NASAが火星ヘリコプターの任務を9月まで延長

火星で多忙な1年を過ごしたNASAのヘリコプター「Ingenuity(インジェニュイティ、創意工夫という意味)」だが、今後もその勢いが衰えることはなさそうだ。21回の飛行を行った後も、依然として機体は良好な状態にあるため、NASAはその任務を少なくとも9月まで延長することにした。

Ingenuityは2021年2月18日に、NASAの探査車「Perseverance(パーサヴィアランス、忍耐という意味)」とともに赤い惑星に到着した。その元々のミッションは、単に火星の薄い大気圏でヘリコプターを飛ばす能力を実証することだった。3回の飛行でその技術を証明し、地球以外の惑星における初の動力飛行を達成した後、NASAはIngenuityを運用モードに移行させ、さらに2回の飛行を行った。以来、このヘリコプターは16回の飛行を行い、その能力をさらに試しながら、PerseveranceがJezero(ジェゼロ)クレーターを運航するのを支援した。しかし、今は新しいミッションに取り掛かっている。ジェゼロ川の三角州の探索だ。

「ジェゼロ川の三角州探査は、火星における初飛行以来、Ingenuityチームが直面する最大の挑戦となるでしょう」と、NASAジェット推進研究所のIngenuityチーム責任者を務めるTeddy Tzanetosの(テディ・ツァネトス)はプレスリリースで述べている。

この地域は、IngenuityとPerseveranceの両方にとって危険な場所だ。「ギザギザの崖、角度のある地面、突き出た巨礫、砂で満ちたポケット」がたくさんあり、探査車の進路を止めたり、着陸時にヘリコプターをひっくり返す」可能性があると、リリースには述べられている。しかし、これはIngenuityがその偵察能力を証明する大きな機会だ。このヘリコプターによる観測は、Perseveranceがこれから進むべきルートに影響を与えるだけでなく、火星に微生物が生息していた証拠を探し、やがて地球に持ち帰ることができるコアサンプルを採取するという科学ミッションにも関わってくる。さらに、Ingenuityの飛行で得られたデータは、次世代の火星探査機の設計に活かされるだろう。

「1年近く前には、火星での動力制御飛行が可能かどうかさえ、私たちにはわかりませんでした」と、NASAの科学ミッション本部のThomas Zurbuchen(トーマス・ズルブチェン)副本部長は述べている。「今、私たちはIngenuityがPerseveranceの2回目の科学研究活動に参加することを楽しみにしています」。

Ingenuityは現在、当初の飛行区域からSéítah(セイタ)と呼ばれる地域を横断し、それからジェゼロ川の三角州を探索するするために、少なくとも3回は必要なフライトの1回目を終えたところだ。次のフライトはいつになるか、現時点では未定となっている。

「私にとって今度のフライトは、我々の運航日誌への22回目の書き込みとなります」と、NASAジェット推進研究所のチーフパイロットであるHåvard Grip(ホーバード・グリップ)氏は、プレスリリースで語っている。「最初にこのプロジェクトが始まった時、3回も飛べたらラッキー、5回も飛べたら大変な幸運だと思ったのを覚えています。この調子でいけば、2冊目の日誌が必要になりそうです」。

おそらく、NASAはそれほど驚いていないだろう。同航空宇宙局の火星探査機はすべて、当初のミッション期間を大幅に上回る驚異的な寿命を備えている。時にそれは火星の周期で数千日分にもなるほどだ。Ingenuityもそれに倣っているのは当然のことだ。

画像クレジット:NASA/JPL-Caltech

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(文:Stefanie Waldek、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SkyDriveとスズキが「空飛ぶクルマ」事業・技術連携に関する協定締結、機体開発・製造・量産体制・インド市場開拓検討

SkyDriveとスズキが「空飛ぶクルマ」事業・技術連携に関する協定締結、機体開発・製造・量産体制・インド市場開拓など検討

SkyDriveスズキは3月22日、「空飛ぶクルマ」(eVTOL)の事業化を目指し、連携協定を締結したと発表した。「機体開発および要素技術の研究開発」「製造・量産体制および計画」「スズキの四輪・二輪・マリンに『空飛ぶクルマ』を加えた新しいモビリティの具体化」「インドを中心とした本件対象の海外市場開拓」について、検討を開始する。

SkyDriveは、空飛ぶクルマの機体メーカーとして、日常の移動に空を活用すべく現在2人乗りの機体を開発中。2025年の大阪・関西万博開催時の大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの実現、また各地域での事業展開を目指している。

SkyDriveは、自動車同様の世界最小のコンパクトで電動の「空飛ぶクルマ」の製造を目指して開発を推進。スズキはコンパクトカーの製造・販売を得意としている。

SkyDriveとスズキは、相互の連携を図ることで、四輪・二輪・マリンに続く、新しいモビリティ「空飛ぶクルマ」への事業参入を検討し、多様な選択肢を顧客に提供したいという思いから連携協定を締結することとなった。

今後、事業・技術連携を行うことで、技術の研究開発、製造・量産体制の計画、インドを中心とした海外市場開拓を推進し、カーボンニュートラルへの取り組みも推進する。

Preferred Roboticsが6億円調達、旭化成ホームズと家庭向け自律移動ロボ開発や三井住友銀行と自律移動ロボの決済機能開発

Preferred Roboticsが6億円調達、旭化成ホームズと家庭向け自律移動ロボ開発や三井住友銀行と自律移動ロボの決済機能開発

Preferred Robotics(プリファードロボティクス。PFRobotics)は3月22日、第三者割当増資による約6億円の資金調達を3月18日に実施したと発表した。引受先は、旭化成ホームズ三井住友銀行

調達した資金により、財務基盤の強化、優秀な人材の確保、ロボットの開発および製造のための投資を行う。

同時にPFRoboticsは、親会社Preferred Networks(PFN)と旭化成ホームズが実施した実証研究を引き継ぎ、今後PFRoboticsと旭化成ホームズで家庭向けの自律移動ロボットの共同開発を行う予定。また三井住友銀行とは、自律移動ロボットの決済機能や金融サービス提供機能などの共同開発を目指すとともに、同社のネットワークを活用して、顧客ニーズに基づく新たなロボットを多様な事業者などと共創する。

PFRoboticsは、PFNおよび協業企業との連携を強化し、共同開発および自社開発の自律移動ロボットの販売を年内に開始する計画という。

Preferred Roboticsは、PFN子会社として 2021年11月に設立。PFNと共に掲げるビジョン「すべての人にロボットを」の実現に向け、自律移動ロボットの研究開発を行っている。また同社は、PFNの機械学習・深層学習技術を応用し、様々な用途の自律移動ロボットの製造・販売を目指している。

次世代型mRNA創薬の実用化に向けた名古屋大学発スタートアップCrafton Biotechnology設立

次世代型mRNA創薬の実用化に向けた名古屋大学発スタートアップCrafton Biotechnology設立

名古屋大学は3月18日、メッセンジャーRNA(mRNA)の製造、分子設計・医学に関する知見、AI、データサイエンス、シンセティックバイオロジー(合成生物学)などの最先端技術を融合し、次世代型mRNA創薬を目指す名古屋大学発スタートアップCrafton Biotechnology(クラフトンバイオロジー)を3月1日に設立したと発表した。国産mRNAワクチンの速やかな供給をはじめ、がんや遺伝子病の治療、再生医療にも応用されるmRNA創薬に取り組むという。

Crafton Biotechnologyは、名古屋大学、京都府立医科大学、早稲田大学、理化学研究所、横浜市立大学の共同研究を実用化することを目的に設立された。10年以上にわたりmRNAワクチンと医薬品の開発に取り組んできた名古屋大学大学院理学研究科の阿部洋教授と京都府立医科大学大学院医学研究科医系化学の内田智士准教授らが、AI、データサイエンスを専門とする早稲田大学の浜田道昭教授、シンセティックバイオロジーを専門とし進化分子工学の手法を採り入れた次世代mRNAの製造法と設計法を開発する理化学研究所の清水義宏チームリーダー、さらに、副反応の少ないmRNAワクチンの開発を進める京都府立医科大学大学院医学研究科麻酔科学の佐和貞治教授と横浜市立大学眼科学の柳靖雄教授らが連携し、「強固なベンチャーエコシステム」を構築するという。そのとりまとめを行うのが、代表取締役を務める名古屋大学大学院理学研究科の金承鶴特任教授。そのほか、安倍洋教授が最高科学責任者、内田智士准教授が最高医療責任者に就任した。名古屋大学インキュベーション施設に拠点を置き、各研究機関の技術をライセンス化して一元的に集約。mRNA技術の事業基盤を確立し開発を促進する。

同社は数年以内に国内でmRNAを製造できる体制を整備し、安定供給を目指す。また独自の創薬技術を整備して、新型コロナウイルスに限らず、感染症のパンデミック時に独自開発したmRNAワクチンの迅速な供給を可能にすると話す。また、治療技術の海外依存度が大変に高くなっている現在、医薬品産業における日本の国際競争力を高める上で非常に重要な「ワクチンを超えた医薬品としてのmRNAの応用」として、がんや遺伝性疾患、再生医療への応用にも取り組むとしている。

Match Groupがひとり親向け最新デートアプリ「Stir」を米国で提供開始、スケジュール管理機能搭載

Tinder(ティンダー)、Match(マッチ)、OkCupid(オーケーキューピッド)、Hinge(ヒンジ)などを展開している出会い系アプリ大手のMatch Group(マッチ・グループ)が、米国時間3月21日、その出会い系サービスのラインナップに、シングルペアレント専用アプリStir(スター)を新たに追加した。今回のリリースは、既存の出会い系アプリでは十分なサービスを受けられていない、全米2000万人のシングルペアレントへの対応を目指すという。Stirの最大の特徴は「Stir Time」(スター・タイム)という名のスケジュール管理機能だ。この機能を使えば、デートの時間を調整する際の困難が軽減される。たとえばコペアレント(元配偶者との間で分担する養育)時間や、子どもの習い事、その他の子育て関連に関連する時間だ。

Match Groupによれば、シングルペアレントの4人に1人(27%)がスケジュールの調整でデートに行けないと回答していることから、Stir Timeを導入したのだという。

アプリ内の機能として、空いていることが多い曜日や時間帯を「午前」「午後」「夜」という一般的な形で指定することができる。こうすることで、いわゆる「自由時間」が週に数回しかないような親でも、同じようなスケジュールの人とマッチングすることができる。

画像クレジット:Match Group

デートの調整を容易にするだけでなく、Hingeと同様に、ユーザーがどのような関係を求めているのかをよりよく説明し、自分の個性をアピールすることができるように、アプリからの質問に答えるよう促す。

例えばStirはユーザー登録にあたって、子どものいない夜をどのように楽しみたいか、人間関係にどのように対処するか、週末は何をしているか、大声では言いにくいお気に入りの楽しみはあるか、酒は飲むか、どんなペットを飼っているか、などの質問をしてくる。その後、ユーザーは写真を追加し、残りのプロフィールを記入するよう促される。

画像クレジット:Match Group

Stirはサブスクリプションで収益を挙げるが、そこに含まれるサービスは、ユーザーが自分に「いいね!」をくれた人を確認したり、マッチングする前にメッセージを送ったり、プライバシー保護のために自分のプロフィールを好きな人にだけ見せるように設定したり、プロフィールを強調したり、誤ってパスしたプロフィールを巻き戻して見たり、目立つために「スーパーいいね!」を送る機能などだ。しかし、シングルペアレントにとって、それも養育費をもらっていないような人たちもいることを考えると、サブスクリプション費はかなり割高感があるかもしれない。テスト期間中のApp Storeのレビューには、この問題に言及するものが多く、アプリの他の機能は気に入っている人でも、価格設定が納得いかないという声があがっていた。

ユーザーからのフィードバックを受け、Stirはアプリとメッセージは無料で使用でき、オプションでサブスクリプションによる有料機能にアップグレードできるフリーミアムモデルに移行した。Stirは1カ月間、39.99ドル(約4800円)で、メッセージングとプロフィール調整機能のみを提供する。3カ月または6カ月の前払いで月額費用を抑えることができるが、その際にはアップグレードされた機能をフルセットで利用できる3カ月のプレミアムサブスクリプション89.99ドル(約1万1000円、または月額30ドル[約3600円])の利用を促される。

アプリ自体は、Match GroupのTinderやHingeのような仕組みで、写真中心のプロフィールを閲覧して、マッチング候補の相手を決めていくことに重点を置いている。ただし、スワイプではなく、Xやハートのアイコンをタップして、パスやいいね!を示す。中央のボタンを押すと「スーパーいいね!」のパックを5個入り1.60ドル(約192円)で購入することができる(よりたくさん買うこともできる)。

Match Groupの新規事業担当副社長のDinh Thi Bui(ディン・ティー・ブイ)氏は、このアプリの正式リリースに関する声明の中で「子どもがいることが、デートの邪魔になってはいけません」と述べている。「シングルペアレントのみなさんが祝福され、自分らしくいられるような出会いを提供することに注力致します。そうすることで、子育てだけでなく、個人的な生活にも目を向けられるようになっていただきたいと思っています」と彼は付け加えた。

しかし、Stir Time や、このアプリがひとり親に焦点を当てている(少なくとも、子どものいる人とデートすることに興味のない人とマッチするという頭痛の種は解消されている)にもかかわらず、このアプリは親向けの包括的な機能セットは提供していない。

例えば、性犯罪者がしばしば子どもへの接触手段として、独身女性親をターゲットにすることを考えると、デートする親にとってかなりの心配事となるマッチ候補の身元確認を行う機会は提供されていない。一方、Match Groupは、身元確認サービスのGarbo(ガルボ)に出資を行い、その後、Tinderに統合した。まもなくMatchの他の出会い系アプリでも同じことを行う予定だ。だが不思議なことにStirには提供されていない。

また、このアプリは、親が子どもの年齢(あるいは一般的な年齢範囲)を指定することができない。これは、年長の子どもを持つ人との交際には前向きでも、子どもが赤ちゃんの時期は再び経験する決心ができていない人がいることを考えると、もう1つの見落としだ。さらに、他の出会い系アプリ、たとえばBumble(バンブル)が提供するような高度なフィルタリングオプションがない。

Stirは、出会い系アプリ大手のMatch Groupが開発したBLK、Chispa、Upwardといったニッチな出会い系アプリの仲間に加わる。これらは、Match Groupの主力アプリ(Match)やその他のニッチな出会い体験の開発をサポートする、Match部門で開発されている。Stirも他と同様、Match社内に専門チームがある。

新しいアプリは、iOS App StoreGoogle Playの両方で利用可能だ。

編集部注:日本時間3月22日午後の時点で日本のApp Storeには登録されていない、Google Playには登録されているが日本での利用は解禁されていない。

画像クレジット:Match Group

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Mirukuは動物ではなく植物から乳製品を生み出す

Mirukuはニュージーランドのフードテック企業で、分子農業の手法を利用して植物の細胞を小さな工場へとプログラミングし、タンパク質や脂肪、糖分など、従来は動物が作ってきた分子を生産しようとしている。

同社は2020年にAmos Palfreyman(アモス・パルフリーマン)氏とIra Bing(イラ・ビン)氏、Harjinder Singh(ハージン・ダーシン)氏そしてOded Shoseyov(オデッド・ショセヨフ)氏ら、全員が乳業や植物科学の経験があるメンバーが創業した。現在、企業や研究開発者とのパートナーシップにより、Mirukuのラボや温室で開発されており、規模を拡大し、地域横断的に実施される予定だ。

CEOのパルフリーマン氏の説明によると、同社のアプローチには植物作物の増殖と工学的手法によりその細胞を乳製品に変える工程が含まれている。これは、精密発酵のような技術を利用する同分野の競合他社とは異なっている。彼らは培養室の中で乳タンパクを醸造し、外部からの動物の細胞を利用して、培養室の中で乳のビルディングブロックを作っている。

Mirukuがそれらと違うのは、植物作物を増殖して本物の乳のビルディングブロックを植物自身の中で、太陽のエネルギーを利用して作ることだ。その意味では同社は、タンパク質を乳牛よりも効率的に生み出し、乳牛の役割をなくすことによって、畜産への依存を減らし、それにより水や土壌や環境へのダメージを抑える。

「私たちのタンパク質成分は、本物の乳製品のような味と匂いだけでなく、本物の乳製品と同等の栄養価を持つ乳製品を作ります。それらは、おいしいチーズサンドイッチを食べて消化した後に体が使うのと同じアミノ酸構成要素で体を作り、修復するのを助けます。そして、チーズケーキや上等なペコリーノチーズのようなおいしいものを作ったり焼いたりする本物の乳製品のように機能します」とパルフリーマン氏はいう。

フードテックの課題は、十分な量のタンパク質や食品原材料を作れるほどの規模を実現することにあるが、Mirukuの場合それは「植物の正しいプログラミングにより、哺乳類のタンパク質と同等の構造と機能を作り出す技術的な課題が大きい」とパルフリーマン氏は語る。

彼によると、プラントの規模拡大は単純明快だ。目的とするタンパク質を作り出せる植物を作り出せたら、その種子で生産の規模拡大はできる。それは温室用の一握りでもよいし、農場用の大量の種子でもよい。

複雑で難しいのは、特定の特徴を作り出して、それを増殖することだ。それは往々にしてエネルギーの使用量と形質のレベルとのトレードオフを要する。しかしパルフリーマン氏が信じているのは、Mirukuの計算生物学の利用と技術の経済分析で作り出される最適形質が、スケーラビリティのその部分を解決するだろうという点だ。

同社はまだ開発途上だが、パルフリーマン氏の構想では、2〜3年後には同社のプロテインが商用化されているだろう。しかし、その前にはプロトタイプと概念実証が必要だ。彼の予想では最初の製品は既存の食品企業との提携によるものになり、企業が作る食品のタンパク質成分を提供することになるだろう。

それでも、パルフリーマン氏が主張するのは、Mirukuがアジア太平洋地域では初めての、分子農業による乳製品スタートアップであることだ。同社のような企業はすでに世界各地にあって、たとえばNobell Foodsはすでに分子酪農を手がけており、NotCoClimax FoodsPerfect Dayなどは、動物を使わない技術で5000億ドル(約60兆円)の酪農市場に挑戦している。過去半年以内では、下記の各社がベンチャー資金を調達している。

  • Better Dairyは精密発酵の技術でチーズを作っている。2月に2200万ドル(約26億円)を調達
  • The EVERY Companyは、植物を使って卵を作っている。12月に1億7500万ドル(約210億円)を調達
  • Perfeggtも、植物から卵を作っている。11月に280万ドル(約3億4000万円)を調達し、3月にシードラウンドを390万ドル(約4億7000万円)に拡張した
  • Stockheld Dreameryは、さや豆の野菜からチーズを作り、9月に2000万ドル(約24億円)を調達した。

Mirukuは最初の18カ月、創業者たちの自己資金でやってきたが、このほど240万ドル(約2億9000万円)のシード資金を調達した。投資をリードしたのはMovacで、Better Bite VenturesやAhimsa Investments、Aspire Fundらが参加した。

これにより同社は、本格的に拡大できることになり、パルフリーマン氏のいう正しいパートナーを見つけて同社を顧客に結びつけ、次のラウンドのための基礎を築くことになる。パルフリーマン氏によると、次の資金調達は2023年とのこと。

新たな資金は、技術者の増員とパートナーシップの開拓、そして開発プログラムのスピードアップに充てられる。Mirukuは2022年すでに社員を増員し、パルフリーマン氏としては、毎年倍増したいのことだ。

Mirukuはすでに大手食品企業と組んで、その製品開発に協力している。また、いくつかの国で開発事業に参加し、その中には環境や気候関連の事業もある。また、生産者や調合師、そしてブランドとの協力もある。

パルフリーマン氏によると「私たち確かにアーリーステージの企業だが、すでに消費者市場に近い戦略的パートナーと一緒に急速に進歩しています。イノベーションと成長により、資本が必要になり、最初のラウンドを閉じたばかりですが、そう遠くない未来にそれによる成長を経験するでしょう」という。

画像クレジット:iStock

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

航空自衛隊「宇宙作戦群」発足、宇宙領域の指揮統制・監視能力を強化しスペースデブリや人工衛星への妨害行為など監視

防衛省が航空自衛隊「宇宙作戦群」発足、宇宙領域の指揮統制・監視能力を強化しスペースデブリや人工衛星への妨害行為など監視

Japan Ministry of Defence

3月18日、防衛省は航空自衛隊宇宙作戦隊の能力を強化し、宇宙領域での活動を指揮、統制する「宇宙作戦群」を発足、東京都府中市の府中基地で発足記念行事を開催しました。

日本政府は防衛力の新しい軸になる分野として宇宙・サイバー・電磁波の3領域を重視しており、17日の「自衛隊サイバー防衛隊」発足に続いて宇宙分野の能力強化も進めていく方針です。

宇宙作戦群の拠点は府中基地に置かれ、発足当初は70人という比較的少人数で構成され、本部20人、自衛隊(陸海空)との連携をとる宇宙作戦指揮所運用隊に30人、2020年に設置された既存の宇宙作戦隊20人という編成になります。

また2022年度には府中基地に装備の維持管理をする「宇宙システム管理隊」を10人編成で設置し、宇宙作戦隊を40人に倍増して「第1宇宙作戦隊」に改名、さらに山口県の航空自衛隊防府北基地に「第2宇宙作戦隊」を新設する予定です。

第1および第2宇宙作戦隊の役割分担は、主に第1作戦隊が宇宙状況(スペースデブリなど)の監視任務、第2作戦隊は電磁波による日本の人工衛星への妨害行為などの監視にあたるとのこと。現在山口県に建設中の宇宙監視レーダーは第1作戦隊が遠隔で運用します。また、2026年度までに監視用の人工衛星を打ち上げ予定で、レーダーと衛星などを組み合わせた宇宙監視システムを構成するとのこと。

近年は世界各国が再び月への有人探査を目指し、火星への進出なども計画される一方で、宇宙空間の監視体制を強化する動きも目立っています。最も話題になったのは米国が2019年に陸・海・空軍および海兵隊などに並ぶ軍種として設置した宇宙軍ですが、2020年にはフランスも空軍の活動領域を宇宙にまで拡大、防衛力強化を目的として「航空宇宙軍」に改名しています。そして日本でも先に述べたとおり2020年に「宇宙領域における部隊運用の検討、宇宙領域の知見を持つ人材の育成、米国との連携体制の構築」を目的とした宇宙作戦隊を編成しており、これが今回の宇宙作戦群発足の基礎になっています。

(Source:TBS。coverage:防衛省(PDF)、NHKEngadget日本版より転載)

全国に植えられたソメイヨシノをゲノム解析、ルーツは上野公園の4本

全国に植えられたソメイヨシノをゲノム解析、ルーツは上野公園の4本

上野恩賜公園の小松宮彰仁親王像の周囲に植栽されているサクラ。数字は管理番号を表す

かずさDNA研究所は、19都府県に植えられたソメイヨシノ46本の葉からゲノムDNAを抽出し、DNA配列を解析したところ、そのルーツが上野恩賜公園に植えられている4本である可能性を突き止めた。また、先祖型にもっとも近かったのは、現在原木候補とされている個体とは別の個体であることもわかった。

かずさDNA研究所は、全国16の大学、高校、研究機関と共同で、この研究を行った。東京の染井村(東京都豊島区)で生まれたとされるソメイヨシノは自家受粉ができないため、接ぎ木にで増やされ全国に植えられた、いわばクローンであるため、共通のゲノム配列を持つ。

しかしすべてがまったく同じではなく、繁殖の間の突然変異により塩基が1つだけ変異する一塩基変異が生じている。この変異を辿れば、ソメイヨシノの系譜がわかると考えた同研究所は、全国の46個体について調査を行った。それには、上野恩賜公園の小松宮彰仁親王像の周りに植えられた、ソメイヨシノの原木候補を含む4本をはじめ、そのほか、日本最長寿とされる弘前公園の個体、アメリカのワシントンD.C.から里帰りした個体なども含まれる。

ゲノム解析を行ったソメイヨシノの分布

解析の結果、684の一塩基変異が見つかり、そのうち71個の変異は複数の個体に共通していた。これをもとに遺伝子が類似する遺伝子クラスターに分類したところ、全国のソメイヨシノは大きく2つのグループ(グループIとグループII)に分けることができた。さらに、グループIは5つのクローン系統(Ia〜Ie)に分類された。上野恩賜公園の4本は、それぞれが異なるクローン系統に属していた。つまりこの4本が親木となり、接ぎ木されて全国に広がったと考えられる。ただし、もっとも先祖型に近かったのはグループIaで、これに属する個体は原木候補とされていた管理番号136の個体ではなく、管理番号133の個体であった。

ゲノム変異に基づいて分類した「ソメイヨシノ」のグループ

ゲノム変異に基づいて分類した「ソメイヨシノ」のグループ

ソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラの交配種だが、人工的に作られたのか、自然交配によるものなのかはわかっていない。ゲノムに残る痕跡をさらに検討することで、その誕生の歴史を探ることができるという。また、この体細胞変異を追跡する技術を使えば、果樹などの登録品種の流出問題に関して、流出経路の特定ができる可能性もあると、かずさDNA研究所では話している。

中国のEVスタートアップたちが投資ゲームに参戦

中国で繰り広げられている自動車関連スタートアップを対象とした投資ゲームは、既存のベンチャーキャピタル会社だけでなく業界のベテランも参加し、競争が激化している。最近、新規ラウンドを完了したモビリティに特化した2つのファンドには、中国を代表する新参の電気自動車メーカーが参加している。

ベンチャーとグロースステージ向けの新しい投資ビークルのRockets Capital(ロケッツ・キャピタル)は、3月初めに2億ドル(約240億円)の初のファンドのクローズを発表し、電気自動車メーカーのXpengがアンカーインベスターを務めた。他の投資家はIDG Capital、Sequoia China、GGV Capital、5Y Capital、eGardenなど中国の大手機関投資家だ。このファンドは、自動車産業のバリューチェーン、クリーンエネルギー、その他の「フロンティアテクノロジー」分野でのビジネスチャンスを探している。

もう1つの大きなクローズは、Nio Capital(ニオ・キャピタル)の申し込み超過となった4億ドル(約480億円)の2回目の米ドル建てファンド「Eve ONE Fund II」だ。投資家は政府系ファンド、保険会社、多国籍金融機関、ファンド・オブ・ファンズ、ファミリーオフィス、年金基金、財団など世界各国から集まっている。

Nio Capitalは、ファンドの名前にもなっているが、XpengのライバルであるNioの創業者William Li(ウィリアム・リ)氏が立ち上げた会社だが、この投資機関はNio自体とは直接の関係はない。人民元建てファンドを米ドル建てファンドとともに運用し、自動車、テクノロジー、エネルギー分野に特化している。

Rockets Capitalは、EV投資家との関係をより公にしている。独立した投資会社として活動する一方で、Xpengの「業界の専門知識とリソース」を活用し「技術革新のインキュベーション」を行う。明言されているミッションを考えると、Rocketsの将来の投資先にもXpengと取引や提携をする企業があってもおかしくはないだろう。

2016年に設立されたNio Capitalは、投資分野では先行している。中国における同社の注目すべき取引には、Bosch(ボッシュ)が支援するMomenta(モメンタ)トヨタが支援するPony.ai(ポニーエーアイ)という2つの大手ロボタクシー企業、それからTemasek(テマセク)が支援するライダーメーカーInnovusion(イノビュージョン、Nioのサプライヤーの1社でもある)、BPが支援するバッテリー交換のAulton(オールトン)、自動車チップメーカーBlack Sesame(ブラックセサミ)などがある。

過去数年間、Nio Capitalは中国の自動車産業における新進気鋭のプレイヤーたちとともに、自らの周りに要塞を築いてきた。Rockets Capitalとその後援者XpengがどのようにNio Capitalに追いつき、市場を再構築するためにどのような提携を結ぶことができるか、注目だ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

FedExアプリが他社サービスの配達も追跡できる機能をテスト中

FedExが消費者向けモバイルアプリで開発中の新機能は、Shopify(ショッピファイ)の人気アプリ、Shopと競合するものになるかもしれない。ShopifyのShopアプリの大きなセールスポイントは、ユーザーが自分の購入と配達の追跡を、Shopifyのものだけでなく、AmazonやFedEx、UPS、USPS(米国郵便サービス)などの荷物についても行えることで、ユーザーのメール受信箱から追跡情報をインポートすることによって機能を実現している。FedExは「Crosstrack(クラロストラック)」と呼ばれる機能で同様の方向を目指しているようで、FedExの配達状況が表示されるものとは別のタブで受け取り予定の配達物を追跡できる。

この新機能は、あるデベロッパーがTechCrunchに見せたもので、現在開発中だという。

それを見ると、モバイルアプリの検索・追跡画面が2つのタブに分かれている。1つは「FedEx」で、もう1つには「Crosstrack」というラベルがついている。Crosstrackタブを使ってFedExアプリユーザーは、送られてくる商品の写真やTarget、eBay、Wayfairなどの発信者情報に加えて、予定配達日時と追跡番号を見ることができる。商品が届くと、アプリはこれにグリーンのテキストとグリーンのチェックマークをつける。

画像クレジット:FedExモバイルアプリのスクリーンショット

ShopifyのShopアプリと異なり、この拡張機能はショッピングや商品のおすすめなどには踏み込まず、追跡のみを行うとFedExはいう。

同社はこの機能を開発中であることを声明で認めた。

「FedExはお客様のニーズに答えるために、デジタル体験コンセプトを常に模索しています。これは当社がお客様とともに数多く行っているテストの1つです」とFedExの広報担当者はいう。同社は新機能の詳細をそれ以上話すことはなく、「Crosstrack」という名称が実際に「非FedEx」の配達を意味しているかどうかも明らかにしなかった。しかし、アプリの追跡セクションにタブが2つあり、片方のみに「FedEx」のラベルが付けられていることから、それ以外の用途を思いつくことは極めて困難だ(TechCrunchはFedExに対して「Crosstrack」に関するこの説明を訂正する機会を提示したが、声明以上のことは何も言わなかった)。

もしこの機能が予想どおりなら、Shopifyが広く業界に与えている影響に競争圧力をかけるものであり、実に興味深い。パンデミックに起因する消費者の行動シフトによってeコマース需要が急増する中、あらゆる荷物の追跡を1つのアプリで行えることはShopifyのアプリ「Shop」の大きなセールスポイントになっている。同アプリは3月21日現在ショッピングカテゴリーの第4位で、300万件ほどのレビューで星4.8という高いレーティングを得ていることから、この種の機能に対する消費者の需要の高さがわかる。

ただしFedExは、多くの主要企業と同じく、数多くの新機能をテストしており、正式公開されるのはそのごく一部であることは留意しておくべきだ。今回のCrosstrack機能は、FedExがテストしている「コンセプト」であると我々は認識しており、一般公開に向けて同社が発表間近なものではない。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【3月22日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はフロム・ソフトウェアElden Ring、2位はMac Studioレビュー

【3月22日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はフロム・ソフトウェアElden Ring、2位はMac Studioレビュー

掲載記事のうち、3月22日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:【レビュー】「Elden Ring」で私はフロム・ソフトウェアの信者になった


「Elden Ring(エルデンリング)」は「Dark Soul」シリーズや「Bloodborne」などの大ヒット作に続く、フロム・ソフトウェアからの、過酷で神秘的な物語の最新作だ。こういうゲームをずっと好きでいたかったのだが、リリースをフォローしたり、精密なやり込み映像を見たり、複雑なレベルデザインに関する文書を..

第2位:【レビュー】Mac Studio、すてきでパワフルで値段も高い、Macのデスクトップに求めるものがほとんど揃う


先のイベントで行われた発表は、そのほとんどが事前に噂されていたものだった。しかし、多くの消費者向けハードウェアが変わりばえのしないものになったこの時代に、Appleは驚きを与えることに成功した。

第3位:ウクライナ出身のVC、故郷の難民のために支援金を募って送金


ベンチャー企業2048 Venturesの共同創業者でマネージングパートナーのアレックス・イスコルド氏は、「1K Project」と名付けた活動を復活させ、国外に逃れたウクライナ難民、そしてウクライナ国内に取り残され、突然職を失い、もはや家と呼べる場所もない家族に必要な支援を提供しようとしている。

第4位:ソーシャルな要素を取り入れた新しいカレンダーアプリ「Amie」


個人とチームの両方に向けたまったく新しい生産性向上アプリに取り組むスタートアップAmieを紹介しよう。同社は新たにアプリを発表した。ユーザーはウェイティングリストに登録することができる。Amieは仕事の達成やチームとの連携に役立つ、デザイン性に優れたカレンダーアプリだ。

第5位:ロシア、YouTubeに「反ロシア」広告を止めるよう警告


ロシアは動画共有プラットフォームの広告がロシア国民への脅しに利用されることをGoogleが許容しているとして、米国のハイテク企業が「テロ行為」に関与していると非難している。

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Epic Games、「フォートナイト」有料コンテンツの収益をウクライナ人道支援に寄付へ

Epic Games、「フォートナイト」有料コンテンツの収益をウクライナ人道支援に寄付へ

Epic Games

Epic Gamesが、3月20日から4月3日までの2週間分の『Fortnite』における収益をウクライナの人々に向けた人道支援活動に寄付することを発表しました。プレイヤーはゲームをプレイし、V-Bucksやコスメティックパックといった有料アイテムを購入することが、ロシアによる軍事侵攻で苦しめられているウクライナの人たちの助けにつながります。

EpicはFortniteだけでなくギフトカードの販売による収益金も含めてDirect ReliefやUNICEFといったウクライナ支援を行っている計4つの団体に送るとしています。さらにマイクロソフトも、Microsoft StoreでのすべてのFortniteに関するコンテンツからの純収入を寄付することに同意したとのこと。Epicはさらに多くの組織が参加すると述べています。

ただ、ウクライナでは日々ロシアの攻撃が続いており、決済パートナーなどからの入金を待つのは時間がかかりすぎます。そのため、Epicはトランザクションを監視して有料アイテムの売上げ金額を速やかに送金する予定とのこと。

ゲームプレイにおける収益をウクライナ支援に充てるアイデアとしては、Riot Gamesが3月7~12日の間、『League of Legends』『Valorant』などにおけるバトルパスや『League of Legends』での新しいBeeスキンの販売による収益をプレイヤー募金として寄付するとし、3月9日の時点で200万ドル以上を集めたと発表していました。ほかにもItch.ioHumble Bundleといったゲーム販売プラットフォームが、収益全額をウクライナの被害者たちを支援する団体に寄付するバンドルを販売しています。

(Source:Epic GamesEngadget日本版より転載)

ECチェックアウト時にCO2排出量を計算するAPIで環境配慮アピールを支援するLune

Luneは、CO2排出量計算を公開し、ブランドから顧客がオンラインで何かを購入する際に、より良い情報を提供することを目指す新しいスタートアップだ。LuneのAPIを使い始めると、企業は顧客に料金を支払ってもらい、カーボンニュートラル化プロジェクトの資金を調達することもできるようになる。

Erik Stadigh(エリック・スタディ)氏は、Roberto Bruggemann(ロベルト・ブルッゲマン)氏とLuneを設立する以前は、Luneの400万ドル(約4億7800万円)のシードラウンドをリードしたVCファンドのCraneに勤務していた。さらに、N26共同創業者のMaximilian Tayenthal(マクシミリアン・タイエンタール)氏、Voi共同創業者のFredrik Hjelm(フレドリック・ヒェルム)氏、OysterHRとNexmo共同創業者のTony Jamous(トニー・ジャマス)氏など15人のビジネスエンジェルが同ラウンドに参加した。

「今日のやり方では、企業がサステナビリティレポートを作成しても、ウェブサイト上のどこかに隠れてしまい、読む人はほとんどいません」と、共同創業者のスタディ氏は筆者に語った。

Luneはまず、あなたの企業のカーボンインパクトの測定を支援する。通常そうであるように、それはあくまで推定値だ。「ベストプラクティスのガイドラインに従い、自動化された炭素排出量計算を提供しています」とスタディ氏はいう。

そして、APIを製品に組み込むと、顧客は少し多めにお金を払ってカーボンオフセットプロジェクトに貢献することを選択できるようになる。「当社は、世界中のカーボンオフセット開発者と提携しています」と同氏。

また、LuneはTrueLayerのような決済会社とも直接連携している。チェックアウトの際、顧客はカーボンオフセットプロジェクトに貢献できる「グリーンな支払い方法」を選ぶことができるのだ。

マーチャント側から見ると、Luneの顧客はそれらのプロジェクトのためにお金を払うか、顧客に余分な手数料を払わせるかを選ぶことができる。Luneはすでに他の決済パートナーと話を進めており、今後より多くの決済システムを提供する予定だ。

Luneは計算回数に応じて課金され、またカーボンオフセット取引の際にもわずかながら手数料をとっている。LuneのAPIを使えば、どんな企業でも気候変動に配慮した企業に変身させることができると、このスタートアップは考えている。

何かを購入することを検討しているとき、CO2排出量を削減するためには、その製品を購入しないことが最善の方法であると多くの人がいうだろう。しかし、どうしても購入を避けられない場合、顧客が他と比べて特定の会社を選ぶ判断材料になるかもしれない。

画像クレジット:Lune

画像クレジット:Lune

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(文:Romain Dillet、翻訳:Den Nakano)

パンデミック下で成長する多種多様なフェムテック企業、従業員への福利厚生としても注目が集まる

女性の健康とウェルネスを支える技術「フェムテック」。McKinsey & Companyによると、2021年のフェムテック領域の資金調達総額は、25億ドル(約2830億円)に到達し、過去最高を記録した。

The dawn of the FemTech revolutio Published by McKinsey & Company(2022/2/14)


女性の健康とウェルネスに特化したVCであるCoyote Venturesと、フェムテック領域の情報配信やスタートアップサポートを行うNPO団体であるFemtech Focusの予測によれば、フェムテック市場は2027年までに1兆1860億ドル(約138兆円)の市場規模にまで成長するという。

そんなフェムテック業界だが、その注目領域も変化している。Crunchbaseによると、過去5年間は妊娠と子育てがVCの資金調達の最大のシェアを占めていたが、2021年に最も投資を集めたのは、プライマリ・ケアや予防医療領域だった。不妊や更年期など、困った時に頼るフェムテックから、すべての女性が常に自分の健康を守るために必要不可欠な技術になりつつあることがわかる。

欧米での盛り上がりを受け、日本でも注目が集まる領域だが、今回は、パンデミック後も続くと予測されるフェムテック業界のトレンドと注目領域について解説する。

新型コロナの影響で広まった手軽にできる自宅検査・治療

パンデミックによって、病院に行きづらくなったことを受け、遠隔医療や自宅検査キットが注目を集めた。これまで当たり前に診察や検査のために病院に行っていた人々が、パンデミックによって自宅でもできるという便利さを経験した。安全に病院に行けるようになっても、人々がこの便利さを捨てるとは考えにくい。実際に、2021年のMcKinsey & Companyの調査によると、調査対象の消費者の約40%が、今後も遠隔医療を利用すると回答しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の遠隔医療利用者の11%から上昇している。

膣内マイクロバイオーム検査キットEvvy

Evvyは、膣内のマイクロバイオームの状態を分析し、健康状態の把握とライフスタイル改善アドバイスなどを提供する。General Catalyst、Box Groupなどから500万ドル(約5億7000万円)を調達している。

筆者も2021年末実際に試してみた。下記のように、検査キットが送られてくる。採取は簡単で、インストラクションを見ながら3分程度で終わった。

画像クレジット:Evvy

箱には「The female body shouldn’t be a medical mystery(女性の身体は、医療で解明できないミステリーであるべきではない)」と記されており、現状研究段階ではあるものの、マイクロバイオーム分析を通して女性の不調を改善したいという気概が感じられた。

次に、オンラインで質問に回答する。生理サイクル、健康の悩み、感染症歴や今回の検査で知りたいことなどを回答する。10分ほどの割と長い質問票だった。


​​採取したサンプルを送付すると、2週間ほどで結果がメールで送られてくる。結果を解説してくれるマイクロバイオーム専門家とのビデオコールも追加コストなしでリクエストできる。ビデオコールでは、自分の悩みを伝え、結果を見ながら改善方法などを教えてくれた。結果を見てもどのように実生活に活用すれば良いのか、わかりにくかったので、マイクロバイオーム初心者の筆者からするとありがたかった。

ユーザーは、3カ月ごとの定期検査のサブスクリプションモデルと1回のみの検査キット購入が選べる。定期的に検査することで、自分の健康状態を見てみたかったので、筆者はサブスクリプションを選択した。

細菌性腟症などの感染症は、一度なると再発しやすい。実際、一部のユーザーは、膣内感染症の再発を防ぐためのヒントを求めてEvvyにたどり着く。また、早産、不妊の可能性や予防法をマイクロバイオームから知りたいというユーザーもいる。

筆者が最も注目しているのは、同社のビジョンだ。まだ研究段階のマイクロバイオームだが、同社は今後、膣内マイクロバイオームと不妊、子宮頸がん、早産などとの関連を調査し解明するというビジョンを持っている。マイクロバイオームから自分の身体の状態を把握するという未来がくるのかもしれない。

カップルの唾液から遺伝疾患リスクを解明する出生前唾液検査キット

画像クレジット:Orchid ウェブサイトより

Orchidは、パートナー両方の唾液サンプルを送付するだけで60億ものゲノムを解析し、子どもが遺伝性疾患を発症するリスクが高いかどうかを判定する唾液検査キットを提供している。2021年4月、シードラウンドで450万ドル(約5億3000万円)を調達。遺伝子キットを開発、販売する23 and Meの創業者も出資​​している。

対象となる遺伝性疾患は、乳がん・前立腺がん・心臓病・心房細動・脳卒中・1型糖尿病・2型糖尿病・炎症性腸疾患・統合失調症・アルツハイマー病の10種類。唾液を送ると、カップル向け、女性・男性の各パートナー向けの3種類のレポートが送付される。

子どもを作る前に、遺伝リスクを検査するというアプローチをとる同社。心配な結果が出たとしても、遺伝カウンセラーと、リスクを最小限に抑える方法などを相談できる。

2020年にシリーズDラウンドで1億2100万ドル(約143億円)の大型調達を発表したSema4も、出生前検査・遺伝性がん検査を手がける企業だ。同社は、2020年フェムテック領域の中で最大額を調達した企業だった。

テレヘルスユニコーンRoが買収、精子分析・保存キット

画像クレジット:Ro

フェムテックではないが、精子を自宅で採取し、分析結果を送ってくれるサービスを提供するDadiを紹介する。同社は、2022年3月にテレヘルスユニコーンのRoに買収されている。米国の国保健社会福祉省によると、不妊症の約3分の1は男性の不妊症に関連しているため、精液の分析と保存は重要な不妊治療サービスだ。自宅で精子を採取した後、採取キットと保存カプセルの両方が、温度変化や提携ラボへの輸送中の障害などから精子を保護・保存するように設計されている。サンプルの分析が完了すると、精子の数、濃度、運動性の評価を含む個人別の報告書が送付される。また、採取した精子は提携ラボで冷凍保存される。

Roは、コアビジネスである勃起不全治療テレヘルスプラットフォームから、テレヘルス全体へ事業拡大を進めるため、過去12カ月に3社(Workpath, Kit, Modern Fertility)を買収している。

成功の鍵は、丁寧なインストラクションと行動に落とし込める分析結果表示

ここまで自宅検査のスタートアップを解説してきた。筆者自身、自宅検査を複数試して感じたのは、自宅検査ビジネスをグロースさせる上で重要なのは「わかりやすい検査のインストラクション」と「ユーザーが行動に落とし込める分析結果を提示する」という点だ。家庭で正しく検査するためには、動画や簡単なイラストなどで、わかりやすいインストラクションが必要だ。

また、検査を受けて良かったと感じてもらうためには、明日からできる行動の変化を促す分析結果を提示することが重要だろう。自分の状態を把握するだけでは、一度きりの購入で終わってしまう。消費者は「xxのサプリを毎日飲む」「○○の栄養素を避ける」「有酸素運動を30分する」など改善のための方法を知りたいのだ。

この満足感が、安定的な収益を達成するためのサブスク顧客獲得に繋がる。現状、専門カウンセラーとのビデオコールを提供し、テスト結果を解説することでこの部分を補う企業が出てきている。専門家たちは、医学的・生物学的な専門知識がない一般消費者をガイドする役割を担っている。ここでの問題点は、スケールだ。ユーザー数が増えるごとに、専門家の数を増やさなければいけない状況では、スケールは難しい。技術を活用し、ある程度自動化をしながら満足度も担保するようなサービスが、今後伸びていくと考える。

人材獲得戦争時代、さらに重要視される企業の充実した福利厚生

米国では現在、労働者が大量に仕事を辞めている。この現象は、大規模離職を意味する「グレイト・レジグネーション(大退職時代)」と呼ばれ、メディアで頻繁に報道されている。​​Fortuneが2000人以上の米国人労働者を対象に行った調査によると、80%が新しい仕事に就くことを考える際に柔軟なスケジュールが重要であると回答している。また、約70%の労働者がリモートワークの選択肢を重要視している。優秀な人材プールを惹きつけるためには、働きやすい環境を作ることが必須だ。そのため、企業は、福利厚生にこれまで以上に投資している。

パンデミックで完全リモートを経験した労働者たちは、今後も働きやすさを求めている。この流れは、B to B to E(Employee)モデルと呼ばれるかたちで、企業向けに福利厚生としてのソリューションを提供するフェムテック企業にとって追い風となる。

働く親のための福利厚生プラットフォーム​​

画像クレジット:Cleoウェブサイトより

従業員は、Cleoを通して、育休からの復職時に悩みを相談できる専門家や、子どもの健康の専門家、助産師や産後うつ専門家などにアクセスできる。同社は、Pinterest、Uber、Upwork、Salesforceなどを含む、55カ国以上の100社を超える多様な企業に導入されている。​​実際、産休・育休後の復職率は、全米での平均が60%であるのに対し、Cleo会員は92%と改善している。

妊娠・出産のサポートから始まった同社のサービスだが、現在は、5歳から12歳の子どもを対象とするCleo Kids、ティーンエイジャーの子どもを対象とするCleo Teensにも拡大している。

多様なニーズに応える福利厚生の変化

画像クレジット:Carrot Fertilityウェブサイトより

これまで対面での不妊治療を中心に提供してきた福利厚生プロバイダーも、パンデミックを受け、そのサービス提供内容と方法をユーザーの求める形に変化させている。

企業の従業員向けに不妊治療を提供するCarrot Fertilityは、SlackやBox groupなど北米、アジア、ヨーロッパ、南米、中東の50カ国以上で、約200社の企業​​を顧客に抱える。これまで約135億円($115M)を調達している。同社は、パンデミックで通院を避けたい患者のニーズを受け、2020年8月に遠隔医療プラットフォームのCarrot at Homeを開始した。また、2021年12月には、自宅で排卵誘発ホルモンや関連バイオマーカーをモニタリングできる自宅検査キットの提供も開始している。2022年2月には、更年期障害向けのプランも追加した。

従業員それぞれのニーズが異なる点に注目し、福利厚生をパーソナライズできるプラットフォームも登場してきている。

画像クレジット:Nayyaウェブサイトより

2022年2月にシリーズCラウンドで5500万ドル(約64億円)を調達したNayyaは、企業の人事福利厚生システムに組み込んで、従業員のための福利厚生をパーソナライズするツールを提供している。

RPAを使って、従業員がプランをより良く選択し、節約する方法を見つけ、より良い支払いオプションを提供し、保険などの福利厚生を総合的にナビゲートできるようにしている。

画像クレジット:Forma

Formaは、​​裁量型福利厚生管理プラットフォームを提供している。同社も2022年2月、シリーズBラウンドで4000万ドル(約47億50000万円)を調達した。同社は、人事担当者が、従業員による福利厚生ベンダーの選定、払い戻し手続き、デジタルウォレットによるプラン利用をチェックできるようなシステムを構築している。

同社によると、企業の福利厚生は通常、企業が従業員に必要なものを決定するトップダウン・モデルで展開されており、これは雇用者と従業員の双方にとって非効率的だという。Formaの使命は、従業員ファーストの福利厚生プログラムを設計することによって、この関係を逆転させることだ。

Formaはプロバイダーと提携し、家族・人間関係、教育・キャリア、ウェルビーイング・ライフスタイル、基礎健康・保護、資産運用、仕事・パフォーマンスの6つの大きなカテゴリーで福利厚生を提供する。Formaの顧客は、社内の予算と戦略に基づいて、これらのカテゴリーから提供するものを選び、従業員に提供したい福利厚生プログラムを設計することができる。

Twitch、Stripe、Zoom、Lululemon、Palo Alto Networks、Squareなど、前年比330%の125社を顧客に抱えており、定着率は99%だという。この1年間で同社は収益を4倍に増やした。

優秀な人材を惹きつけ、繋ぎ止めるために、今後も企業の従業員への投資は、続いていくだろう。​​上記のパーソナライズ福利厚生が成功していることからも、従業員それぞれニーズが異なっており、企業がそのニーズに応えようとしている姿勢が感じられる。

編集部中:本稿の執筆者は大嶋紗季(Saki Oshima)。日本企業と海外スタートアップの新規事業創出を手がけるスクラムスタジオで、大企業とスタートアップのオープンイノベーションを支援するスタジオ事業部門に所属し、既存プログラムの運営や新規プログラムの立ち上げに従事する。各プログラムで培った日本企業とスタートアップをつなぐ経験を生かし、米国スタートアップ情報プラットフォームScrum Connect Onlineの立ち上げ、運営を担当する。欧米のフェムテックトレンドやサービスを日本語で配信。日本初のフェムテックコミュニティFemtech Community Japan創立メンバー。UCサンディエゴ大学院修了(MBA)。

 

アップルM1チップ搭載Macで動くLinuxディストリビューション「Asahi Linux」のパブリックアルファ版が公開

アップルM1チップ搭載Macで動くLinuxディストリビューション「Asahi Linux」のパブリックアルファ版が公開

Asahi Linux

M1チップ搭載Macでの動作を目指すLinuxディストリビューション「Asahi Linux」が、初のパブリックアルファをリリースしました。アルファ版ということもあって、まだまだハードウェアの機能にすべてアクセスできるわけではありませんが、それでもまずはベータ版、そして正式リリースに向けての重要なチェックポイントに到達したと言えるでしょう。

Asahi Linuxプロジェクトはいまから約1年前、アップルが開発したM1チップシリーズを搭載したMacでの動作を目指し、Arch LinuxのARM版をベースに開発をスタートしました。ようやくのアルファ版ということで、興味のある(そして多少なりとLinuxをセットアップした経験のある)M1 Macユーザーなら誰でも(自己責任で)この新しいディストリビューション(とたくさん表示される警告メッセージ)を試すことができます。

インストールはApple SiliconとmacOS 12.3以降を搭載するMac、具体的にはMac Studioを除く、M1、M1 Pro、M1 Max搭載のMacなら、簡単なターミナルコマンドを入力するだけでインストールが可能です。インストールは管理者権限が必要ですが、デュアルブートにできるので、あくまでお試しにとどめたいニーズにも対応が可能。

現在のところはオンラインインストールのみが可能で、アンインストーラーはなく、パーティションの削除でアンインストールするとのこと。

また盛んに宣伝されているM1チップの統合GPUによる3Dアクセラレーション、Neural Engineをはじめ、DisplayPort、Thunderbolt、またはHDMIポート、カメラにタッチバーといった部分はすべて未サポート。一方USB3、スピーカーなどのサポートは間もなく追加予定とのこと。

M1 Macを手に自らすすんで人柱になりたい方は、Asahi Linuxのウェブサイトにある説明を熟読の上、自己責任でコマンドを入力、実行してみてください。

(Source:Asahi LinuxEngadget日本版より転載)

ブリヂストンが自動運転シャトルのMay Mobilityに少数株主として出資

タイヤメーカー大手のBridgestone(ブリヂストン)は、米ミシガン州に拠点を置く自動運転シャトルのスタートアップ、May Mobility(メイ・モビリティ)に少数持分出資を行い、自律走行車のスタートアップにまた1つ投資することになった。

ブリヂストンはこれまでにも、スウェーデンの自律型貨物輸送技術のスタートアップであるEinrideと協力し、自動運転EVトラック輸送のための持続可能なモビリティソリューションを模索したり、自動運転トラックによる長距離輸送スタートアップのKodiak Roboticsに出資してきた。

ブリヂストンは最近、カーケアサービスに特化したラストマイル配送プラットフォームのYoshi、およびタイヤセンサーとデータ管理企業のTyrataとの提携も発表している。他の最近の戦略的投資と同様に、ブリヂストンはMay Mobilityの株式をどれだけ保有しているかは明らかにしていない。

ブリヂストンとMay Mobilityのパートナーシップにより、後者は2022年後半にブリヂストンのタイヤ摩耗予測モデリング技術を同社の車両に搭載する予定だ。ブリヂストンのインホイールセンサーと予測アルゴリズムが、タイヤの空気圧、温度、トレッドの摩耗など、タイヤの健康状態を監視し、最終的にMay Mobilityの総所有コストの削減とAV車両の安全性の向上に貢献すると、Mayの広報担当者は述べている。また、今回の統合により、ブリヂストンはAVの運用に関する知見を得ることで、同社の主力タイヤ製品の改良につなげることができる。

ブリヂストンの米国子会社であるBridgestone Americas(ブリヂストンアメリカスインク、BSAM)のモビリティソリューション&フリートマネジメント社長、Brian Goldstine(ブライアン・ゴールドスティン)氏はこう述べている。「ブリヂストンの予知保全に関する知見を統合する今後の計画は、May Mobilityの車両がより安全、効率的、持続可能な形で運用されることを保証するものです」。

また、May Mobilityは、ブリヂストンが2021年に買収したクラウド型フリートモビリティソリューション「Azuga」を活用することで、業績の向上が期待される。Azugaは、フリート管理、カメラインテリジェンス、ルートプランニング機能をMay Mobilityにもたらす。

May Mobilityは、Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)のようなロボタクシーではなく、公共交通機関の補強を目的とした低速AVを、広島を含む5都市で運用している。2021年は、テキサス州アーリントン、ミシガン州アナーバーとグランドラピッズで、交通技術企業のViaと共同でオンデマンドの自動運転シャトルサービスを開始した。

同社は2022年初め、車両をハイブリッドのLexus(レクサス)SUVからハイブリッドのToyota(トヨタ)シエナミニバンに変更する計画で、8300万ドル(約99億1700万円)のシリーズCを調達した。この資金は、Mayが米国と日本で事業を拡大し、黒字化するために使用される予定だという。

またブリヂストンは、Mayの事業拡大を支援するため、同社のAVサービスやメンテナンスサポートを、BSAM傘下のFirestone Complete Auto Care、Tires Plus、Hibdon Tires Plus、Wheel Worksブランドの店舗や、ブリヂストンのモバイルサービス会社であるFirestone Directを通して提供する予定だ。

May MobilityのCEOであるEdwin Olson(エドウィン・オルソン)氏は、声明でこう述べている。「ブリヂストンの全国2200店舗を利用した車両運行・サービスにより、May Mobilityは全米で比類ないスケールアップを実現できます。このコラボレーションは、安全で持続可能なモビリティソリューションをグローバルに提供するという、我々の共通のミッションに基づくものです」。

画像クレジット:May Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Den Nakano)

欧米の制裁でロシアから逃げ出すテック人材、この波は数十年続く慢性的な頭脳流出の最後かもしれない

欧米の制裁と政情不安により、ロシアでは国際的な事業を展開することが不可能になり、起業家やコンピュータープログラマー、その他教育を受けた中産階級の人々が国から脱出している。

ロシアのウクライナ侵攻により、何百万ものウクライナの人々が命の危険を感じながら故郷を追われた。しかし、この戦争は、ロシア人が母国を後にすることにもつながっている。筆者は、ロシアの起業家やベンチャーキャピタリストに話を聞き、彼らが祖国を離れた理由、あるいは離れようとしている理由を聞いた。しかし、海外で新たなスタートを切ろうとする彼らにとって、反ロシア感情や経済制裁は重荷になっている。

きっかけ

2月中旬、ロシアがウクライナ国境に軍隊を集め続ける中、Eugene Konash(ユージン・コナシュ)氏は、ロンドンにある自身のゲームスタジオDc1abのためにロシアにいるスタッフをリモートで働かせていたが、次第に心配になってきた。しかし、他の多くの人々と同様、コナシュ氏も本格的な侵攻は予想していなかった。

緊張が和らぐという期待は、すぐに消えた。ロシアがウクライナに全面戦争を仕かけていることが明らかになると、欧米諸国はロシアに制裁を加え始めた。企業もすぐにその影響を受けた。

コナシュ氏の従業員の1人は、銀行が制裁を受け、自分の口座への海外送金ができなくなった。ルーブルが暴落したロシアでは銀行の前に長蛇の列ができ、人々は慌てて貯蓄をドルに換えようとしたが、高額な手数料と政府が外貨の入手を制限していることに気づいた。

コナシュ氏にとって転換点となったのは、投資家から「このままロシアに重きを置いていては、投資できない」とはっきり言われたことだった。ロシアを拠点としていたチームも、離れる時期だと賛同した。

「1カ月前までは、どんなことがあってもロシアを離れないと言っていた連中が、荷物をまとめて、文字通りクルマで陸路国境を越えてカザフスタンに行こうと言い出したのです。というのも、ロシアを脱出する航空券は売り切れているか、非常に高価でしたので」とコナシュ氏は語った。

国際展開する多くのテック企業と同様、同氏のゲームスタートアップも、手頃な価格で質の高いプログラマーを確保できる東欧各地の開発者を雇用している。ベラルーシ出身の同氏は、旧ソ連圏の国々が科学と数学の教育に力を入れてきたことで、世界レベルのエンジニアリングと科学の人材が育ってきたことをよく理解している。

金融制裁はともかく、外国のテックサービスが禁止されるか撤退し始めると、ロシアからIT会社を運営することは現実的ではなくなってきた。

Google(グーグル)とMicrosoft(マイクロソフト)はロシア国内での販売をすべて停止し、ロシアはFacebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Twitter(ツイッター)をブロックしようとしたが、その結果はまちまちだった。一部のユーザーは、禁止された後もこれらの米テック企業のプラットフォームにアクセスすることができ、ロシアが中国のような強固な検閲機関を持つにはまだ少し時間がかかることを示唆している。FacebookとTwitterは、ロシアでのサービス復旧に取り組んでいると述べた。

「Unityのような開発ツールがいつブロックされるかは誰にもわかりません」と、2015年のクリミア併合とその後の西側による経済制裁を受けて国を離れたシベリア生まれのゲーム投資家は語った。「誰も外の世界にアクセスできない国で終わりたくはありません」。

この投資家は、ロシア政府による反対派への取り締まりを恐れて名前を伏せた。

ロシア国外に法人設置

7年前のクリミア侵攻の後、多くのロシア系企業は、ロシア企業を支援することにともなう政治的リスクや見栄えを懸念する投資家をなだめるために、別の場所に法人を設立し始めた。以前は、こうした企業の多くは、書類上は国外に拠点を置き、チーム全体はロシアにいることが多かった。しかし、ウクライナへの本格的な侵攻により、その流れは一変した。

「2015年以降、企業は合法的にロシアから流出するようになりました」と、最近モスクワのチームを国外に移したあるベンチャーキャピタルの投資家は指摘する。ウクライナ危機以前でも、この会社はロシアに拠点を置くスタートアップが国外で法人化され、国際的な事業展開をしている場合にのみ支援していた。

「物理的には、これらのスタートアップはまだロシアに拠点を置いています。物価が安いため、ロシアでR&Dを行うのでしょう」。この投資家は、ロシアと距離を置こうとしている会社にとってこの話題は「非常にセンシティブ」であるため、匿名を要望した。

4年前にAkimov(アキモフ)から姓を変えたNikita Blanc(ニキータ・ブラン)氏は、海外で設立され、モスクワで活動するスタートアップとしての生活は、つい最近までかなり楽なものに思えたと語った。ブラン氏の会社Heyeveryone(ヘイエブリワン)は、IR管理を自動化するツールを構築しているが、デラウェア州で法人化の手続き中だ。

ロシアのウクライナ侵攻後、ロシアを離れる前にモスクワで働くニキータ・ブラン氏のチーム

Heyeveryoneは初めからロシア市場だけにサービスを提供するつもりはなかった。しかしブラン氏と同氏の妻は、いくつかのメリットのためにモスクワを拠点とした。それは、双方の両親が3歳の娘の世話を手伝ってくれること、当時はインターネットが高速で安価、かつ無料だったこと、モスクワには技術者の集まりが多く、同じ志を持つ創業者を見つけられたことなどだ。

脱出

ブラン夫妻のいいとこ取りの起業家生活は、ロシアのウクライナ攻撃で突然終わった。侵攻から3日後、ニキータ氏の妻ヴァレンティナ氏はベッドに横たわり、祖国ウクライナが崩壊するのを目の当たりにして打ちのめされていた。そして、ヴァレンティナ氏はロシアを去ることを決めた。

「仕事も手につきませんでした。私の家族の一部はウクライナ出身なんです」とヴァレンティナ氏は語った。「子どもを連れて去るのは困難なものになるでしょうが、この状況が変わるとは思っていませんでした。それで、それぞれ23キロの荷物をまとめて、片道切符を買いました」。

夫妻は幼い娘を連れて、現在ロシアの人材流出先として上位に位置するグルジアに移住した。トルコ、アルメニア、カザフスタン、タイなどと並んで、ロシア人にとって比較的物価が安価で入国しやすい国として人気がある。

最近モスクワを離れたベンチャーファンドは、ここ数週間で自社のスタッフや投資先企業を中心に数百人のロシア人を国外に引き揚げている。インターネット上では、数万人のロシア人が脱出計画を議論し、互いに助け合うTelegram(テレグラム)グループが急増している。

「ロシア人は最悪な状況に」

ロシアへの制裁が日々強化される中、移住希望者たちは急いで脱出計画を立てなければならない。どの国がまだロシアからのフライトを受け入れているのか、どうやってお金を移動させるのか。

制裁は、海外に逃れたロシア人、あるいはずっと前に逃れたロシア人にも影響を与え続けている。PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)といった著名な金融インフラプロバイダーはすでにロシアでの業務を停止しており、これはロシアの銀行を利用している駐在員は海外でカードを利用することができないことを意味するに。エストニアは最近「制裁逃れや違法行為の可能性を防ぐため」ロシアやベラルーシの国民からのeレジデンシー(電子住民)申請を停止した。欧州連合(EU)の規制当局は一部の銀行に対し、EU居住者を含むすべてのロシア人顧客による取引を精査するよう指示したと報じられている

この広範な制裁の波は、一部の人にロシアのパスポートを手放すことを促している。シベリア生まれのゲーム投資家は、ロシア国籍によって米ドルベースの金融システムから切り離されることを恐れ、シンガポールの市民権を手に入れようとしている。

「ウクライナ人は世界中で難民として受け入れられているが、我々ロシア人は最悪な状況だ」とこの投資家は嘆いた。

また、5年前に資産の大部分を暗号資産に投資したブラン夫妻のように、暗号資産が制裁回避に役立つと賭けている人もいる。ゲーム起業家のコナシュ氏は、スタッフが今後ロシアで身動きが取れなくなった場合、Bitcoin(ビットコイン)とEthereum(イーサリアム)がクロスボーダー決済の最後の手段になると予想した。

Binance(バイナンス)やCoinbase(コインベース)などの大手取引所は、すべてのロシア人に全面禁止を科すには至らなかったものの、制裁を守ってターゲットとなる個人をブロックしてきた。BinanceのCEOは、取引は公開された台帳に記録されるため、政府が追跡しやすく、暗号資産は逃げ道にはなり得ないと主張した

しかし、EU規制当局は、ロシアとベラルーシに科された制裁がすべての暗号資産に及ぶと主張し続けており、米国の議員たちはロシアが制裁を逃れるために暗号資産を使用できないようにすることを財務省に促している

「冷静さは新しい通貨」

ロシアを離れる人は、家族や友人と離れるという困難もあるが、それ以上に最近の出来事に対する認識の違いによる苦悩がある。

「両親や年配の親族は、『ここは大丈夫だから戻れ』と言い続けています。ロシアはすばらしい国だと」とブラン氏は信じられないような、しかし悲しい口調で話した。

教育を受け、自由を求めるロシアの技術者たちは、おそらく後ろを振り返ることはない。筆者が話をした、国を出るか他の人の脱出を手伝っているロシア人は、自国の苦境を語るとき驚くほど冷静だった。それは部分的には、避けられない別れに対して精神的に準備してきたからだ。

「投資家であるSOSVは、私たちに起業家としてゴキブリのように新しい環境に柔軟に適応することを教えてくれました。この哲学が、今、不確実な時代を乗り越える支えになっています」とヴァレンティーナ・ブラン氏は話した。「冷静さは新しい通貨です」。

ブラン夫妻のような移住者は、数十年前から続くロシアの慢性的な頭脳流出の最後の波となるかもしれない。

「私が気になるのは、ソ連やロシアで生まれたすばらしいエンジニアリングや科学の人材に目を向けると、大半が機会あるごとにソ連の世界を離れていっていることです」とコナシュ氏は話した。

「ソ連崩壊後の世界には、誰が残るのでしょうか? 私にとっては、この頭脳流出の最後の波は、ソ連から生まれた数少ないポジティブなものである教育や文化科学の伝統に死を告げるものです」。

画像クレジット:People line up to withdraw U.S. dollars at a Tinkoff ATM in a supermarket on Tverskaya street in Moscow. Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

なぜWeb3の富裕層は現金ではなく暗号通貨を寄付しているのか

ロシアとウクライナの戦争が激化する中、暗号資産は海外の寄付者がウクライナを支援するのに不可欠なツールとなっている。このような状況下での暗号資産による募金活動の成功は、暗号資産保有者が慈善活動の目的を支援するためにコインを手放すという、2022年大流行した広範なトレンドを反映している。

世界中の慈善団体が、ウクライナを支援するために暗号資産による寄付を募っている。人気の暗号資産寄付プラットフォームEndaoment(エンダオメント)は、2月下旬の戦争勃発以来、ウクライナを支援する慈善団体が200万ドル(約2億4000万円)超を集めたと明らかにした。また、別の暗号資産非営利プラットフォームThe Giving Block(ザ・ギビング・ブロック)もすでに150万ドル(約1億8000万円)もの暗号資産による寄付を受けておりキャンペーンのウェブページによると、United Way Worldwide(ユナイテッド・ウェイ・ワールドワイド)やSave the Children(セーブ・ザ・チルドレン)などさまざまな認定非営利団体を支援するウクライナ緊急対応基金に2000万ドル(約24億円)を暗号資産で集めるキャンペーンを3月19日に発表した。

暗号資産を寄付のツールとして活用しようとしているのは、非営利団体だけではない。主要な暗号資産取引所との提携の詳細を説明している新しいウェブサイトによると、ウクライナ政府はすでにBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Tether(テザー)、Polkadot(ポルカドット)、その他の暗号資産で5400万ドル(約64億円)超を集め、主に軍資金として活用している。ウクライナ政府のデジタル変革省は、暗号資産を通じて寄付を呼び込む取り組みの先頭に立っており、新しいパートナー企業はこれらの寄付をフィアット通貨に換えてウクライナの中央銀行に送るのを支援するとウェブサイトにはある。

ウクライナ侵攻は、確かに暗号資産を寄付するきっかけとなったが、この仕組みは2021年にあらゆる種類の慈善活動で人気が急上昇した。

米国を拠点とする501(c)3非営利団体への暗号資産寄付を促進する非営利団体のEndaomentは、プラットフォーム上での寄付額が2021年に25万3000ドル(約3000万円)から2800万ドル(約33億円)へと100倍になった。The Giving Blockも、年次報告書によると、2021年の寄付額が6900万ドル(約82億円)超となり、前年比1558%増と急増した。

こうしたことから疑問が湧く。寄付者はなぜ現金ではなく暗号資産をおくることを選ぶのだろうか。

The Giving Blockの共同創業者でCEOのPat Duffy(パット・ダフィー)氏は、税制優遇措置が重要な動機付けだとTechCrunchに語った。

「もしあなたが何か慈善的なことをしたいと思っていて、価値を認められた暗号資産を持っているなら、その暗号資産は最も税優遇措置を受ける寄付の方法です」とダフィー氏は話した。

米国を拠点とする寄付者にとって、501(c)3団体に暗号資産を寄付する場合と、ウクライナのような外国政府に寄付する場合とでは、大きな違いがある。前者は寄付者に有利な税優遇措置がとられることが多く、後者はそうではない。

法的に認められた非営利団体に現金を寄付すると、寄付者は税控除対象となり、慈善団体に寄付した分だけ支払うべき税金を減らすことができる。暗号資産や株式などの資産を寄付することは、現金で寄付するよりもさらに有益だ。というのも、税控除に加えてもう1つの重要な税優遇措置を受けることができるからだ。

通常、暗号資産保有者が利益を確定するために、価値が上がった後にコインを売却した場合、その利益の最大37%をキャピタルゲイン税として支払わなければならない。しかし、コインを寄付すれば、キャピタルゲイン税を支払う必要はない。この2つの税優遇措置は、デジタル通貨の価値が上がり続けることを期待してできるだけ多くのデジタル通貨を保有したいと考える暗号資産保有者が、現金を寄付する代わりに実際に慈善団体にコインを提供することを望む理由の1つだ。

資産寄付の手段として人気があるのが、ドナー・アドバイズド・ファンドだ。暗号資産やその他の資産、現金を専用口座に拠出することで、即時税控除を受けることができ、時間の経過とともに価値を高めることができる。口座保有者は最終的に自分の裁量で口座内の資金を非営利団体に振り向けることができ、すべての資金をすぐに使用する必要はない。Fidelity(フィデリティ)の慈善寄付部門、Endaoment、The Giving Blockは、暗号資産を受け入れることができるドナー・アドバイズド・ファンドを提供している。

ダフィー氏は、税優遇措置は暗号資産を提供する寄付者の取引を促進かもしれないが、暗号資産による慈善活動の唯一の動機ではないと指摘した。暗号資産の寄付者は、株式や現金を寄付する寄付者よりも多額を寄付する傾向があると付け加えた。

「暗号資産に関わっている人、特に暗号資産を扱い始めたばかりの人は、最先端にいること、世界を変える何かの一部になることに関心を持っています」とダフィー氏はいう。

暗号資産分野のトレンドと同様に、アイデンティティとコミュニティの感覚が参加促進の中心的な役割を担っている。精通した慈善団体は最終的に寄付された暗号資産を使う前にフィアット通貨に変換しているが、この文化的な現象を利用している。

「暗号資産ユーザーのためのスペースをもうける非営利団体は、他の団体を凌駕しています」とダフィー氏は話した。

セーブ・ザ・チルドレンのような大きな非営利団体は、そのリソースと規模から、暗号資産寄付プログラムを構築することができたが、多くの中小規模の慈善団体は、このオプションを追求していない。暗号資産の寄付は、慈善事業全体のごく一部に過ぎない。Giving USAによると、米国の慈善団体は2020年に寄付者から推定4700億ドル(約56兆円)超を受け取った。

米国証券取引委員会のGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)委員長を含む規制当局は暗号資産が詐欺や不正行為と関連していることを指摘しており、非営利団体は関与することをためらっているのかもしれない。また、暗号資産による寄付の受け入れに対応する技術やインフラが整っていない団体もある。

インターネット上で強固なプレゼンスを持たない零細の非営利団体はときに、暗号資産の受け入れは「宝くじ」のようなものだと考える、とダフィー氏は話した。同氏は、このような考え方に注意を促し、オンラインプレゼンスを持たない非営利団体は、暗号資産の統合を構築する前に「基本に忠実であるべき」だと述べた。

EndaomentとGiving Blockの年次報告書によると、両プラットフォームで2021年最も多く寄付に使われた暗号資産はEthereumだった。Ethereumは、他の暗号資産を抜いて、2021年に両プラットフォームで最も寄付された暗号資産となり、以前から人気のあったBitcoinやChainlinkをも上回った。

暗号資産の寄付はコインだけにとどまらず、NFT(非代替性トークン)の慈善プロジェクトも寄付者の間で人気を博している。例えば、人気NFTアーティストのPplpleasrは、Endaomentのプラットフォームを利用して、自身のアート作品の収益をStand with Asians Community Fundに寄付した。それぞれの年次報告書によると、EndaomentとThe Giving Blockのプラットフォームでは、合わせて約2000万ドル(約24億円)のNFTによる寄付が行われた。

特にNFTは、非営利団体にとって長期的な寄付の流れを生み出す可能性を秘めている。Solana(ソラナ)ベースのNFTマーケットプレイスMetaplex(メタプレックス)は、寄付APIスタートアップChange(チェンジ)との統合により、自社プラットフォームのクリエイターがNFTの販売を通じて定期的なロイヤルティ支払いで事前活動を支援することを可能にしている。

Web3のクリエイターは、NFTの寄付を「自分の作品を通して遺産を残す」機会だと考えていると、Changeの共同創業者Sonia Nigam(ソニア・ニガム)氏はTechCrunchに語った。

「これは、従来の慈善事業ではなく、クリエイターの実用化に関するものです。スマートコントラクト技術によって、インパクトが製品自体に宿り、そして永続的に寄付することができます」とニガム氏は語った。

「NFTのコレクションが始まると、彼らは、例えばすべての二次販売のうち2%を気候変動との戦いにずっと提供するという目標を設定します。そうすれば、再販のたびにクリエイターの初志が失われることはないため、クリエイターにとってエキサイティングなものになります。非営利団体にとっては、定期的な寄付のルートを確保することは常に第一の目標です」。

2021年は暗号資産による寄付が牽引してきたが、特に3月のウクライナ支援のための迅速な資金動員は、暗号資産コミュニティが他のものを支援するための触媒となる可能性がある。

TechCrunch Disrupt SF 2017に登場したヴィタリック・ブテリン氏(Ethereum考案者)

ロシア出身のEthereum共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は先週、暗号資産投資家Katie Haun(ケイティ・ハウン)氏のチームが主催したTwitterスペースの会話で、最近の支援キャンペーンによって開かれた可能性について語った。

「(ブロックチェーンと暗号資産分野の)本当に中核となる多くの人々は、自由を支持し、より民主的な組織化の方法をサポートし、人々が基本的なものとして平和的に自分の個人的および経済的生活を持つ能力を一般的にサポートしたいと考えてその分野にいると思います」とブテリン氏は述べた。

ウクライナでこうした権利が侵害されるのを見て、暗号資産コミュニティの関心が高まったと同氏は語り、このような意識の高まりは、著名な暗号資産プロジェクトに携わる多くの人がウクライナ人であることが一因だと分析している。

ウクライナを支援するための暗号資産寄付キャンペーンの成功は、暗号資産が「非常に迅速に資金を集めることができるかなり優れた手段」であることを実証したと同氏は付け加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

DJIの企業向けドローン「Matrice」が折りたたみ式に

2016年末に発売された初代DJI Mavicは、民生用ドローンの世界を覆した。コンパクトで折りたたみ式のデザインは、世界中で数えきれないほどのコピーキャットを生み出し、その中にはドローンの巨人である同社の傘下にあるものも多く含まれている。しかし、企業向け製品においては、コンパクトという言葉は最初に頭に浮かぶものではない。撮影用バックパックに収納することを想定した製品よりも、はるかに重く、頑丈なデザインになる傾向がある。

最初のモデルの登場から2年後、同社はMavic 2にエンタープライズ機能を導入した。ここでの最大の変化は、スポットライトやスピーカーなどを追加して、理想的でない条件下での飛行を助けるために使用できるモジュラーマウントが追加されたことだ。しかしどの点から見ても、Mavic 2 Enterpriseは、コンシューマー向けドローンに仕事用の利点をいくつか追加したものであることに変わりはなかった。

画像クレジット:DJI

米国時間3月21日朝、同社はMavicの最大の特徴である折りたたみ式アームをロングセラーのラインナップに加えたエンタープライズアプリケーション向けドローン「Matrice 30」を発表した。DJIは今回も、Mavicやその派生型ドローンに必要とされるサイズより大きいとはいえ、バックパックで持ち運べることを強調している。より大きなサイズは、これらの製品が直面する条件に対してより堅牢な設計を保証する。搭載バッテリーの持続時間は41分で、Mavic 3より5分短い。

天候に関する懸念については、この新型ドローンはIP55に準拠し、華氏-4度から122度(-20℃〜50℃)までの温度で動作可能だとしている。ここで覚えておくべき点は、これらのドローンは、人間が危険な目に遭わなくてすむように、過酷な環境に耐えられるよう設計されているということだ。

新型ドローンにはリモコンが同梱されており、DJIのサイトから購入することができる。

画像クレジット:DJI

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

マスク氏、テスラ事業を「極限サイズ」まで拡大する計画を明かす

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)初の欧州工場の開所を翌日に控えた現地時間3月21日、Twitterで同社の「マスタープラン・パート3」の発表を予告し、同社の事業を「極限」まで拡張する計画を示唆した。

マスク氏は同日、同社の長期計画の次の内容を支えるテーマ、すなわち人工知能と自動車メーカーの事業規模の拡大をTwitterで明らかにした。

「Teslaの主なテーマは、人類を化石燃料から解放するために必要な極限規模への拡大とAIです」とマスク氏はツイートした。「しかし、SpaceX(スペースエックス)、Tesla、The Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー)に関する項目も盛り込む予定です」。

この計画は、Teslaにとって「極限サイズ」がどのようなものかを詳述し、世界的なパンデミックとサプライチェーン逼迫の中で製造とサプライチェーンを拡大するための同社の戦略を概説する可能性がある。

同社は3月22日に欧州初の工場を開設し、そこで生産された初の量産車を引き渡す予定だ。50億ドル(約5970億円)を投じて建設したベルリンの工場では、欧州最大の自動車メーカーVolkswage(フォルクスワーゲン)と同社の1000億ドル(約11兆9500億円)ものEV投資に対抗するために、年50万台超の電気自動車を生産する予定だ。

Teslaは先週、中国のオミクロン新規感染者数の増加とサプライチェーンの制約を受けて、24時間稼動の上海ギガファクトリーを2日間閉鎖した。同工場は1日あたり約2000台を生産し、相当数のModel 3とModel Yを欧州に輸出している。

「マスタープラン」の第1章と第2章は、同社の製品と技術の開発に関する正確なロードマップであることが証明された。第1章は「The Secret Tesla Motors Master Plan(秘密のTesla Motors マスタープラン」と題した2006年のブログ投稿でTeslaの概念実証の概要を示した。

その10年後、「パート2」として更新されたマスク氏のマスタープランは、バッテリーストレージの開発、バッテリー電動ピックアップトラックとSUVを含む新モデルの発売の計画についてだった。第2章が終わりに近づいた今、マスクはTwitterでテスラの次の章を予告し始めた。

また、マスタープランがマスク氏の各会社に焦点を当てるのは今回が初めてで、同氏が親会社を作ってすべての会社を1つ屋根の下に置くつもりではないかとの憶測を呼んでいる。しかし、ツイートでのSpaceとThe Boring Companyへの言及は、将来における両社のコラボレーションを暗示している可能性もある。

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi