現代版ケータイ小説?人のチャットを覗き見るように物語を読むアプリTapがローンチ

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米国時間2月22日にローンチされたTapは、チャットのような見た目で携帯電話上に物語を表示させるアプリだ。Tapを開発したWattpadは、作家のためのソーシャルパブリッシングプラットフォームを運営している。同社は世界中に4500万人もの読者を抱え、Wattpadユーザーはウェブサイトやモバイルアプリ経由で、約2億5000万種類の物語を読むことができる。

そしてWattpadはこの度リリースしたTapで、従来のフォーマットを離れ、ユニークな物語の楽しみ方を試そうとしている。

Tapユーザーは「チャットスタイル」で物語を楽しむことができる。つまり、ユーザーが文章をタップするたびに、だんだんとその先の物語が紐解かれていくような仕組みになっているのだ。Tap上の物語は、読者が他人のチャットのやり取りを覗き見ているようなイメージで書かれているとWattpadは説明しており、物語を読んでいるときのアプリの見た目もチャットアプリのようだ。

ローンチ時点では、ホラー、ロマンス、ドラマといったさまざまなカテゴリーの物語が数百種類も準備されている。

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さらにTapユーザーは、自分でもチャットスタイルの物語を作れるようになるが、現在のところこの機能は同プラットフォーム上の一部の作家しか使えない。Wattpadによれば、数週間のうちに他のユーザーも執筆・出版機能を使えるようになる。

また、チャットスタイルで物語を読めることに加え、ユーザーはお気に入りの物語をソーシャルメディアで共有することもできる

Tapはフリーミアムモデルを採用しているため、WattpadはTapのリリースで、従来のプラットフォームに加えて新たな収益源を獲得したことになる。アプリと一部の物語は無料だが、有料プランも準備されており、有料ユーザーは限定コンテンツを含む全ての物語を読むことができる。なお料金は週額2.99ドル、月額7.99ドル、年額39.99に設定されている。

最近Wattpadは、UniversalTurnerマンガ出版社らとの契約を通じて、ハリウッドやエンターテイメント業界とも関係を深めているが、Tapのサブスクリプションサービスで、すぐにもっと分かりやすい形で売上を拡大することができるかもしれない。

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実はTap以外にも、似たようなサービスが最近誕生しており、Tapの競合でフィクション作品を扱うHookedはチャットスタイルのインターフェースと、執筆環境をユーザーに提供している。Amazonも子どもをターゲットに、Amazon Rapidsというチャット風インターフェースのサブスクリプションサービスを開始した。さらに広く見れば、Serial BoxHardboundといったモバイル読書アプリや、さらには、短いコンテンツをやりとりできるという意味ではSnapchatのようなソーシャルアプリともTapは競合することになる。

しかしTapのサービスは、単に物語を切れ切れに表示させるのではなく、あくまで人のチャットを覗き見るようなスタイルをとっているため、読者は誰かの携帯で勝手にプライベートなメッセージのやりとりを盗み見ているような感覚を味わうことができる。この仕組みは、日常的にモバイルコンテンツを楽しみ、人とのやりとりにも主にモバイルデバイスを使っているティーンやヤングアダルト層にウケるかもしれない。

TapはApp StoreGoogle Playから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

AirbnbによるペイメントサービスTiltの買収が確定―、狙いは人材獲得との噂も

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AirbnbによるソーシャルペイメントサービスTiltの買収話に決着がついた。TechCrunchでは先月この件を報じていたが、ようやく全てが正式に決まったという確認がとれた。

私たちが入手した情報によれば、Tiltの投資家には1200万ドルが現金で支払われる。しかし、Airbnbが現金と株式で支払った従業員の引き留め費用を考えると、買収総額はさらに数千万ドル以上高くなる。CEOのJames Besharaを含め、サンフランシスコで勤務している社員の多くは会社に残るよう引き留められたが、それ以外の地域で働いている社員のほとんどは買収を機にTiltを去ることになった。

AirbnbはTiltの資産を取得し、今のところはアプリもそのまま運営していく予定だ。しかし情報筋の中には、買収額のほとんどが人材の引き留めに使われていたことから、これは企業ではなく人材の買収(acqui-hire)だという人もいる。

サービスをシャットダウンしてしまうよりはマシとはいえ、これまでに6000万ドルもの資金をつぎこんできた投資家にとって、この結果は喜ばしいものではないだろう。Andreessen HorowitzやSV Angel、Reddit共同ファウンダーのAlexis Ohanianといったシリコンバレーのビッグネームは、Tiltがモバイルコマース市場のリーダーになると信じていたのだ。

2012年に設立されたTiltは、ソーシャルペイメントの草分け的存在だ。同社は個人間の支払いよりもグループからの集金に重きをおいていたが、PayPal傘下のVenmoやSquare Cashとも共通点があり競合関係にあった。さらに何らかの「活動」から人を動かす「信念」まで、さまざまな目的のクラウドファンディングを行う場としても利用されているため、Tiltは急成長を続けるGoFundMeの代替サービスのような存在でもある。

そんなTiltを買収したAirbnbの動きには納得がいく。というのもの、同社は既に宿泊施設の貸し出しビジネスをある程度成長させ、次は旅行業に進出しようとしている。そして最近Airbnbは、旅行予約サービスとシナジーのありそうなペイメント業界の優秀な人材を集めているのだ。

Airbnbでプロダクト担当ヴァイスプレジデントを務めるJoe Zadehは、声明の中で以下のように説明する。「AirbnbとTiltはどちらも、人と人を結びつけるようなコミュニティ重視のプロダクトをつくる、というビジョンを掲げています。さらにTiltのチームは、旅行のかたちを変えようとしている私たちの取り組みにぴったりと合うような経験や専門性を持っています。両社で力を合わせて、団体旅行を再定義し、宿泊先や旅行先でのアクティビティ、現地にいる人をつなげ合わせる新しいプラットフォーム『Trips』をつくりあげていきます」

300億ドルの評価額を誇るAirbnbは、その影響力を使って規模の小さなスタートアップの買収を進めている。最近ではLuxury Retreatsを買収し、昨年はChangeCoinやTrip4realを買収していた。さらに、同社はResyをはじめとする複数のスタートアップにも投資している。

Airbnb自体は恐らくどこかに買収されるには評価額が高すぎるため、IPOの可能性に関する噂が飛び交っている。最終的な目標としては同社も株式上場を考えているものの、どうやら今年中のIPOはなさそうだという話を私たちは聞いている。

取材協力:Matthew Lynley

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

SpaceXのDragon補給船、無事にISSにドッキング成功

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日曜日にケネディー宇宙センターから2.5トンの観測機器などの物資を搭載して打ち上げられたSpaceXのDragon補給船はISS〔国際宇宙ステーション〕とのドッキングに無事成功した。Dragonは一度ISSに接近したもののGPS計器の示す値に異常があったためドッキングは一度中断された。

2012年以來ISSに物資を補給しているSpaceXにとってドッキングの中断は初めてのことだった。しかし木曜日〔日本時間金曜〕の2回目の試みはなんら問題なく成功したようだ。ISSの長大なロボットアームがDragonをつかみ、物資搬入用アタッチメントをISSにドッキングさせた。

Dragon補給船の物資は約1ヶ月かけてISS内に搬入される。その後DragonはISSから切り離され、太平洋上の所定の海域に落下する予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Qualcomm、VRヘッドセット・アクセラレーター・プログラムを発表―開発キットも835対応へ

LAS VEGAS, NV - JANUARY 06:  Qualcomm CEO Steve Mollenkopf speaks during a press event at the Mandalay Bay Convention Center for the 2014 International CES on January 6, 2014 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs from January 7-10 and is expected to feature 3,200 exhibitors showing off their latest products and services to about 150,000 attendees.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

VR〔仮想現実〕が近々モバイル化することは間違いない。そしてモバイル・デバイスの市場を誰よりもしっかり握っているのはQualcommだ。そこでQualcommとしては世界のODM(オリジナル・デザイン・マニュファクチュラー)のコミュニティーにVR開発を普及させることがなにより急務となる。

モバイルVRのヘッドセットはスマートフォンをスロットに挿入して利用するような形式ばかりではない。中国その他の地域でもすでにオールインワン式のVRヘッドセットが強い関心を集めている。昨年QualcommはSnapdragon 820アーキテクチャに基づいたVRヘッドセットのレファレンス・デザインを発表している。今年に入って新しい835チップ用のアップデートも行われている。

Snapdragon VR820

Qualcomm VR 820レファレンス・デザイン

中国のODMの何社かはVRレファレンス・デザインをベースにヘッドセットを開発することに興味を示している。しかしQualcommはさらに広く世界的にユーザーを増やすためにヘッドマウント・ディスプレイ・アクセラレーター・プログラムを準備中だ。このプログラムに参加するVRヘッドセットのメーカーはQualcommのサプライ・チェーン・パートナー各社からの協力が得られる。また開発したプロダクトのマーケティングにおいてQualcommからの助力を期待できる。

Qualcommはまた「当初このプロジェクトはVRヘッドセットのメーカーを対象としているものの、近くAR〔拡張現実〕コミュニティーの各社もメンバーとなってSnapdragon 835チップの効果的な利用法を発見できるだろう」と述べている。

このVRヘッドセット開発加速計画のニュースに加えて、Qualcommはデバイス開発キットのアップデートも発表した。これは新しい835チップへの対応が主となる。新しい開発キットはユーザーのどんな動作にも追随する6DOF〔6自由度〕のモーション・トラッキングを可能にする。これは2台のカメラに加えて新しく視線トラッキングを利用している。こうしたテクノロジーは計算量を減らし、システムへの負荷を大きく軽減するという。

開発キットは今年の第2四半期にリリースされる予定だ。ヘッドセット・アクセラレーター・プログラムはすでにスタートしている。

画像:Justin Sullivan/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AirPodsのカラーバリエーションを提供するColorWare(日本にも出荷可)

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白のAirPodsが悪いというわけではない。ただ、少々たいくつな感じがするのは否めないと思う。そんな人むけのサービスがColorWareで、AirPodsのカラーバリエーションを提供してくれる。色の種類も豊富に用意されている。さらに追加料金を支払えばケースにも色を塗ってくれる。

ちなみにColorWareは2000年代から、こうしたサービスの提供を行なっている。Appleプロダクトのカラーバリエーションの提供を主力サービスとして提供している。iPodのカラーバリエーションを最初に提供したサービスのひとつでもある。

もちろん費用はかかる。AirPodsを好きな色に変更する価格は289ドルよりとなっている。AirPods本体も含んでの価格なので、カラーリングの価格は130ドル程度よりということになるわけだ。色は58色から選ぶことができ、ソリッド塗装だけでなくメタリック塗装を選ぶこともできる。ケースの塗装は30ドルだ。

現時点では、注文の処理には6週間ほどかかるとのこと(訳注:現在サイトではシッピングまで10-12週間かかると記されています)。AirPodsを好きな色に染めるのに、コストなどあまり意識しないという人も大勢いるようだ。もちろんこうした人の存在にはAppleも注目していることだろう。おそらくは、Appleも自社製品としてカラーバリエーションを提供してくると睨んでいるのだが、果たしてどうだろうか。

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(翻訳:Maeda, H

イーロン・マスク曰く、Teslaの労働組合は「結成されない」と思う

FEBRUARY 4, 2015 FREMONT, CA Workers assemble cars on the line at Tesla's factory in Fremont. David Butow (Photo by David Butow/Corbis via Getty Images)

TeslaのCEO Elon Muskは水曜日(米国時間2/22)の決算会見で、フリーモント工場従業員の代表者によるとされる労動組合結成の動きについて触れた。Muskは、工場の状況および組合化に対する従業員の考えを独自に調査した結果をブログに掲載する予定だと言ったが、調査結果についての大まかな印象を述べた。

Muskによると、Teslaの工場は他の自動車産業と比較して事故の危険性が半分であることがわかった。また、Tesla従業員の収入は通常の給与と株式報酬を合わせると業界最高だとも言った。

Muskはさらに、「今ここで組合が欲しいと発言することは、不利にしかならない」と信じていると語り、Tesla工場の労働状況や従業員が組合化を望んでいるなどと書きつらねたMedium記事の投稿者は、事実上組合の社員だという彼の主張を繰り返した。Muskは、投稿者は「他のどこの会社でも成績が悪かった」と言い、少なくとも自分の推測では、Teslaの生産ライン労働者が組合を作る可能性は低いと語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「小児科オンライン」が医療情報の新メディア、全記事を医師が執筆・監修

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2016年末のWELQ騒動もあり、今まで以上に専門性や信頼性が求められるようになった医療系のウェブメディア。WELQ以外にも該当する記事を非公開にしたり、過去記事や方針の見直しをしている企業もあると聞く。

そのような状況の中、オンラインで小児科医に相談ができる遠隔医療相談サービス「小児科オンライン」を提供するKids Publicは2月23日、全記事を医師が執筆・監修するオウンドメディア「小児科オンラインジャーナル」をリリースした。

医師が署名や経歴付きで執筆・監修していることや、実際に保護者から相談された内容を吟味した上で情報発信していることに加え、小児科オンラインとリンクして、記事を執筆した医師に直接相談できる点も大きな特徴だ(一部の医師を除く)。

現役の小児科医であり、中心メンバーの一人として記事の執筆や監修を行うKids Publicの安藤友久氏によると、小児科オンラインを利用している保護者から「インターネットで調べれば調べるほど何が正しいのかわからず不安になった」「検索すれば情報はたくさん出てくるが、どれが自分の子供に対して良いのかがわからない」といった相談が多数寄せられていたという。

小児科オンラインを運営する中で相談件数も増え、保護者の悩みや本当に知りたいことが蓄積されてきたため、今回オウンドメディアを開設するに至った。

医師が執筆をするため記事を量産するというわけにはいかないが、地道に信頼できる記事を増やし「保護者の方が子供の体で悩んだ時に、まずはこのサイトを確認してみようと思ってもらえるメディア」を目指していくという。なお、Kids Publicの小児科オンラインはTechCrunchが開催するイベント「TechCrunch Tokyo 2016」のスタートアップ向けプレゼンコンテストである「スタートアップバトル」で最優秀賞を獲得している。

Voysisは各業界の専門知識を事前に訓練された音声AIを使いやすいAPIで提供し、音声AIのTwilioを目指す

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【抄訳】
音声による人工知能は、売上増や顧客体験の向上に寄与すると分かっていても、そのセットアップは容易ではない。そんな状況を変えようとするVoysisは、自然言語の入力を解析するAIプラットホームを提供し、eコマースやエンターテインメントなどさまざまな専門分野で効果的に音声入力を利用できるようにする。Voysis自身がSiriやAlexaになるのではなく、デベロッパーがユーザー企業のお店の優秀なアシスタントや、ビデオ店の頭の良い販売員を作る手助けをするのだ。

VoysisのファウンダーでCEOのPeter Cahillは次のように語る: “Voysisは完全な音声AIのプラットホーム〔それを構築するためのプラットホーム〕だ。それを利用すれば、企業やそのさまざまな事業部門が、顧客が音声やテキストでクェリできる独自の人工知能を、迅速に立ち上げることができる”。

つまり同社が目指すのは、浅くて汎用的な音声アシスタントではなくて、ユーザーが属する業界のドメインスペシフィックな(その分野固有の)知識を持った音声AIプラットホームだ。ユーザー企業やデベロッパーはそれを、同社が提供するAPIから利用し、セットアップ時間の短縮を図れる。音声AIを、ユーザー企業がそれをわざわざ訓練しなくても、単純に短時間でセットアップできることを、同社はあくまでも目指している。最初はとくに、eコマースの顧客対応インタフェイスの提供を目指しているが、今後はいろいろな業界や業態の業務知識や音声応答パターンを集積していくつもりだ。

【中略】

IBMのWatsonなどもドメインスペシフィックなAIを提供しようとしているが、PhDのCahillには大学の研究室でニューラルネットワークや音声認識と深くつき合った15年の履歴がある。Voysisは今回、 Polaris PartnersがリードするシリーズAのラウンドで800万ドルを調達したが、その主な用途は技術チームの増員(15名から倍の30名へ)と、ボストン支社の開設だ。ユーザー企業にとって、AIの訓練を自分でやらなくてよい、という敷居の低さも、Cahillの長年のAIに関するキャリアと相まって、同社の魅力になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ウェブ解析ツールを手がけるユーザーローカルがマザーズ上場へ

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User Insight」「Social Insight」などの解析ツールや、チャットボットを提供するユーザーローカルは2月23日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は3月30日で、証券コードは3984。

ユーザーローカルでは上場にともなって、20万5000株を公募し、20万株を売り出す。ユーザーローカル代表取締役の伊藤将雄氏(15万6000株)、同社取締役の渡邊和行氏(4万株)、同社監査役の中村賀一氏(4000株)が株式を放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは6万700株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は3月10日、ブックビルディング期間は3月23日~3月28日。価格の決定日は3月22日。主幹事証券会社は大和証券となっている。

同社の2015年6月期の売上高は5億2082万円、経常利益は2億1581万円、純利益は1億3584万円。2016年6月期の売上高は7億8388万円、経常利益は3億2720万円、純利益は2億0105万円となっている。

ユーザーローカルは2005年9月に有限会社として創業され、2007年8月に株式会社へと組織変更。代表取締役の伊藤将雄氏は「みん就」の愛称で知られる「みんなの就職活動日記」の生みの親だ。学生時代にみん就を立ち上げた後、出版社を経て楽天へ入社。個人で運営していた同サービスを会社化、楽天へ売却した後にユーザーローカルを設立し、複数のツールを展開してきた。

 

Teslaが保険もメンテナンスコストも入ったオールインワン価格を検討中

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Teslaは本日決算発表を行いその中で、保険とメンテナンスコストを含むパッケージ価格での自動車販売をアジア市場で開始したと伝えた。今後、他の市場でも同じようにパッケージ価格で自動車を販売する計画であり、そのために外部の保険会社とパートナーシップを締結していくという。ただ、保険は自社で提供することも考えているようだ。

「すでに実施しています」とTeslaのGlobal Investor RelationsのVPを務めるJeff Evansonは、決算発表で説明した。「宣伝してきたことではないですが、このパッケージを提供し始めたアジア市場では、すでに多くのTesla車がTeslaの車にカスタマイズした保険商品とセットで販売しています。この保険商品は、Teslaのオートパイロット安全機能を考慮していて、車のメンテナンスコストもカバーするものです。私たちはコンシューマーに自動車本体、メンテナンス、保険を全て含む単一価格で魅力的な提案をすることを目標としています。そしてそれはもう始まっています」。

「この保険商品が車のリスクに見合わないと判断される場合でも、他の保険会社の商品を排除することはありません」とTeslaのCEOであるElon Muskは続ける。「必要であれば、Teslaで保険を提供することも考えています。ただ、パートナーの保険会社はTesla車が持つリスクに合わせて保険料率を調整するだろうとも考えています」。

Teslaがこのような商品を作る理由の1つは、Tesla車は他社製品より耐用年数における安全性とメンテナンスコスト面で優れていることに自信を持っているからだ。パッケージ価格は他の選択肢と比べると支払い総額に透明性があり、総じて車の購入者にとって有益な取り組みであると言えるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

スポーツチーム向けの動画編集・共有サービス「Spoch」、運営元が6000万円の資金調達——画像認識を強化

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スポーツチーム向けの動画編集、分析、共有サービス「Spoch(スポック)」を運営するSPLYZAは2月22日、ベンチャーラボインベスメント、静岡キャピタル、⼤和企業投資、PE&HRを引受先とした第三者割当増資により、総額約6000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

同社は静岡県浜松市に拠点を置くスタートアップ。同社はこれまでにベンチャーラボインベスメントから100万円の出資を受けているほか、日本政策金融公庫の資本制ローンで4000万円を調達している。増資に伴いベンチャーラボインベストメントの代表取締役である⼭中唯義⽒が社外取締役に就任する予定だ。

スマホからシンプルな操作で動画編集

Spochはアマチュアスポーツチームの利用を想定した、動画の編集、共有サービスだ。サービスは2016年9月にリリースした。

大きな特徴は動画の編集がスマホからシンプルな操作でできることと、チーム関係者以外に非公開であるということ。従来、撮影した動画を編集する場合はPCが一般的であったため、そもそもPCを使えるスキルがないと編集できないし、結果的に特定の人の負担が大きかった。学生時代に運動部やスポーツサークルに所属しており、動画編集の経験がある人ならその大変さがわかるだろう。

SPLYZA代表取締役の⼟井寛之氏も約10年前からウィンドサーフィンを本格的にやっており、動画を撮影して仲間と掲示板やブログを通じてフィードバックをしあっていたそうで、自身でも動画編集の大変さを痛感してたという。

その点Spochはスマホアプリ上で動画に字幕を入れたり、図形やコメントを書き込んだりできるため、スマホしかもっていない中高生でも動画の編集が可能だという。2画面で動画を比較したり、タグ付けの機能も備えている。

⼟井氏によれば動画の編集機能に加えて好評なのが、クローズドなSNSである点だという。「従来はYouTube上に動画を非公開でアップロードし、それをチームのLINEグループで共有するというのが多かった」(土井氏)らしいが、URLがわかれば動画にアクセスできてしまうし、LINEもアカウントの乗っ取り問題があったから不安に思っていたチーム関係者もいたそうだ。

今後はサッカー動画の自動戦術分析機能を開発

SPLYZAは2016年にKDDIのアクセラレータプログラム「KDDI∞ Labo」の第10期に参加し、トライアル段階で約100のチームで導入。さまざまな種目のチームで活用されているが、特にヘビーユーザーが多かった「サッカー」にまずは焦点を絞り、画像認識による自動戦術分析機能の開発を進めていくという。

「ボールの支配率や攻守の切り替わり、個々の選手のプレイ状況などを自動で分析できる機能を追加し、これまでは可視化されていなかったデータを形式知化していきたい。それによって、選手の発掘や指導者不足といった課題解決に貢献できればと思う」(土井氏)

同社は画像認識や機械学習を用いたサービスを以前から開発しており、スポーツの残像動画を撮影できるClipstroというアプリについては過去にTechCrunchでも紹介している。今回調達した資金を元に開発体制をさらに強化し、サービスを改善していく予定だ。

SPLYZAのメンバー。右から3人目が代表取締役の⼟井寛之氏

SPLYZAのメンバー。右から3人目が代表取締役の⼟井寛之氏

VR触覚コントローラー「UnlimitedHand」の開発元がソニーなどから2億円を調達

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Oculus、GearVR、Playstation VRなどのVRヘッドセットが出揃い、利用できるコンテンツも増えてきた。ただ、まだVRの世界と関わる最適な方法はまだ出てきていないように思う。OculusにはTouchコントローラーがあり、Playsation VRにはPlaysation MOVEコントロラーがあるが、VRのの世界を楽しむのに手にコントローラーを持っていては、完全に没入的なVR体験にはならないだろう。H2Lが開発する「UnlimitedHand」は、腕に巻くだけでVRゲームとのインタラクションを可能とするデバイスだ。本日H2Lは、総額2億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先は、ソニーのCVCであるSony Innovation Fundと環境エネルギー投資だ。

UnlimitedHandはモーションセンサーと手指の動きを推定する筋変位センサアレイの技術を搭載し、ユーザーの手の動きをVRに取り込むことができる。また、このデバイスは入力のみならず、電気刺激を筋肉に与えることで、ユーザーに擬似的な触感を与えることもできる。これによりユーザーは、コントローラーなしでVRの中の物に関わることができ、その時の触覚や衝撃を感じることができる。

H2Lは2012年に設立し、岩崎健一郎氏が代表取締役を務めている。立ち上げ当初は電極を仕込んだベルトを腕に巻き、筋肉に電気刺激を与えて手指を操作する「PossessedHand」に着手していて、これを2013年に製品化している。PossessedHandをよりコンシューマー向けの製品として仕上げたのがUnlimitedHandだ。2015年9月にUnlimitedHandのKickstarterキャンペーンを実施した際には、およそ7万5000ドルを集めることに成功した。H2Lは2015年のTechCrunch Disrupt、そして同年11月に開催したTechCrunch Tokyo 2015にも出展している。現在は、Amazonで製品を販売している。価格は3万5000円だ。

今回、調達先にソニーのCVCが入っているのは興味深い。将来的にソニーが開発するPlaystation VRでもUnlimitedHandが使用できるようになれば、VRゲームはハンズフリーでさらに没入感あるものになりそうだ。

アプリのロールアップをビジネスとするMaple Mediaのやり方は過剰アプリの窮状を救うだろうか

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昨年良かったことといえば、識者たちがアプリ死滅について書くようになったことだ。

一時は消費者向けソフトウェア産業の救世主と目されたアプリも、今では飽和し、インパクトを失い、過少利用になり、過小評価になり、そして退屈なものになった。

そこに登場したのが、ロサンゼルスのMaple Mediaだ。同社がやろうとしているのは、アプリの整理統合〔ロールアップ、仮想バンドル化〕、市場のベストアプリを一体的にまとめて、それに対して強力なマーケティングとビジネス開発努力を注ぎ込む、という取り組みだ。

Maple MediaのファウンダーはMichael RitterとClark Landry、Ritterはロサンゼルスの中堅ゲームデベロッパーJam Cityの役員として長年、ビジネス開発を手がけてきた。Landryは、ロサンゼルスのスタートアップシーンで長年活躍してきたエンジェルだ。

Maple MediaはWalt Disney家の投資ファンドShamrock Capitalから3000万ドルを調達し、良質なゲームアプリや生産性アプリ、エンターテインメントアプリなどを探して買い上げている。

Landryによると、アプリは1本を、5桁から8桁の半ばという価額で買い上げる。〔数万ドル〜数千万ドル〕

目的は、いくつかのブランドを立ち上げること。そして、それを軸にパートナーシップを築き、そのアプリケーションのネットワーク全体に亙るまとまった広告収入で稼ぐ。ターゲットは国籍を問わないが、当面はヨーロッパからの英語化されたアプリをねらう。

Ritterによると、Maple Mediaはアプリデベロッパーの市場や業界をコントロールする位置に立ちたいわけではない。同社とアプリデベロッパーのパートナーシップの形は、売上分有(マージン)や少数株主権方式(マイノリティ投資)が主だ。

重要なのは、支配被支配の関係ではなく、ネットワークを築くこと。同社のプレスリリースによると、同社のプラットホーム上にはすでに150本のアプリケーションがあり、モバイル広告の月間インプレッション(到達)数は10億を超えている。同社はすでに、黒字だ。

“すばらしい才能のあるデベロッパーはたくさんいるけど、ビジネス開発のスキルはそれとは全然次元が違うからね”、とRitterは語る。“事業としての毎日の経営努力や、アプリの収益化努力などは、全然別のスキルだし、フルタイムの取り組みが必要なんだよ”。

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Maple Mediaの協同ファウンダーClark LandryとMichael Ritter

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleの新しい”広告”ラベル。緑枠に白塗りのデザインが公式にロールアウト。

Googleの検索結果に表示される”広告”ラベル。こちらの新しいデザインが正式にロールアウトされたようです。塗りつぶしが白に変更され、枠と文字の色が緑色になっています。(言葉で説明するとわかりづらいですね・・・。)こうしたテストは定期的に行われており、たびたび目撃例が話題になることもあります。今回の変更はテストではなく、世界中で展開されるようです。現在は旧デザインが表示されることもあるようですが、ご自身の場合はいかがでしょうか?– SEO Japan

検索結果画面に表示される新しい広告ラベルがグローバルでロールアウトを開始している。

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*記事内のリンク先の記事は全て英語となっております。

ここ数週間、Googleの検索結果画面に表示される広告ラベルの新しい表記を多くのユーザーが目撃していた。緑色の塗りつぶしのデザインではなく、新しいラベルは緑色の枠に白の背景となっている。

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目撃例はこの数日で急速に増加していたが、Search Engine Landは、この新しいデザインが世界中でロールアウトを開始していると、Googleからの公式な発表を得ている。

「検索結果画面の表示のテストは常に行っている。緑色の枠の新しいデザインを表示するテストを行ったのち、Googleはこのデザインをロールアウトすることを決定した。新しいデザインは、読みやすく、広告であることをユーザーが簡単に見分けることができる。」と、Googleのスポークスパーソンは水曜日にSearch Engine Landに対し述べている。

Googleは検索結果画面に表示する広告ラベルのテストを長い間行っている。緑色の塗りつぶしのデザインは比較的短命に終わっている。ロールアウトされたのは2016年6月であった。当時、黄色から緑色にデザインを変更した理由について、Googleは検索結果画面の色を整える意図があったとしているが、特にモバイルを注力していたようだ。また、Googleは、「こうしたテストは消費者が広告と自然検索結果と区別することに特に影響を与えることは無い」、と強調している。同時期に行っていた似たようなテストは、同様の結果を示していると言われている。

今回の新しい緑色の枠のデザインは、1月24日にイギリスで目撃されたのが最初だ。その後、多くの国々で目撃例が増加していた。この変更が完全に完了するには数日間かかるだろう。そのため、現在も旧デザインが表示されていたとしても、それは驚くべき事象ではない。

我々が作成している、Google広告ラベルの変遷、という記事もまもなく更新される予定だ。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Official: Google’s green outlined ‘Ad’ label replacing solid green version」を翻訳した内容です。


個人的にも、今回の新しいデザインが表示される場合と古いデザインが表示される場合がまだあります。どちらが良いかというのはなかなか難しいですが、新しいデザインはあまり見慣れていないです。(おそらく、もうしばらくすればこの新しいデザインが当たり前に思えるのでしょうが。)SEOとは直接関係のない話題でしたが、注意してみてみると面白いかもしれません。– SEO Japan

Otherlabのボール紙製ドローンは2ポンドの荷重を運んで消滅する

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ドローンは、人間が入り込めないようなところでも仕事ができる便利な道具だが、その高価な金属製の装置を人間が容易に回収できないケースもある。そこでサンフランシスコのOtherlabが考えたのは、Wired誌によると: 一回かぎりの軽い仕事を終えたら使い捨てとなるドローンだ。

そのアイデアは、突然誰かの頭にひらめいた妄想ではない。OtherlabのこのApsaraと呼ばれるプロジェクト(Aerial Platform Supporting Autonomous Resupply Actions, APSARA, 自律的再補給アクションをサポートする航空機プラットホーム)は、DARPAが資金の一部を出している。そのねらいは、目標区域に小さな荷重を配給して、成功したらその痕跡を残さないドローン(のようなもの)の開発だ。

そこで、Apsaraの構想のひとつはグライダーだ。ボール紙製で、その最長部分は長さ3フィートの主翼。折りたたみ式で、使うときには開いてテープで固定する(上図)。ボール紙製なら数か月後には消滅すると思われるが、Otherlabはもっと早い方法として、わずか数日で完全に生分解するキノコ、ないし菌糸体の利用を考えている。

もちろん、ドローンだから電子回路/部品を搭載している。それがなければ、ただの紙飛行機だ。翼を動かすアクチュエータが2基あり、それで航路をコントロールする。位置を知るためのGPS装置もある。それらの電子回路/部品があるおかげで、目的地の50フィート以内に着陸できる。DARPAなどの目的にとっては、あともうちょっと、と言いたい距離だ。

DARPAは生分解する電子部品も研究開発しているから、それらの電子回路や部品もドローンと一緒に消え去る。そこで、その、積載量わずか2ポンドのほとんど無音の航空機は、数日後には痕跡を残さずに消滅する。いかにも、国防方面が欲しがりそうなデバイスだ。

しかしWired誌は、そのほかの用途も挙げている: OtherlabからスピンアウトしたEverflyが考えているのは、食品店の配達に使える積載量22ポンドのドローンだ。それもやはり、軽量で低衝撃の使い捨てをねらっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NASA、「地球に似た」惑星7つを発見

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NASAは地球に似た性質の惑星7つが近くの恒星を周回していることを発見した。今なお続く太陽系外惑星に存在する地球外生命探索の最有力候補となった。

7つの惑星はいずれも比較的気候が温暖で岩の多い地形を有している。どちらも水と生命を探す出発点として期待できる兆候だ。惑星群はTRAPPIST-1という、地球から約39光年の距離にあるいわゆる “ultracool dwarf star”(超低温矮星)を周回しているが、残念ながらLord of the RingsのGimliと共通の性質を持つという意味ではない。

TRAPPIST-1はわれわれの太陽の1/10ほどの大きさで、約1/4の放射熱を発している。惑星の太陽からの距離もずっと近い。もっとも近い惑星の「1年」(恒星を周回するのに要する期間)は1日より少し長く、もっとも遠い惑星でもわずか20日間だ。

TRAPPIST-1系およびこれに属する地球型惑星群は画期的な発見だ。これまでに発見された候補はわずか4個しかない。新しい地球型天体群は、主執筆者であるリエージュ大学のマイケル・ギロン氏らが、2015年以来観測を続けているTRAPPIST-1星を研究する中で、星の輝度が一時的に低くなることに気付き、周回する惑星のうち3つが星の表面を通過するためであることを突き止め今回の発見にいたった。

NASAは、この発見を地球外生命発見の可能性が高まった兆候とする観測筋の期待にすかさず釘を刺した。その可能性は極めて低く、これらの惑星が地球と似ているというのは、岩が多くTRAPPIST-1のいわゆる「居住可能区域」に属しているために温暖であることだけだ。大気があるか水や酸素等の気体があるかどうか等、他にも地球と共通する性質があるかどうかを判断するにはまだ早すぎるとNASAは説明している。

とは言うものの、たとえ最小限でも地球と似た性質を持つ惑星がこれほど数多く、これほど近くの星を周回しているという発見は有望な兆候であるとNASAの研究者らは言っている。実際、銀河系には地球型惑星が ― われわれが予想していたよりはるかに多く ― 散在しているかもしれないと理論立てる向きもある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AMDの新製品Ryzenプロセッサーは、ハイエンドPCにおけるIntel Core iシリーズの独占打破を目指す

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AMDが3月2日に新発売する3種のRyzen 7プロセッサーは、PC用最速プロセッサーの王座をライバルのIntelから奪う試みだ。その新しいプロセッサーはすべて8コアで、同社によると、占めるスペースはIntelのCore iシリーズとほぼ同じ、価格でも肩を並べる(330, 400, 500ドル)。

AMDによると、これらRyzenプロセッサーにより、ハイエンドのPC市場に“イノベーションと競争”が戻ってくる、という。とても控えめな言い方だ。全世界の180の代理店が一斉にこの機種を扱い、また、オーバークロックなどホビイストや一部のプロ向けのマニア的機能を実装する小規模OEMにも提供される。

Rysen 7は単品売りもあり、またOEMのシステム構成としても売られる。とくにそれらのOEMは、すでに安価なVR対応GPUとしてRadeon RX 480を使っているなど、AMD色のあるところが候補になる。Ryzenプロセッサーの予約販売は今日(米国時間2/22)から始まる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

複数のブランドで店舗をシェア―、Bulletinが提案する小売店の新形態

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スタートアップの世界にいると、物理的な店舗を設けるというのは少し古臭い感じがする。都市部で人気の地域に出店するためにバカ高い賃貸料を払って、ましてや長期間の契約を結ぶなど考えたくもないほどだ。

しかしY Combinatorの投資先であるBulletinは、実店舗で商品を販売したいと考えているブランドのために柔軟に使えるスペースを提供しようとしている。COOのAli Kriegsman(CEOのAlana Branstonと共に下の写真に写っている)は、自分たちのアプローチを「小売のためのWeWork」と表現する。

Bulltinは店舗となる場所をおさえ、さまざまなサイズ(少し棚が置いてある程度のものから、もっと大きいものまで)のセクションに区切ることで、顧客企業に販売スペースを提供しており、顧客は気に入ったセクションを1ヶ月単位で借りられるようになっている。

店を訪れるお客さんは、小規模で独立したさまざまなブランドの商品を、ひとつの店舗でまとめて見ることができる。恐らくブランドの入れ替わりのスピードも速いので、店を訪れる度に違った雰囲気を味わうこともできるかもしれない。

しかも通常の小売店と違い、ブランド側は「大きなスペースにある各ブランドの店舗」とKriegsmanが表現する各セクションを、自分たちの好きなように形作ることができる。具体的には、どの商品がどこに陳列されるかや商品の価格もブランドが決められるほか、陳列されていない商品をiPadでお客さんに見せたり、メールアドレスなどの顧客情報を集めたりと、自分たちがやりたいことを何でもできるようになっている(店内の販売員はBulletinのスタッフだが、各ブランドは販売員を教育することも可能)。

ブランドの中には、Bulletinのサービスを小売販売モデルのテストに使うところもあれば、新商品のローンチ時に1、2ヶ月だけスペースを借りるところもある。解約の1ヶ月前に連絡さえすれば、顧客は好きなタイミングで好きなようにBulletinのスペースを使えるとKriegsmanは話す(賃貸契約と準備には5日ほどしかかからないと彼女は付け加える)。

Ali Kriegsman, Alana Branston

実はBulletinは、YCの2017年冬期アクセラレータープログラムに参加する前に、昨年の助成金プログラムにも参加していた。Branstonによれば、当初ふたりは「素晴らしい新進気鋭のブランドを扱っていて、実際に商品を購入できるウェブマガジン」をつくろうとしていたが、その流れでニューヨークシティ周辺にポップアップストアをオープンしたところ、ポップアップストアの方が儲かることがわかったという。

「顧客は別に新しいオンライン販売のチャンネルを必要としていないことに、私たちはすぐに気が付きました」とBranstonは話す。ブランドが実際に必要としていたのは、人がたくさん訪れて「すぐに商品を販売できる」小売スペースだったのだ。

Bulletinはまだオンラインストアも続けているが、今はポップアップ戦略を続けつつ、そのノウハウを応用して長期的に店舗を構えることに注力している。同社は、昨年11月にニューヨークのウィリアムズバーグに初めての店舗をオープンし、現在各スペースは「キャンセル待ちの状態」だとKriegsmanは言う。

本日(米国時間2月21日)Bulletinは2つめとなる店舗をソーホーにオープンした。ウィリアムズバーグの店舗は家財を中心に扱っているが、ソーホーの新店舗は女性向けの商品を集中的に扱っていく(核となるテナントにはシャワーキャップのShhhowercapや、キャンドルのKeapなどが含まれている)。そのほかにもBulletin Pantry(食料品)、Bulletin Baby(子供用品)、Bulletin Wellness(健康用品)といった新しい店舗を現在計画中だ。

彼女たちの計画から考えると、今後はもちろん店舗を増やしていくことになるが、当面の間全ての店舗はニューヨーク内でオープンし、将来的にはロサンゼルスを皮切りに他の街にも進出していきたいとBranstonは話す。

さらにBulletinは、スペースの予約や売上情報の確認が簡単にできるソフトの初期バージョンを既にローンチしており、今後もソフトの改良を続けていくとKriegsmanは付け加える。

YCに加え、BulletinはこれまでにNotation Capital、Halogen Ventures、Jesse Draperからも資金を調達している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

2016年App Storeカテゴリー別売上データ―、根強いゲームアプリ

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アメリカのユーザーがiOSアプリにつぎ込む金額は年々増加しているが、昨年売上額の伸びが特に大きかったのがエンターテイメントアプリだ。アプリ関連の調査を行っているSensor Towerのレポートによれば、NetflixやHulu、HBO NOWといったストリーミングサービスが含まれるこのカテゴリーへの平均課金額は、前年比で130%も増加していた。

このデータから、ケーブルテレビを解約しストリーミングサービスへ切り替える人(=コードカッター)がますます増えていることがわかる。このトレンドの結果、ストリーミングアプリの多くは、2016年の売上げランキングでも上位を占めていた。例えばHBOは、同社のコードカッター向けアプリHBO NOWのユーザー数が、前年比で2倍以上増加し200万人に達したと最近発表していた。

Netflixに関しても、2015年Q4にアプリ上でのユーザー登録を開始した結果、iOSユーザーの数が増加した。その結果、2015年Q4には790万ドルだったアプリ経由の売上が、2016年Q4には5800万ドル以上まで伸びたとSensor Towerは示している。

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サブスクリプションモデルは、その他のカテゴリーでも売上に大きな影響をもたらしていることをSensor Towerは突き止めた。例えば写真/ビデオのカテゴリーは、YouTubeのサブスクリプションサービスYouTube Redのおかげで売上が拡大し、同カテゴリーの米App Storeにおける、アクティブなiPhone1台あたりの売上額は2015年の0.30ドルから2016年には0.70ドルに増加した。

一方、ソーシャルネットワーキングカテゴリーのiPhone1台あたりの売上額は1.80ドルから2.00ドルに増加した。このカテゴリーには、人気デーティングアプリのTinderが含まれており、同社の有料プランが2015年はじめにローンチされたことも恐らく売上増加と関係があるだろう。なお、Tinderは単独でも昨年度の売上額で上位に食い込んでいた。

音楽カテゴリーの売上も3.40ドルから3.60ドルに増加しており、これはさまざまな有料プランを提供しているSpotifyやPandoraの影響である可能性が高い。

しかしApp Storeの利益にもっとも貢献したのは、引き続きゲームアプリだった。米App Storeの2016年売上額の80%以上がゲームアプリによるものだとSensor Towerのレポートには書かれている。

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アメリカのユーザーは、2016年にはiPhone1台あたり平均27ドルをゲームアプリにつぎ込んでいたことになり、この数字は2015年の25ドルからさらに増加している。

売上額は増えているが、デバイス1台あたりにインストールされているアプリの平均数は2015年の10.5から2016年は9.9へと減少した。つまり、ユーザーがアプリ1つあたりに使う金額が増えており、これはPokémon Go現象の影響かもしれない。

ソーシャルネットワークアプリのインストール数も2016年に減少(2015年の3.3に対し2.3)したが、その他のカテゴリーではそれほど大きな動きは見られなかった。

しかし全体的にインストール数が減少しているというのは、ユーザーが有名アプリを使い続けており、新しいアプリががなかなかユーザー数を伸ばせていないことの表れなのかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

UPSがドローン配送テストを実施―、実用化に向けてはまだ課題も

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今週の月曜日、フロリダ州タンパの郊外にあるブルーベリー畑で、UPSは初となるドローンを使った住宅への配送テストを実施した。

実際の配送は、まずトラックの屋根からオクトコプター(またはマルチコプター)と呼ばれる8つの翼を持つドローンを飛ばし、ドローンが直接家まで荷物を配達し、離陸地点とは別の場所に移動したトラックまで戻ってくるという流れで行われた。その後トラックに取り付けられたロボットアームがドローンを引っ張り、屋根の上に機体を着陸させた。

月曜日のテストで使われたドローンは、オハイオ州にあるWorkhorse Group Inc.と呼ばれる会社が製造したもので、同社は以前からUPSと取引があった。Workhorseはドローンの開発以外にも、商業用の電気式ハイブリッドトラックやバッテリーを製造している。UPSはこれまでに彼らから350台のハイブリッドトラックを購入しており、そのうち125台が実際に日常業務で利用されている。そしてWorkhorseが新たに開発し、今回のテストで使われたHorseFlyドローンデリバリーシステムは、同社のトラック専用につくられたものだ。

テスト用トラックは、屋根からHorseFlyを飛ばし、着陸時にはロボットアームでHorseFlyの機体を掴めるよう特別に作られたものだった。ドローンの下にぶら下がっているカゴは、トラックの屋根の穴を通じて車内に入りこめるようになっているため、荷物の積み込みもトラックの中から行える。さらにドローンはトラックとドッキングしているときに、アームを通じてトラックのバッテリーに接続し、充電できるようになっている。

トラックからドローンを飛ばすというコンセプト自体はこれまでにもあった。メルセデス・ベンツとドローンスタートアップのMatternetは、ベンツのトラックからMatternetのデリバリードローンを飛ばす「Vision Vans」と呼ばれるプランを2016年9月に発表し、CESではデリバリートラックの実物が展示されていた。

UPSでエンジニアリング部門のヴァイスプレジデントを務めるJohn Doderoは、同社のゴールはガソリン車であれ電気自動車であれ、どんな車両からでもドローンを飛ばせるようにして、ドローンに配送の最後の部分を担当させることだと言う。「トラックの屋根に設置されたドローンの離着陸に使われるパーツは、どんなタイプの車にも取り付けることができますが、そもそも充電が物理的に可能かというのは確認しなければいけません」と彼は説明する。

一方HorseFlyはカーボンファイバーでできており、重さは9.5ポンド(約4.3キログラム)だ。さらに自社開発の18650型リチウムバッテリーパックが搭載されており、最高時速は45マイル(約72キロ)で30分の連続飛行が可能だとWorkhorseは話す。対照的に、ほとんどのコンシューマー向けドローンは22分間しか継続して飛行できない。HorseFlyは10ポンド(約4.5キログラム)までの重さの荷物を運べるので、UPSはさまざまな種類の荷物の配送にこのドローンを利用できる。

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「ドローンが配送することになる荷物を確認してみたところ、50ポンド(約23キログラム)のテレビなど思い荷物は対象になっていないことがわかりました」とWorkhorse CEOのSteve Burnsは説明する。「平均的な荷物の重さやサイズを確認し、ユースケースをしっかり把握してからドローンを開発しました」

その他の条件として、FAA(連邦航空局)の規制にもとづき、HorseFlyは操縦している人の目で視認できる範囲までしか飛行できないため、テスト中は事前に設定されたルートに沿って飛んでいた。しかし実用化されれば、「On-Road Integrated Optimaization and Navigation(別名ORIONシステム)」と呼ばれる、UPS独自のソフトを使ってドローンの飛行経路が決められる可能性もある。

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もしも全てが計画通りいけば、そのうちUPSのドライバーがダッシュボードに取り付けられたタッチスクリーン上のボタンを押すだけで、ドローンが荷物を配送するようになるかもしれない。

これが実現すれば、トラックが入れないような狭い道での配送も楽になり、家と家の間が離れているような郊外の地域では、わざわざ1軒1軒トラックで家をまわらなくてすむようになるだろう。さらにドライバーは自分でドローンを操縦しなくても、ボタンを押せば好きなタイミングでドローンを飛ばしたり、呼び戻したりできるようになる。

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着陸時は、HorseFlyのガイダンスシステムが、空や地形、天気、風といった情報をカバーしているオンラインのデータベースから得た情報と、GPSコンパスやLIDAR、赤外線カメラなど機体に装備されているセンサーからのデータを使いながらトラックまで戻るように設計されている。

「技術的に1番難しかったのが、HorseFlyをトラックまで帰ってこさせることでした」とBurnsは話す。「トラックの天井には扉がついているので、基本的にはドローンを掴んで回収し、扉の下にある穴にドローンを置けるようなロボットシステムをトラックの屋根に取り付けなければいけません」

さらに彼はシステム全体がバックアップを考えてつくられていると話す。つまりHorseFlyは、何かひとつの機能が使えなくなっても飛行を続けられ、機能がふたつ使えなくなっても少なくとも着陸できるような仕組みになっているのだ。そのため、田舎ではよくあるように4Gの電波が使えなくても、ドローンは高周波信号を使ってトラックとの通信を続けられる。

UPSはこれまでにもドローンを使った実験を行っており、ルワンダではZiplineのドローンを使って輸血用の血液を運ぶなど、以前は人道支援物資配達へのドローン活用にフォーカスしていた。昨年の秋には、遠隔地への商業目的の配送テストを行い、そのときはUPSがStrategic Enterprise Fundを通じて投資した、ボストンのドローンメーカーCyphyとパートナーシップを組んでいた。しかしドローンがどのように日常業務で使われることになるかについて、UPSの考えが明らかになったのは今回が初めてだ。

UPSは上場企業であるWokrhorse Groupの株を保有していないが、すでにトラックの供給などを通じて関係性ができていることや、Workhorseのドローンテクノロジーの目覚ましい成長を主な理由に、彼らをパートナーに選んだ。

自社でドローンを開発せずに、これまでの配送モデルをそのまま利用し、トラックのようにドローンは他社から購入するというUPSの判断には納得がいく。

ピッツバーグにあるUberの研究施設の動向からもわかるとおり、最近ロボット工学の人材を獲得するのは難しくなってきており、彼らを会社にとどめておくのはさらなる難題だ。以前Uberはカーネギーメロン大学から大量の人材を引き抜いていたが、現在はそのしっぺ返しにあい、自動運転車の開発を目指すFordに社員を引き抜かれてしまっている。

なお、商業用ドローンの利用に関する規制は、まだFAAが精査を続けている。アメリカ郵政公社の調査によれば、アメリカ市民のドローンの誤作動に対する心配度合いは変わっておらず、ドローンによる配送を求める声が挙がっている一方で、ケガにつながる事故を恐れている人も多い。

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正直言って、彼らが心配するのももっともだ。月曜日に行われたUPSの2回目の非公式デモ中には、何か(もしかしたらレポーターのカメラかもしれない)が干渉して、ドローンのコンパスに問題が発生した。ドローンは離陸を中止して、UPSのトラックの屋根に着陸しようとしたが、結果的にトラックの横に落下し、あやうく閉じてかけていた天井の扉に挟まれてしまうところだった。

この誤作動についてBurnsは「こんなことが起きたのは初めてです」と話していた。

技術的な問題を解決していく以外にも、UPSや自社でドローンを開発しているAmazonのような企業は、ドローンと労働者の共存について考えなければいけない。ドローンが人の仕事や時間給を奪ってしまう可能性があるとすればなおさらだ。ちなみにUPSは、ドローンが導入されてもドライバーの仕事はなくならないと話しており、Doderoは「UPSドライバーは私たちの顔であり、顧客は彼らを頼りにしています」と言う。

「私たちは競争力をつけるために、ドローンを導入して、これまでであればドライバーが運転しなければならなかった道のりを省略しようとしているんです」と彼は説明する。「私たちのゴールは、UPSドライバーの代わりにドローンを使うことではなく、ドライバーができることを増やして、より効率的に業務が行えるような環境を整えることです」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter