リアルタイムでトラックした卓球の軌道を表示、大阪大学発ベンチャーQonceptのスポーツAR


Qonceptの技術とプロジェクションマッピングを利用したデモ。リアルタイムでプレイヤーの打った球の軌道をトラックできる

C向けの顔認識でARを楽しめるアプリはいくつかあるが、スポーツ分野でもARの活用が進んでいるようだ。4月24日、画像処理技術を開発する大阪大学発のベンチャーQoncept(コンセプト)は、データスタジアムと共同研究機関「Ath-Tech Lab(アステック・ラボ)」を設立した。それと同時に、Ath-Tech Labの第一弾プロダクトである「卓球トラッキングシステム」が国際卓球連盟に採用されたことを発表している。

この卓球トラッキングシステムは、その名前が示すように、卓球のボールの軌道をトラックするプロダクトだ。ボールの軌道と速度が分かり、そうしたデータから選手がどこに打ち返しているか、ボールにスピンがかかっているかなども算出できると、Qonceptの代表取締役社長兼CTOを務めるのは林建一氏は説明する。この技術は、今年の世界卓球選手権デュッセルドルフ大会の国際映像での採用が決定している。

卓球トラッキングシステムは、2台のカメラでボールの3次元の移動方向や速度をトラックしている。これまでこうしたトラッキングを実現するには、高性能なパソコンやカメラが必要だったが、彼らのプロダクトは、Mac1台の処理能力があれば十分にトラックできるのが特徴だという。以下の動画はバレーボールでの軌道トラックの様子だ。

 

2008年7月に設立したQonceptは、スポーツに限らず、建築や自動運転でも活用できる画像処理技術を開発していると林氏は説明する。一方、データスタジアムはメディアやスポーツチーム向けにデータ分析のソリューションを提供している会社だ。Ath-Tech Labでは両社が協力し、スポーツ領域でのAR技術の研究開発を進めるという。

こうしたスポーツのトラッキングシステムはプロ向けに制作しているものだが、今後の展開として、スマホで使えるC向のトラッキングサービスを展開することも考えていると林氏は言う。例えば、草野球でも手軽に選手のデータを分析できるプロダクトを想定しているそうだ。

「広告などでAR技術が使われるようになってきましたし、SNOWといった動画アプリも基本的にはARです。ARが少しづつ浸透していきていて、それが動画でもっと応用されるようになると思います」と林氏は話している。

先日、Facebookは自社の開発者カンファレンスF8でARプラットフォームを発表したのも記憶に新しい。すでに広く普及しているスマホでARが気軽に利用できるようになるなら、もしかするとARはVRより早く人々が身近に利用するものになるかもしれない。

ボールと選手全員にセンサーをつけてバスケの試合をリアルタイムで分析するShotTracker、ファン用アプリもある

今週のクールなスポーツハードウェアは、こいつだ:

カンザスシティーのShotTrackerが作ったチーム用のシステムは、バスケットボールの試合の最初から最後までの経過データをリアルタイムで収集分析する。そのデモが、今週カンザスシティーで開催されているトーナメントNAIA D1 Men’s National Championshipの、31の出場チームすべてに対して行われている。トーナメント戦用のリアルタイムの自動化データ収集システムは、これが初めてだ。

まず、各選手は自分の靴紐に小さなセンサーを結びつける。ボールの内部にも、センサーがある。そしてコートの周囲にも、垂木の高い位置にセンサー〔受信器?〕があり、ボール内と各選手のセンサーの位置を追う。10名の選手とボールがコート内にあるかぎり、それらの位置をリアルタイムで追い続ける。

そのデータから、各瞬間の選手とボールの位置と動きが三次元で分かるが、システムはそれらのデータをリアルタイムで分析する。そしてユーザーには、シュートチャートや、シュート試投、その成功、失敗、ターンオーバー、アシスト、スチール、リバウンド、などがいつどこで起きたか分かる。

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監督とチームはそれらのデータにリアルタイムでアクセスでき、観客のファンたちもShotTrackerのアプリで見られる。以前はデータの収集も分析も複数の人間による人力だったので、お金のないチームにはできなかった。

ShotTrackerが最初にローンチしたのは、アマチュアの選手がシュートのフォームを改善するためのハードウェアデバイスだった。そしてそのあと、今の、リアルタイムでデータを分析するチーム用製品に方向を変えた。

同社は最近、Magic Johnsonと元NBAのコミッショナーDavid Sternから500万ドルのシード資金を調達した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookでアメリカのサッカーリーグが観戦可能に

ライブストリーミング業界が盛り上がりを見せるなか、Facebookがある重要なディールを締結した。今後、Facebook上でメジャーリーグサッカー(MLS)の試合(少なくとも22試合)がライブ配信されるようになるのだ。MLSおよびUnivision Deportesとのパートナーシップ締結により、Facebookは2017年度のMLSレギュラーシーズンで行なわれる試合を英語で配信する権利を得た。インタラクティブな要素を多く含んだビデオコンテンツも同時に配信される。

このストリーミングコンテンツでは、Facebook独自のコメンテーターによる解説、インタラクティブなグラフィック、ファン参加型のF&Qコーナーや投票コーナーなどが設けられており、試合中に視聴者がコメンテーターたちと交流することが可能だ。

これらの試合はUnivisionでもスペイン語で配信されている。しかし、英語で配信する権利を持つのはFacebookだけだ。

このディールの一部として、MLSは「Matchday Live」と呼ばれるオリジナルのサッカー分析番組を40本製作し、彼らのFacebookページに投稿することが決まっている。この番組では同リーグの試合ハイライトやディスカッションなどを楽しむことができ、今後予定されている試合のプレビューも見ることが可能だ。

Matchday Liveのパイロット版はMLSが開幕する週末に放映されており、その後のエピソードは米国東部時間11日午後4時から順次放映されている。

試合のライブストリーミングはUnivision DeportsのFacebookページで視聴可能だ。第一弾となるのは、Atlanta United対Chicago Fireの試合で、東部時間3月18日の午後4時からの放映となる。

試合の様子はデスクトップとモバイル両方のFacebook Liveプラットフォームを通して配信される。The WSJによれば、放送ではモバイルでの視聴用に最適化されたカメラアングルが導入され、試合の合間に広告を表示するなどの施策が試験的に行なわれるそうだ。

Univisionによれば、同社のネットワークを利用してサッカーを観戦する英語話者の数は現在1800万人だという。今回のディールにより、そのようなファンへのリーチの幅を広げ、サッカーというスポーツへの関心度も高めていきたい狙いだ。

「私たちには情熱を持ったファンたちに応えるという使命があります」とMLS Business Venturesプレジデント兼マネージングディレクターのGary Stevenson氏は話す。「パートナーたちと手を組み、サッカーの試合をはじめとする私たちのコンテンツを、いつでも、どこでも、そしてどんなデバイスを持つファンにも届けていきたいと思っています」。

プラットフォーム上でライブ放送されるスポーツの試合を増やそうとしてきたFacebookにとって、このディールは重要なものだ。同社はこれまでにも、米国代表のバスケットボールチーム(男子/女子それぞれ)の試合をFacebook Liveで提供してきた。昨年には、Orlando PrideManchester United-Evertonのサッカーの試合や、スペインの女子サッカーリーグの試合を放送していた。同社はお気に入りのチームの動向をフォローできる「Sports Hub」と呼ばれる専用ページもローンチしている。

The WSJが2016年に報じたところによれば、Facebookは合計で400万ドルの費用を使ってスポーツチームやアスリート達にFacebook Live機能の利用を促している。また、FacebookがMLB(野球のメジャーリーグ)の放映権取得を試みていることが2月のReutersの報道により明らかとなっている。今回のMLSとのディールはこれまで報じられることはなかった。

ただ、スポーツチームと契約を結ぶのは簡単なことではない。大手テレビメディアとの既存契約により、放映権をFacebook Liveのような新しいプラットフォームに与えられる範囲が制限されているからだ。

しかし、多くの企業がこの分野に参入しようとしているのは明らかだ。例えば、Twitterも同社のライブコンテンツを強化しようとしている最中であり、過去にウィンブルドンMLB、NHL(アイスホッケー)NBA(バスケットボール)、NFL(アメフト)などとディールを結んでいる。

スキー板の上にLEDで情報を表示するスマートスキーRossignol Hero Master、センサー技術はPIQが提供

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そろそろ冬も半ばを過ぎたから、スマートスキーという話題など、どうだろう? プロトタイプを共同で作ったのは、フランスのPIQRossignolだ。両社が目指したのは“世界初のコネクテッド・スキー”(インターネットに接続されたスキー)で、ビンディングの前にあるLEDの配列で情報を表示する。

データはPIQのナノコンピューターRobotが集め、スキーの現在のスピードやターンの角度、切り替えなどをリアルタイムで表示する。このRossignol Hero Masterと名付けられたスキーはまだプロトタイプだが、PIQはこれまでにボクシングやテニス、ゴルフなど各種のスポーツ用のセンサーを作っている。

しかしこれまでの製品と違ってこのスマートスキーでは、スポーツ用具本体にディスプレイがある。ただし、スロープを滑降中のスキーヤーがはたして、それらのデータを見てくれるか、それが問題だ。

でも今のところ表示される情報は、安全性よりもおもしろい分析が中心のようだ。ちょっとしたお楽しみ、といったところか。ミュンヘンで行われるスポーツ業界の見本市、ISPO 2017で初お目見えする予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

免許電子化プラットフォームのSigmaが435万ドルを調達

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モバイルアプリ検索エンジンQuixeyの元社員が新たに設立したSigmaは、今でもアナログな手段に頼っている資格の認証や登録業務をオンライン化することを目指している。このゴールを実現するため、この度同社はAndereessen Horowitsが中心となったシードラウンドで435万ドルを調達した。

彼らのビジネスのアイディアは、2014年末にSigmaの共同ファウンダー兼社長のTomer Kaganが友だちと一緒に、ベリーズへスキューバ旅行に行ったときに生まれた。彼らはそれぞれ、Professional Association of Diving Instructors(PADI)から発行された免許を持って旅行先へ向かった。

当時、PADIが発行する免許はダイビングをする上で欠かせないもので、携帯していなければダイビングができないようになっていた。しかしプラスチックの免許に頼った確認というのは、ダイバーだけでなく、インストラクターやダイビングショップにも問題を生じさせていた。

ダイバーはダイビングの記録を自分たちで台帳に残さなければならず、ダイビングショップやインストラクターがその証拠をPADIに渡したあとに免許が発行されていた。つまりダイビングに関わる人全員が、他の人から受け取った情報を信じながらそれぞれの役割を果たしており、しかもその情報を検証するのも簡単ではなかった。

Kaganや彼の友人は、今の時代になぜ免許がオンライン化していないのだろうと考えずにはいられなかった。なぜ紙の台帳やプラスチックの免許というアナログな仕組みに縛られなければいかないのだろう?全ての記録をオンライン化するにはどうすればいいのだろう?

その頃KaganはQuixeyのCEOを務めていたが、そのアイディアを捨て去ることができなかった。そこで2015年の秋に、彼は自らのアイディアを100人ほどの小さなフォーカスグループで発表した。そして翌年1月、Quixeyでパートナーシップ担当ヴァイスプレジデントを務めていたJacob Orrinが、Kaganにアイディアを実行したいと持ちかけた。

OrrinはほとんどがQuixeyの社員から構成されたチームをまとめ、Sigmaの最初のバージョンとなるシステムの開発に取り掛かった。そして友人や家族から集めた少額の資金を使いつつ、彼らは2016年8月にリミテッドアルファ版をローンチした。それからすぐに、スカイダイビングのインストラクターやドロップゾーンの運営者がSigmaに興味を示しはじめた。

スカイダイバーやスキューバダイバー、そしてそれらのスポーツを管理している団体は、ダイビングの記録や免許確認に関して同じような問題を抱えていた。どちらのスポーツにおいても、間違いは生死に関わる。例えばカリフォルニア州ローダイ(Lodi)では、昨年スカイダイビング中の事故で死亡者が出た。そして調査の結果、インストラクターがUnited States Parachute Association(USPA)から認証を受けていなかったということがわかったのだ。

このような背景を考えると、免許のデジタル化を求める声が挙がっているのにも納得がいく。そしてUSPAは、Sigmaを使ったメリット(オンライン上のバッジのようなもの)と免許の発行を初めて採用した大手アウトドアスポーツ団体になった。スカイダイバーは、これまで紙のライセンスを提示していたドロップゾーンで、今後はデジタルのメリットと免許を見せるだけでよくなる。

参加者の活動記録や免許が未だに紙のシステムで管理されているアウトドアスポーツの団体というのは、Sigmaの最初のターゲットとしてはうってつけだ。なお、どんな団体でもSigmaのシステムに参加できるが、Sigmaが公式であると確認した団体しかメリットの発行はできない。

あるアウトドアスポーツをやっている人は、ほかのスポーツにも興味を持っていることが多いということが、Sigmaが最初にアウトドアスポーツに目をつけた理由だ。現在Sigmaは他の分野へ進出する前に、アウドドアスポーツでネットワーク効果を築きあげようとしている。

他にSigmaのサービスが役立つ業界として、例えば全体を統括する団体のいない免許が必要な仕事を考えてみてほしい。むしろ履歴書に載っているほとんどの役位や職位が自己申告で、粉飾されているものも多い。

今年から正式に共同ファウンダー兼社長としてSigmaに参加したKaganによれば、同社のゴールは現在自己申告制のものも含め、現在オンライン化できていない全ての実績や資格のメリットをつくることだ。

短期的に見たときの勝算のある確かな市場戦略と長期的に見たときの大胆な目標もあって、Andreessen HorowitsのJeff Jordanは、Sigmaの435万ドルのシードラウンドでリードインベスターを務めることを決めた。

Jordanはそれ以前にもQuixeyに在籍していたKaganと何度か顔を合わせたことがあり彼を評価していたが、結局Quixeyへ投資することはなかった。そんなJordanも、Sigmaのアイディアにはすぐに共感した。

実はJordan自身もダイバーで、PADIのアナログな免許制度の非効率さをよく知っていたのだ。そして彼はSigmaのサービスが、ダイビングやスカイダイビング以外の分野にも応用できると感じた。

「競合企業はあまり見当たらず、特にアウトドアスポーツのような分野であればなおさらです」とJordanは話す。「しかし(Sigmaが)他の分野にも対応できるのを願っています」

Andreessen Horowitz以外にも、SigmaのシードラウンドにはWI HarperやSusa Ventures、Azure Capital、Greylock Partners、Sherpa Capitalのほか、Adam D’Angelo、Adam Foroughi、Auren Hoffman、Paul Ferris、Holly Liu、Jay Eumなどのエンジェル投資家が参加していた。

現在Sigmaは11人強で構成されているが、サービスのスケールにあたって今後人員を増やしていく予定だ。さらにアーリーアダプターのUSPA以外にも、アウトドアスポーツの団体へのアプローチを考えている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インソールを作っているDigitsoleから本格的なネット接続型スニーカー、靴底の各部にかかる圧力をチェックする

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Digitsoleといえば、誰もが知っているのがあの、インターネットに接続される加温式のインソールだ。今年のCESで同社は、靴用のインナーの専門家として、とても意欲的な製品を披露した。今回の製品はインナーではなくて、靴そのものだ。

名前は“The Active Cushioning Run Profiler”となっていて、とてもAir Jordanと張り合うつもりの製品ではなさそうだ。実物はまだ見てないが、最高にセクシーなスニーカー、というわけでもない。

でもそんなことは、この製品にとってどうでもよいことだ。靴本体を発売するのも、今回が初めてではなく、過去のCESでは、自動靴紐結びタイプの、異様にかさばったスニーカーを出品したこともある。本気で売る気を見せているのは、今回が初めてだと思うが、発売予定は“年内”、という漠然とした発表だ。

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機能はとても多くて、靴底各部のクッション性を調節できるから、ユーザーはそれらを自分がいちばん走りやすいように設定できるし、衝撃による傷害も防げる。やりすぎ、という気もするが、同社は、これは三年がかりの開発努力の成果だ、と言っている:

NeoTechのマイクロセルポリマーを採用して、中底の場所によって硬度を変えられる。そのために必要なエネルギーは、ごくわずかだ。

‘場所によって’というのは、足の裏を5つのゾーンに分割してそれぞれに圧力センサーを置き、それらに加わる力を検出する。CESの会場で現物デモをやるはずだから、そこでは、具体的にもっとよく分かるだろう。

走ったスピード、距離、歩数、消費カロリーなど、フィットネスの標準的なメニューもある。また疲労を自動的に検出するから、練習のしすぎを防止できる。

さらにもっと凝っているのは(上記だけでも十分に凝っているが)、アプリに音声によるコーチ機能があることだ。フィットネス用のヘッドフォーンにもそんな機能があるが、とにかくスマートフォンをわざわざ取り出さなくても、エクササイズのヒントとか、いろんな情報を音声で教えてもらえる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

試合中継を見ながら遊べるオリジナルのファンタジースポーツゲームをNBAがローンチ

PHILADELPHIA, PA - OCTOBER 6:  Richaun Holmes #22 of the Philadelphia 76ers dunks against the Washington Wizards in a preseason game on October 6, 2016 at Wells Fargo Center in Philadelphia, Pennsylvania. NOTE TO USER: User expressly acknowledges and agrees that, by downloading and or using this photograph, User is consenting to the terms and conditions of the Getty Images License Agreement. Mandatory Copyright Notice: Copyright 2016 NBAE (Photo by Jesse D. Garrabrant/NBAE via Getty Images)

DraftKingsやFnaDuelが運営しているデイリーファンタジースポーツゲームは、確かにスポーツ観戦の楽しさ増大させているが、ひとつのチームの試合を集中して見たいという人には向いていない。

NFLを例にとって考えてみよう。毎週日曜日に自分のファンタジースポーツのチームに、9つのチームからプレイヤーを選べるとすると、同時に別のチャンネルで生放送される9つの試合の様子を追わなければいけない可能性がある。常にチャンネルを変えながら、自分が選んだプレイヤーの様子を確認するというのは悪夢のような光景だ。

そのため、デイリーファンタジースポーツはスポーツファンのエンゲージメントを高めるためのツールとしては優秀だが、ユーザーがリラックスした状態でひとつの試合をテレビで見ながらプレイするのには適していないのだ。

このことに気付いたNBAが、NBA InPlayと呼ばれる新しいモバイルファンタジースポーツゲームをローンチした。このゲームは、リアルタイムでテレビの生中継と連動するようになっているため、ユーザーはテレビでNBAの試合を見ながら、携帯電話上で文字通りライブプレイができるようになる。

ユーザーは、試合が始まる前に対戦し合う2チームのうちどちらかを選び、クォーターごとに1番活躍するであろうと考える選手を合計4人選択するというのがルールだ。

例えば、私であれば第一クォーターにKevin Durantを選ぶだろう。彼はいつも出だしが良い。そして第二クォーターにSteph Curryだ。彼は第二クォーターにスリーポイントを量産するような気がする。と、このような感じでクォーターごとに選手を選び、そのクォーター内での彼らのパフォーマンス(得点、リバウンド、アシストなど)に応じてユーザーはポイントを稼ぐことができる。 embiid

そしてリアルタイムの要素というのが、クォーターごとに4回アクティベートできる”ターボブースト”機能だ。アクティベート後48秒間有効なこの機能を使うと、ユーザーが選んだチームの全選手のパフォーマンスに応じてポイントが追加されるほか、ユーザーが予め選んだ選手にはボーナスポイントが加算されるようになる。

NBAは”ターボブースト”のリアルタイム性を強調しており、選手がスリーポイントを打つためにジャンプする直前や、速攻でコートを駆け抜けている瞬間に、ユーザーがこの機能をアクティベートすることを想定している。

極めて時間に依存したこの機能を上手く使うには、ユーザーのアクションがゲームのサーバーと完全に同期していなければならない。視聴場所に応じて、テレビの中継自体に2〜10秒のタイムラグが生じていることを考えると、これは大変難しいことだ。

この問題を解決するため、NBA Digitalは全ての中継から発される無音信号を読み取り、ユーザーがマイクへのアクセスを許可すれば、この信号を利用してNBA InPlayとテレビで放映されている試合が同期されるようになっている。

NBA InPlayは、TNTでアメリカ時間12月22日夜8時から放送されるロサンゼルス・レイカーズ対マイアミ・ヒートの試合中に開始され、今シーズン中に(TNT、NBA TV、ESPN、ABCを通じて)全国放送される試合全てに対応する予定だ。そのため、まだまだこの新しいファンタジースポーツゲームを楽しむことができる。ユーザーは、一般リーグで他ユーザーとスコアを競い合うことができるほか、プライベートリーグを作って友だちと遊ぶこともできる。

また、このゲームに有料オプションは準備されておらず、ユーザーは完全無料で遊ぶことができる。これまでのデイリーファンタジースポーツゲームと異なる点のひとつがこれで、ゲームを完全無料にすることで、業界を取り巻く規制問題を気にしないで済むという利点がNBAにはある。しかし高得点をおさめたユーザーへの商品は準備されており、NBAからはNBA Team Storeを通じてギフトカードが贈られるほか、スポンサー企業からもAutotraderで新車を買うためのクレジットやNBAファイナルのチケットなどが贈られる。

NBA InPlayをローンチしたNBA Digitalは、NBAとTurner Sportsが共同運営している。同社は、League Passなどのデジタルイノベーションを担当しているほか、NextVRともパートナーシップを結んでいる

しかし、近日中にDraftKingsとの合併を予定している、人気デイリーファンタジースポーツゲーム企業のFanDuelが、「スポーツファンのため、ゲームにイノベーションを起こし、ユーザーの選択肢を増やしていこうとする努力の一環として」、アプリの開発にあたりNBA Digitalをサポートしていた。さらにNBAは、ファンタジースポーツ業界が成長しはじめた頃の2014年にFanDuelに投資していた

NBA InPlayのアプリはすでにダウンロードできるようになっており、米国時間の12月22日夜から遊べるようになる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

SyncThink、スポーツ現場などでの脳震盪判定にOculus Riftを活用

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ここ十年ほど、激しいコンタクトスポーツの最中に発生する脳震盪に対して注目が集まっている。脳に繰り返し衝撃を受けることにより、長期に及ぶ影響が発生することが明らかになってきたからだ。

そうした中、スポーツの現場で役立つソリューションを生み出したいと誕生したのがSyncThinkだ。設立したのはStanford Concussion and Brain Performance CenterのDr. Jamshid Ghajarだ。VRを使って脳震盪の診断をスピーディーかつ正確に行うソリューションを提供する。

開発したシステムはEYE-SYNCと呼ばれるもので、非常にコンパクトでどこにでも持ち運べるようにもなっている。現在の脳震盪チェックでは、プレイヤーが試合にとどまることができるように、周りの選手たちが「助ける」ような行動をすることもある。SyncThinkではヘッドセットを使って外部環境から切り離したテストを行うことで、プレイヤーの状態をより正確に判定できるようになっているのだ。

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システムで利用したのはDK2 Oculus Riftで、これにアイトラッキング・センサーを加えて、脳に受けた衝撃が脳震盪を引き起こしているかどうかを素早く判定できるようになっているのだ。

このシステムは既にスタンフォード大学のスポーツ授業の現場などで利用されている。試合が行われるフィールド上での利用をまず第一に考えているわけだが、コンパクトさゆえに軍隊などでの活用可能性もあるはずだと考えているそうだ。

そしてこのたび、ボストンに拠点をおいているSyncThinkは、インディアナ大学が脳震盪の研究にEYE-SYNCを用いることになったと発表した。

「脳震盪はさまざまな兆候から経験的な判断も加えて判定していました。ここに科学分析的なシステムを加えることで、より正確な判定ができるようになると思うのです」と、インディアナ大学で運動生理学のAssistant Professorを務めるKawata Keisuke氏は述べている。「脳に受けた障害の程度を迅速に判定する仕組みを確立し、兵士やアスリートたちが最高のパフォーマンスを安全に発揮できるようにしていくのが私の務めなのです」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

NFL、各チームによるSNS投稿ポリシーを緩和

OAKLAND, CA - NOVEMBER 27:  Derek Carr #4 of the Oakland Raiders celebrates after a touchdown by Latavius Murray #28 against the Carolina Panthers during their NFL game on November 27, 2016 in Oakland, California.  (Photo by Lachlan Cunningham/Getty Images)

2ヵ月ほど前、NFLはチームによるゲーム中のソーシャルメディア投稿を厳しく制限するルールを定めた。当然のことながら、反対意見が相次いだ。チームはもちろんファンも、ソーシャルメディアの有効性を否定するかのような決定に不満をつのらせていた。NFLとしては、視聴率の低迷をなんとかしたいという判断で行ったものだった。

しかしどうやら、NFLは制限を緩和する方向に転換することとしたようだ。Yahoo Financeが入手した各チーム宛のメモには、ファンとの交流にソーシャルメディアを使うことを制限付きで認める旨が記されている。

以下にNFLのソーシャルメディア・ポリシーの変更点を記しておこう。これも先述のYahoo Financeが入手した情報によるものだ。

  • 各チームは試合中にも「non-highlight」ビデオをソーシャルメディアに投稿することができる。これまでは、試合中にはいかなるビデオ投稿も行うことができなかった。「non-highlight」とは、プレイの様子を映したものはNGであるという意味だ。ただ、ハーフタイムショーの様子や、ファンの姿などは投稿できるようになったわけだ。
  • 試合中に投稿できるビデオは、各ソーシャルメディア・プラットフォーム毎に16件ずつとなった。これまでは最大8投稿までとなっていたのが倍増したことになる。
  • 試合中であっても、独自のGIF画像を投稿できるようになった(プレイの様子を映したものは投稿できない)。これまではゲーム中の様子を示すいかなるGIFも投稿することができなかった。どうしてもGIFを投稿したい場合には、特定の試合に関連しないGIFを投稿することになっていた。
  • Snapchatへの投稿は、試合中5件まで認められることとなった。これまでは、ゲーム中の投稿は一切認められていなかったのが緩和されることとなる。これにどのような意味があるのかはまだわからないが、テレビおよびNFLの公式投稿以外では、Snapchatが唯一ゲームの様子を見られるメディアということになる。
  • ルール違反に対する巨額の罰金は継続される。すなわちプレイの様子をライブでソーシャルメディアに投稿するようなケースでは、10万ドルもの罰金を課される可能性がある。

なお、Yahoo Financeが入手したというメモにはGiphyとの「試験運用の同意」についても触れられている。NFLゲームの公式や、過去の名シーンのGIFなどを提供していく予定なのだとのこと。

この件についてはGiphyに詳細を確認しているところだ。NFLが制作したGIFを公開するプラットフォームとなるようで、新たにゲーム中の様子をGIF化して公開/保存するというわけではないようだ。

今回の新しいルールでも、各チームは試合中の様子をGIF化して公開するようなことはできない。ゲームの様子をソーシャルメディアに投稿するには、NFLが制作したものを投稿するしかない。NFLが「公式」コンテンツを投稿するまで各チームは何のアクションも取れないわけで、これは依然としてチームの不満をよぶ要素ではある。

NFLも1試合しかないような場合には、即座にゲームの様子をGIF化する努力を行なってはいる。しかし試合が8つも重なるような場合にはGIF動画をつくるのにも時間がかかる。また、チームが公開したいと思う場面が、NFLの意向と一致しないケースも多い。そのような場合には、NFLに依頼して作ってもらう必要がある。当然ながら時間がかかることとなるわけだ。

とにもかくにも、ルール変更により各チームはこれまでより多くの情報をソーシャルメディアに投稿できるようになった。今後の話し合い次第では、プレイの様子を投稿できるようにもなるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H

Nikeが自動靴ひも調整シューズHyperAdaptの販売を開始

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720ドルの価格がついたNikeの自動靴ひも調整シューズHyperAdapt 1.0は、スニーカーマニア向けの商品だ。華やかな見た目で値段も高い上、Nikeは具体的な数を発表していないものの、当然ごく少数しか販売されないだろう。しかし、Tiffany Beersによると、自動靴ひも調整の仕組みは見掛け倒しではないようだ。

Nikeでシニア・イノベーターを務める彼女は、10年以上このプロジェクトに携わってきた。そもそもこのプロジェクトが生まれたきっかけは、伝説的なAir JordanのデザイナーTinker Hatfieldが、約11年前に描いたスケッチとコンセプトだった。そして、自動靴ひも調整のテクノロジーは、先日ようやくバック・トゥ・ザ・フューチャーにインスパイアされたNike Magという形で世に出ることとなった。なおこの商品は、オークションやラッフルを通じて、たった89足しか販売されなかった。

明日ニューヨークの店舗で販売されるHyperAdapt 1.0によって、自動靴ひも調整のテクノロジーをもう少しだけ多くの人が試せるようになる。「実際に使ってみるとギミックぽさも感じず、今後はこのような商品が主流になっていく可能性があります。アスリートは常に動き、彼らの足の状態は刻一刻と変化しています。そして彼らの環境に関しても同じことが言えるため、常に最適なフィット感を提供するのが重要になってきます。靴も私たちの足に合わせて変化していけばいいと思いませんか?これこそHyperAdaptが向かっている未来の靴のカタチなんです」とBeersは話す。

巨大な箱を開け、実際の商品を試してみて1番驚くのは、HyperAdaptの履き心地の良さだ。最初はちょっと窮屈に感じるかもしれないし、靴を履くときにも、上手く足を入れて、かかとの部分についている輪っかを引っ張らなければいけない。しかし、一旦履いて立ち上がると、かかとについたセンサーがトリガーとなってシステムが起動し、ウィーンという音と共に靴がぴったりと足を包み込むようになっている。

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このノイズはもちろん、実際に靴ひもを締めている機械部品の駆動音なのだが、これも嬉しい特徴のひとつと言えるだろう。というのも、正直言って700ドル以上ものお金をつぎ込んでいれば、周りにいる人に自分が自動靴ひも調整シューズを履いていると知って欲しいと感じるものだ。ソールに埋め込まれた大きな青色のバッテリーライトや、かかと上部に搭載された三色に光る5つのLEDもその雰囲気をもり立てている。

さらに両足の外側に2つの小さな青いボタンが取り付けられており、これを使って靴ひもの締め具合を調節できる。しかし、青いドットと生地の下に埋め込まれた実際のボタンの位置が完全には揃っていないため、操作するのには少々手間取るかもしれない。とはいっても、これはそこまで大きな問題ではなく、靴ひも調整の動き自体は素晴らしい。ちなみに、何か問題があったときのために、システムを再起動する手段も準備されている。

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HyperAdaptのフィット感は良いのだが、恐らく大方の予想通り、重さが問題だ。Beersによれば、Nikeはソールの中央部に埋め込まれたシステムの重さを相殺するために、アッパーにNike独自のFlyweaveとよばれる軽量素材を採用した。しかし、機械的なシステムと1回の充電で1ヶ月ももつバッテリーが搭載されていることを考えると、(軽さのために靴を頻繁に充電したいと思う人もいないだろうし)この重さが限界だろう。

重量の問題によって、HyperAdaptがランニングシューズとして機能するかや、徒歩での移動が多い人は、靴ひもを自分で結ぶのと重さのどちらをとるかという疑問が生まれてくる。この点について、Beersは「HyperAdapt 1.0は、コンセプトカーのようなものです。私たちはトレーニングやランニング、バスケットボールなどのスポーツでこの靴をテストし、特に耐久性を見るためにランニングのテストには時間をかけました」と話す。

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現状のHyperAdaptは間違いなく、アーリーアダプターやスニーカーマニア向けの商品だ。しかし今後改良が進み、価格や重量の問題が解決されていくとすると、この商品は面白い可能性を持っている。

なお、Beersはその他の注意点として、子どもや高齢者、身体的な障害を持った人などには、自動靴ひも調整がうまく機能しない可能性があると話す。そもそも、このような広範にわたる消費者を対象にするには、Nikeは現状の価格からいくつかゼロを落とさなければいけないだろう。しかしお金がある人は、今週販売開始予定のHyperAdaptをチェックしてみてはいかがだろうか。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Adidasのお店ではセンサーを靴につけてあなたの歩きや走りを分析しアドバイスする

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木曜日(米国時間12/1)にAdidasは、タイムズスクエアの近くに新しい主力店を開く。このドイツの大手製靴企業の小売ショップとしては今回が世界最大で、近くロンドンにも同じ規模の店を開く。今後も世界各地で、このような店舗の刷新が行われるようだ。プレス向けの内見会にぼくも行ったが、なにしろすごい。複数階あり、お客が店内のスポーツ関連イベントを見るための、野球場の外野席ふうの観客席がある。コールドプレス(低温圧搾)のジュースバーがある。そして、たくさんのたくさんの靴がある。

カスタムシューズ(注文靴)をデザインしてもらえるコーナーがあり、同社の海洋廃棄物キャンペーン(環境団体: Parley for the Oceansとの提携)を表す要素もいくつかある。たとえば、海洋廃棄プラスチックをリサイクルして作った洋服ハンガーだ。

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地下はトレーニング場だ。お店常勤のトレーナーから、無料で診断を受けられる。無料といっても、Adidasのランニングシューズをすすめられるのは、しょうがない。もちろん買わなくてもよいが、あらゆるおすすめを断り、何も買わずに店を出ることは、そう、かなり難しい。

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いちばんの主人公は、同社が内製した歩行走行分析システムRun Genieだ。ほかのスポーツ靴店にはカメラを使ったシステムがあるが、こちらは二つのセンサーを靴紐のところにクリップする(最上図)。人間がビデオの映像を見るよりも、精密な測定ができる。初心者から中級者向けのシステムで、約40歩走ると結果が分かる。

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システムは、そのランナーが回内しているか回外しているか、着地したとき足が蹴っているかなどを、内蔵の加速度計で判断する。その情報はユーザーにメールで送られる(プライバシー保護のためサーバーには保存されない)。そしてもちろん、問題の矯正に役立つ靴を、すすめられる。

このような、小売店のテクノロジー化はドイツで数店試し、アメリカでは今回初めて、新しいニューヨーク店のグランドオープンに合わせて導入される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウドとデータ分析でスポーツの世界が変わる

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【編集部注】執筆者のDavid Bolokerは、IBMのディスティングイッシュドエンジニア兼Emerging TechnologiesのCTO。

スマートテクノロジーは引き続き、生活のほぼ全ての側面を効率化しながら変化させている。その結果、睡眠パターンをモニタリングしたり、場所に縛られずに仕事をしたり、さらにはジカ熱のような病気の治療法をみつけたりといったことが可能になってきている。

しかし、冗長なワークフローを最適化したり、日常的な活動をゲーム化する以外にも、スマートテクノロジーは、私たちがより良いイノベーターになったり、世界に変化を起こしたりする上で必要な技術を底上げするのに貢献している。スマートテクノロジーは、これまでのパフォーマンスの限界を超越するきっかけを生むばかりか、物事の体験の仕方を変えるまでになったのだ。

プロスポーツの世界における、テクノロジーの利用例について考えてみてほしい。クラウドに接続されたセンサーやウェアラブルデバイスによって、瞬時にデータの解析が行われ、パフォーマンス向上につながるような洞察を得ることができる。今や非構造化データは、無比の成功の原動力になることさえできるのだ。

例えば、アメリカ自転車競技連盟(USA Cycling)は、これまでの手法を独自のハードウェアとソフトウェアに置き換えることで、選手のトレーニングの様子をより正確に計測できるようになり、これは今年の夏季オリンピックの結果に大きな影響を与えた。特に、IBMとの協業を通し、アメリカチームはパフォーマンス分析上の問題を解決するために、最新のテクノロジーを採用することした。彼らはもう、トレーニングごとにいちいちパワーメーターやセンサーから手動でデータを抽出したりはしていない。その代わりに、データはリアルタイムで複数のソースから収集されているのだ。使用される機器には、パワーメーターや心拍数モニターの他にも、筋肉中の酸素量をモニタリングするBSX Insight製のウェアラブルデバイスなどがある。BSX Insightのデバイスは、LEDライトと独自のアルゴリズムを使って、選手ひとりひとりのプロフィールを生成し、パフォーマンスモニタリング精度や、トレーニングの質を向上させるのに一役買っている。

その後、収集されたデータはクラウド経由でコーチのiPadに送信され、ダッシュボード上ではWプライムの減少量やエネルギー消費量といった数値が直感的な図で表示されるようになっている。さらにSolosのスマートグラスを利用することで、選手は実際の練習中にも、ヘッドアップディスプレイに表示された重要な数値を確認することができる。

クラウドやデータ分析技術は、スポーツ観戦をさらに面白くする力を持っている

前述の通り、これまでは複数のソースから集められたデータを、手作業で解析していたため、トレーニングセッションに関するフィードバックを準備するまでに、数時間または数日もかかっていた。今では、クラウドに繋がったモバイルアプリのおかげで、自転車や選手に装備されたセンサーとフィードバックの内容がリアルタイムで同期するようになっている。そのため、例えば選手がある地点で無駄にエネルギーを使ってしまっているとわかれば、少し力をゆるめることで、すぐにレース全体でのパフォーマンスを向上させることができる。また、コーチもデータを使って、選手の弱点を適時に発見し、対策を講じることができる。これは特に大きなレースに向けて練習を行っているときには重要なことだ。

自転車競技だけが、クラウドを活用したデータ分析の恩恵を受けているわけではない。NFLも2016年のシーズンを通して、センサーを利用し、ゲーム中のデータを収集・解析すると最近発表した。彼らは特別なチップをフィールドゴール時に使われるボールに埋め込むことで、キックに関するデータを集めるつもりなのだ。この研究が進めば、ゴール判定の変化、具体的にはゴールポストの幅が将来的に狭まる可能性がある。なお、NFLでは既にセンサーを活用して、選手のポジションやスピード、距離感などが計測されている。

トレーニングが効率化し、細かな改善が積み重なることで、選手のパフォーマンスが大幅に向上するという効果以外にも、データ収集によって、ファンの楽しみ方に良い影響が及ぶ可能性がある。リアルタイムでのデータストリーミングなど、クラウドやデータ分析技術は、スポーツ観戦をさらに面白くする力を持っているのだ。同様に、VR技術のスポーツへの応用例も増えてきている。

実際に、NASCAR(全米自動車競争協会および同団体が主催するレース)に参加しているドライバーやファンは、デジタルダッシュボードを利用し始めている。ラップタイムやタイヤ圧、ピットの範囲といったドライバー向けの情報をダッシュボードに表示させるだけでなく、NASCARは、同じ情報をファンにも提供したいと考えているのだ。将来的には、観客もモバイルデバイスを通じて、ドライバーと同じダッシュボードにアクセスできるようになる。そうなれば、ファンはお気に入りのドライバーと同じものを見ることができるばかりか、ドライバーがさまざまな状況にどう反応するかを含めて観戦できるようになる。

またNBCは、2016年のリオデジャネイロオリンピック期間中、VRを使って視聴者のエクスペリエンスを高めようとしていた。Samsung Gear VRのユーザーは、NBC Sportsアプリを介して、開会式や閉会、男子バスケットボール決勝といった特別コンテンツを視聴することができたのだ。この新しい視聴方法によって、会場から何百万マイルも離れた場所に住むファンも、世界最高峰のスポーツイベントを、まるでリオの会場にいるかのように体験することができた。

上記の例は、これから起きる巨大なテクノロジーの変化の序章でしかなく、今後はスポーツやそれ以外の分野でも、物事の体験の仕方が変わっていくことになるだろう。野球ファンは、一塁に滑り込む選手をさまざまなアングルから見ることができるようになるだろうし、ホッケー選手はデータを分析することで、スラップショットの精度を限りなく完璧に近づけられるようになるだろう。選手、コーチ、ファンの全員がもっと試合内容を深く理解できるようになることで、新たな戦術が生まれたり、新しい観戦のかたちが生まれる可能性もある。

スポーツ以外だと、スマートシティが各地で誕生し、エネルギー消費量からゴミ処理までさまざまなプロセスの効率化を図っている。ビジネスの世界でいえば、業界を問わず、各企業がデータを有効活用して、人員の最適化や生産性の向上など、社内の状況を改善しようとしている。このように、業界を超えた影響力を持つ、新しいテクノロジーの可能性について考えるのはとてもワクワクする。あなたは、クラウド・データ主導の未来に突入する準備がもうできているだろうか?

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

今期行われるNBAのVR放送予定表

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NBAは先週、NextVRと組んで1週間に1試合ずつVRストリーミングを行うとアナウンスしていた。

そして本日、このVRストリーミングの詳細予定が発表となった。嬉しいことに、すべてのチームがシーズン中に1度は登場することとなっている。

ただし、すべてのチームが同じ回数だけストリーミングされるということにはなっていない。たとえばWarriorsは4回登場する予定であるのに対し、Sixersの登場は1度だけだ。

ストリーミングされるのは毎週火曜日だ(シーズン末の1試合に例外がある)。

毎週火曜日に定期的に放送するというのは、視聴者にとっても覚えやすくて便利だろう。火曜日には必ずVRモードのNBA中継があるわけで、時間とチームを確認して興味をもてばすぐに見ることができる。ちなみに時間についてだが、これもNBAが良い仕事をしていて、さまざまなタイムゾーンにおける試合を中継することとしている。すなわち特定の地域の人は深夜でないとゲームを見られないなどということもないわけだ。

NextVRでは、試合開始から終了までの放映の他に、ゲーム後にはハイライトや短縮版も流すことにしているのだとのこと。もちろん観戦するにはNBA League Passに申し込んでいる必要があり、League Passのアプリケーションの他に、Gear VR向けのアプリケーションも必要だ。シーズン後半には、他のVRヘッドセットもサポートする予定であるとのことだ。

VR放映される試合予定は以下の通り。

  • Oct. 27, 2016 – San Antonio Spurs at Sacramento Kings – 10:30 p.m. ET
  • Nov. 1, 2016 – Los Angeles Lakers at Indiana Pacers – 7:00 p.m. ET
  • Nov. 8, 2016 – Phoenix Suns at Portland Trail Blazers – 10:00 p.m. ET
  • Nov. 15, 2016 – Brooklyn Nets at Los Angeles Lakers – 10:30 p.m. ET
  • Nov. 22, 2016 – Portland Trail Blazers at New York Knicks – 7:30 p.m. ET
  • Nov. 29, 2016 – Cleveland Cavaliers at Milwaukee Bucks – 8:00 p.m. ET
  • Dec. 6, 2016 – New York Knicks at Miami Heat – 7:30 p.m. ET
  • Dec. 13, 2016 – Golden State Warriors at New Orleans Pelicans – 8:00 p.m. ET
  • Dec. 20, 2016 – Denver Nuggets at LA Clippers – 10:30 p.m. ET
  • Dec. 27, 2016 – Memphis Grizzlies at Boston Celtics – 7:30 p.m. ET
  • Jan. 3, 2017 – Toronto Raptors at San Antonio Spurs – 8:30 p.m. ET
  • Jan. 10, 2017 – Cleveland Cavaliers at Utah Jazz – 9:00 p.m. ET
  • Jan. 17, 2017 – Minnesota Timberwolves at San Antonio Spurs – 8:30 p.m. ET
  • Jan. 24, 2017 – Boston Celtics at Washington Wizards – 7:00 p.m. ET
  • Jan. 31, 2017 – Sacramento Kings at Houston Rockets – 8:00 p.m. ET
  • Feb. 7, 2017 – Portland Trail Blazers at Dallas Mavericks – 8:30 p.m. ET
  • Feb. 14, 2017 – Toronto Raptors at Chicago Bulls – 8:00 p.m. ET
  • Feb. 23, 2017 – Portland Trail Blazers at Orlando Magic – 7:00 p.m. ET
  • Feb. 28, 2017 – Utah Jazz at Oklahoma City Thunder – 8:00 p.m. ET
  • March 7, 2017 – Washington Wizards at Phoenix Suns – 9:00 p.m. ET
  • March 14, 2017 – Philadelphia 76ers at Golden State Warriors – 10:30 p.m. ET
  • March 21, 2017 – Golden State Warriors at Dallas Mavericks – 8:30 p.m. ET
  • March 28, 2017 – Miami Heat at Detroit Pistons – 7:30 p.m. ET
  • April 4, 2017 – Minnesota Timberwolves at Golden State Warriors – 10:30 p.m. ET
  • April 11, 2017 – Charlotte Hornets at Atlanta Hawks – 7:30 p.m. ET

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(翻訳:Maeda, H

スポーツ観戦もますますモバイルへ。NBA League Passにモバイル版が登場

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TurnerおよびNBAが共同で提供しているサービスにNBA League Passがある。シーズン中、すべてのゲームをライブ配信するものだ。全チームを視聴する場合は年額199ドル99セントで、特定の1チームだけを見る場合には119ドル99セントとなっている。番組はスマートフォン、タブレット、スマートテレビなど、ネットワークに接続している機器ならたいてい閲覧することができるようになっている。

しかしこれまで、流される映像は50インチのテレビでも、5インチのスマートフォンでも同じものが使われていた。すなわち、テレビで見るほうがはるかに快適で、スマートフォンで観戦する場合にはディテイルがはっきり見て取れないという状況だった。スマートフォンによる観戦は、他にどうしようもない場合の最後の手段的に位置づけられていたわけだ。

しかしその状況が変わることとなった。NBA Mobile Viewなるサービスが始まるのだ。League Passの利用者が使うことができる。家にいるときと外にいるときに、それぞれ最適な映像を樂しむことができるようになるわけだ。Mobile Viewではスマートフォンなどの小さな画面に最適化した映像が流されることとなる。

見て直ちに気付くのは、Mobile View版では画面がズームインされた状態になっていることだ。下にKyrie Irvingなどが登場するシーンのサンプルビデオがある。これまではスマートフォン上では誰がプレイしているのかを確認するのが非常に難しかった。しかしMobile Viewではジャージにある選手名などがすぐに読み取れる大きさになっている。大画面でみるときと同様の情報をキャッチできるようになるわけだ。

従来版と、Mobile View版の双方を映した比較ビデオを掲載しておこう。

画面をみて「ズームしただけじゃん」と感じる人もいることとは思う。実ははるかに手が込んでいる。29ヵ所すべてのアリーナでMobile View専用のカメラが設置され、当然ながら専任のカメラマン、プロデューサーが現地に配置される。Mobile Viewには基本的に専用カメラからの映像を流すことになるわけだが、現場の判断で他のストリームからの映像を使うこともできる。

今のところ、得点などの画面上のテキストなどは、従来のストリーミングと同じものを利用している。しかしこれも専用版を用意する予定があるとのこと。音声も現在はひとつの音声を双方に流しているが、将来的にMobile View版のようなものを用意したいと考えているようだ。

NBA曰く、Mobile Viewはファンの声に応じる形で生まれたものだ。League Passにアクセスするひとのうちの70%がモバイル環境からであり、その割合は毎年上がっているのだそうだ。そこでNBAは昨シーズン、Mobile View風のストリームも試験的に流して効果を確認してみたとのこと。するとやはり、モバイル機器から閲覧する人は、Mobile View仕様の映像の方を好んだのだそうだ。比率でいうと、モバイル版を選んだ人が2.5倍にものぼったとのこと。

モバイル環境で、プレイヤー毎の動きや、細かなプレイ内容を知りたいという人にとってはとくに朗報だろう。もちろん、さほど細かい所に興味はないのだという人もいるだろうが、動きがよく見えることについてはやはり好評であるとのこと。

いずれにせよ、モバイル環境でゲームがいっそう楽しめるようになったことは間違い無いだろう。外出先で観戦手段がスマートフォンしかないという場合でも、かなり楽しめるようになりそうだ。テレビに比べて得られる情報に制限がありすぎると感じていた人も、納得できるようになるのではなかろうか。

こうした動きはNFLのストリーミングサービスであるSunday Ticketにも影響を及ぼすこととなるだろう。今のところはモバイルユーザーに向けた特別な配慮などなされていないのだ。

NBAのMobile Viewは現地火曜日から利用できるようになる。1週間のLeague Passトライアル期間にもMobile Viewを試してみることができるようになっている。

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(翻訳:Maeda, H

野球のピッチャーの肘や腕の酷使を検出し、手術以前に対策できるスポーツ・ウェアラブルZiel

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最近の数年間では、野球のプロからアマまでのあらゆるレベルで、トミー・ジョン手術(Tommy John Surgery)の施術件数が急増している。投手の内側側副靭帯を再建するこの手術は、昨シーズン発表された数字によると、メジャーリーグの現役ピッチャーの約1/4が行っており、マイナーリーグや大学野球、そして高校野球の選手でも、大きな問題になっている。

その問題とは? ピッチャーは、若いときから体を酷使する労働であること、だ。

Ziel、Google翻訳によるとドイツ語で“狙(ねら)い”を意味するこの製品を創ったのは、ライス大学(Rice University)の学生チームだ。それは投手が装着する袖カバー(上図)で、センサーの配列が動きを捉え、その計測数値により、選手とコーチに、大事に至る前の警告を提供する。

同社は数多くのプロトタイプをこれまで試作してきたが、今では完成製品M2スリーブユニット(sleeve unit)を2018年には発売できることを、目標にしている。Engadgetの記事によると、最初のバージョンは初めに高校をターゲットにする。それは、問題のある投球を早めに見つけ、その問題を蕾(つぼみ)のうちに摘み取るためだ。

このスリーブユニットは250ドルとかなり高く、またそのデータを分析して結果を報告するソフトウェアは、月額10ドルの料金を払う。たしかに、一見安くはないけど、でもトミー・ジョン手術を受けることに比べればとっても安い。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NFL、各チームによるビデオやGIF投稿を大幅に制限

FOXBORO, MA - SEPTEMBER 21: Julian Edelman #11 of the New England Patriots is tackled during the fourth quarter against the Oakland Raiders at Gillette Stadium on September 21, 2014 in Foxboro, Massachusetts. (Photo by Darren McCollester/Getty Images)

NFLが、新しいソーシャルメディア・ポリシーを発表した。ファンの期待を裏切るものとなっているように思うがどうだろうか。

ESPNが入手した新ポリシーに関するメモ(新ポリシーは直ちに発行することとなる)によれば、ゲーム中に映像関連コンテンツをソーシャルメディアに投稿することを一切禁止することとしたのだそうだ。

ゲーム中にFacebook LiveやPeriscopeなどに投稿することはできないし、またゲーム後でも一定の制限を課すこととなった。これまでは、チームはファンのために自由に投稿を行うことができていたのだ。こうした面でのファンとの交流が禁じられることになるわけだ。

ゲーム後も60分を経過するまでは、ハイライト(ビデオやGIF)を投稿することが禁じられた。

ちなみに、NFLの公式アカウントによるビデオ投稿ならばゲーム中でも行うことができる。チーム側がこれをリツイートしたりリポストすることは自由に行うことができる。

違反したチームに対しては、最初の違反に対して2万5000ドル、2度目には5万ドル、そして3度目となると10万ドルを科すこととなっている。

すなわち、どういう状況になるのだろうか?たとえばパンサーズがタッチダウンを決めたシーンはこんな感じだ。まずはパンサーズの投稿から。

一方でNFLの公式ツイートはこんな感じだ。

ファンにとって、どちらが魅力的であるかは言うまでもないだろう。パンサーズはこのNFL公式投稿をリツイートすることもできるわけだが、チームとして他にやりたいこともあるケースも多いはずだ。

また、このパンサーズのゲームが行われた日は、ただこの1試合だけが行われていた。そこでNFLのソーシャルメディアチームも、このゲームにのみ注力することができた。しかし同時に7試合が行われる日曜日などにはどうなるだろう。チームの魅力を伝えるハイライトシーンをすべて取り上げる体制はあるのだろうか。情報が新鮮なうちに各チームが再利用(リツイート)できるようなタイミングで情報を公開することはできるのだろうか。

間違った決断なのではないだろうか

今回の決定は、NFLの視聴率が昨年比で14%の落ち込みを示していることをうけてのものと思われる。大統領選の影響を指摘する人もいる。スター選手が怪我をしていたり、出場停止になっているせいだとする人もいる。最初の5週間については組み合わせも選手のパフォーマンスもひどいからだと主張する人もいる。

つまり、視聴率低下をソーシャルメディアのせいであると考える人はいないのだ。そのような中でのNFLの決定には疑問を感じる。ビデオ投稿を規制すれば、ファンはテレビで見るしかなくなるはずだというのがNFLの考えだ。しかしソーシャルメディアは視聴率向上にこそ役立つものなのだ。Twitterでリアルタイムにスーパープレイを見て、それで試合に興味をもってテレビを見るという人は多いのだ。

証拠もある。昨シーズン、NBAの視聴率は10%の伸びを示した。そのNBAっはソーシャルメディアの使い方については完全にリベラルでかつイノベーティブでもあるのだ。ともかくチームのビデオ投稿を規制するようなことは一切行なっていない。各チームはGIFやVine、あるいはビデオ投稿などを次々に繰り出し、とても面白いゲームがいままさに行われていることを視聴者に訴えることになっているのだ。

NFLの決定は、少なくともソーシャルメディア上におけるフットボールの魅力を減じるものになるだろう。

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(翻訳:Maeda, H

水に潜るときのビーバーの毛皮の構造に理想のウェットスーツのヒントがあった

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サーファーが毛皮を着るようになる?! MITのエンジニアたちが作った、“毛皮のようなゴム状のペルト”は、ビーバーの断熱能力を模倣する。これで、今よりももっと断熱効果の高いウェットスーツを作れば、人間が冷たい水の中でも作業できるようになり、しかもそれは、水から上がればすぐに乾くほど水切れが良い。

温かくて乾きの良いウェットスーツは、サーファーの長年の夢だ(その日最大の波に乗って最高のテン(ハングテン)をキメることもね…そう、ぼくはプロのサーファーだよ、どうして分かったの?)。しかし今ある素材はどれも、水中で温かく、ボードの上では乾いているの両者が、うまく両立していない。クジラなど一部の生物は厚い脂肪の層で体を保温しているが、それは人間にはない。

そこで研究者たちは、もっと細身の哺乳類、ビーバーに目をつけた。そして、水に潜るときはその毛皮の個々の毛包が空気を保持することを見つけた。ビーバーはそのペルトの中に泡を保持し、冷たい湖の水の、凍えるような温度から身を守る。研究者たちは、毛と毛の間隔と、水に潜るときのスピード、そして保持される空気の量とのあいだに、直接的な相関関係があり、その関係を人工物で再現できることを見つけた。そのような人工物こそ、サーファーにとって最良のウェットスーツを作れる、正しい素材でありうるだろう。

彼らの研究結果から生まれるウェットスーツは、それほど毛むくじゃらではなく、それでいて、ビーバーが持つ利点のすべてをサーファーに与えるだろう。研究から、そんな技術の商業化に、うまく移行できたらね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

選手の脚にセンサー群を貼り付けて試合中のライブデータを得るZepp Play Soccer

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徐々に、しかし確実に、Zepp Labsは、人類のすべてのスポーツに侵入しつつある。とくに、その最新のやつは大物だ。同社は明日(米国時間10/4)Zepp Play Soccerをアメリカで発売する(アメリカでは‘フットボール’というと別のスポーツ)。

この北カリフォルニアのスタートアップはこれまでにも、野球、ソフトボール、ゴルフ、テニスなどに挑戦しているが、今回のサッカー用の製品もそれらと類同で、一連のセンサーによって、ゲーム中の競技場で今起きていることをユーザーに伝える。それらは、距離、キック数、スプリント、最高速度、アクティビティ、ゴール成功率、などのデータだ。最後のゴール成功率は、シュート回数と、その成功回数の比だ。

センサーは、選手の利き足のすね当てに取り付けられる。情報の集め方は、プレー中のリアルタイムと、シーズン全体を通じてのチームデータの両方がある。情報が詳しいのは、後者だ。

このサッカーパックは明日、100ドルで発売される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

草野球やフットサル対応のチーム管理アプリ「TeamHub」が正式ローンチ、運営元は6000万円調達

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スポーツコミュニティ向けサービスを展開するLink Sportsが、2015年12月にβ版を公開したチームマネジメントアプリ「TeamHub」を正式リリースした。iOS、Androidで利用可能だ。また、ベンチャーユナイテッド株式会社を引受先とした合計6000万円の第三者割り当てを実施したことも同時に発表した。同社は2014年2月にサムライインキュベートおよび個人投資家から合計650万円のシード資金を調達している。Link Sportsは今回調達した資金をもとにエンジニアの拡充を目指すと話している。

アマチュアチームならではの問題点

Link Sportsが正式リリースしたアプリ「TeamHub」は、草野球チームやフットサルクラブなど、アマチュア・スポーツチームの管理者の負担を劇的に減らしてくれるアプリだ。スコアの入力、練習試合などの日程調整や出欠確認、試合結果の共有などをすることができる。

アマチュアチームの運営は、まだアナログの部分が多い。世代がバラバラの人々で構成されるアマチュアチームでは、LineやFacebookなど一つのコミュニケーション・ツールで連絡を完結させるのは難しく、日程や出欠の連絡などはメールや電話で行い、スコアの入力はオリジナルのエクセルシートに入力していくというチームがほとんどなのだ。この問題点を解決するのが「TeamHub」だ。

「TeamHub」を利用するにあたって、チームの管理者以外のメンバーは必ずしもアプリをダウンロードする必要はない。アプリを通して管理者から送られる出欠確認などは、Eメールやフィーチャーフォン、いわゆる「ガラケー」のメールでも受け取ることができ、メールに記載されたリンクから参加表明ができる仕組みだ。

直感的に利用できるスコアの入力機能

また、スコア入力機能は幅広い世代でも簡単に利用できるように工夫されている。サッカーや野球など、スポーツの種目ごとに入力画面が用意されており、シンプルなデザインで直感的にスコアを入力することができるようになっている。現在スコア入力に対応しているのは「フットサル」と「サッカー」のみだが、年内に「ラクロス」、「ビーチサッカー」、「野球」を追加し、2017年には20種目に対応させることを目指す。

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さらに同社は、入力されたスコア情報を元にチームや選手の強さを数値化する機能も開発中だ。Link Sports CEOの小泉氏は、「例えば野球チームであれば野球ゲームのように、チームや個人の能力を可視化できるようにしたいと考えています。そうすることで、その数値と位置情報を利用して練習試合相手のマッチングをすることも可能になります」と話す。アマチュアチームにとって、実力がある程度拮抗した試合相手を探すのは骨の折れる作業であり、この機能が実現すればチーム管理者の負担をさらに減らすことができる。この機能は来年度中にも導入する予定となっている。この他にも、チーム内のお金のやり取りをアプリ上で完結できる送金機能なども開発中だ。

アマチュアチームのマネジメントという市場の可能性

小泉氏によれば、アメリカでは2012年頃からアマチュアチームのマネジメントという分野が盛んになりつつある一方で、まだ日本では発展途上だという。「以前から、日本にもチームのマネジメントができるWEBサービスは存在していました。しかし、スマホファーストで、かつ多種目に対応したマネジメント・ツールを開発したのは当社が初めてです」と小泉氏は話す。市場規模については、「チームのマネジメント分野だけに絞ると、国内では約300億の市場規模。しかし、備品やスポーツ保険の購入費などを含めた”チームスポーツを楽しむ”という市場は約1.17兆円の市場になる。そこを狙っていきたい。また、アマチュアチームのマネジメントがまだ盛んではないアジア諸国への海外展開も今後目指していく」と話す。

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小泉氏はかつて、甲子園を目指す野球少年だった。ところが、肩の故障により選手からチームの運営者へと転向することになる。そこで感じた問題点を解決するために生まれたのが「TeamHub」だ。昨年12月のβ版リリース以降、これまでに500チームが当アプリを利用している。同社はアプリ内の機能解放による課金などのマネタイズにより、月1.5億円の売上高を目指す。

チェスと囲碁でトップに立ったロボットが、今度はテーブルサッカーの世界チャンピオンを目指す

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昔のコンピューターゲームには、人間同士でプレイするか、コンピューターを対戦相手にするか、という選択肢があった。しかし今では、現実世界の伝統的なゲームでもコンピューターの方が強くなり、人間の方が強いと言える卓上/盤上ゲームは、もはやないのではないか。次にコンピューターにやられるのは、何だろう? フーズボール(foosball, テーブルサッカー)だ。

École polytechnique fédérale de Lausanne(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)のロボット工学の研究者たちが、平均的な人間プレーヤーに勝つシステムを作ったが、それはディープなニューラルネットワークが過去の数百万のゲームを分析した結果ではない。本物の戦闘ロボットである彼らに、何よりも重要なのはスピードと力だ。

プロジェクトを指揮したChristophe Salzmannがニュースリリースでこう言っている: “このシステムは小さな脳のある筋肉マンだ。とっても基本的なことしかできないけど、それで十分に勝てるのだ”。

当然ながら、テーブル本体も特製だ。というか、テーブルがロボットだ、と言ってもいい。透明なフィールドの下にカメラがあって、それが毎秒300フレームでボールの位置を追う。コンピューターは至近の選手を数分の1ミリの精度でボールを蹴れる位置へ移動させる。そしてモーターがバーを人間よりも速く回して、ボールを猛スピードで蹴り飛ばす。

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でも、名人のプレーヤーにはかなわない。コンピューターには、位置やバンクショット、相手の盲点などを活かしたトリックができないし、また、相手の位置から動きを予測することもできない。

このような‘知能’をコンピューターに授けるためにチームは、対戦相手のハンドルの動きをレーザーで追おうとしている。その方が、バーをカメラで追うより計算効率は高いだろう。今よりも高度なAIを、作れそうだ。でも、真価が問われるのは、ロボットだけでトーナメントをやるときだ。それもいずれやる、と彼らは言っている。

Why would you do this!

ほんまかい?!

プロジェクトは今も継続している。その状況は、ここで分かる。詳細は彼らのラボのWebサイトでも分かるが、でもそのロゴが問題だ(右図)。巨大なターミネーターの両手が、われわれの惑星を抱っこしている。しかし、どう見ても、人間の味方のようではない!

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))