本誌親会社Oathが1月8日にVerizon Media Groupになる…Oathは意味不明の社名だった!

一年半前、本誌TechCrunchを含むメディア系子会社を新会社Oathにまとめた大手キャリアVerizonが、その社名をOathから、なんと、Verizon Media Groupというたいへん分かりやすい名前に変えた。これによって、中身とパッケージが一致する。そしていちばん重要なのは、“Oath”よりもずっと、意味のある名前であることだ。

事業部のトップGuru Gowrappanによると、社名が正式に有効になるのは1月の8日、CESが始まる日だ。彼によると、改名のねらいは、メディア系の事業が“Verizonの中核的ビジネスの一環”であることの強調にある。改名を公式に発表するブログ記事では、最初、大きな紫色の、Yahooの”Y”がロゴとして使われ、各社報道でもそれが紹介されたが、嬉しいことにそれは、VZMの一般的なロゴにはならないことになった。

では、どんなロゴになるのか。同社のスポークスパーソンによると、それは改名が正式に有効になる1月8日に発表されるそうだ。あの評判の悪い、“Oath:”の末尾のコロン(上図)がなくなるかどうかも、その日に分かるわけだ。

なくなると、いいね。

ブランドをめぐる混乱がなくなるのも良いね。当時の本誌の親会社AOLのCEO Tim Armstrongは、Oathという社名が決まったとき、“‘Oath’は‘growth’(成長)と韻を踏む。それ、つまり成長が、われわれの仕事だ”、と言った。明らかに、当時言われた

AOL+Yahoo = Oath

という、こじつけのような方程式は、最初はほとんど社内向けのブランドでしかなかったOathには的(まと)はずれだ。でも、韻はなくなっても、成長はどの企業でも重要な目標だ。

Verizon Media Groupの登場に、ブランドの改名以外の意味はないだろう。その中にいるHuffPost, Engadget, Tumblr, そしてもちろん本誌TechCrunch等々は、ほとんど何も変らない。

〔Verizonが買収した…のちにOathの中身となる…メディア大手はYahoo!とAOL、本誌TechCrunchなどVerizon傘下の実体のあるメディアは、ほとんどがこれら2社の子会社だった。〕

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Amazonが再びGoogle Chromecastsを売っているが後者はPrime Videoをサポートせず

GoogleとAmazonの長年の抗争が休憩モードに入ったようだ。Amazonは今再び、GoogleのChromecastデバイスを売っている。そのデバイスはAmazonが2015年に同店から閉め出して、Prime Videoをサポートしているデバイスしか売らないという方針を掲げた。1年前に同社は、Chromecastを扱うと言ったがそれは長続きせず、両社は再び喧嘩モードに入った。今回はAmazonのEcho Showの、YouTubeプレーヤーが争点になった。

でも今、事態は再び鎮静モードに入ったようだ。

Android Policeが、ChomecastsがAmazon.comで再び売られていることを見つけた。

その記事は、35ドルの第三世代Chromecastと、69ドルのChromecast Ultraが売られている、と言っている。

Amazonはこの件で何も発表していないが、本誌TechCrunchが確認したところによると、Amazonはこれら二つのデバイスを公式に扱っており、店頭に出たのは偶然でも間違いでもない。

Amazonが昨年Appleと仲直りをしてApple TVを扱うようになったのも、Prime Videoがサポートされたからだから、Chromecastのユーザーが同じくPrime Videoのサポートを期待するのは無理もない。でも少なくとも今日(米国時間12/14)の時点では、それはない。

迷惑するのは消費者だから、AmazonとGoogleが仲良くできないのは、みっともないことである。

これまでAmazonの買い物客が、あの人気の高いストリーマーを見つけられなかっただけでなく、ChromecastにPrime VideoがなければFire TVにGoogleのYouTube TVがない、という不毛なやり合いになっている。これらのストリーミングサービスのどちらにもアクセスできることは、どんなメディアプレーヤーにとっても重要なセールスポイントだ。Rokuのような、どちらか片方だけに与(くみ)しないプラットホームに人気集中するのも、当然だ。

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2018年のGoogle検索とその傾向: トップはWorld Cup, FortniteのGIF画像, Bitcoinだった

Googleの年末恒例のYear in Search(今年の検索)は、12か月にわたって私たちの関心を集めたイベントやストーリーや現象のデジタルな記録であるだけでなく、その年に何が社会で重要だったか、そしてときには、それがどこへ向かおうとしているのかを示す計算書でもある。そして2018年に世界はひとつのスポーツイベントに、ひとつの結婚に、有名人の死に、自然災害に、そして政治に釘付けになった。

2018年に、グローバルコミュニティはワールドカップ(World Cup)に縛り付けられた。決勝戦はフランス対クロアチアだった。どっちが勝ったか忘れた/知らない人はGoogleへどうぞ。さらに世界は、ミュージシャンや科学者、アーチストなど有名人の死の前で歩を止めた。グローバルなGoogle検索の上位10のうちの7つが、2018年に亡くなった人びとだった。それらは、理論物理学者で著作家のStephen Hawking, ラッパーMac Miller, DJ Avicii, コミック・ブックを作った象徴的人物Stan Lee, セレブのシェフで著作家/テレビのパーソナリティAnthony Bourdain, そしてファッションデザイナーKate Spadeだ。

映画では、Black Pantherがグローバルのトップテンに入り、またハリー王子と結婚してサセックス公爵夫人になった女優のMeghan Markleもテンに入った。

アメリカに限定しても傾向は同じだが、選挙の結果とハリケーンフローレンス(Hurricane Florence)、そして宝くじメガ・ミリオンズ(Mega Millions)はアメリカ独特だ。

2018年のアメリカの検索でカテゴリーとして多かったのは、まつげ、1980年代のファッション、投票の仕方、選挙権登録の仕方、ユニコーンケーキ(Unicorn Cake)、Ketoダイエット(ケトン体ダイエット)などだ。アメリカのニュースの検索でトップは、World Cup、その次がHurricane Florence、Mega Millions、選挙の結果、Hurricane Michaelだ。セクハラ疑惑に揉まれたキャバノー判事(Kavanaugh)の最高裁判事承認の件は、2018年で6番目に多く検索されたニュース記事だ。そのあとは、フロリダ州の銃撃事件、イギリス王室の結婚式、オリンピックの獲得メダル数、そして第10位、予算難航による政府閉鎖、と続く。

もっとおもしろいのは、“What is ___ ?”検索(ナニナニは何ですか?)のリストだ。アメリカでいちばん多くの人が尋ねたのはBitcoin、次が恐喝罪(racketeering)、DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)(アメリカで成長した不法移民の子の強制退去猶予)、政府閉鎖(government shutdown)、聖金曜日(Good Friday)となる。このほか、ゲームのFortnite、聴覚の錯覚“Yanny or Laurel”、ナショナリスト(nationalist)も、多く質問された。

ゲームの検索に絞ると、トップはFortniteだった。ゲームのGIF画像の検索でもトップは“Fortnite”、次いで“Default Dance,” “Dilly Dilly,” “Orange Justice,” “Black Panther”だった。

ビデオゲームの検索では、Red Dead Redemption 2, Fallout 76, Far Cry 5, そしてGod of Warも多かった。

  1. US-Google-Searches

  2. copy-copy-copy-top-5-tech-acquisitions

  3. copy-copy-copy-copy-top-5-tech-acquisitions-1


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Apple、ニュース・雑誌購読サービスを2019年初めにスタート(Bloomberg報道)

今日(米国時間12/12)BloombergはAppleのニュースおよび雑誌定期購読サービスの計画に関する以前の報道を続報した。Bloombergは今年、Appleが今年Apple Newsアプリの一環として今春買収したデジタルニューススタンドサービスTextureを再スタートさせると書いた。このたび同誌は、スタート時期を「早ければ来春」と断定した。さらに、業界の反応も紹介しているが、よくても慎重だ。

AppleはThe Wall Street Journal、The New York Timesをはじめとする有料新聞サービスにTextureへの参加を呼びかけているほか、雑誌コンテンツのデザイン変更も進めていると言われている。現在のように紙の雑誌の外観を真似るのではなく、Appleはコンテンツをオンラインニュース記事風に見せようとしている、とBloombergは言った。

記事は出版社らが恐怖を覚えながら検討していることも指摘している。Appleが低価格な条件——月額9.99ドルでニュースと雑誌コンテンツ読み放題のNetflixに似たモデル——を提示しているため、Appleのサービスが自分たちの売上を食うことを心配している。何しろこの10ドルという価格設定は単独の出版物の購読料——たとえばNYTのデジタル購読——より安いケースさえある。

代わりに出版社が望むのは、独自の有料サービスをAppleアプリの中に作れるプラットフォームだ。

しかしAppleの交渉でのポイントは、購読者数が増えれば出版社独自の定期購読収益の減少を補ってあまりあるという可能性だと記事は伝えている。同社はその可能性をApple Musicと対比しており、 Billboardの最新報告によると現在同サービスのユーザーは6000万人近い。

現在Textureは200誌以上の雑誌を提供しており、Vanity Fair、EW、GQ、Vogue、Forbes、Time、People、Rolling Stone、Cosmopolitan、Sports Illustratedのほか、Bloomberg Businessweekなど多数が名を連ねている。

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アメリカ人の好みのニュースソースは初めてソーシャルメディアが新聞を抜く、トップは依然テレビ

【抄訳】
すべての人がFacebookやTwitterからニュースを得ているわけではないが、でもアメリカ人の大人のニュース取得源として、ついにソーシャルメディアが新聞を超えてしまった(下図、いちばん下のライン)。Pew Research Centerの最新の報告書によると、ソーシャルメディアは初めて、アメリカの大人が選ぶニュースソースとして新聞を超えた。しかしソーシャルメディアは、テレビやラジオなど伝統的なニュースソースに比べると、まだはるか後方にいる。

Pewによると、昨年はニュースをソーシャルメディアから得る者と新聞から得る者がほぼ同率だった。しかし今年の7月30日から8月12日までの2週間のアンケート調査では、それが変わった。

今や、アメリカ人の5人に1人(20%)がソーシャルメディアからニュースを得ているが、新聞からは16%だ。複数回答ありなので、下図のパーセンテージの合計は100を超える。質問は、「あなたがニュースをよく(often)知るのは何ですか?」という聞き方をしている。

このところ新聞の発行部数は減少しており、ニュース媒体としての人気も、とくに若い世代で衰えている。Pewのレポートによると、65歳以上では39%がニュースを新聞から得ている。しかしそのほかのどの年齢層も、18%を超えていない。

新聞の衰退でソーシャルメディアが上に立ったが、ソーシャルメディア自体はほぼ横這いで、他を支配する勢いはない(上図)。

なんといっても最大のニュースソースは依然としてテレビだが、そのテレビも近年は下降気味だ(上図)だ。テレビに次ぐのが、ニュースのWebサイト、ラジオ、それからソーシャルメディアと新聞となる。

しかしPewによると、テレビは必ずしもケーブルのニュースネットワーク(全国ネット)ではない。

むしろ、テレビの中では最多はローカルニュースの37%、ケーブルが30%、全国ネットの夜のニュースをよく見る人は25%だ。

しかしソーシャルメディアとニュースのWebサイトを合わせると、43%が‘ネットから’という分類になり、テレビの49%に迫っている。また上図のように、お気に入りのニュースソースは、年齢層による違いが大きい。若い層では、ネットからが計63%となり、これは65歳以上の層の4倍である。

【後略】

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すべてのものがランダムに決まる確率論的時代へようこそ

1990年にKleiner Perkinsは、持ち込まれた投資案件の99.4%を却下し、その年には12の新しい企業に投資した。これらの投資によりKleiner Perkinsは“歴史上もっとも成功した金融機関”と呼ばれるようになり、向こう30年間の合計で“1年あたりのリターン40%”を誇示する結果となった。

今日では、シリコンバレーの寵児Y Combinatorが毎年250社あまりに投資している。同社は厳しい審査で有名で、申込者の1.5%ぐらいしか支援しないが、しかしそれでも、全盛時のKleiner Perkinsほど厳しくはない。ただし同社(YC)は、承認案件は多くて、投資単価は小さい。でも当時のKPですら、1994年にNetscapeの25%をわずか500万ドルで買っている。

1995年には、事実上三つのキー局のネットワークがアメリカのテレビを支配していた(ABC, CBS, NBC)。それだけで、1週間を填め尽くすだけの番組量があった。今ではあまりにも多くのテレビ放送があり、一年中毎日どこかで新番組の第一回が放送されている。映画では、1995年には、上位10本の作品が1年間の総興行収入の14%を占めたが、2018年のここまででは上位10作が総収入の25%を占めている。出版もこれに似ていて、いわゆる“中堅作”(midlist)…ほどほどのヒット…がほとんどなくなり、“ベストセラーか失敗作か”という様相に取って代わられた。

1995年にあなたがジャーナリストだったら、あなたの記事の読者数は記事が何に載ったかで決まった。あなたのとっても優れた記事がHalifax Daily News〔カナダの地方紙、2018年廃刊〕に載ったら、もともと少ない読者数のほとんどが、他の記事と同じく、見出しをさっと見るだけで通り過ぎただろう。でもThe New York Timesだったら、ページの隅っこに埋もれたような記事でも、カナダの地方紙でそれを読まなかった人よりも多くの人が、読んでくれただろう。しかし今では、どんな記事でも、複数の出版社間および一つの出版社内の競争において読者数の勝者を決めるのはソーシャルメディアによる共有であり、それは必然的にべき乗則従う。つまり、意外なほど少数の記事が、読者数の大半を奪う。

これらの共通項は何だろうか? いわゆる“ヒット”の数は比較的一定だが、それらの価値が大きくなっている。そして、その他大勢(swings)の数が今や大きすぎて、どんな個人も、そしてどんなグループさえも、それら中堅作にしっかり注意を払うことができない。だから個々の結果や作品などにフォーカスすることは今や無意味であり、むしろあなたはコホート(特定集団)にフォーカスし、確率論的に考えるようになる。〔コホート自体はランダムに決まり、それら上位作のオーディエンスが雪崩(なだれ)的雪だるま的に急増する。〕

“確率論的”とは“ランダムに決まる”という意味なので、初めてこの言葉を聞く人は逃げ腰になるだろう。たしかに、製作者も投資家もパブリッシャーも、ランダムに動いてなんかいない! 彼らは大量の分析と努力と知恵を傾けて何かを作っている! それは本当だがしかし、ぼくが言いたいのは、そういう情報管理者たちの力は先細っているし、そして自称監督、CEO、評論家等々は急増し、制作や発表の費用は激落していることだ。そんな中では、ランダム性がますます重要な要素になってるのだ。

挿話は、簡単に見つかる。売値が100万ドルだったときのGoogleを、Exciteが買収していたら、どうなっていただろう? Picplzが成功してInstagramが失敗したときから、一体何年経っているのか?〔ちょっとしか経っていない〕。 正直なサクセスストーリーには運の要素が必ずあり、それはここの文脈ではランダム性の一種だ。ぼくが言いたいのは、世界の大きなトレンド…相互接続性の増大や、その高速化、テクノロジーへのアクセスの大衆化…これらによってランダム性はますます重要な要素になる、ということだ。

それは一概に良い(善い)こととは言えない。ランダム性は、ときにはランダムなテロだったりする。それは、“マスコミュニケーション的情報通信技術の大衆化が特定の個人や集団を攻撃する手段になり、それがテロを誘起し、それらは統計的には蓋然的と言えても、実際に起きるときにはランダムに起きるように見える”、ということだ。殺し屋たちがISISに加わるとき、事前に十分なコミュニケーションなどなんにもない。これをもっと一般的かつ論争的に言うなら、憎悪や過激主義がブロードキャストされることによって、政治的暴力が助長されるのだ。

そして、気候変動はますます確率論的な災害になってるようだ。温暖化で大気中のエネルギーが増え、なお一層不安定な動きをするようになる。すると、旱魃や山火事、ハリケーンなどの大災害も増える。気候変動が、それらを起こしているのか? いや、直接そうではない。それらが起きる確率を大きくしているだけだ。確率が大きくなり、当たる頻度が増している、という言い方でもよい。

このことは、人間の努力のどの分野にも当てはまるわけではない。しかし、本質的に異常で極端な成功や失敗を動因とする分野なら、そのどれにも当てはまる。それらは、Nassim Talebが造語したextremistanだ。 Extremistanは至るところでますます極端へと成長し、その肥大が終わる気配はない。

画像クレジット: Piere Selim/Wikimedia Commons; クリエイティブ・コモンズ CC BY 3.0のライセンスによる。

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YouTube、2020年にオリジナル番組を無料化――全コンテンツを広告サポートモデルに統一へ

YouTubeはオリジナル番組の無料化を準備中だ。現在こうした独自コンテンツはペイウォールの陰に隠されているが、広告が表示される無料視聴に改められる。The Hollywood ReporterVarietyが報じたところによれば、YouTubeはこの方針変更を確認したという。実施に移されるのは来年になる見込みだ。YouTube Originalsの視聴には現在はサブスクリプション契約が必要だが、広告が表示される無料番組となる。つまり現在のYouTubeの一般コンテンツと同様の扱いになる。

YouTubeによれば、有料のプレミアム・オリジナルと一般の広告表示無料コンテンツを“Single Slate”として統合いくという。これにより、2020年にはユーザーはすべてのプログラムを無料で視聴できるようになる。

つまり、現在有料のオリジナル・コンテンツのすべてが即座に無料化されるわけではない。

Varietyの記事によれば、『ベスト・キッド』の続編、Cobra Kaiなど 一部のオリジナル番組は2019年いっぱい有料視聴だ。しかし2020になればオリジナル番組を含めたすべてのコンテンツが月間20億人のYouTubeユーザーに無料で公開される。

この方針転換は、YouTubeのサブスクリプション・モデルが当初期待されたほどの効果を挙げていないことを示すものだろう。Netflix、Amazon、Huluといった強力なストリーミング・サービスとの競争でYouTubeは劣勢が伝えられている。YouTubeはオリジナル・コンテンツ製作に毎年数億ドルを投じているとされるが、ライバルのストリーミング・ビデオ・サービスの投資規模は数十億ドルだ。優秀なドラマの製作でライバルと戦うにはこの金額では足りない。

YouTube Redというサブスクリプション・モデルでオリジナルのドラマ・シリーズや映画のストリーミングが始められたのは2016年にさかのぼる。サービス名称はその後YouTube Premiumに改められ、月額料金は11.99ドルとなっている〔日本サイト〕。.しかしこのサービスは立ち上げ直後から逆風にさらされた。スター・ユーチューバーの一人で5300万のフォロワーを持っていたPewDiePieが
h反ユダヤ主義的コンテンツを発表したため契約をキャンセルせぜるを得なかったのもその一例だ。

オリジナル番組はその後エレン・デジェネレス、ケイティー・ペリー、ケビン・ハートなどのスターを迎えたドラマはショーに拡大された。また“Origin”のような大型番組も製作された(エリザベス2世の半生を描いたNetflixのヒット番組、『ザ・クラウン』のプロダクションによる製作)。

The Hollywood Reporterの取材に対し一部の情報源は、アド・サポートによる無料化でYouTubeのドラマ、映画製作の予算は大幅に圧縮されるだろうと述べた。ただしYouTubeは取材に対してドラマや映画の買い付けを一時中止しているだけでこのマーケットから撤退を決めたわけではないと答えている。

YouTube広報担当者はVarietyに対し「われわれは2019年に向かって脚本のあるプログラムに引き続き投資する。YouTube Originalsは世界のユーザーにさらに広く訴求していくため広告サポートによるビジネス・モデルにシフトしていく.」と述べた。

またTechCrunchの取材に対しても、脚本のあるプログラムへの投資を続けていくことを確認し、次のように述べている。

2018年は YouTube Premium、YouTube Originalsにとってさらなる飛躍の年となった。われわれはYouTube Premiumを29カ国に拡大した。脚本の有無を問わず50本以上の番組を配信した。エミー賞のノミネーションを8回受け、30以上の賞を受賞している。

YouTubeは脚本のあるコンテンツに対する投資を継続する一方、YouTube Originalsを広告サポートによる無料視聴可能なプラットフォームに移し、世界のファンからの需要の高まりに応えていく。Originalsのこの段階は、オーディエンスだけでなくクリエーターをも拡大し、広告主に世界のYouTube世代にアクセスする機会を広げていく。

そういう次第でYouTube Originalsは2020には無料となる。しかしYouTubeではYouTube Premiumのサブスクリプションには意味があると考えているようだ。Originalsが無料になってもPremiumの契約者は広告なしでコンテンツを視聴できるし、音楽をバックグラウンドで再生したり、オフラインでコンテンツにアクセスしたりできる。

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滑川海彦@Facebook Google+

優れたジャーナリズムを育てる育成事業Google News Initiativeがアジア太平洋地域でも活動を開始

Googleはアジア太平洋地域のメディアを支援するために、同社のGoogle News Initiativeを同地域で展開する計画だ。

GNIと呼ばれるこの事業は、“デジタル時代の優れたジャーナリズムを育成”するために、同社が将来性を認めたメディア企業や団体に助成金を交付する。2015年に始まったヨーロッパでは1億7000万ドル、そしてアメリカでは今年前半に3億ドルが投じられた。フェイクニュース防止のためにYouTubeも助成対象となり、GNIはそのために2500万ドルを確保した。

アジア太平洋地域に関してGoogleはその規模を明言しないが、新しくて革新的なビジネスモデルと収益源を開発しているパブリッシャーに最大で30万ドルを助成する、と言っている。

Googleで報道と出版関連のパートナーシップを担当しているKate Beddoeは、ブログ記事でこう述べている: “有料会員制や賛助制度、新しいデジタル製品やサービスなどで読者からの収益を増やそうとするプロジェクトの提案を募集している。Google内部とそのほかのテクノロジー業界の役員たちが申請を審査し、選ばれたプロジェクトには最大で30万ドルを出資、プロジェクトの総費用の最大70%を支援する”。

同社のスポークスパーソンによると、助成金は分割で交付される。交付が決定した応募者には助成金が何度かに分けて交付され、彼らの経験を広範なコミュニティと共有しなければならない。それは、オンラインやイベントにおける資料の作成配布の形でもよい。その情報交換のねらいは、アジア太平洋地域のメディアがお互いから学び合い、持続可能なアイデアや経験談をより広く共有することにある。

ファンドは今日(米国時間11/20)発表されたが、実際の交付は2019年からだ。

応募申込は、専用の窓口で、11月28日から1月9日までに行なう。Googleによると、12月11日に同社のシンガポールオフィスでタウンホールミーティングを行なうときに、詳細を発表する。それはここから、ライブでストリーミングされる。

アジア太平洋地域のメディアを助成金で支援しているのは、Googleだけではない。ブロックチェーンメディアのスタートアップCivilは最近、アジア対象の100万ドルのファンドを発表したが、同社はその後、予定のICOをキャンセルしたため、今後の動向が不明だ。

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「Pandora Premium」がAlexaにもやってきた

Pandora PremiumがEchoデバイスでも使えるようになった。今日(米国時間11/19)午前、ストリーミング音楽サービスのAlexaは、同社で最高レベルの有料サービスをAlexa対応デバイス向けに公開した。Amazon Echo、Echo Dot、Echo Show、およびPandoraに対応しているサードパーティー製Alexaデバイスでも利用できる。

Pandoraの無料広告付きサービスは以前からEchoデバイスで利用できるが、Premiumサービスは最近、Google HomeなどのGoogle Assistant対応デバイスのみに対応した。Echoでは今日までPermuimを利用できなかった。

機能を有効にすると、Pandora Premiumユーザーはお気に入りの曲やアルバムやプレイリストをAlexaのボイスコマンドを使って聴いたり、Pandoraが集めた特集プレイリストを再生することができる。

ただし、Pandoraが最近Premiumユーザー向けに公開したパーソナライズド・サウンドトラックという新機能は公開当初は利用できない。しかし、「近日公開」すると同社は言っている。

PandoraのAutoPlay機能にも対応していて、曲やアルバムやプレイリストが終わった後も音楽再生を続ける。

PandoraをAlexaデバイスで使うためには、”Alexa, play Pandora” あるいは “Alexa” に続けて曲やアルバムやジャンルの名前を言えばよい。

同サービスをデフォルトに設定することもできる——無料版のPandoraでも可能。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeが広告入りで無料の映画提供を始めた、次はAmazonもか?

AdAgeの新しい記事によると、YouTubeは先月から、およそ100本のハリウッド映画を広告付きで加えた。“Rocky”、“The Terminator”など古い名作が多く、“Zookeeper”(Mr.ズーキーパーの婚活動物園)、“Agent Cody Banks”(エージェント・コーディ)、“Legally Blonde”(キューティ・ブロンド)などのファミリー向けもある。

これまでYouTubeのムービーやテレビ番組は、AppleののiTunesやAmazon Videoのような有料制のみだった。

現在、YouTubeのこれら無料のムービーは広告入りだが、上記の記事によると今後はアドバタイザーとの契約で、スポンサー制や特別会員制などもありえる。

ムービーの提供でYouTubeの利点といえば、月間アクティブユーザー数190万という大きなユーザーベース、そしてGoogleのデータを利用するターゲット広告だ。

YouTubeの広告入りムービーは、昨年Rokuが提供を始めた無料映画、The Roku Channelに倣ったものだ。

それは新しいタイプの広告ビジネスとして快調らしく、今年のRokuは広告入り無料コンテンツをABC News, Cheddar, Newsmax, Newsy, People TV, Yahoo, The Young Turksなどのニュース放送にまで広げた。最近では、エンターテインメントやスポーツの生中継もある。

Walmartも無料ムービーをVuduから提供しているが、最近はMGMと組んで、オリジナルコンテンツも提供するらしい。Tubiも、広告入りコンテンツを無料で提供している。そして噂では、Amazonも同じようなサービスを開発中だそうだ。

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Oculus GoにYouTube VRアプリが登場

本日(米国時間11/12)YouTube VRアプリが199ドルのOculus Goに登場した。これでウェブ最大のVRコンテンツライブラリーがFacebookの入門用VRデバイスで使えるようになった。

YouTubeは、通常のビデオでも没頭的ビデオのタイプでも大量のコンテンツを提供している。ここが360度コンテンツやVR180などのネイティブフォーマットを提供する最大のハブであることは間違いない。しかし、Oculusプラットフォームにとっては、ライブラリー全体を自由にアクセスできることの方がずっと重要だろう。

Oculus Goの戦略で興味深いのは、ゲームでの利用はメディア消費と比べて少数派であることだ。そんなに多くの人たちが360度ビデオを大量消費しているとは信じられない、と思うかもしれないが、実際そうではない。多くのユーザーはこのデバイスの能力の一部のみを利用して、通常の映画やテレビを見る装置として使っている。NetflixやHuluのアプリもあるほか、FacebookはOculus TVというApple TV風の環境を提供するアプリを提供しており、ソーシャルメディアにある大量の2Dコンテンツを見ることができる。

今年のOculus ConnectカンファレンスでCTO John Carmackは、ユーザーがGoで消費した時間の約70%はビデオの視聴で、30%がゲームだと話した。これまでOculusは自らをゲーム会社と位置づけてきたので、モバイルプラットフォームを成長させることによって、VRビジネスのビデオ利用をいかに魅力的にしていけるのかが注目される。

YouTubeによって、Oculusは大量のコンテンツを揃える容易な手段を手に入れた。YouTubeはOculus TVにとっても偉大なパートナーとなる可能性をもっているが、専用アプリはユーザーに多くのものをもたらすだすう。Googleは自社のVRハードウェアDaydreamが伸び悩んでいることから、スタンドアロンのYouTubeアプリをDaydreamにのみ提供するのではないかとも思われた。しかし、どうやらいまのところは外部プラットフォームに力を注ぐつもりのようだ。

YouTube VRアプリはここでダウンロードできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

伝説のアメコミ原作者、スタン・リー亡くなる――スパイダーマン、ハルク、X-MEN、アイアンの産みの親だった

アメリカン・コミックの原作者としてもっとも影響力が高く、おそらくはもっとも愛された人物が亡くなった。スタン・リーは95歳だった。

ディズニーのCEO、ボブ・アイガーは声明で「スタン・リーの作り出したキャラクターはいずれも途方もないものだ。世界中のマーベル・コミックのファンにとって彼自身がスーパーヒーローだった。スタンは人々にインスピレーションを与え、楽しませ、結束させる素晴らしい能力があった。スタンの想像力は彼のハートと同様に巨大だった」と述べた

スタン・リーは本名をスタンリー・マーティン・リーバーといい、ニューヨークでユダヤ系移民の家に生まれた。リーは後に「本名は真面目な著作のために取っておいたのだ」と語っている。しかし結局のところスタン・リーとして記憶されることとなった。

アーティストのJack KirbySteve Ditkoの協力を得て、リーは1960年代にマーベル・コミックスの原動力となった。リーが創造したキャラクターのリストは驚くべきものだ。スパイダーマン、ファンタスティック・フォー、アイアンマン、超人ハルク、マイティー・ソー、X-MEN、ブラックパンサー等々。

マーベル・コミックスに登場した頃のオリジナルを見ると、いかにも素朴で古典的な感じがする。特に後年コミックのキャラクターをベースに製作された超大作映画シリーズと比べるとそうだ。しかし主人公を現実の都市(やはりニューヨークが強い影響を与えている)の中に置き、さまざま弱点をもつリアルな存在として造形したこと、また個々のヒーローが単独で存在するのではなく一つの世界を共有することなどはコミックの世界に大きなブレークスルーをもたらした。リーのエネルギーに溢れた作品は今でも人々に読まれ続けている。

こうしたスーパーヒーローの造形を通じてリーはマーベル・コミックスの顔になった。ユーモアを交えた編集後記、マスコミのインタビュー、またコミック内へのカメオでの登場などにより、リーは文字通りアメリカン・コミックのリーダーとなり、伝説となった。

最近ではリーの後年の法律上、経済上の紛争などを含め、リーの自己顕示癖がDitkoやKirbyなどの貢献を覆い隠してきたとして一部の批評家からは再評価を求める動きもあった。 そうではあっても、スタン・リーはコミックのファンにとってマーベルそのものであり、マーベル・フィルムへのカメオ出演でそのイメージはますます強くなっていた。

またわれわれはリーが90代に入ってもなおチャーミングでありユーモアと活力を失わないことに驚かされた。もしかするとリーは創造したスーパーヒーローたちと同じくらい長く生き続けるのではないかと思わせた。そうではなかったのは悲しいことだ。

画像: Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Nintendo SwitchにYouTubeがやってきた、ユーザー層の若返り策か?

NintendoはSwitch日本語)コンソールを2200万台以上売り、今会計年度はさらに2000万台を売るつもりだ。

でもNintendoは今だに、ゲーム以外のアプリを充実する気がないようだ。

今のところ、Swich列車になんとか乗れたのはHuluだけだ。でも今日(米国時間11/8)からはYouTubeが仲間に加わる。SwitchのオーナーはYouTubeアプリをここでダウンロードできる。しかも、Nintendo SwitchのYouTubeアプリは360度ビデオをサポートしている。

NintendoのSwitchゲームはZelda, Super Mario Odyssey, Pokémon, Fortniteなどが目下の主力だから、YouTubeの統合は有意義だ。SwitchとYouTubeの両方がより若い層に浸透するだろう。〔今のSwitchのユーザーは“大人”が多い。〕

ストリーミングアプリの導入がこんなに遅れたのは、Switchに関してはNintendoが、ゲームの品揃えにもっぱら注力していたからだ。

NintendoのCOO Reggie Fils-Aiméが先月のインタビューでこう言っていた: “前にも申し上げたように、そのほかのサービスは適切な時期に導入いたします。今はNintendo Switchのインストールベースの拡大に努力し、また優れたゲームをますます増やしていきたいのです”。

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Spotifyの第3四半期、好成績ながら株価は下落――収入13.5億ドル、月間ユーザーは28%アップして1.91億

今年上場を果たした音楽ストリーミングの有力企業、Spotifyは今日(米国時間11/1)、 第3四半期の決算を発表した。同社は引き続き拡大を続けているものの、運用成績はアナリストの期待になんとか届く程度だった。このため株価は小幅ながら下落している。市場でのSpotifyの苦闘は続くことになった。

同社の発表によれば、7-9月期の収入は13億5200万ユーロで、アナリストの予測、13億3000万ユーロ(15.1億ドル)をかろうじて上回った。

Spotifyの売上は対前年比で31%アップしており、営業損失は600万ユーロと対前年比でほぼ半減した。利益率は25%となり、同社では「期待以上のパフォーマンス」を達成できたとしている。SpotifyのMAU(月間アクティブ・ユーザー)は1億9100万人(対前年比28%アップ)となった。Spotifyの運営の改善が続く一方、投資家が同社の赤字にいつまで耐えられるか、今後の行方が注目される。 

Spotifyが黒字化を達成し、長期的な投資対象になることについての懐疑的観測が市場に流れたため、同社の株価は9月以降下落に見舞われている。

今日の決算発表はこの全体的状況を大きく変えるものではなかった。今週、株価は152ドルから139ドルまで下落し、その後さらに134ドルまで下がった。 今日の安値は134.54ドルだった。〔その後141ドルまで持ち直している〕。営業成績の改善にもかかわらず、投資家の不満を一掃するまでには至らなかったようだ(昨日の終値の時価総額は269億ドル)。

懐疑的な空気の理由は、アナリストの予測を達成できたとはいえ、次の四半期の利益率が低下する可能性があることをSpotify自身が認めている点にもある。今週、同社はGoogleとの提携を発表した。クリスマス商戦のキャンペーンとして、月額15ドルのファミリー・プランに加入すると
Google Home Miniを無料でプレゼントするというものだ。

Spotifyは「この提携ののコスト負担により、第4四半期の粗利益率は0.5%程度低下するものと予想している」と発表している。

同社のユーザーベースではアメリカが引き続き最大となっている。同社ではラテンアメリカを含むそれ以外の世界の成長率のほうが大きいとしている(新しいコンシューマ向けプロダクを展開する企業の場合、これはよく起きる)。

ユーザー中に占める有料(プレミアム)ユーザー数は8700万で、Apple Musicの5000万を引き続き大きく上回っている。この数字は40%のアップであり、ファミリー・プラン、学生プランの展開が功を奏したとしている。同社は、HuluやShowtimeなど他のストリーミング・サービスにSpotifyをバンドルしたプランを設定するよう働きかけている。

その一方、Spotifyの成長は会費無料で音楽を聞けるフリーミアムモデルに助けられているところが大きい。現在CMが挿入される無料サービスのMAUが1億900万あり、これは
20%のアップだ。 同社ではCMの種類の拡大にも力を入れており、そうでなければ多額の出費となる無料サービスからもマネタイズすることに成功している。アルゴリズムによって自動的にCMを配信するAd
Studioが運用されている地域はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアだ。これらの地域でのさらなる成長と他の地域への拡大の余地は十分あるだろう。

ただし、Spotifyは家の大掃除をする必要がある。どこであれ登録手続きを簡単にしているサービスでは起こりがちだが、Spotifyにもボットその他のフェイクユーザーがはびこっている。健全な広告運営のためには正確なユーザー数の把握が欠かせない。Spotifyでは具体的な数字は挙げていないが、この面でも努力を続けるとしている。

ただし、広告収入によるフリーミアムモデル部分は可能性を十分に追求されているとはいえない。同社によれば第3四半期の収入でプレミアム・プランからのものが12.1億ユーロを占めたとしている。つまり広告収入は1.4億ユーロにとどまったわけだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

SnapchatのPRを担当した企業がInstagram上のSpectaclesの宣伝をサボったインフルエンサーを告訴

【抄訳】
もしもSnapchatのPR企業がこの訴訟で勝ったら、インフルエンサーを利用するマーケティングは今後責任が重くなるだろう。Snapchatは、ソーシャルメディアのスターたちが同社のカメラサングラスSpectaclesのv2を、同社の最大のコンペティター(Instagram)の上で宣伝し、人気を盛り上げてくれることを期待していた。なにしろv1は22万台しか売れず、4000万ドルを償却せざるをえなかった。しかしところがSnapは、一般消費者にSpectaclesをクールと思わせたいあまり、やり方がややずさんだったようだ。

Snap Inc.は。同社のPRを担当しているPR Consulting(なんと想像力豊かな社名だろう!)に、Instagramを利用するインフルエンサーマーケティングキャンペーンを委嘱した。PRC社は、テレビの人気コメディGrown-ishに出ているLuka SabbatがKourtney Kardashianと共演しているのを見て、彼を起用した。Sabbatは前金45000ドルをもらい、Spectaclesを着けている写真をInstagramにポストしたらさらに15000ドルもらえることになった。

契約ではSpectaclesを着けた状態でInstagramのフィードへのポスト1回、Storyへのポスト3回、そしてパリとミラノのFashion Weeksへ行ったときも、Spectaclesを着けた状態で写真に撮られること、となっていた。Storyのポストのうち2回は、スワイプするとSpectaclesを買えるリンクがあること。ポストはすべてPRCの事前承認を要すること。それらの効果に関するアナリティクスの数値を送ること。といった契約だった。

しかしSabbatは、Storyは契約3に対し実行1、スワイプ購入リンクは契約2に対し1、事前承認とアナリティクスはゼロ、という実行内容だった。このことを最初に報じたVariety誌のGene Maddausの記事によると、PRCはSabbatに、すでに支払った45000ドルの返金と被害補償45000ドルの支払いを求めて、訴訟を興した。Snap自身は、訴訟に参加していない。

訴状の原文を、この記事の下に埋め込んだ〔この記事の原文で埋め込みを見られます〕。それによると、“Sabbatは不正に金銭を受け取り、PRCに賠償請求の権利が生じた”、とある。Snapは、PRCにキャンペーンを委嘱したことを認め、ファッションブログMan RepellerのファウンダーLeandra Medine Cohenともキャンペーンを契約したことも認めた。そしてこのぼくは、一応礼儀として、Spectaclesを着けたSabbatの顔写真(この記事冒頭)をちょっとPhotoshopした。

【後略】

〔参考記事: Influencer marketing startup Mavrck raises another $5.8M(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

YouTubeが今やってるベータは新機能ではなくアプリの安定性をテストする

Googleはときどき、Google Play上のさまざまなAndroidアプリのベータバージョンで、新しい機能を実験する。でも、最近見つかったYouTubeのベータは残念ながら、このビデオ共有サービスに近く加わる何かのテストではない。Googleによるとそれはむしろ、将来ではなく現時点のYouTubeの安定性をテストしているだけだ。

同社は先週秘かに、YouTubeのベータプログラムをGoogle Playで開始した。それはすぐに、Android Policeの連中に見つかった。

最初それは、YouTubeの今後の新しい機能をそのベータで試しているのだ、と思われていた。そのベータに関するGoogle自身のドキュメンテーションも、そう言っていた:

それだけでなく、そのドキュメンテーションはテスターたちに、そのアプリで見た新しい機能に関しては、それが正式にローンチするまでは情報を共有しないよう促していた。

新しいものなら何でも、人より先に試してみたくなる私たちアーリーアダプターにとってそれは、とってもそそる話だよね。

でも、詳しい話を聞こうと思ってGoogleに問い合わせると、同社はそのドキュメンテーションをアップデートして、“実験的機能”という言葉を削除した。今それは、テスターはYouTubeアプリの安定化を助ける、とだけ言っている:

確かにYouTubeも、頻繁にベータをやっている。唯一の変化は、先週からもっと多くの人がそれらにアクセスできるようになったことだ。

今やっているYouTubeアプリの安定性テストも、誰もが参加して、いつでも脱(ぬ)けることができる。ただし現時点ではまだ。新しい機能のベータの予定はない。しかし今後は、新しい機能のベータも、このように一般参加でやるようになるかもしれない。そして、誰よりも早くそのことを知りたかったら、今やってるベータに参加した方がよいかもしれない。

でもYouTubeはこれまで長年、新しい機能のテストはサーバー側でやってきた。しかしそれも今年から変わり、それらのテストも一般公開されるようになった。実験に参加したい人はYouTubeのCreator Insiderチャネルに@TeamYouTubeのハンドルでアクセスするとよい。

数か月前にiPhone上のExploreタブのテストを発表したときも、そうだった。また最近の発表では、ビデオに広告を入れる新しいやり方をテストするらしい。それは、一回の広告挿入で複数の広告を出すことにより、“広告による中断”の回数を減らす、という試みだ。

YouTubeのベータプログラムのメンバーがその実験にオプトインになるのか、ならないのか、それはまだ分からない。そのときベータのターゲットとして選ばれるか否かで、それは決まるのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PlayStation Vueがアメリカの有料テレビとしては初めてAppleのTVアプリを統合

【抄訳】
SonyのテレビライブストリーミングサービスPlayStation Vueが今週、アメリカの有料テレビとしては初めて、Appleのテレビアプリと統合する、と発表した。これまでAppleのTVアプリのコンテンツは、無料や有料のオンデマンドストリーミングアプリからのものだった。つまり、Hulu, Prime Video, HBO NOW, PBS Kids, The CWなどなどと、認証とログインを要するABC, AMC, USA, SYFY, Showtime Anytime,などなどその他大勢だ。

PlayStation Vueの統合により、Sonyの有料テレビサービスの会員はAppleのTVアプリの中でVueの全国的なオンデマンドコンテンツのすべてにアクセスできる。全国や地方のスポーツネットワークも含めて、ライブのスポーツもサポートされる、と同社は言っている。

Sonyの説明によると、ユーザーはTVアプリの中でPS Vueのカタログを検索および閲覧でき、またTVアプリの“Watch Now”や“Up Next”機能を使って番組やムービーやスポーツを指定できる。見たいコンテンツがあったら、そのストリームをPS Vueのアプリの中で開ける。

この統合は、PS Vueだけでなくほかのストリーミングサービスにも契約している人に意味がある。なぜならTVアプリは、いろんなサービスのコンテンツやリコメンデーションを一箇所に集めてくれるからだ。それは、iPhoneやiPadのようなiOSデバイスとApple TVで使える。

PS Vueはいくつかの有料テレビサービスのひとつで、YouTube TV, Hulu with Live TV, Sling TV, AT&TのDirecTV Now, WatchTVなどと競合する。しかしこれまでは、会員数があまり伸びなかった。トップのSling TVやDirecTVが会員数200万前後のところ、PS Vueは50万強、といったところだ。ネーミングに失敗して、PlayStationのオーナーしか見られない、と誤解されているのかもしれない。

AppleのTVアプリとの統合は、言うまでもなく、会員数のジリ貧対策だ。Appleは近く、独自のオリジナルコンテンツを立ち上げる。Apple TVアプリのユーザーが増え、それがPS Vueの認知度アップにも貢献するだろう。

アメリカでTVアプリと統合するのはPS Vueが初めてだが、たとえばフランスではかなり前から、Canal+ “myCanal”とMolotovがこのような統合を提供している。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、盗んだコンテンツのサイトをニュースフィードで降格

Facebookは、低俗なニュースパブリッシャーや他の情報源から不正に記事を転載するウェブサイトのランキングを下げる。本日(米国時間10/16)同社は、コンテンツの信憑性に関するこの新基準に加えて、クリックベイトや低俗広告満載のランディングページのサイトへのリンクを、ニュースフィードで目立たなくすることをTechCrunchだけに伝えた。これはFacebookが行ったアンケート調査と対面インタビューで、かき集めコンテンツをユーザーが嫌っているとわかったことを受けての動きだ。

不正入手された知的財産がニュースフィードで配信されにくくなれば、参照トラフィックが減り広告収入も減るので、悪党共が記事や写真やビデオを盗む動機づけがそもそもなくなる。その結果ウェブ全体でコンテンツの信憑性が改善される効果が期待できる。

そして、 最近起きたFacebookの大規模セキュリティー侵害によって2900万ユーザーが盗まれたプロィールデータが万一オンライン公開されたたときに備えて、Facebookはデータへのリンクをフィードから事実上排除するポリシーをすでに制定している。

Facebookの最新ニュースフィードポリシー変更によって降格されるタイプのサイトは、たとえばこれだ。”Latest Nigerian News” は、最近の私のTechCrunch記事を抜き取り、山のような広告で包み込んだ。

An ad-filled site that scraped my recent TechCrunch article. This site might be hit by a News Feed demotion

「当社は本日より、他サイトのコンテンツを複製、転載するだけで独自の価値を持たない低級なサイトにリンクする投稿を、ユーザーが見ることが少なくなるアップデートを公開する。これに伴い当社のパブリッシャー向けガイドラインを修正する」とFacdbookが低俗広告満載サイトの降格について書いた2017年5月の投稿への補遺書いた。Facebookは新しいガイドラインで、報道機関はコンテンツを転載する際に独自コンテンツや価値を付加しなければFacebookコミュニティーの怒りを買う、と警告するつもりだと本誌に語った。

個人的には、こうした話題に関する透明さの重要性を考えると、Facebookは元記事の更新だけでなく、新たな記事を書くべきだと私は思う。

さて、Facebookはどうやってコンテンツが盗まれたものだと決めるのか? システムはあるページのテキストコンテンツが他のあらゆるコンテンツと一致しているかどうか比較する。この一致の程度に基づいてサイトがコンテンツを盗んだかどうかを予測する。この予測値を、サイト見出しのクリックベイト加減やサイト広告の質と量と組み合わせて盗難コンテンツを決定する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのChromecastはニューバージョンで高速Wi-Fiをサポート

GoogleのChromecastデバイスの次世代機が今日(米国時間10/9)ローンチしたが、もはや意外感はない。すでに先月、Best Buyで買った人がいたのだから。この新しいストリーミングドングルは、前のバージョンからの大きなアップデートはなくて、形も前と同じくケーブルの生えた円形、お値段35ドルだが、予想どおり高速なWi-Fi、5GHzの802.11acをサポートする。また、スピーカーのグループへのストリーミングが、新たにサポートされた。

同社は今回のハードウェアイベントではChromecastにフォーカスしないことに決めて、アップデート機をGoogle Storeで発売し、発表をブログ記事で行った。

ニューバージョンであることは、円の中央にGoogleのロゴがあることで分かる。前の2015年モデル(初めての円形モデル)は、Chromeのロゴがあった。ロゴが変わった意味は、Googleによると、Chromecastの内部が変わったことと、テレビに挿入しやすくなったことを表しているのだそうである。

この第三世代のChromecastは、最大解像度1080pとコマ数60fpsをサポートし、前と同じくテレビのHDMIポートに挿入する。micro-USBの電源コネクターも前と同じだ。テレビのリモコンはやはり使えない。コントロールはスマホからする。〔読者コメントで、ポーズボタンと再開ボタンのあるリモコンなら、それらは使える、とある。スマホだけでなく、Androidタブレットでもアプリからコントロールできる。〕

Chromecastの同伴アプリGoogle Homeで、ChromecastとGoogle Homeデバイス、そしてGoogle Assistantのスピーカーをセットアップおよびコントロールできる。これらも今日アップデートが発表され、スマートホームのコントロールが強化された。

Chromecastには、前と同じく、通常バージョンのほかに69ドルの4K対応Chromecast Ultraがある。

しかし今回はそれら以外にも、40ドルで4K対応のRoku Premiere、また50ドルでFire TV Stick 4Kが提供される。Chromecastの今回のアップデートが割と地味なのは、製品にもっと競争力をつけてから、でっかい発表をする、という魂胆かもしれない。

色は、チョークホワイトとチャコールグレーの2種、長さ51.8mm、幅13.8mmだ。サイズは、前の51.9 x 51.9 x 13.49mmとほとんど同じだ。

ハードウェアのスピードは15%アップした、とGoogleは言っている

今日の発表には間に合わなかったが、スピーカーグループに対応するChromecastも年内に出る。

このChromecastも、Googleが今日発表したほかのものと同様、当日まで内緒にはできなかった。先月Best Buyで買った人が(もう一人)いただけでなく、今朝はイギリスのお店が29ポンド99ペンスで売っていた、という。

今日からChromecastをGoogle Storeで買えるのは、オーストラリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、イギリス、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウエー、シンガポール、スウェーデン、そしてアメリカだ。そのほかの国は、2019年から。

more Google Event 2018 coverage

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

古いメディア大企業が次なる策としてVCに目を向け始めた

ウェブ1.0とウェブ2.0の時代は、世界の大きなメディアコングロマリットにとって優しいものではなかった。それまでのビジネスモデルに疑問符がつくようになり、コンテンツ消費する全く新しいカテゴリーをつくり、オンライン上での購読や価格設定などでの競争を展開することになった。1990年代から2000年代はじめにかけてのメディア大企業の多くは、数十億ドルもの企業価値を持ったマーケットリーダーであったが、会社を発展させるための戦略としてスタートアップに積極的に投資するようになった。

コーポレートVCをするようになった従来のメディア企業には、はっきりとした2つの戦略がある。一つは、長年展開されてきた新聞の広告に取って代わり、消費者向けマーケットプレイスを多様化させるための投資だ。もう一つが、メディアを再形成するスタートアップの動きをいち早くとらえることを(初期の株取得も)狙った投資だ。

広告に代わり、マーケットプレイスに投資する

ベルリン、ドイツ – 6月6日:2018 NOAH会議で話すAxel SpringerのCEO、Mathias Doepfner。この年次会議にはスタートアップのリーダーや起業家、投資家、メディアが参加した(写真: Michele Tantussi/Getty Images)

1990年代と2000年代初期にテックスタートアップによって新聞グループにもたらされた初の危機はオンライン広告のサイト(Craigslistとか)と取引マーケットプレイス(eBayやAmazonなどの興隆で、それまで儲かっていた広告収入が減ることで彼らの注意はeコマースへと向かった。

ハースト社はさておき、新聞や雑誌を複数発行している米国の主な企業ーガネット、ニューズ・コーポレーション、メレディス・コーポレーション、タイム、デジタル・ファースト・メディアなどーはこれまでさほどスタートアップに投資してこなかった。おそらく、ほとんどの新聞社の経営は苦しく、数年間は見返りがないVC投資に回すだけの現金が手元になかったからだろう。

しかし北欧や中欧では、ニュース会社や出版社の財政状況は比較的健全で、主要なメディアグループは過去10年間、マーケットプレイスや欧州にまたがるeコマーススタートアップに積極的に投資している。

欧州をリードする出版社Axel Springerはすでに欧州スタートアップ業界では確固たる地位を築いている。Axel Springerのデジタルベンチャーチームは車のCaroobiやAirbnbなどのマーケットプレイスに出資し、Axel Springerのベルリン拠点のアクセラレータ(Plug & Playと共同運営)はデジタル銀行N26やボートレンタルマーケットプレイスのZizoo、インフルエンサーブランドのマーケットプレイスblogfosterなど、100以上の若いスタートアップに投資してきた。本業での戦略として、従業員1万5000人を抱えるこのメディアグループはARのユニコーン、Magic Leapに今年2月に大規模な投資を行なった。その際、コンテンツIPをレバレッジするパートナーシップも締結した。

一方、ノルウェーのSchibsted、スウェーデンのBonnier、ドイツのHubert Burdaメディア(テックに詳しい人にとって、ミュンヘンで毎年開かれるDLD会議で知られている)とホルツブリンク出版もグローバルで積極的に動いていて、主にeコマースブランドやマーケットプレイスの初期または成長段階VCポートフォリオで活発で、何十億ドルも投資している。

新聞コングロマリット(または類似する他企業)による最も象徴的な企業ベンチャー投資は、2001年に南アフリカの出版グループNaspers(1915年創業)が、設立3年の中国のソーシャルウェブスタートアップTencentに3200万ドルもの投資を行った一件であることに疑いの余地はない。Tencentの企業価値は現在4000億ドルで、アジアで最も大きく、そしてパワフルなデジタルメディア企業だ。Naspersが今年3月に保有するTencentの株式を100億ドルで売却したとき、Naspersの保有株式31%の価値はおおよそ1750億ドルだった。

当然の帰結として、Naspersは世界中のオンラインマーケットプレス事業を支援・育成し、買収し、そして投資するホールディング・カンパニーへと姿を変えた(かなり小さい出版部門はまだ残しているが)。

メディアという領域外のスタートアップに投資する従来のメディア企業にとっての課題はというと、たとえその投資がかなり成功したとしても、メディア業界での目立ったアドバンテージにならないこと、ビジネスモデルをじわじわとテック企業のモデルのようにはできないことだ。これらの投資は経営上、大きな混乱を引き起こしかねず、主要事業を再度見直すのに失敗すると、株主たちは会社に刷新を要求する。AirbnbやBaubleBarに投資をすることは、従来の出版グループにとって重要なチャレンジやチャンスを意味するものではない。

それゆえに、この戦略でメディア企業にとって一番良いシナリオは、 Naspersがとった方法にある通り、まずはコンテンツ競争を抜け出して経営で成功を収め、他の消費者向けブランドのホールディング・カンパニーになることだ。しかしその後の道のりは不透明かもしれない。他の全ての活動にかかわらず、Naspersの時価総額はTencent株の時価総額より小さい…一番良いシナリオが必ずしも中心的な組織の変更であるかどうかは不透明だ。

次世代メディアへの投資

社の年次報告会に出席するドイツのメディアグループBertelsmannのCEO、Thomas Rabeー2018年3月27日、ベルリン / AFP PHOTO / Tobias SCHWARZ (Photo credit should read TOBIAS SCHWARZ/AFP/Getty Images)

 

“古いメディア”がとる別の道は、メディア事業の将来を明らかにする手段としてVCにフォーカスするというものだった。そうすることで古いメディアは新世代のメディア起業家から学ぶことができ、競合相手よりマーケットの変化に素早く対応できる。興味深いことに、こうした戦略をとったコングロマリットは、新聞事業よりもテレビやラジオ、データ、通信事業を運営しているところだった。

ベルテルスマン、ハースト、そして21世紀フォックスは、ストリーミングビデオサービスやクラウドソースストーリーテリングプラットフォーム、または拡張現実といったメディアの将来を作ろうとしているスタートアップに最も積極的にCV投資している企業だ。

年間170億ユーロの収益を上げているベルテルスマンは世界で最も大きなメディア企業の一つで、事業はテレビ制作や放送(RTLグループ)、書籍出版(ペンギン・ランダムハウス)、新聞、雑誌出版(GrünerとJahr)、そして教育など多岐にわたる。しかしメディア企業には珍しく、メディアスタートアップへのベンチャー投資をサイドプロジェクトとしてではなく、社の主要部門と位置付けている。

社の主要事業であるベルテルスマン・デジタルメディア投資(BDMI)はAudible、Mic、The AthleticそしてWonderyといった米国、欧州の企業に投資しているが、と同時に中国、インド、ブラジルにフォーカスして投資するファンドと、ニューヨーク市を拠点とする教育にフォーカスした大学ベンチャーファンドも抱える。2017年の年次報告書によると、ベルテルスマンのチームは2017年、スタートアップに合計40もの新規投資を行い、その見返りとして1億4100万ユーロの収入を得た。

2017年の収益が108億ドルと米国最大の出版社の一つ、ハーストの投資部隊はBuzzFeed、Pandora、Hootesuite、Roku、そして言うに及ばないが中国の言語アプリLingoChamp、ライブエンターテイメントブランドのDrone Racing League、VRスタートアップの8i、その他数十ものメディア関連スタートアップに投資してきた。こうしたベンチャーにおけるハーストのオーナーシップは戦略的なものだ。主要事業に関連するマーケットの動向をとらえ、素早く提携を結ぶ機会を確保する。変化するマーケットの中で企業の存在意義を高めるような戦略的買収のターゲットを探すことにもなる。

21世紀フォックスとスカイ(21世紀フォックスはスカイの株式39%を保有し、すぐにも買収しようとしている)の両社は過去数年、メディア部門の多くのスタートアップに投資してきた。ライブストリーミングプラットフォームCaffeineへの1億ドルもの投資(9月5日に発表された)に加え、Meg Whitman主導のWndrCoのNewTVベンチャーへの巨額投資、そしてフォックスは、スポーツ中心のOTTサービスfuboTV、ヒットしたニュースレターブランドTheSkimm、VRスタジオのWITHIN、ファンタジースポーツアプリDraftkingsにスカイとともに繰り返し投資してきた。スカイはiflix(東南アジアと中東における主要ストリーミングビデオサービス)のような国際的なスタートアップに共同で投資したり株式を取得したりしてきた。

従来のメディア大企業は、ヒットしたショーや映画など広範にわたる知的財産、人気のライブイベントの権利ー何百、何千万人に配信するチャネルは言わずもがなだろうーを所有し、メディア企業そしてスタートアップ双方に益をもたらすような、パートナーシップも目下抱える。こうしたメディア企業は所有権を構築するのに往々にして繰り返し投資を行い、提携を深める。これはメディア企業がマーケットプレイススタートアップに投資するときにはあまり起こらない。

Tencentの常に展開するモデル

NetflixやSnap、VICEそしてBuzzFeedを含むデジタルメディア大企業の新たな収穫は、戦略的な投資でもしない限りさほど多くはない。その代わり、彼らは主要プロダクトの成長にフォーカスしている。大きな例外がTencentだ。

中国でブームとなりつつあるメッセージアプリ部門をWeChatとQQで独占しているのに加え、中国における音楽ストリーミングの75%のマーケットシェアを持っている。また、自社スタジオ(Riot Games、Supercellなど)により世界でも有数のゲーム開発元でもある。Activision Blizzard、Epic Games、その他の少数株式も保有し、Tencentは度々、成長が見込めるデジタルメディアスタートアップに初期段階での戦略的投資を行うという戦略をとってきた。彼らは全てに対して触覚を働かせている。

Crunchbaseデータに基づくと、Tencentはスタートアップに300件超も投資してきた。中国において、最もアクティブなベンチャー投資家だ。投資は中国内に集中しているが、SoundHound、Wattpad、Spotify、Smule、そしてWonder Workshopといった西側のメディアスタートアップにも投資している。

Tencentはこれらのスタートアップに多くのデジタル資産を通して流通手段を提供し、これによりどういう新しいコンテンツフォーマットやビジネスモデルが伸びているかを常にウォッチすることができる。Tencentは常に展開するという方針のもとに動いていて、コンテンツの制作や流通、収益化で将来重要な資産となり得るプロダクトを持つスタートアップに飛びつこうとしている。こうしたアプローチというのは、古いメディア大企業、そして次世代のユニコーンとなるメディアスタートアップが検討すべきものだ。

イノベーションのペースは速く、購読制ストリーミングやesportsといったものから音声インターフェース、ARに至るまで、新たな扉が多く開かれている。“古いメディア”と分類されてしまう前に、コーポレートベンチャーを主要戦略とすることで発展する機会を組織は手にすることができる。

イメージクレジット: Mark Kauzlarich/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)