サーバーレスアプリケーションのデプロイと管理を助けるServerless, Inc.が新たに$10Mを調達

Serverless, Inc.は、早くからサーバーレスを手がけ、2015年にはデベロッパーのためのオープンソースのフレームワークを作っている。今日では同社は、これまでのプロダクトをベースとして、サーバーレスアプリケーションのデプロイとデリバリをデベロッパーがもっとコントロールできるようにしたい、と考えている。そのために同社は、Lightspeed Venturesが率いるシリーズAのラウンドにより1000万ドルを調達した。これで同社の調達総額は、1300万ドルになる。

同社はまた、総合的なツールセットServerless Platformを発表した。これには、Serverless Framework(フレームワーク)のほかに、Serverless Dashboard(ダッシュボード)とServerless Gateway(ゲートウェイ)が含まれている。これらのうち、フレームワークでデベロッパーは、さまざまなクラウドプラットホームで使用するサーバーレスのコードをセットアップでき、ファンクションのルールやインフラストラクチャの依存性などの、クラウドごとの違いに対応できる。ダッシュボードは、デプロイに関する情報を視覚化し、サーバーレスファンクションの動作を、さまざまなクラウドプラットホームの上でモニタできる。

図表提供: Serverless, Inc.

ゲートウェイは、レガシーのツールをサーバーレスのアプローチに取り込む方法を提供する。同社の説明によると: “Serverless Gatewayで企業は容易にサーバーレスを既存のサービスのメッシュに統合できる。それらはコンテナやSaaS、そのほかのレガシーシステムなどさまざまだ。Event Gatewayが、サーバーレスのコンピュートと共に、企業のすべてのビジネスイベントにコードで反応する強力な方法を与える”。

同社のファウンダーでCEOのAusten Collinsによると、企業がサーバーレスファーストの考え方に移行すると、アプリケーションの構築とデプロイの費用が低下するが、しかしそのためには、チーム全体や大きな組織全体にわたって使えるツールが必要である。そして同社は、そんなツールを提供していくのだ、と。

“サーバーレスの開発を実運用にまで持っていくためのツールの需要が、今拡大している。それは、チーム全体のデベロッパーや、あるいは全社のデベロッパーが、サーバーレスの開発を安全かつスタンダードなやり方で実践できるためのツールだ”、とCollinsは説明する。

Collinsによると、フレームワークと通信ゲートウェイは今後もつねにオープンソースだ。同社が企業に課金するのは、サーバーレスのコードのインサイトを得るためのダッシュボードと、ゲートウェイのホステッドバージョンへのアクセスだ。しかしゲートウェイは、オープンソースバージョンを使って企業が自力でホストしてもよい。

サーバーレスによって、デベロッパーは必要なインフラストラクチャを気にせずに、自分たちのアプリケーションを動かすことができる。彼らが書くのはインフラストラクチャにアクセスするコードではなく、イベントをトリガするファンクションであり、そのイベントを動かすために必要なコンピュートとメモリーとストレージは、クラウドのベンダーが面倒を見る。

デベロッパーは、適切なインフラストラクチャのデプロイについて悩む必要がなくなり、ただ、ファンクションがイベントをトリガするときに使うインフラストラクチャに関してのみ、課金される。それは従来の、アプリケーションのためにサーバーをまるまるデプロイし、それらが使われても使われなくても24/7支払うやり方に比べると、きわめて対照的だ。

このやり方は確かに、アプリケーションの開発とデプロイに伴う複雑性をかなり取り去ってくれるが、しかし企業などの一連のポリシーに従ってコードを正しくデプロイし管理していく責任はデベロッパーの肩に100%残る。Serverless, Inc.が提供するようなツールは、そんな新しいやり方には(そのままでは、それだけでは)欠けているかもしれないコントロールやインサイトを、デベロッパーに与える。

2015年にローンチした同社は、現在社員が22名いるが、彼らは分散オフィスの形をとっている。メインのオフィスは、サンフランシスコにある。顧客の中には、EA SportsやNordstrom, Reuters, Coca-Colaなどがいる。今回得られた資金は、主に、同社プラットホームの拡大に充てられる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SoftBankの投資戦略を検討する――WeWorkへの5億ドルもテーマの一つに過ぎない

〔この記事はJason Rowleyの執筆〕

今週、WeWorkは中国における子会社、WeWork ChinaがSoftBankTemasek Holdings他から5億ドルの追加投資を得たことを発表した。これにより中国法人の価値は1年前の10億ドル(投資後会社評価額)から50億ドルにアップした。WeWork Chinaは前回の投資ラウンドをほぼ1年前、2017年の7月に発表している

SoftBankが同一会社に複数回投資することはめったにない。この記事の執筆時点で、Crunchbaseのデータによれば、SoftBank自身は144社に175回の投資を行っている。このうち、2回以上SoftBankから投資を受けた会社は23社だ。 このうちWeWorkは、中国法人も加えて、合計4回の投資を受けており、SoftBankの投資として最多となっている。

こうした実績から判断すると、SoftBankの戦略は各ビジネス分野におけるトップ企業に投資することのようだ。株式の持ち分として会社評価額の何パーセントにあたるのか外部から判断しにくい場合もあるが、SoftBankからの投資は各企業における最大の投資であることが多い。

たとえばWeWorkの場合を見てみよう。WeWork本体と現地法人、WeWork China、WeWork Indiaなどを含め、SoftBankの投資は単独出資であるか、投資ラウンドをリードしているかだ。また投資シンジケートの一員である場合もその中で最大級の金額を出資している。

特に市場拡大のチャンスが大きい分野の場合、SoftBankはその地域でリーダーの会社に投資することが多い。 なるほど世界征服というのは難しい企てだが、SoftBankは非常に巨大なので、ある事業分野について各地域のトップ企業の相当部分を所有することができる。結果としてSoftBankがその分野の世界のシェアのトップを握るチャンスが生まれる。

これは大胆な戦略だ。リスクも大きいし、巨額の資金を必要とする。しかしSoftBankは多くの急成長市場で最大の金額をコミットする投資家となっている。

不動産は投資テーマの一つに過ぎない

WeWorkはSoftBankの不動産投資の一例だが、下に掲げた表に同社の不動産、建設関係の投資の代表的なものをまとめてある。 順位はSoftBank(単独の場合、シンジケートの一員の場合双方を含む)の投資額だ。また関与したラウンド中に占めるSoftBankの投資額の比率も掲げておいた。

しかし、成長中の大型市場で成功を収めているトップ・スタートアップに巨額の投資を行うというSoftBankの戦略は不動産分野に限られない。オンライン・コマース、ロジスティクス、保険、ヘルスケア、そして大きな注目を集めたところではライドシェアとオンデマンド交通機関にもSoftBankは大型投資を行っている。

また人工知能スタートアップ分野で大きなポートフォリオを持っていることも見逃せない。SoftBankはNvidiaImprobableBrain CorporationPentuumなどに投資している。またMapboxCruise Automationに投資していることはSoftBank自身の自動運転車プロジェクト、SB Driveにも有利だろう。

SoftBankは古いものもすべてリニューアルしていく戦略の一例だ。 1990年代後半、SoftBankとファウンダーの孫正義はすでにテクノロジー分野で最大の投資家の一人だった。当時も現在同様、孫正義はSoftBankのポートフォリオをいわばバーチャル・シリコンバレー化しようとしていた。つまり投資先企業同士が協力することによってビジネス上のシナジー生むプラットフォームの構築だ。投資テーマを絞り込むSoftBankの戦略を見ると、今日、こうした大胆で愛他的な構想が実現する可能性は十分にある。しかし孫正義はテクノロジー投資の第1ラウンドではドットコム・バブルの崩壊で多額の損失を被ったことが知られている。第2ラウンドでSoftBankが成功するかどうかは今後に待たねばならないだろう。

画像:Ufuk ZIVANA / Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自宅で尿検査できるFDA認可のアプリが初登場

尿路感染はかなり不快な症状に悩まされる。体の構造上、女性に多くみられる病気で、実際、メイヨークリニックによると多くの女性が少なくとも一度は経験する病気なのだという。

尿路感染に苦しむ人のほとんどが、保温パッドを使ったり、水分を多く摂取したり、また鎮痛剤を服用したりして自分で解決しようと試みる。しかしこの病気は短期間で悪化することが多く、医師が呼ばれたり入院したりすることになり、最終的には抗生物質を薬局にもらいに行ってなんとか落ち着く。

これが今までの流れだった。

設立されて間もないサンフランシスコ拠点のスタートアップScanwell Healthが今週、試験ストリップと携帯電話のカメラを使って自宅で尿検査ができるアプリを売り出した。FDA(米国食品医薬品局)の承認を得た消費者向けこの手の検査としては、初めてかつ唯一のものだ。このアプリでは、ストリップを分析するのに高度化された色メトリクスを用い、病気の有無を判断する。

このキットはたったの5ドルだ。Scanwellに電話して検査結果を確認するのにー外部の医師と提携しているー別途25ドルかかる。しかし、もし尿路感染が認められた場合、すぐに抗生物質の処方箋サービスを受けられる(ユーザーは抗生物質を注文することもできるが、届くまでに数日かかる)。

Y Combinator から12万ドルの資金を調達しただけのこのスタートアップはハーバード大のMBA を卒業したStephen Chenにより設立された。彼は、投資家をうっとりとさせるような経歴の持ち主だ。

MBA修了後は、体外診断薬と医療デバイスを扱う設立33年のTeco Diagnosticsに入社した。まずはR&Dマネジャーとして働き、後にGMとなる。彼は2013年にTecoを退社するが、Tecoで習得したものを活用してペットの尿を調べる会社Petnosticsを立ち上げた。このペット用の尿検査では、腎臓結石やバクテリア感染を診断できる。彼は数年前に、自宅から離れたところで“Shark Tank”が開催した公開テストでこの会社をアピールした(日本語版注:Shark Tankは米国のテレビ番組で、投資をしてもらうためにビジネスオーナーたちが投資家の前でプレゼンをするというもの)。そして会社の20%の株式と交換に30万ドルを調達した。

こうした露出作戦は奏功したが、額は大きなものではなかった。結局、Chenはこの資金を受け取らなかった。明らかに、その必要はなかった。というのもPetnosticsは消費者の関心を集め、Chenが言うところの彼のマスタープランの一部であるScanwellの開発費用を賄うのに十分な売上高を出してきた。事実、Chenは3年ほど前にScanwellにかかるFDA承認の手続きを開始した。なぜFDA承認取得に踏み込んだかというと、ヒトの尿路感染テストはペットより大きなマーケットだからだ。毎年、尿路感染による救急処置室行きの費用は数十億ドル規模というデータがある。はっきりとした額を算出するのは難しいが、尿路感染で救急処置室で手当てを受けるとなんと2600ドルもかかる。

こうした事態を変えられるかどうかは、 Scanwellが今後マーケットにどう効果的にアプローチするかにかかっているが、これまでのところはうまくいっているようだ。

消費者が直接使うサービスの導入には時間を要するものの(電話での処方箋サービスに関する規則は州ごとに異なる)、カリフォルニア州といくつかの州では今日からScanwellのサービスを利用できるようになった。一方で、Scanwellはこのキットをできるだけたさくんの大学のキャンパスで入手できるようにしたいと考えている。というのも、学生は性的に活発であり、尿路感染症によくかかるからだ。

また、Scanwellは保険会社とも連携を強化しようとしている。Scanwellのキットを活用することで医療サービスの利用、ひいては保険の支払いを減らすことができ、サービスの評価を高めることができるというのがScanwellの考えだ。

Scanwellの取り組みは尿路感染のテストにとどまらない。この4人のチームはすでに、慢性的な腎疾患や循環器疾患など他の病気を尿で調べるテストの開発に着手している。

「試験紙を使ったテストはかなり安価だ。AOLがかつて大量のCDを送っていたように、消費者に郵送できる。医療サービスと連携し、自宅テストを通して患者に効率的にアプローチできる」と Chenは語る。

Chenの考えに患者が納得するのが前提となるが、もちろんChenが指摘するように自宅テストは“待望のもの”である。

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(翻訳:Mizoguchi)

海を護る非営利アクセラレーターOcean Solutions Acceleratorが最初の育成候補5社を選定

今年の初めにSustainable Oceans Alliance(SOA)は、自然保護に的を絞ったアクセラレーターを立ち上げる、と発表した。そしてそのアクセラレーターOcean Solutions Acceleratorがこのほど、支援する最初のスタートアップ5社を発表した。それらはとっても多様で国際的なので、そのどれかに誰もが積極的な関心を持てるだろう。

NPOのSOAは、謎の暗号通貨億万長者が管理する謎のファンド、Pineapple Fundから資金をもらっているので、アクセラレーターとしての十分な活動もできるはずだ。

今度選ばれた5社は、最初に得られた投資により、この夏ベイエリアで8週間を過ごし、企業の経営など、いろんな人たちからいろんなことを勉強する。つまり投資するだけでなく、彼らに、企業として長続きしてほしいからだ。

募集要項では、ファウンダーの年齢が35歳以下となっていた。自然保護の世界に、若い血を導入したいからだ。選ばれた5社の名前とロゴは、これらだ(下図):

●ロンドンのSafetyNetは、漁網に取り付ける発光デバイスを作っている。それは設定により、寄り付く魚種を特定できる。大量の望まざる魚種を捕獲して廃棄する、という巨大な無駄を防ぐ。

●カリフォルニア大学バークリー校出身のCalWaveは、波力発電の試験と改良を繰り返している。昨年、エネルギー省の巨額な助成金をもらった。今はプロトタイプから大規模インストールによる実機テストへの、移行の段階だ。

Loliwareの食べられるコップ。

Loliwareは、海藻でストローやコップを作った。還元性が良いので、ユーザーが自分で堆肥などへ還元できる。食べて、あなたの胃へ還元してもよい。飲み物を入れると一日しかもたないが、捨てたら約2か月で完全に分解する。あるいは、そのまま食べてもよい。ニューヨーク出身の彼らはShark Tank(マネーの虎のアメリカぱくり版)に出演して、実際にカメラの前で食べたそうだ。Amazonで買えるし、食べた人によると、けっこうおいしいそうだ。

●メキシコのクリアカンのEtacは情報が乏しいが、SOAのプレスリリースによると、“エネルギーや環境目的の機能性ナノ素材を設計製造している。それらはたとえば、石油流出や工場廃液などを浄化できる”そうだ。これは、すごそうだ。

●そして、いまどき、ブロックチェーンなしで済ませられるアクセラレーターはいない。シドニーのBlockcycleは、産廃リサイクルのマーケットプレースを作ろうとしている。単純に埋め立てに向かうよりはリサイクルして再利用した方が経済性が良い、という。なお、今回のスタートアップ募集では、Pineapple Fundからの投資のあと、ブロックチェーン関連の応募が増えたそうだ。

以上5社は、9月11日に行われるイベント(一種のお祭り)でプレゼンを行う。ちょうどその日は、カリフォルニア州知事Jerry Brownの「グローバル気候アクションサミット」がサンフランシスコで行われる。そして10月には、バリで行われるOur Ocean Youth Summitで再度プレゼンを行う。

SOAのファウンダーでCEOのDaniela Fernandezはこう述べている: “イノベーションを促進し私たちの惑星の健康を維持するために、新しい大胆なアプローチが必要なとき、これらの海洋起業家たちは希望のかがり火である。これらのすばらしいスタートアップたちを支援することによって、若者たちが環境の危機を自分たちが直面している問題として捉え、気候や海を害するのではなく、市場がこれらの大勢に逆らう運動から利益を得るよう、発想を転換していくことを期待したい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Momentus、水噴射ロケットをマイクロ衛星でテストへ――ロシア生まれの連続起業家、新テクノロジー開発

Y Combinatorが支援するロケット・テクノロジーのスタートアップ、 Momentusのファウンダー、Mikhail Kokoricの野心は単に月に到達する以上のものだ。Kokoricはロシア生まれで同国を代表する大学の一つ、ノボシビルスク大を卒業した物理学者であり、ソ連崩壊語は連続起業家として資産を築いた。

Momentusのテクノロジーの核心は、ロケットの推進物質として高価な化学薬品ではなく、水を利用する点にある。

画像提供:Momentus

Kokoricによれば水の利用にはいくつもの利点があるという。まず、水は宇宙空間で豊富に入手可能な物質であり、水を噴射薬として利用することは地球外の低重力環境では極めて効果的になる。「化学推進薬で何かを月に送り込むことを考えてみよう。化学推進薬は強力な推進力を得るには適切な方法だ。しかし宇宙船がひとたび地球の重力井戸の外に出れば水のほうがはるかに効果的な推進薬となる」とKokoricは言う。

Phase 4のような会社はマイクロ衛星を定位置に誘導するためにキセノンのような希ガスをイオン化して推進力とする方法を用いている。Kokoricによれば、こうした方法ははるかにコストがかかりであり速度も得られないという。「イオン化推進は静止衛星を定位置に配置するために用いられるが、数ヶ月の時間を要する。水噴射なら半分の時間ですむ」という。

「われわれのテクノロジーを用いれば10トンの衛星を静止軌道にずっと早く送り込むことができる」とKokoricは述べた。

Momentusはすでにドイツを本拠とする衛星打ち上げサービス、ECM Spaceと契約を結んでおり、2019年初頭にマイクロ衛星にこの推進装置を搭載して初のテストを行う計画だ。

最初のロケットはZealと呼ばれ、最高出力30ワットのインパルス・ロケットで持続時間は150秒から180秒が予定されている。

Kororichはロシアで連続起業家として成功を収めていたが、「2011年に私はいわゆる中年の危機に襲われた。そこで私は(長年の関心の的だった)宇宙企業の創立に転じた」という。【略】

Utilisは衛星写真の解析により地下の漏水を探知する

クリミア併合以後のロシアと西側の関係の緊張の高まりに伴い、スタートアップの運営にも多大の影響が出たため、Kokoricはサンフランシスコに移ってアメリカで民間宇宙企業を創立することにした。【略】

それでもKokorichの抗議が功を奏し〔西側の対ロ経済制裁にも関わらず〕、Momentusはロシアにおけるパートナーとの関係をある程度維持することに成功している。
ロシアからの投資はOden Holdings Ltdを通じて行われている。同社に対しKokoricはロシア国外で創立した初の民間宇宙企業、,カナダに本拠を置くHelios Wireを通じて持ち分を所有している。Heliosはブロックチェーン・テクノロジーによってデータを暗号化し、安全な衛星通信のよるIoTの実現を目指している。

Kokoricがアメリカに移ってから2番目に起業した宇宙企業はAstra Digitalという衛星通信サービス会社だった。そして現在のMomentusでKokoricはロケット推進という宇宙ハードウェア技術の革新に挑んでいる。「移動のコストが低下するにつれて新たなビジネスモデルが多数生まれている。Momentusの推進テクノロジーは宇宙旅行のコストをさらに大きく削減する。これにより小惑星における採鉱事業や月の利用などに可能性が広がるはずだ」という。

Momentusのチームの目標は静止衛星の誘導にとどまらず、ビジョンははるかその先に広がっている。

Momentusでは水噴射ロケットのテクノロジーは月往復あるいは他の惑星への往復の基礎を築くはずだと考えている。

〔日本版〕記事には水を「燃料」と呼ぶなどいくつか不正確な表現があり、Koloric自身が投稿して疑問に答えている。Zealはプラズマ推進ではなく、水を推進物質に利用する電気抵抗加熱によるサーマル・スラスターであり、衛星を静止軌道の所定の位置に安定させることを目標としているため、ISP(比推力)はさほど大きい必要はないという。ただしMomentusが開発中のArdoride、Fervoride(一番下のイラスト)はプラズマ推進であり、比推力1000秒以上が実現できると書いている。別のコメントはFervorideのパワーソースは太陽光発電だろうとしている。また水を推進物質に利用する最大のメリットは地表から大重量の推進薬を軌道上に運び上げる必要がなく、月その他低重力の環境で調達できることだと推定している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ひとつのBluetooth出力を複数のスピーカーで聴けるTempowの改造プロトコル

フランスのTempowは、Bluetoothのプロトコルを改造してそれを多機能にしようとしている。同社はこのほど、テレビやセットトップボックス用の新しいオーディオプロフィールを発表した。

テレビやセットトップボックスのメーカーがTempowのソフトウェアをライセンスすると、彼らのデバイスに新しい機能を実装できる。それは通常のBluetoothチップを使うが、そこに新しい可能性を開く。

まず、テレビの音声を複数のBluetoothスピーカーへ送れるようになるので、テレビ音声のサラウンド化ができる。

今、サウンドバーが5.1システムを徐々に駆逐しつつあるのは、後部スピーカーのために床にケーブルを這わせるのが面倒だからだ。TempowならスピーカーはBluetoothだからケーブルは要らない。

またTempowのBluetoothは、複数のデバイスにそれぞれ別のオーディオを送れる。たとえばテレビに複数のヘッドフォーンを接続して、それぞれ異なる言語で映画を鑑賞できる。字幕を読めない子どもでも、吹替版で映画を楽しめるようになる。

また、メーカーや型番の違う複数のスピーカーのサウンドプロフィールを揃えて、誰がどれで聴いても同じ音が聴けるようにもできる。

最初同社は、スマートフォンのオーディオプロフィールに取り組んだ。たとえばMoto X4のスマートフォンを持ってる人が、複数のBluetoothスピーカーを接続できたりする。しかし今日は、スマートフォンを超えてテレビやセットトップボックスに手を伸ばした。でも、それもまたBluetoothなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Carbyneは緊急通報をUber化する――イスラエルのスタートアップがスマホ対応の新システム開発

イスラエルのスタートアップ、Carbyneがまったく新しい緊急通報処理システムを開発した。これは最近普及してきたインターネットによるライブ・ビデオストリーミングや位置情報サービスの機能を最大限利用するシステムだ。

ファウンダー、CEOのAmir Elichaiは2013年にテルアビブのビーチで泥棒にあい、警察に通報したが、必要な情報を伝えるために延々と会話しなければならなかったという(「あなたが現在いる場所を教えてください。何が起きたのですか?」等々)。このときに感じたフラストレーションがCarbyneを創立するきっかけになった。「Uberのドライバーもピザの配達係もワンクリックで私がどこにいるのか知る。それなら911でも同じことができるはずだ」とElichaiはいう。

Carbyneが現在最優先の課題としているのが「発出時間」だ。つまり通報電話をかけてから警察や消防が対処要員を派遣するまでにかかる時間を短縮することに集中している。これを実現するためには。現場の正確な位置と対処すべき事態の内容という2つの情報が必須だ。Carbyneではデバイスのロケーション機能を活用するのはもちろん、一歩進めて、屋内の位置検出テクノロジーを利用して指令員が通報者の位置をすばやく知ることができるようにしている。数秒以内に1メートル以内の精度で位置を特定できるという。

また、Carbyneシステムには状況把握のためにライブ・ビデオストリーミング機能が組み込まれている。通報者の許可を得れば指令員は通報者のデバイスのカメラにアクセスすることができる。「この2つのテクノロジーを組み合わせることで要員の派遣までに要する時間を60%から65%減らすことができる」とElichaiは説明する。

次のステージは医療情報のすばやい伝達

現在の緊急通報システムは基本的に固定回線のテクノロジーを前提としている。そのためカメラ、チャット、GPSなど今やスマートフォンで普通となった機能を活用することが難しい。現在のレガシーシステムに新機能を組み込もうとするのではなく、緊急通報システムをスマートフォン時代に適合した全く新しいプラットフォームに置き換えようというのがCarbyneの考えだ。同社では新しいシステムをイスラエルだけでなくアジア、ヨーロッパ、中南米に導入している。最近、アメリカについてもジョージア州ファイエット郡と契約を結んだという。

新システムのメリットは明らかだが、最大のハードルは各種の規制だ。これは郡や市などの自治体ごとに大きく異なる。Elichaiは「まず当局を納得させる必要がある。新しいテクノロジーを活用しようと意欲的な自治体もあるが、サイバーセキュリティーなどの面に不安を感じる自治体もある。またCarbyneシステム導入にともなって警察や消防の活動自体も変化するので十分な研修や再訓練が必要になる。このシステムによってどういうメリットが得られるのかよく分かるようにデモしなければならない」とと語った。

Carbyneが現在取り組んでいるのは対処時間の短縮だが、次の課題は救急医療サービスとの連携だ。対象者の状態、症状を写真やビデオを活用していち早く伝えれば救急車や受け入れ側の病院は器具、設備などを適切に準備できる。「こうした緊急通報ネットワークのエコシステムは非常に巨大で複雑なものになる。Carbyneを世界に普及させるためにわれわれがなすべきことは多い」とElichaiは結んだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

米国コミック、印刷本の減少で売り上げダウン

コミック本とグラフィックノベルの売り上げは、過去最高だった2016年の10億1500万ドルから、2017年は6.5%減少した。グラフィックノベルが5.7億ドル、コミック本は3.5億ドルだった。

Comichronに掲載されたレポートによると、流通経路別ではコミックストアが今も最大の収入源で、デジタルダウンロードは9000万ドルだった。

「成長の年が続いたあと、2017年コミックショップ市場は再び落ち込んだ。新たな雑誌が低調だった結果グラフィックノベルの売り上げも伸び悩んだ」と、ComichronのJohn Jackson Millerは書いている。「2017年第3四半期は最悪の対前年比減少を記録したが、その後の2018年春は好調に転じた。」

今や出版界では見慣れたパターンだが、子供向けコミックとグラフィックノベルが市場を支えた。同じことは書籍市場でも定期的に起きていて、児童書が活発に売れる一方で、大人はソフトカバーやハードカバーを捨てデジタルダウンロードに走る。紙のコミック本は今もあきらかに人気が高く、デジタルダウンロードは定期購読販売を上回るペースだが、印刷本に比べるとまだごくわずかだ。

なぜかComichronは売上をコミックとグラフィックノベルとデジタルダウンロードに分類しているが、デジタル売り上げを本の種類別に比較できたら面白いだろう。ともあれ、消費モデルがデバイスへと移行するにつれ、メディアが変わっていく様子は興味津々だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Boxが語るイノベーションへのアプローチ

毎日使っているソフトウェアとサービスが、どのように作られているのかを真剣に考える人はとても少ない。ただアクセスしたいときにそこにあり、ほとんどの場合うまく働いてくれると思っているだけだ。しかし会社というものは、ただ闇雲に出現したり拡大しているわけではない。イノベーションを続けるためにはきちんとしたプロセスと方法が必要だ、もしそうでなければ長続きはしないだろう。

Boxは、2005年の創業以来成長を続け、その年間収益は5億ドルを超えるまでになった。成長の過程で同社は、その中心を消費者むけのものから、企業のコンテンツマネジメントへとシフトした。そしてオンラインとファイル共有が主力サービスだったプラットフォームを拡張し、さまざまなコンテンツサービスをクラウドの中で提供するものとなっている。

私はつい最近、プロダクトならびに戦略責任者のJeetu Patelと話をする機会をもった。Patelの仕事の大きな部分を占めているのは、同社の開発チームを維持すること、そしてBoxプラットフォームを強化し、新しい顧客を引きつけ、収益を増加させる新しい機能に集中することだ。

基本的な考え方

問題を解決しようとする前に、まずその問題に取り組む適切な人びとのグループが必要となる。Patelによれば、チームを構築のためには、製品とチームの開発の指針となるいくつかの主要原則がある。それは、イノベーティブなソリューションを生み出し、資金と人員という意味でのリソースをどこに投入すべきかに集中させてくれる、ルールと行動基準から始まる。

図表:Box

イノベーションに関して言えば、市場の変化する要件に対応できるようにチームを構成しなければならず、今日のテクノロジー業界ではアジャイル(敏捷)であることが、これまで以上に重要だ。「チームに邪魔が入らず、十分なスピードと自律性が与えられるような、正しい構造を得るためには、イノベーションエンジンをチーム、モチベーション、人材採用の視点から構築しなければなりません」とPatelは説明する。

そして、顧客と市場を十分に把握する必要がある。そのためには、市場の要求を絶えず調査し、その要求に応えるためのプロダクトと機能の構築を目指さなければならないし、それらの賞味期限にも気を配らなければならない。

顧客から始めよう

Patelによれば、つまるところ、同社はそのプロダクトの不備な点を埋めていくことで顧客の役に立ちたいのだと言う。企業理念の観点の中心から眺めるとき、それは顧客から始まる。ひょっとすると、それは顧客への迎合を意味しているように聞こえるかもしれないが、ゴールを心の中にしっかり持てば、それが全体プロセスのための指標として働いてくれると彼は語る。

「私たちは心に持つ中核理念を元に、企業の中で働くひとたちの全てが、顧客の問題を起点に逆算して働くように仕向けなければなりません。しかし、その戦いの90%を占めるのは、解くべき正しい問題を選び出すことです」と彼は言う。

難しい問題を解決しよう

Petelは、解くべき問題の品質がプロジェクトの成果物の品質に直接比例すると強く信じている。その一部は、実際の顧客の苦労を解決することだが、エンジニアたちに挑戦することでもある。簡単な問題なら、ほとんどの場合には首尾よく解決することができる。しかし、その場合には最高のエンジニアリングの才能をもつ人たちを集める必要はない。

「もし多くの使命と目的を伴う真に難しい問題を考えていれば、本当に最高のチームを引きつけることができるのです」と彼は言う。

これは多くの価値を追加できる問題を探すことを意味する「あなたが時間を費やすために選ぶ問題は、現在市場に存在するものに対して10倍もの価値を独自に提供できるものでなければなりません」とPatelは説明する。もしそのレベルに達していないなら、顧客を動かす動機を与えることはできず、従って追求する価値のないものだと彼は信じている。

小さなチームを作れ

大きな問題を特定することができたら、その問題への取り組みを始めるためのチームを作る必要がある。Patelはチームを管理可能な大きさに保つことを推奨する、そして彼はAmazonの「2枚のピザチーム」アプローチの信奉者である…つまり2枚のピザでまかなえる8人から10人ほどのチームということだ。チームが大きくなりすぎると、調整が難しくなり、革新ではなく計画に時間が浪費されすぎるようになる。

「はっきり定義された程よい大きさのミッションを持つこと、そうしたミッションを遂行するための(小さな)チームを持つこと、そしてそうしたチームが敏捷性を保てるように大きくなりすぎないようにすること。そうしたことがプロダクトを開発する上でとても大切なコア運用原則です」とPatelは言う。

会社規模が拡大するに従って、それはさらに重要になる。そのための鍵は、成長するに従って、少数の大きなチームではなく、多数の小さなチームで構成されるような組織にしておくということだ。そのようにすれば、チームミッションをより正確に特定できる。

Box製品の開発

Patelは、Boxで新製品を最終的に構築する際には、4つの重要な領域を見ている。まず第一に、それはエンタープライズグレードでなければならない、すなわち安全で信頼性が高く、スケーラブルでフォールトトレラントといった特性が必要なのだ。

もちろんそれが第一だが、コンテンツマネジメント市場で、これまでBoxを特別なものにしてきたのは、その使いやすさだ。彼はそれこそが、ソフトウェア主導のビジネスプロセスから、多くの障害を可能な限り取り除くものだと考えている。

次に、企業内のプロセスをインテリジェントにしようとすることで、コンテンツの目的を理解することになる。Patelによればそうした検討には、より良い検索 、コンテンツのより良い表出、そして、企業内のワークフローを通じてそのコンテンツを移動させる自動トリガーイベントなどが含まれると言う。

最終的には、それがワークフローの中にどのように収まるかを見ることになる。なぜならコンテンツは、企業内の空洞の中にただ置かれているわけではないからだ。それは一般的に明確な目的を持ち、コンテンツ管理システムは各コンテンツを目的のためのより広いコンテキストの中に、容易に統合できなければならない。

2回測定せよ

これらの小規模なチームにミッションを設定したら、素早く作業を進めることができるようにルールとメトリクスを確立する必要があるが、さらに彼らが会社にとって価値のあるプロジェクトに取り組んでいることを判別するために、守らなければならないマイルストーンも定義しなければならない。悪いプロジェクトにさらに金を注ぎ込みたくはない。

PatelとBoxの場合は、チームが成功しつつあるのか、それとも失敗しつつあるのかを示すメトリクスが、常に存在している。こう聞くとシンプルなものに思えるが、マネジメントの観点からミッションとゴールを定義し、それを定常的に追跡するためには、多大な労力が必要とされる。

彼はそこには3つの要素があると言う:「考慮することは3つあります、作るものに対するプランは何か、作るものに対する戦略は何か、そして私たちそれぞれの協調レベルはどの程度なのかです。こうしたことが実際、作るものが成功するか失敗するかに大きく関わってくるのです」。

結局のところ、これは反復的なプロセスである。そのプロセスは企業が成長し発展するにつれて進化を続け、それぞれのプロジェクトや各チームから学んでいく。「私たちは常にプロセスを見て、調整が必要なものは何だ?と問い続けています」とPatelは語った。

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(翻訳:sako)

画像:Michael Short/Bloomberg/Getty Images

靴のスタートアップたちの足取りは軽い

ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」に登場した、靴を愛する主人公キャリー・ブラッドショーが、フットウェア(履物)のベンチャーキャピタリストでなかったことは喜ぶべきことだ。このテレビの登場人物が愛した、価格も高く、きわめて歩きにくい、ハイヒールという代物は、現在の靴スタートアップの世界ではもっとも資金を集めにくいコンセプトだからだ。

フットウェアの世界に少しでも触れてみると分かるが、ベンチャー投資家たちが重きを置いているのは快適さである。

少なくとも、それが最近の資金調達事情が示すものだ。Crunchbaseのデータ分析によれば、過去1年半の間に投資家たちは、靴関連のスタートアップに約1億7000万ドルをつぎ込んでいる。その大部分が、人びとが実際に歩くために使いたいと思うフットウェアの、売り手やデザイナーたちに向かっている。

多くの資金を集める企業のスタイルは様々だ。中古スニーカーの取引市場からハイエンドデザイナー、そして幼児用のプレイシューズまであらゆるものが揃っている。スタートアップたちはまた、あまり使われていない素材を使った実験も行っている。使用済みペットボトルや、メリノーウールやその他の材料を、品の良い履物へと仕上げるのだ。

以下では、スタートアップたちが市場に入り込むために、マーケットトレンドをどのように活用しているのかを見ていこう。

成長するマーケット

最近のフットウェア業界の資金調達活動は、業界におけるいくつかの前向きな展開の結果であることに留意すべきだ。

まず何よりも、これは巨大で成長している業界だ。最近のある報告によれば、世界のフットウェアマーケットは2017年に2460億ドルに達し、年間成長率は約4.5%となっている。

第2に、株式市場が強い。世界で最も評価額の高いフットウェア会社ナイキの株式は、過去9ヶ月間に50%以上値上がりし、時価総額は1300億ドルに達している。アディダスを含む、より小さいライバルたちの株式も好調だった。

第3に、男性たちがフットウェアに費やす金額が増えている。彼らは長い間、靴購入に関しては消極的なジェンダーであると分類されてきたが、男性たちはより多くの金をフットウェアにつぎ込むようになり、女性との支出ギャップは埋まりつつある。

スニーカーの隆盛

男性ならびに女性の両者が、スニーカーへより多くのお金を使うようになっていて、ベンチャーキャピタリストたちの注目を集めている。スニーカーやスニーカー関連のビジネスは、よりカジュアルでスポーティなスタイルを求める消費者が増える中、フットウェアスタートアップ資金の大半を占めている。

そのイノベーションの大部分は、高価で高性能な靴の販売とデザインに由来する。例えば、最近の数ヶ月で最大のフットウェア中心のラウンドは、GOATを対象にしたものだ。GOATはレアでハイエンドな靴に特化した、オンラインスニーカー市場の運営業者である。創業3年目を迎えたロサンゼルスを拠点とする同社は、この2月にシリーズCで6000万ドルを調達した。

最近資金調達を行った他のスニーカー企業には、オークションスタイルをとるGOATの競合相手のStockX、ストリートウェアの小売業者Stadium Goods、そして子供向けの高性能運動靴を作るSuper Heroicなどがある。

スニーカーの資金調達のスパイクが、業界の成長傾向のど真ん中に出現している。前述したように、その多くは男性によってドライブされている。しかし、アナリストの指摘する、また別の強気なスニーカートレンドの1つは、女性の購買習慣の変化だ。おそらく、痛みを伴わずに数ブロック以上を歩きたいという希望から、私たちはハイヒールをやめて、より多くのスニーカーを買うようになっているのだ。

スタイリッシュで環境にやさしく

より快適なフットウェアへの需要は、より多くのスニーカー販売につながっているだけではない。ベンチャー投資家は、他の快適な靴のスタートアップ、中でも特に環境にやさしいオプションを持つ企業にも、潜在的な可能性を見出している。

この領域に属するのがAllbirdsだ。メリノーウールによるカジュアルなスタイルの靴を作るこの企業は、これまでに2700万ドル以上を調達している。その一方で、リサイクルされたペットボトルから靴を作り出し、それを約125ドルで販売するRothy’sは、700万ドルを調達した。

スリッパもまた、資金の集まる場所だ。昨年の秋に行われたBirdiesに対する200万ドルのシードラウンドがその証拠である。この企業は、家の中はスリッパで歩き回りたいが、ダサいスリッパはごめんだ、という人たちのためのフットウェアメーカーである。

そして前述したように、最近はハイヒールにフォーカスしたスタートアップが多くの資金を調達しているようには見えない。しかし、様々な高さのヒールを提供するデザイナーたちは、それでもまだ大きなラウンドを獲得できているようだ。このカテゴリに含まれる企業の例がTamara Mellonだ、この創業2年のブランドは、フラットからスパイクヒールまでの全範囲をカバーするシューズデザインポートフォリオへ拡大するために、4000万ドル以上を調達した。

しかし、それで儲かるのだろうか?

最近の事例をみる限り、靴のスタートアップでよいエグジットを行うことは可能のようだ。だがもちろん、倒産したり停滞することもあり得る。

近年みられた顕著な倒産劇は、バンクーバーを拠点としていたShoes.comだ。昨年閉鎖されたこのオンライン靴小売業者は、残念な販売実績のために倒産に追い込まれたのだ。

現代の消費者たちが望むようなものを、提供できないことに気付いたものたちもいる。ごく最近では、これまでに2500万ドル以上を調達した、女性向けオーダーメイドシューズのスタートアップShoes of Preyが、事業継続のためにつなぎの資金調達を行った。数年前には、有名人たちの支援を受け、6000万ドル以上を調達した靴サブスクリプションサービスのShoeDazzleが、急激な値下がりと共に売却された。

一方3Dプリンティングとスキャニング技術の開発者たちは、M&Aのペースをさらに高めている。この 4月にはナイキは、3Dフットスキャンに特化したシードレベルスタートアップのInvertexを買収した。また昨年、治療用フットウェアでのリーディングカンパニーであるAetrex Worldwideは、3Dプリントによるカスタム医療装具と靴の中敷きのメーカーであるSols(ベンチャー資金を受けている)を買収した。

確かに、キャリー・ブラッドショーがカスタム医療装具に大金を払うエピソードを想像するのは難しい。しかしスタートアップ資金調達における、エグジット駆動の世界では、マノロ・ブラニク(高級シューズブランド)が退場し、スニーカーと中敷きが持ち上げられることは明らかなようだ。

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(翻訳:sako)

Image Credits: Li-Anne Dias

ドラッグ&ドロップで簡単にAlexaのスキルを作れるStorylineが77万ドルを調達

Alexaに不満を感じたことは、ないですか? 冗談が通じないし、‘怖い話’をリクエストしても全然怖くない。そこで、会話のブロックをドラッグ&ドロップして積み上げ、誰もが簡単にAlexaのスキルを作れるサービスStorylineが、Boost VCがリードするラウンドで77万ドルを調達し、そのスキルビルダーのAPIをさらに充実させようとしている。

Alexaのような、複雑な音声認識ソフトウェアが動くスマートスピーカーとクリエイターの間には、“テクノロジー”という障壁がある。2017年にローンチしたStorylineが目指すのは、その障壁をなくすことだ。CEOで協同ファウンダーのVasili Shynkarenkaによると、チームとインタフェイスを拡充してGoogle HomeのようなAlexa以外のスマートスピーカーにも対応し、またそのインタフェイスには広告や他サービスへのリンクなど収益化の仕組みを導入したい、という。

Alexaとの対話をドラッグ&ドロップで組み立てられるStorylineのユーザーフレンドリーなインタフェイスは、「コマンド」と「応答」という対話的関係をまさに対話的に構築しカスタマイズできる。スキルやフラッシュブリーフィングを作るためのテンプレートも、いくつか用意されている。作ったスキルの音声認識やロジックを、ブラウザー上でテストできる。

これまで、12000名あまりのユーザーが、Alexa Skills Storeに2500のスキルを発表している。それは、このストアにあるスキルの6%に相当する。Alexa Skills Challenge: Kidsでグランプリを取った作品も、Storylineのインタフェイスを利用している。そして老舗のWebマガジンSlateも、Storylineを使っている。

Shynkarenkaによると、スマートフォンのアプリを作ることと、スマートスピーカーのスキルを作ることは、全然違う。

“Alexaを、スマートフォンやWebと同じようなソフトウェアプラットホームだと考える人が多いけど、そうではない”、と彼は言う。“Alexaで人気のスキルは、友だちとチャットできたり、ソーシャルネットワークを閲覧できるアプリではない。人気が高いのは、コンテンツのアプリだ。たとえば、夕食時に家族と楽しめる雑学クイズなんかだね”。

YouTubeにビデオのクリエイターが群がっているように、Shynkarenkaの構想ではStorylineが各種スマートスピーカー向けのコンテンツのホームになってほしい。同社にはすでに2500人のクリエイターのコミュニティがあり、コンテンツの制作や共有を楽しんでいる。

でも、テンプレートなどを使って簡単にスキルを作れるサービスは、ほかにもある。たとえばご本家のAmazonは、テンプレートからスキルを自作できるAmazon Blueprintsを、4月に立ち上げた。

スマートスピーカーも、それらのスキルの制作も、これからますます活発な世界になりそうだから、今のAlexaなどと違って、もっと完全にカスタマイズできる‘あなただけの’スマートスピーカーも、いずれ必ず登場するだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

南インドの手料理をインスタント化したButtermilkがY Combinatorの支援下で好調

Mitra Ramanが実家を出て大学へ入ったとき、いちばん恋しかったのが、母が作るラッサム(Rasam)だった。インドからの移民の娘であるRamanは、ほとんど毎日、南インドの伝統料理を食べて育ったが、でも一人暮らしを始めてみると、その作り方を自分がまったく知らないことに気づいた。

一度実家を訪ねたとき彼女は母に、お母さんの作る料理を食べたい、と言った。そこで、母であるMrs. Ramanは、ラッサムのすべての原料をプラスチックのバッグにつめて娘に、お湯をわかしてその中にこれを入れなさい、と教えた。とても、簡単だった。

そこから、彼女のスタートアップButtermilkが生まれた。

Y Combinatorで育った同社は、お湯に加えるだけで完成するさまざまなインド料理を、低価格で提供している。

シアトルに拠を置くButtermilkは2017年にローンチし、最初は地元市場だけに売っていたが、やがて全国に製品を売るようになった。

Buttermilkの現在の料理製品は、サンバ(Sambar)、ダール(Daal)、キチディ(Khichdi)、ラッサム(Rasam)、ウプマ(Upma)などだ。どれも6ドル。バスマティ米(Basmati Rice)を1ドル50セントで売っている。

これらを個々に買うこともできるが、複数をまとめたセット販売もある。セットには名前がついていて、それらは、High Protein Pack, Buttermilk Suite, North Indian Favorites< South Indian Favoritesなど、お値段は39ドルだ。

先週Buttermilkが立ち上げた会員制では、毎月特定のセットを定価の10%引きで買える。また7月12日からは、新メニューとしてチャナマサラ(Chana Masala), ココナッツチャツネ(Coconut Chutney), そしてキナ(Quina), ブラウンライス(Brown Rice, 玄米)オプションなどの提供を開始する。予約は、明日(米国時間7/6)から受け付ける。

今後は、同じくママの手料理の味(‘おふくろの味’)に飢えている人びとのために、南インド以外の地方や国々の料理も製品化していくつもりだ。また、流通チャネルを食料品店やコーヒーショップなどにも拡大していきたい。

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Deliveroo、パリで最初のシェアードキッチンをオープン

フードデリバリーのスタートアップ、Deliverooが、パリで最初のシェアードキッチンをスタートした。Deliverooは昨年ロンドンで、Deliveroo Editionsと呼ばれるこのシェアードキッチンのコンセプトを初めて実現した。

AFPの報道によると、同社はパリ北西部近郊のサン・トゥアンの倉庫に作った12室のキッチンで業務を開始する。これまでに8つのレストランがDeliverooと契約を結んでいる。

Blend、Petit Cambodge、Tripletta、 およびSantoshaといった一流レストランがDeliverooを利用する。レストランはレンタル料を払うか、無料でスタートして割高の料金を払うかのどちらかを選べる。

現在Deliverooのユーザーは、パリでの配達1件につき2.50ユーロ払っている。しかし同社は、総注文金額に応じて店舗側からも手数料をとっている——顧客はDelivrooが両方から取り分を得ていることに気づいていない。手数料は注文金額の25~30%に上る。今回の新しいシェアードキッチンでDeliverooがいくら請求しているのかはわからない。

しかし、無限に拡張できないレストランにとっては理にかなった方法だ。Deliverooを使えば、レストランはテーブルを追加することなく追加注文を受けることができる。

Gérard Julien / AFP / Getty Images

BlendやPetit Cambodgeはパリに複数の店舗を持っているが、市内全域に配達できるわけではない。しかし、新たに開店するためには膨大な投資が必要だ。

だからDeliverooキッチンがほどよい妥協案になる。何人か人を雇ってその地域に十分な需要があるかどうかを試すことができる。しかもこれは、DeliverooをUberEatsほかのライバルと差別化するよい方法だ。

これはフランスで最初の事業所だ。英国のように制御不能な状態になるのだろうか?The Guardianによると、今のDeliveroo Editionsは駐車場に置かれた窓のない小さなコンテナだ。夏は暑く冬は寒く、この金属ボックスから大量の自転車が注文を届けに出かていく。

Deliverooが最初にスタートしたのは、一般のレストラン——配達要員のいるピザ店だけでなく——がオンライン注文を受け付けるのを手伝うためだった。しかし、駐車場のコンテナというのは魅力のない響きだ。

Gérard Julien / AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

カスタマーサクセス管理ツールのHiCustomerが総額6000万円の資金調達

前列右がHiCustomer代表取締役の鈴木大貴氏

サービスの定額化が加速している。SaaSの普及により企業向け製品の多くはサブスクリプションモデルを採用するようになり、個人向けのサービスも定額制のものが増えてきた。

音楽はSpotify、映画はNetflixとAmazon Prime Video、読書はKindle Unlimited…僕の生活も定額化されつつある。最後にタワーレコードを訪れたのはいつだっただろうか。

世の中がそのようなシフトを迎えている中、SaaSを始めとするサブスクリプション経済の興隆の重要性にいち早く注目していたと自負し、「HiCustomer」というカスタマーサクセス管理ツールを開発しているのがHiCustomerだ。

カスタマーサクセスを簡単に説明すると、顧客の潜在的な悩みに対し積極的にアプローチし、解決すること。顧客からの問い合わせを待つ受動的なカスタマーサポートとは異なり能動的に対応を行うのが特徴だ。顧客によるサービスの断続的利用が不可欠なサブスクリプションモデルにとってカスタマーサクセスは特に重要だと言えるだろう。

同社いわく、2018年4月にクローズドβ版をリリースして以来、100社以上が利用事前登録を行ったという。導入済み企業として、アライドアーキテクツ、スクー、Wovn Technologiesなど、法人向けサブスクリプション事業を営む企業を挙げている。

そんな同社が7月4日、500 Startups Japan、BEENEXT、アーキタイプベンチャーズよりシードで総額6,000万円の資金調達を実施たと発表。同社に外部資本が入るのはこれが初めてだ。

HiCustomerはサービスの利用状況に応じて顧客をスコアリングするツールだ。解約兆候を検知し、顧客の意思決定前にフォローアップすることで売上の低下を予防することができる。一方、サービスをフル活用しているファン層を特定することでアップセルやクロスセルのコミュニケーションもスムーズに行うことが可能だ。

一般にはまだ公開されていないが、ダッシュボード機能を提供するサービスとなっており、活動・利用頻度や満足度などをもとに顧客のプロダクトとの関係性を「Good」「Normal」「Bad」といったステータスで表示することができる。

代表取締役の鈴木大貴氏は「フリートライアル、オンボーディング、契約更新前、みたいに、カスタマーが自分たちのプロダクトとのライフサイクルにおける今どこにいるのか、絞り込んで見れる」ことが同サービスの強みだと語った。

例えば「オンボーディングだと使い始めてから日が浅く、定着させるために利用開始してから一ヶ月以内でこの設定まで終わっていないと使っていかなくなる可能性が高くなるので、コミュニケーションをしよう」と判断できる、と同氏は説明した。

「お客さんに買ってもらうというだけでなく、ちゃんと活用してもらうことができないとSaaS系のサブスクリプションサービスはどんどん顧客基盤を失うことになる。なのでこのプロダクトの開発に踏み切った」(鈴木氏)

同社は今回の資金調達をもとに開発体制を強化、人員を増やすために使うのだという。

OpenPhoneは仕事用の電話番号を持てるモバイルアプリ

OpenPhoneは、Y Combinatoの現行バッチに参加しているスタートアップだ。この会社は仕事の電話番号を使いやすくするアプリの開発に取り組んでいる。2台目の電話機は不要で、大会社向けの高価なソリューションも必要ない。

「共同ファウンダーと私は、二人とも両親の経営する会社の収入に依存する家庭に育った。後に私は家屋リフォーム業者のバックオフィスツールを開発するソフトウェア会社に勤めた」と共同ファウンダーのMahya Raissiは私に言った。

「そこで私は重要なことに2つ気が付いた。まず、ユーザーのほとんどが個人の電話番号を仕事に使っていて、そのことを非常に嫌がっていた。彼らは自分の番号をオンラインに載せたり赤の他人に教えたりしなければならなかった。これは、家族と過ごしていたり忙しく仕事をしているときに電話ががかり続けるという意味だ。もうひとつ、コミュニケーションの方法ががプロフェッショナルで応答の早い業者は成功して稼ぎが多かった」

OpenPhoneはiPhone、iPad、およびAndroid用のアプリだ。アプリをダウンロードして、月額9.99ドル払うと第2の番号が手に入る。番号は市内でも米国・カナダの無料ダイヤルでもよい。既存の電話番号を移行して2台目の電話機を捨てることもできる。

これで、仕事の電話やメッセージはOpenPhoneアプリで受信できる。プロフェッショナルと個人の電話やテキストは完全に分離できることになる。

第2の番号を持つメリットはいろいろある。留守番電話を別にしたり、営業時間を自分でコントロールできる。OpenPhoneアプリを使って留守電を文字起こしすることもできる。

OpenPhoneはVoIPを使って、通話とテキストはすべてインターネット接続を経由して送られる。定期使用料には米国・カナダ国内での無制限通話とテキストが含まれている。

いずれOpenPhoneは、協業を支援する新機能を追加したいと思っている。たとえば、自分の電話番号を他のチームメンバーと共有することも考えられる。Aircallに似ているところもあるが、OpenPhoneは社員20人以内の小企業に焦点を合わせている。

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企業のPR活動を評価するTrendKiteがソーシャルメディアとインフルエンサーに強い同業二社を買収

企業のPR活動の効果分析などを行うTrendKiteが、初めての買収を、しかも二件も行う。CEOのErik Huddlestonによれば、これによって、完全なPR分析プラットホームが必要とする最後の二つの部品が揃う。

これまで、TrendKiteの主な売りは、企業について書かれた記事を見て、その到達オーディエンスやブランド知名度への影響などを測る能力だった。

しかし、確かにそういうジャーナリスティックな視点は今後も重要だが、Huddlestonによると、“今の世界は前よりも複雑なので、誰が大衆に影響を与えているのか、簡単に判断できない”。そこで、Insightpoolと、その、ソーシャルメディアインフルエンサーたちのデータベースが役に立つことになり、企業のストーリーを広めることのできるインフルエンサーを見つけて売り込むことが、企業のPRの仕事になる。

一方Union Metricsは、ソーシャルメディアのアナリティクスを提供する。Huddlestonによると、“われわれがメディアのカバレッジを分析するように、彼らはストーリーをめぐる会話について分析をする”。

彼によると、両社を買収することによって、これまですでに利用していた彼らのプロダクトをより深くTrendKiteに統合できる。Union Metricsとはすでにパートナーシップがあり、Insightpoolについては、顧客がTrendKiteとInsightpoolを併用しているのを見て、統合すべきと考えた。

InsightpoolとUnion Metricsが加わったTrendKiteがどんな料金体系になるのか、それはまだ未定だ。それにまた、Huddlestonによると、今後も両者をスタンドアローンのプロダクトとしてもサポートしていく。

両社のチームと、InsightpoolのCEO Devon Wijesinghe、そしてUnion MetricsのCEO Hayes DavisはTrendKiteに加わり、InsightpoolはオースチンのTrendKiteにアトランタの拠点を与える。

買収の価額等は公表されていない。Crunchbaseによると、InsightpoolはTDF Venturesとシリコンバレーの銀行などから、750万ドルを調達している。

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何千もの暗号通貨プロジェクトがすでに死んだ、そして詐欺も多い

失敗した暗号通貨プロジェクトの目録を熱心に作り続けているCoinopsyDeadCoinsによると、2018年に失敗したプロジェクトは現時点(6月)で1000を超える。それらのプロジェクトは、本物のabandonware(アバンダンウェア)から単なる詐欺にいたるまでさまざまで、その中には、二人の“自称兄弟”Jack/Jay Brigによる詐欺BRIGや、SECによる捜査で終わったTitaniumなどもある。

どんな分野でも新人は自分たち独自のルールを作って新機軸を志向するが、ブロックチェーンの世界でもまさにそれが起きている。しかし彼らが相手にしているのは、トークン(私的代用通貨)による資金調達という、大きな可能性の世界だから、発生する諸問題も大きい。スタートアップに失敗はつきものでも、これらのプロジェクトを洪水のように押し流す膨大なキャッシュの量が、大きな問題だ。スタートアップが、あまりにも多くの燃料をあまりにも短期間で入手すると、それによって起きる大火災は会社とファウンダーの両方を焼きつくし、そのあとに、投資家の救いになるものは何もない。

そんな大火災は至るところで発生し、今やグローバルな現象だ。2017年には、詐欺と死んだICOの調達総額は10億ドルに達し、その中には、いかがわしいスタートアップが297社もいる

破綻したICOを“修復する”と称する、ケープタウンのCoinJanitorのような怪しげな企業もいるが、そんな、明日になったら夜逃げして行方不明のような企業が多いことは、この業界にとって良い前兆ではない。

ICOで資金調達をしたスタートアップは現在、結果的/実質的に、マルチ商法(multi-level marketing, MLM)のような策略で事業を構築している。そうではなくて彼らは、KickstarterやIndiegogoにページを持つべきだ。これらのクラウドファンディングプラットホームは、信頼をアートにした。お金を出した支援者たちは一種のチームであり、それがプロジェクトとリスクとアイデアの未来を定義する。多くの資金がなくても、容易にビジネスを構築できる。残念なことに、合理的な思考よりもむしろ貪欲を教唆するために現在のICO市場が使っているロックアップ(監禁、封じ込め)と詐欺的な価格設定は、業界を支えるのではなく、傷つけている。

ではどうすべきか? 失ってもよい額だけを投資し、どんなトークンにも失敗がありえることを覚悟しよう。そして究極の望みは、万一失敗しなかったときの嬉しい意外性だ。それ以外では、あなたは失望の世界へ向かって踏み出すのだ。

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世界を57兆個の小さな区画に分割してそれぞれにユニークな名前をつけたwhat3wordsに投資が殺到

what3wordsは、世界全体を57兆個の、一辺が3メートルの正方形に分割して、そのひとつひとつに3つの言葉を割り当てている。その同社がこのほど、新たな投資家3社を開示したが、それらはどれも自動車業界方面からだ。

what3wordsは木曜日(米国時間6/28)に、中国最大の自動車グループSAIC Motorのベンチャー部門と、Formula 1のチャンピオンNico Rosberg、そしてオーディオとナビゲーションシステムのAlpine Electronicsが、ロンドンの同社に投資を行ったことを発表した。これまでの投資家Intel Capitalも、そのラウンドに参加した。

その資金は、新しい市場開拓と製品開発に充てられる。

調達額は公表されていないが、この投資は、ユーザー体験を単純化し、音声コマンドで容易に使えて、企業を自動運転車両の時代に向けて準備させてくれる技術への、主に自動車業界の関心を示している。このアドレッシングシステムではひとつの位置にユニークな(それ一つしかない)3語の組み合わせを与えるから、これまでの音声操作のナビゲーションシステムの多くが抱えていた重大な欠陥をなくしてくれる。それは、道路名の重複だ。

同社は、これら57兆個の正方形に、25000語のボキャブラリーを持つアルゴリズムを使ってユニークな三つの言葉から成る名前を割り当てた。そのシステムは、what3wordsアプリで誰もが利用でき、1ダース以上の言語に対応している。たとえば、パリのエッフェル塔の特定のコーナーにいる友だちに会いたければ、3語のアドレス、“prices.slippery.traps”を送る。Airbnbのホストは3語のアドレスを使って、ゲストを分かりにくい入口に案内する。自動運転車には3語のアドレスを与え、大きなスポーツアリーナの特定のエントランスへ行かせる。

what3wordsのCEO Chris Sheldrickはこう語る: “今回の資金でこの会社が進むべき方向が固まった。それは、車やデバイスや音声アシスタントなどに行き先を指示する方法だ”。

今年の初めにwhat3wordsは、Daimlerが同社の10%株主になったことを開示した。Daimlerの株の一件と、最近公開された投資家(前述)は、いずれも同社のシリーズCラウンドの一環だ。

同社の奇抜なグローバルアドレッシングシステムは、Mercedesの新しいインフォテインメントとナビゲーションシステム…Mercedes-Benz User Experience, MBUX…が採用し、まずこの春にアメリカ以外の市場で発売されたハッチバックの新型Mercedes A-Classに載った。セダンのA-Classはアメリカ市場に今年の後期に来る。

TomTomが先月発表したプランでは、今年の後半に同社のマッピングとナビゲーション製品にwhat3wordsが組み込まれる。TomTomのナビゲーションや交通技術製品を採用している自動車メーカーは、Volkswagen, Fiat Chrysler, Alfa Romeo, Citroën, Peugeotなどだ。

同社はそのほかの自動車メーカーとも商談を進めており、それは、車のインフォテインメントシステムにwhat3wordsを取り入れてもらうことが目的だ。

画像クレジット: what3words

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作物/農地のスペクトル画像から適切な営農診断をするCeres Imagingが$25Mを調達

アグテック(agtech, 農業+テクノロジー)のスタートアップCeres Imagingは、コンピュータービジョンとスペクトル画像(spectral imaging, 分光イメージング)を利用して、作物に関するインサイトを農家に届ける。同社はこのほど、 Insight Venture Partnersが率い、Romulus Capitalが参加する投資ラウンドにより2500万ドルを調達した。同社の調達総額は、これで3500万ドルになる。

この前のシリーズAの資金調達以来同社は、対象作物をこれまでのブドウ園や果樹園から、大豆や小麦のような列状作物にも広げてきた。これらの作物は単位面積あたりの利益は低いが、同社の業容をスケールアップし、大規模な問題に挑戦する機会を与える。

Ceres ImagingのCEO Ashwin Madgavkarは、こう声明している: “われわれの画像技術により農家は、気候変動や人手不足、市場の低迷などの問題に前向きに対応できるようになる”。

上空からの画像で作況分析を提供するスタートアップは多いが、Ceres Imagingはドローンには固執せず、むしろ同社独自開発の機器を搭載した、人が操縦する航空機を利用して、自動化ではなく手作業的に画像データを集める。

そのようにして撮った画像データは、人間の肉眼に見える像からはほど遠い。それらのスペクトルデータを分析して、作物の水分や栄養分の状態が分かる。そのデータは被害の早期警報にもなり、アメリカとオーストラリアの顧客に、必要な肥料や灌水、農薬などの情報を提供する。

画像クレジット: @SelimAzad

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2017年誕生のKubernetesに特化したCI/CDプラットホームCodefreshが早くもシリーズBで$8Mを調達

Kubernetesのコンテナエコシステムのための継続的インテグレーションとデリバリーのプラットホームCodefreshが今日(米国時間6/27)、MicrosoftのベンチャーファンドM12がリードするシリーズBのラウンドで800万ドルを調達したことを発表した。Viola Ventures, Hillsven, そしてCEIFがこのラウンドに参加し、これで同社の調達総額は1510万ドルになった。

このところ、CI/CDプラットホームは毎日どこかで生まれているようだが、CodefreshはKubernetesへの特化で自己を差別化している。Kubernetesは今や必須かつデファクトスタンダードのコンテナオーケストレーションサービスで、その採用は急速に増えている。Codefreshがやることは、Kubernetesへのアプリケーションのデプロイを助けることによって、“開発時間を最大で24倍はやくする”ことだ。それはあまりにも楽観的な数字だが、Kubernetesを使うアプリケーションの開発にCI/CDが加われば、開発とデプロイの工程がスピードアップすることは確かだろう。

Codefreshの協同ファウンダーでCEOのRaziel Tabibは語る: “Kubernetesの採用が急激に増えているから、ツールチェーンがそれに対応していない。M12は、そのことをよく知っている。今回得られた資金により、弊社のロードマップを加速し、顧客ベースを拡大したい”。

Codefreshのプラットホームがデビューしたのは2017年で、同社によると現在のユーザーは約2万社だ。その中には、Giphyなどもいる。

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