リファラル採用SaaSのMyRefer、タレント・アクイジションSaaS「MyTalent」のベータ版をリリース

リファラル採用プラットフォームを提供するMyReferは、欠員補充などの短期的な採用ニーズを充足させる短期的な「リクルーティング」ではなく、中長期を見据えて会社を成長させるために転職潜在層から優秀なタレントを持続可能に獲得する「タレント・アクイジション」を実現するHRX(Human Resource Transformation)構想を発表した。

第1弾として、採用候補者との「つながり」を管理することで、掛け捨て型の採用から積立型の採用活動に変えるタレント・アクイジションSaaS「MyTalent(マイタレント)」のβ版を本日、2022年2月7日より提供開始する。

MyTalentでは、採用候補者のタレントプール構築、アプローチ、持続可能な仕組み化までを一元管理。過去の採用候補者で当時見送りとなった人材、社員の紹介での候補者、退職社員、ホームページの問い合わせなどから登録があった人材など、あらゆる応募チャネルから形成されるタレントデータを蓄積する。また、採用サイトへの来訪やメール反応から興味スコアを自動計測したり、過去の辞退・不合格理由からメールテンプレートを設計、ファン度をもとに最適なスカウトメールを送信、採用率向上を目指すという。

人材情報を蓄積していくタレント・アクイジションの時代へ

海外のHR市場では、欠員補充などの短期的な採用ニーズを充足させるために人材紹介や求人広告から母集団を形成して選考する短期的なリクルーティングではなく、中長期を見据えて会社を成長させるために転職潜在層へ採用マーケティングを行い、優秀なタレントを持続可能に獲得するタレント・アクイジションの概念が一般化してきているという。

代表の鈴木貴史氏は「日本企業がより競争力を高めるには、人をベースに事業を作り、優秀なタレント人材を獲得することが最重要課題です。その上で企業成長を促進させるために、候補者を資産化して戦略的にタレントを獲得、育成する『タレント・アクイジション』へと変革していく必要性を感じ、本件のリリースに至りました」と語った。同社は、リファラル採用SaaS「MyRefer」、タレント・アクイジションSaaS「MyTalent」を皮切りに、戦略的採用マーケティングを支援するプラットフォーム構想を進めていくという。

テスラ、一時停止の標識を通過させる「完全自動運転」機能をリコール

Tesla(テスラ)は「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ版に含まれていた、クルマが一時停止の標識を通過することが可能になる機能をリコールするため、無線でのアップデートを行っているとABCニュースが報じた。この機能は、FSDベータ10.3において、いわゆる「アサーティブ(積極的)」プロファイルの追加により初めて登場した。ABCによるとこの機能は、四差路交差点の一時停止標識を最大5.6MPH(約9.0 km/h)の速度で違法に通過することを許可するという。

Teslaは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の関係者との2回の会合を経て、リコールに合意したと報じられている。これは16-22年型のModel S(モデルS)およびModel X(モデルX)のEV、17-22年型のModel 3(モデル3)、20-22年型のModel Y(モデルY)を含む約5万4千台のTesla車に影響する。NHTSAはリコールレポートで「一時停止の標識で止まらないと、事故のリスクが高まる可能性がある」と記している。だがTeslaは、この機能が原因で発生した怪我や事故は関知していないと述べている。

テスラは以前、左折時の後退、ファントム前方衝突警報、オートステアリングのバグなど「いくつかの問題」を理由に、FSD10.3ソフトウェアを撤回して前バージョンに戻した。また、中国ではAutopilot(オートパイロット)の問題で30万台のリコールを余儀なくされ、その他の地域でもカメラやトランクの不具合サスペンションの分離などでリコールを実施している。

以前にも指摘したように「Full Self-Driving」という名称は一般的にはレベル4の自動運転を意味するが、Teslaのシステムはレベル2の高度運転支援(Advanced Driver Assistance)を提供しているに過ぎないため、誤解を招く恐れがある。停止線で止まらず徐行する「ローリングストップ」を無効にするOTAアップデートは、2月上旬までに送信される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:NurPhoto / Contributor

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

サブスクリプション収入の指標となるが不具合の危険もある「スプレッドシート」の撲滅を目指すSubscript

Sidharth Kakkar(シッダールト・カクカー)氏は、巨大なスプレッドシートに頼ることの苦痛をよく知っている。同氏が前に設立したFreckle Education(フレックル・エデュケーション)では、全員が使用していたデータの詰まったマスタースプレッドシートが読み込めなくなったり、コンピュータがクラッシュしたりする事態が発生した。

同氏の会社は最終的に買収されたが、この悩ましい問題は彼の心に残った。そこでカクカー氏は会社を離れた後、他の企業が「スプレッドシートの悪夢」と呼ばれる問題にどのように対処しているかを知るために、取材を始めた。

「私が気に入っていることの1つは、ある会社を上場させたCFOの話です。説明会の際に、人々はすべてのコーホートを要求し、彼のチームは説明会のためだけにコーホートを作ることに熱中したものの、文字通り2度とそれらを使うことはありませんでした」と、カクカー氏は振り返った。

そしてカクカー氏は、最初のBizOpsで採用したMichelle Lee(ミシェル・リー)氏とともに、2020年12月にサブスクリプション・インテリジェンスのスタートアップ企業であるSubscript(サブスクリプト)を起ち上げることにした。

Subscriptは、サブスクリプションでサービスを提供しているSaaS企業をターゲットに、CRMや総勘定元帳、課金製品からデータを取得して整理するAPIを開発し、データが見つけやすいように整理するだけでなく、最新のサブスクリプション収益指標を提供する。

カクカー氏によると、サブスクリプションビジネスは最近「馬鹿げたブーム」になっているという。しかし、顧客の再利用や継続利用という考え方は好んでも、誰もがビジネス上の意思決定にサブスクリプションという言葉を使いたがっているわけではない。

Subscriptはまだベータ版ではあるものの、First Round(ファースト・ラウンド)が主導する375万ドル(約4億3000万円)のシード資金を調達した。このラウンドには、Plaid(プレイド)のCTOであるJean-Denis Greze(ジャン=ドゥニ・グレーゼ)氏、Pilot(パイロット)の創業者であるWaseem Daher(ワスィーム・ダヘーア)氏、CircleCI(サークルCI)とDark(ダーク)の創業者であるPaul Biggar(ポール・ビッガー)氏、Postman(ポストマン)の成長部門責任者であるJesse Miller(ジェシー・ミラー)氏、Gusto(グスト)の成長部門責任者であるAllen Wo(アレン・ウォー)氏など、40人のエンジェル投資家が参加した。

Subscript製品のダッシュボード(画像クレジット:Subscript)

Subscriptでは、カスタムデータパイプラインを作成し、そのパイプラインによって、カクカー氏が「Revenue Source of Truth(真実の収益源)」と呼ぶものを作成する。例えば、誰かがSalesforce(セールスフォース)で100万ドル(約1億1500万円)の予約案件を成立させた場合、このシステムは一時的な収益と経常的な収益を分けて表示する。財務担当者はそれを見て最終的な判断を下す。

そこから、ユーザーは投資家や取締役会、リーダーシップチームがデータに基づいた意思決定を行うために必要なデータを切り分けることができる。

「リーダーシップチームが注目している大きな意思決定ポイントを把握し、それを軌道修正にも使用することができます」と、カクカー氏はいう。「四半期の途中で、数字を達成できるかどうか、どこに向かっているのか、状況はどうなっているのかが、わからなくなる時があるものです」。

Subscriptは現在、Circle(サークル)やFlipcause(フリップコーズ)など21社の顧客と提携しており、1億ドル(約115億円)を超える顧客の収益を追跡している。カクカー氏によると、社内ではこの数字をビジネスの規模を示すものとして見ているという。

Subscriptは現在、ベータ版を公開しているところで、新たな資金はチームと製品の構築に充てる予定だという。同社はまだ初期段階であり、複雑な製品を構築しているため、エンジニアリングや市場サポートを積み上げていくためには、人手を増やすことが重要だとカクカー氏は述べている。

「このモデルは非常に一般的になってきています」と、カクカー氏付け加えた。「この種のビジネスは非常に複雑なので、私たちは真っ先に取り組んでいますが、ソフトウェアなしでは不可能です」。

画像クレジット:jayk7 / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ついにマスク姿でもiPhoneのロック解除可能に!アップルの最新ベータ版OSはマスク着用に対応したFace IDや待望のユニバーサルコントロールを提供

Appleは新たなOSのベータ版を大量にリリースし、待望の機能を2つ提供する。iOS 15.4はマスクをしたままFace IDでiPhoneのロックを解除できる機能を搭載、さらにiPadOSとMacOS 12.3のバージョンベータ15.4では、遅れていたユニバーサルコントロールを提供する。

マスク着用時のFace IDは、当然のことながらパンデミックになった当初から熱望されていた機能だった。2020年4月に報道されたのは、iPhoneがマスクを発見すると、パスワード入力画面にユーザーに表示するもので、2021年2月には、iOS 14.5のデベロッパーベータ版に、接続したApple Watchを介してiPhoneのロックを解除する機能(巧妙な回避策だ)が追加された。

新しいOSのベータ版のOSは、多くの人が求めてきた機能をついに提供する。有効にすると、iPhoneは目の周りで正しいユーザーであるかどうかを判断する。しかし、顔全体がないと、読み取りの精度が低くなり、安全性も定価するため、オプトイン方式になっている。

画像クレジット:Apple

iPadとMacOSでは、ついにユニバーサルコントロールのベータ版を提供されることになった。
macOS 12 Montereyと同時に発表されたこの機能は、2021年に期待されていたが、その後、著しく遅れていた。現在のところ、春頃と予想されているが、デベロッパーベータのテスターはすぐにそれを手に入れることができる。

この機能は、Sidecarに代わるものだ。SidecarはiPadを追加ディスプレイに変えるが、、ユニバーサルコントロールは自動的にMacとiPadの間でマウスカーソルとキーボードを共有する。一方のデバイスでコンテンツを選択し、マシン間でドラッグ&ドロップすることもできる。

また、iOSの新機能として、ハートの手、唇を噛む、妊婦/男性など、多数の絵文字が追加されている。ベータ版は本日から利用可能。最終的な一般へのリリース時期は未定だ。

画像クレジット:Nora Tam/South China Morning Post / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Operaが暗号資産ウォレットやdAppsサポートを搭載したWeb3「クリプトブラウザ」ベータ版で提供開始

Opera(オペラ)は、ビルトイン暗号資産ウォレット、暗号資産 / NFT取引所への容易なアクセス、分散型アプリ(dApps)サポートなどの機能を搭載したWeb3「Crypto Browser」ベータ版の提供を開始した。OperaのEVPであるJorgen Arnensen(ヨルゲン・アーネンセン)氏は「メインストリームユーザーが戸惑うことの多いWeb3のユーザー体験をシンプルにする」ことを目指していると声明で述べている。

主な特徴は、イーサリアム、ビットコイン、セロ、ネルボスなどのブロックチェーンに対応するノンカストディアル(自己管理型)ウォレットを最初から内蔵していることだ。また同社は、Polygon(ポリゴン)などとのパートナーシップも発表した。これは、拡張機能を必要とせずにユーザーが自分の暗号資産にアクセスできるようにするという考えによるもので、サードパーティのウォレットも使用できるようになっている。フィアットからクリプトへの交換により暗号資産を購入したり、直接ウォレット内で暗号資産を交換したり、それらを送受信したり、ウォレットの残高を確認したりすることが可能だ。また、コピー / ペーストの際に他のアプリがデータを取得できないようにするセキュアクリップボードも搭載している。

もう1つの主な機能はWeb3、つまりブロックチェーンベースの分散型インターネットへの対応だ。これは、暗号愛好家(および懐疑派)の間でバズワードとなっている。ブロックチェーン暗号化によるセキュリティ強化に加え、ユーザーはGameFiなどにアクセスすることで「あらゆる種類のメタバースをプレイして収入を得られる」とOperaは述べている。また、最新のブロックチェーンニュースを掲載した「Crypto Corner」も用意されており「Web3のスキルを向上させることができる」としている。

OperaのライバルであるMozilla(モジラ)は最近、暗号資産による寄付を受け付けることを発表したが、ブロックチェーンの環境への影響をめぐり、共同創業者のJamie Zawinski(ジェイミー・ザウィンスキー)氏を含むユーザーから強い反発を受けた。同様の反応を予想してか、Operaは、よりエネルギー効率の高いEthereumレイヤー2規格を「可能な限り早く」実装することを目指していると述べている。

Ubisoft(ユービーアイソフト)のようにNFTなどでブロックチェーンの時流に飛び乗った企業も、同様の批判にさらされている。しかし、Operaは少なくとも、通常のOperaブラウザゲーマー専用のブラウザも提供しており、複数のブラウザオプションでユーザーに選択肢を与えている。Crypto Browserは現在、AndroidWindowsMacに対応しており、iOS版も近日中にリリースされる予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Opera

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

LinkedIn、インタラクティブなClubhouseスタイルの音声イベント機能を2022年1月開始、動画版は今春登場予定

8億人以上の人々がキャリアを積むために仕事用のプロフィールを掲載しているLinkedInは、次のステップとして、プラットフォームをより多く使ってもらう狙いだ。同社は新しいイベントプラットフォームを展開し、インタラクティブなバーチャルライブイベントの掲載、主催、マーケティングを行う予定だ。まず、音声のみの製品をベータ版として2022年1月に発表し、その後、春に動画版を発表する。最初は、LinkedInをオーガナイザーやホストとして利用しているクリエイターをターゲットにする。

ここ数年の新型コロナ生活の中で、オンラインイベントが多くの支持を得ていることから、現在の計画では、LinkedInの新しいイベント製品はすべてオンラインで提供し、フォーマットをオープンにしてイベントの運営者自身がフォーマットを作ることができるようにする予定だ。

プロダクトマネージャーの Jake Poses(ジェイク・ポーズ)氏はインタビューで次のように答えている。「私たちの理念は、主催する人が管理できるようにすることです。オンラインの円卓会議、炉辺談話などを簡単に開催できるようにしたい。フォーマルなイベントを開催したい人もいれば、インフォーマルなイベントを開催したい人もいるでしょう。また、リスナーとコミュニケーションをとりたい、質問を受けたいという要望もあるでしょう。私たちは、プロフェッショナルな人々にインタラクティブな機能を提供し、サポートします」。

2022年1月開始するオーディオイベント機能には聞き覚えがあるかもしれない。これはClubhouseに匹敵するもので、LinkedInの取り組みが最初に記事となったのは2021年3月だった。LinkedInは2021年、このイベントサービスに追加する可能性のある他の機能を試してきた。例えば、2021年9月にテストを開始した有料のチケットオプションなどだ。しかしポーズ氏によると、今のところインタラクティブイベントは無料サービスとして開始され、現時点ではチケット制にする計画はないとしている。

(LinkedInは近いうちにチケット制を導入すると思われる。私が尋ねたところ、Clubhouseの広報担当者は「クリエイターファーストというマントラの一環として」、当スタートアップ企業は「クリエイターが自分の作品をさらにマネタイズできるよう、チケット制イベントを含む複数の選択肢を模索している」と言っていたが、時期は特定できなかった。また、動画に関しては今のところロードマップにないことも確認した。彼女は「当社は、ソーシャルオーディオ体験に引き続き注力しており、オーディオ中心の新機能がコミュニティの体験をどのように強化できるかを引き続き模索しています」と付け加えた。)

オーディオイベントのモデルはこちら。

2022年1月末に開始されるこの新しいイベントプラットフォームには、他のサードパーティ製のソフトウェアを使用せずにインタラクティブなコンテンツをエンド・ツー・エンドで実行できるツールが含まれる。ホストはLinkedInから直接イベントを記録・実行できる他、オンラインの参加者とホストがライブで会話し、議論を進行できるツールや、イベント開催中と終了後に参加者が互いにコミュニケーションするためのツールが備わる予定だ。また、LinkedInは当然ながらイベントをリストアップし、プラットフォーム間でイベントに関する情報発信のサポートを行う。

これらのイベントのホストについては、まず、LinkedInを利用してすでに多くの人々とつながっている個人、つまり、TikTokなどの他のソーシャルプラットフォームで見られるような独自のクリエイターをターゲットとし、キャリア開発、専門的な話題、その他のLinkedIn中心の専門分野に向けたコンテンツを構築していく予定である。

LinkedInはここ数カ月、より広く、より活発なクリエイターコミュニティの育成に取り組んできた。この目的のために、2021年秋には2500万ドル(約28億6407万円)の資金とインキュベーターを立ち上げた。ポーズ氏によると、現在配信製品であるLinkedIn Liveを利用できるクリエイターは150万人とのことだ。イベントの企画と開催は、その戦略を拡張するための自然な流れといえる。

LinkedInは時間とともに、企業や大きな組織にもLinkedInでイベントを構築してもらいたいと考えているとポーズ氏は付け加えた。しかし大きな組織では、より大きな予算、より高い生産価値を目指したインフラ、そしてチケットやその他のサービスが必要になることが多い。同氏は、必要な人、あるいは希望する人は、サードパーティのアプリケーションやソフトウェアを製品に統合することができるようになると語った。(実際、今のところツールのほとんどはLinkedIn自身で構築されていることも認めていた。LinkedInを所有しているMicrosoftとの統合もあるのは確かではあるが)。

フィードに表示される動画機能のモデルはこちら。

LinkedInがイベントへの尽力により大きな関心を持ったのは、やや時代をさかのぼり、パンデミックの時期より前の2019年に初めてデビューし、対面での集まりに焦点を当てていたEventsハブに始まる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こってから数カ月後、LinkedInはバーチャルエンゲージメントを目的としたオンライン投票や配信スタイルの動画イベントの開始により、それまでオンラインイベントシナリオで使用されていた方法の一部を公式化した。

同社にとって、これらのイベントは成功を収めている。ポーズ氏は、年間のオンラインイベント作成が2021年1年間で150%増加し、同じ期間にLinkedIn Liveのバーチャルイベント参加者が231%増加したと述べた。取り上げられたトピックは、AIイノベーション基調講演ファイナンシャルプランニングライブ住宅施工メンターシップサイバーセキュリティ授賞式などだ(これらによっても、長期的にLinkedInがこれらのイベントの運営者として個人のクリエイター以上を抱え得る可能性が伝わる)。

LinkedInはまた、その規模と資金力を利用して、イベント分野で活躍する他の興味深い企業への投資や買収も行っている。2021年6月、LinkedInは、オンラインイベントの大企業であるHopin(2021年8月の直近の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8874億6025万円)と評価された)に投資していることを明らかにした。また2021年8月には、クリエイターがハウツーやその他のメンタリング動画を作成・共有できるJumpropeというスタートアップ企業を買収している。(実際、これがポーズの入社の経緯であり、クリエイター、イベント、動画を網羅する製品をリードすることになった。)

これらのことは、LinkedInのコンテンツ戦略における次の論理的なステップであるだけでなく、パンデミックから2年経った今でも多くの人が在宅勤務をしており、新型コロナウイルス感染症が多くの人にとって脅威であることを考えると、明らかに時代の兆しのように感じられるのである。

だが、オンラインビデオ会議、そして率直に言ってオンラインなものすべてに対して私たちの多くが抱く疲労の影響をLinkedInはどのように受けるのか、また、オンラインイベントの選択肢が1つ増えて、結局多すぎるということが判明した場合、LinkedInは調整できるのかということを考えざるを得ない。

ポーズ氏の答えは、オンラインイベントはさらなる民主化のために必要なものであるが、イベント企画者の中にはハイブリッドなアプローチを取る人もいるかもしれない、というものだった。

オンラインやハイブリッドなものは「この先の時代」かもしれないが、インタラクティブイベントが解決しようとしているものはまったく異なるものだとポーズ氏はいう。

「物心ついたときから、私は講演やミートアップに出かけていました。これらは、社会人がコミュニケーションし、物事を学ぶ方法の主軸です。しかし、これらのイベントには、お金と移動時間、部屋に入って話す勇気、そしてイベントを運営するスペースが必要です。私たちの狙うところは、対面からバーチャルへ移行することで、実際にアクセスを民主化し、より多くの人々にそれを開放することです」と彼はいう。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

テスラ「完全自動運転」最新ベータ版は違法なローリングストップを行う「アサーティブ」モード搭載

The Vergeの報道によると、Tesla(テスラ)の最新の「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ10.3にはプロファイルが復活し、ローリングストップなどの違反にもなり得る操作を行う可能性のある「アサーティブ」モードが再び搭載された。このアップデートは当初、2021年10月に3つのプロファイル(「チル(=リラックス)」「アベレージ」「アサーティブ(積極的)」)を搭載してリリースされたが、信号での左折や予期せぬ停止などの問題が発生し、わずか2日後に撤回されていた。

米国時間1月9日に発表された最新のアップデートでは、FSDベータ版のプロファイルが復活している。「アサーティブ」を選択した場合、注意書きには「このプロファイルでは、Model Xの追従距離が短くなり、より頻繁にレーンチェンジを行い、追い越し車線から退出せず、ローリングストップを行う可能性があります」とある。なお、Twitterユーザーの@Digitalhenが指摘しているように「アベレージ」モードでもこのシステムはローリングストップを行うことがある。

「ロードレイジ(を招く)モード」は画面に収まりきらなかったらしい

一般的にローリングストップとは、クルマが停止線で徐行し完全に停止しないことを意味するが(これは違法で危険だ)、FSDの運転がそれに該当するかどうかはまだ明らかでない。また、多くの州では、誰も追い越していないのに左車線や追い越し車線を走行し続けることは違法だし、もちろん、先行車に追従しすぎるのもよくない。とはいえ、このモードはまだ十分にテストされていないため、これらのことがどのように行われるかを正確に示すことはできない。

週末、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、まだベータ版であるにもかかわらず、FSDの価格を1万ドル(約115万円)から1万2000ドル(約138万円)に引き上げると発表した。以前にも指摘したように、FSDは真のレベル4の自動運転ではなく、単にレベル2の高度運転支援を提供するものであるため「Full Self-Driving」という名称は(Autopilotと同様に)誤解を招く恐れがある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

クリエイターのコミュニティ形成を支援するPlayground、ベータ版の展開を開始

米国時間12月2日よりベータ版の展開が始まったPlayground(プレイグラウンド)は、人々がコミュニティを発見し、発展させることを支援するとともに、クリエイターには視聴者の収益化を可能にさせることを目指すソーシャルプラットフォームだ。すでにそのウェブサイトでは、Museum of Modern Art(近代美術館)や、コメディ司会者のAlexis Gay(アレクシス・ゲイ)氏、Aboritionist Teaching Network(アボリショニスト・ティーチング・ネットワーク)、活動家のNupol Kiazolu(ヌポル・キアゾル)氏、マレーシアのバーチャルダンスクラブなど、さまざまなユーザーが名を連ねている。現在のところ、ベータ版はカルチャー分野(アート、音楽、ウェルネス、ゲームなど)の一部のクリエイターにのみ公開されており、コミュニティメンバーに関してはウェイティングリストが用意されている。

台湾系米国人の娘という移民として、文化的に多様性のあるサンタフェ地域で育った創業者のJia Ling Yang(ジアリン・ヤン)氏は、人々を結びつけることの価値を理解している。しかし、フリーランスのクリエイティブディレクターとして、Facebook(フェイスブック)、Google Play(グーグル・プレイ)、E! Entertainment(E!エンタテインメント)などのブランドと仕事をしているうちに、彼女は新しい方法でオンラインコミュニティの構築に貢献したいと思うようになった。もちろん、ソーシャルメディアでは、地域における本の交換グループから、One Direction(ワン・ダイレクション)の熱狂的ファンによるTwitter(ツイッター)まで、すでにさまざまなコミュニティが生まれている。しかし、オンライン生活では孤立してしまうこともある。

「スクロールしてお互いの生活を見るのではなく、一緒にバタバタしようよと言っているのです。一緒にフィリピン料理を作ったり、一緒にトレーニングしたりしましょう」と、ヤン氏は語る。

画像クレジット:Playground

現在のところ、Playgroundではユーザーが文化機関やクリエイターと一緒に参加できるイベントを、オンラインと対面の両方で見つけられるようになっている。最終的には、ヤン氏はPlaygroundを、クリエイターがビジネスを運営できるオールインワン&エンド・ツー・エンドのプラットフォームにしたいと考えている。つまり、クリエイターはPlaygroundを利用して、ファンのサブスクリプション管理、ニュースレターの送信、イベントや記事やポッドキャストの投稿、分析結果の閲覧、物販などが可能になるということだ。ヤン氏と9人のチームは現在、コミュニティのメンバー同士が互いにつながることを手助けするソーシャルツールを開発中だ。

「私たちは、メンバー間で議論するためのフォーラムを作りたいと考えています」と、ヤン氏はTechCrunchに語った。「単にコンテンツを押し付けるだけのオーディエンスと、コミュニティとの違いは、メンバーが主催者の外で実際に交流できるかどうかということです」。

クリエイターにとって、1つのアカウントで管理できるオールインワンのプラットフォームは価値がある。Discord(ディスコード)、Patreon(パトレオン)、Eventbrite(イベントブライト)、Mailchimp(メールチンプ)など複数のアカウントを使い分けるよりも楽だからだ。しかし、ビジネスの全体像をスタートアップ企業に委ねることには、それなりのリスクもともなう。だが、Playgroundでは、クリエイターがサブスクリプション会員のリストとその連絡先を完全にコントロールできるため、ファンへのアプローチに関して、Playgroundのプラットフォームに依存することはない。

「自分のコミュニティを自分のものにできないことは、本当にフラストレーションが溜まります」と、ヤン氏はいう。「例えば、Clubhouse(クラブハウス)などでファンを獲得した後、そのプラットフォームがなくなってしまったらどうでしょう? そうなると、あなたのファンは、Instagram(インスタグラム)のDMであなたにメッセージを送ってきた人だけになってしまいます」。

クリエイターはPlaygroundのプラットフォームを無料で利用できるが、有料チケットや会員プログラムなどのマネタイズ機能を利用するには、希望するカスタマイズのレベルに応じて、月額15ドル(約1700円)または30ドル(約3400円)を支払う必要がある。

画像クレジット:Playground

ヤン氏は、Web3がPlaygroundの将来にどのように関わってくるかについても考えている。彼女の会社は設立以来、Animoca(アニモカ)、SoGal(ソーギャル)、Gaingels(ゲインジェルズ)、Anomaly(アノマリー)から230万ドル(約2億6000万円)のシード資金を調達している。出資している企業の1社であるAnimocaは、ブロックチェーンベースのプロジェクトに投資していることで知られているが、Playgroundがターゲットとしている文化系クリエイターの間では、暗号資産に対する反感も目立つ。NFT(非代替性トークン)の可能性を歓迎するアーティストがいる一方で、環境コストや規制のない市場で詐欺の蔓延を心配するアーティストもいる。しかしヤン氏は、暗号資産の世界にはコミュニケーションの問題があると考えている。

「この世界では文化が語られていません」と、彼女はTechCrunchに語った。「文化的なクリエイターは、自分で自分のアートを所有し、コミュニティを収益化し、コミュニティの統治方法を自分で決めることができる、そんなコンセプトを好みます。これらはすべて、クリエイターが本当に夢中になれる原則であり、私たちはその会話を、少しだけ橋渡ししているだけだと感じています」。

ヤン氏は、ブロックチェーンを利用したPlaygroundの将来性に興味を持っているものの、今はベータ版のローンチ後、クリエイターやコミュニティメンバーを育成することに注力している。

画像クレジット:Playground

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

モバイルアプリのリリースプロセスを効率化するRunwayが約2.3億円のシード資金を追加調達

NVIDIAがエッジコンピューティング向け超小型AIスーパーコンピューターJetson AGX Orin発表

Runway(ランウェイ)は、ドレスレンタルのRent the Runway(レント・ザ・ランウェイ)のiOSチームが直面した課題をきっかけに設立されたスタートアップだ。このほどベータテストを終え、モバイルアプリのリリースサイクルを簡易化サービスを公開する。同社いわく、モバイルアプリ・リリースの「航空管制」サービスだ。また同社はBedrock Capitalのリードで実施した200万ドルのシード・ラウンドで資金を追加調達した。

ラウンドには、Array Ventures、Chapter One、Breakpoint Capital、Liquid 2 Ventures、Four Cities、Harvard Management Seed Capital、SoftBank Opportunity Fund、およびさまざまなエンジェル投資家が参加した。

Runwayの構想は、Rent the Runwayの初期モバイル・アプリ・チームで一緒に働いていた、Gabriel Savit(ガブリエル・サヴィット)氏、Isabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィロン)氏、およびMatt Varghese(マット・バーギース)氏という4人の共同ファウンダーから生まれた。前職で4人は、アプリのリリースには多くの無駄な時間が費やされ、Slack(スラック)などのアプリを使った社内コミュニケーションで多くの行ったり来たりが起きるなど、数々のオーバーヘッドがともないことを体験した。エンジニアリング、プロダクト、マーケティング、デザイン、品質管理などの部門すべてが、アプリのリリース・プロセスに関わる各自の役割に関して互いに状況を報告し合わなければならなかった。それは、今でもドキュメントやスプレッドシートの共有を通じてよく行われていることだ。

Runwayは、代わりにアプリのリリースサイクルにともなうさまざまな部分を管理することに特化した専用ソフトウェアを提供する。

そのシステムは、企業の既存のツール、GitHub(ギットハブ)、JIRA(ジラ)、Trello(トレロ)、Bitrise(ビットライズ)、CircleCI(サークル・シーアイ)などを統合して、何が行わているのか、どのアクションアイテムが残っているかなどの最新情報を全チームに送る。今年の春にベータ公開して以来、Runwayは対応するインテグレーション(統合)を2倍に増やし、現在はLinear、Pivotal Tracker、Jenkins,GitHub Actions、GitLab CI、Travis CI、Slack、Bugsnag、Sentry、TestRailなどにも対応しており、近々さらに増やす予定だ。

画像クレジット:Runway

テスト期間中、Runwayは少数の初期ユーザーによって使用され、3月時点でClassPass(クラスパス)、Kickstarter(キックスターター)、Capsule(カプセル)などが同プラットフォームを使って40以上のアプリをリリースした。

ベータ開始以来、顧客ベースは10倍に増え、現在Gusto(ガスト)、NTWRK(ネットワーク)、Brex(ブレックス)、Chick-fil-A(チック・フィル・エー)などのほか、エンタープライズ分野の大物企業も顧客リストに入っていると同社は語る(その1つは「人気のフード・デリバリー・アプリ」だと本誌は理解している)。顧客の何社かから、Runwayを旧方式に代えて使うことを支持するメッセージが同社のウェブに掲載されている。たとえばClassPassのモバイル責任者、Sanjay Thakur(サンジェイ・タクー)氏は、Runwayを使った結果、システムの「混乱が減り」、リリースに費やす時間も減ったと語った。

「エンジニアたちは私に、リリースマネージャーの仕事でて多忙を極める時期の負荷が軽減されたと言っています」とタクー氏は言った。

KickstarterのシニアiOSエンジニア、Hari Singh(ハリ・シング)氏は、Runwayのおかげで「状況が整理された」と話し、「チームの全員が同じものを見ているのはすばらしいことです。起きていることに関する主観的意見がなくなるました」と指摘した。

「Runwayはリリースを早くしただけでなく、リリースのことを心配する必要をなくすことで、メンタル面のストレスを軽減しました」とNTWRKのシニアソフトウェアエンジニアであるDave Cowart(デイブ・コォート)氏は言う。「かつてはリリースを必要以上にためらっていました。今はスムーズにいくことも最小限の努力ですむこともわかっています」

現時点で、3月以降にアーリーアダプターたち同プラットフォームを使ってリリースしたアプリは計700本を超えている。また同社は3月のベータ以来いくつか重要なプロダクト変更も行ってきた。

画像クレジット:Runway

たとえば、これまで手動で行われてきたタスクのさらなる自動化、不安定なフェーズのリリースを自動的に停止する、安定したフェーズのリリースの自動的な加速、アプリストアの「What’s New」セクションへの標準リリースノートの登録、段階パーセンテージの自動更新する(Andoidを含む)、アプリストアで最新ビルドを選択する、iOSのベータレビュー用の新しいビルドの送信、リリースサイクルの最後にリリースにタグ付けする、変更履歴の自動生成、リリースアーティファクトの付加、不足ラベルの追加、プロジェクト管理ツールのチケットにバージョンを固定するなどだ。

Runwayはさらに、ホットフィックス(緊急修正)リリースの迅速化、社外ステークホルダーに回覧する承認機能、スクリーンショット・ビュアー、承認ゲート、CIパイプはラインからアーティファクトダウンロードを直接生成する機能、回帰テストの統合、安定度監視の統合、TestFlightおよびPlay Storeベータ・トラック・テスティングの統合、コード中のバージョン番号の自動更新など高頻度リリースのための追加機能、役割、承認、アクセス管理リストのサポートなど様々な拡張を実施した。同社はSOC 2認証も取得した。

今なお取り組んでいる分野が、新規顧客の導入プロセスの簡素化だ。Runwayは幅広いプラットフォームとして作られているため、顧客が数多くのアプリやサービスをRunwayに接続する初期設定プロセスには時間がかかる。それでもRunwayは、多くのチームの異なるツールやプロセスに適応する同システム能力は、最終的にセールスポイントになるものであり、導入の障壁にはならないと信じている。

正式公開にあたり、Runwayは1アプリ当たり月額400ドル(約4万5900円)の標準プランを継続するほか、トップ企業の導入を見据えて大企業向けのカスタム・エンタープライズ価格を追加した。将来はインディーチーム向け新プライシングの追加も考えているという。

Runwayは新たな資金を、複数のフルスタックエンジニア(特に元モバイル・エンジニア)、成長とマーケティングを担当するフルタイム社員1名を含む新規雇用に充てると語った。同社はすでに、元シニアモバイルエンジニアを初のフルタイム社員として採用している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

営業の「Salesforce疲れ」を解消、アップデート高速化ツールのWeflowがプレシード資金獲得

Salesforce(セールスフォース)のユーザーは、記録の更新にかかる時間に同じような不満を抱きがちだが、Weflow(ウィーフロウ)はこのような「Salesforce疲れ」を克服することを目指している。

ベルリンに本社を置くWeflowは、Salesforceの更新時間を短縮し、営業担当者の時間を奪うような忙しい仕事を減らすツールを開発している(まだプライベートベータ版だ)。

フォーチュン500社のうち83%の企業が営業の生産性向上のためにSalesforceを利用しているが、多くの営業担当者は営業以外の業務に時間の大半を費やしている

シリアルアントレプレナーのHenrik Basten(ヘンリック・バステン)氏とJanis Zech(ジャニス・ゼック)氏はFyber(ファイバー)でともに働き、収益チームを管理しながらこのことを身をもって体験した。彼らは、営業担当者がSalesforceの記録内の情報をすばやく追加してパイプラインを管理できるよう、Saleforceのデータベース上に構築された収益ワークスペースになるべく、2020年末にWeflowを立ち上げた。

「パイプライン管理のためのAsanaのようなソリューションを作りたいと人々は考えています」とCEOのゼック氏はTechCrunchに語った。「しかし、Salesforceはオープンなエコシステムで、その上に構築することができます。私たちは、営業担当者がパイプラインに入り、30ものタブを開いてメモを散らかしているのを観察しました。もし営業担当者が楽しんで使っていないのであれば、アップデートしやすい、よりモダンな体験を作ろうと考えていました」。

Weflowのパイプラインテーブル(画像クレジット:Weflow)

その仕組みはこうだ。ユーザーはSalesforceアカウントにサインアップしてパイプラインにアクセスし、数回クリックするだけで案件、タスク、メモ、アクティビティを更新することができる。すべてのデータはSalesforceに残る。営業担当者は通常、週に1回、2〜3時間かけてこの作業を行うが、Weflowを使えば20分に短縮できるとゼック氏は見込んでいる。

さらに同社は、Salesforce用に作られたモダンなメモ帳を作成し、ユーザーがテンプレートを構築することで、営業担当者が同じ質問をし、同じフィールドに書き込むことができるようにした。また、タスクマネージャーも用意されている。

そして米国時間11月12日、Weflowはそのツールを一般公開するために、Cherry Venturesがリードしたプレシードで270万ドル(約3億円)を調達したことを発表した。Christian Reber(クリスチャン・レバー)氏、Sascha Konietzke(サシャ・コニエツコ)氏、Chris Schagen(クリス・シャゲン)氏、Alexander Ljung(アレクサンダー・ユング)氏、Eric Quidenus-Wahlforss(エリック・キデナス・ウォルフォルス)氏、Andreas Bodczek(アンドリアス・ボドゼック)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Cherry VenturesのパートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は、創業者たちとはFyberの頃からの知り合いで、Weflowの話を持ちかけられたとき「この旅のサポートができてうれしかった」と話した。

デイムス氏は、Weflowのポートフォリオを見渡したとき、ほとんどのスタートアップが営業から始まっていて、営業ツールが「高価で不便」な場合は特に、そのプロセスを強化することは困難であることを指摘した。

そして「Salesforceの上に何かを構築することができれば、会社がどのような方向に進むことができるか、広いキャンバスが広がります」と付け加えた。「ジャニスとヘンリックは、ベンチャー企業のリターンを生み出すのに十分な大きさの分野で、ミッションを遂行しています。Salesforceは200億ドル(約2兆2780億円)の売上を上げており、それによって多くの新しいビジネスが生み出されています。インターフェイスを、これまで以上に使うのが楽しいものにすることで、顧客との時間をより長くとることができます」。

バステン氏とゼック氏はここ数カ月で10人のチームを結成した。現在、15社の共同開発パートナーが製品を試用中で、毎週数社ずつ追加されている。ゼック氏によると、この製品は来年初めに展開される見込みだ。

今回調達した資金は、マーケティングと製品開発への投資に充てる。Weflowは製品主導型で、ゆくゆくは無料版を提供する予定だとゼック氏は付け加えた。

「Salesforceについて誰と話しても、この問題は非常によく理解されています。ですので、私たちはこの問題を解決することに関心があり、良い出発点を持っているため、みんなを助けたいと思っています」とゼック氏は話した。

画像クレジット:Weflow / Henrik Basten and Janis Zech

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルが中小企業向けデバイス管理ソリューション「Apple Business Essentials」ベータ版を発表

多くの中小企業にとって、従業員のApple(アップル)製デバイスを管理し、常にアップデートされた状態を維持することは大きな課題となっている。そうした企業には高度なIT部門が存在しないことも多いため、デバイスが故障したり、ユーザーが質問したいことがあっても、Appleのコンシューマー向けサポートツールを使って自分たちで解決しなければならないことが多い。

この問題を認識したAppleは、2020年にFleetsmithを買収し、米国時間11月10日、従業員数500人以下の企業を対象としたデバイス管理ソリューション「Apple Business Essentials」のベータ版を発表した。

Appleのエンタープライズおよびエデュケーションマーケティング担当VPであるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏によると、Appleはこれらの顧客企業がスタッフのApple製デバイスを導入、サポート、アップデートし、従業員が退職する際にはオフボーディングすることを支援したいと考えている。

「この製品は、デバイスのライフサイクル全体にわたってApple製デバイスを管理するために設計されており、3つのコア部分で構成されています。デバイス管理、ストレージ、そしてサポートを1つのサブスクリプションで提供します」とプレスコット氏は説明する。

管理コンポーネントは、Fleetsmithの買収とApple Device Enrollment Program(DEP)の組み合わせで構成されている。中小企業でも大企業と同様のツールを利用することができ、デバイス管理を強化し、従業員がログインしたらすぐに使えるようにすることが可能になる。

企業がサービスにサインアップすると、管理者はユーザーとグループを作成することができる。ユーザーはグループに所属し、管理者はグループごとに、サポートするデバイスの数やストレージ容量などの設定を行うことができる。また、各企業やグループには、そのグループに適したアプリの基本セットを含めることができる。

画像クレジット:Apple

注目すべきは、従業員が自分のデバイスを持ち込むことができ、サポートされているデバイスにサインインすると、会社がそれらの従業員の仕事用プロファイルを設定してくれることだ。そうすれば、仕事の成果物だけがバックアップされ、万が一、社員が会社を辞めた場合には、仕事の成果物だけが削除され、個人的なものはそのまま残され、雇用主がアクセスできないようになる。

また、個人所有、職場所有にかかわらず、このソリューションは、最新のシステムアップデートを維持することで、セキュリティを維持することができる。さらに、管理者は、MacのFileVaultによるフルディスク暗号化や、Apple製デバイスの紛失・盗難時にデバイスをロックするアクティベーションロックなどのセキュリティ設定を実施することができる。

ストレージにはiCloudを採用しているが、企業はDropbox(ドロップボックス)のようなサードパーティのストレージプロバイダーに自由に接続することができる。サポート要素には、Apple Business Essentialsを実行するIT部門と、Appleに関する質問がある従業員の両方に対するヘルプデスクサービスが含まれる。この部分は、ビジネスレベルサポート部門となる「AppleCare+ for Business Essentials」を通じて提供される。AppleCare+ for Business Essentialsではプランによって、問題報告から4時間以内のプライオリティーオンサイトサービスも含まれる。出張サービスは、Appleのパートナーが運営する。なお、AppleCare+ for Business Essentialsは無料ベータ版には含まれておらず、2022年春に提供開始予定とのこと。

Lopez Researchの創業者で主席アナリストのMaribel Lopez(マリベル・ロペス)氏は、このサービスは中小企業にとって、基本的にビジネス要件を満たすように設計されていないアップルのコンシューマーサポートチャネルを利用する必要がなくなることから、魅力的なものになるだろうと述べている。

「中小企業は、管理とサポートから事実上取り残されていました。重いMDM(モバイルデバイスマネジメント)は自分たちには向いていないと考え企業も多かったでしょうし、ジーニアスバーには、あらゆるビジネス、特に中小企業が必要とするリアルタイムのサポートが欠けていました。Fleetsmithは、よりユーザーフレンドリーで、モバイルに適したデバイス管理の方法だと考えられていました。また、ユーザー中心主義とデバイス中心主義の対立もその一因です」と同氏はいう。

IDCのデバイス&コンシューマーリサーチグループのアナリストであるTom Mainelli(トム・マイネリ)氏は「この新しいプログラムによって、中小企業はこれまで大企業にしか提供されていなかった一連のサービスを利用できるようになり、価格が妥当である限り、Appleにお金を払ってでもこれらのサービスを提供したいと考えるようになるでしょう」と語る。

「Appleが中小企業に焦点を当てていることは、非常に理にかなっています。企業の顧客は、すでにApple製品を管理するためのシステムを持っているかと思いますが、中小企業では必ずしも専任のIT担当者がいるとは限りません。つまり、雇用者が提供するデバイスと従業員が購入するデバイスが混在している場合は特に、すべてを管理するのは非常に困難です」。

「Appleは、さまざまなレベルのサービスを提供していることや、中小企業がそれらを必要とする理由について、ある程度の教育を行う必要があるでしょう。しかし、多くの経営者は、Appleにお金を払ってこれらの課題を解決してもらうことを喜んで受け入れるのではないでしょうか」と同氏。

ベータ版は無料で利用できるが、デバイス管理とストレージのコンポーネントについては、選択された構成に応じて、ユーザーごとに月単位で課金される。また、サポートに関しては、ユーザーごとに追加料金が発生するが、その部分は2022年春に予定されている同サービスの一般提供開始まで利用できないとのこと。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

アップル、iOS 15.2開発者ベータ第2弾で「メッセージ」アプリに子供向け新安全機能を搭載

Apple(アップル)は、iOS 15.2の2回目のデベロッパーベータをリリースし、メッセージAppの新機能「コミュニケーションセーフティー」のサポートを開始した。この機能が2021年初めに発表された際は、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)検出技術の新機能と並んでのことだった。同時に発表されたCSAMは物議を醸し、反発を受けて延期された。

一方、このメッセージAppの新安全機能は、子どもたちがオンラインコミュニケーションを上手に使いこなせるよう、親がより活発な、情報に通じた役割を果たすのを支援することを目指している。メッセージAppは、デバイス上の機械学習(ML)を利用して画像の添付ファイルを分析し、共有されている写真が性的に露骨なものかどうかを判断できるようになる。この技術では、すべての処理がデバイス上で行われるため、Appleが子どものプライベートな通信にアクセスしたり、読み込む必要はない。この機能はデフォルトでは有効になっておらず、ファミリー共有機能の中で、保護者がオプトインするようになっている。

メッセージスレッドの中にセンシティブな写真が発見された場合、その画像はブロックされ、写真の下に「これはセンシティブな写真かもしれません」というラベルが表示され、クリックするとその写真を見ることができるリンクが表示されるようになっている。子どもが写真の閲覧を選択すると、詳細情報を示す別の画面が表示される。ここでは、センシティブな写真や動画について「水着で隠すようなプライベートな体の部分が映っています」「あなたのせいではないけれど、センシティブな写真や動画はあなたを傷つけるために使われる可能性があります」というメッセージが子どもに伝えられる。

注目すべきは、Appleがコミュニケーションセーフティー機能について、当初の計画に比べていくつかの変更を加えたことだ。同社は当初、13歳未満の子どもがメッセージAppで露骨な画像を閲覧した場合、親に通知する予定だった。しかし、その通知システムが子どもたちを危険にさらす可能性があるとの批判を受け、Appleはこの機能を削除した。

このコミュニケーションセーフティー機能は、現在、iOS 15.2のベータ版で提供されている。Appleがこの機能を正式にリリースする予定は今のところ不明だ。

編集部註:9to5Mac.comによると、上記の通知システムは特定の状況で機能するため Appleは削除したという。iOS 15.2 beta 2での機能の実装では、子どもがよりコントロールできるようにすることに重点を置いており、Appleは現在、年齢を問わず、子どもが助けを求めたい場合には信頼できる人にメッセージを送るという選択肢を与えているが、その判断は、画像を見るかどうかの判断とは完全に切り離されているとのこと。

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

完全自動運転ソフトウェアエラーでテスラが1万1704台をリコール

米国道路交通安全局(NHTSA)の発表によると、Tesla(テスラ)は、前方衝突警告の誤作動や自動緊急ブレーキシステムの予期せぬ作動を引き起こす可能性のあるソフトウェアエラーを特定し、1万1704台を自主的にリコールした。

リコールの対象となった車両はすべて、同社が開発した先進運転支援システム「Full Self-Driving Beta」にいち早くアクセスしていた。このシステムはまだベータ版であり、ドライバーは常に注意を払う必要があるが、ここ数週間で何千人もの顧客に公開された。Teslaによると、このソフトウェアエラーによる事故や負傷者は報告されていないとのことだ。

10月23日に公開された無線によるファームウェアの更新では、規制当局が「ソフトウェア通信切断」と呼ぶものを2つのオンボードチップの間に導入した。翌日、顧客からの指摘を受け始めた、とTeslaは述べた。

「この通信切断により、そのチップ上で作動するビデオニューラルネットワークの動作が予想よりも安定しない可能性がある」と安全性リコール報告書には記載されている。「この不整合により、他の車両が存在する場合に物体速度の検出値が負の値となり、誤った『前方衝突警告』や『自動緊急ブレーキ』が発生する可能性がある」。

リコール対象車両は、2017年~2021年に生産された一部のModel S、Model X、Model 3、および2020年~2021年に生産された一部のModel Yだ。Teslaはこの問題に対処するため別の無線ソフトウェアアップデートをリリースし、車両オーナーには問題と解決策を通知する手紙が送られる。

同社は「数時間のうちに報告内容を調査し、潜在的な安全上のリスクを軽減するための措置を講じました」と話す。

今回の正式なリコールは、同社のこのところのNHTSAとのやりとりとは大きく異なるものだ。リコールにはAutopilotシステムで見つかった別のバグ向けの10月のソフトウェアアップデートも含まれる。このバグではTeslaはリコールを行わず、NHTSAは2021年10月12日、同社に対してリコールを実施しなかった理由を尋ねる書簡を送った。

「Teslaも気づいている通り、安全法は自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合に、NHTSAに通知してリコールを開始する義務を課しています」とNHTSAは記している。

当局は、Tesla車が駐車中の緊急車両に衝突した12件の事故を確認した後、2021年8月にオートパイロットに関する別の調査を開始した。

今回のリコールについてNHTSAは「あらゆる安全上の欠陥が速やかに認識され、対処されるよう、Teslaとの対話を継続する」と述べた。

画像クレジット:Toru Hanai/Bloomberg / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

LinkedInがフリーランスのためのサービスマーケットプレイスをグローバルに展開

Microsoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、仕事に就いている人や仕事を探している人が、同じ分野の人とつながるためのプラットフォームだ。採用の観点では、正社員の候補者探しや求人広告で知られる。そのLinkedInが、フリーランスのためのジョブマーケットを開拓している。

この新機能では、短期間の仕事向けに誰かを雇いたい人は広告を出すことができる。熟練知識労働者を探せるFiverrやUpworkなどと競合することになる。

今回のフリーランス向けプラットフォームの立ち上げは、他の求職ツールに関するいくつかの重要なアップデートと同時に行われた。雇用市場や働き方の新しい流れに、LinkedInがいかに適応しようとしているかを示している。

新しく検索フィルターが設けられ、リモート、ハイブリッド、オンサイト(つまり正社員)のいずれで働けるのかが表示される。採用担当者からの連絡を受けられるよう「オープン・トゥ・ワーク」をオンにしている場合、そこに上記の情報が表示される。また、求人情報を検討する際、企業の予防接種要件を確認することができるようになった(企業がその詳細を表示している場合)。

Service Marketplace(サービスマーケットプレイス)は2021年2月、小規模なテストの段階で初めてリークされた。それ以来、米国でこのサービスのベータ版を静かに稼働させ、LinkedInが全世界で抱える約8億人のユーザー(米国時間10月26日の決算発表時点)の中から、すでに200万人のユーザーを獲得した。

10月27日からService Marketplaceは全世界で提供される。フリーランスのプロフィールを設定するには、自分のプロフィールページにアクセスし、上の方にあるボタンを押し、指示に従って設定を行い、自分が興味を持って取り組める仕事にフラグを立てる。

この新機能は、Microsoftの傘下に入ったLinkedInにとって興味深い転換点となる。LinkedInは前四半期に約2500万人の新規ユーザーを獲得した。

長い間LinkedInが構築してきたのは、同社が「エコノミックグラフ」と表現するものだ。人々が仕事上の関係でどのようにつながっているかをマッピングすることで、世界経済をより深く理解することができるという構想だ。

その意図はもちろん、同社のビジネスの商業的な側面、すなわち人材紹介ビジネスをより強固なものにすることにある。同社のプラットフォームは、リクルーターにプレミアム会員権を販売して潜在的な候補者に関する詳細なデータを入手できるようにしたり、求人広告を出したり、求職者が仕事を見つけられるようになっている。

このビジネスは着実に成長している。LinkedInは10月27日の決算説明会で、プラットフォーム上で確認された採用数が前年同期比で160%以上増加し、広告収入全体も61%増加したと発表した。また、採用担当者に幅広いトレーニングコンテンツをアップセルしているLinkedIn Learningは現在、1万5000社以上の法人顧客を抱えている。

だが、その過程で、LinkedInは市場の大きな部分を切り離してしまった。この10年間で、フルタイムの長期雇用から短期のフリーランスへと移行する人が急増したからだ。

彼らがLinkedInを利用して、ネットワークを広げたり、同じ分野の人々と連絡を取ったり、仕事を見つけたりすることを妨げるものは何もなかったが、これまでLinkedInには短期のフリーランスに関わる正式な方法がなく、特にそれを収益化できていなかった。

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Service Marketplaceは、他の人材紹介製品と同様、現在は料金を請求していないが、LinkedInが将来提供し得るサービスの基礎となる。

Service Marketplaceは、250の職種カテゴリーでスタートし、500種まで拡大する計画だと、プロダクトマネージャーのMatt Faustman(マット・ファウストマン)氏はインタビューで語った。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」と同氏はいう。これまでのところ、マーケットプレイスで引き合いが強いカテゴリーの1つとして、マーケティングが挙げられると付け加えた。

注:ファウストマン氏がLinkedInに入社したのは、前職のリーガルテック専門会社のスタートアップであるUpCounselがLinkedInに買収された時だった。前職での最初のプロジェクトは、短期的な仕事に必要な弁護士を探すマーケットプレイスを構築することだったが、それは自然に、より広範なService Marketplaceに取り組むことへと発展した。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」という言葉はピッタリかもしれない。

今のところ、仕事の料金を交渉したり、請求書を発行したりするツールは用意されていない。また、人材を探す側は、候補者との会話が深まるまで、料金について具体的な説明をする必要はない。

レビューに関していえば、クライアントは契約相手をレビューすることができるが、個人側はクライアントのレビューを残すことができない。

また、マーケットプレイスに自身を掲載している人は、自分から仕事を探すことはできない。誰かに見つけ出してもらうのを待つために存在するのであって、自らの仕事を探すためではない。

仕事を探しているクライアントは、LinkedInの大きなドロップダウン検索メニューを使って人材を探す。例えば、ブランドマーケティングのスペシャリストを探している場合、検索ウィンドウにそのフレーズを入力し始めると、LinkedInがオートコンプリートで「in Service Marketplace」と表示し、そのカテゴリーの候補者一覧を出す。

候補者の抽出には、クライアントであるあなたが、仕事や個人的なつながりで、各個人とどれだけ密接につながっているかが考慮される。

しかし繰り返しになるが、一例として、ブランドマーケティングの専門家の人は、包括的な案件リストに目を通すことはできない。これは意図的なものだとファウストマン氏はいう。この機能は今のところ、クライアントの体験のために開発されたものであり、クライアントにターゲットを絞った依頼をさせ、専門家に応募が殺到して選別に時間を取られることがないようにしようという考えだ。

ゆくゆくは、上記の点や、決済など現在用意されていない機能も再検討すると同氏は語る。

LinkedInが労働者を開拓し、彼らの信頼を得たいなら、その点が重要になる。フリーランスは、料金の透明性の低さに悩まされることが多く、結果的に低価格で搾取される危険性がある。ファウストマン氏は、この点が問題であることを認め、LinkedInのプロダクトチーム内でも議論になっていたと話す。

「価格設定については、今後対応していきますが、今のところは見合わせることにしました」と同氏は述べた。

もう1つの興味深い点は、LinkedInが他の種類の労働者をどのように市場に呼び込むのかということだ。つまり、第一線で働く人やその他のサービス業に従事する幅広い人々をどうカバーするのか。Service Marketplaceにそうした層を含める計画は手元にない、とファウストマン氏は語る。しかし「長期的には、LinkedInに存在するあらゆるカテゴリーに拡張する可能性があります」。

画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

各アプリの機密情報の取り扱い方を教えてくれるアップルのApp Privacy Reportがベータ版に

Apple(アップル)は「App Privacy Report(アプリ・プライバシー・レポート)」のベータ版の提供を開始した。この新機能は、日常的に使用しているアプリがどれくらいの頻度で機密情報へのアクセスを要求しているか、またその情報がどこで共有されているかといった詳細を、iOSユーザーに提供することを目的としている。この機能は、EメールのトラッキングピクセルをブロックするツールやプライベートVPNなど、プライバシーに焦点を当てた改善が行われているなかで、6月に開催されたAppleの世界開発者会議で初めて紹介された。Appleは当時、この新しいレポートには、アプリがユーザーの位置情報、写真、連絡先などのユーザーデータやセンサーにアクセスした際の詳細や、アプリがコンタクトするドメインのリストが含まれると説明していた。


iOS 15のアップデートの一部として発表されたものの、2021年の秋口に新バージョンのiOSが公表された時点では、App Privacy Reportは利用できなかった。このレポートはまだ一般には公開されていないが、iOS 15.2およびiPadOS 15.2のベータ版のリリースにともない、より広範なベータテストが開始された。

新しいレポートは、アプリがどのような機密データを収集し、それがどのように使用されているかを詳細に示す潜在的に誤る可能性があるApp Privacy(アプリプライバシー)ラベルにとどまらないものだ。開発者は、誤って、あるいはエンドユーザーに誤解を与えようとして、ラベルを正確に記入しないことがあり、AppleのApp Reviewチームがそのような記入漏れを常に見つけられるとは限らない。

関連記事:アップルがアプリのプライバシー方針を明らかにするラベルを全App Storeで公開

その代わりに、新しいApp Privacy Reportは、アプリがどのように振る舞っているかについての情報をより直接的に収集する。

ユーザーがデバイスのプライバシー設定で有効にすると、App Privacy Reportは、アプリの過去7日間のアクティビティのリストを作成する。アプリをタップすると、そのアプリが最後にセンシティブなデータやデバイスのセンサー(例えば、マイクや位置情報など)にアクセスした日時などの詳細が表示される。これらの情報は、各アクセスがタイムスタンプとともに記録されたリストで見ることができる。

別のセクション「App Network Activity(アプリ・ネットワーク・アクティビティ)」では、アプリが過去7日間に通信したドメインのリストを見ることができる。このリストには、アプリ自身が機能を提供するために使用したドメインを含んでいるだけではなく、アプリが分析や広告の目的で提携している第三者のトラッカーや分析プロバイダーのドメインも明らかにする。

「Website Network Activity(ウェブサイト・ネットワーク・アクティビティ)」は、同様のリストを提供しているが、ドメインにコンタクトしたウェブサイトに焦点を当てており、その中にはアプリが提供したものも含まれている。また、最もコンタクトのあったドメインを見たり、いつ、どのトラッカーやアナリティクスが使用しているのか、さらにはどのアプリがいつコンタクトしてきたかを確認するために個別のドメインを掘り下げたりもできる。

ベータ版の公開に先立ち、Appleは「Record App Activity(アプリ・アクティビティの記録)」という機能を提供した。これは、App Privacy Reportが利用可能になったときに、ユーザーに表示される内容を開発者がプレビューできるようにするものだ。このオプションは、アプリが予想どおりに動作していることを確認できるJSONファイルが生成する。この機能は、すでにいくつかの興味深い発見をもたらしている。例えば、中国のスーパーアプリWeChatは、新しい写真を見つけるため数時間ごとにユーザーの携帯電話をスキャンしていることがわかった

App Privacy Reportは、ユーザーにとってデータの宝庫となる一方で、開発者にとっては複雑な問題となる可能性がある。開発者は、これらのデータ要求が、アプリの機能を提供するためのもので、プライバシー侵害ではないということを、ユーザーに説明しなければならなくなるかもしれない。例えば、天気予報アプリでは、旅行の準備のために、嵐の情報など、変化する天気パターンに関するプッシュ通知をユーザーが要求した場合、位置情報を定期的に取得する必要がある。

開発者に提示する際、Appleは、このレポートが、アプリが行っていることについて透明性を提供することで、ユーザーと「信頼関係を築く」機会になると述べた。また、開発者自身がインストールを選択したSDKについて、その動作が開発者の要望や期待に沿ったものであることを確認するための、より良い洞察を与えることができるとしている。

Appleは、この新機能がいつベータ版を終了するかについては言及していないが、iOS 15.2が一般公開されたときに出荷される可能性がある。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Unityがクロスプラットフォーム・マルチプレイヤーゲーム開発をシンプルにする「Unity Gaming Services」ベータ提供開始

モバイル、タブレット、PC、コンソール、AR・VRデバイス向けに2Dおよび3Dコンテンツを開発するプラットフォームであるUnityは、バックエンド、マネタイズ、ユーザー獲得、プレイヤーエンゲージメントなど、ゲームクリエイターが必要とするすべての機能を提供する新しいプラットフォーム「Unity Gaming Services」ベータ版の提供を開始した。この新バージョンでは、「Roblox(ロブロックス)」「Genshin Impact(原神)」「Fortnite(フォートナイト)」などのヒットタイトルを含む成長分野である、クロスプラットフォームのマルチプレイヤーゲームを、開発者がより簡単にローンチできるようにすると同社は約束している。

新しいプラットフォームは全世界で利用可能で、100社以上の開発者がこのプラットフォームを利用していると、Unityのオペレートソリューション担当上級副社長兼ゼネラルマネージャーのIngrid Lestiyo(イングリッド・レスティヨ)氏はTechCrunchに語った。

新しいツールには、プラットフォームのリリースプロセスを経ることなく、ゲームロジックをUnityのバックエンドサービスと同期させることができるなど、あらゆる規模のライブゲームを構築するために開発者が必要とするものが含まれている。提供されるツールの中には、プレイヤーの接続、ロビーの作成、オンラインプレイヤーのマッチング、ゲーム内でのボイスやチャットの有効化など、マルチプレイヤーゲームプレイを可能にするものが含まれている。

「これはシンプルです。当社のソリューションは、クロスプラットフォームのマルチプレイヤーゲームを作る最速の方法であり、マルチプレイヤーゲームをライブ配信するには、Unityエディタを使ってクリックするだけです」とレスティヨ氏はTechCrunchに語った。「また、どんな規模のチームでも、ニーズに合わせて製品を簡単に組み合わせ使用することができます。当社の製品は相互運用が可能なので、開発者とプレイヤーの両方にとってより良い体験となるでしょう」。

また、開発者は、ゲームのパフォーマンスの概要を把握し、実用的なインサイトを1カ所で確認できるようになる。また、アプリ内課金や広告、ユーザー獲得に役立つツールを使って、ゲームの収益化と成長を図ることができる。

レスティヨ氏はこう語った。「どんなに複雑なツールやコンテンツであっても、ゲームのパフォーマンスを単一の接続されたインターフェイスでモニターできるようになりました」。

Unity Game Servicesは、ベータ期間中はすべての開発者に無料で公開されており、開発者はスケールアップした場合のみ料金を支払う。Android、iOS、Linux、Mac、Windowsに対応している。コンソールサポートは今のところ招待制となっているが、近日中に利用可能になる予定だとレスティヨ氏は述べている。

レスティヨ氏はパートナーシップの可能性については現段階ではコメントを控えたが、あらゆる規模のチームやスタジオに新しいUnity Gaming Servicesプラットフォームを試してもらいたいと語った。

同氏はこうも述べている。「当社のミッションは、デベロッパーの成功を支援することです。今日、開発者は、クロスプラットフォームのマルチプレイヤーゲームに対するプレイヤーの需要の高まりを満たす必要があると同時に、膨大なクラウドネットワーキングの専門知識を必要とし、ゲームデザインそのものをはるかに超える技術的および運用上の課題を提示する、ますます複雑な新しいリアリティーを管理しています。そのようなクロスプラットフォーム・マルチプレイヤーゲームに関するニーズが高まっている中、Unity Gaming Serviceは、開発者がより多くのマルチプレイヤーゲームをローンチするための参入障壁を軽減し、業界の規模とプレイできるタイトル数を拡大します」。

Unityは、2021年6月時点で34億人以上の月間アクティブユーザー(MAU)がいると主張している。

画像クレジット:Unity

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがWindows 11ベータ版でAndroidアプリのテストを開始

Microsoft(マイクロソフト)はWindows 11を発表した際、機能性の低いタスクバーでユーザーを困らせたいということについては何も言わなかったが、新しいOSがAndroidアプリをサポートすることについては話す気満々だった。しかし、わずか数週間前にリリースされた最初のバージョンでは、実際にはAndroidアプリをサポートしていないことがすぐに明らかになった。だが今回、MicrosoftはAmazon(アマゾン)とそのアプリストアとの提携により、約50種類のAndroidアプリの一部をWindows 11 Insider Programに提供することになった。

ベータ版(開発サイクルが異なるため、開発者向けビルドは含まれない)のユーザーは、現在、AmazonのKindleアプリ、Washington Post、Clash of Kings(クラッシュオブキングス)、Coin Master、Lego Duplo Worldなどのアプリをプレビュー体験で試すことができる。

これらはすべて、AMDとIntel(インテル)のデバイスで動作するはずだ。アプリは、Microsoftが「Windows Subsystem for Android」と呼ぶ、IntelのIntel Bridge Technologyを採用したサブシステムで動作する。注目すべきは、MicrosoftがLinuxカーネルとオープンソース版のAndroid 11をベースとしたAndroid OSを使用している点だ。そのため、Androidのほぼすべての機能を利用できるが、Google(グーグル)が開発したAndroidに搭載されているアプリや追加機能の一部は利用できない。Amazonも同様のことを行っているため、AmazonアプリストアのアプリがWindowsサブシステムでも機能するのは当然のことかもしれない。

もちろん、PCが仮想化を有効にしていることと、Windows 11を実行するためのMicrosoftの総合的な要件を満たしている必要がある。また、ストアへのアクセスにはAmazonアカウントが必要だ。

画像クレジット:Microsoft

これはゲームチェンジャーといえるのだろうか?それは不明だ。筆者はウェブでWashington Postを読むことに何の問題もないし、多くの親御さんは、自分の子供が安価なタブレットでLego Duplo Worldをプレイすることを望んでいるのではないだろうか。あなたがClash of KingsやCoin Masterをプレイするのであれば、それ以前に自問すべき別の問題がある。

さてここで、Microsoftがタスクバーを本来あるべき画面の上部に移動させてくれるのなら、もっと嬉しいことなのだが。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

リモートでのコラボで活躍するブラウザベースのハードウェア設計ツールFlux、約13.6億円調達

世界がパンデミックで終わってしまわないように、みんながリモートコラボレーションで頑張ろうとしているが、これまでの1年半は疑いの余地なく、人間の労働について考え直す重要な契機になった。それはFluxがもっと前から考えていたものであり、2019年に開発を始めた同社は、AppleやFacebookやNASAなどで正社員として仕事をしている人たちの集まりだった。

同社は、電子回路の設計と工作をウェブ上のリアルタイムのコラボレーションで行なうツールを設計した。米国時間10月13日、FluxはOutsiders Fundがリードするシードラウンドで1200万ドル(約13億6000万円)を調達したことを発表した。これには、Bain Capital Venturesや8VC、そしてLiquid2 VCが参加した。資金の用途は、Fluxの開発チームの拡大と新たな機能を作るための研究開発、およびマーケティングの強化だ。

 

Fluxは、近年における同社の技術への関心の増加の原因として、リモートワーク長期化の見通しと、長く続くチップなどハードウェアの供給の逼迫を挙げる。

共同創業者でCEOのMatthias Wagner(マティアス・ワグナー)氏は、ニュースリリースで次のように述べている。「1970年代と80年代に商用チップの開発企業が初めて誕生して以来、世界は大きく変わりました。今日の半導体不足は、最新の変化の兆候にすぎません。現在、私たちが直面しているサプライチェーンの問題は、パンデミックだけのものではなく、過去何十年間も設計プロセスそのものに注意を向けなかったことの報いです。私たちがFluxを創ったのは、この問題に今になってやっと対応するためですが、今回は多くのすばらしい投資家たちが私たちのビジョンを共有していることがわかり、とても幸運です」。

画像クレジット:Flux

Fluxによれば、同社の技術は「すべてのモダンブラウザー」でサポートされており、ダウンロードは不要だという。システムには、シミュレーター、自動部品調達、バージョン管理などの機能がある。一方、Community Libraryでは、回路図やモデル、オープンソースの部品などにアクセスを提供している。これは、GitHubやMakerbotのThingiverseに似ている。

ワグナー氏がTechCrunchに語ったところによると、同社はGitHubのような収益化の方法を採りたい、という。

私たちはGitHubがその、再利用性のあるコードの、オープンでコミュニティ駆動のリポジトリにより、ソフトウェアのエコシステムを全面的に変えてしまったことを、大いに参考にしています。同様に私たちも、フリーミアムのSaaSモデルで、誰でも容易に取り組みを開始できるようにし、またチームと企業などの組織には、彼らが必要とするタイプの機能を提供しています。このモデルによってハードウェアのコミュニティが一堂に集まって、部品やシミュレーターのモデルや、フォークでき改良できる参照回路図などの再利用性のあるコンポーネントを構築し共有できます。もちろん、共有し公開するものはすべて常に、エンジニアがコントロールできます。私たち自身もエンジニアなので、これからもなるべく多くのエンジニアとチームを力を与えていきたいと考えています。

資金調達に加えて同社は、この機会を利用してベータでローンチしている。

画像クレジット:Flux

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アクセシブルなソフトウェアデザインのためのハブ「Stark」がMacアプリのベータ版を開始

Stark(スターク)は現地時間9月28日、Macアプリ「Stark」のプライベートベータ版を立ち上げた。プロジェクトに関わる誰もが簡単にコラボできるようにする一方で、プロダクトをより包括的なものにするためのアクセシビリティの規則遵守を簡素化するものだ。企業はデザインファイルをStarkのツールにアップロードすると、Starkがアクセシビリティの問題を特定し、変更を提案する。

Starkは、作品をアクセスしやすく包括的なものにするデザイナー向けの簡単なソリューションがないことにCat Noone(キャット・ヌーン)氏と同氏のチームが気づいた2017年に創業された。いまや50万人超が、Adobe XD、Figma、Sketch、Google Chromeのようなアプリ向けのStarkの統合されたプラグインを使った。これは、ビジュアル素材を視覚障害者のためのアクセシビリティ基準に合うよう、チェックしたり提案したりする。

「まずプラグインで始めました。あなたのプロダクトで起こっている問題を表面化することで意識を高めるすばらしい方法であり続けています」とヌーン氏はTechCrunchに語った。「しかしプラグインは大規模に、あるいは誰もがプロダクトに関われるようにする方法でアクセシビリティの問題を解決しません」。

ただ、ヌーン氏はMacアプリ用のStarkが多くのデザインファイルにある抜本的な問題を簡単に解決できるようにすることで「アクセシビリティを高める」と話す。例えばTwitterのようなアプリがフォントを変更すると(つい最近変更し、アクセスしやすいデザインにおけるカスタマイゼーションの必要性について議論を呼んだ)、デザイナーはアプリ内の何百ものスクリーンの書体を根気強く変更しなければならない。しかしStarkはこのプロセスをかなり迅速化する。

関連記事:ウェブデザイン変更後のツイッターはアクセシビリティが不十分と専門家は指摘

Starkに表示される可能性のあるアクセシビリティに関する警告メッセージ(画像クレジット:Stark)

「Starkがしようとしているのは、問題が起こったときに、あなたが提案された変更を受け入れ、デザインファイルを開き、変更し、そのまま進めてシンクさせるということです」とヌーン氏はいう。「ですので、その時点で1つのスクリーンだけでなく、全デザインシステム、あらゆるスクリーンで並行して表示されます。それはすごいことです。というのも、あなたのデザイン開発時間を短縮するからです。そして我々の目標は、これがなぜ修正されたのかあなたに教えながら、規則遵守にかかる時間を抑制することです」。

Starkがシードで150万ドル(約1億6800万円)を調達した2020年以来、プロダクトは消費者レベル、企業レベルどちらでも機能するアクセスしやすいデザインのGrammarlyだとヌーン氏はいう。Starkはまだ黒字になっていないが、同社の既存顧客にはMicrosoft、Pfizer、Instagram、ESPNなどがいる。加えて、Starkはアクセスしやすいデザインや、ヌーン氏いわくインターネット上で最大だというアクセシビリティリソースに興味がある人のSlackでのコミュニティもホストしている。同社はユーザーがプロダクトを試してSlackに参加できる限定無料プランを提供しているが、既存の一連のツールを利用するには年60ドル(約6700円)かかる。一元化された請求書へのアクセスや複数メンバーによる管理を加えるカスタムプランの見積もりを依頼することもできる。

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StarkのMacウェブサイトのスクリーンショット(画像クレジット:Stark)

アクセシビリティはテック企業にとって重要なものだ。というのも、障がいを持つ人が自社のプロダクトを使えなければ、巨大な顧客ベースを失うからだ。しかし包括的であることが十分な動機付けでなくても(ため息)、お金はそうだろう。

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「特にこのところ、パンデミックによって多くの企業がデジタルの活用を増やしました。プロダクトをすべての潜在ユーザーにとってアクセスしやすいものにしていないテック企業がマーケットから排除され、思いがけない大きな機会を逃すようになっています」とヌーン氏は述べた。しかしStarkは古いデザインファイルをアクセシビリティ基準に沿うものに変えるのを簡単にしている。「Macアプリ向けのStarkは、あなたがコンサルタントを10人も20人も雇わなくてもいいようにします。なぜなら、プロダクトを構築している個人は教育を受けていて、そばに使えるツールがあるからです」。

差し当たり、Macアプリ向けStarkのプライベートベータ版はSketchで使えるが、ほどなくFigmaやAdobe XDのような他の人気デザインツールでも使えるようになる、とヌーン氏は話す。その後、プロジェクト管理ツールを統合することで、ユーザーはアプリ内でタスクを他の人に割り当てることができるようになる。プライベートベータ版を試したい人はウェブサイトでアクセスをStarkにリクエストできる。ベータ版は無料だが、正式展開するときには料金プランが発表される。

「かなり意見を主張するコミュニティとともにこれを構築する余裕がありました」とヌーン氏は話した。「プライベートベータ版ですが、エンジニアやデザイナーにとってもかなりメリットのあるものです」。

Starkのチームは8カ国からリモートで働く17人だ。

「チームのメンバーは世界中に散らばっています。多くの言語、さまざまな肌の色、さまざまなバックグランドを持っています。我々自身のとらえ方、世界を誘導する方法はそれぞれの中にある包括性であり、かなりマジックのようなものだと考えています」とヌーン氏は語った。StarkがVRやARのような新手のテクノロジーに受け入れられることを同氏は願っている。その一方で、文化によってアクセシビリティが異なるという問題も解決して欲しいと思っている。例えば英語で書体を読みやすくすることはアラビア語やタイ語で書くことに必ずしも当てはまるとは限らない。「我々は構築したプロダクトを反映する存在であり、思うにそれが口でいうだけでなく行動で示すことを極めて簡単にしています。というのも、我々は毎日共同で暮らしているからです」。

画像クレジット:Stark

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

独Xaynが広告を表示させずにプライバシーを保護できる検索ツールのウェブ版を発表

ベルリンを拠点とするスタートアップ企業Xayn(ゼイン)は、Googleのようなアドテック大手のトラッキングやプロファイリングを利用せずに、プライバシー保護とパーソナライズを両立させた広告のない検索サービスを提供している(2020年のTechCrunchの記事を参照のこと)。同社はその製品の提供範囲を拡大し、ウェブ版(現在はベータ版)を発表した。

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同社がモバイルアプリと同様の機能を持つ「light web version」と説明しているウェブ版「Xayn WebBeta」は、あるコンテンツに「興味がないことを意思表示するためにスワイプ」できないといった点がXaynのモバイルアプリとは異なる。

ブラウザのように見えても、Xayn自体はブラウザとも少し違う。同社が「ブラウジングエンジン」と称するXaynでは、プライベート検索だけでなく、ディスカバリーフィード(ニュースフィード)の形でコンテンツを整理して表示することで、アプリ内でブラウジングすることができる。

デスクトップのブラウザでXaynを読み込むと、XaynのAIがフィードで何を表示するかを判断するために、短いタイムラグが発生する(モバイルでも同様)。Xaynを最初に起動したとき(すなわち、AIがゼロからコンテンツをユーザーの地域に合わせてローカライズしているとき)は、すでにユーザーが何回かXaynにアクセスしてユーザー固有の閲覧シグナルをAIが利用できるときを比べて、わずかに長く時間がかかるようだ。

ウェブ版のXaynでは、コンテンツの左右に緑(好き)またはピンク(嫌い)のバーが表示されている。そのバーの横にカーソルを合わせるとホップアップ表示される、上向き(または下向き)の親指のアイコンをクリックすることで、特定のコンテンツに対する「評価する」または「評価しない」のシグナルを送ることができる。左クリックだけで「いいね!」できる、という仕組みだ。

また、フィードを増やしたくない場合は、フィードをオフにして、起動時に検索バーだけを表示させることもできる。

デフォルトでは、検索結果はコンテンツペインに、ニュースフィードと同じような長方形のグリッドで表示される。情報を求めているユーザーにとっては、少しばかり情報密度が足りないだろうか。

Xaynウェブ版(ベータ版)の検索結果ページのサンプル(画像キャプチャー:Natasha Lomas / TechCrunch)

Xaynの学習AIは、右上の「脳」のアイコンをクリックすれば、いつでもオフにすることができる。オフにすると、ユーザーが閲覧しているものが、ユーザーに表示されるコンテンツ(フィードのコンテンツと検索結果の両方)を決定するAIの学習に使用されないようになる。

全体をまっさらな状態に戻したい場合は、手動で閲覧データを消去して学習をリセットすることもできる。

ユーザーに魅力的なもう1つの要素はXaynには広告が表示されないことだ。DuckDuckGoやQwantのような他の非追跡型プライベート検索エンジンは、コンテクスト広告を表示することで収益を上げているが、Xaynには広告がない。

さらに同社は、検索業界の常識にとらわれずに、Xayn AIの検索アルゴリズムをオープンソースで提供している。

他にもウェブ版のXaynには、クリック1つで関連コンテンツが表示される「ディープサーチ」や「コレクション」というブックマークのような機能がある。ユーザーは「コレクションを作成、コンテンツを追加、管理することで、お気に入りのウェブコンテンツを集めて保存することができる」という。

Xaynは広告を表示しないだけでなく、広告ブロッカーを搭載し、第三者のサイトに表示される広告をブロックして「ノイズのない」ブラウジングを実現している。

Xaynのウェブ版は、ChromiumベースのブラウザとFirefoxにのみ対応しているので、Safariユーザーはサポートされたブラウザに切り替えてXaynを使用する必要がある。

同社によると、2020年12月に発表されたXaynのモバイルアプリは、その後世界中で25万回以上ダウンロードされている。

Xaynのモバイルアプリでは、発表から3カ月後には毎日10万以上のアクティブ検索が行われ、Xaynはブラウジングデータとユーザーの興味を示すスワイプを取り込み、このツールの価値提案の中核であるパーソナライズされたコンテンツの検索のためのAIをトレーニングし、改善している。この学習と再評価はすべてデバイス上で行われ「Xaynはユーザーごとの検索結果のプライバシーを保護している」とアピールできる材料になっている。

また、フィルターバブル(泡の中にいるように、自分の見たい情報しか見えなくなること)効果を避けるために、Xaynの検索結果には意図的な変化が加えられ、アルゴリズムが常に同じものばかりをユーザーに提供しないようにしている。

Xaynのウェブ版もモバイル版も、Masked Federated Learning(保護されたフェデレーテッドラーニング(連合学習))と呼ばれる技術を用いて、ユーザーのプライバシーを損なうことなく、ユーザーにパーソナライズされたウェブエクスペリエンスを提供している。

もちろんGoogle(グーグル)も独自の広告ターゲティング技術の改善に取り組んでいて、現在、広告ターゲティングのためにブラウザユーザーをインタレストバケットに分類するFloC(コホートの連合学習)と呼ばれる技術を試験的に導入し、トラッキングクッキーを廃止しようとしている。しかし、Xaynとは異なり、Googleのコアビジネスはユーザーをプロファイリングして広告主に販売することだ。

共同創業者でCEOのLeif-Nissen Lundbæk(レイフニッセン・ルンドベーク)氏は声明で次のように述べる。「私たちは、誤ったプライバシーと利便性のジレンマへの直接的な対応としてXaynを開発しました。このジレンマを解決できることはすぐに証明されました。ユーザーはもはや敗者ではありません。実際、私たちのすばらしいエンジニア&デザイナーチームは、アップデートのたびに、プライバシーや品質、優れたユーザーエクスペリエンスがいかに密接に結びついているかを繰り返し実証してくれます」。

「私たちは既存のものをコピーするのではなく、じっくりと検討して新しいものを作りたいと考えました。Xaynでは、積極的にウェブを検索したり、インターネット全体からパーソナライズされたコンテンツを提案するディスカバリーフィードを閲覧したりして、インターネット上のお気に入りのサイトを見つけることができます。どちらの方法でもユーザーのプライバシーは常に保護されます」。

デザイン部門の責任者であるJulia Hintz(ジュリア・ヒンツ)氏も、別の声明で次のように付言している。「Xaynのウェブ版を開発するにあたり、Xaynアプリの成功につながったすべての要素をデスクトップのブラウザウィンドウで利用できるようにしました」。

「ウェブ版にもプライバシーを保護するアルゴリズム、直感的なデザイン、スムーズなアニメーションが採用されています。ユーザーは、慣れ親しんだ環境から切り離されることなく、モバイルとデスクトップを簡単に切り替えることができます。これこそが、シームレスで強いインタラクションの鍵となる、Xaynのすばらしい利点です」。

ウェブ版のXaynでは、ユーザーの個人情報はブラウザ内に保存されるという。

ウェブ版のセキュリティについては、広報担当者が次のように話す。「デスクトップパソコンは、一般的にスマートフォンよりも安全性が低いといわれています。Xaynはプライバシー保護のために、分散型の機械学習と暗号化を組み合わせて個人データを保護しています。純粋に技術的な観点から見ると、Xaynはデスクトップデバイス上のブラウザの中のブラウザです。Xaynはそれぞれのブラウザのサンドボックス内で動作し、個人データを第三者の不要なアクセスから保護します」。

Xaynは今後、プライバシーを保護しながらパーソナライズされたブラウジングを同期する機能を追加する予定で、オンラインであればどこからでも、モバイルとデスクトップの複数のデバイスでAIの学習結果を享受できるようになる。

ブラウザでwww.xayn.comにアクセスすれば、Xayn検索エンジンのウェブ版(ベータ版)をデスクトップパソコンで確認できる。

Xaynは2021年8月、日本のベンチャーキャピタルGlobal Brain(グローバル・ブレイン)とKDDIが主導し、ベルリンのEarlybird VC(アーリーバードVC)などの既存の支援者が参加したシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達。累計調達額は2300万ドル(約25億円)を超えた。同社が日本をはじめとするアジアに注目しているのは確実だ。

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画像クレジット:Xayn

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)