ベルリンのBattlefield勝者は晩婚者のために元気な精子を冷凍保存するLegacyに決定

最初は13社だった。そして二日間の激しい競争の結果、勝者が決まった。

これらStartup Battlefieldの参加社は全参加社の中から書類選考で選ばれ、いずれも甲乙つけがたい優秀なスタートアップとして、このコンペに参加した。彼らはみな、VCたちとテクノロジー業界のリーダーから成るジャッジの前でプレゼンを行い、5万ドルの優勝賞金と優勝カップDisrupt Cupを争った。

数時間に及ぶ討議を経て本誌TechCrunchの編集者たちは、ジャッジのノートを熟読し、5社のファイナリストを決めた: それらは、Imago AI, Kalepso, Legacy, Polyteia, そしてSpikeだ。

5社は決勝のステージで、新たなジャッジたちの前で再度デモを行った。決勝のジャッジは、Sophia Bendz(Atomico), Niko Bonatsos(General Catalyst), Luciana Luxandru(Accel), Ida Tin(Clue), Matt Turck (FirstMark Capital), そしてMatthew Panzarino(TechCrunch)だ。

そしてついに、ベルリンで行われたTechCrunch Disrupt Berlin 2018 Startup Battlefieldの優勝者が決まった。

優勝: Legacy

Legacyは、おもしろい問題を探究している。それは、加齢に伴う精子の活動低下だ。スイス出身の同社は、人間の精子を冷凍保存して、本人が高齢者になっても元気で安全な精子を使えるようにする。晩婚だけど自分たちの子どもがほしい、という人びとにとっては、これは重要な問題だ。

Legacyに関する本誌記事は、ここにある〔未訳〕。

準優勝: Imago AI

Imago AIはAIを使って作物の収量を増やし、無駄に廃棄される食品を減らして、世界の人口増に対応する。同社はコンピュータービジョンと機械学習の技術を使って、作物の収量と品質を、誰でも容易に予測できるようにする。

Imago AIに関する本誌記事は、ここにある〔未訳〕。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Loroの装着式車椅子アシスタントは、障碍とともに生きるひとたちにハイテクの力を与える

身体障碍を持つ人は、障碍を持たない人と同じようには世界とやりとりすることはできないが、そのギャップを埋めるためにハイテクを使えない理由はない。Loroは車椅子に装着されて、その持ち主に対して周囲の人や物を見たり対話したりする能力を提供する強力なデバイスだ。

Loroのカメラとアプリは協調して動作し、ユーザーが遠くを見たり、書き物を読んだり翻訳したり、人物を識別したり、レーザーポインターで意思表示をしたりといった動作を行わせてくれる。TechCrunch Disrupt Berlinの中で行われているStartup Battlefieldの舞台上で、本日(米国時間11月29日)彼らはその技術を披露した。

Loroは、その大部分がハーバード大学のイノベーションラボに集まった学生たちで構成されたチームによって発明された。最初は障碍者が周囲をもっと簡単に見ることができるようするための簡単なカメラとしてスタートした。

「私たちはこのプロジェクトを、友人であるSteveのために始めました」と語るのはLoroの共同創業者でありクリエィティブディレクターのJohae Songだ。Johaeや友人グループの人たちと同様に、デザイナーだったSteveは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。これは罹患者の筋肉を麻痺させる神経変性疾患である。「そこで私たちは、モビリティの課題を持つ人を助けるアイデアを考え出すことにしたのです」。

「私たちはまず車椅子に装着されたカメラというアイデアから始めました。パノラマ視覚を提供することで、移動をしやすくしようと考えたのです」と説明するのは共同創業者のDavid Hojahである。「そのアイデアから始めて、メンターや専門家たちと議論を重ね、私たちは何度も開発を繰り返しました。そしてよりスマートにするアイデアを考え出し、いまや様々な要求に応えることのできるプラットフォームとなりました」。

ALS患者やその他の運動障碍のある人たちのために、責任を持ってデザインを行うことは簡単ではない。そうした人たちが日々の生活の中で抱えている問題は、必ずしも他者が想像できるものとは限らず、またその解決策も自明なものではないからだ。そこで、Loroチームは、多くの情報源にアプローチし、そして愚直な観察に多くの時間を費やすことに決めたのだ。

「とても基本的な観察 ―― 単に座って見続けることですが」とHojahは語る「そうした観察を続けることで、特定の質問を相手に投げかけなくても、相手が求めているものに対するアイデアを得ることができるのです」。

「ユーザーがカメラインターフェースを介して操作できる懐中電灯が欲しい」といった具体的な解決策を示唆するのではなく、ただ特定の懸念を口にするひともいる。

「人びとは『懐中電灯が欲しい』とは言わないのです、彼らは『暗いところでは移動できない』と言っていました。そこで私たちはブレーンストーミングを行い、懐中電灯を思いつきました」と彼は言う。ある意味明白な解決策だが、観察と理解を重ねることだけが、それを上手く実装させてくれるのだ。

注力する観点は常にコミュニケーションと自立だとSongは言う。そして何が含まれるかを決めるのはユーザー自身なのだ。

「私たちは一緒にブレインストーミングを行い、それからユーザーテストを行います。私たちはうまくいく機能、うまくいかない機能を観察します。私たちはともあれ、相手にそれを使ってもらい、どの機能を皆が一番使うかを観察しているのです」。

すでに、移動に障碍を抱えたひとたちのためのデバイスが世の中にあることは、SongとHojahも認めているが、そうしたデバイスは一般的に高価で扱いにくく、適切にデザインされていない。Hojahのバックグランドは医療機器デザインなので、彼は自分の語るべきことをよく知っている。

その結果、Loroは可能な限り使いやすくなるようにデザインされている。タブレットインターフェイスを通して(Tobiiカメラを使った)視線追跡や、ジョイスティックや息操作チューブなどの入力を使って、ナビゲーションを行うことができるのだ。

例えば、カメラは車椅子の背後を見るように向けることが可能で、このことでユーザは安全に後退することができる。または、ユーザーの視点から見るのが難しいメニューにズームインし、項目を読むことができる。レーザーポインターは、商品ケースのなかのパンを指さして選ぶといった、私たちが当然のように行っていることを、体を動かすことのできないユーザーができるようにする。テキスト読み上げ機能は組み込まれているので、読み上げのために別途アプリを導入する必要はない。

またカメラは顔を追跡し、対話相手の追跡の手助けを必要とする人のために、個人データベース(現段階ではクラウドでホストされている)を使った認識が行われる。どんな人にも、相手の名前や顔を思い出せないことがある ―― 正直な話、私もイベントの際に、肩の上にLoroを載せておきたい位だ。

現在チームは、ハードウェアの最終仕上げに専念している。アプリと機能はほとんど確定されているが、外装などが製品化のためのさらなる洗練を必要としているのだ。同社はまだ非常に初期段階にあり、数ヶ月前に法人化し、プロトタイプを作るための10万ドルのプレシードファンディングで作業してきた。次に控えているのは商品製造のためのシードラウンドだ。

「チーム全体が本当に、困っている人たちに、ただ手助けをして貰うことを待つのではなく、自立できるパワーを与えることに情熱を持っているのです」とHojahは語る。彼らを突き動かすものは、彼が明らかにしたように、相手への共感なのだ。

[原文へ]
(翻訳:sako)

Spikeは糖尿病患者をソーシャルに見守るアプリ

糖尿病患者にとって、自分の血糖値レベルを常に監視しておくことは容易ではない。 Spike Diabetesは、家族と医者が患者の状態をリアルタイムで本人に通知できるようにするサービスだ。さらに患者がレストランに入ると、AI機能を使って糖尿病に優しい食事をアプリが推奨する。

本日(米国時間11/19)TechCrunch Disrupt Berlinのスタートアップバトルフィールドに登壇したSpike Diabetesは、許可を受けた家族が患者の詳細データを見て、健康を維持するための助言を与えられるGuardian Portalを公開した。

「糖尿病は不治の慢性疾患で、患者は生涯糖質とインシュリンの管理と共に過ごさなくてはならない」とSpikeの共同ファウンダーZiad Alameは言う。「糖尿病患者は生涯にわたってその日常的な作業を強いられるため、その厳しさゆえに道を外れてしまうことがある。そして家族は愛する人について何も知らない状態に置かれてしまう」

医者は年に2~4回の定期検診でデータを知るだけで、患者は一人で戦わなければならないことが多い。生涯続く管理は非常にストレスがたまる——命がかかっていればなおさらだ。

このスタートアップは、患者の生命徴候をモニターすることを謳う文字通り数百ものアプリとの厳しい競争に直面している。MySugr、Diabetes Connect、Health2Syncらが主要なライバルだ。しかし、多くのアプリでユーザーは複雑なスプレッドシートで自分の数値を管理しなくてはならない、とAlameは言う。

Spikeはカスタマイズ可能なグラフに加えて、データの音声読み上げ機能も提供して、日々の生活を安全に過ごせるようにしている。Spikeは招待制でiOSのみだが、Apple Watchアプリも提供されていて、バッテリー消費を最小限にしていると自慢している。

「Spikeは私自身が糖尿病生活で危機を迎えたあと、正しい服薬を助けるための個人プロジェクトとしてスタートした」とAlameが私に話した。彼はその問題を、慈善プログラムGivilngLoop、TeensWhoCodeサマーキャンプ、アラブ世界のためのクラウドファンディングサイトZoomalなどのCTOとしての経験と結びつけた

Alameは糖尿病患者、エンジニア、研究者らを集め、20万ドルのシード資金をMEVP、Cedar Mundi、およびPhoenician Fundsから調達した。彼らは愛する家族と医者を輪の中に取り込むことで、Spikeのフリーミアムアプリの有料プレミアム版が口コミで広がって長く続いてきた競争に打ち勝つことに期待している。

このアプリでもっとも興味深い機能の一つが事前情報の配信だ。「たとえば、午後2時頃にマクドナルドに入ると、Spikeは昼時だと知って適切な糖質量メニューのトップ3を推奨する」とAlameは言った。

「一定時間(~25分)経過後、Spikeはインシュリンの通知を与え、糖分測定装置と同期してデータを記録する。時間とともにアプリは患者の嗜好を理解し、Spikeはちょっとした行動の改善を提案する。例えば歩行経路の変更や、患者の好みにあった食事をより少ないインシュリン消費で食べられる店を推奨する。

Alameは冗談まじりにこう言った。「Spikeにとって最大のリスクは、最良の結果でもある——糖尿病の治療法が見つかることだ」。しかし、たとえそれが起きたとしても、Spikeの監視と助言の機能は別の病気にも役立つだろう。しかし現時点では、このアプリを使えば糖尿病を簡単に管理できることをユーザーに確信させる必要がある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

史上最大の詐欺スタートアップ、セラノスを描いた『The Inventor」がサンダンス映画祭でプレミア上映

一時の飛ぶ鳥を落とす勢いから廃業へと追い込まれたバイオテクノロジーのスタートアップTheranosのファウンダーで、刑事責任を問われているElizabeth Holmesの失敗を描いた長編映画が、2019年にユタ州パークシティーで行われるサンダンス映画祭で正式デビューする。

“The Inventor: Out for Blood in Silicon Valley” と題したその映画は、アレックス・ギブニーが監督を務め、ギブニーおよびジェシー・ディーターエリン・エダイケンが制作する。ギブニーはオスカー受賞監督で、 “Taxi to the Dark Side”[「闇」へ]、”Enron: The Smartest Guys in the Room”[エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?]、”Going Clear: Scientology and the Prison of Belief” [ゴーイング・クリア:サイエントロジーと信仰という監禁]などのドキュメンタリー映画で知られている。

ギブニーはHBOとチームを組んでHolmesを調査した。「並外れた努力で入手した未公開映像と重要なインサイダー証言に基づき、ギブニーがシリコンバレーのうますぎる話を描く。事実に基づく強盗映画のドラマにくわえて、なぜ事件が起きたのか、誰の責任なのかを検証しつつ詐欺の心理を探るドキュメンタリーだ」とHBOが作品を紹介している

Holmesは2003年に、(多くのテクノロジー成功者がそうしたように)スタンフォード大学を中退し、医療を破壊するべくTheranosを設立した。彼女の会社は複数の著名投資家から10億ドル近いベンチャー資金を集め、企業価値が100億ドルを超えたこともあった。Holmesは自らの力でセレブの地位を獲得し、スタートアップ「ユニコーン」を経営する最年少の女性としてもてはやされた。

そしてすべてが消滅した

Theranosが発明したと謳っていた血液1滴しか必要ない血液検査は偽りだった。その後いくつもの裁判と連邦政府による捜査の結果、HolmesおよびTheranos代表のSunny Balwaniは、「複数年にわたる巧妙に仕掛けられた詐欺的手段による同社の技術、事業および財務状態に関する誇張あるいは虚偽の陳述」について有罪判決を受けた。

Wall Street JournalのJohn Carreyrou記者が同社の盛衰を綿密に調査した著書 “Bad Blood: Secrets and Lies in Silicon Valley” が今年発刊されたことで、さらに詳細が明らかになった。同記者の取材に基づく映画作品も制作中で、これは2019年にはTheranos映画を2本見られる可能性があることを意味している。

映画 “Bad Blood” は、主演のHolmes役にジェニファー・ローレンスが予定されている。”Shape of Water”のヴァネッサ・テイラーが脚本を担当し、アカデミー賞候補監督のアダム・マッケイ(”The Big Shot”)が監督を務める。

今年のサンダンス映画祭には新記録となる1万4259作品から初回上演への応募があり、わずか112作品が選ばれた。映画祭は2019年1月24日から2月3日まで行われる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Red Hatがハイブリッドクラウドのデータ管理サービスNooBaaを買収

Red Hatは今、340億ドルという巨額でIBMに買収されようとしているが、それが完了していない現時点でRed Hatは、独立企業としての買収を行っている。同社の今日(米国時間11/27)の発表によると、買収したのはテルアビブの初期段階のスタートアップNooBaaで、ここはエンタープライズのデータ管理を助け、単一のAPIによりさまざまなデータプロバイダーに容易にアクセスできるようにする。

最近のRed Hatは、エンタープライズによるハイブリッドクラウドおよびマルチクラウドの管理の支援を強調しているから、NooBaaの技術はその指向性によく合っていると言える。NooBaaの中核的なサービスはさまざまなデータサイロの一元化なので、Red Hatのポートフォリオの一員として適している。OpenShiftとOpenShift Container Platform、およびストレージサービスCeph Storageを抱えるRed Hatは、今すでに、幅広いハイブリッドクラウドツールを提供している。

Red Hatでストレージとハイパーコンバージドインフラストラクチャのゼネラルマネージャーを担当しているVP Ranga Rangachariが、今日の発表でこう述べている: “NooBaaの技術はわれわれのポートフォリオを拡張し、今日のハイブリッドおよびマルチクラウドの世界でデベロッパーのニーズを満たすわれわれの能力を強化する。同社の9名の技術チームをRed Hatにお迎えすることは大きな喜びであり、今後は共に、オープンなハイブリッドクラウド技術の指導的プロバイダーとしてのRed Hatを、より強固にすることに取り組んでいきたい”。

Red Hatの技術は、そのほとんどが実質的にオープンソースだが、NooBaaのコードは違う。しかしNoo Baaの計画では、しかるべきときに同社の技術をオープンソースにする予定だ。ただしその明確な日程等は、まだ未定だ。

NooBaaは、2013年に創業された。同社はこれまで、Jerusalem Venture PartnersやOurCrowdからある程度のベンチャー資金を調達しており、またAkamai Capitalからの戦略的投資も得ている。そのラウンドの規模は公表されていないし、また今回の買収の価額等も非公開だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LogitechとPlantronicsの交渉は決裂

Logitech Internationalは本日付の声明で、Plantronicsと買収に関する話し合いを行っていたが、交渉を打ち切ったと発表した。

この週末、本誌は両社が22億ドルの買収交渉をしているというReutersの報道を取り上げた。

同社は正式発表以外のコメントを出していない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

200ドルするSilentmodeのPowerMaskはリラックスを誘うマスク

重慶大厦(チョンキンマンション)での2日目の夜、僕はほとんど眠れなかった。やかましい近所、香港の暑い空気、真夜中すぎのドアを叩く音。これらのどれもが安眠を妨げるもので、僕は人生で初めて、15時間超の帰途フライトで目を閉じるのが楽しみという思いを経験をした。

その夜に経験した悪名高い香港の環境は二度と経験したくないとの思いがあって、僕は頭に巻きつけるこの奇妙なものを試すのを楽しみにしていたー目を閉じて、ほんの数分間、自分自身がどこにいるのかも忘れるほどのラグジュアリーさを体験するというものだ。

僕はSilentmodeのPowerMaskを、Brincの煌々とした会議室の真ん中で試した。PowerMaskの外観はかなり奇妙だー両サイドにヘッドフォンが埋め込まれた、大きな目隠しマスク。おそらく装着しているところは誰かに見せたいというものではないが、上記写真ではLucasがすすんでモデルになってくれたーなぜなら、TechCrunch.com上では奇妙なものを装着する人の写真は十分にないからだ。

僕は家で飼われているオウムが夜カゴにブランケットをかけられるというのはこんな感じなのだろうかと思いながらこのマスクをつけたのだが、装着した1、2分間を楽しまなかったといえば、それは嘘になる。

ニューエイジ風の音楽、呼吸エクササイズ、そして何よりも重要なのが完全な真っ暗闇だ。これらでもって、このマスクでの体験は、絶え間なくある世界の恐怖からの束の間の解放となり、過剰に活発になった脳を落ち着かせるものとなる。

僕はこの手のものが大好きだ。スマホにはCalmアプリを入れていて、2週間の旅行に出る前、僕はMuseヘッドセットにかなりハマった。僕自身、瞑想が得意ではないという事実はこれまで何回も書いてきたが、そうした失敗した試みですら役に立つものとなっている。

PowerMaskのことを感覚を遮断する小型タンクのようなものと表現した人もいたが、そうかもしれない。それがどうしていけないだろう。僕はもっとひどい夜を経験したのだ。

PowerMaskの特徴をかいつまんで説明すると、正確には睡眠デバイスではない。少なくとも開発元はそのようには売り出していない。当初は“Power Nap”製品としていたが、この製品をどのように位置づけるか社内でいくらかの混乱があるようだ。もちろん開発元は、僕がテックイベント、特にアジアを旅するときに見る800万もの接続する安眠マスクとは差別化を図りたい。

驚くことに、開発元は最近のスタートアップが使う、瞑想だとかマインドフルネスといったフレーズも使わない。

「我々はリラックスの仕方を世界に教えるというより大きなミッションを持っている」と共同創業者のBradley Youngはフォローアップの電子メールでこう書いている。この会社のウェブサイトはかなり静かで、サプリメントの広告以外、音声はほとんど聞かれない。フロントページには “Reach peak state(最高の状態に)”“become a peak human(最強の人間になる”と、太字かつ大文字で書かれている。もちろん、これのどこがいけないだろう。

少し誇張された後者の方は、CVT(Cardiac Vagal Tone=心臓迷走神経の調子)と呼ばれるものにフォーカスしていることによる。このデバイスを普通の人がアスリートの心臓のような心拍に落ち着けるのに使うこともできる、とSilentmodeは言う。ここにグラフがある。

ここでは、この点を深くは掘り下げない。というのも、正直、僕はよくわかっていないからだ。しかし、頭で“心理音響と治療用音波の体験”をするための真っ暗闇カーテンを買うことが、自身を落ち着かせるのに使える手段となり得るということはわかる。このマスクは実際、宿泊先でのひどい体験で僕が必要としていた束の間の安らぎを与えてくれた。

Silentmodeが睡眠デバイスという位置付けから離れたにもかかわらず、このマスクは僕がフライト中に眠りに落ちるのにも役に立った。慰めるような音楽、そしてパッドでくるまれたヘッドセットは正確には枕ではないが、前の座席に頭をもたれかからせるよりはかなり快適だ。おそらく、頭に大きなものをつけるというぎこちなさは克服できる。もちろん、変なアクセサリーをつけていようがいまいが、飛行機で寝る姿はどれも格好いいものではない。

価格は199ドル。安くはない。そして開発元は追加のアプリ内購入でプレミアムなオーディオを提供するつもりだ。Silentmodeはまた、複数の大企業の協力を得てこのプロダクトをリラクゼーションが欠けているオフィスで試験している。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Soundbrennerのウェアラブルメトロノームがアップグレードしてモジュール構造に

Soundbrenner Coreがクラウドファンディングの満額に達するのに、14分しかかからなかった。すごいね。先週、このウェアラブルのメーカーは、目標額5万ドルの10倍以上でキャンペーンを終了した。その数日後に本誌は、香港のアクセラレーターBrincの本社で彼らを取材した。

Soundbrennerは、Pulseですでにかなり名を知られるようになっていた。その、インターネットに接続された腕時計型のデバイス(下図)は、メトロノームに賢いイノベーションをもたらした。その、ピアノの上につねにあったアクセサリーは、かなり前に、楽器店の埃をかぶったコーナーに追放されていた。そのウェアラブルは皮膚感覚でビートを伝え、バンドの全員をそのビートに同期させる。Pulseは、6万台売れた。

たしかに、単純であることがその強みだったが、Soundbrennerはそれをもっと改良したいと考えた。そしてKickstarter上の2477人が、その考えに同意した。Coreと名付けられたその製品は、4-in-1(フォーインワン)のツールだ。Indiegogoのページで、予約を受け付けている。

第一に、それは振動するメトロノームだ。ふつうのスマートウォッチの7倍ぐらい強い触覚フィードバックで、最大5人のミュージシャンがビートに同期できる。画面をタップして、ビートを手作りできる。

いちばん話題になるのは、Misfitの協同ファウンダーSonny Vuの指導によるモジュール構造だろう。磁石で付け外しできるディスプレイは、外してギターのチューニングペグにつけて、振動でチューニングをテストできる。デシベル計とプッシュ通知もある。ただし後者は、スマートフォンのプッシュ通知ほど完全ではない。

Coreは、前世代のPulseより小さい。でも、決して小型ではない。同社によるとそれは意図的で、これがミュージシャンたちの間で名刺のようなものになってるからでもある。ビートで秘密の握手をするのだろうね、たぶん。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ドメインを限定してより有能な音声対応AIを作ろうとするWluperがシードで$1.3Mを調達

音声アシスタントなどのシステムにその知識を与える、会話型AIを作っているロンドンのWluperが、130万ドルのシード資金を獲得した。ラウンドをリードしたのは“ディープ・テック”専門のVC IQ Capitalで、これにSeedcamp, Aster, Magic Ponyの協同ファウンダーZehan Wang博士らが参加した。

2016年に創業し、最初はJaguar Land RoverのInMotion Venturesが支援していたWluperの“会話型AI(conversational AI)”は、初めはナビゲーション製品を対象にしていた。同社のAI技術は自称“目標指向の対話(goal-driven dialogue)”と呼ばれ、目標を絞ることにより、従来よりも自然な会話でナビゲーションのさまざまなタスクを支援する。

それを可能にする‘秘密のソース’は、ナビのような音声アシスタントを支えるAIは特定の、狭い、専門的分野のエキスパートになった方が良い仕事ができる、というWluper独自の信念だ。

Wluperの協同ファウンダーHami Bahraynianはこう述べる: “AlexaやSiriのようなインテリジェントなアシスタントも、本当に良いなと感じるのは、それらがユーザーの意図を正しく理解しているときだけだ。しかし実際には、理解していない場合がほとんどだ。それは、音声認識そのものの欠陥ではない。それは、フォーカス(対象、主題、テーマの特定化)を欠いていることと、その種のシステムの共通的な欠陥である論理的判断能力(‘推理’)の欠如だ。彼らはみな、いろんなことをそこそこできるけれども、どれ一つ完全ではない”。

AIが“一般的な”会話能力を持つのは15年か20年以上先と思われるが、そこへ向かうための中途的な目標は、Bahraynianによると、目的を絞った“インテリジェント・エージェント”を作ることだ。

“われわれがやっているのは、まさにそれだ”、と彼は言う。“われわれは、ドメインエキスパート(特定分野の専門家)の会話型インテリジェンスを作っている。それは、一つのことしかできないし、理解しない。でも、たとえば、輸送に関することなら何もかも完璧に知っている”。

この分野特定により、WluperのAIは、ユーザーが言ってることに関する明確な…見当はずれでない…想定ができる。そのため、複雑な質問でも自然に理解する。ひとつのクエリに複数の意図が含まれている場合や、前の質問のフォローアップ質問も理解するので、“本当の”会話ができる、とBahraynianは言う。

さらにまたWluperは、NLPパイプラインの“理解能力”の次に来るべきものとして、マシンの“知識取得能力”に関してR&Dを継続している。会話型AIというパズルが完成するための重要な必須のピースがその能力だ、と同社は考えている。

“自然言語で尋ねられたユーザーのクエリを正しく理解したとしても、適切で有益な情報を正しい場所から取り出して提供することは、それよりもさらに難しい。現在多く使われているルールベースのアプローチでは、応用性がゼロなのでまったくスケールしない”、とBahraynianは付言する。

“この問題を解決するためにわれわれは、従来の手作り的な方法に別れを告げて、マシンの知識取得を最適化するための新しい方法を探している。もっと意味のある結果を返せるためには、定型データと非定型データとの正しいバランスを見つける必要がある”。

そしてWluperのシード資金は、エンジニアとリサーチサイエンティストの増員による、同社の研究開発能力の拡張に充てられる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PianoがTrue[x]とチームを組んで、広告とペイウォールを組み合わせる

およそ全てのオンライン出版社が、ペイウォール(有料会員限定サービス)を始めたり発表したりしている(事例1事例2)。だがもちろん、成功している者たちでも全ての読者を有料顧客にすることはできていないし、大部分の読者にサインアップさせることもできていない。さてPianoTrue[x]は、大切なサブスクリプション収入を損なうことなく、読者の大多数から収益を上げる効率的な方法を発見したと主張している。

Pianoは、ペイウォールやサブスクリプションマネジメントを含む、様々な出版社向けツールを開発している企業だ。一方True[x]は、数年前に21世紀フォックスによって買収されたアドテックの会社である。

Pianoの国際事業開発責任者であるJonas Rideoutは、このコラボレーションによって、出版社たちは様々な読者メンバーに対して様々なメッセージを送ることができると語る。これはPianoが既に取り組んできたことだが、今回True [x]と提携したことで、プレミアムビデオ広告を観ることで(一時的に)ペイウォールを迂回するオプションを読者に提供することができるようになる。

Rideoutによれば、これはPianoの”out-of-the-box segmentation”(簡単分類)機能を利用しているということだ。これは、サイトへの訪問頻度や、訪問元、そして読んだページ数に基いて読者の支持度を計測する仕掛けである。おそらく最も支持度の高い読者(最も受け容れ易い人びと)に、サブスクリプションを提案することの方が合理的だ。

一方では、コンテンツに興味を持つかもしれないが、(少なくとも今はまだ)実際に課金するつもりがない読者の集団もいる。そうした読者には広告を観るオプションが提供されるので、出版社はそこから収益を得ることができる、そして読者がサブスクリプションを選びたくなったときのために、関心を引きつけておくこともできるのだ。

「おそらく読者の1から3%の人がサブスクリプションに移行します。でも(ペイウォールを迂回する手段を提供することで)金の卵を産むガチョウを料理してしまうのではないかと心配になるでしょう」と語るのはTrue[x]の国際事業開発責任者のChris Shivelyだ。「それが今では、その他97%の読者に別の体験を提供することができるのです。大幅に広告収入を高めながら、読者には製品を楽しんで貰うことができるのです」。

広告年齢ピアノ

Shivelyは、広告収入がどれくらい優れているかを具体的に開示することは拒んだが、普通の表示やビデオ広告に比べると「はるかに高額」であることだけは語った。また彼は「ユーザーに選択肢があることは私たちにとってとても重要です」と語った。広告オプションを選んだとしても、ユーザーはいつでもサブスクリプションに切り替えることもできるのだ。

そしてはっきりしておかなければならないが、こうした広告は無限に続くフリーパスではない。これはいわば計量システムであり、読者が本当に支払いを行わなければならなくなるまでに、何回ペイウォールを迂回できるかを出版社が指定できる。

PianoとTrue[x]は既にこれをAd Ageと共にテストしている。この結果両社はビデオ広告を観ることを要求された訪問者たちは、高い確率で後に登録を行うことを発見しているのだ。広告を視聴した読者たちは、現在のコンバージョンレートに比べて17倍高い値を示した。しかも、オプションを与えられたが実際にはビデオ広告を観なかった読者の場合でも、単に登録オプションだけを提示された読者よりも3倍多い確率で登録が行われたのだ。

Rideoutはまた、Pianoを使う全ての出版社がサブスクリプションを通じてお金を稼ぐわけではないことも指摘した(実際、TechCrunchは非ペイウォールの目的でPianoを使用している出版社だ)。そのため、現在チームは「これが他のユースケースにどのように適用可能か」を議論しているのだという。例えば景品を提供してサインアップを促したり、データの提供を促したりといったケースだ。

「有料のコンテンツサイトだけではなく、その他の種類のコンテンツにもチャンスがあります」と彼は語った。

[原文へ]
(翻訳:sako)

甲虫の幼虫を高濃度タンパク源として収穫する体験で科学を学習するHive Explorer

Livin Farmsのオフィスの中は、体の向きを変えるのも難しい。でも香港の都心ではこれが普通で、スペースは常日変らず貴重だ。そこは、深圳のハードウェアアクセラレーターHAXが支えるこのスタートアップの、ささやかな拠点だ。デスクをいくつか置くと、もう残りのスペースはない。このスタートアップの最新のプロダクトHiveがドアの横にある。それは一見何の特徴もないトレイが、いくつか重なっているだけのものだ。

でも、ぼくがここに来たのはHive Explorerを見るためだ。その小さなトレイは、部屋の中央に置かれている。上部は開(あ)いている。ドアを開けて入ったときから、その小さな明るい色のプラスチック製品が目を引く。その中身が、奇妙なランダムなリズムでぴくぴく動いている。近づいてよく見ると、茶色く見えたのは実は白で、黒いのは生きている。ミールワームたちが小さなベッドの中で互いに上になったり下になったりしながらうごめいている。チームが置いたカラスムギの残りを、がつがつ食べている。

それらの上には、ネオンイエローのトレイの中に完全に成長した甲虫たちと、2ダースほどの蛹(さなぎ)がいる。成虫はたえず動きまわり、互いにぶつかり合い、ときにはライフサイクルの継続のためにそれ以上のこともする。蛹は横たわり、生きていないように見えるが、ときどきピクッと動いて、中に生命があることを思い出させる。

ExplorerでLivin Farmsはその地平を、STEM教育の世界へ広げようとしている。前のプロダクトはスケーラブルな持続可能性にフォーカスしていたが、この新しいKickstarterプロジェクトは若者や子どもに狙いを定めている。そしてバケツ一杯の甲虫には、学ぶことが山ほどある。たとえば、死だ。ファウンダーのKatharina Ungerは近くの瓶をつかみ、蓋をねじった。

瓶には、乾燥したミルワームがいっぱい詰まっている。彼女はその一つをつまみ、自分の口に放り込んだ。期待を込めて、ぼくの手にも渡した。ぼくも彼女の真似をした。カリッとしている。味がないことはないが、はっきりしない。たぶん、ちょっと塩気がある。でも最大の感触は、気味の悪さだ。下を見ると、今ぼくが食べているものの兄弟である小さな幼虫が、数インチ先で餌を食べ続けている。

The Mountain Goatsの歌詞を引用するなら、それは今や未来のタンパク源だ。Livin Farmsは、幼虫の無味無臭の粉末も作っている。そしてその、持続可能な高濃度タンパク質食品の、ある種の概念実証として、意外にもおいしいグラノーラを作っている。この、世界でもっとも人口密度の高い場所で、同社のミッションは家庭にも浸透している。


[彼女は少しおみやげにくれた。おなかをすかせている誰かのために。]

Explorerには、若者たちに未来の持続可能な農業を見せる意味もある。ただし食品メーカーは、昆虫を食べることに伴う消費者の嫌悪感を打破しなければならない。Explorerのユーザーである子どもたちは、過密を防ぐために幼虫の収穫を奨励される。幼虫は、唐揚げではなく乾煎り(からいり)して食べる。ボックスは、比較的臭気の少ない堆肥作り容器になる。虫たちへの給餌は、人間の食べ残しを投げ込むだけだ。小さな虫たちは、それを噛み砕いていく。下のトレイに、彼らの粉状の廃棄物がたまる。

虫たちの暖房のためのヒーターや、湿度を調節するためのファンもある。それらにより、虫たちが仕事をするための最適の環境が作られる。Livin FarmsはシステムのコントロールをSwiftのコードで公開して、プログラミングという要素も加えようとしている。

ExplorerがKickstarterに出たのは今週だ。初期の出資者はそのボックスを、113ドルで入手できる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

クラウド通信のためのAPIを提供するAgoraがシリーズCで$70Mを調達、Twilioに負けない強みとは?

クラウド通信のためのAPIを作っているAgoraが、Coatue ManagemenがリードするシリーズCのラウンドで7000万ドルを調達し、新しい市場と業種分野の開拓をねらっている。これまでの投資家SIG, Morningside Capital, およびShunwei Capitalもこのラウンドに参加し、Agoraの総調達額は1億2500万ドルになった。

同社のAPIはMeet Group, Xiaomi, Hike Messenger, Momoなどに利用されていて、顧客はそのAPIを使って自分のアプリケーションに音声やビデオ、そしてグループによる通話機能を実装する。Agoraによると、そのSDKのインストール数は最近20億を超え、同社の世界中に分散する200のデータセンターを経由する毎月平均100億分(ふん)のコミュニケーションを支えている。

同社はその成長目標の達成を目指して、比較的速いペースで資金を調達している。この前の資金調達の発表は5か月前で、そのときは同社のシリーズBの3000万ドルの拡張が行われて、ラウンドの合計が5000万ドルになった。

Agoraは2014年にCEOのTony Zhaoが創業した。彼はオンラインコミュニケーションプラットホームWebExの創設技術者だったが、同社は2007年にCiscoに買収された。また彼は、中国のビデオライブストリーミングプラットホームYYのCTOでもあった。Agoraは本社がカリフォルニア州サンタクララにあり、上海にもオフィスがある。同社は、TwilioやTokboxなど既存のコンペティターがいる市場への、比較的新しい参入企業だ。

Agoraのメインのプロダクトは、デベロッパーが自分のアプリケーションに音声、ビデオ、そしてグループによる通話機能や対話的なブロードキャスティング機能を持たせるためのSDKだが、最近ではゲームデベロッパーとFacebookのReact Nativeフレームワーク向けのSDKも提供している。

画像クレジット: Agora

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

イーロン・マスクの秘密の屋根裏部屋、NASAのSpaceX立入検査を呼ぶ

Elon Muskが9月のラジオインタビューで口走ったマリファナとの関わりは、彼の信奉者たちを離れらせただけでは済まなかった(人工知能やソーシャルメディア、発明、宇宙などにまつわる 興味深い会話もあった)。

Washington Postによると、NASA当局はMuskの屋根裏部屋話を喜んではいられず、CEOの派手も悪ふざけを受けてSpaceXとBoeingの安全審査を命じた。

NASA の有人探査担当副長官William GerstenmaierはWashington Postのインタビューに答えて、審査は来年開始されBoeingおよびSpaceX両社の「安全カルチャー」を調査すると語った。

ロケットそのものの安全性ではなく、この審査では従業員の労働時間、薬物ポリシー、リーダーシップおよび経営スタイル、従業員の安全への懸念に対する会社の対応などに目を向ける、Post紙は伝えている。

審査の指揮を執るのはNASAの安全ミッション保証部で、これまでに同様の審査を行ってきた部門だ。

NASA当局者によると、審査手順は「かなり踏み込んだ」もので、会社が活動している全所在地にわたり、あらゆる地位の従業員から数百回もの聴き取りを行う可能性がある。

2014年に有人宇宙飛行復活のために両社が受託した68億ドルの契約が危機にひんしている。SpaceXは同プログラムでNASAから26億ドルを受け取り、残りがBoeingに渡った。

両社ともに、NASA宇宙飛行士を軌道に送り込む有人システムのテスト中につまづきがあった。Boeingは宇宙船の断熱材とパラシュートシステムのテストと、緊急中止プロセス中に起こる可能性のある推進剤漏出への対応が必要だ。

SpaceXもパラシュートシステムに問題を抱えている。

SpaceXはPost紙に送った声明で、「これまでNASAと共に成し遂げてきたすべての仕事に大きな誇りを持っており、アメリカに有人宇宙飛行を取り戻す日を楽しみにしている」と言った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テクノロジー株の急落でトップ4社、1兆ドルを失う――ダウ、S&Pが大幅下げ

絶好調を誇っていたテクノロジー企業の株価の下落が止まらない。昨日(米国時間11/20)、ダウ・ジョーンズ工業株平均とS&P 500は急落し、2018年の上昇をほとんど帳消しにした。Facebook、Apple、Amazon、NetfixといういわゆるFAANの4社の時価総額は合計で1兆ドルを失っている

一般向けプロダクトやサービスを提供してきた値がさ株、FacebookAmazonAppleAlphabetNetflixの下げがダウ平均やS&P 500などのインデックスを下落させる大きな原因となっている。

この株価急落には連邦準備制度の利上げが大きく影響している。投資家はテクノロジー企業の成長性に賭けるよりもっと安定した資金の運用に目を向け始めた。同時に、多くのテクノロジー企業が上場後10年ないし20年以上経過しており、以前のような株価の急上昇は期待できないのではないかという懸念も広がっている。

加えてアメリカの経済見通し全般が必ずしもバラ色でないという背景がある。戸建て住宅統計はいつも景気の先行指標となってきたが、これも下落傾向が続いている。逆に集合住宅の動向は上向きだ。

こうした状況はスタートアップにとってもベンチャー投資家にとっても理想的とはいえない。

事実、2019年に予定されていた株式上場にも影響が出始めている。来年は後期の大型スタートアップが株式市場に次々にデビューするビッグイヤーになると期待されていた。これらの上場は投資家に再投資の資金をもたらし、過去10年同様、今後も巨額の資金がハイテク・スタートアップに流れ込むという主張の裏付けになると考えられていた。

だが、現在の市況からするとそうなる可能性が高いが、株式上場のチャンスがなくなれば、投資家はスタートアップに対して小切手を書くことをためらうようになるだろう。

つまり多くのスタートアップが現在のような高いバーンレート(資本消費率)を維持できなくなる。また上場企業についても株価下落は資金調達コストの上昇を意味するので企業買収や新規事業などに対する大型投資を冷え込ませることになりそうだ。この面でもスタートアップのエグジット(現金化)の道が狭くなる。

全体としてテクノロジー業界は不安定な状況に置かれることになった。しばらく続いてきたテクノロジー・ブームも一区切りつけることになるかもしれない。

画像:Michael Nagle/Bloomberg (opens in a new window) / Getty Images

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

耳栓型の双方向翻訳機WT2が1月に発売、リアルタイム翻訳の実現も近い

Timekettleは、昨年のTechCrunch Shenzhen(深圳)で披露した翻訳をするウェアラブルWT2のその後の進歩を、われわれにどうしても見せたいようだった。昨年の3Dプリントしたプロトタイプと違って、このクラウドファンディングされた耳あては、今や発売可能だ。

すでに初期支援者には現物を送り始めており、1月には予約購入者にも送り始める。そのハードウェアは、しっかり作られている。外見は大きすぎるAirPodケースのようで、二つを磁石で閉じる。使い方は、開いた状態で片方を話す相手に渡す〔下のビデオ参照〕。

アプリで言語を選び、各自が一つ耳につける。二つの翻訳機は区別できないが、光っているロゴの上に細い線(“まゆげ”)がある方が二号機だ。

GoogleのPixel Budsなどのウェアラブル翻訳器はあまり売れなかったが、こいつはそれらよりもずっと巧妙だ。着用者がお互いにアイコンタクト(視線を交わす)したり、ボディーランゲージ(身振り手振り)を使えたりするところが、ミソだ。それらは、言葉が違う者同士のコミュニケーションでは、とても重要だ。

しかし、でも、それが障害になるかもしれない。多くの場合、見知らぬ人に片方の耳あての装着をお願いすることになるだろう。それが、つらい。でも、まじめなビジネスの場面なら、とっても便利なツールだ。

でも前者のような場合には、アプリとその画面でコミュニケーションできる(下図)。お互いにロゴをタップしてから話す、という、ウォーキートーキー(トランシーバー)的な使い方もできる。それは、まわりの騒音を拾わないための工夫だ。

全体的にぼくは、かなり感銘を受けた。同社のCEOとの会話を書き起こした上図の例でお分かりのように、翻訳は完璧ではない。でも、あたりのノイズと、上質でないセル接続と、会話の相手が‘歩きながら’にこだわったことを考えると、WT2の仕事は賞賛に値する。

現在は、翻訳に遅延がある。話終わってから数秒後に、相手の耳に翻訳が行く。これは、言葉の勉強を助けるためかもしれない。でも、発売までにはリアルタイム翻訳に近い性能にしたい、と同社は言っている。

〔訳注: WTはたぶん、Wearable Translatorの頭字語。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

暗号通貨の明るいニュース:SECがトークンは有価証券であると宣言

暗号通貨は、大暴落stablecoins誕生日のニュースの後、先週ちょっとした後押しを受けた。SEC[証券取引委員会]はICO企業のCarrierEQ Inc.およびParagon Coin Inc.の2社が売っているのは、いわゆるユーティリティートークンではなく有価証券であると判断した。

「両社とも被害にあった投資家に資金を返還し、トークンを有価証券として登録し、SECに定期報告書を提出したうえで罰金を支払うことに同意した」とSECのPamela Sawhneyは書いた。「これは、ICOの登録違反のみに対してSECが民事制裁金を科す最初の事例だ」

リリースにはこう書かれている:

ボストン拠点のスタートアップAirfoxは、約1500万ドル相当のデジタル資産を同社のトークン建て「エコシステム」開発のために調達した。途上国ユーザーが広告の閲覧と引き換えにトークンを入手できるモバイルアプリケーションを利用する。オンラインサービスのParagonは約1200万ドル相当のデジタル資産を調達し、大麻産業にブロックチェーン技術を応用することで大麻合法化の道を開くビジネスプランの構築と実施を目指している。AirfoxもParagonも自社のICOを連邦証券法に基づいて登録せず、登録例外の認定も受けていなかった。

この行動——フィンテックのためには危険を顧みない——は、年のはじめに大流行した。理論上企業のエコシステムの中で使われるユーティリティートークンに対して、セキュリティートークン(事実上の株式)の申請に関する明確な指針はなかったからだ。実際、ICOを実施した企業はあらゆる手立てで自分たちの「ユーティリティートークン」が証券法の複雑な規制に沿っているように見せようとした。

「われわれは、ICOを通じて有価証券を発行する企業は証券登録を規制する既存の法に従う必要があることを明確に示した」とSEC監視部副部長のStephanie Avakianが言った。「これらのケースは、同じような行動を起こそうとしていた人たちに対して、SECが今後もデジタル資産に関する連邦証券法違反に目を光らせていることを知らしめるものだ」

SECは両社に対してそれぞれ25万ドルの罰金を科した。将来のICOを目指す企業は、少なくとも米国では、十分このことを念頭に置くべきだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SoftBankのDeepcoreと香港のZerothが提携――アジアのAIスタートアップの育成へ

アーリーステージのAIスタートアップを支援する2のプログラムが力をあわせることになった。AIの世界でも一人より二人のほうが心強いらしい。

有力デジタルメディアのAnimoca Brandsから投資を受けることに成功した香港のアクセラレータ、Zerothは、SoftBankグループのアクセラレータ、ファンドDeepcoreとリソースやディールの共有など密接な提携関係に入った。

DeepcoreはAI全般のスタートアップの支援、育成に力を入れている一方、ZerothAIと機械学習に特化したアジア初のアクセラレータだ。後者はAnimoca Brandsから300万ドルのベンチャー資金を調達しており、同時にZerothの運営会社の株式の67%を取得している。

一方、SoftBankは今年に入ってDeepcoreを設立し、AIスタートアップ支援事業に足場を築いた。DeepcoreはWeWorkと協力してコワーキング・スペース、インキュベータ、R&D施設を兼ねるKernel Hongoを運営している。 また投資部門としてDeepcore Tokyoを有している。

Zerothは2年前に設立され、3回のバッチですでに33社を育成している。参加スタートアップの株式を平均6%取得するビジネスモデルだ。卒業後サードパーティからの追加投資を受けるスタートアップもある。たとえば、Fano Labs(現在のAccosys)は香港最大の富豪と考えられている李嘉誠(Li Ka-Shing)のHorizons Venturesや日本のLaboratikから投資を受け入れている。

Zerothのファウンダー、CEOのTak Lo はTechCrunchに対して、「われわれのエコシステムが成長するのを見ることができて嬉しい。このエコシステムが目指すところは偉大な会社を築こうとするファウンダーによりよいチャンスを提供していくことだ」と述べている。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

【以上】

ブロックチェーン・ゲーム盛況、Mythical GamesがシリーズAで1600万ドル調達

ブロックチェーン・ゲーム盛況、Mythical GamesがシリーズAで1600万ドル調達
Fortnite。この無料マルチプレーヤー・サバイバルゲームはゲーム内のバーチャル購入だけで驚異の10億ドルを稼いだ。そして今ゲーム業界では、別の誰かがどうすればゲームの新しいトレンドで自分たちも儲けられるかを実験している。

今日(米国時間11/18)ステレスモードを終えてシリーズAラウンドで1600万ドルを調達したスタートアップMythical Gamesは、未来のゲームではユーザー生成コンテンツやプレイヤー、コンテンツクリエイター、ブランド、デベロッパーらが親密に結びつくのが当たり前になると考えている。Mythicalはこのベンチャー資金を使ってPC、モバイル、ゲーム機向けゲームをブロックチェーンプラットフォームEOSIO上に構築する。そこはデベロッパーが「プレイヤーが経済を所有する」ゲームを開発するためにも解放される。

Mythicalはゲームの初期ラインアップがについても近く発表する予定。

Mythicalはゲーム業界のベテラン集団が率いている。最高経営責任者のJohn Lindenは元Activisionのスタジオ責任者でNianticが買収したSeismic Gamesのプレジデントも務めた。他の幹部には、コンプライアンス責任者で同じくActivisionの元スタジオ責任者Jamie Jackson、プロダクト責任者で元Yahooプロダクトマネジメント・ディレクターのStephan Cunningham、ブロックチェーン責任者で元Blizzard(Activisionの子会社でWorld of Warcraftの開発で知られている)のシニアプロデューサーRudy Kockらが名を連ねる。チームメンバーらは過去にCall of Duty、Guitar Hero、Marvel Strike Force、およびSkylandersなどのゲームを送り出してきた人たちだ。

Galaxy DigitalのEOS VC FundがMythicalの調達ラウンドをリードした。今年設立された3.25億ドルのファンドは、EOSISブロックチェーン上で開発するスタートアップへの戦略的投資を通じて、EOSIOエコシステムの拡大に焦点を絞る。Javelin Venture Partners、Divergence Digital Currency、暗号通貨交換所のOKCoinなどもラウンドに参加した。

投資家たちがゲームビジネスの盛り上がりに興奮しているは、Epic GamesやTwitch、Discordらの成功を踏まえれば当然のことだ。

Epic Gamesは社会現象になった同社のゲームFortniteのおかげで、先月末12.5億ドルの調達ラウンド完了した。KKR、Iconiq Capital、Smash Ventures、Vulcan Capital、Kleiner Perkins、Lightspeed Venture Partners 他も同ラウンドに参加した。ゲーマー向けチャットアプリケーションのDiscordは、4月に16.5ドルの評価額で5000万ドルを調達し、Benchmark Capital、Greylock Partners、IVP、Spark Cpital、およびTencentが投資した。ブロックチェーンベースのゲームCryptoKittiesで知られるDapper Labsも今年VCラウンドを行い、Venrockのリードで1500万ドル調達し、GVとSamsung NEXTも参加した。

PitchBookによると、今年ベンチャーキャピタル全体で18億ドルをゲームスタートアップに投資した。。

画像クレジット:Jasmin Merdan / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ユニコーンはもう珍しいものではない

Kleiner Perkinsの前パートナーでシードステージベンチャーキャピタル会社Cowboy Venturesの創業者Aileen Leeが2013年にまさにこのサイトで“ユニコーン”という言葉を作りだしたとき、このタイトルを持つ企業はわずか39社だった。

彼女はそれらの企業を“数少ない幸運/特殊な企業”と呼んだ。彼女の定義:2003年以降に設立された米国のソフトウェアスタートアップで、企業価値が10億ドル以上のもの。彼女がその投稿を書いた時、彼女の計算では毎年たったの4社がそうした企業価値を達成するはずだった。しかし5年後、PitchBookの最新の調査によると、スタートアップがユニコーンになる率は353.1%上昇している。

今日、米国だけで145社もの“アクティブユニコーン”が存在し、合計の企業価値は5559億ドルだ。

なぜなのか。理由はいくつかある。具体的には、企業がより長く非公開企業にとどまっていることが挙げられる。非公開から抜け出し、別のクラブー公開クラブに移行する企業は少なく、これによりユニコーンの数は増大し続けている。加えて、マーケットに資金が、正確にいえば801億ドルもあり、レイトステージの企業はフォームS-1であらゆる情報を公開する代わりに、ソフトバンクが提供する“ミニIPO”を選択している。

ユニコーンが生まれるスピードが緩やかになる気配はない。最新のデータでは米国のユニコーンがそのステータスを得るまでに平均6年かかっているのに対し、わずか3年前は平均7.5年だった。平均年数よりも随分早くユニコーンになっている企業もいくつかある。BrexLime、そしてBirdは記録的な早さで最近10億ドル超になった企業だ。

企業価値の増大はまた、これまでになく内容が充実している。レイトステージの企業価値の平均は前年比50.7%増えている。一方、アーリーステージ、シードステージの平均価値はそれぞれ28%増と12%増だった。2018年のベンチャーキャピタル投資がドットコムブーム以来の活況を呈していることは言うに及ばないだろう。

要するに、その企業がどれくらい大きいか、あるいはどれくらい早く10億ドルを達成したかにかかわらず、スタートアップの企業価値は問題であるべきではない。しかしこれらはスタートアップエコシステムの人がスタートアップの成功度を測り、価値があるかどうかを決める物差しとなるー少なくとも投資家かがいくら出すかを決定するのにかかわってくる。

ユニコーンという言葉、そしてコンセプト全てを廃止したいと思っても、10億ドル企業の増加は無視できないものとなっている。

イメージクレジット: annick vanderschelden photography / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Airbnbの前四半期売上は10億ドルを超えた、このペースでIPOに突入か

Airbnbの来年のIPOに先駆けて、このホームシェアリングスタートアップは2018Q3における10億ドルを超える売上を発表した。

Airbnbによるとこれは、これまでで最強の四半期で、売上は10億ドルを“相当大きく”上回った。

しかしAirbnbは2月以降、常勤のCFOを欠いていた。それはLaurence TosiがAirbnbのCEO Brian Cheskyと不和になってからだ。この間、Airbnbの財務計画と財務分析のトップEllie Mertzが、暫定CFOを務めた。

CNBCによると、Airbnbは二年続きでEBITDAベース(諸払い前)で黒字だった。

“Airbnbのミッションは、誰もがどこにいても構わない世界を作ることであり、今後も、数週数か月という頻繁なペースで、私たちの仕事のアップデートを続けていく”、と同社は今日(米国時間11/16)のメモで述べている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa