開発者と企業を繋ぐHackerRankがコンピューターサイエンス学習ツールのMimirを買収

企業の人事に代わって求職しているデベロッパーのプログラミング能力を面接試験したり、面接の練習ができる人気サービスHackerRank(ハッカーランク)が米国時間12月17日、コンピューターサイエンス学習のコースツールを提供しているMimir(ミーミル)の買収を発表した。これはHackerRankにとって初めての買収となるが、現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校やパデュー大学、オレゴン州立大学、ミシガン州立大学などの大学、そしてGoogleのような企業がMimirを利用している。

HackerRankによると、Mimirのクラスルームプロダクトは当面サポートを継続する。2020年の第二四半期には、両社を組み合わせた最初のプロダクトがリリースがされる予定だ。

HackerRankの共同創業者でCEOのVivek Ravisankar(ヴィベック・ラビサンカル)氏は、「HackerRankは教授や学生や顧客と密接に協力して、学生デベロッパーによるスキルの習得と改良、評価を助け、コース学習からキャリア形成の過程まで支援している。今回の買収によって、学生たちは正規の大学教育と実際的なスキル評価の両方を取得できることで、成功のための強力なキャリアを築くことができるだろう」と述べている。

両社とも買収の財務的詳細を明かさないが、インディアナ州に本拠を置くMimirはこれまで総額250万ドル(約2億7000万円)を調達し、買収時には3名の役員を含めて8人の社員がいた。

両社が強調するのは、どちらもさまざまなバックグラウンドを持つデベロッパーが、学歴の有無などを問わず平等に職を競えるプラットホームであることだ。HackerRankの主張では、同社の既存サービスとMimirのクラスルームツールを組み合わせれば、コンピューターサイエンスのクラスルームと、市場で最も総合的なデベロッパー評価プラットホームの両方を提供できるため、学生たちは現実的なプログラミングに向けて順部することが可能で、大学側は学生の進歩をより正確に評価できるようになる。これにより、HackerRankは明らかに従来の学術世界へのリーチを伸ばし、また求人顧客企業のためのタレントプールも拡大できる。特にラビサンカル氏が念を押すのは、両社の合併によって学生たちがアカデミックな学習と市場での学習の両方を組み合わせられることだ。氏は「これで学生たちは、未来の職場が求めるスキルを確実に身にみつけられる」と述べている。

Mimirは必ずしも、大規模なオンラインコースのためのツールではなく、むしろ教師と学生によるプログラミングのプロジェクトと宿題の管理を助けることを主眼としている。そのため完全にオンライン化されているIDE(統合開発環境)があるし、Jupyter Notebookをサポートしている。また、小テストや宿題を作る伝統的な教師用ツールもある。内蔵のIDEはPython、Java、Cなど40の言語をサポート し、また盗用を見つけるツールもある。

現在、Mimirのコース学習を使っているユーザーは15000人から20000人だが、HackerRankの登録デベロッパー数700万人に比べると相当少ない。ただしHackerRankの方は、非アクティブなユーザーも多いだろう。それに対してMimirのユーザーは、遅かれ早かれ雇用市場に現れてくる。

Mimirの共同創業者でCEOのPrahasith Veluvolu(プラハシット・ヴェルヴォル)氏は「Mimirはコンピューターサイエンス教育の秘密兵器と呼ばれており、デベロッパー教育に大きな違いをもたらしていく。HackerRankとの協業は、我々のミッションにおける自然な進化だ。顧客がプログラムをスケールできるようになると同時に、学生たちは他に類のないクラスルーム体験により、未来のキャリアに向けての準備ができる」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

世界最大規模の産業、建設業界の資金管理を改善するLevelsetが約33億円を調達

元請け建設企業の資金管理と決済サービスを提供するニューオーリンズのLevelsetのCEO Scott Wolfe(スコット・ウルフ)氏はそれまで、自分は食料品のビジネスをやるんだ、といつも思っていた。

彼の家族はニューオーリンズ界隈で食料雑貨店を何店舗か所有し、彼もその家族経営を継ぐと思っていた矢先、ハリケーン・カトリーナが襲った。

ファミリービジネスは大きな被害を受けたが、その一方で、土地や店舗などを開発する建設業に大きなチャンスがあった。1年も経たないうちに、ウルフ氏は事業の方向を災害復旧のための修理や新築に変え、建設業界で旗揚げすることになった。

そしてその際、ウルフ氏は1つの建設プロジェクトに関わってくる何百という建設関連中小企業のキャッシュフローと決済を管理する、ソフトウェアサービスのニーズも目にした。

そこで彼は、Levelsetを立ち上げた。

同社はこのほど、Horizons Venturesからの3000万ドル(約33億円)の資金調達を完了した。Horizonsは、世界的な大富豪である香港のLi Ka-shing(リ・カシン)氏の投資部門だ。

HorizonsのアドバイザーBart Swanson(バート・スワンソン)氏が、ニューオーリンズのテュレーン大学のエコシステム周辺に投資している共通の友人を介してLevelsetを知った時、彼はたちまち、こいつはHorizonsの投資委員会が理解してもらえる機会だ、と感じた。

スワンソン氏は 「これはグローバルな問題だ。建設企業の64%は、最初の5年以内に倒産する。助けを求める場所が、どこにもないからだ。特に困るのが、決済の遅滞や不能だ」という。

ウルフ氏によると、今ではLevelsetが課金と決済をデジタル化を担い、求職サイトで仕事を求めている個人や零細企業の評価をする。それにより、その建設プロジェクトが求めている職種を正確に見つけることができる。

さらにウルフ氏は「現場には常に大金が投じられているが、対照的に投資がほとんどないのが、オフィスで生じている楽屋裏のあれこれだ。しかし、現場に落ちている情報を拾い上げてそれをお金に変えることができるのは、経理や管理部門の人たちだ」という。

リ氏が抱える不動産開発企業、Cheung Kong Holdings(長江実業)などにとって、上記のようなLevelsetのソフトウェアの契約は大きな利益の機会だ。建設業界は、決済を迅速に処理するソフトウェアやサービスを欠いた零細企業の集団に支えられている。ペーパーワークによって失われる時間がプロジェクトに遅れをもたらし、結果的に元請けが負担する費用が増える。

このHorizonsのラウンドには、S3 VenturesやOperating Venture Capital、Altos VenturesそしてBrick & Mortar VenturesのDarren Bechtel(ダレン・ベクテル)氏が参加した。今回の投資により、スワンソン氏がLevelsetの取締役会に席を得る。

LevelsetとT-Sheets by Quickbooksが行なった最近の調査によると、半数以上の元請け企業が決済が遅れがちと回答し、キャッシュフロー(資金繰り)に大きな困難を抱えている。そして75%以上が、決済処理の透明性を求めている。確かに、大手会計事務所PWCが行なった運転資本に関する調査でも、建設企業の決済速度は全業種中で最遅である(83日以上)。

ウルフ氏は次のように声明している。「決済に要する努力と、元請けが背負うキャッシュフローのストレスは膨大である。この世界最大の産業は、大量の中小企業で満ち溢れており、彼らが我々の経済を支えている。従って、彼らがお金の心配なしで仕事できることは、経済全体にとって極めて重要である」

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

2019年に市場を去ったスタートアップたち

さまざまなタイプのスタートアップが、さまざまな理由で失敗している。しかし、1つ変わらないことがある。それはスタートアップでの成功は、信じられないほど困難な仕事だということだ。会社を起ち上げて成功させることは、適切に人々を動かし、見つけることだけではない(もちろんどちらも重要だ)。この世界で成功するためには、無数の幸運の星が完璧に整列する必要がある。

2019年の「市場を去ったスタートアップ」をざっと見た限り、昨年、2018年のTheranos(セラノス)における大炎上のような派手なストーリーを持つ企業は見つからない。セラノスはベストセラー書籍やドキュメンタリー、ポッドキャストシリーズを生み出し、Adam McKay(アダム・マッケイ)氏とJennifer Lawrence(ジェニファー・ローレンス)氏の映画も近日公開される。ただし、MoviePassなどは近いとこまで行っているかもしれない。

どんな「セラノス」にも、有望な製品を擁する何十人もの勤勉なファウンダーがいて、ただただゴールテープを切れずにいる。さらに、どこがスタートアップで、どこがそうではないかにも議論の余地がある。ここでは、独立したスタートアップを対象にして、大企業で生まれたスピンアウトは含めないことにする。ただし、少なくとも1つ、廃業する前に大企業に買収されたスタートアップがある。

それでは本題に入ろう。2019年に店じまいしたスタートアップの中でも、特に大きくて興味深いものをいくつか紹介する。

 

Anki (2010 – 2019

調達総額:1.82億ドル(約200億円)

2013年、その若き有望なハードウェアスタートアップは新世代のスロットカー(溝のあるコースを走る模型自動車)をWWDC(Worldwide Developer Conference)の基調講演で披露した。新しい会社としてはかなりの栄誉だ。Appleは、iPhoneでOverdriveができることにより、その限界を押し広げたことに魅力を感じたに違いない。

3年後、Anki(アンキ)はCozmoを発売した。 その勇敢で小さなロボットは大々的な投資の賜物であり、元Pixarや元Dreamworksのアニメーターを雇い、ロボットの目に高度な感情を作り込んだ。2018年後半にはよく似ているが大人向けのロボットVectorを発売した。2019年4月、Ankiはそれまでに150万台のロボットと「数十万台」のCozmoモデルを販売していながら、会社をたたんだ。

 
Chariot (2014 – 2019

調達総額:300万ドル(約3億3000万円)、2017年にフォードが買収

Chariot (チャリオット)はシャトルバスのスタートアップで、通勤用のワゴン車軍団で大量輸送を再発明しようとした。経路は「クラウドソーシング」による投票で決定することになっていた。

2年前にこのサービスを買収したフォードは、2019年初めには終了させた。フォードは詳しい内容には触れず、「今日の輸送業界景観と消費者や都市の需要と供給は急速に変化している」とだけ語った。

 
Daqri (2010 – 2019

調達総額: 1.32億ドル(約145億円)

野心的で豊富な資金を得たARヘッドセットのスタートアップ、Daqri(ダクリ)は2019年9月に廃業し、在庫販売も完了した。大企業ユーザーの獲得に失敗したこの分野によく見られる会社の1つで、Magic LeapやMicrosoftなどのライバルとの競争にも敗れた。

一時、Daqriは将来のIPOに備えてある大規模な民間非公開株式投資会社と資金提供の交渉をしていたが、他のAR企業が直面する技術的課題が明らかになるにつれ、投資会社は手を引き交渉は決裂したとTechCrunchで報じた。悲しいかな、2019年に崩壊したAR企業はDaqriだけではない。

 
HomeShare

調達総額: 470万ドル(約5億1000万円)

HomeShare

HomeShare(ホームシェア)は、アパートの一室を分割した「マイクロルーム」のルームメイトをマッチングして急騰する住居費の問題に挑戦しようとした。同社によると3月時点で約1000人のアクティブな居住者がいた。

廃業にあたりHomeShareは、居住者に敷金は返却されないが、仕切りはそのまま持っていても、売ってもよいと語った。

 

Jibo (2012 – 2018/19

調達総額:7270万ドル(約80億円)

AnkiとJibo(ジボ)を見れば、2019年はコンシューマー向けソーシャルロボットにとって苦難の年だったことがわかるだろう。もっとも、この分野にとってすばらしい年があったことはない。少なくとも今までは。最初のAiboの悲しい死と同じく、Jiboの最期は愛するロボットの友達が息を引き取るのを見るという、驚くほど気の滅入る人間性を強調するものだった。Jiboは、4月に「一緒にいられた時間を心から楽しんだことを伝えたい。近くに置いてくれたことを本当に心から感謝している」とユーザーに向けて語った。

Jiboが死んだのは厳密には2018年末だったが、あまりにもドラマチックな最期だったので例外を設けた。クラウドファンディングは成功し、ベンチャー資金も十分にあったにもかかわらず、終末はやってきた。会社はほとんどのスタッフを解雇するはめになった。

 

MoviePass (2011 – 2019

調達総額: 6870万ドル(約75億円)、2017年にHeliosとMathesonが買収

Image: Bryce Durbin / TechCrunch

なんともはや、こいつはどこから話を始めればいいのかもわからない。今回のリストを作っていたとき、あるテッククランチャーはMoviePass(ムービーパス)が潰れたのは何年も前だと言い張った。それは(一部の政治行事にも似て)チケット・サブスクリプションサービスの大規模な列車転覆事故がスローモーションのように何年にもわたって起きたように思えたからだった。 TechCrunhでも何度も何度も記事を掲載した。

実際、大惨事は毎週起きているように見えた。資金を垂れ流し、サービスを制限し、ダウンを繰り返し、さらに借金を余儀なくされたこの会社は一種のゾンビ状態に入り、大規模なデータ漏洩も起こした。そうそう、資金を投じたJohn Gotti(ジョン・ゴッティ)氏の映画はもっと酷かった。その結果、MoviePassの崩壊は慈悲深い行為のように感じた。

 
Munchery (2010 – 2019

調達総額: 1.25億ドル(約137億円)

2019年最初のスタートアップスキャンダルには、かつてよく知られていたフードデリバリー会社、Munchery(マンチェリー)が関わっていた。同社が顧客に廃業が差し迫っていることを知らせるメールを送ったあと、契約メーカーの多くから糾弾された。Muncheryは終了寸前の時間を悪用し、支払うあてのない料理の配達を続けた。

同社による突然の崩壊をきっかけに、説明責任に関する議論が沸騰した。CEOと投資家が沈黙を続ける中、メーカーは説明を求めて泣き叫び、Muncheryの出資者の1つであるSherpa Capitalのオフィス前で回答と支払いを求める抗議運動まで起こした。

 

Nomiku (2012 – 2019

調達総額:14万5000ドル(約1600万円)

ベイエリアの調理器具スタートアップ、Nomiku(ノミク)は、12月に入って事業中止を発表した。同社は消費者向け真空調理器の分野を切り拓いたパイオニアだったが、市場がライバル製品の洪水になるのを見守ることになった。Kickstarterで複数のキャンペーンに成功して130万ドル(約1億4000万円)を集め、Samsung Venturesの出資を受け、レシピ事業への転換を図ったりもしたが、このスタートアップが生き残ることはできなかった。

「フードテック業界の様相は以前と大きく異なっている」とファウンダーでCEOのLisa Fetterman(リサ・フェッターマン)氏は、TechCrunchに語った。「フードテックとハードウェアがもっとホットで将来有望だった時期もあった。会社はいくつかの障害や課題を乗り越えることができると私は思っている。しかし、私の場合は破滅的な結果になってしまった」

 
ODG (1999 – 2019

調達総額: 5800万ドル(約63億円)

ARゴーグル分野のパイオニア、Osterhout Design Group(オステルハウト・デザイン・グループ、ODG)終了のニュースは1月第一週に訪れた。わずか数年前、この会社は5800万ドル(約63億円)の資金を調達した。それから1年もたたないうちに、同社は資金を燃やし尽くして社員に給料を払えなくなった。2018年初め、ODGは社員の半数を失い、社員に支払うための借金に走った。2019年初め、わずかに残った中心メンバーがFacebookとMagic Leapを含む大型IT企業数社による買収と特許の売却を待っていたが実現しなかった。

 
Omni (2014 – 2019

調達総額:3530万ドル(約39億円)

このスタートアップは物理的ストレージ会社としてスタートを切り、2019年5月にストレージ部門をライバルのClutter(クラッター)に売却して事業転換を図ったが失敗。リアル店舗が商品のレンタルと販売のビジネスを運用するためのソフトウェアプラットフォームを開発しようとしていた。

As part of the shutdown, roughly 10 Omni engineers were hired by Coinbase.

閉鎖にともない、約10人のOmni(オムニ)の技術者がCoinbaseに雇われた。

 
Scaled Inference (2014 – 2019

調達総額: 1760万ドル(約19億円)

共にGoogle出身のOlcan Sercinoglu(オルカン・セルシノグル)氏とDmitry Lepikhin(ドミトリー・レピキン)氏が設立したScaled Inference(スケールド・インファレンス)は、2014年、Googleなどの企業が社内で利用しているものと同様の機械学習と人工知能技術を開発し、誰にでも使えるようにクラウドサービスで提供する計画を発表して話題を呼んだ。野望は大きくFelics VenturesやTencent、Khosla Venturesなどの投資家を呼び込んだ。

残念ながら同社は最近になって事業閉鎖を余儀なくされた。前CEOのセルシノグル氏はTechCrunchに、商品力の不足で資金調達ができなかったのが閉鎖の理由だと述べた。「最後の最後までいろいろな選択肢を探し、チームも維持してきたが良い結果は得られなかった。ここにいたるまでのプロセスを社内で可視化できたことはよかった」と同氏は語った。

 
Sinemia (2015 – 2019

調達総額:190万ドル(約1億1000万円)

Sinemia

2019年はMoviePassスタイルのサブスクリプションサービス全般にとって厳しい1年だった。Sinemia(シナミーア)は最初の持続可能なライバルと見られていたが、アプリの問題や隠された費用、さらにはアカウント停止のポリシーにまつわるユーザーの苦情や訴訟に苦しめられていた。

そして4月、同社はアメリカでの事業終了を発表した。正確に表現すると、全事業を終了するとは言っていないが(スタッフの多くはトルコを拠点にしている)、同社はウェブサイトへはそれ以降、アクセスすることができない。

 
Unicorn Scooters (2018 – 2019

調達総額:15万ドル(約1600万円)

Unicorn Scooters(ユニコーン・スクーター)は、2018年の熱狂的な電動スクーターブームで最初に死を迎えたスタートアップの1つだが、もちろん最後ではなかった。同社はFacebookとGoogleの広告に資金を投入しすぎたために、受注済みだった699ドル(約7万7000円)のスクーター300台以上の返金に充てる資金が残っていなかった。

あまり適切とはいえない名前のUnicornはY Combinator(Yコンビネータ)を卒業してからわずか数カ月後に会社をたたんだ。おそらくY Combinator出身者で最も速い卒業後の廃業だろう。「残念ながら広告費用は持続可能なビジネスを構築するには高すぎた」とUnicornのCEO Nick Evans(ニック・エバンス)氏が述べたとThe Vergeは報じた。「アメリカ全土で天候が寒くなったこと、そして他社のスクーターが数多く市場に出てきたことで、Unicornの販売はますます難しくなり、宣伝費がかさみ顧客は少なくなるという結果を招いた。

 
Vreal (2015 – 2019

調達総額: 1500万ドル(約16億円)

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via @VrealOfficial twitter

Vrealは野心的なゲームストリーミング・プラットフォームで、ライブストリーマーがプレイする世界をVRユーザーが探索できる仕組みの提供を目指していた。ユーザーはストリーマーの周辺をアバターになって散策したり、ストリーマーがゾンビを倒す音を聞きながらオブザーバーとして自ら探索することもできる。

「残念ながら、VR市場はみんなが期待したスピードで発展することはなかった。しかし、我々は間違いなく時代の先端を進んでいた」と同社はブログに書いた。「その結果、Vrealは事業を閉鎖し、我々のすばらしいチームメンバーは別の道へ進むことになった」という。

 
関連記事:2018年に市場を去ったスタートアップたち

 
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AIによる分散システム「Ray」を開発するAnyscaleが22億円超を調達

オープンソースは今や現代のソフトウェアの重要な要素だ。米国時間12月1日、新たなスタートアップがステルスを脱してオープンソースの新しい分野を商機にしようとしている。人工知能や複雑な科学計算など大規模なコンピューティングのプロジェクトで近年多く利用されている、分散アプリケーション環境の構築と管理という分野だ。

カリフォルニア大学バークレー校で分散プログラミングのフレームワークProject Rayを作ったRobert Nishihara(ロバート・ニシハラ)氏とPhilipp Moritz(フィリップ・モリッツ)氏、Ion Stoica(イオン、ストイカ)氏、そして教授のMichael I. Jordan(マイケル・I・ジョーダン)氏らのチームが今回創業したAnyscaleは、このほどAndreessen HorowitzがリードするシリーズAのラウンドで2060万ドル(約22億5500万円)を調達した。これには、NEA、Intel Capital、Ant Financial、Amplify Partners、11.2 Capital、そしてThe House Fundが参加した。

同社はこの資金を使って、初めての商用製品を作るつもりだ。その詳細はまだ明かされないが、一般化した言い方としては、コンピューティングのプロジェクトを1台のラップトップからマシンのクラスターへと容易にスケールアウトできる仕組み、そしてプロジェクトを管理するための一連のライブラリやアプリケーションが含まれるようだ。ローンチは来年を予定している。

ストイカ氏はインタビューで「現状ではRayをアプリケーション構築のスタンダードにすることに注力している。Rayのためのツールやランタイムプラットホームを作ることになるだろう。つまり、Anyscaleのその新しいプロダクトを利用すれば、Rayのアプリケーションを安全にハイパフォーマンスで動かせるというわけだ」と語る。

今回の投資の一部は、企業の戦略的投資でもある。たとえばIntel(インテル)は、AmazonやMicrosoft、Ant Financialなどと並んで自社のコンピューティングプロジェクトのためにRayを使ってきた大企業のひとつだ。

インテルのIT部門のエンタープライズ&プラットフォームグループでCTOを務めるMoty Fania(モティ・ファニア)氏は声明で「IntelのIT部門はRayを利用してPythonのワークロードをコードをほとんど書き換えずに大規模化している。Intelの生産と検査の工程に実装してわかったのは、個人化されたチップテストを作るために使うハイパーパラメータ選択のテクニックとオートモデリングの工程でRayがスピードとスケールを増大してくれることだ。それによって、コストを下げ、工程の容量と質を上げることができた」とコメントしている。

Rayのユーザーリストにはそうそうたる企業が名を連ねているが、でもAnyscaleの目的は何だろうか?ストイカ氏とニシハラ氏の説明では、Rayを実装するためのもっとシンプルで容易な方法を作ることが目的だ。それによってRayを、Amazonのような世界的企業でなく、もっと技術力の弱いほどほどの企業でも使えるようにしたい。

「エキスパートのエンジニアがいない企業では、それがとても重要なことだ」とストイカ氏は語る。Anyscaleが解決する問題は、未来の大規模で複雑なコンピューティングには必ずつきまとう。コンピューティングによる解を求める問題が目白押しで並んでいるが、その中には1台の大型計算機では扱えないものがある。たとえばAnyscaleが挙げるIDCの推計によると、2025年に生成され処理されるデータ量は175ZB(ゼタバイト、1ZB=1兆TB)に達する。

これだけのスケールでも、未来の量子コンピューターには平気かもしれないが、現在の現実的なオプションとしては、分散コンピューティングが妥当なソリューションだ。Rayは分散コンピューティング環境を実装するために用いるスタンダードとして考案されたが、でもそれ自身が技術的に相当高度で、使いこなせる人は限られている。

ニシハラ氏はこ「あなたが生物学者でも、シンプルなプログラムを書いて大きなスケールでそれを動かすことはできるだろう。でもそれがうまくいくためには、生物学の専門知識だけでなく、コンピューティングの専門知識も要る。そしてそれが、越えがたい高い障壁になる」と説明する。

AnyscaleやRayを作った人々は、過去にこれら以外にも優れた業績があり、今の大規模分散コンピューティングの問題解決にとって彼らは適任だ。例えばストイカ氏はDatabricksやConvivaの共同創業者であり、Apache Sparkの最初のデベロッパーの一人でもある。

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はインタビューで、「IonでDatabricksを扱い、それで縁ができた」と語る。Ionはバークレー校で生まれるプロジェクトに頻繁に投資していた。そしてRayとAnyscaleは、現在のコンピューティングのニーズによく応えていると感じた。「Rayはオープンソースである点が非常に魅力的だったが、それが解決しようとしている問題が重要だった」と彼は述べている。

「ムーアの法則は終わったとみんな嘆いているが、重要なのは人工知能のアプリケーションにとってはそんなの関係ないという点だ。必要とするコンピューティングパワーがますます増大しているから、今や一つのマシンの性能を云々する時代ではない。みんなが分散コンピューティングをマスターしなければならないが、でも今それが得意なのはGoogleぐらいで、ほかのみんなにとって分散コンピューティングは難しい。我々は、この問題の解を求めていたのだ」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a.hiwa

最大荷重約200kg、小型航空機のようなPykanoドローンで大農場の農薬散布を自動化する

現代の農業は、農地が圧倒的に広大なので、噴霧などの作業も非常に難しい。そこでPykaは、もっぱら人力に頼っていたその仕事を翼のある自動運転の電動航空機にやらせることにし、しかも規制当局からの認可まで取得した。

DroneSeedで見たように、噴霧などの作業を行うための飛行はとても危険だ。地表すれすれを飛ばなければならないし、しかも地面以外の障害物もある。しかしそれは、自動化に適した作業でもある。いくつかの飛行パターンを、何度も何度も繰り返す作業だからだ。

Pykaのやり方は、ドローンでよく行われている方法とは異なっている。ドローンを用いる場合、その方法は複数の回転翼による操縦のしやすさと離着陸の容易さを活かす傾向にあるが、しかしながら、ドローンは大農場に散布に必要な大量の農薬などを搭載できない(残念ながら)。

Pykaが作った航空機は、従来からある薬剤散布用の単座機に似ているが、コックピットがない。3枚のプロペラを持ち、内部スペースのほとんどは、荷物とバッテリーを搭載するために使われている(最大荷重約200kg)。もちろん自動飛行のために、一連のセンサーシステムとコンピューターも搭載している。

Pykaの平地離陸距離はわずか50メートルなので、わざわざ滑走路を作ったり、遠方から目的の農地までの長距離をフライトしてエネルギーを浪費することもない。面倒といえばバッテリーの交換だが、それは地上のクルーがやってくれる。地上クルーはフライトコースの決定も行うが、実際の飛行経路選択と一瞬の判断は搭載されたコンピューターが担当する。

人間の入力がなくても障害物を見分ける航跡の例

このEgretと呼ばれる飛行機の噴霧能力は、1時間約100エーカーで、ヘリコプターとほぼ同じだが、自動運転航空機なのでその精度は高く、より低空をフライトできる。難しい操縦を人間が行わないため、その点でも安全だ。

さらに重要なのは、国のお墨付きがあるということだろう。Pykaの主張によると、同社は世界で初めて、電動の大型自動操縦航空機の商用化を認められた企業だ。小型ドローンはあちこちで承認されているが、EgretはPiper Cubといった従来の小型航空機のサイズに近い。

ただし航空機だけに関してはそれで良いが、大規模展開については他の問題もある。航空管制や他の航空機との通信、それに関連した機体の認可条件、センサーの能力と回避能力の長距離化などがそれになる。しかしPykaのEgretは、これまでに試験農場で何千マイルもフライトしているため、特別に認可を取得することができた。なお、Pykaは同社のビジネスモデルや顧客、売り上げに関しては口をつぐんでいる。

同社の創業チーム、Michael Norcia(マイケル・ノルチャ)氏、Chuma Ogunwole(チュマ・オグンウォル)氏、Kyle Moore(カイル・ムーア)氏、そしてNathan White(ネイサン・ホワイト)氏らは、いずれも関連分野のさまざまな有名企業の出身。それらはCora、Kittyhawk、Joby Aviation、Google X、Waymo、Morgan Stanley(の元COO)などだ。

同社の1100万ドル(約12億円)のシードラウンドをPrime Movers Labがリードし、これにY Combinator、Greycroft、Data Collective、そしてBold Capital Partnersが参加した。

画像クレジット: Pyka

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

2019年末、主観で選んだ注目の若手スタートアップ10

筆者はベンチャーキャピタリストではない。テレビでベンチャーキャピタリストを演じたりもしていない(頼まれればやるかもしれない)。筆者はTechCrunchの編集者として、またStrictlyVCという毎日のニュースレターを通して、あるいはそれ以前も多くのメディアで(雑誌Red Herringの初期を覚えている方はいるだろうか)、何年もスタートアップを担当してきて、目を引くスタートアップというものを見てきた。

筆者の興味をそそるものが将来の成功要因になるとは言わない。優れたアイデアがあっても多くの場合、進んでお金を払う顧客たちを数多くを見つけることはできない。管理不足や不運、古き良き競争のために死んでいくスタートアップもある。筆者が紹介するのは、筆者や読者にもっと時間があったならリストアップしたであろう多くのスタートアップのうちの、ほんのわずかなサンプルにすぎない。

筆者はかなり若い企業に焦点を絞った。現時点ではほとんどがシードラウンドで、過去数カ月で資金調達について開示したスタートアップを選んだ(1社例外あり)。業界や市場はさまざまだ。

意図していないのだが、興味深いのは選んだスタートアップにベイエリアに拠点を置く会社が少なかったことだ。ベイエリアは多くの点ですばらしい地域だが、才能やアイデアに関して、以前の優位性を失いつつある。

筆者が選んだ10の優れたスタートアップは以下の通り

Xilis 
ノースカロライナ州ダーラムにあるXilis(ジリス)は1219日、マイクロ流体オルガノイド技術の研究を続けるため、300万ドル(約33000万円)のシードラウンドを発表した。マイクロ流体オルガノイド技術とは何か。同社の技術により、単一のがんの生検から1万個の微小腫瘍を生成し、どのがん治療が患者に効果があるのか、またはないのかを検証し、その患者にとって最も効果的な治療法を発見する時間を短縮するという。果たしてその技術でがんを治すことができるのか。それは誰にもわからない。同社は腫瘍学者であるデューク大学教授が創業した。同社はすでに臨床試験で成功を収めているという。筆者の同僚のJonathan Shieber(ジョナサン・シーバー)がここで同社について書いた。

参考:より効果的ながん治療に向けXilisが微小な腫瘍の培養技術を開発中

Terradepth
Terradepth(テラデプス)は、テキサス州オースティンに本拠を置く創業16カ月の会社で、2人の元海軍SEALs(特殊部隊)隊員が創業した。自動潜水艦を使用して、Data-as-a-Serviceの形態で深海情報の提供を目指す。筆者は多くの業界で使用機会があると思っている。Terradepth(テラデプス)は、ハードウェア企業であるSeagate Technologyがリードしたラウンドで800万ドル(約87000万円)を調達したばかりで、多くの競合他社がいるが、筆者はこのアイデアが方向性として気に入っている。取り組む価値があると思う。海は地表の約70%を覆っているからだ。Darrell Etherington(ダレル・イサリントン)が12月中旬に書いた。

参考:深海調査のための自動運転深海艇を運用するTerradepthが約8.8億円を調達、創業者はNavy SEALs出身

Apostrophe 
カリフォルニア州オークランドに本拠を置く8年目の皮膚科の遠隔医療のスタートアップ、Apostrophe(アポストロフィー)は、電話で処方や治療を受けることを可能にする。同社は、SignalFireがリードし、FJ Labsも参加したシードラウンドで今月初めに600万ドル(約65000万円)を調達したことを発表した。皮膚科の遠隔医療会社は少なくとも半ダースはある。筆者は、最も良い会社がどれか、などと知ったかぶりをするつもりはない。皮膚は人間にとって最大の臓器であり、成層圏オゾンの減少により地表に到達する紫外線が着実に増加しつつある中で、迅速かつ便利に皮膚の検査できるというのは理にかなっている。ところで、同社が具体的にどうお金を稼いでいるのか疑問に思う向きもあるだろう。同社には通信販売薬局もある。Jordan Crook(ジョーダン・クルック)がここで同社について書いている。

参考:スマホでニキビの診察や薬の処方を受けられるApostropheが約6.5億円を調達

Conservation Labs 
ペンシルベニア州ピッツバーグを拠点とする創業3年半のスタートアップ。Conservation Labs(コンサベーション・ラボ)の技術は、建物のパイプから測定データを取得し、信号に変換して水流の推定値を計算し、水漏れを検出する。同社はAmazon Alexa Fundなどの投資家から、シードラウンドで170万ドル(約19000万円)を調達した。筆者は、世界やビルの所有者に貢献する点、そして産業の規模が非常に大きい点も良いと思う。同社自身も注目しているように、米国だけでも毎年3兆ガロン(11兆リットル)以上の水が失われており、それは金額にして700億ドル(76000億円)に上る。

Aircam 
人は虚栄心が強く、せっかちだ。その2つの観点から、非常に表層的なレベルではあるが、筆者は創業約2年のカリフォルニア州サンタモニカに拠点を置くスタートアップ、Aircam(エアカム)が好きだ。結婚式やパーティーなどのイベントでプロの写真家が撮った写真に誰でもすぐにアクセスできるようにする。創業者兄弟が前の会社をAppleに売却したことは、ある程度の信頼につながっている。同社はシードラウンドで650万ドル(約7億円)を調達した。ラウンドはUpfront Venturesがリードし、Comcast Venturesも参加した。Anthony Ha(アンソニー・ハ)が先月それについて書いた。

参考:イベント写真共有のAircamがシードラウンドで約7億円を調達

BuildOps 
BuildOps(ビルドオプス)は、カリフォルニア州サンタモニカを拠点とする創業1年半のスタートアップで、商業不動産に関わる中小下請業者向けのフィールドサービスおよびビジネスプロセスソフトウェアプラットフォームのメーカー。この秋のクロージングを含めて2つのトランシェからなるシードラウンドで580万ドル(約63000万円)を調達した。BuildOpsは、商業不動産建設業界でシェアを奪おうとしている驚くべき数が存在するスタートアップの1つであり、米国だけでも業界規模は毎年数千億ドル(数十兆円)に上る。同社は参入プレーヤーがいない市場セグメントもターゲットにしている。多くの建築家、不動産所有者、大規模なゼネコンはすでに既存のソフトウェアパッケージを使っているが、ビルに関わる中小請負業者や下請業者は通常、個別にオペレーションを回している。そのため建物の所有者も同様に、同社のソフトウェアを使えば利便性が高まる可能性がある。このソフトウェアは全体像を提示するため、不必要な工程、コミュニケーションミス、それらに伴う無駄な費用を回避できる。Jonathan Shieber(ジョナサン・シーバー)が記事を書いた。

Medinas
Medinas(メディーナ)は、カリフォルニア州バークレーに本拠を置く創業2年のスタートアップで、再利用可能な医療機器のマーケットプレイスを目指す。現在は、通常、機器を扱う会社が昔ながらのやり方で販売予定の再利用可能機器をリストアップした上で、直接販売している。Medinaの方法は、何十もの医療センターと協力して、所有しているもの、必要なもの、捨てる必要があるものに分類し、機器の簡易検査から出荷、再度の据え付けまで、販売のあらゆる側面をカバーする。市場は驚くほど大きく、ある市場調査グループによるとその規模は約380億ドル(約4兆円)に上る。Crunchbase News10月に同社について書いたように、筆者は同社が機器を必要とする発展途上国を支援していることも気に入っている。CTスキャナーがカンボジアに、人工呼吸器がインドに、除細動器がメキシコに送られる様子を想像して欲しい。同社は、数カ月前にNFXがリードしたシードラウンドで500万ドル(約5億円)を調達した。

Mable 
ボストンに本拠を置く創業1年の卸売商取引プラットフォーム、Mable(メイブル)は、小さな食品小売店が地元のブランドや新興ブランドを店の棚に置けるよう支援しようとしている。古臭く、つまらないビジネスに聞こえるが、ビジネスチャンスは豊富であり、創業者のArik Keller(アリック・ケラー)氏の見込みも同じだ。同氏の前の会社はFacebook買収された。小規模から中規模の食料品店、ブランド、流通業者は、約15万の独立系の食料品店およびコンビニエンスストアで構成される6500億ドル(約71兆円)の市場の一部だ。中小食料品店のほとんどは、電話、メール、テキストメッセージで商品を仕入れて、棚に在庫を補充している。ケラー氏は元PayPalのプロダクトディレクターで、後に食料品店を買収した。同氏は、中小食料品店のオーナーらに、仕入れ管理に役立つモバイルアプリを使うよう説得できれば、彼らの生活をより楽にし、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)などの大企業などに対抗する力を高めることができると考えた。Mableの収益に関して言うと、一部の食料品店は同社のサービスに対して月額料金を支払う。それ以外の場合、新しい専門食品会社などのブランドから手数料を得て、新しい店舗への進出を支援している。同社はこれまでシードで310万ドル(約34000万円)を調達した。

Phylagen 
サンフランシスコに拠点を置く創業4年半になるデータ分析のスタートアップ、Phylagen(フィラゲン)は、食品から繊維、偽造品まで、あらゆるものの微生物マップを作成して、モノの由来を判定する。基本的な考え方は、モノの「DNAの足跡」を探り当てること。製品(およびパッケージ)に付着する細菌、真菌、花粉の固有の組み合わせを意味する。同社が狙う市場機会は大きくかつ成長している。Allied Market Researchによると、来年までに食品トレーサビリティ市場だけで140億ドル(約15000億円)の市場になるとの見込みだ。注目に値するのは、同社の資金調達の「旅」が少し進んでいることだ。CultivianSandboxBreakout VenturesWorking Capitalなどが参加した今年初めのシリーズA1400万ドル(約15億円)で完了した。

Bunch
サンフランシスコに拠点を置く創業2年半のスタートアップ、Bunch(バンチ)が開発したアプリは、ダウンロードすると、モバイルゲームをしている友人とオーディオチャットやビデオチャットができる。一見すると、「軽い」アイデアだと思うかもしれない。例えば、合成ポリマーから血管シーラントを開発しており、資金調達が進捗を見せているTissium(こちらもかなりきちんとした会社だ)と比べて欲しい。だが、人と人とのつながりが希薄になりつつある現代社会で、このアプリは娯楽だけでなく健康の観点からも幅広い魅力を持つ。社会的つながりが寿命を伸ばすことを示す研究は後を絶たない。Bunch(バンチ)が、SupercellTencentRiot GamesMiniclipColopl Nextなどのトップゲームメーカーから11月のシードラウンドで385万ドル(約42000万円)を調達したことにも大きな意味がある。というのも、具体的には今回のラウンドの参加企業は、同社を競争相手とみなしているのではなく提携相手と考えているからだ(筆者はそう思っている)。Jordan Crook(ジョーダン・クルック)がこれについても書いている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Rippleが約220億円を調達して国際決済における暗号通貨XRPの普及に注力

暗号通貨を利用して国際送金サービスを提供しているRipple(リップル)が、シリーズCで2億ドル(約220億円)を調達した。ラウンドをリードしたのはTetragon、これにSBIホールディングスとRoute 66 Venturesが参加した。Fortune誌によると、同社の評価額は現在100億ドルである。

RippleのCEOであるBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)氏は、発表声明で「現在の財務状況はとても良いので、私たちのビジョンは達成できる。ブロックチェーンの分野は成長が鈍化したり閉鎖したところも多いが、当社は勢いを加速し2019年全体を通じて業界のトップだった」と述べている。

Rippleが力を入れているのは、国際決済などの送金業務で、独自のブロックチェーンXRP Ledgerを持つ暗号通貨XRPをそのために用いている。XRPトークンの現在の時価総額は、bitcoinとEthereumに次いで3番目に大きい。

CoinMarketCapによると、XRPトークンの時価総額は現在84億ドル(約9200億円)だ。XRPは分散型の暗号通貨だが、時価総額のかなりの部分をRippleがコントロールしている。保有していることそれ自身に価値がある。Rippleは2019年の第三四半期には、XRPトークンで6624万ドル(約72億円)を売却した

Rippleは、暗号通貨(そして特にXRP)は国境を越える取り引きに大きな便宜をもたらす、と考えれれている。そして暗号通貨は、従来の外為ソリューションに比べて安価で手続きが迅速である可能性があります。

同社は金融機関に、国際決済のためのバックエンド通貨をRippleNetに切り替えるよう、説得してきました。

RippleNetには現在300の顧客が存在し、特にRippleは送金サービスMoneyGram(マネーグラム)の株を10%取得して、同社が少なくとも部分的にRippleNetに切り替えるよう促している

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

デンタルケア用品のBurstが専門家たちと協力しハイテクフロスを開発

とってもかわいい歯ブラシを販売しているサブスクリプションのデンタルケアサービスを提供するBurst(バースト)が、毎月届くキットに、とても使いやすいデンタルフロスを追加した。

ロサンゼルス生まれの歯の衛生専門サイトは、成長資金の投資企業Volition Capitalから2000万ドル(約22億円)を獲得し、Quip(キップ)などの競合他社とは違うやり方で消費者に接近しようとしている。

Burstは歯科衛生士や歯科医たちのネットワークと協力して流通チャネルを開拓し、新製品の販売や新製品開発に対する意見も聞いている。現在、2万名以上ものデンタルヘルスのプロフェッショナルがBurstの販売チャネルとして協力している。Burstは彼らと利益を共有し、これまでに約350万ドル(約3億8000万円)を配布した。

今回のデンタルフロスも、エキスパートのネットワークとのパートナーシップがあったからこそ開発できたものだと言える。

BurstのCOOであるBrittany Stewart(ブリタニー・スチュワート)氏は「たしかに、市場に安くて良い電動歯ブラシがないという状況はあるが、Burstが成功したのは、歯科医療や歯科技術のプロたちとの非常に強力なパートナーシップのおかげだ。製品の開発からテスト、ネットワークでの共有など、すべての段階でBurstのアンバサダーたちが手伝ってくれる。歯のプロたちが自主的に草の根運動を熱心に続けてくれていることが誇りだ。彼らは古くさい業界の現代化に、我々と同じくらい情熱を傾けている」と語る。

新製品であるミントとユーカリ味の木炭でコーティングしたデンタルフロスは12ドル99セント(約1400円)。交換用のフロスは毎月6ドル99セント(約770円)で郵便受けに届く。

Volition Capitalの共同創業者でマネージングパートナーのLarry Cheng(ラリー・チェン)氏は「Burstの創業者たちに初めて会ったとき、彼らが根本的な変化が期待されている業界に変革を起こす特殊な能力を持っていることがすぐにわかった。彼らのビジョンにも感銘を受けた。さらなる成長の機会を探りながら、製品開発の能力も高く、アンバサダーのネットワークを持つ彼らの強みを活かし、成長路線にすでに乗っていた彼らを支援したいと考えている」と述べている。

画像クレジット: Burst

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

英国のHuelが栄誉補給バーを米国で発売へ

欧州で栄養補充バーやサプリメント、食事代替シェイクなどの食品を展開しているHuel(ヒューエル)が、その栄養補給バーの米国販売を考えている。同社はさまざまなバーを欧州で取り扱ってきたが、米国にはまずチョコレート味と塩キャラメル味を持ち込む。

このバーは、27種類のビタミンとミネラルを含み、1本あたり200カロリーある。それらをネットで15本入り1箱28ドルで販売している。バーの原料は、オーツ(燕麦)の粉や挽いたもの、エンドウ豆、玄米のたんぱく質、ココアの粉、ココナッツ、デーツのシロップ、アマニ、そして各種のビタミンとミネラルだ。これまで同社は、世界の80カ国で5000万個のシェイクやパウダー、バーを販売してきた。

Huelの共同創業者でCEOのJulian Hearn(ジュリアン・ハーン)氏は「パウダーやドリンクは前から米国でも販売しており、しかも売り上げは全国的に急速に伸びている。今度はHuel Barで勝負したい。このバーはとてもユニークで、おいしいだけでなく栄養補給になるので、食間や外出時に食べるのに適している」。

米国では栄養サプリメントや食事代替製品がビッグビジネスだ。2017年にはKellogg(ケロッグ)がRxBarを6億ドルで買収したが、それは同社の業績を大きく押し上げた。シリアル食品の販売が落ち込んでいる中で、それを補って余りある売り上げだった。

米国で食事代替製品の市場を若返らせたスタートアップの寵児であるSoylent(ソイレント)は、新しい原料配合と売り方でシリコンバレーのプログラマーたちに人気があるが、同社もやはり栄誉補給バーを開発している

関連記事:スナックバーの破壊的創造、完全食を目指すSoylentが米国1兆円規模の市場に参入

画像クレジット: Huel

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

子供の足をスマホで計測できるマーケットプレイス運営のJenzy

フィラデルフィアで女性が設立するスタートアップの中でも、Jenzy(ジェンジー)ほど大きな期待を抱かせるものはないだろう。オンラインマーケットプレイスと子供の足のサイズを計るバーチャル計測サービスを提供する企業だ。

モルガン・スタンレーのMulticultural Innovation Lab(マルチカルチュアル・イノベーション・ラボ、多文化イノベーション研究所)から125万ドル(約1億3700万円)の投資を受けたこの企業は、絶望から生まれ、2つの大陸で育てられた。

Eve Ackerley(イブ・アケリー)氏とCarolyn Horner(キャロリン・ホーナー)氏の2人の共同創設者は5年前、中国の雲南省の別々の場所で英語教師をしていたときに出会った。物が買える店が少なかったため彼女たちはネット通販に頼っていたのだが、靴を探していたときネット通販の最大の欠点に気がついた。適切なサイズの靴を見つけられないことだ。

写真に向かって左から、Jenzyの共同創設者であるキャロリン・ホーナー氏とイブ・アケリー氏

米国に帰ってきても、その記憶は2人から離れなかった。そこで彼女らは、スマートフォンだけで足のサイズが測れるアプリケーションの開発に着手し、小売店と協力して、女性が自分の足のサイズを正しく知り、適正な靴が買える仕組みを作った。

このアイデアが発展し、初めて会社を設立したこの2人は、靴の購入が厄介なのは大人ばかりではないことに気がついた。正しいサイズを知ることと適切な靴が買えるマーケットプレイスは、子供にこそ必要だと。

「私たちの事業でもっとも独創的な部分は、プラットフォームで扱われるすべての靴を標準化したことです」とホーナー氏は言う。

Jenzyは、コンバース、サッカニー、ケッズといったブランドと共同で、足にぴったり合う子供靴を提供している。「子供は、片方の足のサイズが6で、もう片方が7ということもあります」とホーナー氏。Jenzyなら、それぞれの足にぴったりの靴が届く。「Jenzyで計測すれば、確実に正しいサイズの靴が届けられるよう、卸売業者と協力しています」。

小売店にすれば、大きな負担となっている部分を削減できる。この業界では返品率は30%にのぼるが、Jenzyなら15%まで減らせるとホーナー氏は言う。この節約幅は110億ドル(約1兆2000億円)産業にとって非常に大きいとホーナー氏は見積もっている。

Jenzyは、最初のバージョンのアプリを2017年7月に提供開始したが今年の初めにアップデート版をリリースした。ホーナー氏の概算では、5月から今日までに同社は2万5000の足を測定し、アプリのダウンロード数は1万5000に達するという。

「この計画は、中国から戻った後でも、まだ私たちの興味が続いているかを確かめるものでした」とホーナー氏は会社設立時を振り返って言った。

当初2人は、カリフォルニアにあるアケリー氏のパートナーの自宅で作業していたが、後に子供靴に方向転換すると、ベータテスターたち(子だくさんのホーナー氏の家族だ)と密接に仕事を進めようと、フィラデルフィアに移った。

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(翻訳:金井哲夫)

企業をDDoS攻撃から守るフランス拠点のEfficientIP、CiscoやVMwareもパートナーに

フランスのEfficientIPはネットワークのセキュリティとオートメーションが専門で、このほどパリのJolt CapitalからシリーズBで1100万ドル(約12億円)を調達した。この投資は主に同社の国際進出のために使われる。

EfficientIPのソフトウェアはDNSの問題を見つけるが、それらはDDoS攻撃の原因になることが多い。DDoS攻撃は、ネットワーク上の攻撃の中でも最大のものだ。同社のプラットホームは、IPのインフラストラクチャの基礎的部分の信頼性を高め、よりアジャイルに、そしてよりセキュアにする。

EfficientIPのCEOであるDavid Williamson(デビッド・ウィリアムソン)氏は「今日得た資金で、グローバルな拡張を加速できる。DDIソリューションの市場機会は成長しており、うちは営業力を強化してその機会に乗じて需要に応えたい。また未来の顧客ニーズを満たすためにはさらなるイノベーションが必要だ。テクノロジー企業の成長を支えてきた強力な実績のあるJolt Capitalの支援を得たことは、今のような成長段階にとって理想的なパートナーシップだ」と語る。

EfficientIPのエコシステム形作っているパートナーシップには最近、CiscoやVMware、ServiceNowが加わった。競合する北米企業としては、評価額7億4000万ドル(約810億円)で1億2000万ドル(約131億円)を調達したInfobloxや、シリーズBラウンドで1680万ドル(約18億3800万円)を調達したBlueCat、シリーズCで7800万ドル(85億3600万円)を調達した新人のNS1などだ。

Jolt CapitalのパートナーであるGuillaume Girard(ギヨーム・ジラール)氏は「EfficientIPにはかねてから目をつけていたが、常に意欲的な成長プランを達成していく能力には感心していた。EfficientIPは我々の投資ターゲットとしても完璧であり、最先端のソリューションを可能にするディープテックの強力な能力と、モチベーションの高いトップレベルのチームが、急速に拡大中の市場で結びついている。Fortune 500社を顧客の軸として市場における存在感を増しているから、EfficientIPは今後も強力に成長していくだろう」とコメントしている。

画像クレジット: Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

水や大豆、天然の香辛料を使うDaring Foodsの植物由来チキン、英国から米国に進出へ

現在、肉を使わないバーガーにはいろんな製品や種類がある。しかし、本当に健康にいいものはどれだろうか?Daring Foods(ダーリン・フーズ)がもうすぐ、そんな製品を提供してくれるかもしれない。同社は5種類の遺伝子組み換えとは無縁な原料である、水、大豆、ひまわり油、塩そして天然の香味料(パプリカ、胡椒、ジンジャー、ナツメグ、メース、カルダモン)を使った植物由来のチキンを生産している。

Daring Foodsの共同創業者でCEOのRoss Mackay(ロス・マッケイ)氏は「世間の関心を呼ぶために、植物由来にこだわっているのではない。人々の生活の一部になりたくてやってるんだ。本当にヘルシーな植物由来の食品へのニーズは大きい」と語る。同社は今年の初めに、同社製品であるDaring Piecesの最初のバージョンを英国で発売した。

そして米国時間12月17日に同社は、英国の食品大手Rastelli Foods Groupから1000万ドル(約11億円)の支援を受けることを発表した。Rastelliは小売店などのほかにホテルやレストランにも食材を納めている企業だ。RastelliはDaringに対して、金銭だけでなくインフラや営業、流通面でも支援する。

Rastelliの支援を得たDaringは2月に英国で、ウェブサイトで消費者への直販を始め、レストランや小売店にも卸販売していく。また、同社は活動の中心を英国から米国に変えるために、本社をグラスゴーからニューヨークに移す。

CEOのマッケイ氏が私のためにランチを用意してくれた時に、Daring Piecesを試食する機会があった。調味料を使わずにフライパンで炒めただけで8分間で調理は終わった。彼は私にDaring Pieces のチキンらしさを感じるために手で食べることを勧めた。私はベジタリアンなのでチキンには詳しくないが、それでも本物に近い食感だと感じた。もう1ついただいたので家に持ち帰り、翌々日の夕食に食べた。

マッケイ氏自身もビーガンだが、同社のターゲットは「肉は食べるが植物由来のものがいい」と感じている一般消費者だ。彼によると、同社のチキンなどを植物性食肉の「第2世代の製品」したいと言う。第1世代よりも本格的にヘルシーで、日常的な食事に定着するような植物性食品を、彼は第2世代と呼んでいる。確かに、Daring Piecesは食感がとても軽い。また人工的な原料をまったく使っていないため、その点でも気持ちがいい。

関連記事: Seattle Food Tech looks to replace the chicken nugget with a plant-based copycat(航空宇宙技師から植物性チキンナゲットのスタートアップに転身、未訳)

画像クレジット: Daring Foods

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

深海調査のための自動運転深海艇を運用するTerradepthが約8.8億円を調達、創業者はNavy SEALs出身

海洋は、まだその多くが探検されていない。だからそこには、大量の貴重な情報が眠っていることだろう。海洋、中でも深海は、その地図の作成やデータの収集に、機器の操縦をはじめとして多くの人手を要し、費用が膨大なので、短期的な調査しか行われていない。

しかしテキサス州オースチンで元米海軍特殊部隊のNavy SEALs(ネイビーシールズ)にいた二人が立ち上げたTerradepth(テラデプス)は、自動運転の潜水艇を使ってこの状況を変えようとしている。それを適切な規模の船隊として展開すれば、深海に関する情報をサービスとして提供できるだろう。

同社は、ストレージのハードウェアを作っているSeagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)がリードするラウンドで、800万ドル(約8億8000万円)を調達した。同社はこの資金で、来年の夏には同社が持つ技術のデモンストレーションを実際の海域で行えるだろう。その後同社は、さらに規模を広げて潜水艇をネットワークでつなぎ、「Autonomous Hybrid Vehicles」、またはAxVと呼ぶ自動運転水中ロボットの船隊を運用するつもりだ。

同社の技術により潜水艇は自動運転で航行するため低コストで大規模運用可能で、そのデータは、元データや同社の機械学習システムが分析したデータ、あるいはクラウド上のサードパーティが分析したデータとして獲得あるいは提供できるとTerradepthは説明する。また彼らは沖合にある機器装置やリソース向けにマルチスペクトル画像や、監視データ、予報予測サービスなどを提供していきたいとしている。

Terradepthのチームには、共同創業者のJoe Wolfel(ジョー・ウェルフェル)氏とJudson Kauffman(ジャドソン・カウフマン)氏のほかに、ソフトウェアやハードウェア、それにロボティクスの専門技術者もいる。彼らの潜水艇は深海潜航と海面航行の両方が可能になっており、深海機と海面機が適宜コミュニケーションを行う。両方を同時に充電でき、集めたデータを人工衛星に送り、さらにデータセンターや顧客に中継できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

食事の出前サービスが4000億円超で買収された韓国は一流スタートアップ拠点になるかもしれない

ソウル、そして韓国はまだ誰も話題にしていない秘密のスタートアップ拠点なのかもしれない。中国のスタートアップ市場の規模と範囲があまりにも大きいために近隣国の韓国は小さく見られてしまいがちだが、ここ数年の様子から察するに、韓国は一流のスタートアップ拠点になれる、というかなるだろう。

その好例として、韓国を代表する食事の出前アプリ「配達の民族」、略して配民(ペミン)は先週、ベルリンのDelivery Hero(デリバリー・ヒーロー)からの驚きの40億ドル(約4380億円)の買収提案を受けたことを発表した。実現すれば、韓国のスタートアップ史上で最大のイグジットとなる。

この買収は、独占禁止法の審査を通過した後に決定する。なぜなら、Delivery Heroは配民の最大のライバルYogiyo(ヨギヨ)を所有しており、規制当局の承認が必要になるからだ。Delivery Heroは2014年にYogiyoの株式の過半数を取得している。

関連記事:Delivery Heroが韓国の強力なライバルであるBaedaltongの過半数株式を取得(未訳)

しかし驚くべきは、過去10年の韓国のスタートアップ拠点としての成長の様子だ。5年前にTechCrunchのソウル駐在海外特派員を、8年前には韓国科学技術院の研究者を務めていた私は、その拠点としての成長を地元で観察し、ここ数年は遠くから注視してきた。

いまだ財閥系複合企業の支配が続いているものの(サムスンを超えられるものがない)、韓国経済にダイナミズムを与えているのはスタートアップと文化産業だ。また、国の年金基金から(国内外を問わず)スタートアップ界に資金が流れる仕組みのため、大企業での昇進経路という泥沼から脱却してスタートアップの道を探る起業家たちのチャンスはさらに広がっている。

配民のオリジナルのブランディングは、イラストに重点が置かれている。

5年前に配民は、かわいい系でクリエイティブなインターフェイスでフライドチキンを出前するひとつのアプリに過ぎなかった。その料金を巡っては、レンストラン・フランチャイズのオーナーから批判を受けた。しかし今では、配民のバイクはソウル中で見かけるようになり、たくさんのレストランには配民のスピーカーが設置され、キャッチーなサウンドとともに配民の名前を宣伝し、インターネットで配達の注文が入るごとにアナウンスを流している。

関連記事:出前料金問題の勃発から韓国で市場モデルの議論が始まった(未訳)

先週、ソウルにいた私は、あるレストランで、1分から3分おきぐらいに「配達の民族にご注文!」とのアナウンスが流れ、落ち着いて食べることができなかった。びっくりするような商品マーケティング戦略だが、米国の宅配スタートアップが真似しないことのほうが驚きだ。

エコシステムの強固さは、いつものとおりに維持されている。頭のいい大卒の労働人口が多く(韓国は世界で最も教育率が高い国のひとつだ)、加えて若者の失業率と不完全雇用率が高いことから、とうてい叶わない企業の役職にこだわるよりも、スタートアップを起業しようとする動きがますます加速している。

変わったのは、ベンチャー投資資金の流れだ。韓国がスタートアップの資金調達に苦労していたのは、そう昔のことではない。数年前、韓国政府は、自国の起業家を対象とするベンチャー投資企業の設立費用を引き受ける計画を開始した。単純に、スタートアップを軌道に乗せる資金がなかったという理由からだ。その当時、私が聞いたところでは、1000万円程度のシード投資金でスタートアップの過半数株式が買えてしまうのは珍しい話ではなかった。

現在、韓国は、ゴールドマン・サックスSequoia(セコイア)とおいった数多くの国際投資企業がスタートアップへの投資を狙う国になっている。さらに近年では、数々のブロックチェーン開発の中心地にもなり、資金の急激な上昇と下落を経験しつつも市場が維持されている。相対的に調達資金は増加し、いくつものユニコーン・スタートアップが生まれるまでになった。CrunchbaseのUnicorn Leaderboardには合計で7社が登録されている。

関連記事:Sequoiaは韓国版アマゾン“クーパン”に1億ドルを支援(未訳)

そうして韓国は動き出した。数多くの新進スタートアップが将来の大きな結果に向かって突進しようと身構えている。

そのため、この国の障壁を乗り越えて参入したい意欲を持つベンチャー投資家には、これからもユニークなチャンスがある。とはいえ、この国の過去と未来の成功を最大限に活用するには克服しなければならない課題がある。

おそらく最も難しいのは、この地で何が起きているかを深く理解することだろう。中国は、国家安全保障からスタートアップや経済まで、あれこれ取材したいという大勢の外国の特派員を引きつけるのに対して、韓国では海外の特派員はもっぱら北朝鮮の話か、たまに変わった文化の話を取材するぐらいなものだ。スタートアップを専門に追いかけているジャーナリストもいるにはいるが、残念なことに極めて希で、エコシステムの規模に比べて予算があまりにも少ない。

さらに、ニューヨーク市と同様に、広く交流することのない異種のエコシステムがいくつも混在している。韓国には、国内市場をターゲットにしたスタートアップ(それが今の大量のユニコーン企業を生み出した)と、半導体、ゲーム、音楽と娯楽といったさまざまな産業を牽引する大手企業がある。私の経験からすると、このような垂直市場はそれぞれが社会的のみならず地理的にも個別に存在していて、産業の壁を越えて才能や見識を集結させることが難しい。

だが最終的には、シリコンバレーやその他の重要なテクノロジーの拠点で評価が高まれば、最高のリターン特性をもたらすスタートアップの街の上の階層に進めるだろう。先週、早期に配民に投資した人たちは、おそらく出前のフライドチキンで祝杯をあげたことだろう。

画像クレジット:Maremagnum / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

公共交通の自動運転に注力するBluespace.aiが約3.8億円調達、行政との話し合いも開始

自動運転技術を開発するBluespace.aiは、米国時間12月13日にFusion Fundがリードするシードラウンドで350万ドル(約3.8億円)の調を発表した。そのほかにもYouTubeの共同創業者であるSteve Chen(スティーブ・チェン)氏や台湾の半導体工場を持つUMC、Kakao Ventures、GDP Ventures、Atinum、Wasabi Ventures、Blue Ivy Ventures、Plug n Play、そしてSLV Capitalなどが投資している。

同社は、公共輸送車両のための自動運転ソフトウェアを開発しており、現在は行政機関や公共交通事業者と会合を重ねている。創業者の1人であるCEOのJoel Pazhayampallil(ジョエル・パシャヤンパリル)氏は、今年前半にApple(アップル)が買収したDrive.aiの共同創業者であり、社長兼COOのChristine Moon(クリスティン・ムーン)氏は過去にGoogleのNexus事業のパートナーシップ担当などの役職を務めた。

Bluespace.aiのチームには、ZooxやLyft Level 5、Voyageなどの自動運転企業にいた人もいる。彼らは共同でカリフォルニアとフロリダで自動運転車の車隊を立ち上げたこともある。

ムーン氏はTechCrunchへのメールで「Bluespace.aiのソフトウェアを使えば自動運転車の運用における安全性を、現在のように何百万マイルもテスト走行させなくても検証可能だ。これにより短期間で公共交通の自動化が実現可能になり、都市の交通をより公平でアクセスしやすく、持続可能なものにできる」と述べている。トヨタやボルボといった自動車メーカーやMay Mobility、Optimus Rideといったスタートアップが、公共交通の自動運転化について研究開発を進めている。

同氏によると、特にBluespace.aiの研究開発は、交通量および交通容量の大きい幹線道路の能力と効率を上げることにフォーカスしていると言う。ほかのスタートアップが主に、主要な公共交通システムの一部である低速車による最初と最後の1マイルにおけるソリューションに対して第一に注力しているのに対して、Bluespace.aiの狙いは公道を通常の車速で走る大型車両でも安全に走行できるようにし、乗客容量を大きくすることにある。

Fusion FundのマネージングパートナーであるLu Zhang(ルー・チャン)氏は報道機関向けに「自動運転車の分野における投資をたくさん見てきたが、BlueSpace.aiはテクノロジーへの革命的なアプローチと、市場への提供が近未来的である点で傑出している。同社の創業者チームにはとても強力なテクノロジーのバックグラウンドがあり、フロリダやテキサス、そしてカリフォルニアにおける自動運転車サービスのローンチにより、十分な経験もある」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

その場で購入できるインタラクティブ動画を5分で作成できるClideo

スペインのClideoは、インタラクティブなオーバレイを使って動画から直接買い物できるようにすることで、企業はよりスマートに消費者へリーチできるようになるという。

元Ki Groupの役員であり、イタリアのKPMGで合併や買収に携わったこともあるCEOのMichele Mazzaro(ミケーレ・マザーロ)氏は、動画には解決すべき大きな問題があると気づいた。「今のデジタルメディアでは、企業は多くの人とコミュニケーションできていない。大量のバナー広告やプリロール(本編開始前広告)やミッドロール(本編の途中広告)を視聴者に投げつけるだけだ。一人の消費者としても、この状態は好ましいものではない」という。

そこでマザーロ氏と共同創業者のNitzan Mayer-Wolf(ニッツァン・メイヤー-ウルフ)氏およびAndrea Iriondo(アンドレア・イリオンド)氏は、「どんな動画も発見の体験に変える」とマザーロ氏が呼ぶものを制作した。そのプロダクトは米国時間12月10日、Disrupt BerlinのStartup Battlefieldでプレゼンされた。

インタラクティブな動画と言ってもClideoは、EkoやNetflixが配信したBlack Mirror(ブラックミラー)の特別編「Bandersnatch」(バンダースナッチ)のような本編からの分岐ではなく、よくある動画に登場する製品を軸としており、その製品を買えたり、欲しい物リストに入れたり、ソーシャルメディアでシェアしたりする新機能が追加される。

マザーロ氏は「こういう機能があれば、企業はその製品に強い関心を持つオーディエンスがどんな人たちかを知ることができる」と主張する。「動画の予算をゴミ箱に捨てるのはやめて、消費者がポジティブな関心を持つ理由を知るべきだ」と同氏。

Clideoの動画は専用のプレーヤーが必要になるため、YouTubeやソーシャルメディアで再生できないが、FacebookやTwitterなどにリンクを投稿し広められるとマザーロ氏はいう。制約があるにも関わらず、マドリッドに本拠地を置く同社はすでに、スペインのModalia.comなどのeコマースサイトでテストされており、33%という高いコンバージョン率を出している。

インタラクティブでショッパブル(買い物できる)な動画は新しいアイデアではないが、マザーロ氏によると、これまではクリエイティブエージェンシーなどがごく一部のラグジュアリーブランドのために制作したものか、非常に限定的なインタラクティブ機能しかないビデオマーケティングプラットホームと称するものだったという。

マザーロ氏によると、Clideoは「クリエティビティを犠牲にせずにDIYでできるソリューション」だ。インタラクティブな動画をわずか5分で作ることも可能だという。

さらに彼のピッチ(セールストーク)によると、Clideoはビジネスモデルも独特だ。月額のサブスクリプションのほかに、企業は特別料金を支払うことで視聴者を買い物と決済のページに誘導できる。「私たちの目標と顧客の目標が同じサービスは、私たちだけだ」と同氏は自信を見せる。

Clideoはまだ自己資本だけで操業しているが、そのプロダクトはすでにグローバルで利用可能。初期の顧客はスペインとイタリアとイスラエルの企業になりそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Disrupt BerlinでのStartup Battlefieldファイナリスト5社が決定

現地時間12月11日、ドイツ・ベルリンで開催されたDisrupt Berlinのステージに14社のスタートアップが立ち、ライブのデモと彼らの起源とビジネスモデルに関するプレゼンテーションを行い、業界のエキスパートである審査員たちの質問に答えた。そこからTechCrunchは、審査員たちの意見も参考に、5社のファイナリストを選んだ。彼らの製品は、生産性ツールから大気汚染に至るまで実にさまざまだ。

これらのファイナリストたちは明日12月12日の決勝のステージで、新たな審査員を前に再びプレゼンを行う。その実況はTechCrunchのウェブサイトでも見られる。そして優勝チームは5000ドルの賞金と、由緒あるDisrupt Cupを1年間管理する権利を勝ち取る。以下が、そのファイナリストだ。

Gmelius


Gmeliusは、Gmailの中に作業スペースを作り、チームが次々と新しいソフトウェアを導入するのではなく、既存のさまざまなツールで仕事ができるようにする。GmeliusはGmailの作業スペースに、受信トレイの共有やヘルプデスク、アカウント管理、オートメーションツールなどさまざまな機能を加える。関連記事はこちら

Hawa Dawa

Hawa Dawaは、衛星や大気質監視ステーションなどからのデータを組み合わせて大気汚染のヒートマップを作り、そのマップをAPIのサブスクリプションとして都市や企業に売る。データの利用はハードウェアを特定しないが、同社は大気質センサーを装備していない企業や都市のために、独自のIoTセンサーを作って提供している。関連記事はこちら

Inovat

Inovatは、旅行者に対する付加価値税の還付手続きを容易にする。アプリとOCRと機械学習を併用してレシートを解釈し、取られすぎの税金を計算して、正しい形式の申告書類をオンラインで、または税関に直接提出する。関連記事はこちら

Scaled Robotics

Scaled Roboticsのロボットは、建築現場の3D進捗マップを数分で作る。精度は高く、梁の1〜2cmのずれでも見つける。現場監督はそのマップを見て細部の状況をチェックできる。現場に残された残骸が多すぎるという検知もできる。関連記事はこちら

Stable

Stableが提供するソリューションは自動車保険並にシンプルだ。同社は世界中の農家を、価格変動から護る。このスタートアップを利用して、小さなスムージーショップからコカコーラのような大企業に至るまで、何千種類もの農産物や包装資材、エネルギー製品などに保険を付けることができる。関連記事はこちら

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

11月にインテルとの協業を発表した電気自動車開発のNioが北米本社で141名をレイオフ

電気自動車を開発しているスタートアップ企業であるNioが、北米本社で141名をレイオフする。カリフォルニア州の雇用開発局(Employment Development Department of California)の文書によると、同社のサンノゼオフィスの社員は12月6日に通告を受け取っている。

本社が上海にあるNioは先月、Intel(インテル)傘下で、専用カメラを利用した高度運転支援システム (ADAS)を開発しているMobileyeをパートナーして、消費者向け自動運転車を開発すると発表した。そのパートナーシップの協定では、Mobileyeが設計した自動運転システムをNioが生産することになっていた。

インテルとのパートナーシップは、困難な1年を経たNioにとって明るいニュースだった。Nioの第3四半期は適切な価格政策により売り上げは伸びたが、2月末以降株価は78%落ち込んだ。

同社は今年の第1と第2の四半期に損失を計上し、6月には中国における電池の発火により自発的に電動SUV車であるES8を5000台リコールしたことで、生産量と納車数の低下を招いた。9月の決算報告でCEOのWilliam Li(ウィリアム・リー)氏は、第3四半期末までに9900人の従業員を7800人に減らすなどによりコスト削減に努める、と述べた。Nioのオフィスは北京、ロンドン、ミュンヘンなど11の都市にある

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Awayの失敗に学ぶいけ好かないCEOと成功について

特には目立たないが、実は大きな社会的分断を象徴しているのではないかと大問題になる話がよくある。最近では、Away(アウェイ)の不祥事の話がそれにあたる。その問題とは、前CEOのステフ・コリー氏が仕事熱心なあまり、社内Slackで失敗を犯した特定の社員を公的に罵倒したことが責められ辞任したことだ。ハイテク界は、これをあらゆる産業における断層線を見極める試薬だとして注目している。

この話は、聞く人によってどうとでも取れる。金持ちの家に生まれた特権階級の企業幹部が貧しい生活にあえぐ人たちから搾取する話、女性CEOが不公正でいわれのない中傷や冷たい視線に翻弄される話、常時監視に内在する文化的害毒の話(Awayでは、社内のあらゆる通信はオープンなSlackチャンネルで行うこととして、私的な電子メールやダイレクトメッセージを禁止していた)、技術系労働者には組合が必要だという話、若い従業員はときとしてクズのような上司のもとで働くという現実に慣れるために鍛えなければならないという話。

ちょっと段落を切ろう。でも、まだ終わらない。謝らないで済ませる話。これは、Awayが従業員に不当に厳しい扱いをしたことを公的に謝罪した同じ日に、決して真似をしないように従業員の個人的なSNSアカウントを厳しく管理したことを指す。さらに、スタートアップ企業を創設するときに必要となる犠牲の話、問題の本質は管理不行き届きと方向性の不一致であって他は雑音に過ぎないと言い切る話、いけ好かないが許せるボスの態度と昔なら思われたことが今ではまったく受け入れがたい悪質な虐待にされてしまう話。

要するに、これは現代の完璧なロールシャッハテストだ。ロールシャッハテストと同じく、人々の多様極まる反応のほうが、この事件の本編よりも面白い。特に、世間の反応と個人の考えに開きがあるとの思い、つまりAwayの幹部たちをそこまで糾弾すべきではないと感じても、人はその考えを表明したがらないという思いが広まったことで、なおのことそうなった。お察しのとおり、これはソーシャルメディア、さらし、仲間はずれの話でもある。まさに、このちょっとした道徳劇にすべてが込められているのだ。

そこで、彼らの不変の名誉のためにも、やや風刺を込めたVC Starter KitというTwittyerアカウントがある実験を行った。「ベンチャー投資家、企業創設者、ジャーナリストのみなさんは、アウェイの事件の感想を私にDMしてください。みなさんの意見を匿名でアップします」と持ちかけ、その反応の要約を(当然だけど)彼らのSubstackアカウントで公開した。

面白いことにその結果は、世間が思っているよりも文化的分断がずっと大きいことを示唆している。非常に特異なケースに思えるのだが、私には、これは次の2つの説に集約されるように見える。

  1. スタートアップは厳しい。そのため、スタートアップの成功か従業員の待遇かの選択を迫られる場面によく遭遇するが、成功の優先度がいつも高い。
  2. スタートアップは厳しい。しかし、スタートアップの成功か従業員の待遇かの選択に迫られたときは、もうとっくに終わってるので、成功を選択して、個人的に、そして公的にそれを恥じるしかない。

程度の差こそあれ、これは世代格差の問題だと私は思う。私のようなX世代の人間は「最低なヤツだが、ボスとはそんなもの。仕方ない」と考えるのに対して、Z世代は「まったく容認できない悪質な虐待だ。こんなことはあってはならない」と感じる。大筋ではまったくもって正論だ。それは、かつてはほとんどの企業がそうしていると主張する以上に、より直接的に空想上のよりよい世界を目指すことが大切だったが、他者の待遇をよくすることのほうが重要だという理念を広めるものだ。

一方で、複雑で微妙な問題をなんでも悪く解釈してしまう傾向が強い、社会の中の非常にセンシティブな1%の人たちに、何と何は許容すべきといった考えを強要するようになってしまったら、それ自体が許しがたい暴虐の奇妙な変形パターンとなる。誤解のないように言えば、私たちはみなそうしたリスクには一歩たりとも近づいていないと私は思う。むしろ私たちは、いじめ、女性憎悪、偏見などなどの犠牲者には、傷害事件の犠牲者に言うように「もっと強くなれ」という考え方が有効だと認識し始めている。だが、そのような締めくくり方は、歪んで受け取られた結果であったとしても、人々を不愉快にさせるものだと肝に銘じておくべきだ。

いずれにせよ、私は2つ目の説を支持することにした。スタートアップは厳しい。しかし、スタートアップの成功か従業員の待遇かの選択に迫られたときには、もうとっくに終わってる。スティーブ・ジョブズがいけ好かない人物だったからって、それがCEOの必要条件なのではない。それだけでは十分条件にもならない。その選択に迫られる厳しい状況に追い込まれたなら、そして会社を最優先させたいと考えたなら、まあ、そんな人はあなたが初めてではないし100万人目ですらないが、とにかく成功という言葉が意味する本当のところを、時間をかけて真剣に考えてほしい。

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(翻訳:金井哲夫)

走行距離と保険料の計算を自動化した従量制自動車保険のBy Miles

英国の走行距離従量制自動車保険By Miles(バイマイルズ)が、Tesla(テスラ)車の運転者を対象とするコネクテッドカー(インターネットに接続している車)専用の保険を発売する。

この新しい保険プロダクトは、車のオーナーのTeslaアカウントからリアルタイムの走行距離情報を取り出し、運転した距離に基づいて各月の保険料を決める。同社によると、ブラックボックスやアフターマーケットのデバイスを必要とせずに車からデータを取り出す自動車保険はこれが初とのことり

この新しい保険は、Swiss Re(スイス・リー)が支援するデジタル保険企業であるLa Parisienne Assurancesとのパートナーシップで作られ、英国の走行距離の少ない(年間7000マイル=11265km未満)のテスラオーナーに格安の自動車保険を提供するとBy Milesは説明する。

同社によると、もっと大きな意味ではこれは、自動車保険業界がコネクテッドカーや電動車などテクノロジーの変化に合わせようとしないことへの反発である。同社は、今やイギリスでは販売される新車の10台に1台は電動車であるという、業界の統計を挙げる。

By Milesの共同創業者であるJames Blackham(ジェームズ・ブラックハム)氏は 「今や保険業界も車と同じぐらいスマートな保険を提供すべきだ」と語る。

この走行距離従量制自動車保険は、自分のテスラ車をBy Milesのアカウントに接続するだけで契約が成立し発効する。従来のようないわゆるブラックボックスは要らない。契約者はBy Milesのアプリを見て毎日の走行距離とそれに対応する保険料を知り、最終的に一か月ぶんの保険料を払う。

この新しい自動車保険は電動車ファーストの保険として、普通車にはない、充電ケーブルやアクセサリーの損害や盗難、そして電動車の電池そのものも保険の対象になる。

しかし、By Milesのコネクテッドカー向け自動車保険は、同社の既存の保険とそれほど大きく異なってはいない。同社はすでに、Miles Trackerという、車に装着する距離計測デバイスを導入して、2018年の7月に走行距離従量制自動車保険を開始している。その被保険者は、現在1万名を超えている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa