Atlantic Labsが「気候」と「健康」に取り組む約130億円規模のフードテックファンドFoodLabsを設立

FoodLabsのクリストフ・F・メア氏とパトリック・フーバー氏(画像クレジット:Viktor Strasse)

テック業界が気候と持続可能性に軸足を移しつつあることを示す最新の兆候として、長年のテック投資家であるChristophe F. Maire(クリストフ・F・メア)氏が率いるベルリンのファンドAtlantic Labs(アトランティック・ラボ)の分社であるAtlantic Food Labs(アトランティック・フード・ラボ)が、食品、健康、持続可能性に関わるスタートアップに投資する1億ユーロ(約130億円)規模のフードテック専用ファンド「FoodLabs(フードラボ)」として再出発することとなった。

2016年に設立されたAtlantic Food Labsは、Infarm.com(インファーム.com)、SanityGroup.com(サニティグループ.com)、Formo.bio(フォルモド.bio)、Mushlabs.com(マッシュラボ.com)、Mitte.co(ミッテ.co)、Choco.com(チョコ.com)、Stenon.io(ステノン.io)、Gorillas.io(ゴリラ.io)などのスタートアップへの投資を行ってきた。FoodLabsは、この新しいファンドで、この分野にさらに力を入れていく。

知的財産と「農業、生産、流通、人の健康から廃棄物ゼロの分野まで、地球から地球へ、より効率的で持続可能な食品産業に向けたスケーラブルなデジタルビジネスモデル」に焦点を当てている。

メア氏は「食品産業は世界最大の産業であり、世界の温室効果ガス排出量の4分の1以上を占めています。食品の生産と消費の方法を、より効率的で持続可能なものへと変革することは、地球と人々に大きな影響を与えます。私たちは、テクノロジーと起業家精神が、現代の重要な課題に取り組むための鍵を握っていると強く信じています。フードファンドでは、より健康的な栄養価、持続可能な農業、食料へのアクセス改善への道を切り開く革新的な企業を作る最も野心的な創業者を支援します」と述べている。

私との電話で、彼はこう語っている。「5年前にFoodLabsを立ち上げたのは、食品産業は人間の健康に最も関連する産業の1つである一方、気候に最も無関係な産業の1つでもあると感じたからです。私は、今日の重要な問題を解決するために、起業家が力を貸してくれると信じています。当初の投資額は約1500万ドル(約16億9300万円)と比較的小規模なものでしたが、その過程で、私が想像していたよりもはるかに大きな可能性を秘めていることがわかりました。そこで今回、1億ユーロ(約130億円)のファンドを立ち上げました。私にはすばらしいチームと、このミッションに本気で取り組んでいる人たちがいます。これは、私のキャリアの中でも最高の活動だと思っています。ここはすばらしい空間で、とても魅力的です」。

新ファンドの最初の出資企業は以下の通りだ。

  • Foodji(ドイツ):新鮮で健康的な食品の持ち帰りを可能にするデジタルソリューション
  • Habitual(英国): デジタルヘルス関連のスタートアップで、糖尿病の改善を消費者に直接提供する
  • Kitch (ポルトガル):デリバリーサービスのためのソフトウェアを提供する
  • Klim (ドイツ):炭素農法で農業をより持続可能なものにすることを使命とする
  • getVoila(ドイツ): ヨーロッパのベストレストランの高級料理を我々のリビングルームに届ける
  • Microharvest(ドイツ)持続的に生産される栄養素やタンパク質へのアクセスを提供する
  • Myota(スイス):男性の健康に対する新たなアプローチを提供
  • Yababa(ドイツ):東洋料理のファストデリバリー企業
  • The Plate:料理創作プラットフォーム
  • Airfarm(ドイツ):農家向けにデジタルプラットフォームを提供するアグリテック企業

また、科学者を対象とした現地起業家プログラムの立ち上げも発表している。

メア氏は「私たちは、ヨーロッパがフードテック&アグテックのイノベーションの中心地になると強く信じています。ヨーロッパは、科学研究やエンジニアリングの専門知識では常に強みを持っていますが、起業家支援システムでは遅れをとっています。私たちの使命は、起業家精神、大学や研究機関の科学的ノウハウ、そして業界の主要企業を結集し、食品業界におけるイノベーションと持続可能性のための国際的なプラットフォームを構築することです」と述べている。

FoodLabsのゼネラルパートナーであるPatrick Huber(パトリック・フーバー)氏は次のように述べている。「ここ数年、私たちは、優れた企業を作るために参加してくれた科学者たちに感銘を受けてきました。科学者と起業家のコラボレーションが、フードバリューチェーンに抜本的なイノベーションをもたらす鍵になると強く信じています」。

メア氏は「私たちはまず、より多くの炭素を回収できる農業や農法から始めます。例えば、パーマカルチャーに力を入れている会社がありますが、これは一般に想像されているよりもはるかに大きなことだと思います。また、水産養殖、新たなタンパク質、新たな生産方法、新たな流通方法にも注目しています。その他クイックコマース、現地調達、新しい消費者行動など、食と健康についてです。というのも、この分野の魅力は、起業家側からの働きかけだけではなく、消費者側からの働きかけが非常に大きいからです」。と語ってくれた。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

バイオリアクターと培養細胞で、従来の肉と区別がつかないような培養肉を生み出すAnimal Alternative

従来の食肉生産はサステナブルなプロセスとは程遠いものであり、また人々に「本物」の肉を食べるのをやめてもらうという課題は先が見えていない。そんな中、バイオリアクターと培養細胞を使って、動物由来の肉と区別がつかないような肉を作ろうとしている企業の1つがAnimal Alternative(アニマル・オルタナティブ)だ。同社はデータとAIを活用したカスタマイズ可能なプロセスによって、地元の生産者にこの方法を活用してもらおうと試みている。

米国時間9月22日にTechCrunch Disrupt Startup Battlefieldで発表したAnimal Alternativeは、ケンブリッジ大学でバイオテクノロジーを専攻していた時に度々出会う機会があった2人の卒業生が考案した会社である。食肉生産業界は生まれ変わる必要があるという信念を共有していたClarisse Beurrier(クラリス・ボーリエ)氏とYash Mishra(ヤッシュ・ミシュラ)氏。2人はお互いが持つスキルがその目的のために補完し合っていることに気づく。彼らは培養肉の生産を、ハードウェアだけでなくソフトウェアの観点からも取り組むという、データを多用した新しいアプローチを追求するために会社を設立することを決めたのである。

細胞培養肉という言葉に馴染みのない読者のために説明をしておこう。細胞培養肉とは動物の組織から採取した細胞を、人工的な環境下で一般的に「肉」とみなされるだけの数になるまで増殖させたものである。しかし、牛肉をただ切り落として栄養タンクの中に入れておけば500グラムのリブロースに成長するわけではない。自然界で成長するように組織を再現するというのは非常に困難なことなのである。しかしAnimal Alternativeは、データがその答えだと考えている。

研究や医療目的で、細胞や組織の生体電気信号モニタリングを行う研究室出身のミシュラ氏。ある時、同氏とボーリエ氏はこれと同じ技術を食肉生産に応用できるのではないかと考えた。

ヤッシュ・ミシュラ氏(左)とクラリス・ボーリエ氏(画像クレジット: Animal Alternative)

「親指よりも小さなバイオリアクターを作りました。最小限の資源で多くの情報を得ることで、持続可能な方法で食肉を作るための最適なプロセスを見つけることができました」と同氏は話している。

どんな目的であれ、細胞をモニタリングするというのは非常に複雑な提案であり、多くの場合染色や他の場所でテストするためのサンプルの収集など時間のかかる旧式の技術を必要とする。彼らの革新的な技術は、リアルタイムの細胞モニタリング技術の向上と、それによって細胞成長のプロセス全体を導くことができる即時のフィードバックの両方にあるとボーリエ氏説明している。

「すべてがうまく連動しなければいけません。例えば顧客がラム肉を作りたいと思っても、そこにはあらゆるパラメータがあり、非常にダイナミックなプロセスとなっています」とボーリエ氏。特許出願中のバイオリアクターについてあまり多くを語らないようにしていた2人だが、このバイオリアクターが強力なモニタリングとAIによるフィードバックを提供するものであるということは教えてくれた。

「栄養素、流量、pH、温度など、多くのパラメータが、製造される肉の味、食感、品質に大きな影響を与えます。当社が独自に開発したバイオエレクトロニック分析によって、これまでにないレベルの洞察を得ることが可能になりました」とミシュラ氏は説明する。「また、当社の革新的なプラットフォームには、AI駆動のソフトウェアが搭載されているため、当社が持つ全データを利用してコスト削減と効率向上につなげることができます。これにより、必要なコストとエネルギー量は、開始時に比べてすでに92%以上削減されています」。

畑で作物を育てる際に、水や窒素の量が適切であるかどうかを調べるのと同様に、培養細胞が期待通りに成長しているかどうかをリアルタイムでモニターする必要がある。単に組織の成長と健康を維持するだけでなく、実際の肉にありそうな場所に脂肪や血管の組織を作るなど、これによって積極的に組織を分化させることが可能になる。今後は培養肉に関する世界で唯一のデータベースを構築し、そこからラムやポーク、さらには和牛やアンガス牛などの品種に特化した数多くのAIエージェントを育成、配備していく予定だという。

今の段階ではすべて小規模なスケールでしか実証されていないが、同社はむしろ大規模から小規模へという順序でのスケールアップを計画しているという。「バイオリアクターの設計は大規模なものですが、マイクロスケールのシステムは、そのシステムのモデルとなるように意図的に設計されており、マイクロフルイディクスとバイオエレクトロニック・モニタリングを用いて分子スケールまで再現されています」とミシュラ氏は話す。

つまり言い換えれば、現在試作している卓上スケールでできることは、もっと大きなスケールでもできるはずなのだ。そして同社は「ルネッサンス・ファーム」と呼ばれる大型のバイオリアクターを、食肉生産者がターンキープロセスとして利用できるようにしようと計画しているのである。

食肉は世界的な産業だが、すべての国や地域に食肉生産を支えるだけのスペースや資源、インフラがあるわけではない。それでもどの国でも食肉は消費されているため、多くの国が多額のコストをかけて食肉を輸入しなければならないのである。鉱物や石油には恵まれていても、牧草地には恵まれていない国が、自分たちの資源だけで肉を生産できたらどうだろう。それがAnimal Alternativeの目指すところなのである。

「私たちの目標は、最大規模の商業用工場の代替となる、実行可能な手段を提供することです」とボーリエ氏。彼らの試算によると、1000リットルのバイオリアクターなら、わずか5%の土地、水、排出ガスで、年間100万キログラムの肉を従来の農業と同程度の価格で作ることができるはずだという。

ハードウェアはAnimal Alternativeが提供するが、顧客は定期的に新しい幹細胞(動物を傷つけずに採取される)を購入する必要があるという。生産施設での主なコストは、動物以外から調達した液体培地や成長ホルモンなどの原材料である。販売した商品のレベニューシェアが同社の主な収入源となる。

自社工場に資金を投入して自社製品を作るという決断にいたらなかったのは、スケールの問題が理由だ。

「私たちだけではできない問題です。私たちは野心的ですが、これは非常に大きな挑戦となるため、エコシステムの他のすばらしい企業と協力しなければなりません」。

食肉生産の脱炭素化と民主化という目標を一刻も早く達成するためには、食品業界の大手企業と提携してこのプロセスを強化するのが一番である。培養肉を作るための商業規模のプロセスが確立されれば、本物の肉と区別がつかないサステナブルな製品として、人気商品になることだろう。

さてどの程度本当に区別がつかないのか。その結果は近日中に行われる試食会でのお楽しみである。

画像クレジット:Animal Alternative

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

Googleフライトが航空便それぞれの炭素排出量の推計値を計算

米国時間10月6日、Googleがに、フライトの環境への影響を示す新機能を立ち上げた。検索結果で出るほとんどすべてのフライトの炭素排出量の推計が見られるようになる。その推計値は価格の隣にあり、フライトが続く間表示される。Googleによると、この新しい機能によりユーザーは、便を予約するときに料金や時間だけでなく、炭素排出量も搭乗するフライトを選ぶ基準にすることができる。

推計値は、フライトと座席により異なる。例えば推計排出値は、エコノミーかファーストクラスかで異なり、席の専有スペースが大きいほど総排出量も多くなる。また、最新の航空機は古い機種よりも大気汚染が少ない。

排出量が少ないフライトにはグリーンのバッジが付く。フライトを探すとき炭素への影響を優先したい者は、検索結果をソートして、最少排出値の便をリストのトップに載せられる。フライトは排出量の程度を、高い、普通、低い、不明などとラベルでマークされる。

Googleは推計値を、European Environmental Agency(欧州環境機関)のデータと、航空会社が提供する情報から計算する。後者は、航空機のタイプや座席数などだ。ただし同社によると、炭素排出量の実値は機種や構成、機の速度、高度、出発地と目的地の距離などによっても異なる。計算方法の改良は今後も続けるそうだ。

Googleの旅行プロダクト担当副社長Richard Holden(リチャード・ホールデン)氏は、ブログで「Googleフライトの今回のアップデートは、人びとが毎日の生活の中でなるべく持続可能な選択ができるようにするための、多くの方法の1つにすぎない」と述べている。

Googleフライトのこの最新のアップデートは、同社がGoogleマップで米国のエコフレンドリーなルートを提示するようになった時期と一致している。エコフレンドリーなルートとは、目的地に最も早く到着できて、使用する燃料がルートのことだ。Googleの計算では、この機能によりGoogleマップのユーザーは1年で100万トン以上の炭素排出量を減らせるという。Googleマップの本機能は、ヨーロッパでは2022年に導入される。

関連記事:Googleマップが米国で「最も環境に優しい」ルート検索機能を提供開始

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Apple Storeのデザイナーが共同設立者となったJuno、アパートの持続可能な建設に約22億円を調達

より持続可能で手頃な価格のアパートを建設することを目的とする不動産テックJuno(ジュノ)が、シリーズA資金調達ラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。

Comcast Ventures(コムキャスト・ベンチャーズ)、Khosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)、Real Estate Technology(リアル・エステート・テクノロジー、RET)ベンチャーズが共同で資金調達を率いた。これにより同社の調達額は2019年の開始時点から合計で3200万ドル(約35億円)に上る。JLL Spark(JLLスパーク)、Vertex Ventures(バーテックス・ベンチャーズ)、Anim(アニム)、K50(Kフィフティー)、Foundamental(ファンダメンタル)、Green D Alumni Ventures(グリーンDアルムナイ・ベンチャーズ)もシリーズA投資に参加した。

Junoの共同設立者でCEOのJonathan Scherr(ジョナサン・シェル)氏は、サンフランシスコを拠点とするこのスタートアップ企業が「ゼロからの開発に向けた初のOEMエコシステム」を構築し、オール電化施設を建設することを計画していると述べた。

同氏はTechCrunchに次のように話す。「私達は住宅開発を製品開発のように扱い『製品化』と呼んでいます。リピート価値のある建物を作ることにより、継続的な改善を実現して効率を上げるツールとシステムを作ることができます。建物が1回限りの文脈で検討、設計されたら、1つのプロジェクトから次のプロジェクトへの学びが途絶えてしまいます」。

Junoの製品化は、ある意味もっと一般的に使用される言葉「プレハブ工法」に似ていると考えることができる。プレハブ建設会社Katerra(カテラ)は失敗したがAbodu (アボドゥ)Mighty Buildings(マイティー・ビルディングス)を含めコースラが支援し付帯住宅や戸建て住宅にさら重点を置いたこの分野の他の多数の会社は資金調達して成長を続けている。また、ノースカロライナ州に拠点を置くPrescient(プレシャント)もプレハブ工法により集合住宅とホテルを建設している。

関連記事:ソフトバンクが支援する建設の巨人「Katerra」が約2200億円以上を使い果たし事業を閉鎖

オースティンプロジェクトのレンダリング(画像クレジット:Engraff Studio / Juno)

Junoの理論は「製品化」を通じて、設計のタイムラインの短縮、推定やスケジューリングの精度上昇「大幅に加速」した建設プロセスなどにつながるツール、システム、プロセスを作ることができるというものである。それにより、シェル氏は米国中の人々のためのより手頃な価格の住宅オプションを実現できると述べる。また、Junoはその設計プロセスの進捗が従来の不動産開発より60%速いと主張している。

同業他社と同じく、Junoは従来の建築方法よりはるかに持続可能な手法を謳っている。

「今日の建設ごみは、米国の全都市ごみの2倍あります。Junoのシステムはその設計、サプライチェーン、建物の建設に効率を生み、廃棄物とエネルギー使用量を減らします」。低炭素、完全木造建物、木材の露出増加(Junoは抗菌性と話す)、ガスをまったく出さない建物などを特徴とする。

都市部ではオール電化の建物に重点が置かれ、クリーンエネルギー生成へのロードマップが確立されたため、Junoの居住システムは集合住宅ユニットにおける内包カーボンのネットゼロ目標に向けて前進しているとシェル氏はいう。

シェル氏は元々Apple Storeのデザイナーであった BJ Siegel(BJ・シーゲル)氏と、現在同社のアドバイザーを務めるChester Chipperfield(チェスター・チッパーフィールド)氏とともにJunoを創設した。チッパーフィールド氏は、以前Tesla(テスラ)のグローバルクリエイティブディレクター、Appleのスペシャルプロジェクト統括、Burberry(バーバリー)のデジタル部門長を務めていた。シェル氏はベンチャー投資家や多数の会社のアドバイザーとしての経験がある。

「1999年にBJ (シーゲル)はAppleのリテールプログラムのコンセプト・アーキテクトとして、リピート価値のある建築環境のアイデンティティを作り出す方法を考えていました」。とシェル氏は語る。「それによって、彼とAppleの同僚はAppleのリテールを、サプライチェーン分散化に基づくAppleの製品として考えるようになったのです」。

(左から右)共同設立者でアドバイザーのチェスター・チッパーフィールド氏、共同設立者でCEOのジョナサン・シェル氏、共同設立者、設計部門長のBJ・シーゲル氏(画像クレジット:Juno)

父親が不動産開発業者のシェル氏によると、Junoは同じようなモデルを基に作られた。複製可能な「より良い」住宅を設計することにより、会社が「サプライチェーンを構築し、これまで不可能であった方法で学習システムの基礎を築く」ことを目標に掲げる。

Junoは米国の都市に大規模なオール電化木造アパート群の初の国内網を築くことから始めた。Swinerton(スワイナートン)Ennead Architects(エネアド・アーキテクツ)と提携し、そのモデルを実現している。このスタートアップ企業はその最初のプロジェクト、イーストオースティンでのアパート建築にも着工した。現在400棟を開発中である。イーストオースティンの建物は2022年にオープン予定。Junoはシアトルとデンバーでも開発を計画している。

今後同社はその新たな資本を使って製品を作り、最初のプロジェクトのコホートに着手し、さらに多くの開発業者と関わり続けることを計画している。

Junoの投資家は同社の事業と計画について当然楽観的である。

コースラ・ベンチャーズのパートナーであるEvan Moore(エヴァン・ムーア)氏は、普段は不動産開発会社、建設業者、建築家には投資しないと述べた。

「しかし強いチームが重要な業界で劇的に他とは違う製品に取り組んでいるなら、支持するでしょう」。と彼はメールで回答した。

ムーア氏は、これまでアパートは消費財で、使用されることにより価値が得られるという事実にも関わらず、アパート開発は製品主導ではなく資金主導の業界であったと付け加えた。

「顧客体験を第一に考えて建物を設計する機会は山ほどあります。Appleがアパートを建てたら?私からすると、それはみなさんが作り出したい体験とは逆方向に作用するもので、それをサポートする構成要素、サプライチェーン、システムを設計し、制約となる費用の中で作業することを意味します。野心的な考えですから、実験するに値します」。

Comcast Ventures (コムキャスト・ベンチャーズ)社長のSheena Jindal(シーナ・ジンダル)氏は、アメリカの住宅ストックがますます老朽化し不足しており、家を購入することが難しくなっていると指摘する。同社はすべての人が手頃な価格の住宅を手にするに値すると考えているという。

「初めてJunoのチームに会った時、第一原理アプローチに強い印象を受けました」と、ジンダル氏はメールで回答した。「Junoは集合住宅の生産で何が壊れていたか根本的に理解し、その設計およびOEMソース戦略をもって早期にバリューチェーンに焦点を当てて真正面から取り組みました。Junoはバリューチェーンの既存のプレイヤーに取って代わるのではなく、提携しているのです」。

画像クレジット:Engraff Studio / Juno

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

Salesforceがバリューチェーン全体での温室効果ガス実質ゼロを達成

Salesforce(セールスフォース)はこれまで頻繁に、責任ある資本主義を説き、勧めてきた。そして同社は米国時間9月21日、年次開催の顧客向けイベントDreamforceでグローバル気候変動に対する取り組みでの顕著な成果を発表した。100%再生可能エネルギーで全バリューチェーンでのネットゼロ(温室効果ガス実質ゼロ)エネルギー使用を成し遂げ、それが可能でないときはカーボン相殺を購入している、と同社は述べた。

と同時に、同社は組織の気候変動の取り組みを管理するために組織に販売しているプロダクトSustainability Cloudのアップデートも発表した。このプロダクトでは組織は責任を果たしながらも資本主義者でいられる。米国時間9月20日のDreamforce Pressイベントに登壇した同社の最高影響責任者で企業関係担当EVPであるSuzanne DiBianca(スザンヌ・ディビアンカ)氏は、ポジティブなクライメートアクションを取る大企業の例となっていることを誇りに思っていると話す。

「今日ネットゼロ企業であるという当社のクライメートアクションの約束についてとても興奮しています。これは2030年でも2040年でもなく、未来のことでもありません。取り組みを加速させなければならないことは承知していて、スコープ1、2、3の全バリューチェーンを含め、当社は現在ネットゼロです。これを達成した企業は極めて少数です」とディビアンカ氏は述べた。

持続可能性に関する多くの専門用語があり、TechCrunchはより深く理解するためにSustainability CloudのGMであるAri Alexander(アリ・アレクサンダー)氏に話を聞いた。持続可能性のコミュニティは、スコープ1、スコープ2、スコープ3として知られる3つの主要エリアでの企業のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を測定する、とアレクサンダー氏は説明した。「スコープ1とスコープ2はあなたが所有するもの、動かすもの、コントロールするもの、そして事業を展開するためにどのエネルギーを調達するかです」と同氏は述べた。

スコープ3は業界用語で「バリューチェーンの上流と下流」と言及され、あなたの会社が関わるものすべてだ。「企業が責任を負っているエミッションの圧倒的大部分は実際には企業の直接的な業務のものではなく、商品やサービスを調達する上流のものです。あるいは他の産業ではそのプロダクトや寿命を迎えた製品を使用する下流のものです」と説明した。あなたが新しいスマホを入手するときに下取りに出すスマホに起こることが、下流の例として挙げられる。

なので、Salesforceがバリューチェーンの上流と下流もネットゼロだというとき、そこには同社がコントロールするものすべて、そして同社が事業を展開する上で関わる全企業が含まれる。Salesforceのコントロール外のところで多くの変数があるため、パートナーやベンダーが同社が定める基準を遵守していることを確認できなければ「高品質なカーボンオフセット」と呼ぶものを購入する、とアレクサンダー氏は話す。

「また、すぐに対応できないところでも、完全にネットゼロでいられるよう、その不足分を埋め合わせるために当社は高品質なカーボンオフセットを購入します。その一方で、当社はサプライチェーンにわたって絶対的なゼロへと削減するという真に重要な取り組みを今後も続けます」と述べた。

加えて同社は他企業に販売するために開発した商業ツールSustainability Cloudのアップデートを発表した。これはSalesforceが自社で使っているのと同じツールとテクノロジーだ。

「持続可能性は、あるといいものから、実際に事業変革そのものの核心へと変わりつつあります。我々が生きているこの時代の趨勢の1つであり、毎年指数関数的に成長しています。そしてそれが意味するものは、企業は気候危機に対応するためにかなりのリソースを動かしており、持続可能性を事業運営の中心に据えつつあるということです」とアレクサンダー氏は述べた。

同時に、同社はより持続可能な組織になるためのSalesforce Climate Action Planという独自の計画に基づく取り組みの詳細も公開した。この計画はオンラインで無料で閲覧できる。

同社はまた、植林の目標を2021年3000万本に増やす。植林の取り組みには他の企業も参加しており、10年で1億本を植林して育成・保全することを目標に掲げ、早く達成できるよう強力に推進している。

Dreamforceプレスイベントに登場したSalesforceの社長兼COOのBret Taylor(ブレット・テイラー)氏は、気候危機はあらゆる人に影響を及ぼしていて、Salesforceが他の組織のお手本になるよう取り組みつつ、自社の行いで意義ある影響を及ぼすことができると確信している、と述べた。

「我々は事業が変化のための最善のプラットフォームであると考えていることを認識するために、またあらゆる組織が信頼される企業になり、気候変動のような危機を解決するよう、刺激を与えるビジョンを描くためにDreamforceにいます」とテイラー氏は話した。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラ共同創業者が設立したバッテリーリサイクルRedwood Materialsが事業拡大、バッテリーの材料も生産

元Tesla(テスラ)共同創業者のJB Straubel(JB・ストラウベル)氏がバッテリーの循環サプライチェーンを作ることを目的に興した会社Redwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)が事業を拡大する。主にリサイクル会社として知られてきたが、同社は米国で重要なバッテリー材料を生産することでサプライチェーンを単純化する計画だ。

そのために同社は現在、10億ドル(約1100億円)かけて新設する広さ100万平方フィート(9万3000平方メートル)の工場のための場所を探しているとBloombergは報じた。工場はリチウムイオンバッテリーの重要な構成要素である陰極箔と陽極箔の生産に特化する。年間生産量は2025年までに最大100ギガワットアワーとなる見込みで、これは電気自動車100万台に使うのに十分な量だ。

しかしそれですべてではない。2030年までに同社は年間のバッテリー材料生産を500ギガワットアワーに増やす計画で、これは電気自動車500万台を走らせるボリュームだ。

こうした数字は驚くほど野心的なものだ。Redwoodがそれをやってのけることができるなら、大半がアジアにある世界最大の材料企業と互角に張り合えることになる。カソードサプライチェーンを米国に集積し、一定割合でリサイクル材料を使用すれば、バッテリーパック生産にともなう二酸化炭素排出を41%抑制するかもしれない、とBloombergNEFは推計した。

画像クレジット:Redwood Materials

Redwoodはリサイクル事業の拡大を計画しているが、リサイクルだけで生産に関するこの数字は達成できない。同社はリサイクルされたバッテリーと、持続可能な方法で採掘された材料からカソードとアノードを生産する、と声明文で述べた。差し当たり、同社はこの新たな冒険のパートナーに関しては沈黙したままだが、今後、提携と事業拡大についての発表があるだろう。

今回のニュースは、何カ月もの間、積極的に拠点拡大に取り組んできた同社の最新の大胆な動きだ。2021年夏の初めにRedwoodは、ネバダ州カーソン・シティの広さ15万平方フィート(約1万4000平方メートル)のリサイクル施設の規模を3倍に拡大する、と述べた。同社はまた、ネバダ州スパークスに立地するTeslaとPanasonic(パナソニック)のギガファクトリーに近い100エーカー(約40万平方メートル)の土地を購入した。このニュースのすぐ前には、シリーズCラウンドで7億ドル(約770億円)をBill Gates(ビル・ゲイツ)氏のBreakthrough Energy Ventures、AmazonのClimate Pledge Fund、 Baillie Gifford、Goldman Sachs Asset Managementといった主要投資家から調達した。この資金調達によりRedwoodのバリュエーションは37億ドル(約4060億円)になった。

関連記事:バッテリーリサイクルRedwood Materialsが拡大の一環としてテスラギガファクトリーの近くに拠点設置

画像クレジット:Redwood Materials

同社はTesla、Amazon、電動バスメーカーのProterra、電動自転車メーカーのSpecialized Bicycle Componentsとリサイクル取引を結んでいる。Redwoodはリチウムや銅、ニッケル、コバルトなどの重要な材料の95〜98%をリサイクルバッテリーから回収することができる、と話している。

関連記事:リサイクルのRedwood MaterialsがProterraと提携しEV用バッテリーの原材料を持続可能なかたちで供給

画像クレジット:Redwood Materials

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

持続可能な低炭素ジェット燃料開発のAlder Fuelsに航空大手UnitedとHoneywellが出資

航空産業は脱炭素化が難しいことで悪名を馳せている。これは部分的には航空機が石油ベースの燃料を使って飛んでいるからだ。

Alder Fuels(アルダーフューエルズ)はそうした状況を変えたいと思っている。Bryan Sherbacow(ブライアン・シャーバコウ)氏率いる新興のクリーンテック企業である同社は、既存の航空機やエンジンに手を加えることなく石油燃料と100%互換性のある燃料として使うことができる低炭素のジェット燃料を開発中だ。現在市場で入手可能な持続可能航空燃料(SAF)はまだ従来の燃料との50対50の割合でブレンドする必要があるため、同社の取り組みは注目に値するものだ。

同社のテクノロジーは航空産業の興味をかき立ててきた。Alder Fuelsは現地時間9月9日、航空大手United(ユナイテッド)とHoneywell(ハネウェル)から数百万ドル(数億円)もの出資を受けることで契約を交わした、と明らかにした。またUnitedとは燃料15億ガロンの購入契約も締結した。航空産業におけるSAF契約としては過去最大となる。

Unitedは年40億ガロンの燃料を消費している、と同社の広報担当は語る。つまり、今回の購入契約は同社が1年間に消費する燃料の40%近くに相当することになる。

ただし、Alder Fuelsの燃料がUnitedの航空機を飛ばすようになる前に、さまざまな種類の材料や製品の基準を定める国際組織、ASTM Internationalが定めた規格を満たさなければならない。その後、AlderとHoneywellは2025年までにテクノロジーを商業化する見込みだ。

Alder Fuelsは2021年初めに正式に事業を開始したが、シャーバコウ氏はここ5年ほど同社のテクノロジーを査定してきた、とTechCrunchとの最近のインタビューで述べた。低炭素燃料を支えるテクノロジー、そして特に原材料はスケーラブルで広範に利用できるべき、ということが同氏のこれまでの取り組みで明白になった。

「我々が模索しているのは、こうした炭素を排出する前の油にどのようにアクセスして、既存の精製インフラの中で使えるものに効率的に変換するのか、ということです」とシャーバコウ氏は話した。

その問題を解決するために、同氏は農業廃棄物のような炭素が豊富な木質バイオマスに目を向けた。農業廃棄物は航空燃料を作るのに使うことができる原油に変わる。Alder Fuelsは、バイオマスを液体に変え、既存の製油所に流し込むような方法で扱える、熱分解ベースのテクノロジーを使っている。同社はまずHoneywellが持つ「Ecofining」水素化処理技術を活用する。最終的な目的はすべての精製設備に合う新燃料を作ることだ。

「すでに産業的に集約されているものの、今日まだ経済的価値がなかったりかなり少なかったりする、かなりの量の木質バイオマスがあります」とシャーバコウ氏は説明する。「しかし我々が利用できるカーボンの貯蔵であるため、我々にとっては大きなチャンスです」。林業、農業、そして製紙産業の企業にとっても新たなマーケットを開拓することになる可能性がある。そうした分野の企業はすでに有り余るバイオ廃棄物を生み出している。

Alder Fuelsの研究は米国防兵站局とエネルギー省から支援を受けており、シャーバコウ氏は航空産業の脱炭素化を進める上での官民提携の重要性を強調した。ジョー・バイデン政権にとって気候変動は大きな関心事であり、持続可能な航空燃料に対するインセンティブは議会が現在議論している3兆5000億ドル(約385兆円)支出案に含まれる可能性大だ。

「移行をサポートするのは政府の役目の1つです。企業の行動を変えるためにインセンティブを与える必要があります。そうでもしなければ、企業は破壊的な変化に抵抗するでしょう」と同氏は述べた。

画像クレジット:United

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

40%軽量化で航続距離アップ、トレッドが再生可能なContinentalのエコなコンセプトタイヤ

自動車の環境負荷を低減するためにさまざまな取り組みが行われているが、そのクルマが履いているタイヤはどうだろうか?Continental(コンチネンタル)は、それが助けになるかもしれないと考えている。自動車情報サイトRoadshowによると、Continentalは、材料の半分以上が「トレーサブル、再生可能、再生素材」の「Conti GreenConcept」(そう、コンセプトタイヤだ)を発表した。天然ゴム製のトレッドを少しの手間でリニューアルすることも可能だ。それは全く新しいアイデアではないが、再生可能なトレッドは一般的に大型商用トラックに限られていた。3回再生すれば、総走行距離に対してケーシングに使用される材料が通常の半分になる。

原料の約35%は再生可能素材で、タンポポゴム、もみ殻を原料としたケイ酸塩、植物油や樹脂などが使われている。また、17%はペットボトルをリサイクルしたポリエステル繊維、再利用スチール、回収カーボンブラックを使用している。

このデザインによりクルマ自体の効率も向上するはずだ、とContinentalは付け加えた。新しいケーシング、サイドウォール、トレッドパターンにより、GreenConceptは従来のタイヤに比べて約40%軽量化され、約16.5ポンド(約7.5kg)になった。その結果、EUの最高ランクのタイヤに比べて、転がり抵抗が25%減少したという。Continentalの試算によると、EVの航続距離がそれで6%伸びるとのこと。

我々の自家用車にこのタイヤが装着される日はまだそんなに近くないもしれないが、これは単なる思考エクササイズではない。Continentalは2022年からリサイクル技術を段階的に展開する予定で、再生ボトルを使ったタイヤの生産も計画している。

Conti GreenConceptのような取り組みは、Continentalのイメージアップにもつながる。同社は2030年までに最も環境に優しいタイヤメーカーとなり、「遅くとも」2050年までには完全なカーボンニュートラルを実現したいと考えている。しかし、パワートレインだけでなく、多くのコンポーネントが地球に優しくなるような、より全体的なエコカーへのアプローチを示唆している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Jon Fingas(ジョン・フィンガス)氏は、Engadgetのウィークエンドエディター。

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画像クレジット:Continental

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(文:Jon Fingas、翻訳:Aya Nakazato)

月額料金で新品または再生品のSIMフリー端末をリースするスマホサブスサービスの英Raylo

英国を拠点とし、スマホサブスクリプションサービスを展開するスタートアップ企業Raylo(レイロ―)は、Octopus Ventures(オクトパスベンチャーズ)が主導するシリーズAラウンドで1150万ドル(約12億7000万円)を調達した。

今回の資金調達は、2020年の債務による資金調達に続くもので、2019年の創業以来、Rayloが調達した金額は株式発行と債務による調達を合計して4000万ドル(約44億円)になる。同社には、Macquarie Group(マッコーリーグループ)、Carphone Warehouse(カーフォンウェアハウス)のGuy Johnson(ガイ・ジョンソン)氏、Funding Circle(ファンディングサークル)の共同設立者なども投資を行っている。

調達した資金は「消費者がスマートフォンを所有するのではなく、月額料金を支払って新品または再生品のSIMフリーデバイスをリースする」サブスクリプションサービスの強化のために使用される。

Rayloによると、顧客数と売上高は前年同期比で10倍の伸びを示しており、今回の調達で、従業員の倍増やさらなる技術開発など、英国における成長の加速を計画しているという。将来的にはグローバルに展開することも示唆しているが、現時点では英国を軸に着実に成長したいという考えだ。

Rayloを通じた最新スマートフォンの購入では、契約終了時のハードウェアの所有権移転をともなわないので、ユーザーは希望小売価格よりも安い価格でスマートフォンを利用することができる。

環境への配慮はさることながら、数年前から10万円を超えているiPhoneの最上位機種のようなプレミアムスマホの価格を考えると、希望小売価格よりも安い価格というのはますます重要なポイントになるかもしれない。

さらに、スマートフォンに大金を支払える消費者はそれほど多くはないという事実もある。リースや返却という手段は、そのようなユーザーに高額なハイエンドモデルを利用する方法を提供する。

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一般的なRayloのサービスでは、ユーザーは12カ月または24カ月の契約期間終了後にデバイスを返却し、返却されたデバイスは2~3回リサイクルされて他のユーザーに利用される。

Rayloによれば、返却されたデバイスは同社のパートナーによってリサイクルされる。通信事業者による販売では、消費者は使用しなくなった古いデバイスを引き出しにしまい、デバイスが持つ潜在的な有用性を無駄にしてしまうのに対し、Rayloのサービスでは、デバイスを長く使うことで持続可能性を促進する循環型モデルを構築できるとしている。

使わなくなったデバイスを家族に譲ったり、売却や下取りに出したりする人も少なくないが、Rayloによれば、英国では約1億2500万台のスマートフォンが使われずに「冬眠」しているという。スマホユーザーの多くが、スマートフォンの第二の人生を気にしていないということだ。

Rayloは、1台の定額制リースを6~7年間で3人のユーザーに利用してもらえると考えている。これが実現すれば、英国でのスマートフォンの平均寿命(2.31年)は約2倍になる。

できるだけ長期間利用できるように、Rayloのすべてのスマートフォンにはケースと液晶保護フィルムが無料で提供される。

ユーザーは、リースされたスマートフォンを傷つけたり、高額な修理代や返却できなくなったりした際の料金をカバーできるように、保険に加入するかどうかを検討する必要がある。Rayloは、独自のデバイス保険をオプションとして販売しており、保険に加入すると月額料金は少し高くなる。

Rayloのサービスは通信事業者のサブスクリプションプランと競合するが、同社はリース方式の方が安いと主張する。契約終了の際、消費者はデバイスの所有権を持たない(すなわち、他の場所で売ったり下取りしてもらったりできる権利が付与されない)ので、当然といえば当然である。

契約終了時にデバイスを返却したくない(あるいは返却できない)場合、ユーザーはノンリターン(返却不可)料金を支払うが、この料金はスマートフォンの種類やリース期間によって異なる。例えばSmsungの「Galaxy S21 Ultra 5G」や「iPhone 12 Pro Max」(いずれも512GBモデル)を12カ月間使用した場合など、プレミアムモデルのノンリターン料金は600ポンド(約9万円)以上になることもある。

一方、契約終了後もアップグレードせずに同じデバイスを使い続けたい場合は、通常の月額料金を最長36カ月まで継続して支払うことが可能で、ノンリターン料金は1ポンド(約150円)になる。

Rayloのリースデバイスにはすべて24カ月間の保証が付いており、ユーザーによる破損や事故に起因しない故障については無償で修理を行い、修理ができない場合は代替機を提供するとしている。

今回のシリーズAラウンドについて、Octopus Venturesのアーリーステージフィンテック投資家であるTosin Agbabiaka(トーシン・アグバビアカ)氏は、声明の中で次のように述べる。「サブスクリプションエコノミーによって、商品やサービスへのアクセスは急速に変化しています。しかし、個人にとって最も価値のあるデバイスであるスマートフォンに関しては、消費者は所有権一体型のサービスの利用を余儀なくされています。ほとんどの人が買っては捨て、買っては捨てのサイクルに陥っていて、経済的にも環境的にも大きな負担となっています」。

「Rayloは、多くの消費者にプレミアムスマホを低価格のサブスクリプション料金で提供し、最新技術を利用できるようにすることでこの問題を解決します。一度使用された機器を再利用する同社のサービスは、この市場において消費者に支持される持続可能な選択肢となります。この市場には大きなチャンスがあります。私たちは、(Rayloの共同設立者の)Karl Gilbert(カール・ギルバート)氏、Richard Fulton(リチャード・フルトン)氏、Jinden Badesha(ジンデン・バデシャ)氏の3人には、スマートフォンの提供方法を進化させるビジョンと深い専門知識があると信じています」。

近年、ヨーロッパでは、多くの再生電子機器ビジネスが投資家の注目を集めており、欧州委員会でも「修理する権利」法の制定が検討されている。

この分野で最近行われた資金調達には、フランスの再生品市場スタートアップ「Back Market(バックマーケット)」の3億3500万ドル(約369億円)、ベルリンを拠点とする「Grover(グローバー)」の電子機器サブスクリプション事業に対する7,100万ドル(約79億円)、フィンランドを拠点とし、中古iPhoneの再生・販売を行う「Swappie(スワッピー)」の4,060万ドル(約45億円)などが挙げられる。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

現代自動車グループが2028年までに全商用車に水素燃料電池モデルを投入へ

Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)は持続可能性のための最優先エネルギーソリューションとして水素を支持している。今後数年内に展開する新しい燃料電池システムで、韓国の自動車メーカーである現代自動車グループは2028年までに同社の全商用車に水素燃料電池バージョンを提供すると明らかにした。

同グループは米国時間9月7日、同社のHydrogen Waveカンファレンスのライブストリームで水素を活用した未来戦略を発表した。同グループの代表取締役副社長で燃料電池センター責任者のSaehoon Kim(セフン・キム)氏は、2030年までにEV(電気自動車)バッテリーに匹敵するコスト競争力を獲得するのが目標だ、と述べた。

同社はまた、高性能で後輪駆動の水素スポーツカーVision FKの詳細も明らかにした。Vision FKは停止した状態から時速100kmに達するまで4秒もかからない500kWの燃料電池システムを搭載し、航続距離は600kmだ。生産開始時期については明らかにしなかった。

大半の自動車メーカーが乗用車EVと商用車EVの展開を始めているが、水素タイプはまだニッチなマーケットだ。しかし欧州、中国、米国が野心的な二酸化炭素排出削減目標を設定したのに伴い、成長中のマーケットでもある。トヨタ自動車、BMW 、Daimler(ダイムラー)も程度の差こそあれ、EVの開発を続けながら燃料電池テクノロジーを受け入れ始めた。この点において、現代自動車の水素への傾倒はEVへの傾倒を阻んでいない。現在のような気候状況では、あらゆるソリューションが必要だ。最高の燃料が選ばれるといい。

イベントでキム氏はまた、2023年に2種の水素燃料電池パワートレインを立ち上げる、と発表した。同社は2040年までに水素を主流にしたいと考えている。現代自動車の水素燃料スタックの第3世代は、乗用車向けが出力100 kW、商用車向けは200kWとなる。

現代自動車、Kia(起亜自動車)、Genesis(ジェネシス)を傘下にもつ現代自動車グループは現在、燃料電池バス「Elec City Fuel Cellバス」を展開していて、韓国で115台が走っている。また燃料電池トラック「Xcient Hyundai」も展開中で、こちらは45台が2020年スイスで導入された。

現代自動車は燃料電池SUVの「NEXO」を誇っていて、水素で駆動する多目的車両モデルとともに次のモデルを2023年に投入する計画だ。同社はミュンヘンで開催中のIAAモビリティカンファレンスで、大型の燃料電池で走るSUVを2025年以降に発売し、2030年までにさらに4種の商用車を投入する、とも発表した。同社は緊急車両や船舶、貨物トラック、トラム、フォークリフト、その他にも産業で使用される車両など異なるユースケース向けに燃料電池テクノロジーを提供することを目指している。

「燃料電池は水素のメリットをさまざまな分野の世界中の人に届けることができる実証済みのテクノロジーです」とキム氏は述べた。「基本的に燃料電池はエンジンのような発電機です。電気を蓄えるバッテリーとは異なります。燃料電池システムは発電する燃料電池スタック、水素供給システム、空気供給システム、熱管理システムで構成されます。水素と酸素を合わせることで発電し、内燃機関車両のエンジンと似ていますが、二酸化炭素を排出しません」。

同氏は続けて、燃料電池システムが化学反応を通じてエネルギーを生み出し、受動的にエネルギーを蓄えるだけのバッテリーと違って水素燃料が供給される限りエネルギーを生み出し続ける、とも説明した。現代自動車は生産、貯蔵、燃料電池テクノロジー、インフラなど、水素分野で成功するために必要なエコシステムの構築に取り組んでいる、と述べた。インフラの多くは、水を酸素と「グリーン」な水素に分解するためのクリーンパワーを生み出すのに必要な再生可能エネルギーを生産する太陽光と風力の発電施設となる。

独自のR&Dに加えて、現代自動車グループはH2Proのような水素スタートアップにすでに投資していて、政府が協力的で再生可能エネルギーリソースが豊富な国でグリーンな水素インフラを確立する計画も発表している。

この分野における取り組みの多くは、2040年までに二酸化炭素排出レベルを2019年の75%以下に削減し、2045年までにカーボンニュートラルになるという発表に続くものだ。現代自動車グループは全車両の30%が2030年までにゼロエミッションになり、全車両の80%が2040年までにバッテリー電気自動車と燃料電池車になると見込んでいる。

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画像クレジット:Hyundai Motor Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

世界中の環境テックベンチャー対象の助成プログラムを英Founders FactoryとスロバキアのG-Forceが展開

英国のテックアクセラレーターFounders Factory(ファウンダーズファクトリー)はFounders Factory Sustainability Seedプログラムの立ち上げで欧州の同業と力を合わせる。スロバキアのブラチスラヴァに拠点を置きつつ広範に活動しているG-Force​(GはGreenからとっている)との提携のもとに立ち上げたプログラムは気候テックのスタートアップへの投資と振興を目的としている。

プログラムは世界の温室効果ガス排出を削減し、循環型経済への移行を加速させ、持続可能な住宅供給や製造のソリューションを生み出し、また気候に優しいモビリティ、食糧生産、二酸化炭素・メタン回収・貯留に対応できるスタートアップの起業家に​投資する。

主にブラチスラヴァ以外で活動しているG-Forceとともに展開するこのプログラムは、遠隔と対面のサポートを織り交ぜた「ハイブリッド」方式で展開される。世界の環境テックベンチャーがプログラムに申し込んで参加できるように、との意図だ。

Sustainability SeedプログラムでFounders FactoryのパートナーとなるG-Forceは財務面で、Boris Zelený氏(ボリス・ゼレニー、AVASTに14億ドル[1540億円]で売却されたAVGを創業した人物だ)、Startup GrindのMarian Gazdik(マリアン・ガズディク)氏、そしてアーリーステージ投資家のPeter Külloi(ピーター・キューロイ)氏やMiklós Kóbor(ミクローシュ・コーボー)氏を含む多数の東欧の投資家によって支えられている。

プログラムに選ばれたスタートアップは最大15万ユーロ(約2000万円)のシード投資、Founders Factoryチームによる6カ月のサポート、潜在的な顧客やパートナー、法人、投資家への紹介を受けられる。

Founders FactoryのCEOであるHenry Lane Fox(ヘンリー・レーン・フォックス)氏は次のように述べた。「起業家が創造を得意とするディスラプトを促進することで、すべての人にとってより良い、そしてより持続可能な未来を形成することができます。G-Forceとの提携で、Founders Factory Sustainability Seedプログラムは世界にポジティブな影響を与えるベンチャーの育成とサポートを約束する主要プレシードプログラムになります」。

G-Forceの共同創業パートナーであるMarian Gazdik(マリアン・ガズディク)氏は「Founders Factory Sustainability Seedプログラムとの提携での我々の野望は、G-Forceを欧州の中心を拠点とする世界クラスの持続可能なイノベーションハブにすることです」と述べた。

アイデアを進展させて、レーン・フォックス氏は「これまでは1つの法人パートナーと組み合わせるのが当社のモデルでしたが、この特異なケースではエンジェル投資家のグループをまとめて紹介し、純粋な金融投資家との取引にすることができます。これは実際にこの特異な部門にうまく合うと考えています。我々はまた、そうした企業がプログラムを最大限活用できるよう、早い段階でより多くの資金を提供します」と筆者に語った。

ガズディク氏は、英国ではなく欧州を拠点とすることでEUの助成プログラムを利用することができる、とも付け加えた。

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画像クレジット:G-Force team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

「豆のないコーヒー」を分子合成技術で生み出すCompound Foods、環境や生産農家にも配慮

Compound Foodsの創業者でCEOのマリセル・センツ氏(画像クレジット:Compound Foods)

米国人の80%が毎日コーヒーを飲むといわれている。Compound Foodsの創業者でCEOのMaricel Saenz(マリセル・センツ)氏もその1人だが、彼女はコーヒーだけでなく、環境も愛している。

コスタリカで生まれて今はベイエリアの起業家である彼女は、気候変動が世界中のコーヒー生産農家に与えている影響にも関心がある。農産物を温室効果ガスの排出量の多さで順位をつけると、コーヒーは第5位になる。そこで彼女は、おいしいだけでなく持続可能性のあるコーヒーを作りたいと思った。

「気温の上昇と不規則な降雨が収穫量減少の原因です。同じ産地で、以前と同じような収穫量を望むことはできません。品質も悪くなってます。コスタリカの農家は農地を売って高地に移動しています。専門家の予測では、現在の農地の50%が20年後には使えなくなります」とセンツ氏はTechCrunchの取材に対して答えている。

2020年に創業されたCompound Foodsは、コーヒー豆を使わずに、合成生物学を利用して分子を取り出し、コーヒーを作る。センツ氏によると、同社はコーヒー、特に良質なコーヒーの組成を知るために多くの時間を費やし、味と香りの関係を突き止めようとした。

コーヒー豆が入っていなくても、公式な規制上の定義がないため、同社はそれを「コーヒー」と呼ぶことができる、とセンツ氏はいう。

センツ氏によると、カップ1杯のコーヒーを作るために140リットルの水が消費されているというが、同社は持続可能な原料を使い、大量の水を使わない科学的な方法で基本的な配合を生み出した。また同社は、コスタリカやチョコレート風味のブラジルコーヒーなど、世界各地の味と香りを再現できる人工コーヒーの作り方にも挑戦している。

Compound Foodsは450万ドル(約5億円)のシード資金を発表し、総調達額が530万ドル(約5億8000万円)になった。同社の支援者は、Chris Sacca(クリス・サッカ)氏の気候ファンドLowercarbon CapitalやSVLC、Humboldt Fund、Collaborative Fund、Maple VC、Petri Bioそしてエンジェル投資家のNick Green(ニック・グリーン)氏(Thrive MarketのCEO)などとなる。

センツ氏は、新たな資金を配合の改良とブランドの拡張に充てて、年内を予定しているソフトローンチに備えたいと述べている。

この分野にも別の技術による競合もある。たとえばシアトルのAtomoは「種子がコーヒー豆に似ている果実や植物」を使っているという。

Compound Foodsは、コーヒー愛好家を雇用してその技術を磨き、今後はマーケティングとプロダクトとビジネス担当のチームを作りたい、とのことだ。

そしてセンツ氏は、コーヒーと競合するつもりはないと明言している。

「コーヒーは好きだし、農家のこともよく知っている。私たちが提供するのは、あくまでも代替製品です。私たちはそれを別の方法で作り、将来は火星でも飲めるようにしたいと考えています。その宇宙旅行は、コーヒー農家や業界の人たちとご一緒したいですね」とセンツ氏は語る。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アイデア・消費者データを6カ月で商品化、クリーン食品コングロマリットStardayが約4.4億円調達

健康的で持続可能な食品を提供するStardayは「ビッグフード」と呼ばれる既存の巨大企業に対抗するため、シード資金として400万ドル(約4億4000万円)を調達した。

Equal VenturesとSlow Venturesが共同でこのラウンドを主導し、Haystack、Great Oaks Venture Capital、XFactor Ventures、ABV、およびエンジェル投資家グループが参加した。

共同創業者兼CEOのChaz Flexman(チャズ・フレックスマン)氏は、Pattern Brandsを辞めた後、2020年末に最初はリモートで同社を立ち上げた。同氏は、デジタルグローサリーが一桁台の市場から一夜にして二桁台になるのを目の当たりにした。

TechCrunchの取材に対し、フレックスマン氏はこう語った。「消費者がオンラインで商品の発見と購入を行うようになったという点で『Napster(ナップスター)の瞬間』のように感じられます。当社は消費者の関心を測定し、データを利用して成果を上げることで、Nestlé(ネスレ)のようなグローバル企業に対抗できるのです」。

市場調査会社のResearch and Marketsによると、世界の食品・飲料市場は2023年には7兆5000億ドル(約824兆円)に達すると予想されており、よりクリーンで持続可能な食品への需要が高まる見込みだという。

Stardayの技術は、そのようなデータを現在のトレンドや顧客の嗜好に基づいた商品に変えるものだ。新しいコンセプトをテストし、フィードバックを集め、調整してから新しい食品を市場に出すことができると、フレックスマン氏はいう。また、アイデアから商品化までの期間を従来の18カ月から6カ月に短縮でき、さらにフィードバックを他の潜在的なブランドの企画に活用することもできる。

「当社はデータを利用して、消費者の方々に彼らが今何を求めているのかを教えてもらっています。対して従来のビッグフードのやり方は、消費者の需要に追従して、栄養学的に悪く環境にも悪い食品を作るというものでした」。

Gooey Snacks(画像クレジット:Starday)

同社の最初のブランドは「Gooey Snacks」で、乳製品やパーム油を使わずに作られた、天然素材で低糖度のヘーゼルナッツチョコレートスプレッドだ。フレックスマン氏は、2021年後半に展開される1ブランドを含め、今後1年間で4〜5ブランドの開発を見込んでいる。

StardayはGooey Snacksのようなブランドをさらに立ち上げ、チームを成長させ、新たな小売店とのパートナーシップを築き、データや予測能力を強化するためにシードラウンドを実施した。同社の従業員は現在4名だが、今後数週間で7名体制にする予定だという。

Equal VenturesのパートナーであるRick Zullo(リック・ズーロ)氏は、同社がPattern Brandsに投資した際にフレックスマン氏と出会ったと語り、新しいタイプの食品会社を目指すフレックスマン氏のビジョンは、Equalが食品業界に対して抱いているビジョンと一致していると述べた。

ズーロ氏は、Stardayは単なる製品会社ではなく、新しい食べ方や新製品カテゴリーを市場に送り出すためのプラットフォーム会社であると考えている。

「Stardayは、消費者が何を求めているのか、何が最も効果的なのかを理解するために、きめ細かいデータを備えています」とズーロ氏は付け加えた。「デジタルグローサリーが初期の概念であった頃は、このようなことはできませんでした。フォーカスグループやテストローンチをする必要がないため、(従来に比べ製品開発は)本当にわずかな時間で、しかもより安くすむのです」。

編集部注:日本のECプラットフォームであるStardayとこの記事のStardayは別会社。

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カテゴリー:フードテック
タグ:Starday資金調達持続可能性

画像クレジット:Getty Images under a metamorworks license.

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

持続可能性にフォーカスするアップルのImpact Acceleratorが支援する有色人種企業15社を決定

Apple(アップル)による最近の社会奉仕事業の中に、Impact Acceleratorがある。ほぼ1年前に立ち上げた取り組みで、持続可能性や気候変動の問題に取り組んでいるマイノリティが経営する小規模企業を見つけて支援する。現在、その事業には最初の15社の参加企業があり、米国中から集まって3カ月のプログラムをこなし、Appleとの契約を得る。

Impact Acceleratorは同社の、1億ドル(約110億円)を投じた人種的平等と正義のための計画の一環だ。この計画はいくつかの努力目標からなり、既存の事業に資金を直接投じるものもあれば、有色人種が経営するベンチャー企業へお金が行くものもある。とにかく、Initiativeのチームが良いと考えた投資が対象だ。

これらの企業は、3カ月のバーチャルプログラムに参加する。Appleの発表にその詳細はないが、その後、Appleのカーボンニュートラルなサプライチェーンという目標のための、サプライヤーになる機会が得られる。

Appleが作成した15社のプロフィールはこのリストに載っているが、特に私の目についたのは次の5社だ。

  • Volt Energy Utility (共同創業者:Gilbert Campbell III): 恵まれてないコミュニティのための電力会社並の規模のソーラープロジェクト。
  • Bench-Tek (創業者:Maria Castellon): 環境フレンドリーな素材を使ったラボベンチ(実験台)。
  • Vericool(創業者:Darrell Jobe): 発泡スチロールの持続可能バージョンなど各種包装資材を作り、元服役者たちの職場とする。
  • Oceti Sakowin Power Authority (会長:Lyle Jack): 6人のスー族によるNGOで、中西部の保留地に再生可能エネルギーを供給する。
  • Mosaic Global Transportation(創業者:Maurice H. Brewster):企業の従業員用や各種イベント用にEVだけによるシャトル隊を提供する。

Appleの環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデントであるLisa Jackson(リサ・ジャクソン)氏は発表声明で次のように述べている。「私たちが現在、提携している企業は、明日の多様で革新的な業界のリーダーになるところです。この方たちが作り出す変化がさざなみのように広がり、伝わり、気候変動がもたらした緊急的な危機に、世界中のコミュニティが対応できるようになるでしょう」。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Apple持続可能性気候変動カーボンニュートラル

画像クレジット:Apple

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国が「冷却水いらず」な実験用原子炉による9月実験開始を計画、2030年に商業用原子炉の建設を予定

中国が「冷却水いらず」な実験用原子炉による9月実験開始を計画、2030年に商業用原子炉の建設を予定

Thorium pellets. Pallava Bagla/Corbis via Getty Images

中国政府の科学者は、世界初をうたう、冷却のための水を必要としない実験用原子炉の計画を発表しました。来月にも原子炉は完成し、9月から最初の実験が開始される予定です。中国はこの実験炉での実験がうまくいくならば、早ければ2030年に最初の商業用原子炉を建設する予定。そしてその後は水が必要ない利点を活かして砂漠や平原地域にこの原子炉を置き、さらには「一帯一路」構想に参加する国にも最大30基を建設する予定だとしました。

中国人民政治協商会議(CPPCC)の常任委員、王守軍氏は、CPPCCのウェブサイトに掲載された報告書で「原子力での『進出』はすでに国家戦略であり、原子力の輸出は輸出貿易の最適化と、国内のハイエンドな製造能力を解放するのに役立つ」と述べています。

この構想の原子炉が大量の水を必要としないのは、燃料にウランではなく液体トリウムを使う溶融塩原子炉だからです。この原子炉ではトリウムを液体のフッ化物塩に溶かし込み、600℃以上の温度で原子炉に送り込みます。原子炉の中で高エネルギーの中性子が衝突することでトリウムがウラン233に変化し、核分裂の連鎖反応を開始します。こうしてトリウムと溶融塩の混合物が加熱され、それを2つめの炉室に贈ることで大きなエネルギーを抽出、発電に利用します。

溶融塩は空気に触れれば冷えて固まります。そのため、万が一漏洩があったとしても、核反応は自然におさまり、トリウムが外界に漏れ出ることもほとんどないとのこと。またトリウムはウランに比べて核兵器への転用が難しく、また安価で入手しやすいという点もメリットとされます。

この溶融塩原子炉の試作機を開発した上海応用物理研究所によれば、計画は中国が2060年までにカーボンニュートラルを実現するという目標の一環とのこと。2019年の米調査会社の報告によると、世界の炭素排出量の27%が中国が占めています。これは他の先進国全体を合計しても届かない数値であり、世界からの厳しい目が中国に向けられています。

溶融塩原子炉のアイデアは新しいものではなく、1946年に米空軍の前進組織が超音速ジェット機を開発するときに考えられました。しかし、その後の開発においては溶融塩のあまりの温度に配管が耐えられなかったり、トリウムの反応がウランに比べて弱いことから、結局ウランを添加しないと核分裂反応が持続させられないといった技術的なハードルを解決できず、研究は中止されました。

ちなみに、米国では6月に資産家のビル・ゲイツ氏とウォーレン・バフェット氏が出資する企業が「ナトリウム高速原子炉(SFR)」という新しい原子力発電方式の実証炉をワイオミング州の石炭火力発電所に建設することを発表しています。こちらは仕組み的には日本がかつて研究開発していた高速増殖炉「もんじゅ」の方式を発展させた方式のものとされます。

原子力発電というと、われわれ日本人はどうしても福島の原発事故や、広島・長崎の原爆投下を思い出し、放射能流出が心配になりがちです。化石燃料を使った発電から再エネへの積極的な転換を目指す大きな流れもあるなか、米中という大国が従来より安全とはいえ新たな原子力を開発し、これを推進するなら、その先の世界がどうなっていくのかは気になるところです。

(Source:LIve ScienceEngadget日本版より転載)

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テスラが高まるニッケル需要に備え鉱山大手BHPと供給契約を締結

Tesla(テスラ)は、鉱業資源の巨人BHPからのニッケル供給を確保した。今後10年で需要の急増が見込まれている原材料の直接提供元を確保しようとする同社の最新行動だ。

BHPのNickel Westディビジョンは、オーストラリア西部の同社鉱山から非公表の量のニッケルを提供する。両社はバッテリーサプライチェーンの持続可能性の向上、および再生可能エネルギーと組み合わせたエネルギーストレージを使ってそれぞれの事業運用における炭素排出量削減方法でも協力する。

ニッケルはリチウムイオン電池の主要な鉱物であり、Teslaの次世代バッテリー化学の主役だ。リチウムイオン電池の多くがニッケル、マンガン、コバルトから成るカソードを使っているのに対して、Teslaは異なる戦術を取っている。TeslaのBattery Day 2020カンファレンスでElon Musk(イーロン・マスク)氏は、一部のモデル向けに、ニッケルが多くコバルトを使わないカソードに投資すると語り、エネルギー密度を高くするためであることを理由に挙げた。

Teslaは、次の10年にバッテリー生産を増強する意向に迷いがない。2022年までに100ギガワット時、2030年までには年間3テラワット時相当のバッテリーを生産する計画だ。

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それに向けて同社は、ニッケル生産最大手との購入契約締結にすばやく動いている。2021年Teslaは、フランス領ニューカレドニアのニッケル製造企業との提携を発表した。そのわずか数カ月後、TeslaのRobyn Denholm(ロビン・デンホルム)会長は、同社がオーストラリアからだけで年間約10億ドルのバッテリー用鉱物を購入するつもりであることを認めた。

マスク氏は、鉱山会社にもっとニッケルを生産するよう再三要請してきた。7月の投資家向け電話会見で同氏は生産者に対して「Teslaはニッケルを効率よく、かつ環境を重視した方法で採掘する会社と長期の大型契約を結びます」と語った。Battery Dayカンファレンスでも同氏は同じ立場を繰り返した。「スケーリングするためには当社のニッケル総入手量が制約を受けないようにする必要があります」と彼は言った。「実際私は世界最大の鉱山会社のCEOに『もっとたくさんニッケルを作ってください、非常に重要なのです』と言ったほどです」。

しかし、環境に優しいニッケル供給源を見つけるのは容易ではない。現在の回収、精錬技術特有の問題も関係しているし、採掘会社が直接管理可能な問題もある。例えば世界最大の金属生産国であるインドネシアのニッケル採鉱事業は、石炭への依存と廃棄物処理技術に関して非難の的になっている。

BHPは同社の活動は世界最大級に持続可能だと謳っており、Teslaがパートナーとしてこの会社を選んだことはその事実を裏付けるものと見ることができる。同社は2021年2月に、あるニッケル精錬所の使用電力の50%が太陽エネルギー由来であると述べている。

現在、世界のニッケル供給の大部分が鉄鋼産業によって消費されている。現在のEVとエネルギー貯蔵分野のニッケル需要は比較的少ないが、International Energy Agency(国際エネルギー機関)は2020年の81トンから2040年には3352トンへと、今後20年間に4000%以上増加すると予測している。

歴史的にNickel Westは、BHPの鉄鉱、銅、および石油事業と比べて全事業のごくわずかな部分でしかない。BHPは2015年前後にNickel Westを数度に渡って売却しようとしたが、EVとエネルギーストレージ分野の需要の高まりから方針転換したようだ。

業界アナリストのBenchmark Minerals(ベンチマーク・ミネラルズ)は、Teslaとの契約は年間1万8000トンのニッケルに相当する価値があると推測した。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:TeslaニッケルBHPバッテリー再生可能エネルギー持続可能性リチウムイオン電池

画像クレジット:Tesla

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

持続可能な水産養殖を支援するウミトロンとイオンがこだわりの養殖魚「うみとさち」を7月22日・海の日から実証販売

持続可能な水産養殖を支援するウミトロンとイオンがこだわりの養殖魚「うみとさち」を7月22日の「海の日」から実証販売

AI、IoT、衛星リモートセンシングなどのテクノロジーを水産養殖に活かすことで食料問題と環境問題の解決に取り組む「ウミトロン」は7月21日、イオンリテールと共同で、おいしさ・安心・サステナブルの3点にこだわった養殖魚「うみとさち」を、7月22日の「海の日」から実証販売すると発表した。

この実証実験は、売り場にPOPやリーフレットを置き、商品にはQRコードを添付して、「生産者による品質や安心へのこだわり、海の持続可能性に配慮した取り組み」などを消費者に伝えるというもの。また、海の未来を考える料理人集団Chefs for the Blueに所属するミシュランシェフたちが考案した和洋中など6ジャンルの簡単レシピ、生産者や養殖魚に関する情報なども提供される。

実証販売は、東北、関東を除く本州と四国の「イオン」「イオンスタイル」で、7月22日から25日、さらに7月30日と31日に行われる。販売されるのは、「地域の生物多様性や水質保全など海洋環境に配慮し、国際基準に則った飼料・投薬使用を行なっている」真鯛商品。

ウミトロンのテクノロジーのひとつに、スマート給餌機「UMITRON CELL」がある。AIで魚の食欲に合わせた餌やりが可能で、複数真鯛事業者との大規模実証実験の結果、従来給餌量の2割削減を達成できた。魚の食欲をスマートフォンで確かめ、遠隔で餌やりを行うことで、これまでより少ない餌でも、出荷時のサイズや質が保ちつつ育成期間を1年から10カ月に短縮できたという。餌の海洋流出も抑えられる。

このようにウミトロンは生産現場の課題解決に取り組む中、消費者側の海の持続可能性に対する認識を高め、購買チャンネルを増やすことも重要だと感じていた。そこで「うみとさち」ブランドを立ち上げた。今回の実証販売の目的はそこにある。ウミトロンと同じく、持続可能な生態系づくりを支援しているイオンリテールの理念と合致したことから、この実証販売が実現した。

持続可能な水産養殖を支援するウミトロンとイオンがこだわりの養殖魚「うみとさち」を7月22日の「海の日」から実証販売

真鯛商品イメージ(切り身)

持続可能な水産養殖を支援するウミトロンとイオンがこだわりの養殖魚「うみとさち」を7月22日の「海の日」から実証販売

真鯛商品イメージ(刺身)

今後は、「うみとさち」の取り扱い魚種と商品形態を増やし、「サステナブルシーフードを(消費者の)日常生活の購買における身近な選択肢のひとつ」となるよう展開してゆくとのことだ。

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カテゴリー:フードテック
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BMW i Venturesが持続可能な技術への投資を目的とした約336億円の新ファンドを発表

BMWグループのベンチャーキャピタル部門であるBMW i Venturesは、輸送、製造、サプライチェーンをより持続可能にする技術への投資を促進するため、新たに3億ドル(約336億円)のファンドを設立するとを発表した。

このファンドは、従来のコーポレートベンチャーキャピタルとしては運営されておらず、ドイツの自動車メーカーであるBMWの全面的な支援を受けながら、BMWから独立して活動している。2016年のシリコンバレー移転時に発表した1つ前の5億ユーロ(約660億円)のファンドは、新規投資の期間が終了した。今後、新規投資はファンドIIから行われる。

ファンドIでは、自律走行車やデジタル車両技術、カスタマーエクスペリエンス、先進的な生産に重点を置いていた。例えば、先週、BMW i Venturesからの投資を発表した自律走行トラックのKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、このファンドの投資先だった。ファンドIIでは、自動車のコア技術に特化して投資するのではなく、自動車の設計、製造、製造に至るすべての分野で、持続可能性とゼロエミッションをさらに重視していく。

「持続可能なサプライチェーンは、我々が今、本当に関心を寄せていることの1つです」と、BMW i VenturesのマネージングパートナーであるMarcus Behrendt(マーカス・ベーレント)氏はTechCrunchに話した。「BMWは二酸化炭素排出量を大幅に削減したいと発表しました。そのため、自動車からの排出だけでなく、自動車の製造や開発の際に発生する排出も含めて、あらゆる形態の二酸化炭素排出を視野に検討しています」。

BMW i Venturesは、2019年末にこうした持続可能な投資に足を踏み入れ始め、スマートな電気モーターシステムを開発しているTurntide Technologies、固体電池技術のSolid Power、金属産業の脱炭素化を目指すBoston Metalに投資した。ベーレント氏によれば、最近の投資はファンドIIがもたらすものを示唆している。新ファンドの最初の投資先は、英国の中古車販売会社であるMotorwayだ。

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「我々には今、2つの目標があります。第1は財務的な目標で、これは我々の最も重要な原動力です」と、BMW i VenturesのマネージングパートナーであるKasper Sage(カスパー・セイジ)氏はTechCrunchに語った。「世の中のコーポレートベンチャーキャピタルには、投資収益率を気にせず、投資にともなう事業上の取引から利益を得ようとするところもありますが、それは実際には投資先のビジネスを傷つける可能性があります。我々の目標は、その会社をできる限り成功させることです」。

第2の目標は「母艦」であるミュンヘンのBMWグループに戦略的価値を提供することだ。主にアーリーステージの企業に投資することで、早期に市場のシグナルをつかみ、それをBMWに伝えることができる。

「場合によっては、こういう新しい技術が存在し、あなたにも関係のあることかもしれないということを認識してもらうだけです」とセイジ氏はいう。「例えば、当社はLimeに投資しましたが、これはマイクロモビリティであり、自動車との接点はありません。しかし、これは人々がAからBへ移動する方法に関する未来の一部であることを理解することが重要です」。

ベーレント氏とセージ氏はいずれも、BMW i Venturesは投資先を買収する意図はなく、将来的にBMWや他の業界と協力できる可能性の高い企業を見つけるために最前線に立っていたいと話した。

セイジ氏によると、同社はこれまでに12社のイグジットを行い、加えて現時点で6社の上場企業と、最近S-1を申請し、間もなく上場する予定の1社に投資しているという。

「投資をするのに会社の賛同は必要ありません」とベーレント氏はいう。「デューデリジェンスのためにエンジニアに相談したり、他のスタートアップとつながりを持ったりしています。我々は両方の良いところを組み合わせようとしています。つまり、当社はファイナンシャルVCのように行動し、取締役会に席を確保し、ラウンドをリードし、迅速な決断を下すことができます。また、当社は組織内のあらゆるコネクションを企業に提供しています」。

BMW i Venturesが投資するスタートアップ企業は、BMWのエンジニアや社員とのネットワークを築くことができ、また、自動車のエコシステムがどのように機能するかをレガシー企業から学ぶことができるというメリットがある。ベーレント氏によると、Solid Powerのように技術の確立がさらに4、5年先になる企業の場合、BMWの事業部門との間に、そうした企業の成長を支援する強い協力関係があるという。

「これはWin-Winの状況です」とベーレント氏は話す。「当社は彼らを紹介し、会社に連れて行きます。彼らは適切なエンジニアと話をすることになります。契約を獲得できるという保証はありませんが、一緒に仕事をして、模索して、サポートを得て、もしかしたらすばやい解決策で助けてくれるかもしれません」。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:BMW持続可能性二酸化炭素排出量二酸化炭素投資ファンド

画像クレジット:MW i Ventures

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動ユーティリティバイクUBCOは持続可能性に優れるサブスクモデルで世界展開と循環型経済分野のリードを目指す

電動ユーティリティーバイクのスタートアップ企業でニュージーランドを拠点とするUBCO(ウブコ)は、米国市場を中心としたグローバル展開と商用サブスクリプションサービス事業の規模拡大のために、1000万ドル(約11億円)の資金調達を行った。

UBCOの主力製品である「UBCO 2×2」は、ダートバイクのような外観でありながら、モペッドのように乗ることができる全輪駆動の電動バイクだ。農家が牧草地や農場を簡単に、安全に、すばやく移動するためのソリューションとして始まったUbco製品は、今では配達業務用途の法人顧客や、ギグエコノミーワーカー、シティライダーに使用される都市部向けバージョンを含むラインナップにまで拡大している。

2015年に創業してから、同社は2つのバージョンの電動ユーティリティバイクを製造してきた。オリジナルのオフロード車である「Work Bike(ワーク・バイク)」と、街乗り用に作られているがオフロードにも十分に対応できる新バージョンの「Adventure Bike(アドベンチャー・バイク)」だ。

UBCOは、Seven Peak Ventures(セブン・ピーク・ベンチャーズ)、Nuance Capital(ニュアンス・キャピタル)、TPK Holdings(TPKホールディングス)が主導するラウンドで新たな資金を獲得したことで、フードデリバリー、郵便サービス、ラストマイル物流など、既存の垂直市場の分野を拡大していきたいと考えている。同社はすでに、ニュージーランドとイギリスのDomino’s(ドミノ・ピザ)と提携している他、ニュージーランド・ポスト、国防軍、自然保護局、Pāmuなどの国内企業や、地元のレストランや店舗などを顧客としている。

同社共同設立者でCEOのTimothy Allan(ティモシー・アラン)氏は「当社はニュージーランドで強力なエンタープライズ市場を有しており、国際的にも強力な販売パイプラインを構築しています」と、TechCrunchに語っている。

現在、UBCOの収益の大半は一般消費者向けの直販が占めているが、同社は企業向け、特にサブスクリプションサービスを積極的に推進している。2×2は、車両と電源システム、クラウド接続、データ分析などを含むインテリジェントなプラットフォームとして構築されているため、サブスクリプションモデルは車両マネジメントシステムとの連携が可能だ。

同社はサブスクリプションによる年間経常収益の増加を推し進めることで、2020年に210万ドル(約2億3000万円)だった収益が、2021年末には840万ドル(約9億3000万円)にまで上昇すると見込んでいる。UBCOのサブスクリプションモデルは、配達用途などで複数台の車両を使用する企業向けに、1台1週間あたり75~85ニュージーランドドル(約5800〜6600円)で提供するというもので、2021年から2022年にかけて、ニュージーランド、オーストラリア、英国、欧州、米国で展開を予定している。同社の広報担当者によると、一般消費者も今後2、3カ月以内にサブスクリプションを利用できるようになるという。

アラン氏は、EV業界の未来はサブスクリプションにあると考えている。それは、収益性が高いだけでなく、環境面でも持続可能性に優れるからだ。このビジネスモデルを拡大することで、同社は循環型経済の分野をリードしていきたいと考えている。

UBCOでは、サブスクリプションモデルで運用される車両の寿命は、販売される車両の4倍になると予測しており、内燃エンジン車と比較すると二酸化炭素の排出量を80%削減できるとしている。

「サブスクリプションとは、当社で車両を所有し、そのライフサイクルを管理することを意味します」と、アラン氏はいう。「例えば、製造されてから最初は、ピザの配達で6万キロメートル、あるいは農地で3万キロメートルといった過酷な状況に使用します。そしてその後、車両をもっと低強度の用途に転用させます。さらにその後は、バッテリーを取り出して、太陽光発電の蓄電池などの用途に利用することができます」。

耐用寿命後の問題を解決することは、個人としても職業上でも困難であり、誰も正しい方法を完全には理解していないため、創造の余地があるとアラン氏は考えている。彼はリサイクルを容易にするために、車両のエンジニアリングにはボトムアップのアプローチを取っていると語る。

「例えば、バッテリーを設計するときに、難燃性の発泡体を入れるのはやめた方がいい。寿命が尽きたときに元に戻せないからです」と、アラン氏はいう。「つまり、正しいラベルを貼ることから始まり、意図を持ってエンジニアリングを行い、そのような製造上のことも想定して設計し、さらに会社の事業や商業システムが、そのコンセプトをサポートする必要があります。現在、私たちは経済性と動機が一致しており、ニュージーランドのプロダクトスチュワードシップ法にも適合しているので、優位な立場にあります」。

実務で使用される車両を使って循環型経済を実現しようとするのは、単に環境のために正しいことをするというだけではない。アラン氏はこれが最終的にはビジネス上の賢明な決断であり、それが顧客を惹きつけ、法人顧客に競争力を与えるものになると考えている。

「当社の顧客はその一翼を担うことになります」と、アラン氏は語る。「私達がそれを可能にするためには、顧客が快適に利用できるようにサブスクリプションと車両の寿命を設計しなければなりません。ほとんどの人は正しいことをしたいと思っています。私たちは、論理的に経済に適合し、大規模に行うことができ、全体的に管理できるシステムを提供することができるのです」。

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タグ:UBCOサブスクリプション電動バイク循環型経済ニュージーランド持続可能性

画像クレジット:UBCO

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

さくらインターネットが石狩データセンターの主要電力をLNG発電に変更、年間CO2排出量の約24%にあたる約4800トン削減

さくらインターネットが石狩データセンターの主要電力をLNG発電に変更、年間CO2排出量の約24%にあたる約4800トンを削減

クラウドコンピューティングサービスのさくらインターネットは6月21日、北海道石狩市・石狩データセンターの電力調達先について、LNG(液化天然ガス)火力発電を主体とする電力会社に6月より変更したと発表した。これにより、石狩データセンターの二酸化炭素(CO2)年間排出量を約4800トン削減できるという。

サーバー室面積5000平方m2以上、ラック単位の電力供給量が6kVA(キロボルトアンペア)以上の大規模データセンター、いわゆる「ハイパースケールデータセンター」は、IDC Japanが2021年5月に発表した調査報告によると、2021年から2025年までの日本国内での平均成長率は、床面積ベースで28.8%になると予測されている。またハイパースケールデータセンターは消費電力も大きく、「電力キャパシティベース」での年間平均成長率は面積ベースよりも高い37.2%と見積もられている。そのため、ハイパースケールデータセンターにはサステナブルな対応が求められている。

さくらインターネットの石狩データセンターは、2011年の開所以来、北海道の冷涼な気候を活かした外気による冷却や排熱利用など、サステナビリティーに積極的に取り組んできた。その影響で、都市型データセンターと比較して約6割まで電力量を削減しているという。今回、LNG火力発電に切り替えることで、二酸化炭素排出量は、従来の24%にあたる4800トンが削減可能となる。「『やりたいこと』を『できる』に変える」との企業理念の下、今後もサステナブルなデータセンター運営を通じて社会のDXを支えてゆくと、同社は話している。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:SDGs(用語)さくらインターネット(企業・サービス)持続可能性 / サステナビリティ(用語)電力 / 電力網(用語)データセンター(用語)二酸化炭素排出量 / カーボンフットプリント(用語)日本(国・地域)