セラノスがついに解散へ(WSJ報道)

Theranosがついに永遠に消滅する。Wall Street Journalの調査が同社の血液検査テクノロジーに疑問を呈してから3年近くたっての出来事だ。WSJによると、同社の劇的な墜落は ベストセラー書籍となり、Theranosファウンダー・CEO Elizabeth Holmesにジェニファー・ロペスが扮する映画も作られたが、会社から株主あてにメールが送られ、このたび正式に解散し、残った現金を近く無担保債権者に返還する旨が書かれていた。

Holmesは6月にTheranos前社長のRamesh “Sunny” Balwaniと共に有線通信不正行為の謀議2件、および実際の有線通信不正行為9件で告発されたあとCEOを辞任した。

HolmesどBalwani共に不正行為の罪で証券取引委員会(SEC)に訴追された(刑事責任はSECによる民事告訴とは別に扱われる)。SECは訴状で、両者は「長年にわたり巧妙な詐欺をはたらき、会社の技術、事業、および財務状況について誇張しあるいは虚偽の申述を行った」結果、同社は投資家から7億ドル以上の資金を調達することが可能となったと述べた。

HomesとSECは示談に至り、Holmesは50万ドルの罰金を支払い、今後10年間上場会社の幹部または役員になることを禁止された。さらにHolmesは詐欺行為で得た株式1890万株を返却し、Theranosの議決権を放棄させられる。

TechCrunchはTherenos広報アドレス宛にメールを送り、コメントを求めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マーケティングコミュニケーションのMynewsdeskがキーワードモニタリングのMentionを買収

企業のマーケティングコミュニケーションのワークフローを支えるサービスMynewsdeskが、フランスのキーワードモニタリングツールMentionを買収した。買収の価額などは公表されていない。Mynewsdeskの現在のオーナーは、ノルウェーのビジネスメディアグループNHSTだ。

Mentionを使って、Web上のあちらこちらに出没するキーワードをモニタできる。あなたの会社のブランドについて消費者たちがブログやTwitterやFacebookやそのほかの公開的な場所で何を言っているか、それを知ることができる。

Mentionでレポートを作ったり、競合他社がどう言われているかを知ったり、あなたの会社の製品を使っているインフルエンサーを見つけることもできる。PRやマーケティングの部門あるいは専門企業にとって、便利なツールだ。

Mynewsdeskは、PR代理店のための何でもありのツールになりたい。同社は、企業や製品のメディアカバレッジを調べるだけでなく、メディアのコンタクト(連絡先)をまとめて、広告等の散布リストを対象別目的別に分類できる。また、プレスリリースを書いてそれらのコンタクトに配布したり、キャンペーンの効果を測定することもできる。

だから、MentionはMynewsdeskと相性が良いはずだ。Mentionはこれまで、スタンドアローンのプロダクトだったが、その長年の経験や専門的技能は、Mynewsdeskを大いに助けるだろう。

Mentionは現在75万のユーザーがいて、有料顧客は4000社。年商600万ドルは、前年比35%の増加だ。投資家は、eFounders, Alven, それにPoint Nine Capitalなど。Mentionの協同ファウンダーでCEOのMatthieu Vaxelaireは、MynewsdeskのCOOになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

事故や災害の損害査定にAIを活用するスタートアップTractable

[著者:Steve O’Hear]
「私たちの展望と活動の説明に10分間付き合っていただき、嬉しく思います。しかし、これから15分間で、私たちが今、何を得たか、何を達成したか、私たちのAIは何をするのかを解説します」と、Tractableの共同創設者でCEOのAlexandre Dalyacは、数週間前、私がかけたビデオ通話で言った。「もっと短くなりませんか」と私は冗談を返した。

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(翻訳:金井哲夫)

高栄養価の代替食品でチリから革命を起こすNot Company

食料のグローバル化と工業化によってもたらされる栄養不良、資源不足、公害という三重の危機に出資する機会を味わいたい技術系の投資家たちは、新しい持続可能な資源を謳い、スタートアップに投資している。

この5年間、ベンチャー投資家や投資企業は、全世界で2100件、95億ドル(約1兆550億円)を投資しているが、CB Insightsのデータによれば、すべては食料の従来型の栽培、飼育、生産、加工、流通に置き換わるか、それを補完するものを目指している。

サンディエゴのダウンタウンから22分の、街の南東の隅に本社を置くNot Companyは、そうした巨大な代替食品ビジネスの中に現れた有望な新顔たちとは、ちょっと毛色が違う。CEOのMatias Muchnickと2人の共同創設者は、食品革命の恩恵を中南米に、そしてゆくゆくは全世界にもたらしたいと考えている。

いくつもの企業を立ち上げてきたMuchnickにとって、Not Companyは2つめの食品関連事業だ。その前に創設したのは、植物ベースのドレッシングとマヨネーズを販売するEgglessという会社だ。

Egglessで食品関連事業に参入し、その味を知ったMuchnickは、あることを学んだ。食品業界での研究開発が、じつに原始的で非効率であることだ。

その問題を解決しようと、Muchnickはカリフォルニア大学バークレー校で食品業界について研究を始めた。

「バークレーで、そのデータと科学について学ぼうと生物化学学部に入ろうと決めた」とMuchnickは話す。「しかし薬学のほうが、うまく解決してくれるとわかりました。そこで私は、医薬品業界で今何が起きているのかを調べまくり、それを食品業界で研究しました」

バークレーからハーバードに移ったMuchnickは、恒星内部の動きをデータ科学と機会学習とで探っていた宇宙物理学者のKarim Picharaを引き抜いた。データ科学者を仲間に入れたMuchnickは、次にカリフォルニア大学デイビス校で植物のゲノミクス研究をしていたPable Zamoraを第三の共同創設者に加えた。

こうして、Not Companyのドリームチームが結成された。

Not Companyの共同創設者、Karim Pichara、Matias Muchnick、Pable Zamora。

 

Not Companyの活動の中心は、驚くほど潤沢な資金を持ち、一度はトラブルに陥ったアメリカの競合相手Just(かつてはHampton Creekと呼ばれていた)と同じく、機械学習技術を使い、植物の遺伝子的な類似性をマッピングして、その動物体内での結果を調べることにある。

「レンズ豆でもなんでも、遺伝子をマッピングできます」とMuchnick。「どんな種類の豆も、動物性タンパク質をエミュレートできるかどうかを簡単に調べて予測できます」

3人の創設者は、みなアメリカに住んでいるが、故郷のチリに戻ってビジネスを立ち上げることを決めている。Muchnickにとって、サンティアゴに拠点を置くことは、費用も安く済み、研究者も豊富に揃っているところが強みだった。シリコンバレーから離れているから、それを好む求職者もいる。

「我々は目立つ存在となりました」と彼は言う。

しかし、サンティアゴの拠点は、中南米の市場を支配して、喉から手が出るほど欲しがっている人たちに、健康な食品を届けるというNot Companyの最初の戦略的目的を叶えるものでもあった。

栄養不足の形を変える

Muchnickが故郷に拠点を置いた理由は、中南米に溢れている高カロリー、低コストな食品と戦うためでもある。それが世界の国々の栄養不足の原因であり、そこを改善したい。

この新興市場で、栄養不足の問題がどのように作用しているかを知るには、ネスレ、ゼネラル・ミルズ、ペプシコ、ファストフードのマクドナルドやKFC傘下のヤム・ブランズといった企業の状況の変化を見るとよい。

アメリカやヨーロッパではすでに遍在している大手の栄養不足食品企業は、成長を求めて新興市場に目を向け、低収入層の顧客に合わせた製品やビジネスモデルを売り込んでいる。

そうした企業の製品は安価だが、栄養価値はほとんどない。飢えないだろうが、他の健康上の問題が引き起こされる。

「広く信じられている話です。安い食べ物がどこでも手に入るという、実現しうる最高の世界。深く考えなければ、筋が通っています」と、カナダ・オンタリオ州のゲルフ大学食品経済学教授のAnthony Winsonはニューヨークタイムズに語っている。現実はもっと難しいと、Winsonは言う。「厳しい言葉で言えば、食事に殺される、ということだ」

調査結果がそれを示している。The New England Journal of Medicineの2017年の調査によれば、世界人口のおよそ10パーセントが肥満だという。6億400万人の成人と、1億800万人の子どもだ。そして、新興市場では、人の肥満率が急速に増加している。

栄養不足は、工業化された食品ビジネスが新しい土地に進出したときの副作用に過ぎない。それらの企業は、サプライヤーの工業化も目論んでいるとタイムズは伝えている。それは大規模農場への転換を促し、森林伐採を進める。

こうした問題は、ネスレやゼネラル・ミルズといったお菓子メーカーだけに限らない。ファストフード業界の肉の需要は、新興市場の国々の牧畜の工業化も進め、それが地球温暖化の大きな原因となる。

そのような問題を、環境への悪影響がずっと小さい低コストな食品で 、Muchnickの会社は解決しようとしているのだ。

Not製品

Muchnickたちは、2015年の会社設立以来、数多くの製品を開発してきた。同社の当初の目的は、既存の製品に代わる健康な食品を研究開発して企業にライセンスすることにあった。

「私たちは技術系企業です。食品会社ではありません。他の企業のための研究開発に資金を投入したいのです」とMuchnickは2016年に語っていた。

いろいろな製品を熱心に開発するようになったのは、それからだとMuchnickは言う。

「マヨネーズを作りました。チョコレートを作りました。ミルクを作りました。ソーセージ、バーガー、シュラスコ(ローストビーフみたいなものだが、まずい)などの肉の代替品も」と、製品開発に熱くなっておいたころを振り返ってMuchnickは話す。ついには、ハンプトン・クリークの後を追う形で、Not Companyはマヨネーズの販売に乗り出した。

チリは、世界で3番目に大きなマヨネーズの市場なので、そこで販売を始めたのは理にかなっていたとMuchnickは言う。彼らのロードマップに描かれた、より意欲的な製品よりも、簡単に製造できたという点もある。

Muchnickによれば、店に置かれるようになってわずか8ヶ月で、(あまり大きいわけではないが)チリのマヨネーズ市場の10パーセントを獲得したという。ロードマップの次なる製品は、9月に発売を予定しているミルクの代替品だ。2019年にはNotヨーグルトとNotアイスクリームも登場する。

2020年までには、Not Companyはソーセージとひき肉の代替日も発売すると、彼は言っている。

これらの製品の陰では、PicharaとZamoraが開発した、動物と植物のタンパク質のつながりを探る機械学習ソフトウエア「Guiseppe」(ジュゼッペ)が活躍している。

「私たちは7000種類の植物をマッピングしました。もうこれで十分だと思っています」とMuchinickは話す。「それをアミノ酸構造にマッピングしたところ、動物性タンパク質によく似ていました」

Guiseppeは、7つの異なるデータベースと7つの異なるアプローチを操るとMuchnickは説明する。食品とその材料の分子データ、食品とその材料のスペクトル画像、それに、社内の味覚テスターが収集した、味、食感、後味、刺激、酸味といったデータがある。「山ほどのパラメータがあります」とMuchnickは話している。

ロードマップが完成したことで、同社は市場拡大のための追加投資を受けた。チリ国内だけでなく、中南米全体に打って出る。

Not Companyはこのほど、Kaszek VenturesとSOS Venturesから、工場の拡張のための資金として300万ドル(約3億3300万円)の投資を受けた。

ほんの2年前には、あからさまに否定していた方向への大転換だ。「私たちはブランドカンパニーを目指しています」と今のMuchnickは言う。「Not Companyにはソーシャルカレンシーがあるんです」

それを実現させるには、サプライチェーンの開拓が必要だ。同社はすでに毎月64トンのマヨネーズを生産しているが、ミルクやヨーグルトやアイスクリームや、さらには肉の生産を視野に入れると、工場を拡大し続けなければならない。

「私たちは、現地生産のための工場を建てようと決めました」とMuchnickは話している。「これから、ブラジルとアルゼンチンに製品の輸出を始めます。市場シェアが5パーセントから8パーセントに達したら、現地生産に切り替えることにしています」

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(翻訳:金井哲夫)

Y Combinator 2018夏クラスのデモデーをビデオでチェック


先週マウンテンビューのコンピューター・ヒストリー・ミュージアムで開催されたY Combinator 2018夏のクラスのデモデーをビデオでまとめた。TechCrunchではすべてのスタートアップを紹介している。1日目のスタートアップ63チーム(ハイライト10チーム)、2日目のスタートアップ59チーム(ハイライト10チーム)。

会場の外にはUberやLyftの車が行列していたが、ドライバーたちは頭いい。Qurasense(1日目)は生理の血液から各種診断ができるというもの。Papa(1日目)は「オンデマンドでお孫さんを提供」というユニークなサービス。高齢者と大学生を結びつけて高齢者の社会的孤独という大きな問題を解決しようとしている。

2日目にはYCグループでスタートアップクラスを運営するYC CoreのCEO、Michael Seibel(Justin.tvの元CEO)に話を聞くことができた。スタートアップや投資家のビジネス成功に対する判断も社会的な要素を敏感になってきたという。クリプトやバイオのスタートアップが目立つようになったが、YCではどのようにスクリーニングしているのかと尋ねた。Seibelは「クリプトの場合は実際に何かの問題を解決するテクノロジーをもたらしているのかを見る」と答えた。バイオの場合、専門性が高いだけに判断はむしろ容易なようだ。実際バイオ関係のファウンダーは博士号保持者が多く超高学歴ぞろいだ。インタビュー全体は下のビデオを参照。


いずれにせよ、YCデモデーはシリコンバレーの最新のトレンドを一箇所で感じ取れるまたとないチャンスだと感じた。

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滑川海彦@Facebook Google+

VMwareがマルチクラウド管理のCloudHealth Technologiesを買収

VMwareは今週ラスベガスで、顧客のためのカンファレンスVMworldを開催しており、その席で同社は、ボストンのCloudHealth Technologiesを買収したことを発表した。買収の条件は公表されていないが、ロイターの報道では買収価額は5億ドルとされている。

CloudHealthはVMwareに、重要なマルチクラウド管理プラットホームを提供する。そのツールはAWS, Microsoft Azure, Google Cloud Platformなどをサポートし、ユーザーは、クラウドのコストや利用、セキュリティ、パフォーマンスなどを一つのインタフェイスから管理できる。

クラウド市場はAWSが大きくリードしているが、それは広大で急成長中の市場であり、多くの企業が複数のプラットホームを使い分けている。それぞれの目的にもっとも合ったクラウドサービスを使いたいからだ。

このマルチクラウドのアプローチには単一のプロバイダーに縛られないという利点はあるが、一方、その管理がたいへんになる。そこでCloudHealthはマルチクラウドのユーザーに、単一のツールでそれらの環境を管理する方法を提供する。

CloudHealthのマルチクラウド管理。写真提供: CloudHealth Technologies

VMwareでプロダクト管理とクラウドサービスを統括しているCOOのRaghu Raghuramによると、CloudHealthはマルチクラウドのオペレーションに伴うジレンマを解決する。彼曰く、“CloudHealth Technologiesが加わったことによって、複数のクラウドにまたがるコストとリソースや、アプリケーションのセキュリティとパフォーマンスを一元管理し、問題に迅速に対応できるようになった”。

つい先月、CloudHealthがサポートするクラウドプラットホームにGoogle Cloud Platformが加わった。CTOのJoe Kinsellaは、GCPのサポートを加えたことについて、こう述べている: “GCPでは、2015年にDiane Greeneが来て以来、いろんな企画が動き出し、エンタープライズへの適性が強化されている。その結果、われわれの顧客の間にも、急激に関心が高まっている”。

これによりCloudHealthの顧客も、大手プラットホーム三社のクラウドを安心して併用できるようになる。そして、かねてから顧客のハイブリッド環境や、マルチクラウド環境の管理を目指してきたVMwareにとっても、CloudHealthがいわば“買い時”になってきた。

これまで同社は、パブリッククラウドだけでなくプライベートクラウドやデータセンターも含めたすべての環境の一元管理を目指していた。それに対しVMwareもまた、さまざまなVMを使っている企業の、ハイブリッド環境の支援を、近年は志向してきた。

CloudHealthは、マルチクラウド管理のソリューションだけでなく、Yelp, Dow Jones, Zendesk, Pinterestなど、3000社の顧客をVMwareに連れてくる。

CloudHealthは2012年に創業され、これまで8700万ドルを調達している。最近では2017年6月のシリーズDで、Kleiner Perkins率いるラウンドにより4600万ドルを調達した。それよりも前のリード投資家は、Sapphire Ventures, Scale Venture Partners, そして.406 Venturesだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CI/CDを末端企業にも普及させたいArmoryはY Combinator出身で$10Mを調達

オープンソースのSpinnakerプロジェクトをベースとするCI/CDプラットホームArmoryが今日(米国時間8/22)、シリーズAのラウンドにより1000万ドルの資金を調達したことを発表した。このラウンドはCrosslink Capitalがリードし、Bain Capital Ventures, Javelin Venture Partners, Y Combinator, そしてRobin Vasanらが参加した。

ソフトウェア開発は、ここ数年で確かに変わった。間隔の長いアップデート・サイクルに代わり、継続的デリバリが主流になってきた。このコンセプトは今では、継続的インテグレーション/継続的デリバリ(continuous integration/continuous delivery)を表すCI/CDと呼ばれている。Armoryのプロダクトは、このタイプのソリューションをデプロイするときに伴う複雑性を、軽減しようとする。

同社を創業したときファウンダーたちは、CI/CD技術のバックエンドのベースとしてSpinnakerを使う、と決めた。それは、GoogleやNetflixなど業界の大物たちが支持しているプロジェクトだからだ。ArmoryのCEOで協同ファウンダーのDaniel R. Odioが、今回の資金調達を発表するブログ記事でこう述べている: “Spinnakerは大規模で本格的なマルチクラウドのデプロイを支えるスタンダードになるだろう。自分たちで新たに継続的デリバリのプラットホームを内製で構築する、そんな車輪の再発明を避けて、SpinnakerをArmoryプラットホームのコアにするという、大きな賭をした”。

