電動ピックアップトラックの戦いが過熱する中、GMがミシガンの4工場に約7970億円投資

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、野心的なEV生産目標の達成を目指してバッテリーセルと電動トラックの製造に特化したミシガン州の4工場に70億ドル(約7970億円)超を投資すると発表した。ここにはパートナーのLG Energy Solutions(LGエナジー・ソリューションズ)との3つ目の工場も含まれる。

GMは、この投資計画で4000人の新規雇用を創出し、それとは別に1000人の雇用を維持するとしており、計画にはミシガン州ランシングにあるUltium Cellsバッテリーセル工場とミシガン州オリオンタウンシップのGMの組立工場の改造というすでに発表済みの2拠点への投資も含まれている。

3つ目の新しいUltiumバッテリーセル製造工場も、増え続けるEV特化施設のリストに加わる。26億ドル(約2960億円)が投じられるこのセル工場は、ミシガン州ランシングのGMから借りた土地に建設される予定だ。GMによると、280万平方フィート(約26万平方メートル)の施設の敷地造成が今夏開始され、工場は2024年後半にオープンする予定だ。この工場からミシガン州のOrion AssemblyおよびGMの他のEV組立工場にバッテリーセルが供給される。

LG EnergyとGMの合弁会社であるUltium Cellsは、この施設がフル稼働した場合、50ギガワットアワーのバッテリーセル容量になると予想している。2社はすでに、オハイオ州とテネシー州に建設中の2つのバッテリーセル製造拠点を計画している。

一方、オリオン工場はChevrolet SilveradoのEVと電動GMC Sierraの生産に使用される予定で、これはGMにとってフルサイズの電動ピックアップを生産する2つめの組立工場となる。GMのFactory Zero(旧称デトロイト・ハムトラック)は、GMC Hummer EVピックアップおよびSUV、Chevrolet Silverado電動ピックアップトラック、そして電動の自律走行ロボットタクシーCruise Originなど、GMが今後発売する一連のEVピックアップの生産も行う予定だ。

GMは、2025年末までに北米で100万台以上の電気自動車生産能力を持つことになると述べた。特に注力しているのはEVピックアップトラックで、これはGM、Ford(フォード)、そしてRivian(リビアン)のような新規参入企業が競合する分野だ。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

パナソニックがテスラ向け大容量バッテリーを2023年に生産開始との報道

Panasonic(パナソニック)は、早ければ2023年にも、Tesla(テスラ)向けのより大容量なバッテリーの量産を開始する可能性があると、Nikkei Asia(日経アジア)が報じた。この新しい「4680」バッテリーセルは、電気自動車の航続距離を15%以上も向上させるという。テスラの「Model S(モデルS)」では、1回の充電で走行可能な航続距離が現行の650kmから750kmにまで伸びる可能性があるということだ。

バッテリーセルの大きさは従来の約2倍に大きくなるものの、エネルギー容量は5倍になっているとNikkeiは伝えている。そのため、1台の自動車に必要とされる電池の本数は少なくて済むため、製造コストはすでに10~20%安くなっているという。バッテリーはEVのコストの30%を占めていると言われる。バッテリーのコストが下がれば、EVがより手頃な価格になり、電気自動車への移行が早まる可能性がある。さらに航続距離が伸びれば、充電の頻度も少なくて済むようになる。

テスラの長年のパートナーであるパナソニックは、4680を生産するための新しい設備に約800億円を投資すると報じられている。日本の和歌山県にある既存の工場を拡張し、まずはそこで新しいバッテリーの生産を始めるとのこと。Nikkeiによると、パナソニックは2023年に量産を開始する前に、安全で効率的な生産工程を開発するために、2022年から小規模にバッテリーの製造を開始するという。その後、他の国で電池を量産する可能性もあるようだ。

Reuters(ロイター)によると、パナソニックは2022年にテスト生産ラインを設置することを認めたが、大規模なバッテリーの量産を開始する時期については言及せず「我々は大量生産のためのさまざまな選択肢を検討している最中です」と述べたという。

パナソニックは、テスラからの依頼を受けてこのバッテリーの開発に着手した。パナソニックのバッテリー部門責任者は2021年11月、同社ではテスラを優先するものの、他の自動車メーカー向けにこの電池を生産する可能性も除外していないと語っている。テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは以前、同社ではバッテリーの自社生産を計画しているが、他のサプライヤーからの調達も継続すると述べていた。

テスラは、2020年9月に開催された「Battery Day(バッテリー・デイ)」というイベントで、この4680を発表した。マスク氏は当時、このバッテリーセルの導入とその他の開発が進むことにより、テスラは2万5000ドル(約285万円)のEVを販売できるようになると語っていた

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Panasonic

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

100台を超えるテスラ車が遠隔操作の危険性にさらされる、サードパーティ製ツールに脆弱性

Tesla(テスラ)車のオーナーに人気の高いオープンソースのログ記録ツールに、セキュリティバグが見つかった。これにより、セキュリティ研究者は世界中の数十台のテスラ車にリモートアクセスできたと述べている。

この脆弱性に関するニュースは2021年1月初め、ドイツのセキュリティ研究者であるDavid Colombo(デヴィッド・コロンボ)氏のツイートで初めて明らかになった。コロンボ氏は、25台以上のテスラを「完全に遠隔操作」できるようになったが、その詳細を公表せずに、悪意のあるハッカーに警告を与えず、影響を受けたテスラ車のオーナーに問題を開示することに苦労していたと述べている。

現在、このバグは修正されていることをコロンボ氏は確認している。TechCrunchはこの記事を、脆弱性が悪用される可能性がなくなるまで掲載を保留していた。コロンボ氏はブログで調査結果を発表した。

コロンボ氏がTechCrunchに語ったところによると、この脆弱性は「TeslaMate(テスラメイト)」というツールで見つかった。これはテスラ車のオーナーが自分の車両に接続して、車両のエネルギー消費量、位置情報の履歴、走行統計などの隠されたデータにアクセスし、問題のトラブルシューティングや診断を行うために使用する無料でダウンロードできるロギングソフトウェアだ。TeslaMateは、テスラ車マニアたちが家庭用コンピューターで実行していることも多いセルフホスト型のウェブダッシュボードで、テスラのAPIにアクセスすることで、クルマの所有者のアカウントに紐付けられている車両のデータに触れることができる。

しかし、匿名でのアクセスを許可したり、デフォルトのパスワードを変更せずに使用しているユーザーがいたりといったウェブダッシュボードのセキュリティ上の欠陥が、一部のテスラ車オーナーによる設定ミスと相まって、100台分を超えるTeslaMateのダッシュボードが、テスラ車を遠隔操作するために使用する車両オーナーのAPIキーを含めて、直接インターネットに漏洩するという事態を引き起こした。

コロンボ氏はTechCrunchに電話で、影響を受けたテスラ車の数はもっと多いだろうと語っている。

漏洩したTeslaMateのダッシュボードの1つには、あるテスラ車がカリフォルニア州を横断している最近の移動ルートが表示されていた。TeslaMateはその後、脆弱性を修正し、テスラは数千のAPIキーを失効させた(画像クレジット:David Colombo)

コロンボ氏によると、TeslaMateのダッシュボードがデフォルトでは保護されていないことを発見したのは、2021年、漏洩したダッシュボードを偶然見つけたことがきっかけだったという。インターネットで他のダッシュボードを検索した結果、同氏は英国、欧州、カナダ、中国、米国でダッシュボードが露呈されたテスラ車を発見した。

しかし、ダッシュボードが露呈しているテスラ車のオーナーに個別に連絡を取ることは非常に困難であり、多くの場合、影響を受けたテスラの顧客に連絡できる方法を正確に知ることはできないと、コロンボ氏は説明する。

さらに悪いことに、露呈したダッシュボードからテスラ車ユーザーのAPIキーを抽出することが可能だったため、悪意のあるハッカーが、ドライバーに気づかれず、テスラ車に長期的なアクセスを続けることができてしまったのだ(APIは、インターネット上で2つのソフトウェアが相互にやり取りすることを可能にする。この場合、テスラの車両と同社のサーバー、Teslaアプリ、またはTeslaMateダッシュボード)。テスラのAPIへのアクセスは、所有者のアカウントに紐付けされたプライベートAPIキーによって、テスラ車の所有者に制限されている。

コロンボ氏は、流出したAPIキーを利用することによって、ドアや窓のロック解除、クラクションの吹鳴、キーレス運転の開始など、車両の一部機能に遠隔操作でアクセスできることを、アイルランドのあるテスラ車オーナーに確認したという。また、車両の位置情報、最近の走行ルート、駐車場の場所など、車両内部のデータにもアクセスできたとのこと。ただし、APIへのアクセスを利用してインターネットから遠隔的に車両を動かすことができるとは思えないと、コロンボ氏はいう。

今回のセキュリティ問題は、テスラのインフラにあったわけではないものの、業界標準の措置であるパスワードが変更された時に顧客のAPIキーを失効させるなど、テスラはセキュリティを向上させるためにもっとできることがあると、コロンボ氏は述べている。

TeslaMateは内密に脆弱性を報告した後、アクセスを防ぐためにユーザーが手動でインストールしなければならないソフトウェア修正を配信した。

TeslaMateプロジェクトの保守管理者であるAdrian Kumpf(エイドリアン・クンプフ)氏は、コロンボ氏のメールを受け取ってから数時間以内に更新プログラムを配信したと、TechCrunchに語っている。このソフトウェアはセルフホスト型であるため、ユーザーが誤って自分のシステムをインターネットに露呈させてしまうことを防ぐことはできないと、クンプフ氏はメールで語っており、TeslaMateの説明書では以前から、ソフトウェアを「ホームネットワーク上にインストールするように。さもなければ、あなたのテスラAPIトークンが危険にさらされる可能性があります」と警告していると付け加えた。また、クンプフ氏は、高度なインストールオプションを選択したユーザーは影響を受けないはずだ、とも述べている。

テスラが数千人のドライバーのAPIキーを失効させたことから、この問題は当初考えられていたよりも広範囲に渡っていた可能性があると、コロンボ氏はTechCrunchに語った。なお、テスラには本記事掲載前にコメントを求めたが、回答は得られなかった(テスラは2020年に広報チームを廃止している)。

画像クレジット:Patricia de Melo Moreira / AFP / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メルセデス・ベンツの未来の量産乗用車にはLuminarのLiDARが搭載される

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は米国時間1月20日、Luminar(ルミナー)のLiDAR技術を将来の車両に採用する計画を発表した。この計画は、データ共有とMercedes-BenzによるLuminarへの出資を含む広範な契約の一部だ。

この取引の一環として、Mercedes-Benzは特定のデータやサービスと引き換えに、最大150万株のLuminarの株式を取得すると規制当局に報告している。このニュースを受けてLuminarの株価は急上昇し、現在17.7%以上の上昇を記録している。

Daimler North America Corporation(ダイムラー・ノース・アメリカ)との契約には、同社の次世代量産乗用車へのLuminarの技術の開発と統合、およびその他の定義された活動が含まれると、当該申告書には記されている。Daimlerは、開発車両および生産車両からの特定のデータをLuminarのLiDARと共有し、データは継続的な製品の改善と更新に使用される。

これと引き換えに、LuminarはDaimlerに対して、同社のクラスA普通株式150万株を発行することに合意した。

Luminarの創業者兼CEOであるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は、今回の提携を業界における「歴史的瞬間」とし、「消費者向け車両に搭載される安全機能と自律走行機能の大幅な向上が、SFからメインストリームになることを証明するもの」と述べている。

両社は、LuminarのLiDARがいつMercedesの車両に搭載されるかについての情報提供は控えた。

LuminarはVolvo Cars(ボルボ・カーズ)とも提携しており、同社のLiDARのハードウェアとソフトウェアを統合した独自のパーセプションシステムは、Volvoが近々発表する電動フラッグシップSUVに標準搭載される予定だ。

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今回の発表は、Daimlerの量産車に搭載する計画でLuminarのIris(アイリス)LiDAR技術を開発し、同社が特定の定義された作業に対して非経常的なエンジニアリングサービス料を受け取る契約とは別のものだ。

2020年10月、Daimlerのトラック部門は、人間の運転手がハンドルを握らなくても高速道路をナビゲートできる自律走行トラックを製造するための広範なパートナーシップの一環として、Luminarに投資したと発表した。その際の投資額は非公表だった。

画像クレジット:Luminar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

【レビュー】メルセデスAMGのオール電動EQSと2022年型SL Roadsterを徹底検証

まず濃霧が発生し、そして雪が降った。しかしそんな悪天候も、Mercedes(メルセデス)のフラッグシップEVや最新型SLのAMGモデルにとってはお構いなしだ。

AMGチームが手がけたMercedes EQSと最新のSL Roadsterは、性能、高級感、快適性、テクノロジーとどこをとっても完璧である。

関連記事:あらゆるテクノロジーが詰め込まれたメルセデス・ベンツEQS 2022年モデル、350ものセンサーで実現された数々の新機能

メルセデスAMGによる2022年型SL Roadsterには、1950年代後半に登場した初代300 SL Roadsterを包んでいた魂のようなものが、今もなおその根底に流れている。当時、ハリウッド黄金時代のエリートたちが選んだこのクルマだが、現代ならジョージ・クルーニーやヘレン・ミレン、ラン・ザ・ジュエルのキラー・マイクらがこの最新版オープンカーのハンドルを握ってイベントに繰り出す姿を容易に想像できる。

Mercedes-AMG SL 63 4Matic+(画像クレジット:Mercedes-Benz)

AMG SL Roadsterが前世紀にルーツを持つジェームズ・ボンド的存在なら、AMG EQSはアイアンマンといえるだろう。現代のあらゆるテクノロジーを駆使しているという点はRoadstarと同様だが、それをよりスタイリッシュに実現している。

AMG SL RoadsterとAMG EQSはともに新型車であり、その核となるテクノロジーには共通する部分が多いものの、そこには歴然とした違いがある。

SLの威圧的なごう音は、EQSでは構成された音に置き換えられている。EQSは瞬時にEVのトルクを活かせるため、SLのすばらしい排気量とターボもEVの発進力には敵わない。

メルセデスはAMGラインナップのために最後までハンドメイドのエンジンを作り続けることだろう。AMG EQSにハンドメイドの電気モーターはなく、技術者のサインがバッテリーパックに記されることもない。一方、EQSが大気中にまき散らす汚染量は、V8 Roadsterがその生涯で大気中にまき散らす量と比べたら雲泥の差である。

2022年メルセデスAMG EQS

Mercedes-AMG EQS 53 4MATIC+、充電スタンドにて(画像クレジット:Mercedes)

高級感を第一に考えて作られたクルマは、性能面の追求を受けると台無しになってしまうのではないかという懸念がある。セダンの主目的がドライバーや同乗者を甘やかすことだとしたら、乗り心地が悪く、アクセルを少し踏むだけで首がむち打ちにでもなるようなクルマでは目的を達成したことにはならない。

しっかりした走りを求めるEQSファンもご安心を。そんな問題はないようだ。米国に上陸した初の電動AMG EQSは、電動高級セダンの優れた点をAMGチームによるチューニングで巧みに融合しているのである。

最高出力751ps、最大トルク752lb-ft(EQS580より133ps、69lb-ftのジャンプ幅)のパワーを持つこの高級電気セダン。AMG以外のライバル車よりも明らかに速く感じられ、推定3.4秒で時速60マイル(時速96キロ)を達成することが可能だ。

アップグレードされたのは2つの電気モーターだけではない。AMG版に搭載された冷却システム、配線、容量107.8kWhのバッテリー管理システムにも改良が加えられ、SportモードとSport Plusモードでより長くピークパフォーマンスを維持できるようになっている。パームスプリングスからロサンゼルスまでのドライブでは何度も加速テストを行ったが、パワーが落ちていると感じることは一度もなかった。

AMGサウンドエクスペリエンスと呼ばれる加速度連動型の新たな車内サウンドも搭載されている。私はこのEVノイズが大好きだ。人工的ではあるものの、急に加速したときの音体験を見事に再現してくれている。

パワーアップにともない、アクティブダンパーを備えたAMGライドコントロールエアサスペンションも搭載されている。4MATIC+と全輪駆動システム、最大9度のリアステアリングの組み合わせにより、ヘアピンカーブでのスピードアタックはクルマのサイズと重量のわりにコントロールしやすく、すばらしい体験をもたらしてくれる。ボディロールは多少あるが、通常のEQSでの経験よりもはるかに少ない。

ハードウェアおよびソフトウェアに対するこのような性能調整と新Sport Plusモードに加えて、さらにもう1つ新しいモードがあるのだが、私は運良くそれを試すことができた。ドライブ中に山の高いところに登り、道路が黒からグレー、そして雪に覆われた白へと変化したとき、AMG Slipperyモードを試す機会を得たのである。氷上や雪上で見事に機能し、トラクションが多少低下することもあったが、それはMichelin Pilot Sport EVの夏用タイヤを履いていたためだろう。

雪道に遭遇したMercedes-AMG EQS(画像クレジット:Roberto Baldwin)

メルセデスがこのドライブプログラムのためにホイールを選んだ際は、晴天とまではいかなくても、少なくともドライな天候と路面を期待していたのだろうが、母なる自然は予想がつきにくい。AMG EQSが冬用、あるいはオールシーズン用のラバーを装着していれば、氷の上を走ることに神経質になっている人たちも、より安心することができたはずだ。

インテリアに関しては、あちこちにAMGの装飾が施されている以外はこれまでのEQSと変わらない。最新のMBUXインフォテインメントシステムの他、12.3インチのインストルメントクラスター、17.7インチのタッチスクリーンディスプレイ、12.3インチの助手席ディスプレイを含む56インチの巨大ハイパースクリーンを搭載。これはAMGのトリムレベルにはすべて標準装備されている。またこのディスプレイには、必要に応じてマップウィジェットを表示できるZero Layerインターフェースも搭載されている。

Mercedes-AMG EQS 53 4MATIC+のインテリアには広大なインフォテインメントシステムを搭載(画像クレジット:Mercedes)

MBUXの至宝である音声アシスタントは、今も進化を続けている。Zero Layerインターフェースとともに「ヘイ メルセデス」の呼びかけシステムは、他の自動車メーカーも達成すべきスタンダードとなっている。音声による強力なナビゲーション機能とよりフォーカスされたスクリーンは、最強のコンビなのである。

運転中、自分がしたいことの機能を探すのではなく、クルマにお願いするという場面が何度もあった。先代のメルセデスでは次の曲にスキップするために何度もタップする必要があったメディアコントロールなども、ナビゲーション上のZero Layerインターフェイスにすぐに表示されていた。

SL Roadsterと同様、音声アシスタントとZero Layerの組み合わせによりインフォテインメント体験はとても向上しているのだが、ただし一点、なぜハンドルに遮られるほど画面を広くしたのか私にはいまだに不可解である。確かに全ウィジェットは移動されているが、どれだけ大きなディスプレイが作れるかという自慢意識以外、良い理由が見つからない。

2022年メルセデスAMG SL

テストドライブ時に霧の中を走るMercedes-AMG SL(画像クレジット:Roberto Baldwin)

高級感と性能のバランスにおいて、最高出力577ps、最大トルク590lb-ftまで向上したAMG SL 63はスピードとハンドリングに注力しすぎている感覚もあるが、それでも前述のような霧の中での低速でもとても豊かな体験を提供してくれた。

メルセデスは、最高出力469ps、最大トルク516lb-ftのAMG SL 55 Roadsterと、よりパワフルな上記の63モデルの2種類を販売する予定だ。どちらも4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載した全輪駆動システム4Matic+を備えている。

この排気量とターボの組み合わせにより、停止状態からでも遅い車を追い越すときでも、パワフルな瞬発力を発揮してくれる。AMG SL 63のほうがパワフルなのは間違いないが、あれだけの馬力とトルクが使えるケースはほとんどないため、AMG SL 55に軍配が上がるだろう。

Mercedes-AMG SLのインテリアショット(画像クレジット:Roberto Baldwin)

また、現代のSL Roadsterとしては最もパワーのないモデルでもある。メルセデスには今後、Roadsterの非パフォーマンス版を発売する予定はない。同社はその代わりに他のメルセデスと同様、このクルマをできる限りスムーズでラグジュアリー感のあるものにしようと努めたのだ。私のテストドライブ結果としては、85%の出来だといえるだろう。

AMG SL Roadsterは、郊外や市街地などの日常的な道路ではとてもスムーズな乗り心地を提供してくれるものの、このクルマがSクラスではないことをそこここで思い出させてくれる。路面の凹凸や穴、わだちを確かに感じるのである。その一方で、雨に濡れた路面でもしっかりと車輪はアスファルトに固定され、スピードを出しすぎた場合には多少のオーバーステアリングを発生させるものの、ほとんどの体験を通してすばらしいハンドリングが期待できる。ステアリングはタイトで応答性が高くひっかかりを感じさせない。後輪操舵の採用により、バックロードでも街中でも、小さめのクルマを運転しているような印象だ。

Mercedes-AMG SL 63 4Matic+の11.9インチタッチスクリーンディスプレイは、前後に傾けることが可能だ(画像クレジット:Mercedes)

SLのインテリアにも、インフォテイメントシステムMBUXの最新版とZero Layerオプションが搭載されている。日差しが眩しい場合に備え、11.9インチのタッチスクリーン・ディスプレイは12度から32度まで前後に傾けることができる。12.3インチのインストルメント・クラスターが一体型のバイザーを備えているのも太陽の反射を配慮してのことだが、残念ながら曇り空と霧の中のドライブではどちらも必要なかった。

メルセデスはSL Roadsterで、最新のテクノロジーを満載した正しいオープンスポーツカーを作りあげた。性能と技術の両側面が矛盾することはなく、うまく共生している。本質的にこのクルマは、クルマ界のジェームズ・ボンドなのだ。タキシードに身を包み、ミッションを完遂するための最新の小道具を隠し持つ、ワイルドな側面も持ち合わせた過去の偉大なヒーローを彷彿とさせるのである。

2日間にわたってAMG EQSとSLを立て続けに運転し、AMG車の変遷の始まりを見ることができたのはとても有意義な体験だ。メルセデスのパフォーマンス部門は、メルセデス本体と同様に、2030年までに完全な電気自動車に移行する構えだ。

関連記事:メルセデス・ベンツが2030年までにEV専門メーカーに、8つのバッテリー工場を建設

ここから将来のことを考えると本当にワクワクしてしまう。初代SL 300 Roadsterに乗ったことがあるが、発売当時はまるで宇宙から来たものかのように感じられたのだろう。近い将来また別のAMG SLが登場するかもしれないし、もしメルセデスが今のペースでEV技術を磨いていけば、さらに画期的な電気自動車になっているだろう。

その頃には、雪の中、屋根を開けて走ってもきっと問題ないはずだ。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Dragonfly)

スウェーデンとケニアの企業Opibusが初の大型EVバスのテスト開始、2023年の現地展開開始を目指す

スウェーデンとケニアのEV(電気自動車)スタートアップ、Opibus(オピバス)は、初の電動バスがケニアの公道に登場し、同社の大量輸送事業への挑戦の始まりを記した。Opibusが電動乗合バスを発売する計画を初めて発表したのは、2021年のプレシリーズAラウンドで750万ドル(約8億5000万円)調達したときだった。

現在、同スタートアップは、2022年中にケニアで、2023年末までにアフリカ全土でEVバスを商業運行することを目指してパイロットテストを行っている。

Opibusは過去5年間、既存のガソリン車とディーゼル車が時代遅れにならないよう、電動式に切り替える事業を行ってきた。EVには、輸送コスト削減やゼロ炭素排出などさまざまな恩恵がある。2017年にFilip Gardler(フィリップ・ガードラー)氏、Filip Lövström(フィリップ・ラブストロム)氏、Mikael Gånge(マイケル・ゴアンゲ)氏の3人が設立したこのスタートアップは、これまでに170台の車両を電動式に改造してきた。顧客は採掘会社や旅行会社などさまざまだ。

現在、同社はEVおよび、それを支える公共充電ステーションなどのインフラストラクチャの構築へと徐々に事業転換している。Opibus電動バスの価格は、新車が10万ドル(約1143万円)、改造(パイロットプログラムで利用している)なら6万ドル(約686万円)だ。

「1年目の2022年は、ナイロビで10台のバスを商用テストする予定で、プロダクトが市場にフィットし、利用パターンに最適化されていることを確認します。そこで重要なフィードバックを得た後、必要な変更を行い、生産パートナーを全員揃えてできるだけ早く量産に入ります」とOpibusの戦略・マーケティング責任者であるAlbin Wilson(アルビン・ウィルソン)氏がTechCrunchに話した。

Opibusは電動バスと電動オートバイの製造を専門にしている(画像クレジット:Opibus)

Opibusは、同社の製品は地元で設計、製造することで市場に低価格で届けられる競合優位性があると言っている。さらに、現地生産であることは、地元市場のニーズに合わせた製品を作れることを意味している。

「私たちの戦略は、価格、耐久性に優れ、この地域で入手しやすいバスを設計、開発することです。迅速なスケールアップが可能で海外、現地両方のメーカーを活用できる製品を作っています。つまり、当社の設計はアフリカ大陸全体で容易に実現可能であり、製品は利用場面に向けて最適化され、非常に費用効率に優れています」。

現在同社は、パートナーシップを通じて他のアフリカ地域に目を向けており、大陸全体でのEV普及を推進しようとしている。

例えば2021年1月に発表されたUber(ウーバー)のOpibusとの提携では、同スタートアップが製造した電動オートバイ最大3000台を、2022年中にアフリカ諸国に展開する予定だ。

ケニアのEV市場は芽生えたばかりで、ここ数年新たなプレイヤーが惹きつけられており、2021年11月にケニアでデビューを飾ったBasiGo(バジゴー)もその1つだ。BasiGoは最近、大量輸送EVバスを2台、パイロットのために輸入しており、中国のEVメーカーBYD Automotive(比亜迪汽車)の部品を使用して電動バスを現地生産する計画だ。BasiGoのバスは25人および36人乗りで航続距離は約250 km、一方Opibusのバスは51人乗り、航続距離は120 kmとなっている。

画像クレジット:Opibus

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォルクスワーゲンとボッシュが合弁会社を設立、欧州でのバッテリー生産を推進

Volkswagen(VW、フォルクスワーゲン)とBosch(ボッシュ)は、欧州にバッテリー機器のソリューションを提供するための合弁事業の検討に合意した。VWによれば、両社はバッテリーセルおよびバッテリーシステムメーカー向けに、統合されたバッテリー生産システムを提供することや、オンサイトでの生産力強化ならびにメンテナンスサポートを目指しているという。

この合弁事業は、VWが2030年までに6つのセル工場を建設するという目標を達成するのに役立つと期待されているが、欧州各地の他の工場にもサービスを提供する予定だ。両社は、合弁事業への投資額を明らかにしていない。

各自動車メーカーは今後数年間で何百万台もの電気自動車を出荷するという、これまで以上に野心的な目標を設定しており、パンデミック関連のサプライチェーン問題でさらに問題となっている海外からのバッテリー供給への依存を減らし、自己完結性を高めることに取り組んでいる。2021年には、自動車メーカーとセルサプライヤーとの間で、メーカー近隣にバッテリーセル生産施設を建設する合弁事業が相次いだが、VWは2019年にNorthvolt(ノースボルト)と合弁事業を立ち上げ、ドイツのザルツギッターに最初の生産施設を建設する計画をすで進めていた。

VWの取締役でバッテリー計画を担当しているThomas Schmall(トーマス・シュモール)氏は「欧州には、今後数年のうちに世界のバッテリー基地になることができるユニークなチャンスがあります」と声明の中で述べている。「新しいギガファクトリーの設備を含む、バッテリー生産のあらゆる面での需要が強く高まっています。VolkswagenとBoschは、数十億ユーロ(数千億円)規模のこの新しい産業を、欧州で発展・確立させる機会を探っていきます」。

Volkswagenはまた、競合他社にサービスを提供することで収益の多様化を図るという最近増えつつある自動車メーカーたちの流れにも乗っている。米国時間1月18日には、Ford(フォード)とADTが合弁事業を発表し、車種を問わず取り付け可能な盗難防止用の車両監視システムを提供することになった。

関連記事:車上荒らし防止に取り組むFordとADTのジョイントベンチャー企業「Canopy」

シュモール氏は「バッテリー製造のバリューチェーンの垂直統合に積極的に取り組むことで、新たな利益を生み出すことができるでしょう」と付け加えた。「欧州製のe-mobility(電気モビリティ)のために、完全にローカライズされた欧州のサプライチェーンを確立することは、ビジネス史の中でも稀な機会となるでしょう」。

European Battery Alliance(欧州バッテリー連盟)は、韓国や中国の市場支配への依存を減らすためには、2020年代末までに世界の電池の3分の1を欧州で生産する必要があるとしているものの、現時点では、欧州の900GWh(ギガワット時)以下の生産能力を持つ電池工場は、2029年時点で世界の生産量の16%を占めるにとどまるとされている。

Tesla(テスラ)は、ベルリンのModel Y(モデルY)用の300ヘクタールの工場敷地の隣に、50GWhの生産能力を持つバッテリープラントを建設する計画を立てているが、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが2021年11月か12月に生産を開始すると以前から約束していたにもかかわらず、工場とプラントの両方が、生産開始のために地域当局の承認を待っている状態だ。

関連記事:テスラがベルリンのギガファクトリーで巨大イベント、12月の生産開始を発表

VWが計画しているザルツギッターのプラントの生産量は40GWhとなる予定だが、もしVWが生産の増強に成功し、合計6つの工場を建設できれば、合計で240GWhの生産量になるはずだ。

画像クレジット:The Volkswagen Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

Blink Chargingが米国とカナダのGMのディーラーにEV充電器を供給へ

電気自動車用充電器メーカーのBlink Charging(ブリンク・チャージング)は、米国とカナダのGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)のディーラーにEV充電器を提供することを発表した。同スタートアップは設備ソリューション・プロバイダーのABM(エービーエム)と組んで、同社の新しいレベル2EV充電器IQ 200をGMに供給する。

Blinkは決して小さなEV充電器メーカーではないが、これまではChargepoint(チャージポイント)、EVBox(イービーボックス)、Tesla(テスラ)、さらにはShellと比べても市場シェアは小さかった。Blinkによると、同社は13か国に約3万台のEV充電器を展開しており、GMとの契約は、さらなる規模拡大とブランド認知度の向上という同社の目標にひと役買うだろう。

ただしこれはGMにとってBlinkとの初めての契約ではない。2021年4月、GMは充電ネットワーク7社(Blink、ChargePoint、EV Connect、EVgo、FLO、Greenlots、SemaConnect)をGMのモバイルアプリに統合し、顧客が容易に充電場所を探せるようにする計画を発表した。今回は、GMが2030年までにEV販売でTeslaのシェアを狙って売上を倍増する計画の中、Blinkが選ばれたようだ。

2021年5月にGMから最初の注文を受けたBlinkは、設置を担当するABMを通じて一部のGMディーラー向けに充電器の出荷をすでに開始している。今後数カ月間必要に応じて追加の充電ステーションに向けた準備ができていると同社はいう。契約には充電ステーション数の目標や大規模展開の日程は書かれておらず、これはディーラーからの注文ごとの設置が基本であるためだ。これまでにBlinkは「GMディーラーから1000件近く、計1505台の充電器の注文を受けている」と同社の広報担当者は述べた。

GMとの契約に同社からの出資は含まれていないとBlinkはいう。GMディーラーは、Blink製品を購買パートナーのABMを通じて、ディーラー機器購入価格で購入する。

BlinkのIQ 200充電器は、車両基地向けに設計されており、1つの共有回路上で最大20台の充電器を電力網に負荷をかけすぎることなく利用できる。80アンペアの充電器は、100アンペア回路上で高速レベル2充電が可能で、出力は19.2kW、充電1時間あたり最大65マイル(約104.6 km)走行できる。設置方法には壁かけ型、ポール型、および自立スタンドがある。

2022年のCESでBlinkは次世代レベル2充電器のMQ 200を発表しており、第1四半期末までに提供される予定だ。Blinkは、出荷可能になった時にGMがこの新型充電器を受け取るかどうかの質問には答えていない。MQ 200は高速かつ高機能で、Blink充電器をクラウドや、新しいBlink Fleet Management Portal(Blink車両管理ポータル)に接続するソフトウェアが付いてくるため、デーラー業務に最適だ。

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画像クレジット:GM

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

車上荒らし防止に取り組むFordとADTのジョイントベンチャー企業「Canopy」

自動車メーカーのFord(フォード)と、ホームセキュリティやビジネスセキュリティ、アラーム監視サービスを提供するADTは、現在の車両セキュリティの脆弱性に対処することを目的としたジョイントベンチャーCanopy(キャノピー)を立ち上げた。

Canopyはまず、車両に取り付けて周囲を監視し、盗難や破壊行為などの問題をドライバーに警告するアフターマーケットアクセサリーを提供する予定だ。

車両に内蔵されたアラームシステムは、盗難の抑止に役立つ場合もあるが、決して安全とはいえない。2020年、FBIは自動車盗難によって74億ドル(約8479億円)の損失が発生したと推定しており、これには自動車そのものとその内容物の盗難が含まれている。Canopyの製品は、過去10カ月間、米国のトラック運送会社や英国の貨物バンなどで試験運用されており、フォードの車両カメラシステムの専門知識とADTの監視サービスを組み合わせて、商業・小売業の顧客が車両盗難を回避できるようにすることを目的としている。

Canopyは、ADTにとって初の自動車セキュリティへの進出であり、他社と協力して新しい輸送技術を迅速に構築、買収、試験運用するFordの新しいベンチャーインキュベーターであるFordXの製品だ。2018年、FordXはドックレスeスクーターのシェアリング企業であるJelly(ジェリー)を手がけ、これがFordによるSpin(スピン)買収の基礎となった。Canopyは、従来のビジネスライン以外で拡張性のあるモビリティソリューションのポートフォリオを拡大するフォードの戦略の次のステップとなるようだ。

Canopyの自己吸着型アクセサリーは、あらゆる車種に対応し、2023年初頭までにオンラインとさまざまな実店舗で販売される予定だ。カメラ、レーダー、音響センサーなどのセンサーを用いて、クルマの周囲に関するデータを収集する。そして、車内とは独立したOSがデータを処理し、LTEやWi-Fi経由でクラウドサーバーに共有します。ADTのモバイルセキュリティおよび戦略的プロジェクト担当副社長Leah Page(リア・ペイジ)氏によると、盗難の可能性がある場合は、モバイルアプリやADTの5000人のモニターエージェントに報告されるという。

「ADTが製品にもたらす要素について考えると、それはまさにAIソリューションの導入を支援することです」と、ペイジ氏はTechCrunchに語った。「つまり、鳥が通り過ぎるのと、誰かがトラックの荷台に侵入して何かを盗むことの違いがわかるということです。そのような事象が発生すると、ADTに情報が入り、監視員がどう対応すればよいかがわかります。状況に応じて、オーナーや緊急連絡先への通報から、警察への通報まで、あらゆる対応が可能です」。

今後、Canopyは、クルマのハードウェアに統合し、そのクルマのカメラとセンサーに依存して同じ安全機能を実行する別の監視システムをリリースする予定だ。FordがCanopyの最初の統合企業となるが、Canopyのすべての技術をどの自動車メーカーでも利用できるようにすることが目的だ。

「このサービスを顧客にとって本当に意味のあるものにするためには、マルチメーカーで、現在すでに路上を走っているクルマのセキュリティの懸念に対応できるような方法で行う必要がありました」と、FordXのディレクターでCanopyの暫定CEOであるChristian Moran(クリスチャン・モラン)氏はTechCrunchに語った。「私たちは、ターゲットであるトラックやバンなど、無数の車種に対応できる1つのソリューションを検討しています」。

Canopyは当初、高価な貨物を運ぶ大規模な運送会社と、トラックの荷台に数千ドル相当の工具や機器を積んでいて、しばしば盗難の被害に遭う中小企業のオーナーの両方を考えて、商業顧客に焦点を合わせていた。来年早々には、このような顧客が最初のターゲットとなる。しかし、試験運用を通じて、一般消費者向けの使用例も出てくるようになった。

「トラックやバンの荷台に自転車やカヤックを積んでトレイルに出かける人たちから、これらのものは非常に高価なものなので守って欲しいという、非常に大きなフィードバックがありました」とモランは述べた。「さらに、これは当初の機能ではありませんでしたが、試験運用の参加者の多くから、夜間、外が暗いときにクルマの周りをライブストリーミングするのがお気に入りの機能の1つであるという声を聞きました。つまり、誰もいない暗い駐車場に入って、アプリを使って自分のクルマの周りを見ることができることを想像してみてください」。

試験運用の間、Canopyは2つの異なる盗難未遂の証拠をクルマの所有者に渡すことになったとモランはいう。そして、顧客が警察や保険会社と協力するためにCanopyの映像を使うことができると付け加えた。

FordとADTは、このジョイントベンチャーにFordが6300万ドル(約72億円)、ADTが4200万ドル(約48億円)の合計1億500万ドル(約120億円)を投資している。この資金は、英国と米国の製品、エンジニアリング、市場開拓の各チーム全体の雇用に充てられる他、アフターマーケット製品のサプライチェーンと物流を整備し、今後数年間で規模を拡大できるようにする予定だ。

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Yuta Kaminishi)

CESに登場したEV充電企業は家庭での充電を高速化、V2G、コネクティビティを推進

EV充電企業各社はここ数年間、CESで自社商品を展示してきた。2022年は、利害関係、そしてオポチュニティの度合いが若干高まっている。

数年以内に数十車種もの電気乗用車や商用車が市場に投入されると予想されており、EVはメインストリームになりつつある。より大きな市場には価格がついてくる。メインストリームの消費者は、ガスの燃料補給時間に匹敵する充電時間を期待し、優れたユーザーエクスペリエンス設計には慣れている。そしておそらく、ピーク時とオフピーク時のエネルギーグリッド時間について考える必要性はなかったであろう。

2022年のCESに登場した充電企業や小規模スタートアップはこのシフトを認識しているようで、迅速性、コネクティビティ、利便性、設置の容易性、電力網との連携において向上が図られたプロダクトのピッチを行った。特筆すべき点として、この大きな顧客基盤へのリーチに注力するEV充電企業各社は、商用車の充電から家庭での充電、Vehicle-to-Grid技術から充電器の広告スペースの収益化に至るまで、あらゆるユースケースに対応できるように設計されたプロダクトを披露している。

世界のEV充電器市場は2020年の32億3000万ドル(約3721億円)から2025年には110億ドル(約1兆2671億円)近くに成長すると予測されている。業界にはまだ新規参入者のためのスペースが残されているものの、その多くはデモやニュースでCESを飾ることはなかった。CESで技術を顕示した小規模企業は、独自のソリューション、豊富なコネクティビティ、充電速度のアップグレードという点で際立っている。

Blink Charging(ブリンク・チャージング)

Blinkは2022年、4つの新しい充電プロダクトを発表した。1つはDC高速ウォールマウント充電器であり、残りの3つはレベル2充電器で、フリートおよびマルチユニット用、家庭用、広告ディスプレイの統合用にそれぞれ設計されている。すべての充電器には、4G LTEおよびWi-Fi接続に加えて、フリート管理統合、負荷共有技術、エネルギー使用管理などのスマート性能が備わっている。

Blink MQ 200、フリートEV充電ステーション用

フリート、ワークプレイス、マルチファミリー向けに特別に設計されたこの50アンペアの充電器は、プラグアンドチャージ機能が搭載されており、車両から充電ステーションへの一意かつ暗号化された情報の流れを通じて車両の識別を自動的に行う。この機能は、その名前が示すように、ドライバーがプラグインするだけで充電セッションを開始できることを意味する。

2022年の第1四半期末までに利用可能になる「MQ 200」には、複数の充電器にまたがる直接ユーティリティ通信およびローカル負荷管理のためのスマートグリッド機能が付属しており、一回線に2〜20台の充電器を設置することができ、夜間のフリート充電に理想的である。また、Blink充電器をクラウドに接続するソフトウェアであるBlink Network(Blinkネットワーク)や、CESでローンチされたBlink Fleet Management Portal(Blinkフリート管理ポータル)とも通信する。同ポータルでは、フリート管理者向けに、充電および負荷管理、充電器、車両、ドライバーを追跡するダッシュボードを提供している。

Blink HQ 200、次世代家庭用充電器

「HQ 200」はBlinkの最新の家庭用充電器で、前世代の30アンペアから50アンペアのレベル2充電器にアップグレードされた。他のEV充電企業でも見られるように、家庭での付加的な電力供給は、各社が充電時間を短縮する方法を求めて競い合う中、2022年のトレンドとなっている。

消費者は基本的な充電器を選ぶ傾向にあるとはいえ、このスマートなWi-Fi対応バージョンは、実に私たちを魅了するものである。HQ 200はBlink初のV2G(Vehicle-to-Grid)技術搭載充電器の1つであり、ピーク以外の時間帯にはEVを充電し、ピーク時にはEVのバッテリーに蓄えられたエネルギーを電力網に戻すことができる。

HQ 200はさらに、Blink Mobile App(Blinkモバイルアプリ)に接続することで、即時の充電開始、充電時間のスケジュール設定、リマインダーの設定も可能になる。2022年の第1四半期末までに利用可能になる予定である。

同時に2台充電できるDC高速ウォールマウント

50キロワットのDC高速ウォールは、壁に取り付けたり、台座に設置したりすることができ、さらに同時に2台の車を充電することが可能で、車両、小売店、街角での充電、交通量の多い場所での使用に最適なものとなっている。最大出力150アンペア、V2G技術、10インチのタッチスクリーンディスプレイ、そして時間、キロワット時、あるいはセッションごとに課金する機能を備えている。また、Blink Networkを介したリモート管理とエネルギー使用量レポートが可能となっている。メンバーカード、RFIDクレジットカード、またはモバイルアプリを持つユーザーは、RFIDリーダーを使用して充電を開始することもできる。

「DC高速充電の予算がないと感じている店舗にとって、プライスポイントも魅力的になるでしょう」とBlinkの広報担当者はTechCrunchに語っている。「現在の既存の機器は通常3万5000ドル(約400万円)からですが、DCウォール50キロワットのコストは2万ドル(約230万円)未満です」。

Vision IQ 200(ビジョンIQ 200)、広告用

このレベル2充電器には、ダイナミックデジタルメディアディスプレイ用の30インチLCDスクリーンが1つまたは2つ付属している。小売店、ホスピタリティ事業、自治体施設や交通量の多い場所に理想的なフルサービスの広告性能を備えている。不動産保有者には充電と広告収入の両方の収益分配機会が提供され、後者はサードパーティーベンダーを通じて管理される。

「Vision IQ 200」は、80アンペアのIQ 200の充電器を1つか2つ搭載しており、RFID、Apple Pay、Google Walletおよびすべての主要クレジットカードによる支払いが簡単にできる他、リモート管理やリアルタイムのエネルギー使用状況レポートなどのスマート機能も備えている。

Blinkによると、DC高速ウォールは年内に利用可能になる予定である。

E-Lift(Eリフト)

E-LiftはCESで、カスタマイズ可能な新しいポップアップ式充電ステーション「E-LIFT GS」を発表した。このオランダの会社は、近くこれを北米でローンチすることを目指している。この小さなステーションには同時充電用のプラグが最大4つ付属しており、E-LiftのSustainable and Smart Energy Management System(SENSE、持続可能でスマートなエネルギー管理システム)に接続するセンサーを装備することができる。

SENSEプラットフォームは、ユーザーのモビリティとエネルギーのニーズを管理するシステムとして機能する。同社は声明の中で、顧客は遠隔地からログインして、モビリティとエネルギー消費データのモニタリングと管理を行うことが可能で「費用対効果の高いエネルギー転換が実現し、再生可能エネルギー資源の利用によって将来を再構築しようとしている政府や企業にとって有益なものとなる」と述べている。

JuiceBar(ジュースバー)

コネチカット州を拠点とし、Made in America基準を本格的に推進しているEV充電会社JuiceBarは、CESで同社初の家庭用充電器「Cheetah(チーター)」を発表、この名称は迅速さに由来すると同社は述べている。

Cheetahは2022年中に販売される予定で、同社によると、新しい充電器と交換される古い充電器すべてに対して1000ドル(約11万4600円)ずつ支払われるという。JuiceBarは米国とカナダで数百台の商用充電器を取り扱っており、この新しい家庭用充電器も同じ市場に投入される。

Cheetahは16、32、40、48アンペア構成で、入力電圧は120、208、240ボルトとなっている。Blinkの出力を見る限り、JuiceBarは市場で最速のレベル2にはならないが、近いところにある。CheetahはBluetooth、イーサネット、Wi-Fi、クラウド接続にも対応しており、スマートグリッドの充電に役立つ。25フィート(約7.6m)のコードが付属しており、絡まないコードリトラクターもオプションで用意されている。

家庭で充電するときの安心のために、Cheetahは二重のセーフティリレーを装備している。第1のリレーが閉じてヒューズが切れた場合に、第2のリレーが回路を開閉する。JuiceBarによると、充電器の電力は、充電器のカーボンフットプリントをオフセットする、100%認証済みのカーボン削減プロジェクトによって支えられているという。同社は初年度分のカーボンオフセットを購入することになっている。購入者はその後も、週1ドル(約115円)未満の会費でカーボンオフセットを購入できる。

Cheetahは第2四半期の終わりか第3四半期の初めに消費者向けに提供されると広報担当者はTechCrunchに語っている。当初は米国やカナダにおいて、自動車ディーラー、住宅建設業者、電力会社などの第三者を通じて販売される。

Wallbox(ウォールボックス)

Wallboxは、2022年のCESで「Quasar 2(クエーサー2)」を発表した。これは電気自動車の所有者が自宅や送電網に電気自動車を充電したり、放電したりすることを可能にするだけではなく、停電時に、それが自然災害によるものであっても、自宅を送電網から隔離し、EVをバックアップ電源として使用できる機能を提供する。Wallboxによると、Quasar 2は停電中でも3日間以上家に電力を供給できるという。

Vehicle-to-Home(V2H)機能は、特に電力料金が需要に関係する州で、EV所有者が家庭のエネルギーコストを節約するのに役立つはずだと同社は述べている。ユーザーは、レートが低いときに充電セッションが実行されるようにスケジュールを設定できる。また、太陽光発電を設置しているユーザーは、使用率が低いときにEVに余剰のエネルギーを蓄えることができる。

Quasar 2は48アンペアの電力を供給し、Jaguar I-PaceやBMW i3などの急速充電車に対応するCCS互換で、Wi-Fi、Bluetooth、イーサネット、4G経由でmyWallbox app(マイWallboxアプリ)に接続する。

Wallboxは、Quasar 2の価格を明らかにしなかったが、約4000ドル(約46万円)のQuasar 1相当になると説明した。2022年末までにローンチする予定である。

Meredot(メレドット)

この市場に出回るクルマは電気自動車だけではない。マイクロモビリティのクルマにも愛が必要だ。それこそが、Meredotが電動スクーター、電動モペッド、そしてフードデリバリーロボットや車椅子などの乗り物向けに設計された初の商用ワイヤレス充電器を発表した背景にある。この充電器は、地面の上または下に設置できる物理的なパッドの形態をとっており、受信機を搭載した車両がその上に駐車したときに充電が行われる。

Meredotは、同社のワイヤレス充電器において、マイクロモビリティOEMとフリート事業者をターゲットにしている。同社は、車を充電するための斬新で手間のかからない方法を提供したいと考えている企業向けに、自社の技術を市場に出してライセンス供与する準備が整っている。特にマイクロモビリティのフリートにとって、交換可能なバッテリーを持っていたとしても、スクーターやバイクの充電は大きなコスト削減要因の1つであり、この種の技術はゲームチェンジャーになる可能性がある。

「Meredotのワイヤレス充電器は新しい分散アーキテクチャを提供し、サイトの資本効率とスケーラビリティを向上させ、エネルギーとコストを節約します」とMeredotのCEOで共同創業者のRoman Bysko(ロマン・ビスコ)氏は声明の中で述べている。「Meredotのワイヤレス充電器は、新しいマイクロモビリティ充電エクスペリエンスのインフラ基盤となり、オペレーターとライダーの双方にメリットをもたらします」。

同社によると、従来のケーブル充電システムに比べて、同じ表面で電動スクーターを50%多く充電できるため、充電サイトのコストを大幅に削減できるという。

画像クレジット:Blink Charging

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アパートなど地下駐車場でのEV充電を容易にするHeyChargeがBMW主導で約5.4億円のシード調達

明らかな理由から、EV充電ビジネスは高成長を続けている。2007年以降、最大のプレーヤーの1つとなっているのは、広範なEV充電ネットワークを持つ米国の上場企業、ChargePoint(チャージポイント)だ。しかし、多くのスタートアップがそれに追いつこうとしている。

ドイツに本社を置くHeyChargeは、一般的にEV充電活動の約80%を占める地下駐車場でのEV充電に問題があることに気づいた。問題は、通常のスマート充電インフラにはインターネット接続が必要だが、地下ではそれができないことだ。そこで、HeyChargeは解決策を考えた。

それを実現するために同社は中央ヨーロッパ時間1月13日、BMWグループのベンチャーキャピタル部門であるBMW i Ventures(ChargepointやChargemasterの初期投資家でもある)主導のシードラウンドで470万ドル(約5億4000万円)を調達した。今ラウンドには、欧州の大規模な再生可能エネルギー発電会社であるStatkraftのVC部門Statkraft Venturesも参加している。

HeyChargeがYCの2021年バッチの一部だったときに、TechCrunchは同社を取材した。

HeyChargeのソリューションは、アパートやオフィス、ホテルなどの地下にあるEV用のインフラを対象としている。同社のSecureCharge技術は、現場でのインターネット接続を必要とせず、Bluetoothで接続するプラグ&プレイ(PnP)セットアップを採用している。

HeyChargeのChris Carde(クリス・カルド)CEOは次のように述べている。「欧州では40%、米国では37%の人がアパートに住んでおり、自宅で充電できないために電気自動車を利用することが困難な人が大勢います。HeyChargeのソリューションは、EV充電の拡張性を高めるだけでなく、費用対効果を高めてよりアクセシブルにし、どこに住んでいても、どこで働いていてもEV充電ができるようにします」。

BMW i VenturesのマネージングパートナーであるKasper Sage(キャスパー・セイジ)氏はこう述べている。「今後数年でEV市場が急速に成長するのにともない、世界中で充電ソリューションのインフラ構築を進める必要があります。HeyChargeは、インターネットに接続しないEV充電ネットワークを可能にした最初の企業であり、これは未開拓のホワイトスポットをカバーするための重要な成功要因です」。

HeyChargeは、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Google(グーグル)、BMW、SIXTでの勤務経験を持つクリス・カルド氏とRobert Lasowski (ロバート・ラソウスキー)博士によって2020年3月に設立された。

画像クレジット:HeyCharge founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

5分でフル充電できるEV用急速充電バッテリーのStoreDotがベトナムのVinFast主導で約92億円を調達

イスラエルの次世代バッテリーテクノロジー企業StoreDotは、ベトナムのEVメーカーであるVinFast(ビンファスト)が主導する最新の資金調達ラウンドのファーストクローズを完了した。同社は今回のシリーズDラウンドで、最大8000万ドル(約92億4000万円)を調達する予定だ。

この資金は、StoreDotの研究開発の完了と、同社技術の量産スケールアップに使用される。現在、自動車メーカーに出荷してテストを行っているという。

VinFastは、ベトナムでBMWベースの自動車をライセンスして製造している。シリーズDには他にも、BP VenturesとGolden Energy Global Investmentが参加した。

StoreDotのCEOであるDoron Myersdorf(ドロン・マイヤースドルフ)博士は、次のように述べている。「今回の戦略的な資金調達は自動車、エネルギー、テクノロジーの大手企業が主要な投資家となっており、StoreDot、同社のXFCバッテリー技術、長期的な製品ロードマップ、そしてEVドライバーの航続距離に関する不安を解消するためのワールドクラスの技術とイノベーションに対する大きな信頼の証です」。

StoreDotは、Daimler(ダイムラー)、Samsung(サムスン)、TDK、中国のバッテリー量産メーカーであるEVE Energy(EVEエナジー、恵州億緯鋰能)とのパートナーシップも獲得している。同社の革新的なリチウムイオン電池の設計は、非常に高速な充電が可能であり、わずか数分で車両をゼロ状態からフル充電できるとしている。

同社のXFC(超高速充電)バッテリーは、一般的な黒鉛を使用した負極ではなく、シリコン系の負極を使用しており、エネルギー密度が高く、従来の電池よりも長持ちする可能性がある。

VinFastのPham Thuy Linh(ファム・トゥイ・リン)副社長はこう述べている。「当社は、研究に献身的に取り組み、画期的な技術を持つ企業とパートナーシップを結び、投資することでグローバルな知性をつなげてきました。特に、StoreDotやその独自技術である超高速充電(XFC)などのEVバッテリーには注力しています」。

画像クレジット:StoreDot

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

EVの販売拡大を目指すGM、カリフォルニア州独自の排出ガス規制に同意

General Motors(ゼネラル・モーターズ)が政治的にも経済的にも有利と思われる立場を表明した。この自動車会社は米国時間1月9日、カリフォルニア州の規制当局が大気浄化法に基づき独自の自動車排出ガス基準を設定する権限を認めると発表したのだ。GMはこれまで、カリフォルニア州が同州で販売される新車に独自の規制を課すことを妨げるTrump(トランプ)政権の取り組みを支持していたが、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領の当選直後にその立場を撤回していた。

GMがカリフォルニア州の厳しい炭素排出基準を認めたということは、他の州も同様の規制を採用できるということであり、また、カリフォルニア州はフリート車両の購入に同社を検討することができるようになるということを意味する。このリストにはGMの他にも、BMW、Ford(フォード)、Honda(ホンダ)、Tesla(テスラ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Volvo(ボルボ)の社名が挙がっている。

カリフォルニア州は全米で最も人口の多い州であり、国内総生産の14.8%を占めている。排出ガス量の多い自動車の生産を続けたいという厄介な理由で、この州からブラックリストに載せられるのは、経済的な自殺行為になるだろう。TechCrunchは、GMがなぜ今このような手紙を送ることにしたのか、そしてそれがGMの幅広い戦略とどのように関連付けられるのかを知るためにGMに問い合わせたが、同社はすぐには回答しなかった。

GMのVP兼グローバルパブリックポリシー責任者であるOmar Vargas(オマー・ヴァーガス)氏は、カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事に宛てた手紙の中で、カリフォルニア州の排出ガス統治に忠誠を誓っていると、The Detroit News(デトロイト・ニュース)は9日に報じたが、これは同社の商用電気自動車部門であるBrightDrop(ブライトドロップ)が、今後数年間にわたる大規模な成長計画を発表した数日後のことだった。

BrightDropは米国時間1月5日、Walmart(ウォルマート)を新たな顧客として迎え、5000台の電気自動車の予約を受注したと、CESで発表した。また、既存の顧客であるFedEx(フェデックス)は、2021年発注した電動商用バンの台数を、当初の500台から2000台に増やすと発表。その多くがまずはロサンゼルスの路上に現れるという。

GMはまた、1月9日にカリフォルニア州大気資源委員会のLiane Randolph(リアン・ランドルフ)委員長に宛てた書簡の中で、ゼロエミッション車の展開を加速させることを約束した。GMは先週、Chevrole(シボレー)ブランドで2023年までに生産を開始する2車種の電動SUVを発表し、同時に2024年モデルとして発売される電動ピックアップトラック「Silverado(シルバラード)EV」(2種類の仕様が設定される)も公開した。さらに同社は、2021年末に「GMC Hummer EV(GMCハマーEV)」のピックアップトラックの納車を開始しており、2023年にはHummer EVのSUVも販売が始まる。電動ピックアップトラック「GMC Sierra EV(GMCシエラEV)」は、同じく2023年に市場に投入されるようだ。

また、GMのグローバルレギュラトリーアフェアーズ&トランスポーテーションテクノロジーポリシー担当VPのDavid Strickland(デビッド・ストリックランド)氏が署名したランドルフ氏への書簡では、低所得者層が同社のEVを購入できるように専心することも約束している。この取り組みには、プリペイド式充電カードの提供による充電インフラへのアクセス改善や、特に恵まれない地域でインフラを整備するためのパートナーシップ構築などが含まれる。

「GMは、カリフォルニア州が追求するゼロエミッションの未来に向けた取り組みの一環として、クリーンな空気と排出ガス削減のための戦いに参加することになりました」と、ニューサム知事室は1月9日にツイートした。「この合意は、カリフォルニア州が率先する気候変動問題への取り組みを加速させることになるでしょう。我々のクリーンカー革命にGMを喜んでお迎えしましょう!」。

GMは、2040年までに全世界に向けた製品および事業においてカーボンニュートラルを実現し、2035年までに新車の排出ガスをゼロにすることを約束している。

画像クレジット:Shabdro Photo / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Rivianが「冒険」を求めるユーザー向け電動バイクの商標を出願

電気自動車メーカーのRivian(リビアン)は、自転車と電動バイク、およびそれらに対応する構造部品の商標を新たに出願した。この動きは、Rivianが電動バイク需要の波に乗り、電動ピックアップトラックよりも大規模な生産が安価で、ターゲットとする「冒険」を求める顧客層に沿った製品で自社のポートフォリオを多様化しようと検討していることを示すものかもしれない。

同社はTechCrunchに対し、この件に関して共有することは何もないと語った。

企業はしばしば、最終的に使用しない製品についても商標を申請することはあるが、他の自動車メーカーは、7月までの12カ月間で240%の売上成長率を記録した電動バイク業界に価値を見出し始めている。2021年、Porsche(ポルシェ)はTaycan Cross Turismoの精神を受け継いだ2つの新しい電動バイクを発売した。BMWも最近、全電動スクーター「CE 04」のように、いくつかの電動バイクやその他のマイクロモビリティの生産計画を発表している。

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2021年12月、Rivianは株式公開時に調達した137億ドル(約1兆5700万円)の一部を使い、ジョージア州に第2工場を建設し(第1工場はイリノイ州)、生産能力を倍増してバッテリーセル(表向きは他のタイプの車両のバッテリーにも使用できるセル)を生産する計画を発表した。

Rivian Forumsが最初に明らかにした出願書類によると、Rivianは、自社の商標の使用を以下のように拡大したいと考えているようだ。

自転車;自転車構造部品;電動自転車;電動自転車構造部品;電動自転車用に特別に適合させた部品(バッテリーパック、モーターコントローラー、電動モーター、スロットルコントロール、ペダルアシストセンサー、ディスプレイコンソール、ワイヤーハーネス、スプロケット、カセット)、チェーン;自転車フレーム;自転車ペダル;自転車ホーン;自転車ブレーキ;自転車チェーン;自転車ギア;自転車ホイール;自転車シート;自転車タイヤ;自転車クランク;自転車タグ;自転車泥除け;自転車モーター;自転車サドル;自転車ポンプ;自転車ベル;自転車ハンドル;自転車トレーラー;自転車キックスタンド;自転車シートポスト;自転車カバー、自転車ホイールスポーク;自転車ホイールリム;自転車スタンド;自転車ペダルストラップ;自転車部品(ディレイラー);自転車水筒かご、自転車キャリア;自転車タイヤ用ポンプ、自転車タイヤ用インナーチューブ、自転車部品(ディスクホイール);自転車部品(ブレーキシュー)

Rivianは最近、自動車用統合テールゲート荷台システムの特許も申請した。これは基本的に、ドライバーが荷台スペースを失うことなくピックアップ車に自転車を積めるようにするテールゲート自転車用ラックのことだ。おそらく、R1Tトラック用のアクセサリーを好んで提供する同社は、ターゲットである環境意識の高い強靭な米国人冒険家向けに全体的なパッケージをデザインしたいのだろう。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

電動ピックアップトラックのRivianは2021年に1000台超を生産

米国時間1月10日、米国の電気自動車メーカーRivian(リビアン)は2021年に1015台の車両を生産したことを報告した。2021年12月に同社が下方修正した予測と一致している。

Rivianは2021年末までに920台を配車したとこの日に発表されたリリース文に書かれている。同社のピックアップトラック R1Tには7万1000台以上の「事前注文」(すなわち返金可能な予約)が入っていると、2021年12月の株主宛てレターに書かれていた。

当初Rivianは、年内に1200台の車両を生産することを目標としていた。2021年12月に同社は、CEOのRJ Scaringe(RJ・スカレンジ)氏をはじめとする幹部が、予測の下方修正を発表し、サプライチェーン問題およびバッテリー生産の課題により、出荷車両が数百台減る可能性が高いと語った。

12月の決算会見でスカリンジ氏は、生産について複雑なオーケストラに2度なぞらえた。

「この種の生産システムをまとめること、これは前にもいいましたが、本当に複雑なオーケストラのようです」とスカリンジ氏は言った。「何千ものパーツを納める何百というサプライヤーがいて、生産施設では数千台のロボットが稼働し、数千人のチームメンバーが働いて車体を組み立てています」。

目標を引き下げたにもかかわらず「ほぼ予定通り伸びている」とスカリンジ氏は決算会見で話した。

「バッテリーの制約は、高度に自動化されたラインがもたらした人為的な結果にすぎません」と同氏は12月にいう。「こちらも先にお話したように、私たちにとってこれは長期的課題ではありません。まもなく第二の生産ラインができて、バッテリー・モジュール生産は工場の他の部分よりも能力的にはるか先をいくようになります」。

Rivianが生産を強化する一方で、既存自動車メーカーのGM(ゼネラル・モーターズ)とFord(フォード)は、自社の電動ピックアップトラックの発売に向けて準備を進めている。Fordは1月4日、近日発売予定の電動ピックアップトラックF-150 Lightningの生産能力を2倍近く引き上げ、2023年半ばまでに年間15万台にして顧客需要に応えると発表した。F-150 Lightning最初の納車は2022年春となる予定だ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

シボレー・シルバラードがついにEV化、2023年に生産開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)のEVを発表した。航続距離は400マイル(約644キロメートル)、最高出力は664HP(馬力)、ベーシックなワークトラック版の価格は3万9900ドル(約462万円)からだ。フル装備で4輪駆動のRSTファーストエディションは10万5000ドル(約1218万円)となっている。どちらも2023年に生産ラインに載る予定だ。待てない方は、少し高価なGMC Hummer EV(GMCハマーEV)の列に並ぼう。ほぼ同じクルマだ。

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General MotorsのCEO、Mary Barra(メアリー・バーラ)氏は米国時間1月5日、CES 2022のバーチャル基調講演でこのクルマを発表した。同社は、Ford F-150 Lightning(フォード・F-150ライトニング)に対するChevy(シボレー)の答えの他に、複数の大衆向け電気自動車を発表した。また、2020年代半ばまでに個人向け自動運転車を販売する計画も発表した。

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Silverado EVは、Hummer EV、Sierra Denali(シエラ・デナリ)に続き、General Motorsが発表した3台目のEVピックアップトラックだ。同社はデナリのティーザー広告を2021年12月に発表したばかりで、それについてはほどんど何もわかっていない。しかし、Silveradoは、印象的なHummer EVと部品の大部分を共有しているようだ。Silverado EVが「付け足し」だと勘違いしないで欲しい。Silverado EVは、この3つの中で最も重要だ。Chevy Silveradoは長い間、主力製品であるFord F-150ピックアップの主要な競争相手だった。

画像クレジット:GM

発売時に用意されるのは、3万9900ドル(約462万円)のWork Truck(ワークトラック、WT)エディションと、フルスペックのRSTファーストエディション(約1218万円)の2種類。どちらも航続距離は400マイル(約644キロメートル)とされている。装備品を含めると、最終的には、5万〜8万ドル(約580万〜930万円)の価格帯になりそうだ。

Silverado RSTファーストエディションは、多くの技術的な改良が施されている。Hummer EVと同じ4輪駆動と適応性のあるエアサスペンションを使用している。中央には17インチの巨大な液晶画面、運転席には11インチの画面と巨大なHUD(ヘッドアップディスプレイ)が備わっている。このエディションには、Chevyのアドバンストトレーラリングシステムも搭載されている。

3万9900ドル(約462万円)のWork Truckエディションについて、公表された情報はより少ない。パワーはより小さく、510HP(馬力)、トルクは615ポンド・フィートだ。RSTエディションは664HP(馬力)、トルクは780ポンド・フィート。また、牽引力は8000ポンド[約3600キログラム](RSTエディションの1万ポンド[4500キログラム]より小さい)。インテリアも大きく変わり、ダッシュボードには10万5000ドル(約1218万円)のRSTモデルに搭載されている巨大な液晶ディスプレイがないのが特徴だ。

また、RSTエディションは、キャビンとベッドの間に取り外し可能なパネルがあるため、収納容量が大きい。また、センターコンソールも大きくなり、ルーフも固定ガラスになった。

WTとRSTエディションは、公共のDC急速充電ステーション対応機能(350キロワット)を備え、10分で100マイル(約161キロメートル)の航続距離が得られる。Silverado EVは、Ford Lightningと同様に110ボルトの発電機として機能するが、Chevyの最大出力は10.2キロワットで、Fordの9.6キロワットを上回る。

ChevyとFordの間には歴史がある。両社は長い間、互いの開発を追いかけてきた。2021年5月にFord F-150 Lightningを発表した際には、FordがChevyに数カ月先行した。それ以来、Fordに予約が殺到した。同社は今週初め、生産を倍増し、2023年半ばまでに年間15万台の生産を達成すると発表した。

General Motorsは米国時間1月5日、3万9900ドル(約462万円)のChevy Silverado Work Truckの生産を2023年春に開始する意向だと発表した。さらに、RSTファーストエディションは2023年秋から生産する。最終的には、同日プレビューされたオフロードをテーマにしたTrail Bossエディションなど、Chevyはより多くのモデルを市場に投入する見込みだ。

Ford F-150 LightningとChevrolet Silverado EVは、初めて根本的に異なる車種となった。これらは、それぞれ異なるアプローチをとった。Ford F-150 Lightningは、伝統的なボディオンフレーム・プラットフォームを採用している。これは、現在のFord F-150 LightningやChevy Silveradoなど、ピックアップ市場で採用されているものと同じアレンジだ。しかし、General Motorsは、ボディとフレームを一体化したユニボディを採用。Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも採用されている構造だ。この構造により、剛性は向上するが、牽引力と積載力が犠牲になることが多い。

電動ピックアップトラック市場は急速に拡大している。Silveradoは一部の競合他社よりも遅れて市場に投入される予定だ。SilveradoのいとこであるHummer EVは生産中であり、一部の顧客には納車が始まっている。Rivian(リヴィアン)も同様で、最初のピックアップトラックであるR1Tの生産を開始した。2021年12月に予約したピックアップトラックを受け取った顧客もいる。

TeslaのCybertruckは、わかっていないことが多い。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は2019年11月、このワイルドなピックアップを発表したが、多くの詳細がまだ明らかにされていない。Teslaのウェブサイトからは、生産予定時期が削除された。市場では、サイバートラックがまだ開発中であることはほぼ一致しているが、時期は不明だ。

General MotorsのEVへのアプローチは広がりつつある。2008年の自動車メーカー救済の暗黒時代に、Chevy Voltでスタートした。次に、2017年にChevy Boltで初の量産型EVを生産した。そして、新型コロナウイルスの数週間前の2020年3月4日、CEOのバーラ氏は、次世代EVプラットフォーム「Ultium(アルティウム)」を発表した。その後、チップ不足や世界的なパンデミックにもかかわらず、Hummer EV、GMC Sierra Denali、Cadillac Lyriq(キャデラック・リリーク)、シボレー・シルバラード、Chevrolet Blazer EV(シボレー・ブレイザーEV)、Chevrolet Equinox(シボレー・エクイノックス)を発表した。

画像クレジット:GM

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(文:Matt Burns、翻訳:Nariko Mizoguchi

Volvoが新型e-SUVに自律走行機能を搭載へ、LuminarやZenseactと提携

Volvo Cars(ボルボ・カーズ)は米国1月5日、ライダー企業のLuminar(ルミナー)および自律走行(AD)ソフトウェア子会社のZenseact(ゼンセアクト)と協力して、次世代の完全電気自動車にAD機能を導入するとCESで発表した。「Ride Pilot(ライドパイロット)」と命名したこの機能を、今年後半に公開予定の電動SUVにアドオン・サブスクリプションとして導入することを目指す。

Volvoによると、Ride PilotはVolvoが「監視なし」のAD機能と呼んでいるもので、車が自分で運転できるようになるため、乗車する人は「読書、執筆、仕事、社交などの二次的活動」を楽しむ時間がたっぷり取れるようになるという。Volvoが株式の過半数を保有するLuminarとZenseactは、少なくとも2021年3月からこうした機能の構築に取り組んでいて、両社は技術を組み合わせて、他の自動車メーカーに提供できる「全体的な自律走行車スタック」を構築する計画を共有していた。Nvidia(エヌビディア)のシステムオンチップが、Volvoの基幹計算システムを動かす。

Volvoは、自律走行機能を備えた商用車の市場投入に向けた戦略を策定した最新の自動車メーカーだ。Tesla(テスラ)は、誤解を招くような名前の「Autopilot(オートパイロット)」と「完全自動運転」ソフトウェアを世に送り出した。これらは、カメラとコンピュータービジョン技術のみに依存し、はっきりと確認できる車線内での自動操縦、交通状況認識クルーズコントロール、自動車線変更、自動駐車、車呼び出し、交通および停止信号制御といったタスクを処理できる高度な運転支援機能を提供するものだ。中国の自動車メーカーXpeng(エックスペン)も、ライダー、レーダー、カメラに依存し、ドライバーが設定したルートに基づいて地点から地点への自動運転を支援する次世代ADASである「Xpilot」を展開している。

Volvoのデジタルビジネス担当副社長Martin Kristensson(マーティン・クリステンソン)氏は、「Ride Pilotで重要なのは、実際に自動運転ができることです」とTechCrunchに語った。「ハンドルにずっと手を置いている必要はありません。前方を見る必要もありません。実際に車の中で朝食を食べたり、本を読んだり、映画を観たりでき、その間、車が勝手に運転します。私たちは、車が自動運転しているときに責任を負います。そういう意味で、今の市場にはない提案だと思います」

Ride Pilotが市場に出る前に、このソフトウェアは、多くの条件下で高速道路で安全に使用できる技術の検証を含む、厳格な検証およびテストプロトコルを受けるとVolvoは話す。当初、Ride Pilotは限られた運用設計領域で利用できるようになる予定だ。具体的には、 Volvoが検証した高速道路での低速走行に限定される。

カリフォルニア州の顧客が最初にRide Pilotを体験し、その後、他の市場に徐々に展開する予定だが、カリフォルニア州が自律走行試験に対して良好な規制環境にあること、晴天が多い気候、そして高速道路を利用する車が多いことを考えれば、これは理にかなっている。ロサンゼルスの通勤者は平均年119時間も渋滞に巻き込まれており、その時間をもっと有効に使えるとVolvoは考えている。

Volvoはカリフォルニア州の公道で車両をテストするための許可を確保する必要があるが、クリステンソン氏は、同社が「カリフォルニア州陸運局を含む関連規制機関と対話し、必要なすべての承認を確保している 」と話す。今のところ、同社はスウェーデンでZenseactとRide Pilotのテストを行っているだけだが、今年半ばまでにはカリフォルニアの公道でのテスト開始に必要な許可を得られる見込みだ。Volvoがこの技術を実際に商業展開するために必要となる規制は、業界が提供するものに対してまだ追いついていない。例えば、カリフォルニア州には現在、運転中のドライバーの電話使用を禁止する法律がある。これは、自動運転中にTwitterをスクロールしたり、電子メールに返信したりできるとうたってドライバーをRide Pilotに加入させるVolvoの計画にとって障害になるかもしれない。

TechCrunchの情報提供要請に対するカリフォルニア州自動車局からの回答は間に合わなかった。

Volvoは、Ride Pilotサブスク料金や、SUVがいくらで販売される可能性があるかについては情報共有しなかったが、クリステンソン氏によると2022年のVolvo XC90の価格とほぼ同じで、5万ドル(約580万円)程度からになるとのことだ。顧客がソフトウェアを追加するかどうかにかかわらず、車両にはADとADAS機能を実現するために必要なすべてのセンサーを搭載する。その中でも、LuminarのIrisライダーセンサーは、光る宝石のようにルーフトップに取り付けられるのではなく、よりシームレスに車両のルーフラインに統合されるようになっている。さらに、新型SUVには5つのレーダー、8つのカメラ、16の超音波センサーが搭載される予定だ。

「Volvoは、ハードウェアの標準化を決定しました。つまり、人々がRide Pilotをサブスクするかどうかにかかわらず、すべての車両がこのソフトウェアを起動することができ、また、監視して安全で起動できることを確認するために必要なデータを収集することができるハードウェアを備えます」とZenseactのCEO、Ödgärd Andersson(オッドガード・アンダーソン)氏はTechCrunchに語った。 「全ての車両に、急ブレーキや急ハンドルの操作をサポートするような、基本的な安全機能が標準装備されます。この新しいレベルの技術とライダーによって実際に全く新しいレベルに到達し、その上、より優れたセンシングと計算が可能になったため、運転中にアシストするクルーズ機能が新しいレベルに到達したのです」

テスラのFSDと同様に、継続的に冗長性を確保するために、新しい市場のユーザーと既存のユーザーの両方に、ソフトウェアそのものとアップデートを無線で送信することができる。

Volvoは今後展開する電動SUVのデザインの詳細をまだ明らかにしていないが、フラットフロア、ガラス天井、後ろヒンジのスイング式後部ドアを備えたクロスオーバーに少し似ている、7月に公開したコンセプトEV「 “Concept Recharge(コンセプト・リチャージ)」は「実際の車がどのように見えるかをよく示しています」とクリステンソン氏は述べた。Volvoは、EVバッテリーを製造するNorthvolt(ノースボルト)、Google(グーグル)、Luminarといった企業と提携し、このEVや将来の車両を作る。

CESの期間中、Volvoは、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragonデジタルコックピットインフォテインメントセンターを新しい電動SUVに実装する計画も明らかにした。また、Volvoは1月5日にGoogleとの提携の詳細も発表した。Googleアシスタント対応デバイスとの統合により、ユーザーはGoogleに車のウォームアップを頼んだり、YouTubeを車にダウンロードしたりすることができるようになる。

「電気自動車の充電を待っている間、あるいは自律走行車内で運転というより乗ってくつろいでいる状況で、ドライバーが運転以外の時間を車内で過ごすことが増えるとみています。ですので、車内でもっとデジタルサービスを可能にしたいのです」とクリステンソン氏は述べた。

Volvoが戦略的パートナーシップを通じて構築している一連のデジタルサービスは、同社がサブスクリプションモデルを構築し、顧客がこれらの新製品とどのように接したがっているかを学ぶ機会を与える。

デジタル・コンシューマー・プロダクト責任者のAnne-Mette Nygaard(アンネ・メッテ・ナイガード)氏はTechCrunchに次のように語った。「来年には、前もって購入するのではなく、実際にサブスクできるサービスや体験が消費者に提供されるでしょう。ですから、より柔軟なオーナーシップ、そして消費者への透明性を高めることが進むべき道なのです」。

画像クレジット: Volvo Cars

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

子どもを車内に置き去りにした親に警告を出すチャイルドシート用クッション「Tata Pad」

イタリアのスタートアップ企業であるFilo(フィーロ)は、欧州ではTile(タイル)のようなBluetoothトラッキングデバイスでよく知られている。その新製品である「Tata Pad(タタ・パッド)」は、チャイルドシートの上に置くクッションで、あなたがショッピングモールの涼しく爽やかなエアコンの風の中をのんびり歩いているときに、大事な赤ちゃんがクルマの後部座席に縛り付けられたままになっていると通知してくれるというものだ。イタリアではすでに発売されているが、今週ラスベガスで開催されているCESで米国での発売が発表された。

筆者のように親ではない者にとって、このTata Padは一見すると、まったくばかばかしい製品のように思われる。後部座席に自分の子どもがいることを忘れる親なんて、一体どのくらいいるというのだろうか?同社の説明によると、1990年代後半以降、暑くなった車内に置き去りにされた子どもが900人以上(年間平均38人)死亡していることを受けて、米国では車内に置き去りにされた子どもやペットに対して何らかの安全警告を必須とするための法律が制定されようとしているほど、この問題は深刻であるという。置き去りにされた子どもは「1人でも多すぎる」という標語のもと、同社は忘れっぽい親にテクノロジーによる解決策を提案している。

この製品は、基本的にTileのようなデバイスと同様に機能するクッションであり、子どもがクッションの上に座るとデバイスが起動する。そして親が3分以上その場を離れると、Tata Padは大切なものを置き忘れているという通知をスマートフォンに出す。それでもクルマに戻る気にならなかったら、電話をかけてきて「本気になって、子どもを連れてきなさい」と親切に注意を促す。さらにこの電話を無視すると、Tata Padはさらにエスカレートして、緊急連絡先に電話やSMSを発信し、子どもの居場所を知らせ、救助活動を開始できるようにする。

Tata Padは1つにつき最大2台の携帯電話を接続することができ、2個の交換可能なコイン電池で駆動する。電池の持続時間についてメーカーはコメントしていない。Filoでは、最初の4年間はメッセージと電話の発信を無料で提供することを約束しており、その後も延長サービスを購入すれば警告機能を使い続けることができる。

FiloのTata Padは、チャイルドシートに追加するクッションで、クルマから離れる際に大切な子どもを置いてきたことを通知する機能を備えている(画像クレジット:Filo)

Filoは、米国での販売が完全に認証されていることを示唆しており、CESで発表した後にプレオーダーの受付を開始している。CEOのGiorgio Sadolfo(ジョルジオ・サドルフォ)氏によると、同社では現在、米国市場で大きな成功を収めるために、パートナーや販売代理店を探しているとのこと。欧州では60ユーロ(約7850円)で販売されており、米国でも同程度の価格設定となるようだ。

画像クレジット:Filo

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)