大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

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(翻訳:金井哲夫)

カードレス決済サービスPaidyが伊藤忠から52億円を調達

フィンテックスタートアップのPaidyを利用すると、クレジットカードがなくてもオンラインで買い物ができる。同社は4月9日、伊藤忠商事より約52億円の資金を拡張シリーズCラウンドで調達したことを発表した。今回の資金調達で伊藤忠の出資比率は25%になる。

同社によると、これで同社の調達総額は株式と融資を合わせて約300億円になる。日本の最大の商社のひとつである伊藤忠からの最新の投資は、株式投資だ。伊藤忠はPaidyのシリーズBとCにも参加し、同社への総投資額は約100億円になる。同社によると、シリーズDでなく拡張ラウンドにしたのは同じタイプの優先株を発行できるからだ。

Paidyの前回の資金調達の発表は2019年の11月で、投資家の中にはPayPal Venturesがいた。そして今回の資金は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの最中にPaidyのバランスシートを強化するために使われる。また、今年後半にローンチする後払い購入サービスの開発にも充てられる予定だ。

Paidyの決済サービスを使うと、ユーザーはオンラインで買い物をして各月にその合計をまとめて払う。同社は独自の技術でユーザーの信用力を評価し、買い物によって生じる小売店への債務の引受人となり、彼らへの支払いを保証する。日本の消費者はオンラインの決済にクレジットカードを使いたがらないので多いので、Paidyのサービスを使えばベンダーはコンバージョンレートと平均注文額とリピート購入を増やすことができる。

同社によると、このパンデミックの間にサービスの利用は増加した。多くの人が生活必需品をオンラインで買うようになり、ホテルや高額チケットなどへの出費の減少を十分に補っているからだ。なお、東京都を含む7つの都府県に対しては、緊急事態宣言が発令された。

伊藤忠の情報・金融カンパニー執行副社長加藤修一氏が、声明で次のように述べている。「同社が弊社の小売金融戦略において重要な役割を果たし続けることを固く信じている。それは、同社の独特な信用審査により新しいタイプの信用が創造され、それが広範囲な顧客の心を掴んでいるからである。Paidyはまた、詐欺との避けられない戦いの中で迅速なソリューションを実装し、そのサービスを次のレベルへ進化させうることを実証した」。

画像クレジット: Yukinori Hasumi/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ゴールドマン・サックスが悲惨な第二四半期を予測、米国失業者数は200万突破

トランプ政権は、3月の失業データを公表するなと州に要請しているが、米国時間3月19日にGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は労働市場に関する独自の予測を、そして翌3月20日に米国の経済全般に関する見通しを発表した。

この金融サービス大手は、各州がCOVID-19拡大への対応で忙しく、産業振興や雇用対策が後手になった結果、失業者数は200万人の大台を超えると予測している。ゴールドマン・サックスはそれを、失業保険受給申請の初期の増加率としては過去最大、絶対量としても記録的高水準、だと表現している。

米国時間3月20日に同社は、米国経済全般の今後の見通しを発表した。それによると「4月までに製造業の生産高はピーク時の20%減になると想定している。原因は食料品以外に対する国内需要の減少と、米国製品に対する外国の需要と輸出の減少、サプライチェーンの破壊、および工場の閉鎖だ」としている。

早期からウイルスの被害を受けていたアジア諸国に関しては、同社の予測では、4月までにはブローカー手数料と住宅改修費が50%減になり、住宅建設と事業支出が25%減少する。

ゴールドマン・サックスは、全体として「サービスの消費額と製造業の稼働率、および建設投資の額の減少により、4月のFDPのレベルは10%下がる」と予想している。

同社によると、この惨憺たる経済予測の明るい面は、4月が底であるという点だ。「この停滞はその後、各月10%ずつ徐々に解消すると仮定される。正確な時期は極めて不確かであり、逆行もありえるが、徐々に回復するという仮定の根拠はウイルスの効果的な鎮静や、検査の普及、天候と気候の効果、医療の劇的な進歩、状況に対する企業や消費者の適応といった諸要素だ」という。

画像クレジット: Richard Drew/AP

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

RobinhoodアプリがNY市場大暴落中に再びダウン 

Robinhoodのトレーディングアプリを利用していた投資家は、同アプリがウォール街の株価暴落のためダウンした後、再び取引から締め出されることになった。

約1時間のダウンタイムを経て、アプリの機能は部分的に復旧している。

今回のサービス停止は、1年で最も忙しい取引日のうちの1つだった日にサービスが停止した1週間後に発生した。

停止の余波を受けてRobinhoodの創業者らは、サービス停止の影響を受けた投資家にはケースバイケースで補償を行うと述べている。

以前、我々が報じたように、Robinhoodは3月2日の太平洋時間午前6時30分から午後11時までオフラインだったが、今回は3月9日の午前6時30分から午前9時直前まで再び停止した。

Robinhoodは以前のサービス停止の際に、ユーザーに対して以下の補償を提示している。

9億1200万ドル(約950億円)の資金を調達した金融技術大手のRobinhoodは、Robinhood Goldのプレミアム会員のすべての顧客に、補償のために資金を借りたことに加えて、Morningstarによる調査報告書、Nasdaqのデータ、より大きな即時預金へのアクセスを提供することを明らかにした。サービスの提供期間は3カ月だ。

Robinhood Goldの1カ月の利用料は5ドル(約520円)で、それにくわえて1000ドル(約10万4000円)以上の借り主には年間5%の利子が1日ごとにつく。価格変更前であれば、月額定額料金は最大200ドル(約2万800円)になる可能性があるが、補償では月額5ドル(約520円)、合計で15ドル(約1560円)しか割引を受けられない。月曜日に9%以上値上がりしたApple(アップル)のような株式をRobinhoodのユーザーが買い戻しできなかったとしたら、この金額はとても不十分なものに思うかもしれない。なお、Robinhoodはこれを「第一歩」と呼んでいる。

Impacted Robinhoodのユーザーは、Robinhoodに連絡して補償を求めることができる。以下は、Robinhoodが昨夜遅くに顧客に送ったメールだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

既存の銀行や保険会社にスタートアップに比肩する開発スピードを与えるFintechOSとは?

ここ数年、N26やMonzoといったフィンテックのスタートアップが勃興してきて、チャレンジャーバンクなどのプロダクトで文字どおり既存勢力にチャレンジしている。でも、大きな銀行がこのゲームに参戦したくなったらどうなるだろうか?ルーマニアのFintechOSは、まさにそれを狙っている。既存勢力がこの競争の激しい新世界で互角に競争できるようにするというのだ。

FintechOSは、既存の銀行や保険会社にプラグアンドプレイ、つまり接続すればすぐに使えるプロダクトを提供する。これにより、新興勢力よりも速く機敏に顧客のニーズに反応しサービスを提供できるようにする。

同社は米国時間12月10日、Earlybird Venture CapitalのDigital East FundとOTB Venturesが率いるシリーズAのラウンドで1400万ドル(約15億2000万円)を確保した。これには、既存の投資家Gapminder VenturesとLaunchubも参加した。

新たな資金は、ヨーロッパにおける成長と拡大、そして東南アジアと米国の進出に使われる。

従来的な銀行や保険会社はFintechOSのテクノロジープラットホームを利用して、急速に変化している顧客の期待に応え、プロダクトとサービスの個人化を数カ月や数年でなく数週間で実現して、フィンテックスタートアップのスピードと柔軟性に遅れないようになる。

そのために銀行や保険会社はマルチクラウドのSaaSを立ち上げ、クラウドとオンプレミスにまたがる実装により既存の技術基盤との共存を図る。すでに同社はMicrosoft(マイクロソフト)やEY、Deloitte(デロイト)、Publicis Sapient(ピュブリシス・サピエント)、CapGemini(キャップジェミニ)などとパートナーして複数市場への進出を狙っている。

2017年にベテランの起業家であるTeodor Blidarus(セオドア・ブリダウス)氏とSergiu Negut(セルグ・ネグート)氏が始めた同社は、今では3つの大陸の計20カ国に顧客がいる。

CEOで共同創業者のTeo Blidarus(テオ・ブリダウス)氏は 「既存の金融業に新境地を拓く我々のアプローチは、技術よりも顧客が動因だ。FintechOSを作ったのは金融業界に変化をもたらし、既存の銀行や保険会社がフィンテックのスタートアップよりも早く行動および反応できるようにし、彼らがスマートで対応の速い顧客体験を作れるようにするためだ」と語る。

また、EarlybirdのパートナーであるDan Lupu(ダン・ルプ)氏は「FintechOSは今ブームになりつつある新しいマーケットのパイオニアだ。彼らは金融機関が市場や規制の変化にもっと素早く反応できるように、業界を変えたいと願っている。金融サービスの未来を作っていく旅路に参加できたことを、誇らしく思う」と述べた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ビデオによるオンデマンド獣医サービスのFirstVetが世界市場を目指す

ペットの飼い主にオンデマンドのビデオで各地の獣医によるコンサルテーションを提供するスウェーデンのFirstVetが、シリーズBのラウンドで1850万ユーロ(約22億4000万円)の資金調達を完了した。

このラウンドをリードしたのは、カナダの年金基金であるOmersのベンチャー部門のOmers Venturesで、同社は最近、ヨーロッパのテクノロジースタートアップに投資するための3億ユーロ(約36兆円)のファンドを立ち上げたばかりだ。FirstVetのシリーズAを支援したCreandumもこのラウンドに参加し、同社の調達総額は2450万ユーロ(約30億円)に達した。

FirstVetによると、今回の資金でサービスのグローバル展開が可能になる。今後狙っている市場は米国とドイツとフランスだ。また製品開発も継続し、ペットの飼い主と獣医双方の体験を改善する新しい機能を導入していく。それには今後の自動化ツールと、それらの動物病院の既存のシステムとの統合が含まれる。

ストックホルムで2016年に創業したFirstVetは、登録獣医によるオンデマンドのビデオコンサルテーションにより、ペットケアへのアクセスを広げることを望んでいる。同社が現在操業している市場は、英国、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、そして母国スウェーデンの5つだ。登録ユーザーの合計は20万人を超えている。登録獣医は150名いるが、その数はコンスタントに増え続けている。

FirstVetのCEOで共同創業者のDavid Prien(デビッド・プリーン)氏は、2018年6月のTechCrunchで「私たちは既存の動物病院を補完するものであり、それらに代わるものではない。飼い主からの質問でいちばん多いのは、胃腸関連や傷、そして皮膚/毛/耳関連だ。私たちのメインの目的は、飼い主にとって自然な最初の接触点であることだ」と語っていた

市場への経路としてFirstVetは各国の計20社あまりの大手保険会社をパートナーにしている。例えば英国のBought By Manyは、ペット保険加入者へのおまけとしてFirstVetのサービスを提供している。

Omers Venturesのトップで新たにFirstVetの取締役会に加わったHenry Gladwyn(ヘンリー・グラッドウィン)氏は 「Omers Venturesはテクノロジーの世界のとびきり優秀な起業家やチームに投資し、彼らのパートナーになっている。そのような私たちにとってFirstVetは、完全にフィットしている。スタートアップがその中で操業している業界のエコシステム全体に本物の価値を提供している例は極めて稀だが、FirstVetはペットの飼い主にとって急速に他に代わるもののないサービスになりつつある。また同社は、獣医師や動物病院や保険企業にとって信頼できるパートナーだ。FirstVetには、オンデマンドのビデオによる獣医予約のグローバルなリーダーになるという意欲がある。弊社がその目標達成を支援できる立場にいることは、まことに喜ばしい」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

有望な投資家や見込み客を見つけるためのデータ収集分析を助けるPredictLeads

PredictLeadsを創ったスロベニアのファウンダーたちは最近Y Combinatorを卒業したが、彼らはこの名門アクセラレーターにこれまで5回も応募し、6回目にやっと入学を認められた。

同社はベンチャーキャピタル企業(VC)や普通の企業の営業チームが、有望な新興企業や見込み客を見つける手伝いをするが、2016年の創業以来、紆余曲折を経験してきた。そしてやっと今年の初めに、YCの3か月のアクセラレーター事業に参加できた。

PredictLeadsのCEOであるRoq Xever(ロク・ゼヴェル)氏は「2017年には資金が底をつき、銀行も相手にしないから母親に金を借りた。でも、そのころからやっと上向きになり、大きな商談をまとめて利益を上げられるようになった」とコメントしている。

彼の言うとおりだ。今の多くのスタートアップと違って、PredictLeadsは何がなんでも利益を出す必要があった。「資金を獲得するためにYCに入るとは、夢にも考えなかった。利益を出す以外、資金を得る方法がなかった」とXever氏は言っている。

ゼヴェル氏のほかにPredictLeadsを引っ張っているのは、マーケティング担当のMiha Stanovnik(ミハ・スタノブニク)氏とCTOのMatic Perovsek(マティック・ペロブセク)氏だ。ゼヴェル氏によると、YCが関心を持ったのは、自分たちのプロダクトはVCにも売れるとわかってきてからやっとだ。

同社のツールPredictLeadsは、関心を持った有望企業を投資家や営業が調べる手助けをする。そして企業の製品やサービスに人気が出てきて、売れ行きもアップしてきたらユーザーに通知し、その企業を見込み客や見込み投資先として再検討するよう勧める。投資家や営業にとってまったく未知だった企業を、推薦することもある。

関連記事:VCs double down on data-driven investment models(VCたちはデータドリブンな投資モデルを重視、未訳)

最近は、投資の決定や企業調査のためのデータを得るためにサードパーティのツールを使うVCがますます増えている。そしてそのために、データにフォーカスした企業という新しいタイプの企業が生まれつつある。たとえばSocial Capitalの共同創業者Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏は、彼のベンチャーキャピタルのファンドに軸足を置く家族企業からスピンアウトした。そして今のSocial Capitalの業態は、CaaS(Capital-as-a-Service) Technologies(サービスとしての資本のテクノロジー)だ、という。すなわち、データドリブンな知見をVC企業に提供することがその仕事だ。

一方スタートアップの方も、データの重要性を認識するようになった。やはり最近YCを出たNarratorも、このトレンドにでっかく乗ろうとしている。同社が望むのは、データサイエンスのためのオペレーティングシステムになり、一人のアナリストの費用で本格的なデータチームに相当するサービスが得られるソフトウェアを、企業に提供することだ。

そしてPredictLeadsは、見込み客や見込み投資先の判断のためのデータを、Webサイトやプレスリリース、ニュースの記事、ブログ、求人求職サイトなどなどから集めて、人間が監視する機械学習にかけ、それらのデータを構造化する。そうやって同社は今、2000万社の公開および非公開企業を追跡している。

また今や立派なYC卒業生だから、本社を米国に移そうとしている。ゼヴェル氏によると、候補地はニューヨークかサンフランシスコだ。当人は目下、そのためのビザの取得で悪戦苦闘している。

同社は米国時間8月26日、1000万ドルの評価額で150万ドルのシード資金を調達した。資金はファンドの定量分析と、営業チームを助けるためのSalesforceアプリの開発に投じられる。もちろん、そのためのチームの拡大にも。

関連記事:Y Combinator-backed Narrator wants to become the operating system for data science(データサイエンスのオペレーティングシステムになりたいNarrator、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クラウドの購入を財務が判断して最適化できるDensifyのコスト分析ツール

Densifyは、エンジニアたちによるクラウドリソースのコスト効率の良い買い方を支援する企業だったが、最近同社は、そのクラウド支出データを財務にも利用してほしいと考えた。今週同社が発表したCloud Cost Intelligence(CCI)と呼ばれるプロダクトを使うと、財務部門が企業のクラウド支出の適否を明確に判断できるようになる。

DensifyのCEOであるGerry Smith(ゲリー・スミス)氏によると、同社のこの新製品の狙いは、クラウド支出に対する顧客としての理解を、実際にその料金を払っている部門すなわち財務にも持ってもらうことだ。同氏は「そのためにこれまでのプロダクトを改善して、エンジニアがクラウドを選ぶために利用するのと同じ情報を、財務部門も利用できるようにした」と語る。

CCI Screen

スプレッドシート提供:Densify

同社が発見したのは、多くの顧客企業に、リソースを買うエンジニアと、その料金を支払う財務の連中との間に断絶があることだ。でも結局彼らは、盲目的に金を払うだけでなく、自分たちが何を買ってるのかを知る必要があるし、その情報に基づいて、エンジニアたちに彼らのニーズに合った適正な買い物を推奨しなければならない。

スミス氏の説明では、財務は技術的要件を知らないままクラウドのベンダーと商談をすることが多い。例えば、技術チームが定期的に一定の構成を買っていると、それはCCIに載るから財務も見る。そして例えば、それを複数買いとか年間買いなどにして価格を下げさせたり、あるいは低価格バージョンがアップデートとして提供されていることを見つけたりするだろう。それらはいずれも、技術者たちが気づかないことだ。

同氏はさらに説明を続けて「財務は、単純に請求書を見るだけでなく、CCIを見てもっといい仕事ができる。CCIを見れば、どんな選択肢があって、それらの長所や短所も分かる。そうすると財務は、単純な費用配分以上のことができる。彼らはエンジニアに付加価値を付けることができ、たとえばもっとコスト効率の良いリザーブドインスタンスを使わせたりできる」と語る。

Crunchbaseによると、Densifyは本社をカナダのトロントに置き、これまでに3820万ドルを調達。1999年に創業したときはCirbaという社名で、主にデータセンターに対しストレージの需給に関するアナリティクスとソリューションを提供していた。同社のスポークスパーソンは曰く、「最初の最適化プロダクトの名前がDensifyだった。結局それが会社の名前になり、2017年には最適化にのみフォーカスした企業になった」。

関連記事:Densify announces new tool to optimize container management in the cloud(クラウド上のコンテナ管理を最適化するDensify、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ソニーが200億円のファンドを立ち上げてテクノロジー系スタートアップに投資

ソニーは、スタートアップへの投資に注力しようとしている。この日本のテクノロジー大手は、200億円を調達して「高成長の重要産業」に属する企業に投資していくと発表した

ソニーは2016年にもファンドを立ち上げたが、今回のはInnovation Growth Fundと呼ばれ、他との共同事業になる。メインのパートナーは大和証券のVC部門である大和キャピタル・ホールディングスだが、これまで確認されている初期のLPの中には住友三井銀行、大阪商工信金銀行、三菱UFJリース&ファイナンスなどがいる。これまで得られた調達額は公表されていないが、まだ満額ではない。

ソニーによると、この前のファンドは40件あまりの投資を行い、今ではソニーよりも資金力のあるIGFが引き継ぎテクノロジー系スタートアップへの注視を続けている。

長期的目標のひとつは、そのポートフォリオ企業の上場を支援していくことだ。その意味で、企業の上場に関する大和の専門的能力が生かされることになる。一方ファンドの計画としては「著名な研究機関」やそのほかのテクノロジー企業とのリンクを開き、スタートアップの経営が軌道に乗るよう支援していく。そのやり方はなんとなくソフトバンクのビジョン・ファンドのようでもあるが、ただし1000億ドルには遠く及ばない。

大和証券の常務取締役を務める金子好久氏は、声明の中で次のように述べている。「最新技術に関するソニーの知見と大和証券グループの金融業における専門的能力が統合されれば新しい種類のベンチャーキャピタル事業が作られ、ベンチャーキャピタルのエコシステムに新しいトレンドによる活気をもたらすと信じている」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ダイレクトリスティングを控えてSlackは売上が順調に増加し損失率は低下

職場のメッセージングは、いまやSlackで決まり。そのSlackが、6月20日と予想されているダイレクトリスティングに備えて米証券取引委員会(Securities and Exchange Commission、SEC)に、修正S-1を提出した。

その文書でSlackは今後の黒字化への道のりもやや改定し、前期2019年Q1の決算は売上1億3480万ドルに対し損失3180万ドルと報告している。売上は前年同期比67%の増で、2018年Q1では8090万ドルの売上に対して損失が2480万ドルだった。

2019年1月で終わる会計年度では、同社の売上は4億60万ドルに対し1億3890万ドルの損失だった。前会計年度では売上2億2050万ドル、損失が1億1億4010万ドルだった。

Slackは今、ニューヨーク証券取引所におけるダイレクトリスティングに必要な準備過程の最後の段階に来ている。ちなみに同取引所におけるSlackのティッカーシンボルは「WORK」になる。ダイレクトリスティングは株式市場へのアプローチの仕方のひとつで、それにより有名企業は、新株を発行する代わりにインサイダーや社員、投資家などが持つ既存の株を市場に直接売り出す。この方法だと企業は、会社説明など売り出しにあたってのロードショープロセスを省略でき、またウォール街に相当な額のIPO手数料を取られずに済む。

Spotifyは2018年にダイレクトリスティングを完了し、もうひとつの価値の高いVC支援企業Airbnbも、2020年にダイレクトリスティングを行うと噂されている。

Slackは現在、70億ドルの評価額とされている。これまで同社は累計12億2000万ドルを、Accel(同社の株式24%を保有)、Andreessen Horowitz(13.3%)、Social Capital(10.2%)、ソフトバンク、T. Rowe Price、IVP、Kleiner Perkinsなどから調達している。

関連記事: The Slack origin story(Slackの起源、未訳)

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Alphabetはスマートフォン市場の逆風を認めハードウェア新製品の発表を匂わす

Googleの親会社であるAlphabetの2019第1四半期は、主に広告収入の過小によりウォール街を落胆させた。また、ほとんどすべての選手たちに影響を与えたスマートフォンのグローバル市場の不調のせいもあって、ハードウェア部門も苦しかった。

CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、昨年秋のPixel 3Pixel 3 XLに続く同社のスマートフォン系列を指して「逆風が収まらないまま年を越した」と述べた。確かに彼の言うとおり同社はハードウェア部門を独立させてからまだ日が浅いが、同時に彼はまた、今後のイノベーションへの明るい希望も述べた。

「5Gとフォルダブル(折り畳み式スマートフォン)には今後も大きな期待が持てるし、それらはAndroidの重要な活躍の舞台でもある」、と決算報告で彼は語った。Androidのフォルダブルに関しては、そのUIの設計でGoogleが重要な役割を担い、サムスンの最近遅れが発表されたフォルダブルでも密接に協働している。

CFOのRuth Porat氏のコメントもピチャイ氏とほぼ同様だが、将来についても暗示した。「第一四半期の結果はスマートフォンの高級機の全市場的な不調を反映しているが、しかしGoogleアシスタントを実装したHome製品の好調は喜ばしい。とくに良いのはHome HubとMiniデバイスだが、ハードウェアチームは5月7日のGoogle I/Oカンファレンスで新しい発表をするようだから、それも楽しみにしていただきたい」。

上で「スマートフォンの高級機の不調」とあえて言っているのは、中級機ならという思惑があるからだ。その噂のミドルレンジ機のPixel 3aは、来月のI/Oでデビューするらしい。もしかしたらこれによって、Pixelの売上が持ち直すかもしれない。

ピチャイ氏がとくに言及したのは、同社が最近オープンした「キャンパスとエンジニアリングハブ」だ。苦境のハンドセットメーカーHTCで大きな買い物をした結果、Googleの台北R&Dセンターは同社のスマートフォン事業の拠点になるだろう。また彼はAmazonと競合するHome製品、とくにMiniとHubについて、ハードウェア部門の明るい材料、と言った。

彼はこう語る。「Google Homeとアシスタント製品だけを見れば、これまでも良くやっている。市場で勢いがある。グローバルで見れば、弊社はこのカテゴリーにおけるマーケットリーダーだ」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple株価引き続き下落、90日で38%――主因は米中貿易戦争

Appleの株価は一晩で9%以上ダウンした。実際、同社の株価は昨年の10月以来、トータルで38%も下落している。昨日(米国時間1/2)、Appleが収入の低下を警告する異例のガイダンス修正を発表する際、.株式売買は一時中断された。iPhoneをアップグレードする需要が失速したことが同社の収入、ひいては株価に大きな影響を与えたものとみられる。

10月3日の株価は232.07ドルだった。その後市場は乱調で全体として下落傾向だ。Appple株もここ数ヶ月ダウンを続け10月の高値と比べて87ドルも値下がりしている。

 

昨日の午後、Appleはガイダンスの下方修正による混乱を避けるため株式売買を一時停止したが、このときの株価は157.92ドルだった。今朝、この記事の執筆時点の株価は8.19%ダウンの144.981ドルだ。.

D.A. Davidsonのシニア・アナリスト、Tom Forteは昨日のガイダンス修正について、「Appleの経営は盤石と思われていた。なるほどiPhoneの売上台数は軟化していたが、これほど深刻だったことには驚かされた」と述べた。

Forteは昨日の発表でいちばん重要だったのはAppleが売上の20%を得ていた中国市場の問題だと考えている。長期化が予想される米中貿易戦争は売上に大きな影響を与えるだろう。貿易戦争は中国経済を全体として減速させるし、愛国心の高まりからiPhoneに代えて中国製スマートフォンを買う動きも起きるはずだ。

しかもすでにApple自身がインド、ロシア、ブラジル、トルコなど中国を除く市場でもiPhone売上が低下することを予想していた。しかしForteはやはり中国市場の問題がいちばん大きいと考えている。

Forteは「iPhoneのパフォーマンスが低下している一方、他のプロダクトは19%も成長していることは将来に向けて明るいニュースだ」という。しかもAppleの資金は潤沢であり、株式買い戻しのために1000億ドルを用意している。「株式買い戻しプログラムもあるし、決算は好調でキャッシュフローも巨額だ。つまり市場で投資家が株を買わないのならApple自身が買えばよい」とForteは説明した。

Canaccord Genuityの今朝発表してレポートでアナリストは、「昨日のガイダンス修正にもかかわらず、Appleのファンダメンタルズは良好であり、引き続きわれわれはApple株式についてBUY格付けを維持する」としている。

Forteは「ただし米中貿易戦争の将来は大きな疑問符だ。他のプロダクトの販売は好調であるものの、貿易戦争の状況が流動的である間は収入予想を上方修正することはないだろう」とみている。

〔日本版〕日本時間1月4日7:40AMにおけるApple株式は上の記事からさらに2ドルダウンして142.50ドル(時間外取引)。前日からほぼ10%のダウンとなっている。

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滑川海彦@Facebook Google+

スタートアップの資本構成を管理するCartaが創業6年でシリーズD $80Mを調達

スタートアップを支援するスタートアップが、VCからの支援を得て新しいジャンルを確立しつつある。

The WingThe Riveterのようなコワーキング(co-working)スペースが今年は資金をかき集めたし、またBrexの場合のようにスタートアップ専用コーポレートカードのプロバイダーも新たに資金を獲得した。

そして今度は、企業のキャップテーブル(cap table, 資本構成表)や評価額、ポートフォリオ投資、エクィティプランなどの管理を助けるCartaだ。同社はこのほど、評価額8億ドルで8000万ドルのシリーズDを発表した。前はeSharesという名前だった同社は、リード投資家のMeritechとTribe Capital, さらに既存の投資家たちから、この資金を調達した。

このラウンドでCartaの総調達額は1億4780万ドルになる。同社の既存の投資家には、Spark Capital, Menlo Ventures, Union Square Ventures, そしてSocial Capitalなどがいるが、Social Capitalは今回のシリーズDに参加しなかった。ただし新しいVC企業Tribe Capital(前掲)を立ち上げたArjun Sethiは、以前Social CapitalのCartaへの投資をリードし、また彼と共にSocial Capitalのパートナー三人組と呼ばれたJonathan HsuとTed Maidenbergは、VCを‘卒業’してテクノロジー企業専門のホールディングカンパニー(持株会社)を立ち上げた。一方Tribeは、自らの立ち上げファンド2億ドルを目下調達中と言われる。

2012年にHenry Ward(上図)がパロアルトで創業したCartaは、今回の資金を、同社のトランスファーエージェント(transfer agent, 名義書換代行業務)とエクィティアドミニストレーション方面のプロダクトとサービスの開発に充てて、スタートアップの公開企業への遷移をより良くサポートしていきたい、としている。また、投資家たちが自分のポートフォリオ企業からデータを集め、彼らのバックオフィス(事務管理部門)を管理していくためのプロダクトも、計画している。

Wardはラウンドの発表声明でこう述べている: “弊社は、プライベート企業のオーナーシップ管理を変えていく道のりをここまで歩んできた。その間、証券の電子化とキャップテーブル普及させ、監査対象となる409A*と組み合わせてきた。しかし弊社の意欲は、プライベートに保有されベンチャーが支援する企業のサポートにとどまるものではない”。〔*: 409A, 参考記事

Cartaの顧客にはRobinhood, Slack, Wealthfront, Squarespace, Coinbaseなどがいて、現在およそ5000億ドルのエクィティを管理している。今年Cartaは社員数を310名から450名に増やし、また取締役会管理やポートフォリオ分析などのプロダクトを立ち上げ、さらに#Angelsとの共同調査により、女性スタートアップの社員たちにおける大きなエクィティギャップという差別実態を明らかにした。

9月に発表されたその調査は、女性はスタートアップのエクィティ保有社員の35%を占めるにもかかわらず、女性のファウンダーと社員の保有額は9%にすぎないことを明らかにした。しかも、スタートアップのファウンダーの13%が女性なのに、彼女らはファウンダーエクィティのわずか6%、男性1に対し0.39ドルしか保有していない。

関連記事: The Gap Table: Women own just 9% of startup equity(未訳)

画像クレジット: Carta

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Salesforceが日本で$100Mのファンドを設立、パブリッククラウド市場の成長を確信

日本のスタートアップにとって、良い週だった(12/2-8)。Googleがこの国でまれな投資をしてAIのABEJAを支援したかと思ったら、そのすぐ次はSalesforce…同じくアメリカのテクノロジー巨大企業…が、日本のエンタープライズ系スタートアップのための1億ドルのファンドを発表した

そのJapan Trailblazer Fundは、Salesforce Ventureのアジアにおける初めての、ローカルファンドだ。S8eのこのVC部門は2011年以降、日本のスタートアップ40社を支援している。そのポートフォリを企業は275社だから40は小さいし、日本でのファンド1億ドルも、全世界で10億ドルを超える投資額のごく一部にすぎない。

しかしそれでも、日本への注力はこの国にとって嬉しいニュースだ。GDPベースでは世界第三位の経済大国でありながら、日本は海外からの投資を呼びこむのに苦労している。でもSalesforceの場合は、日本のパブリッククラウドサービスの市場を拱手傍観することは許されない。なにしろ2022年には今の倍の130億ドルの市場になる、とIDCは試算しているのだ。〔参考ページ(IDC原本は有料)〕

Salesforce Venturesのポートフォリオに今いる日本企業は、8月に6000万ドルを調達した会計サービス/人事労務サービスFreeeや、2650万ドルを得て東南アジアに進出しようとするコンタクト管理(名刺管理)のSansanなどだ。

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暗号通貨の明るいニュース:SECがトークンは有価証券であると宣言

暗号通貨は、大暴落stablecoins誕生日のニュースの後、先週ちょっとした後押しを受けた。SEC[証券取引委員会]はICO企業のCarrierEQ Inc.およびParagon Coin Inc.の2社が売っているのは、いわゆるユーティリティートークンではなく有価証券であると判断した。

「両社とも被害にあった投資家に資金を返還し、トークンを有価証券として登録し、SECに定期報告書を提出したうえで罰金を支払うことに同意した」とSECのPamela Sawhneyは書いた。「これは、ICOの登録違反のみに対してSECが民事制裁金を科す最初の事例だ」

リリースにはこう書かれている:

ボストン拠点のスタートアップAirfoxは、約1500万ドル相当のデジタル資産を同社のトークン建て「エコシステム」開発のために調達した。途上国ユーザーが広告の閲覧と引き換えにトークンを入手できるモバイルアプリケーションを利用する。オンラインサービスのParagonは約1200万ドル相当のデジタル資産を調達し、大麻産業にブロックチェーン技術を応用することで大麻合法化の道を開くビジネスプランの構築と実施を目指している。AirfoxもParagonも自社のICOを連邦証券法に基づいて登録せず、登録例外の認定も受けていなかった。

この行動——フィンテックのためには危険を顧みない——は、年のはじめに大流行した。理論上企業のエコシステムの中で使われるユーティリティートークンに対して、セキュリティートークン(事実上の株式)の申請に関する明確な指針はなかったからだ。実際、ICOを実施した企業はあらゆる手立てで自分たちの「ユーティリティートークン」が証券法の複雑な規制に沿っているように見せようとした。

「われわれは、ICOを通じて有価証券を発行する企業は証券登録を規制する既存の法に従う必要があることを明確に示した」とSEC監視部副部長のStephanie Avakianが言った。「これらのケースは、同じような行動を起こそうとしていた人たちに対して、SECが今後もデジタル資産に関する連邦証券法違反に目を光らせていることを知らしめるものだ」

SECは両社に対してそれぞれ25万ドルの罰金を科した。将来のICOを目指す企業は、少なくとも米国では、十分このことを念頭に置くべきだろう。

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女性起業家が調達した資金は米国VCのわずか2.2%(今年も)

女性起業家に公平な活躍の場を与えようとする数々の努力にもかかわらず、2018年に米国女性が設立したスタートアップの調達金額はベンチャー資金全体のわずか2.2%だった。

この数字に見覚えがあるかもしれない。PitchBookによると、これは昨年、女性ファウンダー単独あるいは女性のみのチームのスタートアップが調達した資金の割合とまったく同じだ。

この数字は、女性起業家や支援者たちがこの長きにわたる問題の解決を試みる際の一種のスローガンとして使われている。女性起業家が調達する民間資本は男性起業家と比べて著しく少ない。いくつかの新しい試みや、All Raiseのような専門組織が、メンターによる指導プログラムによってこの問題を解決しようとしているが、変化を達成するだけのリソースを追加するためには1年以上必要なのは明らかだ。

現在ベンチャーキャピタル会社の意思決定者に女性の占める割合は10%以下であり、米国VC会社の74%には女性投資家が一人もいない。こうした数字が変わり始めるまで、資金調達のギャップが縮まる見込みは小さい。

良いニュースもある。2018年を2ヶ月残した時点で、女性たちが調達したVC資金の額は過去最高を記録している。過去10ヶ月間に女性が起業したスタートアップは計391件、23億ドルの調達契約を完了し、2017年の20億ドルを超えた。男女混合チームによる今年の資金調達も132億ドル、1346件で、昨年の127億ドルより増えている。

一方米国スタートアップ全体では2018年に967億ドルを調達しており、年内に1000億ドルを超えるペースだ。女性が起業した会社はそのわずか2.2%しか調達していない。男女混合チームの数字は12.8%で前年の約10.4%より増えている。

昨年米国のスタートアップは9000件以上の案件で総額820億ドルを調達し、ベンチャー業界にとって今年同様に印象的な年だった。

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The Lobbyは求職者のためにウォール街(一流金融業界)のウォール(壁)を壊す

Y Combinatorの12週間の育成事業を半年前に卒業したThe Lobbyが、120万ドルの資金調達を発表した。

The Lobbyは、求職者をウォール街の銀行家やベンチャーキャピタリストなど金融業界の“インサイダーたち”に結びつけて、アドバイスや各人に合ったキャリア指導を提供する。以前は投資銀行にいたファウンダーのDeepak Chhuganiは、エリート社会の出身者でもなく、アイビーリーグ系の大学も出ていない人たちに、一流金融企業への就活を成功させようとする。

“彼らのこれまでのやり方では、大量の優秀な人材を見落としている”、とChhuganiは語る。“裕福な世界や一流大学を出た者にしか、機会が与えられていない”。

Chhuganiは、ベントリー大学を卒業してMerrill Lynchに入ったが、自分がウォール街に割り込むことができたのは、たまたまこの超大手証券会社のラテンアメリカのM&Aグループに空きがあり、自分がエクアドル出身だったため、と彼は信じている。

彼の、やはりアイビーリーグ出身ではない何人かの友だちも、運良くウォール街のベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティに就職できたが、でも一般的には、名門大学を出てない者はどれだけ優秀でも、金融業界の就活に成功することはない。

シードラウンドで個人的に投資をしたSocial Capitalのスカウト投資家Matt Mirelesは、The Lobbyについてこう言う: “求人市場は本物の能力主義だといつも自分たちに言い聞かせているし、少なくともそうあるべきだが、The Lobbyはそんな本物の能力主義を作り出しつつある”。同社のシードラウンドには、Y CombinatorのほかにAtaria Ventures, 37 Angels, 元TravelocityのCEO Carl Sparks, Columbia Business Schoolのchief innovation officer(CIO) Angela Leeらが参加した。

求職者はThe Lobby経由で、プロフェッショナルたちの30分の電話相談を受けられる。また模擬面接や効果的な履歴書の書き方なども学ぶ。インサイダーたちは、ユーザーがThe Lobbyに払う料金の一部を謝礼としてもらい、金融業界の本当の内幕話や、生きた人間によるGlassdoorのようなサービスを提供する。

The Lobbyという社名についてChhuganiは、ユーザーに就職を約束することはできないけど、各会社のロビー(控室)にまでは連れていけるから、と言っている。

“能力のある人が努力すれば、上(面接室)に呼ばれるだろう”。

[Y Combinatorの2018冬季デモデー1日目に登場した64のスタートアップたち]

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PayPal、ローカライズ可能なワンタッチ支払いボタンを海外展開

アメリカでEコマースといえば、クレジットカードなどのカード支払いに決っているが、海外は大きく違う。実にさまざまな選択肢——着払い、銀行振り込み、携帯アカウント、等々——がさまざまな組み合わせで使われている。本日(米国時間9/17)PayPal——世界で2億5000万のアクティブユーザーアカウントを持つ支払い会社——がその問題を解決すべく、”Checkout with Smart Payment Button” を全世界に提供開始する。各国の売り主が支払い方法をカスタマイズして、OneTouchチェックアウトができる購入ボタンを簡単に作ることができる。さまざまな支払いサービスを統合する必要もない。

今や支払いソリューションでは当たり前になっているが、この機能は数行のコードを書くだけでチェックアウトプロセスに追加できる。大がかりな統合は必要ない。

PayPalはすでにこの機能を3ヶ月前から提供してきた——皮肉なことに(カードが支配している米国で)——。この期間に、大規模な展開に備えて基盤づくりをしてきた。

現在提供されているオプションには、PayPal自身のさまざまなサービス——PayPal、Venmo(米国のみ)、PayPal Credit(英国および米国のみ、承認が必要)——に加えてオランダのユーザーのためのiDEAL、ベルギーのBancontact、イタリアのMyBank、ドイツのGiropay、オーストリアのEPSなどがある(ドイツのSEPA Direct Debitはすでに対応済み)。

同社は今後も各国独自の支払いシステムを追加していく予定。今年7月、PayPalは海外支払いに特化したスタートアップ、PPROの5000万ドルの投資ラウンドをリードし、この戦略的投資は実を結びつつある。Smart PaymenのテクノロジーはPayPalが開発したが、「われわれは複数の支払いサービスと協力して、さまざまな地域に特化した支払い方式を可能にした」とPayPalのEVP・COO、Bill Readyが言った。

すでにこの高速チェックアウトを利用している売り手には、Boston ProperのBeyond Proper、Guess?, Inc.、Zumiezがある。MagentoとWooCommerceも新しいチェックアウト方式を顧客に提供している。

「Smart Payment Buttonsは、発表以来スモールビジネスから世界的小売業者まで多くの企業が採用している」とReadyは言う。「さまざまな支払い方式を動的に有効化できるしくみが高い評価を得ている。大型小売店を含む多くの企業がSmart Payment Buttonsを使ってチェックアウトオプションにVenmoを追加している」

Eコマースの抱える重要な問題のひとつに、ウィンドウショッピングのユーザーが非常に多いという事実がある。見るだけで他のサイトに移動する人や、購入プロセスになると興味を失う人たちだ。理由の一つは、購入までの障壁が多すぎること。PayPalは、その問題を回避できると顧客である売り主たちに売り込んでいる数多くの「ウォレット」の一つだ。PayPalは、ユーザーの主要な支払い方法を記録していて、使うためにはログインが必要だ。PayPal Checkoutを使っている売り主は88.7%のコンバージョン(購入)率を誇り、PayPalを使っていない店より82%も高いとPayPalは言っている。

新たな地域別支払いオプションとともに、PayPalは同社のマーケティングソリューションを世界に向けて徐々に拡大し、エンドツーエンドのサービスを提供している。2017年に会計サービスのSwift Financialを買収したこともその一つだ。そして今日、売上分析や販売インセンティブなど、ウィンドウショッピング中の潜在顧客の獲得に役立つマーケティング・ソリューションを新たに追加した。

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VCたちはどれだけ稼いでいるか

ベンチャーキャピタルは不透明な業界と思われているので、われわれの多くが、平均的なVCの年収などを知らなくても当然だ。

しかし、ベンチャー企業の報酬に関するJ. Thelander Consultingの調査報告書を見ると、やはりVCたちは大金を稼いでいる。

では、どれだけ? そう、VCたち204名のうち(男172女32)、平均的なゼネラルパートナー(GP)の今年の予想年収は63万4000ドルだ。この中には2017年の業績に対するボーナスも含まれる。

VC企業の規模によって、平均年収に差がある。たとえば運用資産残高(AUM)が2億5000万ドル未満のVC企業のVCたちは、それより大きなVC企業のVCよりも年収が低い。

[VCたちの2018年平均総報酬]

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VC企業でランクのトップにいるGPたちは、報酬パッケージも最大だ。彼らの年額ボーナスの平均は、アソシエイトパートナーやエントリーレベルの投資家たちの平均基本給より大きい。

この調査は、Sequoias, NEAs, Kleiner Perkinsといった、AUM 数十億ドルクラスの世界的VC企業を調べていない。しかし上の結果を外挿すれば、彼らはもっと稼いでいるだろう。

注記: 実際の年収は、上記にVC企業の運用益の分け前、いわゆるcarried interestを加えた額である。

〔訳注: VCといえば個人のVC、VC firmといえばVC企業のこと。〕

[あるミーティングでVCたちの真実を垣間見た](未訳)

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投資アプリRobinhoodからADR経由で外国の上場企業に投資できるようになった

アメリカ国内を対象とする投資と投機のアプリRobinhoodで、米国預託証券(American Depositary Receipt, ADR)を利用して外国で上場されている企業に投資する(株を買う)ことができるようになった。

ADRを利用すると、アメリカの投資家が、ニューヨーク証券取引所ナスダックなどアメリカの証券取引所に上場されていない外国企業に投資できる。そして同社(Robinhood)によると、今では同社からグローバル企業250社に投資できる。

同社が挙げる投資対象には、TencentやNintendo, Adidasなどが含まれている。そして中国や日本、ドイツ、カナダ、イギリスなどの、株式がアメリカで上場されている企業にも投資できるようになるだろう。

対象企業の完全なリストは、Robinhoodアプリまたはデスクトップアプリケーションのページで、“New on Robinhood”で検索すると見られる。

この部屋にもフランス大好き人間が何人かいるけど、LVMHやMichelin, Ubisoft Entertainmentなどフランスの企業も、近くRobinhoodから投資できるようになるそうだ。

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