小学生のためのプログラマブルロボットで成功しているWonder WorkshopがシリーズCで$41Mを獲得

ベイエリアのWonder Workshopが今日(米国時間10/30)、4100万ドルのシリーズCラウンドによる資金調達の完了を発表した。同社は、子どもたちが自分のスマートフォンの上でプログラミングでき、コンピューターサイエンスの基礎もある程度習得できる、かわいいロボットをいろいろ作っている。

このラウンドには同社の既存の投資家たちの一部のほか、Tencent Holdings, Softbank Korea, TAL Education Group, MindWorks Ventures, Madrona Venture Group, VTRON Groupなどが新たに参加した。同社は2016年7月にも2000万ドルを調達しており、これまでの累積調達額は78万ドルあまりとなる(出典: Crunchbase)。

何らかのハードウェアを使って、実際に触ったり操作したりできる形で、プログラミングの基礎を子どもたちに教える企業はほかにもいくつかあるが、Wonder WorkshopのCEO Vokas Guptanによると、同社はロボティクスを、子どもたちをさまざまな指示や説明の“サイロ”に閉じ込めるのではなく、それによって友だちの輪を広げられる。

“ロボットだと、複数の人間が自然にコラボレーションできる”、とGuptaは語る。

Wonder Workshopのプログラマブルロボットは全米で12000の小学校が利用している。また同社自身も、子どもたちにSTEMの基礎を教えるためのロボットコンペを主催している。

今後はいくつかの新製品により、同社は対象年齢を今の8-10歳だけでなく、11歳以上のティーンにも拡大しようとしている。

先月200ドルで発売されたCueは、対象を11歳以上と想定している。センサーが多くて、ユーザーはいろんなデータを収集したり、コントロールへの反応を得たりできる。また、さまざまな“アバター”によってロボットの性格や特徴をカスタマイズできる。

Guptaによると新たに得た資金は世界進出の継続および拡大と、今後の新製品開発に充てられる。

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WeWorkがプログラミング学校Flatiron Schoolを買収、最先端のコワーキングにはスペースだけでなく学習機会もある

時価総額200億ドルのコワーキングの巨人WeWorkが、プログラミングスクールFlatiron Schoolの買収を発表した。

プログラミング教育のプラットホームFlatiron Schoolは、テクノロジーの世界にキャリアを求める人びとにオンラインとオフライン両方のコースを提供している。設立は2012年で、Crunchbaseによるとこれまで1400万ドルを調達している。

買収の条件は、公表されていない。

WeWorkのCEOでファウンダーのAdam Neumannはブログで、WeWorkの社員とメンバーはFlatiron Schoolのオンライン/オフライン両様のコースにアクセスできる、と発表した。

WeWorkは、萌芽期の企業(ときには大企業にも)にスペースを提供するだけでなく、彼らのプロダクトのためのショップや仕事もセットアップしているが、そのほかに彼ら同士の協働助け合いネットワークも育てている。

Flatiron Schoolの買収は、ふつうの買収のようにそのビジネスや技術(プログラミング教育)をWeWorkのビジネスポートフォリオに加えるためでなく、WeWorkのメンバー(==ユーザー)に技術知識やスキルを与え、将来に向けて彼らの機会の強化拡大に資することが目的だ。

一週間前にFlatiron Schoolは、無認可で教育事業を営んでいた件と個人メンバーの就職率/初任給の誇大宣伝で、ニューヨーク州と37万5000ドルの和解が成立していた。

Neumannのブログより:

うちの会社の企業文化は、現状に満足せず、もっと良い仕事をしよう、今よりもっと勉強しよう、という姿勢にある。だから今回、勉強のための新しいプラットホームを提供できることを誇りに思う。Flatironには、人びとを結びつけるというわれわれのビジョンを共有できる資質がある。私たちはスペースで人びとを結びつけ、設計やデザイン、技術、そしてコミュニティで人びとを結びつけている。そしてそういう結びつきは、仕事と人生をより人間的にする方法だと理解している。私たちは、その全生涯が学生だ。Flatironの教育者と技術者とイノベーターたちをWeWorkにお迎えして、共に勉強を続けて行けることは、とても喜ばしい。

最近の2年間は、WeWorkはコワーキングのスペース以外の面での拡張にフォーカスし、中国と日本に進出、またアメリカでは拠点を増やしてきた。そしてまた同時に、オンラインのコースとそのメンバーの拡大にも注力してきた。4月に立ち上げたServices Storeは、メンバーがWeWorkのアカウントでSlack, Lyft, UpWork, Adobe, などのサービスを利用できる仕組みで、料金のディスカウントがある。

Flatiron Schoolの買収も、そういうメンバー便宜の拡大という点で価値が大きい。今やWeWorkのコワーキングにあるものは、スペースだけでなく、未来のキャリア増進のための学習機会もあるのだ。WeWorkは、スタートアップを育てるだけでなく、大企業の一部門や一事業部をそっくりまるまる、同社のメンバーが実装できる、と考えている。先年の、Microsoftの営業チームなどは、その典型的な例だ。

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Steve Wozniakが教育プラットホームWoz Uでテクノロジー布教者として第二の人生をスタート

Appleの協同ファウンダーとしてSteve Jobsと共に世界を変えたSteve Wozniakが今日(米国時間10/13)、Waz Uというものの創立を発表した。

リリースによるとWoz Uは、学生とその学生を雇用することになる企業両方のための学習プラットホームだ。Woz Uはアリゾナで立ち上がるが、今後はオンラインだけでなく物理的な学習拠点を全世界30以上の都市で展開したい、としている。

最初のカリキュラムは、コンピューターのサポートのスペシャリストとソフトウェアデベロッパーの育成を目的とする。今後はデータサイエンスやモバイルアプリケーション、サイバーセキュリティなどにもカリキュラムを広げていく。

Woz Uの構想は、教育のプラットホームであると同時に、テクノロジー企業のための求人〜教育訓練〜雇用のプラットホームでもあることだ。後者のために企業には、カスタム化されたオンサイトのプログラムと、会員制のカリキュラムを提供する。さらにK-12の児童生徒も対象にして、学区単位のSTEAM教育*プログラムにより人材を育成/発見し、テクノロジー方面のキャリアを育てていく。〔*: STEAM; Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics〕

さらに今後のWoz Uはアクセラレータ事業も導入し、テクノロジー方面の優秀な人材を起業の段階にまで育てていく。

発表声明でWozはこう言っている:

目標は、学生を長年の学費ローン返済で苦しめることなく、雇用に結びつくデジタルスキルを習得させることにある。人びとが往々にしてテクノロジー方面のキャリアの選択を避けるのは、自分にはできないと思い込むからだ。しかしそれは、誰にでもできる。ここでは、誰にでもできることを証明したい。私の全人生は、テクノロジーによってより良い世界を築くことに捧げられてきた。そのためにつねに、教育を尊敬してきた。そしてこれからはWoz Uで、新たなスタートをきりたい。それが今、やっと始まったのだ。

Woz Uは、自分にはテクノロジーのどの分野が向いているかを知るためのアプリを提供する。それによって、自分のカリキュラムを決めればよい。

料金については、まだ発表がない。

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アメリカの労働力をハイテク指向に変える全国的教育訓練事業にGoogleが10億ドルを投入

労働の形が全世界的なレベルで急速に変わりつつある。労働が技術の影響で大きく変わったのはもちろんこれが初めてではないが、しかし今回は、オートメーションやロボット、AIなどの成長によって、これまでなかったような空前のペースで、従来的な仕事がなくなりつつある。そしてGoogleはほぼ確実に、この変化を推進している力の一つだ。

この検索巨人は、これまでも折りに触れて、このネガティブなインパクトを抑えたいという願いを表明してきた。そして今回は、言葉だけでなく、そのために10億ドルという大金を拠出することになった。今日ペンシルヴェニア州ピッツバーグで行われたイベントで、CEOのSundar Pichaiが、Grow with Googleと名付けた事業を発表した。これにより同社は向こう5年間、アメリカの労働者を教育訓練して起業を助けている非営利団体に、総額10億ドルの援助を行う。

そのイベントの場所が持つ意味は、ピッツバーグのここ数十年の成長を見てきた人なら、誰にでも分かるだろう。かつて鋼鉄の町(Steel City)と呼ばれたこの都市は、壊滅の瀬戸際から経済を蘇らせた理想的な範例として、何度も言及されてきた。ピッツバーグの場合、その主な推進力はテクノロジーだった。当地の名門校カーネギーメロン大学の支援によりピッツバーグは、ラストベルト(Rust Belt)の不況に沈むさびれた都市から、アメリカ有数のテクノロジーハブへと生まれ変わった。今ではピッツバーグの工場跡地で、ロボット工学や自動運転技術など、最先端のイノベーションが成長している。

Pichaiは、この町が彼自身にとっても特別の意味がある、と語った。彼は曰く、“24年前アメリカに来たとき、最初に見た都市がここだった。インターネットが本格的に活況を呈するまでは、ずっとここにいた。でも当時からすでに、ここは変わり始めていた。ハイテクの雇用が、急増していた”。

Grow with Googleイニシアチブの一環として10億ドルは、個人を対象とするインキュベータ/アクセラレータGoodwillへ行く。Google.orgからの一つの団体への寄付額としては、これまでで最大だ。この資金によりGoodwillは、アメリカの労働力をハイテク指向へ改造するための教育訓練事業Goodwill Digital Career Acceleratorを立ち上げる。また一方でGrow with Googleは、全国ツアーにより、各地の図書館や地域団体が主催するキャリア育成事業を支援していく。この部分の目標規模としては、5年間で100万時間/人ぶんのボランティア社員を投入する。

Pichaiはスピーチで述べた: “Googleでは、私たちのミッションは、情報が少数者ではなくみんなの役に立つようにすることです。ここピッツバーグでは、Googleの同じ情報に、小学生の子どもがカーネギーメロン大学の教授と同じようにアクセスできます。つまりインターネットは強力なイコライザー(平等化装置)であり、新しいアイデアを人びとが前進する力に換えます”。

このオンライントレーニング事業の詳細は、Grow with Googleのハブにある。

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Deepgramがディープラーニングを利用する機械書き起こしサービスを無料で公開、データの獲得をねらう

オーディオデータを機械学習で処理するDeepgramが今日(米国時間10/10)、同社の機械書き起こしサービスを無料で公開した。これからはTrintのようなサービスにお金を払って自動化書き起こしという汚い仕事をやらせなくてもすむわけだ。無料化の秘密は、“データの取得”にある。

機械書き起こしは、完成された技術ではない。というか、機械何々はどれも未完成だ。それでも最近は、機械何々を完成させるためのデータを得ようと、各社が競っている。Deepgramのやり方は、書き起こしサービスを無料にして多くの人にオーディオデータをアップロードしてもらい、そのお礼に検索可能なテキストを渡すことだ。

前述のように、このやり方はそれほどユニークではない。誰もが、データを求めている。Image Captchasも、ラベルをつけた画像データを一般消費者に送ってもらって機械学習のモデルに利用することが目的だ。

Deepgramの書き起こしツールは、ディープラーニングを利用している(驚き!)…今やおなじみの、畳み込み型/再帰型のニューラルネットワークだ。無料バージョンでは何もかも一般化されるが、有料バージョンでは企業名や製品名、業界の専門用語などで訓練をカスタム化できる。

一週間前にやった1時間のインタビューで、このサービスをテストしてみた。レストランの騒音の中で二人の人間が対話をしている。書き起こしの質は、完全にはほど遠い。でも、今市場に出回っているサービスに比べて、極端に悪いというわけではない。

記憶している語句で検索することもできたし、三回目の結果の中に、探していた特定の箇所が見つかった。それをここに引用すると相手が怒りそうだからやめるが、記事を書くためには十分なコンテキストが得られた、と言えよう。音声による検索には5分ほどかかったが、テキストと違って音声による“語”には、似たような音(おん)が多いので、必要以上のマッチを見つけるのだろう。それでも、人間がやってくれる書き起こしサービスに比べると安い(無料!)し、今後少しずつ良くなっていくだろう。

Deepgramの協同ファウンダーでCEOのScott Stephensonはこう説明する: “音声認識の自動化は、まだ完成された技術ではない。特定のデータセットに対しては有能だが、ノイズが多いとだめだ。うちのサービスの結果も、良くないね”。

Deepgramは、機械書き起こしのAPIも無料で提供している。でも、有料サイトに100万分(ふん)の音声データをアップロードしたら、目の玉の飛び出る料金になるだろうから、その500テラバイトのファイルはDeepgramにトロルした方がよいかもね。

書き起こしはまだまだ人力には勝てないが、人工的に合成した音声なら機械学習にも勝つチャンスがあるかもしれない。テキストから音声を生成するWaveNetLyrebirdのようなプロジェクトを利用して、Deepgramのような機械翻訳システムを、機械が間違えやすい語で訓練すれば、その能力もアップするだろう。

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ヨーロッパの子どもたちのためのプログラミング教育振興事業EU Code WeekにAppleとGoogleも協賛

EC(European Commission, 欧州委員会)が毎年主催する、児童生徒のためのプログラミング入門行事EU Code Week、今年は明日(米国時間10/7)から10月22日までの2週間行われる。

昨年と同じく、ヨーロッパ各国のさまざまな団体や組織により、何千ものプログラミング入門イベントが開催され、ヨーロッパをはみ出た部分もわずかにある。

各国各地のイベントの詳細は、この主催者ページで分かる。

昨年のEU Code Weekでは、総数23000のイベントに計100万名近くが参加した。第一回の2013年には、イベント数3000、参加者数10000だったから、すごい成長だ。

開催するイベントの数がいちばん多いのはイタリアで、今挙がっているものだけでも2659件、イギリスはやや慎ましやかに187件だ。

第二位のポーランドは497件、次いでトルコ244、フランス228、ドイツ225等となる。

子どもにプログラミングへの興味と初歩的な力をつけることが目的の行事だから、イベントも子ども対象が多いが、全年齢対象のイベントも少なくない。

イベントはプログラミングのさまざまなテーマを扱い、それらはアプリの開発、ロボット、AI、ゲームの設計など、いろいろだ。

今年はAppleも参加して、EU Code Weekの期間中にヨーロッパ各地のストアで無料のプログラミングコースを開催する。Swiftプログラミング言語の入門がメインだが、Star WarsやSpheroのキャラクターを利用する子ども向けのロボット入門もある。

Appleによると、来年はヨーロッパ全域10か国の100あまりのストアで、計6000以上のコースを開催し、それらをAppleがこれまでやってきた店内教育事業Today at Appleの一環として展開する。

Googleは、学校などで行われるイベントに資金を出したり、資金提供者を紹介したりする。

Googleの社会貢献部門は数年前に、その資金によりイギリスの児童生徒に大量のRaspberry Piマイクロコンピューターを寄贈した。

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クラスの児童生徒への小テストをネット利用で行うKahootが好調、企業向けの有料バージョンをローンチ

先生がネット上で、自分のクラスのための小テストを作って配るというシンプルなサイトが、ここまで成長するとは、誰も思わなかっただろう。でもKahootは、ローンチ直後から大ヒットした。数か月前にMicrosoft Venturesなどから2000万ドルを調達した同社が、今度はそのサービスの有料バージョンを立ち上げて売上を伸ばそうとしている。

そのKahoot Plusは主に、企業の教育訓練用だ。体験的に言っても、これまではひどいアプリケーションしかなかったから、Kahootなら勉強してみたいな、とぼくは感じている。

Kahoot Plusを使うと、小テストはユーザー企業専用の非公開領域に保存でき、各テストに企業のロゴが入る。教育訓練担当者/担当部門は、記録を見て各生徒の進歩をチェックでき、誰のどこを強化すべきか分かる。

同社はオスロで2011に誕生し、今では月刊アクティブユーザー数が5000万を超えている。

企業が教育訓練に投じるお金はアメリカだけでも2016年に700億ドルを超え、Kahootにはすでに企業ユーザーもいて、その中には“Fortune 500社の25%が含まれる”そうだ。今後は、企業を本格的に同社の収益源にしたいのだ。

Kahoot Plusの料金は、導入期で教育訓練対象者一人あたり月額10ドル、本番利用では月額15ドルだ。年会費を払えば、利用者数に制限はない。

KahootのCEO Erik Harrellはこう言う: “毎年、効果のない教育訓練に企業は数十億ドルのお金と数百万時間もの時間を浪費している。彼らのプレゼンテーションデッキはつまらないし、授業も退屈だ。教育訓練というものは、有用であるだけでなく、楽しくて、忘れがたい思い出になり、何かのヒントが得られ、そして引き込まれるような魅力も必要だ”。

Kahootの学校向けバージョンは、今後も無料だ。でも、“企業向けのPlusには、学校で使っても有意義な特長がある。たとえば成績/進捗報告機能が高度だから、生徒たちの実情をより詳しく分析できる”、とHarrellは述べている。

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トランプ大統領、コンピューター科学への年間2億ドルの助成を教育省に要請

近々ドナルド・トランプ大統領は、K-12(幼稚園から高3まで)のコンピューター教育に毎年2億円を投入するよう教育省に要請した。Code.orgは、これを同非営利団体の活動の勝利であると宣言した。Recodeが今日報じたところによると、トランプ大統領は覚書で、STEM教育への助成金を最低2億ドル支出するよう教育省に指示している。

「今日のコンピューター科学教育への年間2億ドルの投資宣言は、Code.orgの勝利を示すものだ。われわれは4年前から、コンピューター科学の普及拡大と、女性や少数民族の機会拡大を求めて活動してきた」とCode.orgのファウンダー・CEO Hadi PartoviがTechCrunch宛ての声明で言った。

昨年懐かしきバラク・オバマ大統領の日々に、前大統領は40億ドルを超える助成金を要請し、誰もがコンピューター科学教育を受けられることを望んだ。しかし残念ながら、議会はこの取り組みを承認しなかった。トランプ氏に対してあなたがどんなスタンスを取るにせよ、これはアメリカの若者たちにとって朗報だ。

「国によるこの公約と、継続する民間、州、地方自治体による惜しみない支援を得て、コンピューター科学が米国K-12教育の主要科目になる動きは加速されるだろう」とPatoviは言った。「これまで以上に多くの教師が訓練を受け、より多くの学生がコンピューター科学を学び成功を収めるだろう。現在米国でコンピューター科学を教えている学校は、Code.orgの人気カリキュラムを使う場合、ほかの方法を用いる場合をあわせて40%しかない。2022年までにその数字が100%になることを願っている。」

覚書によると、トランプ氏は教育省に対して、K-12教育におけるコンピューター科学を拡大あるいは強化する方法を検討するとともに、性別や人種の多様性を勘案し、こうした取り組みに教育省が与える効果を詳しく記載した年次報告書を提出するよう指示した。

Featured Image: Victor J. Blue/Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

プログラマー促成栽培のコーディングブートキャンプ業界に再編の嵐、今度はGalvanize が11名をレイオフ

これまでの数年間、爆発的な生長を遂げたコーディングブートキャンプ(coding boot camp, プログラミング短期特訓校)に、破綻ではなく縮小が始まった。サンフランシスコのDev Bootcampとサウスカロライナ州グリーンヴィルのIron Yardの2校は、年内の閉校を発表している。両校はそれぞれ、KaplanApollo Education Groupに買収されたので、資金潤沢な親会社がある。〔資金問題が不調の原因ではない。〕

そして今度は、Galvanizeが、過度な肥満を認めたようだ。Reutersが入手した声明によると同社は、デンバー本社のスタッフの11%、37名をレイオフする計画だ。現在の社員数は、350名である。

声明はこう言っている: “市場の需要の変化に伴い、本日われわれは、要員の削減という困難な決定を行った。これらの行為は、継続的な学習環境を可能にするための、プロダクトによりフォーカスしたプラットホームを構築するという、弊社の全体的な戦略に整合している”。

同社は、これまでの5年間で8500万ドルの資金を調達しているが、コーディングスクールのビジネスを注視してきた者にとっては、今回の動きは意外ではないだろう。教育関連の調査やコンサルティングを行っているEntangled Solutionsの主席コンサルタントMichael Hornはこう言う: “これが大きな業態になることは想像できるが、でも90社はないね”。彼がこう語っているのは、この業界を襲った最初の再編成に関する最近のThe New York Timesの記事の中だ。

2014年にはアメリカのこのようなプログラミング訓練所は43あり、週40時間あまりの、フルタイムの個人授業を正式のカレッジや大学の協力を得ずに提供していた。Course Reportによればそれが、この業界の標準的な姿だった。

しかし同誌によると今年の初めには、ブートキャンプの数は95に達した

Galvanizeには最先端のキャンパスがいくつもあり、それらが学習センターおよび共有オフィススペースとして使われていた。同社がそうやって地域的に根付いた都市は、オースチン、ボウルダー、デンバー、マンハッタン、フェニックス、サンフランシスコ、シアトルなどだ。

同校を卒業してソフトウェアエンジニアになった人は2400名あまり、と言っているが、企業としての売上の何割が授業料で、何割がスペースの貸し賃かは、公表されていない。

Galvanizeの主な投資家は、University Ventures Fund, ABS Capital Partners, Aspen Grove Capital, The Colorado Impact Fund, ニューヨークのHaystack Partners, Liberty MediaのCEO Greg Maffeiなどだ。金額は公表されていないが、借入金もある。

先月は、協同ファウンダーのJim DetersがCEOを降りて会長になることが発表された。今は暫定的に、CMOのPamela Rattiが経営を仕切っている。

そのとき同社はDenver Business Journalに、経営陣のこの異動はGalvanizeの好調時に行われた、6月の売上は過去最高だ、と述べている。

今本誌は、Galvanizeにコメントを求めている。得られ次第、この記事をアップデートしたい。

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モーションセンサーやLEDパネルで遊べるKanoのプログラミング教材

著者注 :著者のAbel OwenはIngridの9歳の息子だ。記事は主に彼の言葉によるもので、Ingridはそれを少しばかり素早く入力する手伝いをしただけである。

僕はいつもコンピューターとインターネットを使っていて、本当にそれらが大好きだ。それらは現代生活の重要な部分を占めている。そして、それらがどのように働くかを知ることはかなりクールなことだ。なのでお母さん(Ingrid)が僕にKanoプロダクトのレビューを手伝って欲しいと言って来たときには「もちろん!すぐやろうよ!」と叫んだ。

知らない人たちのために説明しておくと、Kanoは、子どもたち(やその他の人たち)のためのインタラクティブなコーディングデバイスを提供している会社だ。そのデバイスを使って、テクノロジーや、コンピュータやその他の電子デバイスの仕組みを学ぶことができる。ここ数週間の間、僕はPixel KitとMotion Sensor Kitという名前の、2種類のKanoデバイスを試していた。

