オブジェクトをシンプルな部分的形状の集まりとして捉え、精度の高い3Dモデルを作る

空間領域構成法(constructive solid geometry, CSG)と呼ばれる技法を使用するシステムによりMITの研究者たちが、オブジェクトを分解してそれら個々の構成要素を3Dモデルで表現することに成功した。いわばそれは、複雑な物体に対するリバースエンジニアリングだ。

そのシステムを紹介するペーパー“InverseCSG: Automatic Conversion of 3D Models to CSG Trees”を、Tao Du, Jeevana Priya Inala, Yewen Pu, Andrew Spielberg, Adriana Schulz, Daniela Rus, Armando Solar-Lezama, そしてWojciech Matusikらが共著している。

Tao Duは3DPrintingIndustry誌の記事でこう述べている: “高レベルでは、問題は三角形メッシュをシンプルなツリーにリバースエンジニアリングすることだ。オブジェクトをカスタマイズしたければ、それを構成する元の複数の形の、それらの寸法やお互いの組み合わさり方にアクセスできるのが理想的だ。しかしすべてを一つの三角形メッシュへと組み合わせてしまえば、そこにあるのは三角形のリストだけで、個々の形の情報は失われている。でも、それらのメタデータを回復すれば、ほかの人たちがそのデザインを容易に変えることもできる”。

その処理は、オブジェクトをシンプルな剛体の集まりに切り分けて、それらを合わせれば複雑なオブジェクトが作れるようにする。現在の3Dスキャンは不完全だから、オブジェクト全体のメッシュモデルはオブジェクトの不完全な表現にしかならない。しかしこのように、より単純な形状のメッシュ的集まりとしてオブジェクトを表現できれば、より正確なスキャンに近くなる。オブジェクトの形を変える処理も、やりやすい。全体一括スキャンではなく、小部分分解スキャンとその再合成をするのだ。

“われわれのアルゴリズムは堅牢だから、言葉では言い表せないような奇妙な形のオブジェクトやその変更〜カスタマイズでも正確に表現できる。その例を、実際に示した。また、われわれの方法は変項(パラメータ)の集まりで表現されるCSGプログラム(parameterized CSG programs)を返すから、それによりエンドユーザーが3Dメッシュの構造を理解したり編集したりできるようになる”、とDuは語る。

このシステムは、オブジェクトを構成している要素的な形状を見つけて、それらの形を変える。これによって、ほとんどどんなオブジェクトでも、以前(全体一括スキャン)に比べてずっと高い精度で再現およびカスタマイズできるようになる。それはハードウェアをハッキングしてその形や大きさや安定性を理解するための、とってもクールな方法だ。

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プログラミングをゲームのように遊べるScratchのv.3.0が出た、タブレットでも使える

使うに値する唯一の子ども向けプログラミング言語Scratchが、Scratch 3.0のローンチを発表した。この強力なオープンソースツールに、おもしろい新しい機能がいくつか加わった。

学齢期の子どものいない読者のために説明すると、Scratchはブロック方式のプログラミング言語で、小さなゲームや、スプライトやアニメのある“漫画”を作れる。そのシステムはけっこう複雑で、子どもたちはこれまで、Minecraftのプラットホームや、楽しいアーケードゲーム*、そしてこんなものまで作ってきた。〔*: アーケードゲーム, arcade games, arcadeは日本語で言えば“ゲーセン”。〕

Scratchのこのニューバージョンには、ハードウェアを制御する機能や、新しいコントロールブロックがある。

Scratch 3.0は次世代のScratchで、Scratchでもっといろんなものを、いろんなところで作れるようになった。数十個もの新しいスプライトがあり、サウンドエディターもすっかり新しくなった。そして新しいプログラミングブロックもたくさんある。Scratch 3.0は、ラップトップやデスクトップコンピューターだけでなく、タブレットでも使えるようになった。

Scratchはプログラミングをゲームのように楽しめるツールで、うちの子は今でも、これで何度も何度も遊んでいる。そんな力を持つプログラミング言語は、ほかにない。とくに小学校入学前ぐらいの子どもに最適の、プログラミング入門だ。今度のアップデートをぜひチェックして、そして作ったアニメはぜひクラスでシェアしよう!

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センサーをインターネットに接続して企業経営に貢献するSamsaraが評価額$3.6Bで$100Mを調達、米経済の冬に備える

センサーデータのプラットホームSamsaraが今日(米国時間12/28)、36億ドルの評価額で既存の投資家Andreessen HorowitzとGeneral Catalystからの新しい投資ラウンドを完了したことを確認した

このニュースを最初に報じたCheddarは、Samsaraの意図を開示しているデラウェア州のSEC提出文書を12月21日に見つけた。それによると、今年の3月の5000万ドルのシリーズDのときの倍以上の評価額で1億ドルのラウンドを調達したい、となっていた。

今回の資金調達の発表声明で、Samsaraのマーケティングとプロダクト担当VP Kiren Sekarが次のように述べている: “弊社の成長は、変化をもたらす新しいテクノロジーを製造系よりもむしろオペレーション系の企業が抱える問題の解決に導入することから得られている。その業種業態は経済の大きな部分を占めるにもかかわらず、これまで長きにわたってテクノロジーの恩恵をあまり被ってこなかった。しかし今日では、安価なセンサーと広帯域なワイヤレス接続、スマートフォン、クラウドコンピューティングなどにより、これらの企業も21世紀のテクノロジーの恩恵を全面的に享受できるようになっている”。

2015年に創業されたSamsaraは、そのインターネットに接続されたセンサーシステムにより、運輸交通、ロジスティクス、土木建設、食品製造、エネルギー、製造業など多様な業種をサポートして、彼らのデータ収集やデータからの知見の獲得、ひいては物理的オペレーションの効率改善に貢献している。

同社の協同ファウンダーSanjit BiswasとJohn BicketはかつてエンタープライズWi-FiスタートアップMerakiを立ち上げたが、それは2012年に、全額キャッシュ12億ドルの取引でCiscoに買収された

Samsaraの総調達額は、これで2億3000万ドルになる。PitchBookによると、同社のプライベート投資家はわずか2社で、それがAndreessen HoworitzとGeneral Catalystだ。そのためMarc AndreessenとGeneral CatalystのHemant Tanejaは、過去のいくつかのSamsaraの投資案件においても、リード投資家としてのVC企業を代表してきた。

サンフランシスコに拠を置くSamsaraによると、2018年には顧客ベースが5000に膨れ上がり、売上が250%増加した。今度の資金の主な用途は、社員を1000名増員し、AIとコンピュータービジョン技術への積極投資、そしてアトランタに初めてのイーストコーストオフィスを開くことだ。

同社はこの前の調達資金もまだ一銭も使っていないが、それは、他の多くのベンチャー資金頼りのスタートアップと同様明らかに、マーケットの下押し傾向が業界を襲う前に資本を手当しておきたいからであり、良好な評価額であっても資金調達はますます難しくなりつつあるからだ。

前出のSekarは、こうも述べている: “弊社のバランスシートはすでに健全ではあるものの、前回の資金調達ラウンドにはまだ手を付けていない。その新しい資本は長期的なプロダクト投資を加速し、新たな市場へと拡張し、同時にしかも強力なバランスシートを長期的に維持継続できるようにするものでなければならない”。

関連記事: Amid plummeting stocks and political uncertainty, VCs urge their portfolios to prepare for winter…株価激落と政治の不安定でVCたちは傘下企業に冬への備えを促す(未訳)

画像クレジット: Samsara

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スタートアップの資本構成を管理するCartaが創業6年でシリーズD $80Mを調達

スタートアップを支援するスタートアップが、VCからの支援を得て新しいジャンルを確立しつつある。

The WingThe Riveterのようなコワーキング(co-working)スペースが今年は資金をかき集めたし、またBrexの場合のようにスタートアップ専用コーポレートカードのプロバイダーも新たに資金を獲得した。

そして今度は、企業のキャップテーブル(cap table, 資本構成表)や評価額、ポートフォリオ投資、エクィティプランなどの管理を助けるCartaだ。同社はこのほど、評価額8億ドルで8000万ドルのシリーズDを発表した。前はeSharesという名前だった同社は、リード投資家のMeritechとTribe Capital, さらに既存の投資家たちから、この資金を調達した。

このラウンドでCartaの総調達額は1億4780万ドルになる。同社の既存の投資家には、Spark Capital, Menlo Ventures, Union Square Ventures, そしてSocial Capitalなどがいるが、Social Capitalは今回のシリーズDに参加しなかった。ただし新しいVC企業Tribe Capital(前掲)を立ち上げたArjun Sethiは、以前Social CapitalのCartaへの投資をリードし、また彼と共にSocial Capitalのパートナー三人組と呼ばれたJonathan HsuとTed Maidenbergは、VCを‘卒業’してテクノロジー企業専門のホールディングカンパニー(持株会社)を立ち上げた。一方Tribeは、自らの立ち上げファンド2億ドルを目下調達中と言われる。

2012年にHenry Ward(上図)がパロアルトで創業したCartaは、今回の資金を、同社のトランスファーエージェント(transfer agent, 名義書換代行業務)とエクィティアドミニストレーション方面のプロダクトとサービスの開発に充てて、スタートアップの公開企業への遷移をより良くサポートしていきたい、としている。また、投資家たちが自分のポートフォリオ企業からデータを集め、彼らのバックオフィス(事務管理部門)を管理していくためのプロダクトも、計画している。

Wardはラウンドの発表声明でこう述べている: “弊社は、プライベート企業のオーナーシップ管理を変えていく道のりをここまで歩んできた。その間、証券の電子化とキャップテーブル普及させ、監査対象となる409A*と組み合わせてきた。しかし弊社の意欲は、プライベートに保有されベンチャーが支援する企業のサポートにとどまるものではない”。〔*: 409A, 参考記事

Cartaの顧客にはRobinhood, Slack, Wealthfront, Squarespace, Coinbaseなどがいて、現在およそ5000億ドルのエクィティを管理している。今年Cartaは社員数を310名から450名に増やし、また取締役会管理やポートフォリオ分析などのプロダクトを立ち上げ、さらに#Angelsとの共同調査により、女性スタートアップの社員たちにおける大きなエクィティギャップという差別実態を明らかにした。

9月に発表されたその調査は、女性はスタートアップのエクィティ保有社員の35%を占めるにもかかわらず、女性のファウンダーと社員の保有額は9%にすぎないことを明らかにした。しかも、スタートアップのファウンダーの13%が女性なのに、彼女らはファウンダーエクィティのわずか6%、男性1に対し0.39ドルしか保有していない。

関連記事: The Gap Table: Women own just 9% of startup equity(未訳)

画像クレジット: Carta

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2018年に市場を去ったスタートアップたち

スタートアップを起業して成功させるより難しいことなど、この世にそう多くはない。それには、才能、ノウハウ、資金、そして、山ほどの幸運と奇跡的なタイミングに恵まれる必要がある。そうした魔法の材料がすべて揃ったとしても、勝算はまだまだ遠い。

TechCrunchでは、そんなスタートアップの世界で、最高にしてもっとも輝いている企業を、誇りを持って紹介してきた。スタートアップ企業を取材してまわることは、我々の仕事のなかでも、本当にエキサイティングで充実感のあるものなのだが、物事にはかならず終わりがある。悲しいかな、すべてのスタートアップが明るく輝いて成功するとは限らない。いや、成功できない企業のほうが多いのが事実だ。

そこで、今年の締めくくりと、来年の期待を込めて、2018年に消えていったスタートアップを振り返ろう。

Airware(2011〜2018)

調達総額:1億1800万ドル(約130億円)

Airwareは、建築業、採掘作業、その他の設備の損傷の検査にドローンを使用している企業向けに、クラウド・ソフトウエアシステムを開発した。独自のドローンも開発したが、中国のDJIなどの大手メーカーには太刀打ちできなかった。

廃業は突然だった。三菱から投資を受けて提携し、東京にオフィスを開いてわずか4日後のことだ。同社の発表によれば、「残念ながら、我々が予想していたよりも市場の成長には時間がかかってしまいました。長期的な成功を睨み、要請に応じて方向性をさまざまに切り替えてきましたが、資金が底をついてしまいました」とのことだ。

Blippar(2011〜2018)

調達総額:1億3170万ドル(約145億1500万円)
Blipparは拡張現実(AR)市場の初期のパイオニアだったが、残念なことに、AR市場はまだ、主流産業に採用されるという望みを叶えるだけの力を備えていない。今年の初めに投資ラウンドを獲得しながら、新規顧客を探している間に資金がみるみる減ってしまった。

それに拍車をかけたのが、マレーシアの政府系ファンドKhazanahが500万ドル(約5億5000万円)の緊急投資に反対するという、株主による突然の事件だ。同社はブログにこう書いていた。「信じられないほど悲しく、残念で、不幸な結果となりました」

Bluesmart(2013〜2018)

調達総額:2560万ドル(約28億2000万円)

米連邦航空局がスマートスーツケースを禁止したことで、もっとも大きな被害を受けたのが、ニューヨークを拠点とし、5月に廃業を余儀なくされたこのスタートアップだろう。CEOのTomi Pierucciは、今年の初めに航空各社が新しい規則を適用し始めたことに対して、「完全なる茶番だ」と遠慮のない批判を行っていた。

Bluesmartの立場からすれば、彼は正しい。このスタートアップはデジタル機器が接続できるスーツケースにすべてを賭けていたが、飛行機にバッテリーパックを持ち込めない規則になってから、そのスーツケースは使えなくなった。同社はすべての販売と生産を停止し、残された技術とデザインと知的財産を、スーツケースの大手メーカーTravelProに売却した。

Doughbies(2014〜2018)

調達総額:76万ドル(約8400万円)

500 Starupsの支援を受けた、サンフランシスコを拠点とするクッキーの即日配達サービスDoughbiesは、7月、すぐに営業を中止すると発表し、すべてが砕け散った。理由は資金不足ではない。Coughbiesは儲かっていた。ただ、創設者のDaniel ConwayとMariam Khanが、別のことをしたくなったためだ。

TechCrunchのJosh Constineは、当時、Doughbiesは実際にはベンチャー投資を必要としておらず、適切な利益を生むためのプレッシャーが、Doughbiesにとって予想以上に重かったのではないかと話していた。さらば、Doughbies。

Lantern(2012〜2018)

調達総額:2150万ドル(約23億7000万円)

それ以前に失敗した数多くのスタートアップと同様、サンフランシスコを拠点とするLanternも、買収契約が成立しなかったことで廃業となった。心の健康を提供するこのスタートアップは、Nicholas Bui LeTourneauとAlejandro Foungによって設立され、ピッツバーグ大学医療センターのベンチャー部門、Mayfield、SoftTechVCといったベンチャー投資家から何百万ドルもの投資を受けていたが、企業としての目的を果たすことができなかった。

その目的とは、ストレスや不安や身体イメージに対処するための、認知行動療法の技術を利用した個人向けツールとして、モバイルアプリを提供することだった。今や多くのメンタルウェルネス系アプリがひしめくこの市場の先駆者だったLanternは、サービスを展開するのに十分な顧客を獲得できなかった。

Lighthouse AI(2014〜2018)

調達総額:1700万ドル(約18億7500万円)

スマート防犯カメラのメーカーLighthouse AIは、録画映像を自然言語処理システムで再生できる製品を提供するはずだった。しかし、その分野には数多くの製品が登場したおかげで、同社の製品は消費者の心を掴むことができなかったようだ。Lighthouse AIは今月、事業を停止すると発表した。

「高度なAIと3Dセンシングを使って、便利で簡単なインテリジェンスを家庭に届けるという、Lighthouseチームが成し遂げた画期的な仕事を、私は心から誇りに思っています」とCEOのAlex Teichmanは書いている。「残念ながら、私たちは期待していたとおりの商業的な成功を収めることができず、近い将来、事業をたたむことになりました」

Mayfield Robotics(2015〜2018)

調達総額:不明

もともとBoschの一部だったMayfieldは、かわいいホームロボットKuriを開発した。しかし、7月、同社はKuriの生産を中止すると発表し、続けて、事業を完全に停止すると発表した。

「私たちは残念でなりません」と同社はブログに書いている。「私たちは、この4年間、ともにKuriをデザインし作ってきたきただけではありません。それと同じぐらい素晴らしい企業文化と精神を育ててきました」

Rethink Robotics(2008〜2018)

調達総額:1億4950万ドル(約164億9000万円)

産業用ロボット業界の立役者であったRethinkは、iRobotの共同創設者Rod BrooksとMITコンピューター科学人工知能研究所の元主任研究員Ann Whittakerによって設立された。ボストンに拠点を起くこのスタートアップは、BaxterやSawyerといったロボットを生み出したことで、協働と教育の両方のロボティクス分野でもっとも重要な企業に成長した。

しかし残念なことに、この企業も、ロボティクス系スタートアップの起業は難しいことを示す証拠のひとつになってしまった。卓越した頭脳と1億5000万ドル近い資金を得ながらも、事業を順調に進めるだけの十分な利益を生み出すことはできなかった。最後の頼みの綱だった売却契約も成立せず、Rethinkは、10月、廃業に追い込まれた

Theranos(2003〜2018)

調達総額:14億ドル(約1544億円)

これほどドラマチックなスタートアップ物語はないだろう。正式に廃業するまでの間に、Theranosは本になり、ドキュメンタリーになり、Adam McKay監督による長編映画にもなった。創設者のElizabeth Holmes役は、ジェニファー・ローレンスが演じた。Holmesは、2003年、血液検査に革新を起こそうとこの会社を立ち上げた。そして31歳で、彼女は世界一若い叩き上げの億万長者になった。

Theranosは14億ドル(約1544億円)を調達し、ピーク時の評価額は100億ドルにのぼった。2015年、医療専門家から同社の方式に批判が集まり、翌年、米証券取引委員会が調査を開始。最終的に「大規模な詐欺」として起訴された。9月、ついに同社は解散を発表し、Holmesは50万ドル(約5500万円)の罰金を支払うことに合意した。さらに彼女は、今後10年間、公開企業での役員または取締役になることが禁止された。

Shyp(2013〜2018)

調達総額:6200万ドル(約68億4000万円)

評価額2億5000万ドル(約275億7000万円)、一流の投資家(Kleiner Perkins、Slow Ventures)から資本を与えられたShypだが、オンデマンド運送業の解散は止められなかった。サンフランシスコを拠点とし、オンデマンドの運送会社として大きなハイプサイクルを起こそうと、ベンチャー投資家からいくつものラウンド投資を受けたスタートアップだったが、サンフランシスコ湾岸地域から外へ事業を拡大することができなかった

「今日まで、200年続いたこの業界に戦いを挑んだ気力あふれる社員たちを、大いに尊敬しています」とCEOのKevin Gibbonは、その時点で書いている。「しかし、何がなんでも成長しようとすれば、罠にはまります。たくさんのスタートアップが落ちていきました。私の会社もです」

Telltale Games(2005〜2018)

調達総額:5440万ドル(約60億円)

何年間にもわたり、Telltale Gamesはアドベンチャーゲームの再開発に成功したように見えた。『ウォーキングデッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』や『バットマン』といったビッグタイトルで、物語の展開にプレイヤーの選択が大きく関与するゲームを作ってきた。Netflixと提携して、『マイクラフト:ストーリーモード』もストリーム配信していた。

しかしこの会社には、長年にわたり業務上の問題があったようだ。2017年11月には90名の社員が解雇され、今年の9月にはさらに250名が解雇された。最小限の社員でNetflix向けの仕事は仕上げたが、Telltaleは死んでいるように見える。その社員も退職金なしで解雇され、これまでに伝えられていたブラックぶりに毒が上塗りされた。

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(翻訳:金井哲夫)

テクノロジー・スタートアップは景気後退に備えよ――今やるべきことはこれだ

流れが変わる速さには驚かされる。数ヶ月前にわれわれはテクノロジー・ブームの真っ只中にいて、この好景気は永遠に続くようにみえた。 いまやリセッションを予告すると考えられる逆イールドカーブが現れ、市場は全面的に弱気だ。Google Trendsを開けばまさにこの“recession”という単語の検索回数が2008年から9年にかけての金融危機年以来最大となっている。世界の専門家がほぼ全員一致で近く景気後退があると予測している。

(Bloomberg記事) Lux Parnersのパートナー、Bilal Zuberiは「ある程度の景気後退が起きるのは100%確実だと考えている。大きな調整局面となるだろう」と述べ、スタートアップに対してコストカット、財務報告の厳密化の徹底(もしまだやっていないなら)を勧め、さらに今のうちに資金調達を行うべきだとしている。Zuberiはまた「キャッシュを十分に確保しておかねばならない。これは準備不足のライバルが会社や資産を売りに出す場合があり得るからだ」と述べている。

ではその景気後退はいつ起きるのだろうか? もちろん正確なことを予測するすべはないが、専門家は2019年下期から2020年上期あたりだろうと言っている。悲観的な筋(大勢のCEOを含む)はもっと早いと考えている。ではこの景気後退がテクノロジー分野に与える影響は? いい質問だ。

実はテクノロジー分野はバブル破裂に強い。景気のダウンから利益を得ることさえある。2008年の経済危機でも悲観的専門家は「テクノロジー産業の反映は終焉迎える」と警告した。スマートマネーの代表、Sequoia CapitalでさえR.I.P. Good Times(良き時代よ、安らかに眠れ)という長いスライドを作って運命の暗転を警告した。しかしこの予言が失敗に終わったことは誰もが覚えている。

一方、「ソフトウェアが世界を食い尽くす」現在、すべての産業はソフトウェア産業になりつつあるので景気後退はこのシフトを加速する」という理論がある。こうした過激なディスラプトによって苦しめられる個人の数を考えると無条件に喜ぶことはためらわれる。しかし一部の起業家はこのプロセスから利益を得るし、長期的かつマクロの観点からはこうした展開はあり得る。景気後退は隕石の衝突のようなもので、それが恐竜を滅ぼし、身軽な哺乳類―ソフトウェア企業―の繁栄をもたらすかもしれない。

仮にこうした理論が事実であっても、多数の個別企業が激しく揺さぶられることは間違いない。起業家は支出を抑えることが至上命題となる。長期的には大きな価値を生む可能性があるが、短期的には利益を生まないプロジェクトはまっさきにコストカットの対象になるだろう。消費者は財布の紐を固く締めるようになるだろうし、アプリを購入したり広告をクリックしたりする回数は現象するだろう。誰もが万一に備えてキャッシュを後生大事と抱え込み、リスクの大きい投資をしなくなるだろう。

大きな打撃となるのは、資金の流れが細るということより、マインドセットが後ろ向きになることだ。SF作家のブルース・スターリングは住宅抵当証券の破綻に始まった2008年の金融危機について、「興味ある点は、物理的存在にはまったく何の変化もなかったのに、われわれは突然希望の世界から絶望の世界に投げ込まれたことだ」と観察している。予想される景気後退も、理論的にはハイテク産業には大きな悪影響を与えないかもしれない。考えられないことだが、仮にGDPが10%減少するといった事態になっても、軍閥とミュータントが跳梁するマッドマックスの荒野が出現するわけではない。しかしわれわれは成長する世界にあまりに深く慣らされているため、単なるスタグネーションでも大災害のように感じられるかもしれない。

なすべきことは明らかだ。景気後退は間違いなく起きる。これには災害とチャンスの両面がある。その割合は個人や企業の置かれた状況によっても、またその備えによっても異なる。背伸びをしてはならない。(必要以上の)借金をしてはならない。パニックに陥ってはならない。なるほど新しいプロジェクトをスタートさせたり会社をピボットしたりするには適さない時期を迎えるかもしれない。しかし、好むと好まざるとによらず、「世界を食い尽くす」ソフトウェア産業は産業構造の食物連鎖の最上位にいる。隕石の衝突は避けられないだろうが、明るい側面も存在する。われわれは自他の利益のためにできるだけの努力をすべきだろう。

画像:Pixabay (opens in a new window) under a CC0 (opens in a new window) license.

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滑川海彦@Facebook Google+

1月のCESに行くならTCミートアップを予約しよう――暗号化テクノロジーのハードがテーマ

新年早々、ラスベガスで開催されるCES 2019に参加予定の読者も多いだろう。TechCrunchはこの機会にスタートアップがプレゼンをするミニイベントを計画している。テーマは暗号テクノロジーを中心にしたハードウェアだ。コ・ワーキングサービス、Work In Progressの好意で200人のオーディエンスを収容できるスペースを確保した。

会場はWork In Progress, 317 South 6th Street Las Vegas、 日時は2019年1月9日(水)6:00 PM – 9:00PM(太平洋時間)。

ラスベガスのダウンタウン、フリーモントストリートエクスペリエンスの近くで、チケットは無料だが200枚しか用意できない。 先着順なので興味があるなら早めにチェックすることをお勧めする。予約はこちらから

このイベントでは各チーム3分、10チーム分の枠が用意されているので、応募多数の場合はわれわれの方でチームを選ぶことになる。ハードウェア・イベントなので実物を持参できることが望ましい。スライドの利用は禁止。ピッチ希望者はこちらの書式に記入して申し込む。選ばれたチームにはこちらから連絡する。

ではラスベガスでお会いしましょう。

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滑川海彦@Facebook Google+

フェイクフォロワーを見つけるためのデータをCaptiv8が年末レポートで教えてくれる

インフルエンサーマーケティングのためのツールを提供するCaptiv8が、今年度の総括レポート2018 Fraud Influencer Marketing Benchmark Reportをリリースした。その目標は、マーケターたちにフェイクフォロワーを見つけるためのデータを提供することだ。それにより、本物のフォロワーのいるインフルエンサーと、作り物の‘らしさ’だけを見せつける連中を区別できる。

レポートは、この問題が企業に実損をもたらし、2017年にインフルエンサーマーケティングにさまざまな企業から21億ドルが投じられたInstagramは対策に乗り出している、と言っている。2017年には、Instagram上のエンゲージメントの11%が偽のアカウントからだった。

Captiv8はこう言っている: “インフルエンサーマーケティングが本当に効果を上げるためには、フェイクフォロワーや偽のエンゲージメントを正しく見つける方法を持ち、彼らのパフォーマンスをベンチマークし、ソーシャルネットワークに投じたマーケティング費用の真の効果を測定すべきだ”。

そこで同社は、さまざまなカテゴリー(ペット、子育て、美容、ファッション、エンターテインメント、旅行、ゲーム、フィットネス、食べ物、人気者セレブ、など)にまたがる、5000名のインフルエンサーのエンゲージメント引き込み能力を、今年の8月から11月にかけて調べた。

そして、評価の基準となる標準的な活動を定義し、それを外れていたらマーケターが危険を察知できるようにした。ソーシャルメディアのオーディエンスには誰でもフェイクフォロワーが多少いるが、カテゴリーによって偽物率が違う。Captiv8によると、もっとも多いファッションでは、アクティビティの14%が偽だった。セレブは低率で、偽物率は4%だった。

Captiv8 report

レポートによると、インフルエンサーのフォロワーの数の一日の変化率は、平均で1.2%である。変化率がこれより相当大きいのは、怪しい。

オーガニックでスポンサーのあるコンテンツの平均エンゲージメント率は、食品の1.19%からエンターテインメントの3.51%までのばらつきがある(上図)。そして低いエンゲージメント率は、フォロワー数がボットやフェイクフォロワーによって膨らまされている確率が高い。

逆に、クリエイターのオーディエンスへのリーチやユーザー一人あたりのインプレッションが業界標準より高いのも、警戒のサインだ。たとえばファッションの画像はオーディエンスの平均リーチが22.69%、ユーザー一人あたりのインプレッションが1.32だ。

レポート全文はCaptiv8のWebサイトでダウンロードできる。

関連記事: Captiv8が、インフルエンサーデータベースを無料で公開

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AlphabetのムーンショットプロジェクトMaltaが企業として独立、Bill GatesらのBEVから$26Mを調達

AlphabetのムーンショットファクトリーXで生まれた再生可能エネルギー保存プロジェクトMaltaが企業として自立し、Breakthrough Energy Venturesが率いるシリーズAのラウンドで2600万ドルを調達した。〔moonshot, 仮訳: “未来学的な”〕

Concord New Energy GroupとAlfa Lavalが、この投資に参加した。

Project Maltaは昨年、AlphabetのX(旧Google X)でローンチし、ひとつまたは複数の送電網全体を完全にサポートするような、大規模なエネルギー保存施設の構築を目指した。Alphabetから独立した今、同社はMalta Inc.と呼ばれる。

Malta Inc.は、再生可能エネルギーや化石燃料から得られた電力を、リチウムイオン電池よりも長期間保存できるシステムを開発した。その電熱保存システムは最初に、風力や太陽熱、化石燃料などから得られた送電網上のエネルギーを捕捉する。集められた電気がヒートポンプを駆動し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。その熱は溶融塩に保存され、一方冷気は冷却された不凍液に保存される。送電網が電気を必要とするときは、そのエネルギーを電気に変換する。

Maltaによると、そのシステムは電気を数日から数週間保存できる。

Maltaは今回得られた資金で既存企業とのパートナー事業を興し、同社がXで開発し完成させた詳細設計を、初めてのパイロットシステムとして、本格的な産業用施設へ実現させたい、としている。

MaltaのシリーズAをリードしたBEVは、2016年に、Breakthrough Energy Coalitionによって創業された。それは、Microsoftの協同ファウンダーBill GatesやVCのKleiner Perkins Caufield & Byersの会長John Doerr、 AlibabaのファウンダーJack Ma、Amazonの協同ファウンダーでCEOのJeff Bezos, そしてSAPの協同ファウンダーHasso Plattnerらによる投資家グループだ。

画像クレジット: hugociss/Moment

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

高齢者のほとんどが施設よりも在宅を望む、CherryHomeが$5.2Mを調達してAIによる在宅ケアに挑戦

高齢者ケアにAIを利用するスタートアップが新たな資金を獲得して、歩き方や行動の変化、そして転倒やぶつかりを検出できるようにしたい、と考えている。言い換えると彼らは、長期的に高齢者の健康をモニタして、変化を予測できるようになりたいのだ。

そのスタートアップ、Cherry Labsが作ったAIによる家庭用安全システムCherryHomeが、GSR Venturesから520万ドルを調達して、在宅高齢者ケアにテクノロジーを活用しようとしている。CherryHomeはコンピュータービジョンの独自のアルゴリズムを使ってカメラのデータを解釈し、仮想の“スケルトン”(人体骨格)を作る(上図)。それをAIが見て、家の中での出来事や人間の行動を分析する。たとえば、この状態を放置したら足を引きずって歩くようになりそうだ、とか。

競合するサービスSafely Youは、転倒に反応してアラートを送る。NestとLighthouseは、画像処理に初歩的なAIを利用している。そしてAmazonのRingは、屋外での安全をサポートする。

CherryHomeでは、すべての情報がローカルに処理されるので、ビデオが家の外に出ることがない(サーバーに送られたりしない)。ビデオの中では高齢者が上図のようにマッチ棒で描いたような線画で表現されるから、プライバシーが保たれる。この最後の部分が、とても重要だろう。

今度得た資金でCherryHomeは、在宅ケアサービスTheraCareと、介護施設のためのテクノロジーシステムTriCuraと共に、パイロット事業を興すことになった。どちらも、ベイエリアの企業だ。

CherryHomeのCEOで協同ファウンダーのMax Goncharovは次のように語る: “人間の生き方の中に、多くのアプリケーションの芽がある。家の中や外の安全、在宅高齢者ケア、スマートホームの完全な自律化、などなど、ニーズはさまざまだ。しかしテクノロジーによる改良がいちばん必要なのが、高齢者のケアだと私は思う”。彼によると、高齢者は現在、アメリカの人口の15%を占め、2030年にはアメリカ人の5人に一人は、退職後の年齢になる。いくつかの調査によれば、これらの人びとの多くが家にとどまることを願ってる。アシストの完備した施設へ移るのではなくて。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

初期段階の研究をネットメディア上で一般公開しシェアするMorressierは研究の安定成長を支援

ネットやニュースで研究プロジェクトを知ったときは、それが数えきれないほどの試行や変更を行ったあとであることが多い。しかしMorressierは、お互い会ったこともないさまざまな研究者たちが、初期段階の研究に取り組んでいる様子を、ネット上のコンテンツとして紹介したいと考えている。成熟段階の研究だけでなく、初期段階の研究も周知し、研究をより活性化したいのだ。

Morressierは、初期段階の研究のためのそのようなサービスだ。つまり同社は、研究者たちが、“自分たちのカンファレンスのポスターやプレゼンテーションや概要書などによる研究プロフィールを起こせるようにして、それらにより、彼らの仕事をきわめて初期からカンファレンス会場やネット上で提示できるようにする”。初期段階の研究のほとんどが、参加者のあまり多くないカンファレンスに登場するから、そういうカンファレンスにおいてプロジェクトをより目立つようにして、研究をより良い方向に向けていく。

Morressierの協同ファウンダーSami Benchekrounはこう語る: “われわれはもっぱら、研究過程のもっとも初期の段階からの成果や所見にフォーカスする。そのコンテンツは従来、大学のホールやカンファレンスに限定されていたものだ。コンテンツをネットに載せてアクセスできるようにすると、科学者たちは同業者が同じ間違いを何度も犯すことを防ぎ、お互いの所見を活かして効率的に前進できる。

“われわれは科学者たちが、それまでは隠れていた初期段階の研究を個々のパーマリンク等から披露し、自分たちへの明白な所属性(クレジット)を得られるようにする。われわれが作って提供するコンテンツにより、科学におけるシグナルとトレンドを、競合者たちよりもずっと早い段階で開陳できる”、と彼は語る。

このサービスはすでに実動しており、RedalpineとCherry Venturesから600万ドルあまりを調達している。

“学術的なカンファレンスでは世界中で活発な意見交換が行われていて、それを直接体験できるから、それらのイベントの、従来オフラインだった研究をデジタル化するために、Morressierを着想した。ネット上なら、会話が年中継続するだろう。それまでは隠されていた初期段階の研究を、発見可能アクセス可能にすることによって、科学者たちの進捗を早めたい”、とBenchekrounは述べている。

ファウンダーとは、今年のDisrupt Berlinで話をした。下のビデオを、ご覧いただきたい。

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コラボレーションできるデータサイエンス視覚化ツールDataikuが$101Mを調達

Dataikuは、うわついた流行(はや)り言葉を実際のサービスに変えたい。同社は、世間がビッグデータやデータサイエンスや機械学習で騒ぎ始める前から長年、データツールを作っている。

その同社がこのほど、Iconiq Capitalがリードするラウンドで1億100万ドルを調達した。Alven Capital, Battery Ventures, Dawn Capital, そしてFirstMark Capitalがこれに参加した。

Dataikuは、常時大量のデータを生成している企業や団体を顧客にして、それらのデータ集合に隠されている意味を見つける。まず顧客は、Dataikuに接続して自分のストレージにデータをインポートする。Dataikuのプラットホームは非常に多種類のデータベースのフォーマットとデータソースをサポートしている。Hadoopでも、NoSQLでも、画像でも、なんでもよい。

Dataikuは、それらのデータを視覚化したり、データ集合を掃除したり、それらのデータから機械学習のモデルを作ったりする。機械学習システムのデプロイも行なう。また、ビジュアルなコーディングツールも提供しているが、モデル作りにはユーザーが自作のコードを使ってもよい。

しかしDataikuは、単なるデータサイエンティストのためのツールではない。ビジネスアナリストのような人でも、Dataikuから直接、データを取り出して視覚化できる。しかもそれはSaaSだから、複数のデータサイエンティストやデータアナリストから成るチームがDataikuの上でコラボレーションできる。

またユーザー企業は、Dataikuを使って変動を追ったり、詐欺を検出したり、需要予測をしたり、製品〜商品のライフタイムを最適化したりできる。現在の同社の顧客には、General Electric, Sephora, Unilever, KUKA, FOX, BNP Paribasなどがいる。

同社が今回の資金でやりたいことは、スタッフの倍増だ。現在200名の社員がニューヨークとパリとロンドンにいる。シンガポールとシドニーにもオフィスを開く予定だ。

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リターゲティングするURL短縮サービスでPixelMeが$1.3Mを調達

SaaSのPixelMeは、URL短縮技術を使って、マーケターが顧客をリターゲティングできるようにする。同社はこのほど、調達前評価額400万ドルで130万ドルの資金を調達した。これで投資家たちは同社の22%を保有することになる。

PixelMeはBufferのようなやり方で、同社の道のりの楽屋裏的な多くの詳細を共有している。ピッチデッキ(プレゼン用スライド)やタームシート、資本構成表などをダウンロードすることもできる。PixelMeについて詳しく知りたい人は、どうぞ。

同社は、多くの人たちがURL短縮を使ってトラッキングパラメータ(UTMs)を含め、キャンペーンの効果を測定していることを知っていた。PixelMeはそのやり方を一歩進めて、 PixelMeのリンクをたどるとき、ユーザーが一つまたは複数のリターゲティングピクセルを埋め込めるようにする。

つまりAdwordsやFacebook、Twitterなどからのトラッキングピクセルを加えて、それを利用して適切な広告を後でFacebookやTwitter、Googleなどに表示する。

自分のストアやWebサイトを持ってる人は、トラッキングピクセルを自分で入れられるが、PixelMeではAmazonのページをプロモートしてもユーザーをリターゲティングできる。

しかもそれはGDPRのチェックにひっかかることなく、SafariのIntelligent Tracking Prevention機能に対しても無事だ。

現在、PixelMeはユーザー数が1万、彼らは13万ドルの売上を得ている。同社は起業12か月で月商1万ドル、これまで一度も資金調達はしていなかった。

今回の資金調達は、Serena Capitalが88万ユーロでラウンドをリードした。Kima Venturesがさらに5万ユーロを投資、またThomas Rebaud, Christophe Chausson, Stan Massueras, Manuel Jaffrin, Edouard Dessain-Gelinet, Gregory Gazagneらの連中が一人あたり10000〜15000ユーロを投資した。

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死亡事故から数か月経ったUberが自動運転車のテストを再開

ロイターの報道によれば、Uberは同社の自動運転車のテストの再開をペンシルベニア州から認められた。

Uberはペンシルベニア州交通局から認可証をもらったが、まだ自動運転の運用を再開していない、と同社のスポークスパーソンが確認した。

Uberは今年の3月にアリゾナ州テンピーで歩行者の死亡事故を起こして以来、自動運転車の試験走行をやめていた。セーフティドライバーを乗せたUberのSUVが北へ向かって走行中に女性にぶつかり、その女性は病院に運ばれたが重傷で死亡した。

警察の取り調べによると、ドライバーのRafaela Vasquezは、43分間のテストドライブの間204回、下を向いてスマートフォンを見ていた。テンピー警察署の計318ページの報告書には、そう書かれている。

事故後Uberは、ピッツバーグ、トロント、サンフランシスコ、およびフェニックスにおける自動運転車のテストをすべて休止した。

最近発表されたUberの安全性報告書によると、今後同社は自動運転車の試験をより慎重に行なうことになる。まず、すべてのテスト走行において、2名の社員をフロントシートに乗せる。自動ブレーキシステムは常時有効とする。同社のセーフティドライバー等に対する監視をより厳しくする。

Uberは自動運転車の開発を2015年に開始し、その翌年にはテストを開始した。その同社は二週間前に、秘かにIPOを申請した。同社の現在の評価額は720億ドルで、来年おそらく1200億ドルという大きな時価総額で上場すると予想されている。

関連記事: Uber、密かにIPO申請

画像クレジット: Uber

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サーバーレスコンピューティングの使いどころ

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サーバーレスが支持される理由は、一般的にはコストを削減し、必要に応じて大規模なスケールアップを行える手段だからである。しかしサーバーレス優先アプローチの採用には、そうした様々な理由よりもはるかに説得力の高い理由が伴っている:それは最終的に開発スピードの最大化を行うための最善の方法だということだ。それを正しく実装するのは容易ではなく、確かに万能薬でもないが、しかし正しく行われれば、開発スピードを最大化する道を切り開くことができる。そしてそれこそが、創業者や投資家たちの間で、サーバーレスが最もやかましく宣伝され、技術的な議論の的になっている理由なのだ。

サーバーレスの採用は単純な前提で始まる:もし特定のマーケットで最速のスタートアップが勝利を収めるのなら、最も重要なことは、開発スピードを維持したり向上させていく事だ。 そんなことは当たり前ではと思うかもしれない、だが開発スピードを維持したり向上させていくことを明確なゴールとして掲げるスタートアップはとてもとても少ないのだ。

「開発スピード」とはより具体的に言えば、顧客により多くの価値を届けることができるスピードを意味する。 もちろん、顧客にとってのより多くの価値は、既存の顧客により多くの価値を提供することでも、あるいは既存の価値を(つまり既存の機能を)新しい顧客に提供することでも、届けることができる。

多くの技術スタートアップにとって、特にB2Bの世界では、このどちらもが開発のスループットによって左右される(前者は明らかだし、後者に関しては新しい顧客の受け入れ速度は、しばしばエンジニアによって開発されなくてはならない受け入れの自動化の速度によって制限されるからだ)。サーバーレスとは一体何だろう?その名称は少々誤解を招きやすい。それは丁度、クラウドコンピューティングという言葉が、データセンターが空中に消えていってしまうという意味ではないということと同じことだ。クラウドコンピューティングという言葉が意味するのは、データセンターは誰か他者によって運営され、必要に応じて提供されることが可能で、時間単位で課金されるということである。サーバーレスという言葉が意味することは「サーバーがない」ということではない。

どこかに必ずサーバーは存在していなければならない。広い意味で言えば、サーバーレスとはユーザーがそうしたサーバーの設定や管理を自ら行う必要はないということだ。サーバレスの良い定義は、稼働時間を開発者が気にする必要がなくなる、利用回数課金型コンピューティングである。利用回数がゼロなら、コストもゼロになる。そしてサービスが停止した場合に、そのサービスを再び立ち上げる責任はユーザー側にはない。AWSは2014年に、AWS Lambdaと呼ばれる「サーバレスコンピューティング」プラットフォームと共に、サーバーレスへの取り組みを開始した。

AWSのEC2などの「通常の」クラウドサーバーは、事前に割り当てられなければならず、使用の有無にかかわらず時間単位で課金される。AWS Lambdaは要求に応じて簡単に割り当てることが可能で、呼び出された要求回数のみで課金される。Lambdaは驚異的に安価だ:1リクエスト毎に0.0000002ドルと、1Gのメモリを利用して1秒計算する毎に0.00001667ドルが課金される。またEC2の場合には、もし容量制限に達した場合には、ユーザー自身がサーバーのサイズを増やす必要があるが、Lambdaの場合には負荷に対応するために手作業を介することなく無制限に拡張される。また、EC2のインスタンスがダウンした場合、開発者は問題の解析と再起動に責任を負うが、あるLambda呼び出しが死んでも、別のLambdaが代わりに実行されるだけのことだ。

Lambdaや、それと同等の役割を果たすAzure FunctionsGoogle Cloud Functionsのようなサービスは、コストと能力の観点から見たときに、とてつもなく魅力的なものではあるが、お金の節約やスケールアップに対する準備という動機は、この技術を適用しようとするスタートアップにとっては、とても貧弱な理由である。サーバーに多くのお金を使い過ぎたとか、顧客の需要に応えるためにスケールすることができなかったという理由で失敗するスタートアップは少ない。実際には、そうしたことを最適化しようとする行為の方が時期尚早な取り組みの1形態となる、他にも(雇用、マーケティング、セールス、製品機能、そして組織や肩書といったものに対する)1つもしくは複数の次元の、時期尚早な取り組みが、大多数のスタートアップの死の主要因なのである。言い換えれば、コスト、規模、または稼働時間の最適化に、時期尚早に取り組む行為はアンチパターンなのだ。

人びとがサーバーレスアプローチについて語っているときには、単にサーバー上で現在実行されているコードを取り出してきて、それをLambda関数に分解し、より安いコストやスケールの容易さを実現しようとしているわけではない。適切なサーバーレスアーキテクチャは、モダンなソフトウェアアプリケーションを構築するための、根本的に異なるやり方だ。その手法は“serverless, service-full”アプローチと呼ばれている

それは、既成のプラットフォーム(すなわちマネージドサービス)であるAWS CognitoAuth0(サービスとしてのユーザー認証(サインアップやサインイン)サービス)、AWS Step Functions、あるいはAzure Logic Apps(サービスとしてのワークフローオーケストレーション)、AWS AppSync(サービスとしてのGraphQLバックエンド)、あるいはより馴染み深いStripeのようなサービスを積極的に採用するところから始まる。

Lambdaのようなサービスは、機能呼び出しをサービスとして提供するものだが、一方マネージドサービスたちは機能そのものをサービスとして提供する、この違いは、別の言葉で言えば、スタートアップ側のユーザーたちがサーバーレスコンピューティングのためのコード(例えばファンクション)を書いて保守する一方で、サービスプロバイダーたちが、マネージドサービスのコードを書いて保守するということだ。マネージドサービスを使えば、サービスプラットフォーム側が機能そのものと、その裏にある実行にまつわる複雑性を管理してくれる。

マネージドサービスを採用することで、アプリケーションの「コモディティ」機能の大部分(認証、ファイルストレージ、APIゲートウェイなど)は、クラウドプロバイダのさまざまな既成のプラットフォームによって処理される。そうしたプラットフォームたちの提供するサービスが、ユーザー自身の書く独自の薄いグルーコードレイヤーによって繋ぎ合わせられるのだ(グルーというのは「糊」という意味で、グルーコードというのは様々な機能同士を糊付けして連携させるコードということ)。ユーザアプリケーションの固有機能を実装するビジネスロジックと共に、このグルーコードは、非常に安価で無限にスケールアップ可能なLamda(もしくはその同等品の)インフラストラクチャ上で実行される。それによってサーバーの必要性も排除されるのだ。私たちのような小規模のエンジニアリングチームたちが、信じられないほどパワフルで簡単に保守できるアプリケーションを、アプリケーションがより複雑化して行く中でも、前例のないほど持続可能な開発スピードを保ち続けることができるアーキテクチャの下で開発している。

“serverless, service-full”哲学を採用する際にはトレードオフが存在する。徹底的にサーバーレスなアプリケーションを開発するためには、短期的には開発スピードに対する大きな影響を考慮する必要が出てくる。なぜならAWSの既成サービスの1つを使おうとすることよりも、自分で「サービス」を書いてしまった方がはるかに早いことも多いからだ。もちろん開発者がStripeのようなサービスを検討しているときには、「作るべきか、買うべきか」は問題にはならない。Stripeの支払いサービスを使うほうが、自分自身で支払いサービスを構築するよりもはるかに早いからだ。より正確に言えば、支払いのためのStripeのモデルを理解することの方が、支払いのための独自のモデルを理解して構築することよりも早いということだ。支払い業務の複雑さと、Stripeが開発した直感的なサービスの両方がそれを示している。

しかし、認証(CognitoやAuth0)や、ワークフローオーケストレーション(AWS Step FunctionsやAzure Logic Apps)のようなものを扱おうとする開発者たちにとっては、サービスプロバイダーの提供するサービスモデルを理解して実装することの方が、アプリケーション自身の中で(ゼロから書き上げるかオープンソースライブラリを使うかして)実装してしまうよりも一般的に時間がかかる。マネージドサービスの使用を選択することによって、開発者たちは短期的にみればわざわざ時間のかかる方法を選択することになる。これはスタートアップにとっては飲み込むのが辛い薬である。理解できることだが、多くは今この場を素早く進めて、自分たちで開発することを選ぶ。

だがこのアプローチの問題は、結局「コードは財産ではない。負債なのだ」というソフトウェア開発の古い公理に戻ってしまう点だ。コードは会計上2つの側面を見せる。それは企業が顧客に価値を提供することを可能にする財産だが、長期間にわたって面倒をみなければならない負債でもある。同じ機能が実現できるなら、スタートアップたちは可能な限り小さなコードベースにしたいと考えている(だがもちろん、開発者たちはこうしたことをあまり深刻にはとらえることなく、巧妙ではあるが読めないコードを書いている)。コードが少なければ、保守しなければならない部分はより少なくなり、新しいエンジニアたちにとっても把握しなければならない部分がより少なくなる。

こここそ、マネージドサービスを使用するという魔法が提供される場所だ。スタートアップたちはサービスプロバイダーのコードを、自分たちの「技術バランスシート」の負債に組み込むことなしに、財産として有益に活用する。その代わりに、そのコードはサービスプロバイダー側のバランスシートに置かれて、プロバイダーのエンジニアたちが、そのコードの保守、改善、文書化を担当する。言い換えれば、スタートアップたちは、自律的保守自律的改善、そして自律的文書化が行われるコードを手に入れることになる。これは、コードベースの非コア部分を担当する、専任の一流エンジニアリングチームを無料で雇用することに相当する。より正確には、1回あたり予測可能なコストで利用できるということだが。これをCognitoもしくはAuth0のようなマネージドサービスを利用する場合で考えてみよう。最初は、おそらくそれはスタートアップが望む全ての機能は持っていないだろう。違いは、プロバイダー側にはエンジニアとプロダクトマネージャーのチームがいて、彼らの唯一の仕事は、このサービスに対する改善を日々送り出すことだということだ。彼らのエキサイティングなコア製品は、別の会社で補助的な役割を果たす製品となる

もしスタートアップのエンジニアリングチーム向けに、ただ1つの統一原則があるとするならば、それは可能な限り少ないコードを書くべしということだ。そして非コアサービスに対しては、許される限り少ない負荷だけを負うようにする。この考え方を採用することで、スタートアップは、何十億ものトランザクションを高い精度で予測可能な変動コスト内で処理することが可能な、開発運用上の見落としのほぼないプラットフォームを構築することができる。

このように「怠惰」でいられるためには、大変な準備が必要とされる。サーバレスコードベースとサーバレスインフラストラクチャの管理に精通することは、簡単なことではない。これは、テストと自動化に関する広範なノウハウを構築することを意味していて、より大きな事前の時間がかかる投資を必要とする。マネージドサービスとの統合は信じられないほど苦痛を伴うことがある。全てのギャップ、内容、エッジケースを理解するために何日も費やすのだ。独自のソリューションを実装したくなる誘惑は、特に1つのストーリーを数日以上ではなく、数分または数時間で実装できそうに見えるときには、とても強いものとなる。

これは、あるサービスが開発者のニーズの80%にしか対応していないときに、一時しのぎの回避策を書くことを意味する。そして不足していた20%の機能が改めてリリースされた場合には、自分で書いた回避策を取り除くようにコードをリファクタリングすることになる(たとえその回避策が十分に動いていて、短期的にはリファクタリングするメリットがないとしても)。十分な早期投資が意味することは、サーバーレス/マネージドサービス優先アプローチは、必ずしも全てのスタートアップに向いているわけではないということだ。最も重要な問いは、どの位のスケールの時間の中で急がなければならないのか?というものだ。 多くの非常に初期段階のスタートアップたちにはよく見られることだが、その答が数日または数週間であるならな、おそらくサーバーレス/マネージド優先は正しいアプローチではない。

しかし、開発速度の最適化のタイムスケールが、日単位あるいは週単位から、月単位もしくは年単位に変化してきたならば、サーバーレスについて真剣に検討する価値がある。

素晴らしいエンジニアを募集することは非常に難しく、そして難しくなる一方だ。競合相手たちが、ありふれていて違いの際立たないサービスの構築を行い、そのサービスの保守に何年も手をとられている一方で、こちらが素晴らしいエンジニアたちを差別化のためのビジネス機能構築に割り当てることができれば、非常に競争力の高い利点となる。もちろん、サーバーレスが意味のない場合もあるが、そうしたものは急速に消え去りつつある(例えばLambdaの5分のタイムアウトは最近3倍の15分となった)。そして、ロックインだの遅延だのといった理由は、一般的に無意味であり過去のものとなっている

究極的には、ソフトウェアスタートアップの仕事、すなわち創業者の仕事は、競争相手の能力の、上を行き先を行く顧客価値を提供することだ。その仕事は開発スピードを最大限に引き出すことにつながり、その結果、可能な限り複雑さを減らすことにつながる。おそらく全てのコードベース、したがって全てのスタートアップが、「1つの大きな泥だんご」になることを運命付けられている。この用語はすべてのソフトウェアプロジェクトが最終的に向かう「無計画な構造をもち、不規則に拡大し、手抜きが多く、ガムテープと梱包紐で固定された、スパゲッティコードジャングル」を表現するために、1997年の論文で使われたものだ。

ある日、複雑さが限界を越えて、開発スピードが不可逆的に低下し始める。そのため創業者の究極の仕事は、その日の到来を、人間の力で可能な限り先延ばしにすることだ。これを行うための最良の方法は、泥だんごの大きさを必要最小限の大きさに保つことだ。サーバーレスはまさにその事を実現するために開発された、最もパワフルなツールなのだ。

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(翻訳:sako)

eブックの余白に注釈などを書いて友だちとソーシャルに共有できるGloseが$3.4Mを調達

フランスのGloseが、そのiPhone、iPad、Android用の読書アプリのために340万ドルの資金を調達した。同社の基本的な姿勢は、本を読むことをもっとソーシャルにしたい、ということにある。

熱心な読書家はたいてい、片手に鉛筆を持って本を読み、気がついたことを余白にメモする。あるいは、小さな手帳に気に入った文や発言を覚え書きするだろう。でも、eブックではそれができない。

たしかに、Kindleなどのeリーダーではテキストを高輝度表示にできる。でも紙の本と違って読みながら何かをすることができない。Gloseは、今読んでるeブックにスマホを使って何かができるようにする。

今回の投資に参加した投資家は、OneRagTime, Expon Capital, Kima Ventures, そしてBpifrance。さらにエンジェルのSébastien Breteau, Patrick Bertrand, Julien Codorniouらも参加した。

Gloseにはe書店があり、DRMと無縁なeブックを提供している。そのアプリは、速読競争などのゲーム的な要素でユーザーのモチベーションを維持しようとするが、ぼくが気に入ったのはテキストの高輝度表示と、注釈の記入、それらを友だちとシェアする機能などだ。

友だちが半年後に同じ本を読むと、余白にあなたが書いた注釈を見つけるだろう。あるいは、ブックリストをフォローしたり、非公開の読書グループを作ったり、友だちがどこまで読んだか知ったりできる。このアプリはすでに、60万人がダウンロードしている。

次の段階としてGloseは、Glose Educationという別のサービスをリリースする気だ。これは、大学や高校向けのGloseだ。教師が読書グループを作ったり、宿題を課したり、クラス全体のための注釈を書いたりできる。こうやって学校に絞るのも、ソーシャルな読書アプリの自然なユースケースだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Kubernetesのセキュリティとコンプライアンスに特化したサービスTigeraがシリーズBで$30Mを調達

Kubernetesによるコンテナのデプロイメントにセキュリティとコンプライアンスを提供するTigeraが今日(米国時間12/12)、Insight Venture PartnersがリードするシリーズBのラウンドで3000万ドルを調達した。これまでの投資家Madrona, NEA, そしてWingも、このラウンドに参加した。

Kubernetesのエコシステムのみんなと歩を揃えて、Tigeraも今週のKubeConで展示をしていた。彼らとの立ち話で、会社の状況や新しい資金の用途などを聞いた。

CEOのRatan Tipirneniはこう言う: “四大パブリッククラウド(AWS, Microsoft Azure, Google Cloud, IBM Cloud)の全員が、彼らのパブリックなKubernetesサービスにうちを使っている。またRed HatやDockerなどの大手Kubernetesディストリビューションも、われわれを使っている”。そのほか、ヘルスケアや金融などのエンタープライズも同社のユーザーであり、一部のSaaS提供企業も同社のサービスを直接使っている…その名前は明かせない。

同社によると、資金調達は本当は必要なかった。“今はお金は要らない。金よりもむしろ、大量の関心が集まってくるね”、とTipirneniは語る。同社は今回の資金を、エンジニアリングとマーケティング、およびカスタマーサクセスチームの拡大に充てるつもりだ。具体的には、営業は4倍に増やしたい。また人材の得やすいバンクーバーに、大きなオフィスを構えたい、という。

レガシーのITの世界では、セキュリティとコンプライアンスのソリューションはインフラの安定が暗黙の前提だった。しかしコンテナとDevOpsの登場と共に、ワークロードはきわめて動的になり、セキュリティの確保が難題になってきた。またコンプライアンスも、HIPPAやPCIなどの規制や規格が絡んでより複雑になった。Tigeraが約束するソリューションでは、エンタープライズがゼロトラストモデルによってコンプライアンスを確保し、ネットワーク上の各サービスに権限を与えて、すべてのトラフィックを暗号化、そして会社とニーズのためにアドミンが設定したポリシーを強制する。このデータのすべてが詳細にログされ、必要に応じてインシデント管理や犯罪捜査等のために取り出すことができる。

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嫌われ者のスポンサー付きビデオを一挙に面白くするHypeHopシステムとは

スポンサー付きコンテンツというものが、ずっと気になっていた。それは、よく見れば本誌TechCrunchにもあるし、今やほとんど、どこにでもある。オンライン・ジャーナリストであるぼくの耳には、いろんな言葉が飛び込んでくる。“Appleはこれを載せるためにきみにいくら払ったのか?”とか。“きみにいくら払えばうちのことをTechCrunchに載せてもらえるの?”とか。だから、ぼくにとっては放っておけない問題になってる。〔‘きみ’==TechCrunch〕

しかも、そろそろうんざりしている。

ジャーナリストは快適に暮らしている人びとを傷つけ、傷ついた者を慰める。マーケターは、快適に暮らしている人を慰める。そしてこの騒動の唯一の勝者は、金の力で大量の掲載数を稼げるお金持ちだ。今はまだ欠点だらけの暗号通貨は、この状況を変えてくれるだろう。

さて、この記事ではぼく自身が作ったものをご紹介したいと思う。本誌の記事で自分の作品を紹介するという掟破りをあえてするのは、それがかなり重要でおもしろい、と思うからだ。それはHypeHopと呼ばれ、スポンサー(付き)ビデオにおける実験だ。YouTubeで何かを選ぶと、スポンサービデオが必ず付いてくる。風邪のときの発疹みたいに。それらは、要らないのにあるものであり、いなくなるまでかなりの時間がかかる。たとえばぼくの息子が見ているNerfのビデオでは、あまりスマートとは言えないアルゴリズムで、広告が頻繁に‘上映’される。

もう、たくさんだ。

現在のシステムでは、マーケターはメディアプラットホームに、彼らが稼いだオーディエンスの数に応じてお金を払う。マーケターは目玉(視聴者)を獲得し、メディアプラットホームはお金を獲得、そしてユーザーは無を獲得する(=何も得ない)。これを変えたい、と思ったんだ。

そのHypeHopは、友だちと一緒に作った。何をするかというと、ビデオを見るとその視聴者にお金を払う。今は概念実証の段階で、ビデオをアップロードして小額の‘ホスト料’を払うと、視聴者をウォッチし、その人が確かにそのビデオを見ていることを確認する。“視聴者をウォッチするだって??”、とあなたは問うだろう。そう。われわれは毎日のように監視されている…GoogleやAmazonの広告システムなどなどに。そろそろ、監視料をもらってもよいのでは?

現在視聴者は、一回の視聴につき約40セントをBTC(Bitcoin)でもらう。息子と一緒に作ったデモビデオは、その仕組みを説明し、実際にテスト用にBTCを預けてある。今のところは、おもしろい実験としてうまくいっている。

同好の士が、これをさらに拡張してくれると嬉しい。たとえばこれは、スポンサービデオを視聴者にとってもっとおもしろいものにするための、ツールになるだろう。マーケティングのためのつまらない屑でも、それを見たら1円もらえることは、おもしろいかもしれない。そしてやがては、多くのマーケティングツールが視聴者と製作者とマーケターの収益源になる。これまでwin-win-loseだった世界が、win-win-winの世界になる。そしてこれは、フェイクニュースやフェイクマーケティングと戦う方法としても重要になるだろう。

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コンテナで野菜果物のハウス栽培をするAgricoolがさらに$28Mを調達し中東にも進出

フランスのAgricoolが、昨年に次ぎ今度は2800万ドルの資金調達を行った。同社は、都市部で果物や野菜をコンテナの中で育てることに取り組んでいて、最初の作物は苺(いちご)だ。

今日(米国時間12/2)の投資ラウンドには、Bpifrance, Danone Manifesto Ventures, Marbeuf Capital, Solomon Hykes, そして数名のエンジェルたちが参加した。daphni, XAnge, Henri Seydoux, Kima Venturesなど、これまでの投資家も参加した。

クレイジーに聞こえるかもしれないが、コンテナ栽培は従来の農業の方法よりも効率的だ。たとえば、コンテナなら温度や湿度、光のスペクトルなどをコントロールできる。Agricoolは、太陽光の代わりに大量のLEDを用いる。

その結果には、説得力がある。苺は年中栽培できるし、コンテナは閉じているから水やスペースを節約できる。輸送も簡単だ。

作物は完全に地元産で、遺伝子組み換えなし、農薬なしの苺(等々)だ。苺はすでにパリのMonoprixでも売っている。

Agricoolは2021年までにパリとドバイに計100基のコンテナを設置する予定だ。そのためには新たに200名を雇用する必要がある。苺だけでなく、作物の多様化も計画している。

ぼくはこれまでに、複数回Agricoolを取り上げている。今日までロードマップは変わっていないが、資金は増えた。過去に例がないからあれだけど、コンテナのネットワークを作るにはかなりの資本が要るようだ。でも将来性のある事業だし、排気ガスの抑制にも貢献する。

関連記事: Agricool raises $9.1 million to grow fruits and vegetables in containers(未訳)…コンテナの建設過程を示すスライドあり。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

指輪で睡眠をモニターするOuraが2000万ドル調達――投資家はマイケル・デル始めウィル・スミス他オールスター

睡眠のモニタリングと改善を目指すプラットフォーム、Oura Healthが2000万ドルの資金調達に成功した。マイケル・デルの個人資産運用ファンド、MSD Capitalがラウンドをリードした。参加した投資家にはYouTubeの共同ファウンダー、Steve Chen、Twitchの共同ファウンダー、Kevin Lin、Sunriseのファウンダー、Dave Morin、JUMPのファウンダー、Ryan Rzepeckiらの著名人が含まれている。

Ouraはフィンランド企業で、MIT Media Labのディレクター、Joi Itoらから2年前に500万ユーロを調達している。

Ouraのスマート・リングは着用者の睡眠パターンをモニターし、睡眠の質の改善に役立てる。Ouraリングは指の手掌動脈で血圧、脈拍を計測すると同時に3D加速度センサーとジャイロ・センサーで体の動きや向きを測定する。また体温を測定するNTC温度センサーを内蔵する。

マイケル・デルはこの投資に関して、「Ouraはわれわれが直面する大きな課題の一つ、いかにして睡眠の質を高めるかに対する回答となり得ると信じる。Ouraリングはきわめて優秀なデザインとテクノロジーを用いており、世界の多くの消費者を益することになるだろう」と声明で述べている。

オールスターの投資家リストにはシャキル・オニール、ランス・アームストロング、ウィル・スミスらの名前が見える。

Oura HealthのCEO Harpreet Raiは声明で「われわれは創立グループに優れたエンジニア、デザイナーなどを集められたことに感激しているが、今回チームに素晴らしい投資家が加わった。驚くほど多様なバックグラウンドを持つ投資家がそろってが睡眠の質の重要性を認めたことは嬉しい」と述べた。

ただし睡眠のトラッキングと改善というテーマはこれまでもスタートアップ、大企業ともに手がけてきており、特に目新しいものではない。たとえばBasis HealthはIntelが買収した。FitbitもMotivという睡眠トラッキングのスマート・リングを発売している。

TechCrunchではまだOura製品をテストしていないが、その機会があれば結果をレポートする。Oura Healthの製品の価格は299ドルから999ドルで、現在100以上の国で販売されている。ちなみにFitbitのMotivは199ドルだ。

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滑川海彦@Facebook Google+