このロボットはレーザーを使ってその環境を「聴く」

カーネギーメロン大学の研究者たちによる新技術は、真のコンテキスト認識コンピューティングを実現するために、音と振動の認識を追加する。Ubicousticsと呼ばれるこのシステムは、スマートデバイスのインタラクションにコンテキストの情報を追加し、スマートなスピーカー自身にキッチンにいるかどうかを認識させたり、スマートセンサーに現在トンネルの中にいるのか、あるいは広い路上にいるのかを認識させたりすることができる。

「キッチンのカウンターに置かれたスマートスピーカーは、自分自身がキッチンにいるかどうかを認識することはできませんし、もちろん人間がキッチンで何をしているかを知ることができないのは言うまでもありません」と語るのは、カーネギーメロン大学のHuman-Computer Interaction Institute(HCII)の研究者であるChris Harrison だ。「でも、もしこうしたデバイスがその周りで何が起きているかを理解できたら、もっともっと役に立つかもしれません」。

システムの最初の実装では、内蔵のスピーカーを使用して「音響に基いたアクティビティ認識」を行う。彼らがそれを実現している方法はとても魅力的だ。

「ここでの主要なアイデアは、通常エンターテインメント業界で使用されているプロフェッショナルなサウンドエフェクトライブラリを活用することです」と語るのはPhDの学生であるGierad Laputだ。「それらは、きれいで、きちんと分類されていて、分割されていますし、多様です。さらには、数百の異なるバリエーションに変換して利用することで、ディープラーニングモデルのトレーニングに最適な量のデータを作成することができます」。

リリースより:

Laputは、音を認識して正しい文脈に位置付けることは難しいと語った。しばしば複数の音が存在し、お互いに干渉する可能性があるためだ。彼らのテストでは、Ubicousticsは約80%の正確さを保っていた。これは人間の正確さに匹敵するものだが、ユーザーアプリケーションをサポートするにはまだ十分ではない。マイクロフォンの向上、より高いサンプリングレート、異なるモデルアーキテクチャなどの全てが、今後の研究で認識精度を向上させる役に立つだろう。

他の論文では、HCIIのPh.D学生のYang Zhangは、LaputならびにHarrisonと共に、彼らがVibrosightと呼ぶものについて記述している。これはレーザー振動計を使用して室内の特定の場所で振動を検出できるものだ。これはかつてKGBが、窓などの反射面の表面の振動を検知して会話を聞き取るために使った、光学式のデバイスに似たものだ。

今回のシステムは、低出力レーザーおよび反射器を使用して、ある対象がオンまたはオフなのか、あるいは椅子やテーブルが動いたか否かを検知することができる。センサーは複数のオブジェクトを一度に監視することができ、オブジェクトに貼り付けられたタグは電力を消費しない。これにより1台のレーザー装置が、光が届く限り、ある部屋の中の(場合によっては複数の部屋の中の)複数の物体を監視することが可能となる。

研究はまだ初期段階だが、やがてロボットが、人間が皿洗いをやっているのを聞きつけ、その手際の良さに応じて、黙っていたり手伝いを申し出たりするようになるかもしれない。

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(翻訳:sako)

CasioのオールメタルG-Shockが設定やアラームをBluetooth化してややスマート化

Casioが最初のG-Shockウォッチをリリースしたのは1983年だ。その初代は、クォーツモジュールを保護するすばらしい耐衝撃性によって、タフなウォッチのバーを上げた。今やクラシックウォッチだが、2018年の今でもさまざまな機種が売られている。

最近Casioは、このウォッチのオールメタルバージョンを発売した。それはその独特のデザインを維持しつつ、Bluetoothなどのモダンなテクノロジーをフィーチャーしている。スマートウォッチではないが、ちょっとばかしスマートだ。

Bluetoothの機能はシンプルだが一見の価値がある。それを使ってオーナーは、ウォッチの設定にアクセスできる。ウォッチの上のメニューをたどる代わりにスマートフォンのアプリを使って時間を(スマートフォンの時間へ)シンクし、いろんな設定を調整し、アラームやリマインダーをセットする。ウォッチの上のボタンをひとつ押すだけで、アプリが立ち上がる。Bluetoothの接続や設定はスマホ側が全部やるので、ウォッチ側は何もしないでよい。

実際にやってみると、とても新鮮な感じだ。スマートフォンが常時必要なのではなく、必要に応じて接続する。これが時間管理の未来の形なら、大歓迎だ。ぼくは複雑なメカが大好きな方だが、それでも時間帯とかアラームの設定は面倒くさい。アプリがそれをやってくれるのなら、大いにけっこうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

記者失踪問題に絡みサウジ同盟がUberボイコットを展開

Uberが、ペルシャ湾地域でボイコット運動に直面している。この地域は近年、同社の配車サービス事業に何十億ドルもの投資を注いできたところだ:Saudi Arabia’s Public Investment Fund(PIF)を通じて直接的に、そしてUberの別の大きな投資家であるSoftbankのVision Fundにサウジが主要インベスターとして出資しているのを通して間接的に投資を行なってきた。

この地域が呼びかけているUberボイコットはサウジ同盟が昨日火をつけた。BloombergReutersの報道によると、バーレーンの外相がUberボイコットを求めるハッシュタグをリツイートした。

Uberのスボークスマンはこの件についてコメントを拒否している。

ツイッター上でのボイコット呼びかけでは、Uberアプリを同業ライバルCareemにかえるようユーザーに促している。ただし、このUber以外の選択肢がすでに当地で展開されているのかは定かではない。

Uberへの怒りは、UberのCEOであるDara Khosrowshahiサウジ記者Jamal Khashoggi失踪事件への反応が引き金となっている。Khashoggiは米国居住者で、トルコ市民の女性と結婚するための書類を入手しようと、アポを入れていた10月2日にイスタンブールにあるサウジ総領事館に入って以来、姿を消している。

新聞の報道ではKhashoggiは、殺人を目的にトルコに入国したサウジの暗殺チームによって総領事館の中で殺害された。サウジ出身の国外在住ジャーナリストは皇太子の体制に批判的な記事を書いていた。

独立系のケーブルテレビの映像では、Khashoggiが総領事館に入るところが映っているが、そこを出てきたことを示すものは何もない。しかし、サウジ政府は関与を否定していて、サウジ市民はトルコを観光目的で訪れているだけだと主張した。

Khashoggi失踪に関する懸念の高まりを受け、企業トップが相次いで今月下旬にサウジの首都で開かれる投資会議への出席取りやめを発表し、UberのCEOはそのうちの一人だった。

Khosrowshahiは先週、「Jamal Khashoggiについての今日までの報道を大変憂慮している。この件を注意深く見守り、かなり異なる事実が出てこない限りはリヤドで開かれるFII会議には出席しないだろう」との声明を出している。

Uberは今日TechCrunchに対し、Khosrowshahiが未来投資イニシアチブ会議に出席しないことを認めた。この会議はサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、別名MBSが主催するものだ。彼はPIFのチェアマンで、Uberの役員会のメンバーでもあり、Uberにとって鍵となるインベスターだ。

こうしたつながりが、今回の件を自身の方針にどう照らすのか、Khosrowshahiにとって複雑なものにしているーKhosrowshahiはUberのCEOに就任したとき、ルールの一つとして「終始正しいことをやる」と示した。

Uberが2年前にサウジPIFから35億ドルの出資を受けたとき、「正しいことをやる」はたった一つのことしか意味していなかった。それはUberを成長させるということだ。CEOで創業者のTravis Kalanickにとって交渉時は特に懸念事項はなかった。

サウジから資金を調達したとき、Kalanickは「我々はグローバルでのプレゼンスを拡大し続けるが、我々のビジネスを後押ししてくれるのはありがたい。サウジアラビアでの経験は、Uberがいかに乗客、ドライバー、そして街に貢献できるか良い例となる。サウジアラビアの経済・社会刷新をサポートするためのパートナーとなることを楽しにみにしている」と言っていた。

当時のサウジは、改革のイメージとなるようなプロジェクトを探していて、と同時にイエメンに軍事介入し、さらには国内の批判を抑圧するという長い歴史を抱えていた。そうした保守的なレジームから投資を受けることの倫理的、政治的リスクについて、Kalanickが考慮したかどうかは定かではない。

しかし2016年に、そしてSoftBankを介して昨年末に再びサウジの投資を受けるという選択はいま、Khosrowshahiの大きな悩みのタネとなっている。

Mangrove Capital Partnersの創業者でCEOのMark Tluszczは、UberそしてインベスターのSoftBankに“アップサイドはない”とツイートし、UberのCEOはKhashoggiの運命についての懸念を自分自身に向けるべきだと提案している。

続いてあった人権についての質問に対する返事として、Tluszczはまた「CEOは個人的に自分のしたいことをしてもいい。しかし個人的な意見を表明するのに肩書きを使うべきではない。個人的な考えが全ての株主の益になるかは疑わしい」と述べている。

Bloombergはまた、Khashoggi失踪についての抗議が高まるにつれ、そしてVision Fundとともにとったアプローチにインベスターが疑いの眼差しを向けるにつれ、SoftBankによる株保有は厄介なものになり続ける、と指摘している。

Uberの場合、Khosrowshahiは治外法権のジャーナリスト失踪について、サウジ政府に対し批判的なことは何も言っていない、ともいえる。しかしこれが、‘正しいことをする’と声高にPRしていたCEOを難しい立場に追いやっている。

‘Uber:時々我々は正しいことをする’は、‘終始我々は正しいことをする’とは同じ意味とならない。Uberブランドにある悪を出し切ることは、明らかにKhosrowshahiがUberにい続けられるかどうか鍵を握る要素となる。

にもかかわらず、同時にUberは何十億ドルものサウジ投資に浸かったままだ。PRメッセージだけでは、社の投資ストラクチャーの問題にもつながる過去の問題ある決断を洗い清めることはできない。

それは言葉以上のものを要する。

だからUberはいま、Khosrowshahiの発言のために地域限定の逆風の中にいる。偽善者のように見える可能性もあるが、自らを大株主と対峙させることになっているーこれは新たなインベスターがらみのいざこざとなるリスクがある。

過去の問題が経営に深くかかわるとき、近道はないといってもいいだろう。

もちろん、サウジの資金を活用しているのはUberだけではない。TechCrunchが先週報道したように、他にも多くのシリコンバレー企業が最近のMBSの歩み寄りを歓迎していて、少なからずSoftBankのvision fundを通じてサウジのPIF資金を受け入れている。

MBSについて、ボストン拠点のFlybridge Capital PartnersのJeff Bussgangは先週我々に対し、ベンチャーや未公開企業は何年も中東のキャピタル筋から資金を調達している、と語った。そして、「通常、起業家は政治にフォーカスするのを好まず、歴史的に金の出どころに多くの注意を払わない(“PLOやイランから”の金でない限り)」と付け加えた。

将来の起業家が、投資がどこからくるのかさほど気にかけなくていいほどにおごっていられるのかは、現時点では不透明だ。政治的、そして地政学的なリスクは間違いなく起業家のレーダーで大きな存在になるに違いない。

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(翻訳:Mizoguchi)

“ながらSNS”をスマホでも、モバイルブラウザ「Smooz」に分割・小画面機能が新登場

「動画を観ながらWikipediaで調べ物」、「ゲームをしながらSNS」。僕を含む“ながら族“の皆さんにとってはちょっと嬉しいニュースがあるので紹介したい。

2016年の「TechCrunch Tokyoスタートアップバトル」にも登場したスマホブラウザ「Smooz」に分割・小画面機能が新たに登場した。Smoozを提供するアスツールによれば、モバイルブラウザが分割機能・小画面機能の両方を備えるのはこれが世界初という。

横スワイプのワンアクションでタブを切り替えることができるSmoozは、スマホでもPCのようにタブを複数ひらいて調べ物をしたいという人に最適なブラウザだ。そんな特徴から、ブラウザゲームをプレイしながらSNSに投稿したり、動画を観ながらネットで調べ物をするというユーザーが多いという。

分割・小画面機能はそんなユーザーからの要望がきっかけで誕生した新機能。これがあれば、タブの切り替えなしに複数サイトを同時に閲覧することができる。画面を上下に分割するのが「分割画面モード」。そして、YouTubeのモバイルアプリのように、画面の片隅に小さくWebページを表示するのが「小画面モード」だ。

この新機能は月額380円の有料会員に加入することで利用できるようになる。ただ、1週間に5回までは無料で利用可能だ。有料会員には本機能のほかにも、広告ブロック機能、プレミアムジェスチャー機能(無料で使える標準ジェスチャー5個のほかに、追加的なジェスチャー5個が使用可能)、かざして検索機能などの恩恵がある。2017年9月に追加された広告ブロック機能とかざして検索機能の詳細についてはこちらの記事も参考にしてほしい。

アスツールは、2016年2月に元楽天社員の加藤雄一氏が設立したスタートアップ。2016年9月にSmoozをローンチして以来、同ブラウザのダウンロード数は累計60万件を超えた。課金比率などは非公開だが、加藤氏によれば「前年比で10倍に伸びている」という。SmoozはiOSAndroidの両方で利用可能だ。

マイクロソフト共同創業者ポール・アレン、65歳で死去

Microsoftの共同ファウンダー、Paul Allenが本日(米国時間10/15)午後シアトルで死去した。65歳だった。死因は非ホジキンリンパ腫合併症。

アレンが1986年に設立した非公開会社、Vulcanが公開した声明にこう書かれている、「深い悲しみとともに当社のファウンダー、Paul G. Allenの逝去を報告する。PaulはMicrosoftの共同ファウンダーであり、著名な技術者、篤志家、コミュニティービルダー、自然保護活動家、ミュージシャン、そして芸術の支援者だった」

彼の妹で長年VulcanのCEOを務めた実業家、Jody Allenも声明を発表し、兄について「あらゆるレベルで卓越した人物だった。Paul Allenは多くの人たちに技術者や慈善家として知られていたが、われわれにとっては愛する兄であり叔父であり類まれな友人だった。」と書いた。
「Paulの家族と友人たちは彼の知性、温かさ、寛大さ、そして深い懸念を体験する幸運に恵まれた。忙しいスケジュールの中、彼は常に家族や友人との時間を設けた。われわれ、そして多くの人たちの悲しみのときである今、彼が毎日行動で示していた気遣いと懸念に深く感謝している」

アレンは自身2度目の非ホジキンリンパ腫と戦っていた。体のリンパ系から発生するがんで、白血球の一種であるリンパ球から生じる腫瘍を引き起こす病気だ。

わずか2週間前、アレンは9年前に治療に成功したがんが再発したことを公表し、主治医は「よい結果になることに楽観的」であるとTwitterに書いた。

最近の数十年、アレンはさまざまな分野で知られていた。スポーツを愛し、音楽を愛し、それらに関連して、高価なおもちゃを愛し、そこから数多くのコレクションも築いた。

アレンは、アメリカンフットボール(NFL)チームのシアトル・シーホークスとバスケットボール(NBA)チームのポートランド・トレイルブレイザーズのオーナーであり、サッカーのメジャーリーグチーム、シアトル・サウンダーズFCの共同オーナーでもあった。極めて有能なギタリストだったアレンは、長年にわたり驚くほど多くのギターを収集し、その中にはジミ・ヘンドリックスやウディー・ガスリーが所有していた一ものもあった。

アレンの414フィートのメガヨット “Octopus” が、おそらく最も多くの見出しを飾っただろう——壮大なスケールだけでなく、その野心的探検によって。中でも有名なのが、2015年にアレン指揮の下、研究チームがこの船を使い、1944年に沈没した第二次世界大戦最大級の軍艦である日本の「武蔵」の残骸を発見したことだ。

当時アレンはCNNに、第二次世界大戦の歴史へ強い興味について、父親が米国陸軍に従事していたこと由来すると言い、「武蔵は間違いなく驚異のエンジニアリングであり、生粋のエンジニアとして私は、その建造に注ぎ込まれたテクノロジーと努力に深い敬意を持っている」と語った(さらにAllenは、少なくとも20機の第二次世界大戦の飛行機を一時期所有していた)。

その華麗な生活スタイルの一方で、アレンは慈善活動家としても知られており、最近ではシアトル市役所に3000万ドルを寄付し、ホームレスや低所得家族94世帯を収容する共同住宅の建築に貢献した。2010年にはGiving Pledgeキャンペーンに参加し、財産の半分以上を供出した。彼の最近の純資産は約200億ドルと推定されている。

アレンがMicrosoftを離れた1983年、彼は初めて非ホジキンリンパ腫と診断された。近年にはより治療可能な疾患となったが、早期に発見されないと死に至るか、呼吸障害、感染症などの原因となる。

アレンが初めて共同ファウンダーのビル・ゲイツと出会ったのは、ふたりがシアトルのレイクサイドスクール通っているときだった。アレンは当時14歳、ゲイツは12歳だった。その後10年以内に彼らはMicrosoftを作ったが、アレンが会社を去る頃までに、ふたりの長い友情はぼろぼろになっていた。

実際、2011年にアレンは自叙伝を出版し、その中でゲイツを要求が多く対立的な性格だと評し、アレンががんと戦っていた1982年には、ゲイツと後のMicrosoft CEO Steve Ballmerが「私を陥れる計画」を企んでいたと書いた。

ゲイツとアレンは後に和解したと見られ、2013年には1981年当時の2人が写った古い写真の再現までしてみせた。

画像クレジット:Paul G Allen Foundation

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インターネット権利法案は私たちの道義的義務の一部に過ぎない

[著者:David Gorodyansky]
プライバシーアプリHotspot ShieldのメーカーAnchorFreeの共同創設者。

米連邦下院議員Ro Khannaが提案しているインターネットの権利法(Internet Bill of Rights)案は、インターネットの個人の権利擁護を積極的に推進する。これは、アメリカならびに世界の現在の法律に欠けている決定的な要素を示すガイドラインであり、すべての党派に伝わるよう一括化されている。悪魔は細部に潜んでいるというのが夜の常だ。Khanna議員のインターネット権利法案には、まだかなり主観的な部分が残っている。

しかし、ひとつ無視してはならないこととして、我々個人は、この公共財、つまりインターネットにおいて権利を持つばかりでなく、道義的義務も負っているという点だ。ウェブは私たちの生活に、良い意味で多大な影響を与えた。私たちには、それをこのまま育ててゆく共同責任がある。

この法案に書かれている権利の一部に、市民が、インターネットに集められた自分たちの情報を自分で管理できる権利を持つこと、そしてその情報に基づいて差別されるべきでないとすることがあるが、それは誰もが同意するだろう。インターネット接続業者が通信をブロックしたり、速度を絞ったり、料金に応じて利用者を優遇するなどして、世界の情報にアクセスする権利を奪ってはいけないという点にも、誰もが賛同するだろう。さらに、透明でわかりやすい料金体系で、適正価格のプロバイダー複数に自由にアクセスできる権利も、万人の希望だ思う。

これらすべては、Khanna議員の法案に盛り込まれている。私はそのすべてを全面的に支持する。

FacebookやGoogleなどの大企業の最近の動向を見るにつけ、デジタル時代に相応しい法律がぜひとも必要だと感じる。技術の進歩は非常に早く、法規制が追いついてゆけない。そこで、利用者を保護するためには、劇的な改善が必要となる。

しかし、よく理解しておくべきは、企業も政府も個人も、みな繁栄のために同じインターネットに依存しているということだ。どの団体にも、それぞれに独自の権利や責任があるが、重点を置くべきは、責任のほうだ。

ゴミを例にとって考えてみよう。道端にゴミを捨てることを法律で禁じている地域は多い。しかし、そうした法律とは別に、私たちには、自分たちが住む環境や世界を守らなければならないという道義的な義務も存在する。大抵、人々はその義務を果たしている。なぜなら、それは正しいことであり、住む場所を美しく保という社会的な空気があるからだ。罰金を取られるのが嫌だからではない。

同じように、インターネットについても考えてみよう。

個人も企業も政府も、高い意識を持ち、インターネットに対する責任を明確に描く必要がある。この3つのグループは、どれもこの責任を完全に果たさなければならない。それは法律や罰則のためではなく、それが最大の利益をもたらすからだ。

個人の場合、自分が描ける最高の夢をも超える力をインターネットが与えてくれた。そして、次々と思わぬ方法を使って私たちを結びつけようとしてくれている。企業にとってインターネットは、従来の方法では到達し得なかった広大にして儲けの大きな市場への足がかりをもたらしてくれる。政府にすれば、インターネットによって、よりよいサービスを市民に届けることが可能になり、国境を挟んで、または国境の外に新しいビジネスを創設し、これまでにはあり得なかった水準の税収がもたらされるようになった。

すべての人が、本当の意味であらゆる人が、安全でオープンなインターネットの恩恵を受けてきた。これからも受け続けるだろう。そこに気がついた私たちの社会は、責任を果たさない人たちに強い圧力を掛けるようになってきた。

世界の住民である私たちは、今日あるインターネットの発展に貢献してくれた人たちに、大いに感謝すべきだ。もし、目先のことしか考えられない政府が、国境の中にインターネットを閉じ込めようとしたら、そんなことは許すべきではない。それは私たちを傷つけるだけではない。政府そのものが、貿易の減少から税収を失い、国民からの信頼も失ってしまう。政府は、短期的な考え方に囚われるあまり、長期的な利益を見失うことが少なくない。そのような国では、厳重な規制によってインターネットの情報にアクセスできない人たちが20億人もいる。

もし、インターネット接続業者が、インターネットで提供される情報を好きなように管理できるようになってしまったら、これも許すべきではない。そんなことをすれば、結局はその業者は収益を失うことになる。貧弱で多様性のないインターネットのサービスを提供したところで、そんなものを利用したいと思う人はいない。業者は信頼を失い、顧客は離れていってしまう。

インターネットがなくなれば、私たちの世界は急停止してしまう。オープンなインターネットに制限をかければ、それがなんであれ、人類の進歩と発展を減速させることになる。そうした制限を課する輩は、私たちとともに廃れてゆく。

そのために私たちには、インターネットが本来の目的を維持できるようにする道義的な責任を負っている。もちろん、1989年の時点では、ワールドワイドウェブ(WWW)が世界にどんなインパクトを与えるかなど、誰も予測できなかった。Sir Tim Berners-Lee本人ですら、わからなかっただろう。だが簡単に言えばそれは、「誰がどこにいようとも」人とつながれるものであり、膨大な情報を利用できるものであり、生活をより良くするための力を個人に与えてくれるものだ。

それは、オープンで無料のインターネットだからこそ可能なことだ。

今後5年間で、ガレージの電動シャッターや冷蔵庫や暖房の温度調節器やマットレスまで、無数のデバイスがIoTによって接続されるようになる。さらに、発展途上市場に住む50億人の利用者がインターネットに参加してくる。このふたつの大きな変化は、信じられないほど素晴らしい好機を生み出すであろうが、同時に、私たちの個人情報の悪用も増加し、インターネットユーザーである私たちは、ますます脆弱になってゆく恐れがある。

今こそ、アメリカのみならず世界中の国々で、インターネットの保護を適切に提供するときであり、それがKhanna議員のような人たちに論議を進めさせる推進力となる。このインターネット権利法案が、超党派の法案となり、本当の変化が起きることを祈るばかりだ。

結果はどうあれ、私たちは自分たちの道義的責任の遂行を怠ってはいけない。個人も、大企業も、政府もみな同じだ。オープンなインターネットを守るために、私たちみんなでそれを背負うことが必要だ。もしかしてインターネットは、現代社会でもっとも意味深くインパクトのある発明品だからだ。

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(翻訳:金井哲夫)

メジャーなブラウザーが全員同時にTLS旧版(1.0, 1.1)のサポートを停止する

Firefox, Chrome, Edge, Internet Explorer, そしてSafariなどのWebブラウザーがすべて、オンラインのセキュリティプロトコルTLSの古いバージョンのサポートを停止する。TLSは、インターネット上の暗号化された情報交換のほとんどすべてで使われており、長く使われているあまり安全でないTLS 1.0と1.1も、今だに多くの接続で許容されている。しかしそれも、もう終わりだ。

Transport Layer Securityはコミュニティが開発したスタンダードで、その1.0は20年近く前にリリースされた。しかし1.0とその親戚の1.1には欠陥があって、暗号化による安全な通信に使うのは危険であることが、前から知られていた。2008年に1.2がその重大な欠陥に対処し、現在は大多数のクライアントがこれを使っている。今年初めにリリースされた1.3は、このスタンダードを改良および合理化したが、これにアップデートしたサーバーはまだそれほど多くない。

旧版のサポート停止についてMozilla, Google, Microsoft, WebKitの各陣営がそれぞれ別々に、同じような発表をしている。1.0と1.1は2020年初頭に全廃される。3月と言っている発表もあるが、他もだいたいそのころだろう。

MicrosoftのKyle Pflugがこう書いている: “セキュリティの技術が無変更であり続ける期間として20年は長い。TLS 1.0と1.1の弊社による最新の実装に重大な脆弱性は見当たらないが、サードパーティによる脆弱な実装は存在する。新しいバージョンへ移行することによって、誰にとってもより安全なWebが確保されるだろう”。

ユーザーは、何もしなくてよい。ブラウザーもアプリケーションも、前と同じように動く。おそらく今は、1.2を使っているところが多いだろう。Mozillaが作ったチャート(下図)によると、古いバージョンを使っているところはごくわずかだ。

しかしこれらの、数少ない古い危険な接続は、いろんなもので使われている。レガシーの組み込みマシンがあちこちにあるし、セキュリティスタックを何年もアップデートしていない古いアプリケーションや、ハックされたデバイスもある。そのことを、あなただけでなく、あなたのご両親も知らない。

リードタイムを長くしたのは、たとえば地方自治体などに重要なレガシーシステムがあるからだ。それらは、TLS旧版のサポート停止で動かなくなる〔例: あるアプリケーションが使えない〕かもしれない。その可能性も含め、本格的なシステム監査が必要だ。もっと何年も前に、やるべきだったのだが。

今回の変更によって、ネット上で誰もが前より安全になるが、すべては前と変らず動き続ける。そういう設計だから。

〔TLS 1.3関連本誌翻訳記事: IETFがTLS 1.3を承認、悪質なハッカーや盗聴者が仕事をしづらくなる仕掛けを盛り込む最新のトランスポートレイヤーセキュリティ(TLS)プロトコルを強化するライブラリを、Facebookがオープンソース化FirefoxやFacebookなどがインターネットの新しいセキュリティプロトコルTLS 1.3をすでにサポート。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Premiere Rush CCはパソコンでもモバイルでもビデオ編集可能――AdobeからYouTuber向けツール登場

今年初頭、Adobeはマルチプラットフォームのビデオ編集プロダクトのプレビュー版をProject Rushとして発表した。今日(米国時間10/15)開幕したAdobe MaxカンファレンスではProjectが外れ、Premiere Rush CCとしてCreative Cloudの一員となったことが発表された

Rushの狙いは非常にストレートで、オールインワンの効率的なビデオ編集ツールの提供を目指している。これはパソコンであれモバイルであれ、あらゆるプラットフォームですばやくビデオを編集し、YouTubeなどのソーシャルメディアにアップしたいという現代のビデオ・クリエーターのニーズに合わせたプロダクトだ。実際、紹介ビデオを見るとYouTube世代がターゲットであることがよく分かる。

RushはAdobeのオーディオ、ビデオ編集ツールのコア部分を抽出し、モバイル、デスクトップの双方をサポートする単一ツールにまとめたプロダクトだ。たとえばモーション・グラフィックスにはテンプレートが用意されおり、文字や画像にアニメーション効果を加えることができる。これによりRushのユーザーは目を引くタイトルの作成が簡単にできる。また色味の調整はフル機能のビデオソフト、Premiere Proに用いられているテクノロジーと基本的に同じものだ。オーディオ編集には既存のAuditionで用いられたの同じダッキング機能がサポートされており、ユーザーがナレーションを録音するとき他の音量が自動的に絞られる。

編集はすべてのプラットフォームで同期されるので、ビデオブロガーはスマートフォンで録画し編集を始めた後、ノートパソコンで仕上げで公開するなどができる。

製品版のRushの機能は数ヶ月前にAdobeが予告していたとおりだが、今日のカンファレンスでの発表では今後予定されているアップグレードのプレビューも紹介された。近々(Adobeによれ来年)、RushはAndroidでも利用できるようになる。またスピード調整機能がサポートされ、再生速度を増減できる(この機能はYouTubeでやたらに使われることになりうそうだが)。またプラットフォーム別に数種のビデオファイルを簡単に出力できるようになる。また当然、処理速度も改善される。

Premiere Rush はCreative Cloudのフルバージョンの契約者の場合、自動的に利用可能となる。単一アプり版、学生版の契約も用意されており、個人の場合月額9.99ドル、チームの場合月額19.99ドルだ。スターター・プランは無料でアプリの全機能が利用できるが、エクスポートは3プロジェクトまでとなっている。

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滑川海彦@Facebook Google+

TwilioがメールのAPIを提供しているSendGridを$2Bで買収、オムニチャネルサービスの充実のためか

今や至るところで使われている通信プラットホームTwilioが今日(米国時間10/15)、メールのAPIを提供しているSendGridを、約20億ドルの株式取引で買収する、と発表した。これはTwilioのこれまでで最大の買収だが、どちらも業務の中心がデベロッパーにとって使いやすい通信プラットホーム(主にAPIの提供)の構築である、という点では共通している。

Twilioの協同ファウンダーJeff Lawsonが、今日の発表声明で述べている: “両社は同じビジョンと、ビジネスモデルと、同じ価値を共有している。デベロッパー向け通信プラットホームの二つのトップ企業がこうやって合体することは、一生に一度の機会であり、これにより、顧客のエンゲージメントの変革を志向しているすべての企業にとって、迷いなく選べるプラットホームが作られることになる”。

SendGridはTwilioの完全子会社になり、その普通株はTwilioの株式に変換される。両社は買収の完了を2019年の前半と見ており、それまでに当局の承認も得られると思われる。

Twilioの現在のフォーカスはオムニチャネルの通信にあり、言うまでもなくメールはその重要な要素のひとつだ。すでに同社は音声やビデオ、チャットなどでは豊富なサービスを提供しているが、これまではなぜか、メールが欠けていた。今回の買収で同社はいきなり、この分野の専門技術をデベロッパーに提供できることになり、サービスの種類が拡大される。

SendGridは、2017年に上場した。そのときの株価は、16ドルだった。今日では、買収の発表の前の時点で31ドル弱だったが、当然ながら発表と同時に急上昇した。それでも先月の36.5ドルより低いが、ご存知のように今株式市場は全体的に軟調である。

この発表は、Twilioの例年のデベロッパーカンファレンス(10/17-18)の直前に行われた。そのときには、SendGridについて詳しい話が聞けるのではないか。

本誌も今Twilioに詳しい情報を求めているので、何か得られ次第この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Adobe、AR構築ツールとiPadアプリを発表――MAXカンファレンス開幕

今日(米国時間10/15)、ロサンゼルスで開幕したAdobe MaxカンファレンスではCreative Cloud(CC)ベースの新しいツールがいくつも発表された。中でも注目されたのはAR体験を構築するProject AeroとiPad上でラスターとベクター双方の作画ができるProject Geminiだ。

Projectというのは初期段階のバージョンで、まだ一般ユーザー向け安定版プロダクトではないことを示すAdobe流の用語だ。しかし近くProjectが外れてCCの正式な一員となるだろう。

AdobeがARツールを発表することは十分に予想された展開だった。ARテクノロジーが業界にこれだけ大きなバズを巻き起こしているというのにAdobeがじっと傍観していることはあり得ない(VRの場合もdobeはパイオニアの一社だった)。Project AeroはAdobe DimensionやPhotoshopと統合されており、作成された資産は簡単にインポートできる。現在はプライベート・ベータだが、年明けには公開範囲がさらに拡大されるはずだ。

Project GeminiはiPad向けのスタンドアローンのグラフィックス・ツールで、Photoshopのペイント・エンジンを利用している。このアプリはPhotoshop SketchやIllustrator Drawなど既存のモバイル・アプリのテクノロジーも使っている。タイムラプス効果やPhotoshopブラシのサポートはこれらのアプリから採用されたものだ。しかし選択やマスクのツール、グリッド、ガイドなどが含まれ、ラスターとベクターの双方で画像を作成できる新しいパッケージに再構成されている。

興味深い点は、このプロジェクトにおけるKyle T. Websterの存在だ。AdobeはWebsterのPhotoshopに多数のブラシを提供するサービスをちょうど1年前に買収している。

Adobeは今日発表されたリリースにこう書いている。

あらゆるスキルレベルのアーティストを対象とした厳しいテストの結果、われわれはドローイング・ツールが効果的に働く仕組みについて理解を深めた。Project Geminiのすべての機能は ドローイングとペインティングのワークフローを効率化することを目的としている。ユーザーは水彩風、油絵風などKyle
Websterが制作した自然なタッチのデジタルブラシを全面的に利用できる。また選択、マスク、変形もサポートされている他、Adobeのリサーチ・チームが開発した買う↑アズのテクノロジーが統合sれている。

Geminiではダイナミック・ブラシを含めPhotoshopがサポートしているブラシがすべて利用できる。また作成したファイルは両プロダクトの間で自由にやり取りできるという。

Adobe Maxで発表された他のプロダクト同様、Project Geminiもまだプライベート・ベータだ。また当面、デバイスはiPadがサポートされる。ただしAdobeでは他のプラットフォームにもサポートを拡大する計画だ。AdobeとMicrosoftの緊密な関係やAndroidにはこれというほどの魅力的なタブレットが存在しないことを考えると、サポートの拡大というのはWindowsベースのタブレットを指すのだろうと思う。

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滑川海彦@Facebook Google+

Adobe、Photoshop CCのiPad版を発表

Adobeが同社の Creative Cloudアプリを近代化して、あらゆるプラットフォームに持ち込もうとしていることは周知の事実だ。本日(米国時間10/15))同社は、ロサンゼルスで行われたMaxカンファレンスで、Photoshop CCのiPad版を正式にアナウンスした。

残念ながら今すぐ試すことはできないが、2019年になったら、あらゆる画像をiPadでレタッチできるようになる。そして、当初はデスクトップ版の全機能を使うことはできないが、今後追加していく予定だとメーカーは言っている。

あらゆるAdobe製品がそうであるように、Photoshop for iPadは他のあらゆるバージョンのPhotoshopと互換があり、PSDに加えた変更はデバイスを横断してすべて同期される。ユーザー体験が一から再構築され、タッチ用にデザイン変更されているのも驚きではない。標準Photoshopの画像編集ツールとレイヤーパネルのほとんどが実装される。もちろん、デジタルスタイラスにも対応している。

iPadバージョンはデスクトップ版Photoshopとコードベースを共有しているため、「機能やパフォーマンスや編集結果に妥協は一切ない」とAdobeは言っている。

しかし現時点でPhotoshop CC iPad版についてわかっていることは、これくらいだ。これ以上は2019年まで待つしかない。もっとも、知っておくべきことはおそらくこれだけだ。Adobeはずっと以前から、ユーザーがどこにいても作業ができるようにしたい、と言ってきた。当初それは、大きなCreative Cloudエコシステムと同期する、機能に特化した数多くの小さなアプリ群のことを意味していたが、今はPhotoshopのような巨大アプリのフルバージョンをモバイルで動かす方向にシフトしているようだ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

レビュー:小さな129ドルのEcho Subでオーディオ環境が格段にアップする

音楽をもっといい音で聴きたい? それならサブウーファーを追加することだ。Amazonもそうすることにした。これで、Echoスマートスピーカーのラインナップは、ずっと面白くなった。Echoの音を不満に感じていたとしたら、Echo Subを追加してもう一度試して欲しい。きっと考えが変わる。

Echo Subは、小型の丸いサブウーファーで、Echoスピーカーと同じファブリックのカバーをかぶっている。ただし、現在色はチャコールのみ。床にも机の上にも置けるようデザインされ、Echoスピーカーでは再現できなかった低音域を発生する。Echo Subは、Echoスピーカーの音を、より完全に、より楽しく補完し、バランスの良い、より原音に近い音場を作るという使命を、うまく果たしている。Echo Subは、Echoオーナーには必須のアイテムだ。

レビュー

Amazonは、99ドル(約1万1000円)のEchoスピーカーのペアと、129ドル(約1万4400円:日本では1万5980円で10月30日に発売予定)のEcho SubをTechCrunchに提供してくれた。このセットは249ドル(約2万7900円)で発売されているが、Amazonは、Echo SubとEcho Plusのバンドルセットも329ドル(約3万6800円)で販売している。その違いには、価格の差に値するものがある。

設置には25分ほどかかる。それぞれのスピーカーをAlexaスマートフォンアプリで個別に追加するようになっている。すべてのスピーカーの設定が終わったら、これらをバーチャルグループにまとめる。アプリは、それを簡単に行えるように助けてくれるのだが、その工程でいくつかバグに遭遇した。スピーカーをグループに追加するときに、スピーカーを認識できないことが何度かあった。また、2つのスピーカーは認識できても、Subが見つからないということもあった。それでもなんとか設定を済ませ、2つのEchoスピーカーでステレオをサウンドを鳴らし、Echo Subで低音を出すことができた。

Echoスピーカー1つとサブウーファーを追加したことで、音がとても良くなった。しかし、驚くにはあたらない。ステレオにして音楽がより楽しくなるのは当然のことだ。

数年前に登場したJAMBOXは、ある世代に、音楽を聴くにはスピーカーはひつで十分だと思い込ませた。しかし、それはウソだ。ひとつでも音楽は聴けるが、ステレオならなおいい。さらに、Echoの場合はサブウーファーまで付いたのだから、もっといい。

Des Rocsの『Let me Live』は、この新しいサウンドステージを存分に活かしている曲だ。左右のスピーカーはその能力を爆発させ、Amazon EchoやApple HomePadのひとつのスピーカーでは味わえなかった没入感溢れるサウンドを楽しませてくれる。ステレオによって、音楽は生き生きと響く。

AKA Georgeの『Stone Cold Classic』も、このセットで生き返る。Echo Subはドラマチックな低音をトラックに与え、ステレオのEchoスピーカーが最高のエクスペリエンスを作り出す。まだ信用できない? ならばヴァン・ヘイレンの『パナマ』を聴いてみよう。ひとつだけのスピーカーでは、チャンネルがごちゃ混ぜになってしまい、この本来のサウンドは味わえない。しかし、本当のステレオとサブウーファーとの組み合わせにより、デイヴ・リー・ロスの声が生のように聞こえる。

249ドルのセットのサウンドには、本当に驚いた。重い仕事を大幅にEcho Subに割り当てることで、Echoスピーカーは中音から高音に専念できるようになり、この価格にしてはクリアで正確なサウンドが再現可能になった。249ドルで、Echoスピーカー2台とEcho Subのセットに匹敵するオーディオシステムを探そうと思ったら大変だ。さらに、Echoのスマートな機能が魅力を高めている。

Amazonから99ドルで発売されているEchoスピーカー2台でも、それなりに仕事はしてくれるが、149ドル(約1万6700円)のEcho PlusスピーカーとEcho Subを組み合わせたとき、その違いが歴然とわかる。Echo Plusを2台使えば、サウンドがさらによくなる。セットで買えば、価格の差はわずかだ。

Echo Subは、ほとんどの状況にうまくはまってくれる。他のサブウーファーと比べて小型だ。必要な低音が十分に出せるが、壁を振るわえるほどではない。ズンズン響くこともない。ハードロックやノリのいいポップスに向いている。車のトランクをぶるぶる震わせるようなラップには向かない。たとえば、アークティック・モンキーはいいが、ポスト・マローンにはちょっと合わない。

Alexaアプリを使うと、Echo Subの低音、中音、高音の調整ができる。ただ、調整範囲は限定的で、ウーファーの音響的特徴を極端に変えることはできない。全体的に、Echo Subは、2つのEchoスピーカーとうまく調和する、エレガントな小型サブウーファーということだ。

Echo Subは、Echoスピーカー1台だけでも使うこともできる。Echoスピーカーを1台しか持っていないという人でも、Echo Subを加えれば、驚くほど音質が向上する。

スマートスピーカーを組み合わせて新世代のステレオサウンドを構成しているのは、Amazonだけではない。Sonosは、ずっと前から複数のスピーカーを無線で接続して、ステレオやサラウンド音響が作れるようにしていた。Google Home Maxも、2台組み合わせれば可愛いステレオセットになる。Apple HomePodもそうだ。350ドル(約3万9000円)のHomePodを無線で2台つなげばステレオになる。これらのシステムは、どれも素晴らしいオーディオ品質を提供してくれるが、Amazonのものに比べて全体に高価だ。また、Amazonの他に専用のサブウーファーがあるのはSonosだけだ。

Echo Subを加えたAmazonは、同等の他社製品よりもずっと安価に、高い音質を提供できるようになった。129ドルのEcho Subは、コンパクトで高性能で、Echoスピーカーを即座にアップグレードできる最善の方法だ。もし可能なら、Echoスピーカーをもう1台追加して、ステレオセットを構築して欲しい。

Echo Subは、音楽を聴く環境がEchoスピーカーだけという家庭にお薦めだ。もし、Echo Subを買うか、もう1台のEchoスピーカーを買うかで迷っているとしたら、Echo Subを先に買うことをお薦めする。

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(翻訳:金井哲夫)

日本人が米国で創業したAnyplaceがUber初期投資家らから資金調達、“ホテルに住める”サービス拡大へ

Anyplaceの創業者でCEOを務める内藤聡氏

「米国に来て約4年。ずっと僕と共同創業者の2人でやってきたけれど、最近ようやく人数が増えて、売上もできて会社っぽくなってきた。ただここまで来るのにすごく時間がかかって、最初の数年は闇歴史だった」——ホテルを賃貸できるサービス「Anyplace」を米国で運営するAnyplaceの内藤聡氏は、会社の現状についてそう話す。

同社は10月16日、シードラウンドで数億円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。内藤氏によると今回のラウンドにはUberの初期投資家であるJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏をはじめ、日米のエンジェル投資家やVCが複数参加しているという。

以下は一部の投資家のリストだ(あまり馴染みがない名前もあると思うので、代表的な出資先も合わせて記載する)。

  • Jason Calacanis氏(LAUNCH Fund):  Uber、Robinhood、Thumbtack.
  • FundersClub :  Instacart、Coinbase、Flexport
  • UpHonest Capital : Zenreach、Checkr、Chariot
  • Jonathan Yaffe氏 :  Lyft、Getaround、Palantir
  • Bora Uygun氏 : Robinhood、HOOKED
  • Hugo Angelmar氏 : Postmates、Blue Bottle Coffee

今では毎日のように国内スタートアップの資金調達ニュースが出ているけれど、日本人起業家が米国で立ち上げたスタートアップのトピックはほとんどない。ましてや著名な投資家から資金を調達したとなると、かなりのレアケースと言えるだろう。

とはいえ冒頭の内藤氏の話が物語っているように、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかったようだ。

いくつものサービスを試しては閉じた数年間

スタートアップの情報通の人であれば、もしかすると「シリコンバレーによろしく」というブログメディアを知っているかもしれない。これはかつて、内藤氏が学生時代に運営していたシリコンバレーのテクノロジーに関する情報をまとめたブログだ。

Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグの物語を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』を見たことがきっかけで、スタートアップに興味を持ったという内藤氏。それ以降は当時「セカイカメラ」を開発していた頓智ドットでアルバイトをしたり、ブログでの情報発信を機にEast Venturesでアソシエイトとして働く機会を得たり、といった形でスタートアップ界隈に関わってきた。

TwitterとSquareを立ち上げたジャック・ドーシーを始めシリコンバレーの起業家への憧れが強かったこともあり、「やるなら(彼らがいる)メジャーリーグでやってみたい」という思いから大学卒業のタイミングで渡米。最初の1年間はサンフランシスコでスタートアップ向けのシェアハウスとインタビューメディアを運営した後、現地で会社を創業している。

ただ創業から2年間は内藤氏にとって苦しい時間が続いた。当時の状況からジェイソン氏より出資を受けるまでの詳細は彼のブログにも詳しい記載があるけれど、最初に立ち上げたのはAirbnbで売れ残った在庫を直前割引価格で販売するマーケットプレイスだ。

最初に立ち上げた「Instabed」はHotelTonightとAirbnbを掛け合わせたようなサービスだった

満を持してリリースしたものの、ホストの獲得コストの高さや他プラットフォームへの依存度の大きさなどがネックとなりクローズを決断。それ以来、中古家具のレンタルサービスなど複数の事業を試しては閉じるの繰り返しで、自信を失ってしまった時期もあったという。

「(自分が上手くいっていない一方で)日本では同世代の起業家が活躍している。焦りや悔しい気持ちも強かった」(内藤氏)

そんな内藤氏の支えとなっていたのが、松山太河氏(East Ventures)や小林清剛氏(ノボット創業者)を始めとした支援者たちの存在だった。彼らの応援も受けながら試行錯誤を続けた末に生まれたのが、現在も手がけているAnyplaceだ。

みんなが当たり前に受け入れている“痛み”は何か

「米国に来てから引っ越しが辛いし面倒だと改めて感じた。物を移動させないといけなくて、特に家具なんかは持っていくにしろ捨てるにしろ時間もお金もかかる。新居で新しい生活を始める際には水道や電気、ガス、Wi-Fiのセットアップも必要だ。しかも米国では1年契約が一般的で、早期の退去には違約金も発生する。(こうした状況に直面して)全然フレキシブルじゃないなと」(内藤氏)

Anyplaceはそんな内藤氏自身が抱えていた課題を解決するために開発された。1ヶ月単位でホテルの空き部屋を借りられるマーケットプレイスで、現在はサンフランシスコとロサンゼルスで展開。月あたりの料金は安いところだと約1300ドル、平均でもだいたい1600ドルだ。

家賃相場の高いサンフランシスコでは1ルームのアパートが3000ドルほどするそうなので、居住用のスペースとして考えてもお手頃な価格と言えるだろう。

UberやInstacartなど、世の中のいろいろなものがオンデマンド化されてフレキシブルになっている一方で、賃貸に関してはまだまだ変革の余地がある。そして何より「自分が欲しいが、まだ世の中にないもの」を突き詰めるということが、内藤氏が試行錯誤の中でたどり着いたプロダクトの見つけ方でもあった。

「(引っ越しにまつわる面倒臭さが)多くの人にとっては当たり前のことで、そこに対して疑問にすら思わない人さえいる。だからこそ、そこには凄い大きなチャンスがあるんじゃないかと思ってこの課題に取り組むことに決めた」(内藤氏)

通常の賃貸とは違い、家具やWi-Fiを含めた必要なインフラが一通り揃っているのもAnyplaceの特徴。月額の料金には光熱費のほか、部屋の清掃代も含まれる。現在は7割が引っ越しや出張、留学の際などに一時的に使うユーザー。残りの3割はまさに賃貸用途で継続的に活用しているそうだ。

一方のホテルにとっても、予約の埋まっていない空き部屋を運用して収益を得る新たな手段になり得るだろう。「ホテルはシーズナブルなビジネスなので、1年を通してみると閑散期もある。そういったホテルに対して安定した収益を提供するためのサービスだ」と話をすれば、興味を示すホテルも少なくないという。

ホテルにしてみれば「ちゃんとしたユーザーが使ってくれるのか」という不安も当然あるだろうが、それについてはAnyplace側で利用者のクレジットスコアや犯罪履歴などをチェックしてスクリーニングしたり、保険のようなシステムを整備することで対応している。

自社サイトなしでも顧客がつき、出資を受ける

内藤氏の話を聞く中で、個人的におもしろいなと感じたのがプロダクトの始め方だ。

Anyplaceのアイデアを思いついたのち、まず内藤氏が取り組んだのはホテル側のニーズを調べること。実際にサンフランシスコ市内のホテル全てに電話をかけてヒアリングをしてみたところ、いくつかのホテルでは月1600ドルで貸しても良いと返答があった。

初期のAnyplace。当初は「LiveHotel」というサービス名で運営していた

それならばと、今度は「Weebly(ウィーブリー)」というウェブサイト作成ツールを駆使して、ホテルのスクリーンショットと価格を掲載したシンプルなページを作成。これを今度はコミュニティサイト「craigslist」に載せて反応をみてみたところ、1人の男性の入居が決まったのだという。

実は内藤氏曰く「(投資家の)ジェイソンと会った時もまだサイトはなくて、ペライチのページだった」そう。その状態でもお金を払って使いたいという顧客がいて、シリコンバレーの著名な投資家からも出資を受けられるというのはすごく興味深いし、内藤氏にとっても自信に繋がったようだ。

ジェイソン氏にダメ元でメールにてピッチをした際の返信内容。内藤氏によると「neat!」とは「うまい!」という意味なのだそう

目指すはホテルを予約する感覚で部屋を借りられるサービス

そんなAnyplaceは2017年1月のローンチからもうすぐ2年を迎える。現在はサンフランシスコとロサンゼルスを合わせて約30件のホテルが掲載されていて、流通総額は年間ベースで1億円を超えた。

とはいえまだまだ改善点も多く、実現したいアイデアや機能もほとんど形にできていないという。たとえばホテル側が使うダッシュボードも現在開発を進めているところで、今はアナログなやりとりに頼っている部分も多いそうだ。

まずはメインとなるプロダクトの機能開発を進めながら、これから半年でニューヨークを皮切りに米国内の都市に広げていく計画。それ以降は英語圏を中心にグローバル展開を進めていきたいと話す。

「目指しているのは、ホテルを予約するような感覚で部屋を借りられるサービス。まずはホテルからスタートして、ユーザーをしっかりと集められれば自分達にも交渉力がつく。(通常の賃貸物件も含めて)ゆくゆくはバラエティに富んだ部屋を楽に借りられるサービスにしていきたい」(内藤氏)

“住”をもっとフレキシブルにするという観点では、他のオンデマンドサービスとの連携も進めていきたいそう。オンデマンドで洗濯してくれるサービスやフードデリバリー、移動など「Anyplaceを使うことで生活に関わるサービスのディスカウントを受けられるような仕組みができれば、サービスの魅力も高まり『賃貸を探すときはAnyplaceを使う』動機にもなる」と考えているからだ。

それを実現するには乗り越えるべき壁はいくつもあるが「こっちでやるからには次のUberやAirbnbになるような、世界中で使われるプロダクトを作りたい」という思いは以前から変わっていないという。

「(米国には)中国人や韓国人のファウンダーで成功している人は多いけれど、日本人はそこまで多くないし、悔しい思いもある。たとえばZoomのファウンダーは中国人で英語も上手くないけれど、米国でユニコーン企業を作って、Glassdoorで最も支持されるCEOに選ばれた。僕も英語はまだまだだし、いまだにコミュニケーションの壁を感じる時もあるが、(シリコンバレーで活躍する起業家の一角に)日本人が入ってもいいはず。そこを目指して良いプロダクトを作るチャレンジを続けていきたい」(内藤氏)

歩行者用マップのナビデータ取得?LiDAR入りリュック背負ったアップル社員が街を闊歩

eng-logo-2015米サンフランシスコの路上で、カメラやVelodyne製LiDARらしき物体が突き出たリュックを背負って闊歩するアップル従業員らしき人物の姿がキャッチされました。この人物の明確な目的は不明ですが、リュックにはApple Mapsの文字が記されていることからMacRumorsは歩行者視点での地形やルートデータの収集を行っていると推測しています。

全方位カメラを背負って歩く人の姿を見て思い出すのは、Googleストリートビュー用写真を撮影するためのカメラ要員。最初は海外で、後に日本国内でも時折見かけるようになりました。この背負って歩くスタイルを活用することで、Googleストリートビューは、寺社仏閣の参道や車の立ち入れない細い道、建造物の内部などにまで提供範囲を大きく広げました。

アップルは、iOS 12 から自社製マップデータへの改修を順次開始しており、まず手始めに自動車でサンフランシスコ周辺のデータを作成して、データの更新を行っています。今回のリュックタイプの機材によるデータ取得は、おそらくは歩行者ルート表示のためと思われます。

ここでよく考えてみると、Googleマップの場合はストリートビューのデータ作成のために全方向カメラを使っていました。しかし、このアップルの作業員はLiDARを背負っています。

LiDARで取得した3Dの空間データをどう使うのかを想像してみると、もしかすると歩行者向けにAR表示される3Dマップを作ろうとしているのかも。もしそうだとしたら、たとえば非常に入り組んだ構造でダンジョンとも言われる東京や大阪の地下街なども、iOSの地図アプリで3表示され非常にわかりやすくナビゲートできるようになるかもしれません。

ただし、このリュックの機材で取得したデータがマップアプリに反映されるタイミングガいつ頃になるのかはまだわかりません。またいずれ日本でこうした機材を使用した地図データ取得が行われるのかもまだわかりません。iPhoneユーザーとしては、早くそのデータが地図アプリに反映されたところを確認してみたいものです。

Engadget 日本版からの転載。

出産前後の悩みを産婦人科医にスマホで相談できる「産婦人科オンライン」が11月1日よりサービス開始

国立成育医療研究センターなどのチームは9月、2015年から2016年に102人の女性が妊娠中から産後にかけて自殺しており、妊産婦死亡の原因の中で最も多いと発表した。妊産婦死亡の全国規模の調査はこれが初めてだ。共同通信などによる報道によると、子育てへの不安やストレスにより起きる“産後うつ”が原因の一つと考えられ、同チームは「身体だけでなく心の問題も気軽に周囲の医師や保健所などの行政機関に相談してほしい」と呼びかけている。

そんな中、「産科医療の過疎地域を含む全ての地域で、妊娠期〜産後という心身の不安が大きい時期に適切な医療サポートを受け、安心して出産を迎え、育児ができる社会を目指す」という新たなミッションを掲げ、小児科に特化した遠隔医療相談サービス「小児科オンライン」を提供するKids Publicは10月15日、産婦人科領域に特化した「産婦人科オンライン」を11月1日より開始すると発表した。Kids Publicは2016年に開催された「TechCrunch Tokyoスタートアップバトル」の優勝者だ。

同社は「医療リソースの地域格差が広がる中、地方における産科医師数の不足は深刻だ」と説明。政府は「一億総活躍社会」のなかで、産後うつの発症リスクを重要課題として挙げているが、Kids PublicはそれをICTのちからで解決しようとしている。

具体的には、月・水・金曜日の18時から22時の間、10分間の予約制で産婦人科医・助産師に相談できる環境をつくり、妊婦が抱える不安やストレスを解消する。

「妊娠中の食事や服薬について教えて欲しい。ネットで調べてもいろんな情報があって分からない」、「産後2か月になるけれど気分の落ち込みがひどく、泣き止まない子どもに無力感がある」など、妊娠・出産前後の幅広い質問に専門家が一対一で対応する。対応担当には医師が5名、そして助産師が4名。LINEを使ったチャット、音声通話、ビデオ通話の3つを使って相談できる。

産婦人科オンラインは社会サービスとして「全ての利用者に無料で届ける」ことを目標としているため、B向けサービスとして法人に導入し、法人が費用を支払うことで利用者(自治体の住民や企業の社員)は無料で利用できるというスキームでサービスを提供する。

重見大介氏

本サービスの代表を務める重見大介氏は現在も都内や千葉県内の総合病院や産科病院で臨床に従事しながら、東京大学大学院博士課程に進学・在籍中だ。同氏は産婦人科オンラインに関して「あくまで遠隔医療健康相談なので医療行為・診療行為ではない」と説明している。同氏が言うとおり、産婦人科オンラインはあくまで“相談サービス“であり、その場で病気を治療したり、健康状態を改善できるサービスではない。だが、同サービスは簡単には医療機関に行けない利用者が「本当に受診する必要があるか」などを相談できるといったメリットがあることは確かだ。

また、産婦人科オンラインは小児科オンラインとデータを連携することで、よりシームレスに利用者をサポートする。たとえば小児科オンラインを使う利用者に対し、産婦人科オンラインではどのような指導をしていたかを把握し社内で連携した上でアドバイスをすることができるようになるという。

“俺の嫁”ロボ「Gatebox」のハード設計者が作った、自動衣類折りたたみ家具「INDONE」

自動で衣類を折りたたみ、収納する家具……というとTechCrunch Japanの愛読者なら「ああ、laundroid(ランドロイド)のこと?」という反応になるかもしれない。だが、今日紹介するのは、ロボットやIoTデバイス開発を手がけるASTINAが発表した「INDONE(インダン)」のコンセプトモデルだ。

INDONEは、本体に設置された衣類カゴ(上の製品写真右下部分)に乾燥済みの衣類を入れるだけで、自動で衣類をたたんで、引き出しにしまってくれる“タンス”だ。INDONEには、特許出願中の独自技術が実装されているという。

ASTINAは2017年、代表取締役の儀間匠氏により、ロボット・IoTデバイスに特化した開発企業として設立された。儀間氏はウィンクル(現:Gatebox)で、バーチャルホームロボット「Gatebox」のハードウェア部門の開発リーダーとして、ハード設計とマネジメントに携わっていた人物だ。

ASTINAでは創業以来、1年ほどで約20種類のロボット・制御機器を開発してきた。その中で培われたノウハウを、今度はコンシューマ向け製品の開発へ投入。「ふだん使いのロボティクスを」というコンセプトのもと、INDONE開発・販売に着手した。

ASTINAは、INDONE発表と同時に、プレシードラウンドでウォンテッドリーほしのかけらAS-ACCELERATORおよび複数の個人投資家を引受先とする、2000万円の第三者割当増資の実施を明らかにしている。これまでの累計調達金額は約3500万円になるという。

写真左より、ほしのかけら代表社員 竹内秀行氏、ASTINA代表取締役CEO 儀間匠氏、ウォンテッドリー取締役CFO 吉田祐輔氏

世界的に成長中のVCマーケット、主に中国が貢献

ベンチャーキャピタルのビジネスモデルが世界中でみられるようになった。まだ金融業界の特別クラブ的なものではあるが、今やワールドワイドに、そしてそれなりの規模で展開されている。

Crunchbaseニュースが2018年第3四半期に報じたCrunchbase推定によると、世界のVCディールと投資額はそれぞれ空前の記録となった。米国とカナダにおいて、ディールの件数は第2四半期よりわずかに減少したが、膨張しているディールのサイズが総投資額を過去最高へと押し上げた。

このVCマーケットの世界的な成長の大部分は、米国とカナダ以外のマーケットによるものだ。Startup Revolutionと米国起業家精神センターがコラボで行なった最近の研究では、中国・北京が世界のVC投資成長に最も貢献していることがわかった。

地域別を表示したディール件数を下に示している。世界のディール件数が一貫して成長傾向にあるのに比べ、米国とカナダのディール件数の成長パターンはやや途切れ途切れになっていることに気づく。(Crunchbaseがいかに、そしてなぜこのような予測を作成するのかについては、グローバルレポートの末尾にあるMethodologyセクションを参照してほしい)。

中国のような急激に成長しているスタートアップマーケットでは、ベンチャーディールの金額こそわずかに減っているものの(*注記1)、件数は過去最高となっている。アジア太平洋地域全体では、ベンチャーディール件数は昨年同時期に比べ約85%も増えている。レポートされた中国の件数は、4倍以上となっている。

中国のベンチャーマーケットの拡大は、世界都市別の予測でより鮮明だろう。下記に、第3四半期でスタートアップが最もアクティブだったトップ10の都市を示すチャートがある。(グローバルレポートのMethodologyセクションで“レポートされた”データとは何か、どのように使用されたかについての説明がある)。

チャートにある10都市は、3カ国で占められている、ベイエリアの件数を押し上げているシリコンバレーがなければ、北京が生の件数的にはサンフランシスコよりも上にきていたはずだ。(しかし、北京の人口はベイエリア全体の3倍にもなる)。

ディールの件数と金額を活発度合いのバロメーターとすれば(健全度ではない)、VCの動きの広まりはマーケット全体にとってよいことととらえることができるかもしれない。グローバルでのVCの動きの高まりは、世界的に全てのスタートアップマーケットを押し上げるている。しかしながら、そうした成長のほとんどは、いくつかの大きなマーケットに集中している。

シリコンバレーのベンチャーキャピタル投資モデルの世界的な拡大、そして当地での再解釈は、スタートアップ創業者が頭に入れておかなければならない現象となっている。創業者はこれまでになく大規模なラウンドで多くの資金を調達していて、投資家が成長マーケットの多くを買うのにさらに大金を投入することを期待している。同様に、投資家はそうした企業の飽くなきキャピタル欲を満たそうと、これまでにない規模の資金を調達している。

大きなトレンドの中で、変化著しいマーケットの状態に適応できない創業者はマーケットサイクルの終わりに消えていくことになる。

*注記1:金額が減ったのは、第2四半期の金額がAnt Financialによる140億ドルものシリーズCラウンドで大きくなったためだ。これは、これまでのところ最も大きなVCラウンドとなっている。

イメージクレジット: Li-Anne Dias

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(翻訳:Mizoguchi)

ホーキングのブラックホールに関する最終論文がオンライン公開された

スティーヴン・ホーキングは今年76歳で死去したが、彼の驚くべき知性の科学界への貢献はまだ終わっていない。著名な物理学者の最終論文がオンラインで誰にでも読めるように公開され、博士の輝かしい経歴を明らかにした物質界の謎を振り返ることができる。

Black Hole Entropy and Soft Hair“[ブラックホールのエントロピーと柔らかい髪]と題されたその論文は、ホーキング博士と共同研究者のSasha Haco、Malcolm Perry、およびAndrew Stromingerの共著による。論文保存公開サイトのArXivから無料でダウンロードが可能で、ホーキングへの心のこもった賛辞も載せられている。

「私たちは最愛の友で共同研究者だったスティーヴン・ホーキングを亡くし深い悲しみにくれています。ブラックホール物理学に対する博士の貢献は、最後の最後まで絶大な刺激を与え続けるでしょう」

この論文は、ホーキングの経歴にとって一種のブックエンドといえるものであり、ブラックホールの量子構造に関する博士の最近の業績が集められている——ホーキングが 過去40年間追究してきたテーマだ。

ホーキングの最終論文が、物理学最大の未解決問題の一つへの挑戦となったことは実にふさわしいことだ。その問題は博士自身が提起したものでもある:ブラックホールに落ちていく物体は本当に消滅するのか、たとえ物理の法則がそれを不可能だとしていても? このパラドックスが悩ましいのは、量子力学の法則と一般相対性理論の法則を戦わせることになるからだ。

論文中ホーキングらは、「柔らかい髪」と呼ばれるものがその矛盾を解決することを示唆している。「髪」とは」とはブラックホールの縁である事象の地平線に存在する光子を意味している。柔らかい髪バージョンの事象においては、ブラックホールの縁にあるその「髪」が、ブラックホールに落下した物体に関する情報を保管する。これは、物質に付随していた情報は宇宙から消滅したのではなく、見かけ上の地平線の彼方に消えたように見えるだけであることを意味している。

「これは道半ばの一歩であり、決して完全な答えではない」と共同研究者のMalcom PerryがGuardianに語った。「これまでより若干パズルの数は減ったが、厄介な問題がいくつか残っていることは間違いない」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

語学アプリ「abceed」運営が資金調達、AI開発に加え“学習空間”設計を目指す

あまたある語学学習アプリの中で、「abceed(エービーシード)」はTOEIC教材を中心に提供するものなのだが、出版社から刊行されている紙の教材と連動している点が大きな特徴だ。

abceedを運営するGlobeeは10月15日、日本ベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。2014年設立のGlobeeはこれまでにエンジェル投資家から出資を受けているが、VCからの資金調達は初めて。今回の第三者割当増資による調達額は数千万円規模と見られ、同ラウンドで融資も合わせて総額1億円を調達予定だという。

Globeeは2014年6月、当時大学4年生だった代表取締役の幾嶋研三郎氏により設立された。幾嶋氏は留学生とのコミュニケーションを密にすることで、1年間でTOEIC 955点を獲得できた経験から、語学学習をサービスとすることを着想。創業当初は、留学生バイトを講師とした英語学校の運営を行っていた。

しかし語学学校といえば、競合がひしめくレッドオーシャン。うまく成長できたとしても5年後、10年後の行く先が見えないと幾嶋氏は考えた。当時の語学学校ではまだまだ、紙やオフラインでの教材提供や学習進捗管理が中心だったことから、「IT化の流れがこれから来る。そのときに変革する側にいたい」と2015年初頭に事業のピボットを決意。その後一旦、ピボット先となる事業を探しながらソフトバンクへ入社し、シェアサイクリングや保育園向けアプリなどの新規事業開発に携わっていた。そして2017年1月にソフトバンクを退社。まずは無料アプリとしてabceedの提供をスタートし、その年の10月にアプリ内課金を行う有料版をリリースした。

abceedは、初めからアプリとして完結するように開発されたわけではなく、書店にも並ぶ紙の本の教材と連動した“文房具”アプリとして誕生した。幾嶋氏は「紙の教材ありきで、そこへITの便利さを取り入れるという発想で開発・公開したところ、既存の教材を使っていた人が利用して、一気にユーザーを集めることができた」と話す。

文房具、すなわち英語教材に対する「鉛筆・消しゴム・マークシート」と「音声再生プレイヤー」の代わりとして機能するabceed。その使い方を見てみよう。

まずは音声を聞きたい問題集を、アプリの中から探して選択。音声はダウンロードして、再生することができる。

マークシートも問題集ごとに表示でき、紙の教材を見て、音声を聞きながら問題を解くことも可能だ。マークシートを利用すると、問題を解いた後に自動で採点をしてくれる。

また一部の教材については、紙の本がなくてもアプリ内で学習が完結する、アプリ学習機能が利用できる。単語帳教材の一部を“お試し”で使ってみたが、各単語ごとに1画面でディクテーション、解説確認ができるし、その後の理解度のテストもサクッとできる。リーディング系の問題では、紙の本併用のほうが良いかもしれないが、リスニング系の問題については特に、アプリ学習は手軽に進められて良いのではないかと感じた。

現在の対応教材数は131タイトル。そのうちアプリ学習機能付きの教材は45タイトルだ。音声ダウンロードとマークシートの利用は無料。アプリ学習機能は有料で、各学習コンテンツを電子書籍のようにアプリ内で購入する形となる。また、有料のプレミアムプランにアップグレードすると、自分用の単語帳への登録やディクテーション機能、お気に入り教材のオフライン利用、教材をまたいだ総合学習分析機能などが利用できるようになる。

幾嶋氏は「紙の本というオフラインのコンテンツをツール化することで、結果として大量の学習データが取得できた。このデータは電子コンテンツ(アプリ学習機能)開発にも役立っている」と述べている。

これまでにabceedで蓄積した学習データはユーザー50万人分、億単位になるとのこと。Globeeでは調達資金で、これらの学習データと、深層学習や位相的データ解析といった技術を組み合わせ、ユーザーに最適な学習コンテンツをレコメンドする「abseed AI」の開発を進めていく考えだ。

幾嶋氏はまた「既存のTOEICメインとする学習領域から、語学全般へ領域を広げたい」とも話している。さらにこれまで、紙とデジタルを併用することで効果的な学習を促してきた経験を踏まえ、「オフラインも含めた新しい学習体験ができる“空間”を設計・デザインするためにも投資していく」とのことだ。具体的には、AR/VR、スマートスピーカーなどを取り入れた語学プラットフォームの開発を検討。建築家・山之内淡氏を顧問に迎え、オンラインとオフラインを融合した新しい学習体験の設計・デザインを進めるという。

「現在は日本国内をメインにサービスを提供しているが、世界展開も視野に入れている」という幾嶋氏。「日本のアプリストアで1位を獲得したとしても、MAU(月間アクティブユーザー)は20万〜30万程度。海外にも展開することでMAUは100倍以上になる。ユーザー数100万を超える、使われるサービスを目指して今後も開発を進めていきたい」(幾嶋氏)

写真左から、日本ベンチャーキャピタル 劉宇陽氏、Globee CTO 上赤一馬氏、代表取締役 幾嶋研三郎氏、建築家 山之内淡氏(撮影:宇田川俊之氏)

分散型キッチンのPilotworksが廃業

Pilotworks。分散型キッチンサービスとしてCampbell’s Soup Co.の投資部門などから1300万ドルのベンチャー資金を調達していた同社が店じまいする。昨日同社はこのニュース伝える短い声明をウェブサイトで公開した。

Pilotworksが閉業しても、ほかのスタートアップが、大手チェーンや新たなフードコンセプト向けに分散キッチンを益々アピールしている。

Pilotworksは、既存のチェーンよりも新しい外食起業家に焦点を絞ったたために、思ったほどのスケールを実現できなかったと思われる。

今年6月、Pilotworksの共同ファウンダー・CEOのNick Devaneが辞任し、COOのZach Wareが引き継いだとThe Spoonが報じた。

その後の一か月にかけて、同社はロードアイランド州プロビデンス、ポートランド、メイン州などの施設を縮小、閉鎖していった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook