スマートキッチン・サミット・ジャパン 2018開催――デモスペースは大混雑、飛び入りプレゼンも

デジタル事業のコンサルティング企業、シグマクシスと食産業のスペシャリスト、シアトルのNextMarket Insightsがミッドタウン日比谷でスマートキッチン・サミット・ジャパン 2018を開催した。8月9日の2日目に参加できたので簡単にご紹介したい。昨年のスマートキッチン・サミットに比べ講演者、参加者、デモ、いずれも倍以上に増え、食のデジタル化、スマート化がメインストリームになりつつあると実感した。

クックパッドはAWS、SHARP、LIXILなどパートナー企業10社を発表しOiCy事業を本格化させることを発表した。OiCyはクックパッドに集まった膨大なレシピをアルゴリズムによって標準化し、スマートキッチン家電と連携させていく試みだという。パナソニックも社内ベンチャー、「ゲームチェンジャー・カタパルト」がさらに前進していることを発表した。

このカンファレンスはNextMarket Insightsがスタートさせたもので、アメリカ発のカンファレンスらしくグローバルな視点が特長だ。今年も機械学習を利用した生鮮食品トラッキングサービスのChefling、オンライン・レシピ・アシスタントのSideChefのファウンダーとクックパッドの吉岡忠佑氏によるパネルではNext MarketのCEO、Mechael Wolf氏がモデレーターとなってさまざまな意見を聞き出していた。SideChefのKevin Yu氏が「データ処理はもちろん重要だがさらに重要なのはユーザーのエンゲージメント」だとして吉岡氏らも賛同した。

Yu氏によればEU市場は日米市場よりセグメントが細かく、いっそうきめ細かいローカライズが必要だという。われわれ日本人はヨーロッパが言語、文化とも非常に多様であることを忘れがちだが、現実にビジネスをする上では重要なポイントになるはず。

しかし今年のSKSでは日本の大企業、ベンチャーのスマートキッチン事業が大きく勢いを増していると感じた。ランチブレークのデモスペースは朝の電車なみに混み合っていて、デモの手元を見るには頭上に流されたライブ映像を見るしかないほどだった。デモではパナソニックの社内ベンチャーで開発された「おにぎりロボット」が面白い。パナソニックで「ごはんひとすじ」で来たという担当者の説明によれば「外はしっかり、中がふわり」というおむすびの理想形を作れる装置だという。

 

ちなみにライブストリーミング用のデジタル一眼のプラットフォームにTechCrunch Japanでも最近紹介したDJI Roninジンバルが使われていた。

セッションの合間に飛び入りのプレゼンを募ったところ、主催者の予想を超えてたちまち5、6チームが登場した。「ひっこみ思案で黙り込んでいる」という日本人のステレオタイプはスマートキッチンに関しては過去のもののようだ。とかく後向きといわれがちな行政からも農水省、経産省、総務省から若手官僚が登壇した。総務省の岸氏が「数字だけみていくのではダメ。まず明るい未来のビジョンを作り、そこに到達するためにどういう具体的な方策があり得るか考えるのでなければ」と力説していたのが印象に残った。

 

最後に昨年に続いて、外村仁氏が登壇。外村氏は元Apple Japan、元Evernote Japan会長などを歴任したシリコンバレーの連続起業家であるだけでなく食のエバンジェリストでもあるというスーパーマン。外村氏はAnovaの低温調理ヒーターの最新版を会場で紹介しながら、食がますますスマート化、サイエンス化しているグローバルなトレンドに日本が遅れかけていることに注意を促し、「これはやっていけないコトなのかもしれないと、自己規制してしまうのが一番いけない。最初から明示的に禁止されたこと以外は全部やっていいんです。どんどんやりましょう」とベンチャー・スピリットを力強く応援した。

 

カンファレンスの詳しい内容についてはシグマクシスのサイトFacebookページに詳しく紹介されている。Facebookページにはスピーカー、参加者全員の写真も掲載されている。

“今ヒマな時間”ですぐ働けるワークシェアアプリ「タイミー」が5600万円調達

ワークシェアサービス「タイミー」を提供するタイミーは8月10日、ジェネシア・ベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ、コロプラネクスト3号ファンド、F Ventures、複数の個人投資家らから総額5600万円を調達したと発表した。

8月2日にリリースしたばかりのタイミーは、人手が足りない飲食店などのお店と、暇な時間を有効活用したい人たちをマッチングするサービスだ。個別のお店ごとの応募や採用面接は不要。アプリに空いた時間を入力するだけで、数多くの候補から「今ヒマな時間」に働けるお店を探すことができる。詳しい機能やUIについては、リリース時に掲載したこちらの記事も参考にしてほしい。

2017年8月に設立したタイミーにとって、今回が初の外部調達となる。同社は今回調達した資金を利用して、「開発体制のさらなる強化、マーケティング施策の充実により、新規クライアントの獲得と対応エリアの拡大を目指す」としている。

AnyPay、株式配当のように“収益を分配するトークン”の発行システムを開発中

割り勘アプリ「paymo」などを提供するAnyPayは8月10日、グループ会社でシンガポールに籍をおくAnyPay Pte.Ltd.にて収益分配型のトークン発行システムを開発中であることを発表した。2018年中にもシンガポールと日本でリリースされる予定だ。

株式ではなく、仮想通貨を発行することによって資金を調達するICOは、新しい資金調達手法として徐々に市民権を獲得しつつある。coindeskによる統計を見ると、2018年7月末時点におけるICOによる累計資金調達額は世界全体で200億ドル(約2兆2000億円)を超え、特に2017年から急速に普及してきたことが分かる。

写真: coindesk

しかし、その一方で、日本を含む各国ではこの新しい資金調達手法に適用する法律や規制が十分に整備されていないのも事実だ。そのために、ICOによる資金調達を断念する企業も多い。

そんななか、仮想通貨を利用した新しい資金調達手法として近年注目を浴びているのが、金融商品関連法令にもとづく金融商品としてトークンを発行して資金調達を行うSTO(Security Token Offering)だ。通常、ICOでは仮想通貨を発行する企業のサービスなどで利用できるトークンを発行することが一般的。これらのトークンは「ユーティリティトークン」と呼ばれる一方で、STOによって発行するトークンは、企業の所有権や配当など取引可能な資産によって裏付けられた「セキュリティトークン」と呼ばれる。

金融商品関連法令に則ったかたちでトークンを発行するためには、発行するトークンが金融商品であると認められなければならない。規制が不十分という環境のなか、仮想通貨による資金調達を実現するためには、株式などの金融商品に近い性質をもつセキュリティトークンはこの点で有利となる。

そのような背景もあり、STOによる資金調達を計画する企業が増えてきてはいるものの、実施に先立って調査すべき法的要件や必要書類は多岐に渡り、経験がない企業がイチからSTOを実施するのは非常に困難であることも事実だ。

そこでAnyPayは、これまで展開してきたICOコンサルティング事業で培った知見を利用し、企業がより簡単にSTOを実施できるようなシステムを開発中だ。AnyPayはコンサルティング事業を通して、これまでに「数社」の企業を相手にICO実施のサポートを行ってきた。そのなかには、STOによって合計約1800万ドルを調達した企業もあるという(ただし、この例はインド企業)。

開発中のトークン発行システムの詳細はまだ明らかにはなっていないものの、同システムでは「トークン発行機能、STOを実施したあとの配当配布やIRを円滑に進めるためのツール」が利用可能になるという。

なお、AnyPayは同システムの運営において、Gunosyやインキュベイトファンドなど事業会社やVCとの協業パートナーシップを交わしたことも併せて発表している。これらのパートナーが担う役割について、ICOコンサルティング事業の責任者である山田悠太郎氏は、「事業会社のパートナーとは、ブロックチェーンの仕組みを活かしていかにセキュアで透明性のある全体の仕組みを作っていくかなど(システムの開発面で)協業を進める。パートナーシップに参加する各ファンドとは、彼らの投資先企業のバリューアップをSTOによってお手伝いすることで、ファンドとAnyPayの両社にメリットのある協業ができると考えている」と話した。

あなたが想像しているよりもずっと早く、野菜はロボットによって収穫されるようになる

近い将来、アメリカ中の食料品店の棚に並ぶ野菜はロボットによって収穫されたものになるだろう。

工場で使われるようになったオートメーション革命は、さらに米国の農業産業への道を開拓し、その最初の展開場所は現在米国内に点在し始めている屋内農場になるだろう。

このロボット革命の先頭に立つのが、Root AIのような企業だ。Root AIは初のロボット収穫と農場最適化技術を市場に登場させるために、230万ドルを調達したばかりである。

Root AIは、現在世界に存在する230万平方フィート(約6万4600坪)の屋内農場に焦点を当てており、屋内農作物を栽培する農家の数の増加に合わせて拡大することを望んでいる。Agrilystのような分析会社の推定によれば、屋内農場は2200万平方フィート(約61万8200坪:主に米国内)程度まで広がる可能性もある。

これはおおよそ505エーカー(約204.4ヘクタール)の広さに過ぎない。現在米国内で耕作が行われている9億エーカー(3億6400万ヘクタール)の土地にくらべれば本当に些細なものである。しかしそれらの室内農場は、従来の農場に比べて、生産量がはるかに高く、リソース使用量ははるかに少なくて済むという大きな利点を持っている。屋内栽培されるトマトや葉物のような作物の単位面積あたりの収穫量は、屋外農場の10倍以上に達する。

Root AIのエグゼクティブチームは、その収穫量をさらに高めることができると考えている。

36歳のJosh Lessingと28歳のRyan Knopfという、ロボット業界の2つの新星によって創業されたRootは、元々は2人が以前働いていたSoft Roboticsで行っていた仕事の延長線上にある。Soft Roboticsはロボット操作に対する新しい技術を開拓していた。

ハーバード大学教授のGeorge Whitesideによって行われていた研究から、スピンオフしたSoft Roboticsのチームは、正式なロボット開発の訓練を受けないまま、数年に渡りロボット開発を続けてきた技術者たちによって、主に構成されていた。Knopfは、ペンシルバニア大学で学んだロボット工学者であり、伝統的なロボット工学の背景をもつ限られた従業員たちの1人だった。

「私たちはSoftでコア技術を開発する最初の2人でした」とLessingは言う。「この技術は現在食品産業で多用されています。柔らかいグリッパーを採用したことで…デリケートなフードグリッパーを展開しやすくなりました。とても扱いやすい機械デザインのおかげで食品の品質を保ち易くなるのです。例えば物を掴むことができる、膨張式の指などです」。

Root AIの共同創業者のJosh LessingとRyan Knopf

同社が取り組んでいた方法は、人間の手の器用さを再現するという非常に厄介な問題に、他のロボット会社がアプローチしていたやり方とは、根本的に異なったものだった。「従来のロボット技術の観点からは、私たちはあらゆる間違いを犯していたために、従来のロボットができることを実行することができませんでした。最終的には私たちは、新しい部品を使って、適応性のあるグリップを作成することができました」とLessingは語る。

Soft Roboticsは革新的な仕事を続けているが、KnopfとLessingの2人は、彼らの知識がとても必要とされている分野にチャンスを見出した ―― それが農業だ。「農業は沢山の複雑な課題に直面していていますし、同時に私たちはもっともっと多くの食料を必要としています」とLessingは語る。「そして農業における近年の多くの課題は、梱包や加工施設ではなく、現場に存在しています。そこでRyanと私は、どのようにAIを生産者の役に立てることができるかについての、新しい取り組みを始めることにしたのです」。

Root AIの最初のプロダクトは、屋内農業施設で稼働するモバイルロボットだ。それはトマトを摘み上げ、作物を見てその健康状態を評価し、ロボットが作物(当初はトマト)を連続的にかつ人間によるものよりも効率的に栽培できるようにするために、剪定や熟成状況の観察と管理を行う。

Root AIのロボットには、カラー画像と3D深度情報の両方を収集するために、複数のカメラが搭載されていいる(ロボット自身のアームに搭載された1つは「道具」の視野として使われ、ロボットの側面には固定画角のカメラが1つ装備されている)。また同社は、関心のあるオブジェクトを検出し、バウンディングボックスでそれらにラベルを付けるための、カスタマイズされた畳み込みニューラルネットワークを開発した。果物の場所以外にも、果物の性質(熟成度、サイズ、品質等級など)を測定するために、Root AIは他の独自視覚処理技術を使用している。こうした処理の全てが、データセンターへの遠隔アクセスに頼ることなく、ロボットの上で行われる。処理はリアルタイムだ。

Rootの創業者たちが指摘するように、このロボットたちのようなツールは徐々に有用さが増してくるだろう。なぜなら米国の屋内そして屋外農業の両者が、徐々に労働力不足に陥っているからだ

その一方で、産業としての農業にのしかかる圧力は、ロボットによって支援される屋内農業を、徐々に生産のためのより現実的な選択肢としている。絶えることのない人口増加と気候変動による耕作地の減少は、単位面積あたり最大20倍の果物と野菜を収穫することが可能で、使用する水の量が最大90%少なくて済む屋内農場を、極めて魅力的なものにしている。

Howling Farms、Mucci Farms、Del Fresco Produce、そしてNaturefreshなどのサプライヤーたちは、すでに消費者のために多くの果物と野菜を生産している、とLessingは語る。「彼らは、より広い社会にとって意味のある方法で、農業生産を調整してきました。それは持続可能な手法であり、農場を都市部に配置することを可能にします。そしてはるかに単純な物流ネットワークを有しています」。

サプライチェーンの複雑さとコストを削減する能力は、Walmart やWhole Foodsなどの小売業者たちにとって有益だ。彼らはより新鮮で、長持ちする農産物を消費者に届けるために競い合っている、とLessingは語った。投資家たちも納得しているようだ。Root AIは、First Round CapitalAccompliceSchematic VenturesLiquid2 Ventures、そしてHalf Court Venturesといったファームからラウンドを通して230万ドルを調達することができた。

「農場にはとても多くの役割があり、私たちはそれらすべての分野を補完しようとしています」とLessing氏は語る。「今、私たちは異なる生産者たちと、多くの技術実験を行っています。例えば成熟度の計測やトマトを掴むグリッパーの能力などについてです。来年にはパイロット生産を開始します」。

地球温暖化が食糧生産への厳しさを強めていく中で、Lessingは彼のテクノロジーに対する需要が高まっているのを感じている。

「個人的には、どれくらいの食料を私たちは必要とするのか、そしてどこでそれを作れば良いのか、という懸念を持っています」とLessingは言う。「屋内農業は、どこでも食料を生産できるようにすることに注力しています。もし環境を制御できるならば、食料を生産する能力を手に入れることができます…人びとの基本的なニーズを満たすことは、私の人生で成し遂げることのできる最も影響あることの1つなのです」。

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(翻訳:sako)

SEC、マスクのTesla非公開化ツイートについて調査開始

昨日(米国時間8/7)、Teslaのファウンダーのビリオネア、イーロン・マスクが1株あたり420ドルでTesla株を買い戻し、同社の非公開化を検討しているとツイートしたことが大きな注目を集めた。ジョークだろうとか悪いもので食ったのだろうと聞き流す向きもあったが、ともあれ市場は反応した。Telsaの株価は11%アップし、一時市場での売買が停止された。

これについてSEC(連邦証券取引委員会)が調査に乗り出したという。

Wall Street Journalの記事によれば、SECはTesla非公開化に関連して、イーロン・マスクが本当に非公開化を実行する意図があったのか、また規則に定められた方式による書類提出でなく、この特定のタイミングでツイートによってその意図を公開した理由について調査を始めているという。ツイートによって意図的に株価の操縦が試みられたとSECが認定すれば、マスクは法的責任を問われる可能性がある。

マスクはその後で全社員向けにメールを送り、非公開化は「株価の乱高下によって受ける悪影響を最小限にできる」ので「前進するための最良の道」」だと述べた。四半期決算の成績を維持しなければならないという圧力にさらされることは長期的視野に立った経営にとって必ずしも有益でないという。われわれはSECとTesla双方にさらなる情報を求めている。

マスクはツイートで「資金は確保した」と述べたが、その資金の出し手が誰であるか依然として説明されていないサウジアラビアの国営ファンドがTesla株式に20億ドルを投じたというニュースが報道され直後にこのたツイートが行われた。Wall Street Journalによれば、マスクは先週、Teslaの取締役グループに対し非公開化の意向を説明したという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

中規模企業の後押しをするWeWorkの”HQ”

WeWorkが、最近新しいオフィススペースソリューションである”HQ by WeWork”を発表した。中規模の企業に、長期の賃貸契約なしに、彼らの必要とするプライバシー、柔軟性、カスタマイズ、そしてコスト効率のよいソリューションを提供することが目的だ。

米国国勢調査データによれば、11〜250人の従業員を抱える中規模企業の数は、米国内に110万社を数え、総従業員数はおよそ3000万人に達する。これらの企業は成長を始めてはいるものの、すぐにまた成長してしまうことを思うと(あるいは財政的理由によって)長めのオフィス契約にはなかなか踏み切れないことが多い。

「ずっと30人を超えることのないライフスタイルビジネス、小規模の法律事務所、あるいはハイテク企業など、私たちはその規模の企業が、地域経済にとってどれほど重要なのかを知っています」とTechCrunchに語るのは、WeWorkのChief Growth OfficerであるDave Fanoだ。「しばしば、それくらいの規模の企業にとってスペースの確保は非常に問題です。そして多くの場合そのオフィススペースの決定が、先々の成長の足枷になることもあるのです」。

こうした企業のニーズによりよく応えるために、HQ by WeWorkは、通常は最低でも12ヶ月から24ヶ月の賃貸契約が必要であるプライベートオフィスフロアを、企業に対して柔軟な期間でリースをする(リースと管理はWeWorkによっておこなわれる)。しかし企業はそのスペースから6ヶ月で成長して移動しなければならない。Fanoは、WeWorkがそうした成長をサポートするための助力を提供すると語った。

企業が自ら借りたスペースに、WeWorkによる管理を適用する、WeWorkのPowered by Weモデルとは異なり、HQ by WeWorkを使う企業はオフィスの不動産契約も含めて一切をWeWorkに任せることができる。

HQ by WeWorkでは、カスタマイズした色スキーム、ブランディングの組み込み、専用出入口、WeWorkマネジメントの軽量版モデル(必要なもの ―― IT、AVなど ―― は含まれているが、余分なもの ―― フル会議室やイベント ―― などは省かれたもの)が典型的なWeWorkオフィススペースと共に提供される。こうした設備の削減によって、典型的なWeWork設備よりも1人あたりの価格を安く抑えながら、スペースを提供することができる、とFanoは私に語った。とはいえ、HQテナントたちは、施設の不足を補うために、任意のWeWork施設を訪問して一時利用することが可能だ。

これまでのところ、WeWorkはニューヨークに6つのHQスペースをリースしている。現在はLos AnglesやTorontoなどの、会社が力を入れるすべての主要都市に、HQ by Workを拡大しようと活発に活動が行われているところだ。

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(翻訳:sako)

FossilのAndroid Wearファッションウォッチが心拍計などフィットネス機能を充実

バッグや腕時計など、伝統的なファッション小物のメーカーであるFossilが、スマートウォッチという形でウェアラブルの世界に入ってきたことは、スタートアップとは別の意味で興味深い。同社のそのQウォッチシリーズの新製品Fossil Q Venture HRとFossil Q Explorist HRは、Fossilの初期のシンプルなウォッチにAndroid Wearの機能をたっぷり盛り込んでいる。いわばこれらは、フィットネスのファンのための、良くできた低価格のスマートウォッチだ。〔*: HR==heart rate==心拍数〕

最初のQウォッチはアナログの文字盤と歩数計をハイブリッドした巧妙な設計だった。しかしウェアラブルをやるようになると、同社はAndroid Wear路線を選んで低電力消費のタッチスクリーンウォッチをいくつか出した。しかし今回は新しいチップセットを採用して、大量の機能をうまくまとめることに成功した。VentureとExploristにはテザリング不要のGPS, NFC, 心拍計があり、電池寿命は24時間だ。高度計やジャイロセンサー(角速度センサー)もある。

これらの新型ウォッチは255ドルで、QualcommのSnapdragon Wear 2100チップを搭載している。それは、フィットネスウォッチ向けに最適化されているチップセットだ。

形とバンドは複数種類あり、文字盤は36種ある。それらの中にはフィットネス機能だけに専門化した文字盤もある。Google Payで支払決済もできるが、Apple Payはサポートしていない。コンテンツを保存して歩行やランニング時に見たり聴いたりできる。防水だから水泳の計時もできる。VentureとExploristはそれぞれ、40ミリと45ミリだ。ストラップは交換できる。スイス製の1万ドルの名品ではないが、ルックスも機能もとてもいい。

〔関連記事: ウェアラブルオペレーティングシステムAndroid Wearが‘Wear OS by Google’に改名

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

気になる英語ニュースを使って英語力強化、「ポリグロッツ」が6500万円を調達

英語学習アプリ「POLYGLOTS(ポリグロッツ)」などを運営するポリグロッツは8月9日、QBキャピタル、PE&HR、パイプドHD、米国の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により総額6500万円を調達したことを明らかにした。

ポリグロッツについてはこれまでも何度か紹介しているけれど、自分の興味があるジャンルの英文ニュースを軸に英語力を強化できるのが特徴。ビジネスやテクノロジー、ファッションなど各分野のニュースが配信されていて、情報収集をしつつ英語の勉強もできるというわけだ。テクノジーカテゴリではTechCrunchの記事も読むことができる。

わからない単語をタップすることで辞書を引けるほか、日本語訳がある記事で訳文を見ながら学習したり、音声が付いている記事でリスニング力を鍛えたりすることも可能。自習だけではなく、先生のオンラインレッスンを受けられる機能も搭載された。

2014年末のリリースから4年近くが経ち、現在のユーザー数は約100万人。今後は調達した資金も活用し、蓄積した学習者の学習履歴データ、学習コンテンツ、先生とのレッスンを融合することで「学習者一人一人に最適化されたカリキュラムを、AIで自動生成し、これまでにない学習効率と効果を実現する語学サービス」を目指すという。

なおポリグロッツは2014年5月の創業。これまで2015年にEast Venturesやエンジェル投資家らから資金調達を実施しているほか、2017年12月にも事業会社と個人投資家より600万円を調達している。

いよいよTechCrunch Tokyo 2018のチケット販売開始、今ならお得な「超早割チケット」が買えるぞ!

先日発表した通り、今年もスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する。そして今日、今の時点でTC Tokyoに参加したいと思っているコアな読者のみなさんのために、「超早割チケット」を販売開始したのでお知らせしたい。

TechCrunch Tokyoは僕たちTechCrunch Japanが毎年開催している、日本最大級のスタートアップ・テクノロジーのイベントだ。今年で8回目の開催となり、昨年は約2500名が来場した。

ピッチバトルや展示ブースを通じて国内スタートアップのトレンドを知ることができるほか、国内外からの著名ゲストたちによる貴重な公演を見れる。多くの海外スピーカーによる登壇は、シリコンバレー発祥メディアの日本版が運営するTechCrunch Tokyoならではの特徴だ。

一般チケットの値段は4万円(税込)だが、本日発売の超早割チケットは半額以下の1万8000円(税込)だ。販売期間は9月18日までなので、このチャンスを逃さないでほしい。

TechCrunch Tokyoの最大の目玉は、何と言っても創業3年未満の新進気鋭のスタートアップがステージ上でピッチバトルを繰り広げる「スタートアップバトル」だ。例年100〜150社から応募が寄せられ、VCやTechCrunch編集部を中心としたメンバーが書類審査を行う。その書類審査をくぐり抜けたスタートアップだけが当日の本戦に進むことができ、11月の寒さを忘れるほどの熱いバトルをステージで繰り広げる。

また、TechCrunch Tokyoでは毎年、国内外のスタートアップ業界のコアにいるキーパーソンたちをお招きしている。昨年は海外からSlack共同創業者のCal Henderson氏やWeWorkのChris Hill氏、国内ではマネーフォーワードの辻庸介氏ソラコムの玉川憲氏らに登壇していただいた。かつてはUber共同創業者のTravis Kalanick氏メルカリ代表取締役会長兼CEO山田進太郎氏もお招きしている。

今年の登壇者も続々と決まっており、随時発表していくので期待して待っていてほしい。近日中に大きな発表がある、と一言だけ付け加えておこう。

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メルカリが2018年6月期本決算を発表ーー売上357億円、営業損失は44億円

8月9日、フリマアプリなどを展開するメルカリが2018年6月期の本決算を発表した。売上は約357億円で前期比62%の増収、営業損失は約44億円、当期純損失は約70億円だった。

なお、同社は2018年6月期の4Qにおいて、「当社が保有する関係会社株式のうち、実質価格が著しく下落した子会社株式について減損処理を実施した」として、約114億円の特別損失を計上したことも同日発表した(ただし、この関係会社株式評価損は連結決算上消去されるため、連結損益への影響はないとしている)。

当日公開された資料によれば、2018年6月末時点におけるフリマアプリ「メルカリ」の累計ダウンロード数は約7500万件で、前期に比べて約2000万件の増加となる。米国版アプリ「Mercari」の米国累計ダウンロード数は前期比で約1100万件増え、約4000万件となった。その結果、売上高も約357億円の増収となったものの、国内の新規事業や海外事業はいまだ投資フェーズにあり、ブランド認知を促すための広告宣伝費や人材獲得のための人件費を吸収できず、営業利益は約44億円の赤字となった。

メルカリは6月19日にマザーズ市場に上場。上場初日には1株5300円の値段がつき、当時のマザーズ市場において一気に時価総額1位(約7132億円)になるなど、華々しい“デビュー”を飾った(本日大引けでの株価は4735円となっており、時価総額は約6542億円)。

同社はその後、7月20日に「メルカリNOW」、「teacha」、「メルカリ メゾンズ」の3つの新規事業の停止を発表。社内リソースの再配分に取り組んできた(サービス停止の背景については、こちらの記事を参考にしてほしい)。今後同社は、フリマアプリのメルカリの国内での成長を軸に、グローバル事業や新規事業の創造を積極的に行っていく方針。これらの投資により、今後も短期的には営業損失、純損失額が拡大する可能性があるとしている。

KDDIとエブリーがライブコマースアプリ「CHECK」公開

ライブコマースと言えば、2017年に日本国内のTechシーンでも注目を集めた領域のひとつといえるだろう。

TechCrunchでも昨年のTechCrunch Tokyoでライブコマースに関するパネルディスカッションを開催。個別の記事としてもCandeeの「Live Shop!」やFlattの「PinQul」といった新たなプロダクトのほか、「メルカリチャンネル」や「BASEライブ」など既存のコマース事業者がひとつのソリューションとしてライブ機能を取り入れた事例を紹介してきた。もちろん紹介しきれていないだけで、それ以外にも多くのサービスが立ち上がっている。

そんなライブコマース領域で、またひとつ新たなサービスが生まれた。本日8月9よりKDDIとエブリーが開始した「CHECK」だ。

両社は2018年3月に資本業務提携を締結。共同でライブコマース事業を提供することを発表していたけれど、それがついにスタートしたということだろう。

CHECKはアプリ内で配信されるライブ番組を通じて、出演者とインタラクティブにコミュニケーションをとりながら気に入った商品を購入できるアプリだ。

一例をあげると毎日の家事が少しでも楽になるような便利アイテムを紹介する「悩みすっきり ママラク」やママたちが実際にアイテムを試しながらレビューする「ママレビュー」、SNS映えするフォトジェニックなアイテムを紹介する「買えるジェニック」など、1回あたり30分程度の番組が毎日配信される。

冒頭で触れたサービスも含め、これまでのライブコマースサービスでは配信者を軸にしたものが多かったように思うが、現在アプリを見る限りCHECKは個人ではなく番組が中心。その辺りが既存のプロダクトとは違った特徴と言えそうだ。

今後はライブ動画中に行われるアンケートやクイズに回答することでクーポン・ポイントが付与される機能、同時視聴者数が多く集まるほどお得に買い物ができる企画などを予定しているとのこと。

また出店事業者を増やし商品のジャンルを広げるとともに、24時間365日のライブ動画配信を実現させ「これまでに無い新しいライブコマースプラットフォーム」を目指す方針。KDDIが運営する総合ショッピングモール「Wowma!」とも連携しながら、サービスの拡大を図っていくという。

複数のメッセージング上のコミュニケーションを統一するMessageBirdの仮想APIは企業への顧客の感度を良くする

アメリカのAccelとヨーロッパのAtomicoが投資しているアムステルダムのクラウドコミュニケーションプラットホームMessageBirdが今日(米国時間8/8)、企業が顧客たちと、彼らが選んださまざまなチャネルを横断して容易にコミュニケーションできるための、新しいプロダクトを発表した。

“Programmable Conversations”(プログラマブルな会話)、というすごい名前がつけられたこのプロダクトは、単一のAPIのような形をしているが、実際には複数のチャネルにまたがる顧客の対話を、単一の会話スレッドに統一する。製品の現状では、その‘複数のチャネル’は、WhatsApp, WeChat, Facebook Messenger, Line, Telegram, SMS, そして音声による対話だ。Programmable Conversationsの仮想APIからは、これらを単一の会話チャネルのように扱える。それにより企業は、顧客とのコミュニケーションの履歴を統一された形で見ることができ、カスタマサポートやそのほかの顧客対面部門では、つねに最新最先端の顧客サービス体制を維持できる。それはもちろん、顧客の満足や企業への好感度につながる。

別の言い方をすると、コミュニケーションのチャネルが多いと会話は断片化しがちだ。しかもそこに、複数のサポートスタッフが関与していると、サービスの質は必然的に低下するだろう。Programmable Conversationsは、この問題を解決しようとする。

MessageBirdのファウンダーでCEOのRobert Visによると、ますます多くの企業や、急成長しているスタートアップには、顧客が企業との会話に使用するチャネルを一方的に指定する贅沢が許されない。これまでのカスタマーサービスは専用の電話番号を使うだけだったが、昨今の、オンラインメッセージングやそのほかのコミュニケーションチャネルの相次ぐ出現と氾濫により、顧客がコミュニケーションに使用する方法の選択肢が爆発的に増えている。

しかし、企業が既存のCRMやビジネスプロセスにそれらすべてを統合しようとすると、開発時間が膨大になるだけでなく、複数のチャネルに対応するためにスタッフの増員が必要になる。

このたいへん重い重量挙げを、MessageBirdのProgrammable Conversationsがお手伝いする。複数のチャネルに分散している会話を一本化することは、企業自身の手に負える技術課題ではない。しかしProgrammable Conversationsの仮想APIを使えば、実装の初期費用と時間が節約できるだけでなく、今後のメンテナンスや必要なアップデートも容易になる。

Visによると、Programmable Conversationsはグローバル企業のコミュニケーション管理にも向いている。あるいは、今後グローバル化していく企業の、その過程を支えることができる。多様なメッセージングプラットホームへの対応だけでなく、地球規模での複数キャリアの統合も可能だ。

“その企業とのコミュニケーション体験が良かったら、顧客の満足度とブランドロイヤリティがアップする。しかもこの二つの要素は、今日の企業の生命線だ。今日の顧客は企業と、友だちや家族と同じように会話したいと思っている。自分の好きな時間に、好きなチャネルで、しかも相手がこれまでの会話の文脈を完全に分かっている状態でだ。Programmable Conversationsを使えば企業は、そのような現代的なコミュニケーション体験を容易に構築できるし、しかもデベロッパーたちを過負荷にすることもない”、とVisは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

宇宙船の液体極低温化技術や空中回収でNASAが$44Mの助成金をBlue Originらに

NASAがアメリカの宇宙企業数社と、総額4400万ドルの巨額なパートナーシップを結んだ。Blue Origin, Astrobotic Technology, United Launch Alliance(ULA)などの各社が、宇宙利用の安全性と効率性を探求する複数のプロジェクトで、それぞれ最大1000万ドルを受け取る。

その10種類の懸賞金はNASAの言う“転換点となる”技術を対象とし、将来性はきわめて高いが、地上または飛行時のデモに資金を要する。言い換えるとそれらは、研究室を出て実用レベルに達したものでなければならない。

ULAがここでは大きな勝者で、三つのプロジェクトに計1390万ドルを受け取る。内1000万ドルは、月面着陸船を単純化し改良する液体燃料の極低温化管理システムに向けられる。残りは、長期間のミッションのための極低温液体プロジェクトと、最大8000ポンド(3632キログラム)までの、帰還船の空中回収のデモンストレーションに充てられる。帰還船は帰還の直前まで軌道を定常速度で周回していたものでなければならない。三つのうち、最後のがいちばん‘安い’プロジェクトだなんて、信じられないね!

1300万ドルをもらうBlue Originも、着陸船の極低温液体管理システムを探求する。どうやらNASAは、月の表土に執着関心があるようだ。残りの額は、月面着陸を容易にするための一連の高度なセンサーの試験に充てられる。同社はこれら二つのシステムを、100キロメートル上空のNew Shepard機上でテストする。

もう一社Astrobotic Technologyにも1000万ドルが行く。こちらはBlue Originと同じく、Terrain Relative Navigation(地形照合航法, TRN)のための一連のセンサーを開発する。これは着陸船に“地形の安全性の判定”という知性を与える技術で、着地直前の具体的な状況下で、実観測により、安全性を確保する。

Mars 2020 Roverは、独自のTRNシステムを使用するが、今回の資金はより高度な方式を対象とする。でも下図のGIF画像を見れば、TRNの概念を理解できるだろう。

今回のNASAの研究資金提供事業では、これら以外のプロジェクトも対象になっている。詳細を知りたい方は、このパートナーシップの発表ページへ行ってみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ビジネスチャットのSlack、 さらに4億ドルを調達中――ポストマネーは70億ドル以上か

Slackはビジネスパーソンが社内、社外で共同作業をすることを助けるプラットフォームだ。手軽にチャットし何百というフォーマットのデータを簡単に共同利用できる。こここ数年の急成長は目をみはらせるものがあった。最近ではアクティブ・ユーザー800万人、うち有料ユーザー300万人というマイルストーンを達成している。このSlackが現在さらなる大型資金調達に動いている。

TechCrunchがつかんだところでは、Slackは新たなラウンドで4億ドルかそれ以上の資金調達を狙っている。ポストマネーの会社評価額は少なくとも70億ドルになるはずだ。この2資金を上乗せできれば、会社評価額は2017年の20億ドル以上ジャンプするだろう。Slackの前回のラウンドはSoftBankがリードし、51億ドルの会社評価額で2億5000万ドルを調達していた。

われわれは複数の情報源から新しい投資家であるGeneral Atlanticがラウンドをリードすると聞いている。新規投資家にはDragoneerも加わる可能性がある。他の投資家についてはまだ不明なところもあるが、PitchBookによればSlackの資本政策表にはすでに41社の株主が掲載されているという(Slackのブログのタイトルをもじって言えば「何人かが投資中…」というところだ)。またこのラウンドが実施中なのかすでにクローズされたのかについてもまだ情報がない。【略】

ビジネスチャット分野には強力なライバルも参入している。MicrosoftはTeamsを、FacebookはWorkplaceをそれぞれスタートさせている。Microsoftは今年に入ってすでに20万社の有料ユーザーを獲得しており、FacebookもWalmartのような巨大ユーザーを引き入れている。.

しかしSlackのボトムアップによるユーザー拡大戦略は、こうした巨大企業の攻勢に対しても有効なようだ。Slackはシンプルで使いやすいが、ライバルのプロダクトは多機能なだけに複雑だ。Slackはメッセージング機能を優先しあくまでライトなシステムを目指している。Slackが多くの企業にいつのまにか入り込むことに成功しているのはこうした特長によるところが大きい。【略】

テキサス州オースティン、2016年3月15日:SXSWのステージに登壇したファウンダー、CEOのスチュワート・バタフィールド。Flickrの共同ファウンダーとしても知られる。(撮影:Mindy Best/Getty Images)

Slackはまだ社員1000人程度で、そのプレゼンスからすれば比較的小規模な会社だ。同社は今年IPOはしないと発表している。今回のラウンドはライバルとの競争とさらなる成長を助けることになるだろう。

われわれはSlackに取材を試みたが、同社は「噂や推測についてはコメントしない方針だ」とのことだった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Magic Leap One、開発者版リリース――謎のスタートアップのARヘッドセットの価格はiPhone Xの2倍

なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

このキットはメインストリームのコンシューマーを狙ったものではない。Magic Leapの戦略はかなり変化したように思える。Magic LeapのファウンダーはVergeのインタビューで「もうすぐ誰もが普通に使えるようになる」と力説していたのだが、どうやらまずデベロッパー向けヘッドセットを出荷し、コンテンツを充実させることで将来のコンシューマーを引き入れるという方向に舵を切ったようだ。

CNETによれば、余分の接続ケーブル、本体が故障した場合の迅速な交換サービスなどを含むプロキットにはさらに495ドル必要だ。(一部のデベロッパーには必須となる)処方箋によるメガネのレンズなどのエクストラはまた別に購入する必要がある。これらを合わせると価格はiPhone Xの3台分に近い。

われわれのCrunchbaseのデータによればこの拡張現実スタートアップは過去に少なくとも23億ドルの資金を調達している。投資家にはGoogle、Alibaba、Andreessen Horowitzといった著名な名前が並んでいるが、今回のクリエーター・バージョンが発売されるのは「アラスカ、ハワイを除くアメリカの特定の都市」だそうだ。

購入者希望者はウェブサイトのフォームにまず郵便番号を入力して自分が購入可能かどうかチェックする必要がある。ただし購入可能な都市は「急速に数を増やしている」そうだ。

われわれも郵便番号を入力したが、サンフランシスコは(当たり前だが)購入可能な地域だった。

CNETの報道では、現在購入可能なのはシカゴ、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコ(シリコンバレーを含む)、シアトルの6都市だという。

Magice Leapはデバイスは「直接配送される」ことを強調している。Magic Leapの専門家がパッケージを届けるだけでなく、自らセットアップも行う。高価な最初の製品がデベロッパーの期待を裏切らないよう努力していることがうかがえる。

Magic Leapではこの製品が「現在のコンピューティングのパラダイムを大きくシフトさせる」ことを狙っているが、これには熱心なデベロッパー、クリエーターによる「スペーシャル・コンピューティング」のコンテンツの創造が不可欠だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

空港のバードストライク対策に自律飛行ドローンが有効かもしれない

航空機に鳥がぶつかるバードストライクはそう頻繁ではないが、空港が注意を喚起しないほどに稀というわけでもない。しかし、鳥を近づけない、というのは難しい。何十、何百羽もの鳥の群の動きをどうやったらコントロールできるだろうか。もしかすると、CalTech(カリフォルニア工科大学)が考案した手法のような自律飛行ドローンが最善の策かもしれない。

現状では、人がマニュアル操作するドローンを活用している空港もあるが、それはコストがかかり、またそうした技術を持つパイロットの数はそう多くない。それとは別に、調教したハヤブサを使うという手もあるが、こちらも大規模展開するのは無理がある。

CalTechのSoon-Jo Chungは、2009年にUSエアウェイズ1549便がバードストライクに遭って墜落しそうになりつつもなんとかハドソン川に不時着したという、大惨事となりかねなかった事件後にこの分野に興味を持った。

「ハドソン川の一件を見て、次はハッピーエンディングにはならないだろうと思った」とCalTechのニュースリリースで述べている。「だから、私は自分の研究分野であるオートノミーとロボティックスを使って鳥から航空機を守る方策の検討を始めた」。

ドローンは、明快な策と思われる。空中に放ち、ガンの群を追いやる。しかし鳥の動きを予測し、群の行動に影響を与えるのは、そんなに簡単なことではない。

「ドローンをどの位置につけるかについては、細心の注意を払わなければならない。あまりにも遠すぎると、群を動かすことはできない。また、近すぎると、群をバラバラにしてしまい、本当にコントロールできなくしてしまう」とChungは話す。

研究チームは、動物の群がいかに動き、互いにどう影響し合っているのかモデル研究を行なった。そして、鳥の群れが脅威となるものに対しどう動くのかを示すモデルを作りあげた。このモデルから、鳥をパニックに陥らせたりバラバラにしたりすることなく、好ましい方向に追いやれるようなドローンの飛行経路を導き出した。

研究チームは、新ソフトウェアを搭載したドローンを数カ所で試し、特定エリアに鳥が入らないよう指示して飛ばした。下記にあるように(こちらのビデオからの抜粋だ)、効果があるように見える。

当然、あらゆる規模の群れやスピードなどにも安定して対応できるシステムにするためには、まだ実験を重ねる必要がある。とはいえ、このシステムが航空機をバードストライクから保護するスタンダードシステムになるのは想像に難くない。正確なレーダーを使った1ダース前後のドローンで広範囲をカバーすることができるかもしれない。

研究結果は IEEE Transactions on Roboticsに掲載された。

イメージクレジット: Peter Linehan / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(翻訳:Mizoguchi)

巨大AI企業SenseTimeがビデオ技術のMoviebookへ$199Mの投資をリード、その戦略的意図は…

SenseTimeは、45億ドルあまりの評価額で6億2000万ドルを調達し、評価額が世界最高のAI企業として知られているようだが、同社はしかし投資家でもある。この中国企業は今週、オンラインのビデオサービスをサポートする技術を開発している北京のMoviebookへのシリーズD、13億6000万人民元(1億9900万ドル)のラウンドをリードした。

Moviebookはこの前2017年に、シリーズCで5億人民元(7500万ドル)を調達した。今回のシリーズDは、SB China Venture Capital(SBCVC)が、Qianhai Wutong, PAC Partners, Oriental Pearl, およびLang Sheng Investmentらと共に参加した。〔SB==Softbank〕

SenseTimeによると、同社は投資と共にMoviebookとのパートナーシップも契約し、二社がさまざまなAI技術で協力していく。たとえば、エンターテインメント産業におけるAIの利用増大をねらった拡張現実技術などだ。

SenseTime Group Ltd.のオブジェクト検出/追跡技術が、2018年4月4日に東京で行われたArtificial Intelligence Exhibition & Conference(人工知能エキシビション&カンファレンス)でデモされた。このAIエキスポは4月6日まで行われた。写真撮影: Kiyoshi Ota/Bloomberg

声明の中でSenseTimeの協同ファウンダーXu Bingは、両社は、放送やテレビとインターネットのストリーミングなどからの大量のビデオデータを利用して、未来の多様な商機を開拓していく、と述べている。彼はまた、AIなどの新しい技術をエンターテインメント産業に導入していくことの持つポテンシャルを、強調している。

このような戦略的投資をSenseTimeが行なうのはこれが初めてではないが、今回がいちばん重要だろう。同社はこれまで、51VR, Helian Health, そしてリテールの巨人SuningからのスピンアウトSuning Sportsなどに投資している。

SenseTime自身は投資家たちから16億ドルあまりを調達しており、その投資家はAlibaba, Tiger Global, Qualcomm, IDG Capital, Temasek, Silver Lake Partnersなど、きわめて多様だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iPhone用チップメーカー、身代金ウィルス感染で工場停止。1年以上パッチ未適用だった

eng-logo-2015次世代iPhone用のチップを製造していると報道された台湾企業TSMCは、先週末にWannaCryランサムウェアの亜種により複数の工場が停止に追い込まれた件につき、セキュリティパッチを適用していないWindows 7を運用していたことを発表したと伝えられています。

米テック系メディアV3によると、TSMCは記者会見にてパッチを当てていないWindows 7が工場施設の重要プロセスを管理しており、この部分にウィルス被害が及んだと認めたとのこと。

もっとも、生産現場で使うPCとプロセス制御は一般に、個人ユーザーの使用環境とは違う特別な事情もあり(後述)、そのギャップゆえに生じた事故の可能性もあります。

WannaCryランサムウェアは、2017年春頃に全世界のWindowsマシンで猛威を奮ったコンピュータウィルスです。この件に関するマイクロソフトの対応は迅速かつ徹底しており、Windows Vista、7、8.1、10に対しては同年3月15日に、Windows XPなどサポート終了済みのOSでも「異例の措置」として5月にセキュリティパッチを配布していました。

アメリカのFedEXや仏自動車大手のルノーなど、世界の大企業を襲った脅威から、すでに1年以上が経過しています。これほどの期間、世界最大の半導体製造ファウンダリであるTSMCが、セキュリティパッチを当てていないシステムを放置していたのは驚くべきとの見方もあります。

もっとも、生産現場で使うPCとプロセス制御ソフトは外部のインターネット接続を想定せず、しかもアップデートパッチ適用後の動作が保証されていないケースも多々あること(日本でも未だにPC-9801シリーズが現役で運用されている例もあり)。

そうした運用ゆえにパッチを怠ったというより当てられず、「現場担当者が物理的なディスクなどで持ち込んだ」想定外のウィルスの侵入を許してしまったかもしれません。

同社は「生産情報や顧客情報は感染被害を受けていません。TSMCはこのセキュリティギャップを埋める行動をすでに起こしており、さらにセキュリティ対策を強化するよう努めます」と述べています。

ウィルス被害が新型iPhoneの生産に及ぼす影響について、複数のアナリストは限定的だと分析しています。その理由は「アップルがTSMCにとって最大の顧客である(ゆえに他のクライアントよりも優先する)」ことや、「上流のサプライチェーンはこうした事態に備えて余分にチップセットを製造している」といったもの。

しかし、TSMCとアップルの今後の関係に与える影響は定かではありません。今のところ事故を起こしていない他のサプライヤーも、セキュリティ体制の大幅な見直しを迫られる可能性がありそうです。

Engadget 日本版からの転載。

GoogleのClassroomがデザインを一新、先生のための便利機能も

Googleが、教師と児童生徒のための学習管理システムClassroomを立ち上げたのは、もう何年も前だ。9月の新学年を控えた今日(米国時間8/7)Googleは、Classroomのデザインを一新し、ルックスをリフレッシュするとともに、教師のための新しい機能をいくつか導入した。

たとえば、新しくなった成績ツールは、Google DocsのファイルだけでなくOfficeやPDF、ビデオなどさまざまなファイルタイプを扱える。また、児童生徒は同じ間違いを繰り返すことが多いので、先生は“コメントバンク(銀行)”というものを作っておいて、よく使うフィードバックをすぐに送れるようにできる。Googleによると、これによって、(機械的な対応に時間と手間を取られないので)、児童生徒へのよく考えた対応ができるようになる。

先生のための新しいトレーニング教材サイトができたので、Classroomを使うための教材の発見選択にあまり時間を取られなくなる。

また、新たにできた“Classwork”というページでは、先生が宿題を、グループ、モジュール、ユニットといった単位でまとめることができる。これにより前のクラスでやったことを、新しい担当クラスで容易に再利用や部分的変更ができる。また通知などの音に邪魔されたくないクラスでは、それらをoffにできる。

Googleによると、今度からClassroomは、小テストを作るGoogle Form使えるようになり、児童生徒を小テストに集中させるためのロックドモードも使える。またデバイスを管理するためのChrome OSのアドミン機能の一部も、利用できる。

誰にとっても良いニュースとしては: Docsのマージンとインデントの扱いが改良され、MLA準拠の文書を作りやすくなった。MLAか…、アメリカの学校の先生は、たいへんだね。インデントの改良は、秋から発効する。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleのデジタルホワイトボード「Jamboard」が日本上陸、本体価格は64万円

Googleのデジタルホワイトボード「Jamboard」がいよいよ本日(8月8日)、初めて日本に上陸した。これまでにもTechCrunch Japanでお伝えしているように、Google Jamboard2016年10月にお披露目され、米国では2017年5月に発売開始されている。米国の販売価格は5000ドルだったが、日本版の本体価格は64万円だ。

Jamboardの詳しい機能については発表時の記事で紹介しているので、そちらも参考にしていただきたい(その記事内で使用したJamboardの紹介動画も、もう一度掲載しておく)。でも、この記事で初めてJamboardのことを知った読者もいるだろうから、もう一度このデジタルホワイトボードの機能について簡単に紹介しておこう。

Jamboardは複数人でのブレインストーミングをより円滑にするために作られたデバイスだ。55インチのディスプレイ上に表示された真っ白なキャンバスの上に、手書きでアイデアを書き込んだり、スクリーンショットを挿入したり、Google Mapの地図を差し込んだりできる。また、編集内容はGoogleのクラウドサービスにアップロードされるので、チームメンバーへの共有もしやすい。僕は今だにやってるけど、ホワイトボードの写真をとってSlackで共有する行為とはこれでおさらばできる。

Jamboardが優れている点の1つが、機械学習による文字、図形、絵の自動認識技術だ。手書きで「おはようございます」と書けば、Jamboardがそれを自動的にデジタルな文字に変換してくれる。丸や四角といった図形も、手書きのものは自動的に変換され、オブジェクトとして自由に移動することも可能になる。僕がデモを見て一番驚いたのが、手で描いた“カメ“の絵を認識し、スタンプのようなオブジェクトに変換する機能だ(まあ、ブレストの現場でカメのスタンプが必要なのかは分からないけれど)。

Jamboardの類似デバイスとしてはMicrosoftの「Surface Hub」などが挙げられる。Google Cloudのストラテジック・アカウント・スペシャリストである武市憲司氏は、他社デバイスとの差別化要因として、Googleのクラウドサービスとの親和性、高いOCR技術、比較的安価な価格の3つをあげた。

冒頭でお伝えしたように、Jamboardの本体価格は64万円。そのほかに、Jamboardのソフトウェアライセンス費として年間7万7000円かかる。なお、Jamboardの利用にはG Suiteの契約が必須だ。カラーはカーマインレッドとグラファイトグレーの2種類。日本における販売パートナーはNTTドコモ、ソフトバンクなど計7社で、本日よりそれらのパートナーを通して購入することができる。