子ども向けオンライン英会話のハグカムが旺文社らから資金調達、ジャンル広げ“ライブ学習基盤”目指す

ハグカム代表取締役の道村弥生氏と投資家陣。写真中央が道村氏。

子ども向けのオンライン英会話サービス「GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)」を展開するハグカムは10月29日、旺文社ベンチャーズとポーラ・オルビスホールディングスを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

具体的な調達額については非公表だが、関係者の話では数千万円規模とのこと。同社にとっては2015年10月にオプトベンチャーズ、ICJ、ディー・エヌ・エーから約6000万円を調達して以来の資金調達となった。

なお今回ハグカムでは旺文社と業務提携も締結。調達した資金や旺文社のノウハウ、コンテンツなども活用してGLOBAL CROWNのアップデートを進めるほか、英語以外のジャンル展開にも着手する計画だ。

先行するSkype英会話の課題点を解決

GLOBAL CROWNは主に3〜12歳の子どもを対象にしたオンライン英会話スクールだ。自宅から専用のアプリを使ってマンツーマンで英会話を学べる環境を構築。日本語も話せるバイリンガルの講師が生徒のレベルに合わせながらイラストやワードカードといった独自の教材を活用し、1回20分間の英会話レッスンを提供する。

サービスの正式リリースは2015年の11月。その頃にはいわゆる“Skype英会話”サービスが複数世に出ていたので、決して目新しい仕組みというわけではなかった。ただハグカム代表取締役の道村弥生氏は小さな子どもを持つお母さん世代にヒアリングを重ねた結果、既存のサービスでは満たせないニーズがあることに気づく。

「オンライン英会話サービスの存在は知っていても“フィリピン人の先生によるSkype英会話”をイメージしている人が多かった。話を聞いてみると『自分が英語を話せないのでフィリピン人の先生だとハードルが高い』という声や、『そもそもSkypeって何?』という質問が出てきて。ママたちでも使いやすい設計や、(日本語も話せる)バイリンガルの先生のレッスンにはニーズがあると考えた」(道村氏)

もともと道村氏はサイバーエージェントの出身。同社にてマネジメント職や人事職を経験してきた。仕事柄、学生を含む若い世代と接する機会が多かったという道村氏。若くしてやる気やチャレンジ精神が旺盛な人材の原体験を聞いてみると、幼少期にどのような体験をしているかが大きく影響しているとわかったそうだ。

自身の幼少期を振り返っても同じような経験があったため、子どもに良い学習の機会を与えられるような事業での起業を決意。当初はシーエー・モバイルの子会社としてスタートし、スピンアウトのような形で2015年9月にハグカムとして独立している。

最初に英語を選んだのは「ママさんたちに『何に時間とお金をかけているか』を尋ねたところ、習い事にお金をかけていて、特に10人いたら9人が英語という答えが返ってきた」(道村氏)から。既存の英会話教室などの場合は週に1回のグループレッスンなどが多く、頻度や内容を柔軟にカスタマイズすることも難しいため、スキルアップをあまり実感できないという課題があがったという。

一方でマンツーマンのオンライン英会話サービスは上述した「日本語が話せない講師、Skypeという不慣れなツール」というイメージが影響し、そこまで浸透してはいなかった。

そこに可能性を見出して開発したのがGLOBAL CROWNだったというわけだ。

高単価と高継続率を実現するための仕組みを作る

正式リリースから約3年、道村氏はユーザーの特徴として「平均単価が1.3万円と、他サービスに比べて高額であること」「利用開始から半年後の継続率が80~85%であること」をあげる。

「高単価と高継続率には当初から重要視していた。ただ安いから選ばれるというのではなく、品質が良いことを理由に使ってもらえるサービスにしたかったので、ママさんと子どもにとっての“品質”に徹底的にこだわった」(道村氏)

ヒアリングをした結果、ターゲット層の中にはSkypeを使いこなせない人が多いだけでなく、そもそも自宅ではPCを開くことすら珍しいこともわかった。そこでスタート時からSkypeを活用せず自社でビデオチャット機能も内包したアプリを開発。スマホやタブレットからアプリを開くだけでレッスンを受けられる仕組みにこだわった。

講師は日本語にも対応できるバイリンガルの人材を採用。6割以上が学生だというが、カリキュラムや事前のレクチャーの体制、講師用のシステムなどを細かく作り込むことでレッスンの質を担保してきたという。

実際に講師側の管理画面と生徒側のアプリをどちらも見せてもらったのだけど、講師側のシステムに関しては今までのレッスンで使ったカードや記録が蓄積され、生徒のレベルに応じて必要な教材をすぐに開ける仕様になっている。Skypeを立ち上げる必要もないし、「レッスン開始」ボタンを押すだけですぐに対象の生徒のレッスンが始まるのでわかりやすい。

講師側の画面

またレッスンの時間になっても先生がログインしてないと、運営側がすぐに気づける仕組みも実装。「子どもは10秒とか20秒でも先生が来ないと不安になる」(道村氏)ため、そういった場合は運営側がすぐに先生に連絡をとってサポートする体制を作っているそうだ。

レッスンは週1回コースが月額9800円、頻度によって料金が変わり毎日コースの場合は1万9800円(単発で試せるチケットの場合は1回2300円から)。オンライン英会話にしては高単価の部類に入るが、ユーザーの継続率は高い。

これについては、道村氏によるとレッスンスケジュールを固定制にしている点も大きいそう。GLOBAL CROWNでは「何曜日の何時から」と事前にレッスンの日時を決め、1ヶ月先まで講師の日程を確保する。決められた時間にアプリを開けば講師が待ってくれているため、ほとんどの生徒がレッスンを習慣化することにも繋がるという。

「チケット制で毎回自分たちで予約する設計にすると、やらないポイントができてしまう。初期のヒアリングやモニタリングの結果を見ても毎回固定の日時でレッスンを受ける人が多かったので、この仕組みを採用している」(道村氏)

現在GLOBAL CROWNを使っているユーザーの75%は、オフラインの英会話教室や英語教材など何かしらのサービスを使っていて、乗り換えてきた人達。共働きのお母さんが多く、ここまで紹介してきた特徴に加えて「オフラインの教室とは違い送り迎えの必要性がない」ことも価値になっているようだ。

教材やカリキュラムも、1回20分のオンラインレッスンに合わせて自社で開発している

ジャンルを広げ、子ども向けのライブ学習プラットフォームへ

道村氏いわく、これまではシステム面の構築にかなりのリソースを費やしてきたそう。生徒側のマーケティングなどには十分な資金をかけられない部分もあったが、3年間で基盤は整ってきたという。

そんな状況下で今回久々の資金調達を実施。調達した資金を用いて今後は「ライブ学習」と「レコメンドエンジン」という2つの軸でサービスの強化を進める。

ライブ学習に関してはこれまで培ってきたナレッジや講師のネットワークを活用。サービスの機能を拡張するとともに、新たなジャンルの開拓にも取り組む。まずは英語の領域で4技能(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)全てに対応したレッスンを開発するほか、算数や国語といった基礎科目、さらには他のジャンルにも拡大していく構想があるようだ。

本格的な多ジャンル展開については来年以降になるようだけれど、一例としてプログラミングやダンスのほか、片付けのやり方やお金の使い方、マナーといった学校では習わない領域も検討しているという。

このあたりは今回業務提携を締結した旺文社とのシナジーが見込める分野。すでに英検の教材に関してコンテンツ提供を受けているそうだが、旺文社の書籍とGLOBAL CROWNをセットにしたレッスンなどが考えられるだろう(なおハグカムは旺文社ベンチャーズの投資案件第1号になる)。

また生徒と講師、生徒とレッスンのマッチングを最適化するためのレコメンドエンジンの開発にも力を入れる。

GLOBAL CROWNでは初期から自社アプリにこだわってきたからこそ、録画したレッスン動画を始め先生と生徒双方のレッスン記録や評価といったデータが蓄積されている。これらを解析すれば、各生徒に合った先生をマッチングしたり、本人に向いていそうなレッスンをレコメンドすることもできそうだ。

「(ジャンルの幅が広がりレコメンドの質も上がれば)今以上に子ども達が飽きることなく、かつ興味の幅が広がっていくような仕組みが作れる。オンラインで扉を開ければ自分が学びたいと思ったことが学べ、子どもの好奇心がずっと刺激されるようなプラットフォームを目指したい」(道村氏)

“高級輸入車も売れる”C2Cの中古車マーケット「Ancar」が4億円を調達、カギは整備工場とのネットワーク

中古車を個人間で売買できるマーケットプレイス「Ancar」。同サービスを展開するAncarは10月29日、ベクトル、AGキャピタル、クロスベンチャーズ、個人投資家らを引受先とした第三者割当増資により総額4億円を調達したことを明らかにした。

同社にとっては2016年10月に日本ベンチャーキャピタルやニッセイ・キャピタルから約2億円を調達して以来、約2年ぶりの資金調達となる。今回調達した資金を基に新機能開発や人材採用、マーケティングを強化していく方針。具体的には購入ユーザー向けのローンやリース機能の追加、クレジット決済機能の導入などを進めるという。

近年メルカリを筆頭に、オンライン上にて個人間でモノや情報を売り買いできるC2Cマーケットプレイスが増えてきた。Ancarはその中古車特化版のサービスと言えるだろう。

一般的な中古車売買の構造では、売り手と買い手の間に買取業者やオークション業者、販売店など複数のプレイヤーが介在する。そのため中間コストが余分にかかり、売り手の売却額と買い手の購入額の間に大きな開きが出ていた。

Ancarの場合は買い手と売り手を直接マッチングするため、中間業者に支払う手数料を削減できるほか、消費税も非課税。結果的に従来の仕組みに比べると売り手は高く売りやすく、買い手は安く買いやすい。売買が成約した際にのみ双方から5%ずつ、合計10%のシステム利用料がAncarに支払われるモデルだ。(任意のオプション代のほか、輸送料や名義変更などの諸費用は別途買い手が負担)。

とはいえ、このような特徴は何もAncarに限った話ではなく、C2Cのサービス全般に言えること。それこそメルカリ上でも中古車の個人間売買はされているし、GMOカーズの「クルモ」や中古車の買取・販売大手のIDOM(ガリバー)が展開する「ガリバーフリマ」など特化型のフリマサービスも存在する。

中間コストや消費税をカットできるのはAncarの特徴のひとつではあるものの、それ以上に同サービスのウリと言えるのが購入前後のサポートだ。

「(扱っている商材が)車という特性上、高額であると同時に命に関わるものでもある。だからこそ売買のハードルを下げながらも、安全性や信頼性の担保も必要。ユーザーにとって安心できる場所じゃないと、高単価の車種を売買するのは難しい」(Ancar代表取締役の城一紘氏)

Ancarでは初期から売買のハードルとなる手続き面のサポートや、安全性を担保するための情報開示を行ってきた。

売り手ユーザーは車の写真を撮影し基本情報を入れればすぐに出品できる反面、買い手が購入前に整備工場へ無料で点検依頼できる機能も実装。気になった車の状態を第三者のプロに診断してもらえる仕組みを整えた。また車の輸送はもちろん、Ancarでは名義変更や車庫証明もサポートする。

中古車の売買に特化したC2Cサービスではいくつか近しいサポートを行っているものはあるが、事前点検から一連の工程をまるっとカバーしているのは珍しい。この仕組みを実現する上で不可欠な要素が、全国にある自動車整備工場とのネットワークだ。

Ancarでは2016年に整備工場の検索サービス「Repea(リペア)」をリリース。全国約1000店舗の整備工場と提携することで、ユーザーが車を取引する際のサポートはもちろん、アフターケアも充実させることができている。

結果的にAncarで売買される中古車の平均成約単価は約250万円と高く、城氏も「高級輸入車が多いのはひとつの特徴」と話す。

もちろん良い仕組みが整っていても肝心のユーザーが集まらなければビジネスとしては成立しないため、Ancarでは前回の調達以降、売り手ユーザーの集客や出品体験の改善に注力。1年前と比べて売却価格の査定件数や出品台数も約20倍に増え「暗闇の中で試行錯誤を続けてきた結果、出品量の確保については目処が立ち始めてきた」(城氏)という。

そんな状況下での今回の資金調達。集めた資金は出品者集めを加速させるためのマーケティング強化に加え、購入者側の体験改善に向けた新機能開発やそれに関わる人材採用に用いる計画だ。

たとえば購入者に対しては現在の現金振込のみの決済方法だけでなく、ローンの提供やクレジット決済の対応を早ければ2018年内に開始する予定。Repeaに登録されている整備工場とユーザーをAIでマッチングする機能などを導入していく計画もあり、サービス間の連携を強化して購入後のケアを受けやすい仕組みを整える。

また車を保有するにあたってのハードルと言える保管場所の問題や、保有コスト、次の買主が決まるまでの駐車場問題に関しても、それらを解決するサービスを新たに始める方針だ。

「Ancarというサービスだけではこの仕組みは成り立たない。Repeaと両方がうまく回ってこそ、ユーザーにとって安心でき、価値のあるサービスになる。そういった意味では単に中古車の売買を効率化したいわけではなく、買った後のメンテナンスや困りごとの解決など、ユーザーのカーライフをトータルでサポートしていきたい」(城氏)

IBM-Red Hatの340億ドルはソフトウェア買収史上最高額

従来それは半導体会社や通信、医薬品の巨人に使われる金額だった。本日(米国時間10/28)IBMは、エンタープライズ向けオープンソフトウェア会社のRed Hatを340億ドルで買収すると発表した。これはMicrosoftがLinkdInを買収した262億ドルを上回る最大のソフトウェア買収だ。ただし、IT分野最大の買収ではない。その称号は DellによるEMCストレージ事業670億ドルの買収に与えられている。

IBMがRed Hatを買収してハイブリッドクラウド企業を目指していることについての詳細は、 TechCrunch編集者のIngrid Lundenが書いているので参照されたい

ではこのIBM-Red Hat案件(成立した場合)はこれまでの巨大買収と比べてどう位置づけられるだろうか?

IT買収トップ5

  1. 670億ドル——パソコンメーカーDellがEMCのデータストレージ事業を買収
  2. 370億ドル——半導体会社Avago Technologiesが半導体巨人Broadcomを買収および社名変更
  3. 340億ドル(交渉中)——IBMがオープンソフトウェアメーカーRed Hatを買収
  4. 314億ドル——日本の複合企業SoftBankが半導体企業ARM Holdingsを買収
  5. 262億ドル——ソフトウェア会社Microsofがプロフェッショナル向けソーシャルネットワークのLinkedInを2016年に買収

ソフトウェア買収トップ5

  1. 340億ドル(交渉中)——IBMがオープンソフトウェアメーカーRed Hatを買収
  2. 262億ドル——ソフトウェア会社Microsofがプロフェッショナル向けソーシャルネットワークLinkedInを2016年に買収
  3. 220億ドル——ソーシャルネットワークFacebookがメッセージングアプリWhatsAppを2014年に買収
  4. 135億ドル——セキュリティーソフトウェアメーカSymantecがストレージ管理ソフトウェアメーカーVeritasを2004年に買収(180億ドルをインフレ調整)
  5. 110億ドル——データベース会社Oracleが人事ソフトウェア会社PeopleSoftを2004年に買収(147億ドルをインフレ調整)

企業買収ベスト5

  1. 2020億ドル——英国通信会社Vodafoneがドイツ通信会社Mannesmannを2000年に買収(2960億ドルをインフレ調整)
  2. 1650億ドル——インターネットプロバイダーAOLがメディア複合企業Time Warnerを2000年に買収(2410億ドルをインフレ調整)
  3. 1118億ドル——医薬品巨人Pfizerが医薬品会社Warner Lambertを1999年に買収(1640億ドルをインフレ調整)
  4. 1300億ドル——通信会社Verizon CommunicationsがVodafoneおよびBell AtlanticのVerizon Wirelessを2013年に買収
  5. 1300億ドル——Dow Chemicalが化学会社DuPontを2015年に買収

このRed Hat買収はソフトウェアのスケーラビリティーが極端な富の集中化を可能にすることの証だ。従来の業界巨人たちが、石油、化学、完成商品の供給、流通を受け持つ物理リソース・プロバイダーらと富を分け合っていたのに対して、ソフトウェアは生産と流通にほとんど材料費がかからない。ソフトウェア巨人への価値の集中は、世界を変えるビジネスを作る大きな動機づけになると同時に、労働階級から資産を奪う危険を伴っている。Red Hatの成果を祝福するのは簡単だが、必然的に社会は、ソフトウェアが富を少数へと集中させることで加速される貧困とポピュリズム取り組まなくてはならない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IBM、Red Hatを340億ドルで買収へ――ビッグ・ブルー、ハイブリッドクラウドに向けて大きく前進

噂が乱れ飛んでいたこの件だが、今日(米国時間10/28)、 IBMはオープンソースのクラウドソフトウェア企業Red Hatを買収することを確認した。1株190ドルのキャッシュによる買収の総額は340億ドルになる。IBMは「買収はIBM、Red Hat双方の取締役会の承認を受けたが、今後Red Hatの株主と規制当局の承認を受ける必要がある」と述べている。計画どおりに実施されるなら、2019年の下半期には買収が完了するものとみられる。

この買収はこれまで長らくレガシーなサーバービジネスに依存してきたIBMがクラウドに大きく賭けたことを意味する。詳しくいえば、オンプレミスとクラウドをミックスしたハイブリッド・アーキテクチャによるクラウド事業だ。両者はすでに今年5月に協力関係に入ってこの方向を(今から考えれば)テストしていたようだ。 Red HatはIBMのHybrid Cloudチーム(IBMによれば190億ドルの大ビジネスとなっている)の中で重要な地位を占めることになる。また今後もオープンソース・ソフトウェアの開発に集中していくことになるだろう。

IBMの会長、社長、CEOを兼ねるジニ・ロメッティは声明で「Red Hatの買収はゲームチェンジャーだ。これでクラウド・ビジネスのすべてが変わる。IBMは世界でナンバーワンのハイブリッド・クラウドのプロバイダーとなるだろう。多くの企業にビジネスのすべての可能性を解き放つクラウド・ソリューションを提供できる唯一のプロパイダーとなる」と述べた。

IBMとRed Hatの統合により、総合的なクラウド・マネージメントだけでなく、Linux、コンテナ、Kubernetes、マルチ・クラウド・マネージメント、オートメーションなどあらゆる分野にソリューションを提供できるとIBMは述べている。また統合された両者は他の有力なクラウド提供ビジネス、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、 Alibabaなどとも提携関係を強化していくと付け加えた。

TechCrunchのJosh Constine記者がこの記事で指摘しているとおり、340億ドルというのはテクノロジー関連の買収として最大級のものだ。ソフトウェアに限っていえば、おそらナンバーワンの規模だろう(DellはEMCを670億ドルで買収したが、これにはソフトウェアだけでなくかなりのハードウェアとストレージ・ビジネスが含まれていた)。

Amazonはクラウドに100%集中しているものの、多くの大企業は、クラウドへの移行を段階的に進めている。IBMによれば、業務の80%は「依然としてクラウド化されていない。これは現在のクラウドがそれぞれ異なる独自のソリューションであることによる」としている。Red Hatの買収はIBMがこの80%の領域に進出することを助けるという。

ロメッティCEOは「大半の企業ではコンピューティング能力をレンタルしてコストを削減できるクラウド化はまだ20%しか進んでいない。そこで残る80%の業務をクラウド化し、ビジネスの価値と成長の可能性を最大限に活かすことが次の課題となる。これがクラウド化の来るべき章だ。これにはビジネス・アプリケーションをハイブリッド・クラウド化していくことが欠かせない。これによりサプライチェーンからセールスまでビジネスのあらゆる側面からさらに柔軟にデータを抽出、処理することが可能になる」という。

またこれに加えてIBMはRed Hatが築いてきた成果を手に入れたことにより、オープンソース・ソフトの分野でこれまでよりはるかに強力な足場を得た。【略】

IBMではRed Hatの売上、荒利益、フリーキャッシュフローなどの数値を買収手続き完了後12ヶ月以内にIBM本体の統計に加えると述べている。

画像:Craig Warga/Bloomberg / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

メルカリが目指すべき道は?TC Tokyo 2018初日に取締役社長兼COO小泉氏の登壇が決定

merucari0111月15日(木)と16日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。既報のとおり、メルカリ取締役社長兼COOを務め、国内事業を率いる小泉文明氏の登壇が決定している。

TV CMなどでもおなじみのフリマアプリ・サービスで業界に革命を起こしたメルカリ。ここ数年、国内のスタートアップシーンを牽引し続けてきたが、2018年は同社にとってさらに飛躍する年となった。6月19日に東証マザーズ市場に上場。上場初日の株式市場はメルカリを1株あたり5300円と評価した。同価格で算出した時価総額は約7172億円となる。

メルカリの直近の動きとしては、10月18日に車×コミュニティアプリCARTUNE」を運営するマイケルを、簡易株式交換により子会社化

また小泉氏は10月17日に、クラウドファンディングサービス「Readyfor」を展開するREADYFORへ個人として出資している。

READYFORの経営陣および投資家陣。前列中央が代表取締役CEOの米良はるか氏

小泉氏に登壇してもらうのは、TechCrunch Tokyo 2018の初日にあたる11月15日。メルカリ上場までのストーリーや国内戦略、今後注力していく事業・サービスなどについて話を聞く予定だ。

TechCrunch Tokyo 2018では現在、一般来場者向けの「前売りチケット」(3万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)、創業3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)を販売中だ。前売りチケットは10月31日まで、スタートアップデモブース券は先着順で売り切れ次第販売終了となる。

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Cryptoeconomics Lab提案のPlasma Chamberは、DAppsの性能、コスト、検証の課題を解決するか

ブロックチェーン技術に関心を持つ人々の間で、スケーリング(性能向上)は特別な話題だ。福岡のスタートアップ企業であるCryptoeconomics Labが開発を進める「Plasma Chamber」は、この分野でも特に先端的な取り組みといえる(発表資料)。短く説明すると、Plasma ChamberとはDApps(ブロックチェーン上の分散アプリケーション)を、高性能、低コスト、高セキュリティ、非中央集権で開発、実行するフレームワークだ。Cryptoeconomics Lab CTOの落合渉悟氏の「未来は非中央集権の方向にある」との信念から生まれたプロダクトである。

Plasma Chamberは、オープンソースソフトウェアとして公開しており(GitHub)、現在α版リリースに向けて開発を進めている段階だ。汎用の開発フレームワークであり、例えば「DEX(分散型取引所)やゲームのプラットフォームに向いている」と同社は説明する。ただし、デジタル資産をブロックチェーン上で交換するサービスを日本向けにリリースすると日本の仮想通貨規制に抵触するリスクがあることから、同社が自社サービスを作る予定は当面はない。

同社はすでにPlasma技術のマネタイズを進めている。海外からのPlasma開発関連の受託が多いそうだ。Plasma Chamberは、そのような同社のPlasmaベースの開発経験から生まれたアイデアの1つだ。Plasmaに取り組むプレイヤーは同社だけではない。タイに本拠地を置くOmise(関連記事)はPlasma技術を活用したサービスを開発中である。またGunosyとAnyPayが設立したLayerX(関連記事)もPlasmaへの取り組みを進めている。

Ethereumの混雑とDAppsの安全性という2大課題を解決

Ethereum(イーサリアム)は、特定の統治主体を持たないパブリックブロックチェーンに汎用プログラム実行環境を搭載する「ワールドコンピュータ」のアイデアを実現したものだ。今ではBitcoinに次ぐ人気を持つブロックチェーンとなっている。Ethereum上のアプリケーションを、スマートコントラクトと呼んだりDAppsと呼んだりする。

Plasma Chamberは、このEthereumが抱える課題を解決するべく登場した取り組みだ。解くべき課題は大きく2つに分類できる。1番目の大きな課題は処理性能と実行コスト。2番目の大きな課題はDAppsの安全性と検証だ。

DAppsの開発は活発で、例えばERC721 NFT(非代替トークン)を用いた「猫あつめ」ゲームCryptoKittiesは大きな話題になった。EthereumのDAppsの種類は2018年10月現在で2000種類を越える(State of the DAPPS による。なおグラフの数字はDApps全体の統計だが、現時点で96%がEthereum上のDAppsである)。

DApps数の推移

ところがEthereumブロックチェーン上でICO(Initial Coin Offering)やゲームが盛んになった結果として、2017年末頃からEthereumは慢性的に混雑するようになった(グラフは、過去2年の1日あたりトランザクション数の推移を示している)。EthereumのDAppsの運営会社は、混雑とその結果として引き起こされた手数料高騰に悩まされている。Ethereumメインチェーンではなく、Ethereumの技術で独自に立ち上げた専用ブロックチェーンでサービスを展開する企業も出てきた。今やスケーリング(性能向上)はEthereumが急いで解決すべき課題として立ちはだかっている。

Ethereum混雑状況

Plasmaは、Ethereumのスケーリング手法の1つとして2017年8月に提案された技術だ(Cryptoeconomics Labによるホワイトペーパー日本語訳 がある)。Ethereumのパブリックブロックチェーンを「親チェーン」と見なし、親に結びついた「子チェーン」を立ち上げる。親チェーン(Ethereum)とは異なり、Plasmaの子チェーンは好きなように設計できる。より高速にしてもいいし、アプリケーションの事情に対応した独自機能を追加してもいいし、機能を削ってもいい。しかも子チェーンの数はいくらでも増やすことができる。これにより性能の上限はなくなり、アプリケーション固有の事情にうまく対応できるようになると考えられている。これがPlasmaに熱い視線が集まる理由だ。

Plasmaは「不正を許さないインセンティブ設計」が中核機能

現状のPlasmaは完成したひとつの技術という訳ではない。設計上のトレードオフの選び方により、複数のPlasma派生技術の提案が並立している。実現の容易さ、アプリケーション開発の難易度、セキュリティ、非中央集権の度合い、このあたりに違いがある。

Plasmaと呼ばれる技術群の共通点は何かというと、利用者がPlasmaの子チェーンを監視し、不正を検出した場合には子チェーンに預けたデジタル資産を親チェーンに待避(exit)できる仕組みだ。不正監視と待避の機能がPlasmaの中核部分となる──こういう説明に違和感を持つ人もいるかもしれないが、Bitcoinがそうであるように「不正を働く気をなくさせる」ようなインセンティブ設計を組み込むことが、統治主体がない非中央集権パブリックブロックチェーンをワークさせる上で最も重要となる。この性質を指して、Cryptoeconomics Lab CTOの落合氏は「Plasmaとはプライベートチェーンに非中央集権性を注入する技術だ」と表現する。

Plasma Chamberは非中央集権にこだわる

Plasma概念図

複数のPlasma技術群が競い合う状況の中に、新たに投げ込まれたアイデアがPlasma Chamberだが、その特徴は次のようになる。

(1) 非中央集権(トラストレス。運用主体を信頼せずにデジタル資産を預けられる)
(2) Plasma Cashベースでセキュリティに優れる
(3)開発と検証が他の手法に比べて容易(静的解析可能な有限状態機械)
(4) 低コスト(Ethereumメインチェーンとの同期タイミングを長めに取ることができ、利用手数料を低く抑えることができる)
(5) 性能(Plasmaチェーンは高性能に設計できる)

ここで注釈を加えると、ブロックチェーンのスケーリングでは非中央集権性を犠牲にする──つまり特定少数の運営者を信用する必要があるアプローチも多い。例えばDAppsプラットフォームとして実績を作りつつあるEOSやCosmos/Tendermintなどがこのアプローチの代表例だ。その中で、Plasma Chamberは非中央集権にこだわり、特定少数の運営者への信頼を前提としないアプローチでスケーリングを図る仕組みだ。

もう1点の注釈だが、Plasma Cashとは、非中央集権性とセキュリティと利便性を追求したPlasmaの派生技術である。Plasmaの運用にはオペレーター不正検出が欠かせないが、ここの負担を減らすために監視対象を「分岐が発生しないコイン取引履歴」に限定し、処理を軽量化し、資産保全対応の自動化やライトクライアントの負担減を実現した。子チェーンの利用者が、全トランザクションをリアルタイムにすべてダウンロードする必要がなく、モバイル環境から週に1回接続する利用状況でも資産を守ることができる点が特徴となる。Plasma ChamberはこのようなPlasma Cashの性質を引き継いだ技術ということになる。

Plasma Chamberの設計思想は、EthereumとPlasmaの設計思想を引き継ぎながら多くの課題を同時に解決する意欲的なものといえる。ただし、見方によっては弱点となりそうな部分もある。Plasma Chamberの開発実行環境は、Ethereum開発者にとって馴染みがあるSolidity言語およびEVM(Ethereum Virtual Machine)ではない。ただし、それには合理的な理由がある。

Plasma Chamberの開発手法は、独自のDSL(ドメイン特化言語)を用いて、親チェーン向けと子チェーン向けのそれぞれの有限状態機械を生成するというものだ。α版の段階ではDSLとしてPrologベースのプログラミング言語を利用する。今後、言語の種類は増える可能性があるが、関数型言語のように厳密な検証が可能な開発言語が採用される方向だ。

落合氏は「DAppsといえばSolidityという発想は、そろそろ古くなるかもしれない」と語る。パブリックブロックチェーン分野では、純粋関数型言語を用いて検証を重視するTezosのようなアプローチも登場している。Plasma Chamberも、検証が容易なようにプログラミング言語やフレームワークを設計している。このような手法がDApps開発の主流になる可能性も大いにあるという訳だ。

ここで注釈を加えると、DApps(あるいはスマートコントラクト)の開発では「バグや脆弱性がない」ことを検証するプロセスが欠かせない。DAppsでは、ささいなバグや脆弱性を見落とすことが重大な結果に結びつくからだ。Ethereumのコミュニティは、DAppsの脆弱性を突かれて巨額のデジタル資産が奪われたThe DAO事件や、デジタル資産が事実上消えてしまったParityウォレット凍結事件という苦い教訓を共有している。Quantstampのように検証を専業とするスタートアップ企業が登場している。つまり、Plasma Chamberのような検証が容易な開発フレームワークには大きな可能性がある。

以上、Plasma Chamberとは何なのかを説明してきた訳だが、パブリックブロックチェーンという最先端の技術分野の中で、Plasma Chamberはどれだけ遠くを見た技術なのか、それが日本の福岡のスタートアップから登場したことがどれだけ挑戦的なのか──そこが少しでも伝わるとうれしい。これは、必ず勝ち残る保証はないが、勝ち残った場合には世界を変えてしまうかもしれない種類の取り組みだ。たとえ話をすると、1990年代にフィンランドの大学生がフリーなUNIX互換カーネルを作り始めたとき、それが世界中のクラウドを支えるITインフラ(つまりLinuxのことだ)に成長すると考えた人は誰もいなかった。PlasmaをターゲットとしたDAppsフレームワークは、ひょっとすると同じくらい挑戦的なテーマなのかもしれないのだ。

NY発ライドシェア 「Via」街や交通機関との“パートナーシップ”を重視した日本戦略とは

海外と比較すると、ここ日本においてライドシェアは圧倒的に盛り上がりが足りていない。タクシー業界による猛反対や、第二種運転免許を持たないドライバーが運賃を取って自家用車に乗せる“白タク”と呼ばれる行為が禁止されていることがその背景にある。だがそんな状況にも関わらず、2012年にニューヨークで設立されたライドシェア・スタートアップのViaは2018年8月に日本での実証実験を開始した。

写真左がTechCrunch Japan編集部の菊池大介、右がViaのDavid Adelman氏

同社でVice President of Global Partnershipsを務めるDavid Adelman氏によると、Viaのミッションは「世界で最も効率の良いオンデマンドでダイナミックなシャトルサービスOSを街、タクシーやバス会社、交通機関などに提供する」こと。他社とは違い既存の業界などとのパートナーシップを重要と考え、争うことなく「共に成長すること」がViaの戦略であるため、日本での定着・成長も大いに期待できると話す。加えて、日本の社会的課題を解決することに関しても同社はとても意欲的だ。

Adelman氏は10月17日、幕張メッセで開催されたCEATEC Japan 2018にて「米国テクノロジー最前線 – Society5.0に向けたMobilityの可能性」と題されたアメリカ大使館主催のキーノートセッションに登壇し、僕がモデレーターを務めた。当日のセッションの内容も踏まえた上でViaの日本での戦略を紹介したいと思う。

これまでに420億円もの資金を調達しているViaのライドシェア数は2013年から累計で4000万以上、月間ライドシェア数も200万以上あるという。ニューヨーク、ワシントンDC、アムステルダム、ロンドン、そしてシカゴでの会員数はおよそ100万人。アメリカとヨーロッパ以外でもオーストラリアやニュージーランドで同社のシステムが使われている。

前置きが長くなったが、ここでViaのサービスが一体どのようなものなのか、説明したい。まず乗客はアプリを使い乗車を予約。アルゴリズムは1、2秒ほどで乗客とドライバーをマッチングし、乗客には「バーチャル・バスストップ」と呼ばれる乗車位置に移動するように指示が来る。乗客は最寄りの交差点などまで歩く必要があるが、これはViaの特徴の一つだ。車両に同じ方向に向かう乗客5、6人ほどを乗せるSUVを使うので、家の前まで迎えに行くなどの“寄り道”を省くことで目的地までなるべく短いルートで進むことができる。

ニューヨーク、ワシントンDC、アムステルダム、ロンドン、そしてシカゴで提供しているのは自社が直接Cに向けて提供するサービスで、アメリカでは「Via」、ヨーロッパではメルセデス・ベンツとのジョイントベンチャー「ViaVan」として展開。他の地域ではパートナーと共にサービスを展開する形を取っている。

水色のエリアでは「Via」もしくは「ViaVan」、青色のエリアではパートナーと連携したサービスを展開している。

パートナーには乗客・ドライバー向けアプリだけでなく、アルゴリズムやノウハウも提供する。アルゴリズムやブランディングはパートナーに合わせてカスタマイズさせるのだという。その一例が8月1日より森ビルと共同で実証実験を行なっている「オンデマンド型シャトルサービス」の「HillsVia」。実証実験は2019年7月末までの1年間実施される予定だ。

森ビルが料金を負担し、社員が無料で乗れるようにすることで、禁止とされている“一般車両への相乗り”の実験を可能とした。ドライバーは一般人ではなく、運転手派遣会社のプロたちだ。

HillsViaを通じ、森ビルは「Via社独自開発のアルゴリズムを採用することで、交通渋滞や環境負荷など都市交通が抱える課題の解決に寄与すると共に、都市における移動手段の選択肢を増やすことで、より豊かな都市生活を実現すること」を目指す。

メルセデス・ベンツがこの実証実験の趣旨に賛同し、最新の車両を提供。言うまでもなく、ダイムラーはViaに出資している。ドライバーを含め7人が乗れる最新の車両が4台用意されており、東京都港区を中心とした所定エリア内で平日の午前8時から午後7時半の間で走らせている。僕も都内で何回か走行中のHillsViaバンを目撃したが、見るからに“高級”なので是非乗ってみたいと思ったほどだ。

この実証実験では森ビル社員約1300名を実証実験の対象者とし、出勤時、外出時、帰宅時などの利用を通じて様々なデータを取得することでサービスの有用性と発展性を検証する。社員はViaが森ビルのために用意したスマホアプリを使い、現在地と目的地を設定。同じ方向へ向かう同僚などと共に乗車する。

Adelman氏いわく、森ビルとの実証実験の開始以降、同様のシステムの導入について「数々の企業」から声がかかっており、すでに導入に向けて動き始めているという。だが、Viaの日本でのミッションは従業員用のシャトルを提供するだけに止まらない、と同氏は付け加えた。「日本では規制が厳しいため、他の国々で行なっているようなサービスを展開するのは安易ではない」ものの、将来的には同社のサービスをこの国でも「誰もが利用できるようにしたい」(Adelman氏)

ここ日本においてライドシェアは僕たち若者や働く世代だけでなく、高齢者にとっても便利なサービスとなるだろう。田舎だとバス停まで遠かったりするので、家の近くまで来てくれるライドシェア ・サービスは重宝されるのではないだろうか。上で説明した通り、Viaのサービスはパートナーに合わせてカスタマイズが可能なので、スマホが使えない高齢者に合わせて電話予約ができるようにしたりできる。

パートナーによっては、たとえばテキサス州の都市アーリントンと共に展開し、乗客を商業施設や病院などへと運ぶサービスでは、車椅子に乗る人でも乗車が可能な車両も用意がある。レガシーなタクシーやバスにViaの持つテクノロジー、アルゴリズムやビッグデータなどを組み合わせることで、より効率的・効果的なオペレーションが可能となるなるわけだ。「モビリティーの課題をテクノロジーで解決するのがViaのミッションだ」とAdelman氏は話していた。

ソフトバンクと中国の滴滴出行が7月に設立した合弁会社DiDiモビリティジャパンは、日本においてはタクシー会社にプラットフォームを提供する形で動いている。Uberでさえ都市部では配車アプリとして使われているケースが大半だ。一方、新たに日本エントリーを果たしたViaは街、タクシーやバス会社、交通機関などにプラットフォームを提供する経験が豊富。すでに日本のタクシー会社や自治体などとの協議も進めているみたいなので、今後の展開に期待したい。

日本でも数々のライドシェア系サービスが誕生してきているし、Lyftの日本参入も噂されている。規制が厳しいこの国でライドシェアの文化がどのように定着・発展していくのか、今後も目が離せない。

スズメバチやクモをモデルにした強力ドローン開発――自重の40倍の対象を動かせる

ドローンに面倒な仕事をやらせようと思うなら重い荷物を動かせる能力が必要だ。 残念ながら物理の法則はいかんともしがたく、ドローンが地上を離れるためには非常に大きな力を必要とする。スズメバチやクモからヒントを得て、Stanford大学とスイス連邦工科大学(EPFL)の研究者は協力して自重の40倍の重量を動かせるドローンを開発した。

スズメバチやクモは自分よりはるかに大きな獲物を捕らえるが、持ち上げることができないときには強い顎、グリップの効いた脚、強力な糸などのおかげで獲物を引きずっていくことができる。人間がタンスを持ち上げることができなくとても、床の上を押していくことができるのと同じだ。

新しいドローンはFlyCroTugsと名付けられている。フライクロタグズというのは「飛ぶ・マイクロ・引きずる」を意味するのだろう。空を飛んでいるときは通常のドローンと変わりない。あちこち飛び回り、どこにでも着陸できる。しかしこのドローンは対象を移動させるために重要なメカニズムを3つ備えている。対象を掴むアンカー、アンカーに接続したワイヤを巻き取るウィンチ、自らをしっかり固定できる脚だ。

Science Roboticsに発表された論文で、執筆者のStanfordの大学院生、Matthew Estradaは.「自由に空を飛べる能力と着陸して適当な表面に固着できるメカニズムを組み合わせた結果、われわれが開発したドローンはどこにでも移動でき、非常に小型であるにもかかわらず非常に強力なものとなった」と述べている。

この100グラムのミニドローンは単独ないし数機が協力して作動する。ドローンはまず空を飛んでドアハンドルなど動かしたい物体にアンカーを取り付ける。次に細いワイヤを繰り出しながら少し離れた場所に着陸する。ドローンは独特の脚メカニズムで自らを固定し、ウィンチを作動させてワイヤを巻き取り、対象を引き寄せる。これにより持ち上げることができないような重い対象を動かすことができる。

着陸した表面が固着可能な状態であれば、このドローンは自重の40倍の重量を引くことができるという。つまり100グラムのドローンが4キログラムのものを動かせるわけだ。もちろんごくゆっくりとだが、スピードが要求されない用途は多い。たとえばオーナーが留守の間に、こういうドローンが家の周辺を飛び回ってゴミを掃除したり郵便受けから郵便物を回収してきたりするところを考えてみよう。これには何時間かかってもよい。

下のビデオには2機のドローンが協力してドアのレバーを引き、ドアをゆっくり開ける様子が映っている

共同研究者の一人、EPFLのDario Floreanoはニュースリリースで、「ドローンといえば空撮用のガジェットだと考えられがちだが、昆虫は空を飛ぶだけではなく、歩いたり、よじ登ったり、なにかを掴んだりできる。ハチやアリなど社会性のある昆虫は共同して複雑なタスクを実行する。われわれの研究で小型のドローンを周囲の対象物に固着させ、また複数のドローンに協調動作をさせることが可能だと分かった。これは人型ロボットなどずっと大型のデバイスでなければできないと思われていた複雑な作業を可能にする」と述べている。

人型ロボットが複雑な動作をこなせるようになるにはまだ時間がかかりそうだし、こうした重い大型ロボットは移動範囲やスピードが制限されるという問題がある。ビデオによれば、このドローンは災害現場での捜索、救難などの用途を考えている。ともあれ小型ロボットの群れに協調動作させるというのは優れたアイディアだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftは100億ドルのJEDIクラウド契約を引き受けることにためらいはない

ペンタゴンの100億ドル規模のJEDIクラウド契約の入札プロセスは、多くの注目を集めている。今月初めに、倫理的配慮からGoogleは入札を撤回した。Amazonのジェフ・ベゾスはWired25のインタビューに答えて、大手企業が米軍に背を向けるのは間違いだと思うと語った。これにはMicrosoftの社長であるBrad Smithも同意している。

本日(米国時間10月26日)のブログ記事では、例えMicrosoftの従業員の一部には異論があったとしても、Microsoftは政府/軍の契約の参加することを明確に述べた。人工知能のような現在の最先端技術に対する倫理的配慮と、それらが悪用される可能性は認めながらも、彼はMicrosoftが政府ならびに軍との仕事を続けることを明言した。

「まず、私たちは米国の強力な防衛力を信じています。そしてその防衛をする人たちが、Microsoftのものを含む、この国の最高の技術にアクセスできるようにしたいのです」とSmithはブログ記事の中に書いている。

そのために、同社はJEDIクラウド契約を勝ち取ることを望んでいる。その姿勢は、今回の契約の勝者総取りの性質に対しては批判しながらも、最初から明らかだった。そのブログの記事では、Smithは米国政府と緊密に協力したいという同社の望みの一例として、JEDI契約を引用している。

「最近Microsoftは、重要な防衛プロジェクトに入札しました。それは、DOD(国防総省)のJoint Enterprise Defense Infrastructureクラウドプロジェクト、別名”JEDI”と呼ばれるものです。これはペンタゴンから現場の軍人たちの支援までをも含む、国防総省のエンドツーエンドのインフラストラクチャを再構築するものです。契約はまだ受託が決定していませんが、これが私たちがやるべき仕事の一例なのです」と彼は書いている。

彼は、Bezosと同様に、収益性の高い契約を獲得するためではなく、企業の哲学を愛国心のレトリックで包み込むように語った。「われわれは、この国の人々、特にこの国に奉仕する人々に、Microsoftの私たちが彼らを守ることを知って欲しいのです。彼らは私たちが生み出す最高の技術にアクセスすることになるでしょう」とSmithは書いている。

Microsoft社長のBrad Smith写真: Riccardo Savi/Getty Images

投稿全体を通してSmithは、大きな企業の中の様々な従業員の間には異なる意見があることを認めながら(米国市民ではない従業員もいる)、米軍を支援する愛国的な義務に対して細心の注意を傾けた。結局のところ、彼は政府が先進技術を利用するときには、技術企業がその検討に参加することが重要だと考えているのだ。

「しかし、この技術を最もよく知る技術セクターの人びとが、この検討から離脱してしまっては、新しい開発が賢明に使われることを期待することはできません」とSmithは書いた。

Bezos同様に彼は、義務感もしくは経済的な側面から、あるいはその両方の理由から、同社はJEDIのような契約の追求を推進しようとしていることを明らかにした ―― たとえ従業員たちが賛成しようとしまいと。

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(翻訳:sako)

画像: Stephen Brashear / Getty Images

AppleのiPadイベントに期待できること

わくわく?がっかり?iPad?少なくとも最後の1つは間違いない。招待状が発送され、噂の波が怒涛のように押し寄せている。米国時間10月30日火曜日に、Appleはハードウェアシーズンを1つの最終イベントで締めくくる。今回は、9月の大規模なiPhoneイベントでは触れられなかった多くのポイントが取り上げられることになるだろう。

これまでと同じように、同社はニュースを厳重に封じ込めようとしているが、私たちは多くの手がかりを入手している。まず第一に、この「特別イベント」が、ブルックリン音楽院のハワード・ギルマン・オペラハウスで開催されるということが挙げられる。それはクールな空間だ。私はJeff Mangumがそこで開催した沢山のショーを観たことがある。まあ騒ぐほどのことではないが。

また同社は数十(ひょっとすると数百?)におよぶ、カスタマイズされたイベントデザインを作り出し、そのカスタマイズされた招待状を、リストに載るそれぞれの人間に送り出している。すごいぞApple!君たちは本当にテックブロガーを特別な気持ちにする手段を知っているね。しかし、それを貫くテーマとして謳われているのは”There’s More in the Making.”(創造にはより多くのものがある)という言葉だ。それが意味することは、同社が今一度、その視線をクリエイティブなプロたちに向けるということだ。

それは、これまで私たちが耳にしている、iPad Proと沢山の新しいMacBookの発表が行われるという噂に、確かに合致している。さて、簡単なものから検討してみよう。

新しいiPad Proが登場することはほぼ確実だ。このデバイスは、いくつかの重要な設計変更を始めとして、かなり徹底した改造が行われることが期待されている。その中でも最大のニュースは、最新のiPhoneからのヒントを取り入れて、全ての辺のベゼルを大幅に狭くしてしまうということだ(もっとも手を置くための場所は残される)。

これは、一部にはホームボタンのを取り除いたおかげだ、噂ではデバイスをアンロックするのにFace IDが使われるようになるという。内部的には、iPhone XSでデビューした新しいA12チップが使われる予定だ。おそらくはApple Pencilも更新されるかも?

今年初めに開催されたシカゴでの教育イベントでエントリーレベルのiPadが一新されたが、Appleに関する人間水晶玉(預言者)と呼ばれるMing-Chi KuoによるiPad Mini 5の噂も流されている。

Kuoはまた、長らく待ち望まれていたAirPowerの登場も予測している。iPhone/Watch/AirPodを3つ同時に充電できるこのAppleのパッドは、昨年のWWDCで発表されて以来行方不明になったままだ。これが遂に今年の末に(あるいは来年の初めに)新しいAirPodと共に出荷されると言われている。とりわけ、人気のBluetoothイヤフォンのアップデートは、ワイヤレス充電と外部にカラーインジケータを備えた新しいケースを、当然利用するものになるだろう。

そして、Macに関する話題もある。噂によれば、30日には最大4種類のコンピューターがステージに登場するという。ここではまず、Mac MiniとiMacが先頭を切る。そしてこれもまた長く待ち望まれていたMacBook Airの刷新が噂されている。Retinaディスプレイを搭載し、標準MacBookよりも安い価格で販売される予定だ。

またついでに、Mac Proのアップデートに関してはどうだろう?最後にその話題を耳にしたときには、それは来年登場するという話だった。だとしたら、それをこのクリエイティブプロに焦点を当てたイベントの、”one more thing”(「最後にもう一つ」。Appleのイベントではよく最後に行われるサプライズ)にする可能性は高い。イベントは東部時間10月30日火曜日、午前10時(日本時間2018年10月30日午後11時)に始まる。

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(翻訳:sako)

WWWの生みの親が挑戦する社会技術デザイン改革

倫理とインターネットに関する講演で、ワールドワイドウェブ(WWW)の発明者であるTim Berners-Lee(ティム・バーナーズ=リー)卿は、技術業界と大量のプログラマー軍団に対して、技術による人と人のつながりが増え続ける中で、彼らが作るソフトウエアが消費している世界に常に意識を向けるよう伝えた。

コーディングは、プライバシーなどの基本的な人権を尊重するアーキテクチャーシステムに加えて、倫理的な決断を伴いつつ取り組むべき作業であると、彼は指摘している。

「倫理は、技術と同じ、デザインです」と彼は、今週、ブリュッセルで開かれた第40回データ保護とプライバシー担当者のための国際会議「ICDPPC」にて、代表者たちに話した。

「システムをデザインするということは、社会をデザインするということです。どのような倫理的ルールを組み込むか(それが社会に影響を与える)……そこに明確な答はありません。社会を構成する一部として、よいアイデアだと自分で考えたことを、組み込むしかないのです」

もし、みなさんの技術哲学が「敏速に既存のものを破壊する」というものであれば、想像性も革新性も失われ、社会に影響を与える要因となるサービスのポリシーと規約を
、根底からある程度まで、常に見直してゆくことができなくなります」と彼は主張する。

彼は、Wikipediaが、インターネット上で百科事典の内容を編集できる権限を一般ユーザーに与えたあと、すぐにポリシーを変更しなければならなかった事例を挙げてこう話した。「彼らは、そこに山程の煩雑な手続きを持ち込みましたが、それが実際に機能を助けています。最終的に、それはとても機能的なものとなりました」

彼は今日のデジタルプラットフォームを「社会技術システム」と読んでいる。つまり「リンクをクリックするのは、単なる技術的な作業ではありません。そこには、こんなにすごいものは、みんなに教えてあげなければという動機が働いています。さらに、自分が書いたものが他の人に読まれることを知り、喜びが得られるのです」

「私たちは、社会と技術の両方の側面を意識して決断する必要があります」と彼は言う。こうしたプラットフォームは「人為的なものです。人が作ったものです。FacebookTwitterも人工的なものです。人がコーディングました。そして、それをコーディングした人は、それをさらに良いものにしようと、常に考えています」

この基調講演で彼は、Cambridge Analyticaのデータ不正使用スキャンダルを例に出し、あらゆるグループ、さらには社会全体を操作するために転用または利用できるよう、人々のデータを蓄積しリンクしているという簡単なイメージを、社会技術システムが爆発的に広めたと話している。

「私たちのデータは吸い取られ、大勢の人々、実際には何十億という人たちによって混ぜ合わされ、人を操作するために使われています」

「プライバシーとは、自分の知られたくないデータのことばかりではありません。自分で撮影した自分の写真が公開されるといった程度のことではないのです。それも重要なことですが」

インターネットへの接続が拡大し、個人データがますます吸い上げられるようになると、それはそのデータの出どころである本人のまったく知らない場所に蓄積できるようになる。Berners-Leeは、ウェブには「自分のデータを、シェアしたい相手にだけシェアできる権利」が必要だと強調している。

そして「自分のデータをすべて手に入れる権利」だ。AppleやTwitterなどの企業が、自分のデータをどこからでもダウンロードできるようにした努力を紹介し、「自分のデータは自分のものであり、自分で管理する」というそれらの企業の考え方を称賛した。

また彼は、自身のスタートアップSolidについても触れた。非中央集権的に相互運用できる範囲を広げ、自分のデータを管理しシェアする方法を変革することを目標にしている。

Tim Berners-Lee is on a mission to decentralize the web


Tim Berners-Leeがウェブの非中央集権化に挑戦(本文は英語)

「Solidの本質は、ユーザーが自分のデータを完全にコントロールできる新型のプラットフォームです」と彼は説明した。「どのアプリも、どこに自分のデータを置くかを聞いてくれるというのは画期的なことです。自分のスマートフォンで写真アプリを起動したり、または写真を撮影したとき、これをDropboxに保存して、最終的に自分のうちのコンピューターに保存したい、と言えるわけです。これは、あらゆるアプリ、あらゆるストアとの相互運用によって実現する新技術です」

言論の自由を守り、検閲に抵抗する力も、自分のデータを自分で管理することから力を得られると彼は言う。

「これはまだ、みなさんが自宅で利用できる段階ではありません」と彼はSolidについて話した。「私たちと一緒に新しいアプリを生み出し、さらに私たちのサービスをよりパワフルに安全にするための冒険の旅に出られるよう、開発者向けの準備をしているところです」

「このプラットフォームは、プライバシーの世界をひっくり返します。というか、これはプライバシーの世界を正しい向きに置き直します。みなさんは、自分のデータの主導権を握ります。いつ保存しても、いつでも管理できて取り出すことができます」

規制当局が強力な技術プラットフォームへの関心を高める中、さらに大きな社会的課題として、Berners-Leeはこう話した。「私たちは、プラットフォームが構築できるよに企業の協力を引き出し、新技術が人々もたらす利便性を悪用した新しい犯罪が生まれたときに、新しい法律で対処してもらえるよう政府の協力を得ることが大切です。そして、企業のポリシーは、彼らが生み出すあらゆる新技術を考慮したものにしておくことが重要です」

「私たちのやるべき仕事は山積みです。個人、企業、政府の垣根を超えた話し合いも積み重ねなければなりません。しかし、これはとても重要なことなのです」

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

WWWの生みの親が挑戦する社会技術デザイン改革

倫理とインターネットに関する講演で、ワールドワイドウェブ(WWW)の発明者であるTim Berners-Lee(ティム・バーナーズ=リー)卿は、技術業界と大量のプログラマー軍団に対して、技術による人と人のつながりが増え続ける中で、彼らが作るソフトウエアが消費している世界に常に意識を向けるよう伝えた。

コーディングは、プライバシーなどの基本的な人権を尊重するアーキテクチャーシステムに加えて、倫理的な決断を伴いつつ取り組むべき作業であると、彼は指摘している。

「倫理は、技術と同じ、デザインです」と彼は、今週、ブリュッセルで開かれた第40回データ保護とプライバシー担当者のための国際会議「ICDPPC」にて、代表者たちに話した。

「システムをデザインするということは、社会をデザインするということです。どのような倫理的ルールを組み込むか(それが社会に影響を与える)……そこに明確な答はありません。社会を構成する一部として、よいアイデアだと自分で考えたことを、組み込むしかないのです」

もし、みなさんの技術哲学が「敏速に既存のものを破壊する」というものであれば、想像性も革新性も失われ、社会に影響を与える要因となるサービスのポリシーと規約を
、根底からある程度まで、常に見直してゆくことができなくなります」と彼は主張する。

彼は、Wikipediaが、インターネット上で百科事典の内容を編集できる権限を一般ユーザーに与えたあと、すぐにポリシーを変更しなければならなかった事例を挙げてこう話した。「彼らは、そこに山程の煩雑な手続きを持ち込みましたが、それが実際に機能を助けています。最終的に、それはとても機能的なものとなりました」

彼は今日のデジタルプラットフォームを「社会技術システム」と読んでいる。つまり「リンクをクリックするのは、単なる技術的な作業ではありません。そこには、こんなにすごいものは、みんなに教えてあげなければという動機が働いています。さらに、自分が書いたものが他の人に読まれることを知り、喜びが得られるのです」

「私たちは、社会と技術の両方の側面を意識して決断する必要があります」と彼は言う。こうしたプラットフォームは「人為的なものです。人が作ったものです。FacebookTwitterも人工的なものです。人がコーディングました。そして、それをコーディングした人は、それをさらに良いものにしようと、常に考えています」

この基調講演で彼は、Cambridge Analyticaのデータ不正使用スキャンダルを例に出し、あらゆるグループ、さらには社会全体を操作するために転用または利用できるよう、人々のデータを蓄積しリンクしているという簡単なイメージを、社会技術システムが爆発的に広めたと話している。

「私たちのデータは吸い取られ、大勢の人々、実際には何十億という人たちによって混ぜ合わされ、人を操作するために使われています」

「プライバシーとは、自分の知られたくないデータのことばかりではありません。自分で撮影した自分の写真が公開されるといった程度のことではないのです。それも重要なことですが」

インターネットへの接続が拡大し、個人データがますます吸い上げられるようになると、それはそのデータの出どころである本人のまったく知らない場所に蓄積できるようになる。Berners-Leeは、ウェブには「自分のデータを、シェアしたい相手にだけシェアできる権利」が必要だと強調している。

そして「自分のデータをすべて手に入れる権利」だ。AppleやTwitterなどの企業が、自分のデータをどこからでもダウンロードできるようにした努力を紹介し、「自分のデータは自分のものであり、自分で管理する」というそれらの企業の考え方を称賛した。

また彼は、自身のスタートアップSolidについても触れた。非中央集権的に相互運用できる範囲を広げ、自分のデータを管理しシェアする方法を変革することを目標にしている。

Tim Berners-Lee is on a mission to decentralize the web


Tim Berners-Leeがウェブの非中央集権化に挑戦(本文は英語)

「Solidの本質は、ユーザーが自分のデータを完全にコントロールできる新型のプラットフォームです」と彼は説明した。「どのアプリも、どこに自分のデータを置くかを聞いてくれるというのは画期的なことです。自分のスマートフォンで写真アプリを起動したり、または写真を撮影したとき、これをDropboxに保存して、最終的に自分のうちのコンピューターに保存したい、と言えるわけです。これは、あらゆるアプリ、あらゆるストアとの相互運用によって実現する新技術です」

言論の自由を守り、検閲に抵抗する力も、自分のデータを自分で管理することから力を得られると彼は言う。

「これはまだ、みなさんが自宅で利用できる段階ではありません」と彼はSolidについて話した。「私たちと一緒に新しいアプリを生み出し、さらに私たちのサービスをよりパワフルに安全にするための冒険の旅に出られるよう、開発者向けの準備をしているところです」

「このプラットフォームは、プライバシーの世界をひっくり返します。というか、これはプライバシーの世界を正しい向きに置き直します。みなさんは、自分のデータの主導権を握ります。いつ保存しても、いつでも管理できて取り出すことができます」

規制当局が強力な技術プラットフォームへの関心を高める中、さらに大きな社会的課題として、Berners-Leeはこう話した。「私たちは、プラットフォームが構築できるよに企業の協力を引き出し、新技術が人々もたらす利便性を悪用した新しい犯罪が生まれたときに、新しい法律で対処してもらえるよう政府の協力を得ることが大切です。そして、企業のポリシーは、彼らが生み出すあらゆる新技術を考慮したものにしておくことが重要です」

「私たちのやるべき仕事は山積みです。個人、企業、政府の垣根を超えた話し合いも積み重ねなければなりません。しかし、これはとても重要なことなのです」

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(翻訳:金井哲夫)

Expedia、住宅短期レンタル市場攻略へPillowとApartmentJetを買収

米国の都市部での短期レンタル需要の高まりを受け、また住宅シェア大手Airbnbに対抗するため、旅行予約サイトのExpediaはVCから投資を受けているスタートアップPillowApartmentJetを買収対象として選んだ。

両社の従業員はExpediaに加わることになる。Expediaは今回の買収額を明らかにすることを断った。

PillowとApartmentJetの買収で都市部で広がっている機会にアクセスできるようになる。これにより、HomeAwayは展開する自社マーケットプレイス、そしてExpediaグループのブランドにわたるマーケットプレイスに幅広いタイプの宿泊設備を加えることができるようになる。そして旅行者はいつもパーフェクトな滞在場所を見つけることができる」とExpediaは発表文で説明している。

Expediaは、2015年のHomeAway買収で39億ドル支払った。このディールが宿泊施設業界で事業展開するにあたって初の大きな買収だった。と同時に、VCのお気に入りであるAirbnbをしのごうとするその後に続く動きの始まりとなった。最新の買収対象は、不動産管理者がHomeAwayやVRBOのようなAirbnbの競争相手で短期レンタルを簡単に管理することができるソフトウェアを提供している。

サンフランシスコに拠点を置くPillowは、住人がリース契約に違反しない形でアパートメントを短期レンタルに出すのを手伝っている。2013年以来、VCの投資で1650万ドル調達し、ここには昨年のMayfieldが主導しSterlingが参加した1350万ドルのラウンドも含まれている。投資家はVC、Peak Capital Partners、Expansion VC、Chris Anderson、Gary Vaynerchuk、Dennis PhelpsそしてVeritas Investmentsだ。

ApartmentJetは建物のオーナーが空き部屋にならないようにしながら稼ぐのを手伝う。2016年に創業し、シカゴに本部を置くこのスタートアップは報道されたところによるとNetwork VenturesとBlueTreeから120万ドルを調達している。

ベルビュー拠点のExpediaグループはHomeAway、VRBO、Travelocity、trivago、OrbitzそしてHotels.comなどを含むいくつかの旅行ブランドを有している。 Expediaはアクティブな投資家であり、またスタートアップ買収者でもある。

Expediaの株価は、第3四半期決算がアナリストの予想を上回ったことから木曜日に9.4%上昇した。売上高は32億8000万ドルで、これは昨年の29億7000万ドルを大きく上回った。

イメージクレジット: ApartmentJet

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(翻訳:Mizoguchi)

宇宙飛行の予約エージェントShuttleはこんな会社

Avery Haskellは、NASAJohnson Space Center近くのヒューストンで育ち、物心ついた頃から宇宙飛行士になりたいと思っていた。

スティーブン・ホーキングとカール・セーガンがヒーローだったスタンフォード大学卒の24歳のAveryは、起業家の家庭に育った。インターネットが生まれてすぐの頃、石油・ガス産業で会計士として働く母親と鉄道のIT技術者の父親が“Neighbornet”というスタートアップを立ち上げたーZillowの初期バージョンだ(Zillowは結局スタートしなかった)。

Haskell自身は現在手がけているベンチャーShuttleに落ち着く前は、クラウドファンディングスタートアップの立ち上げに手を出したり、いくつかのモバイルテクノロジー会社にいたりと、スタートアップ業界の中でちょろちょろと動いていた。

Shuttleは今年初めにAlchemist Acceleratorから生まれ、サイバーセキュリティの専門家でWickrの共同創業者であるNico Sellと共同で設立された。ウェブ・モバイルベースの宇宙飛行予約エージェントになることを目指している。

「宇宙は僕の初恋だ」と、母校スタンフォードでスペースイニシアチブの立ち上げに関わったHaskellは語る。「僕はいつだって宇宙飛行士になりたかったし、多くの人が宇宙飛行士になるのを手伝いたいと思っている。より多くの人が宇宙へ行き、そしてより多くの人が宇宙旅行に興味を持つようになればいいと考えていた」。

HaskellはSellにAlchemist Acceleratorで出会った。Sellはそこでは初めに若い起業家のためのメンターを務めた。しかし彼女はすぐに新たなフロンティアマーケットの先端で働くというアイデアに夢中になった。くしくも、SellがShuttleの会長に就くことに合意した日は、イーロン・マスクのSpaceXが2つのブースターロケットをほぼ同時に地球に着陸させた日だった。

「イーロンに続いて宇宙に足を踏み入れる」とSellは語る。「Averyと働き始めたとき、“我々は本当に準備ができているのだろうか?”と尋ねた。その後、彼と働きながら、準備ができていると確信した」。

Shuttleのフライトリストにあるチケットを購入するのは、Kayakで航空券を買うのとは同じではない。それは、あなたが超お金持ちでなければの話だが、価格が不条理に近いほど高いことが主な理由だ。

Shuttleが提供するのは、25万ドル超もするVirgin Galacticでの宇宙旅行から、無重力を体験できるボーイング747の1席5000ドル以下のローエンドパッケージなどだ。

Shuttleは実際、2019年3月にサンフランシスコから打ち上げられる予定の無重力が体験できる初のフライトの予約を受けている。このフライトでは34人が無重力を約8分にわたって体験できる。

「我々のミッションは、誰もが宇宙を楽しむ機会を持てるようにすること」とHaskellは話す。「より多くの人に宇宙に行ってほしい。そうすると価格が下がり、そしてより多くの人が宇宙から地球を眺めることができ、プライベート宇宙飛行士になる」。

ゆくゆくは、多くの宇宙旅行が利用可能になったところで、Shuttleはさらに商品を増やす。「現在、建設中のラグジュアリーな宇宙ホテルもある」とSellは語る。「1泊100万ドルで最低12泊、90分おきに日の出と日の入りを見ることができる。かなり近い将来、ムーンウォークとスペースウォークも商品として提供できるようになる」

Shuttleは、惑星探査に興味があり、これまでに何人かしか行ったことがないような場所に果敢にも行きたいと考えているコンシューマー向けに、1カ所で商品を購入したり情報収集したりできるハブになりたいと考えている。またShuttleは、実際に宇宙に行く費用を払えない人のために、ヴァーチャルスペースツアーも提供する予定だ。

さしあたっては、かなり金持ちの人か、まとまった額の助成金をもらった人だけがこの宇宙旅行に参加できる。Sellは、ビジネス客向けの企業パッケージにも商機があるとみているープロフェッショナルサーファーKelly SlaterのSurf Ranchでのエグゼグティブの静養先としての旅行にたとえた。

Sellは、宇宙に行くのにかかる5万ドルから25万ドルを喜んで払う人が今後10年間で10万人超出てくると見込んでいる。

すでに同社は、4回のVirgin Galacticのフライトと、同じく4回のZero Gravityチャーターで顧客8人から予約金166万ドルを受け取っていて、チケット1枚あたりの平均価格は25万ドルであるフライトの手数料レートは5〜10%だ。

次に来るものとして、Haskellには心に描いているものがある。「我々はおそらく、近い将来、月に基地を作ることができる。2030年までには可能ではないか。私が生きている間に宇宙の他の惑星に行ったり来たりするのはかなり一般的になるだろう」と語った。

Haskellにとって、Shuttleの重要性は地球に住む人間に、共有している青い惑星での我々の存在がはかないものであることを認識してもらうことにある。Haskellは、お気に入りのカール・セーガンの言葉「宇宙が自らを知る方法、それが私たちなんだ」を引用した。そしてもしそれが本当なら、宇宙を旅することは人間にとって自らをより理解することにもなるとHaskellは考えている。

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(翻訳:Mizoguchi)

自動運転車タクシーの料金計算方式のテストをWaymoが開始

Googleからスピンオフして今やAlphabet傘下の自動運車転技術の企業Waymoが、同社の自動運転車の乗車料金の計算方式のテストをフェニックスで開始した。これは同社が商用のロボタクシーサービスの立ち上げを準備していることの、いちばん新しい兆候だ。

Waymoはまだ、フェニックスでもどこでも、大規模な商用ロボタクシーサービスを立ち上げてはいない。でも、その日は近い。

Waymoの初期の乗車プログラムでは、厳選された本物の人間のグループがアプリを使って自動運転車を呼ぶだけだったが、今回テストはさらに拡大された。AlphabetのCFO Ruth Poratが、木曜日(米国時間10/25)に行われた同社の決算報告でそう説明した。すなわちWaymoは、第三四半期の間に行なう、そのアプリにある料金計算方式のテストを開始した、とPoratは述べた。

前回Waymoがそのプログラムの数字を共有したときは、その初期の乗車プログラムに400名が参加した。しかしWaymoのスポークスパーソンは今回、それがどれだけ増えたかを明言しなかった。

代わりにこう言っている: “初期の乗車プログラムの一環として最近、アプリにある料金計算方式のテストを始めた。料金計算は現在実験段階であり、初期の乗車者からのフィードバックを得ることだけが目的である。サービスの本格的な開始に向けて現在検討中の、そのほかの料金計算方式を反映したフィードバックにはならない”。

Waymoは、2016年に郊外地区のチャンドラーなどでテストを開始して以来、少しずつフェニックスにおける商用サービスに向かって近づいていた。2017年4月には初期的な乗車プログラムを本格的に開始し、その年の後半にはテスト車の隊列から社員と乗客を外して、空の自動運転ミニバンの車列をフェニックス大都市圏の街路に送り出した。

今年の5月には、Waymoは一部の初期的乗車者に、人間のテストドライバーが乗っていない自動運転ミニバンをタクシーのように呼ばせることを開始した。さらに最近同社は、フェニックスで公共交通プログラムを立ち上げ、人びとを最寄りのバス停や、列車やライトレール(市街電車)の駅まで運ぶパイロット事業を始めた。

テストはカリフォルニア州のマウンテンビューやテキサス州のオースチンなど、他の都市でも継続する。同社は今月の初めに、同社の自動運転車がアメリカの公道を1000万マイル走破したと発表した〔約1610万キロメートル〕。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

暗号通貨ウォレットの「Blockchain」、Ledgerと提携してハードウェア・ウォレットを発売

ブロックチェーンのスタートアップ、”Blockchain“が今後数ヶ月の shared its 計画を発表した。同社はLedgerと提携してハードウェア・ウォレットを発売する。またBlockchainは新しい取引プラットフォームとしてSwap by Blockchainの提供を開始する——このプラットフォームは数ある交換所の中から最高の取引条件を見つけるので、ユーザーは自分のBlockchainアカウントで直接適正価格でトークンを交換できる。

Blockchainは現在もっとも成功している暗号通貨ウォレットのひとつだ。同社はBitcoin向けのソフトウェア・ウォレットでユーザー基盤を築き、今やEtherumとBitcoin Cashにも拡大している。

伝統的交換所と異なり、Blockchainではユーザーがプライベートキーを管理する。Blockchainはユーザーのトークンをアクセスできないので、仮にBlockchainがハックされてもハッカーがユーザーのウォレットを空にすることはない。現在Blockchainは3000万個のウォレットを管理しており、過去2年間で2000億ドル以上の取引を処理した。

しかしソフトウェア・ウォレットはハードウェア・ウォレットほど堅牢ではない。世の中には無数のフィッシングサイトや詐欺師が人々のプライベートキーを盗もうと狙っている。だからBlockchainは独自のハードウェア・ウォレット、のようなものを発売することになった。

同社はフランスのスタートアップ、 Ledgerと提携してBlockchain Lockboxを発売する。見た目はLedger Nano Sとまったく同じでBlockchainのロゴがついている。中にはBlockchainのファームウェアが入っていてBlockchainのウォレットと連動する。

Ledger自身のアプリと同じく、ハードウェア・ウォレットをパソコンと繋がなくてもスマートフォンやウェブで残高を確認できる。ただし、取引を処理するためにはパソコンに差し込んでBlockchain Lockbox自身で取引を認証する必要がある。

今あるBlockchainウォレットとBlockchain Lockboxにつながったウォレットがどういう関係になるのか気になるところだ。Lockboxは一種の長期保管庫として働き、標準のBlockchainウォレットには少額のコインを保存しておき日常の取引に使用する。

Swapは、Blockchainが独自に作っている取引システム商品だ。独立した交換所になるのではなく、同社は複数の交換所システムと統合する計画だ。最終的にBlockchainは、非中央集権型取引プロトコルに対応して、交換所を経由することなくトークンの交換ができるようにすることを目指している。

Blockchain Lockboxの価格は99ドルで11月に発売予定。Blockchainはモバイル分野で非常に人気が高いので、Bluetoothやモバイルに対応したバージョンもでてくることを私は期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookはイラン起源の‘組織的な身元詐称行為’でページやアカウントをさらに削除

Facebookは、イラン起源の“組織的な身元詐称行為”として、82のページとグループとアカンウンとを削除した。

この大手ソーシャルネットワークは先週、その“身元詐称行為”を発見した。同社のサイバーセキュリティポリシーチーフNathaniel Gleicherがブログでそう述べている。彼によると、その作戦はもっぱらアメリカやイギリスの一般市民を名乗る(詐称する)もので、“人種問題や大統領の批判、移民問題など政治色の強い話題に関して投稿を行った”。同社によると、調査はまだ初期的段階だが、そのアクティビティをたどるとイランへ行き着いた。しかし犯人は特定できていない。

Facebookによると、イランの演技者たちのページのうち、少なくとも一つは、フォロワーが100万を超えた。Instagramからも、16のアカウントが削除された(内数)。

演技者たちはFacebookとInstagramで二つの広告に100ドル弱を、アメリカおよびカナダの通貨で支払った。広告の拡散により、Facebookユーザーへの彼らのリーチはさらに大きくなった。

同社はアカウント等削除の前にFBIとAtlanticに、彼らの発見を報告した、とGleicherは言っている。“発見から破壊への移行は1週間足らずで行われた”、という。

今回の削除に対するAtlantic Councilデジタル法科学研究所の分析によると、それらのアカウントは、“人びとのFacebookプラットホームからの離反ではなく、むしろエンゲージメントの強化をねらっている。そのために彼らは、さまざまなミームや、ビデオ、そして彼らの書き下ろしのコメントなどを駆使している”。同研究所によると、そのやり方には“効果があったようであり”、それらのポストは大量のシェアやリプライを受け取っている。

“外交政策に関するメッセージは、初期のイラン支持者たちのそれと歩調を合わせており、それは主に、中東に関するイラン政府側のストーリーを増幅している”、と分析は述べている。“人びとを分断させることを目的とするコンテンツへの彼らの注力は、ロシアの情報工作のやり方と非常によく似ているが、しかしイラン人による工作は保守よりもむしろリベラルをターゲットにしているようだ”。

Facebookは、アカウントとコンテンツの取り下げを、これまでも何回か行っている。たとえば8月には、セキュリティ企業FireEyeの支援のもとに、数百のアカウントとページを削除した。そのときも、イラン人による広範な人心誘導工作が見つかっている。これまでのFacebookのアカウント取り下げ努力は中間選挙をねらったニセ情報の拡散に関連していたが、イランの支援による作戦は、話題が多岐にわたっている。FireEyeによる当時(8月)の分析によると、イラン人たちは、“反サウジ、反イスラエル、パレスチナ人支持など、多様な話題を取り上げ、また、アメリカとイランの核合意など、イランに好意的なアメリカの政策を支持していた”。

Facebookのような大手テクノロジー企業は、2016年の大統領選に始まり、最近ではますます、国家が支援する演技者たちによるニセ情報や嘘のニュースの拡散を強力に取り締まるよう、議会からの圧力に直面している。

いちばん強く懸念されているのは、ロシア政府のために仕事をしているトロルたちの、ニセ情報の拡散による選挙操作だが、Facebook上のニセ情報拡散に関してはイランが、それとは別の強力なチームとして、台頭してきたのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Snapchat、第3四半期でユーザー200万人減ー株価も最安値更新

Snapchatは2018年第3四半期も縮小を続けた。しかし事業そのものは堅調に改善しつつある。Snapchatのデイリーアクティブユーザー数はまたもや落ち込み1%減の1860万人で、第2四半期の1880万人、成長率マイナス1.5%からさらに落ち込んだ。それでもユーザー数は前年同期比で5%のアップだ。売上高は2億9800万ドルで、EPS(1株あたり利益)の損失は0.12ドルだった。この数字は市場予想の売上高2億8300万ドル、EPS損失0.14ドルを上回った。ただし、市場の予測ではユーザー減は50万人だった。

Snapの株価は6.99ドルで始まり、これまでで最も低い6.46ドルで引けた。これはIPO時の24ドルよりずいぶん低い。Snapは今期、営業損失3億2500万ドルを計上した。しかし、第2四半期は3億5300万ドルだったので、経費削減が奏功した。この決算が発表された直後、Snapの株価は8.3%高い7.57ドルまで上昇した。

ただ、その後株価は時間外取引でマイナス9.3%の6.31ドルまで下がった。同社の株は控えめな事業成長を評価するインベスターにより大量に購入されたが、Snapがさらに不振に陥るかもしれないという懸念が投資家心理を冷やした。Snapが来期もユーザー離れに直面するだろうという予想がさらにインベスターをおののかせた。

懸念材料となるが、Snapchatのユーザー1人あたりの平均売上は今期、発展途上国で12.5%落ち込んだ。しかし米国と欧州マーケットの貢献により、世界のユーザー1人あたりの平均売上は14%伸びた。Snapは、ホリデーシーズンがある第4四半期の売上は、アナリストの予測と同じ、3億5500万ドルから3億8000万ドルを予想している。

CEOのEvan Spiegelは、周到に準備された声明で、「我々のコアユーザーである米国と欧州における13〜34歳には素晴らしくアプローチできた一方で、世界にはSnapchatを使っていない人が何十億人もいる」と認めた。彼は、ユーザーを200万人失ったのは、iOSと同じように作動していないAndroidのためだと説明した。特に目立つのが、米国とカナダにおける月間アクティブユーザーの減少だ。Snapは、おそらくデイリーユーザーの減少から気をそらすためだろうが、前四半期の月間ユーザーは1000万人超だったと語った。

Spiegelは声明で、今後の目標は今年損益なしにし、2019年に通年で収益化することだと述べている。しかしCFOのTim Stoneは「2019年を考えるとき、内部の外に向けた目標は、増収の加速、そして通年でのフリーキャッシュフローと収益性だ。内部のストレッチゴールは予想ではないことを心に留めておかなければならない。それはガイダンスでもない」と語った。

電話会見の間、SpiegelはAndroidにおけるオーバーホールのスケジュールについての質問について「質には時間が伴う。正しいと思えるものになるまで待つつもりだ」と答えている。しかしアナリストは、Snapがいかに2019年に挽回するかについての質問を浴びせた。Spiegelは1日あたりの利用が35億回から30億回へと減ったことを認めたが、インベスターを安心させようとユーザーの60%超が毎日利用していると語った。

Spiegelは、米国と欧州で13〜34歳のグループ以外にユーザーを拡大すること、Androidアプリを通して発展途上国でより多くのユーザーを獲得することが推進力の維持につながると語っている。しかし問題なのは、年配のユーザーをくどくのは、親や先生、上司が同じアプリにいることを快く思わない若いユーザーにとってほろ苦いものとなるということだ。

現金および有価証券が14億円に減ったSnapは、世界でより多くのユーザーの獲得を始め、収益化を改善する必要がある。

困難なバトル

第3四半期では、Snapchatは同社初の拡張現実Snappableゲームをローンチし、その一方でサードパーティによるゲーミングプラットフォームleakも計画している。Tic-Tac-Toeゲームは8000万ものユニークユーザーがあり、ゲームはSnapが前進するのにとるべき正しい道なのかもしれない。

デベロッパーやクリエイターがつくったAR体験への注意をひくためのLens Explorerを、そしてスポンサー金を集めるためにソーシャルメディアスターをブランドにつなげるStorytellerプログラムを立ち上げた。また、VenmoのようなSnapcash機能を廃止した。しかし最も大きなニュースは、300万ものユーザーを失ったという第2四半期決算からのものだった。これにより一時的に株価は上昇したが、競争とユーザーの減少という要素が株価の最安値につながった。

Snapchatにとって、ユーザーの成長とつなぎとめを加速することになるかもしれない、パフォーマンスをスピードアップするAndroidアプリのオーバーホールを行うプロジェクトMushroomは頼みの綱だ。Snapは何年にもわたって発展途上国のAndroidマーケットを無視し、iPhoneを使う米国のティーンエイジャーにフォーカスした。Snapchatがクイックなビデオにかかるものであることを考えるとき、遅いローディングはまったく使い物にならない。特にネットワーク接続が遅いマーケットや古いスマホだとそうなる。

競合相手をみると、Snapchat Storiesを真似たWhatsAppのStatusはデイリーユーザーが4億5000万人に成長し、InstagramのStoriesは4億人に届いたーそれらの多くは発展途上国におけるもので、ゆえにInsta Storiesのローンチ時に私が予想したようにSnapの海外での成長をブロックしている。Snap Mapはユビキタスにならず、Snapのオリジナルショーはまだたくさんの新規ユーザーを惹きつけるほどにプレミアムにはなっていない。Discoverはクリックのための餌が多く仕込まれて惨憺たる状況で、すぐに消えるメッセージの最も良いところをInstagramがすでにコピーしている。もしWhatsAppが消えるチャットをコピーしたら、Snapはかなり厳しい立場におかれる。

この調子でいくと、Snapは2020年か2021年に黒字化する前に資金を使い果たしてしまう。これはすなわち、Snapが外部からの投資を得るために新規株式を発行する必要に迫られるか、生き残るために買収されるかということを意味する。

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(翻訳:Mizoguchi)

現実に追いつかれた? 未来の民主主義を描いたマルカ・オールダーの最新SF小説『State Tectronics』

全能のデータ・インフラストラクチャーと知識共有技術を持つ組織が、世界中に広がっている。地球規模でのプロパガンダの拡散と不正選挙に関する陰謀説は、いまだに消えない。人が何を客観的事実と見るかをアルゴリズムが決定し、テロ組織は情報の独占企業を引きずり下ろそうと身構えている。

Malka Older(マルカ・オールダー)は、スペキュレイティブ・フィクションを得意とするSF作家でも、生涯滅多に遭遇しないであろう事態に直面した。自分が描いた作品に現実が追いついてしまうという問題だ。オールダーは2年前に『Central Cycle』シリーズを書き始めたのだが、そのプロットは早くも本のページを飛び出して、日常的にニュース専門チャンネルのネタになり、議会では度重なる調査の対象にされている。彼女の世界は数十年先の未来と想定されていたのだが、歴史は速度を上げてきた。数十年後の未来は、今では2019年を意味する。

オールダーのこの三部作は『Infomocracy』から始まった。そしてその続編『Null State』を経て、今年、完結編である『State Tectonics』が発表された。三部作を書き上げるのは並大抵の苦労ではないが、『State Tectonics』は彼女がもっとも得意とする手法で書かれている。政治の未来にいくつものスリラーのスタイルを混ぜ合わせ、思考を刺激するニュアンスを山盛りにしているのだ。

オールダーの世界は、2つの単純な前提の上に作られている。ひとつは、マイクロデモクラシーと呼ばれるプロジェクトにより、世界がセントラルと呼ばれる10万人単位の行政単位に分割され、誰もが自由に好きな行政単位に移住できる権利を持つという世界だ。これは奇妙な副産物を生んだ。たとえば、ニューヨーク市のような過密地域では、企業が支援する自由主義の楽園的行政単位から、最左翼の環境主義のオアシス的行政単位へ、まるで地下鉄で移動するかのように乗り換えることができてしまう。

もうひとつは、市民が最善の選択をできるよう、Informationと呼ばれる世界的組織(Googleと国連とBBCのハイブリッド)が、政治と世界に関する客観的情報を提供するために不断の努力を行っているという社会だ。Informationは、選挙公約からレストランのメニューの味に至るまで、あらゆる物事のクレームを検証している。

これらの前提をひとつにまとめ、オールダーは情報操作と選挙戦略の世界を、客観的真実の意味とは何かを黙想しつつ探求した。この三部作では、Informationの職員の目線で、一連の世界規模の選挙にまつわる政治的策略や陰謀を暴いてゆく。こうした構造により、テンポのよいスリラーでありながら、スペキュレイティブ・フィクションの知的な精神性が保たれている。

前作『Null State』では、不平等と情報アクセスの不備に焦点が当てられていたが、『State Tectonics』では、オールダーはInformationによる情報の独占の意味に疑問を投げかけている。このマイクロデモクラシーの世界では、検証されていない情報を一般に公開すると罪に問われる。しかしInformationでも、全世界の膨大な情報を完全に持ち合わせているわけではない。そこで、闇のグループがInformationの公式チャンネルの外で、地方都市や人々に関する情報を流し始める。そうして根本的な疑問が湧く。誰が現実を「所有」しているか? その前に、客観的事実をどうやって判断するのか?

この核心となる疑問の背景には、都合よく現実を調整してしまうアルゴリズムの偏向の罪に問われたInformation職員の苦悩がある。どこかで聞いたような話ではないだろうか?

スペキュレイティブ・フィクション作品として、とくに未来の民主主義という難しい問題を扱った小説として、『State Tectonics』は最上級だ。細かい場面にアイデアを次から次へと織り込むオールダーの激烈な才能は、常に読者を立ち止まらせて思考に迷い込ませる。この本だけで、私たちは政治、精神的健康、インフラ金融、交通、食糧、国粋主義、アイデンティティー政治のすべてを論議できる。爽快なまでのダイナミックレンジだ。

ただ、幅が広すぎて深さが犠牲になっている部分もある。いくつかの問題では掘り下げが足りず、表面をなぞっただけのようなところが見受けられ、登場人物も十分に描かれていない。この3冊の分厚い本を読み終えた今でも、私には、長い間付き合ってきた登場人物たちを理解しきれていない感覚が残っている。彼らは、出入りの激しいニューヨークで知り合った友人のようだ。一緒に週末を楽しんだが、離れてしまった後、連絡を取ろうとは思わない程度の人物だ。

さらに言わせてもらえれば、余分とも思われる細部に重点を置きすぎている面がある。仮想世界を読者の頭の中に構築させたいのはわかるが、Wikipediaを読まされているような気になる。その点では、オールダーは初期の作品から成長している。細かい説明は短くなり頻度も減った。だが、それでもまだ、説明によって本筋から脇道にそれることがあり、そのために登場人物のさらなる肉付けのための時間が奪われている。

『State Tectonics』は、その前の2作と同様、最高にして最低の折衷料理だ。メニューには刺激的な料理が並んでいて、従来のカテゴリーや信念を劇的に超越する思考を与えてくれる。しかし、大半の料理はごちゃ混ぜで、その場は美味く感じても余韻が残らない。だがこの小説は、民主主義の未来を見事に物語っている。このテーマに強い関心を持つ人にとって、これ以上の小説を探すことは難しいだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

スマート家電が見聞きした情報を政府に開示するかどうかメーカーに聞いてみた

10年前には、ほぼすべての家電製品がインターネットにつながることなど想像もつかなかった。今では、スマートではない家電製品のほうが大変に貴重になっている。だが、スマート家電は、普段、私たちが考えてもいない新しいデータを大量に吸い上げているのだ。

暖房の温度調節器は部屋の温度を知っている。スマートカメラとセンサーは、家の中で誰かが歩き回われば、それに気づく。スマートアシスタントは、我々が何を求めているかを知っている。スマート・インターホンは、誰が来て誰が出て行ったかを知っている。クラウドのお陰で、そうしたデータはどこからともなくやって来る。スマートフォンを使えば、ペットの様子を見たり、ロボット掃除機が仕事をしているかを確かめることが可能だ。

スマート家電のメーカーは、そうしたデータを蓄積したり利用したりできる。そこで、犯罪解決のためにそれを利用できないかと、警察や政府機関は考え始めている。

スマート家電が、我々を監視するために使われているかどうか、などという質問にはメーカーが答えるはずがない。

何年もの間、技術系企業は透明性に関するレポートを発表してきた。彼らは、ユーザーのデータを提出するよう政府から要求されたり依頼された回数を、半定期的に公開している。最初は2010年のGoogleだった。その他の企業も、ユーザーをスパイするよう政府から協力を求められているとのエドワード・スノーデンの暴露騒動に押されて追従するようになった。盗聴国民の通話記録を提供して政府に加担してきた電話会社ですら、信頼を取り戻そうとその件数を公表するようになっている。

スマート家電が普及し始めると、警察も、これまで持ち合わせていなかったデータの新しい入手方法に期待するようになった。警察は、殺人事件の解決のために、Amazonから提供されたEchoのデータを検証した。Fitbitのデータは、養女を殺した容疑で90歳の男性を起訴する手助けとなった。最近では、Nestが監視映像の提出を強要され、これがギャングのメンバーに窃盗事件の有罪答弁をさせることにつながっている。

しかし、大手スマート家電メーカーの中で、データ提供の要請の件数を公表したのはGoogleの傘下であるNestただ一社だ。

あまり知られていないNestの透明性レポートだが、先週、Forbesは、多くのことは示されていないと指摘した。2015年半ばから、500件分のユーザー情報を約300回提出したという内容に留まっている。またNestによれば、テロやスパイなど国家の安全保障に関連する秘密の依頼は、今日まで受けていないという。Nestの透明性レポートは、地方や政府からの合法的なデータの要求案件を開示したApple、Google、Microsoftの詳細な報告書と比較すると、かなり曖昧だ。

Forbesは「スマートホームは監視ホームだ」と書いているが、その規模はどれほどなのだろう。

我々は、市場でよく知られているスマート家電メーカー数社に、透明性レポートを発表するか、またはスマート家電のデータを提出するよう要求された数を公表するかを聞いてみた。

その返事は、ほとんどが泣きたくなるような内容だった。

最大手4社の返事

Amazonは、Echoのデータの提出要請の数を公表するかという質問には答えなかった。去年、データ提供のニュースに関連して広報担当者に質問した際も、Echoのデータに関する報告は行うが、そうした数字は公表しないと話していた。

Facebookは、透明性レポートには「Portalに関連するすべての要求」が含まれると話している。Portalは、Facebookが先日発売を開始したカメラとマイクを搭載したディスプレイ装置だ。新製品ではあるが、広報担当者は、このハードウエアに関するデータ提出要請の件数を公表するかについては答えなかった。

Googleは、Nestの透明性レポートについては話したが、Google自身のハードウエア、とくにGoogle Home製品に関連するレポートの開示については答えていない。

Appleは、HomePodなどのスマートホームに関する数字の公表は必要ないという立場だ。なぜなら、報告するような事例がないからだそうだ。Appleによれば、HomePodへのユーザーからの命令にはランダム・アイデンティファイアが割り当てられるため、個人の特定は不可能だという。

最大手以外の重要なスマート家電メーカーの場合

スマートロックのメーカーAugustは、「透明性レポートは作成していないが、外国諜報活動偵察法に基づく国家安全保障に関する書簡も、ユーザーのコンテンツまたは非コンテンツの情報の提出を求められたこともありません」と言っている。しかし、召喚状、令状、裁判所の命令の件数については答えていない。「Augustは、あらゆる法律に準拠しており、裁判所からの命令や令状があったときは、応じる前に、かならずその内容を吟味しています」と広報担当者は話していた。

ルンバのメーカーiRobotは、「政府から顧客データの提出を求められたことはありません」と話しているが、透明性レポートを将来公表する予定はあるかとの質問には答えなかった。

Netgearのスマートホーム部門であったArloと、Signify(旧Philips Lighting)は、透明性レポートは作成していないとのこと。Arloは将来についてはコメントせず、Signifyは作成の予定はないと話している。

スマートなドアホンやセキュリティー製品のメーカーRingは、なぜ透明性レポートを作成しないのかという我々の質問には答えなかったが、「市民に適正な利益をもたらす合法的で法的義務が伴う要請がなければ、ユーザー情報は提供しません」と話している。さらにRingは、「当然のことながら、利用範囲が広すぎたり不適切な要求は受け入れません」とのことだ。さらに尋ねると、将来的には透明性レポートを公表する計画はあると答えたが、いつとは言わなかった。

どちらもスマートホームのセキュリティー製品を製造販売しているHoneywellCanaryの広報担当者は、こちらが指定した期限までには返事をくれなかった。

スマートセンサー、トラッカー、インターネットに接続できるテレビなどの家電製品を製造販売しているSamsungは、コメントの依頼に応じなかった。

スマートスイッチとスマートセンサーのメーカーEcobeeだけは、「2018年末に」最初の透明性レポートを公表する計画があると話してくれた。「2018年以前、Ecobeeは政府機関から、いかなるデータの提供の依頼または要請も受けたことがありません」と広報担当者は強調していた。

ともかく、家の中の家電製品が、自分たちのためではなく、政府を助けるためにあると考えるとゾッとする。

スマート家電はますます便利になるが、それが収集するデータがどれだけ広範囲に及ぶものか、さらに使っていないときもデータを集めているということを理解している人は少ない。スマートテレビにスパイ用のカメラが付いていなかったとしても、我々がいつどんな番組を見ているかは把握している。それを使って警察は、性犯罪者を有罪にできる可能性がある。殺人容疑者が家庭用警報装置のリモコンキーのボタンを押したというデータだけで、殺人罪が確定してしまうかも知れない。

2年前、元米国国家情報長官James Clapperはこう話していた。政府は、スマート家電を諜報機関が調査を行うための新しい拠り所として視野に入れていると。インターネットに接続された家電製品の普及が進めば、それは普通のことになってしまう。情報通信アドバイザリー企業Gartnerは、2020年までに200億台以上の製品がインターネットに接続されると予測している。

インターネットに接続された居間のカメラや温度調節器を通して、政府が我々の行動をスパイする可能性は低いだろうが、不可能だと考えるのはお人好し過ぎる。

スマート家電のメーカーは、それをユーザーに知らせようとはしていない。少なくとも、大半のメーカーは。

‘Five Eyes’ governments call on tech giants to build encryption backdoors — or else


アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのいわゆる「ファイブアイ」国家同盟は、大手技術系企業に対して、ユーザーの暗号化されたデータの解読を可能にする「バックドア」を作るよう秘密裏に要請していた(本文は英語)

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(翻訳:金井哲夫)