アップルが新しいAirPodsを発表、ワイヤレス充電ケースも

アップルは第2世代となるAirPodsを発表した。新モデルはH1チップを搭載し、パフォーマンスの高効率化、手持ちのデバイスとの短い接続待ち時間、そしてハンズフリーによる「Hey Siri」機能をもたらしている。

H1チップによる省電力化のおかげで、AirPodsでのハンズフリー通話時間は50%伸びている。さらにAppleによれば、デバイス間の切り替えは前モデルよりも2倍高速だ。

ここに、プレスリリースに掲載されたPhil Schiller氏の言葉を紹介しよう。

AirPodsは素晴らしいワイヤレス経験をもたらし、我々が開発した最も愛された製品の一つとなった。他のデバイスと簡単に接続でき、クリアで直感的なサウンドを奏で、楽曲やオーディオの革新的なコントロールを可能にする。そして世界最高のワイヤレスイヤホンが、新モデルによりいっそう改善された。Appleが新開発したH1チップを搭載することで、通話時間が延長され、接続待ち時間は短くなり、ハンズフリーでの「Hey Siri」が使え、新しいワイヤレスバッテリーケースが登場した。

第2世代AirPodsの税別価格は、ワイヤレス充電ケース付属で2万2800円、通常ケース付属で1万7800円。なお、第1世代AirPodsでも利用できるワイヤレス充電ケース単品も8800円にて購入できる。

新しいAirPodsは本日より、アップルのオンラインストアやApple Storeアプリから購入できる。そして、店頭には来週に並ぶことになる。

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(文/塚本直樹 Twitter

シャオミの第4四半期は海外販売とインターネットサービスが好調

安いスマホと、インターネットサービスによる収益増を図っていることで知られている中国企業Xiaomi(シャオミ)の第4四半期決算は、売上高ではアナリストの予想を下回ったが、営業利益は予想を上回るものだった。

香港の証券取引所に上場しているXiaomiは純利を185000万人民元(2億7600万ドル、約308億円)と3倍超に増やし、予想平均の17億人民元を上回った、と Refinitivのデータを引用しながらロイターは報じた。しかし売上高は、アナリスト予想の474億人民元に届かず、26.5%増の444億人民元(66億2000万ドル、約6387億円)にとどまった。

Xiaomiは同四半期の海外市場の数字を抜き出し、この分野の売上高全体に占める割合は前年同期は28%だったが、2018年四半期は118.1%成長し全体の売上高の40%を占めた。Xiaomiは特にインドで受け入れられていて、マーケット調査のCanalysによると、インドのスマホ出荷ではトップだ。また、西欧でも急成長中だ。

ハードウェアの販売に執着する型にはまったスマホメーカーと異なり、Xiaomiはハードウェア、ソフトウェア、小売で構成するトライアスロンビジネスモデルを展開している。簡単な言葉で言うと、Xiaomiはオンラインネットワークとオフライン店舗を通じてハードウェアを販売している。そしてユーザーは、スマホやスマートウォッチ、スマート空気清浄機、そして何百もの接続デバイスに付属するアプリサービスやアプリ内広告を利用している。

Xiaomiは繰り返し自らを「インターネット」企業としているが、これまでのところスマホが主な稼ぎ頭で、第4四半期の売上高においては65.1%を占めた。2018年は世界中のスマホンブランドにとって不況の年だったが、Xiaomiのスマホ販売台数は昨年、30%増の1億1870万台だった。Xiaomiは昨年12月、同月には販売台数1億台を達成するだろうと予想していた。

Xiaomiの第4四半期の売上高の25.1%がスマートデバイス(スマホを除く)とライフスタイルアイテムによるもので、前年同期比87%増だった。ライフスタイルアイテム部門は傘やスーツケースなどから衣類、靴といったものまで含み、より女性ユーザーを引きつけることを目標としているXiaomiにとっては重要な部門だ。女性ユーザーを引きつけるためにXiaomiは自撮りアプリメーカーMeituともタイアップしている。

インターネットサービスはXiaomiにとって依然として小さな部門で、全売上高の9.1%、前年同期比61%増にとどまっている。しかし非常に高収益なこのビジネスは将来さらなる成長が見込まれ、その一方でXiaomiはスマホとハードウェアの利幅を5%以下に維持することを約束している。

インターネットサービスの粗利益は、高利幅の広告事業によって2017年の60.2%から2018年には64.4%に伸びた。この数字は、スマホの利幅6.2%を大きく上回っている。もし2億4210万人というアプリ月間ユーザーからの収益を向上させることができれば、Xiaomiはインターネットベースの収入をさらに増やすことができるはずだ。

見出しが修正された。

イメージクレジット: Xiaomi via Weibo

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(翻訳:Mizoguchi)

Googleのクラウドゲームサービス「Stadia」へのアクセス方法

Googleはゲーム機を発売するわけではない。その代わりに同社は、Stadiaというサービスを立ち上げる。ゲームはサーバーの上で動き、ユーザーは自分のデバイスにそのビデオをストリーミングする。Stadiaにアクセスするために新しいハードウェアを買う必要はないが、ただし、いきなりどんなデバイスからでもStadiaを使えるわけでもない。

ゲームデベロッパーカンファレンス(Game Developers Conference)の開会直後に、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)氏はこう言った。「Googleでは、ChromeブラウザーやのChromebook、Chromecast、Pixelなどのデバイスで、20億の人びとがゲームをすぐに見つけられる。ほかのブラウザーやプラットホームをサポートする計画もある」。

おわかりのように、ラップトップやデスクトップコンピューターでこのサービスにアクセスするためには、Chromeブラウザーがメインのインタフェイスになる。コントローラーはユーザーの既存のコントローラーを使える、と言っているから、PlayStation 4やXbox One、Nintendo Switchをお持ちの方はそのコントローラーで大丈夫だろう。Googleにも、独自のコントローラーがある。

テレビにChromecastをつけてる人は、それがStadiaマシンになる。Bluetoothをサポートしているのはいちばん新しいChromecastだけだから、手持ちのコントローラーを使うにはそれが必要かもしれない。GoogleのコントローラーはWi-Fiを使うから、古いバージョンのChromecastでもいいはずだ。

さてモバイルだが、Googleは最初からどんなAndroidデバイスでもこのサービスを使えるようには、していないらしい。最初はピチャイのスピーチ(上記)で具体的に名前が挙がったPixelのスマートフォンとタブレットだけだ。いずれは、すべてのAndroidデバイスでStadiaをプレイできるようになる、と思うけどね。そうしない理由も、思い当たらないし。

しかしなぜか、アップルのデバイスの名前はまったく出てこなかった。だからiPhoneやiPadをお持ちの方は、待たされるのだろう。アップルではサードパーティのデベロッパーがデジタルコンテンツを売るには必ずApp Store経由だから、これがGoogleにとって問題になるかもしれない。

Stadiaはまだ、一般公開されていない。それは、今年の後半だ。よく分からないことが山ほどあったが、カンファレンスではすべての答えは得られなかった。Googleにとってはまったく新しい業態を構築していくわけだから、ビジネスモデルも流通の形も、これから徐々にかたまっていく、としか言えない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新iMacシリーズはインテル第9世代Core搭載、連日のアップル新製品発表

アップルは3月20日、iMacシリーズの新モデルを発表した。昨日のiPadシリーズに続く連日の発表は異例だ。広報の方針が変わったのだろうか。

発表されたのは、21.5インチと27インチのモデルで、後者はCTOで8コアのインテル第9世代CoreプロセッサーとRadeon Pro Vega 48(8GB VRAM)を選べる。21.5インチは4K、27インチは5Kの解像度の液晶ディスプレイを搭載する。

外部接続インターフェースは、ヘッドフォン、SDXCカードスロット、USB 3.0×4(タイプA)、Thunderbolt 3(USB 3.1タイプC)×2,ギガビットイーサネットと旧モデルと同様だ。

詳細は順次追記していく。

NVIDIAの次世代RTXポッドは1280基のGPU搭載、ネット上のハイエンドビジュアルを狙う

このところNVIDIA(エヌビディア)は、クラウドの大物になりたがっている。もともとは高性能なグラフィクスカードでゲームファンの人気企業だったが、最近ではデータセンターやAI、機械学習の推論、そして推論エンジンやデータ視覚化用のGPUに力を入れている。米国時間3月18日に開催されたGTCカンファレンスで同社は、ハリウッドのスタジオなどビジュアルなコンテンツを迅速に作りたいと願っている企業向けに、RTXサーバーの最新の構成を発表した。

そのRTXサーバーポッドは、32のRTXブレードサーバー上で最大1280基のTuring GPUをサポートする。それはサーバー1つあたり40のGPUを意味し、ひとつのサーバーがEIA規格で8Uのサイズになる。GPUは、構成にもよるがQuadro RTX 4000または6000だ。

今日の発表声明はこう述べている。「NVIDIAのRTX Serversは、Optix RTXレンダリングとゲーム、VR、AR、プロフェッショナルな視覚化アプリケーション向けに最適化されたソフトウェアスタックを持ち、レイトレーシングで強化された映画クラスのグラフィクスを、同じ性能のCPUベースのレンダリングクラスターよりもずっと低いコスト(電気料金)で提供する」。

このパワーを複数のユーザーで共有でき、バックエンドのストレージと相互接続ネットワークは、NVIDIAが今月初めに69億ドルで買収したMellanoxの技術が支える。その買収と今日のニュースはNVIDIAの未来にとってデータセンターがいかに重要であるかを物語っている。

DellやHP、Lenovo、Asus、SupermicroなどのシステムメーカーがRTXサーバーを顧客に提供しており、そのすべてをNVIDIAが検証し、それらの上で動くワークロードの管理には同社提供のソフトウェアツールを使用する。

NVIDIAは、これらのサーバーはARやVRをエッジで動かしたり、5Gネットワーク上でビジュアルをクライアントにサーブするのに適している、と力説している。それはあまりにもバズワードまみれとも感じるし、ARやVRに一般消費者が関心を持ったり、5Gネットワークがメインストリームになるのは、まだかなり先だろう。しかしそれでも、例えばゲームプレーをクラウドからストリーミングで提供するといったニーズには今日すでに、これらのサーバーが活躍できそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トヨタは自動運転車でNvidiaの技術を大々的に採用

トヨタは自動車メーカーとしてNvidia(エヌビディア)との関係を深め、それにより同社の日本とアメリカの研究部門が自動運転車の開発事業を強化している。

NvidiaのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・ファン)氏は米国時間3月18日に2019 GPU Technology Conferenceのキーノートで、トヨタの日本の研究部門Toyota Research Institute-Advanced Development(TRI-AD)が、Nvidiaの完全にエンドツーエンドな開発および製造技術を利用して、その自動運転車技術の開発と訓練と検証を行っていると発表した。そのパートナーシップはトヨタとの既存のコラボレーションをベースとするもので、Nvidiaと日本のTRI-ADと米国のToyota Research Institute(TRI)」の三者のチームにより行われている。

この新たな協定によりトヨタは、Nvidiaのプラットホームを利用してディープなニューラルネットワークの訓練やテストや検証などを経て、自動車への最終的な実装を行っていく。トヨタはまたNvidiaが最近リリースし、すでに顧客に提供されているAVシミュレーターのDrive Constellationも使っている。トヨタはConstellationを使う最初の企業で、それは、自動運転車の開発企業が仮想世界で技術をテストできる、クラウド上のプラットホームだ。

要するにトヨタは、自動運転車の開発工程の全体にわたってNvidiaの技術を使おうとしている。

Nvidiaの自動運転部門のシニアディレクターDanny Shapiro氏が3月18日にこう語った。「密接なコラボレーションこそがわれわれのビジネスモデルだ。協働してNvidiaのドライバーズプラットホームを築いていくのが、われわれのやり方だ」。

Nvidiaとトヨタはすでに数年間、コラボレーションしてきた。トヨタは2017年に、NvidiaのXavierプロセッサーを使用するスーパーコンピューターDrive PXを、今後の車に搭載する自動運転システムに採用する、と発表した。

Toyotaとその研究部門TRIおよび日本のTRI-ADは、自動運転技術に二重のアプローチを採用している。

トヨタは最終的にはそのChauffeur(ショーファー)と呼ばれるシステムで、高齢者や障害者に奉仕する完全な自動運転車をデプロイするつもりだ。しかし二重のもうひとつの部分であるGuardian(ガーディアン)は、人間が運転する車を必要に応じて支援するシステムだ。常に人が運転しているが、その間Guardianがたえずウォッチし、センスして、問題の発生に備えている。

トヨタがNvidiaのプラットホームをChauffeur(完全自動運転車)とGuardian(運転者支援システム)のどちらに利用するのか、それがまだ明確でない。

TRI-ADのCEOであるJames Kuffner氏は、声明の中でこう言っている。「死亡事故をゼロにし、すべての人に円滑な交通手段とモビリティを提供することが、弊社の自動運転車の究極のビジョンだ。Nvidiaとの技術協力は、このビジョンを実現するために重要だ。ソフトウェアの検証と試験に大規模なシミュレーションツールを使うことが、自動運転システムにとって重要と考える」。

NvidiaがスーパーコンピュータープラットホームDrive PXで自動運転車向けの最初のアーキテクチャを導入したのは2015年だが、それ以降パートナーシップを結んだ自動車メーカーはトヨタだけではない。その最初のプラットホームは車のカメラやセンサーからのデータをすべて処理し、AIのアルゴリズムを搭載したオペレーティングシステムと、クラウド上の高精細な3Dマップにより、現在位置や今後ありうるハザードなど、車の環境理解を助けることを目的としている。

画像クレジット: Kirsten Korosec

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新登場の第3世代iPad Airと第5世代iPad miniはTouch IDとLightningポートを搭載

アップルのiPadのラインアップが新しくなり、プレスリリースが発表された。同社は(ようやく)iPad miniをアップデートし、新しいiPad Airを追加した。新しいiPad Airはエントリーレベルの9.7インチのiPadと11インチiPad Proの間に位置することになる。

現行のモデルはすべてApple Pencilに対応しているが、Apple Pencilを購入する際にはiPadのモデルをしっかりと確認する必要がある。3月18日に発売されたiPadでは、Apple Pencil(第1世代)を使用する。マグネットで充電とペアリングをするApple Pencil(第2世代)ではない。

では新しいiPadを見ていこう。まずは3年半アップデートされていなかったiPad mini。スマートフォンが大型化している昨今、アップルはiPad miniをやめるのだと多くの人が思っていた。しかしiPad miniは驚きの復活を遂げた。

外観は以前の2015年モデルと変わらない。しかしデバイスの中身はすべてがアップデートされている。A12チップ(iPhone Xsのために設計されたSoC)を搭載し、7.9インチディスプレイは25%明るく、色域が広く、True Toneに対応している。そしてApple Pencilが使える。

iPad Proとは異なり、iPad miniには引き続き指紋を読み取るTouch IDセンサー、Lightningコネクタ、ヘッドフォンジャックがある。64GBのWi-Fiモデルは45,800円で、すでに販売が開始されている。256GBモデルやWi-Fi + Cellularモデルも選択できる。カラーはシルバー、スペースグレイ、ゴールド。

次はiPad Air。おなじみの名前だが、iPadのラインアップの中では新しいデバイスとなる。昨年10月、アップルは新しいiPad Proを発売した際にこのセグメントの価格を引き上げた。

新しいiPad Airは11インチiPad Proより安く、外観はこれまでにあった10.5インチiPad Proと似ている。混乱しそうだ。iPad AirにはA12チップが搭載されていて、これはA10Xだった前の世代のiPad Proよりも大幅なアップデートと言える。iPad AirではSmart Keyboardを利用できる。

iPad Airは64GBのWi-Fiモデルで54,800円。256GBモデルやWi-Fi + Cellularモデルも選択できる。カラーはシルバー、スペースグレイ、ゴールド。

9.7インチのiPad(37,800円〜)は、今回はアップデートされていない。このモデルにはA10チップが搭載され、ストレージは32GBまたは128GB。ディスプレイはTrue Toneテクノロジーと広色域には対応していない。

(US版の記事を翻訳していますが、価格等は日本の情報を記載しています)

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルが10.5インチのiPad Airと7.9インチのiPad miniを発表、史上初の5画面ラインアップに

アップルは3月18日、iPadシリーズのラインアップをアップデートし、10.5インチのiPad Airと7.9インチのiPad miniをリリースした。iPad Airは2014年10月にリリースされたiPad Air 2から約4年半ぶりの復活、iPad miniは2015年9月にリリースされたiPad mini 4から約3年半振りのアップデートとなる。世代で表記するとiPad Airは第3世代、iPad miniは第5世代だ。

いずれも、プロセッサー(SoC)はApple A12 Bionic、指紋認証センサーのTouch ID、64GB/256GBのストレージを搭載し、第1世代のApple Pencilに対応する。カメラは前面のFaceTimeカメラが700万画素、背面が800万画素と控えめ。カラバリは、シルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色。そのほかiPad Airは専用端子のSmart Connector経由で本体カバーにもなる薄型キーボード「Smart Keyboard」を利用可能だ。

従来同様、Wi-Fiモデルとセルラーモデルを用意しており、いずれもWi-FiはIEEE802.11ac対応、セルラーモデルは、nano-SIMとeSIMを利用可能だ。

税別価格は、iPad AIrのWi-Fiモデルの64GBが5万4800円、256GBが7万1800円。セルラーモデルがそれぞれ6万9800円と8万6800円。iPad miniのWi-Fiモデルはそれぞれ4万5800円と6万2800円、セルラーモデルがそれぞれ6万800円と7万7800円。

真新しい点は少ないが、既存の技術を結集してコストダウンを図った普及モデルという位置付けだ。特に長らく放置されてきたiPad miniの後継モデルが登場したことは、ファンにとっては非常に喜ばしいところだ。これによって、7.9、9.7、10.5、11、12.9インチと5つの画面サイズをラインアップすることになったiPad。もちろん、アップル史上最もラインアップの多い製品シリーズとなった。アップルはいったいどこに向かうのだろうか。

Doorportはマンションのインターホンシステムをさらにスマートにする

都会に住んでいて、マンションのインターホンシステムに嫌気がさしているという人も多いのではないだろうか。その電子的な門番は、画面も小さく、ボタンは押しづらく、訪ねてきそうな友達の名前のリストは長過ぎる。

Doorportは、このような従来のシステムを、少しでも賢いものにしたいと考えている。それを実現するために、彼らは既存のインターホンシステムを利用して、そこに機能を追加できるデバイスを開発した。それにより、スマホを使ってマンションのドアを解錠することが可能となる。自分が帰宅したときも、来客を入れるときも、画面をタップするだけでいい。このデバイスを取り付けても、従来のインターホンの機能はそのまま動作する。ただし、以前よりちょっと賢くなるのだ。

この会社が作成したプロトタイプのハードウェアは、現状でちょうど一揃いのトランプほどの大きさに収まっている。すでに設置されているインターホンシステムの中の空きスペースに潜り込ませることができるように考えられたものだ。創業者によれば、取り付けには、ほんの5〜10分ほどしかかからない。磁石でインターホンの筐体の内側に固定し、2本の電線で電源を取り、あと2本の配線を解錠をコントロールする部分に接続するだけ。

Doorportのアプリを開くと、近くのアクセス可能なドアをBluetoothで探索する。画面に表示された鍵のマークをタップすれば、ドアを解錠できる。ICタグをスキャンしたり、暗証番号を打ち込む必要はない。友人にも、Doorportのアプリをインストールしておいてもらう。そうすれば、友達はアプリであなたを呼び出し、話をすることもできる。居住者がその建物から引っ越した場合には、管理人は、管理者用のパネルを使って、その人のプロファイルを削除するだけでいい。以後、退去者はアクセスできなくなる。

Doorportでは、当初、既存のインターホンの装置を丸ごと置き換えるフル装備のハードウェアを開発するつもりだった。ビデオ通話や、暫定的な1日限りのアクセスコード発行機能などを備えたものだ。しかし、市場調査によって、家主はそのような総入れ替えが必要なものには興味を示さないことがわかった。まったく新しいシステムを導入すると、古いハードウェアを撤去し、従業員を再訓練したり、すべての住民に新しいICタグを配ったりすることが必要となる。そこで、そうする代わりに、既存のシステムの上に付加できるタイプのものにシフトすることにしたのだ。

この会社は、まだまだ初期段階で、従業員は3人だけ。3Dプリンターを利用して筐体を作成し、何度もプロトタイプを作り直している。ほんの数ヶ月前、同社が初めてY CombinatorのWinter 2019クラスに入ったとき、共同創立者のReggie Jean-Brice氏は、「ハードウェアは文字通りブレッドボード上で動いています」と私に明かした。それに対して、私が最近目にしたデバイスは、側面に「Mark II」という刻印のある、きれいな小さな箱に収められていた。

新しい会社にはよくあることだが、Doorportはまだ彼らの製品の原価ががいくらになるのか、正確に把握しきれておらず、いろいろな値付けのモデルを検討している最中だ。その1つのモデルは、最初に取り付ける際に、家主に約350ドルを負担してもらう。その後は、マンションの1世帯あたり毎月1.5ドルを支払ってもらうというもの。別のモデルでは、1世帯あたり年間約30ドルのコストを、居住者に負担してもらう。家主は、より便利な付帯設備として、それをウリにすることができる。共同創立者のBen Taylor氏によれば、同社は現在プロトタイプのデバイスを、サンフランシスコ、オークランド、さらにニューヨークでテスト中とのことだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

元ソニー技術者が創業、東大発のロボット義足ベンチャーBionicMが資金調達

「既存の義足にはまだまだ不便な部分がある。自分自身、義足のユーザーであり1人のエンジニアでもあるからこそ、もっといい義足を自ら開発しよう。そんな思いで始めた」

そう話すのは、BionicM(バイオニックエム)で代表取締役を務める孫小軍氏。同社では現在ロボティクス技術を活用した“次世代のハイテク義足”を開発している。

チームを率いる孫氏は、学生時代からの義足ユーザーだ。大学卒業後はソニーでエンジニアとして働いていたが、義足の課題点を自らの手で解決するべく、会社を辞めて東京大学の博士課程に進学。ヒューマノイド技術を応用した義足の開発に取り組んできた。

そのBionicMは3月18日、研究開発のスピードをさらに加速するべく、UTEC(東京大学エッジキャピタル)から資金調達を実施したことを明らかにしている。具体的な金額は非公開だが億単位の調達になるという。

既存の義足に課題を感じ、東大のロボット研究室へ

BionicMのメンバー。右から3人目が代表取締役を務める孫小軍氏

中国で生まれた孫氏は、9歳の時に病気が原因で片足を切断している。「当時中国では補助制度もなく、義足自体も高価なものだった」ため、それ以来は松葉杖を使ってずっと生活をしてきた。

そんな孫氏が義足ユーザーになったのは、交換留学を機に日本で暮らすようになった学生時代。「松葉杖から義足になることで両手も自由になり、生活の幅も広がった」と当時を振り返る孫氏は、東北大学、東大大学院を経てソニーに入社し、エンジニアとして勤務する。

ただ、義足を使う生活が続く中で、次第に既存の製品には改良できる点があると感じるようになった。

「階段の昇り降りが大変だったり、常に自分で力を入れていないと動かないから疲れやすい。例えば椅子から立ち上がる場合、義足は膝が曲がった状態では力が入らないのでもう一方の足にかなりの力を入れる必要があり、高齢者などは苦労する。安全性の面でも膝折れしてしまい転びやすいという問題もあった」(孫氏)

冒頭でも触れた通り、孫氏は自らの手で新たな義足を開発すべくソニーを退職。再び活動の場を東大へと移すことを決断する。

進学先として選んだのは、ヒューマノイドロボットを研究する情報システム工学研究室(JSK)。グーグルに買収されたSchaftや、産業用ロボット分野で事業を展開するMUJINの創業メンバーもルーツを持つ、この分野では日本有数の研究室だ。

まさに現在BionicMで開発するロボット義足も、ここで学んだ最先端のロボティクス技術を取り入れたもの。当時は誰も義足の研究をしておらず手さぐりで始めたそうで、本格的に義足を作る上では資金が全くなかったという。

そこで2016年にJST(国立研究開発法人 科学技術振興機構)が運営する大学発ベンチャーの支援制度「START」に応募。このプログラムでは申請フローの途中でVCなどの事業プロモーターがつく仕組みになっていて、当時からBionicMをサポートしてきたのがUTECだった。

実際にBionicMを法人化したのは2018年12月のため、同社は設立から間もない生まれたてのスタートアップと言える。ただプロジェクト自体は孫氏の熱い思いから発足して、数年に渡って続いてきたものだ。

寡占市場ゆえに、技術革新が進んでこなかった義足市場

そもそも義足は切断箇所を入れる「ソケット」と、膝や足の役割を担う「膝継手」「足部」などのパーツから構成される。

ソケットは足を切断した位置に限らず必ず必要になるもので、切断箇所と義足をつなぐ役割。体にフィットしたものを選ぶ必要があり、義肢製作所でオーダーメイドのものを作る。一方で膝継手や足部などはメーカー側が大量生産していて、BionicMもまさにこの2つのパーツを手がけている。

孫氏によると、膝継手や足部などの義足パーツは「受動式」「電子制御型受動式」「能動式」の3タイプに分かれるという。現在活用されているものの大部分はオーソドックスな受動式タイプ。自転車に例えるとシンプルなママチャリに近く、機能に限りがある分、価格も平均で数十万円〜100万円ぐらいとコスト面でメリットがある。

電子制御型受動式はギアのついた自転車をイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれない。受動式を少しアップデートしたもので、その分価格帯も200万円前後に上がる。

そして3つ目の能動式がいわゆる電動自転車のように、最もハイスペックなものだ。ユーザーの負担が削減される一方で、高価格になりがちなのが課題。現在市場に出回っているものは1000万円ほどするという。

BionicMが手がける義足もこの能動式に分類されるもので、既存の製品よりも性能を上げつつ200万円ほどで提供することを目標にしているという。

本当にそこまで価格を下げることが可能なのか気になるところだが、実はこの市場は「全体の70%のシェアを大手3社が握っている寡占市場」であり、価格の競争や新しい技術の採用など変革がほとんど起こっていないのだそう。

だからこそ新たな義足を開発する意義もあるし、スタートアップが市場を切り開くチャンスもある。モーターやバッテリーなどロボット義足に欠かせない部品の改良が進んでいるのも追い風だろう。その考えは創業前からBionicMをサポートしてきたUTECの井出啓介氏にも共通する。

「寡占化によって義肢の市場はおかしな状況になっている上に、テクノロジーの恩恵を十分に受けられていないため市場環境的にもスタートアップが戦える余地が十分にある。そこに日本の最先端のヒューマノイド技術を応用した製品が出てくることは、価値の高いこと。今はアジアから主要なプレイヤーが1社も出てきていないが、この技術は日本に限らず中国やインドなどアジア諸国でも展開できる」(井出氏)

様々な局面でユーザーをアシストする、ハイブリッド型義足

現在BionicMが研究開発を進めているのは、ロボット技術を基に人間の自然な歩行をアシストする義足だ。複数のセンサーを搭載したこの義足は、足を降り出す際や障害物とぶつかった際など、様々なシーンにおいて歩行環境やユーザの意図を検知できる。

左が受動式の義足、右が現在BionicMが開発する能動式の義足。段差などの障害物にぶつかった際、受動式の義足では膝がカクッと折れてしまうことがわかる

歩行時であれば振り出す動作をアシストすることで、身体への負荷を抑え自然に歩けるようにサポート。段差などにつまずいて膝折れしてしまうような場面でも、その状態を把握して動力を駆動させることで転ばないように支える。

受動式の義足では負担となっていた椅子から立ち上がる動作についても、アシスト機能によって両足に均等に体重をかけながら楽に起立することができる。

もちろん能動式の義足を開発するプレイヤーは他にもいるが、上述した通りイノベーションがあまり進んでいない。実際、市場に出回っているものには値段の高さ以外にも重さを始め、使い勝手が悪い部分があるそう。

中でもネックとなるのがバッテリーが切れてしまうと“電池切れのスマホ”のように全く使い物にならなくなってしまう点だ。

その問題を解決するため、BionicMではハイブリッド型の義足を開発している。つまり普段はハイスペックなロボット義足として力を発揮し、仮にバッテリーが切れてしまった場合にも受動型の義足として使うことができるという仕組みだ。

その他バッテリーを小型化することでこれまでの製品よりも30%ほど軽量化するなど、ユーザーの負担が少なく、楽に使える義足の実用化を目指している。

「普段生活をしていて意識することはないかもしれないが、人間の足は非常によく出来ていて、それを機械を使って模倣するのはとても難しい。体に装着するものなのでできる限り小型で軽くしないと使えないし、人間に近い動きを制御するのも簡単なことではない」(孫氏)

現在作っている膝部分のプロトタイプは4代目。試行錯誤しながらアップデートを繰り返す日々で、今は10月に神戸で開催される国際義肢装具協会の世界大会で製品を披露することが目標。製品化は2020年春を目安にしているという。

「自分もそうだったが、病気や事故によって止む無く足を切断する人もいる。そんな人達が健常者と同じように自信を持って生活できるように、まずはマイナスをゼロにできるような義足の開発を目指す。また、今は義足を周りに見られたくないというユーザーも多い。ゆくゆくは見た目にもこだわり、義足の文化自体も変えられるようなチャレンジをしたい」(孫氏)

アップルはクアルコムの3つの特許を侵害、米連邦裁判所が判決

モバイルチップメーカーのQualcomm(クアルコム)はApple(アップル)を相手取った裁判でまた1つ小さな勝利を勝ち取った。

ロイターの報道によると、サンディエゴの連邦裁判所は3月15日、Qualcommの3つの特許を侵害したとしてAppleに3100万ドルの支払いを命じる判決を下した。

我々が以前報じたように、電力消耗やiPhoneの起動にかかるスピードに関するサンディエゴでの特許をめぐる裁判は2017年半ばから2018年後半にかけて展開されてきた。

クアルコムは、この期間に販売されたiPhoneが未払いで特許を使用したとして、1台あたりロイヤルティー1.41ドルが支払われるべきだと主張していた。

Qualcommは近年、米国、欧州、アジアでAppleを相手取ってたくさんの特許訴訟を起こしている。Appleの主張するライセンス契約は不公平で違法であるとする両社間の大きなバトルにおいて、訴訟はほんの小競り合いにすぎない。

サンディエゴの判決について、Qualcommの代表取締役副社長で法務部長のDon Rosenberg氏は以下のように述べた。

今日の満場一致の判決は、対価を支払うことなく我々の価値あるテクノロジーを使用していることについてAppleに責任があると指摘している我々の世界中での特許訴訟の中で、最新の勝利となった。Qualcommが開発したテクノロジーとその他が、Appleのこの分野への参入、そして急速な成長を可能にした。今回のケースでの3つの特許の侵害は、Qualcommの数万という価値ある特許ポートフォリオにおいては小さなものだ。我々のIPの使用に対して支払いを拒むAppleの戦略を世界中の裁判所が却下していることをうれしく思う。

特許訴訟に関連するiPhoneのモデルはiPhone 7、7 Plus、8、8 Plus、Xで、Qualcommの米国特許番号8,838,949(フラッシュレス・ブート)の特許と、米国特許番号9,535,490(アプリケーションプロセッサとモデムの間のデータマネジメント)の特許を侵害している。そして、iPhone 8、8 PlusそしてXはQualcommの米国特許番号8,633,936(高パフォーマンスのパワーマネジメントを伴うビジュアルグラフィックス)の特許を侵害しているとさている。

特許はモデムに含まれておらず、「セルラーデバイスに不可欠な標準とはなっていない」とQualcommはしている。

ロイターの報道は、この判決がAppleとQualcommの間で展開されている10億ドル規模のロイヤルティー裁判に適用されるなら、裁判所が下した損害賠償はさらに大きな意味を持つ、としている。そして、QualcommのIPに1ドルの価値を認めることで、サンディエゴの裁判はチップのライセンスプラクティスが正当なものであるという主張を潜在的に支持している、とも指摘している。

この記事執筆時点で、Appleが判決に対して不服を申し立てるかどうかは明らかではない。ロイターの報道によると、Appleは判決について遺憾の意を表明した後、この件についてのコメントを却下した。

我々はAppleにコメントを求めている。

ロイターへのAppleのコメントは次の通りだ。「特許を侵害しているというQualcommが展開中のキャンペーンは、米国の連邦裁判所、そして世界においてQualcommが直面しているビジネスプラクティスの調査という、より大きな問題から注意をそらすため以外の何ものでもない」。

Appleは2年前にQualcommに対し10億ドル規模のロイヤルティー訴訟を起こしている。

今回、強気の裁判になっているのには理由がある。1つには、QualcommがAppleに特許ロイヤルティーリベートの支払いで10億ドル近くを借金しているという裁判が別にあることが挙げられる(CNBC経由)。この裁判は来月始まる。

米国の連邦取引委員会はまた、2017年にQualcommに対し独占禁止の訴訟を起こしている。ここでは、Qualcommが法外な標準規格特許ライセンス料金を課すことでAppleを除外していると主張している。

この訴訟は1月に完結し、判事Lucy Koh氏の判決はまだ出ていない。

同時にQualcommはAppleを相手取って世界でいくつかの訴訟を起こしてきていて、そのうちのいくつかでは勝訴している。

12月、Appleは中国マーケットでiPhone販売停止となっていたかもしれない予備判決を覆すために中国で控訴した。

一方、ドイツでは古いiPhoneモデルの販売が1月に禁止された。しかし2月までに、Intel(インテル)ではなくQualcommのチップを使っているにもかかわらず2つのモデルを再び販売している。

この記事はQualcommからのコメントがアップデートされた。

イメージクレジット: Justin Sullivan

 

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

マイクロソフトがクラウド用データ圧縮アルゴリズムとハードウェアをオープンソース化

現在、大手のクラウドコンピューティングのプロバイダが保管しているデータ量は驚愕すべきレベルに達している。そのため、ほとんどの場合、情報はなんらかの方法によって圧縮された状態で保存されているはずだ。それはフロッピーやCD-ROM、低速通信の時代に、ユーザー自身がファイルをzip圧縮していたのと同じようなもの。通常、そのようなシステムは、厳重に秘密のベールで守られている。しかし米国時間3月14日、Microsoft(マイクロソフト)はAzureクラウドで実際に使われている圧縮アルゴリズム、ハードウェア仕様、そしてその回路図を記述するVerilogのソースコードをオープンソース化した。それらすべてをOpen Compute Project(OCP)に寄託したのだ。

Project ZiplineとMicrosoftが呼ぶこのプロジェクトでは、標準的なZlib-L4 64KBモデルと比較して、2倍もの高圧縮率を達成することができる。それを実現するため、Microsoftが実際にクラウド内で扱っている大きなデータセットの性質に合わせて、アルゴリズムと、そのハードウェア実装を念入りにチューンしてある。この仕組みは、システムレベルで動作するため、実質的なオーバーヘッドはない。Microsoftによれば、現在利用可能な他のアルゴリズムと比べても、実際に高いスループットと低いレイテンシを実現できているという。

Microsoftは、これらすべてを機能させるために必要な、レジスタ転送言語(RTL)用のVerilogソースコードも寄託している点を力説する。「これだけ詳細なレベルでRTLをオープンソースとしてOCPに寄託するのは、業界を先導するものです」と、Azureハードウェアインフラストラクチャのゼネラルマネージャ、Kushagra Vaid氏は述べる。「OCPのエコシステム内の新技術に関するスムーズなコラボレーションを推進し、シリコンレベルのハードウェア革新への扉を開く、新たな先例となるものです」。

Microsoftは現在、このシステムを自らのAzureクラウドで使用しているが、Open Compute Projectに参加する他社との提携も始めている。 そうしたパートナーとしては、Intel、AMD、Ampere、Arm、Marvell、SiFive、Broadcom、Fungible、Mellanox、NGD System、Pure Storage、Synopsys、それにCadenceが挙げられる。

「そのうちに、Project Ziplineの圧縮技術が、さまざまな市場セグメントに浸透するものと期待しています。ネットワークデータ処理、スマートSSD、アーカイブシステム、クラウドアプライアンス、汎用マイクロプロセッサ、IoT、エッジデバイスなど、幅広い用途が考えられます」と、Vaid氏は述べている。

画像クレジット:JLPH/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

車いすのユーザーが近づくと自動的にドアが開くBluetooth Low Energyボタン

押すと自動的にドアが開くボタンやプレートがあると建物のアクセス性はよくなるが、常に最良のソリューションとは限らない。上体の動きが自由でない人が車いすに乗っていると、ボタンは押しづらいだろう。ボタンの位置が高すぎたり低すぎたり、あるいはドアから遠すぎて閉まってしまうこともある。

Portal Entrywaysは、そういう既存のボタンをもっと使いやすくする。同社が作ったデバイスをボタンの上にかぶせると、車いすの人が近づけばドアが自動で開き、開いた状態を維持する。ボタンを前と同じように単純にボタンとして使うこともできる。

Portalの製品には二つの部位があり、ひとつは既存のドア開閉システムにくっつけるBluetooth Low Energyのデバイス、もうひとつは車いすのユーザーのスマートフォンで動く付属アプリだ。アプリはそのBluetooth Low Energyデバイスを探す。通信範囲内にひとつ見つけたらコマンドを送ってドアを開き、ユーザーがその出入り口を通過するまでドアを開いたままにする。Portalを装備している出入り口にはステッカーがあるので、ユーザーは自分が近づけば開くとわかる。

PortalはY Combinatorの2019冬季クラスに参加している。でもその始まりはブリガムヤング大学のイノベーション事業における学生プロジェクトで、その課題は、現実世界の問題を解決すること、だった。共同創業者のSam Lew氏によると、最初彼らは建物のアクセシビリティとは全然関係のない、物流関連のプロジェクトを始めた。でもキャンパスで、友だちがドアを開ける時間のスケジュール表を作ったり、手が届かないボタンを押してあげている人物に会ったとき方針を変えた。

まだ始まったばかりだが、彼らは早い成功をねらっている。これまで250台近くのデバイスを据え付けたが「今月中に1250台ぐらいの契約を取りたい」と言っている。

今は、同社の創業者たちが自分でデバイスの据え付けをやっている。ボタンもモーターもドアによってまちまちだ。有線で接続しているところもあれば、すべてワイヤレスのところもある。それらすべてに接続するには、今のところ特殊な知識がいる。しかし共同創業者のJosh Horne氏によると、既存の人気製品のほとんどすべてで動作する。「骨董品でなければ動くはずだ」と彼は言う。

同社が今集中しているのは、大学やモールなど公開的な施設建物のドアだ。どれぐらいの使用料にするかまだ決めてないが、ドア1つにつき1年で100ドルか200ドルぐらいを想定している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トヨタとパナソニックが東京五輪に提供する介助ロボットをデモ

2020年東京で夏のオリンピックとパラリンピックが開催される。日本の大企業の多くはこのチャンスをとらえて最新のテクノロジーをデモしたい考えだ。中でも観客のモビリティを改善するロボディクスに注目が集まっている。

今週開催されたプレスカンファレンス「東京2020ロボットプロジェクト」で、こうしたテクノロジーの一部が公開された。日本や他の国で高齢化が大きな課題となっているが、こうしたロボディクスは自力で移動することが困難な人々を助けることを目的としている。

副事務総長の古宮正章氏はイベントで「ロボットは人間を圧迫する存在ではない。ロボットは人間と有効的な関係を築き、協力する存在であるべきだ。これがわれわれが考えるロボットの未来だ」と述べた。

このイベントの主要スポンサーとなっているトヨタは、人間を介助するロボットの開発を以前から続けてきたことで知られている。今回発表されたのは観衆の移動を容易にする介助ロボット16種類だった。共同スポンサーのパナソニックは20種類の運搬ロボットを披露した。これには装着者が大重量を運搬することを可能にする外骨格装置が含まれている。

世界のメディアの注目が集まるオリンピックはこうしたテクノロジーをデモするのに理想的な場だ。今回発表されたテクノロジーはロボティクスの中でも普段はさほど注目されない地味な部分だけに、こうしたチャンスを利用することには大きな意味がある。日々の生活で切実に助けを必要としている人々の役に立つようなロボティクスが本当に役立つテクノロジーというべきだろう。

画像:KAZUHIRO NOGI

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがWWDC19を6月3日から開催、参加費は約18万円

アップルの年次デベロッパー・カンファレンス[開発者向けイベント)は3年続けて米国カリフォルニア州サンノゼのMcEnery Convention Center(マクネリーコンベンションセンター)で行われることになった。 WWDCの開催期間は6月3日~7日。例によってキーノート講演と消費者向け製品の発表イベントが初日に行われる。今年はWWDCの30周年にあたる。

今からアップルのウェブサイトで参加費1599ドル(約18万円)の会議に申し込める。これまでと同じ価格だ。ただし、申し込んでもイベントに参加できるとは限らない。アップルは誰が料金を払ってデベロッパー会議に出席できるかを抽選して決める。

登録は3月20日午後5時まで。当選すればその翌日に通知が送られてくる。抽選期間は昨年より少し短めなので遅れないように。学生はWWDCスカラシップに申し込むことができる。今年は350人の学生がこのプロセスを通じて無料で会議に参加できる。

初日の新製品発表に加えて、アップルは数多くの技術セッションやハンズオンラボを用意してアップルエコシステムのサードパーティーデベロッパーを支援する。この会議はiOS、macOS、tvOS、およびwatchOSの開発に携わっている人たちが主な対象だ。新しいフレームワークが自分たちのアプリにどう影響するか、どうやってそれを生かすことができるかを理解する良い機会だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2500ドルのスマートウォッチを探している人へ、それならGarminがある

スマートウォッチに2500ドル(約28万円)払ってもよいという人がいる。しかも驚いたことにその人にはいくつか選択肢がある。そして、Garmin(ガーミン)の名前はびっくりするような贅沢品を意味しないが、ちゃんとしたスマートウォッチの作り方を知っている会社だ。しかも、かなりよくできているように見える。

2500ドル相当の出来栄えかどうかはわからないが、とにかくよくできている。

Marq GPSシリーズは、この会社にはちょっと珍しいタイプの商品郡で価格は1500ドルから。高級腕時計の価格をスマートウォッチに払わせるのはかなり大変な仕事だ。Apple Watchの3倍以上の値段ともなれば、永久に、いや長い間使えるものであってほしい。

さらにこの製品がニッチなのは、それぞれのモデルのターゲット顧客が非常に特異的であることだ。アスリート、ハイカー、ボート愛好家、パイロット、レーシングカー・ドライバー(ちなみに最後のが2500ドル)。すべてデザイン、機能ともにそれぞれのカテゴリーに特化していて、風速計と高度計のついたものもある。

なぜこんなに高価なのかについてGarminはこう言っている。

どの腕時計もチタンでできていて、軽量かつ驚くほど頑強でどんな活動でもすぐれた性能を発揮する。超高温高圧焼成されたサファイアクリスタル製の風防はガラスの2倍以上の強度持つ。

もちろんGarminはスマートウォッチ戦争ではつねに不利な戦いを強いられている。商品がアウトドア人間とアスリート向けに作られているため、対象顧客がどうしても限られるからだ。それにしても1500ドル以上というのはやり過ぎだろう。新スマートウォッチシリーズは今年の第2四半期中に発売予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オポチュニティの最後の火星パノラマ写真は素晴らしすぎて言葉がない

火星探査車オポチュニティは、公式には永久にオフラインになったが、その科学と画像の遺産は存続する。そしてNASAは米国時間3月13日、あのロボットがその後塵の毛布に包まれていく前に送ってきた最後の、完全に近いパノラマをシェアした。

火星の表面にこれまで5000日(地球日ではなく火星日で)以上いたオポチュニティは、その最後をエンデバークレーターの中、その東縁にあるパシビアランスバレーで迎えた。生存の最後の1か月彼は、自分のまわりを規則正しく撮影し、多くの感動的なパノラマにまた一つを加えた。

パノラマカメラ「Pancam」は、撮影をブルー、グリーン、ディープレッド(深紅色、近赤外線色)の順にフィルタをかけて行い、354の画像で多様な地形や自分の一部、そして谷を踏み歩いた軌跡を拾う。下の画像をクリックすると完全な注釈つきのバージョンを見られる。

それは、人が望みうる火星の風景画像としてこれ以上のものがありえないほど完璧で、細部の違いまで詳細だ。色を加工しているので、この世のものとは思えぬ独特の美しさがある(元の色のバージョンはここにある)。そしてそのため、この探査車の最後のショットだという切なさが胸を打つ。彩色は実は完成していない。左下にあるモノクロの部分は、これから彩色する箇所だ。

厳密に言うとこれは、探査車が最後に送った画像ではない。あの致命的な塵の嵐が迫ってくるとき、オポチュニティは最後のサムネイルを送ったが、本体画像は送られなかった。それは、日没寸前の太陽の画像だ。

塵の雲が完全に太陽を覆い、オポチュニティが漆黒の闇に包まれたことは最後の送信でわかる。

上の画像中にある閃光やドットは、すべて画像センサーのノイズだ。本当は完全な闇で、その嵐の規模が全惑星サイズであることから考えると、数週間は続くだろう。

オポチュニティは、とてつもない幸運に恵まれた。設計寿命の何十倍も長持ちして旅をし、チームの最長予測すら超えた。しかも最後の日まで美しくて価値あるデータを取り続けたことは、その設計と制作が堅牢かつ細心であったことの証明だ。

画像クレジット: NASA/JPL

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple MusicがAmazon Fire TVにやってくる

米国では米国時間3月13日から、Apple TVをFire TVで利用できるようになる。Amazon Echoシリーズのスマートスピーカーでは昨年12月から対応していた。このニュースは、Apple(アップル)のCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏が2017年にAmazonとの合意を発表して以来、両ライバル間の緊張が和らいでいることを示す新たな事例としての意味がある。この契約によって、Apple TVのAmazonプライムビデオアプリが公開され、Amazon.comにはApple製品が戻ってきた。

それ以来、両社はこの合意に沿った動きをいくつも見せている。

例えば昨年、AmazonはApple製品の品揃えを拡大して、Apple TV以外にもiPad、iPhone、Apple Watch、Beatsヘッドホンなどの商品を販売開始した。さらにAmazonは同社のアプリFreeTime UnlimitedをiOS用に提供した。そして最近では、Apple MusicがEchoにやってきた。

そして今回、Amazon Fire TVにもやってきた。

これでApple Musicの定期購読者は5000万曲のストリーミング音楽をAlexaに頼んで聞くことができる。ユーザーは楽曲、アーティスト、プレイレスト、アルバムなどを「Alexa, play today’s hits on Apple Music」とか「Alexa, play music by [アーティスト名]on Apple Music」などと言ってリクエストできる。

Fire TV Cubeでは、複数の部屋にわたるミュージックグループの中でApple Musicをストリーミングすることもできる。

Fire TVでApple Musicを使うためには、Apple Musicスキルを有効にしてから自分のAppleアカウントにリンクする必要がある(Echoスピーカーで聞くために設定した人は再び設定する必要はない)。

Appleのサブスクリプション・サービスへと焦点を移動する決断(音楽のストリーミングに続いて近々ビデオのストリーミングサービスも)の恩恵に預かっているのはAmazonだけではない。

最近Appleは、Samsung(サムスン)との提携によって専用アプリを使ってSamsungのスマートTVにiTunesコンテンツを持ち込み、VizioLGなどのテレビメーカーとはAirPlay対応で同様の契約を結んでいる。RokuのAirPlay対応についても検討していると言われている。

Apple Musicは3月13日から米国のFire TVユーザーに提供開始される。Amazonは、数週間後には英国のFire TVおよびEchoユーザー向けにもApple Music対応機能が提供されると言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク弁護団「テスラの生産速度に関するツイートは法廷侮辱ではない」

Elon Musk(イーロン・マスク)氏の弁護団は、マスク氏がTesla(テスラ)の生産速度を公表したツイートは法廷侮辱であるとする証券取引委員会(SEC)の要求に対して、締切直前の米国時間3月11日の夜遅くに回答した。ニューヨーク市マンハッタンの連邦裁判所に提出された書類でマスク氏の弁護団は、先月投稿したツイートはマスク氏がSECと結んだ契約条項に違反していないと言った。

「マスク氏が発信した取るに足らない1回のツイートは、裁判所命令にもTeslaの『上級幹部情報管理ポリシー』にも沿っており、これについて民事的裁判所侮辱罪を要求する証券取引委員会の主張は、事実に照らしても法的にも正しくない」と提出書類にかかれている。同ポリシーは、マスク氏がTeslaの重要情報を含む可能性のある会話に関する事前承認されたポリシーに従うことを要求する裁判所命令に言及している。

問題のツイートは2月20日にマスク氏が投稿し、Teslaが今年中に約50万台の車を生産すると書かかれていた。その後マスク氏は同じスレッドの第2のツイートで、2019年末時点の年間出荷台数は推定約50万台、週に1万台だが、納車できるのは約40万台であることをはっきりさせた。

同氏の弁護団は、マスク氏はポリシーを守っており、彼が「事前承認が必要な情報が含まれているかどうかを決定する最初の事例であり、彼が自身で妥当な判断を下す」ことは許されていたと書いた。しかしその後Teslaの情報開示法律顧問と相談した結果、内容を明確にしたツイートを発信した。弁護団はこれを、SECとの和解条項を守ろうとする「彼の努力を示すもの」であると主張し、Teslaの2019年の生産予想と生産速度は、すでに「複数の文書で公に議論され、決算会見でも詳しく説明された」話題であることを付け加えた。

マスク氏は昨年8月、自社を非公開企業にするための資金を確保したとツイートしてSECの規則に抵触した。SECは、同氏とTesla取締役会が当初の和解案を拒否したあと、証券取引法違反の疑いを申し立てた。 10月に成立した和解の結果、マスク氏はTeslaのCEOに留まることは許されたが、取締役会会長の職は降りなくてはならなかった。さらにSECは、同氏とTeslaにそれぞれ2000万ドルの罰金を課し、Teslaがマスク氏のツイートに関する情報公開の管理と手続きを実行するよう要求した。

今日の裁判所への申立でマスク氏の弁護団は、10月の和解直前にツイートでSECを“the Shortseller Enrichment Commission”[空売り強化委員会]と呼んだ同氏は、それ以来和解条項を注意深く守り、「ツイート全般、特にTeslaに関するツイートの数を劇的に減らした」と書いた。

弁護団は「この自主規制は、裁判所命令に従いSECとの無用な争いを避けようという彼の決意の現れである」とも書いた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google系自動運転のWaymoが20兆円程度の評価額で外部資本導入か

Googleの持株会社Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転車を開発する企業Waymo(ウェイモ)が初めて、外部資本を調達するかもしれない。しかもそのとき望む評価額は、ジェネラルモーターズ傘下の自動運転車を開発するCruise(クルーズ)の150億(約1.67兆円)ドル近くの数倍以上だそうだ。米国時間3月11日のThe Informationが報じている

現在、TechCrunchの情報筋に確認しているが、Waymo自身はまだコメントの求めに応じていない。

Waymoは今年で創立10周年になるが、一貫してキャッシュ主体の企業だった。外部投資家からの資金調達は、CFOのRuth Porat氏が進めていると言われるが、同社の経費節減に貢献し、またAlphabetにとってはここ何年間かで初めての、Waymoの評価額を外部に示す機会になるだろう。しかしThe Informationの記事によると、Alphabetにはこの、かつて「Project Chauffeur」と呼ばれた企業の株式をそれほど多く外部に手渡す気はない。

Waymoは数年前に45億ドル(約5012億円)と評価されたことがあるが、しかしアナリストたちは今後の売上予測を根拠に、1750億ドル(約19.5兆円)よりも上と見ている。1000億ドルを超える評価額は、UberやTesla、GM、Fordなどを上回る。

現在時価総額が8170億ドルのGoogleならWaymoを支えられる。しかしこの検索エンジン企業は前にも、ほかならぬ自分自身が始めた突飛なアイデアの企業に自分の資本だけを投ずることをやめて、サードパーティの投資家を求めたことがある。それはGoogleが保有するライフサイエンスとエンジニアリングの企業Verily(バリリー)と、やはりGoogle Xから生まれた風力エネルギーの企業Makani(マカニ)で、それぞれその非公開株をSilver Lake(シルバー・レイク)とShell(シェル)に売った。

一方Cruiseは、2016年に5億8100万ドルでGMに買収されて以降、やはり外部資本を求めてきた。2018年半ばにはソフトバンク・ビジョン・ファンドがCruiseに22億5000万ドルを投資し、これによりソフトバンク・ビジョン・ファンドは、GMの自動運転車事業の20%を保有することになった。

Waymoは2016年にGoogleのプロジェクトから独立の企業になり、今ではCEO John Krafcik氏と上記Porat氏、そしてCTOのDmitri Dolgov氏らが経営にあたっている。同社は昨年、商用のロボタクシーサービス「Waymo One」を初めての営利事業としてフェニックス周辺で立ち上げてニュースにもなった。さらに最近Waymoは、電磁波ではなく光を使うレーダー(対象検知と距離検知)LiDARの同社独自製品を、自動運転車業界に限定されない一般向けに発売して、営利事業のレパートリーを広げた。

2030年のWaymoの売上は1140億ドルと予想されている

関連記事: WaymoのCTOが語る、会社の過去、現在、そして次に来るもの

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(翻訳:iwatani、(a.k.a. hiwa