のような社内的危機の、まだ初期的段階における話だ。

同社は今、危機の最中(さなか)だから、責任を取って会長を辞任する気はないか、と再び聞かれたZuckerbergは、その話はもうやめよう、ときっぱり答えた。

“その計画はない。…。今は、それが有意義であるとは考えられない”、とZuckerbergはCNNに述べている。

共和党が民主党など対抗勢力について調査をしている組織GOP危機時コミュニケーショングループ〔メディア操作などをやる〕とFacebookとの関係をめぐるスキャンダルは、Zuckerbergが権力の一部を放棄しろと批判された最初の事案ではない。彼はFacebookの筆頭株主として、投票権の過半数を持ち、そしてこの構造では誰も彼を辞めさせられない。Zuckerbergは再び、Zuckerbergは一人しかいないし、そして彼が創った企業は彼自身でもあることを明言した。だから彼はどこにも行かないし、当面、彼の権能を誰かに譲る気もない。

関連記事: 議会はZuckerbergに1株1票への移行を要求(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

韓国eコマースCoupang、ビジョンファンドから20億ドル調達

ジャーナリストJamal Khashoggiの殺害はサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指示だったとCIAが結論づけてからわずか数日後、サウジアラビア政府系公共投資ファンド(PIF)が450億ドルも拠出している途方もなく大きなソフトバンクのビジョンファンドは投資活動を再開させた。

韓国最大のeコマース企業Coupangは今日、ビジョンファンドから20億ドルを調達したことを明らかにした。ソフトバンクにとってこの投資は、10月のKhashoggi殺害以来最も大きなもので、ソフトバンクが保有するCoupangの株式がビジョンファンドに移された数週間後に行われた。

この調達により企業価値がいくらかになったのかは明らかにされていないが、この件に近い情報筋がTechCrunchに語ったところによると、今回の調達で企業価値90億ドルになったという。我々が理解しているところでは今回のディールは新規株式発行で、Coupangはこれまでに34億ドル調達したことになる。前回の調達は、2015年のソフトバンクからの10億ドルだった。

今回の調達はCoupangにとって、韓国企業としては初めてビジョンファンドから出資を受けた企業という非常に大きな意味を持つ。ビジョンファンドはソフトバンク会長の孫正義が世界の勝ち組ネットワークとして有しているものだが、Khashoggi事件とのつながりが活動を難しいものにさせている。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はワシントン・ポスト紙の記者で、サウジの体制に批判的だったKhashoggiの殺害を指示したとして広く批判されている。サウジ主導の調査では皇太子の関与を否定している;しかしながら先週発表されたCIAのレポートは、全ては皇太子の指示によるものだったと、前面から非難しているーその一方でサウジ王室の一部は王位継承者を入れ替えることを企んでいる、と報道されている。

殺害について孫は「人道にもとる行為だ」と非難したが、最近の投資家向けプレゼンテーションでは、「ソフトバンクは資本を展開する“責任”をサウジアラビアに負っていて、ビジョンファンドを継続する」と付け足している。

ビジョンファンドへの最大の出資者というPIFの同ファンドでの役割は、これまでの成果を汚すことになりかねない。シリコンバレーでは、多くのスタートアップ創業者が汚れのないところからの資金を選ぶだろうとする声も聞かれる。しかしながらこうした懸念とは裏腹に、ソフトバンクはここ数週間、多くの案件を発表したーここにはロボット調理スタートアップZumeへの3億7500万ドルの出資ガラスメーカーViewへの11億ドルの出資も含まれる。孫は、ビジョンファンドからの出資を断るスタートアップがあったとは聞いていない、と述べたが、将来“いくらかの影響はあるかもしれない”と認めている。

そうした事情はあっても、Coupangはビジョンファンドからの投資を受け、その旨を発表した。

「ビジョンファンドは将来を見通したファンドであり、彼らに選ばれたことを誇りに思う」。CoupangのCEO、Bom KimはTechCrunchとのインタビューでこう語った。

Kimは、Khashoggi殺害をめぐっての緊張は“我々や、投資を受ける企業を表すものではない”として、今回の投資による過激な反動は予想していないと語った。

果敢にも体制を批判したジャーナリストを殺害した(とされる)国が主に支えるファンドから多額の資金を受け取るというのは、良くは思われない。しかし究極的には、いかにその事実を振り払うかは今後わかることだ。世界は、CIAの正式な調査結果、サウジ王室とソフトンバンク・孫の反応を待っていて、この事件はCoupangの前向きなニュースの重荷になる可能性がある。

Coupangは韓国で最大のeコマース事業者となり、他のエリアへの進出にも積極的だ。

2010年の創業で、Kimによると2018年の売上は前年比70%増の50億ドルに近づいている。Coupangは、韓国の成人2人に1人がスマホに同社アプリを入れている、としている。Coupangの事業は韓国でのみだが、北京、LA、シアトル、上海、シリコンバレー、そしてソウルにエンジニアリング部隊を抱える。

50億ドルという売上は2014年の14倍で、これはCoupangが方向転換にフォーカスしたからだとKimは説明する。

「我々は株式を公開する計画を持っていて、それに向かって動いていたが、株式公開は我々のビジョンを満たさないだろうということに気づいた」とKimは語る。「その代わり、我々はテックプラットフォームやインフラへの何年にもわたる投資という、複数の長期的投資を行うことにした」。

それは、自前のトラックやドライバーのネットワークを発展させ、あらゆるレベルのテクノロジーを取り入れ、韓国中の顧客に素早く商品を届けるためのインフラとキャパシティを構築することを意味する。

これにより、Coupangは同日宅配やオーバーナイト配達などができるようになった。Coupangはまた、RocketPayという自前の支払いサービスも持っている。

たとえば、もし親が学校の前の日に子供に新しいレインジャケットが必要だと気づいたとき、午前零時までに注文すれば翌朝7時までにCoupang経由で受け取れる、とKimは説明する。オーバーナイト配達サービスではまた生鮮食品や“数百万”の商品も対象となる、と言う。これにより、Coupangはコールドチェーン物流ネットワークをわずか1カ月で構築した。

“何百万”もの顧客がCoupangのサービスを年間少なくとも50回、つまり毎週利用している、とCoupangは説明する。これは曖昧とした数字であり、全体の顧客ベースのどれくらいを占めているのかはわからない。にもかかわらず、注意を引く事実ではある。

今回の資金の使途について「Coupangは“多くの異なるプラン”を持っている」とKimは明かしたものの、詳細を語るのは避けた。

Kimはメディアのような近隣サービスは除外しなかったーAmazonはビデオや音楽ストリーミングを展開している。彼はまた、Coupangは「韓国以外のマーケット開拓を行うつもりだ」と明らかにしたが、どの国にいつごろといった詳細はまたも語らなかった。

株式を公開するという計画が復活する可能性はあり、その場合は韓国ではなく米国での公開になるかもしれない。しかしKimは、それがいつになるのか「具体的なタイムテーブルはない」としている。

イメージクレジット: Coupang (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi)

クラウド通信のためのAPIを提供するAgoraがシリーズCで$70Mを調達、Twilioに負けない強みとは?

クラウド通信のためのAPIを作っているAgoraが、Coatue ManagemenがリードするシリーズCのラウンドで7000万ドルを調達し、新しい市場と業種分野の開拓をねらっている。これまでの投資家SIG, Morningside Capital, およびShunwei Capitalもこのラウンドに参加し、Agoraの総調達額は1億2500万ドルになった。

同社のAPIはMeet Group, Xiaomi, Hike Messenger, Momoなどに利用されていて、顧客はそのAPIを使って自分のアプリケーションに音声やビデオ、そしてグループによる通話機能を実装する。Agoraによると、そのSDKのインストール数は最近20億を超え、同社の世界中に分散する200のデータセンターを経由する毎月平均100億分(ふん)のコミュニケーションを支えている。

同社はその成長目標の達成を目指して、比較的速いペースで資金を調達している。この前の資金調達の発表は5か月前で、そのときは同社のシリーズBの3000万ドルの拡張が行われて、ラウンドの合計が5000万ドルになった。

Agoraは2014年にCEOのTony Zhaoが創業した。彼はオンラインコミュニケーションプラットホームWebExの創設技術者だったが、同社は2007年にCiscoに買収された。また彼は、中国のビデオライブストリーミングプラットホームYYのCTOでもあった。Agoraは本社がカリフォルニア州サンタクララにあり、上海にもオフィスがある。同社は、TwilioやTokboxなど既存のコンペティターがいる市場への、比較的新しい参入企業だ。

Agoraのメインのプロダクトは、デベロッパーが自分のアプリケーションに音声、ビデオ、そしてグループによる通話機能や対話的なブロードキャスティング機能を持たせるためのSDKだが、最近ではゲームデベロッパーとFacebookのReact Nativeフレームワーク向けのSDKも提供している。

画像クレジット: Agora

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Androidユーザー50万人がGoogle Playからマルウェアをダウンロード

50万人以上のAndroidユーザーが、ドライブゲームを装ったマルウェアをダウンロードした——Googleの専用アプリストアでの出来事だ。

ESETのセキュリティー研究者Lukas Stefankoは、13本のゲームアプリ——同じ開発者による——の詳細をツイートした。その時アプリはまだGoogle Playでダウンロード可能だった。うち2本はアプリストアの人気ランキングに入っていたため、いっそう目立っていた、と彼は言った。

Googleが削除するまでに計58万回以上インストールされた。

ダウンロードした人はトラックか車のドライブゲームを期待していた。代わりに手にしたのは開くたびにクラッシュするバグだらけのアプリだった。

実際には、そのアプリは別のドメイン(イスタンブールのアプリ開発者が登録)からデータをダウンロードし、裏でマルウェアをインストールしながらアプリのアイコンを消していた。悪意のアプリが正確に何をするのかはわかっていない。VirusTotalにアップロードされたサンプルを見る限り、このマルウェアが何をするかはマルウェアスキャナーの間でも一致していない。はっきりしているのは、マルウェアに持続性があることだ——Android携帯またはタブレットをスタートさせるたびにアプリは立ち上がり、ネットワークに「フルアクセス」できるため、マルウェア作者はそれを利用して秘密を盗み出す。

本誌はイスタンブール拠点のドメイン所有者Mert Ozekに接触を試みているが、今のところメールへの返信はない。

またしてもこれはGoogleによる恥ずかしいセキュリティー欠陥だ。Googleはアプリとモバイルのセキュリティー対策でAppleに遅れを取っていることで長年批判されている。Appleは壁に囲まれた庭にどのアプリを入れるかに関してはるかに限定的で選り好みが強いと言われている。

GoogleはAndroidのセキュリティーを強化すべく、セキュリティー機能を改善し、きめ細かなアプリ許可制御を導入した。しかし、その後もGoogle Playアプリストアでは詐欺や悪意あるアプリとの戦いが続いており、Androidユーザーにとって最大の脅威の一つとなっている。Googleは昨年だけで70万以上の悪質アプリをアプリストアから削除し、悪意あるアプリがそもそもストアに入り込むのを防ぐために、バックエンドの改善を試みた。

しかし、それでもまだ十分ではないことが明らかだ。

Google広報は本誌の問い合わせに対してすぐにはコメントしなかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook