ブロックチェーンのセキュリティを提供している台湾のCoolBitXが、1675万ドル(約18億5000万円)のシリーズBを発表した。このラウンドをリードしたのは、シリーズAのときと同じ日本の金融グループSBI Holdingsだ。
参加した投資家は、韓国の暗号通貨取引所Bitsonic、日本の金融サービスMonex Groupそして台湾のNational Development Fund(国家発展基金)だ。
2014年に創業したCoolBitXには、2つのプロダクトがある。まずCoolWallet Sは、暗号通貨のためのBluetooth対応ハードウェアウォレットだ。もうひとつのプロダクトSygnaは、金融活動作業部会(Financial Action Task Force、FATF)が2019年策定したルールに対する、仮想資産サービスプロバイダーたち(virtual asset service providers、VASPs)のコンプライアンスを助けるソリューションだ。
「トラベルルール」と呼ばれるそのルールは、仮想資産サービスプロバイダーがトランザクションの間に顧客から個人同定情報(personally identifiable information,、PII)を得ることを義務付けて、マネーロンダリングやテロリストの資金獲得などを防ぐ。FATFのメンバー国のVASPsはすべて、6月までにコンプライアンスを要する。
今回の資金でCoolBitXは、Sygnaのプレゼンスをアジア太平洋地域の外にも広げたいと考えている。同社によると、すでに12社の暗号通貨取引所が了解メモに署名しており、Sygnaの利用とテストを行っている。12社の中にはSBI VC Trade、Coincheck、Bitbank、DMM Bitcoin、BITpoint、MaiCoin、BitoPro、Aceなどが含まれている。
CoolBitXの創業者でCEOのMichael Ou(マイケル・ウー)氏は本誌宛てのメールで、Sygnaを展開することによってShyftやCiphertraceのような同業他社と差別化できるという。しかし彼らもまた、トラベルルールのコンプライアンスソリューションを提供しており、それが今や、広くテストされユーザーによって立証されていることを示している。
ウー氏はまた 「Sygnaを使うことで、VASPsは日常業務を邪魔されずに迅速にコンプライアンスをチェックできる。シームレスなユーザー体験とデータ通信におけるセキュリティを重視しているため、Sygnaは暗号通貨の世界でメインストリームとして採用されるだろう。それを狙っている」と語っている。
プレスリリースの声明において、SBI Holdingsの代表取締役社長兼CEOの北尾吉孝氏は次のように述べている。「CoolBitXが暗号通貨の一般的な採用に向けてまた大きく前進したことは、同社初期の投資家としてとても喜ばしい。今回の2度目の投資にも参加できたことを喜んでいる。デジタル資産は本質的にボーダーレスなので、地理的な境界に制約されないソリューションが必要であり、したがってCoolBitXの安全で実装しやすいシステムを世界中に普及させていく同社の旅路に同行できることを、弊社SBI Holdingsは誇りに思っている」
画像クレジット: CoolBitX