くらしのマーケットが総額40億円を調達、ゼンリンデータコムとの連携も

くらしのマーケット」を運営するみんなのマーケットは1月21日、総額40億円の資金調達を発表した。第三者割当増資と融資(デットファイナンス)による調達で、第三者割当増資の引受先はシリーズAラウンドからのリード投資先であるニッセイ・キャピタルのほか、新たにグロービス・キャピタル・パートナーズ、ソニー、大和証券グループの大和キャピタル・ホールディングスが運営するInnovation Growth Ventures、ゼンリンデータコムが加わっている。これに日本政策金融公庫からの融資を加えて総額40億円となる。調達資金の割合は非公開。

くらしのマーケットは、エアコンや洗濯機、換気扇などの清掃、引っ越し、家事代行、遺品整理などのサービスを個人からネット経由で直接プロに頼めるスキルシェアのマーケットプレイス。サービス開始は2011年で、最近ではテレビCMも放映されているので知っている読者も多いことだろう。2019年12月末時点における累計出店登録店舗数は3万3000店超となっている。

今回調達した資金は、くらしのマーケットの認知向上、プロダクト開発、関連スタートアップへの投資、人材の採用と教育に当てるとのこと。

また同社は、第三者割当増資の引受先として名を連ねている、位置情報サービスを提供するゼンリンデータコムとの業務提携も発表。高精度な地図データや位置情報サービスなどをくらしのマーケットに参加する出店者やユーザーに向けに活用していく計画だ。

ヤマハが早大発スタートアップの東京ロボティクスに出資、協働ロボット分野へ参入

ヤマハ発動機は1月21日、早稲田大学発のスタートアップである東京ロボティクスへの出資と技術提携を発表した。具体的には同社が東京ロボティクスの転換社債型新株予約権付社債を引き受ける。

東京ロボティクスが擁する協働ロボットの高度化に欠かせない関節柔軟性(力制御)の技術とヤマハの量産化能力を組み合わせることで、協働ロボット市場へのビジネス参入を目指すとのこと。ヤマハは長期ビジョンの1つとして「ART for Human Possibilities, Advancing Robotics」を掲げており、今回の資本・技術提携もその一環だ。

スマホAR対戦アプリのGraffityがプレシリーズAラウンドで1億円を資金調達

AR対戦アプリ開発のGraffity(グラフィティ)は1月20日、プレシリーズAラウンドで総額約1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。引受先はディープコア、East Venturesと複数の個人投資家で、J-Kiss方式での調達となる。

Graffityメンバーと投資家。写真前列中央がGraffity代表取締役の森本俊亨氏

高校体育で採用されたスマホARゲーム「HoloBreak」

Graffityは、2017年8月の創業。2017年11月に3000万円の資金調達を発表している同社は、これまでに空間に落書きできるAR SNSアプリ「Graffity」AR対戦ゲーム「ペチャバト」といった、スマートフォンで遊べるtoC向けのARアプリを提供してきた。

現在同社は、ARシューティングバトル「HoloBreak(ホロブレイク)」を手がけている。HoloBreakは仮説実証フェーズにあり、一部教育機関やアミューズメント施設に提供しながら、検証・開発を進めている最中だ。

HoloBreakは、スマホで画面の向こう(画面の先の見知らぬ誰か、という比喩的な意味ではなく、リアルに画面の目の前)にいる相手と撃ち合う対戦ゲームだ。どういうゲームか、というのは動画を見てもらえると、よりわかりやすいかもしれない。

同社から以前リリースされたペチャバトも、対戦相手のスマホを的として、雪合戦のように「弾」をタップして投げ合い、当たると得点できるゲームだった。ペチャバトが4人対戦でHPを削り合う、勝ち残りバトルロワイヤル形式だったのに対して、HoloBreakはチーム戦で得点を重ねていくゲームになった。

また、HoloBreakではアメリカンフットボールのように攻守の役割があり、使う武器が選択できるなど、戦略を立てて挑むことになるため、思考力・判断力とチームワークが要求され、よりスポーツ性の高いゲームに仕上がっている。

その先端技術とスポーツ性が評価され、HoloBreakは、2019年11月には筑波大学附属高校の体育選択科目に採択された。同校の体育選択科目では生徒が授業内容を提案する方針になっており、ペチャバトのユーザーだった生徒の発案で、HoloBreakが取り上げられることになったそうだ。

Graffity代表取締役の森本俊亨氏は「バットやボールといった道具不要で、スマホさえあれば体を動かして遊べるARゲームを作っていく」と話している。ARスポーツでよく名前が挙がる対戦ゲームの「HADO」の場合は、フィールドが設置された施設で遊ぶことが前提となっている。スマホだけでも遊べるHoloBreakは「その点が、ちょっと違っている」と森本氏は説明する。

「Graffityが目指すのは、ARを軸に人と人とのつながりを変えていくこと。ARプロダクトのゲーム性を生かして、新しいコミュニケーションを作りたい」という森本氏。競合として見ているのは、同じスマートフォンで遊べて、画面と可処分時間を取り合う可能性があるソーシャルゲームだ。

「スマホARはARバトルという形で最も広まるだろう」

HoloBreakはこれまでに、教育機関2カ所、エンタメ施設2カ所に提供されている。森本氏によれば「いずれも満足度は高い」ということだ。高評価を踏まえ、今回の資金調達により、HoloBreakをスマホアプリとして広く公開できるように開発を進めていくという。2020年秋には日本のアプリストアでリリース予定で、その後、海外にも展開を図る。

森本氏は「スマホARは、ARバトルという形で最も広まるだろう」と話す。「『AR×バトル』は世界でもまだ確立されていない市場。多くのARアプリは『ARならではの体験』ではなく、使われ続けるものではないが、ARバトルは『ARならではの体験』をうまく生かし、日常に浸透するプロダクトになる可能性が高いため、ARアプリの本命になると考えている」として、「そのARバトルの領域で、No.1を取りたい」と語る。

そのためにも、まずはHoloBreakのようなARシューティングバトルゲームを国内外にリリースし、教育機関やテーマパークなどにも導入していきたいという森本氏。またHADOのようにeスポーツ化も考えているとのことで、いずれは大会を開けるようにしたいとのことだ。「HoloBreakで実績を作れたら、キャラクターなどのIP保有者と組んで、別タイトル展開も狙っていきたい」とも話している。

「ARを軸に人と人とのつながりを作りたい、というのがミッションに『ARで、リアルを遊べ。』を掲げる我々の目指すところ。これからも、人と人とのコミュニケーションを大切にしていく」(森本氏)

マネタイズについては、基本的にアプリ内課金を中心としていくというGraffity。BtoCで創業しながらも、技術を核にBtoB事業へピボットしていくスタートアップも多い中、森本氏は「当面、BtoCでがんばっていく」と話していた。

Graffity代表取締役 森本俊亨氏

テスラが「意図しない加速」の訴えは「まったくの虚偽」と主張

米国時間1月20日、Tesla(テスラ)は同社の車両が突然ひとりでに加速するという規制当局への申し立ては「まったくの虚偽」だと主張した。

さらにテスラは、申し立ての有効性にも疑問を呈し、提出したのはテスラ株のショートセラーだと指摘した。

先週、国家道路交通安全局(NHTSA)は、テスラの電動自動車による意図しない加速に関する127件の消費者クレームを取り上げた欠陥申し立てを審理すると語った。本件は110件の事故と52名の負傷に関与あるいはその原因となったと疑われている

CNBCが最初に報じたその申し立ては、個人投資家で現在、テスラ株のショート(空売り)を行っているBrian Sparks(ブライアン・スパークス)氏が提出した。スパークス氏は、かつてはテスラ株のロング(安値買い)ポジションをとっていた、とCNBCは伝えている。

当時、テスラはコメント要求に答えなかったが、現在はブログに、顧客からの意図しない加速に関する苦情をNHTSAと定期的に検討していることを掲載している。

「当局と検討したいずれのケースにおいても、車両が正しく機能していたことをデータが示していた」とテスラは同社ウェブサイト上のブログ記事に書いた。

同社は、車両は意図しない加速を防止するよう設計れされていると主張し、アクセルペダルの独立した2つの位置センサーに何らかのエラーがあった場合、モーターのトルクを遮断するようにシステムは設計されているとを指摘した。

「さらに、オートパイロットセンサー群も、ペダルの踏み間違いを検出してトルクを遮断し事故を軽減あるいは防止する役割を果たしている」と同社は記載している。

テスラの回答全文は以下の通り。

この申し立てはまったくの虚偽であり、テスラのショートセラーが提出したものである。我々は、車両が意図に反して加速したとドライバーが疑った事象をすべて調査した結果、車両のデータが存在するすべてのケースにおいて、当社の車両が設計通り作動したことを確認した。つまり、車両が加速するのはドライバーがそのように指示したその時だけであり、ドライバーがブレーキを踏めば減速あるいは停止する。

アクセルペダルの踏み間違いに起因する事故は、ほぼ全モデルについて疑われているが、Model S、X、および3のアクセルペダルには、独立した2つのセンサーが設置されており、何らかの不整合があった際にはシステムがモーターのトルクを遮断するよう設計されている。同様に、ブレーキペダルとアクセルペダルが同時に踏まれた場合は、アクセルペダル操作は無効となり、トルクは遮断され、トルクの状態にかかわらずブレーキが継続的に作動して車両を停止させる。またテスラ独自の機能として、オートパイロットセンサーもペダルの踏み間違いを識別し、ドライバーの行動が意図的でないと判断した場合は、トルクを遮断して事故を軽減あるいは防止する。それぞれのシステムは独立しており、データを記録しているので、何が起きたかを正確に調査することができる」

我々はNHTSAと十分な情報交換を行っており、意図しない加速に関する顧客の苦情を定期的に同局と一緒に検討している。過去数年間にわたり当社は、本申し立てに記載されている苦情の大部分をNHTSAと検討してきた。同局と検討したすべてのケースにおいて、データは車両が正しく作動したことを証明している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

繊細な処理が可能なロボットの「手」を開発するSoft Roboticsが大手FANUCと提携、約25億円調達

 

ロボティクスのスタートアップ、Soft RoboticsがシリーズBラウンドを完了、2300万ドル(約25億円)の資金を獲得した。このラウンドはCalibrate VenturesとMaterial Impactがリードし、Honeywell、ヤマハ、Hyperplaneなどの既存投資家が加わった。注目すべき点は世界最大の産業用ロボットのメーカー、FANUCがラウンドに参加したことだ。同社や最近SostRoboticsと戦略的な提携を行っている。

Soft Roboticsのプレスリリースによれば、今回のラウンドは「募集枠を超えた」額だったという。つまり同社は差し迫った資金需要があったわけではないらしい。実際、今回の2300万ドル(約25億円)を調達したラウンドの前、2018年の2000万ドル(約22億円)のラウンドも「募集枠を超えた」ものと発表されている。それ以前のラウンドは500万ドル(約5億5000万円)のシリーズAで2015年にクローズされている。Soft Roboticsのクライアントには世界の大企業多数が含まれるため、おそらく資金は潤沢なのだろう。

Soft Roboticsはロボットが対象をつかむ手の部分を開発している。社名からも推察できるが、このグリッパーにはソフトな素材が用いられ、各種のデリケートな処理を可能としている。従来の変形しない強固なグリッパーの場合、壊れやすい素材をつかむためには非常に精密な位置決めが必要となりわずかの誤差も許されなかった。

2018年の資金調達ではSoft Roboticsは従来のリテールやロジスティクス一般に加えて、食品、飲料などの処理にもターゲットを拡張することを明らかにした。新しいパートナーであるFANUCが今回のラウンドに参加している。FANUCはSoft RoboticsのMini-Pコントローラーを内蔵する柔軟なグリッパー、mGripをFANUCの既存の各種産業用ロボットに組み込むことにより、処理のバリエーションを大幅に拡大している。一方、Soft Roboticsはロボティクス事業において世界でもっとも影響力がFANUCと戦略的、テクノロジー的な関係を築くことに成功した。

今回の資金調達でSoft Roboticsはさらなる成長に向けて投資が可能となった。アイテムのバリエーションを拡大し、食品パッケージングを含めて消費者向けグッズの処理やeコマースのインフラとなるロジスティクス分野にもいっそう力を入れることになるだろう。特にeコマース業界において最大の課題となっている大量に発生する返品処理のロボット化、効率化はSoft Roboticsのソフトグリッパーが威力を発揮する分野になりそうだ。

【Japan編集部追記】 記事中で今回のラウンドがシリーズBとされているが、CrunchBaseによると2015年2018年とも「シリーズA」とされている。なお原文のSoft RoboticsのCrunchBaseはエラーを返してくる。

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滑川海彦@Facebook

大規模VCファンドが小粒のラウンドに参加するという2020年の逆説

1月17日に、最近、VCがどれほど疲弊しているかについて書いた。ディールの数が多すぎること、1ディールあたりにかける時間が少なすぎること、同じ出資案件を巡る他のVCとの果てしなく激しい競争などについて触れた。

友人の創業者は、昨晩、「過去1年間に90人以上の投資家から次のラウンドへの参加申し込みを受け取った」と筆者に打ち明けた。彼は資金調達なんて始めてもいない。「僕はいくつかメールを見逃したかもしれない」と表情を変えずに言った。そもそも見逃さない方がおかしい。

そうした熱狂的ともいえる動きが、2020年のベンチャーキャピタル業界の機軸となる次のパラドックスへと導く。すなわち、大規模ファンドがアーリーステージで少額の小切手を切る。

大規模ファンドは投資機会として大きなラウンドを必要とするから、これはパラドックスだといえる。10億ドル(約1100億円)のファンドが、マネジメントフィーを差し引いた残りを、100万ドル(約1億1000万円)の小切手800枚に換えてシード投資に充てる、といったことはできない(できないことはないが、煩雑な上、管理不能になる)。通常のパターンはそうではなく、ファンドの規模が大きくなると、マネージングパートナーらが資金を効率的に投資できるよう、レイターステージのラウンドにどんどんシフトする。2億ドル(約220億円)のファンドが1件800万ドル(約8億8000万円)の資金を複数のシリーズAラウンドに投資していたとする。これが10億ドル(約1100億円)のファンドになれば、複数のシリーズBやCラウンドに1件4000万ドル(約44億円)で投資するようになる。

これはこれで論理的だが、現実世界のロジックはもう少し複雑だ。ポイントは、どのファンドも巨額の資金を集めつつあるということだ。

全米ベンチャーキャピタル協会が先に発表したぶ厚いレポートが明らかにしたように、2019年は多くの点で大規模ファンドの年だったと言える(ソフトバンクのファンドが資金調達しなかったにも関わらず)。ただ「メガファンド」(5億ドル=約550億円以上の規模と定義)に関して言えば、2019年に立ち上げられたファンド数は2018年を下回った。

あらゆるレイターステージのファンドは、レイターステージのディールを求めているが、単純にそんなにたくさんのディールはない。確かに、すばらしい企業やリターンの機会はそこら中に転がっているが、キャップテーブルに載せてもらおうと画策しているファンドは数十とあるし、バリュエーションは投資家が競争から抜け出すアピールポイントの1つにすぎない。

これは、多くの点でPlaid(プレイド)の物語そのものだ。Plaidはフィンテック関連のAPI開発会社で、Crunchbaseによると、2018年後半にIndexとKleinerからシリーズCで2億5000万ドル(約275億円)を調達した。その後、Visaが53億ドル(約5800億円)で買収することを発表した。複数のVCの情報筋によると、「誰も」がシリーズCに注目していたという(その「誰も」が疲弊していたに違いない)。

シリーズCラウンドで「ノー」と言った1人のベンチャーキャピタリストが先日、「2019年のバリュエーションは信じ難いほど高かった」と筆者に打ち明けた。同社は2018年に数千万ドル台後半(数十億円台後半)の売上を計上していた。筆者もそう聞いていた。シリーズCのバリュエーションとして報じられた26億5000万ドル(約2920億円)と合わせると、売上高マルチプルは30〜50倍あたりになるということだ。同社が今後ユーザーの口座データへのアクセスを確保するために、銀行と戦っていかなければならないことを考えれば、これは非常に割高だ。

ForbesのJeff Kauflin(ジェフ・カウフリン)氏によると、2019年の売上高は今や数億ドル台前半(数百億円台前半)の数字になった。つまり、Visaも同様に高いマルチプルでPlaidを買収した可能性が高い。KleinerとIndexの投資は1年ほどで2倍になったが、だからといってIRR(内部収益率、投資の利回りの指標)に関してとやかく言われる筋合いはない(特にグロース投資においてはそうだ)。だが、相手がVisaでなければ、そしてイグジットのタイミングがこれほど良い結果をもたらす錬金術のようなものでなければ、すべては違った展開になっていたかもしれない。

高いバリュエーションよりもさらに悪いのは、こうしたレイターステージのラウンドが非常に独占的かつ排他的になる可能性があることだ。聞きおよぶ限り、PlaidのシリーズCラウンドは、かなりオープンなプロセスだったようだ。そのため、多くの企業がディールを検討でき、アーリーインベスターと創業者の希薄化を抑えながらバリュエーションを引き上げることができた。だが、プロセスがこう進むとは限らない。

早いラウンドで投資したファンドが、続くラウンドでも投資しようとする傾向がある。シリーズAで500万ドル(約5億5000万円)を投入した投資家が、5000万ドル(約55億円)をシリーズBで、さらに2億5000万ドル(約275億円)をシリーズCでも投入したいと考える。結局、彼らには資金があり、すでに会社を知っていてCEOとの関係も構築済みだから、資金調達のプロセスで時間を浪費するのを避けることができる。

そのため、最近、多くのディールで、レイターステージのキャップテーブルから新規投資家が実質的に締め出されている。なぜなら、キャップテーブルの周りにはすでに多くのファンドがよだれを垂らして座り込み、賭け金を増やそうと狙っているからだ。

ここにパラドックスが現れる。レイターラウンドに参加するには、すでにキャップテーブルに載っている必要がある。つまり、アーリーステージのより小規模ラウンドに参加しなければならない。突如、グロース投資家がスタートアップの資金調達での参加の選択肢を得るために、シードを含むアーリーステージのラウンドにまで参加することになるわけだ。

あるベンチャーキャピタリストが先週筆者にこう説明した(以下、言い換えしている)。「昨今、妙なのは、シードラウンドにSequoiaのようなファンドが登場しても、バリュエーションや契約条件などには見向きもしないことだ。すべてはレイターステージのラウンドのためだ」。明らかに少々誇張されているとは思う。ただ、大規模ファンドにとって100万ドル(約1億1000万円)の小切手というのは、四捨五入で生じる誤差くらいの金額でしかない。本当のリターンはその先のメガラウンドにある。

では、シードファンドは消滅してしまうのか。それは違う。しかし競合他社が文字通りどうでもいい投資であると考えたり、あるいは投資をマーケティング費用や次回以降のラウンドへの参加費として捉えるなら、バランスの取れた、リスクを加味したポートフォリオを構築することは難しい。一方、創業者にとっては、正しいベンチャーキャピタルを選べるならば、今も本当にすばらしい時代だと言える。

画像クレジットHalfdark / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ハイテク業界の醜悪な真実を明らかにしたTechCrunch2019年調査レポートトップ10

Facebookがティーンエージャーをスパイしていたこと、Twitterアカウントがテロリストに乗っ取られたこと、そして児童性的虐待の画像がBingとGiphyで発見されたことなどが、2019年のTechCrunchの調査レポートで明らかになったもののなかでも、とりわけ醜悪な真実たちだ。安全性の欠陥や力の濫用が及ぼす影響が、ますます大きくなる中で、ハイテク業界はこれまで以上に多くの監視の目を必要としている。原因が悪意、無知、あるいは貪欲のいずれであろうとも、そこには嗅ぎつけられた数多くの不正行為があった。

TechCrunchは、セキュリティエキスパートであるZack Whittaker(ザック・ウィテカー)記者に率いられて、増大する問題に対処するために、より長期にわたる調査を実施してきた。実際、資金調達、製品発売、そしてすばらしいエグジットなどに関する私たちの記事は、物語の半分しか語っていないのだ。おそらくスタートアップ(と彼らのその後)に特化した、最大かつ最も長期間にわたって運営されているニュースソースである私たちは、そうした企業たちが誠実であり続けることや、技術に対するより倫理的で透明なアプローチを推進していくことに対して責任を負っている。

調査に値する潜在的なヒントがある場合は、TechCrunch(tips@techcrunch.com)に連絡するか、匿名のフォームから教えて欲しい。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

2019年に行われた調査レポートの上位10件と、その影響を紹介しよう。

1. Facebookはティーンエージャーたちのデータを覗き見するために、金を渡している。

Josh Constine(ジョシュ・コンスティン)記者の画期的な調査によって明らかになったことは、Facebookがティーンエージャーや成人に対して月額20ドル(約2200円)のギフトカードを支払い、VPNをインストールさせて、市場調査の名目ですべての機密モバイルデータをFacebookに送信させていたことだ。Facebook Researchが抱えていた問題として挙げられたのは、たとえば18万7000人のユーザーに「Project Atlas」に登録するまでデータがFacebookに送られることを通知しなかったこと、4300人以上の未成年者から適切な保護者の同意を受け取っていなかったこと、同プログラムに関して公言した場合、ユーザーに対して法的措置をとると圧力をかけたことなどだ。また、このプログラムは、App Storeのレビュープロセスを回避するために、企業内で従業員だけを対象にアプリを配布するためにデザインされた、Appleのエンタープライズ証明書プログラムを悪用していた。

影響は甚大だった。議員たちはFacebookに対して怒りの書簡 を送った。ほどなくTechCrunchは、同様の市場調査を行うScreenwise Meterと呼ばれるGoogle製のプログラムを発見した。Googleは直ちに同プログラムを中止した。Appleは、すべての従業員専用アプリを丸1日シャットダウンすることでGoogleとFacebookの双方を罰した。このことで、Facebookの従業員はシャトルスケジュールやランチメニューにアクセスできず、オフィスが混乱した。Facebookは、このプログラムが公明正大なものだと主張しようとしたが、最終的には反発に屈し、Facebook Researchと18歳未満のユーザー向けのすべての有料データ収集プログラムを中止した。最も重要なことは、この調査レポートによって、FacebookがそのOnavoアプリをシャットダウンしたことだ。このアプリはVPNを提供するという触れ込みだったのだが、実際はどのライバルを模倣すればよいかを知るために、大量のモバイル利用データを吸い上げるものだったのだ。Onavoは、FacebookがメッセージングのライバルであるWhatsAppを190億ドル(約2兆1000億円)で買収する必要があることをFacebookに認識させたものであったが、いまや同社に対する反トラスト調査の中心となっている。TechCrunchのレポートは、Facebookの搾取的な市場監視を弱め、技術の巨人同士を競わせ、データ収集に対する透明性と倫理の水準を引き上げた。

2. WannaCryキルスイッチの擁護

急速に広がるWannaCryランサムウェアから、インターネットを保護したヒーローたちのプロフィールを描いたザック・ウィテカー記者の記事は、サイバーセキュリティの不安定な性質を明らかにしている。WannaCryのキルスイッチ(停止スイッチ)を確立したMarcus Hutchins(マーカス・ハッチンズ)氏の善意の仕事を描いた魅力的な記事は、別件のティーンエイジャーでマルウェアを作成したという罪で彼を10年の刑務所送りにするのではなく、わずか1年の保護観察付きで釈放となった判決に、影響を与えた可能性がある。

3. イーロン・マスク氏のトンネルの危険性

TechCrunchの寄稿者であるMark Harris(マーク・ハリス)記者の調査レポートは、ワシントンDCからボルチモアへのトンネルを掘るという Elon Musk(イーロン・マスク)氏のBoring Companyの計画の中に、不適切な非常口やその他の問題があることを明らかにした。火災安全およびトンネルエンジニアリングの専門家たちに相談し、ハリス記者は、州および地方政府に対して、公共インフラに近道を導入しようとする破壊的テクノロジーに対して懐疑的であるべきだという強い証拠を提示した。

4. Bingの画像検索は児童虐待で溢れている

ジョシュ・コンスティン記者の調査は、Bingの画像検索結果が、子供の性的虐待画像がどのように表示されているかを示すと同時に、何も意識していないユーザーが、そうした違法コンテンツを呼び出しかねない検索ワードも示唆した。コンスティン記者の示したヒントは、反児童虐待スタートアップAntiToxin(現在はL1ght)によるレポートへと繋がり、Microsoftは英国の規制当局に対してこれを防ぐための大幅な変更の約束を強いられた。だが、TechCrunchのレポートを引用したNew York Timesによる追跡レポートによれば、Bingがほとんど改善されていないことが明らかになった。

ザック・ウィテカー記者の調査が、その追放に疑問があったタフツ大学の学生、Tiffany Filler(ティファニー・フィラー)氏による、成績改ざん疑惑の中にある矛盾した証拠を明らかにした。記事は告発そのものに大きな疑念を投げかけ、学生自身が将来の学術的または専門的努力を狙う際の、助けになる可能性がある。

6. 教育用ノートPCの発火

Natasha Lomas(ナターシャ・ロマス)記者は教育用コンピューターハードウェアスタートアップであるpi-topのトラブル報告を行った。記事には米国のある生徒を負傷させたデバイスの誤動作が含まれていた。分解できるように設計されたpi-top 3ノートPCによって、その生徒が「非常に厄介な指の火傷」を負っていたことを内部電子メールは明らかにした。信頼性が大きく問われ、レイオフが続いた。このレポートは、生徒のような特に傷つきやすい者たちを中心に置き物理的な世界で事業を展開するスタートアップたちは、いかに安全を最優先にしなければならないかということを強調している。

7.Giphyは児童虐待画像をブロックできない

Sarah Perez(サラ・ペレス)記者とザック・ウィテカー記者は、児童保護のスタートアップL1ghtと協力して、性的虐待画像のブロックに対するGiphyの怠慢を暴露した。このレポートは、犯罪者たちが違法な画像を共有するためにサイトをどのように使用し、それが検索エンジンによって、誤ってインデックスされたかを明らかにした。TechCrunchの調査が明らかにしたのは、自らのコンテンツに対してもっと警戒する必要があるのは、公的な技術の巨人たちだけではないということだ。

8.Airbnbの反差別に対する弱み

Megan Rose Dickey(ミーガン・ローズ・ディッキー)記者は、盲目で耳が不自由な旅行者の予約が盲導犬を連れていたためにキャンセルされた際の、Airbnbによる差別的ポリシーが現れたケースを調査した。ディッキー記者のレポートが1カ月の営業停止のきっかけになるまで、Airbnb は差別行為によって告発されたホストを単に「教育」しようとしただけだった。調査は、Airbnbが収益を生み出すホストを保護するためにどんなこと、そしてポリシーの問題によりIPOを損なう可能性があることを明らかにした。

9.期限切れのメールがテロリストたちにプロパガンダをツイートさせる

ザック・ウィテカー記者は、乗っ取られたTwitterアカウントを通じて過激派組織IS(イスラミック・ステート)のプロパガンダが拡散されていることを発見した。彼の調査により、Twitterアカウントに関連付けられたメールアドレスの有効期限が切れると、攻撃者はそれを再登録してアクセスし、Twitterから送信されたパスワードリセットを受信できることが明らかになった。記事は、ビッグテクノロジーのセキュリティ上の欠点を悪用する、巧妙だが決して高度ではないテロリストグループの手段を明らかにしただけでなく、すべてのサイトがふさぐべき危険な抜け穴を特定した。

10.ポルノとギャンブルのアプリがAppleを出し抜く

ジョシュ・コンスティン記者は、数十におよぶポルノおよびリアルマネーのギャンブルアプリが、Appleのルールを破りながらエンタープライズ証明書プログラムを悪用することでApp Storeのレビューを回避していることを発見した。それらのアプリの多くが中国を拠点にしたものだ。このレポートは、企業証明書が脆弱で簡単に詐取される要件を明らかにした。7カ月後、Apple は中国からのポルノおよびギャンブルアプリの削除リクエストが急増していることを明らかにした。この調査は、Appleが企業証明書ポリシーを厳しくする後押しをすることになり、さらにCEOのティム・クック氏が日頃他の技術大手のポリシーに対して頻繁にジャブを繰り出しているにもかかわらず、同社自身にも対処すべき問題がたくさんあることを証明した。

ボーナス:HQ Triviaの従業員たちがCEOを解任しようとして解雇された

『ゲーム・オブ・スローンズ』にも負けない物語は、その影響がすべてのスタートアップエグゼクティブへの警告であるにしても、除外するには興味深いものだった。ジョシュ・コンスティン記者は、ゲームスタートアップ、HQ Triviaの業績が急降下した際に、CEOの無能さと不作為に対して従業員たちが起こした反乱の物語を明らかにした。CEOを解任するために、取締役会への請願を組織した従業員は解雇され、さらなる人材の離職と停滞につながった。調査レポートは、スタートアップの幹部たちに、(団結したり離職することで力を発揮する)従業員たちに対する責任があることを思い出させるのに役立った。

ジョシュ・コンスティン記者へのタレコミ情報がある場合には、暗号化されたSignalアプリ、米国(585)750-5674へのSMS、joshc at TechCrunch dot com、あるいはTwitter DMを介して連絡することができる。

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(翻訳:sako)

InstagramがついにTikTokに敗北を認める

Instagramには10億人のユーザーがいるというのに、ショートビデオのIGTVアプリをダウンロードしたのは2018年6月のリリース以来、18カ月で700万人だった。これはTiktokの80分の1のインストール数だ。

InstagramのメインアプリからIGTVの利用を促す目ざわりなオレンジ色のボタンが消えたのはこの結果に敗北を認めたからだろう。TikTokは同じ期間に世界で11億5000万のユーザーを獲得している。Sensor Towerのデータによると米国だけでTikTokでは8050万ダウンロードがあったのにIGTVはわずか110万件だった。

たしかにTikTokはインストールを促す広告に巨額の費用を注ぎ込んでいる。しかし将来はどうなるにせよ、Instagramが長尺縦型ビデオというプラットフォームで成功を収められなかったことも確かだ。

要するにInstagramのユーザーはIGTVのような長いビデオを見る別アプリを必要としなかった。IGTVの機能はInstagramのメインアプリに組み込まれ、フィードに冒頭が流れ、タブから探索することもできた。ストーリーズやユーザープロフィールからも表示できた。それでも多くのユーザーにとってIGTVはInstagram本体のようなホームにするほどの魅力がなかった。

もうひとつ問題だったのはInstagramのクリエイターがIGTVにアップしたビデオを直接に収益化する方法がなかったことだ。 YouTubeやFacebook Watchのように広告収入の分配を受けることも Facebook、Twitch、Patreonのようにサブスクリプションや投げ銭を得る方法もサポートされなかった。

Facebook、Instagramからの唯一の財政的サポートといえば、一部のセレブの場合だとビデオの製作コストの一部が償還される程度だった。しかもBloombergのLucas Shaw(ルーカス・ショー)氏、Sarah Frier(サラ・フリヤー)氏によれば.こうした特権を得るにはコンテンツは政治的、社会的問題や公職の選挙に関する話題を含むことが許されないという。

【略】

Instagramのホームのトップからボタンが消えたので、今後はIGTVは「Explore」(発見)タブから開くことになる。またIGTVにビデオをアップしても十分な数のビューが得られていない。トップ20タイトルでさえ再生は20万回以下だ。Instagramでフォロワーが1000万人もいるトップクリエーターのBabyArielでさえ、IGTVには20本しか投稿しておらず、50万以上のビューを得たのは1本に過ぎない。

【略】

IGTVがスタートしたときは、 縦位置の長尺ビデオがよくわからない理由で熱狂的にもてはやされていたが、問題はこのフォーマットの優れたコンテンツがほとんど上がってこないことだった。複数の被写体を収めるような長尺ビデオは横位置が適しており、縦位置ビデオというのは自画撮りや何かをとっさに撮ったる場合がほとんどだった。

ところがInstagramの共同創業者のKevin Systrom(ケビン・シストロム)氏は2018年にIGTVを私に説明して「モバイルオンリーのフルスクリーン縦型ビデオは私が最も誇りに思うサービスだ。このフォーマットはここ以外どこにも存在しない」と語った

残念ながら縦型オンリーというビデオフォーマットはもはやInstagramにも存在しない。2019年5月にIGTVは縦位置のみというイデオロギーを捨てて横位置のビデオも受け入れるようになった。

【略】

IGTVは中途半端で使い勝手もよくなかった。それでもSnapchatやTikTokが存在しない世界だったらそれなりに需要はあったかもしれない。

しかしInstagramが直面したのは非常に厳しい競争の存在する世界で、短編ビデオならジェフリー・カッツェンバーグのQuibiがモバイルビデオの視聴者を集めようとしている。プラットフォームを提供すればあとはひとりでにコンテンツが集まってくるというような楽な環境ではない。

Instagramは視聴者が望むコンテンツを吟味し、クリエーターをもっと積極的に支援しなければならない。特にクリエイターが活動を続けられるような収入を確保できる道を提供するのが重要だ。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

鳥のように空を飛ぶロボットPigeonBot

地球上の最も進んだロボット科学者ですら、どんなに頑張っても鳥が空を飛ぶときのあの軽快で優雅で効率的な運動を再現することは大変難しい。だが、スタンフォード大学の研究者が、鳥の羽根による独特な飛行特性を研究し実証するPigeonBot(ピジョンボット)で、その状況を一歩進めることができた。

見た目PigeonBotは、なんというか言わせてもらえば子どもの工作みたいな感じだ。しかし、適当に作ったみたいなこの装置には、膨大な見識が詰め込まれている。鳥の飛び方は、実はあまりよくわかっていない。動的な翼の形状と、それぞれの羽根の位置の関係が超絶に複雑なためだ。

機械工学科のDavid Lentink(デイビッド・レンティンク)教授は、数名の受け持ちの大学院生とともに、「鳥類の翼の変形メカニズムの生体力学の分析と、そこから得た見識を、実際の風切り羽を使用したバイオハイブリッド・ロボットに応用する」ことに挑戦した。一般的なハトをモデルにしているが、その復元力にはレンティンク教授も驚いていた。

サイエンス誌のインタビューの中で、彼は以下のように説明している。

まずは博士課程の学生Amanda Stowers(アマンダ・ストウワーズ)君が骨格の動きを分析し、私たちのロボットが20本の所列風切り羽根と20本の次列風切り羽を動かすためには、手首と指の動きだけを模倣すればよいことを突き止めました。2番目の学生Laura Matloff(ローラ・マットロフ)君は、骨格の動きに反応した単純に直線的な運動で羽根が動くことを解明しました。ここで得られたロボット工学的見識は、鳥の翼は巨大な劣駆動システムであり、鳥は、それぞれの羽根を常に個別に制御しているわけではないということです。むしろ、手首と指の運動が、羽根を骨をつないでいる弾力性のある靱帯を通じて自動的にすべての羽根に伝わるのです。羽根の位置の制御を大きく単純化する、よくできた仕組みです。

個々の羽根の制御が、手動ではなく自動だったという発見に加え、研究チームは、羽根の中の微小な構造が、一方向性のマジックテープのような特性を生み、あちらこちらに隙間ができることなく、一体化した表面を形作っていることも突き止めた。その他のものも含め、今回の発見はサイエンス誌に掲載された。「3番目の学生」Eric Chang(エリック・チャン)君がまとめ上げたロボット本体については、サイエンス・ロボティクス誌で解説されている。

実際のハトの40枚の羽根と超軽量なフレームを使い、チャン君とそのチームは、簡単な飛行機を製作した。先端にプロペラを備えており、羽根で揚力を生み出すわけではないが、鳥が滑空中に行うように、羽根を湾曲させたり変形させたりして、方向変換やその他の姿勢を制御する。

翼そのものの生物学的特性を研究し、PigeonBotシステムの観察と調整を行うことで、研究チームは鳥は(PigeonBotも)、翼を少し折り畳むときに「手首」を使い、開くときには「指」を使って飛行を制御していることを発見した。しかしそれは、必要とする意識やメカニズムを最小限に抑えた非常にエレガントな方法で行われる。

PigeonBotの翼。羽根は弾力性のあるジョイントで接続され、ひとつが動くと別の羽根も動く仕組みになっている

これには、1世紀以上も前に確立された原理に多くの点で依存する現代の飛行機の、翼のデザインを改良できる可能性がある。当然のことながら、いきなり急降下したり宙返りしたりといった動きは旅客機には無縁だが、ドローンや小型飛行機には、この能力が大変に役立つかも知れない。

「ここで紹介した劣駆動可変翼の原理は、航空機やロボットの、これまで考えられていたよりも高い自由度の、より経済的でシンプルな可変翼の設計に影響を与える可能性がある」と研究チームはサイエンス・ロボティクスに掲載された論文に書いている。

今後彼らは、別の種類の鳥も観察して、この技術が共通のものなのかを確かめる予定だ。レンティンク教授は、この翼に調和する尾の研究に取りかかっている。またこれとは別に、鷹からヒントを得た生体模倣ロボットの研究も行っている。それには脚や鉤爪が付く可能性がある。「アイデアはたくさんあります」と彼は打ち明けている。

関連記事:我々にぴったりの空飛ぶ生体模倣ソフトロボットBat Bot(未訳)

画像クレジット:Stanford University

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(翻訳:金井哲夫)

サブスク型個人会計ソフトのCopilotは打倒Mint

10年以上前にIntuit(インテュイット)がMint(ミント)を買収した時、モバイルは今とは違う場所にあった。フィンテックも同様だ。一方、個人用会計アプリ分野にも大きな進歩は見られていない。Mintは統合問題と厄介なデータ分別間違いでつまづいた。多くの人にとって、ベストな代替手段はスプレッドシートを立ち上げることだった。

Copilot(コパイロット)は元Google社員が作った新しい個人向け会計アプリで、そのスリムなデザインと使いやすさで人気を呼びそうだ。サブスクリプション方式のiOSアプリで、ユーザーは個人の財務データを入力し、取引のカテゴリーを追加したり、予算を立てたりすることができる。過去数ヶ月は招待のみだったが、米国時間1月19日に一般公開された。

創業者のAndrés Ugarte(アンドレス・ウガルテ)氏はTechCrunchの取材に答えて、Googleに8年間務めた(最近では実験プロダクト部門Area 120)後、Mintの買収以降パーソナル会計分野の進歩が遅いのを見て、この取組みを始めたと語った。

「過去8年間パーソナル財務アプリを使おうとしてきたが、結局諦めた」とウガルテ氏は言う。「なんとか独自のカテゴリーを追加したりデータを修正ししたりて、すべての項目が正しく分類されるようにして使えるアプリにしたかった。しかし、アプリは同じ誤りを繰り返すだけで賢いとは感じられず、いつもがっかりしていた」。

私はCopilotをこの数時間いじってみて、これまでのところ気に入っている。デザインは他社と比べて親しみやすく、何よりの強みは、思い通りに自動分類されなかった項目のカテゴリーを簡単に変更できることだ。複数のアカウント間のやり取りを記録したり、1回限りの特別な買い物を予算から除外することもできる。こうした機能を提供しているアプリはほかにもあるが、Copilotは、特定の取引先の項目すべてをあるカテゴリーに分類するか、予算から完全に除外するかを選んでマークすることができるので、アプリはユーザーの行動を学習できる。

ある意味で、Copilotのキラー機能は、Plaidがいかによく出来ているかを示すものでもある。Copilotは、このVisaが買収した財務サービスAPIのスタートアップに強く依存しており、私にはなぜこのスタートアップが成功しているのかがよくわかる。他のサービスとのわかりやすい連携は、Copilotのスムーズな導入プロセスとあいまって、アプリのよく考えられたデザインをすぐにユーザーが感じられる。

関連記事:Visaが5800億円でPlaid買収、最終的な評価額は倍に

Copilotには限界もある。主な理由は現在チームにふたりしかいないことで、デスクトップとAndroid版を期待している人は少し待つことになる。月額2.99ドルのサブスクリプション料金にためらうを感じる人もいるかもしれないが、自分の財務情報を全部アクセスできる無料アプリを避けるべき理由はいくつもある。Copilotはユーザーの財務情報を売ったり第三者に渡すことはない。

ウガルテ氏は持っていたGoogle株を売ることで、ほぼ自己資金でここまでやってきたが、つい最近25万ドル(約2750万円)のエンジェルラウンドを済ませ、さらに追加の資金調達を考えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

【増席しました】いよいよ1月23日開催!TC School #17「チームビルディング〜チームを拡大する」

TechCrunch Japanは通算17回目となる「TechCrunch School」を2020年1月23日に開催する。今回もスタートアップのチームビルディングに焦点を当てたイベントで、2019年の4月、6月、9月に続いて4回目だ。

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前回のTechCrunch Schoolの様子

2020月1月23日に開始するTechCrunch School #17は、「チームを拡大する(拡大期の人材採用)」をテーマとし、おなじみのキーノート、パネルディスカッション、Q&Aの3部構成となる。

キーノートには、千葉道場ファンドの石井貴基氏が登壇。千葉道場ファンドは、シード、アーリーだけでなくレイターステージのスタートアップを支援するために2019年10月に設立されたファンド。石井氏はパートナーを務め、ジェネラルパートナーである千葉功太郎氏とともにさまざまな業種のスタートアップの育成を進めている人物だ。

千葉道場ファンドの石井貴基氏

自身もアオイゼミというインターネット学習塾を起業した経験を持ち、2017年11月にはZ会ヘの同事業の譲渡も経験している。基調講演では、起業から事業譲渡までに得た経験や知識、千葉道場ファンドのパートナーとしてレイターステージのスタートアップが抱える問題などについて語ってもらう。

パネルディスカッションでは、石井氏のほか、ビジネスチャットツールを開発・提供しているChatworkの代表取締役CEO兼CTOを務める山本正喜氏、さまざまなスペースを1時間単位で貸し借りできるプラットフォームを運営するスペースマーケットで取締役CFO兼人事責任者を務める佐々木正将氏、そしてエン・ジャパン執行役員の寺田輝之氏の4名で、IPO後の人材採用についての方針や悩みなどを議論していく。Chatworkは2019年9月25日に東証マザーズに上場、スペースマーケットは12月20日に東証マザーズに上場予定だ。

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Chatworkの代表取締役CEO兼CTOを務める山本正喜氏

スペースマーケットでCFOを務める佐々木正将氏

そのあと、来場者を交えたQ&Aセッションを開催する。Q&Aセッションでは、おなじみの質問ツール「Sli.do」を利用して会場からの質問も募集し、その場で回答していく。

イベント会場は、TechCrunch Japan編集部のある東京・外苑前のベライゾンメディア・ジャパンのイベントスペース。Q&Aセッション後はドリンクと軽食を提供するミートアップ(懇親会)も予定している。

スタートアップの経営者はもちろん、スタートアップへの転職を考えているビジネスパーソン、数十人の組織運営に課題を抱えているリーダーなど幅広い参加をお待ちしている。なお、申し込み多数の場合は抽選となるので注意してほしい。

TechCrunch School #17概要
チームビルディング(4) チームを拡大する(拡大期の人材採用)
開催日時:1月23日(木) 18時半開場、19時開始
会場:ベライゾンメディア・ジャパンオフィス
(東京都港区南青山2-27-25 ヒューリック南青山ビル4階)
定員:80人程度(申し込み多数の場合は抽選)
参加費:無料
主催:ベライゾンメディア・ジャパン/TechCrunch Japan
協賛:エン・ジャパン株式会社

イベントスケジュール
18:30 開場・受付
19:00〜19:05 TechCrunch Japan挨拶
19:10〜19:40 キーノート(30分)
19:45〜20:25 パネルディスカッション(40分) Sponsored by engage
20:25〜20:45 Q&A(20分)
20:45〜21:30 ミートアップ(アルコール、軽食)
※スケジュールは変更の可能性があります。

スピーカー
・キーノート
千葉道場ファンドパートナー・石井貴基氏

・パネルディスカッション、Q&A
千葉道場ファンドパートナー・石井貴基氏
Chatwork代表取締役CEO兼CTO・山本正喜氏
スペースマーケット取締役CFO兼人事責任者・ 佐々木正将氏
エン・ジャパン 執行役員・寺田輝之氏
TechCrunch Japan 編集統括・吉田博英(モデレーター)

申し込みはこちらから

ネットフリックス、ジブリ作品を世界配信へ

米ネットフリックス(Netflix)は現地時間1月19日、スタジオジブリの21作品を、日本、アメリカ、カナダは除く国々で、2月より配信することを発表した。

同社はフランスの配給会社、Wild Bunch Internationalより、21作品の配信権を獲得。2月1日より「となりのトトロ」「紅の豚」「魔女の宅急便」など7作品、3月1日より「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など7作品、4月1日より「ハウルの動く城」「風立ちぬ」「思い出のマーニー」など7作品が公開される予定だ。

2019年10月には、米ワーナーがジブリ作品を2020年5月にローンチする同社の動画サービス「HBO Max」で配信すると報じられていた

1日70円で傘を借りられるアイカサが水戸市で面展開、行政との初協定締結も

LINEを使って傘を1日70円、1カ月420円で借りられるシェアリングサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Groupは1月20日、茨城県水戸市と観光活性化事業に関する協定を締結したことを明らかにした。同時に、水戸市役所や千波湖・保和苑などの施設約10カ所と、JRの水戸駅、赤塚駅、内原駅の6カ所にアイカサスポットを設置する。

アイカサは、LINE上で傘のレンタルから決済、返却までを処理できるシェアリングサービス。アイカサ専用の傘はダイヤル錠を搭載しており、そのままでは使えない。傘に張り付けられているQRコードをLINE上で読み込むことでレンタル・決済が可能だ。決済後は、該当の傘のロック解除番号が通知され、実際に使えるようになる。返却時もアイカサスポットに掲示されているQRコードをLINE上で読み取ることで返却処理が完了する。料金は1日あたり70円ごと加算されていくが、6日目以降は420円のまま1カ月借りられる。そのほか月額280円で傘が使い放題になる定額サービスもある。

アイカサの登録人数は1月20日時点で7万3443人、加盟店舗数は770店。今回は水戸市との提携で、JRの駅については3駅、6カ所に留まるが、市内の観光施設に面展開して居るのが特徴だ。水戸駅などを起点として観光施設を巡る際にアイカサを使ってもらおうという考えだ。具体的にアイカサスポットが設置される場所は以下のとおり。

  • 水戸市役所本庁舎
  • 千波湖西駐車場
  • 常盤町駐車場
  • 保和苑
  • 水戸市植物公園
  • 水戸市森林公園
  • 七ツ洞公園
  • 水戸芸術館
  • アダストリアみとアリーナ
  • 弘道館東側広場
  • JR水戸駅(3カ所)
  • JR赤塚駅(1カ所)
  • JR内原駅(2カ所)
  • ファーストトラスト管理駐車場20カ所(2019年11月上旬以降に設置済み)

     

ロサンゼルスのWoman’s Marchは女性運動の連帯と鼓舞に最新テクノロジーを活用

今年で第3回となるWomen’s March(ウイメンズ・マーチ)におよそ30万人の参加者がロサンゼルスのダウンタウンを行進したが、彼女たちは米国を代表する有力政治家の話を聞く機会に恵まれただけではない。主催者が、この運動のために導入したテクノロジーによる新しい体験ができた。

偶然にもWomen’s Marchと同じタイミングでローンチされたSameSide(セイムサイド)と呼ばれる組織運営ツールを活用することで、選挙の投票を促す非営利団体RockTheVote(ロックザボート)とも力を合わせるWomen’s Marchの主催者は、今年の大統領選挙に向けて、この行進のエネルギーを、地方や国レベルの女性問題に対処するための、もっと大きな政治的運動に発展させたいと考えている。

同時に彼らは、公共の空間を汚すことなく、このイベントにアートやアーティストを巻き込も方法を模索していた。そこで目を付けたのが、まだローンチ前の新しいアプリケーションMark(マーク)だ。

Markは、デンマークのゲーム開発企業Sybo(シボ)と中国のモバイルゲームのパブリッシャーiDreamSky(アイドリームスカイ)とのジョイントベンチャー。拡張現実によってデジタルな形でストリートアートを恒久的に残せるというもの。設立から2年目の企業でアプリはまだベータ版だが、Women’s Marchで初めての製品テストを行うことを決めた。

同社は、最大で総額30万ドル(約3300万円)と、アプリを新規ダウンロードしたユーザー1人につき最大で100ドルを寄付することに合意している。ユーザーがアプリをダウンロードして、このイベント期間中にアカウントを開設し最初のシェアを行うと、Markから1ドルが寄付される。残りの寄付は、その後も、アプリを続けて使用し、Markから投稿を複数シェアしたときに実施されると同社は話している。60日間連続してログインしてMarkで拡張現実作品を20本投稿すると、Women’s Marchに100ドルが寄付される仕組みだ。

画像提供:Mark

「どの運動もアートを取り入れています」とWomen’s March財団ロサンゼルス事務局長Emiliana Guereca(エミリアナ・グレカ)氏は話す。「社会正義芸術とテクノロジーと社会運動が、ここでうまく融合しています。テクノロジーではありますが有機的です」。

ARCoreには、Googleの耐久性の高いクラウド・アンカーを使っているため、どこかに絵を描けば恒久的に保存され、Markを使っていつでも見たり変更したりができる。ロサンゼルスでは、同社は国際的な米国人アーティストのAmy Sol(エイミー・ソル)、Sam Kirk(サム・カーク)、 Faith XLVII(フェイス47)、Ledania(レダニア)、Fatma Al-Remaihi(ファトマ・アル・ルマイヒ)と協力して作品を制作し、行進のルート上のさまざまな場所で見られるようにした。

Women’s MarchはMarkのデビュー会場となったわけだが、同社は、政治に関連する場所は避けた。「私たちは、できるだけ政治的中立を保ちたいと思っています」とMarkの最高責任者Jeff Lyndon Ko(ジェフ・リンドン・コー)氏は言う。コー氏は中国・深圳の上場ゲームパブリッシャーiDreamSkyの創業者であり、その新しい会社は中国当局の統制が厳しいソーシャルメディア市場では活動できなかったものと広く考えられている。

「このプロジェクトには、大中華圏の外に多くの脚を伸ばせる可能性があります」とコー氏は言う。中国の株主たちにとって(iDreamSkyはMarkに投資している)、米国の女性運動は未知の領域だ。「中国のチームは、何それ?って感じです」とコー氏。

Markとの協力が人々を鼓舞することを目的としているならば、Women’s March財団ロサンゼルスがSameSideと行っている活動の目的は、行動を促すことにある。

政治に焦点を当てたアクセラレーターHigher Ground Labsを卒業したSameSideは、Nicole a’Beckett(ニコール・エイベケット)と、海軍特殊部隊出身の兄とで創設された。2人は協力して政治的関与と社会活動を結びつけ、共通のイデオロギーと目的を持つコミュニティーを育てるソーシャルネットワークを構築した。

関連記事:Higher Ground Labsはテクノロジーが2020年大統領選挙を民主党有利にすると予測(未訳)

SameSideは、重要な日の通知やリマインダー、それに社会的イベントに参加してくれそうな政治活動家のデータベースも提供する。言うなれば、政治に特化し、メンバーに重要な日を伝えたり将来の活動のための行動を呼びかける機能を追加したMeetupのようなものだ。

「Women’s Marchで、SameSideが非公式ローンチされます。プラットフォームを提供することで、ロサンゼルスのWomen’s Marchを活動の媒体にして、いたるところで人々が関連イベント、例えばプラカードを作るパーティー、行進の前の朝のミートアップお茶会、行進に参加できない人のためのハウスパーティーなどを設定できるようになります。また、SameSideでは、さまざまな関連イベントやロサンゼルスのWomen’s Marchに出欠の返事をすたすべての人に、RockTheVoteが制作した選挙人登録活動キットを配布します」とエイベケット氏はメールに書いてくれた。

Woman’s March財団ロサンゼルスの主催者は、行進の参加者にとって、政治への関与が次なる重要なステップだと考えている。「行進の後の、やることリストがあります」とグレカ氏。「SameSideを仲間にしたことで、人々がつながれるようになりました。スマートフォンを使ってどのように運動を継続させるかが、とても重要なのです」。

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(翻訳:金井哲夫)

4万円のヘッドバンド「Muse S」で安眠できるのか実際に試してみた

睡眠はウェアラブル健康機器分野にとって次の戦場だ。スマートウォッチとフィットネスバンドが数年前に挙って手を染めたが、手首でできることには限界があった。

CESには、スマートベッドからアラームクロック、ジェルクーリング・ヘッドバンドまでさまざまなカテゴリーが参加していた。テクノロジー中毒のストレス満載な脳に一生に一度の安らかな眠りを与えるというシンプルな問題に、さまざまな会社がさまざまなフォームファクターでソリューションを見つけようとしている。

そんな中、Muse Sは私が最も注目する1台だ。理由のひとつは昨年発売されたこの会社の第1世代製品(Muse Softband)が驚くほど効果的だったことがある。瞑想が苦手だと自認している者として、この脳スキャン技術は本当に有効だ。瞑想が筋肉をほぐすのに似ているとしたら、Museのヘッドバンドはどの筋肉をほぐすかを知るために大いに役立つ。

Muse Sはその技術を睡眠以外へも拡張した。理にかなった方向だ。睡眠はマインドフルネス瞑想の論理的な延長であることに間違いない。また、両者は相互によく影響を与え合う。いい瞑想はいい睡眠を導き、その逆も真だ。

私はCES前にこの新ヘッドセットを入手し、ショウの最中に使いはじめた。厳しい試練だ。旅先で使ったのでいくつか新しいことが起きた。材質が硬質プラスチック製から布製材料に変わったことは、ヘッドセットをつけてベッドに入れること以上の違いがある(これをつけたまま寝るかどうかは個人の習慣による)。

私にとっての大きな利点は持ち運びやすさだ。分解してバッグに入れられることは私にとって実に大きい。最近出張が多く、飛行機とホテルの部屋を行き来する中、瞑想の時間をとることは容易ではない。頻繁に変わる時間帯も、もともと睡眠習慣に難のある私を大混乱に陥れる。ヘッドバンドを巻き、AirPodsをつけて、ただしばらくじっとしていることはいい習慣だ

Museアプリには、いくつかのガイド付きの瞑想・睡眠セッションがサブスクリプションによって提供されている。既存のサービスと提携するのがウィンウィンだと思うが、昨今どこのハードウェアスタートアップもコンテンツを取り扱う必要がある。セッションは概してよくできているが、個人的には音声ガイドよりも環境音のほうが心地いい。

前機種から引き継がれた欠点のひとつが、瞑想の前に校正作業が必要なことだ。問題、というほどではないが、毎朝のルーティンに余分な時間がかかるのは確かだ。

その独自の瞑想は今も私のお気に入りだ。Museが心の迷走を検知すればするほど、雨音が大きくなる。集中を取り戻すと、雨は鎮まり、鳥が鳴き始める。ゲーム的(うっとうしい用語であり瞑想の話題のなかでは特に聞きたくない)要素もあり、最後に鳥の数が知らされる。奇妙だとは思うが、Fitbitなどのおかげで自分の健康や習慣を数値化することに慣れている時代には多少意味があるのかもしれない。

私にとっては睡眠効果はまだ結論がでていない。数週間してから効果の有無をお伝えできればと思っている。私は今も落ち着かない状態で、ヘッドバンドをつけるのには慣れが必要だ。いくつか考慮が必要な点もある。例えば、ヘッドバンドは電源ライトが下を向いた状態で着用するのがベストだが、そうすると光が目に入ってくる。そこでアイマスクをすることにした。私は毎晩ベッドに入るたび、徐々にダース・ベイダーに変わっていくような気がする。彼は赤ん坊のように寝ていたのでそれもいいだろう。

Muse Sは、安いとはいえないが350ドルで買うことができる。ガイド付き瞑想サービスのサブスクリプションは約100ドル(今は割引で55ドル)。この価格は多くのユーザーにとって法外と感じるだろう。それでも私はしばらく使い続けるつもりだ。もし、薬を使わずに安眠できるようになるなら安い投資だ。

CES 2020 coverage - TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

サムスンがインドにスマホ向けディスプレイ工場設立、約550億円を投資

かつてインドのスマートフォン市場をリードしていたSamsung(サムスン)は、インド事業に5億ドル(約550億円)を投資し、ニューデリー郊外にディスプレイ製造工場を設立する。

サムスンは今月初めに現地当局に提出した書類の中で、この投資と計画を明らかにした。同社によると、この工場ではスマートフォン向けのディスプレイをはじめ、さまざまな電子機器を生産する予定だという。

また提出書類の中でサムスンは、(首都デリー南東近郊の産業都市である)ノイダの既存工場の土地の一部を新工場に割り当てたことを明らかにした。

サムスンは2018年、世界最大のモバイル製造工場をノイダに開設した。その工場のために、同社は約7億ドル(約770億円)を費やすことを約束した。

この新工場は、サムスンによるスマートフォン部品の現地生産能力をさらに高め、ニューデリーで提供されるさまざまな税制上の優遇措置を受けるために役立つはずだ。

これらの利点は、インドでのサムスンのリードに終止符を打った中国のスマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)と対峙する同社にとって、非常に役に立つだろう。

現在、5億人近いスマートフォンユーザーを持つ世界第2位の市場のインドにて、サムスンは第2位のスマートフォンメーカーだ。一部のアナリストによると、サムスンはここ数カ月、中国Realmeに市場シェアを奪われており、また同ブランドは2019年の第4四半期にサムスンのシェアを上回る見通しだという。

TechCrunchはこの件に関して、サムスンにコメントを求めている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Yperが東京電力と強力タッグ、ガス新規契約者の先着5000人に置き配バッグOKIPPA無償配布

Yperは1月20日、東京電力エナジーパートナーと連携し、東京電力が提供する家庭向けガスサービスの新規契約者を対象に、簡易宅配ボックスOKIPPA(オキッパ)を先着5000名にプレゼントするキャンペーンを開始した。

キャンペーンの応募資格は、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬の東京電力のサービスエリア内で、電気に加えてガスを新規契約する利用者。さらに、新規加入者全員に3カ月間連続でYperから日用品がプレゼントされるほか、毎月10名には家電などの商品がもらえるキャンペーンも実施する。キャンペーン期間は2月29日まで。

OKIPPAは2018年9月中旬の発売開始から全国13万世帯以上に普及している吊り下げ式の簡易宅配ボックス。専用アプリを連携させることにより、再配達ストレスをゼロにする。OKIPPAバッグに荷物が配達されるとアプリに通知が入るほか、万が一再配達になった場合もアプリから素早く再配達を依頼できる。100円/30日のプレミアムプランに加入すれば、東京海上日動と共同開発した専用の盗難補償「置き配保険」も利用可能だ。

500万ユーザー間近の学習管理SNS「スタディプラス」が7億円調達、大学からの広告収益が拡大

学習管理SNS「Studyplus」など教育領域で複数の事業を展開するスタディプラスは1月20日、RFIアドバイザーズが運営するファンドをはじめとする複数の投資家より総額約7億円を調達したことを明らかにした。

今回は同社にとって2018年5月に発表した資金調達に続く、シリーズCラウンドという位置付け。旺文社ベンチャーズや増進会ホールディングス(Z会)、新興出版社啓林館など教育系の事業会社も数社加わっていて、一部の投資家とは事業面でも連携しながらさらなる成長を目指していく計画だ。

主な投資家は以下の通り。VCや事業会社のほか、個人投資家も含まれるという。

  • RFIアドバイザーズ
  • 博報堂​DY​ベンチャーズ
  • 西武しんきんキャピタル
  • みずほキャピタル
  • 旺文社ベンチャーズ
  • 横浜キャピタル
  • 池田泉州キャピタル
  • ユナイテッド
  • 増進会ホールディングス
  • NSGホールディングス
  • 新興出版社啓林館

主力のStudyplusは大学からの広告収益が拡大

スタディプラスは2010年設立のEdTechスタートアップ。2012年3月スタートのStudyplusに加えて、SaaS型の教育事業者向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」や電子参考書のサブスクアプリ「ポルト」を運営している。

中でも主力事業のStudyplusはビジネスサイドも含めて大きく成長しているようだ。現在の会員数は495万人を突破。特に大学進学希望の高校3年生の3人に1人が利用しているなど、受験を考えている高校生のシェアが高いのが特徴だ。

機能面でも日々の勉強時間を記録できる機能を軸として目標管理や先輩の体験記、参考書レビュー、コミュニティなど大学受験を控えるユーザーをサポートする仕組みがいくつも取り入れられている。

ユーザーには無料でこれらのサービスを提供し、広告で収益をあげるモデル。スタディプラス代表取締役の廣瀬高志氏や取締役CFOの中島花絵氏によると、高校生が日常的に使っているアプリという特性もあって「大学からの広告売り上げがかなり拡大している」という。

「少子化により定員割れしている大学も出てきている中で、受験生に効果的にアプローチしたいと考えた際に選んでもらえる機会が増えてきた。従来は交通広告や紙の新聞、高校で配られる進学情報誌などが一般的だったが、(大学としては)効果測定がきちんとできて、なおかつ受験生にダイレクトにプロモーションをしたいというニーズが強くなっている」(廣瀬氏)

「『大学広告のデジタルシフト』が1つのキーワード。一方で高校生側もたくさんの情報が溢れる社会の中で、自分にとって適切な情報を取得できているかというと必ずしもそうではない。本格的な受験勉強を始めて、偏差値がわかってから行きたい大学を決める高校生も多いのが現状だが、本来は順番が逆のはず。Studyplusは受験勉強よりも前の段階から使っているサービスなので、その特性も活かすことで進路選びにおける矛盾や課題も解決できると考えている」(中島氏)

2018年のシリーズBで調達した資金も活用しながら直販の営業部隊を構築することで、大学との直接取引が増加。それによって「(大学側が)本当に抱えている課題がわかり、本当に求められている商品設計もできるようになってきたのが大きな変化」(中島氏)だという。

教育事業者向けSaaSや参考書サブスクもさらに強化へ

教育事業者向けSaaSのStudyplus for Schoolも主に中学生、高校生を対象とする全国の学習塾・予備校約500校以上に導入が進むなど拡大中だ。

同サービスはStudyplusと連携して先生が生徒の学習進捗を管理できるほか、アドバイスや励ましなどオンライン上で手軽にコミュニケーションできるのが特徴。塾業界が徐々に集団指導型から「自立学習型」へとシフトし、ICTなどを使いながら先生がコーチングをするスタイルが浸透していく中で、現場で求められるサービスを目指しているという。

全ての生徒が放っておいても勉強するわけではないので、個々の進捗を把握しながらサポートできる学習管理サービスのニーズは高い。「Studyplusをかなりの生徒が使ってくれていることがSaaSにおいても優位性になり、現時点ではほぼ独占的に事業を展開できている」(廣瀬氏)状況だ。

また昨年9月から新規事業として始めたポルトも対応教材が43冊に増加(リリース時は30冊)。今夏には100冊まで拡大することを視野に入れている。まだ立ち上がったばかりのサービスではあるものの「1日3時間ポルトを使って勉強している」というユーザーが出てくるなど、少しずつ成果も見えてきた。

廣瀬氏によると、ユーザーに「ポルトで気になった参考書を紙で買いたいか」をアンケートで聞いたところ約3分の2が買いたいと答えたそう。参考書を何冊もカバンに入れて持ち運ぶのは大変なので、場所に応じてポルトと紙を使い分けるユーザーもすでに一定数存在するようだ。

今回の資金調達はこれらの事業を投資家とも協業しながらさらに成長させるためのもの。昨年2月にStudyplus for Schoolを軸とした業務提携を締結済みのZ会や、ポルトに参画している旺文社や啓林館とは共同での取り組みを加速させていく計画だという。

「2010年に創業してから今年で10周年になるが、ここにきて国もかなりEdTechに力を入れ始めていて、今後PCやタブレットの配布など学校の中でのICT活用も急速に進む。古参なEdTech企業としてはようやく長年地味にコツコツやってきたことが花ひらくタイミング。これまで通り3つの事業を通じて教育領域の根本的な課題を解決しつつ、プラットフォームビジネスをより強固なものにしていきたい」(廣瀬氏)

京都市大宮・西院エリアで月額約6600円の定額ランチサービスがスタート

イジゲンは1月20日、月額定額制で提携店舗にて毎日ランチが食べられる「always LUNCH」(オールウェイズ ランチ)を京都市中京区大宮エリア・右京区西院エリアで開始したことを発表した。同社はサブスクリプションプラットフォーム「always」(オールウェイズ)を開発・運営する、大分県を拠点とする2013年11月設立のスタートアップ。現在のサービスエリアは、福岡、大阪、京都、東京の4都市で、京都では河原町中心だったサブスクランチサービスが市内西部に拡大することになる。

always LUNCHは、税別月額5980円(税込6578円)で提携店舗で毎日ランチを食べられるのが特徴。2019年に新生銀行調べたビジネスパーソンのランチ代の平均額は568円で、1カ月を平日20日間と考える月あたり1万1400円かかるが、always LUNCHを利用するとランチ代を半分程度浮かせられることになる。

会計はクレジットカードで別途決済されるため、店舗と利用者での金銭のやり取りを省略できるのも特徴だ。利用者は店舗ではスマートフォンの利用画面を見せるだけでいい。同社は、個人経営者や中小企業の「安定した収益を得たい」と意見を取り入れたサブスクリプション型サービスを手掛けており、ランチの定額サービスもその一環だ。

大宮エリア・西院エリアの13店舗あり、詳細は以下のとおり。

  1. 麺屋黒船
  2. 焼肉屋ロマンポップ
  3. カメコーヒー
  4. 創作タイ料理 パッタイ
  5. Brulee
  6. 珈琲専門店トゥールビヨン
  7. ザ・ロッキンハーツ
  8. ブラザーベーカリー
  9. Cafe Chang カフェ チャーン
  10. ほっかほっか亭西院店
  11. Diningみこと
  12. 胡麻屋くれぇぷ堂
  13. 喫茶FRONT

同社は今後の取り組みとして、2月には東京・新宿エリア、大阪・梅田エリアに展開予定とのこと。

スキマ時間シェアの「タイミー」が2月から名古屋に進出

アルバイトへの応募や面接などが不要で、空いた時間にすぐ働けるマッチングサービスを運営するタイミーは1月20日、2月から東海エリアでサービスを提供開始することを明らかにした。首都圏、関西圏、福岡県周辺に続き、4エリア目となる。

1月いっぱいはテスト運営期間とし、2月1日からまずは名古屋市でスタートする。また同社は名古屋でのサービスインに併せて名古屋支店も開設している。昨年10月に20億円超の大型調達に成功したタイミーは、橋本環奈をイメージキャラクターに採用したテレビCMを放映中で認知度アップを図っている。

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