まず、7月に発売されたハンドヘルドLEDライトボードのPixel Kitを使い始めた。

実際のマシンを使い、コーディングでそれを制御したので、とてもエキサイティングだった。箱の中に入った部品として提供されているのも気に入った。それを使うためには組み立てをしなければならないからだ。これは僕とお父さんがSnap Circuitsと呼ばれるもので遊んだ経験を思い出させた。

部品を組み立て終わったら、Kanoアプリを使ってコンピュータにリンクする。アカウントを作成すると、キットとコンピュータが接続される。

僕は以前Scratchを学校で使っていた。これは小さなスクリーン上で、テレビゲームをコーディングして作成することができるものだ。今回のキットはそれよりも少しクールなものだ、なぜならPixelキットでは、Pixelの128個のLEDライトを実際に制御するプログラム(Kano独自のコーディングブロックまたはJavaScriptのいずれかで記述)を作成することができるのだ。僕は音に反応するライトショーを作成するのが楽しめた:手を叩いたり、大きな音に反応してライトが光るのだ。それらはとても「素晴らしい」(お母さんが「クール」とばかり書かない方が言ったので)ものだった。

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僕はKanoの指示に従って、ゲームを作ってみた。1つは、財宝を探すヒーローものだ。主人公を財宝に向かって導かなければならない。

また加速度計も用意されていて、それを使って(手の中に収まる)Pixel Kitを傾けることでライトを動かすゲームを作ることができた。Kanoには、習得するタスクのシナリオが用意されていて、やり方を学ぶのに役立つ。僕は今では指示なしでも、Pixel向けの簡単な独自ゲームを作ることができると思う。

この数週間後、KanoコレクションにMotion Sensor Kitを追加した。これもKanoアプリで動作する、小さなジェスチャーコントローラーだ。

これを使うためにPixel Kitを使用する必要はない。Pixelと同様に、Kanoアプリでスクリプトを作成する。Motion Sensorを使用すると、これらのスクリプトを使って、モーションセンサー上で手を振ったときにアプリが動きに反応するようにできる。

僕が作ったスクリプトの1つは 「ギター演奏」だった。モーションセンサーの上でギターをかき鳴らすように手を振ると、アプリの画面ではギターの弦が動き、動きに合わせて音が出るようにできた。

あるいは動きに反応する小さな画像を作成することもできる。例えば回転する亀や、上下に移動するヘビなどだ。そして、他にはこのようなものも:

Pixelの場合と同様に、ゲームを作ることもできる。僕が好きだったのは「ポン」で、僕の手を卓球用のパドルにすることができ、コンピュータで遊ぶことができた。

お母さんは両方について気に入らなかった点も話して欲しいと言う。Pixel Kitを改善するなら、より出来ることの幅が広がると良いと思う。そして自分の作品を3つより多くPixel Kitに保存できると良い。そうすればもっとエキサイティングになるだろう。

そして子供が扱うことを考えると、それはやや壊れやすいものだった。ある日には、バッテリーがただ「脳」から切り離されてしまった(僕たちはそれを再び接着しなければならなかった)。そして、電池を接着し直そうとしている時に、お母さんが電源ボタンを壊してしまい、それもまた接着しなければならなくなった。

(注:これはおそらくKanoというよりも私たちの問題かもしれない。また、Macではなく、iPad用のKanoアプリや、家族が使用するGoogle Chromebook Pixelを手に入れることができることも良いことだろう。Kano製品はWindowsコンピューターや以前にリリースされたKano Computer Kitでも動作する)。

Motion Sensorはより頑丈だったが、お母さんのMacに繋がれていなかったらもっと良かったと思う。

Motion Sensor Kitは29.99ドル/29.99ポンドで販売されていて、Pixel Kitは79.99ドル/74.99ポンドだ。

どちらもKanoストアを通じて直接購入することができる。米国では、Amazon.com、Barnes&Noble、Toys R Us、ThinkGeek、Gamestopから買うこともできる。カナダではIndigo、Toys R Us、そしてThe Sourceで購入できる。英国ではamazon.co.ukで購入することもできる。

Alex Klein、Yonatan Raz-Fridman、Saul Kleinが共同創業したKanoは、これまでに1900万ドルの資金を調達している。その中には口コミで広がったKickstarterキャンペーンによる調達と、その後のより正式なベンチャーラウンドで調達された1500万ドルが含まれている。投資家として、Jim Breyer、Marc Benioff、Martin Sorrell、Index Ventures、James Higa、 Troy CarterそしてShana Fisherなどが名を連ねている。

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(翻訳:Sako)

Mystery ScienceとGoogleがパートナーして小学生に日食眼鏡を配布

洞窟で原始人スタイルの生活をしている人以外は、みんな知ってると思うけど、8月21日には日食がある。日食(皆既日食)がアメリカを横断するのは1918年以来初めてで、2045年まではこれが最後だ。だからたくさんの人たちが、当然のように興奮している。そしてもちろん、アメリカじゅうの先生たちが、子どもたちにこれをうまく教えようと準備している。しかしその授業のためには、日食眼鏡(eclipse glass, 日食グラス)がどうしても必要だ。子どもたちが太陽を直視して目を負傷することは、絶対に防がなければならないからね。

すでに発表されているとおり、GoogleはGordon and Betty Moore Foundation, SSI(Space Services Inc. of America), National Science Foundation, NASAなどとの共同事業で、全国およそ5000の図書館を通じて、太陽を見るための眼鏡を200万個、配布する。そしてさらにGoogleは、Y Combinatorで育った、教師に(理科の)授業計画(レッスンプラン)を提供するスタートアップMystery Scienceとパートナーして、小学校へ直接、15000の眼鏡を寄付する。

Mystery Scienceの協同ファウンダーDoug Peltzによると、彼は8歳のときからこの日食を待っていた。彼と協同ファウンダーのKeith Schacht(元Facebookプロダクトマネージャー)らによるチームは、図書館から無料の眼鏡を配布されない小学校でも、先生たちが児童たちに確実に眼鏡を配れるようにしたい、と考えた。そこで彼らはGoogleとパートナーして眼鏡を学校へ送れるようにし、また先生たちにはこのイベントに関する授業計画を無料で送るようにした。

プロジェクトのホームページには日食の時刻表があるので、見忘れる心配も少ない。でも、午前中に急に空が暗くなったら、気づかない人はいないと思うけどね。

Mystery Scienceの授業計画は全米の小学校の10%が利用している。小学校の先生たち全員が、理科を上手に教えられるとは限らないからだ。カリキュラムをよく理解できない先生も、いると思う。同社のサービスは、教師個人単位でも契約できるが、ファウンダーたちによると、今では教師全員用にライセンスを購入する校区が多い。

いずれにしても、今この記事を読んでるあなたが小学校の先生なら、今同社のサービスの会員である・ないにかかわらず、Mystery Scienceから日食の授業計画と日食眼鏡を無料で入手できる。

〔参考記事: 日食の一覧

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ネットいじめに関するイギリスの大規模調査によると、InstagramとFacebookがいじめ最多の場所

イギリスのいじめ防止団体Ditch The Labe今年度の調査によると、2017年でネットいじめがもっとも多いサイトはInstagram、そしてFacebookが僅差で二位だ。今年の調査は12歳から20歳までの標本10020名の回答を集めたが、統計学的にはこれだけの標本数があれば、ネット上の有害な疫病の広がりの現状を、正確に反映したデータが得られたと言える。

いじめ被害の経験者の比率は、Instagramではユーザーの42%、Facebookでは37%、Snapchatでは31%だった。利用経験が92%と最大のYouTubeでは、いじめ経験は10%と比較的低い。

そのほかに、こんなデータもある:

  • 回答者の50%がいじめの被害を経験している。
  • 10%が、先週、いじめ被害を経験している。
  • いじめ被害経験者の50%は容姿についていじめられている。
  • いじめ被害経験者の24%が個人情報をネット上で共有している。
  • 27%が自分の意に反して写真やビデオを共有されている。
  • 18%が正しくないプロフィール情報を流布されている

この調査報告書には、いじめる側の心理に関する深い探究もある。調査はいじめを客観的に定義していないが、そんな主観的な回答において、回答者の12%が、誰かをいじめたことがある、と答えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

KanoのPixel Kitは、子供たちをプログラミングに熱中させる


度重なる遅れを経て、Kanoは最新の子供向けプログラミング製品、Pixel Kitをようやく出荷した。可愛らしくコンパクトでカラフルなこの製品は、子供たちのイマジネーションを呼び起こすに違いない。

79.99ドルのこのデバイスは、ピクセル化されたアクリル製Etch A Sketchのようにも見えるが、子供にやさしいこのガジェットの神髄は、子供たちがテクノロジーに親しみエレクトロニクスにできることは何でも作れるということを学ぶところにある。

子供たちは部品を組み立て、同社の提供するソフトウェア群を通じてデバイスを制御することで、プログラミングの基本に慣れることができる。ピクセルアートを方法的に作っていくことで、Pixel Kitは子供たちにアートとテクノロジーの両方と同時に関りをもたせる。

Pixel KitはComputer KitやScreen Kitに続く、増え続けるKano製品の最新作だ。他のデバイスが150ドルだったのと比べてPixel Kitはコンセプトに興味をそそられた親たちが買いやすい価格に設定されている。

ロンドンを拠点とするKano Computingは、これらの直観的で賢いキットを作るために投資家から1500万ドルを調達したほか、2度のKickstarterキャンペーンで、それぞれ140万ドルと64万3000ドルを集めた。

昨年9月にスタートした最新のキャンペーンでは、Pixel Kit、Camera Kit、およびSpeaker Kitという3つの新製品を披露した。

昨年Kanoが発表した新製品の詳細はこちら

Pixel Kitは目標出荷日の2016年12月から数か月遅れてやってきたが、価格は支援者が払った金額よりも安く設定されている(プレッジは99ドル、目標小売価格は129.99ドルだった)。

現在Kanoは別のキットの開発に重点を移しており、Pixel Kitに続きSpeaker Kitも出荷予定だと支援者に通知している。Kickstarterキャンペーンのコメント欄を見る限り、その他のデバイスの出荷予定日は更新されていない。

Pixel Kitは79.99ドルでKanoのサイトから購入できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの育成事業FbStartのアプリコンテストでP2Pプログラミング教育のSoloLearnが優勝

Facebookが、今年の“FbStart Apps of the Year”賞を発表した。これはグローバルなスタートアップ育成事業FbStartでもっとも成功したアプリケーションを認定する賞で、今年の優勝作品はプログラミング入門のモバイルアプリSoloLearn(iOS/Android)だ。

SoloLearnのCEOで協同ファウンダーのDavit Kocharyanは、故国のアルメニアで人びとにプログラミングを教えるためにこのアプリを発想した。アメリカ、カリフォルニアに拠を構えた今も、チームの多くはアルメニアにいる。

このアプリはプログラミングを教えるためにゲームの仕組みや、ピアツーピアの共有、それにユーザー自身が作るコンテンツ、といったコンセプトを利用している。SoloLearnのユーザーコミュニティはお互いに勝負をしたり、隠れレッスンを探しだしたりする。無料の12のコースで、JavaScript, Swift, Python, C++, そしてHTML/CSSを学ぶ。

協同ファウンダーのYeva Hyusyanによると、SoloLearnのこれまでの成長には二つの段階があり、最初はピア学習者たちの“もっともフレンドリーな”コミュニティになったこと。知りたいことは数分以内に、Q&Aフォーラムで仲間から答をもらえる。またこれまでに集積した50万あまりの公開コードも、ピアツーピアの優れた教材になる。ゲーム的で対話的な競争/勝負…問題を解くゲーム的競争…は毎日何万件も行われている。

そして第二の段階は、ユーザー自身が大量のコンテンツを作り出すようになったことだ。

アプリのファンも増えて、今ではプロフィールを登録しているユーザーが500万あまり、小テストの回答提出件数は毎日150万、コンパイルされるコードは毎秒3件、質問への回答は毎日1000を超えている。ユーザーの40%はインド、25%がアメリカ、残りがヨーロッパだ。

FbStartに参加したのは、10万ドルの賞金で事業の拡大を目指したからだ。結局応募作品は87か国から900点を数えた。

SoloLearn以外の入賞作品は:

ヨーロッパ中東アフリカ地区: Mondly(iOS/Android) – “初めてのVRを利用する言語学習プラットホームで、音声認識やチャットボットの技術を利用”。

アジア太平洋地区: Maya(iOS/Android) – “無料の使いやすい生理モニタアプリ。関連症状の検出や、妊娠の検出、各種の健康関連リマインダー、専門医への相談、などの機能があり、190か国で計700万ダウンロードされている”。

ラテンアメリカ: ReservaTurno(iOS/Android) – “外出先から美容院などに予約できるモバイルアプリ”。

社会貢献: Golden(iOS/Android) – “とくに専門的なスキルのない人でも楽しく参加できるボランティア活動の機会を各ユーザーの地元に見つけるグローバルなプラットホーム”。

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人の動きを撮るだけでなく動きの意味(ボディーランゲージ)を理解するCMUの巨大ドーム型スキャナー

Panoptic Studioは、カーネギーメロン大学(CMU)の研究者たちが作ったボディースキャナーで、現実の状況の中でボディーランゲージを理解するために利用する。このスキャナーは、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の中でブラウン博士がマーティに、仲間殺しを防ぐために取り付ける物に似ていて、大きなドームの中で対話したり、お話したり、争ったりしている参加者を撮った何百ものビデオを作る。チームは、体の位置をプログラマーが理解するためのコードまでリリースした

このドームにはVGAカメラが480台、HDカメラが31台、Kinectのセンサーが10ある。それらは、ドームの中の参加者のワイヤフレームモデルを作る。なぜ? 彼らが考えていることを、コンピューターに教えるためだ。

准教授のYaser Sheikhはこう言う: “私たちは、声と同じぐらい、体の動きでコミュニケーションしている。いずれにしても、コンピューターはそのことを知らないけどね”。

下のビデオでは、あるグループが何かについて言い争っているところをスキャンした。コンピューターは手や頭のさまざまな位置と、言葉のコミュニケーションがあればそれも見て、二人が怒っているか、ハッピーであるか、議論しているのか、などを理解し始める。コンピューターに、何かを指さすなどのジェスチャーも理解させると、システムは話の対象…何について話をしているのか…も理解するようになる。

そうやってコンピューターがボディーランゲージを理解するようになると、自閉症や言語障害の人たちのしぐさを、リアルタイムで解読できるようになる。またこのシステムを団体戦のスポーツで使うと、各選手の気持ちや意思などを、彼らがいつどこにいたかも含めて、理解できるようになる。

プレスリリースより:

複数の人間をリアルタイムで追跡することには、とくにお互いがコンタクトしているようなソーシャルな状況では難問がいくつかある。単純に個人の姿勢を追うようなプログラムは、各個人がグループ内にいる状況では使えない。グループが大きいときには、とくにそうだ。Sheikhと彼の同僚たちは、ボトムアップのアプローチを採った。ひとつのシーンの中のすべてのボディーパーツをまずローカライズし(腕、足、顔、などなど)、次にそれらのパーツを特定の個人に結びつけるのだ。

 

このPanopticonはまだ、Super Bowlや、あなたのお近くのDenny’s(デニーズ)で使えるほど完成してはいないが、人びとの四肢やアクションの、さまざまな点雲に基づいて、彼らが今何をしているのかを当てることはできる。今あなたが、だれかをはたいたことも分かるのだ。

“この装置では、1回の撮影で各人の手の500のビューが得られる。また手の位置を自動的に注記する”、と研究者のHanbyul Jooは語る。“手はとても小さなオブジェクトだから注記は難しい。だから今はHDカメラを31しか使ってないが、しかしそれだけでも、大量のデータ集合が作られるのだ”。

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社員の能力開発が急務な知識経済の時代には教育のNetflixが必要だ

[筆者: Rob Harles, Karl Mehta]

・Rob HarlesはAccenture Interactiveのマネージングディレクター。

・Karl MehtaはEdCast, Inc.のファウンダーでCEO、Code For IndiaのCEOでもある。

毎日46億点の新しいコンテンツが生産されているのだから、私たちの知識への飢えはとっくに満たされている、と思えるかもしれないが、しかし情報の生産と流通は消費の機会や分布とパラレルではなく、それは情報をただそこへ置けば解決する問題でもない。

私たちは情報の中で溺れ死のうとしているが、しかし同時に、私たちの生産性を本当に高め、コラボレーションとイノベーションを促進してくれる知識には飢えている。

役に立つ知識が必要になると、私たちは広くWebを検索したり、口コミでエキスパートを見つけたり、設計のお粗末な会社の文書共有システムを探しまくったりする。どの方法も、効率が悪い。

必要な知識を見つけるための、もっと良い方法があるべきだ。そのような方法はユーザーのニーズに適応し、真の対話と強力な学習体験を通じて、継続的に知識の適切な推奨や提案ができるソリューションでなければならない。

エンターテイメント産業に倣って学習をもっと容易にする

NetflixSpotifyRedditのような、人力または自動化されたキュレーターのいるコンテンツアプリケーションが登場するまでは、視たい/聴きたい番組や音楽、ニュースなどのメディアを見つけるために、いくつものソースを訪ねる必要があった。しかし今では、自分が消費したいエンターテイメントやメディアを容易に発見でき、それらはユーザーの関心に基づいて個人化(パーソナライズ)されている。

多くの点で今のエンターテイメントサービスのやり方は、知識管理や学習開発のアプリケーションにも適した方式だ。

学習と知識の発達を支援する産業は、教育のアクセス性と適切性を高めるプラットホームであるべきだ。それは、知識の吸収と普及拡散が円滑にシームレスに行える場でなければならない。Netflixが、求めるエンターテイメントをすぐ届けてくれるように、私たちが必要とする知識と学習は、必要なところへ、必要なときに、簡単迅速に届くべきだ。

幸いにも、それを実現するテクノロジーが育ちつつある。人工知能(AI)と機械学習を利用するそれらのソリューションは、学習の過程とそのためのコンテンツを、集積、キュレート、そして個人化できる。

企業の成功は優れた学習文化を持つことにかかっている

“学習する能力と、学習を迅速にアクションに翻訳する能力は、企業に最強の競争力をもたらす”、GEの元CEO Jack Welchはそう言った。

データを見ると、Welchが正しいことが分かる。Institute of Corporate Productivity (I4CP)のCEO Kevin Oakesによると、業績の良い企業では、そうでない企業に比べて、社員たちが自分の獲得した知識を4倍多く同僚と共有している

重要なのは、雇用者が学習の文化を作ることだ。学習の文化(learning culture)とは、その中で知識がもっと自由に獲得され、吸収され、交換される社風だ。それを実現するためには、いくつかの障害を克服しなければならない:

  • 社内的には、いろんな物事のエキスパート(subject matter experts, SMEs)がいて、その人たちの心の中に知識がある。そんなエキスパートは、日頃の評判や担当業務から容易に見つけることができる。そして、そんな社内的エキスパートが持つ重要な知識を素早く明快に公開し、社内でその知識を必要とする者全員が共有できるための、場や方法が必要である。
  • 会社の外には、コンテンツが至るところにあるが、どのコンテンツが良質で、権威があり、適切であるか分からない場合がある。したがって、適切で有益な(そして安全な)外部コンテンツを集めて、社員たちがそれを消費できるための仕組みを作る必要がある。

これらの社内的および社外的なソリューションでとくに重要なのは、ただ単に学習のためのコンテンツを集めて、キュレートして、カスタマイズするだけのテクノロジーを採用するのではなく、それはまた、学習と共有のためのコンテンツを手早く作れるテクノロジーでなければならない。効率的な学習文化の構築のためには、それが重要だ。

これが知識のNetflixだ

AIを用いる新しいプラットホームは、知識労働者が必要とするコンテンツを、適切なタイミングで届ける。そういう理想的な学習と知識開発のためのソリューションは、とくに次の項目を重視する:

  • 集積: 適切な情報を一箇所に集めること。企業の学習管理システム(Learning Management System, LMS)やイントラネット、そして外部のリソースなどなどから。
  • キュレーション: AIと機械学習を利用して、そのときの状況に合った適切なコンテンツを適切なタイミングでチームにもたらすこと。
  • 個人化: 学習用コンテンツのリコメンデーションを、さまざまな要素の分析に基づいて、個人の特性やニーズに合った形で行うこと。
  • 創造: 多くの中小企業が持っている言葉にならない知識を、解放すること。そのための最良の方法は、社内にコンテンツライブラリを作ってコンテンツを迅速かつ便利に供給することだ。

次の10〜12年間で、人間の今の仕事の半分はなくなる、と言われている。だからこそ、学習の機会とその消化しやすい方法や仕組みを、すべての社員に提供することが、きわめて重要なのだ。

それはいわば、社内における知識の民主化だ。個々の学習機会が十分に個人化され、また社内的および社外的なコンテンツのアクセス性を増し、そして社員たちに成長のためのスキルと知識を与える取り組みを、強化しよう。それは、これまでの企業では、時間がない、人がいない、とかいって、おろそかにされていた分野だ。でも今や、どの企業でも、社員の能力開発は最重要の課題だ。

時間がなくても、人がいなくても、今ではAIと機械学習が助けてくれる。社員を入れ替えるのではなく、今いる社員の学習を前進させ、彼らの明日のキャリアパスを築いていける。

参考記事

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Earthが秘境探検ツアーとそれらのレッスンプランを加えて教育指向に大変身

4月にGoogleは、Google Earthの機能や画像を一新した。機能面では地図や衛星画像を使ってこの惑星を視覚化するにとどまらず、ユーザーが世界各地を探検して学ぶことができるようになった。そして今日(米国時間6/26)は、Google Earthの教材向け機能が新たに拡充された。

その新しい機能は総称的にVoyagerと呼ばれ、いろんな科学者や非営利団体、ストーリー作者、企業団体などによるガイド付きツアーを体験できる。それらのツアーは、一つまたは複数の地域を探検し、写真や360度ビデオ、Google Mapsのストリートビューなどを使ってお話を構成する。今日のローンチの時点で、BBC Earth, Jane Goodall, Sesame Street, NASAなどが作ったツアーが提供される。

今日のISTE(International Society for Technology in Education)のカンファレンスでGoogleは、近く教材を意識した新しいストーリーを10本提供する、と発表した。これらの制作パートナーは、National Geographic Society, PBS Education, HHMI Biointeractive, Mission Blueなどだ。

Googleによると、これらのストーリーを加えたGoogle Earthで、児童生徒たちは教室で世界探検ができる。たとえばコスタリカ沖の熱ドーム、19世紀初頭のルイスとクラークによる探検の追体験、などだ。またこれらのツアー本体にプラスして、教師のためのレッスンプランや課外活動のアイデアも提供している。

さらに、Google Earthは今週、Google for Educationのメニューに加わった。これによりITのアドミンがGoogle Adminのパネルから、プロダクトを管理できる。

Google Earth Voyagerと並んで今日は、STEM tools for ChromebooksDremel 3D40 3D PrinterlittleBits Code Kit)などの教材ツールも発表された。学校がこれらを一括割引で買えるほか、CardBoardやDaydreamのExpeditionsアプリのガイドは自分だよモードで、児童生徒や先生が600あまりの仮想旅行の中から選んで楽しめる。

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UdacityのナノディグリーにReactプログラミングが加わる、4か月で499ドルはお買い得

労働者/労働市場における慢性的なスキル・ギャップを解消したいと願うUdacityは、短く縮合したコースによって今日的な技能を短期間で習得し、生徒たちがより良い被雇用機会を得られるよう、努めている。同社のコース、通称“ナノディグリー(Nanodegrees)(微小学位)は、VR(仮想現実)やロボット工学、ディープラーニングなどの重要な技術的スキルとともに、非技術的なスキルも教えている。今日(米国時間6/20)Udacityは、その最新のコースReactプログラミングを立ち上げた。

ReactはWebアプリケーションのフロントエンドの制作に使われるJavaScriptライブラリで、このところ凄(すさ)まじく人気がある。AirbnbやNetflix、Facebookなどでも使われているから、テクノロジー企業で仕事をしたい人は、ぜひ身につけるべきスキルだ。

同社のナノディグリーの多くがそうであるように、Reactのコースもパートナーがいる。それはReact Trainingといって、企業を対象にネット上や実際の教室でReactライブラリの一から十までを教えているグループだ。

Reactへの関心は近年うなぎのぼりだ。このグラフはGoogle検索の検索語登場頻度。

所要時間4か月、一学期のみのこのコースは、三部構成で、各部でプロジェクトに取り組み、生徒は自分のGitHubアカウントを持つから、それを未来の雇用者に示せる。

学び方はReact Trainingのふつうのコースと同じで、Reactの基礎を頭に叩き込んでから、便利ツールReduxとReact Nativeを使ってReactプログラミングの実践を開始する。

受講料は499ドルだが、今の高等教育の時間単価よりずっと安いだろう。しかもこのお値段で生徒にはメンターが付く。専用フォーラムもあるし、Slackの専用チャネルも使える。Udacityの基本的な考え方は、生徒が自分にとって難しい箇所にぶつかったら、必ずエキスパートや同級生に助けてもらえる学習環境を確保することだ。言い換えると、絶対に挫折・落ちこぼれしないコースの維持だ。

UdacityとのパートナーシップはReact Training自身にとっても良い、と同社のTyler McGinnisは説明する: “Udacityには、コードをレビューしたり生徒にメンターを提供するリソースがある。うちは、たった3人だからね”。

しかしネットを利用する教育は、まだまだ、それをもっとも必要としている人たちの手から遠いところにある。そんな中でUdacityは、そのリーダーの多くが、状況を前へ進めるためには教育を単純にネット化するだけ(ネット上にプレゼンスがあるだけ)ではだめ、と自覚しているから、社会への貢献度が大きいだろう。

一般的大衆的普及を目指してUdacityのCEO Vish Makhijaniは、州や市町村の行政の理解と支援を仰ぎ、物理的なプレゼンスも構築している。たとえばネバダ州レノには、ネットでなく人力授業のための教室がある。

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ビジネスサービスこそがVRのキラーアプリだ

【編集部注】著者のChris Youngは、B2BソフトウェアのアーリーステージベンチャーファンドであるRevel Partnersの、マネージングジェネラルパートナーである。

仮想現実(VR)と拡張現実(AR)は、2016年に現実的な試練に晒された。膨大な投資と業界でのもてはやされ方にもかかわらず、予測されたVR/ARの大量採用は決して現実のものとはならなかった。しかし、その水面下では、地味で目立たない領域からではあるが、この技術の確実な動きが始まっていることがわかる。

B2Bとエンタープライズアプリケーションに於けるVR/ARの活動は、表面的には目立たずとも非常に活発な年だった。そしてその勢いは2017年も続いている。実際に、今やエンタープライズVRからのアプリケーション収益は、2020年までにはコンシューマーエンターテイメント収益を上回ると予測されている。しかも誇大宣伝は抜きで。

ゲームやエンターテイメントのためのVR/ARの早期の試みは、今だに初歩的な状況にあるままだ。Mark Zuckerbergでさえ、この技術が主流になるまでには、丸々10年はかかると見積もっている。不恰好で高価なハードウェアや、ヒット商品の欠如、そして消費者自身の関心の欠如などにその原因を求めることはできるが、業界による2025年までに7000億ドルの売上という予想は、少々野心的に思える。消費者向けのVR/ARが、いつか「やってくる」のはほぼ確実だが、一方業界の規模がどれ位のものになるのか、いつどのように成長が始まるのかは重要な疑問として残されたままだ。

調査会社のTracticaによれば、VR/ARの企業支出は、ハードウェア関連の収益を除いても、2020年までに消費者たちがVR/ARエンターテイメントに対して行う支出よりも約35%大きくなると予想されている。Tech Pro Researchによれば、彼らの調査に回答した企業のうち67%が現在ARの利用を検討しており、47%がVRをの利用を検討している。デジタルトランスフォーメーションは、VRハードウェアのコストの低下と共に、注目度が上がっている。関連するソフトウェア、システム、ツールの進歩との組み合わせと、企業による採用が、業界のための最も現実的な発射装置として成長しつつある。

2017年には、VR/ARのユースケースが、イノベーター、起業家、スタートアップたちが取り組むさまざまなビジネス分野で拡大し続けている。ヘルスケア、教育、CPG/FMCG(Consumer packaged goods / Fast-moving consumer goods:トイレットペーパーや洗剤のように安価かつ短いライフサイクルで大量に消費者に売られる商品のこと)、テレコム、広告、不動産などはすべて、VRもしくは強化現実(enhanced reality)から恩恵を受け始めている。何百もの3Dビジュアライゼーションと拡張のための、クリエイティブなアプリケーションたちが登場している。

スマートな起業家たちと開発者たちは、早期成功の鍵となる要素を特定し、その教訓を、B2Bに焦点を当てた消費者関連産業に応用するだろう。

マーケティングおよび広告セグメントには、VRスタジオ、アプリケーション開発者、流通ネットワークがひしめいている。多くの場合、彼らは広告代理店やブランドを支援して、販売やマーケティングのための没入型ブランド体験を提供している。たとえば、Outlyer Technologiesは、360度のモバイル広告フォーマットを使用して、ユーザーの関心を引きつけようとしている。最近のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)では、メトロアトランタ商工会議所が、Foundry 45の技術を利用してアトランタの仮想体験を提供し、求職者の候補を募った。特に、アトランタではVR/AR企業が急増しており、数年前には1ダース程だった企業数が現在では50程になっている。

これらのタイプのユースケースが急成長しているのは、マーケティングと広告分野だけに限らない。製造業では、WorldVizが、その企業向けのVizardとVizmove VRアプリケーションスイートを使い、ビジュアライゼーションとテスティングのリーダーとなっていて、P&G、Philips、3M、Perkins & Willなどの多くの企業で採用されている。オープンソースで拡張可能なライブラリにより、大企業や中小企業は、現実世界のシナリオで、新製品を迅速に設計、操作、そしてテストすることができる。

教育での利用は — それが従業員訓練でも、初等教育でも、そして先進的研究だとしても — 大量のデータを視覚化したり、遠隔地で学生の教育を行なうことのできるVRの能力から恩恵を受けている。GoogleのProject Expeditionは、仮想的な探検と、没入型世界旅行を教室にもたらす。アイスランドのSólfarStudiosは最近、エベレストVRプロジェクトを英国王立地理学会に寄付したAlchemy VRUnimersiv、そしてCuriscopeなどは、没入型で経験型のカリキュラム、ツール、トレーニングで急速に教育の世界を変えつつある。

ヘルスケアのVRは、患者のケア、遠隔医療、リハビリ、そしてトレーニングにまで及んでいる。実際、2016年はVRカメラを使用した手術が行われた最初の年として記憶された。医学生たち(および一般の人びと)は、Mativisionの手術視覚化アプリケーションでVRを使用する医師と共に、手術の現場に立ち会うことができた。VisitUは、ヘッドセットと家庭内の360度カメラを通して、病院の子供たちを自分の部屋につなぐことができる。The Virtual Reality Medical Centerは、恐怖症や他の慢性的なメンタルヘルスの問題を持つ患者を支援するために、サイバー心理学の中で急速に成長している医療実践の1つだ。

業界全体では、7000億ドルもの規模に達するだろうと予測する専門家もいる。こうしたエンタープライズ分野におけるイノベーションを促進する新規用途の例は、この技術の意義ある収益への明確な道筋を示している。確かに、この分野は消費者向けの分野で、発達し発展を続けるだろうが、今や企業とB2Bのケースが急速に成長している。スマートな起業家たちと開発者たちは、早期成功の鍵となる要素を特定し、その教訓を、B2Bに焦点を当てた消費者関連産業に応用するだろう。そここそが、このテクノロジーがその基盤を見出し、大量採用への扉を開く場所なのだ。

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(翻訳:Sako)

再教育こそが新しい人材獲得戦略――テック企業に学ぶ社内教育のメリット

【編集部注】執筆者のPercia SafarはWorkRampのファウンダー。

アメリカ中の企業が、新たなデジタルディスラプションの波に身構えている。昨年だけでも、Amazonは販売スタッフのいないスーパーを立ち上げ、マクドナルドは全てのレジをセルフサービス式のキオスクに置き換えることを決め、さらにCaterpillerは自動運転トラクターの開発に向けて投資を始めた。

AIや機械学習、自動化技術といった新時代を担うテクノロジーを活用して、テック企業が上記のような変化を推し進めるかたわら、これらの先進的なテクノロジーの登場によってこれまでにないほどの数の仕事が失われようとしている。

世界経済会議は、2020年までに製造業やカスタマーサービス関連の業務を中心に500万件もの仕事がなくなると予測している。その一方で、技術的なスキルを持つ人材の需要は満たされることなく増え続けている。特にコーディングのスキルを要する仕事の数は、市場全体と比較しても1.5倍の速さで増加中だ。

より多くの業界で電子化が進み、テクニカルな人材に対する需要が膨れ上がる中、その状況は悪化の一途を辿っている。例えばAT&Tは、28万人もの社員のクラウドコンピューティングやモバイルに関連したスキルを向上させようとしている。もはや彼らはSprintやVerizonだけでなく、GoogleやAmazonとも競合関係にあるのだ。

この状況を受けて、テック業界では既存社員の再教育という新たな施策を打ち出す企業が出始めた。もちろん、コンピューターサイエンスの授業や職業訓練校への投資も長期的にはとても価値があることだが、直近の問題を解決する上で再教育には一定の効果がある。イノベーションの最前線に立つためには、技術だけでなく人材に関してもシリコンバレーのやり方を採用するのが得策と言えそうだ。

求人票を再教育で代替する

これまで企業は、給与や福利厚生を充実させることでテクノロジー人材をひきつけようとしてきた。彼らがテクニカルな職種の給与を吊り上げるあまり、今では給与水準が上位25%の求人の約半数でコーディングスキルが求められているほどだ。そのため、待遇を良くすることでテクノロジー人材を獲得しようとしている企業も、なかなか空いたポジションを埋められないでいる。技術的なスキルを持つ管理職にいたっては、誰かを雇用するまでに平均で100日以上もかかると言われている。

そこで、人材獲得にさらに大金をつぎ込む代わりに、求める人材を自分たちで生み出すための新たな施策を打ち出す企業が誕生し始めた。Boxでセールスエンジニアリング担当VPを務めるMatt Nortonは、ソリューションエンジニアを探す上で1番良い場所は、一般的な人材市場ではなくBoxのカスタマーサポート部門だということに気づいた。

「カスタマーサポートのスタッフをエンジニアとして再教育したことで、空いたポジションをより速く埋められただけでなく、カスタマーサービス部門ですばらしい仕事をしてくれていた社員が持つ、組織やプロダクトに関する知識の流出を防ぐことができました」とNortonは説明する。社内のスタッフが空いたポジションを埋められるようになったことで、他のチームも採用上の問題を軽減でき、これまでよりもスピーディーに人員の増強ができるようになったとNortonは考えている。

他にも、これまで存在しなかったスキルを育むために、新しい教育プログラムを開発した企業が存在する。例えば、Flexportは先進的なソフトウェアで物流業界を変えようと決めたとき、同社の複雑なテクノロジーと何十億ドルという市場規模を誇る物流業の両方をよく知る人材を見つけなければいけなかった。

Flexportの共同ファウンダーでCEOを務めるRyan Petersonは「単に人材市場で条件に合う人を見つけようというわけにはいきませんでした。両方の知識を持ちあわせた人など当時いませんでしたからね」と説明する。

彼らは古風な考えの残る業界を変えようとしただけでなく、従来の社員教育の在り方まで変えようとしたのだ。そのため、Flexportの設立から間もない頃のPetersonは、社員が技術的なスキルを学びつつ運輸業のプロにもなれるような教育方法の開発に多くの時間を費やしていた。

「このハイブリッドなスキルを社員が身に付けてくれたからこそ、私たちは10〜15倍も成長することができたのです」と彼は話す。各業界のトップ企業も技術的な変化の波を乗り越えるために、Flexportのように機知に富んだトレーニング方法を開発すべきだ。

さらに社員の教育やスキルアップに力を入れることで、企業は採用活動時に他社と差別化を図ることができる。エドテックスタートアップのGuild Educationは、Chipotleのような企業をターゲットに社員向けの教育プログラムを統合し、福利厚生の一環としてトレーニングを提供するための手助けを行っている。

「企業が人材の獲得・引き留めに注力する今、新しいスキルを学んだり、キャリアを前進させたりできるような場を社員に与えるのが、何よりも競争力のある福利厚生なのです」とGuild Education共同ファウンダーのBrittany Stichは説明する。彼女は今後教育プログラムが福利厚生の一部として、健康保険や確定拠出年金(401k)と同じくらい一般的になると考えている。というのも、30歳未満のアメリカ人の61%が、キャリアのある地点で新しいスキルを身につけなくてなくてはいけなくなると考えているのだ。

人材市場にいないような人をゼロから育てるにしろ、既存の社員に新たなキャリア上のチャンスを与えるにしろ、さまざまな種類の企業が社員の再教育を人員増強のためのツールとして利用し始めている。

21世紀の新しい労働力

医療業界で言えば患者が病院を訪れる必要がなくなり、小売業界で言えば実店舗の存在意義が薄れるなど、シリコンバレーの企業が仕事の消失の一端を担っているのは間違いないが、同時に彼らはデジタル経済で求められる人材を育てるための新しい教育方法をつくりだそうとしている。他の業界の人たちもすぐに気付くことになるだろうが、新しい時代を生き抜くためには最先端のテクノロジーを開発して、ディスラプティブなビジネスモデルを考案するだけではなく、社員教育や人事制度にも力を入れていかなければならないのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter