スマホとAIで運転動態をスコアリング、タイでモビリティー事業を手がけるFlareが1.5億円調達

タイでモビリティー関連事業を運営するFlareは3月23日、Spiral Ventures、千葉道場、Sun Asterisk、VOYAGE VENTURESを引受先とする第三者割当増資により総額1.5億円を調達したことを明らかにした。

同社ではこれまでKVP、Sun Asterisk、VOYAGE VENTURESなどから資金調達済み。今回はそれらに続くシリーズAラウンドとなる。主にエンジニアおよびセールスメンバーの採用に投資し、体制強化した上でさらな事業拡大を目指す計画だ。

Flareは2017年に代表取締役の神谷和輝氏が設立したスタートアップ。スマートフォンを活用した運転動態の解析プラットフォーム「Flare Analytics」を基盤技術として、カーラッピング広告プラットフォーム「Flare AD」やドライバー勤怠・動態管理システム「Flare Dash」を手がける。

本社は日本に構えているものの、現在は現地の100%子会社を通じてタイを軸に事業を展開中だ(現地法人としても豊田通商タイランドから出資を受けているとのこと)。

スマホだけで様々な運転データを取得

基盤となるFlare Analyticsはこれまで車載デバイスを用いて取得していた運転データを“スマートフォンだけで”取得できるのが特徴。スマホのGPSやセンサーから取得したデータをAIなどを活用して解析し、その傾向や運転スコアをダッシュボード上で可視化する。

急発進や急ブレーキ、走行スピードなどの基本的なものから、スマホを持った・触ったという情報を基に「スマホの脇見運転」などもわかる。これについても数万円〜数十万円するようなカメラデバイスを車内に設置したら把握できるものではあるけれど、Flare Analyticsはデバイスの初期コストや設置の手間もないので導入ハードルが低い。

神谷氏によるとタイは交通事故の死亡率が高く(以前WHOが公開したレポートでは10万人当たりの交通事故死亡者数が世界2位となった)、スマホの脇見運転は主要な原因の1つになっているそう。たとえば後述するFlare Dashを導入している企業であれば、自社のドライバーの脇見運転や危険運転を事故に繋がる前に把握し、対策を打つこともできるようになるわけだ。

Flare AnalyticsではSDKを提供していて、これをアプリに実装することで行動データを取得できるようになる。現時点で2つの自社プロダクトに実装されているほか、今後は他社とタッグを組み、テレマティクス保険や車両管理、タクシーの不正チェック、ローン審査などの領域でも事業展開を見据えているという。

Flare Analyticsを活用しC向け・B向け双方でプロダクトを展開

自社プロダクトのFlare ADの場合は、ドライバーと交通広告を出したい企業をマッチングする際に運転スコアを活用(スコアが高いドライバーをマッチング)。企業の広告をステッカーとして自分の車にラッピングして走ることで報酬を貰える仕組みで、開始以来のべ3万人が登録している。特にGrabなどライドシェアのドライバーが車の維持費やガソリン代を稼ぐ目的で始めるケースが多いとのことだ。

Googleマップと連動し、人が多い場所・時間帯で運転するほど収入があがる。広告主はダッシュボード上でリアルタイムに走行距離や走行ルートをチェックできるため、広告効果を簡単に把握することが可能だ。神谷氏の話では自動車広告領域ですでにタイ1位の実績があり、カンボジアへの展開も進めているという。

もう1つのFlare Dashは企業向けのサービスだ。タイを含めた東南アジアの新興国では交通インフラが十分に整ってないので、マネージャークラスや営業マンには1人1人にドライバーがついてるそう。ただ勤怠管理はいまだに紙ベースが主流で、効率化の余地があるほか虚偽報告の多発が課題になっている。

Flare DashはFlare Analyticsを通じて各ドライバーの動態や挙動を可視化することで不正を防止するとともに、ドライバーがアプリから簡単に勤怠を打刻できるようにすることで紙の勤怠管理の手間をなくす。

「(Flare Analyticsと連動することで)安全運転も管理できて、不正もなくなり業務も効率化される。ドライバーに関する業務を一括管理できるのが特徴だ。東南アジアの企業はまだそこまで安全運転意識が高くないところも多く、安全運転の機能だけを訴求してもそこに投資をする企業は限られる。一方で勤怠管理のニーズは明確にあり、自分たちはその両軸からアプローチできている」(神谷氏)

昨年12月にローンチしてからまだ日は浅いものの、タイに進出している日系大手企業などを始めミャンマーやインドネシアでも導入企業があるという。

今後は自動車のP2P保険などへの展開も

FlareとしてはADとDashを軸に経営基盤を整えつつ、今後はAnalyticsを使った自動車のP2P保険やてれマティクス保険などに事業を広げていく考え。今回の資金調達もそれに向けた組織体制の強化が目的だ。

同社の強みは個人ドライバーと法人に所属するドライバー双方にサービスを展開することによって、多様な運転データを取得できること。そしてAnalyticsをベースにした自社プロダクトも持っているため、細かいテストや改善などPDCAをスピーディーに回し、そこから得られたものを再びAnalyticsに反映した上で他社にも提供できることがあげられる。

「業務車両の動態を取得するプロダクトはあれど、個人ドライバーのデータを持っているプレイヤーはまだまだ少なく、保険領域への展開などを考えるとそこが重要だ。一般の人が持っているもので運転データを取得できるものはないか、そう考えた時にベストなのがスマートフォンだった。(Flare ADを通じて)自分たちはすでに約3万人のデータを蓄積できているのは強みだ」(Flare CSOの林真也氏)

水面下ではAnalyticsのアップデートも進めているところで、危険運転のイベントなどから事故率を推定して事故を起こしにくい人を判定したり、評価の高いドライバーの運転挙動を分析することで「会社で高いパフォーマンスを出すドライバーの傾向」を見極められる仕組みも開発中なのだそう。そうなるとドライバー採用などの領域でもFlareの技術を活かせるようになる。

また、今は車の領域に絞って事業を構築しているものの「スマホ×移動×データ」というジャンルであれば同社の技術を転用できるため、ゆくゆくは車以外での領域に進出することもありえるだろう。

ちなみに日本での事業展開も中長期的に検討していくそう。Flare ADについては難しいようだけれど、Flare AnalyticsやFlare Dashなどを用いた取り組みに関しては日本でもありえるとのことだった。

IT活用で“運転代行業界”の適正化へ、沖縄のAlpaca.Labが7000万円を調達

運転代行のマッチングプラットフォーム「AIRCLE」を開発するAlpaca.Labは3月9日、シードラウンドでXTech Ventures、すこやかホールディングス、BORベンチャーファンド1号投資事業有限責任組合、沖縄振興開発金融公庫を引受先とした第三者割当増資により総額約7000万円を調達したことを明らかにした。

同社は2018年2月設立の沖縄発スタートアップ。県内で必要不可欠の交通インフラとなっている「運転代行」の課題解決に向けて、調達した資金を基にエンジニアを始めとした人材採用の強化を進めていく計画だ。

運転代行を効率化するマッチングプラットフォーム

Alpaca.Labが手がけるAIRCLEは、わかりやすく言えば「タクシー配車サービスの運転代行版」だ。

運転代行とは代行業者がドライバーの代わりに車を運転して目的地まで送り届けるサービスのことで、飲食店でお酒を飲んだ後などに使われる。マイカーを運転して飲食店まで行き、食後は代行業者を呼んで車と自分を家まで送ってもらうようなイメージだ。代行業者は予約が入ったら自社の随伴車で現地へ向かい、到着後は1人が顧客の車を運転し、もう1人が随伴車で目的地まで一緒に行く。

都市部など公共交通網が発達している地域ではあまり馴染みがないかもしれないが、地方では日常的に利用される交通サービスだ。全国的には約8850ほどの代行業者が存在し、中でも沖縄は約737業者と全都道府県でも最多。この業界はアナログな要素が多くITの活用で改善できる余地は大きい。

運転代行は飲食店を通じて手配されることも多いため、Alpaca.Labでは2020年1月より独自のオペレータAI(配車最適化アルゴリズム)を基に飲食店と代行業者を効率よくマッチングするサービスから始めた。

飲食店向けにはデジタル端末から「テーブル番号、車両数、顧客の行き先」を入力するだけで代行業者を発注できる仕組みを提供。従来電話で行っていた発注作業をラクにするだけでなく、位置情報を基に近くにいる業者を優先的にマッチングするため顧客の待ち時間も短縮できる。

一方の代行業者向けには随伴車の管理や受発注の仕組みをIT化することによって、配車効率を上げるための基盤を開発。日報・運行管理や車両管理など日常業務をサポートする業務支援システムも合わせて提供する。

「飲食店にとっては発注作業が大きな負担になっている。忙しい時間帯だと電話がつながらない業者も多く何件も電話をかけ続けなければならないし、到着までに時間がかかるとなればそれだけお店の回転率も悪くなる。そもそも飲食店にとっては本業ではないため、ここにリソースを割きたくはない」

「代行業者としては受発注を最適化して少しでも多くの顧客を獲得したい。ITを活用することで随伴車の位置情報をリアルタイムに確認しながら効率よく配車手配を行えるだけでなく、ミスマッチの解消も見込める。たとえばこれまでは現地に着くまで顧客の情報がわからず、行ってみたら担当者が運転できない車だったり(左ハンドルの外車など)、目的地が遠すぎて自社の方針に合わなかったりすることも度々あった」(Alpaca.Lab代表取締役の棚原⽣磨氏)

今夏を目処に個人向けアプリのローンチも控えていて、個人が自らのスマホから簡単に代行業者を呼べるようにする計画。その際には「左ハンドルの車を運転できる人」などユーザーが条件を設定できる機能や相互評価の仕組みも搭載し、スムーズかつ安心して運転代行を使える環境を整備していくという。

現在は随伴車約60台(数十業者)、飲食店約150店舗を対象にサービスを展開。ビジネスモデルは代行業者から売上の10%をシステム利用料として受け取る形だ。

沖縄の課題解決を全国に課題解決へ

Alpaca.Lab創業者の棚原氏は沖縄県の出身。北陸先端科学技術大学院大学を経て教育系のコンサルティング会社に務めた後、沖縄に戻り沖縄科学技術振興センターで産学連携プロジェクトの推進を担当した。

具体的には大学の先生が持つ技術と県内外の企業をマッチングすることで新しい事業を生み出す支援をしていたそう。現在Alpaca.LabではAIRCLEのキモとなるオペレータAIを琉球大学の研究室と共同で研究開発しているが、その研究室とも前職で出会ったそうだ。

「産学連携のプロジェクトをいくつもやる中で、これは面白い技術だなと。沖縄で起業するなら沖縄の課題解決をしたい、地域の課題解決が全国の課題解決にも繋がる事例を作りたいという思いがあり、その観点でも運転代行はやりがいのある領域だと考えた」(棚原氏)

運転代行の概念自体は数十年前から存在し、2002年に「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」が施行されてからも20年近くになる。過去にはITを活用して業界の課題を解決しようとしたプレイヤーもいたが、どれも大きな成果を出すまでには至らなかった。

棚原氏がその原因にあげるのが業界内で「4/5の課題」と呼ばれる課題だ。これはざっくり言うと4/5の業者が表示義務違反や保険未加入、無許可の運行などによって「適切に運行することが困難」な状態にあることを指す。運転代行業界をアップデートするためには、そもそもこの状況を変えていく必要があるというのが棚原氏の考えだ。

「代行業者も必ずしも好きこのんでそうしているのではなく、金銭的に入る余裕がないことも多い。それは勘や経験に頼った非効率な配車オペレーションなど業務形態の課題だけでなく、行政側が実態をほとんど把握できていない状態や過度な価格競争により業界全体が疲弊してしまっていることなど、様々な要因が絡み合っている」(棚原氏)

そこでAlpaca.LabではオペレータAIを軸としたマッチングプラットフォームによって業務形態の効率化をサポートしつつ、全国運転代行協会とタッグを組みながら安全基準の策定や代行業者へのレクチャーなど業界全体を適正化する取り組みも進めてきた。

その上でゆくゆくは相互評価の仕組みを取り入れた個人向けアプリで、個人と代行業者を直接繋いでいく。これによってユーザーは安心して運転代行を手配でき、質の高い代行業者はきちんと評価され適正な価格で受注できる環境を整えていくのが目標だ。

運転代行の余剰リソース活かした新たなビジネス創出目指す

今回の資金調達はその動きを加速させるためのもので、エンジニアを中心とした人材採用に投資をする計画。今後は他業界のプレイヤーなどとも協業しながら「酔客に依存しないビジネスモデルの確立」に向けたプロジェクトにも取り組んでいきたいという。

「たとえば飲食店以外にも観光客や病院などを中心に新しい利用者の獲得や、日中使っていない随伴車の貸出(カーシェアリング)、配送業者とのコラボによる夜間・深夜帯の貨物輸送など、運転代行の余剰リソースを上手く活用することで人やモノの移動に関わる課題を解決できるチャンスもある。運転代行業界を良くしていくには酔客だけに依存しない仕組みが必要だ」(棚原氏)

上述したように運転代行業者は過疎地域を含め全国の市町村にすでに存在する上、日中はそのリソースが余っていることも多い。使い方次第では地域の課題解決インフラの1つとして強力なツールになりうるかもしれない。

棚原氏はMaaSならぬ「DaaS(代行 as a Service)」なんて表現もしていたけれど、テクノロジーを取り入れることで運転代行業界がどのように進化していくのか、今後の動向が気になるところだ。

Microsoft AIプロジェクトでインドの運転免許試験がスマートに

米国の巨大企業が、うんざりするような運転免許証の発行手続きを簡単にしてくれるかもしれない。その兆しを、インドでちらりと覗き見ることができる。

インドのヒマラヤ山脈の麓に位置するウッタラーカンド州の州都デヘラードゥーンでは、ここ数週間、運転免許証を取得した何百人もの人たちは、試験の際に隣に教官を乗せることがなかった

代わりに、彼らの車にはスマートフォンが取り付けられ、そこではHAMSが実行されていた。HAMSとは、Microsoft Research(マイクロソフトリサーチ)のチームが開発したAIプロジェクトだ。HAMSは、スマートフォンのフロントとリアのカメラ、その他のセンサーを使って運転者(とその目の動き)と前方の道路をモニターする。マイクロソフトリサーチによると、運転試験中の縦列駐車やロータリーでの見極めなど、車の軌道を正確にトラッキングできるよう、HAMSをカスタマイズしたという。

このAI技術は「例えば試験中に車を停止してしまったり、規定回数を超えて前後に進路変更を繰り返すといった運転者の行動を判断できる」とチームは話している。さらに「車線変更の前にミラーで確認したかどうか」といったこともわかるという。

インド行政職ウッタラーカンド州政府秘書官のShri Shailesh Bagauli(シリ・シャイレッシュ・バガウリ)氏は、デヘラードゥーン州交通局の運転免許証試験にHAMSを導入したことは「効率的で世界をリードするサービスをウッタラーカンドの住民に提供するという、交通局の目標に大きく近づくものです。路上の安全にAIを利用する先駆けと慣れたことに、私たちは誇りを持っています」と語っている。

HAMSは、Harnessing AutoMobiles for Safety(安全のための自動車制御)の頭文語だが、そもそも路上での運転者と運転の安全を向上させるために開発されたものだ。「運転者の訓練と試験は、その目標の基盤となります。そのためこのプロジェクトは、運転試験での運転者の評価という方向に傾くのは自然なことです」とチームは話す

運転免許試験の自動化は、少しずつ世界に広がっているが、試験場の道に沿って支柱を立ててカメラを設置するなど、大掛かりなインフラ整備が必要とされている。マイクロソフトのチームによれば、HAMSなら車内の映像も含め、試験の監視態勢を向上させながらも自動化のコストを削減できるという。

一部の調査(PDF)によると、インドでは運転免許証の交付を申請した人のうちの相当数が、面倒を嫌って試験を受けにすら来ていないという。「HAMS技術を使用した自動化により、審査官の負担が軽減されるばかりか、受験者にとってプロセスをわかりやすく透明化することができます」と、2016年にHAMSプロジェクトを立ち上げたマイクロソフトリサーチ・インドの副担当責任者Venkat Padmanabhan(ベンカット・パドマンアブハム)氏は話していた。

インドがこのプロジェクトの実験場となったことは、特段驚くことではない。米国の技術系企業はインドでの存在感を高めつつあり、成長著しい市場のひとつとして、さまざまな挑戦がそこで展開されている。

マイクロソフト、グーグル、アマゾンは、インドを実験場として、現地市場のためのソリューションを開発している。そのなかには、他国に展開されたものもある。マイクロソフトもすでに、インドで農家の収穫量を高める技術や、失明予防の技術を病院と共同で開発している。昨年は、アポロ病院と共同で、心臓疾患のリスク予測のためにカスタマイズしたAIを使ったAPIをインドで構築した。

また昨年、マイクロソフトは伝説的なクリケット選手Anil Kumble(アニル・クンブル)氏と共同で、子どもたちのバッティングフォームの分析に役立つトラッキング装置を開発した。さらにマイクロソフトは、保険会社ICICI Lombardと共同で、損害賠償請求や保険の更新の手続きを支援するAIシステムを開発している。

グーグルも、インド向けのサービスやツールを幅広く開発している。昨年は、現地の言語で書かれた小説を簡単にウェブ上で公開できるパブリッシャー向けのツールを立ち上げた。今年も、このAndroidを開発した企業は、洪水予測ツールの改良版を発表している。そしてもちろん、YouTube GoGoogle Stationといった人気アプリをインド専用サービスとしてスタートさせている。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

ブガッティ・チェントディエチは1600馬力で9億円超、90年代スーパーカーのリバイバル

VWグループのフランスの自動車メーカー、Bugatti Automobiles(ブガッティ・オトモビル)が史上最強のスーパーカー、ブガッティ・チェントディエチを製作することを発表した。チェントディエチは同社のスーパーカー、シロンをすこーし上回る1600馬力を発生するエンジンを搭載する。しかし驚くべきなのはパワーだけではない。価格も890万ドル(約9億4660万円)という空前のレベルに達している。

クサビ形で角張ったシルエットのスーパーカーはエンブレムやフロントグリルなどにブガッティの特徴を残しているものの、全体としては同社をロマーノ・アルティオーリが所有していた1991年に製作されたミッドエンジンのEB110の遺産を強く受け継ぐデザインとなっている。

モンテレー・カー・ウィークで世界デビューしたチェントディエチは、一見したただけで90年代のスーパーカーから強いインスピレーションを受けていることがわかる。

bugatti front

ブガッティ・チェントディエチ

EB110を押しつぶしてクサビ型にしたようなデザインではではあるものの、チェントディエチは90年代スーパーカーのコピーではない。現代のブガッティのデザイナーはEB110のモダナイズに成功している。ブガッティのチーフ・デザイナー、アキム・アンシャイト氏は次のようにコメントしている。

20世紀のクラシックなスーパーカーのデザインを単なるコピーでなしに21世紀によみがえらせるのは、控えめに言っても、多大の技術的困難を伴った。(前モデルの)シロンのテクノロジーをベースにしながら複雑な空気熱力学上の要求と(シロンとは)まったく異なるフォルムを組み合わせる方法を見つけるねばならなかった。

チェントディエチはイタリア後で110という意味だ。こはEB110のリバイバルであることを意味するだけでなく、エットーレ・ブガッティがこの会社を創立して110周年にあたることも記念している。

奥まったフロントスポイラー、3分割のエアインテークがまず強烈な印象を与える。ブガッティのトレードマークである馬蹄形はこのモデルではごく控えめにフロントグリルの中央に用いられている。これはチェントディエチのフロントがクサビ型に強く傾斜しているためだといいう。このモデルのヘッドライトはきわめて細いが、このデザインは強力なLEDランプを内蔵することで可能になった。ヘッドライトケーシングは日中のライトも内蔵する。キャノピー直後の片側5個の正円の給気口がミッドシップに搭載されたW型16気筒のエンジンにエアを供給する。

bugatti centodieci

チェントディエチの90年代へのオマージュは外見のデザインだけだ。車内は完全に現代のエンジニアリングであり、8リッター W16エンジンは1600馬力を叩き出し、0から100kmの加速はわずか2.4秒だという。最高速度は電子リミッターで時速270kmに制限されている。

ブガッティの生産責任者であるPierre Rommelfanger氏はTechCrunchのインタビューに対し「ブガッティ・オトモビルはチェントディエチを10台のみ限定生産するが、すでに全車予約済みだ」と述べた。こうしたスーパーカーは販売前に顧客からの注文によっって高度にカスタマイズされているのが通例だ。チェントディエチも例外ではないだろう。「生産を妨げないかぎりいかなるカスタマイズも可能だ」という。

チェントディエチが顧客の手元に届くのは2022年になる見込みだ。ブガッティではチェントディエチ以外のオーダーを受け付けており、ブガッティ・ディーヴォとラ・ヴォアチュール・ノワールを製造中だ。もしステファン・ウィンケルマン社長の「毎年2モデルを生産する」というプランが実現できるのなら、ブガッティ・オトモビルはチェントディエチの次のモデルを間もなく発表するはずだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクが出資する自動車サブスクのFairが国際派人材を獲得して業務拡大へ

ソフトバンクが出資し、Uberと密接な関係を持つ自動車サブスクリプションのスタートアップであるFairは、ビジネスの重要部門をリードする人材をスカウトしたことを発表した。

今回テクノロジー、ベンチャーキャピタル、自動車業界出身の新しいトップが就任したのはサブスクリプションアプリ、財務、Uberとのリース契約を担当する部門だ。Fairはこれにより、Uberとの提携を進化させ、北米以外にもネットワークを広げようとしている。

Jay Trinidad(ジャイ・トリニダッド)氏は、Google、Discoveryなどで幹部を務めた経験があり、最高プロダクト責任者となった。同氏はアプリ開発をはじめとしてテクノロジーと業務開発全般を指揮する。
TrueCarの前・最高財務責任者であるJohn Pierantoni(ジョン・ピエラントーニ)氏は財務および財務リスク担当の上級副社長に就任した。

Uber関連事業を担当することとなったPat Wilkison(パット・ウィルキンソン)氏はベンチャーキャピタルであるExponential Partnersのジェネラルパートナーで、ExponentialはFairの最初期からの投資家だ。

3人のエグゼクティブのスカウトに成功したこと創立後3年となるスタートアップにとって大きな意味がある。これにより同社はCaaS(カーアズアサービス)というコンセプトを消費者に納得させるための大きな一歩を踏み出した。自動車といえば消費者はローカルの自動車ディーラーから購入するかリースすることが普通だった。これに対してFairは、15億ドルという巨額の資金に加えて、サービスのプラットフォームだという点がセールスポイントだ。

ファウンダーでCEOのScott Painter(スコット・ペインター)氏はTrueCarのファウンダーで前CEO、自動車リースの専門家だ。他の共同ファウンダーも通販、金融などの専門家だ。同社は現在大きく普及したギグ・エコノミーの考え方をベースに自家用車の柔軟な利用方法を提案しようとしている。

Fairは伝統的なリース形式を革新してユーザーにさらに広い選択肢を提供することを目標としている。法的にはリースの一種だが、ユーザーは自由に自動車をチェンジできるなど自由度の高いサブスクリプション契約を結ぶ。

この事業をスケールさせるには巨額の資金を短時間で投資することが必要であり、「スカウトした3人はこれを実行するのにうってつけの人材だ」とペインター氏は考えている。

ユーザーがFairを利用する上でCaaSインフラそのものに加えて、決済方法、資金プランニングの構築が必須となる。各部門のトップに迎えた人材はアメリカ国内はもちろん世界を舞台にアグレッシブに活動し消費者の自動車所有のコンセプトを変えていくという。

今回の採用は我々も報じた3億8500万ドル(約410億円)という超大型の資金調達に引き続くものだ。このシリーズBはソフトバンクがリードし、Exponential Ventures、Munich Re VentureのERGO Fund、 G Squared、CreditEaseなどの投資家が参加している。

ペインター氏は声明で次のように述べている。

3億8500万ドルのシリーズBを完了したことで、我々は自動車などの資産を購入すると同時に優秀な人材をスカウトし、市場に対する洞察を深め、リーダーシップを強化することができるようになった。ジャイは豊富な経験により実施面でのリスクを最小化し、事業運営の戦略を立てる。パットは投資家だが、今回我々の十字軍に参加してくれた。ジョンは世界でもトップクラスの財務会計の専門家であり、我々のサブスクリプションと自動車損害保険のシステムを堅実な基盤の上に構築してくれるものと信じている。

Fairは2018年1月に、Xchange Leasingの契約中のリース資産とサービスを買収した。このスタートアップはUberが2015年に設立したもので、自分車を所有していないドライバーがUberに参加しようとするとき新車ないし新車に準ずる中古車をリースすることが目的だった。

このXchangeのリース部門はFairの事業の基礎をなすといってもいい大きな意味がある買収だった。現在Fairが保有する自動車の45%はUberのドライバーが使用しているという。

Fairは事業の国際展開にも強く期待しており、新しい最高プロダクト責任者のトリニダッド氏はTechCrunchのインタビューに対し、「来年は海外への事業拡大に力を入れていく」と語った。Fairはまだ具体的にどの国か明らかにしていないが、トリニダッド氏はGoogleやディスカバリーチャンネルなどで海外に長く駐在し国際経験が豊富だ。こうした経歴を考えるとFairの国際展開のターゲットはまずアジアとヨーロッパになるだろう。

トリニダッド氏は「全力でビジネスを拡大する。近くもっと大きなオフィスに移る予定だ」と述べ、またビジョンを次のように語った。

ロサンゼルスとサンフランシスコでは1年以内に「自動車がいるなFairからサブスクリプションすればいいじゃないか」と人々が言うようになるはずだ。われわれはサブスクリプションが購入、リースに次ぐ第3のオプションになるものと期待している。

画像: Justin Sullivan / Getty Images

【Japan編集部追加】 LinkedInによれば、Jay Trinidad(ジャイ・トリニダッド)氏はGoogle Asia Pacific、日本マクドナルド、Square、翻訳スタートアップのGengo、Discoveryなどの幹部として長く東京に駐在している。このことから考えるとFairはまず日本に進出する可能性がある。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

フォルクスワーゲン・ビートルの生産がついに終了

フォルクスワーゲンのビートルが惜しまれつつ、ついに去ることとなった。現行モデル、ザ・ビートルは2011年にデビューした3代目だ。初代は戦前の1938年に生産が始まっている。長い中断を経て最初に復活したのは1997年のニュー・ビートルだ。最後のビートルはすでにメキシコ工場の生産ラインを出ており、近くのプエブラにあるフォルクスワーゲン博物館に展示される。

2011年の現行モデルはカブトムシを思わせる丸っこいボディーや古典的なフェンダー形状などは維持していたものの、西海岸ヒッピーたちに好まれた1998年モデルの特徴をかなり失っていた。北米向けのオリジナルのビートルの生産は1979年に終了していたので、ニュービートルの復活はほぼ20年後だった。以来ビートルは21年にわたって生産が続けられた。

昨年、フォルクスワーゲンは2019年にビートルの生産を終了すると発表していたので今回の発表に驚きはないが、将来後継モデルが登場するのかどうかはまだわからない。VWは生産終了を発表したとき復活の可能性を排除はしなかった。しかし復活を約束したわけでもない。同社は現在新しい電気自動車プラットフォームの完成に努力を集中している(床下バッテリーで後輪を駆動するならビートルのデザインに親和性はある)。

Apple(アップル)が12インチのMacの生産を終了したというニュースが飛び込んできたばかりだ。これはいろいろな面で奇妙な製品だったが熱心なファンもついていた。消えていくことになったのは時代の流れだろうか。バイバイ、ビートル。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Lyftの上場初日株価は9%アップで引ける

米国時間3月29日に有力配車サービスのLyftがNASDAQに上場した。これを祝って天井からピンクの紙吹雪が共同ファウンダー、Logan Green氏とJohn Zimmer氏の上に舞い落ちた。公募売出価格設定は上出来だったようで、Lyftが設定した1株72ドルを21%も上回る$87.24ドルで初値がついた。初終値は若干下げて78.29ドルとなった。

Lyftは上場の直前、木曜日に23億ドルの資金を調達していた。今回の上場でLyftの時価総額は240億ドル前後となった。 公開前の会社評価額は151億ドルだったので上場で約1.6倍にアップしたことになる。株価売上高倍率は11倍だ。

Lyftの共同ファウンダーはBloomberg TVで国際展開、自動運転車、新しい自動車の所有形態、自動車保険などを含めて会社の長期目標について語った。Green氏はEmily Chang記者に対してこう述べている。

我々のビジネスは極めて利益率の高いものになると確信している。1兆2000億ドルという巨大な自動車市場は1世代に一度という変革期を迎えている。自動車は所有するものからサービスを利用するものに変わりつつある。我々はこのトレンドの先頭にあって驚異的な前進を遂げている。

Green氏とJohn Zimmer誌の共同ファウンダー2人は、同社の最大の市場であるロサンゼルスを上場の舞台に選んだ。Zimmer氏はこう述べている。

我々はLyftのコミュニティー全体の利益となるような形で大きなビジネスを作り上げることができると実証したい。上場の鐘を鳴らしたとき、Lyftのドライバーもその喜びを分かちあった。Lyftは株式をボーナスとしてドライバーに分配しているからだ。

画像:Mario Tama / Staff / Getty Images

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

自動車用アラームの欠陥で300万台の車がカージャックの危機に

一般的に使われている2種類の自動車用アラームシステムが、セキュリティの脆弱性を修正した。それらのシステムの以前の状態では、研究者が車両を遠隔操作で追跡し、乗っ取って、その車をコントロールすることができた。

英国のサイバーセキュリティ会社のPen Test Partnersの研究者によると、ロシアのアラームメーカーのPandoraと、米国カリフォルニアに拠点を置くViper(英国でのブランド名はClifford)によって開発されたシステムは、簡単なサーバー側のAPIの操作に脆さを露呈した。米国時間の3月8日に投稿されたところによれば、APIを悪用して、アラームシステムのユーザーアカウントと、その車両の制御を獲得することができたという。

その脆弱なアラームシステムのAPIは、リクエストが正当なものであるかどうかを確認することを怠るため、そのアカウントのパスワードをリセットするよう騙すことができ、研究者がログインできた。

研究者はテストのためにアラームを購入したが、「だれでも」本物のアカウントにアクセスするためのユーザーアカウントを作成したり、その会社のすべてのユーザーデータを引き出すことができる状態だったという。

研究者によると、全世界でおよそ300万台の車がこの欠陥の影響を受ける状態にあったはずとのこと。

このハッキングの実証実験では、研究者はターゲット車両の地理的位置を特定し、それをリアルタイムで追跡し、実際に追尾して、遠隔操作でエンジンを切り、車を停止させ、ドアのロックを解除した。研究者は、脆弱な車両を乗っ取るのは「取るに足らない」ことだったと述べた。さらに悪いことに、車のモデルを特定できる場合もあり、高価な車を見定めて乗っ取ることを容易にする。

さらに研究者は、車載マイクロフォンの音声を聞くことができることまで発見した。それは、緊急サービスへの電話や、ロードサービスのために、Pandora社のアラームシステムが備えているものだ。

Pen Test Partnersの創立者であるKen Munro氏は、これは彼らとして「最大の」プロジェクトだったと、TechCrunchに語った。

こうした脆弱性の深刻さを考慮して、研究者は7日間の開示期間を設け、PandoraとViperの両社に連絡を取った。両社とも即座に応答し、この欠陥に対処した。

問い合わせに対し、ViperのChris Pearsonは、その脆弱性が修正されたことを認めた。「悪意によって使われた場合、その欠陥によって承認なしに顧客のアカウントにアクセスされる可能性がありました」。

Viperによれば、サービスプロバイダによる最近のシステムアップデートのせいで発生したバグであり、問題は「すみやかに修正された」ということだ。

「Directed社(Viperの親会社)は、この脆弱性が存在した短期間の間に、顧客データが露出されることもなく、承認なしにアカウントがアクセスされたこともなかったと確信しています」と、Pearson氏は述べた。しかし、会社がどうやってそういう結論に達したのかという証拠は明らかにしなかった。

一方、PandoraのAntony Noto氏は、長いメールで研究者の指摘に反論した。要約すると、「システムの暗号化は破られず、リモートコントロールはハッキングされず、タグは複製されていません」ということ。「ソフトウェアの不具合により、一時的に短期間だけデバイスにアクセスすることができましたが、現在は対処されています」。

今回の調査は、CalAmp社に対して昨年行われたVangelis Stykasによる研究に続くもの。同社はViperのモバイルアプリの基盤となっているテレマティックスを提供している。Stykasは、後にPen Test Partnersに入社し、カーアラームの調査プロジェクトにも携わった人物。Viperのアプリが、アプリ内にハードコーディングされた認証情報を利用して中央のデータベースにログインしていることを発見した。それにより、ログインしている人は誰でも、接続された車をリモートコントロールすることができる状態になっていた。

(関連記事:Outdoor Tech’s Chips ski helmet speakers are a hot mess of security flaws

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

トヨタが自動車サブスクリプションのKintoをスタート、エコドライブにはボーナスポイント

日本のトヨタ自動車は自動車サブスクリプションのKintoを正式にスタートさせた。このサービスは去年末に発表され、自動車その他の交通手段を定額のサブスクリプションで提供する他、中古車の売買、整備、補修部品販売なども行う。

Kintoは100%子会社のトヨタファイナンシャルサービスと、住友商事グループの住友三井オートサービスが出資している。トヨタの発表によれば、Kintoへの当初の出資は18億円(1600万ドル)だという。

Kintoの設立は数年前から始まっていた新しい形の自動車利用へのシフトを明確化するものだろう。世界の自動車メーカーはサブスクリプション・モデルを各種実験している。ただし結果は成功ばかりではない。VolvoのCare by Volvoはもっとも成功した例だが、キャデラックはBook by Cadillacサービスを中止している。ただしGMでは再開の方策を検討しているという。

他の自動車サブスクリプションと異なり、Kintoはサービスをゲーム化しているのが特色だ。実際の運用はこの秋から開始されるが、顧客のドライビングの「エコ」、「安全」の度合いを判定し、それに応じたボーナスポイントを還元するという。トヨタではドライビングをどのような基準で判定するのか具体的に明かしてないが、利用される自動車はインターネットに接続され、各種センセーで情報がモニターされるものとみられる。【略】

Kintoのサービスは当面、日本で実施される予定で、ヨーロッパ、アメリカは対象とされていない。Kinto Oneのメンバーはトヨタの自動車1台(プリウス、カローラ・スポーツ、アルファード、ベルファイア、クラウン)を3年間利用できる。利用できるモデルは2019年秋までにさらに拡大される予定だ。Kinto Oneのサブスクリプションは消費税を含まず月額4万6100円(419ドル)から9万9000円(901ドル)まで。Kinto Selectプランの場合、ユーザーは3年契約で6車種のLexuxの中から選択できる。こちらは月額18万円(1638ドル)だ。

両サービスとも月額定額で、任意保険、自動車税、登録費用、車検費用などを含んだパッケージだ。

ハイエンド版のKinto Selectは今週ただちに運営がスタートする。 Kinto Oneは3月1日スタートの予定。それぞれトヨタとLexusの首都圏のディーラーの一部で試行が開始される。この夏には大都市圏に拡大されるという。

画像:Toyota

(日本版)トヨタ自動車のKintoのプレスリリース

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

CES 2019:Qualcomm、自動車用スマートコックピットを発表

CES 2019の開幕を控え、Qualcommはラスベガスでプレスカンファレンスを開催し、Snapdragon自動車コックピット・プラットフォームの第3世代を公開した。これは同社として最新のAIベースのスマート自動車コントロール・システムだ。伝統的なカーナビから未来的な音声コマンド操作まで幅広い機能がウルトラ・モダンなデザインのインターフェイスに統合されている。

このプラットフォームはパフォーマンス、プレミア、パラマウントという3つのレイヤーを持つ。これはそれぞれエントリーレベル、ミッドレベル、ハイエンドの層を意味するが、コアとなるテクノロジーは同一でSnapdragon 820Aプラットフォーム上に構築されている。820Aは同社のAIエンジン、信号プロセッサー、CPU、GPUなどハードウェアをすべて管理する。

Automotive at CES 2019 - TechCrunch

システムにはQualcommのHexagonプロセッサーが含まれる。これは自然言語処理や外界の対象の認識と分類、機械学習アルゴリズムをを動作させる。またQualcomm Visionカメラから得た画像データを処理するコンピューター・ビジョン・ハードウェアも搭載されている。

ただしこのコンピューター・ビジョンは自動運転のために用いられるわけではなく、「車線レベルの詳細なデータを得てクラウドソーシングでロードマップを作成するなど多様なユースケースに対応してドライバーの運転をサポートする」ものだという。つまり適切なコンテキストの下で社内外をモニターして安全性を高め、運転をサポートするドライビング・アシスタント・システムだ。【略】

自動車メーカーや関連企業は現在すでにこのプラットフォームおよびシステム開発ツールの利用が可能だ。

CES 2019 coverage - TechCrunch

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

GM、乗用車工場を閉鎖、1.4万人以上のレイオフへ――キャデラックCT6も消える

General Mortorsがリストラのために最初に実行したの早期勧奨退職だった。 GMはコスト圧縮にさらに厳しい方針を打ち出した。工場の閉鎖とホワイトカラー社員のレイオフだ。北米地区のいくつかの工場が閉鎖され、乗用車はいくつかのモデルが製造中止となる。SUVやトラックに製造の重点を移し、利益率が高い身軽な企業を目指す。また産業の将来を視野に入れた投資は電気自動車と自動走行に集中する。

この行動計画は近く予想されるアメリカの自動車市場の不振に備えようとするもので、GMの年間フリーキャッシュフローを60億ドル程度改善するという。内訳はコスト削減が45億ドル、2020年までの設備投資等の資本支出の低減が通年で15億ドルと見込まれている。フォードも今年に入って同様のリストラ計画を発表している。

GMは北米のホワイトカラー社員を15%、管理職を25%カットする計画だ。同時に3つの車体組み立てラインと2つのエンジン製造工場を閉鎖する。これにはオハイオ州のローズタウン組立工場、ミシガン州のデトロイト・ハムトランク組立工場、カナダのオシャワ組立工場が含まれる。閉鎖は2019年から始まる。さらにメリーランド州ホホイトマーシュ、ミシガン州ウォーレンの工場についても2019年12月以降閉鎖することを決めている。これらの工場の労働者はレイオフされる。

オシャワ工場の労働者は月曜日に抗議のストライキを行った。

ローズタウン、デトロイト・ハムランク、オシャワ工場での生産は来年末までに停止される。これによりGMはコンパクトカーではシボレー・クルーズ、セダンではシボレー・インパラ、キャデラックCT6の生産を中止する。プラグイン・ハイブリッドも少なくとも1車種が廃止されるはずだ。Chevy Voltはデトロイト・ハムトランク工場で組立てられ、電気モーターはホワイトマーシュ工場で生産されちている。

一方、GMは2020年までに完了する電動自動車、自動走行車の開発プログラムに経営資源を集中するとしている。【略】

去る10月にGMは早期退職プログラムにより北米地域で勤続12年以上のホワイトカラー、1万8000人を削減する計画を発表した。GMでは早期自主退職を選択するかどうか11月19日までに決めるよう促していた。勧奨退職に応じた人数はまだ明らかにされていない。

GMでは4、5年前からコストカットの努力を続けており、ヨーロッパでは赤字が続いたオペルをPSAグループに売却している。

今回のリストらは1万5000人近くの社員に影響するものとみられる。

画像:Rachel Woolf/Getty Images

〔日本版〕このリストラ計画についてはWSJでも取り上げられている

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスク、TwitterでSECを挑発

木曜日(米国時間10/4)の午後、Tesla CEO Elon Muskは米国証券取引委員会(SEC)を挑発するツイートを発信し、わずか数日前この億万長者起業家に対する証券取引詐欺告発の和解に合意したばかりの相手を怒らせた。

木曜日の午後1時16分(西海岸時刻)に発信されたツイートにはこう書かれていた:

「あのShortseller Enrichment Commission[空売り推進委員会/SEC]は素晴らしい仕事した。名称変更もキマっている」

elon musk trolls sec twitter

SECはコメントを拒んだ。Teslaはコメント要求にまだ応じていない。

Tesla株は4.4%安で引けた後、時間外取引で2.5%下落し、その後わずかに戻した。

その後Muskは謝罪した。ただしそれは嘲りのツイートについてではなかった。それどころか彼は挑発に輪をかけるようにタイプミスについて謝った。、

elon musk twitter sec typo tweet

Muskの支持者たちでさえ一連のツイートを喜ぶ人ばかりではなく、CEOは株価を台無しにしたと責めた。Muskのアドバイスはこうだった:「いまは我慢の時。本物の長期投資家なら心配はいらない」

ほんの数日前、MuskはSECに訴えられた証券詐欺の和解に合意した。それはTeslaとその株主を壊滅させかねない告発だった。9月29日に成立した和解の結果、MuskはTeslaの会長職を辞すとともに罰金2000万ドルを支払うことに合意した。

罰は課されたものの、MuskはCEOの地位を守り、取締役会の席も維持できたことで、これはこれはおいしい取引だったと見られている。MuskはSECの主張を承認も否定もしていない。

Muskは合意形成から45日以内にTeslaの取締役会会長の役職を退かなくてはならない。今後3年間彼は再度選任されることも指名を受けることもできない。社外の会長が指名されることが和解契約で決まっている。

SECによると、Teslaは別途2000万ドルの罰金を支払うことに同意している。Teslaに対する告発と罰金は、情報開示義務の不履行およびMuskのツイートに関連する手続きによるものであるとSECは言った。

訴状の中でSECは、Muskが8月7日に同社を1株あたり420ドルで非上場化するための「資金を確保」したとツイートした際、嘘を言ったと告発している。同委員会はツイートの一週間後に、Teslaに召喚状を送った。その6週間後に訴状が提出された。

告発されたのはMuskおよびTesla取締役会が、SECとの合意を突然撤回した後だった。取締役会は合意を破棄しただけでなく、訴追後もMuskを擁護する大胆な声明を発行した。New York Timesの報道によると、Muskは取締役会に対して最後通告を出し、もし取締役会が合意を強要するなら辞任すると脅したという。

結局和解は成立したが、罰は当初の合意案よりも重くなった。

それでもウォール街はこの合意を好意的ニュースとして扱い、その結果Tesla株は上昇しSECの主張によって生じたそれまでの損失を帳消しにした。

木曜日の一連のコメント後、連邦判事はSECおよびTeslaに対して、裁判所がこの同意判決を承認すべき理由を説明する共同文書を提出するよう求めた。

連邦地方裁判所のAlison Nathan判事は、同意判決が「公正かつ妥当」であるかどうかは地方裁判所が決定すべきであると言い、10月11までに説明文書を提出するよう両者に指示した。

Muskのツイートが、裁判官の命令に対する反応であったかどうかは不明だ。

画像クレジット:Mark Brake / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新しいビーストはキャデラックCT6――2018年版大統領専用車がニューヨークに現れた

大統領専用車の最新モデルがニューヨークの公道上で目撃された。その重装備から「ビースト」と呼ばれる大統領リムジンは、今回もキャデラックがベースだった。同型リムジン2台が作成されて車列に入り、大統領のセキュリティをさらに高める。

GMが製作した新しい装甲リムジンはキャデラックCT6がベースだ(よく観察するとキャデラックEscaladeの影響も感じられる)。 オバマ政権時代に製作された現行モデルはキャデラックDTSベースだった。

大統領の身辺警護を担当するシークレットサービスは大統領専用車の製造にあたって詳しい仕様を指定する。大統領の執務に必要な各種の室内装備はもちろん、強固な防弾能力やその大重量に耐えられる強化シャーシーなどだ。このためシャーシーはGMのトラックのプラットフォームが用いられる。セキュリティー上の理由により技術的詳細は明かしていないものの、GMの広報はTechCrunchに次のような声明を送ってきた。

アメリカの偉大な伝統の一部である大統領専用車の設計、製造を任されたことはGMの大きな名誉だ。数多くの大統領に仕えてきたキャデラック・リムジンの豊かな遺産を受け継ぎ、新しいキャデラックもGMのスタイルとクラフツマンシップを十分に活かしたものとなっている。デトロイトでデザインと製造が行われたこのリムジンはキャデラックCT6に外観が類似している。残念ながらセキュリティー上の理由によりそれ以上の詳細を明かすことはできない。

GMは連邦政府が「次世代パレード・リムジン・プログラム」と呼ぶ1580万ドルの契約を勝ち取っていた。GMはこれ以外にも自動車や関連する補給に関し数千万ドルに上る契約をシークレットサービスと結んでいる。

さる日曜にニューヨークの公道で装甲CT6が目撃された背景は、今週マンハッタンの国連本部で開催される総会に大統領が出席するためだろう。シークレットサービスは新リムジンについてTwitterに写真付きで投稿していた。

新しいプレジデンシャル・リムジンがこれまでのモデルと同様の機能を備えているなら分厚い防弾ガラスから大統領の血液型に対応した血液製剤、化学兵器に対抗する空気ボンベまでほとんどあらゆる攻撃に耐える生存性があるはずだ。

キャデラックDTSベースの現行ビーストは2009年にオバマ大統領の就任式でお目見えした。タイヤは19.5インチ、乗客定員5人、インテリアには大統領用の折りたたみデスクなどを備える。

〔日本版〕大統領専用車のヘッドライトはEscaledeに似ている。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

WayRayのホログラフィックAR HUDにポルシェなど自動車メーカーが800万ドルを投資

巨大にして古い体質を引きずる自動車産業は、次世代の自動車技術を開発してもらおうと、革新的なスタートアップに望みと夢を託してきた。そのいちばん新しい物語のページが、先日(9月18日)、開かれた。チューリッヒに本社を置くホログラフィーを使った拡張現実技術(AR)とハードウエア(運転者の視界に映像を投影するヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)に使われる)を開発する企業WayRayが、ポルシェが主導するシリーズC投資として800万ドル(約9億円)の資金を調達した。これには、現代自動車、以前から同社に投資を行っているアリババ・グループ、招商局集団、JVCケンウッド、さらに政府系ファンドも加わっている。

WayRayは、この資金の使い道として、来年を目処に自動車メーカーにディスプレイ技術をOEM供給すること、長期的には、建築用の窓のような自動車用以外のディスプレイを開発する計画を示している。

WayRayは設立から約5年になる。製品は広く紹介されているものの、まだプロトタイプの段階に留まっている。しかし、その評価額は非常に高い。WayRayに近い情報筋によると、現在の評価額は5億ドル(約560億円)にのぼる。だが、WayRayの創設者でCEOのVitaly Ponomarevは、来年に予定されている製品の出荷が始まれば、その額は2倍になるだろうとインタビューで話している。

「私たちの製品の寿命はとても長いものです」とPonomarevは言う。「私たちは今、自動車業界への部品の認定供給業者になろうとしてるところですが、それには時間がかかります。来年にはティアツーサプライヤーになることを目指しています。年が開けるとすぐに契約が結ばれ、私たちの評価額に影響してくるはずです」。さらに彼は、すでに「すべての大手自動車メーカー」と接触していると話していた。

(資金に関して付け加えるならば、同社は公式には1億1000万ドル(約124億円)を調達していることになっているが、我々の情報筋によると、非公式に1億4000万ドル(約157億円)を、今は支援していることを伏せておきたい投資家から受け取っているという)

自動車用のHUDの市場価値は、昨年の時点で5億6000万ドル(約630億円)と見積もられていたが、2023年までには10億ドル(約1120億円)を超える見通しだ。WayRayのような企業は、コンチネンタルやパナソニックといった企業と頭を付き合わせて、彼らの要求に応えるシステムを作ることになる。これには2つの役割がある。ひとつは、運転者のアシスト。もうひとつは、乗客(または自動運転車の運転席に座る人)に情報や娯楽を提供することだ。

Ponomarevは、2週間以内に、それらのケースに対応するアプリ開発用のSDKを発表すると話している。

企業としてのWayRayは、AIに強く、とくにコンピュータービジョンと車内の安全システムの技術に優れた2つの国にまたがっている。WayRayの研究開発の大部分を占め、最初の(プロトタイプ用の)工場が置かれたのはロシアのモスクワだ。もうひとつの拠点が、現在はスイスのチューリッヒにある。最近までローザンヌにあったのだが、ドイツの国境に近く、複数の自動車メーカーが拠点を置いているチューリッヒに移転した。WayRayは、製品を製造する最初の工場をドイツに構える予定もある。2番目の工場は上海に作られる。現在、上海には営業所があるだけだ。

TecCrunchでは、今年のCES会場でWayRayを見つけて、その技術について簡単な記事を紹介したが、その画像の鮮明さや広さは、HUDの可能性を信じる私たちを勇気付けるものだった。すでにいくつものHUDメーカーが製品を販売しているが、言わせてもらえば、NavdyiScoutなど残念なものが多い。 しかしWayRayは、そうした多くのメーカーとはアプローチの角度が違う。反射式画面や埋め込み型ディスプレイではなく、ホログラフィックAR技術に特化している。

それにより、同社の専門はソフトウエアのみならず、最新のレーザー技術や材料科学(新しいポリマーを開発している)にまで広がったとPonomarevは話す。ホログラフィックHUDを研究している企業はWayRayだけではないが、WayRayがもっとも進んでいると彼は信じている。「特許の面から言えば、私たちが世界でナンバーワンです」と彼は言う。このシステムは、現在作られているものに比べて、20分の1のサイズにまで小さくできる可能性がある。

WayRayは、現在、埋め込み型のHUDシステム、つまり車両に組み込むための技術とハードウエアにフォーカスしているが、それは最近になってからのことだ。今年の初めまで、ユーザーが自分で買って好きな車両に取り付けられる、後付け型のハードウエアも同時に開発していた。

後付け型ハードウエアの問題点は、基本の技術がかならずしも同じでなくても、過激な競争になることだ。「中国など、世界中の何十社もの企業が参入して、後付けHUDビジネスを破壊してしまいます」とPonomarevは言う。「理由は単純です。中身に(独自の)技術がないからです」

後付けハードウエアのもうひとつの問題点は、販売チャンネルを作らなければならないことだ。

「小売りチェーンを通ることで、大きなマージンが取られてしまいます」と彼は言う。「しかし、OEMチャンネルに競争相手がひとつもなかったなら」……これはWayRayが主張する現在の状況だが……「それは金の鉱脈です。顧客は、一緒に仕事ができる時間が作れるまで、私たちのことを列を作って待っていてくれます。敷居が高い(一から始めて新しい技術分野を切り開き自動車産業に参入する)のが難しいところですが、良い面がとても大きく広がっているので、私たちは後付け型から埋め込み型に切り替えました。私たちは、それに相応しい技術を持っています」

それでも、WayRayが成功を実感できるようになるまでには、乗り越えなければならないハードルがある。自動車の内装には物理的にさまざまな違いがあり、それによってホログラフィック・ディスプレイの挙動は変わる。それに、本体はできるだけ小さく、映像はできるだけ大きく映し出すというハードウエアの開発には、つねにその2つの駆け引きによる緊張が付きまとう。

もうひとつ、その車種に、これを受け入れる準備ができているかどうかを考慮する必要がある。高度なドライブシステムや複数のセンサーなどを備えた車種なら、WayRayのシステムから出力される映像のレンダリングが高速に処理されるだろうが、そうではない車種では、WayRayのシステム自身が必要なデータを収集する方法から考えなければならない。それには、より複雑で高価な技術が必要になる。

しかし、そうした困難な問題に取り組んだとしても、見返りは大きい。

ポルシェは、WayRayの技術を、単に運転車のアシストに使ったり、すでに高い性能を有する車のオマケにするだけでなく、いずれはもっと多くのサービスを提供したいと考えている。たとえば、アリババを使った電子商取引だ。

「私たちが手を組むことで、お客様がポルシェに期待している基準での顧客ソリューションを提供できるようになると確信しています」と広報担当者は話している。

「WayRayは、宇宙工学、ハードウエアとソフトウエア開発といったしっかりとした経歴を持つユニークな専門家集団です」と、ポルシェの取締役会副会長であり財務IT担当取締役員のLutz Meschkeは、声明の中で述べている。「彼らの革新的なアイデアと製品には、非常に大きな可能性があります。これを基に、私たちはカスタマイズされたポルシェのソリューションをお客様に提示できるようになります。だからこそ、私たちはこの戦略的な投資を決断したのです」

また、長期的にその技術の応用に対する投資も拡大している。

「WayRayは、ホログラフィックARディスプレイ・システムのハードウエア開発、ソフトウエア開発の両方において、卓越した専門性を有しています」と現代自動車グループの最高イノベーション責任者であり執行副社長の池永朝(ヨンチョウ・チ)博士は声明の中で話している。「現代とWayRayの協力により、私たちはAR技術を利用した、まったく新しいエコシステムを確立し、ナビゲーション・システムの強化だけでなく、スマートシティーやスマートビルディングのためのARプラットフォームも構築することになります。それは、現代自動車グループは新事業でもあり、将来的に、私たちの車を運転されるお客様に、革新的な顧客エクスペリエンスを提供します」

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

ルノー・日産・三菱連合がGoogleとパートナーして車載システムをAndroidベースに

Googleが、車の売上ベースでは世界最大の自動車メーカー連合であるRenault-Nissan-Mitsubishiとパートナーして、Androidベースのインフォテインメントシステムを数百万台の自動車に搭載していく。彼らはWall Street Journalにそう語った。その次世代型インフォテインメントシステムとダッシュボードディスプレイはAndroidを使用し、2021年にローンチする。

運転者は車のダッシュボードから、Googleの地図やアプリストア、音声アシスタントなどにアクセスできる。このパートナーシップは、自分のオペレーティングシステムをより多くの自動車に載せたいと願っているGoogleの野望の実現に向かう、大きな一歩だ。この連合は今年の前半に計550万台の車を売り、VolkswagenやToyota Motorを上回った。

連合の役員たちはWSJに、多くの顧客がすでにGoogle Mapsなどのアプリを使い慣れているので、運転時には連合が自分たちで独自開発したソフトウェアよりも、Googleのアプリが好まれる、と語っている。

またGoogleが2007年にソフトウェアをオープンソースにしたことも、役員たちは評価している。連合のコネクテッドビークル担当VP Kal MosはWSJ紙に、“ここ数年で信頼が築かれた”、と言っている。

GoogleとパートナーすることによってRenault-Nissan-Mitsubishiは、ソフトウェアを自分たちのエコシステムで独自開発するよりテクノロジー企業とパートナーする、という戦略において、ライバルの自動車メーカーよりも先んじることになる。しかしこれによって多くの顧客を勝ち取ることにつながるかもしれない反面、貴重なユーザーデータのコントロールをGoogleやAppleなどの企業の手に渡すことにもなる。彼らはWSJの取材に対して、Googleは車載アプリから集めたデータにアクセスできることになるが、しかしその前にユーザーの許可を求める必要がある、と述べている。

そのほかの自動車メーカーも、たとえばVolkswagenはAudiの車載ナビにGoogle Earthを入れているし、Volvoは、次の車載インフォテインメントシステムをAndroidベースで構築する。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AppleがTeslaに転職していた上級技術者を再雇用、車の開発を再開する兆しか?

噂ばかり長かったAppleの自動車開発が、本物だという兆候を探していた人にとって、ビッグなサインが飛び込んできた。AppleでMacのハードウェアエンジニアリング担当VPだったDoug Fieldが、転職先のTeslaからまたAppleに戻ってきたのだ。

Daring FireballのJohn Gruberが特ダネしたニュースによると、FieldはAppleに戻る前の5年間、TeslaでModel 3の生産を監督していた。

Appleは本誌TechCrunchに、Fieldの再雇用を認めたが、彼の役割に関する情報はくれなかった。しかしGruberの記事では、Fieldは過去に一緒にMacのハードウェアの仕事をしていたBob Mansfieldとまた一緒になるらしい。そのMansfieldが、Appleの自動車プロジェクト‘Project Titan’のトップで、定年退職を引き止められた人物というから、いきなり濃い話になってくる。

秘密主義的なProject Titanに関してはいろんな憶測があったが、中でもいちばん強烈なのは、Appleが自動車の開発を放棄したという2016年の報道だった。そして、車は作らないが自動運転技術にフォーカスする、とされた。プロジェクトは依然として不透明で見定めがたいが、でもTeslaで生産を監督していた人を— Waymoの自動運転技術者をスカウトした直後に—雇用するのは、Appleが自動車の開発を近く再開することの、強力な兆候かもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

BMWはなぜ一貫した顧客体験を追求するのか

BMWは過去数年間、電気自動車、自動運転など状況がめまぐるしく変わり、顧客の期待が高まる一方である時代におけるラグジュアリー車メーカーであるというのは何を意味するのか、という疑問に向き合っている。結局のところ、その疑問は人がやがて運転しなくなったときの“究極のドライブマシーン”とは何か、ということになる。

BMWにとってこの問いへの答えは、高パフォーマンスの車という遺産も踏まえ、テクノロジーと乗車体験に改めてフォーカスする、ということになる。車という製品だけでなくビジネスモデルという点も含めて、この会社がどう変わりつつあるのか。率直にものを言うBMWデジタルプロダクト・サービスのヴァイスプレジデントDieter Mayに、同社が最新の車内オペレーティングシステムを発表した直後に話を聞いた。

「我々は、これまでの主力商品の車とは異なる、そして収入につながるようなデジタルロダクト・サービスをつくる」とMayは語る。「これらのデジタルプロダクトというのは、販売先の顧客と直の関係を築き、直接語れるようなチャネルや接触点を有するものだ」。

車産業において、こうした販売チャネルというのはディーラーに頼っていた。ディーラーというのは、客が車を購入し、サービスを受ける場所だ。あなたがどうした人物なのか、何を欲しているのかを把握しているのは(理想的には)ディーラーなのだ。このビジネスモデルでは車メーカーの役割というのは車を製造することだ。おそらく顧客が車の価格について何かしら情報を得るという点でオンライン上では少しは中心的な役割を担っているかもしれない。そのスタイルから抜け出すのだ。

しかしながら、それは、Mayが描いている未来の姿ではない。その姿とは、ドライバーやユーザー体験を持っているAppleやGoogleといった大テック企業のものとも違う。

「我々は車におけるデジタルプロダクトを作ろうとしているのであり、と同時にチャネルや接触点としての車を手掛けようとしている」とMayは言う。「アプリやパーソナルアシスタントを用意するだろうが、それらをもって我々はユーザーのプロフィールをつくり、セールス部門に提供する。今日、どの車メーカーも顧客と直接やりとりをすることはほとんどできない。というのも顧客はディーラーに属していて、その後のセールスやファイナンシャルサービスといった各ビジネスは束ねられておらず、それぞれが別々に顧客に連絡をとっている」。

だからこそBMWにとって車におけるデジタル体験というのは意味のあることなのだーおそらく今後数週間、数カ月以内に何かしらの発表があるだろう。しかしBMWは、この変化をいかに新たなビジネス機会をつくるのに生かすかという視点で先を見ている。そのビジネス機会とは、数ドルの車内Spotify購読の販売だったりする。しかしここで最もMayが興奮しているのは、同社の車を所有している限りそのオーナーとつながれることにある。「これは素晴らしいことだ。というのも、製品である“車”を常にフレッシュな状態にでき、デバイスのように管理できるからだ」と語る。

ここで Mayが示唆することは、BMWが車販売に専念するというのではなく、車が使われている限りユーザーから何かしらの収入を得るモデルを作る、ということだ。一例として、MayはBMWが充電パッケージ付きのMiniを、また均一料金で充電できる購読付きで販売するかもしれないと述べた。「ここではたくさんのチャンスがあるが、車の購入前後でスマートに行わなければならない」。

しかし、もしBMWが顧客をカバーしたいのなら、それはディーラーシップに変化が生じることを意味する。「ディーラーは今後、違う役割を模索しなければならない」とMayは認める。「我々は、ディーラーとデータを共有し、またディーラーも我々とデータを共有することを想定している。大きなケーキのほんの一部分だとしても、ないよりはマシだ」。

客は今後もサービスを受けるためにディーラーに足を運ぶだろう。ゆえにBMWはそれを完全にやめさせようとは思っていない。しかし顧客との関係面で大部分を自社で掌握したいと思っている。結局のところ、車メーカーを代表するのは、テストドライブを提供したり車を自宅まで届けたりするディーラーなのだ。

「誰もが自動運転や電気自動車などについて語るが、我々にとって最も重要なことは、顧客重視の企業にならなければ、我々は必ず失敗するだろうということだ。顧客の生活、そして車の中でもデジタル要素は今後も増えるだろう。それを理解していなければ、我々は問題を抱えることになる」。

最新の車載システムに関して、BMWはのConnectedDrive systemの登録ユーザーが現在300万人超であることをMayは明らかにした。しかしさらに重要なのは、ユーザーインタラクション数がユーザー数を上回るかなりのスピードで増えていることだ。興味深いのは、こうしたユーザーは消費者向けインターネット企業とかなりうまくやっているというふうにBMWが考えていることだ。チームが月ごと、週ごと、そして毎日のアクティブユーザーを追跡した場合、チームはその数がアップデートするごとに増えるよう取り組んでいる。

車メーカーが長らく格闘してきた問題の一つに、車はスマホよりもずいぶん長く使うものであるために、車に搭載したテクノロジーがすぐに“廃れて”しまうことがある。現在はクラウドにいつもつながるようなコネクテッドカーの開発に専念しているので、BMWは(平等に言えば競合する他のメーカーも)車載ソフトウェアをアップデートできる。これは新しい車については当てはまるが、古い車ではそうではなく、その差は残るーBMWとMiniブランドの標準化されたモデルに関して言えば、2、3年前から直近にかけて発売されたものであれば問題はないようだ。

「車産業において、多くの人がすべては20年前のものにさかのぼって互換性があるようにするべきと考えている。しかし私の考えでは我々はスマホベンダーのようになるべきだ」とMayは言う。

ソフトウェア産業について言うと、BMWはミニマルで有能な製品に類似した新機能をしばしば発表する。その新機能は必ずしも、ラグジュアリーな車を買う人が慣れているというものではないが、こうすることで新機能をテストし、使用されるようになるにつれ機能を拡大させることができる。

BMWにとっての次の確実なステップは、顧客のことをよく知っているインターラクティブなパーソナルアシスタントを車に搭載することだ。この機能はかなり使われるようになるだろう、とMayは確信している。詳細についてはまだ明らかではないが、BMWチームは今秋より多くのことが明らかになるとヒントをくれた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

世界を57兆個の小さな区画に分割してそれぞれにユニークな名前をつけたwhat3wordsに投資が殺到

what3wordsは、世界全体を57兆個の、一辺が3メートルの正方形に分割して、そのひとつひとつに3つの言葉を割り当てている。その同社がこのほど、新たな投資家3社を開示したが、それらはどれも自動車業界方面からだ。

what3wordsは木曜日(米国時間6/28)に、中国最大の自動車グループSAIC Motorのベンチャー部門と、Formula 1のチャンピオンNico Rosberg、そしてオーディオとナビゲーションシステムのAlpine Electronicsが、ロンドンの同社に投資を行ったことを発表した。これまでの投資家Intel Capitalも、そのラウンドに参加した。

その資金は、新しい市場開拓と製品開発に充てられる。

調達額は公表されていないが、この投資は、ユーザー体験を単純化し、音声コマンドで容易に使えて、企業を自動運転車両の時代に向けて準備させてくれる技術への、主に自動車業界の関心を示している。このアドレッシングシステムではひとつの位置にユニークな(それ一つしかない)3語の組み合わせを与えるから、これまでの音声操作のナビゲーションシステムの多くが抱えていた重大な欠陥をなくしてくれる。それは、道路名の重複だ。

同社は、これら57兆個の正方形に、25000語のボキャブラリーを持つアルゴリズムを使ってユニークな三つの言葉から成る名前を割り当てた。そのシステムは、what3wordsアプリで誰もが利用でき、1ダース以上の言語に対応している。たとえば、パリのエッフェル塔の特定のコーナーにいる友だちに会いたければ、3語のアドレス、“prices.slippery.traps”を送る。Airbnbのホストは3語のアドレスを使って、ゲストを分かりにくい入口に案内する。自動運転車には3語のアドレスを与え、大きなスポーツアリーナの特定のエントランスへ行かせる。

what3wordsのCEO Chris Sheldrickはこう語る: “今回の資金でこの会社が進むべき方向が固まった。それは、車やデバイスや音声アシスタントなどに行き先を指示する方法だ”。

今年の初めにwhat3wordsは、Daimlerが同社の10%株主になったことを開示した。Daimlerの株の一件と、最近公開された投資家(前述)は、いずれも同社のシリーズCラウンドの一環だ。

同社の奇抜なグローバルアドレッシングシステムは、Mercedesの新しいインフォテインメントとナビゲーションシステム…Mercedes-Benz User Experience, MBUX…が採用し、まずこの春にアメリカ以外の市場で発売されたハッチバックの新型Mercedes A-Classに載った。セダンのA-Classはアメリカ市場に今年の後期に来る。

TomTomが先月発表したプランでは、今年の後半に同社のマッピングとナビゲーション製品にwhat3wordsが組み込まれる。TomTomのナビゲーションや交通技術製品を採用している自動車メーカーは、Volkswagen, Fiat Chrysler, Alfa Romeo, Citroën, Peugeotなどだ。

同社はそのほかの自動車メーカーとも商談を進めており、それは、車のインフォテインメントシステムにwhat3wordsを取り入れてもらうことが目的だ。

画像クレジット: what3words

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

[ビデオ]ふつうの円形の車輪が地形や地質に応じて三角形になる未来の軍用車両

DARPAは、そのGround X-Vehicle Technologies計画の一環として、未来的でしかも実用的な新しい軍用車両を披露した。イノベーションのひとつである構成を変えられるホイール・トラックは、カーネギーメロン大学のNational Robotics Engineering CenterとDARPAの共同開発だ。しかもそのホイール・トラックは、戦闘用車両を単なる武装を超えて生存性を強化するための設計要素の、ひとつだ。

ビデオでお分かりのように、構成を変えられる(reconfigurable, リコンフィギュラブル)ホイール・トラックは、円形の車輪から三角形のトラック(キャタピラー)への変形およびその逆をなめらかに約2秒で行い、しかも走行時にスピードを落とさずにそれができる。円形の車輪は硬い地面に合い、キャタピラー方式のトレッドはやわらかい地面で武装車両が自由に動ける。

Ground X-Vehicle計画のトップ、Amber Walkerによると、この技術は“車両の戦術的な動きと、多様な地形における行動性を大きく改良する”。…そのアドバンテージは、下図のGIF画像でお分かりいただけよう。

車輪の技術なんて、一見ぱっとしないが、結果は見た目にも印象が強いし、とってもスムーズだから、あらためて見なおしてしまう。

ビデオには、ほかにも見逃せない設計機能が映っている。そのひとつが、窓なし走行技術Virtual Perspectives Augmenting Natural Experiences(V-PANE)で、これは複数のLIDARとビデオカメラの像から、まわりの状況をリアルタイムで作りだす。そしてドライバーは3Dのゴーグルをつけて、VRによる窓からの光景を見る。そのVRは奥行きの把握と再現が強化され、ドライバーの頭の動きにリアルタイムで追従する。もちろん、さまざまな地形データ等も表示する。

画像クレジット: DARPA

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

TeslaのAutopilotの安全機能を騙すデバイスの販売をアメリカ政府が禁止

[筆者: Kirsten Korosec]
このほど、Teslaの半自動運転システムAutopilotの安全性機能をバイパスするアフターマーケット製品の使用を、連邦政府が禁止した。

合衆国運輸省の自動車道交通安全管理局(National Highway Traffic Safety Administration, NHTSA)は、Autopilot Buddy製品を売っているカリフォルニアの企業Dolder, Falco, およびReese Partners LLCに、停止命令書簡を発行した。

Autopilot Buddy製品は、“Tesla Autopilotのうるさい小言(こごと)を減らすデバイス”、というキャッチーなスローガンでマーケティングされている磁性体プラスチック片で、運転者の手がステアリングホイールにあることをチェックし、手が離れていたら警告を発するTeslaの機能を、不能にする。Autopilot Buddyのようなアフターマーケットデバイスは、NHTSAの規制対象である自動車用品だ。

Autopilot Buddyは、Tesla Model S, Model X, およびModel 3で使える。

NHTSAの副長官Heidi Kingは声明でこう述べている: “自動車の安全性機能と運転者の集中状態を無視する製品は受け入れられない。運転者に手をホィールに戻すよう安全システムが警告できないようにすることによってこの製品は、重要な安全対策を不能にし、顧客とほかの道路使用者を危険に陥れる”。

TeslaのAutopilotは、完全な自動運転システムではない。むしろそれは高度なアシスタンスシステムで、交通量に応じて速度を自動制御する機能(traffic-aware cruise control, TACC)や同社の登録商標であるAutosteer(自動ハンドル)などの機能を搭載している。後者は、カメラとレーダーと超音波センサーを使って、レーンのマーキングと車両などの存在を検出する。AutopilotとAutosteer機能が動作していれば、システムはTeslaの速度を一定に維持し、前の車両と適切な車間を保ち、レーンの保持や変更を行う。

しかしそれは、運転者が手をホィールに置くことを要求するので、それが面倒なオーナーはシステムを騙すためのありとあらゆる方法を、これまで見つけてきた。運転者が手をホィールに置いてないとシステムは、目と耳の両方へ警報を与える。警報を運転者が無視し続けると、Autopilotは遮断する。

書簡は企業に、対応期限を2018年6月29日と告げ、それまでにAutopilot Buddyの全米におけるマーケティングと営業と流通をすべて終了したことを、NHTSAに証明しなければならない。

企業はすでに政府に対応していたようで、そのWebサイトには、現在は国際的なオーダーしか取っていない、とある。“アメリカ国内のオーダーは取っていない。この問題ができるだけ早期に解決することを望んでいる”、とそのWebサイトは言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa