Google Translateが一部のジェンダーバイアスを克服、女性形にも訳します

ジェンダーの問題に関してGoogleは決して完璧ではないが、でも努力はしている。そのGoogleが最近、同社のTranslateツールにちょっとした重要な変更を行った…ジェンダーに関してニュートラルな語の翻訳に女性形と男性形の両方を使って、ジェンダーバイアスを抑えたのだ。それまでGoogleは、ジェンダーニュートラルな語はデフォルトで男性形に訳していた。

それまでGoogleは、翻訳やオートコンプリート(自動補完)におけるバイアスを強く非難されていた。2月にはForbes誌が、ソーシャルメディアで報告されたTranslateのジェンダーバイアスの例を記事で取り上げた。

Google TranslateのプロダクトマネージャーJames Kuczmarskiが同社のブログにこう書いている: “いくつかの実在する文例を学習した機械学習のモデルがひとつの翻訳を作りだすときは、すでにあったジェンダーバイアスをそのまま再現していた。たとえば‘strong’や‘doctor’のような語は訳語が男性形に偏り、‘nurse’や‘beautiful’などは女性形に偏っていた”。

gender specific translation

今度からGoogle Translateは、英語をフランス語やイタリア語、ポルトガル語、スペイン語などに翻訳するときや、トルコ語を英語に翻訳するときは、女性形と男性形の両方を出力する。男/女という単純な二分法が通用しないジェンダーについても、今後対応していく予定だ。また今回はWebアプリケーションのみだが、いずれはiOSとAndroidのアプリもそのようにする。そしてオートコンプリートにおけるジェンダーバイアスにも対応する。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleが広告詐欺に使われる3つの悪質なSDKをデベロッパーに警告

【抄訳】
数日前Googleは、BuzzFeedの調査で広告詐欺が発覚した人気アプリCheetah MobileとKika TechをPlay Storeから外した。そして今日(米国時間12/7)は、Googleのその後の調査により、これらのアプリの広告詐欺に使われた3つの悪質なSDKが見つかった。同社は今メールで、アプリにこれらのSDKをインストールしているデベロッパーに、その削除を要求した。要求に応じない場合は、そのデベロッパーのアプリがPlay Storeから取り去られる。

これらのSDKをインストールしたデベロッパーは、必ずしもそれが悪質なSDKであることを知ってはいない。Googleによると、ほとんどのデベロッパーが知らないだろう、という。

Googleはこのニュースを今日のブログ記事で共有したが、広告詐欺に関与したそのSDKの名前は挙げていない。

しかし本誌TechCrunchは、問題の広告ネットワークのSDKがAltaMob, BatMobi, そしてYeahMobiであることを別の筋から知った。

これらのSDKが使われているAndroidアプリの数をGoogleは共有していないが、しかしブログ記事によると同社はこの状況を深刻に受け止め、被害の規模を推計している。

ブログ記事の中でGoogleのセキュリティとプライバシーおよびAndroidとPlay担当VP Dave Kleidermacherはこう述べている: “報告によるとそれらのアプリは、アプリのインストールアトリビューションを悪用してユーザーが新たにインストールしたアプリのクレジットを詐称し、そのアプリのデベロッパーからダウンロードバウンティ(bounty, おまけ, ごほうび)を集めている”。Googleが追放した3つのSDKは、偽のクリックを作ることによってアプリインストールのクレジットを偽造していることが分かった。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、オンデマンド音声ニュースフィード提供でメディアと提携

私がGoogleアシスタントで最も利用している機能が、朝のニュースだ。Homeに「どんなニュースがある?」と尋ねると、いくつかのメディアから素早く最新のニュースの要約を用意してくれる。

Googleは、オンデマンドのニュースラジオを追加してニュース機能を改善するとずっといっていた。過去1年かそこら、Googleはニュースプレイリストをつくるために、一握りのニュースメディアと協議してきたーここにはAP通信、ハリウッド・リポーター、ウニヴェルソ・オンライン、サウス・チャイナ・モーニング・ポストが含まれる。音声ニュースフィードには、現在のGoogleニュースで使われているものに似ているAIモデルを活用し、時間帯やリスナーの好みを反映させる。

「まずトップニュースの要約と、ユーザーが気にするトピックのアップデートから始め、その後掘り下げたニュースのようなボリュームのあるものへと拡大する」とGoogleはブログに書いている。「朝の起床時、あるいは通勤の途中、もしくはジョギング中など、あなたがニュースを聞きたいと思った時いつでもGoogleアシスタントは最新のニュースや、あなたがすでに聞いたニュースのアップデートを用意している」。

ユーザーは現在同様にGoogleにニュースのスキップや繰り返しをリクエストできる。

現在の提携に加え、Googleはニュースメディアがフィードに流すニュースを録音するためのテンプレートもつくった。また、メディアがより音声ニュースを提供するのをサポートするための、新たなGoogleニュースイニシアチブもある。

オンデマンド音声ニュースフィードの機能は現在、米国のユーザー向けとなっている。

アップデート:Googleは、このプロダクトは初期段階のため、最終バージョンの広域リリースはまだ未定、と追記した。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Microsoft Edge、Chromiumベースに――旧Windowsでも作動、macOS版も登場へ

噂は事実だった。 Microsoft EdgeはオープンソースのChromiumをベースにしたブラウザに生まれ変わる。 Chromiumはその名が示唆するとおり、GoogleのChromeブラウザを動かしているプラットフォームだ。同時にMicrosoftはEdgのmacOS版を開発している。MicrosoftはEdgeをWindowsから切り離し、これまでより頻繁にアップデートを行っていくという。新しいEdgeはWindows 7、8でも作動する。

Windowsのデフォールト・ブラウザの変更にはある程度時間がかかる見込みだ。現在まだベータ版は出ていないし、一般向けプレビュー版が公開されるのは数ヶ月先になるだろう。しかし2019年中にMicrosoftの独自のレンダリング・エンジン、EdgeHTMLとChakraはBlinkV8に切り替えられる。デベロッパー向けベータ版は来年早々に発表されるものとみられる。

当然ながら細部はまだ不明だ。しかしMicrosoftがChromeとChromiumがユーザー、デベロッパー双方にとって現在のブラウザのデファクト標準だと認めたことははっきりしている。

数年前、Microsofは問題を数多く抱えたInternet Explorerを捨ててEdgeに切り替えた。Edgeの機能はモダン・ブラウザとして十分使えるものに仕上がっていたがMicrosoftも認めるとおり、互換性の問題は解決していなかった。あるサイトでEdgeの作動に問題があることは発見されるとMicrosoftはリバースエンジニアリングで問題の所在を突き止めねばならなかった。Microsoftはこうした努力に膨大なリソースを割り当てる意味がないと見きったようだ。

microsoft edge on surface

こうした互換性問題が起きる原因としてはEgdeの市場シェアが低いままだったことが大きい。サイトのデベロッパーはChrome、Firefox、Safariといった主要なブラウザについては十分にコードの作動をテストするが、下位のブラウザでのテストはおざなりになりがちだ。ウェブサイトの総数を考えれば、互換性問題を起こすサイトの数も膨大なものになるのは理解できる。

さらにものごとを複雑にしてきたのは、サイトを開発するデベロッパーの多くがMacを使っているため、Edgeが作動しないという点だ。これがますます互換性問題を悪化させた。Internet Explorer for Macを中止してから15年後にEdgeをMacに移植しても意味があるほどのシェアは獲得できないだろう。しかしMicrosoftはEdgeがMacでも動くようになればデベロッパーがEdgeでの作動を確認しやすくなるだろうと考えている。

またEdgeがWindows 10でしか作動しないのも不利な要素だったとMicrosofは認めている。EdgeはWindows 10にバンドルされており、アップデートはWindowsのアップデートの一部として行われてきた。Windowsの古いバージョンを使っている何千万ものユーザーはEdgeから取り残されていた。またWindows 10のユーザーも常に最新の状態にアップデートしているとは限らない。するとEdgeのアップデートも行われていないことになる。

善悪は別として、Chromeはブラウザの事実上の標準の地位を確立している。Microsoftはこのトレンドに逆らわないことにした。もちろんMicrosoftは逆の道、つまりEdgeHTMLとJavaScriptエンジンをオープンソースにする(一部はすでにそうなっている)こともできた。このオプションも検討されたようだが、結局のところ、実行されないことになった。Microsoftによれば、EdgeはWndows 10とあまりに密接に連携しているためオープンソース化してWindows 7やMacで作動させることは困難であり、メリットも少ないと判断されたという。Edgeのオープンソース化などは無駄足に終わった可能性が高い。これは正しい決断だったと思う。

逆にEdgeをChromiumベースにすることはオープンソース・コミュニティーにおけるMicrosoftの存在感を高めるはずだ。たとえば、Edgeの大きな強みである優れたタッチスクリーン・テクノロジーがChromiumコミュニティーに輸入される可能性も出てくる。9to5Macも報じているようにMicrosoftはGoogle、Qualcommと協力して ChromeブラウザをARMデバイス上のWindows 10でネイティブに動かすための努力を始めている。現在はエミューションを多用しているため電力消費量が大きく、作動も十分速くできていない。

MicrosoftではEdgeの互換性不足問題を過去のものにできれば、ユーザーは自ずとEdgeの機能に引き寄せられると期待している。 Windows OS、Office、Cortanaなどのプロダクトに対する親和性を高くできるし、今後は新しいサービスや機能が追加されることもあり得る。たとえば大企業内での使用に際してIT管理部門の負担を軽減するようなツールなどだ。

数日前にEdgeがリニューアルされるといいう情報が流れたとき、一部の専門家はChromiumプロジェクトが力を持ちすぎることになるという懸念を示した。

この懸念には理由があることは認めるものの、MicrosoftはどのみちEdgeのシェアは低いのでChromium化がオープンソース・コミュニティーにドラスティックな影響を与えることはないという説得力のある反論をしている。MicrosoftがChromiumコミュニティーに参加してウェブの標準化を推進する側に回り、Chromiumにイノベーションを吹き込むことになればメリットは大きいだろう。

読者の多くが現在頻繁に作動させているソフトウェアの中で、ウェブ・ブラウザはサイズ、複雑性でトップクラスのアプリケーションの一つだ。Windows 10のデフォールト・ブラウザの心臓部であるレンダリング・エンジンを一新するというのは大事件だ。Microsoftはまだ詳細を発表していないものの、同社は新しいバージョンに残すべきEdgeのテクノロジーはどれかを検討しており、そうした機能はChromiumコミュニティーに還元されることになるという。

MicrosoftはEdgeを見捨てるわけではないと強調している。Edgeが消えるわけではない。現在Edgeを利用しているユーザーは使用感がさらに快適になったと感じるだろう。まだ使っていないならChromiumベースの新しいEdgeを試してみることをMicrosoftは期待している。Microsofのこれまでの独自路線とまったく異なるオープンソースの新しいブラウザだとなれば使ってみようと考えるユーザーも多いだろう。

画像: Bryce Durbin

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Googleが日本のAI/ML企業ABEJAに投資

GoogleがAIと機械学習を手がける日本のABEJAに出資した。Googleが直接、しかも日本で投資をすることは、とても珍しい。

投資額は公表されていないが、数百万ドルぐらいらしい。創業6年になるABEJAによると、同社のこれまでの調達総額は60億円(5300万ドル)だ、という。そしてCrunchbaseによると、同社が公開しているこれまでの調達額が4500万ドルだから、53-45=800万ドルになる。ただしこれには、Googleからの投資以外に2014年のシリーズA(これも非公開)も含まれているはずだ。

数字はともかくとして、この投資が注目に値するのは、Googleの日本における投資であるだけでなく、戦略的投資でもあるからだ。

ABEJAはこう声明している: “今後ABEJAとGoogleは、リテールや製造業など、さまざまな分野のAIとMLによるソリューションでコラボレーションして、AIソリューションのアプリケーションをより一層振興し、日本のAI産業の成長に貢献したい”。

同社の主製品は機械学習を利用する‘platform as a service, PaaS’で、現在150社あまりの企業顧客が、ABEJAを使って彼らのデータ集積から事業分析やさまざまな識見(インサイト)を開発している。同社によると、リテール向けの専用製品は顧客データと売上データに的を絞り、およそ100社に利用されている。

Google Cloud Japanの代表取締役(マネージングディレクター)Shinichi Abe(阿部伸一)は、次のように声明している: “ABEJAには強力な技術力とMLの専門的技能があり、そのコラボレーションの実績と、技術的ソリューションの効果的なデプロイメントで業界全般から高く評価されている。この投資は、リテールと製造業、およびその他の分野における革新的なソリューションで、ABEJAとのコラボレーションの道を拓くものである”。

Googleは、中国でAIと機械学習に大きく注力しており、昨年は北京に研究開発部門を開設した。しかし同社の研究とフォーカスの大半は、アメリカとヨーロッパが主力だ。Deep Mindの本社もヨーロッパにある。Googleは、インドシンガポールでもAI/ML関連の買収をしているが、それらの主な目的は、今後の成長市場における、Google製品のローカライゼーションだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleの契約社員たちが賃上げと福利厚生を要求

Googleの契約社員は、内部では臨時社員(Temporary)、業者出向社員(Vendor)、契約社員(Contractors, 請負社員)、合わせてTVCと呼ばれている。彼らは、より良い、平等な扱いを求めている。それは、今よりも良い賃金と福利厚生、そして会社の情報へのアクセスの向上を意味している。GoogleのCEO Sundar Pichaiに宛てた書簡で彼らは、Googleは“仕事や生活に関係のある情報へのTVCたちのアクセスを、当たり前のように拒否している”、と主張している。

TVCたちによると、たとえば4月のYouTubeにおける銃撃事件でGoogleは、正社員にのみアップデートを送った。次の日の討議集会でも、彼らは除外された。

書簡は次のように主張している: “重要なコミュニケーションと公平な扱いからTVCを排除することは、会社に定着している人種差別、性差別、およびわれわれ等に対する差別的待遇のシステムの一環である。TVCは不条理にも軽視され、より少ない報酬や機会、職場におけるより少ない保護や尊敬がふさわしい者として扱われている。われわれは正社員とは違うバッジを着用し、それに基づいて恣意的で差別的な分離が強制されている。正社員と同じ仕事をするときですら、これらの仕事には一貫して生活給の提供が行われず、最低限の福利厚生もないことが多い”。

7月のBloombergの記事によると、Googleはその総スタッフの過半数がTVCである。彼らはさまざまな仕事を担当し、それらの中には、配膳、自動運転車のテスト、チームの管理なども含まれている。

TVCによるこの抗議活動の前にGoogleは、セクハラと暴行の申し立てに起因する社員の要求に応じて部分的な譲歩をしている。それによって多少の変更は為されたが、そのときの活動を組織した者たちの要求のすべてには対応していない。たとえばGoogleは、チーフ・ダイヴァーシティ・オフィサー(多様性最高責任者)をPichaiの直属にするという格上げには応じず、取締役会に社員代表を加えよという要求は無視した。

今Googleに問い合わせているので、情報が得られ次第この記事をアップデートしたい。

関連記事: Googleのストライキ主催者たちはCEOの対応に満足していない

画像クレジット: TechCrunch

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AI開発ノウハウをオープン化するABEJA、米Googleから数億円規模と見られる資金調達

AIプラットフォーム「ABEJA Platform」などを展開するABEJAは12月4日、2018年6月に実施して42億5000万円を集めたシリーズCのエクステンションラウンドとして、Googleなどを引受先とした第三者割当増資を発表した。Googleからの出資は、同社の投資部門(GV)からの出資ではなく、Google本体からの出資となる。

調達金額は非公開ではあるものの、企業データベース「Crunch Base」によれば、シリーズC以前の同社の累計調達金額は、金額が公開されているものだけを合わせても約4500万ドル(現レートで約50億円)。同社が本日発表したリリースには「累計調達額は60億円を超えた」とあるから、非公開分やレート差分を考慮すると数億円台後半、もしくは10億円前後の規模だと推測できる。

ABEJAは2012年の創業で、当初よりディープラーニングを軸とするAIを活用したプラットフォーム「ABEJA Platform」の開発に取り組んできた。これは、ABEJAが蓄積した過去の開発実績やノウハウをオープンなプラットフォームとして提供するというもの。様々な業界、顧客に合わせたソリューションを提供しており、AIの本番運用を支援した企業数は現在150社を超えるという。

また、小売・流通業界、製造業界、インフラ業界向けに特化したパッケージサービス「ABEJA Insight」も提供しており、これまでに国内約100社への導入実績があるという。2017年3月にはシンガポールに法人を設立し、グローバル展開も果たした。

Google Cloud Japan代表の阿部伸一氏は、「ABEJAは、機械学習領域における優れた技術力のみならず、日本のAI市場において数多くの企業と実装レベルでの協業実績を持つ」とコメントし、ABEJAの技術力と導入実績を評価した。

ABEJAは今回の資金調達ラウンドの実施を受け、「引き続きAI、特にディープラーニングの活用により国内外問わず多様な業界やシーンにおけるビジネスのイノベーションを促進し、産業構造の変革に貢献する」とコメントしている。

Google、デジタルアート・ギャラリーにARを導入

Googleは、アートの世界をもっと間近で見て欲しいと思っている。

同社のアプリ、Arts & Cultureは長きにわたりGoogleでもっともクールなニッチアプリのひとつで、私はこれを再発見するたびに見過ごしていたことに罪悪感を感じることがしょっちゅうある。本日(米国時間12/3)同社は、オランダの巨匠ヨハネス・フェルメールの作品に焦点を当て、収集品を一箇所にまとめた 体験を新たに加えた

同社の多くの作品集と同じく、展示には深く掘り下げられた研究や、事実情報のリスト、専門家のインタビューや論説などが備えられている。この表現方法でいちばんの特徴は、ミニチュアの3Dアートギャラリーを実際に構築したことで、見学者はスマートフォンのAR機能を使って眼の前の物理的空間でギャラリーを見ることができる。

ユーザーはARCoreまたはARKitを使ってこの「ポケットギャラリー」の中を動き回り、高解像度で取り込まれた絵画を間近で見られるとともに、作品に関する情報も得られる。

しかしちょっと試してみた限りでは、正直なところこれはスマホのARを使う意味をあまり感じないもののひとつだ。フルレンダリングされたギャラリーがリビングの目の前に広がるしくみは興味深いが、ARは移動可能なフルレンダリング3D環境に使うか、あるいは没入的体験はVRにまかせてスマートフォンでは2D体験にとどめておくほうがよかったかもしれない。

とはいえ、これが興味深い実験であることに間違いはなく、Googleがデジタルアートの没入的体験をさまざまな方法で試しているのはすばらしいことだ。GoogleのArts & CultureアプリはiOSおよびAndroid版が提供されている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleのボイスメール着信選り分け書き起こし機能は便利だけど当面アメリカのみ

読者が、9to5Googleのこの記事を書いた人のように、GoogleのPixelスマートフォンの誇り高きオーナーの人なら、とっくに気づいていたかもしれない。11月にすでに知ってた人もいる、その着信選別書き起こし機能が、Pixelユーザーに配布され始めている。Googleもそのことを、本誌に確認した。

この“年の瀬の約束”は、すでに数日前から展開されており、ユーザーはこれを使ってボイスメールの書き起こしを読むことができる。これは、Pixelの前からあった着信選別の新しい機能で、知らない番号からの電話にはGoogle Assistantが対応し、そしてGoogleの優れた音声テキスト化機能を使って、その着信の書き起こしを作る。

しかし全ユーザーへの展開とは言っても、今のところ対象機はPixel 3とPixel 3 XLのみで、しかもアメリカのユーザーだけだ。でもGoogleによると、“近いうちに”他の言語もサポートするそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple MusicがAmazon Echoにやってくる

12月中旬、Amazon EchoスピーカーでApple Musicの 曲を流せるようになる。たぶん、ちょっとした驚きだろう。2017年にHomePodを発売して以来、Appleはこの分野のライバルだ。

Amazonも独自の音楽サービスをしばらく提供してきているが、この分野で本格的に戦うことは諦めたように見える——少なくとも今のところは。代わりにEchoスマートスピーカーは、Pandora、Spotify、iHeartRadio、TuneInなどの幅広い実績あるストリーミングサービスにネイティブ対応している。

新しいスキルを使うと、ユーザーは特定の楽曲、ジャンル、プレイリスト、およびBeats 1ステーションをスマートスピーカーで聞くことができる。Apple Musicに対応することで、人気のスマートホーム製品はをまたひとつ急成長のサービス利用できるようになる。

Apple Musicは、今年定期購読者数5000万人を突破した。これでもまだ、7月に有料購読者数8300万人超えを発表したSpotifyには遠く及ばないが、AmazonにとってGoogle Home製品に対する強みが増えた。特にここ米国には大量のApple Musicの定期購読者がいる。

Appleにとっても、この提携によってApple Musicを利用できるデバイスが一気に増える。HomePodは現在349ドルで売られており、入門モデルのEcho Dotと比べて数倍高い。新しいスキルは、12月7日の週にEchoスピーカーにやってくる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Pixel Slateレビュー:プレミアムタブレットのハードウェアがOSの課題を浮き彫りにする

最初に、製品レビューというものの秘密をちょっとだけ暴露しよう。それは、すべての製品を日常生活の中に組み込みたいと考えても、それは不可能だということだ。特に、ここで扱っているような数をこなさなければならいときは、なおさらだ。しかし、ときには運命的な機会というものもある。2週間のアジア旅行の直前になって、GoogleがPixel Slateを発送してよこした。

これは、製品を徹底的にテストするのに究極的な最善の機会だ。見知らぬ土地で、見知らぬ人になって、まだ慣れていない製品と格闘しなければならないのだから。Googleの新しいコンバーチブル型のマシンは、2つの国と1つの自治領を旅してきた。ネオンが輝き、マリオカートが道路でレースをしている秋葉原から、深センのガジェット市場、そしてシャワールームがトイレになっていて、夜中に家主がドアをドンドン叩いて宿賃を要求するような、香港のChunking Mansionsの密集したホステルにまで運び込まれた。

それは、ほんの数年前ならよろこんでモルモットになったような類の体験ではなかった。Google製のOSは、最初のうちは遅い、という傾向があるが、Chrome OSも当然その例外ではない。最初期のChromebookは、目新しいということだけが取り柄の、前世代のネットブックと差別化できる利点がほとんどない、非力なマシンだった。もちろん、オフラインではほとんど使えないOSは大目に見るとしてもだ。

しかし、そのカテゴリの存在自体が(正当にも)批評家によって疑問視されていたときにも、Googleはこつこつと仕事を続けていた。同社はChromeに機能を追加し続け、ブラウザベースのOSは、だんだん一般のデスクトップOSに近付くまでになってきた。そして2013年には、Chromebook Pixelを発表した。そのプレミアムノートブックは、当時SVPだったSundar Pichaiの言葉を借りれば、「もしGoogleが可能な限り最高のコンピュータを、可能な限り安価に設計しようとしたらどんなものになるか」を示すために企画された。

その後の数年で、Chromebookが学校の教室を支配するようになっても、Googleにはまだ証明すべきことが残っていた。同社は、そのOSが安売りの理由にされることに決して満足していなかったのだ。そしてその結果が、昨年のPixelbookとして結実した。Chromeの機能と独特なデザインの頂点を極めたこのデバイスは、Chromebookができることの境界を押し広げた。

昨年の12月に、Googleは密かにPixel C(訳注:10.2インチの画面を持ったAndroidタブレット。専用キーボードと組み合わせて使える)を現役から引退させた。Googleはその動きを認め、新しいデバイスへ引き継がれるものとして、以下のようにTechCrunchに語った。「Google Pixelbookは、ラップトップとタブレットの利点を両立させた、多用途のデバイスを求めている人向きの新製品です」と。

ところがこの3月には、Appleの大規模な教育イベントの直前にタイミングを合わせて、Acerと提携し、教育市場に焦点を合わせたChromeタブレットを発表した。さらに先月には、Pixel Slateを発表した。このSlateは、ほかでもないPixelbookの姉妹機のように見える。実際、純粋に仕様だけを比較すると、両者の違いを指摘するのに苦労するだろう。

両製品の違いがわずかであるという感触は、私がこのデバイスを使っている間、ずっと付きまとっていた。キーボードが取り外せることは、多様性という点では優れている。しかし、実際にその機能はどれくらいの頻度で利用されるのだろうか? ほぼ2週間ほど、このSlateとともに旅行している間、キーボードドックから取り外すことを正当化する機会には、ただの一度も出会わなかった。くそ、ドックはビデオを見るのにもうってつけじゃないか。映画の上映時間中ずっと手で持っているより、内蔵のスタンドを使うほうがずっといい。

ラップトップ専用機ではなく、コンバーチブルを選べば、いくつかの機能を犠牲にすることになるというのはよくあることだ。2つの間の隔たりは、世代を経るごとに小さくなると思われるものの、このSlateの場合は、まだそうでもない。単純に、Pixelbookの方がタイピングの感触はいい。とはいえ、キーボード付きケースとしては、Slateは間違いなくこれまでで最高のタイピング体験の1つだった。

タイピングが90%を占めているような仕事なので、私が日常の道具として、ハイブリッドのタブレットを真剣に検討することを避けてきた最大の理由が、やはりキーボードだった。Slateのケースの丸いキーの反応は完璧で、リズムに乗るまでにそれほど時間がかからない。この話の半ばに差し掛かるころだが、このまますべての部分をSlateで仕上げることに何の躊躇もない。

Chrome OSも、この数年で飛躍的に進化した。2016年に、Googleはアプリについての問題に対する巧妙な修正を発表した。それは、このOSにもPlay Storeを導入する(訳注:AndroidのアプリをChrome上で動作可能にする)というものだった。当時、同社はTechCrunchに対し、それは「2つの世界を結びつける強力な方法」になると述べた。何はともあれ、それは巧みな次善の策だった。

いろいろなアプリをPlay Storeからダウンロードしてみて分かったのは、Pixelbookの場合と同じ問題に突き当たることが少なくないということだった。それほど一般的でないアプリをダウンロードして起動すると、スマートフォンの画面サイズで表示される。それをフルサイズに変更しようとすると、「サイズを変更するには、アプリを再起動する必要があります。サイズを変更すると正しく動作しないかもしれません」といったポップアップを見ることになる。

 

ウワッ

別のアプリはもっと直接的に(そして正直に)、「申し訳ありません! このデバイスはサポートしていません」と表示する。

ウワッ×2

Pixelbookを抱えて中国に行ったときも、同じ経験を何度もした。14時間のフライトの間に、自分のポッドキャストを編集するという野望をいだいていたのだが、数種類のアプリをダウンロードしてインストールしてみた後で、Audacityの代わりになるまともなアプリを見つけることを、最終的にあきらめたのだった。そうした問題があることも、新しいOSなら理解できる。しかしChrome OSは、もう7年ほども使われているのだ。本格的なOSでありながら、未熟なユーザー体験しか提供できないものとして、フラストレーションを感じることが避けられない。

iPad Proと同様に、Pixel Slateのソフトウェアの欠点は、プレミアムなハードウェアと組み合わせることで、余計にイライラを募らせるものとなりうる。私の仕事のほとんどは、Slateだけでもこなすことができる。それでも、かゆいところに完全には手が届かないことに出会うと、十中八九は、なぜフル機能のラップトップを使わないのかと思わざるを得ない。

価格は確かに重要だ。Slateは、12.3インチでありながらエントリーモデルの価格は599ドルで、11インチのiPad Proのエントリーモデルの799ドルと比べると確かに安い。ただし、公平を期せば、前者が32GBであるのに対し、後者は64GBのストレージを装備している。しかもiPadの価格には、Pixelbookの2400×1600を凌駕する、驚異的な3000×2000(訳注:正確には2388×1668でほぼ同等)ピクセルのディスプレイが含まれている。

カスタマイズ性はもちろん重要なポイントだ。SlateはPixelbookよりも構成の種類が多い。その中で最高のスペックを選んだモデルは1599ドルになるが、16GBのRAMと256GBのストレージ(Pixelbookの最大の半分)、そしてプロセッサーはCore i7だ。キーボードとペンが必要な場合は、もちろん別売りで、それぞれ199ドルと99ドルが加わる。注意すべき点は、キーボードを付けると合計で2.7ポンド(約1.22kg)になるということだ。これは、Pixelbook(2.6ボンド=約1.18kg)や12インチのMacBook(2.03ポンド=約921g)より重い。

実際、キーボードは必須だ。ドッキングすることでOSをデスクトップUIモードに切り替える。その状態でも、もちろん画面の底辺から上向きにスワイプすれば、アプリトレイが開く。Macを日常の道具として使い続けている人間としては、Appleがディスプレイにまともなタッチスクリーン機能を採用していないことに唖然とする。当然ながら、タッチバーはその代わりにはならない。数日間Pixel Slateを使った後では、Macを使っていても画面に手を伸ばしそうになる。「いつか、きっと」と、抱えた仕事に戻る前に、静かに独り言を言ってみたりするのだ。

細かなことだが、画面を分割したり、タブをドラッグして独立したウィンドウにする機能は使いやすいし、仕事用のマシンとしても頼もしく感じられる要因となっている。ペンもあるに越したことはないが、日常的な用途で使うことはほとんどなかった。

結局のところ、私ならこの99ドルのオプションはパスするだろう。特にiPad Proのように簡単に保持しておく方法がないのも気に入らない。バッテリーも充電式ではなく、ほとんど見かけないAAAA(訳注:日本では単6)サイズの乾電池だ。探せば見つかるかもしれない。実際、私も近所のWalgreenに在庫があるのを見て、ちょっと驚いたくらいだ。

電源ボタンに指紋認識機能を組み込んだPixel Imprintは、なかなか使いやすい。その一方で、ヘッドフォンジャックが省かれたことには、ちょっとまいった。私はいつも有線接続のヘッドフォンを使っている。まだ2018年なのだから、必需品だと思われる。MacBook Airのように、2つのUSB-Cポートを片側に並べて付けるのではなく、1つずつ左右に振り分けたという点では、私はGoogleに感謝したいくらいだ。それによって、アクセサリーを利用する場合の自由度が、いくらか増すからだ。

私は、今回、Pixel Slateを荷物に入れたことを後悔していない。旅の仲間として、人間的にも、ガジェット的にも、ずっと良くない経験をしている。Pixelbookと同じように、このタブレットは、しっかりしたハードウェアの上でChromeができることの良い見本となっている。そしてもう一度言うが、これはハードウェアがソフトウェアを色褪せものに見せてしまう例の1つに数えられる。それによって、GoogleのChromebookに関する戦略が、不明瞭なものに見えてしまうほどだ。

OSとしては、Chromeは近年飛躍的に進歩した。それが学校の教室を支える存在になったのもうなずける。しかし、ビジネス向きの本格的なデスクトップOSとなるためには、まだまだやるべきことは残っている。

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

YouTube、2020年にオリジナル番組を無料化――全コンテンツを広告サポートモデルに統一へ

YouTubeはオリジナル番組の無料化を準備中だ。現在こうした独自コンテンツはペイウォールの陰に隠されているが、広告が表示される無料視聴に改められる。The Hollywood ReporterVarietyが報じたところによれば、YouTubeはこの方針変更を確認したという。実施に移されるのは来年になる見込みだ。YouTube Originalsの視聴には現在はサブスクリプション契約が必要だが、広告が表示される無料番組となる。つまり現在のYouTubeの一般コンテンツと同様の扱いになる。

YouTubeによれば、有料のプレミアム・オリジナルと一般の広告表示無料コンテンツを“Single Slate”として統合いくという。これにより、2020年にはユーザーはすべてのプログラムを無料で視聴できるようになる。

つまり、現在有料のオリジナル・コンテンツのすべてが即座に無料化されるわけではない。

Varietyの記事によれば、『ベスト・キッド』の続編、Cobra Kaiなど 一部のオリジナル番組は2019年いっぱい有料視聴だ。しかし2020になればオリジナル番組を含めたすべてのコンテンツが月間20億人のYouTubeユーザーに無料で公開される。

この方針転換は、YouTubeのサブスクリプション・モデルが当初期待されたほどの効果を挙げていないことを示すものだろう。Netflix、Amazon、Huluといった強力なストリーミング・サービスとの競争でYouTubeは劣勢が伝えられている。YouTubeはオリジナル・コンテンツ製作に毎年数億ドルを投じているとされるが、ライバルのストリーミング・ビデオ・サービスの投資規模は数十億ドルだ。優秀なドラマの製作でライバルと戦うにはこの金額では足りない。

YouTube Redというサブスクリプション・モデルでオリジナルのドラマ・シリーズや映画のストリーミングが始められたのは2016年にさかのぼる。サービス名称はその後YouTube Premiumに改められ、月額料金は11.99ドルとなっている〔日本サイト〕。.しかしこのサービスは立ち上げ直後から逆風にさらされた。スター・ユーチューバーの一人で5300万のフォロワーを持っていたPewDiePieが
h反ユダヤ主義的コンテンツを発表したため契約をキャンセルせぜるを得なかったのもその一例だ。

オリジナル番組はその後エレン・デジェネレス、ケイティー・ペリー、ケビン・ハートなどのスターを迎えたドラマはショーに拡大された。また“Origin”のような大型番組も製作された(エリザベス2世の半生を描いたNetflixのヒット番組、『ザ・クラウン』のプロダクションによる製作)。

The Hollywood Reporterの取材に対し一部の情報源は、アド・サポートによる無料化でYouTubeのドラマ、映画製作の予算は大幅に圧縮されるだろうと述べた。ただしYouTubeは取材に対してドラマや映画の買い付けを一時中止しているだけでこのマーケットから撤退を決めたわけではないと答えている。

YouTube広報担当者はVarietyに対し「われわれは2019年に向かって脚本のあるプログラムに引き続き投資する。YouTube Originalsは世界のユーザーにさらに広く訴求していくため広告サポートによるビジネス・モデルにシフトしていく.」と述べた。

またTechCrunchの取材に対しても、脚本のあるプログラムへの投資を続けていくことを確認し、次のように述べている。

2018年は YouTube Premium、YouTube Originalsにとってさらなる飛躍の年となった。われわれはYouTube Premiumを29カ国に拡大した。脚本の有無を問わず50本以上の番組を配信した。エミー賞のノミネーションを8回受け、30以上の賞を受賞している。

YouTubeは脚本のあるコンテンツに対する投資を継続する一方、YouTube Originalsを広告サポートによる無料視聴可能なプラットフォームに移し、世界のファンからの需要の高まりに応えていく。Originalsのこの段階は、オーディエンスだけでなくクリエーターをも拡大し、広告主に世界のYouTube世代にアクセスする機会を広げていく。

そういう次第でYouTube Originalsは2020には無料となる。しかしYouTubeではYouTube Premiumのサブスクリプションには意味があると考えているようだ。Originalsが無料になってもPremiumの契約者は広告なしでコンテンツを視聴できるし、音楽をバックグラウンドで再生したり、オフラインでコンテンツにアクセスしたりできる。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Googleのタブレット、Pixel Slate、今週出荷へ――エントリーモデルは600ドル

今年Googleが発表した最後のハードウェアがいよいよ今週出荷の運びだ。Pixel Slateの販売開始はすでに発表されていたが、今日(米国時間11/27)、Googleのブログ記事で11月29日から出荷が開始されることが分かった。

Pixel Slateは先月、Pixel 3やGoogle Home Hubと共に発表されたキーボードが分離できるタイプのタブレットだ。 Chromebookファミリーの製品で去年発表されたPixelbookの上位モデルとなる。われわれの詳しい製品レビューはこちら。「長すぎて読む時間がない」という向きに結論だけ述べるなら「OSもアップグレードされた優秀な製品。ただしプロ・ユースにはさらに若干の改良が必要」というものだ。

特に興味深かったのはOSの改良だ。SlateのOSのスペックは基本的にPixelbookと同様だが、ディスプレイの精細度が高く、キーボードを外付けできる点が大きな違いだ。Pixelbookのディスプレイも背面まで360度開くのでタブレット的な使い方は可能だ。しかし必要なときだけキーボードを接続できるというフォームファクターがPixel 3のセールスポイントだ。

Intel Celeron、4GB RAM、 32GBストレージの本体価格は599ドルだ。最上位モデルはIntel Core i7、16GBRAM、256GBストレージで1599ドルとなる。ケースを兼ねるキーボードは199ドル、ペンは99ドル。最上位モデルにキーボードとペンを追加すると2000ドルとなる計算だ。

〔日本版〕日本のGoogleストアにはまだ情報がない。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Google Mapsのレビューをより便利にするハッシュタグ機能、まずAndroidで提供開始

Google Mapsがとくに発表もなく実装した新しい機能により、ユーザーはほかの人が推薦している場所を見つけられる。それは、レビューの中でハッシュタグを使えるようになったことだ。たとえば、今レビューを書いてるレストランがすてきな#datenight(夜のデート)スポットなら、そんなハッシュタグを加えるとよい。あるいは、あるお店が#familyfriendly(家族向き)で#wheelchairaccessible(車いす可)なら、そのことをタグで注記しよう。

ひとつのレビューに最大5つまでのハッシュタグを入れられるし、それらをレビューの末尾に置いて本文を読みやすくしてもよい。

同社によると、ハッシュタグのサポートは1週間前に全世界的にAndroidデバイスに展開された。しかしこれまで発表は、Google MapsのLocal Guidesだけで行われている。これはユーザーが訪ねたお店などの場所のレビューや写真や知識を共有してごほうびがもらえるプログラムだ。

その発表によると、ハッシュタグは前に書いたレビューにも入れられるし、もちろん新しいのにも含められる。

Googleのおすすめによると、レストランなら#vegetarian(ベジタリアン)のように、その種類やタイプを示してもよいし、#goodforselfies(自撮りに好適)とか#sunsetviews(夕日が絶景)などでもよい。車いす用の斜路や音声メニューがあるなど、バリヤフリーの親切機能を知らせてもよい。

しかしInstagramやそのほかのソーシャルアプリと違って、Google Maps上のハッシュタグはあくまでも実用性が目的だ。あまり意味のない#loveや#foodなどは役に立たない、とGoogleは言っている。

Google Mapsの機能として、これ自体はあまりにもささやかな機能だが、でもGoogleはFacebookのPagesに対抗してこのところ、Mapsのソーシャル化に努めているのだ。そういう細かいアップグレードの一環だ、と思えばよい。

たとえば10月に加わった“follow”機能では、ユーザーがお店などをフォローして、ニュースや売り出し、お買い得品、イベントなどを知ることができる。また今月改作したMy Businessアプリでは、お店のオーナーがMapsのプロフィールを容易にアップデートできる。たとえば、フォロワーとシェアする新しいニュースを書き加えてもよい。このアプリで、レビューやメッセージを見たり、返事を書いたりもできる。

ハッシュタグが加わったことによってGoogle Mapsはお店などの発見プラットホームとして使いやすくなったし、ソーシャルなリコメンデーション(推薦)プラットホームにもなった。Google Guidesでハッシュタグ#LetsGuideを使うと、お気に入りの場所のパーソナルなリコメンデーションを見ることができる。その、Googleが勝手に選んだリコメンデーションを採用するか否かは、もちろんあなたの自由だ。

ハッシュタグを利用するためには、マウスをホバーすると青いリンクになるタグをクリックすると、同じタグがレビューにある近くのほかの店などのリストが表示される。このハッシュタグ機能がiOSとWebにも提供されるのはいつか、その日程はまだ明らかでない。

画像クレジット: TechCrunch

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AIではなく、量子コンピュータが我々の将来を決める

「量子(quantum)」という言葉は、20世紀後半になって、他の一般的な形容詞では表せない、何かとても重要なものを識別するための表現手段となった。例えば、「Quantum Leap(量子の跳躍)」は劇的な進歩のことを意味する(Scott Bakula主演の’90年代初頭のテレビシリーズのタイトルでもあるが)。

もっとも、それは面白いとしても、不正確な定義だ。しかし、「量子」を「コンピューティング」について使うとき、我々がまさに劇的な進歩の時代に入ったことを表す。

量子コンピューティングは、原子と亜原子レベルで、エネルギーと物質の性質を説明する量子論の原理に基づいた技術だ。重ね合わせや量子もつれといった理解するのが難しい量子力学的な現象の存在によって成立する。

アーウィン・シュレディンガーの有名な1930年代の思考実験は、同時に死んでいて、かつ生きているという一匹の猫を題材にしたもので、それによって「重ね合わせ」というものの明らかな不条理を浮き彫りにすることを意図していた。重ね合わせとは、量子系は、観察、あるいは計測されるまで、同時に複数の異なる状態で存在できる、という原理だ。今日の量子コンピュータは、数十キュービット(量子ビット)を備えていて、まさにその原理を利用している。各キュービットは、計測されるまでは0と1の間の重ね合わせの中に存在している(つまり、0または1になる可能性がいずれもゼロではない)。キュービットの開発は、膨大な量のデータを処理し、以前には不可能だったレベルの計算効率を達成することを意味している。それこそが、量子コンピューティングに渇望されている潜在能力なのだ。

シュレディンガーはゾンビの猫について考えていたが、アルバート・アインシュタインは、彼が「離れた場所の奇妙な相互作用」と表現した、光速よりも速く通信しているように見える粒子を観察していた。彼が見ていたのは、もつれ合った電子の作用だった。量子もつれとは、同じ量子系に属する複数の粒子の状態は、互いに独立して描写することができない、という観測結果のことだ。かなり遠く離れていても、それらはやはり同じ系に属している。もし1つのパーティクルを計測すると、他のパーティクルの状態も直ちに判明するように見える。もつれ合った粒子の観測距離の現時点での最長記録は、1200キロメートル(745.6マイル)となっている。量子もつれは、量子システム全体が、その部分の合計よりも大きいことを意味する。

ここまでの話で、そうした現象がなんとなくしっくりこないというのであれば、シュレディンガーの言葉が、その居心地の悪さを和らげてくれるかもしれない。彼は量子理論を創出した後で「私はそれが好きではありませんが、申し訳ないことに私にはどうすることもできないのです」と言ったと伝えられている。

様々なグループが、それぞれ異なる方法で量子コンピューティングに取り組んでいる。従って、その仕組みについて1種類の説明で済ますのは現実的でないだろう。しかし、読者が従来のコンピューティングと量子コンピューティングの違いを把握するのに役立つかもしれない1つの原理がある。それは、従来のコンピュータは2進数を扱う、ということ。つまり、各ビットは0または1の2つのうちのどちらかの状態しか取れない、という事実の上に成り立っている。シュレディンガーの猫は、亜原子の粒子が同時に無数の状態を示すことができることを説明した。1つの球体を想像してみよう。その2進数的な状態は、北極では0、南極では1になると仮定する。キュービットの世界では、その球全体で無数の他の状態を保持することができる。そして、複数のキュービット間の状態を関連付けることで、ある種の相互関係が生まれる。それによって、量子コンピューティングは、従来のコンピューティングでは達成できない、さまざまな分野のタスクに適応することができるのだ。こうしたキュービットを生成し、量子コンピューティングのタスクを遂行するために十分な時間だけ存在させておくことが、現在の課題となっている。

Jon Simon/Feature Photo Service for IBM

IBM研究者で、同社のTJワトソン研究所の量子コンピューティング研究室に所属するJerry Chow

量子コンピューティングを文明化する

こうしたことは、量子力学の奇妙な世界の入り口に過ぎない。個人的には、私は量子コンピューティングに心を奪われている。技術的な奥義から人類に利益をもたらす潜在的なアプリケーションに至るまで、さまざまなレベルで私を魅了しているのだ。しかし、今のところ、量子コンピューティングの仕組みに関しては、うまく説明しようとすればするほど混乱を招くのが実情だ。そこで、より良い世界を作るために、それがどのように役立つのかを考えてみることにしよう。

量子コンピューティングの目的は、従来のコンピューティングの能力を補助し、拡張することにある。量子コンピュータは、ある種のタスクを、従来のコンピュータよりもはるかに効率的に実行する。それによって、特定の分野で我々に新しいツールを提供してくれる。量子コンピュータは、従来のコンピューターを置き換えるものではないのだ。実際、量子コンピュータが得意分野で能力を発揮するためには、たとえばシステムの最適化などについては、これまでのコンピュータの手助けを必要とする。

量子コンピュータは、エネルギー、金融、ヘルスケア、航空宇宙など、多くの異なった分野での課題の解決を促進するのに有効だ。その能力は、病気を治し、世界の金融市場を活性化し、交通をスムーズにし、気候変動に対処したりするための手助けとなる。たとえば、量子コンピューティングは、医薬品に関する発見と開発をスピードアップさせ、気候変動とその悪影響を追跡して説明するための大気モデルの精度を向上させるための潜在能力を備えている。

私をこれを、量子コンピューティングの「文明化」と呼ぶ。そのような強力な新技術は、人類に利益をもたらすために使うべきだからだ。そうでなければ、我々は船に乗り遅れてしまうだろう。

intel-quantum-17-qubit-2

Intelの量子コンピューティング用17キュービットの超伝導テストチップは、接続性を向上させ、電気的および熱力学的な特性を向上させるためのユニークな特徴を備えている。(クレジット:Intel Corporation)

投資、特許、スタートアップなどの上昇傾向

これは、私の内なるエヴァンジェリストの主張だ。しかし事実を見ても、投資と特許出願に関する最新の検証可能な世界規模の数字は、両分野における上昇傾向を反映している。そしてそのトレンドは今後も継続するものと思われる。エコノミスト誌によれば、2015年には、機密扱いされていない各国の量子コンピューティングへの投資の世界的な総計は、約17.5億ドルに達している。欧州連合が6億2300万ドルで全体をリードしている。国別では米国がトップで4億2100万ドル、中国がそれに続く2億5700万ドル、次がドイツの1億4000万ドル、英国の1億2300万ドル、カナダの1億1700万ドルの順だ。20の国が、少なくとも1000万ドルを量子コンピューティングの研究に投資している。

Thomson Innovation社が提供する特許検索機能によれば、同時期の量子コンピューティング関連の特許出願件数では、米国がトップで295件、次いでカナダが79件、日本が78件、英国が36件、中国が29件となっている。量子コンピューティングに関連する特許の件数は、2017年末までに430%増加すると予想された。

結局のところ、国、巨大テクノロジー企業、大学、スタートアップが、こぞって量子コンピューティングと、その潜在的な応用範囲を模索しているというわけだ。安全保障と競争上の理由で、量子コンピューティングを探求している国家、および共同体もある。量子コンピュータは現在使われている暗号化方式を破り、ブロックチェーンを殺し、他の暗黒面の目的にも有効だと言われてきた。

私はその独占的で凶暴なアプローチを否定する。オープンソースの協調的な研究開発のアプローチをとれば、量子コンピューティングには、より広範囲の善良な用途があることは明らかだ、と私には思える。この技術へのより広いアクセスが得られるようになれば、それも十分可能だろうと私は信じている。私は、クラウドソーシングによる量子コンピューティングの応用が、より大きな善のために勝利を得ることを確信している。

もし関わりを持ちたいのであれば、IBMやGoogleなどのように一般家庭にも浸透しているコンピューティングの巨人が用意している無料のツールを探してみるといい。また、大企業やスタートアップによるオープンソースの提供もある。量子コンピュータはすでに現在進行形のものであり、アクセスの機会は拡大の一途をたどっている。

独占的なソリューションは、オープンソース、協調的な研究開発、普遍的な量子コンピューティングの価値の提案に屈服するだろうという私の見立てに沿って、北米だけですでに数十社ものスタートアップが、政府や研究機関と並んで、量子コンピューティングのエコシステムに飛び込んだことを指摘させていただこう。たとえば、Rigetti Computing、D-Wave Systems、1Qbit Information Technologies、Quantum Circuits、QC Ware、Zapata Computingといった名前は、もう広く知られているかもしれないし、すでに大企業に買収されているかもしれない。このような発生期にはなんでもアリなのだ。

ibm_quantum

量子コンピューティング標準の策定

関わりを持つもう1つの方法は、量子コンピューティング関連の標準を策定する活動に参加することだ。技術的な標準は、結局は技術の開発を促進し、経済的なスケールメリットをもたらし、市場を成長させる。量子コンピュータのハードウェアとソフトウェアの開発は、共通の用語からも、結果を評価するための合意された測定基準からも、恩恵を受けるはずだ。

現在、IEEE Standards Association Quantum Computing Working Group(IEEE規格協会の量子コンピューティング作業部会)は2つの標準を策定中だ。1つは量子コンピューティングに関する定義と用語であり、それによってみんなが同じ言語で話すことができる。もう1つは、従来のコンピュータに対する量子コンピュータの性能を評価し、両者を比較するためのパフォーマンスの測定法とベンチマーキングに関するものとなっている。

さらに標準を追加する必要があれば、おいおい明らかになるはずだ。

画像のクレジット:VICTOR HABBICK VISIONS

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

優れたジャーナリズムを育てる育成事業Google News Initiativeがアジア太平洋地域でも活動を開始

Googleはアジア太平洋地域のメディアを支援するために、同社のGoogle News Initiativeを同地域で展開する計画だ。

GNIと呼ばれるこの事業は、“デジタル時代の優れたジャーナリズムを育成”するために、同社が将来性を認めたメディア企業や団体に助成金を交付する。2015年に始まったヨーロッパでは1億7000万ドル、そしてアメリカでは今年前半に3億ドルが投じられた。フェイクニュース防止のためにYouTubeも助成対象となり、GNIはそのために2500万ドルを確保した。

アジア太平洋地域に関してGoogleはその規模を明言しないが、新しくて革新的なビジネスモデルと収益源を開発しているパブリッシャーに最大で30万ドルを助成する、と言っている。

Googleで報道と出版関連のパートナーシップを担当しているKate Beddoeは、ブログ記事でこう述べている: “有料会員制や賛助制度、新しいデジタル製品やサービスなどで読者からの収益を増やそうとするプロジェクトの提案を募集している。Google内部とそのほかのテクノロジー業界の役員たちが申請を審査し、選ばれたプロジェクトには最大で30万ドルを出資、プロジェクトの総費用の最大70%を支援する”。

同社のスポークスパーソンによると、助成金は分割で交付される。交付が決定した応募者には助成金が何度かに分けて交付され、彼らの経験を広範なコミュニティと共有しなければならない。それは、オンラインやイベントにおける資料の作成配布の形でもよい。その情報交換のねらいは、アジア太平洋地域のメディアがお互いから学び合い、持続可能なアイデアや経験談をより広く共有することにある。

ファンドは今日(米国時間11/20)発表されたが、実際の交付は2019年からだ。

応募申込は、専用の窓口で、11月28日から1月9日までに行なう。Googleによると、12月11日に同社のシンガポールオフィスでタウンホールミーティングを行なうときに、詳細を発表する。それはここから、ライブでストリーミングされる。

アジア太平洋地域のメディアを助成金で支援しているのは、Googleだけではない。ブロックチェーンメディアのスタートアップCivilは最近、アジア対象の100万ドルのファンドを発表したが、同社はその後、予定のICOをキャンセルしたため、今後の動向が不明だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「ヘイ、Siri, オーケー Google」でアシスタントを起動できる――ただしプライバシーには十分注意

AppleはライバルがSiriのショートカットをこんなふうに利用するとは予想していなかったに違いない。しかしiPhoneに「ヘイSiri, オーケーGoogle」と呼びかけることでGoogleアシスタントを起動できる。

ただし設定には多少手間がかかる。まずiOS版のGoogleアシスタントをアップデートして最新版にする。次に Google Assistant起動のためのSiriショートカットを作成する。

名前のとおりSiriショートカットを利用すればカスタム・フレーズを録音して音声で特定のアプリないし機能を起動することができる。またSiriのショートカットでプレイリストを再生させたり、誰かにメッセージを送ったりすることも可能だ。もしいくつかの動作を連続して実行させたい場合はAppleが提供するショートカットを使う。

Googleアシスタントの起動はデフォールトでOK Googleに設定されているが、ユーザーは自分の好みで「ねーGoogle」などに変えることができる。フレーズを設定してSiriに呼びかけるとGoogleアシスタントが立ち上がる。

最初のトライでiPhoneまたはiPadのiOSにアプリを開く許可を与える必要があるかもしれない。Googleアシスタントが起動されると自動的にコマンドの聞き取りモードで待機する。アプリが立ち上がってから聞き取り可能になるまでわずかに時間がかかるので、その後で呼びかける。

ここまで手間をかけるユーザーがどのくらいいるかはともかく、「ヘイSiri、オーケーGoogle」でGoogleアシスタントが起動するのはやはり面白い。

ちなみにGoogle Assistantはプライバシーの点からは最悪アプリの一つだ。このアプリは例の 「ウエブとアプリのアクティビティ」を有効にするよう求めてくる。この機能はあらゆるプライベートな情報を収集することで悪名高い。有効になっている場合、Googleは検索履歴、Chromeのブラウズ履歴、位置、クレジットカードの履歴その他ありとあらゆる履歴を集めることができる。.

もし有効にしていない場合、目立つ青いバナーがアプリの下に表示され、「ウェブとアプリのアクティビティを有効にするとアシスタントでさらに多くの機能をアンロックできる」と勧めてくる。心理的トリックでユーザーに特定の行動を取らせることを企むダーク・パターンUIの例だ

クリックするとキュートなアニメが表示されるが気を取られてはいけない。内容が肝心だ。表示されるボタンはMoreしかない。Moreボタンをクリックするといつの間にか「オンにする」に変わっている。たいていのユーザーは左の「今はしない」ボタンに気づかないだろう。

これは古典的なトリックだ。相手が常にイェスと答えるような質問をいくつか続ける。相手はいつの間にかイェスと答えるのに慣れてしまい、最後の質問にもイェスと答えてしまう。これが「スタート」だの「さらに詳しく」だのと表示されたボタンの意味だ。なんども「さらに詳しく」ボタンをクリックしていると最後のボタンの内容に納得していなくてもついクリックしてしまうことになる。もし「無効にする」ボタンを選択すると、「本当によいですか」とうるさく尋ねてくる。

無名のゲーム・アプリからAmazon、Googleまでユーザーを誘導するデザインをひんぱんに使っているので、ことプライバシーに関してユーザーは自分が何をしているのか十分に意識する必要がある。

〔日本版〕日本版iOSでも上記手順で設定できる。手持ちのiPadの場合、電源が接続されている場合は「ヘイSiri」と呼びかけるだけで起動される。接続されていない場合はホームボタンを押して「へいSiri」と呼びかける。Siriが起動した後、「オーケーGoogle」と呼びかけるとGoogleアシスタントが起動する。利用法はGoogle Home/Miniと同様だが、常に身近に置かれるモバイル・デバイスの場合は上記記事のようにプライバシーに注意する必要がある。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Googleは元Oracle幹部だったThomas Kurianに、クラウドビジネスの舵取りを託す

Diane Greeneは金曜日に、3年にわたって務めてきたGoogleのクラウドビジネスの責任者の地位を辞することを発表した。彼女の後継者であるThomas Kurianへの引き継ぎを助けるために、彼女は来年の頭までは留まる予定だ。KurianはOracleを9月の末に辞任しているが、Oracleには20年以上在籍していた。彼の責務はGoogleのクラウド部門をより企業向けなものにすることである。この目標へはこれまで同社はあまり上手く近付けていなかった。

Greeneは、Googleのクラウドビジネスに安定と企業向けの体質をもたらすために、2015年に着任した。彼女はその道筋にそった計画を押し進め、クラウドビジネスを成長させたが、結局十分な成果を挙げることができなかったのだ。Greeneが辞任を決める迄には、何ヶ月にも渡って、様々な不満が積み上げられて来ていた。

そのため、そのバトンが、Googleとはおそらく正反対性質の企業で20年以上を過ごしたKurianに渡されようとしているのだ。彼は、従来型の企業向けソフトウェア会社であるOracleで製品を担当していた。Oracle自身もまたクラウド企業に移行するために苦労してきた、しかし9月にブルームバーグがレポートしていたように、その当時Kuranが休暇をとっていた理由の1つは、Larry Ellison議長とのクラウド戦略上での意見の相違があったせいである。そのレポートによれば、KurianはAWSやAzure(そしてGoogle Cloud)といったパブリッククラウド上で、Oracleのソフトウェアを利用できるようにしたいと考えていたようだ。どうやらEllisonはそれに同意せず、その数週間後にKkurianは辞任を発表した。

Kurianのバックグラウンドは、Googleと完璧にマッチするものだとは見えないかも知れないが、彼の考えが進んでいたことは心に留めておくことが大切だ。また彼は数多くの製品を担当し、大切なOracleのクラウドへの移行を支援していた。彼は企業たちが望んでいる製品を上手に育成した経験があり、それこそが次のクラウドリーダーに対してGoogleが探していた知見なのかもしれない。

Constellation Researchの創業者兼主席アナリストのRay Wangによれば、Googleは企業支援についてまだまだ多くのことを学ばなければならない。そして彼はKurianがGoogleにそうした学びを行わせるための正しい人物だと信じているのだ。「Kurianは、クラウド会社が企業ユーザーたちにとって役立つためには、何が必要とされているかを知っています」とWangは語った。

もし彼が正しいとすれば、従来型の企業の幹部こそ、Googleがそのクラウド部門を企業向けの強固な組織に転換させるために求めていた人物だ。Greeneはずっと、クラウドとしてはまだ初期段階であり、Googleが未開拓の市場の一部を切り取るための時間ははまだ残されていると主張してきた。このことは金曜日の彼女のブログでも繰り返されたポイントだ。「クラウドの世界はまだ初期段階で、先々には巨大なチャンスが残されています」と彼女は書いている。

その点について、彼女は正しいのかもしれない。しかしマーケットシェアの位置付けは厳しさを増しているように見える。市場のトップを走るAWSは、大方の予測では、30%以上という巨大なマーケットシェアを握っている。Microsoftは現時点でAmazonに市場での強さで張り合える唯一の企業であり、Amazon以外で唯一の2桁の市場シェアを持つ企業でもある。事実として、Synergy Researchのデータによれば、Amazonは後続の4社を合わせたものよりも大きなマーケットシェアを握っている。

GoogleはAWSやMicrosoftと並んで、3大クラウド企業とは呼ばれているものの、およそ40億ドルの年間収益では、他の企業と同等のレベルに追いつくにはまだまだ時間が必要である。Greeneの主張にもかかわらず、勝つための時間は失われつつあるのかもしれない。おそらくKurianは、企業たちがより多くの作業負荷をクラウドに移行していく中で、未開拓の市場を手に入れる方向へGoogleを推し進める人物となるだろう。現時点では、Googleは彼がただそれを成し遂げることを期待しているのだ。

画像クレジット: Bloomberg
[原文へ]
(翻訳:sako)

YouTubeが広告入りで無料の映画提供を始めた、次はAmazonもか?

AdAgeの新しい記事によると、YouTubeは先月から、およそ100本のハリウッド映画を広告付きで加えた。“Rocky”、“The Terminator”など古い名作が多く、“Zookeeper”(Mr.ズーキーパーの婚活動物園)、“Agent Cody Banks”(エージェント・コーディ)、“Legally Blonde”(キューティ・ブロンド)などのファミリー向けもある。

これまでYouTubeのムービーやテレビ番組は、AppleののiTunesやAmazon Videoのような有料制のみだった。

現在、YouTubeのこれら無料のムービーは広告入りだが、上記の記事によると今後はアドバタイザーとの契約で、スポンサー制や特別会員制などもありえる。

ムービーの提供でYouTubeの利点といえば、月間アクティブユーザー数190万という大きなユーザーベース、そしてGoogleのデータを利用するターゲット広告だ。

YouTubeの広告入りムービーは、昨年Rokuが提供を始めた無料映画、The Roku Channelに倣ったものだ。

それは新しいタイプの広告ビジネスとして快調らしく、今年のRokuは広告入り無料コンテンツをABC News, Cheddar, Newsmax, Newsy, People TV, Yahoo, The Young Turksなどのニュース放送にまで広げた。最近では、エンターテインメントやスポーツの生中継もある。

Walmartも無料ムービーをVuduから提供しているが、最近はMGMと組んで、オリジナルコンテンツも提供するらしい。Tubiも、広告入りコンテンツを無料で提供している。そして噂では、Amazonも同じようなサービスを開発中だそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleマイビジネス・アプリがリニューアル――Facebookページのライバルを目指す

Googleマイビジネスにオーナーが新しい顧客を獲得することを助ける新しい機能が追加された。今日(米国時間11/14)、GoogleはマイビジネスのiOSとAndroidアプリのリニューアルを公開し始めた。新しいツールではビジネス・オーナーがレビューだけでなく、ビジネスのフォロワーやメッセージなどの顧客情報を閲覧できる。また ビジネスの内容についてGoogle上で公開するためのプロフィールを簡単に作成できるようになった。

これは最近Googleマップのアップデートでフォロー・ボタンが追加され、マップのユーザーが関心あるビジネスをフォローできるようになったことを受けたものだ。フォローするとそのビジネスについての最新情報を受取ることができ、プロモーションやイベントに参加できる。GoogleマイビジネスはFacebookページのライバルとなることを目指しているようだ。

新しいGoogleマイビジネス・アプリには「カスタマー」タブが設けられ、顧客および見込み顧客に関する情報をここから管理できる。上で紹介したとおり、フォロワーのリストなどを見ることができる。ビジネスのオーナーはレビューを読むだけでなくアプリ内からメッセージに返信もできる。

Photocentric posting experience - Scale

逆にGoogleマップ、あるいはGoogle検索を使ってビジネスを発見した場合、マイビジネスにMessageボタンが表示されるので、クリックしてオーナーにコンタクトすることができる。これまでも返信自体はこれまでもできたが、オーナーはモバイル・デバイスのメッセージ機能を使う必要があった。今回のアップデートでGoogleマイビジネス・アプリ内から着信メッセージに返信できるようになった。またメッセージ機能自体もアメリカ、カナダ、ブラジル、インドに限定されていたが、今週中に世界の主要な国々で利用できるようになる。

またアプリには投稿(Posts)ボタンも新設された。ビジネス・オーナーはこのボタンをクリックすることでプロフィールのアップデートを簡単にGoogleにアップロードできるようになった。新しいプロダクト、バーゲン、イベントなどの情報を顧客に伝えたいときに便利だ。

もちろん多くのビジネスはこうした情報をFacebookページ、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディアを使って発表していたはずだ。今回のアップデートでビジネスはGoogleマイビジネスにも同様の情報をアップロードできるようになり、Google検索やGoogleマップから来るいっそう広い範囲の顧客、見込み顧客にリーチできるようになった。

GoogleではGoogleマイビジネスのアップデートはiOS版、Android版ともに今日からスタートするとしている。

〔日本版〕モバイルアプリのマイビジネスに表示されるビジネスのフォローは日本でもすでに可能。ビジネス・オーナーはこちらからマイビジネスの利用を開始できる。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+