同社によると、その賭は報われ、Spinnakerの同社バージョンはエンタープライズのソリューションで広くデプロイされている。同社の目標は、Fortune 2000社がソフトウェアのデプロイを今よりずっと速くできるようになることだ。そしてそのためには、CI/CDのアクセスと理解が欠かせない。

今企業は、どんな企業でもソフトウェア企業になりつつあるから、どの企業もこれまでとは異質な部分を抱え込むことになる。GoogleやNetflixのような超大物は、最先端の方法により、ソフトウェアを驚異的なスピードでデプロイする方法を経験から学び構築しているが、製品の製造技術=ソフトウェア開発技術ではない、そこらのふつうの企業は、ソフトウェア技術者もそんなに多くないから、Googleなどに追随することは難しい。

その空隙を補ってくれるのが、Armoryのような企業だ。同社は、オープンソースの技術を核として、その複雑性を包み隠すパッケージにより、高度なソフトウェアデプロイ技術を持たない普通の企業でもCI/CDを導入できるようにする。

中でもとくに同社が強調するマルチクラウドでクラウドネイティブなソフトウェア開発方式は、ユーザーのアプリケーションやインフラストラクチャを、オンプレミスも含む複数のクラウドに分散可能にする。そのようなデプロイ技術の重要な部分が、継続的デプロイを管理する技術だ。

Armoryは2016年にローンチし、ベイエリアに拠を構える。これまで1400万ドルを調達したが、そのうちの400万ドルのシードラウンドは昨年行った。同社はY Combinator 2017冬季の卒業生であり、Y Combinatorは今回の投資に参加している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

鉢植え観葉植物専門のスタートアップThe Sillが500万ドルを調達

鉢植え観葉植物をオンラインと実店舗で売るスタートアップのThe Sillが、Raine Venturesによって主導されたシリーズAによって500万ドルを調達したことを、この週末発表した。

同社は2012年に設立され、現時点で総額750万ドルを調達している。昨年Brand Foundry Ventures、Halogen Ventures、BBG Ventures、Tuesday Capital、Blueseed、そしてThe Chernin Groupからのシード資金を調達するまでは、同社は自己資金で運営していた(なおBBG VenturesはTechCrunchの親会社のOathによってサポートされている)。

ひとつのスタートアップが外部の資金なしに運営する期間としては長かったように思える、そして実際、CEOのEliza Blank自身も「おそらく外に出て資金調達するのに長く待ちすぎたかも」と認めている。それでも、最初の数年間は、適切なビジネスモデル(オフィスに売るのではなく、「個人への直販ビジネスに専念する」ということなど)を見つけるための時間を与えてくれたと彼女は語っている。

The Sillを、小売の既存のカテゴリーに基いて消費者ビジネスを立ち上げた、インターネットを利用するスタートアップとして分類するのは簡単だが、Blank自身は、彼女のビジョンは「単に植物をオンラインで売って、似たような消費者直販ブランドの1つになる」ことよりも大きいのだと語る。

結局のところ、多くの人びと(私を含めて)が観葉植物を所有することに興味を抱いてはいるものの、どうやってそれらを正しく世話すれば良いかを知らない。そして、私たちのカジュアルな関心のレベルは、より多くを学ぶために私たちを地域の園芸コミュニティへと足を運ばせることは、おそらくないだろう。

ザ・シル

Blankは、この会社を立ち上げた理由は彼女自身の経験から導かれたものだという。彼女自身観葉植物を買いたかったのだが、「初心者としてどのようにこのカテゴリーにアプローチすればよいのか」を学ぶためのリソースが極めて限られていることに気が付いたのだ。

よって、The Sillは単に、(基本的な世話マニュアルと共に)植物を売るだけではない。同社の植物専門家に質問することができるのだ ―― そしてニューヨークに最初の実店舗を構えたことによって、毎週ワークショップも開催されている。

「私たちは典型的な取引ビジネスよりもはるかに長い関係を築いています」とBlankは言う。「購入をすること自体は、会話の始まり ―― あるいは途中 ―― のようなものなのです」。

同社は、過去6ヶ月間で7万5000個以上の製品を販売しており、売上高は前年比で500%増え、年間売上は500万ドル近くになるとしている。

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(翻訳:sako)

新ユニコーン誕生:Root Insuranceが評価額10億ドルで1億ドルを調達

オハイオ州拠点のテクノロジーを活用した自動車保険のスタートアップ、Root InsuranceがシリーズDラウンドで1億ドルを調達した。リードしたのはTiger Global Management。これで同社の会社評価額は10億ドルに跳ね上がった。

Redpoint Ventures、Ribbit Capital、およびScale Venture Partnersもラウンドに参加した。

2015年設立の自動車保険会社はこの資金を使って既存市場の拡大とともに、新しい州へも進出しエンジニアやアクチュアリー[保険数理士]、請求・カスタマーサービスなどを増員して規模の拡大に備える。

Rootはドライバー向けの自動車保険を提供している。必ずしも新しいコンセプトではない。しかし同社は、顧客の運転状況に基づき、その他の要素も加味してプレミアムユーザーを認定する。ドライバーはアプリをダウンロードして、通常2~3週間のテストドライブを行う。Rootはそれに基づき、優良な運転挙動に報いる見積もりを出し、顧客は保険契約を切り替えることができる。保険料の支払いや証券の管理はRootアプリを通じて行う。

Rootによるとこの方式によって優良ドライバーは従来の保険会社と比べて50%以上保険料を安くできる。

同社はAIアルゴリズムを使用してリスクを判定し、それに基づいてディスカウントを提供する。たとえば、同社が安全性を高めると認めた高度な運転支援システムを搭載した車には、さらに割引が適用される。

「Root Insuranceは米国の自動車保険のデジタル革新をリードしている」とTiger Global Managementのパートナー、Lee Fixelが声明で語った。「この業界は変革の時を迎えている。本物の成果を得るための専門性とビジョンと勢いを持つチームに投資できることを大いに喜んでいる。同社はRootとの協力関係を強め、彼らが全米にわたって拠点を広げていくことに協力できることを楽しみしている」

同社は地元オハイオ州からこの2年間で20州へと活動の場を拡大してきた。2019年末までには全50州およびワシントンDCに進出する計画だ。

Drive CapitalとSilicon Valley Bankも同社に投資している。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Y Combinatorデモデー2日目からピックアップ10チーム

Y Combinatorのデモデー2日目には59チームのスタートアップが登壇した。アプリ内課金を処理するサービス、現実の対象を写した写真からアニ文字を作成するサービス、余剰医療機器の再販売プラットフォーム、それに、なんと大腸菌からまったく新しい生命形態を合成するスタートアップもあった。イノベーションはたしかに起きている。

以下、投資家の反応も加味し、TechCrunchが独自の視点からピックアップした10チームを紹介する。

こちらはデモデー1の全チーム紹介TechCrunchが選んだ1日目のトップ10だ。

64-x

バイオエンジアリングの一流のエキスパート( ハーバード大学Wyss InstituteのGeorge Church、Pamela Silver、Jeffrey Wayを含む) によって創立された64-xは通常の生命体が生存できないような過酷な環境でも機能する新しい生命形態を含め、最新のバイオエンジニアリングを利用した各種のプロダクトを準備している。CEOのAlexis Rovner自身、Wyss Instituteのポスドクのフェローであり、COOのRyan Gallagherは元ボストン・コンサルティング・グループのコンサルタントだった。チームはWyss Instituteのテクノロジーをビジネス化することを狙っている。

注目の理由:天才ぞろいのチームは新しい生命形態を創出するかもしれない。

CB Therapeutics

大麻の合法的利用研究とテストを行うSteep HillラボのディレクターだったSher Buttが創立したスタートアップはカンナビノイド(大麻の有効成分)が鎮痛やてんかん発作の抑制など慢性的症状に対して奇跡的効果があるとしてその薬用化を目指している。しかし植物由来のカンナビノイドは品質が一定せず、効果も不安定なため、Buttらはカンナビノイドの工業的合成により品質を安定させると同時に、コストを押さえようとしている。成功すれば収量は24倍、価格は10分の1以下に下がるという。世界的医薬品メーカーのNovartisで医薬品の商用化の経験を積んだButtら共同創業者はこうしたプロジェクトを推進するために理想的なチームだろう。

注目の理由:天然のもっとも効果的な鎮痛剤とされるカンナビノイドを新しいテクノロジーで工業的に大量に合成しようとするのはすばらしいアイディアだ。

RevenueCat

RevenueCat founders

RevenueCatはデベロッパーのアプリ内課金を助けようとしている。デベロッパーはこのチームが提供するAPIを利用してiOSとAndroidでアプリ内サブスクリプションを処理できる。つまり、デベロッパーはそれぞれのプラットフォームの細部やアップデートによる変更を気にする必要がなくなる。

またこのAPIによりデベロッパーはアプリ内サブスクリプションに関する情報を一箇所にまとめて管理できる。 誕生してから9ヶ月のスタートアップは現在、月額35万ドルの売上があるという。これ以外にも何かに取り組んでいるようだがそれが何かまだ明らかにされていない。

RevenueCat hereの記事.

注目の理由:アプリを開発したらすぐリリースする。収入はRevenueCatが管理してくれる。と、これはなかなか説得力があるビジネスモデルに思える。

Ajaib

インドネシアはあらゆる面で過渡期にある国だ。投資に十分な資産を持つ階級が急増しているが、既存の資産管理システムのハードルは高すぎてシャットアウトされている。この状況に対応しようとするのがAjaibだ。このスタートアップは中国で人気のオンライン支払サービス、Ant Financialの資産管理版を目指すという大きな野心を抱いている。 実際、中国は最近までインドネシアと状況がよく似ていた。4年前にAnt Financialがスタートして状況が大きく変化し、急増中の中産階級がオンラインで資産管理を行うことができるようになった。Antはすでに4億人のユーザーを抱えている。

中国と比較すればインドネシアは小さいが、2億6100万の人口がある。管理した資産から1.4%の手数料を徴収するだけでも可能性は巨大だ。

注目の理由:インドネシアの貯蓄は3700億ドルある。Ajaibの資産管理システムがターゲットとする国内マーケットは非常に大きい。

Grin

電動キックスクーターのブームはラテンアメリカにも広がっている。メキシコシティーを本拠とするGrinもその一つだ。共同創業者のSergio Romoらは.(Axiosの記事にもあるとおり)、アメリカでBirdのeスクーター共有事業に投資しようとして機会を逃した。そこでラテンアメリカをカバーするeスクーター事業を立ち上げたという。Sinai Ventures、Liquid2 Ventures、500 Startups、Monashees、Base10 Partnersらが投資している。

注目の理由:eスクーターは2018年を代表するホットな分野だ。 アメリカではBird、Limeの急成長を受けてUbe、Lyftrまで参入中だ。しかしまだ勝者は決まっていない。

Emojer

写真から動く絵文字を作成できるようにするのがEmojerの目的だ。写真を撮ると絵文字になって踊り出すというのはスマートフォンのカメラの面白い使い方だろう。Emojerのソフトは深層学習アルゴリズムによって人体のパーツを認識し、ユーザーは簡単な操作で撮った写真をアバターの動きに変換することができる。Photoshopの複雑なインターフェイスの操作もアニメーションに関する深い知識も不要だ。アバターの仕組みはクリスマのたびに口コミで人気が出るアプリ、Elf Yourselfに似ている。このアプリは友達の写真から顔をコピーして踊る妖精に貼り付けることができる。 Emojerのファウンダーは機械学習とコンピューター・ビジョンの分野で博士号を持っている。

注目の理由:EmojerのCEOは「人々がSnapを使うのはセクスティング(性的なメッセージや画像のやり取り)が大きな目的で、FacebookをHot Or Not(異性の写真を品定めする)に使う人間も多い」と語った。そういう「トロイの木馬」現象を考えるとEmojerは密かにセルフィーアニモジを流行らせるプラットフォームに化けるかもしれない。

Osh’s Affordable Pharmaceuticals

Osh’s Affordable Pharmaceuticalsは低価格の処方薬を提供することで医師と患者双方に利益をもたらすことを目的とする公益法人だ。同社では症例が少ないため探すのが困難だった医薬品の入手へのハードルを下げようとしている。3週間前に同社はウィルソン病に対する薬品を発表した。この症状に有効な薬品はこれまでブラジル、インド、カナダでは利用できなかった。また同社の新薬はコストを月3万ドルから120ドルへと劇的に下げた。Oshでは適用のある市場はトータルで170億ドルにもなると見積もっている。「ジェネリック医薬品の価格は決定的に重要だ。多くの患者が必要な医薬品を購入できないために死んでいる」とCEO、Alex Oshmyanskyは述べた。同社は解決策を提供できるかもしれない。

注目の理由:症例の少ない難病に対する有効な医薬品が入手できなかったか高価すぎた国々に低コストのジェネリック医薬品を提供するというのは単に優れたビジネスだというだけでなく世界を改善することができる。

Medinas Health

アメリカのヘルスケア・システムに存在する750億ドルもの頭痛のタネに解決策を与えるのがMedinas Healthの目標だ。同社は病院などの医療組織が使用ずみないし不要となった医療機器を再販売することを助ける。シード資金を提供したのはハリウッドスターでベンチャー投資家のアシュトン・カッチャー、Guy OsearyのSound Ventures、General CatalystのRough Draft Venturesファンドだ。 Medinas
Healthは資金不足に悩む地方のヘルスケアセンターの運営コストの引き下げにもなると期待している。

注目の理由:中古医療機器の流通はトータルでは750億ドルにもなる市場だというが、これまでビッグビジネスの目立たない片隅に追いやられていた。この分野をターゲットとして僻地の病院の運営を助けることができるならMedinasは応援すべきビジネスだろう。

And Comfort

大柄な女性のファッションの選択肢はNordstromやMacy’sのようなデパートでも限られている。ところがアメリカの女性の多数はこの「プラス・サイズ」のカテゴリーに入る。1億人のアメリカの女性が非常に少ない選択肢で我慢をしているという。And Comfortはこの状態を改革しようとしている。ハーバード大学でクラスメートだった2人の共同ファウンダーは、消費者直販のファッションブランドを立ち上げ、プラス・サイズの女性を悩ませているアイテムの供給不足という問題の解決を試みている。これにはスタイリッシュかつミニマリストなチュニックやエプロンドレスなどが含まれる。きわめて若いスタートアップだが、ブランドが販売を開始してから数週間ですでに2万5000ドルの売上があったという。

注目の理由:この直販のファッション・ブランドはこれまで無視されがちだった層に高品質でエレガントなアイテムを供給するという。これは有望だろう。

ShopWith

世界中のインフルエンサーの活動を一つのモバイル・アプリから見られるようにするのがShopWithの目標だ。ユーザーはバーチャル店舗に入り、通路に沿って並ぶファッション、コスメティックスなどのアイテムをショッピングすることができる。これらはお気に入りのブロガー、ユーチューバーなどのインフルエンサーが推薦しているアイテムだ。ユーザーはアプリから出ずにこインフルエンサーがフィーチャーしている商品を購入できる。ダウンロードは無料。

このサービスのビジネスモデルはテレビ通販のQVCにやや似ている。ただし〔90年代後半生まれの〕Z世代のユーザーの購入に影響を与えているのはテレビではなくYouTube、Instagram、Snapchatといったオンラインのソーシャルビデオだ。同社によれば、ある美容系インフルエンサーはShopWithプラットフォームを利用することで5時間で1万ドルの利益を得たという。共同ファウンダーはFacebook、Amazonでソーシャル通販ビジネスの運営の」経験がある。

注目の理由:Z世代向けQVC というキャッチフレーズもさることながら、これは着実に売上を伸ばせる方向だ。モバイル・ファーストでインフルエンサーをベースにしたショッピング・サービスは有望。

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滑川海彦@Facebook Google+

ブロックチェーンを使用するIoTデバイスの開発が簡単にできる組み込みボードElkrem

スマートフォンをArduinoのボードに接続するツール1Sheeldを作った連中が、さらにおもしろいものを作った。彼らの新製品Elkremは、ブロックチェーンのIoTデバイスを作るためのスマートキットで、彼らはこのプロジェクトのためにEndure CapitalとConsensysから25万ドルを調達した。

ファウンダーのAmr SalehとIslam MustafaはTechCrunch Disrupt 2013で1Sheeldを発表し、その後120か国で数万台を売った。そして今度の彼らの製品は、完全にブロックチェーンがベースだ。

[Bitcoinを使用するキャンディーの自販機]

Salehは説明する: “Elkremは、ブロックチェーンハードウェアを開発するためのボードだ。ブロックチェーンのデベロッパーはハードウェア開発の詳しい知識がなくても、これを使って、ハードウェアのプロトタイプをDapps(分散型アプリケーション)に容易に統合できる。また電気工学のエンジニアやハードウェアのデベロッパーが、ブロックチェーンの詳しい知識がなくても、自分のハードウェアプロジェクトにブロックチェーンを接続できる。どちらもスマートコントラクトでアクチュエータをトリガでき、またセンサーのデータをスマートコントラクトへログできる”。

ボードはArduinoに似ていて、二つのプロセッサーとストレージとWi-Fiがある。プロセッサーのひとつはLinuxの彼ら独自の変種が走り、Ethereumや, IPFS, Swarm, Whisper, Bitcoin, Status.imなどへインタフェイスする。他方のプロセッサーは、もっぱらユーザーに対応する。

Salehは曰く、“うちの強みは、速い開発と速いプロトタイピング、そして速い市場投入だ。このボードがあれば、プライベートで分散型のIoTメッセージをピアツーピアの通信で送れる”。

つまり、このボードがあれば、ブロックチェーンを使うハードウェアの開発が簡単になる。Koynというライブラリを使って、Bitcoinによる決済をわずか1行のコードで処理でき、彼らはすでにサンプルプロジェクトとして、Bitcoin対応のキャンディーマシンや、Bitcoinで料金を払える電源コンセントなどを作っている。このボードは、年内にKickstarterにも登場する予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Y Combinatorデモデー1日目の注目10チームを紹介する

Y Combinatorの最新のデモデーでは乳がんを発見するウェアラブルから代替肉製品向け産業用サプライチェーンの構築まで多くのチームが多様なイノベーションを競った。ここでは1日目でわれわれが注目した10チームを紹介する(YC Demo Day 2018に登場した全63社の紹介はこちら)。

Oxygen

フリーランサーは口コミによるいっときのブームとその後の落ち込みというサイクルに縛られがちだ。 Oxygenは収入のないフリーランサーに簡単な審査で資金を融資する。 内国歳入庁1099号による契約社員は既存の金融システムの融資から閉め出されているが全体として1.4兆ドルもの収入がある。Oxygenはこうした社員の雇用者にも進んで融資する。Oxygenはモバイルバンキングだが手数料は一定だ。与信審査には機械学習アルゴリズムが用いられる。万国の契約社員よ、団結せよ!

注目の理由: オンライン・レンディングに新たな市場を開く可能性がある。適切に運営されればこの市場は数十億ドル規模に成長するはず

Higia

EVAとよばれるウェアラブル・デバイスは女性の胸部をサーマルスキャンし、非侵襲的方法で乳がんを発見できるものとHigiaでは期待している。スポーツブラなどの下にも装着可能で、現在のスクリーニングでは見逃されれがちな乳がんの早期発見に役立つ。同社はすでに今年中にアメリカで発売の予定。価格は299ドル。スタンフォード大学で治験中。

Higiaの記事はこちら.

注目の理由: このツールが消費者に負担をかけない手頃な価格で実際に乳がんを早期発見できるとなれば市場は大きい。投資家にとっても世界にとっても朗報となるはず。

C16 Biosciences

パーム(ヤシ)油は食用その他日常生活のあらゆる面で大量につかわれているが、製造過程で熱帯雨林の破壊などさまざまな環境問題を引き起こしている。C16 Biosciencesは温室効果ガスの大幅削減など世界規模でパーム油による環境破壊の防止を目指す。C16では醸造テクノロジーを利用による工業的なパーム油の製造によりコストも20%安くできると期待している。

C16はすでに多数の化粧品、食品企業と提携しており、これらの企業は合計で年間12億ドルもパーム油を購入しているという。

注目の理由: ベンチャー投資のサイクルでは最近、「クリーンテック」が再浮上している。もともと伝統と実績がある醸造技術をベースにしたテクノロジーをパーム油製造に応用した点が新しい。

JITX

JITXは回路基板の設計サービス。現在は熟練した専門家が手作業で回路基板をデザインしているが、JITXのソフトウェアではこれを機械学習に置き換えようとしている。ハードウェア・メーカーにとっては時間とコストの大幅節減となる。JITXはすでに回路基板の自動設計システムを販売しており、HPを含め(さらにもう1社の有力企業は匿名)多数の企業がユーザーとなっている。バークレーを本拠としており、市場は92億ドルといわれる。コストはマニュアル設計の20%程度。

注目の理由: このスタートアップはすでに投資家の間にセンセーションを巻き起こしている。最新のラウンドでは$80万ドルを調達する予定だが、予定の3倍の投資家が殺到したという噂だ。簡単に言って、あらゆるハードウェアの基礎を製造する技術を大きく改良するテクノロジーだ。

HoneyLove

HoneyLoveは安価で実際に効果がある製品によりシェイプウェア〔体型補正下着〕市場をディスラプトしようとしている。

89ドルからのプロダクトは シームに補強材が内蔵されており、(鯨のヒゲなどによる)ボーンを内蔵した昔のコルセットに似た構造だ。HoneyLoveの補強材は柔らかい繊維のチューブの中に通されており、不快感を与えない。これにより装着時にずり上がったりずり下がったりすることを防いでいるという。同社はすでに50万ドルの売上を得ている。

HoneyLoveの記事.

注目の理由: 市場が大きいだけでなく、同社の成長ぶりは今後に強く期待させるものがある。

Camelot

Cameloteスポーツを対象とするギャンブルを目的としたモバイル・アプリだ。ビデオゲームとスポーツギャンブルの交差点は高い利益を生むことが間違いない分野だ。

注目の理由: スポーツ・ギャンブルはすでに少なくとも10億ドル級のビジネスを生んでいることからしても、eスポーツのギャンブルも同程度の成長が見込める。

Inokyo

Inokyo〔トウキョウと似た発音〕はAmazon Goに似たキャッシャーレス店舗を実現しようとするスタートアップだ。多数のカメラが店内の消費者をモニターし、棚から何を取り出したかを認識する。ストアからの出入りの際にそれぞれ1度ずつモバイルアプリに表示されるQRコードをスキャンさせるだけで支払いは完了だ。

最初の店舗は最近マウンテンビューのカストロストリートにオープンした。スナック、昆布茶、プロテインパウダー、入浴剤などを売っている。

Inokyoの記事.

注目の理由: AmazonやAlibabaが独自技術で開発したキャッシュレス・ストアのテクノロジーをホワイトレーベル化して広く販売するというビジネスモデルは一般店舗に魅力的。大きな市場を開拓できるかもしれない。

Hepatx

Hepatxは重症の肝炎のあたらしい治療法の提供を目指す。慢性肝炎の患者はアメリカで390万人も存在し、毎年4万人の死亡原因となっている。同社では肝細胞に再生医療テクノロジーを適用して治療をする。肝細胞再生は肝臓全体の移植に比べてコストと死亡率を押さえる効果が期待できる。アメリカで肝臓移植が必要な患者は20万人もいるが、実際に移植を受けられるのは数千人に過ぎない。Hepatxは患者の脂肪細胞から肝細胞を再生し、患者の肝臓に戻すことによって肝機能の再生を図る。

注目の理由: 新しく肝細胞を作り出すというのは文字どおり生死を分ける重要なテクノロジーだ。ファウンダーチームは優秀であり、初期の治験結果も有望だ。ホームランになる可能性十分。

Cambridge Glycoscience

代替甘味料でクッキーなどを焼こうとして失敗したことはないだろうか? 甘みを真似することはできても高温でカラメル化したり飴化したりするのは砂糖に特有の現象だ。そこでYCのスタートアップ、Cambridge Glycoscienceでは文字通りおいしい解決策を提案している。 同社の代替甘味料は味を損ねずに低カロリーの料理をメインストリームにできる。コーンシロップなんか投げ捨てて新しい甘味料を試してみよう。同社の製造プロセスは大量生産に向いており、イノベーションの多くの部分は特許によって保護されている。

注目の理由: FortuneがLancetを引用した記事によれば74%前後のパッケージ食品や飲料にはなんらかの甘味料が使用されており、マーケットの規模は1000億ドルと見積もられている。 Cambridge Glycoscienceがその一部を代替できるなら大いに有望なスタートアップといえるだろう。

Seattle Food Tech

Photo: James A. Guilliam/Taxi/Getty Images

自然肉よりおいしい植物製の代替肉はもはや現実のものとなりつつある。投資家は何千万ドルもの資金をこの分野につぎ込んでいる。Seattle Food Techは植物性代替肉を大量生産するためのプロセスを低コストで構築できるようにることを目標としている。

「われわれは植物性チキンナゲットを製造するプロセスに宇宙航空テクノロジーを応用している」とCEOのChristie Lagallyは述べている。Lagallyは元ボーイング社のエンジニアでテクニカル・プロジェクト・マネージャーを務めた。

注目の理由: Seattle Food Techは代替肉の製造という大きなマーケットで産業レベルのサプライチェーンを確立できる可能性がある。

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滑川海彦@Facebook Google+

TouchPalキーボードで大ブレークした中国のCootekがニューヨーク証券取引所で$100MのIPO

TouchPalキーボードアプリで有名な中国のモバイルインターネット企業Cootekが、アメリカで上場する。先週SECに提出されたF-1フォームによると、調達目標額は1億ドルだ。

上海で2008年にTouchPalをローンチした同社は2012年3月にCootekという名前で法人化し、SECへの提出書類によると現在の一日のアクティブユーザーは1億3200万、6月現在でその前年同期比増加率は75%、としている。また広告収入は同じ6月までの6か月で453%増加している。

AIを利用しているTouchPalは指をすべらせるグライドタイピングと予想テキスト機能があり、Cootekの一番人気のアプリだが、ほかにも15のアプリがあり、それらはたとえばフィットネスアプリのHiFitとManFITや、バーチャルアシスタントのTaliaなどだ。同社は独自のAI技術とビッグデータ技術により、ユーザーとインターネットから集めた言語データを分析する。そしてそこから得られるインサイトを利用して、ライフスタイルやヘルスケア、エンターテインメントなどのアプリを開発している。15のアプリを合計すると、月間平均ユーザーは2220万、一日では730万となる(6月現在)。

TouchPalそのものの平均ユーザーは、2018年6月の全月で1億2540万だった。一人のアクティブユーザーが一日に72回、このアプリを立ち上げている。現在、110の言語をサポートしている。

Cootekの主な売上源はモバイルの広告だ。同社によると、売上は2016年の1100万ドルから2017年には3730万ドル、その対前年増加率は238.5%だった。利益は6月までの6か月で350万ドル、1年前には1620万ドルの損失だった。

Cootekはニューヨーク証券取引所でチッカーシンボルCTKで上場する計画だ。IPOで得られた資金はユーザーベースの拡大と、AIおよび自然言語処理への投資、広告のパフォーマンスの改善に充てられる。上場の引き受け証券企業はCredit Suisse, BofA Merrill Lync, そしてCitiだ。

画像クレジット: Cootek

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

安全検査ロボットのGecko Roboticsが700万ドルを追加調達

Gecko Roboticsは、壁を登るロボットでこの国の発電所の人命を救うことを目的としている。これを継続するために、同社は700万ドルの資金を調達した。出資したのはFounders Fund、Mark Cuban、The Westly Group、Justin Kan、およびY Combinatorらの名だたる投資家だ。

ピッツバーグ拠点のこの会社を本誌が 最初に報じたのは、共同ファウンダーのJake LoosararianがTechCrunch TVスタジオを訪れ、彼のデバイスをカメラの前で披露したときだった。当時GeckoはY Combinatorの2016年春クラスにいて、いくつかの米国発電所と提携して黒字化を目指していた、とLoosararianは語った。

当時のインタビューはここで見られる。

Geckoが作るロボットは工場や発電所施設の安全を確保するうえで重要な役割を担っている。ロボットたちは人間に先行して潜在的危険の確認を行う。彼らは独自の磁気装置を使ってタンクやボイラー、パイプラインなどの工業機器に登り、超音波やレーザーなど様々なセンサーを使って構造の完全性を検査する、と会社のリリース文にかかれている。

安いものではないが——ロボットの価格は5万~10万ドル——もちろん人命と比べれば取るに足りない。

発電所の壁を登って安全検査をするGeckoロボット

Loosararianはさらに、彼のテクノロジーは現存する他者よりも速くて正確であり、それは「最も困難な問題のいくつかを解決するために」機械学習を用いているからだとTechCrunchに語った。

それは、何人かのベテラン投資家の注意を引くだけのユニークなアイデアでもあった。

「工業支援技術の分野では過去数十年間イノベーションはないのも同然だった」とFounding Fundのパートナー、Trae StephensがTechCrunc宛の声明で言った。「Geckoのロボットは施設の停止時間を大幅に削減するとともに、重要な性能データを収集して致命的事故を未然に防ぐ。彼らの作っているものの需要は膨大だ」

ロボットの動いているところを見たい人は下のビデオをご覧あれ:

Diesel_tank_A from Gecko Robotics, Inc on Vimeo.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

TechCrunchTokyoのお得な「学割チケット」発売中!学生さんにこそ来てほしい

TechCrunch Tokyo 2017に登壇したSlack共同創業者のCal Henderson氏

日本のスタートアップにもっと活躍してほしい。僕たちTechCrunch Japan編集部は日々そう願いながら記事を書いている。だからこそ、今年も11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo」には起業家志望の学生やスタートアップに関心のある学生にもたくさん参加してほしい。今日はそんな学生たち向けに現在発売中の「学割チケット」についてお知らせしたい。

一般チケットは4万円(税込)だが、学割チケットは5000円だ。限定100枚となっているので興味のある学生は早めに申し込んでほしい。

TechCrunch Tokyoではスタートアップたちによるピッチバトル「スタートアップバトル」や展示ブース「スタートアップデモブース」を用意している。“スタートアップとは何か”を知るにはもってこいのイベントだと保証する。

また、国内外の著名ゲストによる講演も見逃せない。昨年は海外からSlack共同創業者のCal Henderson氏やWeWorkのChris Hill氏、国内ではマネーフォーワードの辻庸介氏ソラコムの玉川憲氏らに登壇していただいた。

学生にもスタートアップとはそもそも何か、どのように社会に影響を与えているのかを肌で感じてほしいと思い、学割チケットを用意した。

おっと、学割チケットをお買い求めの方は、当日受付にて学生証の提示が必要なので忘れずにお持ちいただきたい。

チケット購入はこちらから

ブロックチェーンを破壊するハッカーの手口をシミュレーションしてデベロッパーの事前対策を可能にするIncentivai

暗号通貨のプロジェクトは、人間がそのブロックチェーンを悪用すると破綻する。しかも分散デジタル経済が実際に動き出し、コインが離陸すると、それらを統治するスマートコントラクトの修復は難しい。あくまでも、デベロッパーによる事前対策が必要である。そこで、今日(米国時間8/17)ステルスを脱したIncentivaiは、その人工知能によるシミュレーションで、セキュリティホールを調べるだけでなく、ブロックチェーンのコミュニティを構成している人間たちの貪欲や非論理性にメスを入れる。暗号通貨分野のデベロッパーはIncentivaiのサービスを利用して、自分たちのシステムが動き出す前に、その欠陥を修復できる。

Incentivaiの単独のファウンダーPiotr Grudzieńはこう言う: “スマートコントラクトのコードをチェックする方法はいろいろあるが、新たに作った経済が期待通りに動くことを確認する方法はない。そこで私が考えたのは、機械学習のエージェントを利用するシミュレーションを作り、それが人間のように振る舞うことによって、システムの未来の振る舞いを予見する方法だ”。

Incentivaiは来週Y Combinatorを卒業するが、すでに数社の顧客がいる。顧客(ユーザー)は、Incentivaiの有料サービスにより自分たちのプロジェクトを監査してレポートを作るか、または自分でそのAIによるシミュレーションツールをホストしてSaaSのように利用する。同社がチェックしたブロックチェーンのデプロイは数か月後になるが、そのとき同社はすでに、そのプロダクトの有意義性を実証するための、いくつかのケーススタディーをリリースしているだろう。

Grudzieńは説明する: “理論的にあるいは論理としては、一定の条件下ではこれこれがユーザーにとって最適の戦略だ、と言うことはできる。しかしユーザーは、合理的でも理性的でもない。モデルを作ることが困難な、予想外の行動がたくさんある”。Incentivaiはそれらの理不尽な取引戦略を探求して、デベロッパーがそれらを想像しようと努力して髪をかきむしらなくてもよいようにする。

人間という未知数から暗号通貨を守る

ブロックチェーンの世界には巻き戻しボタンがない。この分散技術の不可変かつ不可逆的な性質が、良かれ悪しかれ、一度でもそれを使ったことのある投資家を遠ざける。ユーザーが偽りの請求をしたり、贈賄によりそれらを認めさせようとしたり、システムを食い物にする行動を取ったりすることを、デベロッパーが予見しなければ、彼らは攻撃を阻止できないだろう。しかし、正しくてオープンエンドな〔固定しない〕(AIに対する)インセンティブがあれば…これが社名の由来だが…AIエージェントはなるべく多くの収益を得るために自分にできることをすべてやってみて、プロジェクトのアーキテクチャにあるコンセプトの欠陥を明らかにするだろう。

Grudzieńはさらに説明する: “この〔すべてをやってみるという〕やり方は、DeepMindがAlphaGoでやったものと同じで、さまざまな戦略をテストするのだ”。彼はケンブリッジの修士課程でAIの技能を究め、その後Microsoftで自然言語処理の研究を担当した。

Incentivaiの仕組みはこうだ。まず、デベロッパーは、ブロックチェーンの上で保険を売るなどの、自分がテストしたいスマートコントラクトを書く。IncentivaiはそのAIエージェントに、何を最適化するのかを告げ、彼らが取りうるすべての可能なアクションを羅列する。エージェントの役柄はさまざまで、大金を手にしたいと思っているハッカーだったり、嘘をばらまく詐欺師だったり、コインの機能性を無視してその価格の最大化だけに関心のある投機家だったりする。

そしてIncentivaiはこれらのエージェントにさらに手を加え、彼らを、ある程度リスク忌避型だったり、ブロックチェーンのシステム全体を混乱させることに関心があったり、といったタイプにする。それから、それらのエージェントをモニターして、システムをどう変えればよいかというインサイトを得る。

たとえば、トークンの不均一な分布がパンプ・アンド・ダンプ(pump and dump, 偽情報メールによる価格操作詐欺)を招く、とIncentivaiが学習したら、デベロッパーはトークンを均一に分割して、初期のユーザーには少なめにする。あるいはIncentivaiは、認められるべき支払請求をユーザーが票決する保険製品は、投票者が偽の請求を偽と立証するために支払う債権価格を上げて、詐欺師から収賄しても投票者の利益にならないようにする必要があることを、学ぶかもしれない。

Grudzieńは、自分のスタートアップIncentivaiについても予測をしている。彼の考えによると、分散アプリケーションの利用が上昇すれば、彼のセキュリティサービスのやり方を真似るスタートアップが続出するだろう。彼によると、すでに一部のスタートアップは、トークンエンジニアリングの監査や、インセンティブの設計、コンサルタント活動などをやっているが、ケーススタディーを作る機能的シミュレーションプロダクトは誰もやっていない。彼曰く、“この業界が成熟するに伴い、そういうシミュレーションを必要とする、ますます複雑な経済システムが登場するだろう”。

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ドローン+AIで発電/送電施設等の異状を至近距離で検出するSterblue

ドローンの商用利用に関する政府の規制は、関連企業にとってとてもポジティブな方向に向かってるようだし、またドローンを利用するスタートアップにとっては、人工知能を利用して人間の努力なしで結果を得る機会がますます増えている。

Y Combinatorの最近のクラスを卒業したフランスのSterblueは、市販のふつうのドローンと、そのような自動化手法を使って、大きな屋外建造物の近接検査をする。

同社のソフトウェアはとくに、自動化されたシンプルな飛跡で大型の送電線やウィンドタービン(風力発電機のタービン)を検査し、それを人間がやるより短時間かつ少ないエラーで行なう。また、対象の至近距離まで接近できるので、細部の高精細画像が得られる。

混みあった都市環境と違ってSterblueが調べる対象物は、異状がそれほど多くない。またCADのデータが得られるので、飛行経路の設計も比較的易しい。そして、まわりに物が密集していないから、風などに対応してドローンの姿勢を直すための空間も十分にある。

ドローンのオペレーターは、ドローンをSterblueのクラウドプラットホームに接続し、そこに写真をアップロードしたり、構造物の3Dモデルを見たりできる。飛行の間、Sterblueのニューラルネットワークが、今後の精査が必要と思われる問題箇所を見つける。Sterblueによると、ドローンは送電線から3メートルの距離にまで接近できるので、同社のAIシステムは撮った写真から異状を容易に検出できる。汚損や傷などの最小検出サイズは、1ミリメートルととても小さい。

最初、ドローンは自社製を使っていたが、ユーザーを増やすにはDJIのような一般市販品をサポートすべし、と気づいた。同社のファウンダーたちはAirbusの元社員で、当面は電気などの公益企業を顧客にしていく予定だ。そして最初はヨーロッパ、次いでアフリカとアジアを市場としてねらっている。

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無人小売店舗のスタートアップ、InokyoはAmazon Goに挑戦する

インディーズ版Amazon Goを目指すスタートアップのInokyoが、レジ係不要の無人小売店舗のプロトタイプをスタートした。商品を棚から取り出したり棚に戻したりするところをカメラで撮影し、客は店を出る前にアプリのQRコードをスキャンするだけで、購入した商品の代金が引き落とされる。

最初の店舗はカリフォルニア州マウンテンビューのカストロ通りにオープンし、 おしゃれなこんぶ茶やスナック、プロテインパウダーやバス用品などを販売している。陳列棚はまばらで少々戸惑うが、5年後の日常のショッピングらしき様子を垣間見ることかできる。本誌が撮ったデモビデオを参照されたい。

「レジ無し店舗は自動運転車が輸送業界に与えるのと同じレベルのインパクトを与えるだろう」と、Inokyoの共同ファウンダー、Tony Francisが私に言った。「これは小売の未来だ。店舗が無人化に進むことは避けられない」。

Inokyo(Tokyoと韻を踏む)はこのマウンテンビュー店舗を早期利用する ベータテスターを募集中だ。テストの目的は、将来の品揃えとビジネスモデルを考えるために必要なデータを収集することにある。Inokyoはこのテクノロジーをサービスとして他の小売店に販売するか、自社店舗を運用するか、ブランドと提携して製品のポジショニングを改善するかを、店内センサーのデータと顧客の行動に基づいて決定するつもりだ。

「このテクノロジーを実験室で研究しても成功しないことはわかっている。最初にシステムを提供してリアル世界で学習し、このテクノロジーをいち早く進化させたものが市場を席巻できると考えている」とFrancisは言う。InokyoはAmazonやWhole Foodsと競合できるような小売の巨人になれることはないかもしれない。しかし、その技術によって対等な戦いを実現し、小さな企業が巨人たちの独占を阻む可能性はある。

問題はレジ係が代わりに何をするかだ

「Amazonは私たちが思ったほど先行していない」とFrancisは指摘する。彼は共同ファウンダーのRameez Remsudeenと共にシアトルのAmazon Go店舗を見に行ってきた。米国でレジ係をカメラで置き換えた最初の店だ。そこで感じたのは「この体験は魔法のようにできるはずだ」ということだった。

ふたりはカーネギーメロン大学の機械学習の授業で知り合い、その後その知識をInstagramとUberで利用した。彼らは無人店舗の世界に今すぐ参入すればその方向性について発言権を得られると考えた。

来週Inokyoは彼らのシード資金を提供したY Combinatorのアクセラレーターを卒業する。6週間のプログラム期間中に、マウンテンビューの店舗スペースを見つけ、従来型店舗の顧客の行動を学習し、初期の商品群を揃え、ユーザーが棚から取り出したものを追跡するテクノロジーを開発した。

Inokyonストアのしくみはこうだ。まずアプリをタウンロードして支払い方法を登録するとQRコードが送られてくるので店に入る時にセンサーにかざす。天井のカメラが客の体型と服装をスキャンして顔認識をせずに店内での動きを追跡する。一方、棚に設置されたカメラは商品が取り出されたり戻されたりするところを追跡する。これらを組み合わせて、誰がどこで何を取り出したかを認識することでカート内の商品を決定する。店を出る時に再びQRコードをスキャンする。のちに詳細が書かれたレシートを受け取る。

実は当初Inokyoでは店を出る時のスキャンをしていなかったが、客からのフィードバックで、万引きしているような気分だと言われた。出口のスキャンは技術的に必要だったわけではなく、安心感を与えるためというわけだ。そこには「選んだ商品をInokyoが全部認識しなくても私の問題ではない」という不穏な楽しみもある。そして、もし過大に請求された場合はアプリ内のサポートボタンを押して払い戻しを受けることができる。

Inokyo co-founders (from left): Tony Francis and Rameez Remsudeen

私は商品を棚から何度も出したり入れ替えたりしてみたが、Inokyoの請求は正確だった。ただ、その時店内には3人くらいしか客がいなかった。この種のシステムにとって本当の課題は、客が大勢やってきて似たような外見の人をカメラが区別しなくてはならないときだ。精度が99%以上でなければ、システムは役にたつより面倒のタネになるだろう。しょっちゅう金額が多すぎたり少なすぎたりするくらいなら、昔ながらの店に行った方がいい。

無人小売店舗はレジ係不要だからといって、スタッフを置く可能性がないと言う意味ではない。コスト削減を最大化するために、客は略奪をしないと信じているだけだ。Inokyoは店内に目を配り、客が入店時にスキャンするのを確認したり、手続きの質問に答えたりすることを考えている。また、レジ係を配置転換して商品を薦めたり、客にあった商品を見つけるコンセルジェにする可能性もある。こうした店の評価はテクノロジーだけでなく体験全体の利便性できまる。少なくとも、レジ作業から解放された従業員が、商品補充や顧客対応、店舗のメンテナンスなどに従事できる機会があるはずだ。

The Amazon Go autonomous retail store in Seattle is equipped with tons of overhead cameras

Amazon GoはInokyoと同じような方法でカメラを利用しているが、さらに重量センサーを用いて商品を追跡している。レジ係不要の夢を追っている会社は他にもay to Inokyo, it also relies on weight sensors to track items. There areたくさんある。中国のBingoBoxは1億ドル近い資金を受けて300以上の店舗を展開している。ただし、技術的にはさほど高度ではないRFIDタグを使用している。Y Combinatorの同窓スタートアップ、 Standard Cognitionは500万ドルを調達して、従来型店舗に無人カメラ技術を付加している。AiFiも同じことをしているが、不審な動きを検出して万引きの可能性を報告できると言っている。

未来型店舗はますます現実味を帯びてきた。正確な追跡ソフトウェアと容易に設置できるハードウェアを開発し、買い物フロー全体を快適にできる会社が勝者となるだろう。もしこのテクノロジーが顧客を遠ざけることなくコストと行列を減らすことができれば、地元のリアル店舗はすぐにでも導入するだろう。この未来がやってくるのか、いつそうなるのかという以上に大きな問題は、レジ打ちで生計を立てている無数の人たちにとって、それがどんな意味を持つのかということだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

郊外や地方のドッグランではなくて都市のどまんなかの犬公園BarkParkがオープン

犬のおやつや玩具を会員制で届けるBarkBoxを運営しているBarkが、ナッシュビルに犬の公園BarkParkの第一号をオープンする。

それは、犬を遊ばせる公園であると同時に、人間が集まるコーヒーショップのようなたまり場でもあるらしい。

Barkの協同ファウンダーHenrik Werdelinがブログに書いている: “友だちと外で飲んだり食べたりするのは都市に住む者の定番的な楽しみだが、そんなとき犬のモーリーはお留守番だ。そこで悟った。彼女も一緒にそれを楽しむべきだ、と。どこに行くにも、犬と一緒が良いね”。

BarkParkで犬たちはノーリードで遊べる。Barkのおもちゃやおやつを試せる(買うこともできる)。飼い主には無料のWi-Fiが提供され、ちいさなコーヒーショップもあり、Barkのスタッフに犬のことで質問できる。

また、週に一度、犬と飼い主のための特別行事がある。ミニ・コンサートや、ビールの試飲会などだ。

BarkPark

入園料は一日19ドル、4週パスは49ドル、シーズンパスは78ドルだ。ただし会員としては人間ではなく犬が登録され、付き添う人間は誰でもよいが、最大2名までだ。だから出張や旅行時には、ドッグウォーカーやドッグシッターに頼んでもよい。

一号園であるナッシュビルは今建築中なので、この記事も写真はなくてイラストのみだ。オープンは9月8日を予定している。最初は3か月の試験運営で、11月18日からは冬季休業になる。今後は各地で、もっと長期の開園をトライするかもしれない。

なぜ、最初はナッシュビルなのか? いろいろ良い点はあるが、Barkによると、ペットフレンドリーな都市としていちばん進んでいるからだそうだ。

同社曰く、“どこへ行くにもペットと一緒、という現代的な飼い主が急増している。彼らは、仕事中でも犬や猫のことが気になる。そんな人たちがBarkParkの理想的な会員なのだ”。

画像クレジット: Bark

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

行き過ぎたオープンオフィス化と戦うために「空間」を売るROOM

騒がしいオープンオフィスはコラボレーションを育むのではなく疎外する。ハーバード大学の調査によれば、プライバシーの少ないプロアプランは、従業員の直接の対話を73%減らし電子メールの割合を増やす。問題は、多くの若い企業と大企業たちが、すでにオープンオフィスの流行を受け容れていることだ。だが、ROOMと呼ばれる新しいスタートアップが、プレハブ式の自分で組み立てられるソリューションを提供している。オフィスの電話ブースのIKEA式と呼ぶことができるだろう。

3495ドルのROOM Oneは、防音型で通気式の電源が引き込まれたブース(電話ボックスのような小部屋)で、新規もしくは既存のオフィスの中に設置し、従業員たちにビデオ通話を行ったり邪魔の入らない集中作業を行ったりする場所を提供する。比較としてROOMの共同創業者であるMorten Meisner-Jensenは「ほとんどの電話ブースのコストは8000から1万2000ドルくらいです。私たちにとって、最も安い競争相手は6000ドルですが、これでもほぼ2倍です」と語る。TalkBoxからは4500ドル、Zenboothからは3995ドルでブースが発売されているが、それぞれ送料として1250ドルと1650ドルが加算される。一方ROOMの送料は無料だ。彼らは皆で「オフィスを分け合う市場」を分け合っている。

アイデアはシンプルに見えるものの、もしこうしたブースが、セールスコールの鳴り響く中で従業員がイライラすることを防いでくれるなら、生産性の低下や人員の補充、引き止めなどから発生する、膨大なコストを節約することができる。設立から1年も経たないうちに、ROOMはスタートアップからSalesforce、Nike、NASA、JP Morganを含む200社の顧客を得て、年換算にして1000万ドルの収益を達成した。当初FlexportのCEOであるRyan Petersenのエンジェル資金に加えて、Slow Venturesの200万ドルのシードラウンドが集められた。「おそらくこの企業は、Slowが今まで関わったものの中で、シードステージの投資で最も収益が高いものです。私は本当に興奮しています」とパートナーのKevin Colleranは語る。

部屋(room)を作っているから、ROOMと呼ばれているわけではありません」とMeisner-Jensenが私に語る。「人びとのための空間(room)を作り、プライバシーのための余地(room)を作り、よりよい仕事環境のための場所(room)を作りたいので、ROOMと呼ばれているのです」。

「汗かき部屋」ではなく、電話ブースを目指して

やる気のある読者なら、なぜ単にホームセンターに行って部品を適当に買い、自分でオフィス用電話ブースを組み立てないのかと考えるかもしれない。3500ドルよりもはるかに安く仕上がるはずだ。実はROOMの共同創業者たちもそれを試している。その結果は…残念なものだった。

Meisner-Jensenはデンマークのデジタル広告代理店Revoltでデザインの仕事をしていたが、それはデジタル書籍サービスMofiboを共同創業してStorytelに売却する前のできごとだ。「私の以前の職場では、外に出て電話を取らなければなりませんでした。そこはコペンハーゲンでしたので、年の半分はとても寒かったのです」。彼の共同創業者であるBrian Chenは、Y Combinatorが支援したスマートスーツケース会社であるBluesmartを起業し、業務担当の副社長を務めた。彼らはハンマーやノコギリを使えばオフィスレイアウトの問題に取り組めると考えた。つまり、彼らはスーパーヒーロー気分だったのだ。

Room共同創業者たち(左から):Brian ChenとMorten Meisner-Jensen

「オープンオフィスや同僚との間で、個人的に遭遇する問題に対処するために、私たちはプライベートな『電話ブース』を自分たちで作ろうとしたのです」とMeisner-Jensenは言う。「その時の私たちは、換気や音響の詳細について全く理解していなかったので、ブースはとても暖かいものになりました。おかげで私たちはそれを『汗かき部屋』(sweatbox)と呼んだ程です」(swatboxには他にも「取調室」「独房」といった意味もある)。

ROOMは、製品について真剣に考えている。10平方フィート(約0.93平方メートル)のROOM Oneブースは、平たい状態で出荷され、6角レンチを使って2人で30分以内に組み立てることができる。他に必要なのは、照明と換気扇に電力を供給するためのコンセントだ。それぞれの製品が、防音のために1088本のリサイクルペットボトルから作られているため、外部の音は聞こえない筈だ。このボックスは100%リサイクル可能だが、スタートアップが失敗しオフィスから退去する際には、分解しまたどこかで再組み立てを行うことができる。

ROOM Oneには、バーカウンターのような机が備え付けられ、コンセントならびに磁石がくっつく掲示板が提供される。ただし椅子は自分で持ち込まなければならない。それは実際には、中で居眠りしてしまうほどには快適にデザインされていない。それはこのやや窮屈な場所の問題とは言えないだろう。「大規模な騒音問題を解決するには、電話はしても良いけれど、1日長居したいような場所ではない空間を提供する必要があります」とMeisner-Jensenは言う。

(左から)Zenbooth、Cubicall、そしてTalkBoxのブース

フローに入る(集中する)場所

オフィスのマネージャーが、皆のためにただノイズキャンセリングヘッドフォンを購入すれば良いのでは?「狭苦しくて嫌ですね」と彼は笑いながら、なぜ新しい職場のトレンドとしてヘッドフォン以上のものが必要なのかを概説した。「人びとは、ビデオ通話やバーチャルミーティングを、より多く行うようになっています。そばを通る人たち全員に、スクリーンを覗かれるわけにもいかないでしょう。[ブースは]また、自分自身の仕事を片付けるための自分専用の空間を提供してくれます。これはBoseのノイズキャンセリングヘッドフォンからは得られないものです。私は物理的な空間がなくてはならないと思うのです」。

しかし、物理的なスペースを設置できる企業はたくさんあるため、その価格に見合う組立品質の微妙な点を伝えることが、ROOMの課題となるだろう。「現在のROOMの最大のリスクは、コピーキャットの存在です」とMeisner-Jensenは言う。「この分野に参入してきて、自分たちの方が良いものをもっと安く提供できると主張する者もいます」。これに対して、ROOMは様々なオフィス家具を提供することで、顧客をつなぎとめることができる。彼は、ROOMがすでにより大型の多人数プレハブ会議室や、クリエイティブルームの分割ソリューションなどの需要を受けていることを口にして、将来の製品を暗示した。

プライバシーの重要性は、働き手が1人になると生産性が向上するということ以上にもある。彼らが混沌としたオープンオフィスで過度の刺激から疲れてしまった場合には、必要なときに使うべき、意図的なコラボレーションのためのエネルギーが少なくなってしまう。喧騒は時間外の社交に対しても消極的にさせ、それが燃え尽きに繋がり退職を早める可能性がある。特にテクノロジー企業は、常に才能同士の戦いに晒されているため、ROOM Oneは、無料のスナックや単にオフィスをうるさくするだけの卓球台よりも、優れた特典として受け取られる可能性がある。

「私はこのソリューションが、キュービクルとコーナーオフィスの世界に引き戻すものとは思いません」とMeisner-Jensenは結論付ける。研究がオープンオフィスの有害性を指摘しているにもかかわらず、その過度の流行をオフィスの建築家たちが修正するするためには、さらに10年ほどもかかるかもしれない。今のところROOMの共同創業者は、「現在の作業スペースを可能な限り最良の状態にするにはどうすればいいだろう?」と尋ねながら、「騒音の問題を解決する」ことに集中している。

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(翻訳:sako)