Microsoftの$7.5BのGitHub買収計画にEUの規制当局が青信号を点灯

Microsoftが計画していた、Gitを利用するコード共有コラボレーションサービスGitHubの買収を、欧州連合(European Union, EU)の規制当局が無条件で承認した。

この巨大ソフトウェア企業がGitHubの買収意思を発表したのは6月で、同社の株式で75億ドルを支払う、とされた。そして当時同社は、“GitHubはそのデベロッパーファーストの精神を維持し、独立した事業活動により、すべての業界のすべてのデベロッパーにオープンなプラットホームを提供する”、と誓った。

EUの執行機関欧州委員会(European Commission, EC)が今日、その計画を承認し、その査定が、関連市場における競争を阻害しないと結論した、と述べた。この併合後の企業実体の方がむしろ、継続的に“厳しい競争”に直面するであろう、と。

ECはとくに、Microsoftには自社のdevopsツールやクラウドサービスをGitHubに統合してサードパーティのツールやサービスの統合を制限する能力や誘因はない、と言っている。

委員会は、MicrosoftにはGitHubのオープン性を損なう動機はない、とも結論している。そして、そのようないかなる試みもデベロッパーにとっての価値を減損させるだろう、とも言っている。委員会の判断では、そのようなときデベロッパーは他のプラットホームに切り替える意思と能力を持っているだろう、という。

Microsoftの前の発言では、同社は買収の完了を年内と予想している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleがカスタマーサービスをボットで自動化するOnwardを買収

Googlegが、企業のカスタマーサービスや営業のワークフローを自動化するツールを作っている小さなスタートアップ、Onwardを買収した。Onwardの協同ファウンダーRémi CossartとPramod Thammaiah、そしてCTOのAaron PodolnyはGoogleに加わる。買収の条件は、公表されていない。

OnwardはAI機能のあるチャットにより、顧客が求めているものを即座に理解し、そのオートメーションにより、企業の貴重な人材の有効利用を図る。

CossartとThammaiahはそれまで、ショッピングアシスタントのような消費者製品Agent Qがメインのプロダクトだった。ユーザーは、テキストメッセージで推薦商品を気軽に尋ねる。同社はそのサービスを、パーソナルアシスタントのMagicと権威ある消費者雑誌Consumer Reportsの結婚、とみなしていた。

しかし彼らは、そのようなサービスはむしろ企業に需要があると考え、顧客との対話を自動化し、話の内容を各顧客に合ったものに仕立てるサービスに転身した。

そのボットによるサービスは、単純な質問にはデータベースから答を取り出し、一方、複雑な質問には対話のフローを自動的に作り、必要ならその後のフォローアップも行なう。

[関連記事: 本誌Onward紹介記事(未訳)]

そういう複雑な質問では、Onwardはビジュアルなボットビルダーを作ってユーザーが迅速にチャットの決定木(デシジョンツリー)作り、顧客の要求に応じる。そのときボットは、“この問題は複雑すぎるので人間に任せるべき”、という判断もする。

そのサービスは、SalesforceやZendesk, Shopify, HubSpotなどとの統合も容易だ。

Onwardのサイトのブログ記事は、こう述べている: “これまでの旅路を通じて私たちは、コンピューターが人間のアクションやメッセージの背後にある隠れた意味を理解したときに生まれる、魔法のような体験を作りだすことに、一貫して注力してきた。Googleで私たちは、Onwardで培ってきた技術の適用範囲を、さらに拡大していきたい”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SalesforceのCEO Marc Benioffがアメリカの顔と言われたTime誌を個人資格で買収

またテクノロジー業界の億万長者による大手ニュース出版社の買収だ。1月にTime Inc.を買収したMeredith Corporationが今日(米国時間9/17)、その社名と同名の雑誌をSalesforce.comの協同ファウンダーMarc Benioffと彼の妻Lynne Benioffにキャッシュ1億9000万ドルで売ることに合意した、と発表した

Meredithは3月に、Time, Sports Illustrated, Fortune, およびMoneyの計4誌を売ることを計画している、と述べた。それは、向こう2年間で40億ないし50億ドルを確保する目標の一環で、それにより同社ポートフォリオに残っているそのほかの出版事業の収益力を上げたい、とされた。今日の発表で同社は、Timeを売って得られる収入は債務返済に充てられ、2019会計年度には債務を10億ドル減らしたい、と言った。

MeredithによるTime Inc.の買収は、その財務的支援者がKoch Equity Developmentだったため論争を招いた。このプライベートエクイティファンドの経営者CharlesおよびDavid Kochは、保守的な運動や理念の支援者として知られている。

一方、進歩的な政治の支援者であるBenioff夫妻は、Timeの買収を個人として行なう。Benioffが会長兼協同CEOであるSalesforce.comやそのほかの企業は、この取引と無関係である。Marc BenioffはWall Street Journalに、彼と彼の妻はTimeの日常的操業や編集の意思決定に関与しない、と述べ、次のように付言した: “われわれは世界に対するインパクトがとても大きい企業に投資しようとしている。それは、ビジネスとしてもきわめて強力だ。家族としての投資対象を決めるときは、いつもそんな企業が対象だ”。

テクノロジー業界の億万長者が大手出版社を買収した例としては、AmazonのCEO Jeff Bezosによる5年前のWashington Post紙の個人的買収や、慈善団体Emerson CollectiveのLaurene Powell Jobsによる昨年のThe Atlantic誌の筆頭株主権の取得、Alibaba GroupのJack Maによる2016年のSouth China Morning Post紙の買収などが挙げられる。なお最後の例は、Ma個人ではなく企業が行った買収だ。

過去にはアメリカを代表するニュース誌と呼ばれたTime誌も、他の印刷媒体と並んで、デジタル化の功もなく、部数と売上の低迷に悩まされた

Wall Street Journalのインタビューで同誌の編集長Edward Felsenthalはこう述べている: “最近の数年間は、週刊誌という過去のイメージを払拭して変身するために、多大な努力を重ねてきた。現在、ビジネスとしての利益性は堅調である”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自動運転車に深入りしたいルネサスが$6.7Bの巨額買収に踏み切る

日本の半導体企業Renesasは、自動車産業向けのチップのサプライヤーとして世界最大の企業のひとつだ。その同社が、自動運転技術により一層注力するために、アメリカのチップ企業IDTを67億ドルで買収しようとしている。

Renesasはさまざまなデバイスを動かし制御するマイクロプロセッサーや回路を作っており、中でもとくに自動車産業が中核だ。供給量ではNXPに次ぎ、売上の半分以上が自動車業界からだ。一方IDTは電力管理とメモリーが主な製品で、とくにワイヤレスのネットワークとデータの変換や保存にフォーカスしている。これらはコネクテッドデバイス(ネットワークに接続されたデバイス)の成長とともにますます重要であり、データの高レベルなストリーミングと対話…大量で高速なデータ通信…を要求する自動車ではとくに重要だ。

IDTの買収は同社の株価の29.5%で行われようとしており、自動運転車に関するRenesasの技術力強化をねらっている。Renesasによれば、その事業を、ロボティクスやデータセンター、そのほかのタイプのコネクテッドデバイスなど、“データエコノミー”の分野に拡大することも、ねらいの一つだ。

Renesasはすでに、自動運転車の技術をデモしており、Intelなどと直接競合する立場になる。昨年同社は、ハイブリッドカーやEVの電池の電圧をコントロールする技術を持つIntersilを32億ドルで買収しており、IDTの買収はその路線のさらなる延長だ。

“両社の製品の重複はほとんどないから、Renesasにとって健全な買収戦略だが、価額がちょっと高すぎるのではないか”、とBloombergのアナリストMasahiro Wakasugiは言っている

IDTの買収案件はRenesasが先月、最初に買収の関心を示してから二週間が経過した。買収の法的承認および完了は2019年の前半と予想されている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ZendeskがBaseを取得してCRMに拡大

これまでZendeskは、ほとんど顧客サービスのシナリオだけに専念してきたが、どうやら最早それだけでは十分ではないようだ。インタラクションの背後にいる顧客を本当に知りたいのならば、顧客サービスコンポーネントと一緒に働く顧客記録システムを必要とする。その必要性を満たすためにZendeskBaseの買収を発表した。Baseは既に5000万ドル以上を調達してきたスタートアップである。

両社は購入価格を公表しなかったが、Zendeskはこの買収は収益に大きな影響を与えない筈だと公表している。

CRMの世界でBaseは、Salesforce、Microsoft、またはOracleのようには知られた存在ではないだろう。同社は、独自の人工知能基盤を備えた、洗練された営業自動化プラトッフォームを構築した。CEOのUzi Shmiloviciは、営業パーソンに対して成功に向けての意味のある助言を行うためのAIを2016年にリリースした際に、同社のAIはより余裕のある競合相手たちに十分対抗できると主張した。

Zendesk CEOのMikkel Svane(冒頭の写真)は、もちろん彼のプラットフォームにBaseのような会社を追加することに価値を見出している。「Zendeskが既に顧客サービスのために行ってきたことを、営業活動のために提供したいと思っています。つまり営業パーソンと彼らが相手にしている人たちのために作られたツールを提供するということです」と彼は発表声明の中で述べている。

顧客データの中核に、顧客サービス、CRM、マーケティングが含まれているのなら、BaseはZendeskに欠けているそうしたコンポーネントの1つを提供する、と語るのはこの市場を注視しているCRM Essentialsのオーナー、Brent Learyである。

「Zendeskは顧客サービスで大きな地位を占めていますが、今や統合プラットフォームを探している中堅/企業顧客に対する立場を強化しました。Baseは強力な営業活動自動化のピースをパズルに提供します」と、LearyはTechCrunchに語った。

彼が指摘しているように、私たちはHubSpotがHubSpot Appsを使って似たような動きをしている事を見ているが、その一方SugarCRM(最近Accel-KKRに買収された)も、新しいオーナーの潤沢な資金を用いた買収を仕掛けるかもしれない。「これはほとんど、CRMエンタープライズソフトウェアによるHunger Games(小説/映画の名前。登場人物たちが最後の1人になるまで殺し合う)と同じです」と彼は冗談を言った。彼は、これらの企業はより完全なソリューションを提供するためにプラットフォームの欠けている部分を獲得しようとしているので、さらに多くの統合が起こることが予想できることを示した。

Zendeskの製品ポートフォリオのシニアバイスプレジデントだったMatt Priceが、Baseチームを前進させる。

Baseは2009年に設立され、5000以上の顧客を誇っている。Baseは既に、Zendeskのアプリマーケットプレイスで売られていたことを指摘して置くことには意味があるだろう。よってここには多少のオーバーラップが存在する。もちろんZendeskは既存の顧客をBeseに移行させようとするだろう。

Zendeskは、Baseのすべての顧客を引き続きサポートすることを表明している。さらにBaseの125人の従業員全員が、Zendeskに入社するように招待されているので、ここで流血の心配はない。

[原文へ]
(翻訳:sako)

人気瞑想アプリHeadspaceがAlpine.AIの買収でAIを装備へ

3100万人のユーザーを擁し、評価額3億2000万ドル(約356億円)の瞑想アプリHeadspaceは、他の健康関連商品と差をつけようと、音声認識とAIの技術を倍掛けしようと考えている。同社は本日(米国時間9月4日)、デジタル・アシスタント市場の黎明期から活躍していた企業Alpine.AI(元VoiceLabs)を買収したと発表した。それには、Headspaceの主要アプリの音声による操作を高度化する狙いがある。

「現在、瞑想アプリはいくつかありますが、自分が今どの段階にあるかを的確な音声ガイドで教えてくれるものができれば、他社製品を大きく引き離すことができます」と、Headspaceの新CTO、Paddy Hannonは話している。彼は、Alpineから来た4人を率いて、Headspaceのサンフランシスコのオフィスに加わることになっている。

買収の条件は公表されていないが、Headspaceによると、その人材と技術の両方を引き継ぐとのこと。その中には、Alpine.AIの共同創設者でCTOのAlexandre Linaresと3人の技術者が含まれている。Alpine.AIのCEO、Adam Marchickは、今後は顧問として残る予定だ。

VoiceLabsは、長年にわたり、音声をベースにしたさまざまな製品を試してきた。その中には、Amazonに潰された音声を使った広告製品、音声アプリ開発者のための分析サービス、そして最近では、小売業者のカタログを読み込み、AIで顧客の製品に関する質問に答えるという、音声による買い物アプリを構築するためのソリューションもあった。

後にAlpine.AIと社名を変更したこの会社に、Headspaceは強い興味を示した。

Alpine.AIは、小売業者のためのソリューションを開発してきた。それは、顧客がボイス・アシスタントと自然に会話ができるようにするものだ。たとえば、マスカラについて尋ねると、ボイス・アシスタントは「何色にしますか?」とか「防水にしますか?」と聞いてくれる。

Headspaceは化粧品を売るつもりではないが、Alpine.AIの機械学習技術を自分たちの分野に応用する可能性に期待を寄せている。

現在、Headspaceの主要なインターフェイスには音声が使われている。瞑想セッションでは、心地よい、穏やかで、特徴ある声がユーザーをガイドする。この声は、共同創設者で、元チベット仏教僧のAndy Puddicombeのものだ。

これを基礎にして、Alpine.AIの技術を導入することで、ユーザーは音声によるインタラクティブな操作が可能になり、Headspaceの別の瞑想セッションを開拓したり、より丁寧な個別の指導を受けられるようにするという計画だ。

たとえば、ユーザーが「ストレスで参っている」と言えば、アプリは、その人のアプリ内の履歴を参考に、適切な瞑想法を推薦してくれる。

Alpine.AIの技術を追加することで、Headspaceは、参入企業が多くひしめき成長過程のこのセルフケア・アプリの世界で、大きな競争力を持つことになるだろう。Headspaceは、いちばんのライバルであるCalm.comに、評価額の面でわずかに優位に立っている。PitchBookのデータによれば、Calm.comの評価額は、およそ2億2700万ドル(約253億円)だ。

Headspaceの音声アプリを改良するという、第一の利点のほかにも、Apline.AIの技術には別の使い道がある。iOSとAndroidのアプリでは、ユーザーのアクションによって(音声コマンドではなく)、個別の助言を提示するという機能も考えられる。

Hannonによると、Alpine.AIには、その成り立ちによる魅力もあると言う。

「彼らはすべてをAmazonの上で作りました。Dockerを使用しています。大変に魅力的な買収だった理由には、それもあります」とHannonは説明している。「彼らは、私たちが内部で作っていたのと同じパターンでソフトウエアを作っていたのです。私たちが使っているのとほとんど同じデータベース技術も利用していました。彼らも私たちと同じ、RESTサービスを使ってます。なので、インフラの観点からすると、とてもわかりやすいのです」

「いつ面白くなるかと言えば、私たちの音声コンテンツを、彼らのテキストベースのシステムに加えたときです。しかし、AmazonがLexのようなサービスで提供しているのを見てわかるとおり、テキストから音声へ、または音声からテキストへ変換するシステムは数多くあります。そうしたものを使えば、実装は可能だと私は考えています」と彼は言っている。

今回の買収には、ボイス・コンピューティングの未来に賭けるという意味もある。音声で操作するデジタル・アシスタント機器の数は、この2年半の間に、世界中で10億台を超えるまでになっている。アメリカの家庭の20パーセントが専用のスマートスピーカーを所有していて、その数は増加すると見られている。

収益性の高いセルフケア・アプリ市場での人気アプリのひとつとして、Headspaceのユーザー数は、現在のところ3100万人に達している。そのうち、190各国にわたる100万人が有料加入者だ。また、同社は大企業とその従業員に瞑想エクササイズを提供するB2Bビジネスにも力を入れていて、250社以上の企業が契約をしている。

買収の時点で、Alpine.AIは、The Chernin Group、Javelin Venture Partners、Betaworksといった投資会社から「数百万ドル」を調達したシードステージの企業だった。しかし、音声で使えるスマートスピーカーの人気が確かなものになってはいるが、音声ベースのインターフェイスを開発する数あるスタートアップの中で、規模を拡大し、Nuanceや、Apple、Google、Amazonといったその他のプラットフォーム大手と肩を並べるようになったものは、まだない。それもまた、Alpine.AIの買収が魅力的だった理由だ(しかもイグジットに対してもオープンだった)。

Alpine.AIは、その製品を利用していたPetcoなどの少数の小売店との関係を縮小し、個別の移行プランを提示している。

「私たちのこれまでの努力が、ユーザーの健康的な習慣を指導したりガイドすることに特化できることを、とても嬉しく思っています」とAlpine.AIのCEO、Adam Marchickは、買収について話している。「Alpineの機械学習能力は、Headspaceの取り組みを加速し、新しい会話エクスペリエンスを市場にもたらすでしょう」

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

VMwareがマルチクラウド管理のCloudHealth Technologiesを買収

VMwareは今週ラスベガスで、顧客のためのカンファレンスVMworldを開催しており、その席で同社は、ボストンのCloudHealth Technologiesを買収したことを発表した。買収の条件は公表されていないが、ロイターの報道では買収価額は5億ドルとされている。

CloudHealthはVMwareに、重要なマルチクラウド管理プラットホームを提供する。そのツールはAWS, Microsoft Azure, Google Cloud Platformなどをサポートし、ユーザーは、クラウドのコストや利用、セキュリティ、パフォーマンスなどを一つのインタフェイスから管理できる。

クラウド市場はAWSが大きくリードしているが、それは広大で急成長中の市場であり、多くの企業が複数のプラットホームを使い分けている。それぞれの目的にもっとも合ったクラウドサービスを使いたいからだ。

このマルチクラウドのアプローチには単一のプロバイダーに縛られないという利点はあるが、一方、その管理がたいへんになる。そこでCloudHealthはマルチクラウドのユーザーに、単一のツールでそれらの環境を管理する方法を提供する。

CloudHealthのマルチクラウド管理。写真提供: CloudHealth Technologies

VMwareでプロダクト管理とクラウドサービスを統括しているCOOのRaghu Raghuramによると、CloudHealthはマルチクラウドのオペレーションに伴うジレンマを解決する。彼曰く、“CloudHealth Technologiesが加わったことによって、複数のクラウドにまたがるコストとリソースや、アプリケーションのセキュリティとパフォーマンスを一元管理し、問題に迅速に対応できるようになった”。

つい先月、CloudHealthがサポートするクラウドプラットホームにGoogle Cloud Platformが加わった。CTOのJoe Kinsellaは、GCPのサポートを加えたことについて、こう述べている: “GCPでは、2015年にDiane Greeneが来て以来、いろんな企画が動き出し、エンタープライズへの適性が強化されている。その結果、われわれの顧客の間にも、急激に関心が高まっている”。

これによりCloudHealthの顧客も、大手プラットホーム三社のクラウドを安心して併用できるようになる。そして、かねてから顧客のハイブリッド環境や、マルチクラウド環境の管理を目指してきたVMwareにとっても、CloudHealthがいわば“買い時”になってきた。

これまで同社は、パブリッククラウドだけでなくプライベートクラウドやデータセンターも含めたすべての環境の一元管理を目指していた。それに対しVMwareもまた、さまざまなVMを使っている企業の、ハイブリッド環境の支援を、近年は志向してきた。

CloudHealthは、マルチクラウド管理のソリューションだけでなく、Yelp, Dow Jones, Zendesk, Pinterestなど、3000社の顧客をVMwareに連れてくる。

CloudHealthは2012年に創業され、これまで8700万ドルを調達している。最近では2017年6月のシリーズDで、Kleiner Perkins率いるラウンドにより4600万ドルを調達した。それよりも前のリード投資家は、Sapphire Ventures, Scale Venture Partners, そして.406 Venturesだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LittleBitsが子供教育コミュニティを運営するDIYを買収

LittleBitsが初めての買収を行う。ニューヨークに拠点を置くこの教育用ハードウェア会社は、子供のための教育的ソーシャルネットワークであるDIY.coの買収に合意した。VimeoのZach Kleinによって2011年に共同創業された、このサンフランシスコを拠点とするソフトウェアスタートアップは、オンラインコミュニティのDIY.orgと、サブスクリプションベースの蒸気教育プラットフォームjam.comを運営している。

「何年にもわたって、私たちは沢山の買収、戦略的提携、合併を検討してきました」こうTechCrunchに語るのは、littleBitsの創業者でCEOのAyah Bdeirだ。「私たちは常にそうした案件を積極的に探しています。でもDIY、つまりZachとそのチームは、まるで夢のような取り合わせでした」。

DIYのプロダクトは、littleBitsのプロジェクトを推進するための、ソフトウェア基盤としての役割を果たす。まず手始めに、同社はlittleBitsのキット向けのソフトウェアによる解説書を提供する予定だ。この解説書はこの秋に登場する新しい3種のキットも取り扱う。それらは、littleBitsが最近リリースしたアベンジャーズキットに続くプロダクトになる予定だ(アベンジャーズキットはDisneyアクセラレーターコネクションを利用した同社2番目のプロダクトである)。

そこから始めて、DIYのソーシャルネットワークと、何百時間にも及ぶオンライン解説ビデオが、littleBitsの長期ゴールである、STEM教育ツールを用いた子供たちのエンパワーメントになることはほとんど明らかだ。

「私たちは子供たちが子供たちを教える環境を作り出しているのです」とKleinはTechCrunchに語る。「それは当初からの私たちの使命なのです。教育に対してお仕着せのアプローチを用意するのではなく、子供たちが他の子供たちのために学び方を創造することのできる世界を作ることが。私たちは、他の子供たちが発見して辿ることができる道筋を、子供たち自身が作り上げられる環境を構築しています」。

DIYはサンフランシスコのオフィスにとどまるが、そのことで多くの投資家が拠点とする西海岸地域におけるlittleBitsの存在感が、増すことになるだろう。会社名とJamのようなサブブランドもそのまま残される。そのことでlittleBitsは何年にもわたって作り上げられてきたブランドの名声を活用することができる。そうした活用できる資産には、55万人の登録ユーザーによってアップロードされた150万個のプロジェクトも含まれる。

DIYの15名のチームもそのまま残り、littleBitsの100名以上の従業員の仲間として加わる。

「彼らの専門性は、まさに補完的な関係にあります」とBdeir。「Zachのチームのスキルセットは、ソフトウェアプロダクトとコミュニティ構築、そしてコンテンツ作成という点に強みがあります。それらは、私たちがあまり多くの専門知識を持っていないものです。もし私たちが未来について強気でなかったなら、私たちがこうしたやりかたをとることはなかったでしょう。これは、世界の遊びの会社であることを通して、世界の学びをリードする存在になるための、より多くの積極的なステップへの始まりなのです」。

LittleBitsが買収などの手段を使って会社を成長させることで、その6500万ドルの資金の一部を使い始めたことは明らかのようだ。DIYの場合には、この買収は確かに補完的なものだ。

「この組み合わせは、それぞれミッションを追うブランドを組合せたというだけではありません」とTechCrunchに語ったのは、littleBitsの投資家であるTrue Venturesの共同創業者のJon Callaghanだ。「これは、PelotonやNetflixのような消費者ブランドの中で起きている、上質のコンテンツが重要だと再び認識されている、大きな流れを反映したものなのです」。

契約条件は明らかにされていない。

[原文へ]
(翻訳:sako)

分散ファイル共有サービスの老舗BitTorrentをブロックチェーンの若手スタートアップTronが買収

ファイル共有サービスBitTorrentの今日(米国時間7/24)のブログ記事によると、同社はブロックチェーンのスタートアップTronの一部になった。買収の噂は先月の中ごろから流れていたが、これで確実となった。BitTorrentは詳細を述べていないが、Tronはブロックチェーンという未開の世界への比較的新しい参入者だ。買収額は1億2600万ドルと言われている。

BitTorrentはもちろん、そこらのひよっ子ではない。同社は2004年にサンフランシスコで生まれ、Napster以前の時代におけるファイルシェアリングの代名詞とも呼べるプロトコルを開発した。

BitTorrentによると、現在のアクティブユーザーは全世界で約1億、彼らはクライアントとして主にBitTorrentとBitTorrent Nowを使っている。後者はビデオや音楽の用途が多い。同社は今後も、これらクライアントのメンテナンスを継続し、Tronのサンフランシスコ・オフィスから“Tronのグローバルなビジネス開発とパートナーシップへの強力なサポートを提供し、また、世界最大の分散エコシステムとしてのビジョンを追求していく”、という。

Varietyの記事によると、BitTorrentは最近、買収をめぐるユーザーの懸念を解消するために、“今後もこれまでのサービスをそのまま継続する。将来的にも暗号通貨の採掘に弊社のサービスを提供する予定や計画はない”、と言っていた。

しかし今後の計画については、まだ何も発表されていない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米司法省、AT&TとTime Warnerの合併阻止をあきらめず上訴

米司法省は、米連邦地裁が出したAT&TによるTime Warnerの買収を認める決定を不服として上訴した。

ドナルド・トランプが大統領選のキャンペーンを行なっていたとき、政権をとったらこの買収計画は阻止すると言っていたが、実際に司法省はこの買収が競争を阻害すると主張し、買収阻止を求めて提訴した。

しかしながら先月、米連邦地裁のRichard J. Leon 判事はこの買収計画を条件なしに進めることを認める決定を下した。 Leon 判事は判事席からこう述べた。「言い渡す。被告人の勝訴」。この判決により、買収はその週の後半に完了した。

実際、我々はその買収の結果を目のあたりにしつつある。Time Warner傘下のHBOについてのAT&Tの計画がここ数日間、報道のヘッドラインを飾っている。

今回の買収は、通信とメディアのさらなる統合を促す素地をつくったようだ。Comcastは、Foxの映画とテレビ事業の買収の件でDisneyに対抗している。(TechCrunchもこうした流れのごく一部に取り込まれている。というのも TechCrunchはVerizon傘下にある)。

「連邦地裁の判決は、事実に基づき、証拠が判然としていて、これ以上ないほど完全なものだった」とAT&Tの法務責任者David McAteeは声明で述べた。「敗訴側は望むなら上訴する権利を有するが、こうした環境下で司法省が実際に上訴を選択したことに驚いている。我々はワシントンの連邦裁判所で闘う準備はできている」。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

レシピ動画「クラシル」のdelyが同業「もぐー」運営を買収、ダントツのナンバーワン目指す

レシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」を運営するdelyは7月5日、同じくレシピ動画サービス「mogoo(もぐー)」を手がけるスタートアウツの発行済全株式を取得し、完全子会社化することを明らかにした。取得金額については非公開だという。

今回delyの子会社となるスタートアウツは2013年の設立。いくつかのサービスを立ち上げたのちバイラル動画メディア「Whats」を開発。そこから方向性をシフトし、分散型の料理動画メディアとして始めたのが現在も運営しているもぐーだ。

もぐーやスタートアウツについては2016年7月にTechCrunchでも紹介している。その際は同社が環境エネルギー投資、アドウェイズ、みずほキャピタル、East Ventures、メルカリ創業者の山田進太郎氏から数億円規模と見られる資金調達を実施したことをお伝えした。

そこからサービスを拡大させ、SNSのフォロワー数に関しては7月3日15時の数値で約110万人(公式SNSカウントのフォロワー数を元にdelyが集計したもの)、レシピ動画数は6月29日時点で約3200本(Appliv調べ)ほどに成長しているという。

一方のdelyが運営するクラシルは2016年2月のスタート。開始から約2年でレシピ動画数は約1.7万本、SNSのフォロワー数は約290万人、アプリのダウンロード数も1200万DLにのぼる(動画数とアプリDL数は2018年6月、フォロワー数は同年7月のもの)。

dely代表取締役の堀江裕介氏は今回の買収について「レシピ動画サービスの中でダントツのナンバーワンになるための打ち手のひとつ」だという。

「(タイアップ広告がメインとなる)レシピ動画サービスのような領域では、トップのサービスに広告主が集中するため、いかにブランド力をつけていくかが大事になる。クラシルの力をさらに拡大する上で、他のメディアを買っていくという動きは必然的なものであり、もぐーにとってもメリットがある」(堀江氏)

買収の話自体は1ヶ月半ほど前から始まり、スピードを重視して進めてきたため、今後の細かい方向性についてはこれから詰めていくそう。現時点ではもぐーのリブランディングを実施するとともに、クラシルとのサービス統合を予定。その結果クラシルのレシピ動画数は2.1万本、SNSフォロワー数も400万人にまで拡大する。

「ポートフォリオを広げていくよりも、今はレシピ動画の軸で徹底的にやっていくフェーズ。現時点ではまだ完全なナンバーワンという状態には至っていない。まずは国内においてダントツのナンバーワンになるために、ここ1〜2年でやれることを全てやっていきたい」(堀江氏)

delyが2018年1月に33.5億円を調達した際に、堀江氏はレシピ動画以外の領域も含めて「新規事業の展開に加えて、スタートアップのM&Aや投資を検討していく」という話をしていた。

同社にとって発行済の株式を取得する買収に関しては今回のスタートアウツが初めてとなるが、今後もこのスタンスは変えず「自分たちの力以外の拡大方法」として、M&Aや投資にもチャレンジしていきたいという。

エンタープライズLinuxで好調のSuseをMicro Focusが手放す

Linuxの商用ディストリビューションとして歴史の長い、そして最近ではオープンソースのインフラストラクチャとマネージメントの面でも主要なプレーヤーであるSuseは、最近の数年間で何度かオーナー企業が代わっている。Micro FocusがAttachmate GroupからSuseを買収したのは2014年で、Attachmate〜は2010年に、当時SuseのオーナーだったNovellを買収した。今日(米国時間7/2)はMicro Focusが、Suseの今度の新たなオーナーがプライベート・エクイティ企業のEQTになったことを発表した

今回の買収の条件は公表されていないが、EQTによるとSuseの評価額は25億3500万ドルだった。

オーナーが何度も変わった企業としては珍しく、Suseはそのたびに強くなっている。かつてはエンタープライズ向けの堅実なLinuxディストリビューションだった同社は、今ではソフトウェア定義インフラストラクチャとアプリケーションデリバリのソリューションにフォーカスし、そのほかのマネージドクラウドサービスも展開している。同社の社員数は2017年で1400名、売上は3億2000万ドルだ。

同社自身はMicro Focusの下(もと)で好調を続けていたが、親会社のMicro Focus自身は、2016年に88億ドルで買収したHewlett Packard Enterpriseが裏目に出て大きく落ち込んだ。Micro Focusは、自分を立て直すためにSuseを売ることに決めた。

買った方のEQTは、おもしろい会社だ。同社の現在のポートフォリオには、ほとんど無名に近いテクノロジー企業数社と、消費者製品企業、不動産グループ、ヘルスケアサービス、数社のエネルギー企業、などなどが雑然と収まっている。

Suseの買収に関する今日の声明の中で、EQTのパートナーJohannes Reichelが述べている: “同社の過去数年間の強力な実績と、オープンソース分野のパイオニアとしての強力な企業文化と伝統に感銘を受けている。同社のこれらの性格は、強力で変化への対応力のある企業を支援し構築し、その成長を促進するEQTのDNAによくなじむものである”。

しかしEQTがオープンソース企業を傘下におさめるのはこれが初めてなので、今後に注目したい。Suseは実質的に独立性を維持すると思われるから、同社のオープンソースコミュニティとの関係には、大きな変化はないだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazon、オンライン薬局のPillPackを10億ドル以下で買収

Berkshire Hathaway、JPMorganとのヘルスケア共同ベンチャーのCEOを指名して1週間。Amazonは今日、買収を発表した。今回の買収には、今後ヘルスケア業界で直接的かつ商業的な役割を担うという意味合いが込められている。Amazonが買収するのは、消費者が処方箋薬を購入できるオンライン薬局PillPackだ。

Amazonは買収金額を明らかにしていないが、今回の買収に詳しい情報筋によると、10億ドル以下だったようだ。PillPackはAmazonの最大のライバルの一社であるWalmartと買収の交渉をしていると報道され、我々もその事実を確認していた。“しかし、別の誰か”(この場合Amazonだが)が“より高い額で買収を提案してきた”。

PitchBookによると、PillPackは2016年に資金調達を行い、企業価値3億6100万ドルとなった。今回の買収は今年後半に完了する見通しだ。

今回の動き(これに伴う株価の上昇)は、eヘルスのマーケットがいかにホットになりつつあるかを示している。またAmazonはこのオンライン薬局を、消費者(そして医療機関も)がヘルスケア分野で必要としているもので、同社が取り込むべき主要な未開拓領域ととらえている。

商業分野でのAmazonの力は、このマーケットが今後拡大するのに大きなな役割を果たす。というのも、今回の買収は、PillPackが事業拡大するだけでなく(少なくともAmazonのヘルスケアJVを通じてではない)、他の医薬品会社も何かしら動かざるを得ないからだ。これまでのところ、Amazonの参入により、迎え撃つヘルスケア企業の株が売られるなどの影響が出ている。

「PillPackの経営計画チームは薬局業界で十分な経験を持つとともに、テクノロジーにも焦点を合わせている」とAmazonの世界コンシューマービジネス担当CEO、Jeff Wilkeはニュースリリースで述べている。「PillPackは顧客の生活改善にかなり貢献してきた。今後も人々が時間を節約し、生活をシンプルなものにしつつ、健康的な生活を送れるよう、PillPackを手伝いたい。客のために何ができるか、楽しみにしている」

PillPackは米国50州での事業ライセンスを持ち、認証機関URACやVIPPSの認定も受けているが、国際展開はしていない。 PharmacyOS ーPillPackのベースとなるシステムーは患者のデータを管理できるプラットフォームで、安全な服用量となるよう処方箋薬の組み合わせを患者と一緒に考える。

PillPackが直面している課題は差し迫っている。米国は大量の薬を消費していて、一部では乱用の蔓延がみられる。長期的、短期的にこの問題に取り組むべきことはたくさんあるが、少なくとも処方された薬の服用をコントロールすることは解決に向けた1つの取り組みとなる。

PillPackの創業者でCEOのTJ Parkerは経営に残るようだ。

「PillPackは、患者が正しい薬を正しい時間に服用し、健康でいるのをシンプルにした」とTJ Parkerは発表文で述べた。Amazonとともに、ヘルスケア産業のパートナーとの協業を促進し、よりよい薬局体験で米国民が恩恵を受けられるようサポートしたい」。

ニューハンプシャー州マンチェスターに拠点を置くPillPacは、2013年にボストンのTechstarsで創業した。当時はKatie Raeが率いていた。以来、 Accel、Accomplice、Charles River Ventures、そしてMenlo Venturesなどを含む投資家から1億2300万ドルの資金を調達してきた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

WordPress.comがAtavistの買収で支払い決済や有料購読制をサポートか

本誌TechCrunchのベースシステムであるブログプラットホームWordPressを作り、そのほかにもWooCommerce, Longreads, Simplenoteなどのプロダクトを提供しているAutomatticが、ブルックリンのスタートアップAtavistを買収する。

Atavistは、主に個人のブロガーやライターのための、コンテンツ管理システム(CMS)を提供している。AtavistのWebサイトから、誰もが簡単に、画像やビデオや地図など多様なメディアを含むストーリーを書いて公開できる。

そうやって自分のWebサイトを作るのなら、そもそもWordPress.com(AutomatticがホストするWordPress)でよいではないか。SquarespaceのようなWebサイトビルダーもある。でも、Atavistを使うとペイウォール(paywall, 支払い決済システム)を作れるし、購読などの有料会員制(サブスクリプション, subscriptions)のセットアップもできる。

多くのライターが、Webサイトの技術的な細部を自分で扱いたくない、と思っているから、そんな人たちのためにAtavistは便利なツールを用意し、ユーザーが自分のストーリーに集中できるようにしている。

Atavist自身にも、Atavist Magazineという刊行物がある。これ自身もやはり、Automatticの傘下になる。Longreadsの一部になるのか、独自性を維持するのか、それはまだ分からない。

AtavistのCMS本体はそのままではなく、WordPressに統合される、とAutomatticは言っている。これが、この買収ドラマのおもしろい部分だ。

CMSとしてはWordPressの方がたぶんAtavistより相当にしっかりしているが、Automatticはさらに、サブスクリプションとペイウォールの提供を開始したいのかもしれない。月額のサブスクリプションをネイティブで(本体機能として)提供するWordPress.comのWebサイトを想像できる。

今や、全Webサイトの30%がWordPress上だ、と言われる。自分のサーバーの上でオープンソースのWordPressを動かしているところもあるし、本誌TechCrunchのように、Automatticがホストし動かしているWordPress CMS、すなわちWordPress.comの上にブログなどを構築提供するところも少なくない。

このWordPress.comでサブスクリプションができるようになると、それはWebにとって良いニュースだ。Mediumはそのサブスクリプションプログラムを唐突にやめてしまい、個人の出版者の多くが途方に暮れた。購読の有料制を導入したい個人ライターは、もうMediumを信ずる気にならないだろう。

AutomatticはAtavistをベースに、複数の出版サイトのサブスクリプションを管理するシームレスなポータルを作れる。そして、広告のない優れたコンテンツが増えるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Twitterの暴挙に怒りの声続々

Twitterは本日(米国時間6月21日)、「サービスとしての信頼と安全」を提供するスタートアップSmyteの買収を発表した。Twitterプラットフォーム上での、いじめ、嫌がらせ、スパム、そしてセキュリティに関する問題により効果的なアプローチを行うことが目的だ。しかし同社はまた、これまでSmyteが提供してきたAPIへのアクセスを、警告なしに即座にシャットダウンした。このためSmyteの既存の顧客たちは新しいサービスに移行する時間をとることができなかった。

この変更により、Smyteの既存顧客たちは立ち往生し、彼ら自身のプラットフォームの安全性に関わる、業務上の問題を抱え込むことになった。

言うまでもなく、多くの人たちがこの状況に満足しておらず、その不満をTwitterに向けて投げかけている。

Smyteのウェブサイトによれば、その顧客には、Indiegogo、GoFundMe、npm、Musical.ly、TaskRabbit、Meetup、OLX、ThredUp、YouNow、99 Designs、Carousell、Zendeskなどが含まれている。こうした有名ブランドたちが、Smyteの機能セットをさまざまな方法で利用して、不正、いじめ、ハラスメント、詐欺、迷惑メール、その他のセキュリティ問題に対処していたのだ。

以前Twitterは、TechCrunchに対して、Smyteの既存顧客に対するビジネスは、徐々に終わらせて行くと説明していた。しかし実際に行われたことは、買収を発表し、実質的にSmyteを停止させ、皆を窮地に追い込むことだった。

影響を受けた人たちからの報告によれば、Smyteはクライアントにほとんど警告することなく、また準備する時間も与えずに、APIへのアクセスを無効にしたという。顧客たちが電話を受けた直後に ―― バーン ―― サービスが消滅したのだ。複数年にわたる契約を結んでいた顧客も存在した。

そして何度も繰り返して言うが、Smyteは虐待や不正を防止するサービスを提供するプロバイダーであり、ビジネスを一晩で中止してしまうようなものとは考えられていなかった。

npmの場合には、これは一部業務停止につながっている。

Twitterはコメントを拒否しているが、影響を受けたSmyteの顧客たちに電話をかけて、新しいサービスプロバイダーへの橋渡しを始めていることがわかった。

このスタートアップがTwitterに買収されることで、既存の顧客に対して打撃を与えたことは、どちらの会社にとっても良い影響を与えていない。特にTwitterが約束した今後の「信頼と安全」を考えると、これは皮肉と言う他はない。

信頼だって?

一体どんな信頼を提供するつもりやら?

 

(訳注:この記事の原題は”Twitter ‘smytes’ customers”というものだが、これは「打撃を与える」という意味の”smite”と会社名の”Smyte”をかけたもの)

[原文へ]
(翻訳:sako)

Microsoftが強化学習のスタートアップBonsaiを買収して自律型システムの研究開発を推進

もしも、すべてのテクノロジー大企業が現時点で合意しているたったひとつのことがあるとするなら、それは、人工知能と機械学習が彼らの事業が今後進むべき道を指し示している、ということだ。いや、実際にMicrosoftは、バークリーのAIスタートアップBonsaiを買収しようとしている。大きなM社はこの小さなB社を、同社のAIへの取り組みの中心に据えるようだ。

Bonsaiは、強化学習(reinforcement learning)が専門だ。それは主にシミュレーションの分野で、一種の試行錯誤のようなやり方でシステムを教育する。この学習方法は、自律的なシステムを、特定のタスクが完全にできるまで訓練するために利用できる。Microsoftによると、この買収によって、同社がこれまでAzureのクラウドプラットホームでやっていた研究を、前進させることができる。

Microsoftの企業担当VP Gurdeep Pallが、発表声明の中で言っている: “AIを誰でも便利に利用できるようにするためには、開発の障害を取り除き、すべてのデベロッパーに力をつけ、機械学習のエキスパートでなくてもAIデベロッパーになることが重要だ。Bonsaiはそのために大きな進歩を成し遂げており、Microsoftはこの仕事をさらに前進させることに積極的に関わっていく”。

Microsoftは、この4歳のスタートアップを支援してきた複数の高名な企業のうちの一社だ。Crunchbaseによると、昨年はABB, Samsung, Siemensなどの助力で760万ドルのラウンドを調達し、総調達額が1360万ドルに達した。今回の買収事案は、Microsoftが最近演じた、コードホスティングツールGitHubの派手な買収劇別記事)に続くものだ。

Bonsaiの協同ファウンダー/CEO Mark Hammondは、ブログ記事でこう述べている: “私たちの前方には、インテリジェントで自律的なシステムを動かす人工知能を作って運用するために必要なツールと技術で、世界中の企業とデベロッパーに力をつけていく、大きな機会が開けている。そう感じるのは、私達だけではない。今日は、MicrosoftがBonsaiを買収して、この共通のビジョンの実現の加速に力を貸すことに、私たちは大いに勇気づけられている”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AT&TがTime Warnerの買収を完了…メディア買収が通信大手の生き残る道?

AT&TがTime Warnerの買収手続きをを完了し、ここにメディアとテクノロジーの大型統合がまたひとつ実現した。

その額は854億ドルで債務負担を入れると1080億ドルになるが、最初に発表されたのは2016年の10月で、今週初めに裁判所が認可し、木曜日(米国時間6/14)に完了した

完了まで長くかかったが内容は複雑で、AT&TはTime WarnerだけでなくケーブルテレビのHBPとWarner Brother’sの映画スタジオ、そしてテレビ局Turnerのチャンネルも支配下に置く。これだけあれば複雑な衝突が起きるのも当然で、なにしろこれにより、メディアの配信とコンテンツの制作が同じ親会社の傘下になるのだ。

AT&Tの会長兼CEOのRandall Stephensonは声明でこう述べている: “Warner Bros., HBO, そしてTurnerのコンテンツとクリエイティブの陣容は第一級だ。そのすべてがAT&Tの消費者に直接届く強力な配信網と合体すれば、他に類のない高品質なモバイルファーストのエンターテインメント体験を提供できる。われわれは、メディアとエンターテインメント産業が消費者とコンテンツクリエイターとディストリビューターとアドバタイザーズのために仕事をしていくやり方に、新しいフレッシュなアプローチを導入したい。”。

買収は、AT&Tという企業の生死にかかわっていた。同社によると、“シナジー効果”により25億ドルの費用節約が見込まれ、4年後には売上が成長に転ずると期待される。Time WarnerとTurnerを含むAT&Tの新事業は、昨年の年商が310億ドルだった。

今週の裁判所の決定の前には、政府が反トラスト法により買収をブロックしようとしていた。いわゆる垂直的合併…上流と下流が一体になること…により、価格操作が可能になり、消費者を害する、とされた。この買収は10年前の反トラスト訴訟の亡霊と揶揄され、初めて裁判所が、垂直的合併を単純に悪とする議論に断を下(くだ)した。携帯電話やスマートフォンが発明されたことにより、メディアと配信の業界構造が変わったことを、裁判所は指摘した。

一件落着したことによってAT&T-Time Warnerは、そのほかの大メディア買収に道を拓(ひら)いた。今週はComcastがFoxを650ドルで買収すると名乗りを上げ、12月に524億ドルを提示していたDisney(ディズニー)と戦うことになった。

情報開示: TechCrunchのオーナーであるOath〔旧AOL〕はVerizonのデジタルメディア分野の子会社であり、この親会社は〔通信大手として〕ComcastやAT&Tと競合している。

画像クレジット: KENA BETANCUR/AFP/Getty Images / Getty Images(画像は加工した)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PayPal、決済プラットフォームのiZettleを22億ドルで現金買収へ

PayPalが、米国外でのスモールビジネスやマーケット向けの店頭決済分野でこれまでになく大きな賭けに出る。それは、SquareやStripe、そのほかの決済サービスへの攻勢ととれる。というのも、PayPalはiZettleを買収すると発表したからだ。iZettleはストックホルム拠点の決済プロバイダーで、よく“欧州のSquare”と称される。そのiZettleを22億ドル全額現金で買収する。

2018年第三四半期までに経営権の移転が完了するとされているこの買収案件では、iZettleの創業者でCEOであるJacob de GeerがそのままiZettleを率いる。そしてPayPalのCOO、Bill ReadyがJacob de Geerの上司になると思われる。iZettleの経営幹部もそのまま残り、業務を継続する。これにより、欧州における実在店舗とオフライン決済の「中核拠点」となる、とPayPalは述べている。

この買収のタイミングというのはかなりわかりやすい。ビジネス拡大を目的にiZettleが今月初旬に行ったIPO申請のすぐ後だ。このIPOでは、iZettleはストックホルムナスダック証券取引所で2億2700万ドルもの資金調達を計画。そして株式公開でiZettleの企業価値はおおよそ11億ドルになると予想されている。

関係筋からの情報では、この2社は“何年も”話し合いを続けてきた。しかし、今回のIPO申請で状況は急展開したと予想される。本来ならこの買収案件は金曜日に発表される予定だったのだが、今日(木曜日)噂が広がり始め、結局正式に認めることにしたようだ。

PayPalの時価総額は約940億ドル。直近の収益では、78億円もの現金と現預金、投資金がある。つまり、今回の買収の資金はたっぷりある。

iZettle はPayPalにとってこれまでで最大の買収案件となる。2015年にPayPalは送金サービスのスタートアップXoomを8億9000万ドルで買収。そしてまだeBayの子会社だった2013年には、オンライン決済サービスのBraintreeと、Braintreeが買収したVenmo事業を8億ドルで取得した。

現在iZettle は北欧やメキシコを含む12のマーケットで事業を展開している。そのマーケットというのは、ブラジルやデンマーク、フィンランド、ノルウェイ、スペイン、スウェーデンなどPayPalがオフライン分野で劣勢となっているところが含まれている(中南米での事業拡大はスペインの銀行Santanderの戦略投資によるもの)。iZettle はまた、英国でも存在感を示している。つまり、競合するSquareが進出した場合でも、iZettleの力でPayPalは事業を推し進められるわけだ。

Squareと同様、iZettleもスマホやタブレットと接続するクレジットカードを読み取るドングルを活用して、店頭ビジネス分野で道を切り開いてきた。クレジットカード支払いを受けるにはコストがかかるため、それまでカード支払いを受け付けていなかったスモールビジネスの事業者や個人でも利用できるサービスを展開したのだ。そこから、スモールビジネス向けの在庫管理ローンといった他の金融サービスにも手を広げてきた。

PayPalの動きを追っている人ならご存知だろうが、PayPalは米国内外のマーケットで店頭決済サービスの拡大に注力してきた。しかし、すでに確立されているオンライン決済ほどに力を入れてはこなかったとみる向きもある。

iZettleのde Geerは、将来的には実在店舗を持たないような大きな事業所や企業向けにもサービスを拡大させたいと考えていたが、そのiZettleの現在の規模や運営状況こそがPayPalを惹きつけた。サービス拡大にあたり、その点を補えるからだ。

PayPalのCEO、Dan Schulmanは「スモールビジネスというのは世界経済のエンジンだ。オンラインや店舗、モバイルでのビジネスをサポートするため、引き続きプラットフォームを拡大していく」とコメントしている。「iZettleとPayPalは、ミッションや価値観、カルチャーを共有し、何よりもサービスの幅や地理的ビジネス分布面からいっても戦略的にいい補完関係にある。現代のデジタル社会では、消費者は好きな時に、どこからでも、好きな方法で購入できる。50万近くの事業者が利用するiZettle を育てたJacob de Geer氏と彼が率いるチームの最高の能力により、あらゆる販売チャネルにとってPayPalがワンストップソリューションとなる」とも述べている。

もちろんスタートアップのiZettleにとっても、世界的な決済サービスの巨人をパートナーとすることは、ビジネスを拡大させるまたとないチャンスとなる。

de Geerは「我々が培ったものや専門性を、この業界のリーダー的存在であるPayPalに注入することで、スモールビジネス事業者により価値のあるサービスを提供できる」「iZettleとPayPalの統合により、我々の顧客はスムースに決済や販売を行い、また成長できるようになる」とコメントしている。

IPO申請書類の中に、iZettleはまだ赤字であることが記載されているが、その赤字幅は減少しているようだ。2018年1~3月の税金及び減価償却前の赤字額は7300万スウェーデンクローナ(830万ドル)で、2020年までには黒字化が見込まれる。

PayPal によると、iZettleのプラットフォームを使った今年の決済額は60億ドル、それによる収入は1億6500万ドルを予想している。iZettleの収入は2015年から2017年にかけて年率60%成長と、ものすごい勢いで伸びている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Rackspaceが企業のSalesforce導入を助けるRelationEdgeを買収、アプリケーション管理の部門を充実へ

Rackspaceが今日(米国時間5/17)、Salesforceの実装パートナーでデジタルエージェンシーのRelationEdgeを買収したことを発表した。価額など買収の条件は公表されていない。

Rackspaceは今でも多くの人が、ホスティングとマネージドクラウドサービスとIaaSの企業だと思っている。そしてRelationEdgeは、企業がSalesforceのSaaSを実装しようとするとき、それを支援し管理するサービスだ。しかしRackSpaceは近年、業態の多様化に努めており、各種SaaSアプリケーションの管理サービスもそのポートフォリオに含めようとしている。その最初の試みが、昨年のTriCoreの買収で、こちらもやはりエンタープライズのアプリケーション管理を提供する企業だ。本日の買収も、同じ路線上にある。

Rackspace Application ServicesのゼネラルマネージャーGerard Brossardによると、アプリケーション管理サービスに関しては同社はまだ草創期だが、これらの新しい提供物により新たな顧客を獲得しつつあり、既存の顧客もRackspaceにIaaSを超えた管理サービスを求めるようになっている。そして、“これによってSaaSの管理サービスの分野に参入できるし、しかもSalesforceはエンタープライズSaaSのリーダー格だ”、という。

一方、業績も良く、社員が125名もいるRelationEdgeは、なぜ身売りするのか? RelationEdgeのファウンダーでCEOのMatt Stoykaはこう語る: “まるで木々の自然成長のように、わずかな資金でここまで伸びてきたが、目の前にはもっと大きな機会がある。しかしそれをものにするためには、現状を超えた力が必要だ。つまり社員と企業の両方にとって、正しい新居が必要なのだ”。

彼によると、両社は社風も似ているそうだ。とくに、技術そのものよりも、それが生み出す結果を重視するところが。

当面、RelationEdgeのブランドはそのまま残り、Rackspaceとしても、現状のリーダーシップによる企業の独立性を尊重する、とBrossardは言っている。RelationEdgeのブランドイメージは無視できない、ということだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SquareがWebサイト作成サービスWeeblyを買収、オフライン小売顧客のオンライン化をサポート

Squareが、Webサイト作成サービスWeeblyを現金+株式3億6500万ドルで買収する合意に達した、と発表した

Squareは決済ソフトウェアと関連ハードウェア(レジなど)で有名だが、最近は買収により他分野にも事業を拡大している。たとえば食材宅配のCaviarや、企業向けのケータリングサービスZestyなどだ。

Weeblyは、使いやすいWebサイト構築ツールだ。ぼくみたいに個人が使うだけでなく、同社は最近、中小企業やeコマース企業の顧客開拓にも力を入れている

強力な競合他社のひとつであるSquarespaceは昨年末に、17億ドルの評価額で2億ドルを調達している

Squareによると、Weeblyの買収によって、オンラインとオフラインでビジネスを構築しようとしている起業家に、総合的なソリューションを提供できるようになる。またWeeblyの有料会員62万5000人/社の40%が海外なので、Squareのグローバル展開の足場にもなる。

SquareのCEO Jack Dorseyは、買収を発表するプレスリリースで、“SquareとWeeblyは、起業家の力になり彼らの支えになっていくことへの情熱を共有している。Squareはその旅路をインパーソン(in-person,実物人間)なソリューションから始めたが、Weeblyはオンラインから始めた。それ以降両社はともに、この二つのチャネルを橋渡しするサービスを構築してきたが、これからはさらに遠くまで、しかも早い歩みで、進んでいけるだろう”、と述べている。

Weeblyは2007年に、今もCEOのDavid Rusenko(上図)とChris Fanini、そしてDan Veltrが作った。Crunchbaseによると同社はこれまで、Sequoia Capital, Tencent Holdings, Baseline Ventures, Floodgate, Felicis, Ron Conway, Y Combinatorなどから3570万ドルを調達している。

Squareによると、買収価額にはWeeblyのファウンダーと社員のための、4年間の権利が確定する株式も含まれる。

アップデート:電話会議による記者発表でSquareの役員たちは、同社の企業買収は今後もより積極的に続くのか、と尋ねられた。CFOのSarah Friarはそれに対し、それは今後の出会いの質による、と答えた。今回のWeeblyの場合は、両社の協働関係が長年続いており、彼女によると、“Davidたちの起業家観がとても良い。企業文化という点でも、両社は似合いの仲である”、という。

Friarは、Weeblyの買収をSquareが今後さらに大々的に買収をしていく意思の現れと取るべきでない、と釘を差した。同社は今後も、“何かを自分で作ったり、パートナーを作ったりがメインになる”、と。

Weeblyのチームは、その多くがSquareに加わる。Rusenkoによると、買収を発表する全社集会を終えたばかりだ、という。

Rusenkoは曰く、“今は、とても高揚している。本当の共有と相互尊敬がこれにはある”。そしてチームには、“今後も末永くこのミッションを続けられることが、とても嬉しい”、と告げたそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa