GoogleのTrusted Contactsアプリは緊急時にその人(たとえば高齢者)の位置を共有する

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Googleが今日(米国時間12/5)、事故や危害に遭ったとき、知ってる誰かに通報できるAndroidアプリTrusted Contactsローンチした

このアプリを使うためにはまず、家族など信頼できる連絡先のリストを定義する。するとユーザーが緊急の通報を送ったとき、その人たちだけがそれを見ることができる。また、それらの連絡先のうち、今回はAさんとBさんには自分が今いる位置を知らせたくないときは、位置の共有を拒否できる。ただし拒否の指定を5分以内にやらないと、アプリは自動的にユーザーの位置を共有してしまう。オフラインのときは、接続を切る/切られる前の最後に記録された位置情報が共有される。

危害に遭っているときは、そんなときのために選んでおいた連絡先、または先ほどの、信頼できる連絡先として定義しリストアップした者全員、どちらかに決めて位置を共有できる。

そうやって自分が特別に決めた者、あるいは定義リスト上の信頼できる連絡先、どちらと位置を共有する設定にしていても、共有機能はいつでもoffにできる。offにしないと、その送付先リスト情報は次の24時間、生き続ける。

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使い始めるのは簡単だ。アプリをダウンロードする。信頼できる連絡先を選ぶ。そうすると彼ら全員に、サービスにサインアップして、任務に必要なすべての情報を得よ、というメールが行く。

ぼくなんかは、スマホ上の警報類を見落とすことが多いので、‘信頼できる相手’としてはぼくのような人間を除き、もっと厳しく選別すべきだろう。そうでないと、あなたの位置が思わぬ相手に共有されることもありえる。でも、自分の子どもたちや高齢者家族のスマートフォンに、このアプリをインストールしておきたい人は、絶対に多いだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロボット、仕事、そして変化に対する人びとの恐れ

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【編集部注】著者のSteve CousinsはSaviokeの創業者兼CEOである。同社は人間の環境で働き、人間の生活を改善する自律ロボットの開発と展開を行なっている。以前にはロボットインキュベーターのWillow Garageの社長兼CEOを務めていた。

経済に対する技術のインパクトという話になると、ロボットや他の進歩が、失業につながるのではという懸念が続いている。しかし、新しいテクノロジーが仕事と経済に及ぼす影響について歴史が教えてくれるのは実際にはどのようなものだろう?さらに重要なことは、自動化を拒否して技術革新を妨げた場合には、世界経済におけるアメリカの競争力はどうなるのか?

コンピュータ科学者として、研究者として、そして今は急速に成長しているロボット企業のCEOとして、私は自分のキャリアを人々の生活を改善し、企業の成長を助けるための技術構築に捧げてきた。自動化が急速に経済を変革し続ける中で、ロボットが社会にどのような影響を与えるかを深く気にしている。

だからニュース記事がイノベーションを祝うのではなく、恐怖を撒き散らすとき、私は落胆している。最近もボストンの調査会社Forresterが、ロボットによって2025年までに米国の仕事の7%が失われることになると予測した。しかし報道でしばしば報道されないものは、Forresterが、ロボットから得られると述べているものだ。Forresterのアナリスト、J.P. Gownderは次のように述べている。「これらのテクノロジーは本当に重要で、一部の仕事は無くなってしまいますが、全体としては多くの予言者が信じるほど悲観的ではありません。現実には、自動化は、まったく新しい職種を含む、多くの新しい雇用増加を促すでしょう」。

多くのデータが、テクノロジーの進歩によって実際に仕事が創出されるという事実を裏付けている — 退屈で高いスキルの不要な職業を排除すると同時に、まったく新しい仕事のカテゴリーを創出する。イングランドとウェールズにおける1871年以来の国勢調査データの調査では、この140年間に破壊された仕事よりも、はるかに多くの雇用が創出されていることが判明している。 「機械は、繰り返しと労力を要する作業により使われるようなるが、過去150年間に比べても人間の労働の必要性の排除に向かっているようには見えない」と、デロイトによる報告書には書かれている。

ロボットは通常「仕事」全体を置き換えるのではなく、その代わりに「タスク」を肩代わりする。

ロンドンの経済研究センター(Center for Economic Research)による2015年の別の調査によれば、ロボットの使用は生産性と賃金を向上させ、全体的な雇用には悪影響を及ぼさないことが示されている。この研究によれば、これまでの全体経済へのロボットの貢献は、鉄道や米国の高速道路などの、歴史的に重要な技術とほぼ同じである。ロボットは通常「仕事」全体を置き換えるのではなく、その代わりに物品の運搬、機械の操作、情報の提供などの「タスク」を肩代わりする。企業が反復的または危険な作業を遂行するためにロボットを使用するなら、従業員はより面白くて価値のある作業を行うことができる。

しかしForresterの予測が正しくて、ロボット工学が将来的に実質的に雇用を失わせるとしたらどうだろうか?現状維持のために、研究を止め、革新を止め、新しい技術を創造しようとするのを止めるのが解決策なのだろうか?

競争が激しい今日の世界経済において、イノベーションを阻止することを選択することは、わが国にとって壊滅的なものとなるだろう。 2016年のブルームバーグ・イノベーション・インデックスは、米国を世界で8番目に革新的な国と位置付けている。2015年には6番目だった。他の国は、特に第1位の韓国、第2位のドイツは、革新主導型経済の構築に全力で取り組んでいる。

競争力を維持しながら、革新的な製品を開発するために、米国は技術革新を減速ではなく、加速させる必要がある。エアコン、ワクチン、ロボット、スマートフォンなど、企業が人生をより良くし、働きやすく、人々の健康を向上させる製品やサービスを開発すると、経済は成長する。

技術進歩にとり残されていると感じている社会のメンバーを見捨てるのではなく、革新によって作られた仕事にその人たちを引き込む必要がある。

私は自動化が雇用に影響を与えないだろうと言うほどおめでたくはない。歴史的に、技術によって一部の仕事が排除され、他の仕事が創出されている。産業革命の間に機械が大量に出現したため、洗濯屋、鍛冶屋、織物業者は廃業を余儀なくされた。しかし、それらの労働者の多くは、より良い給与と、工場でのより安定した仕事を得た。それ以来変化のペースは減速していない。ソフトウェア、コンピュータ、携帯電話、ロボットなどの技術は、一部の仕事を絶えず排除し続けてきた(貸ビデオ屋、受付係、メールルーム係、タイピスト、電話オペレーター、など)し、他の仕事を生み出してきた(ビデオゲームプログラマー、3D建築デザイナー、ソーシャルメディア専門家、など)。

例え途中で痛みが増しても、長期的には自動化が経済にプラスの影響を与えるという点で、私はオバマ大統領に同意する。最近のインタビューで、オバマ大統領は「私は楽観的な立場をとりがちです…歴史的に見れば、私たちは新しい技術を吸収し、人々は新しい雇用を見出しそして創出し、移動し、生活水準が一般的に上昇してきました」と述べた。

イノベーションが起きようとしている。米国が世界経済において強固な地位を維持したいならば、それを止めることはできず、止めるべきでもない。それが私たちが集団的な挑戦と機会である、この移行をうまく乗り切る方法だ。収入格差は世界中で増加し続けており、教育を受けた個人は革新的な経済において急速に地位を獲得し、一方低技能労働者は低迷している。技術進歩にとり残されていると感じている社会のメンバーを見捨てるのではなく、革新によって作られた仕事にその人たちを引き込む必要がある。

技術の急速な進歩に社会のすべてのメンバーを組み込むためには、教育と訓練を含むだけでなく(もちろんそれらは本質的だが)、エンジニアが直感的で使い易い機械を設計することを必要とする。タッチスクリーンインターフェースとシンプルなコマンドにより、新しく登場するコラボレーティブロボットの多くは操作が簡単だ。販売員たちがハイテクレジスター(基本的には小売店)を使うことを学んだことと同じように、人々はサービス、ホスピタリティ、小売、ヘルスケアなどの分野でロボットを操作する方法を学ぶことができる。したがって、ロボットが日常的な作業を引き継いでくれることで、人間はこれらの機械を使う側としてより充実した仕事に就くことができる。

これは、私の会社においては、Relayデリバリーロボットが「チームの一部」となるように、役立ち、信頼性が高く、使いやすいものにすることを意味する。ロボットが企業の生産性と収益を高めるのを助けるため、これらの企業はより多くのスタッフを雇うことに投資する。

人間には先天的に変化を恐れる習性がある、それが技術が現状を混乱させるような場合には特にそうだ。しかし、歴史は、ロボットのような革新的な技術を取り入れることによって、大きな進歩が見られることを証明してきた。経済全体を成長させる進歩は、より安全で有意義な仕事を見つけ出し、競争の激しい世界市場でアメリカの地位を確保するのに役立つのだ。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: 3ALEXD/E+/GETTY IMAGES

AIの学習手法は人間の教育にも応用可能

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気づけば身の回りには人工知能だらけといった状況だ。車にも家にも、もちろんポケットの中にも人工知能がある。IBMはWatson(ワトソン)に「理屈」を教え、さらに自らも「理屈」を学び得るように育てている。情報を知識に変え、たとえば医療分野で情報に基づいたさまざまな判断を下せるようにしているのだ。

トップ企業がプロダクトにAIを埋め込み(Siri、Alexa、Googleアシスタントなど)、スマートフォンをより便利にし、さらに急速に広がりつつあるホームアシスタント市場で存在をアピールしている。

そうした人工知能ツールは、次第により適切な解答を出すことができるようになりつつある。ひいては、利用者がよりスマートに振る舞えるようになってきているのだ。ところで、常に大量の情報やインテリジェンスが自分の手元に存在する時代を迎えて、教育は変わらなくて良いのだろうか。事実や数字を覚えこませるのではなく、そうした情報を発見する方法を教えるようにすべきなのではないか。現在AIに対して行うようになっているように、「どのように学ぶのか」を教えていく必要があると思うのだ。

残念ながら、今のところの教育スタイルは時代に追いついていないと言わざるを得ない。何百年も続いてきた旧来の方法に拘泥し、学校や教師は知識を与えるものだとされている。しかし、生徒自らが、たとえばAlexaを通じて必要な情報を何でも入手できる時代に、学校や教師の役割が旧態依然としたもので良いのだろうか。時代の流れを把握して、ただ情報を与えるだけの教育システムを変えて移行とするフィンランドのような国もある。生徒たちはグループで課題に取り組み、そして問題解決の方法を学んでいくのだ。教師の役割は、生徒自らが学んでいくのを手助けすることになる。そうして思考の柔軟性を身につけ、さらに学び続ける能力を身に着けていくこととなるのだ。世界経済フォーラム(The World Economic Forum)は、小学校に入学する生徒の65%は現在存在しない職につくことになるとしている。そうした時代への対応力を磨く教育が必要となっているのだ。

コンピューターのちからを利用して、人間の知性がクラウド化するような時代を迎えつつある。意識しているか否かに関係なく、私たちは「バイオニック」な存在になりつつあるのだ。私たちの感覚や身体的機能は、コンピューターやスマートフォンと連携して強化されることとなっている(記憶やデータ処理の一部を代行して、脳の負担を軽減してもいる)。AIは確かに人類をスマート化しつつある。人間のちからだけでは不可能だった情報処理能力を与えてくれているのだ。

AIトレーナーの目標は、コンピューターが自身で学び始めるシンギュラリティに到達すること。

ほんの少し前まで、何か情報が必要であれば図書館に出かけて司書や書籍のインデックスを頼って探すしかなかった。参考になりそうな本を見つけ、その本に探している情報が記されていることを願いながらページを繰っていたのだ。膨大な時間をかけて、マイクロフィルムで記事や写真を探したりもした。現在ではパーソナルアシスタントに尋ねれば、あっという間に情報が手元にやってくるようになった。

ただし、パーソナルアシスタントでは対応できない問題というものもある。そうした場合には自らが検索エンジンを利用して情報を探すこととなる。ここで、アクティブ・ラーニング(self-learning)が重要となってくる。検索エンジンを活用する場合、まず正しい語句を使って検索するテクニックが必要となる。そして役に立ちそうな情報を取捨選択して、情報の正しさをきちんと判断しなければならないのだ。「インターネットで見つけたから正しい」などということはなく、情報の正しさや有用性を判断するのは、検索者の側にまかされているのだ。

コンピューターの能力は高度化して、そして価格は安くなっている。また大量のデータも入手できるようになった。そうした中でAIの分野が大いに賑わってきているのだ。ディープラーニングの成功を導くのに必要な、ニューラルネットワークの構築が効率的に行えるようになってきているのだ。CB Insightsの情報によれば、ベンチャーキャピタルが投資する企業の2%が、AIアルゴリズムの強化に携わっているのだそうだ。「いかに学ぶかを学習する」という点に、多くのベンチャーが注力しているのだ。その方法を学んでこそ、アクセス可能な膨大な情報の中から正しく学ぶことが可能となるのだ。

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しかしGlobal Future CouncilでAIおよびロボット部門の共同議長を務めるMary Cummingsによると、「人工知能は期待に沿う能力を発揮できていない」としている。自ら学ぶ能力は未だ発展途上で、現在のところは人間が手を貸して、仕事効率を挙げる程度の使い方に留まっているというのだ。確かに、それが現在の状況だろう。ニューラルネットワークのちからを存分に活用するGoogleの検索エンジンも、人がそれを活用してこそ仕事に役立つようになっている。

ホモサピエンスが最初に道具を創りだして以来、私たちは生活のために新しい道具の使い方を学習し続けてきた。ときに、作業は完全にテクノロジーにより行われるようになったものもある。人類はそうした状況にも適応し、自分たちの能力を発揮する方向を見つけてきているのだ。ただ、現代になって変化のスピードは急速に上がっている。

AIはシンギュラリティを目指している。人工知能自らが情報を取捨選択して学習を続けていくような世界の実現を目指しているのだ。世界に「スーパーインテリジェンス」を登場させようと狙っているわけだ。そうした時代はまだ少々先のことのようだが、AIに対する教育方法は人類に対しても使えるのではないかと思う。AIに実現させようとしているように、人類の教育でも「自ら学ぶ」ことを強化していく必要がある。そうしたトレーニングを経て、人類は新たなテクノロジーを制御して、それを最大限に活用できるようになっていくのだ。世界経済フォーラムのレポートにもあるように、「創造性をさらに磨き、これから訪れる変化に備える必要がある」のだ。21世紀、AI時代の人材を育てるために、ふさわしい教育システムというものがあるはずだ。

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(翻訳:Maeda, H

スマートウォッチの時代は終わったのか?

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迫りゆくPebbleの滅亡と、「今のところ、新しいスマートウォッチを市場に送り出すに見合うだけの需要があるとは思わない」というMotorolaによる発表を理由にして、スマートウォッチ市場が収縮しているという意見を正当化することもできるだろう。この意見は正しい。だが、これはウェアラブル端末の終焉ではない。

Appleは今年、110万台のApple Watchを販売した。昨年に比べて73%少ない販売台数だ。2017年の販売台数はまだ確定していないものの、今年と同じくらいの数字となるだろう ― ホリデーシーズンの恩恵を受けて年始の販売台数が増加し、次のモデルのリリースまで徐々に減少していくというパターンだ。これはAndroid Wearデバイスでも同じことだ ― 人々は早い段階で興奮しはじめ、年末にかけてその興奮が収まってくる。

この状況を引き起こしているファクターはいくつかあるが、年間で何百万台ものスマートウォッチを販売しようとしている企業にとっては良いニュースとは言えないものばかりだ。まず第一に、スマートウォッチは内部に矛盾を含んでいる。携帯電話とは違い、時計は電子デバイスというよりはファッション・アクセサリーという要素が強い。人々からの目に付きやすく、通常は店頭できれいに飾られている。「スマート」という要素が染みこんではいるものの、端的に言えば、スマートウォッチは宝飾品の一部なのだ。そのため、スマートウォッチや他のウェアラブル端末を購入する際の理由付けと、スマートフォンやノートパソコンを購入する際の理由付けはまったく異なる。消費者がApple WatchやSamsung Gearの購入を検討するとき、彼らはそのデバイスが他のデバイスよりも優れているかということではなく、そのデバイスが自分の服装とマッチするかどうか考えるのだ。

2つ目の問題はより厄介な問題だ。携帯電話の場合とは違い、消費者は時計を頻繁に買い換えることはない。時計はあたかも家宝であるかのように扱われる。すでに時計を所持する人にスマートウォッチを購入してもらうには、従来の時計製品よりも格段に安い価格(不可能と思われるような値段)で販売するか、寿命が格段に長いプロダクトを開発するしかない。消費者の年代によって状況が異なるのはもちろんだが、これが今後数年間に渡ってスマートウォッチの販売台数を抑える要因であることは確かだ。

それゆえに、消費者はスマートウォッチを必要とせず、それを欲しいとも思っていないことが多い。そして、すでにスマートウォッチを持っていれば、それを新しいものに買い換える理由はどこにもない。Pebbleは特定のマーケットへの集中戦略で他のスマートウォッチとの差別化を図り、非常に少ない数のモデルしか製造しなかった。しかし結局、彼らはそのマーケットが小さすぎたことに気がついた。Appleはスマートウォッチを贅沢品にしようと試みて、周りから大いにばかにされた。Androidは彼らの技術を様々な企業に提供したが、その結果、それぞれが似通ったクローンのようなデバイスが大量に生まれることになる。明らかに勝利者と呼べるような企業はまだ現れていないし、そのような企業が今後10年間で誕生するとは思いがたい。

では、今後のスマートウォッチはどうなるか?

多くの人に支持されているのは、長らくファッション・ウォッチを製造してきたSwatch、Burberry、Casio、Seikoなどの企業が、彼らの豊富な経験を駆使し、消費者が本当に買いたいと思うようなスマートウォッチをつくり始めるというシナリオだ。だが、それなのに彼らがまだスマートウォッチの製造を始めていないのは、彼らの能力が絶対的に不足しているということを証明している。低価格帯の時計を製造して大きなマージンを得ることに長らくフォーカスしてきた彼らは、高価格帯の時計を薄いマージンで販売することはできないのだ。Skagenのような企業は正しい戦略を採用しているように思う。彼らは、機能は最小限ではあるがモバイルと接続可能なスマートウォッチを開発している。Fitbitなどの健康分野に特化したウェアラブル端末への対抗策だ。しかし、これも長くは続かない。今後、GoogleやAppleなどの企業がユーザーがウェアラブル端末を欲しがる本当の理由を理解し、ウェアラブルの新しい用途が生まれれば、時計メーカーは彼らの後を追うことはできるかもしれないが、それもどうかは分からない。

私は個人的に、ウェアラブル端末は消えてなくなると考えている。ユーザーとデバイスの交流の仕方が音声認識やモーション・コントロールへと移り変わるにつれて、現実世界で私たちに常に耳をかたむけ、私たちに常に付き添うようなデバイスが誕生するだろう。私たちの健康状態を把握し、重要な情報を欠かさず教えてくれるようなデバイスだ。耳の中に入れてつかうAlexaのようなデバイスがあり、そのデバイスが1日を通してアドバイスしてくれるような世界を私は想像している ― 「その先の道を左に曲がってください」、「注文したコーヒーが出来上がりました」、「あなたが今話している相手は”Joe”という名前の人物で、彼とは先週会っています」 ― 常にそばに付き添う会話型のアシスタントのようなものだ。なぜ時計ではダメなのか?時計をつける手首は私たちの感覚器官から遠い場所にあるため、この利用用途には適さないのだ。

だからといって、私は自分が持っているSeikoやOmegaやRolexを手放しはしないし、あなたにもそれを勧めてはいない。私が言いたいのは、私たちはスマートウォッチを買わなくなるということだ。

スマートウォッチは時代と時代の中間に生まれたものだ。その一方で、伝統的な時計製品はツールとして、そしてちょっとした自己顕示の道具として、これからも私たちの生活に生き続ける。Apple Watchを含むスマートウォッチが10年後に生き残っているとは思えない。小さいデバイスがより小さく、よりスマートになる今の時代では、それは特に難しいだろう。

伝統的な時計製品の世が長らく続きますように。スマートウォッチよ、さようなら。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

仕事のデータを一瞬にしてモバイルアプリに換えて、コラボレーションを効率化するサービスOpen As App

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クラウドコンピューティングによって同僚たちとのコラボレーションはかつてなく容易になったが、でも出先にいる人たちも含めると、必ずしも生産性が上がったとは言いがたい。Open As Appは、この状態〔モバイルからのクラウド利用が遅れている状態〕を変えようとする。

今日(米国時間12/5)のTC Disrupt LondonのStartup Battlefieldに登場したOpen As App offersは、データを即座にアプリに変えてしまうサービスだ。

ExcelのスプレッドシートやGoogle Docs/Sheetsをアップロードすると、Open As Appがそれらを自動的に、複数のプラットホーム(iOS, Android, Windows Phone, Windows 10, web)向けのコンテンナ・アプリにする。

またスプレッドシートのファンクションなど、データではなくアクションの部分も、データからアプリに変換されたコードが実行できる。それらは、電話の呼び出し、ナビゲーション、さまざまな基準によるフィルタリング、詳細ダイアログ、BIのインサイトなどだ。

Open As Appによってアプリに変換されたデータは、保存、シンク、そして対話が可能だ。たとえば、特定の価格帯の商品を検索したり、割引額を計算するなどが、Open As Appのアプリの中でできる。

サービスの料金は、月額会費制だ。ただし5人ぐらいのチームによる短期の試用は、無料だ。プランは、最低がBusiness Pro(25名まで)の月額79ドル、最高のBusiness Enterpriseは月額1499ドルで、使用する社員は1000名まで。また、たとえば100名の社員が使うのなら、 Business Proが4つ、という計算になる。

Open As Appはこれまで95万ユーロを、主にドイツのエンジェル集団Impact51から調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、マイクロソフト、Twitter、YouTubeが「テロリスト・コンテンツ」排除で協力

Facebook CEO Mark Zuckerberg speaks at the company's headquarters in Menlo Park, Calif., Thursday, April 4, 2013. Zuckerberg says the company is not building a phone or an operating system. Rather, Facebook is introducing  a new experience for Android phones. The idea behind the new Home service is to bring content right to you, rather than require people to check apps on the device.   (AP Photo/Marcio Jose Sanchez)

Facebook、Microsoft、Twitter、YouTubeの4社は今日(米国時間12/5)、テロリスト・コンテンツがネットで拡散することを防ぐ対策で協力していくと発表した。4社は、協力して業界共有データベースを作り、各サービスで削除された「最も過激で悪質なテロリスト画像およびビデオ」を登録することによって該当コンテンツの識別に使用する。

このデータベースのしくみについてFacebookがニュースルームの発表記事に書いている。コンテンツは一意のデジタルフィンガープリントを使ってハッシュすることによって、識別、削除の効率を高める。

ハッシュされた画像のデータベースを使用する方法は、現在児童ポルノ摘発にも使われている。その本質はコンテンツに一意の識別子を与えることにあり、そのコンテンツがコピーされた場合にも同じハッシュ値が生成される。著作権付ファイルの識別にも類似のシステムが使われている。

しかし、この新プロジェクトがこれまでと異なるのは、テロリストの画像やビデオがデータベースと一致したとき、自動的には削除されないことだ。それぞれの会社は、自社のポリシーに沿ってコンテンツを削除する方法と時期、および何をテロリストコンテンツと判断するかを決める。

これは検閲に対する苦情を抑える一方で、会社の対応が遅れれば画像やビデオが削除される前に拡散、閲覧されてしまう可能性があることを意味している。

Facebookは、個人情報を共有しないことも公表しているが、収集しないとは言っていない。政府が法的手段を用いて、コンテンツがどのアカウントから投稿されたか等の情報を入手する手段は従来のまま残されている。そうした政府の要望にどう対応するか、いつ要望を公表するかについては、今後も各社の判断に任されている。

新たなデータベースは、各サービスがテロリスト画像・ビデオを発見しハッシュされたデータをこの共有リソースに加えていくことで継続的に更新される。

この取り組みは有力ソーシャルネットワークによって始められたが、大きな目標はこのデータベースを他の企業も利用できるようにすることだとFacebookは言っている。

「われわれが各社のポリシー実行し、ネットに氾濫するテロリストコンテンツの世界的問題の抑制に役立てることによって、この協業がさらに効率のよい方法につながることを願っている」と記事は言っている。

最近ソーシャルメディアでの嘘ニュースの拡散が問題になっていることを考えると、この新たな協業は、他の進行中のプロジェクトでも企業が協力していく道を作る可能性も秘めている。

偽ニュースの問題は、ソーシャルメディア全体にダメージを与え、この種のコンテンツと戦う上で企業が果すべき役割について疑問が投げかけられた。中には、企業はニュースの裁定人でもなければ物事の善悪を判断する立場にもない、と主張する人もいる ― 企業自身も責任を回避するために「無能」なプラットフォームでいることを喜ぶかもしれない。

しかし、今日のウェブに与えている膨大な影響を踏まえ、各企業は自社プラットフォームでシェアされるコンテンツに責任を持たざるを得なくなることを認識しはじめている。今やそのコンテンツは、テロリストの行動から人々がどう世界を理解するか、さらには世界規模の政治まで、あらゆる物事に影響を与える力を持っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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Android Nougatの最新アップデートはPixelらしさを他のNexus機にも

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Android 7.1.1が今日(米国時間12/5)からネット配信される。まず数週間かけて、一部のGoogle公認機種の一定数に対してアップデートが行われる。それらの機種はNexus 6, Nexus 5X, Nexus 6P, Nexus 9, Pixel, Pixel XL, Nexus Player, Pixel C, そして4Gモバイル(Android One機)だ。GoogleによるAndroidのベータに参加していたデバイスも、対象になる。

アップデートによってこれらのデバイスがほぼ、Googleの最新旗艦機Pixelに追いつくことになる。Pixelは、7.1のローンチ以降好調だ。今回のはメジャーアップグレードではないが、Pixelを羨ましがり、くやしく思っていた他機ユーザーの嫉妬と悩みを和らげるだろう。

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アップデートによって絵文字が増え、多くの絵文字に男女両バージョンがあるようになった。女性の溶接工がいるし、美容院でヘアーをカットしてもらっている男性がいる。今年はすでに2016年であり、だれもがヘアーカットしてもらえるし、溶接工は誰にでもなれる職業であるからして、これらは歓迎である。メッセージングのそのほかのアップデートとして、Allo, Messenger, HangoutsなどのアプリのキーボードからGIFを送れるようになった。

そしてアプリのショートカットをホーム画面に置けるようになり、アイコンを長押しするとそれらが起動する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

The Emotion Journalは日々の出来事から、ユーザーの感情をリアルタイムで分析する

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サンフランシスコに住むアプリ開発者のAndrew Greensteinは、数カ月前から日記をつけ始めていた。毎日5分間、日記をつけることを習慣づけようとしたが、そのための時間を割くのは難しかった。それでも彼は日記をつけることがストレスを発散することにつながり、目標を達成する手助けとなると書かれた本を信じ、これを習慣づけようと努力している。

Greensteinは彼のチームメイトと共に、Disrupt London HackathonでThe Emotion Journalを開発した。ユーザーの感情をリアルタイムで分析し、その分析結果を時系列で表示するボイス日記だ。(ここで、ちょっとした注意事項:The Emotion JournalのWebサイトを訪れてみると、セキュリティ警告が表示されるだろう。その理由は、このWebサイトはhttpsコネクションを利用しているが、彼らはまだhttps証明書の支払いを終えていないからだ)

Greensteinは日中の間、デジタル広告代理店のSF AppWorksのCEOとして働いている。しかし、彼と共同創業者のDarius Zagareanは最近になって人工知能に夢中になり、その技術をメンタルヘルスの分野に応用できないかと考えていた。

「今後もこの分野に取り組んでいきたいと思います。なぜなら、人間とコンピューターをつなげるこの分野は、私にとって非常に魅力的なものだからです」とGreensteinは話す。

AIをメンタルヘルス分野に応用するというアイデアが最初に生まれたのは、AppWorks内部で開催したハッカソンでのことだ。そのハッカソンに出場したあるチームが、不安を生じさせる状況を人工的につくりだすアプリを開発し、そのような状況に対するユーザーの反応を向上させるという試みをしたことがきっかけだ。「できるだけAIの技術を身につけておきたいと思っていました。この世界が向かう方向が、AIに向いていることは明らかだからです。感情というファクターをもつこのアプリは、私の心を鷲掴みにしました」とGreensteinは説明する。

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人工知能と感情の交わりを探求していこうと決心した彼は、リアルタイムの感情分析のためにIBM Watsonを利用したThe Emotion JournalをLondon Hackathonの舞台で創りあげた。ユーザーが1日の出来事をThe Emotion Journalに話しかけると、ユーザーの感情に合わせて画面の色が変化する。

The Emotion Journalはその感情の色を時系列で記録する。そのため、ユーザーは自分の感情を分析したサマリーをひと目で確認することができる。「索引可能で、検索可能な日記の必要性について頻繁に話し合ってきました。私たちは過去の出来事から何かを学ぶことができるかもしれないのです」とGreensteinは話す。

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AIと日記を融合することにより、ユーザーに彼らのメンタルヘルスについて多くを教えるThe Emotion Journalだが、このアプリケーションが利用できる期間は限られているかもしれない — Greensteinは、このプロジェクトをデモ版のままにしておくことを望んでいる。だから、このプロジェクトを利用できる今のうちに、ぜひチェックしてもらいたい。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Uberが人工知能のスタートアップGeometric Intelligenceを買収し、AI Labを設立

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タクシー配車サービスは競争力を保つためにも、機械による知性を必要としている。Uberが人工知能分野のスタートアップを戦略的に買収したことは意外なことではないだろう。Uberは、AIに知見のある学術研究者が共同創業したスタートアップGeometric Intelligenceを買収した。Geometric Intelligenceは、Uberがサンフランシスコ本社に新設したAI研究所の中核チームになる。

Uberがピッツバーグに置く研究チームでも、すでに機械学習の研究に取り組んでいる。ただ、ピッツバーグのチームが注力するのは自動運転に関連した問題だ。今回の新しいチームは、より広範に適用できるAIについて研究する。例えばルート検索など、AIを適用可能な広い分野に影響する基礎的な研究だ。UberはGoogleやApple、Microsoftといった1つの領域以外にも関心を持つ大手テック企業と肩を並べることを視野に入れているのだろう。

Geometric Intelligenceの創業チームにはニューヨーク大学の認知科学の研究者Gary Marcus、ケンブリッジ大学で機械学習の教授を務めるZoubin Ghahramani、セントラルフロリダ大学のコンピューターサイエンスの教授Kenneth Stanley、ニューヨーク大学の神経言語学の博士Douglas Bemisらを含む。Geometric Intelligenceの社員は15名で、データサイエンスや人工知能の領域で高名な学者が揃っている。契約では、社員はそれぞれが所属する学術機関とのキャリア面でのつながりも保持することができる。

GIが主に研究しているのは、通常のAIで必要となるデータより少ない量で物や景色の認識ができるAIシステムやエージェントを作成する方法だ。これまで大量のデータセットを解析する処理能力を持たせることでAIシステムを進化させてきたが、Uberの新チームは別の角度から問題をみている。限定的なデータ入力でシステムを賢くする方法だ。これはUberにとって解析するのに十分なデータセットを持っていない分野のプロダクトでも、その効果を素早く高める助けになるだろう。

UberのチーフプロダクトオフィサーJeff Holdenはブロク投稿に、会社のビジネスのどの分野を見ても「現実世界との交渉」という共通した課題があり、それは「高次の知性の課題」であると記している。基礎的な研究でAIの能力を高めることは、どの分野の問題を解決するために最も効果的な方法だろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Netflix、オリジナル番組を強化。2017年に台本のない番組を20本製作へ

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Netflixはコンテンツの半分をオリジナル作品で埋め尽すという野望に向かって突き進んでいる。最高コンテンツ責任者のTed Sarandosによると、同社は来年台本のないシリーズ約20本を公開する予定だ。これで2017年中に年間1000時間のオリジナル番組を提供するという同社の目標に近づく。

これはNetflixが今年放映したオリジナル作品の量よりも多いが、それでもSarandosによると、1000時間以上というのは「控え目な数字」だという(以前Netflixは、 オリジナル番組を2015年の450時間から2016年には600時間に増やすと目標を語っている)。

同氏はさらに、Netflixが2017年に損益計算書ベースで約60億ドルをオリジナルコンテンツに注ぎ込み、今年の50億ドルからさらに増やす計画だとVarietyが報じている

新規参入のストリーミングサービスとの競争が激化する中、Netflixは自社番組への投資がライバルとの差別化に役立ち、ライセンシング状況の簡易化にもなると信じている。

加えて、主要テレビネットワークと異なり、Netflixはオリジナル番組でニッチ視聴者をターゲットできる ― 定期購読者を引きつける材料だ。

現在同サービスには、台本のあるシリーズを30本、放映中あるいは制作中で、ここから台本なしのショウへとさらに拡大していく計画だ。

UBS Global Media & Communicationsカンファレンスの壇上Sarandosは、台本のない番組に言及し「非常に楽しみな事業」だと語った。同氏はNetflixがこのジャンルで持つ優位性について、必ずしもユニークなコンセプトを思いつくことではなく、番組を世界規模にスケーリングできる能力にあると説明した。

「コンテンツそのものはどれでも大きな違いはない。つまり、秘蔵品の番組を見たければ、そういう番組は3種類ある」とSarandosは言った。The Wrapが伝えている

一例として、同氏はNetflixが以前発表したUltimate Beastmasterへの投資に言及した。シルベスター・スタローンとThe Biggest Loserの製作責任者、Dave Broomeがプロデュースしたリアリティー・コンペティション番組のシリーズだ。シリーズには6つの国別バージョン ― 米国、ブラジル、韓国、メキシコ、ドイツ、および日本 ― があり、いずれも現地の言語、現地の競技参加者、現地の進行役で製作される。

SarandosはNetflixのオリジナルコンテンツに関する他の取り組みについても簡単に話し、長編映画への投資にも触れた。Netflix製作のアダム・サンドラー作品が人気だと語ったが、実際に何人の顧客が見ていたかについては明らかにしなかった。それでも定期購読者の約1/3がNetflixで映画を見ているという。

さらにSarandosは、Netflixでスポーツを生中継するアイデアを否定した。昨年同氏はNetflixがライブ中継を実施する可能性はあるが、それはイベント自体を自社で制作・運用している場合に限られると言っていた。つまりNetflixがライブスポーツ中継の放映権に入札することは当面ありそうにない。

今日もSarandosはその立場を強調し、「当社が大規模な放映権に入札することは期待しないように」と話したが、リーグ設立に同社が興味を持っている可能性はある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウド会計のA-SaaSがシリーズCで3億円を調達、システム刷新へ

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企業会計業務のクラウド化は着々として進行しているが、そこには大きく3つの動きがある。1つは旧来のパッケージ製品のクラウド化。もう1つはFreeeやマネーフォワードのMFクラウド会計のように、SMB市場をターゲットした新興勢力のスタートアップ企業の興隆。最後の1つが、最初から全国の税理士を巻き込んでプロダクトを作ったアカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS:エーサース)の動きだ。そのA-SaaSが新たにシリーズCとして3億円の資金調達を発表した。

A-SaaSは少し変わった創業の歴史を持っている。

2009年に大手会計システムベンダーのJDL出身のベテラン、森崎利直氏が業界関係者を集めて立ち上げたのがA-SaaSだ。当初全国約800の会計事務所を会員として、直接出資を募るという今で言えばクラウドファンディングのような手法で約8億円を調達。これを原資に開発したのがA-SaaSのクラウド型会計システムとなっている。参画した会計事務所はある意味ではプロダクト利用料を先払いしたような格好だ。

A-SaaSは2013年6月の6億2500万円のシリーズA、2014年11月に10億円のシリーズBと、これまで2度の増資を行っている。ただ、シリーズBラウンドと前後して2014年7月に創業者の森崎氏は退任し、後に代表となった佐野徹朗氏も約2年で退任。2016年11月からは新たにメリルリンチ出身の田中啓介氏が代表取締役社長に就任している。

その新社長就任とほぼ同タイミングの今日12月6日に、A-SaaSは追加資金調達と経営の刷新を明らかにしている。AGキャピタル、Eight Roads Ventures Japan(旧Fidelity Growth Partners Japan)、香港のArbor Venturesを引受先として総額3億円のシリーズCの資金調達をしたことをA-SaaSはTechCrunch Japanに明かした。Eight RoadsとArborは前回ラウンドから投資しているほか、シリーズAではセールスフォース・ドットコム、グリーベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタルなどから投資を受けている。

新社長に就任してまだ1カ月の田中氏だが、今回調達した資金の使い道は、ずばり開発のやり直しだと話す。

「顧客(税理士や会計士)の声を聞くと、プロダクト的にまだまだだと言われてる。動作が遅いとか、固まるとか、操作性に難があるのを解消したい。開発陣と話し合った結果、システムをほぼ全面刷新することに決めた」(A-SaaS田中氏)

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A-SaaSの会計(仕訳入力)の画面

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A-SaaSの税務申告(法人税)の画面

現行のA-SaaS製品は「Adobe Air」という一昔前すぎてあまり覚えている人のいないであろうRIAプラットフォーム上で構築されている。マイクロソフトがSilverlightを打ち出し、GoogleがHTML5だと言って、PC向けネットアプリのフロントエンドとして3つの選択肢があった時期の話だ。振り返ってみるとモバイルでネイティブ・アプリが優勢となり、その脇でウェブでHTML5やJavaScriptを使った各種フレームワークが標準となっていったのだった。

現在のA-SaaSはバックエンドにJava、フロントエンドにAdobe Airを使っている。これを、それぞれScalaとExt JSというモダンなWeb開発スタックに置き換えることを計画しているという。2年後、3年後に開発のマイルストーンを設定しているものの、「5年計画だと思っている」(田中氏)というからじっくり取り組む構えのようだ。

現在A-SaaSを利用する税理士(もしくは事務所)のアカウント数は2100〜2200。これを月額2万9800円で提供している。その税理士が顧問などを務める企業数は9万7000社ほどになっているという。潜在利用者ともいえる税理士は全国に3万人ほどいる。「会計、給与、税務申告の3つを税理士向けにクラウドで提供しているのはA-SaaSだけ」(田中氏)といい、ときに中小企業向けの経営コンサルティング業も兼務するような層を取り込もうという方向性だ。

A-SaaSが目指したのは、JDLやTKCといった企業が提供する旧態依然としたオンプレミスのプロダクトをクラウドで刷新する、というものだった。これに賛同した全国の税理士や事務所がプロジェクトに加わった。

一方、自分たちの利用者は税理士ではなく、むしろ第一には中小企業やスタートアップの経営者だ、というのがクラウド会計のFreeeだった。FreeeはモダンなWebアプリとして使い勝手の良さからボトムアップで広がりを見せている。クラウド会計が中小企業と税理士の間に割って入っていき、徐々に税務業務など「上向き」にもサービス範囲を拡大していっている。税理士たちを巻き込んで上から攻めているA-SaaSに対して、使い勝手の良さからボトムアップに攻めているFreeeという構図がありそうだ。

ネットの歴史的に見れば最初はおもちゃだと言われながらもボトムアップによって多数のユーザーからの支持を得たプロダクトが勝っていくパターンが多い。この点についてA-SaaSの田中氏は「税務申告は税理士がやっています。顧問税理士がやっています。会社がやっているケースというのはありません」とアプローチ自体の優位性を指摘している。また上のスクリーンショットにある通り法人税の税務申告などが他社製品との特徴的な差別化だ、としている。

A-SaaSは現在社員数は55人。新たに調達した資金でエンジニア増員を計画している。

SnapchatによってL.A.がテクノロジーの中心地へと進化する

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編集部注: 本稿を執筆したJustin ChoiはNativoのCEOである。

もしあなたがシリコンバレーの歴史を書き表すとすれば、まずはそこにあるコミュニティの数々を観察することから始めることだろう。Google、Yahoo、Oracle、PayPalなどの企業は、何年ものあいだ優秀な人材をこの場所に惹きつけてきた。そういった企業が成熟期に達したり、買収やIPOなどを行う時期に達すると、彼らが抱える優秀な人材は分散し、次の世代を担う企業で芽を出しはじめる。

実った果実は、母となる木から遠く離れて落ちることはない。新しい企業は、自分たちの先輩企業の近くで会社を立ち上げ、成長させようとする傾向がある。そのおかげでベイエリアのコミュニティを維持する良い循環が生まれ、この地域は今でも起業家やテクノロジーの最初の目的地として機能しているのだ。

そして今、Snapchat(正確には、親会社のSnap)がIPOを行うと報じられ、2017年3月頃には約250億ドルかそれ以上の企業価値を持つ公開企業が新たに生まれる可能性がでてきた。「Snapchatマフィア」たちが2020年台にシリコンバレーのようなコミュニティをLAで創り上げていく可能性は大いにある。どんな企業でも南カルフォルニアと北カルフォルニアが分断された状況を一手に作り変えることはできないものの、SnapchatのIPOが実現する時期は、LAを将来のスタートアップコミュニティの中心地に変えるような、他の大きなトレンドと並行して起きるのだ。

SnapchatマフィアたちはFacebookやPayPalの後を追うのか?

シリコンバレーの起源はいつかと人々に尋ねると、「8人の反逆者たち」がShockley Semiconductor Laboratoryを離れ、Fairchild Semiconductorを創業した1957年だと答える者がほとんどだ。同企業の出身者はその後、IntelやAMDなど数々の企業を立ち上げている。

近年の最も有名なマフィアといえば、もちろん、PayPalマフィアたちだろう。Elon Musk、Peter Thiel、Max Levchin、Jeremy Stoppelman、Reid Hoffman、David Sacks、Dave McClure、Chad Hurleyなどがその例だ。このマフィアが立ち上げた企業は、Tesla、SpaceX、SolarCity、Yelp、LinkedIn、YouTube、Palantir、Yammer、Clarium Capital、The Founders Fund、500 Startupsなど、数えればキリがない。PayPalの出身者たちが創出した価値の大きさは計り知れず、このようなマフィア集団がもう一度誕生することは想像しがたい。

だが、規模は小さいながら同じようなマフィア集団は他にもある:Facebookの出身者たちはPath、Quora、Asanaや数々のVCを立ち上げた。Yahoo出身者が創り上げたのは、WhatsApp、Chegg、Slack、SurveyMonkey、Clouderaなどの企業だ。Instagram、Foursquare、Pinterest、Twitterの創業者たちはGoogleの出身者である。

今、そのような真のテック・スーパースターたちはLAにいる。優秀な人材を惹きつける力を持つ企業がその街にあるのだ。1億5000万人のデイリーアクティブユーザー数と巨額のバリュエーションを誇る、Snapchatだ(参考のために言えば、Facebookが100億ドルの企業価値に達したのは、ほんの7年前だ)。

もしあなたが野心と才能に溢れた若者であれば、どこに行こうとするだろうか。すでに急激な成長とイノベーションのステージを終えたFacebookだろうか。それとも、あなたの仕事が企業の成長に直結する、Snapchatだろうか?すでに何人かは心を決め、古巣を離れている。Facebookの元プロダクト部門長であるSriram Krishnanがその1人だ。彼に続く者はこれからもっと現れるだろう。

コンテンツ:王の帰還

もちろん、Snapchatがもつ人材がLAに留まっているのは、そこにあるコミュニティが不活発であるからではない。

「コンテンツは王様だ」という言葉は、Hollywoodの重鎮たちが長く語り継ぐマントラだ。しかし過去20年間、コンテンツ製作者は王様と呼ばれるには程遠い存在だった。コンテンツの販売や流通という分野は、テクノロジーを駆使するプレイヤーがディスラプションを狙う分野だったのだ。今日もこの状況は当てはまる。そして、そのようなプレイヤーの多くはBay Areaの出身者だ。

まず初めに、インターネットの急激な普及により、多くの新聞にとっての利益の源泉だったクラシファイド広告業界が破壊された。その後、2000年台前半に誕生したAppleのiTunesとiPodが、音楽業界を玉座から引きづり下ろす。近年ではソーシャルメディアの普及により、従来のオンライン広告モデルが倒れ、新たにクリッカブルでシェアラブルなコンテンツ広告が誕生している。そしてもちろん、Netflixなどのオンデマンドビデオ・ネットワークを忘れてはならない。そのようなサービスによって映画館や映画製作スタジオ、従来型のテレビ制作会社は敗走を重ねているのだ。

この20年間で、コンテンツ配信のあり方は大きく変化した。従来型のメディアネットワーク通じたコンテンツ配信に取って代わり、テクノロジーを駆使したプラットフォームを通じたPC、タブレット、モバイル端末へのオンデマンド配信が生まれたのだ。多くの点において、このことは21世紀のコンシューマー・テクノロジーを語る上で欠かせない要素である。伝統的なメディア企業がもつ、コンテンツ配信手段の破壊の物語だ。

プラットフォーム誕生の時代は終わり、プラットフォーム戦争の時代に突入した。

トレンドは今にも変わりつつある。コンテンツに力のバランスが移りつつあるのだ。Facebook、Apple、Amazon、Google、Netflixなど、メディアのパラダイムシフトを引き起こした破壊的なプラットフォームがその主役となる。人々がコンテンツを消費する方法が完全に変わった今、このような企業が争う相手は伝統的なメディア企業ではない。これからは彼ら同士が争うことになる。プラットフォーム誕生の時代は終わり、プラットフォーム戦争の時代に突入したのだ。今後は、古い企業が新しいプレイヤーと妥協案を結ぶという場面ではなく、そのような新しいプレイヤー同士が争う場面こそがゲームの中心となる。

その争いはコンテンツをめぐる戦争だ。コンテンツこそがプラットフォーム間の差別化の要因であり、彼らはコンテンツのクオリティを高めるために巨額の投資をしている。今年、Netflixはコンテンツ製作のために60億ドルを費やし、Amazonは30億ドルを費やした。AppleはTime Warnerの買収を検討していると報じられている。TwitterはNFLを初めとするスポーツの生配信に望みをかけ、ミュージック・プラットフォームをもつApple、Spotify、Amazon、Tidalなどは音楽アルバムの限定リリース権をかけて互いに争っている。

このような現状はすべて、コンテンツ・クリエイターの聖地であるL.A.にとっては良いニュースである(この街にとって唯一のライバルはニューヨークだ)。Facebook、Google、Twitterなどの企業から離れてSnapchatにやってきた優秀なテック系人材と、コンテンツ・クリエイターが共存するこの南の大地には、スタートアップ・ルネサンスを加速するための土壌があるのだ。

テクノロジーに特化したモノカルチャーに代わる、L.A.の活気のある文化

サンフランシスコに住む私の友人たちは、街に根付くテクノロジーに特化したモノカルチャー(単一的な文化)に不満をもらす。私には彼らの言い分がよく分かる。かつてのサンフランシスコは、様々なバックグラウンドをもつ、クリエイティブで一風変わった人材を惹きつける街だった。美しく、安価で、(良い意味で)奇妙なこの街を彼らは気に入っていたのだ。テック系スタートアップにそこまで興味がない人々にとって、最近のサンフランシスコは、物価が高くなっただけではなく、多様性に欠けたつまらない街となってしまった。まさしく、現在のBay Areaは誰もが気に入るような地域ではなくなった。

その一方でL.A.は広大で、活気に溢れている。様々なバックグランドを持つ人々が住み、隣を見れば自分とは違うタイプの人がいる。そして彼らは、それぞれが違った目的や興味を追いかけている。この街のテックシーンも成長しつつある:この街での資金調達や人材の獲得は、以前よりもずっとやり易くなった。だが恐らく、L.A.のスタートアップシーンがもつ最大の特徴とは、業界の文化によって街全体がもつ文化が塗り替わることがないという点だろう。多くの人がこの特徴を魅力に感じている。

この街の文化と多様性によって恩恵を受けるのは、人々の生活の質だけではない。Google GlassとSnap Spectaclesを比べてみることにしよう。Spectaclesには、Glassにはないファッション性がある。プロダクト開発にかかわる様々な意思決定は、企業が属する環境に影響を受ける。L.A.に拠点を置くSnapchatでは、どのような物が「クール」なのか、消費者にとって何が一番重要なのかという点が重視される。一方で、シリコンバレーでは技術的に達成可能なものは何かを考え、文化的な側面にフォーカスすることは少ない。

Snapchatは南カルフォルニアのPayPalになる可能性がある:L.A.で解き放たれたSnapchatのモメンタムと将来性によって、これから誕生するスタープレイヤーたちは、この街を彼らが向かう候補地の1つとして考えるようになるだろう。テクノロジーの物語における次の章では、コンテンツが重要な役割を担うことになる。そして、そのコンテンツこそが、L.A.文化の根幹となる要素なのだ。Evan Spiegelに刻み込まれたL.A.のDNAがSnapchatに与えた影響をすでに理解している人もいるだろう。

Bay Areaの階級闘争やモノカルチャーに疲れきった起業家にとって、L.A.は魅力的な選択肢だ。この街での生活の質の高さと、比較的安価な生活費も、この街に移住する理由の一つになるだろう。Snapchatこそが、そのトレンドを加速し、この街のテックカルチャーに活気をもたらす存在なのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Disrupt London 2016ハッカソンの優勝はボイス日記のEmotion Journal

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ロンドンにあるCopper Box Arenaでの夜は長かった。このアリーナは、数年前に開催されたロンドンオリンピックではハンドボールの試合が行なわれた場所だ。しかし、今週末にこの場所で開催された試合は、それとはまったく種類が異なるものだった。Disrupt Londonのハッカソンだ。

私たちのハッカソンに初めて参加する者もいれば、毎年のように参加しているハッカーたちもいる。彼らに与えられた課題は、素晴らしくて面白く、それでいてスマートなハックを24時間以内に完成させることだ。

本ハッカソンに参加した63チームが1分間のデモを他のハッカーと審査員に発表する場面では、そこにいた皆が興奮を覚えたことだろう。だが、このハッカソンで優勝して4000ポンドの賞金を勝ち取ることができるのは、その中でたったの1チームのみだ。前置きはこれくらいにして、Disrupt London 2016のハッカソンで受賞を果たしたチームを早速紹介しよう。

優勝:The Emotional Journal

日記をつけるという行為は、毎日欠かさずに行えばストレスの解消に効果があり、自分の目標の達成に役立つことが証明されている。しかし、ほとんどの人にとって、書くことは話すことよりも難しい。そこでこのチームは、IBM Watsonを利用してスマートなボイス日記を創り上げた。ユーザーがこの日記に話しかければ、システムが自動でユーザーの感情を分析し、その結果を保存していく。毎日この日記に話しかければ、ユーザーは自分の感情や体験が時系列にまとめられた分析結果を目で確かめることができる。人工知能を利用して人間のメンタルヘルスを向上するというアイデアは、とても素晴らしい。

TechCrunchライターのKate Congerは、このプロジェクトを紹介した記事をすでに発表している。それくらいクールなプロジェクトだったのだ。

第2位:Sayfe Space

難民はさまざまな悩みを抱えており、それが精神的な問題を引き起こしている。友人や家族からのサポートや、メンタルヘルスの専門家からのサポートが無ければ、その悩みを解決することは難しい。Sayfe Spaceが提供するプラットフォームでは、難民が自分の悩みを自然な形で打ち明けることができる。彼らが置かれた状況に共感し、彼らをサポートしたいと願うボランティアが、匿名性のチャットを通して難民が抱える悩みを解決するという試みだ。このチームもIBM Watsonを利用して自然言語処理を行い、チャットボットとの交流体験を向上させている。

第3位:DoshBot

DoshBotはユーザーの資金管理を助けるAIアシスタントだ。このボットはユーザーの銀行取引に関するデータと位置情報を取得し、それをTwitterやFacebookなどのSNSから得た、ユーザーの感情データと融合する。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter)

TC Disrupt London―DeepMindのMustafa Suleyman、汎用人工知能は「遠い先の話」

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Googleが 2014年に買収したApplied AIの共同ファウンダーであり、現在DeepMindの責任者を務めるMustafa Suleymanは今日(米国時間12/5)、ロンドンで開催中のTechCrunchカンファレンス、Disrupt Londonに登壇し、スペシャルプロジェクト編集長のJordan Crookのインタビューを受けた。Applied AIという会社、DeepMindのGoogle内での役割、AIの未来などがテーマだった。

SuleymanによればDeepMindの目標は「知性を解明し世界をもっと良い場所にする」ことだという。われわれ人間の知性とまったく同様に作動するシステムを創ることがDeepMindの目標だという。「われわれは複雑な社会的課題の多くはますます解決が困難になるだろうという予測の下に会社を創立した」。この複雑な課題とはたとえば、気候変動や食料問題だという。

しかしSuleymanは汎用学習システムの実現は「数十年も先」だと考えている。「科学者が何かの実現が20年先だとか、もっと先だとか言うとき、実はあまりに遠い先なので時期を正確に予測することはできないという意味だ。当面われわれは個別の問題の解決に集中する」とSuleymanは述べた。

これに関連してSuleymanはまた「映画で見るような人間そっくりのAIはわれわれが研究しており、おそらく数十年後に実現するであろう汎用AIとはほとんど類似点がないだろうという。

またJordan CrookはSuleymanに機械学習に関する重要な点について訊ねた。「機械学習アルゴリズムはわれわれ人間の知性の欠陥もそのまま受け継いでしまうのだろうか?」とCrookは尋ねた。Suleymanは「この点についての私は、われわれの判断は偏見も含めてコンピューター・システムに組み込まれてしまうよう運命づけられていると考えている」と答えた。「デザイナーとしてまたエンジニアとして、こうした問題を意識的に考える努力をしないなら、われわれはそれと気づかぬまま偏見を含めたシステムを構築してしまうだろう」という。

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DeepMindとGoogleの関係についてSuleymanはあまり具体的なことを明かすのを好まないようだった。「われわれが人工知能のスタートアップとして成功を収めた理由の一つはロンドンに本拠を置いており、シリコンバレーとその流儀からかなり離れていたこともある」と述べたが、つまり組織上親会社になる組織に対して細かいことを話したくないという意味に受け取れた。とはいえ、Suleymanは「Googleのおかげで買収された後は各種のコンピューター資源を潤沢に使えるようになったという。また「〔Googleによる買収後も〕独立の組織として運営することができ、従来通り研究が続けらたのははわれわれにとって非常に大きな意味があった」という。

もうひとつの話題はDeepMindのヘルス関連事業についてだった。DeepMindはイギリスの 国民保険サービス(NHS)と協力して急性腎臓障害の早期発見に関する研究を行っている。一部ではNHSとDeepMindの協力範囲は公表されている部分よりずっと広いはずだという批判も聞かれている。またMoorfields眼科病院と協力して病院における眼底検査のアルゴリズムを改良して高速化と診断精度の改良を図っている。NHSのプロジェクトでは、診断に関しては主としてNHSが開発したアルゴリズムが用いられ、DeepMindは主としてフロントエンド・アプリの開発を担当している。Suleymanはこの点について「NHSとの協力プロジェクトは歴史が新しい。12ヶ月前に始まったばかりだ」と説明した。

DeepMindとGoogleの関係は個人情報の取扱に関してユーザーからの疑念を招くおそれがあるのではないかとCrookは質問した。Suleymanは「われわれのシステムはデータのコントロール権限について明確な基準を定めており、このプロジェクトの場合、データの所有権は完全に病院側にある」と述べた。またDeepMindは可能な限りの透明性を目標としており、第三者の監査を受けていることを強調した。DeepMindはまた「透明性確保のための汎用アーキテクチャー」を開発中で、これによればデータがアクセスされた場合、アクセス元など詳細なログが記録されるようになるという。

今日、こうした議論に加えてDeepMindはステージでDeepMind Labを発表した。 これはゲーム的な3Dプラットフォームで、エージェントによるAI研究に役立てられる。DeepMindでは社内ですでにこのシステムを利用していたが、今回オープンソースで公開された。すべてのAI研究者、開発者がこのプラットフォームを利用することができる。ソースコードとゲームのプレイに必要な多数の付属マップは数日中にGitHubにアップロードされる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoProが手に持つタイプのスタビライザー「Karma Grip」を発売:価格は299ドル

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GoProがKarma Gripの発売を開始した。同社は本日、この手に持つタイプのスタビライザーを、一部のGoProショップとGoPro.comで販売開始すると発表した。価格は299ドルだ。この製品は、Karma Droneに同梱されていたグリップと同じものだ — 少なくとも、このドローンがバッテリーの不具合でリコールされるまでは。

Karma Gripの直接的な競合はDJI Osmoだ。ただ、私とTechCrunchのビデオ製作チームは、この2つのプロダクトがそれぞれ異なるアドバンテージを持っていることに気がついた。私たちは両方のプロダクトを韓国に持ち込み、製品の腕前を試してみることにした。両製品を比べると、DJI Osmoはカメラのコントロール性能に優れていることが分かった。この特徴は熱狂的なビデオ撮影家が特に気に入る点だろう。一方でGoPro Karma Gripでは、Hero 5と一緒に使用することでOsmoよりも優れた映像クオリティを生み出すことができる。使ってみた感じでは、Karma Gripの方が故障を気にせず多少乱暴に扱えそうだ。

Karma Gripは、私が持っている古いGoProカメラをもう一度使ってみようという気にさせてくれる。このスタビライザーのおかけで、古いカメラのクオリティが格段に向上するのだ。

Karma Gripを買ってもカメラは付いてこない。Karma Gripの本体価格は299ドルで、カメラは別売りのものを別途取り付ける必要がある。このグリップに取り付けられるのは、Hero 5とHero 4のブラックエディションとシルバーエディションだ。GoProによれば、同製品は2017年の第2四半期からHero 5 Sessionにも対応する予定だという。

Karma Gripには専用のケースと様々なアクセサリーが同梱されている。もし読者がすでにHero 4を持っていれば、299ドルのKarma Gripを買う価値があるだろう。だが、カメラを持ってないとすると、299ドルに加えてカメラ本体の価格(Hero 5の価格は399ドル)を支払う必要があり、このグリップを買う価値が薄れてしまう。

TechCrunchはGoProに、今後Karma Droneが入手可能になるのかどうか聞いてみた。それについては同社はコメントを控えるとのこと。先月の初め、GoProはKarma Droneのリリースからわずか18日後に、同プロダクトに対するリコールを発表している。それはちょうど、私がKarma Droneのレビュー記事を発表した日と同じ日だった。

DJI Osmo vs GoPro Karma Grip:2つのジンバルの物語

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Amazon Go、年内にベータ公開―アプリ・ベースの食品ショッピング・システムはレジなし、行列なし

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Just Walk Out〔そのまま歩いて出る〕と非常にストレートに名付けられたテクノロジーがAmazon Goのベースとなっている。同時にこのシステムの目的がよくわかる。

このショッピング・サービスはシアトルのAmazon本社内に年内にオープンする予定の1800平方フィート(167平米)社員向けストアでベータ公開される。Amazonによれば、Goは「まったく新しい形のストアであり、出口での精算手続きを一切必要としない」という。

顧客はGoアプリを利用してストアにチェックインする。ストア内ではカメラを含む各種センサー、コンピューター・ビジョン、ディープラーニングを応用した人工知能の組み合わせが顧客の行動を解析して「何を棚から取リ出したか(あるいはその後戻したか)を」
認識しバーチャル・カートに加える。必要なものを買ったら顧客はそのままストアを出ればよい。ストアはAmazonのアカウントに自動的に課金する。このとき顧客はデジタル・レシートも受け取る。

Amazonはこのストアの開設のために4年前から開発を行っていたという。Amazonの公式のGoサイトには、「レジ前の行列も、そもそもレジ処理もないショッピング体験が実現できたらすばらしいだろう。コンピューター・ビジョンと機械学習の限界を押し広げ、顧客は必要なものを棚から取り、そのまま店を出られるようなストアを創り出すことは可能だろうか、とわれわれは自問した」と書かれている。

現在オープンが予定されているストアは食品だけを扱う。フル機能のスーパーマーケットというよりは21世紀版のオートマットといった雰囲気だ。ファーストフード店との競合に敗れるまでアメリカで人気があったオートマット食堂には細かく仕切られたショーケースが回転するようになっており、簡単な食事やスナックを取り出すことができた(調理は人間がやっていた)。

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Amazonが物理店舗の実験をするのはこれが初めてではない。昨年はやはりシアトルにAmazon Booksというワンオフの書店が開設された。Amazonではこの種の物理店舗を全米にチェーン展開する計画があるらしい。AmazonFreshは生鮮食品の配達サービスで、ここ数年アメリカ各地に少しずつカバー地域を広げている(このサービスAmazonが所在するワシントン州で開始された)。

Goは物理店舗と配達サービスの良い点を結びつけようとしたシステムだ。ショッピングから行列(と人手)をなくそうとするのが最近のトレンドだが、ここでAmazonは最大の存在になっている。生鮮食品の自動チェックアウト・システムにはSelfycart、さらにこの方向に舵を切った大きな存在としてInstacartがある。Amazonが準備しているストアは来年の早い時期にに一般のAmazonユーザーも利用可能になる。Amazonの過去の動きから判断すると、これは何か非常に大きなクサビの先端の役割を果たすのかもしれない。

〔日本版〕日本では167平米という売り場面積は平均的なコンビニより広く、小型のスーパーよりかなり狭い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DeNA、ファッション系キュレーションメディアの「MERY」も12月7日より全記事非公開に

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先日のインタビューの内容とはどうも状況が異なるようだ。キュレーションメディア「WELQ」の記事公開停止に端を発したディー・エヌ・エー(DeNA)のキュレーションプラットフォーム「DeNA Palette」の公開停止騒動。DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏は残る8つのキュレーションメディアの記事公開停止と自身の役員報酬の減額などを発表していた。

経緯をまとめた記事はこちら

信頼性なき医療メディア「WELQ」に揺れるDeNA、MERYを除く全キュレーションメディアを非公開に

本件に関する守安氏のインタビューはこちら

DeNA守安氏「認識が甘かった」——WELQに端を発したキュレーションメディアの大騒動

当初は子会社であるペロリが運営するファッション系キュレーションメディア「MERY」に関しては、運営体制も異なるため記事の非公開は行わないとしていたが、現時点ではかなりの割合の記事が非公開化されている状況だ。そして本日12月5日、DeNAはMERYに関しても12月7日に全記事非公開とすることを発表した。加えて取締役会の委嘱を受けた社外取締役を含む外部専門家による第三者調査委員会を設置し、事実関係の調査を行なうとしている。

TechCrunch Japanでは現在改めてDeNAへの取材を打診している。状況が確認でき次第、記事をアップデートする予定だ。

My Brick Onlineは、レゴにスマートフォンを載せて新しい楽しみのを生みだす

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レゴ!レゴ!レゴ! レゴが嫌いな人などいるだろか? TechCrunch Disrupt Londonのハッカソンの中でも注目を浴びたこのエントリーは、スマートフォンを利用してあの愛しのレゴブロックをもっと楽しくする。

My Bricks Onlineを使えば、子供が ― 大人も ― スマートフォンを使って作品に音楽やサウンドを加えられる。子供たちにiPadを横に置いて昔ながらのおもちゃで遊ぶ強い理由を与えよう、というアイデアだが、皮肉にもスマートフォンを利用する。

Filip DenkerとPeter Pappから成るチームは、昨年のイベントでSuonoScopeを作り、Fooropaというスタートアップを運営している。今回のデモには車を使っている。サウンドと相性がよく、作るのが簡単で、子供たちの人気者だからだ。ただしこのプロジェクトはどんなタイプのレゴでも使える、とふたりは説明している。

Pappは、メカで遊べるレゴテクニックは高価で、買える場所も限られているので、My Bricks Onlineは普通のスマートフォンを使ってもっと利用しやすくしたと話した。

このしくみを実現するために、ふたりはPubNubのAPIを使い、端末のカメラに映った色に応じてアクションの引き金を引く ― つまりサービスの色によって異なる音を出す ― HTMLページにはチームが作ったレーストラックのラップタイムが表示される。家にスマート電球があれば、IFTTTのアクションを使って点灯させることもできる。

というわけで、これはテクノロジーが古いオモチャに新たな命を吹き込むことの証だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボタン1つで洗剤やキッチンペーパーを注文、Amazon Dash Buttonが日本上陸

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かさばるトイレットペーパーなどの消耗品、あるいは重たい水や洗剤が切れる度にスーパーや薬局まで行って買い足すのは家事の負担だ。だが、これからはボタン1つでいつでも日用品を注文できるようになる。品物を買い忘れる心配もない。Amazonは、ボタンで商品を注文できるIoT端末「Amazon Dash Button」を今日から日本でも販売を開始する。

Dash Buttonは物理的なボタンが付いた日用品を注文するためだけのIoT端末だ。Dash Buttonを使用するには、まずWiFiに接続し、iOSかAndroidのスマホアプリからボタンで発注したい商品を設定するだけでいい。あとは好きなところにボタンを設置して、シャンプーや洗剤が切れたらボタンを押すと品物が届く。

Dash Buttonは1回ボタンを押すと、その商品が届くまで重複して注文できない設定になっている。ボタンを誤って押してしまい、大量に商品が届くというような心配はなさそうだ(この設定は変更可能)。もちろん注文はアプリで内容を確認したり、キャンセルしたりすることもできる。

このサービスを利用するにはAmazonのプライム会員に登録している必要がある。ボタンの価格は各500円だが、ボタンを使った商品の初回購入時に500円の割引が適用されるので、本体価格は実質無料だ。今日からDash Buttonで注文できる商品はシャンプー、洗濯用洗剤、清涼飲料水など約40種類が揃っている。

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ちなみに、アメリカではAmazonはDash Buttonを2015年3月にローンチし、現在では100種以上の商品の取り扱いがある。1010dataのEcom Insights Panelが今年4月に発表したデータによると、最も売上がある個別ボタンはP&Gの洗濯用洗剤、P&Gのキッチンペーパー、Kimberly Clarkのトイレットペーパーだ。よく使うが、ブランドを変えることが少ない消耗品とDash Buttonとの相性が良いようだ。

AmazonはDash Buttonと共に、家電と連動し、自動で日用品を再注文するサービス「Amazon Dash Replenishment」サービスも本日ローンチした。Dash Replenishmentは、例えばプリンターであれば、トナーが減ったのを検知すると、自動でトナーを再注文するサービスだ。日本ではアイリスオーヤマ、エレコム、シャープ、船井電機、三菱レイヨン・クリンスイがDash Replenishmentと連携したサービスを開始する。

Apple、米規制当局宛の文書で自動運転車への意欲を表明

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Appleは米国道路交通安全局に政策提言書を提出し、成長しつつある自動運転車市場への参入意志を公に表明した。

最初にこの公式声明を報じたのはWall Street Journalだ。

Appleの自動車製品の詳細は声明文に書かれていない。しかし次の記載がある。

「Appleは機械学習技術を用いて自社の製品およびサービスをさらに賢く、直感的に、パーソナルにする。当社は機械学習とオートメーションの研究に多大な投資をしている。自動化システムが様々な分野に応用される可能性には大いに期待しており、自動運転はその一つだ」

Appleの製品基準責任者、Steve Kennerが書いたこの文書は、以下に挙げることを実現するための政策を提唱している:自動運転中に起きた事故の責任を明らかにすること、ユーザーのプライバシー、サイバーセキュリティーおよび身体的安全を確保すること、および自動運転車が公共に与える影響をできる限りプラスにすること。

もちろん急成長している業界に新たな規制を加えることは、新しいブランドや仕事や技術的ブレークスルーの機会を損うこともあれば、広げることもある。

Appleが強く提唱しているのは、自動者業界の新規参入者を既存のリーダーと同等を扱う政策だ。例えば、新しい自動車メーカーは自動運転車に関する情報を、安全に管理された方法で路上テストする前に、公開しなくてもよくするようにと声明は提言している。

この提唱は、Appleが結局ソフトウェアやOSだけではなく、自社ブランドの自動運転車を製造するつもりなのではないかという憶測を呼んでいる。

同文書は道路交通安全局(NHTSA)に対しても、ドライバー個人のプライバシーを保護する政策を作るよう勧告している。

Kennerが次のように書いている:

「Appleは、衝突または異常接近に関する状況および力学的データを、各企業が出所を特定されない形で共有することに同意する…データを共有することによって、業界は一社だけでは作り得なかった普遍的なデータセットを構築できる…

しかし、データ共有がコストやプライバシーを犠牲にすることがあってはならない。企業はプライバシーに関する個人の基本的権利を守るのに必要なリソースに投資すべきだと、Appleは信じている」。

Appleカーの噂は長年ネットを賑わせており、同社が自動車部門のトップにBob Mansfield指名したことで新たな展開を迎えた。Mansfieldはかつて、MacBook AirやiPad等の製品を扱う技術チームを率いていた。

しかしこの異動の後、Appleは組織変更を行い、自動運転車の「頭脳」の開発に注力すると報じられた。

もしAppleが、自動者業界参入に際して、ハードウェアとソフトウェアの両方を支配するという勝利への脚本に忠実であり続けるなら、いずれ同社の名を冠した自動運転車を目にする日が来るのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook