Facebookのザッカーバーグ、欧州議会メンバーと来週、非公開面会へ

プライバシーは死んだ、なんて誰が言ったのか。Facebookの創業者、マーク・ザッカーバーグは、Facebookのプラットフォームが数百万人にものぼる欧州市民のプライバシーにどのように影響を及ぼしているのか、欧州議会の質問に答えることになった。ただし、その面会は公開されない。慎重に選ばれた一握りの欧州議会議員だけが出席し、その証人となる。

面会はブリュッセルで、現地時間5月22日午後5時45分から予定されている。面会終了後は、欧州議会のAntonio Tajani議長が記者会見に臨む見込みだ。

そのような面会の場からジャーナリストが締め出され、どのようなやり取りが交わされたのか報道できないというのは、まったく恥ずべきことだ。

Facebookがプライバシーや基本的人権をどう扱っているのか、という疑念に対しザッカーバーグ氏がどう答えるか。それについて、市民は意見を形成できない。

というのも、この面会はジャーナリストだけでなく市民に対しても非公開だからだ。

もしかしたら、面会の内容を選別して一般に説明することがあるかもしれない。その面会の目的は、Tajani議長のコメントでは“個人情報の使用に関する問題を明らかにするため”と曖昧に表現されている。

“欧州での選挙プロセス”にFacebookがどう影響を及ぼしたのか、というのが唯一の議論点だろう。

ザッカーバーグが、Facebookのプラットフォームについて公聴会で質問に答えるようにという英国議員からの要求を3度にわたり拒否していることを考えると、今回の欧州議会との面会受け入れはFacebook側が非公開を条件としたのではないかと推測される。

ザッカーバーグは、ユーザーのデータと政治広告が世界的なプライバシースキャンダルとなったことを受け、先月、米国議会の公聴会に出席し、証言した。

しかし、明らかにFacebookの責任姿勢は米国外では見られない(Facebookが今年初めに大々的に発表した“プライバシーに関する原則”にもかかわらずだ。その原則の一つは、‘我々は責任を負っている’としている。誰に、何に対して責任を負っているのか具体的に示していないが)。

我々は、なぜザッカーバーグが公聴会で欧州議会の質問に答えないのか、その後にロンドンへ行き、DCMS(英国デジタル・文化・メディア・スポーツ省)の委員会のフェイクニュースに関する調査について証言する時間はないのかと、Facebookに質問している。返事がきたら、アップデートする。

アップデート:Facebookのスポークスマンは、発表済みの社としてのコメントを繰り返している。そのコメントでは、「マーク・ザッカーバーグは現在のところDCMS委員会委員と面会する予定はなく、英国を訪問する予定もない」としてDCMS委員会の召喚を断っている。我々は、なぜ密室ではなく公の場で考えを述べないのかと尋ねているが、スポークスマンはそれに関し、「調べて、何か共有できるものがあればお知らせする」と言うにとどまっている。

欧州司法・消費者総局委員会の委員であるVera Jourova氏がツイートしているように、全ての欧州の人が自分たちの情報がいかに扱われたのか知る権利がある、ということをFacebookの創業者が真に受けていないのは残念なことだ。今回の面会は議席を持っている、選ばれたほんの数人だけなのだから。

残念というより、むしろ恥ずべきことだ。

今回の非公開面会については、欧州議会の議員全員が納得しているわけではないと言ってもよさそうだ。

また、欧州議会の消息筋によると、議長会議では出席者の半数が市民の自由、法務及び域内問題委員会での公聴会を求めたが、わずかの差で非公開となったようだ。

少なくとも、今回の件がザッカーバーグ個人にとってかなりのプライバシー問題であることが再び明るみに出た格好となっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

個人のプライバシー vs. 公共のセキュリティ

個人のプライバシーというのはかなり新しい概念だ。ほとんどの人はかつて、互いの暮らしに絶えず首をつっこむような緊密なコミュニティーの中で暮らしていた。 プライバシーは個人の安全面で重要な部分を占めているという考えはもっと新しいものだ。よく比較の対象となる公共セキュリティの必要性−例えば壁を築き、ドアを施錠する−というものは明白だ。政府に反発するアナーキストすら、暴力的な敵やモンスターがいることを認めるだろう。

富める人々なら、自己防衛用に高い壁を築き、ドアを閉めるということができる。プライバシーというのは、長い間、ぜいたくなものだったし、今でもそういうふうにとらえられている。“使い捨て”の財産であり、あるといいけれど、しかし必須というほどではない。人間にとって、ほとんどプライバシーなんてないような小さなコミュニティーで暮らすというのは驚くほど簡単なことだし、本能的なことでもある。半ば厭世的で内向的な私ですら、小さなコミュニティーで何カ月も暮らし、意外にもびっくりするほどそれが自然なことだと気づいた。

だから、テクノロジー上のセキュリティが、公共セキュリティとプライバシーの間での交換のように扱われる時、最近ではそうした傾向が強いが、公共セキュリティが優先される。これは、悪用されるかもしれない暗号化された携帯端末に政府がアクセスできるよう、バックドアという“万能の鍵”に対する需要が常にあることを考えると明らかだ。そうしたシステムはハッカーやストーカーという悪徳な人たちによって必然的に攻撃されるだろう、という事実に基づいているともいえる。あまり考えられないかもしれないが、システムへの攻撃がない状況で万能な鍵が存在していたとする。利用制限内で政府関係者がそれを使用できる場合、その行為が実行されるべきかどうか、というのは道徳的には非常に判断が難しい。

カリフォルニア州での車のナンバープレートリーダーを考えてみてほしい。このリーダーでは間もなく、ほとんどの車の正確な位置をほぼリアルタイムに追跡できるようになる。また、ゴールデンステートキラー(カリフォルニア州連続殺人事件の犯人)がどうやって特定されたのかも考えてみてほしい。彼は、オープンになっている遺伝子データに基づくオンライン家系図サービスでたぐって特定されたのだ。つまりこういうことだ。データジャーナリズム先駆けメディアであるFiveThirtyEightにあるように、たとえあなたがデータ共有に加わることを選択していなくても、すでに取り込まれていて、そのデータの共有から身を引くことはできないのだ。ハッカーがそうしたデータに手を出すことがないとしたとき、どの程度であればそれが基本的に許されるのだろうか。犯罪者をとらえ、テロ攻撃を防ぐという公共のセキュリティは、個人のプライバシーよりずっと重要なはずだ。

企業のセキュリティもやはり、公共セキュリティと同様に個人のプライバシーよりはるかに大事なものだ。最近まで、世界初のプライベートメッセージアプリSignalはGoogleやAmazonのウェブサービスで“ドメイン・フロンティング”という手法を使ってきた。しかしそれも今月までだ。インターネットブロック回避に使われてきたものだが、Googleはこれを使用できなくなるようにし、AmazonはAWSアカウントを終了させようとしている。というのも、GoogleやAmazonにとって攻撃されやすい人たちのプライバシーはさほど重要ではないからだ。Facebookの数えきれないほどの巧妙な個人プライバシーへの侵害も考えてみてもほしい。人と人を結びつけるという名の下に、Facebookは巨大になり、人々はそこから逃れられないものとなっている。と同時に、Facebookは従業員やデータをこれまでになく支配するようになっている。

しかし、厳密な企業秘密がプライバシーはリッチで権力を持った人のためのものという考えを強固なものにしたとしても、プライバシーはやはり必要不可欠と言うわけではない。AmazonやFacebook、Google、そしてAppleまでもが秘密を明らかにしたところで、大した差はないだろう。同様に、普通の人が公共セキュリティのために個人のプライバシーをあきらめたところで、やはり大きな違いはない。皆が互いの職業を知っているコミュニティーでの暮らしは、アパートで住民が互いの名前も知らないというような暮らしに比べ自然で、間違いなく健康的だ。公共のセキュリティは必要不可欠であり、個人のプライバシーはあればいいというものなのだ。

ただし−

ただし、個人のプライバシーと公共のセキュリティを区別するとき、よく知っていてもいいはずの人が広めている考え方は完全に間違っている。私たちが携帯電話のデータ、車のナンバープレートリーダー、遺伝情報、暗号化されたメッセージなどにおける個人のプライバシーについて話す時、そのプライバシーとは私たちが普通に理解しているものとは異なる。普通に理解しているプライバシーというのは、リッチな人のためのものであり、緊密なコミュニティーで暮らす人には必要ないものなのだ。そうではなく、ここでいうプライバシーとは個人情報の収集と使用についてのことだ。というのも、政府や企業は何十億もの人の、かなりプライベート度の高い個人情報を大量に集積している。

こうした情報の蓄積は、蓄積された情報の中身、そして蓄積されていること自体が、個人のプライバシー問題ということではなく、大きな公共セキュリティの問題なのだ。

これに関し、少なくとも3つの問題がある。1つは、プライバシーの欠如というのは、元々の考えとの相違に抑止効果を及ぼす。プライベートスペースというのは、共同体にとっての実験用ペトリ皿だ。もしあなたが、一挙一動が見られている、全ての会話が監視されていると知ったら、プライベートという空間は事実上ないに等しい。何か刺激的なこと、または物議をかもすようなことを試してみようとは思わなくなるはずだ。カメラがあちこちにあり、そして顔認識、足取り認識、ナンバープレートリーダー、Stingraysなどですべての動きが監視されるのだから。

仮に、あなたが属する小さなコミュニティーの雰囲気が好きでなかったら、好みの雰囲気のコミュニティーに移ればいい。しかし、国や州を変えるのはかなり難しい。マリファナや同性愛が西洋諸国で違法だったころのことを覚えているだろうか(いまだに多くのところで違法であるが)。もしユビキタスな調査や、そうした法律の広汎な施行が可能だったらどうだっただろうか。私たちの法律すべてが完全なものであり現代に合致していると自信を持って言えるだろうか。新しいテクノロジーを、すぐに先見の明でもって統制できると言えるだろうか。私には言えそうもない。

2つめの問題は、リッチな人のプライバシーとつながっているが、大衆のプライバシーの消滅だ。これは、現行の法律や基準、確立されたものを永続させ、他人の利益への依存や改悪、縁故資本主義などをはびこらせる。リシュリュー枢機卿の名言がある。賢い男が書いた6行の言葉を誰かが私に渡したとしたら、私はその男を縛り首にするに足る何かを見つけるであろう−。支配層が、自分たちのプライバシーを保持しながら反体制の者のすべての言動を監視するのがいかに簡単なことか、想像してみてほしい。反テロリズムの名の下のプライバシーの消滅が不公平な法律の恣意的な施行となり、親しい人の調査が現状に反発する人への攻撃となるのにそう時間はかからない。

3つめの問題として、テクノロジーは、プライベートなデータを基に世間を操るのにますます長けてきていることが挙げられる。あなたは、広告を悪だと思うだろうか。素行→データフィードバックのループでひとたび人工知能が広告を最適化するようになると、あなたはなんとなく目にする広告を好きになるかもしれない。しかし、プロパガンダ→素行→データループという流れは、広告→素行→データという流れと大して変わらない。まさしく最適化にほかならない。

蓄積されたプライベートなデータが世論を操作するのに大々的に使用されるとなれば、プライバシーというのは個人の贅沢品というものではなくなってくる。富裕層が、自分自身を隠蔽したまま、意見を異にする人の信用を傷つけるために非相称のプライバシーを使うとき、プライバシーというのはもはや個人の贅沢品ではない。絶え間ない調査や、それによる脅威があれば、人々は新しい考えを試したり、論戦的な考えを表明したりといったことをためらうようになる。プライバシーはもはや個人の贅沢品ではないのだ。そうした世界にまだなっていないとして、間もなくそんな世界に生きていかなければならなくなることを私は恐れている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookの個人情報保護はまだ不十分、とドイツ司法大臣

ドイツの司法大臣はFacebookの個人情報流出問題に関して、サードパーティデベロッパーや他の外部プロバイダーがFacebookの情報を誤った形で使用することができないよう、内部統制と罰則を盛り込んだプラットフォームを要求する書簡をFacebookに送った。サードパーティがプラットフォームポリシーを遵守し、ルール違反した場合には厳しい罰則を課すことを求めている。

地元メディアに全内容が掲載されたこの手紙は、ロンドンのオブザーバー紙とNYタイムズが3月中旬にスクープして以来、Facebookが集中砲火を浴びている個人情報流出問題をさらに追求するものだ。このスクープ報道は、Cambridge AnalyticaがFacebookユーザー8700万人の個人情報をどうやって入手して選挙で不正利用したか、詳細を白日の下にさらした。

Facebook創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグに宛てた書簡で、カタリーナ・バーレー司法大臣は、ユーザーのプライバシーに関してFacebookが最近とった対策について、“データディーラー”との協業を制限するのは“いいスタート”と評するなど歓迎の意を表明した。

しかし、バーレー司法大臣はFacebookにさらなる対応を求めている。データと利用者の保護という観点で一連の“必要不可欠な措置”をとるべき、というものだ。

大臣はまた、ドイツそして欧州におけるデータと消費者保護という点で、今回のCambridge Analyticaスキャンダルに伴いFacebookは長期の批判にさらされることになるとしている。加えて、Facebookの情報の扱いについてさまざまな告訴がなされたことも示唆している。

「遺憾ではあるが、Facebookはこれまで批判に対し十分に対応してこなかった」(Google Translateによる翻訳)。さらに「Facebookはデータ収集とデータの使用を拡大させ続けてきた。これは、プライバシー、そしてユーザーやサードパーティの自己決定を犠牲にしているものだ」と記している。

そして「必要なのは、Facebookが企業責任を果たし、抜本的に見直すことだ」と手紙を結んでいる。「(ザッカーバーグ氏は)インタビューや広告の中で、EUの新たな情報保護法はソーシャルネットワークにとって世界のスタンダードだ、と述べている。残念なことに、こうした考えをFacebookが履行しているかははなはだ疑問だ」と批判。さらに、EUの法律が適用されることがないよう、15億人にものぼる世界のユーザーのデータ操作ステータスを変更するとしたFacebookの決断についても懸念を示し、「だからこそ今後もFacebookが行うことを注視していく」と述べている。

Cambridge AnalyticaがFacebookの個人情報を使用していたという暴露が、Facebookにとって世界的なプライバシー問題へと発展して以来、同社はプラットフォーム上でのデータ保護を実行するためいくつかの見直しを明らかにした。

しかし、実際のところ、Facebookが発表したこの見直しのほとんどは、5月25日に施行されるEU一般データ保護規則(GDPR)への対応として少なくとも数カ月も前から準備が進められていたものだった。

にもかかわらず、Facebookの打ち出した策はプライバシー問題の専門家から手厳しく批判されている。GDPRに十分に対応しているものではなく、GDPRが適用されれば法的な問題とを引き起こす、とみている。

例えば、Facebookが先月発表した新たな同意の流れというのは、意図的な操作とみなされ、少なくとも新ルールの精神に反するものだと批判されている。

バーレー大臣はこうした批判を手紙の中で取り上げ、Facebookに下記の点を実行するよう、具体的に求めている。

・ユーザーにとっての透明性を高める

・ユーザーデータの取り扱いでの真のコントロール

・当然あるべきプライバシーと、Facebookのエコシステムへの同意についての厳密なコンプライアンス

・客観的、中立的、そして排他的でなく、ごまかしもないアルゴリズム

・設定や使用についてのユーザーの自由な選択

同意については、大臣はGDPR下では、Facebookはデータ使用ごとにユーザーの同意を得る必要があることを強調している。一括同意ですべての点で同意を得た、というふうにはできないというものだ。

これは、明らかにFacebookがいまやろうとしていることだ。例えば、欧州のユーザーに顔認証を選択するかどうかをたずねるとき、これによりユーザーの写真を外部の人が勝手に使用するのを防ぐことができるかもしれない、また、視覚障害を抱える人にとって助けとなるかもしれないと案内している。しかし、Facebookが必ず行う商業利用への同意の中には具体的な例は示されていない。

大臣はまた、GDPRではプライバシーをデフォルテ設定し、データの収集を最低限に抑えることが要求されると強調。GDPRに従うには、全てのデータ処理を見直す必要があるという主張だ。

“友達”からのデータ移送は、それぞれのケースで明白な同意の元行われるべきだ、とも述べている(2014年にデベロッパーがFacebookのプラットフォーム上でユーザー8700万人分のデータを収集してCambridge Analyticaに情報を流していたとき、同意は欠落していた)。

さらに、バーレー大臣ははっきりとFacebookに対し、シャドウプロファイルを作るべきではないと警告している。このシャドウプロファイル問題は先月、米議会がザッカーバーグ氏を呼んでただすなど、法的問題となっている。

Facebookは自社の開発者会議f8で、これまで同社が収集していたユーザーのブラウズ履歴を削除できるボタンを導入すると発表した。しかしこれは単に矛盾を強調するだけのものだ。Facebookによって追跡されている非ユーザーはこの削除ボタンを利用できないし、そもそも追跡などしないでくれとFacebookに言うこともできないからだ。

Facebookが、この非ユーザーのデータから発生した情報をどう扱っているのか明らかでもない。

確かに、このブラウズ履歴削除ボタンをクリックすることで、ユーザーは閲覧したサイトの履歴を消去することはできるだろう。しかしそれは、データから収集されたものを全て消去する、ということにはならない(おそらく見えないプロファイルに追加され、広告戦略目的に使用される)。

履歴削除のボタンは、FacebooknのPRにすぎない、と言ってもいいだろう。「ユーザーにしかるべき操作機能を提供している」と言えるようにする。これは、議員の追及をかわす戦略の一つなのだ(先月の米国議会でのやり取りは全く誠実さに欠けるもので、英国議会でもおおっぴらに批判された)。

TechCrunchでも、この履歴削除がどのように働くのか、なぜ導入するのかといった質問をFacebookに送っている。なぜなら、このボタンはデータ追跡を完全にブロックする機能を持っていないからだ。2日間にわたりこうした内容の電子メールを送っているが、Facebookからまだ一切返事はない。

主なWebサービスで使われているトラッキングピクセルやソーシャルプラグインを通じて集められた非ユーザーのデータの扱いをEUの規則に照らすと、Facebookはすでに苦境に陥っている。GDPRが施行されると、同意なくデータを利用するのは、そのアプローチを大幅に見直さない限り、明らかに大きな問題となる。

バーレー大臣は手紙の中で、政治的影響や意見操作を目的とする誤ったFacebookプラットフォームの使い方についても懸念を示している。そうした乱用や巧妙な操作の可能性を排除するため(例えばフェイクアカウントやソーシャルボットなど)、テクニカル面そして組織的面においてあらゆる方策をとる必要があると指摘する。その際は、客観的で中立的、そして排他的でないアルゴリズムを確保するよう述べている。

大臣はまた、独立したレビューを可能にするためにも対策をすべて開示するようFacebookに求めている。

Facebookは巨大だ。WhatsAppやInstagramといった人気のプラットフォームを傘下に抱え、効率的に収益を上げるエコシステムを急速に拡張してオフサイト追跡を展開している。バーレー大臣に言わせると、このエコシステムはドイツ、そして欧州のユーザーのプライバシーや自己決定権を犠牲にしているものとなる。

Facebookは大臣の手紙に対するコメントを複数から求められているが、この記事の執筆時点では応じていない。

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(翻訳:Mizoguchi)

国防総省のDARPA研究所が改悪改竄ビデオを検出する技術で研究助成事業を展開

メンローパークの非営利研究団体SRI Internationalが、国防総省の研究機関DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency)から、フェイクニュースと戦うための三つのプロジェクトを受託した。すなわちDARPAのMedia Forensics(メディア犯罪捜査)事業は、ビデオや写真がそのコンテンツを意図的に変えられていることを判定するツールを開発している。

そのようなコンテンツでもっとも悪名高いのが、“ディープフェイク(deepfakes)”と呼ばれているやつだ。通常それは、わいせつな画像やビデオに有名人や人気スターの顔だけ貼り付けるというポルノが多い。ディープフェイクを作るソフトは簡単に作れるし誰にでも使えるが、今あるビデオ分析ツールでは、加工された映像と本物の映像を区別できない。

この難問を解決するために組織されたのが、Media Forensicsグループだ:

“DARPAのMediFor事業は、優秀な研究者を集めてデジタル画像技術のある分野を打ち倒したいと考えている。それは現状では改竄(かいざん)者が優位に立っている分野であり、それを、画像やビデオの真正性を自動的に判定する技術を開発し、エンドツーエンドのメディア犯罪捜査事業に利用することによって崩壊させたい。

その技術の開発に成功したら、MediFor事業は改竄を自動的に検出し、その改竄方法に関する詳細情報を提供し、ヴィジュアルメディアの全体的な真正性に関する判断により、問題ある画像やビデオの使用に関する意思決定を支援できる”。〔これは使えない、という判定を助ける。〕

ビデオがとくに危険なアプリケーションだが、改竄は静止画像においても検出が困難であり、DARPAはそれも研究課題としている。

DARPAのMedia Forensicsグループ、略称MediForは、アプリケーションの募集を2015年に開始し、正式には2016年にローンチ、2020年までの予算がついている。このプロジェクトでSRI Internationalは、アムステルダム大学とスイスのIdiap Research InstituteのBiometrics Security & Privacyグループと密接に協働する。アムステルダム大学については、詳しくは彼らのペーパー“Spotting Audio-Visual Inconsistencies (SAVI) in Manipulated Video”を見よ。Idiapの研究グループは、改悪されたビデオに存在するオーディオビジュアルの齟齬を見つける4つのテクニックにフォーカスしている。それらは、1)唇の同期の分析、2)話者の不整合や矛盾の検出、3)シーンの不整合の検出、4)コマ落ちや挿入の判定、である。

この事業で受託した研究には、有望性が認められる。昨年6月に行われた最初のテストでは、数百のビデオの中から、改悪されたビデオの二つの特徴、“話者の不整合とシーンの不整合”を、75%の精度で見つけることができた。2018年5月には、同様のテストをもっと大規模に行い、そのテクニックを磨き、大量のテストビデオを調べられるようにする。

このプロジェクト自体は軍事目的だが、研究チームは今後この事業の目的が、規制当局やメディアや公共団体などがもっと悪質な種類のフェイクニュースと戦っていくためのメインの武器になる、と信じている。

“近い将来、ビデオの改悪や合成のテクニックが大きく進歩する、と予想している”、SRI Internationalの代表者がこう語った。

“そういうテクニックがあれば、ホビイストやハッカーでも非常にリアルなビデオを作って、その人がしなかった/言わなかったことを、している/言っているように見せかけることができるだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iOSのカメラアプリHalideは写真の位置データを削除できる、セルフタイマーもサポート

iOS用の高度なカメラアプリHalideは、AppleのデザイナーだったSebastiaan de WithとTwitterのエンジニアBen Sandofskyが昨年ローンチし、そして今日(米国時間4/30)はこれまでで最大のアップグレードを発表した。このアップグレードには、セルフタイマーや、写真レビュアーの新設計、障害者等向けアクセシビリティの改善、などが含まれる。でも、おそらく、今回の最良の機能は、写真のプライバシーの保護だろう。写真を他と共有する前に、その写真のメタデータから位置情報をなくせるのだ。

Halideがとくに優れているのは、プロフェッショナルなカメラ機能を簡単なジェスチャーで使えることだ。だからアマチュアにもプロにもどちらにとっても、魅力的なアプリだ。

今ある主な機能は、手動の焦点調節ダイヤルや、その逆の自動焦点モード、RAWとJPGをサポート、グリッド/レベルツール、ライブのヒストグラムなどだ。

そして今回のアップデートで、Apple Watchコンパニオンなど、さらに便利な機能が加わった。

Apple Watchのアプリをインストールすると、リモートでフレームを決めたり、Halideのシャッターを切ったり、タイマーをセットしたりできる。つまり、自分の手首から撮影をコントロールできる。

Apple Watchがなくても、セルフタイマー機能がある。設定は3秒、10秒、30秒の三種類だ。起動するとシャッターボタンが押された状態になり、ボタンの近くのアイコンにカウントダウンが表示される。

フォトレビュアーも新しくなった。撮影済みのグリッドをスクロールして、そこからすぐに撮影状態に戻れる。

アクセシビリティの改善ではDynamicとBold Typeが加わり、VoiceOverがサポートされた。Halideの作者たちによると、30秒のタイマーもアクセシビリティを意識した結果だ。素早く動けない人でも、利用できるように。

しかし、今回の最大の変化は、写真のプライバシーだ。

今の写真には、大量のプライベートデータが含まれていることを知らない人や、忘れている人は多い。写真ファイルのメタデータには、カメラやレンズやフラッシュに関する情報や、日付時刻、写真の位置情報などが隠されている。そんな情報は、共有したくないと思うこともあるだろう。Webやソーシャルメディアにポストするときには、とくに。

今度のHalideでは、トグルスイッチのon/offで位置データを削除できる。それにより、FacebookやInstagramやWhatsAppなどに写真を投稿するとき、個々の写真ごとに、位置の共有を制限できる。

アプリのダウンロード数は公表されていないが、Appleのオプトイン方式のアナリティクスによると、月間ユーザー数は10万あまりだ。サードパーティによるユーザー追跡は、行われていない。プロシューマー層というニッチを対象とする有料アプリにしては、いい数字だね。

Sandofskyはこう言っている: “うちはメールやプッシュ通知みたいな成長戦術をやっていないから、この数字を誇りに思うね。このアプリは、多くの人たちの本当のニーズを満たしているのだ、と思う”。

Halideは、App Storeから5ドル99セントでダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GDPRでヨーロッパのユーザー数が増えないとFacebookが警告、ユーザー同意の部分をできるだけ簡素化

ヨーロッパの包括的なプライバシー法GDPRは、5月25日に施行される。そしてFacebookは、この法律の要件として、サービス規約の変更にユーザーの合意を得なければならない。そこで今日(米国時間4/25)の、2018Q1の好調な決算報告でFacebookのCFO David Wehnerは、“GDPRの施行によりQ2にはMAUまたはDAUが横ばいないし減少すると思う”、と述べた。彼はまた、GDPRにより広告への大きな影響はないと思うが、軽微なインパクトはあるかもしれないのでそれを監視する、と述べた。Wehnerによると、GDPRはグローバルなオンライン広告業界に影響を及ぼすが、Facebookへの影響を今から特定することは難しい、という。〔MAU: monthly active users, DAU: daily … …〕

Wehnerのその後の説明では、“ユーザーに規約の変更への合意を求めたりすれば、MAUやDAUが減ったり横ばいになったりするだろう、という意味だ”、という。またFacebook自身の説明では、そのGDPRのプロンプトでユーザーが広告のプライバシー設定を変え、ターゲティングを減らすようにすれば、広告効果が落ちて、広告主が広告に対して支払う額(すなわちFacebookの広告収入)も減るだろう、ということだ。

Wehnerの説明では、今後も人びとのプライバシーを護ることは継続するし、“基本的には、弊社の広告事業の規模は変わらないだろう”、という。彼によると、重要なのは、広告主にとってのFacebookの相対価値だ。GDPRの影響はFacebookだけでなく、すべてのプラットホームに及ぶのだから、理論的にはそれも変わらない、と彼は言う。

Facebookは先週、GDPR関連の変更と、ユーザーの同意を求める部分を公開した。その部分はいわゆる“ダークパターン”のデザインで、ユーザーが深く考えなくても同意できるようになっている。またFacebookの許可を取り消したり変更を拒絶してアカウントを終了するためのボタンは、ひっそりと小さい。

Facebookは、ユーザーにとって邪魔にならないことを、第一に心がけたのだろう。目立たないデザインによって、ユーザー数の減少も防止したい。 Wehnerが言うのは、プライバシーの保護やGDPRとFacebookの関係などについてユーザーに大げさな選択を迫るのではなく、単純に規約の一部変更に同意を求める、ということだ。GDPRなんて、元々ユーザーには関係ないことだから。

Facebookの2018Q1の決算報告記事も、ご覧ください。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookは人事異動でアメリカのポリシー担当とプライバシー担当トップを刷新

メンローパークでは、試練の時が続いているようだ。プライバシーに関してあらゆる方向から非難を浴びたFacebookは、防御を固めるために上級役員の入れ替えを行っている。アメリカのポリシー担当トップErin EganがCPO(chief privacy officer)の役割に戻り、元FCC(連邦通信委員会)の委員長だったVPが彼女の後釜に座る。

そのKevin Martinは、ごく最近までモバイルとグローバルアクセスポリシー担当VPだったが、これからは全社的ポリシーのトップだ。彼がFacebookに来たのは2015年で、FCCには2001年から2009年までいた。最後の4年間は、委員長だった。Facebookの今後のポリシーについては未知数だが、彼がお役所方面に強くて明るいことは確かだ。

Martinが来たときErin EganはCPOで、アメリカのポリシーのトップを兼任した。Facebook のスポークスパーソンAndy Stoneは、“最後の2年間、Erinは会社で二つの帽子をかぶっていた”、と言った。

さらにStoneは、“Kevinは暫定的にアメリカの公共政策(US Public Policy)担当トップになり、Erinは最高プライバシー責任者(CPO)として、幅広い職務を担当する”、と述べた。

つまり、二つの役職名は前と同じでもその重要性と複雑性は数年前に比べると大きい、ということだ。一人の役員による兼務は無理だった。今後はますます無理だろう。

注目すべきは、Martinの新たな上司となるJoel Kaplanは、2000年のブッシュ-チェニーの選挙戦でMartinと一緒になり、数年間その政府にいたことだ。共和党政権とワシントン人脈との深いご縁は、議会や各種団体などからも砲火を浴びている昨今、同社にとってすごく貴重かもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

インターネットを監視不可能な層で覆うOrchid Labsが$125Mの資金調達過程に入る

インターネットの上に監視のない層を作ろうとするサンフランシスコのOrchid Labsが巨額の資金調達を行い、SECに提出された報告文書によれば、この1歳のスタートアップはこのたび、3610万ドルのラウンドを完了した。同社はこれよりわずか5か月前に、Yes VCなどの投資家と、Caterina FakeやJyri Engeströmなどのシリアル・アントレプレナーから450万ドルを調達したばかりだ。

同社のサイトによれば、初期の支援者にはAndreessen Horowitz, DFJ, MetaStable, Compound, Box Group, Blockchain Capital, Sequoia Capitalなどがいる。

同社が宣言しているOrchidの目標は、世界中の人びとに匿名化されたインターネットアクセスを提供することだ。その典型的な想定ユーザーとしては、政府が国民の閲覧やショッピング行為を監視している国の個人が挙げられる。

その目標にはまた、ユーザーのデータを私物化して売っているような多くの企業からユーザーを隔離することも含まれるようだ。そんな企業の著名な例としては、FacebookやAT&Tのようなウォールド・ガーデン(高い塀のある庭)が挙げられる。〔Facebookが…売ってる、は象徴的な意味合いか〕

データの悪用に関しては、Cambridge Analyticaのスキャンダルのような事件が氷山の一角にすぎない今の世界では、このプロジェクトの投資家にとっての魅力も容易に理解できる。上記SEC文書によると、同社は3610万ドルをSAFTで調達している。それは、暗号通貨の開発者たちが認定投資家たちに与える投資契約だ。〔SAFT参考記事

当文書によると、これまで42名の個人が参加している。しかしながらその目標額は$125,595,882〔約1億2560万ドル〕であり、今ブロックチェーンは急速にその人気が過熱している(今週初めのBasisの例を見よ)から、今でなくてももうじき、同社にはもっと多くのお金が流れこむだろう。それもまた、この文書上のすごいターゲットだ。

今本誌は、同社に詳しい情報を求めている。読者は、このホワイトペーパーを勉強してもよろしい。

Orchidの5名のファウンダーは、その経歴がおもしろい:

Stephen BellはTrilogy Venturesで7年間マネージングディレクターを務め、その後中国に機会を探し、2015年にアメリカに帰国した

Steve Waterhouseは長年、デジタル通貨専門のPantera Capitalの投資家だった。

Gustav Simonssonは、元Ethereum Foundationのデベロッパーだ。

Jay Freemanは、ソフトウェアエンジニア。

Brian Foxは1995年に世界で初めての対話的オンラインバンキングソフトウェアをWells Fargoのために作った、とクレジットされており、また伝説のプログラマーRichard StallmanのFree Software Foundationの最初の職員でもあった。

金額、ミッション、そしてファウンダーたちの顔ぶれからして、これは大物のようだ。今後に注目しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Instagram上の仮想セレブ‘Lil Miquela’のアカウントが‘政敵’にハックされた

Instagram上の仮想セレブLil Miquelaアカウントが、ハックされた。

多民族混血のファッション仕掛け人で、つねに多文化主義を主張している‘彼女’のアカウントには100万近いフォロワーがいたが、そのアカウントが、同じくInstagram上の動画アカウント“Bermuda”によってハックされた。

さあ!、戦闘開始だ!

@Lilmiquelaアカウントのハックは今朝(米国時間4/7)始まったが、しかしBermudaアバターは前からMiquelaを敵視していて、これまで、SpotifyなどMiquelaのそのほかのソーシャルアカウントをハックしてきた。

時はまさに21世紀、政治的風土が多極化している今では、文化の上でも、、そしてアバターたちのあいだでも、多元主義の支持者たちとMake America Great Again(アメリカを再び偉大に)の運動が戦いを繰り広げても意外ではない。

[画像だけを表示するとメッセージも読めます]

Lil Maquelaのアカウントの上でBermudaは、自分の人工的な人格を誇示し、トランプ派としての強力なメッセージを述べている。

Miquelaの場合は仮想アバターに対して本人がいる、という前提だが、Bermudaはきわめて露骨にシミュレーションだ。そしてその政治的見解は、Miquelaのそれと真っ向から対立している。そしてMiquelaのフォロワーたちと一連のファッション系カルチャー系マガジンは、そのオープン性と人種的平等性の訴えに賛同している。

カリフォルニア州ダウニーのブラジル系アメリカ人Miquela Sousaは彼女のInstagramアカウントを2016年に立ち上げ、それ以来、そのアカウントの外見であるMiquelaは、ネット上でもマスコミの上でもその本人性の推測(どこの誰だろう?)があちこちに登場してきた。

雑誌の表紙になったり、いろんなインタビューにも応じてきたMiquelaは、Facebookが買収した人気最大のソーシャルメディア(Instagram)の上で、セレブ、インフルエンサー、そしてカルチャーの新しい形を一貫して探求してきた。

Lil Miquelaのアカウントに近い人物によると、Instagramは正常に戻っており、コントロールも取り戻している、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoftのデータ保護問題に決着――米最高裁、 CLOUD法成立により過去のデータ提出命令を無効と決定

ユーザーデータの保護をめぐってアメリカ政府とMicrosoftの間で長く続いていた法的紛争が終結した。最近CLOUD法が成立したことを受け、アメリカ最高裁はMicrosoftとアメリカ政府の紛争を無意味になったとして退けた (PDF) 。Microsoftは今後はCLOUD法に基づくデータ開示命令に従い、アイルランドのサーバーに保存されたユーザー・データを合衆国政府に引き渡すことになる。

これまでMicrosoftはアメリカ政府がアイルランドに所在するデータを入手するためにはアイルランド政府を通じるべきだと主張していた。

当初のデータ開示命令が発行されたのは2013年にさかのぼり、政治対テクノロジーのグローバル化を象徴する事件となっていた。アメリカの司法当局が麻薬取引事案に関連してMicrosoftに個人データの引き渡しを要求したのに対し、同社は問題のデータはアイルランドのサーバーのみに保管されているため、データへのアクセス要求はアイルランド当局を通じるべきだと反論していた。

これに対してアメリカ政府はMicrosoftはアメリカ企業であることを指摘し、法的論争が何年も続いた。 これまでのところMicrosoftの主張がやや優勢であり、一国の政府がグローバル企業の持つ個人データに簡単にアクセスできるようになることを快く思わないプライバシー保護主義者を喜ばせていた。

紛争が最高裁にまで持ち上げられる間、議会ではCLOUD法が可決された。これは何千ページにもなる多数の法案や予算案の中に紛れ込ませた法案で、トランプ大統領も全体があまりに大きくて拒否権を行使できなかった。CLOUD法は合衆国政府の企業のデータへのアクセス権を明示的に定めたもので、Microsoftの主張を事実上無効化していた。

新しいCLOUD法によれば、司法当局が裁判所を通じて適切に要求した場合、企業は当該データが「アメリカの国内にあると国外にあるとを問わず」命令に従わねばならない。

GoogleやAppleなどのグローバル・テクノロジー企業と並んでMicrosoft自身もCLOUD法を支持していたので、最高裁の今回の決定に驚いてはいないだろう。CLOUD法にいくつもの欠陥があるのは確かだが、重大犯罪について捜査が国際化するのが日常的になってきたため、そうしたデータへのアクセス方法を明文化する必要性があるとして、プライバシーと人権の擁護者側からも慎重ながら支持する声が上がっていた。

Microsoftは以下のように声明を発表した。

COUD法が大統領の署名を得て発効したことを受け、最高裁がわれわれとアメリカ政府との法的対立を無効として退けたことを歓迎する。従来からデジタル化された証拠の国際的な収集方法を律するする新しい法の制定と国際協定の締結がわれわれの目標だった。これは個人のプライバシー保護に十分に配慮したものでなくてはならない。イギリス、オーストラリアもこの点について留意しており、CLOUD法は国際協定を推進する趣旨なのでわれわれはアメリカ政府が速やかに各国政府と交渉を開始することを望む。

今回の決定やCLOUD法がプライバシー保護に与える影響を断定するのまだ早すぎるし、そうすることは軽率だろう。誰がどのように運用するか、法的疑義が生じた場合裁判所がどう判断するかによって大きな違いが生じるはずだ。おそらくは善悪入り交じった影響が出るだろう。今回のような法律的紛争が再び起きることも避けられない。議会、企業、プライバシー保護団体等、いずれも今後に注目している。

画像:Brooks Kraft LLC/Corbis

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple CEO Tim Cookがプライバシーの懸念で再びFacebookを叩く

火曜日(米国時間3/27)に、Appleにとって昔から重要な教育市場に対する次のステップをプレゼンしたCEOのTim Cookは、Facebookを批判することを一休みしていた。しかしその翌日、MSNBCとRecodeの共催イベントに招待されたCookは再びFacebookのCambridge Analytica問題に触れ、消費者のプライバシーについて問いを投げかけた。

Cookはそのインタビューで、テクノロジーの大企業は自己規制が最良の態度だと思うがしかし、“今回はそれでは済まない”、と述べた。自分がもしZuckerbergの立場だったらどうするか、という問いに対しては、あっさりと、“私ならそんな状況にはならない”、と言った。

もちろんこのCEOは過去にも、Facebook批判をためらったことはない。2015年にはGoogleやFacebookのようなインターネット企業のやり方を暗に批判して、“彼らはあなたに関して分かることをすべて貪(むさぼ)り食って、それを金(かね)にしようとしている。それは間違っている、と私は思う。それは、Appleがそうなりたいと願う企業の形ではない”。

Cambridge Analyticaの一件がばれたあとの先週末にCookは、これと同じことを、Facebookに対するもっと直接的な批判として述べた。中国で行われたカンファレンスで彼は、“あなたが長年何に関するWebサイトを閲覧してきたか、あなたの連絡先は誰々か、彼らの連絡先は誰々か、あなたは何が好きで何が嫌いか、そしてあなたしか知らないはずの日常生活の細部、そんなものが分かる能力は、この世に存在すべきでない”。

Cookは今週も、同じことをステージで繰り返した: “われわれがもしも、そうやってわが社の顧客情報を金にしていたら、大量の金を稼げただろう。私たちの顧客を、自分のプロダクトにしていたら…。われわれは、それをしないことを選んだ”。

1月にアップデートされた同社のプライバシーポリシーにも、これと同じ心が映しだされている:

Appleはプライバシーが基本的人権の一部であると信ずる。したがってすべてのApple製品は、次のように設計されている:

  • 可能なかぎり処理はデバイス上で行う
  • データの収集と利用を制限する
  • ユーザーの情報に関してはコントロールをユーザーに与え透明性を確保する
  • セキュリティの強力な基盤の上で構築する

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

トランプの新大統領補佐官は、ケンブリッジ・アナリティカとつながっていた

トランプ政権3代目の国家安全保障担当補佐官、ジョン・ボルトン氏は、初代補佐官だったマイケル・フリン氏と少なくとも1つ共通点がある。ふたりとも、炎上するFacebookのプライバシー問題の中心をなす政治データ分析会社、Cambridge Analyticaと結びつきがある

The New York Timesの最新記事によると、ジョン・ボルトンの政治活動団体であるThe John Bolton Super PACは、Cambridge Analyticaと2014年8月に契約を結んでいた。同社が設立された数カ月後で、まだFacebookデータを収集していた時期だ。

Cambridge Analyticaの設立当初、Boton Super PACは、市場調査および「サイコグラフィック・メッセージング」を用いた精密な行動ターゲティングのために2年間にわたり120万ドルを同社に注ぎ込んだ。

この作業を行うために、Campbridge社はFacebookのデータを使ったことが、文書および本件に詳しい元従業員2名の証言からわかったとThe New York Timesは報じている。

調査結果は、共和党のトム・ティリスの2014年上院議員選挙に貢献した。記事によると、ボルトン氏のSuper PACはデータの出所がFacebookユーザーであることを認識していたが、データがFacebookデベロッパーから同意なく取得されたことをボルトン氏が知っていたかどうかは明らかにされていない。

Cambridge Analyticaは、同社が不正にデータを取得したとする報道に対して今も反論を続けている。同社の新たな声明で、CEO代行のAlexander Taylorは、親会社がFacebookデベロッパーからライセンスしたデータを、同社が不正入手した認識はないとの立場を貫いている。

当社は問題のデータがFacebookの利用規約およびデータ保護法に沿って入手されたものと信じている。

私は2015年10月にCambridge Analyticaの最高データ責任者に就任した。その少しあと、Facebookからデータを削除するよう要求があった。当社は直ちにファイルサーバーから原データを削除するとともに、システム内の派生データを探し削除する作業を開始した。一年前にFacebookが再度確認を求めてきた際、当社は内部監査を行い、データ、派生物、およびバックアップがすべて削除されていることを確認し、その旨の証明書をFacebookに提出した。私は2016年米国大統領選挙で当社が実施した作業でGSR社のデータを利用していないことを確信している。

Cambridge Analyticaと同じく、ボルトン氏の政治団体は、トランプ政権に多大な影響力をもつ保守系資本家であるRobert Mercerから資金提供を受けていた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

どこかの政府ご愛用のCellebriteに頼めばiOS 11が動くiPhoneをアンロックできる

Forbesの記事によると、イスラエルの企業Cellebriteが今や最新機種のiPhoneをアンロックできるそうだ。Cellebriteは、警察の捜査目的などのために、ロックされているモバイルデバイスからデータを取り出す科学捜査ツールを売っていることで有名な企業だ。

iOSの初期のバージョンはあまり安全ではなかったが、近年それは大きく変わった。今売られているiOSデバイスはすべて安全な隔離領域があり、パスコードを使っていればデータはすべて暗号化され、ブート時やデバイスの使用時には何段階ものセキュリティチェックが行われる。

だから、パスコードを知らない人がデバイス上のデータに触ろうとしても、それは難しい。しかし多くの企業が、モバイルデバイスをアンロックする脆弱性を見つけようと努力している。諜報機関などが、そんな捜査ツールの企業にお金を払ってモバイルデバイスをアンロックしようとするから、それはかなり儲かる商売でもある。

そんな捜査ツールが、後れをとることもある。たとえばiOS 8が動いているiPhone 6をアンロックするデバイスは、簡単に見つかる。しかしForbesの記事とCellebriteのWebサイトが正しければ、政府機関などはCellebriteにお金を払って、iOS 11の動くiPhone 8をアンロックできる。なお、Cellebriteは最近のAndroidデバイスもアンロックできる

最新バージョンのiOS 11(11.2.6)でもアンロックできるのか、それとも昨年の9月の11.0だけか、そこは不明だ。すべてのiOSデバイスなのか、一部のデバイスだけか、それも分からない。Forbesが見つけた記事によると、iPhone XもCellebriteによってアンロックされたようだ。

これは、猫と鼠の追いかけっこゲームだ。Appleの技術者たちは今ごろ、すべての脆弱性を塞ごうと躍起になっているだろう。とにかく、自分のスマートフォンから個人情報を読まれたくなかったら、デバイス…ハードウェアもOSも…を最新に保つべきだ。

新しい機能があることに加えて、当てられているセキュリティパッチの数も最新機/最新OSでは多い。ハッカーは前と同じ手口を使おうとして、行き詰まるだろう。

[Edward Snowden: オープンで安価な製品を買わずにiPhoneを買う唯一の理由は、Appleの厳しいプライバシー保護とセキュリティだ。でもこの記事と、ForbesのCellebriteに関する記事は、iPhoneの価値の核心を脅かす。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

閲覧中のWebサイトがあなたのことをどうやって調べているか分かるツールKimetrak

フランスのテクノロジーメディア企業Next INpactが今日(米国時間1/11)、おもしろいプロジェクトを立ち上げた。そのKimetrakと名付けたシンプルなブラウザーエクステンション(拡張機能)で、Webサイトが閲覧者を追跡してそのプライバシーをどこかへ売っていないかを調べることができる。

もうすぐヨーロッパで施行されるePrivacyGDPRによる規制は、多くの点で人びとの目を覚ました。また、あなたのマシンの上で勝手に動くビットコインマイニングのスクリプトや、SpectreバグのJavaScriptによる実装などは明らかに、ブラウザーのユーザーのセキュリティやプライバシーの制御に関する完全な無力を、思い知らしめた。

Webを閲覧することは、ページをロードするたびに白紙小切手を未知の人に渡すことに似ている。あなたはただ、記事を読みたかったにすぎないかもしれない。しかしそれでも、大きなWebサイトの多くがサードパーティのJavaScript呼び出しを何ダースも埋め込んでいる(残念ながら本誌TechCrunchもその一つだ)。

いろんなページに広告をばらまく広告ネットワーク企業や、Facebook、Googleなどの巨大テクノロジー企業は、ユーザーの閲覧慣行を追跡して、あなたが事前に調べたわけでもないコードを送り込む。そんな企業はさらにユーザーの総合的なプロフィールを作り、クッキーを利用して個人情報を読んだり保存したりする。

そこで今では、多くの人が広告をブロックするエクステンション(“アドブロッカー”)をインストールしたり、JavaScriptを完全に無効にしたりしている。GhosteryuBlock Originのようなエクステンションは、ブロックしたサードパーティドメインからのスクリプトをすべてリストアップする。

しかしKimetrakはアドブロッカー(広告ブロッカー)ではない。このエクステンションは、Web上のトラッカー(追跡者)について人びとを教育することが目的だ。アドブロッカーは、それを使っても情報はあまり得られない。しかしアドブロッカーを無効にして、どこかお気に入りのWebサイトを閲覧してみると、Kimetrakが提供する情報にはびっくり仰天するだろう。

世界的に大人気のWebサイトも、Kimetrakで調べると大量のサードパーティJavaScriptがあることが分かる。もちろんその一つ々々を調べることもできる。

現状では、Kimetrakが調べたデータはユーザーのコンピューター上にあるのみで、Next INpactはそれらを共有しない。それはオープンソースのプロジェクトなので、コードを見ることもできる。最終的にはNext INpactは、トラッカーたちと人気Webサイトの汎用データベースを作るつもりだ。KimetrakはChrome Web Storeで入手できる。

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エドワード・スノーデンが反スパイ・アプリ発表――HavenでAndroid携帯が監視装置になる

元NSAの内部告発者、エドワード・スノーデンはコンピューターへのさまざまな形のハッキングを防止する活動の有力な支援者だ。

スノーデンが発表したHavenはオープンソースのAndroidアプリで、特に低価格の旧型デバイスでも作動するよう配慮されている。このアプリはデバイスのカメラ、マイク、加速度計などを利用して監視装置として働き、こうしたセンサーがなんらかの動きを検知するとユーザーに通報する。

もっとも高度な暗号化システムもデバイスそのものを物理的にタンパリングされれば無力だ―いわゆる「邪悪な客室係」という問題に対処しようというアイディアだ。実際、ホテルの客室係はユーザーのノートパソコンに対して物理的にアクセスすることができる。

スノーデンがGuardian ProjectFreedom Of The Pressと協力して開発したこのアプリは、そうした物理的タンパリングを防止し、警戒意識を高めることを目的としている。

使い方はたとえばこうだ。ユーザーは使い捨てAndroid携帯にHavenをインストールし、ノートパソコンといっしょにホテルのセーフボックスに預ける。するとHavenはセンサーによって金庫が開かれたことを検知すると音声と画像を記録し、ユーザーにSMSでアラートを送り、Torベースのウェブサイトに記録内容を送信する。

Freedom Of The Press のメンバー、 Micah LeeはThe Interceptに掲載した記事で、このアプリをインストールしてテストしたことを報告している。それによれば、なるほどこのアプリにはまだいくつかの欠点―ユーザーへの通報のため常時ネット接続を必要とすること、バッテリーの消耗、誤った警告など――があるもののユーザーの安全性を高める新たな手段だと歓迎している。またこのアプリはハードウェアの監視以外にもさまざまなモニターとして使うことができる。

「Havenは安価なセキュリティー・システムとしてオフィスや家庭で使うことができる。無人の施設への侵入者や悪質ないたずらを検知して写真を撮りユーザーに送信できる。自然愛好家なら、山間部などに設置して動物の生態を撮影できるだろう。人権侵害や不審な行方不明の防止にも役立つ」とLeeは書いている。

季節がら、もっと愉快な使い方があったかもしれない…

チーフ・デベロッパーがこのソフトを子どもたちに説明したところ、彼らは「それじゃサンタをつかまえよう!」と言った。

HavenはGoogle PlayあるいはオープンソースのAndroidアプリストア、F-Droidからダウンロードできる。

スノーデンは依然としてロシアに亡命状態だが、以前、ユーザーを探知するために継続的に望まない情報を発信することを防止するiPhoneケースの開発を助けている。またスノーデンはプライバシー侵害を行っていると彼が信じる諸機関に対して長年強い言葉で反対を唱えている。スノーデンはDropbox、 Google、Facebookの利用に反対し、将来の世界にとって個人データの収集が最大の問題になると強く警告している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWSがパリに新リージョンを開設、フランスのデータプライバシー法への準拠が容易に

Amazon Web ServicesがEUの顧客のために、フランスのパリに新しいリージョンを立ち上げた。これはドイツ(フランクフルト)、アイルランド、イギリス(ロンドン)に次ぐヨーロッパ第四のリージョンだ。パリ・リージョンのアドバンテージは、フランスのテクノロジー企業にとってデータプライバシーの規制に準拠しやすいことだ。

このリージョンにはアベイラビリティーゾーンが三つあり、それぞれが自分のインフラストラクチャを持って地理的に分かれている。電力などのインフラを独自化しているのは、災害時などにサービスが全滅しないためだ。パリ・リージョンではさらに、顧客がフランスに保存したユーザーデータが、顧客自身が移動させないかぎり、AWS自身の都合などでは移動されない。フランスのデータ独立法は厳しくて、テクノロジー企業はフランス国民からのデータを国内に保存しなければならない。AWSはすでにフランスに三つのエッジネットワークロケーションを持ち、顧客がそこからWebサイトなどのサービスをエンドユーザーに届けられるようにしている。

声明文の中でAWSのCEO Andy Jassyが言っている: “すでに数万ものフランスの顧客がフランスの外のリージョンからAWSを使っているが、彼らはフランスの国内にリージョンができることを熱烈に要望していた。それはレイテンシーに敏感なワークロードの多くを容易に運用できるためであり、またフランスの国土の上に在住すべきデータをすべてそこに格納できるためだ”。

AWSのすべてのリージョンに共通する同一のセキュリティ準拠規格もあるほか、AWSのインフラストラクチャは、さまざまな国のプライバシー関連法を守りつつ大西洋にまたがって情報交換を行うためのフレームワークEU-U.S. Privacy Shieldを認定されている。またEUが2018年5月25日に実装する予定のGeneral Data Protection Regulation(GDPR)にも、準拠している。

AWS EU(Paris)と呼ばれるパリのリージョンの開設により、AWSのリージョンは全世界で18になり、アベイラビリティーゾーンは49になる。AWSのフランスの顧客には、Canal+, Decathlon, Les Echoes, Schneider Electric, Societe Generaleなどがいる。

〔参考記事: AWSのリージョンとアベイラビリティーゾーン

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ドイツが子ども用スマートウォッチを禁止、盗聴などハッキングの餌食になることを懸念

ドイツの連邦ネットワーク庁(Federal Network Agency, FNA, Bundesnetzagentur)が今週、子ども用のスマートウォッチを全面的に禁ずる禁令を発布した。さらに、そのようなデバイスをすでに買い与えていた親は、それを破壊しなければならない。この強権的な動きは、未成年をねらったデバイスをめぐるプライバシーの懸念が高まっていることに対する、政府としての対応だ。

“アプリを使って親は、子どもたちに気づかれずに彼らのウォッチを盗聴できるが、それらは無認可の送信システムとみなされる”、同庁の長官Jochen Homannが、BBCが入手した声明文でこう述べている。FNAはさらに、教育者が児童生徒のウォッチを注意してよく見るよう促している。なぜなら、“調査によれば、教室で教師を盗聴するために親のウォッチが使われていることもあるからだ”。

近年、大人だけでなく子どもをターゲットとするウェアラブルが広く普及するに伴い、このような懸念が広まっている。つい先月は、ヨーロッパの監視グループNorwegian Consumer Council, NCCが強い語調の報告書を発表して、GPSを搭載したデバイスの安全性に関する懸念を表明した。その報告書は、親による追跡だけでなく、外部からのハッキングの可能性についても触れている。

“子どもの安全を願う者なら誰もが、この報告書が述べている欠陥が修復されないかぎり、スマートウォッチを買い与えることには二の足を踏むであろう”、とNCCは書いている。

その報告書は、子ども用スマートウォッチのブランドを具体的に挙げている…Gator 2, Tinitell, Viksfjord, そしてXploraだ。一方FNAの禁令は、一般的に子ども用スマートウォッチ全般を禁じている。先週同庁は、人形玩具My Friend Caylaの禁止と破壊を発令した。そのマイクロフォンとBluetooth機能に対する懸念が、高まっていたからだ。

その人形と同じくスマートウォッチも、同庁は違法盗聴デバイスとみなしている。

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ユーザーが自分のヌード画像をアップロードするリベンジポルノ対策でFacebookが自己弁護

Facebookの安全性担当のトップAntigone Davisが、今オーストラリアでテストしているリベンジポルノ対策について説明している。この対策では、ユーザーが自分のヌード写真やビデオをMessengerに送り、Facebookはそれに、同意のない露骨なメディア(non-consensual explicit media)というタグをつける。

説明の中でDavisは、こう書いている: “この小規模なパイロット事業では、人びとが写真を前もってFacebookに送り、それがまったく共有されないようにする、という緊急的手段をテストしたい。この事業の参加/利用は、完全に自由意志である。それは予防的措置であり、それにより、画像が広範囲に共有される劣悪な状況を防止できる”。

Facebookはこれを、オーストラリア政府のeSafety部門と共同で行っており、それにより個人的な画像が本人の同意なく共有されることを防ぐ。リベンジポルノをやられる危険性を感じた者は、eSafetyに連絡する。すると同部局は、Messengerを使って自分のヌード写真を自分宛に送るよう、教える。今後はFacebookのハッシングシステムが画像を認識するので、画像そのものを同社のサーバー上に保存する必要はない。

eSafetyは画像にアクセスできない、とDavisは明言しているが、“FacebookのCommunity Operationsチームの専門的に訓練された社員”が、ハッシングする前に画像を検分することはある、という。ハッシングが終わったら写真を送った者に通知して、写真をMessengerから削除するよう求める。その時点で、Facebookはその画像をサーバーから削除する。

FacebookのCSO(Chief Security Officer) Alex Stamosのツイートによると、人びとが自分の写真を送ることに多少のリスクは伴うが、それは、“人びと(主に女性)が、非合意のあからさまな画像(NCII)をポストされることをやめさせられない、という、毎日のように起きている深刻で現実的な危害と対比した場合には”、許容できるリスクだ、という。

NCIIは、non-consensual intimate imagery(非合意の露骨な画像)の略だ。Stamosはさらに続けて、Facebookはデータを保護するための対策を講じており、復元不可能なハッシュだけを保持する、と言っている。

しかし一部には、画像のアップロードを必要としない、もっと良い方法があるはず、との批判もある。たとえば画像のハッシングをローカルにやって、ハッシュ値だけをアップロードするやり方だ。また、未成年者が自分の写真を送らないようにするための、年齢制限措置はあるのか?

ハッシュの計算をローカルでやれ、という説に対してStamosは、“写真のフィンガープリントアルゴリズムは通常、悪用を防ぐためにクライアントには含まれていない。人間の目が不正な報告を検出して防げるための方法が、必要である”、と応えている。

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Face IDの「誤学習」に注意!

兄弟間でiPhone XのFace IDが誤作動してしまうという報告があるようだ。こうしたケースを避けるために、気をつけておきたいことがある。

顔の似た兄弟でも、顔認識を使ってアンロックしようとした際には、認証エラーとなるのが普通だ。しかしここでうっかり認証用のパスワードを入力しないように気をつけたい。パスワードを入力してエラーを回復させてしまうと、Face IDを誤った方向に調整してしまうことになるのだ。最初はエラーとなった兄弟も、次の機会には問題なくアンロックできてしまうことになりかねない。いってみれば、Face IDで採用している機械学習の限界であるといっても良いかもしれない。

Appleも、Face IDに関するサポートドキュメントでこの件に触れている。ただ、そのようなものは一般的に誰も読まないものなので、要点をここにまとめておこう。太字化はこちらで行ったものだ。「Face IDで利用するデータは、正しく認証されるたびにアップデートされていきます。似ているが異なると認識された顔でも、そのあとにパスコードが正しく認識されれば、正しいものとして学習するようになっています

快適に利用するために、顔認識の制度をあげようとするのは当然のことだ。TechCrunchのMatthew PanzarinoがCraig Federighiにインタビューした際には次のような発言があった。

ヘアスタイルを変えたり髭をはやしたり、あるいは整形を行ったさいにも正しく認識するのがFace IDの望ましい振る舞いです。そのためにFace IDには「Secure Enclave」と呼ばれる「再学習」の機能が備えられています。こうした学習は第三者のアクセス可能領域の外で行われます。このデータを第三者に提供することは一切ありません。

要点をまとめておこう。あなたに似た人がFace IDによる認証に失敗した場合、パスコードを入力して端末のアクティベートを行なってはいけないということだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

セキュリティ重視のメッセージングアプリSignalにスタンドアローンのデスクトップアプリケーションが出た

EFFが高く評価し、あの、国家による国民の盗聴をあばいたEdward Snowdenも推奨する‘もっとも安全な’メッセージングサービスSignalは、本誌読者にも愛用者が多いと思われるけど、このほどついに、デスクトップアプリケーションが出た。というか、前からあった“デスクトップアプリケーションもどき”は実はChromeアプリなので、使うにはGoogleのChromeブラウザーが必要だった。しかし今日(米国時間10/31)、その悪夢も終わった。今回Signalがリリースしたスタンドアローンアプリケーションは、巨大テクノロジー企業に依存している不安感がないのだ。

今日から提供されるそのアプリケーションは、64ビットのWindows 7以上、MacOS 10.9以上、そしてLinuxの人気ディストリビューションの多くで使える。

Chrome Appをこれまで使っていたユーザーは、データをこのアプリケーションのセットアップの時点でインポートできる。ただし、認証ID等が両者で同じであることを、確認しよう。

この夏の本誌主催Disruptカンファレンスに、Signalを作ったMoxie Marlinspikeが登場した。そのとき彼は、もうすぐ重要なアップデートがある、と言っていたが、詳細を明らかにしなかった。それが、これなのだ!

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa