中国のDidi Chuxingが10社対象のタクシー呼び出しサービスを日本で展開

中国のDidi Chuxingは自分の国で火消しに追われているが、海外では新しい市場を開拓中で、今度日本ではタクシーの予約サービスを始めることになった。

すでに人口900万の都市大阪と関西国際空港などの周辺地区でサービスを開始しており、そのDidi Japanは乗客を地元のタクシー会社10社のドライバーとリンクする。Didiによるとそれは、AIを利用する配車と車両管理システムにより効率を上げている。

時価総額560億ドルのDidiは、SoftBankとのパートナーシップにより日本に進出した。SoftBankはもちろん、他の投資家たちと共に同社に投資もしている。Didiによると、今後は京都、福岡、東京などの大都市にサービスを拡張する計画だ。

同社のサービスはライセンスを持つタクシーに限定され、私有の車のライドシェアは日本では禁じられている。しかし日本では、従来型のタクシーがビッグビジネスである。売上(取引総額)は130億ドルで、世界第三位のタクシー市場だ。タクシー免許車両はおよそ24万台ある。

Uberも日本で似たようなタクシーサービスを試みているが、この分野はもっと大きな選手がいる。

JapanTaxiは、川鍋一朗が経営するライドシェアスタートアップで、彼は日本最大のタクシー会社日本交通のトップであり、タクシー企業の全国団体全タク連の会長でもある。JapanTaxi株式会社は、最近の6900万ドルの投資ラウンドでトヨタがリード投資家になるなど、ビッグネームの支援者がいる。

さらにまた、人気のメッセージングアプリLineがライドシェアを初めており、そしてアメリカ市場でUberのライバルであるLyftが、日本進出を検討している

Didiは、旅行者と地元民の両方に訴求することによって競合に抜きん出ることをねらっている。日本を訪れる観光客の関心を引くために、外国(中国、メキシコ、オーストラリア、香港、台湾など)のDidiアプリのユーザーが日本の通常のDidiアプリを使える“ローミングパスポート”という機能を作り出した。

SoftBankとDidiは2月に合弁事業を発表したから、日本進出はそのときから匂っていた。そしてこれは、Didiが今年行なう5つ目の拡張だ。同社は昨年末に40億ドルの資金を調達し、その資金をAIと同社のコアテクノロジー、および国際市場に投入した。

Didiのグローバル展開は、ブレーキを踏むことなく着実に行われている。メキシコオーストラリアには支社の形で進出し、またブラジルではユーザーのライバル99を10億ドルで買収、そして台湾はフランチャイズ方式で進出した。そのほか、投資や株式保有の形でのグローバル化もある。それらは、アメリカではUber、インドではOla、東南アジアではGrab、中東ではCareem、そしてヨーロッパとアフリカではTaxifyなどなどだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Web接客ツール「CODE」提供のエフ・コードが2.8億円を調達、マイナビなどと資本業務提携

ウェブマーケティングツール提供とコンサルティング事業を展開するエフ・コードは9月27日、マイナビ、オークファン、そして複数の個人投資家を引受先とした普通株式の発行による第三者割当増資の実施、ならびに日本政策金融公庫による挑戦支援資本強化特例制度の適用を受け、合計約2.8億円の資金調達を実施したと発表した。シリーズAと位置付ける2018年4月以来の資金調達額は累計で約4.2億円となる。

調達した資金をもとに財務基盤の強化を図るとともに、2018年7月(7月17日)にローンチした次世代型Web接客ツール「CODE Marketing Cloud」の持続的な開発による機能拡充、およびこれを軸とした事業の成長促進を加速させる。「CODE Marketing Cloud」に関しては以前に詳しく紹介しているので、そちらを参考にしていただきたい。

マイナビは運営する各メディアにおいて「CODE Marketing Cloud」の活用を検討。メディアの利便性・価値の向上を図るとともに、将来的には互いの強みを生かした新たなビジネス開発も見据え、協働を進めていく。オークファンとも同様に、オークファンのデータ面における強みとエフ・コードの技術の連携により、新たなデータビジネスの構築に取り組む。

「CODE Marketing Cloud」はリリース直後より、大手企業を始めとした数十社への導入が進んでいる。導入した企業は、Webサイト来訪者の訪問回数・訪問ページ等の行動履歴や連携した外部データソースの情報を元に、Webサイト内のユーザー一人ひとりへの接客を最適化することが可能になり、CVR向上やROI向上などの成果が見込める。また、ツールの運用支援コンサルティングを行うことで、マーケターの工数を削減すると同時に、効果的な導入・運用のためのサポートにおいても価値を提供する。

エフ・コード代表取締役社長の工藤勉氏は今回の調達に関して「“データの利活用”に資する機能を中心とした商品開発」が大部分となると話した。同氏は「この先、我々は様々な資本提携を結んで行くと考えている」と話した上で「各事業社間で上手くデータを利活用するようなスキームを我々が間に立って作っていければ良いのではないか」と説明していた。今後も取材を続けたいと思う。エフ・コードが経営理念として掲げる「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」という世界観が今後、更に大きなものになることを期待したい。

生誕20週年のGoogleが20年前の検索クエリと今ふうの正しいクエリを教えてくれる

20年前の今月、スタンフォードの博士課程の学生二人が検索エンジンの会社を作り、友だちのSusanのメンロパークの家のガレージを社屋にした。最初は“BackRub”という社名だったが、Larry PageとSergey Brinはあまり気に入らず、結局、1の右隣に0が100個並ぶ数googol(100100)のミススペルを選んだ。

その20周年を記念してGoogleは、上図のいたずら書きのほかにも、楽しいイースターエッグを作った。1998年ごろのスタイルのクエリに対しては、“It’s 2018! Did you mean?”(今は2018年ですよ、だからこうでしょう?)と‘正しいクエリ’の提案をする。

そんなクエリが17ある。完全なネタバレだが、そのリストをお見せしよう:
[左が最初…20年前…のクエリ、右が‘正しい今ふうのクエリ’の提案]

mp3 file stream music
watch a dvd streaming subscription
googol Google
gettin’ jiggy wit it floss dance
page me New phone, who dis?
butterfly clip styles top knot
soccer world champions 1998 soccer world champions 2018
chat room text the group
how to tell someone you like them swipe right
low-rider pants how to style high-waisted pants
digital pet fidget spinner
baby bae
143 ILYSM
what is Y2K? how does cryptocurrency work?
screen name social handle
clip art GIF

〔訳注: what is Y2K? cryptocurrency work?は、多い(はやりの)質問。Y2K(2000年問題)って何?、が、今では、暗号通貨って大丈夫?、になる。チャットルームは、グループでテキスティングする、になる。どうやって好きだと言えばいいの→右へスワイプする。〕

Google Street Viewはもっとおもしろい。上述のSusan(今は小さなビデオサイトをやってる)が、Google初期のガレージ本社を見せてくれた。そのガレージは当時を復元していて、Googleの昔のホームページや古いモニタもある。ベッドルームは、彼らの“世界本社”と呼ばれていた。

それは、床に脱ぎ捨てたスクールジャケットと、空のピザボックスと、行方不明になった一つか二つのクッシュボールが散らかっていた歴史なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

The Lobbyは求職者のためにウォール街(一流金融業界)のウォール(壁)を壊す

Y Combinatorの12週間の育成事業を半年前に卒業したThe Lobbyが、120万ドルの資金調達を発表した。

The Lobbyは、求職者をウォール街の銀行家やベンチャーキャピタリストなど金融業界の“インサイダーたち”に結びつけて、アドバイスや各人に合ったキャリア指導を提供する。以前は投資銀行にいたファウンダーのDeepak Chhuganiは、エリート社会の出身者でもなく、アイビーリーグ系の大学も出ていない人たちに、一流金融企業への就活を成功させようとする。

“彼らのこれまでのやり方では、大量の優秀な人材を見落としている”、とChhuganiは語る。“裕福な世界や一流大学を出た者にしか、機会が与えられていない”。

Chhuganiは、ベントリー大学を卒業してMerrill Lynchに入ったが、自分がウォール街に割り込むことができたのは、たまたまこの超大手証券会社のラテンアメリカのM&Aグループに空きがあり、自分がエクアドル出身だったため、と彼は信じている。

彼の、やはりアイビーリーグ出身ではない何人かの友だちも、運良くウォール街のベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティに就職できたが、でも一般的には、名門大学を出てない者はどれだけ優秀でも、金融業界の就活に成功することはない。

シードラウンドで個人的に投資をしたSocial Capitalのスカウト投資家Matt Mirelesは、The Lobbyについてこう言う: “求人市場は本物の能力主義だといつも自分たちに言い聞かせているし、少なくともそうあるべきだが、The Lobbyはそんな本物の能力主義を作り出しつつある”。同社のシードラウンドには、Y CombinatorのほかにAtaria Ventures, 37 Angels, 元TravelocityのCEO Carl Sparks, Columbia Business Schoolのchief innovation officer(CIO) Angela Leeらが参加した。

求職者はThe Lobby経由で、プロフェッショナルたちの30分の電話相談を受けられる。また模擬面接や効果的な履歴書の書き方なども学ぶ。インサイダーたちは、ユーザーがThe Lobbyに払う料金の一部を謝礼としてもらい、金融業界の本当の内幕話や、生きた人間によるGlassdoorのようなサービスを提供する。

The Lobbyという社名についてChhuganiは、ユーザーに就職を約束することはできないけど、各会社のロビー(控室)にまでは連れていけるから、と言っている。

“能力のある人が努力すれば、上(面接室)に呼ばれるだろう”。

[Y Combinatorの2018冬季デモデー1日目に登場した64のスタートアップたち]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ソビエトのカメラメーカー「Zenit」が帰ってきた!

20世紀のソビエト製クローンカメラに詳しい人なら、Zenitをご存知だろう。Krasnogorsky Zavoiが作ったNikon/Leicaのクローンは、鉄のカーテンの向こうの人気者だったが、Lomoと同じく人気ブランドとして報いを得ることはなかった。同社は2005年にカメラ製造を中止したが、数十年に渡って東欧写真界を席巻し、ジェームズ・ボンドを思わせるようなライフル風のスナイパーカメラも作った。

このたび、Leicaとの提携によって、Zenitが帰ってきた。

カメラはLeica M Type 240プラットフォームがベースだが、昔のZeitのルックスと動作を再現するための変更が加えられている。レンズはZenitar 35 mm / f 1.0で純ロシア製だ。デジタル処理なしでボケやソフトフォーカスを使える。

Leica Mプラットフォームの仕様は、24MBフルフレームCMOSセンサー、3インチ LCD画面、HDビデオ録画、ライブビューフォーカス、0.68倍ビューファインダー、ISO 600、および3 fps連続撮影などだ。米国、ヨーロッパ、およびロシアで今年中に入手できるようになる。

過去に帰る特権を得るために必要なコストはいくらか? これまでのLeica Mの化身が何かのヒントになるとすれば、5900~7000ドルと予測する。私の家には古いフィルム式Zenitsが何台か転がっているのだが。いくつかデジタル部品を継ぎ足して、究極のフランケンZenitを作れないかと考えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon、人気商品専門の実店舗をNYに開店へ

Amazonはこの手のものとしては初となる実店舗を開店する、と今日(9月26日)午後発表した。木曜日、ニューヨークに“Amazon四つ星”店をオープンさせる。そこで売られる商品は全てが4スター以上で、トップセラーとなっているものかAmazonで人気となっている新製品だ。別の言葉で言うと、この店はAmazonのベスト製品への現実世界における効果的なイントロダクションとなる。

店はソーホー地区に位置し、クロスビーとラファイエット通りの間のスプリング通りにある。営業時間は月〜土曜日が午前10時〜午後9時、日曜日が午前11時〜午後8時だ。

Amazonが発表文で説明したところによると、四つ星店は“顧客が何を買っているか、何を愛用しているのかのリフレクション”だ。

巨大な自社eコマースサイトのおかげで、Amazonは何が売れているかを知っている。Amazonによると、この店で扱う商品の平均レーティングは4.4スターで、これらの商品は合計で180万もの5スターカスタマーレビューを集めている。

店は、人々がAmazonのウィッシュリストに加えるような“最もほしいもの”アイテムのセクションと、Amazonのアルゴリズムを使った“Amazonエクスクルーシブ”“よく一緒に買われるもの”セクションの2つに分けられる。また、“NYCで流行っているもの”セクションでローカル人気商品も扱う。

開店時は、カードゲームCodenames(4.8スター、カスタマーレビュー2000件超)、Lodgeの3.5インチ鋳鉄ミニフライパン(4.4スター、カスタマーレビュー1万900件超)、そして当然のことながらEcho Spot(4.5スター、カスタマーレビュー5600件超)やFire TV Stick(4.4スター、カスタマーレビュー19万7000件超)といった自社製品などが並ぶ。 SpotとFire TV Stickは今年のAmazonプライムデーでのトップセラーで、Amazon全体でのトップセラーでもある。

この店で面白いのは、値段の付け方だ。

プライム会員となっている買い物客はサイトと同じ価格で購入できる。一方でプライム会員でない人は店頭表示されている価格を払う。不動産の費用を考えると、この店はAmazonにとってお金のかかったユーザー引きつけ戦略の意味を持つ。プライム会員でない人はAmazon.comのディスカウントを受けるために店でプライム会員の無料トライアルに申し込むこともできる。

Amazonは近年、着実に実店舗を増やしている。スーパーWhole Foodsの買収で巨大な実店舗を手に入れ、特定マーケットでは新たなキャッシュレスストアAmazon Goも堅実に増やしつつある。またいくつかのAmazonブックストアもあり、米国各地でデバイス販売専門のポップアップ店舗も展開している。

四つ星店を、NYC内外含む他のロケーションにも出す計画があるのかについて、Amazonは明らかにしていない。

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(翻訳:Mizoguchi)

SalesforceはCustomer 360で、顧客サービスの不満解消を狙う

これまである会社に問い合わせの電話をして、問い合わせに関する山のような予備的な質問に答えたのに、最終的につながった顧客サービス担当者(CSR)にはその回答が伝わっていなかった、という経験を何回繰り返したことがあるだろうか?

こうしたことが起きるのは、通常システムAがシステムBと話し合うことができないからで、ただでさえ同じ情報を繰り返し答えさせられて腹が立っているのに、それは問い合わせをした側にとっては強く不満の募る出来事だ。Salesforceは、今週サンフランシスコで開催されているユーザー会議のDreamforceで発表したCustomer 360という新しい製品で、この問題を解決することを望んでいる。

製品開発の観点からみた場合に、Customer 360が興味深い点は、Salesforce65億ドルで買収したMuesoftの技術を取り込んでいるところだ。そして単にその技術を製品に転用したのではなく、対応する技術の断片を内部的に組み合わせて、Salesforce製品ファミリーに対して一体感のあるビューを提供しているのだ。理論上は、これによって電話で話している顧客サービス担当者は、顧客が会社に対するどのようなやりとりを行って来たかを全体的に把握できるようになる。これによって顧客は、話が伝わっていなかったことによって、同じ話を繰り返す必要性が減ることになる。

スクリーンショット:Salesforce提供

ここでのアイデアは、販売、サービス、コミュニティ、コマース、マーケティングなどのさまざまな製品を、すべて顧客ごとの単一ビューにまとめることである。同社の発表によれば、こうしたことを1行のコードも書くことなく実現できるという。

Customer 360にデータソースを追加する様子:Salesforce提供

これによって、顧客と対話する誰もが(多くの企業を逃し、たくさんの顧客を怒らせてきたプロセスの)全体像を見ることができるようになる。Salesforce CRMの中にある顧客レコードは、マーケティングアプローチやeコマース履歴と同様に、ストーリーの一部に過ぎない。それらがすべて合わせられることによって、顧客のストーリーは明らかになるのだが、ありがちなようにデータがサイロの中に閉じ込められていたとしたら、誰もそれを見ることはできない。それこそがCustomer 360の解決しようとしている問題なのだ。

Salesforceの社長兼最高製品責任者であるBret Taylorは、これまでもSalesforceの中でこれを実現する手段はあったが、このような直接的なやりかたで提供できる製品はなかったと説明した。彼は、Apple、Amazon、そしてGoogleなどの大手ブランドは、顧客がブランドとつながったときに、どのように扱われるかという観点の期待を変えてきたのだと語る。Customer 360は、企業がそうした期待レベルを達成することの支援に、重点を置いている。

「今や、顧客は自分のことを知らない企業とやりとりをしている場合にも、他での喜ばしい体験から期待を膨らませています。私たちはそれを顧客から繰り返し聞かされています。それこそが、私たちが統合に重点を置いている理由なのです。統一された顧客のビューこそが、そうした体験に対する究極的な価値の提供になるのです」とTaylorは説明する。

この製品は、これまで各部署や組織全体の固有の要求に応えて、Salesforce製品を設定しカスタマイズする責任を負ってきたSalesforce管理者向けのものである。Customer 360を設定して、Salesforceやその他の製品からデータを引き出すこともできる。

Customer 360は現在北米でパイロット運用されているが、来年の適当な時期には一般的に利用できるようになる筈だ。

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(翻訳:sako)

画像クレジット:Jose Luis Pelaez Inc / Getty Images

Oculus VRのコンテンツは将来のヘッドセットでも利用できる

Oculusは、次期バージョンのRiftが出てきたとき、デベロッパーの作っているゲームやコンテンツが陳腐化して欲しくない。そこで今日(米国時間9/27)のOculus Connect 5カンファレンスで、Facebook CEO Mark Zuckerbergは、「われわれの製品の将来のバージョンは、旧バージョンと互換性を保つ。Riftで使っているコンテンツはすべて次期バージョンでも使える」と語った。

Oculusヘッドセットの次期バージョンはQuest問を名前来春発売される。ワイヤレスでタッチコントローラーが同梱され、発売時点で50以上のタイトルが揃う予定だ。

この互換戦略は、VR業界でコンテンツ制作が維持可能になるだけの売上を見込むためには、ユーザー1000万人以上のハードウェアプラットフォームが必要、というZuckerbergの予想と一致している。VRの普及が遅いことについて昨年Zuckerbergは、OculusによってVRの目標ユーザー数10億人という目標が示されたと言った。彼はこの旅は「1%終わったところ」いや「たぶん1%以下だ」とジョークを言った。

現在ほとんどのVRタイトルはちゃちなインディーズスタジオで作られ、Oculusの今後10年でVRに30億ドル投資するといった取り組みによる資金提供を受けている。これは、ビジネスで利益を得られるほどコンテンツを買うヘッドセットユーザーがいないからだ。現在1100種類のRiftタイトルが作られているが、ハードウェアの進歩によってプレイが不可能になるリスクを抱えていた。

もちろん、もしOculusが本気で互換性を考えているなら、Playstation VRやHTC Viveと協力してプラットフォーム間での体験の移植を容易にすべきだろう。しかし現時点では、毎年コンテンツを作り直さなくてもよいとわかるだけで、デベロッパーはこの没頭型メディアのために安心して開発できるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleを辞めた研究員がProject Dragonflyの人権違反懸念で上院に書簡を送った

上院の通商科学運輸委員会に宛てた書簡で、元Googleの研究員Jack Poulsonが、8月の終わりに同社を辞めた理由を詳しく述べている。今週初めに送られたその小文は、Project Dragonfly(蜻蛉プロジェクト)に対する、増大する懸念を詳述している。それは、中国市場に有意に参入しようとするGoogleの試みだ。

書簡は上院が、データに関する懸念に関してGoogleの新任プライバシー最高責任者(chief privacy officer) Keith Enrightを喚問しようとしていたときに届いた。Dragonflyも、委員会の議題に上(のぼ)る予定だったと思われる。そのプロジェクトは“喫緊の道徳的倫理的問題を喚起する”、と書かれた先月の別の書簡には、1400名近くのGoogle社員が署名していた。

Poulsonは自分の書簡に、“注目すべきは、Project Dragonflyが、同社のAI Principles(AI原則)がリリースされた同時期に進められていたことだ”、と書いている。Poulsonによると、“人権団体や調査報道記者、Googleの社員、そして多くの国民の理解によれば、Project DragonflyはAI Principlesの、‘その目的が広く受け入れられている人権の原則に背反している、技術の設計や展開には手を染めない’とする原則に、真っ向から違反している”、という。

Poulsonは、社内で特に問題になった4点を挙げている。そのリストには、検索のクエリに(質問者の)電話番号を伴わせることや、中国政府と共同開発した“人権”、“学生の抗議”、“ノーベル賞”などの検索ワードのブラックリスト、などがある。Poulsonは、大気の質に関するデータの政府によるコントロール、そして“内部的なプライバシーレビュープロセスの壊滅的不履行”、なども挙げている。

最近の新聞報道によれば、GoogleのCEO Sundar Pichaiは、Googleの中国進出計画や、検索の偏りをめぐって、共和党議員への説明を求められている。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

中国Digi、乗客殺害事件を受けての安全策をさらに追加

女性乗客がドライバーに暴行・殺害されてから1カ月、中国最大のライドシェア事業者Didi Chuxing(滴滴出行)は新たなセキュリティシステムを展開する。この事件は同社のサービスHitchで起こった今年2件目の殺人事件だ。

今日Digiはいくつかの新たな安全機能を導入したと発表した。そこには、ドライバー向けの抜き打ちの生体IDテスト(自撮りを使った毎日のログインに加えて)と、警察に直接連絡がいくDigiアプリ内のSOSボタン導入が含まれる。Digiによると、SOS機能は“急を要する対応のプロセスを効率化する”ためのものだーこれには“特別な警察チーム”がDigiサービスでの問題に対処する。また、ドライバーのための疲労警告の機能もある。

今月初め、Digiはガイドラインとヘルプを盛り込んだセーフティーセンター機能を追加し、急ぎの要請がカスタマーサポートセンターにいくのではなく警察に直接いくよう乗客のアプリ内のSOSボタンをアップデートした。またDigiはExpressとPremierサービスで乗車中の音声録音機能を試験導入した。

これより先に、DigiのCEOと理事長は事業の成長よりユーザーの安全を優先すると述べていた。

どちらの殺人事件でもDigiのシステムに過失があったとして、Digiはかなりの批判を浴びていた。最初の殺人事件では、殺人を犯したドライバーはDigiのドライバー証明システムを飛び越えていて(父親のアカウントを使って)、しかもこの事件の前にこのアカウントに対してあったセクハラの届けはフォローアップされていなかった。

2つめの殺人事件ではさらに問題が露呈した。そのドライバーについては、女性乗客がドライバーに前の座席に座るように言われ、また降車後にしばらくつきまとわれたことからDigiに苦情を入れ、事件前日にはそのドライバーはDigiの安全チーム内で要注意となっていた。なのに、苦情を受けた安全センターのスタッフは2時間以内に調査を開始するという社のポリシーを実行しなかった。

Digiは2回目の殺人事件を受け、幹部2人をクビにしたーHitchの統括マネジャーとカスタマーサービス担当副社長だーそして今年2回目となるHitchサービスを一時停止する措置をとった。

中国は先月、ライドシェアに関する新たな規則を設けた。この規則では地方自治体に乗客安全委員会を設けること、事件を速やかに調査することを課している。

先週、香港でIPOを行い40億ドルを調達したDigiのライバル、Meituanは今年初めに配車サービス事業に参入した。MeituanはDigiとの競争に闘志を燃やしているが、おそらく現在の困難な状況を感じ取ってだろう、南京と上海以外のエリアに事業を拡大する計画を見合わせている。

Digiは2年前にUberの中国事業を買収して以来、強力な競争相手がいない状態だった。

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(翻訳:Mizoguchi)

この小さなロボットは濡れた胃壁を這いまわって薬を届ける


香港城市大学が作ったこの小さなロボットはまだ生まれたばかりだが、将来あなたの胃腸に送り込まれるかもしれない。

この小さくてワイルドなロボットは、電磁力を利用して泳いだり前後に倒れたりしながら過酷な環境の中を前進して行く。研究者らは体の外からロボットを遠隔操作する。

「ほとんどの動物は足の長さと足の間の距離の比率が2:1から1:1だ。そこでわれわれは比率1:1のロボットを作ることにした」と同大学バイオ医療工学部のDr. Shen Yajingは言う。

足の長さは0.65 mmで先端を尖らせて摩擦を減らしている。ロボットは「ポリジメチルシロキサン(PDMS)と呼ばれるシリコン素材で作られ、埋め込まれた磁気粒子に電磁力を作用されることで遠隔操作が可能になっている」。ロボットはほぼ90度に曲がって障害物を乗り越えることができる。

研究チームはチビロボットをいくつもの過酷な環境に送り込んだ。この濡れた胃壁モデルもそのひとつ。薬剤を持って患部に落としてくることもできる。

「人体内のでこぼこな表面やさまざまな組織の構造変化が移動を困難にしている。われわれの多足ロボットはさまざまな地形で良い成績を収めており、体内の薬物送達への幅広い応用を可能にする」とWang Zuankai教授は言った。

将来は生分解性ロボットを作りたいと研究チームは考えている。食道から入ったロボットが胃腸を通り、荷物(薬剤)を落としたあとは溶けてなくなるか排泄される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeのVRアプリがOculus Goにやって来る

ここしばらくGoogleのVR、 DaydreamでベストのコンテンツはYouTubeだった。 ここには大量の360コンテンツが用意されているが、FacebookのOculus Goヘッドセットでは見ることができなかった。

Facebookが開催しているOculus Connect 5デベロッパー・カンファレンスのキーノートで、今朝(米国時間9/26)、YouTube VRが発表された。このアプリが利用できるようになれば、定価199ドルという手頃な価格のOculus Goで大量のVRコンテンツを体験することができるようになるはずだ。

YouTube VRは各種のVRビデオのフォーマットをサポートしている。360 spheres、 360 livestreams、それにVR180プラットフォームで作動する3D立体視ビデオなどだ。

取材中…

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滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、Oculus Questを発表――新しいワイヤレスVRヘッドセットは399ドル、来春出荷へ

デベロッパー向けVRカンファレンス、Oculus Connect 5のキーノートでFacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグはOculus Questを発表した。この新しいヘッドセットは2019年の春に出荷され、価格は399ドルが予定されている。

Questはワイヤレス接続のスタンドアローンVRヘッドセットとして初めてのフル機能のポジション・トラッキングが可能な製品だ。ヘッドセット自体だけでなく、両手に握るコントローラーにもポジション・トラッキング能力が備わる。出荷時には専用ゲーム50種類以上がバンドルされる。

399ドルというOculus Questの定価は現行フラグシップモデルのOculus Riftと同じだ。ただしRiftの場合、最適な体験を得るためには相当強力なデスクトップゲーム機にケーブルで接続する必要がある。Questの場合は必要なバッテリーやチップを含め処理能力がすべてデバイス内に収められている。今年に入って199ドルでOculus Goが発表されているがQuestはスタンドアローン・ヘッドセットのプレミアモデルとなる。Goは最新のモバイル向けチップセットで動作しているが、ポジション・トラッキングが6自由度ではなく、動きに制約が感じられた。

Questではヘッドセット正面にセットされた4台の広角カメラのおかげで6自由度のポジショントラッキングが可能だ。ハンド・コントローラーのデザインはRiftにバンドルされているものとやや異なるようだが、ボタンのマッピングは同一だ。つまりデベロッパーは従来パソコンペースで作動していた既存のVRゲームをQuest向けに移植するのが簡単になる。ただしモバイル・チップセットに移植するための手間がどの程度軽減されてるのかはまだはっきりしない。

2年前、Oculusがデベロッパー・カンファレンスで最初にデモしたプロトタイプはSanta Cruzと呼ばれ、ポジショントラッキング機能を内蔵したスタンドアローンVRヘッドセットだった。Oculusはその後ポジショントラッキング機能を備えたハンド・コントローラーも追加した。これによりスタンドアローン・ヘッドセットのVR体験がRiftなみに改善されることが期待された。Santa Cruzの製品版であるQuestが出荷されるまで数ヶ月あるので、デベロッパーはこのプラットフォームに慣れる時間があるだろう。QuestはRiftの能力とGoの手軽さの間で最適のバランスを取ろうとするOculusの努力の現れのようだ。

取材中…

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滑川海彦@Facebook Google+

Google Mapsにグループプランニング機能が登場、マップの上でわいわい言いながら行き先を決めよう

今年の5月にGoogleは、新装のGoogle Mapsを発表した。それは、発見を前面に打ち出していた。そのとき発表された発見や探究(探検)の機能やツールは、その後ほどんどすべてローンチしたが、ただ一つ欠けていたのがグループプランニングだ。しかしそのグループコラボレーション機能が、今日(米国時間9/25)ついにローンチした。これからはお出かけを、みんなで一緒に計画できる。

Googleがこの機能で解決しようとした問題は、ディナーなどのお出かけ計画を二人以上の人間でやろうとした人なら、誰もが知っている。どこに行くかを決めるだけでも、大量のテキストメッセージのやり取りを要するだろう。

でも今度からは、Google Mapsの中で場所のリストを作って、それを友だちと共有できる。そして良質な民主主義の慣行として、行きたい場所をみんなで投票できる。しかし誰かが場所を消して自分の好みの場所をリストに加えることもできるから、民主主義の難しさはここにも表れている。

とにかく候補の最終リストができたら、モバイルやWebのGoogle Mapsに友だちを連れて来て、それをシェアし、みんなで楽しくプランニングを開始できる。

[Google I/O:マップ・アプリにニュースフィード…個人別に情報や提案を配信するようになる]

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MozillaのFirefox Monitorが今後のアカウントハックのアラートサービスを開始

今年の早い時期にMozillaは、ユーザーのオンラインアカウントが最近のデータ漏洩事件でハックされたことを検出するサービスFirefox Monitorを発表した。それは、ユーザーのメールアドレスを入力するとHave I Been Pwnedのデータベースを調べて、どのサイトでいつ、何が漏洩したか〔例: パスワード〕を教えてくれる。そして今日(米国時間9/25)Mozillaはさらに一歩進んで、ユーザーがMonitorの登録ユーザーになっておくと将来の漏洩をアラートしてくれることになった。

Firefox Monitorは最初、実験的サービスとみなされていたが、今では正式のサービスになっている。

どこのサイトのアカウントもハックされていなければ、それはとてもラッキーだが、それでもFirefox Monitorのアラートサービスに登録しておいて損はない。そのうち、あなたのメールアドレスの流出が報告されるかもしれない。そもそも最初にMozillaが、人びとに要望する機能について尋ねたとき、いちばん多かったのが、今後のデータ流出の通知だった。

Mozillaによると、Firefox Monitorは、今後数か月の同団体のロードマップに載っているいろんなプライバシー/データセキュリティ機能のひとつにすぎない。Mozillaは自分を中立的な機関と位置づけているから、立場としては良い。たとえばChromeは、Googleが大量のユーザーデータを集めていることが最近ますますユーザーにとって、プライバシーをめぐる懸念になり、批判にさらされているのだから。

〔訳注: Firefox Monitorの利用は、過去のハッキングスキャンも今後のアラートも無料。リリースノート(英文)。〕

[Firefoxが近くデフォルトでトラッカー(ユーザー情報の収集)をすべてブロックする]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Chefの標準ツールと最新ツールがMicrosoft Azureへ深く統合、安心のマイグレーションを担保

DevOpsオートメーションサービスChefが今日(米国時間9/25)、Microsoft Azureとの新しい統合をいくつか発表した。その発表は、フロリダ州オーランドで行われているMicrosoft Igniteカンファレンスで行われ、企業がレガシーアプリケーションをAzureへ移行する際の支援に焦点が絞られた。それに伴い、Chef Automate Managed Service for Azureのパブリックプレビューや、ChefのコンプライアンスプロダクトInSpecをMicrosoftのクラウドプラットホームに統合する例などが提示された。

Azure上のマネージドサービスとなるChef Automateは、コンプライアンスとインフラの構成の、管理とモニタリングを単一のツールでできる能力をopsのチームに与え、またデベロッパーは、Chef AutomateとChef ServerをAzure Portalから容易にデプロイし管理できる。それは完全なマネージドサービスであり、初めてのユーザー企業でも30分で使えるようになる、と同社は主張している。この数字には、やや宣伝臭があるかもしれないが。

構成を変えるときにはAzure上のChefユーザーは、AzureのコマンドラインインタフェイスであるAzure Cloud ShellでChef Workstationを使える。WorkstationはChefの最新の製品のひとつで、構成の変更を即席でできる。また、Chefが管理していないノードでも、対応できる。

コンプライアンス堅持のために、ChefはセキュリティとコンプライアンスツールInSpecのAzureとの統合をローンチした。InSpecは、MicrosoftのAzure Policy Guest Configuration(誰だ?こんな名前をつけたやつは!)と協働し、それによりユーザーはAzure上のすべてのアプリケーションを自動的に監査できる。

Chefのプロダクト担当SVP Corey Scobieはこう語る: “Chefは企業に、彼らが確信を持ってMicrosoft Azureに移行できるためのツールを提供する。ユーザーは単純に自分たちの問題をクラウドへそっくり移すのではなく、状態や状況をよく理解したうえで移行を行なう。事前に構成やセキュリティの問題を検出できるから、移行後の成功が確実になり、正しい、そして着実なペースで、移行できる実力を企業に与える”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

TC Tokyoスタートアップバトル応募締切まであと5日ーー創業3年未満の強者たちよ集え!

壇上でピッチを披露する去年の優勝者、空の松村大貴氏

僕たちが毎年開催しているスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo」が今年も11月に開催する。今年も国内外からお招きした豪華スピーカー陣によるセッションを多く用意しているが、中でも創業3年未満のスタートアップによるピッチコンテストのスタートアップバトルは本イベントの目玉コンテンツの1つだ。

TechCrunch Tokyoは今年で8年目の開催。この8年間で多くの新星スタートアップが生まれてきた。つい先日の9月18日に50億円の大型調達を発表したWHILLもその1つ。彼らは2012年のスタートアップバトルの優勝者だ。この年には会計ソフトのfreeeやGunosyなども参加している。そして、2017年9月に上場を果たしたマネーフォワードもスタートアップバトル卒業生の1社だ。

昨年のバトルでは、ホテル向けの経営分析ツール「ホテル番付」を提供する空が優勝。今やテレビCMでもおなじみの建設現場と職人をつなぐ「助太刀」を提供する助太刀(前 東京ロケット)が審査員特別賞を受賞した。

応募締切まであと5日というタイミングとなった。だから今日、僕は記事によって、応募しようか迷う起業家のみなさんの背中を押しにきているわけだ。でも、何よりも背中を押してくれるのは、これまでに出場した“先輩”からの言葉なのかもしれない。そこで、昨年の優勝者である松村大貴氏(空 代表取締役)から今年の出場者に向けたコメントを頂いたので、紹介しよう。

株式会社空の松村です。昨年、優勝して社員や周囲の人達と喜びを分かち合い、成長への大きな自信になりました。 勝ったからといって成功が確約されるわけではありませんが、多くの機会は得られます。エントリーを迷っているなら、そうした機会をつかむためにも挑戦をおすすめします!

さあ、創業3年未満のスタートアップ諸君。応募はこちらだ。

Instagramの共同ファウンダーがFacebookを去った理由――ファミリー企業運営の舵取りは難しい

 

マーク・ザッカーバーグはFacebookが世界最大のソーシャルメディアに成長した後すぐに、ユーザーは決して均一ではないし、Facebookのみによって世界一の座を永久に保持できるわけではないと気づいたようだ。そこで有力なライバイルを片っ端から買収してFacebookグループに加えるという戦略が生まれた。この「グループ戦略」はどちらにとってもメリットのあるウィン-ウィンとなるはずだった。

しかし今週、Instagramの共同ファウンダー、ケビン・シストロムとマイク・クリーガーは唐突に Facebookを離れた。これにより買収した企業を以前のまま独立に運営させるというある種の放任主義が結局は機能しないことがはっきりした。

大型買収がスムーズに進むことはめったにない。つまりInstagramを2012年に $10億ドルで買収した後、シストロムとクリーガーを6年間もグループ内に留めることができたのはFacebookの功績といわねばならない。

テクノロジー企業の買収に関していえば、6年というのは永遠に近い長い期間だが、一方で買収後もグループの枠内でスタートアップを成長させていくというFacebookのビジョンに照らせば短すぎる。

Facebookファミリー

スタートアップとエンタープライズという2つの世界の「いいとこどり」のアプローチが目指したのはこういうことだ。つまり、スタートアップがFacebookファミリーに加わっていれば自由な経営が許されると同時に、潤沢な資金に加えてエンジニアリングやマーケティングその他の経営リソースも確保されるはずだった。

WhatsAppの場合、 共同ファウンダーのJan Koum は4年、Brian Actonは3年半でFacebookを去っている。WatsAppを190億ドルで買収したのは2014年だったが、その後のVRのOculusを買収でも共同ファウンダーのPalmer Luckyを政治的紛争で、Brendan Iribe(人事刷新)でそれぞれ失っている。現在はGoogle出身で元Xiaomiのバイスプレジデント、Hugo BarraがFacebookのVR担当バイスプレジデントだ。

通常のテクノロジー買収なら6年といわず3年でも買収先スタートアップのファウンダーを引き止めておければ十分な成功だ。しかし多くのファウンダーは連続起業家であり、たとえ買収によって一生困らないほどの大金持ちになっても起業を止めることはない。何かを作ること、それを完全に自由に運営すること、急成長させることにはなんともいえないスリルがあるという。しかしこうしたことは買収後はすっかり変わってしまう。スタートアップのファウンダーは完全なボスだ。大企業の社員からファウンダーになるのも心構えの大きな変化を必要とするが、その逆となるとさらに難しい。買収されたスタートアップが親会社の成長戦略の重要な柱を担う場合はなおさらだ。

Facebookはグループ企業の自治を約束してこの衝撃を緩和しようとした。

事実2人の共同ファウンダーは大きな裁量権を維持し、シストロムはInstagramの顔の役割を果たしてきた。情報によれば、シストロムはすべての広告を自分で承認していたという。この点はFacebookの取締役に就任したKoumの場合も同様で、Koumは WhatsAppの買収を「提携」と呼んでいた。ファウンダーたちは Facebookの買収後も会社の運営権の掌握を強く求めていた。

WhatsAppのファウンダー、Jan Koumは買収後、Facebookの取締役会に加わったものの、巨大企業の管理圧力には勝てなかったと言われる

運営の独立vsFacebookの利害

しかし「経営の独立」は結局機能しなかった。

WhatsAppとInstagramの4人のファウンダーたちはやはりスタートアップを彼らのビジョンに沿って成長させようとし、その点を原因としてすべてFacebookを去ることとなった。【略】

InstagramでもWhatsApp同様、シストロムとクリーガーはFacebookの経営陣と対立することになった。TechCrunchのJosh Constine記者の詳しいリポートによれば、Facebookはスタートアップの「独立性を弱めようとした」という。これが共同ファウンダーの不満を呼び、最終的には唐突な辞職を招いた。

シストロムの辞職にあたっての短いメモはこの点をぶっきらぼうに強調したものとなっている。こうした離職声明にはザッカーバーグとシェリル・サンドバーグを始めとするFacebookのトップへの感謝の言葉が置かれるものだが見当たらない。その代わりシストロムは「クリーガーと私は好奇心と創造性を再び発揮して新しいプロダクトを作ろうと考えている」と述べている。

Facebookによる2012年の買収後もシストロムはInstagramの顔を務めてきた

全体としてみればFacebookはファミリー企業の独立性の維持に努力してきたほうだろう。しかし4人のファウンダーが去ったことでも分かるように優秀な起業家は檻に入れておくことも手なづけることもできないものだ。しかし数十億ドルの買収ともなれば支払った側はそれに見合うだけ長く人材を引き止めておきたいと考える。Facebookは少しルールを曲げてもスタートアップの独立性を尊重し、ファウンダーの引き止めを図った。しかし永久に重力に逆らっていることはできなかった。

ファウンダーを失ったといってもFacebookはInstagramの買収で空前の成功を収めている。 Instagramのユーザーは買収時点で3000万人程度だったが、今や10億人だ。WhatsAppも買収時の4億5000万人から15億人へと3倍以上に成長した。

今後の見通しにあたって重要な点はFacebookの生え抜きチームはファウンダーが去った後のファミリー企業を以前同様に成長させていけるかどうかだろう。ファウンダーが去ったことによる才能の空白もさることながら、企業文化が変化すれば大きな打撃になりかねない。買収した企業はあくまでFacebook本体とは異なる存在だとユーザーが認識させておく必要があるからだ。そもそもFacebookがこうしたスタートアップを買収したのはその点が狙いだった。ソーシャルネットワークをとFacebookがイコールになってはならない。そうなればユーザーは飽きてしまうだろう。

画像: Saul Loeb / AFP / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Office 2019が出たけど今やMicrosoft Offeceの最良の機能はOffice 365にある

Microsoftが今週、WindowsとmacOS用のOffice 2019をリリースした。それは、この生産性スイートの、サブスクリプション型(有料会費制)ではないタイプの、定例の最新アップデートだ。言い換えるとそれは、あなたが10年前にOffice Depotで買ったシュリンクラップ(収縮包装)のOfficeと同じ種類のOfficeだ。でも今やそれは、Microsoftがあなたに買ってほしいと思っているOfficeではない。あなた自身も、買いたくないかもしれない。なぜなら現時点では、Office 2019は一種の限定バージョンであり、それは、サブスクリプション(有料会員制)のOffice 365にあるおもしろい最新機能を欠いているからだ。

Microsoftの企業向けOfficeとWindows担当VP Jared Spataroはこう語る: “私たちはOfficeの全フレーバーの中で、Office 365の…とくに商用ユーザーのためのOffice 365 ProPlusの…位置づけにたいへん苦労してきた。それを、名前の中に年数のあるOfficeとはまったく違うものにしたかった。Office 2019には、これまでのOffice 365にあった機能がすべてある。だからクラウドバージョンのOffice 365には、インターネットに接続しているからこそ得られる新しい命がある、と言いたい”。

Spataroによると、Microsoftはユーザーに、Office 365はクラウドに接続されているから生産性が高く、セキュリティも優れていることを知ってほしい、と思っている。彼によると、TCO(total cost of ownership, 総保有コスト)も、自分のパソコンにインストールするバージョンより安いそうだ。

Office 2016のころには、それらの一般市販バージョンは、たえずアップデートされているOffice 365のスナップショット、言い換えればコピーだった。365は毎月アップデートされ、新しい機能も増えていた。しかし今回は初めて、オンプレミスバージョンのOffice、すなわちOffice 2019には、Office 365の機能の多くが欠けている。つまり、機械学習による人工知能機能など、もっともおもしろい機能は、Office 365にあってOffice 2019にはない。

Spataro曰く: “混乱するユーザーもいると思うが、名前に年数がついていることは、それが‘現時点でベストバージョンである’という意味ではない、ということを時間をかけて分かってもらう努力をしなければならない”。

しかし、機能の差は当然でもある。Office 365だけにある新しい機能は、その多くが、クラウドだからこそ得られる機能だからだ。たとえばアプリケーションの中から行なう検索も、機械学習のモデルを動かしてそこからデータを取り出すことも、クラウド、すなわちインターネットへの接続がなければできない。そしてそれを有料化する最良の方法は、サブスクリプション(subscription, 有料会員制)しかない。

Microsoftのやり方は、たとえばAdobeのサブスクリプションサービスCreative Cloudなどと同じだ。こちらも従来の主要アプリケーションをシュリンクラップからクラウドへ移して、サブスクリプションで課金している。Adobeのこのやり方は大成功しているが、Microsoftは同じことをOffice 365やMicrosoft 365でやろうとしている。

[AIでOfficeが賢くなった…Microsoft Ignite 2018カンファレンス開幕]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ホテルニューオータニ博多が「空」の「ホテル番付」を導入

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左から空の岡野氏、ホテルニューオータニ博多の武田氏、水間氏、長田氏

「空」が提供するホテル向け市場分析エージェント「ホテル番付」が、福岡県にあるホテルニューオータニ博多に導入された。空といえば、TechCrunch Tokyop 2017で最優秀賞に輝いたスタートアップ企業。ホテル番付は2017年8月にリリースされた、全国2万軒以上のホテル情報を自動調査、分析し、ホテルの販売価格決定に関する業務効率化を支援するサービスだ。

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ホテルニューオータニ博多はホテル番付の導入によって、業務の効率化と平準化を実現。「市場における自社のポジションがより正確に把握でき、 市場適正価格を踏まえた料金設定がスピーディに行えるようになりました」とのこと。

なお、「ホテル番付」は有償サービスだが、「28日間の無料体験」をプランを用意を用意している。