Apple、今週の決算報告で1兆ドル企業に名乗り

人々が1000ドル以上払って〈いずれ〉iPhone Xを手に入れる権利(あるいはその〈いずれ〉iPhone Xを手に入れる権利を1500ドル以上で売る権利)を獲得している一方で、Appleは同社が1兆ドル企業になれるかどうかの実態をウォール街に示すべく順調に仕事を進めている。

先に本誌は、一般に企業の四半期決算は企業の株価を左右する機会であることを指摘した。Appleはありあまる現金を溜め込んでいるが、会社の将来はiPhone -- とりわけiPhone X -- の成功に依存している。同社はiPhone 7の改良版をiPhone 8として売っているが、iPhone XはAppleの考えるインターネットと自分をつなぐ真の次世代端末を代表する機種だ。

それを踏まえて前四半期Appleは、次の四半期は予測を上回る可能性があることを示唆した -- それを受けたウォール街は再びモデルを修正し、その結果Apple株価は急騰した。今年に入ってから40%以上上昇している。

金曜日(米国時間10/27)、Apple株はまた3%以上の高値をつけ時価総額を8420億ドルとした。たしかあと1600億ドル増やすことは容易ではないが、Appleエコシステムで動作するデバイスをつなぐネットワークと、車、オフィス、ホーム、さらには街を歩きながらも含めたシームレスな体験を提供する新製品を揃えつつあるAppleにとっては実際可能に思えてくる。

木曜日(米国時間11/2)に第4四半期の決算が発表される。iPhone 8とiPhone 7の販売状況やiPhone Xの進捗のヒントも明らかになるだろう。果たしてAppleがiPhone Xの需要を満たせるかどうかまだわからないが、これまでよりはるかに高い価格設定によって、製品価格と開発投資との間に新たな平衡点が見つかる可能性がある。これまでもiPhoneは一種のプレミアム製品だったが、もしAppleがさらに高いレベルで需要を開拓しそれをアーリーアダプター以外にも広げることができれば、同社のビジネスに著しい勢いを加えられるだろう。

ここ1年ばかり、Appleは成長エンジンであるiPhoneの減速を目にしてきた。その実績はいかなる基準からみても低調というべきものではないが、収益の停滞とウォール街の期待低迷は会社はプレッシャーを与えた。AppleはAirPodsやHomePodなどの新製品を投入したがまだ結果は出せていない。同社はサービス事業についても、製品基盤の上で方法的に成長できる追加製品群としてウォール街に売り込んできた。

それでもiPhoneが今も主力であることは売上数値からみて明らかだ。しかし、第3四半期にAppleが見せたあの小さな合図は、第4四半期の実績に同社がさらに大きな期待を寄せていることを示す兆候なのかもしれない。

Appleが1兆ドル企業を目指しているとすれば、明日から本格的取組が始まるはずだ。Appleは掲げた数字(象徴的な部分が大きいが)と一致する数字を示す必要があり、CEO Tim Cookは毎度の財務報告が等しく重要になってくるとも言っていた。Appleが新たな層の需要を開拓しさらに高い収益を生み始めるかどうかを占うためにも、数字はいっそう重要になってくる。新たな収益エンジンを強化するために、あの膨大な現金をどうするのかも注目される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

B Dash Venturesが100億円規模の3号ファンドを設立、エンタメ・FinTech領域へ投資

独立系ベンチャーキャピタルのB Dash Venturesは10月30日、新たなベンチャー投資ファンド「B Dash Fund3号投資事業有限責任組合」を設立したことを明らかにした。ファンド規模は100億円程度をめざしており、すでに独立行政法人中小企業基盤整備機構、KDDI、グリーのほか、上場企業や金融機関、インターネット関連企業の経営者等がLPとして出資。すでに9割程度の資金を集めているという。

B Dash Venturesはこれまで、2011年9月に20億円規模の1号ファンド、2014年7月に60億円規模のファンドを立ち上げている。領域としてはゲームやメディア、広告を中心にして、シードやアーリーから、レイターまで幅広いステージのスタートアップに投資。これまでにgumiやGunosy、マイネット、アップベイダー、スケールアウト、iemo、コネヒト、エイリム、Candle、3ミニッツ、そとあそびなどのイグジット実績がある。

3号ファンドでは、 これまで同様にゲーム、メディア、広告の領域に投資を行うほか、エンターテインメントやFinTech関連のスタートアップにも投資を行うという。最近では女優・柴咲コウさんが代表を務めるレトロワグラースへの投資も行っている。「ネットやSNSによって、『個』をエンパワーメントすることで、個人がどんどん活動できる時代に入ってきている。これまでに3ミニッツやC Cannnelなどにも投資を行い、インフルエンサーマーケティングの走りのようなところも見てきた。社会的影響力がある人達が入ってくると、ネットはもっと大きく広がる。ネットやSNSによって、『個』をエンパワーメントすることで、個人がどんどん活動できる時代に入ってきている」(B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏)

これまでもB Dash Venturesは積極的にエンタメ業界と積極的にコミュニケーションを取ってきたVCだ。彼らが主催する招待制イベント「B Dash Camp」には、ミュージシャンの小室哲哉さんや、俳優・イベントプロでデューサーの小橋賢児さん、インフルエンサーのGENKINGさん、イベント企画やタレントマネジメントなどを手がけるアソビシステム代表取締役社長の中川悠介氏なども登壇している。直近ではアーティストに対してマーケティングやECサイト構築支援なども行う予定だという。

またこれまで、QUOINEなど仮想通貨領域には出資していたB Dash Venturesだが、今後は決済やレンディングといったFinTech領域にも積極的な投資を行う。

4年でKDDIにバイアウト、高級宿泊予約サイト「Relux」の篠塚CEOがTechCrunch Tokyoに登壇決定

11月16日、17日の2日間、渋谷ヒカリエでスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2017」を開催する。今回、一流旅館やホテルの会員制宿泊予約サイト「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partners代表取締役、篠塚孝哉氏の登壇が決まったのでお知らせしたい。

大切な人との記念日に、あるいは両親へのギフト用に一流の宿を探せるのが高級宿泊予約サイト「Relux(リラックス)」の特徴だ。Reluxでは自分たちで実際に足を運び、「お料理」「お風呂」「お部屋」「おもてなし」「空間」など100以上の項目を調査し、審査基準を満たした宿泊施設のみを掲載している。サイトでは、施設ごとに詳細な説明と豊富な写真で、一般的な宿泊予約サイトでは分かりづらい、その宿の雰囲気や魅力を伝えている。

篠塚氏は、2007年にリクルート旅行カンパニーに新卒入社し、在籍中は大手宿泊施設の企画やマーケティングに携わっていた。その後、2011年にLoco Partnersを創業、2013年4月にReluxをローンチ。Loco Partnerは、その年のTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルにもご登壇いただいている。

Loco Partners代表取締役、篠塚孝哉氏

2013年12月、TechCrunchの取材に対し、篠塚氏は「良い旅館が埋もれているのが悔しくて仕方ない。Reluxは会員に満足度の高い旅行体験を約束し、旅行業界の既存モデルを変革したい」とReluxを立ち上げた想いについて話していた。そしてローンチからおよそ4年が経った2017年2月、Loco PartnersはKDDIとの株式譲渡契約を締結し、KDDIの連結子会社となった。

今年のTechCrunch Tokyoでは、篠塚氏に創業からKDDI傘下に入るまでの道のり、そして今後の展望について聞きたいと思う。

TechCrunch Tokyo 2017は一般価格4万円のところ、10月末までは前売りチケットは割引価格3万円で販売している。5名以上で参加予定の方は、1枚あたりの価格が2万円になるお得な団体割引もある。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。

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ナレッジ共有とポートフォリオで映像クリエイターを支援するVook、提供元が1億円を調達

映像クリエイター向けのプラットフォーム「Vook (ヴック)」を提供するアドワールは10月30日、みずほキャピタル、大和企業投資、みずほ銀行、日本政策金融公庫より総額1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

Vookは近年需要が増している映像コンテンツの制作者を支援するプラットフォーム。現在は映像制作に関する情報共有サービス「Vook note」と招待制のポートフォリオサイト「Vook port」を提供している。

Vook noteはクリエイターが現場で直面した課題やその解決方法といったノウハウをシェアするサービス。タグやお気に入り、コメントなど機能はシンプルだが、書き手・読み手ともに映像クリエイターであり、現場で使えるナレッジが蓄積されているという点が価値となりそうだ。

もうひとつのVook portは審査制のポートフォリオ共有サービスで、他ユーザーとのネットワーク作りだけでなく登録者限定のプログラムを通じてスキルアップにも活用できる。

アドワールは2016年にVookを立ち上げ、Webサービスに加えて全国で開催するユーザーイベントや合宿なども通じて、映像クリエイターのコミュニティを作ってきた。現在は国内外のカメラ、編集機材など映像制作のメーカーや販売店とのタイアップも実施している。代表取締役の岡本俊太郎氏は学生時代から映像クリエーター向けのコンテストやミートアップを主催、リアルでのクリエーターの交流などを積極的に行ってきた。その後は自身で映像制作会社を設立。この会社がアドワールの母体となった。

「ネット動画に限らず、これまで以上にたくさんの映像が作られるようになってきている。一方で機材やソフトウェアなどは拡大し、アップデートのペースも速い。そこにナレッジを提供し、いいクリエイティブを作る人を支援する。我々は『 動画時代』の金脈で金を掘るのでなく、ジーンズやつるはしを売るビジネスをしていく」(岡本氏)

今後はカメラや編集だけでなく、CG、音楽、俳優など映像に関わるあらゆるクリエイターにとって快適な制作環境を作ることを目指し、プラットフォーム事業やリアルイベントを加速させていくという。また来年にはVookに有料機能を提供することも検討している。

Twitterが新しい利用規約を追加、今度はリベンジポルノを禁止

Twitterはユーザー基盤を構成する雑多な参加者たちをなんとかコントロールしようと、(実り少ない)努力を続けているが、その最新の対策として、世間では遠回しに「親密なメディア」(intimate media)と呼ばれているものの、監視方法の変更を発表した。

この最新のルール変更もまた、Twitterの有害な問題の1つと戦うことが意図されている:すなわち、ネットワークを使ったリベンジポルノの蔓延への対抗だ。

今年の初めTwitterは、Rob Kardashianによってばら撒かれた、彼の元ガールフレンドのヌード写真に対する対応の遅れによって、世間から激しい批判に晒された。それらの写真は、削除されるまでに30分以上もサイトに晒され続けた。

Twitterの新しいポリシーは、なにびとも被写体の同意なしに撮影された、あるいは流出した「親密な写真あるいは動画」を、投稿または共有してはならない、というものだ。

Twitterによる「密接なメディア」の定義には、「ヌード、部分的ヌード、かつ/または性行為」などを含む、隠しカメラで撮影されたコンテンツ;ユーザーが他者の生殖器、臀部、もしくは胸を見ることができるような「クリープショット」(近付いての隠し撮り)と呼ばれる映像;プライベートな状況で撮影され公開を意図していなかった写真もしくは動画;そしてプライベートなものとみなされる可能性のあるその他の任意の映像などが含まれている。

同社は、合意に基くヌードとアダルトコンテンツの中には投稿を許されるものもあり、それによってポリシーに違反する可能性のあるものに対して、タイムリーに対応できないという大きな問題も生じていることを指摘している。

新しいポリシーは以下のようなものだ:

私たちのチームが誤って、合意の上で投稿された親密なメディアを削除することがないように、私たちは実際の強制措置を取る前に、当事者もしくは権限のある代理人からのレポートを要求することがあります。わたしたちはそうしたレポートには電子メールで対応し、当事者が本人であることを証明する書類の提出を求めます。この書類はTwitterによるケースの評価が終わると同時に破棄され、第3者とは決して共有されません。このコンテンツに関して誰がレポートしているのかの詳細は、違反をしていると指弾されている人には決して伝えられることはありません。

幸いなことに、この証明基準の負担は「クリープショットもしくはアップスカート」には適用されない(アップスカートとは腰と膝の間の部分を意味する隠語)。そのような場合にはTwitterは証明書類を要求しない。「被害者にとって、そのコンテンツの中に写っているのが、自分であるか否かを判別するのはしばしば困難」だからだ。

Twitterが、あるコンテンツが実際に同意なしに配布されたと認定した場合、新しいルールにのっとり、違反したアカウントは停止される。リツイートを行った者たちへは、迷惑なツイートを削除するように要請される。その際には、もしポリシーへの違反が続く場合には、Twitterアカウントが凍結されるという警告が添えられている。

もちろん、私の尊敬する同僚のひとりが指摘しているように、これらはすべて理論上の話である。なぜならTwitterは、サイト上でのハラスメントやヘイトスピーチも、とっくの昔に禁止していて――それ以上はみなまで語らずともお分かりだろう。

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(翻訳:Sako)

イーロン・マスクのThe Boring Company、LAの地下トンネルを初披露

Elon Muskは、SpaceX本社の近くカリフォルニア州ホーソーンの地下にトンネルを掘っている。市議会からは承認を得ている。MuskのBoring Co.は掘削とトンネル建設で既に多大な進捗をみせているようで、Muskが共有したトンネル内部の写真には補強されたトンネルが視界の彼方へと伸びるところが映っている。

トンネルの壁はパネルで覆われ、ケーブルと上部の大型管路に加えて照明や軌道とおぼしきものも見える。ロサンゼルス近郊のこのトンネルはBoring Co.が初めて手掛けたものだが、同社は最近メリーランド州でも掘削の暫定許可を受けている。この第2のテスト掘削はHyperloop地下ネットワークの一部となる可能性もある。

MuskのLAトンネルは、現在のトンネル掘削事業より低コスト高効率の掘削計画の実現性をテストするパイロットプロジェクトであり、最終目標は都市部の地下にトンネルネットワークを作り、地上の障害物や交通を避けて輸送サービスを提供することだ。

The Boring Co.は、都市間にHyperloopトンネルを建設して高速移動を可能にするという壮大なビジョンにはまだまだ遠いが、掘削とトンネル建設の初期テストは急速に進展しており、中傷する人々に対してこれは単なる夢物語ではないと証明する材料になりそうだ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビデオゲームのテクノロジーがニューラルネットの実用化に貢献した

【編集部注】著者のOphir Tanzは、GumGumのCEOである。GumGumはコンピュータービジョンの専門知識を持つ人工知能企業で、広告からプロスポーツに至る世界中のさまざまな分野にAI技術を応用しようとしている。カーネギーメロン大学で学士・修士の学位を修めたTanzは、現在ロサンゼルスに住む。

id SoftwareのJohn Carmackが、1993年にDoomをリリースしたとき、彼はその血なまぐさいファーストパーソン・シューティングゲーム(1人称視点でのシューティングゲーム。最初に3D環境を採用したものの1つであり、あっという間に人気作になった)が、その後の機械による情報処理を、如何に変えてしまうかには全く自覚がなかった。

その6年後にはNvidiaが、急成長するゲーム業界向けに、3Dグラフィックスの生成に特化した、初めてのグラフィックプロセッシングユニット(GPU)であるGeForce 256をリリースした。それから17年。GPUはその開発の元々の動機であったハイエンドゲームだけではなく、人工知能(AI)の大きな進歩のための原動力ともなっている。

より強力なGPUの誕生により、深層機械学習とニューラルネットワークは、私たちが関わる仕事や運転する車から、医者に行ったときに受ける診断までの、およそ全ての社会的様相を変えようとしている。

私たちがこれまでに書いた「数学抜きのニューラルネットガイド」の第1回(数学知識もいらないゼロからのニューラルネットワーク入門)と第2回(Why the Future of Deep Learning Depends on Good Data――深層学習の未来が良いデータに依存している理由)では、深層学習がどのように機能しているのか、そして何故AIの成功にはデータが重要なのかについて、それぞれ解説を行った。シリーズの第3回となる今回は、今日の深層学習ブームの先導に役立っている処理系の開発に焦点を当てる。まずは、GPUとCPUの仕組みの違いを理解することが役立つ。

GPUとCPU

今なら読者も既に「中央処理装置」あるいはCPUという用語には馴染みがあるだろう。これはコンピューターの中にある頭脳である。コードを読み込んで、数の計算からHDビデオの再生、そして様々なプログラムを、淀みなく一斉に実行してくれるものだ。あのしつこかった「インテル入ってる」マーケティングキャンペーンを覚えているだろうか?あれはCPUのことを宣伝していたのだ。

しかし、CPUがコンピューターの唯一の頭脳ではない。マシンの中には、特定のタスクに対してはCPUよりも優れた性能を発揮する機構が抱えられているのだ。そうしたものの中で、最も重要なものがグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)だ。これらのチップは、いくつかの点ではCPUに似ているものの、その他の点では大きく異なる。

最新のCPUの多くは、その内部に2〜8個の「コア」(本質的にはミニCPU)を持っていて、それぞれが同時に異なる操作を処理することができる。これらのコアは、投入されたどのような命令でも処理することができ、お互いにシームレスに切り替えることができる。このため、ビデオを見ながらソフトウェアをダウンロードし、同時に、特に引っかかりも感じずに親友たちとSnapchatを楽しむこともできるのだ。

野球のボール、ボウリングのピン、斧、りんご、卵などを同時にジャグリングするサーカスのパフォーマーを想像してみて欲しい。非常に目まぐるしく、彼はリンゴをかじりながら、斧を置いて火の付いた松明を拾い上げる。これがCPUである。要するに一度に様々な仕事をこなすことのできる何でも屋だ。


これとは対照的に、最新のGPUは数千ものコアを持っているが、そのデザインは遥かにシンプルだ。それぞれのコアは特定の1つの仕事しかできないが、しかし集団としてその仕事を、正確に同時に、何度も繰り返し、非常に素早く行うことができるのだ。

GPUサーカスパフォーマーは、ボウリングピンしか扱うことができないが――その代わりに同時に1万本ものピンをジャグリングすることができる。一方CPUは、万能でなければならない上に、柔軟にマスチタスキングも行わなければならないために忙しく、そんなに大量のボウリングピンを一度に扱うことができない。

この性質は、たとえばゲーム環境の中で3Dグラフィックスを創りだすために数十億のポリゴンを生成するといった、膨大な繰り返し演算が必要な仕事を行なう場合に、GPUを圧倒的に優位なものとする。そして、膨大な量のデータに対して、何度も何度も同じ操作を繰り返さなければならないニューラルネットワークのトレーニングに対しても、GPUが理想的なものとなるのだ。

遊びの中のGPU

GPUは、毎秒数十億回の複雑な数学的計算を行うことで、その魔法を実現している。

ビデオゲーム環境は、小さな三角形で構成されている。それらは様々な方法で組み合わされて、スクリーンの上に表示される土地、空、山、宇宙船、怪物などを形作っている。それらの三角形は、それぞれ環境内での位置、他の三角形に対する角度、色、テクスチャなどを示す、異なる数字で構成されている。GPUはこれらの数値を取り込み、それを平たいディスプレイ上のピクセル(画面上の点)に変換する。画面がリフレッシュされるたびに、またはシーンが少しでも変化するたびに、GPUは新しいピクセルを生成するために計算を行わなければならない。これが、最終的にコール・オブ・デューティーやグランド・セフト・オートといったリッチな3Dゲーム環境を生み出している。

毎秒60フレームで動作するHDディスプレイの場合、GPUは一度に1億2000万ピクセルを生成する必要がある。このため非常に強力なCPUであっても、1つのフレームを描画するのに1〜2秒が必要となる。しかし、同時に実行される何千ものGPUコアに仕事を分割すれば、仕事はほぼ瞬時に終了する(こうしたプロセスは並列処理と呼ばれる)。

非常に雑なたとえだが、この違いはミケランジェロを雇って天井にフレスコ画を描かせることと、数千人の職人を雇ってそれぞれに天井の1平方インチのエリアを担当させることの違いのようなものだ。

2010年に、米国空軍が1760台のプレイステーション3をデイジーチェーンで接続して、スーパーコンピューターを作ることができたのも、このGPUの圧倒的な馬力のお陰だ。その当時、それは米国防総省の中で最も強力なコンピューターだったが、従来のスーパーコンピューターよりも90%以上安価であり、電力消費量も10分の1だった。

RAMの中の象

画像認識にGPUを使用するのは、逆方向の動作だ。数値を画像に変換する代わりに、画像を数値に変換するのだ。

たとえば数千のGPUで構成されたニューラルネットワークを構築したとしよう。それぞれGPUが数千のコアを持つそのネットワークは、本質的にスーパーコンピューターだ。今このスーパーコンピューターに、ゾウを識別する方法を教えたいと考えているとする。教師あり学習と呼ばれる方法を利用するならば、考えられるすべての角度から撮影された数十万の象の画像に「象」というラベルを貼って、ネットワークに供給するところから始めることになる。ネットワークは、各画像内のすべてのエッジ、テクスチャ、形状、そして色をマッピングして、そのラベルを有する画像と一致する数学的パターンを特定しようと試みる。

学習過程では、ネットワークが見るもの全てを象であると判断しないように、ゾウを含まない画像も投入することになる。これにより、ネットワークは徐々にモデルを調整し、全体的な精度を向上させることができる。ネットワークは各画像でこのプロセスを連続して行い、それぞれの新しいパス毎に象探索アルゴリズムを改良して行く。

そして出来上がったスーパーコンピューターに新しいイメージを入力すれば、そのイメージが象であるか否かが判断される。もしニューラルネットワークが間違った場合には、より多くのトレーニングで調整が行われることになる(バックプロパゲーションと呼ばれるプロセスである)。画像認識能力が向上しなくなったときが、訓練の終わるときだ。

ここで一番クールなのは以下の点だ:あなたはニューラルネットに対して、象というものは暗い灰色の肌、長い柔軟な鼻、丸みを帯びた背、そして太い脚を持っているものだ、ということを伝えたわけではない。伝えた事はただ「ここに『象』と呼ばれる大量のデータがあります。その共通の性質を把握しなさい」ということだけだ。実際には、ネットワーク自身が、象がどのように見えるかを、自分自身に教えたのだ。

大量計算兵器

GPUがニューラルネットワークの訓練に非常に優れている理由の1つは、行列乗算と呼ばれるものに優れているからだ。つまり、1つの数値テーブル(たとえば、画像のある部分のピクセル値)を別のテーブル(別の部分のピクセル値)と乗算するような演算に優れているということである。ニューラルネットワークは行列の乗算に大いに依存しているため、GPUを使用することで、場合によっては数カ月または数週間かかるトレーニング期間が、数日から数時間に短縮されることがある。

現代のGPUは多くのオンボードメモリを搭載するようになって来ているため、コンピューターのメインメモリとの間でデータを往復させることなく、計算処理を行うことが可能だ。これにより計算はさらに速くなる。またスケーラビリティも優れている。投入するGPUが多ければ多いほど、一度に処理できる計算量が増えるからだ。そしてそれらはプログラム可能なので、手書き文字認識や音声認識などの、さまざまなタスクを実行するようにプログラムすることができる。

ひ弱な人間たち

画像内の物体を認識する際に、GPU駆動のニューラルネットにはどれくらいの性能があるのだろうか?実はそれらは既に人間よりも優れているのだ。2015年には、GoogleとMicrosoftの両者が、毎年恒例のImageNetコンピュータービジョンチャレンジの中で、画像の中の物体の認識能力において、人間よりも正確な深層ニューラルネットを発表している。グラフィックスチップメーカーのNvidiaは、GPUを使ったニューラルネットのトレーニング速度が、わずか3年で50倍になったと主張している。

GPUがそれほどまでに急速に進歩した理由は――お金のためだ。昨年世界中で、ビデオゲームは1000億ドルの売上を果たした――これは映画、音楽、書籍を合わせたものよりも多い額である。ゲームの驚くべき収益性が、GPUやその他のテクノロジーへの研究開発への多大な投資を可能にしたのだ。昨年 Nvidiaは1つのGPUの開発に20億ドル以上を費やした。そのGPUは深層ニューラルネット専用に作られたものである。一方Googleやその他の企業は新しい「Tensorプロセッシングユニット」に取り組んでいる。これもニューラルネット専用に設計され、より多くのデータを効率的に扱うことができるものだ。

こうした投資は、ビデオゲームをはるかに超えた様々な領域で回収されることになる。Googleは、GPUを使ったニューラルネットを使用してAndroidでの音声認識を行い、Googleマップ上の外国語の道路標識の翻訳を行う。Facebookはそれらを使ってあなたの友人たちの顔を認識し、あなたのニュースフィードをカスタマイズする。ニューラルネットは、運転手のいない車の中でのインテリジェンスを提供し、木と一時停止標識の識別を行なう。またそれは、診断医がMRIの中の腫瘍と健常組織との違いを見分ける手伝いをして、癌の早期兆候の検出にも役立つ。そしてそれは原子力発電所の部品に入った亀裂を見つけることも可能だ。

そしてまた、スーパースマッシュブラザーズのプレイがかなり得意だ

いつか、GPUを使うディープニューラルネットによって可能になった発見が、あなたの命を救う日が来るかもしれない。それは皮肉にも、最初のファーストパーソン・シューティングゲームの副産物なのだ。

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(翻訳:Sako)

Peter Thielは投資対象としての自動運転技術に半信半疑、「自動車など要らない世界が良い」説

億万長者の投資家Peter Thielは、トレンドに投資するのは嫌いだ、とよく言う。今週サウジアラビアのリヤドで行われた投資フォーラムFuture Investment Initiativeで、ジャーナリストのMaria Bartiromoと共にステージに立った彼は、同じ言葉を繰り返した。

今の主な投資対象を聞かれた彼は、シリコンバレーの外に着目していることが多いが、SaaSソフトウェアや仮想コンピューティング、拡張現実、人工知能といった“バズワード”はあまり重視しない、と答えた。“そのような投資のトレンドは、実際にトレンドだったとしても危険だ”、と彼は言う。そしてむしろ、“バズワードが聞こえてきたら、そこからできるだけ早く逃げ出すべきだ”、と。逃げ遅れたら、“その種の多くの企業と多くの競合相手”に対処しなければならなくなる。

そこで当然ながらThielは、自動運転技術に対しても同じことを感じている。彼のベンチャー企業Founders Fundが投資しているライドシェア企業Lyftは、その未来が、ある時点で自動運転企業になれることにかかっている、と思われるにもかかわらず、だ。

しかしThielによると、その彼自身のルールにも一つだけ例外がある。それは、“まだ誰のレーダーにも映っていない”トレンドには積極的に着目することだ。

つまり彼が示唆するトレンドとは、ぱっと見ても視界内に存在しないが、今日それに向けられている(希薄な)関心よりも、はるかに大きなメリットを持つテーマだ。人がそれに注意を向けないのは、自動運転車や空飛ぶタクシーほどセクシーでないからだろう。その、彼が秘かに着目しているトレンドとは、誰もが知ってる遠隔通勤(telecommuting, テレコミューティング)、その、これからの不可避な増大によって世界が変わることだ。

むしろ交通運輸の未来について聞かれたThielは、交通運輸にはあまりニーズがないかもしれない、と言いたげだった。少なくとも、職場に出かける個人からのニーズは…。

Thielは語る:

確かに、UberやLyftのような企業へのシフトは、私も投資していますけど、それ自体は大きな変化です。自動運転車というトレンドも、経済にとって重要なトレンドです。それは、消費者の行動を大きく変えるでしょう。自動運転車があれば、車内でも仕事ができるから、通勤時間が今よりもっと長くてもよいでしょう。

でも私は、それが良い投資であるという確信は持てません [強調: 本誌]。大量の企業が、自動運転車という同じような技術をやっているけど、彼らの差別化要因はよく分からないのです。

運輸交通関連の技術で自動運転車よりも関心があるのは、破綻に瀕してている私たちの交通システムの迂回策/回避策はないか、ということです。そしてそのITバージョンこそが、人びとが何十年も前から話題にしていたテレコミューティングなのです。

つまり、交通運輸なんてまったく要らない、と言えるやり方はないのか。リモートで十分に仕事ができれば、それでいいじゃないか。30〜40年前には、いろんな理由でそれはダメだったけど、家にいたら仕事に集中できないとか、人と人の出会いから良い仕事が生まれる、といった精神論みたいな理由もありましたね。

でも、シリコンバレーなどでは現にテレコミューティングが増えているのではないですか。そんなところでは、シリコンバレーの外に人びとがデベロッパーの小さなチームを見つけています。世界中のいろんな場所のいろんな人びとを、ひとつの仕事に割り当てる方法がいくつもあるのです。

ですから . . . テレコミューティングは、もっと探究すべき価値のあるトレンドです。それはこれまで、過小評価されていました。

CB Insightsのデータによると、自動車関連のスタートアップには、今年の前半だけでも、16億ドルという過去最高の投資が行われている。

ThielとBartiromoのチャットの詳細は、ここにある。

しかし、状況からして無理だったかもしれないが、彼のトランプ政権との関係は、話題にならなかった。その関係がずっと続いているために、今年のThielは何度もニュースのタイトルや見出しに登場した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Walmartが店内の商品棚の在庫チェックを行うロボットを50店でテスト、人間社員を駆逐しない

オートメーションの福音を説き回る人なら誰もが、産業用ロボットの目標は“単調で汚くて危険な”仕事を人間に代わってやることだ、と言うだろう。小売業で相当な数のパートやバイトをやった経験者として言わせてもらえば、店頭の在庫管理はずばり、最初のカテゴリー…単調で退屈…に当てはまる。Walmartはこのほど、全米の50あまりの店でシェルフスキャンロボット(shelf-scanning robots, 商品棚の陳列状態を走査して調べるロボット)を使い始めたが、それを見た同社の社員たちはあらためて、そのことに思い至っただろう。

その身長2フィート(約60センチ)のロボット(上図右)は、一見、人畜無害に見える。要するにそれはキャスターを転がして移動するグレーのボックスで、煙突のように上へ高く伸びたアームの先端にはカメラがある。そのアームが棚をスキャンして、売り切れの品目や、欠品、誤配置などの品目を探す。プライスの正不正もチェックできる。情報は人間の同僚へ送られ、彼/彼女が陳列量や価格を調整し、必要なら発注もする。

同社のアメリカのCTO Jeremy Kingがロイターに語っているところによると、同社は人間社員をロボットでリプレースすることはやっていない。各店舗の頭数は前と同じである。ロボットはブルーのベストを着た人間社員を補助するだけだ。Kingによると、ロボットの自分にできる仕事の生産性は人間がやるより50%高い。またロボットはその仕事を毎日でもできるが、既存の社員はほぼ1週間に2回が限度だ。

もちろん、専用ロボット(単機能ロボット)が、雑多な仕事もこなす人間を完全にリプレースすることはありえない。でもWalmartは今後もっと大々的にテクノロジーを導入することによって、ネット上の巨大ゴリラAmazonに対抗していくつもりだ。本誌も報じてきたように、同社は次々とスタートアップを買収してきた。AmazonもKiva Systemsを買収して、倉庫内作業ロボットのAmazon Roboticsに生まれ変わらせたのだから、Walmartもうかうかしていられない。

Amazonのロボットは今のところ倉庫内と発送作業専門だ。Walmartの新人ロボットたちは最初、カリフォルニアとアーカンソーとペンシルベニアの3州でテストされ、人間とロボットが問題なく協働する姿を、広く一般大衆にも見せていくことになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

WhatsAppにやっと誤送信メッセージを送信先で取り消せる機能が実装された(7分以内)

WhatsAppでやっと、メッセージの送信先を間違えた場合の取消ができるようになった。

それは、相手との会話中にメッセージを削除できる方法だ。

これまでの削除機能は、メッセージの送信者のところで削除するだけだから、ほとんど意味がない*。相手はふつうの受信メッセージとして、それを読めてしまう。しかし今度のアップデートでは、“delete for everyone”(みんなに対して消す)機能が加わり、そのメッセージをすべてのチャットから消せる。そして、メッセージが削除されました、という通知が表示される。〔*: LINEの削除機能も現状では送信元削除のみ。〕

この機能は目下展開中なので、全員には行き渡っていない。ぼくはまだだが、本誌編集部では少なくとも一人がアップデートされている。詳細はWhatsAppのFAQ ページに書かれている:

みんなに対してメッセージを削除するには

全員に対しメッセージを削除することにより、チャットのグループや個別のチャットに送った特定のメッセージを削除できます。関係ないチャットにメッセージを送ったときや、誤記のあるメッセージを送ったとき、この機能は便利です。

削除されたメッセージは、相手のスマホ上で“This message was deleted”(このメッセージは削除されました)と表示されます。あなたのチャット画面上でこの表示が出たら、メッセージの送り手が全員宛にそのメッセージを削除したことを意味します。

この全員削除機能が有効なのは、メッセージを送ってから7分以内です。7分を超えたら、誰のスマホ上からも、そのメッセージを消すことはできません。

これは新しいアップデートで提供される機能なので、相手もWhatsAppの最新バージョンを使っていないと、この機能は使えない。現時点ではこのことは大きな障害物だが、時が経つにつれてアップデートが広まり、さまざまな会話で、まずいorやばいメッセージをアンドゥーできるようになるだろう。

でも、多くのWhatsAppユーザーが、遅すぎだよ!、と言いたくなるだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookの“広告透明性機能”は来月発効、政治広告出稿者の説明責任を重視

ロシアが昨年の大統領選に影響を及ぼすべく、Facebookの広告を使った、という懸念に応えて同社は、広告の透明性を増進して、広告の出元を誰が見ても分かるようにする、と発表した。

今日(米国時間10/27)同社はその計画の具体的な詳細を明らかにし、その新しい透明性機能は来月から動き出す、と述べた。それ以後はFacebook Pageに“View Ads”(広告を見る)というボタンが登場し、それをクリックすると今Page上にあるすべての広告が一覧される(下図)。

Facebookによると、近くそのテストをカナダで開始する。アメリカの場合は、国の選挙に関する広告のアーカイブも含まれ、それは向こう4年ごとに更新される。また広告費の累計と平均、各広告が受け取ったインプレッション数、広告のターゲットの層特性、などの情報も開示される。

さらに、政治広告は出稿者の身元確認、住所、選挙関連であることの明記、などを必要とする。またそれらの広告には、“paid by”(誰が広告費を出しているか)のリンクがあって、その詳細情報を見れる。また機械学習のツールを使って、身元を明かしていない政治広告の出稿者を見つける。

これらの機能が、多くのFacebookユーザーの利益になるだろうか? それはないと思うが、でも広告担当のVP Rob Goldmanはこう言っている: “透明性はみんなを助ける。とくに政治の監視グループや記者などの役に立つ。広告主たちに説明責任を持たせることによって、どこの誰が何のためにこんな主張を(広告で)しているのか、分かるようになる”。

この同じ時期に議会は、ネット広告に対する規制を超党派で法制化しようとしている。そして少し前にはTwitterが、これと同じような透明性対策を発表した。

Facebook View Ads

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iPhone Xの予約販売はeBay上に利食い売りが殺到、1500ドルの即決価格が中心

【抄訳】
iPhone Xの需要は、Appleによると“量り知れない”から、この新製品は数分で売り切れた。それにたぶん、発売日の在庫量少なすぎたんだけどね。複数報道によると、予約受付開始からわずか10分後に、全機種の発売予定日が2〜3週間後から最大5週間に延ばされた。そしてその希少性に目をつけた売り手たちが、自分の予約権をeBayで利食いし始めた。消費者の需要のものすごい強勢に、つけ込む気だ。

eBayからの最新の報告によると、今日(米国時間10/28)の太平洋時間深夜12時に始まった予約販売の開始後45分以内に、1200件あまりが‘出品’された。

今“iPhone X”で検索すると、出品数は4480件あまりある。その多くは、オークションではなくて即決価格のみだ。

eBay上の“iPhone X”の検索回数は、同社によると、深夜から東部時間午後1時までに36555を数えた。

即決価格の平均を今言える段階ではないが、現状はeBayによると1500ドルあたりが中心価格だ。

なおiPhone Xは64GBモデルが999ドル、最大の256GBモデルが1149ドルだ。1500ドル(これはたぶん64GBモデル)は言うまでもなく相当な利食いだ。

いわゆる、当て食いというやつもある。すごい高値をつけて、これでも買うやつがいるはずだ!という売り方だ。下図では、6万ドル、3万ドル、2万ドルという超高値をつけている。


新型iPhoneに6万ドル払うやつが現れるといいね、幸運を祈る!

発売日まで待ちきれない人は、こんな買い方もいいかもしれない。自分の好みのタイプを選べるしね。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、純正MacBook用スリーブを発売

Appleは数十年にわたりガジェットを作っている。そして世界有数の消費者向けエレクトロニクスメーカーとして、そのガジェットを保護するためのケースやカバーを数多く作ってきた。中でもiPhoneとiPadのアクセサリーは良く知られている。しかし、AppleはMacBookのスリーブを作ることはなかった。今日までは。

iPhone Xを予約するために今日Appleのウェブサイトに行った人はたくさんいるだろうが、12インチMacBook用のスリーブが発売されたことには気づかなかったかもしれない。

149ドルの値札を見れば、このノートパソコン用スリーブがたしかに「designed by Apple in California」であると安心できるだろう。それだけで足りなければ、ケースにもAppleロゴがついている。

カラーはサドルブラウンとミッドナイトブルーで、「高品質のヨーロピアンレザーで作られています。内側には柔らかなマイクロファイバーの裏地を採用しました」とAppleのウェブサイトには書かれている。

そうそう、スリーブにはMacBookがおニューの皮コートを着たまま充電できる小さな切り込みもついている。

Apple初のMacBook用スリーブはここで見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国におけるiPhoneアプリケーション売上、2020年には年間88ドルに達する見込み

Sensor Towerが今週公開した予測によれば、2020年までにアメリカのiPhone利用者は、年間で88ドル分のアプリケーションを購入するようになる(アプリケーション内購入を含む)そうだ。アプリケーション購入およびアプリケーション内購入にかける金額は毎年増え続けているのだとのこと。今年は平均で63ドルの支出が行われるとみられ、これは2016年比で33%増となる。そして2019年には、2016年比で86%の伸びが期待されているのだ。

Sensor Towerの予測通りとなれば、来年にはアメリカ国内におけるアクティブデバイス毎の購入額は77ドルとなり、そして2020年に88ドルになる予定だ。

多くの人が予想するであろう通り、売上の多くはゲームによってもたらされる。

売上の大部分(70%ほど)をゲーム関連が占める。すなわち88ドルのうち60ドルほどは、ゲーム関連の売上となる見込みであるわけだ。

もちろんゲーム以外にも売上額が伸びるものはある。

成長していくと考えられているのは、エンターテインメント系および音楽だ。HBO NOWやNetflixなどのネット配信やストリーミングが増加するにつれ、今年はエンターテインメントカテゴリーが音楽カテゴリーを上回って、2番目の売上規模を示すようにもなるとみられている。

そして2019年におけるエンターテインメントカテゴリーは、総売上の9%、すなわち少なくとも1台あたり8ドルの売上をあげるようになるだろうとのこと。これは2016年比で2.80ドルの増加となる。

少し前にリリースされた、App Annieのレポートもやはり売上額の増加を予測していた。

App Annieの方のレポートによれば、前四半期におけるアプリケーションの販売額およびダウンロード数は記録的な規模であり、右肩上がりであるとしていた。App Annieの方は、新興国の急成長に注目していた。しかしSensor Towerのレポートを見ると、売上額の増加はアメリカ国内においてもみられる傾向であるようだ。

image credits: Sensor Tower

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(翻訳:Maeda, H

採血なしで血液中の脂質を測定、北大発のメディカルフォトニクスが1億円を調達

左から科学技術振興機構の元島勇太氏、メディカルフォトニクスの飯永一也氏、ANRIの鮫島昌弘氏

独立系ベンチャーキャピタルのANRIが総額60億円規模の3号ファンドを立ち上げたのは8月に報じたとおり。このファンドではこれまで通りシード期のITスタートアップに投資すると同時に、大学や学術機関での研究をベースにするハイテク領域のスタートアップへの投資を行うとしていた。その1社が北海道大学発のメディカルフォトニクスだ。同社がANRIおよび国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)から総額約1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

メディカルフォトニクスが開発するのは、非侵襲(注射針による採血など、器具で生体を傷つけないこと)で利用できる脂質計測器だ。通常、脂質を検査する場合、医療機関で採血を行い、その血液を分析するのが一般的だ。だが同社が開発する製品を用いれば、肌の上に機器を装着するだけで、血中の脂質の検査が可能になる。

非侵襲脂質計測器の試作機

同社のコアとなるのは、北海道大学・清水孝一教授が研究していた、光を用いた生体の診断技術だ。液体に一方向から光を当ててのぞきこんだ際、その液体に含まれている物質の量や種類によって、光は散乱し、ぼやけて見える。同社の脂質計測器では、生体にLEDで光を当て、その散乱度合いをもとに脂質を計測する。メディカルフォトニクス代表取締役の飯永一也氏はもともと製薬メーカーの社員として清水教授と接点を持っていたが、この技術をもとに非侵襲脂質計測器を開発すべく起業した。

この計測器で効果的に計ることができるようになるのは、動脈硬化や心筋梗塞になる危険性が高まる「食後高脂血症」。食後、一時的に血液中の中性脂肪の値が上昇するこの症状は、(主に食事を制限したタイミングで)1回採血をするだけというような通常の健康診断では発見が難しい。もし症状を判断したければ、食前、食後○時間、というかたちで数時間内に複数回の採血が必要になる。これでは体への負荷も大きい。だが同社の脂質計測器であれば採血の必要がないため、手軽に食後高脂血症の測定ができるようになる。

計測器は現在も開発中。年度内には研究機関向け製品の販売を開始する予定だ。今後は医療機器の承認を受けることを目指す。将来的には低価格の個人向け製品の販売を行うとしている。

なお今回のラウンドではJSTが出資を行っているが、彼らは2014年に施行された産業競争力強化法を背景に、25億円の予算枠でテック系のスタートアップを中心に投資を行っているという。以前も紹介したとおり、これまで学術機関での研究はPOC(Proof of Concept:概念の実証)を越えるまでは研究費でまかなうということが多いという。だが徐々にではあるが、彼らの起業を支援する体制も整いつつあるようだ。

国際送金のヒドさに憤慨して起業―、英FintechユニコーンTransferWise CEOがTC Tokyoに登壇

11月16日、17日の2日間にわたって渋谷・ヒカリエで開催予定のテック・イベント「TechCrunch Tokyo 2017」で、Fintechシティーと化したロンドンから、国際送金サービス「TransferWise」の共同創業者・CEOのTaveet Hinrikus(ターバット・ヒンリッコシュ)氏が来日して登壇することになったのでお知らせしたい。

TransferWise共同創業者・CEOのTaveet Hinrikus氏(TechCrunch Disrupt London 2015登壇時)

TrasferWiseの発想はすごい。

エストニア出身でSkypeの第一号社員だったTaveetは、あるときエストニアの首都タリンからロンドンに移住して、国際送金のイケてなさに憤慨する。TechCrunch Disrupt Londonに登壇したとき、1人の銀行利用者としてあまりに愕然としたのがTransferWise創業のきっかけだという。当時、ロンドンとタリンを行き来していて、給与をタリンで受け取っていた関係で「エストニア→ロンドン」という国際送金を使うようになっていた。

毎月銀行の窓口に並ばなければならず、そのうえ着金まで時間がかかる。何より手数料が高い。のちに共同創業者となるロンドン在住のKristo Kaarmann(クリストフ・カーメン)氏も同様に、国際送金サービスは根本的に何かが壊れているに違いないと感じていたそうだ。そこでTaveetとKristoは実験をする。

・Taveetはエストニアの自分の口座からKristoのエストニアの口座にお金を送る
・Kristoはロンドンの自分の口座からTaveetのロンドンの口座にお金を送る
・事実上2人は「エストニア←→ロンドン」の送金需要を満たしたことになる

これを多数の都市間で仕組み化したのがTransferWiseだ。

TransferWiseのアイデアは、ある意味では小学生の思い付きのようなところがある。Taveetによれば、当初の周囲の反応は「そんなのうまく行くわけないよ」とか「誰も君たちなんて信用しないよと」というものが少なくなかったそうだ。それが今やイギリスやヨーロッパ、米国をはじめ504通貨ルート、59カ国、約100万人が使うサービスに成長。月間800万ポンド(1億2000万円)ほどの国際送金額となっているという。手数料は従来の国際送金の8分の1となり、これまで送金完了まで4〜5日かかっていたものも90%が24時間以内に完了するようになった。現在は個人ユーザーが中心だが、SMB市場への進出もはじめている。

国際送金の手数料は高い。銀行は市場とは異なる「為替レート」を使って必要以上の儲けを出している。そのことを揶揄する以下のような動画キャンペーンは、TransferWiseが解決する問題を良く表しているし、なかなか痛快だ。「もしあなたの物の一部を誰かが取ったりしたら、どんな気がするだろうか? 海外送金をするときには、それが実際に起こっていることです。ただ何を取られているのかに気づくのが難しいだけ」と言っている。国際送金サービスで「手数料無料」をうたうところも、「為替レート」の中に手数料を隠し続けてきた、というのがTransferWiseの指摘だ。

TaveetはTransferWiseのことを「移民たちが創業し、移民たちが作り、移民たちが使っているサービス」と呼んでいる。このため、これをご覧の読者の方は知らない人のほうが多いかもしれないが、すでに日本でも関東財務局に登録済みで日本でも利用可能なサービスでもある。

スタートアップ企業としてみてみると、2010年に創業して、2016年5月のシリーズDラウンドまでに累計1億1600万ドル(約132億円)の資金を調達している。また今年5月には創業6年にして黒字化を達成したことを発表している。

ロンドンは2010年以降にFintechハブとして興隆した。そのエコシステムの発展に合わせる形でFintechユニコーンとして急成長したTransferWiseのTaveetの講演を、ぜひTechCrunch Tokyo 2017の会場に聞きにきて頂ければと思う。

TechCrunch Tokyo 2017は一般チケット価格4万円のところ、10月末まで(来週火曜日まで!)は前売りチケットは割引価格3万円で販売している。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。

前売りチケット購入はこちらから

新生MERYが11月21日に開始――小学館とDeNAの共同出資会社として復活

DeNAと小学館の共同出資会社であるMERYは10月27日、新たな体制の元で女性向けメディア「MERY」を11月21日より提供すると明らかにした。

MERYはもともとDeNA傘下のペロリが提供していた女性向けキュレーションメディア。昨年12月に「WELQ」を始めとしたDeNA運営のキュレーションメディアが問題視された結果、他のメディアに少し遅れる形で同月7日にMERYも全記事を非公開にしていた。

DeNAでは記事を非公開にした後もMERY再始動のあり方を模索する中で、2017年4月に小学館とデジタルメディア事業を検討するための基本合意を締結。結果的には小学館が66.66%、DeNAが33.34%を出資する共同出資会社という形で、8月に株式会社MERYを設立した。

リスタートするMERYにおいては記事掲載に至るまでの作成、編集、校閲などの業務を小学館が、システム構築やネット上のマーケティングなどをDeNAが担当する。従来のMERYにおける運営体制を抜本的に刷新し、新たなプロセスで記事制作やメディア運営を行う。

具体的な体制についてはプレスリリース内で以下の記載がある。なお、MERYの代表取締役社長には小学館で「プチセブン」や「CanCam」の編集長を歴任した山岸博氏が就任する。

MERY公認ライターおよび編集部が執筆した記事は、法令に基づき各種確認を経て公開判断を行います。
1)MERY公認ライターとは、株式会社MERYにて新たに採用面接を行い、教育・研修を受けたライターです。
・一般投稿による記事は一切取り扱いません。
・非公開化前の旧「MERY」の記事は一切使用しません。
2)すべての記事は校閲、編集部の二重チェック後に公開いたします。

「MERYロス」という言葉も生まれるほど多くのファンを抱え再開が待ち望まれていた一方で、画像の無断転載に関する迷惑料の支払い交渉が終わっていない人から新会社設立時に不満の声もあがっていた。

米ウォルマート、スーパーの棚管理ロボットを50店舗以上に導入。「店員を置き換えるのでなく作業を軽減」

eng-logo-2015米スーパー大手のウォルマートが、全米50以上の店舗に陳列棚管理ロボットを導入し、試験運用を開始しました。このロボットは店内を練り歩き、在庫数量、価格、商品の配置まちがいをチェックしてまわります。

Bossa Nova Roboticsが開発したこの棚管理ロボット。本体は約60cmほどの高さですが、そこから煙突のように上へとそびえるスキャナー部分が、棚の各段の状況を読み取ります。

3Dイメージングによる周囲認識機能を備え、積まれたダンボールや臨時に置かれたワゴンといった障害物を自動的に避けることが可能。さらに障害物で通路が通れない場合はいったん引き返して別の通路を選択する機能も搭載します。

このロボットを導入することで、人間の店員が棚の在庫管理をして回る手間がなくなり、その分業務の効率化がはかれます。ただ、ウォルマートはこのロボットが人間の業務を助けるものであり、店員を置き換えるのが目的ではないとしました。実際、補充作業は大小だけでなく硬さなどが多種多様な商品を、1つ1つつカンで棚へ配置する作業となりますが、これは現在のロボットの能力では難しいもの。まだまだ人の手が必要です。

しかし、それでも陳列棚の在庫管理という面倒な業務をロボットが引き受けることで、店員の仕事量を減らし、さらに経費も節減できるのは間違いありません。Bossa Nova Roboticsのライバル企業Simbe Roboticsが示したデータによれば、米国の主要な小売業者では棚管理業務だけで年間数億ドルがかかっているとのこと。つまり棚管理ロボットは少しばかり高価だったとしても、導入すればすぐにもとは取れるということです。

試験は始まったばかりですが、とりあえずの導入段階では満足の行く成果があがっている模様。ウォルマートはこうした業務の自動化に熱心な企業はよく知られたところ。今回の棚管理ロボット以外にも、商品配送のためにドローンをテストしたり、オンラインで注文した商品を受け取りに来た客に、商品をコンベア式に自動で取り出してくる機構を備えたピックアップタワーと呼ばれるシステムを複数の店舗に展開するなど、自身の省力化や業務効率化だけでなく買い物の際の利便性を向上させることで、顧客の呼び込みを強化しています。

ちなみに、棚管理ロボットというジャンルは最近出てきたものではなく、少なくとも2012年にはマイクロソフトの3D空間認識センサー Kinectを利用した棚管理ロボットがすでに開発されていました。

Engadget 日本版からの転載。

Googleがファクトチェック(事実性の検証)の専門機関IFCNとパートナーして活動のグローバルな普及を目指す

昨年ごろからGoogleは、検索結果やGoogle Newsのファクトチェック記事を強調表示している。それには、人びとがそうだと信じたものを信じないようにする力はないが、情報の正しさを今なお気にする人には役に立つ。今日(米国時間10/26)Googleはその取り組みをさらに拡大して、ジャーナリスト育成校ポインター学院(Poynter Institute)の国際ファクトチェック・ネットワーク(International Fact-Checking Network, IFCN)とパートナーした。

2015年9月にできたIFCNは、ファクトチェッカーを育てるオンライン/オフラインの教育事業や研究集団への助成、ファクトチェックのための基本原則集の出版などを行っている。その基本原則の遵守を署名している企業や団体は、Associated Press(AP通信社)やWashington PostPolitiFactFactcheck.org、ドイツのCorrectiv、ブラジルのAos Fatosなど、多岐にわたる。

Googleの計画は、このパートナーシップを利用して公認のファクトチェッカーを増やし、またIFCNの基本原則集を各国言語に翻訳してファクトチェックという考え方を全世界的に広め、そうやってできるIFCNのコミュニティにファクトチェックのためのツールを提供することだ。また教育訓練など、そのほかのサポートにも取り組む。

[ファクトチェックの例]

[就任後最初の6か月で署名した法律の数はこれまでの大統領中で最多…トランプの主張。PolitiFactによるファクトチェック: 偽(false)。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

500 Startupsの第22回デモデイで、目立ったスタートアップたち

Dave McClureが今年の7月に、複数の女性にアプローチし、薄気味悪い思いをさせていた事を認めて500 Startupsのジェネラルパートナーを辞任したことで、500 Startupsの立場は微妙なことになっている。 それ以来、同社のプログラムにはずっと不安がつきまとっているが、デモデイと新しいクラスの登録を始めた今はその不安が一段と高まっている。

それは同社の22回目のデモデイにますます強いものとして現れていたように思う。この日、CEOのChristine Tsaiがステージに上り、起こり始めた同社の改革についての説明を行った。

「8月には、500 Startupsが包括性、多様性、ハラスメントへの対処を図ることを目指すことを宣言しました」とTsaiは語る。「どれも、他のものへ同時に対処する事なしに解決を図ることはできません。私たちは、直ちに多くのフランクで本音の議論をチーム内で行いました。同時に共通の理解に達するため…そして500 Startupsの文化がうまくいっている場所、欠けている場所を見出すための調査も立ち上げました。私たちは多くの素晴らしい学びを得ることができました。そして私たちはこれを定期的にモニターし続けるつもりです」。

そしてデモデイがやって来る:以前私たちは、デモデイは非常に忙しくなる可能性があると指摘した。1つあたり、わずか数分のプレゼンテーションから本当に素晴らしい会社を選び出すのは、本当に困難なことなのだ。しかしそれでも、そのうちの幾つかはきちんと取り上げる価値がある。それらは背後にあるアイデアや、彼らが解決する問題、そして創業者のチームといった幾つかの要因から判断される。

同じことが、今日(米国時間10月25日)の500 Startupsの、22回目のデモデイにも当てはまった――ということで、以下に示すものが数時間にわたるプレゼンの結果、私たちが選びだしたものだ:

1/8 :Nextplay

企業内キャリアのための論理的な道筋を持つことは、おそらく企業が従業員を留めておくために必要とする最も重要なツールの1つである――そして多くの企業が失敗する。

なので、従業員たちがどのようなゴールを達成し、どのように前へ進もうかと悩むとき、彼らはしばしば社外に進むべき道を見出してしまう。Charu Sharmaと彼女の共同創業者Nawar Noryは、企業がそうした従業員たちに、メンタリングと希望の持てる一連のゴールを提供するためのツールを開発するために、Nextplayを創業した。最終的な製品はEllenと呼ばれる。このアプリはメンターとのマッチングを行い、自身のキャリア対し安心感を得る手助けをするものだ。

「キャリア開発は不確定な道筋です、自分の目標を特定し、自分のメンターを見つけることは従業員自身に任されています」とSharmaは語った。「女性は苦しみ、少数派も苦しみ、内向的な人も苦しんでいます」。

Sharmaによれば、Ellenを6ヶ月間使用した後、25%以上の従業員が自分たちの会社で働くこと強く推奨するようになっているそうだ。同社は10万ドルの収益を上げている。

2/8 :Mobile Forms

アフリカは世界で最も重要な発展途上市場の1つであり、拡大しようとしている企業たちに対して大きなチャンスを提供している――しかしそこでどのように始めるべきかのデータを収集することは、最も難しい課題だとMobile FormsのCEOであるTomi Ayorindeは語る。

「アフリカの経済は2桁台の成長を遂げていて、それが世界中の企業たちの注目を集めています」とAyorindeは語った。「企業は市場を理解しようと何十億ドルも費やしていますが、ほとんどの企業にとって、市場はまだブラックボックスのように見えています」。

企業は必要な調査の要求を定義して、それをMobile Formasに送信する。その後Mobile Formsは、何千人ものフィールドエージェントのチームに要求を送信し、企業がより良い決定を下すために必要とする情報を収集する。ナイジェリアを皮切りに、同社はこれまでに約15万ドルの収益を上げていると述べた。

3/8 :Fincheck

これまで経費精算をしたことが一度もない人はわからないかもしれないが――まあ楽しい経験とは言えない代物だ。おそらく読者も、そうした経費をインターネット上で、Googleカレンダーや電子メールその他の様々な場所に置いてクロスチェックを行っていることだろう。

これがFincheckの役に立つ場所だ。基本的にはそうした作業の後半を受け持ってくれる。複数のデータソースをタップすることで、Fincheckは最後に経費のサマリーを表示してくれる。こうしてこれまで経費ソフトウェアの操作に費やしていた時間から解放してくれるのだ。

CEOのRuth Polachekは、同社がプライベートベータで10万件を超えるトランザクションを処理したと語った。バックエンドで一連のアルゴリズムを使用して、基本的にはブラウザのタブを何度も表示することで得られるすべてのものをデジタル化するのだと語っている。

4/8 :Plum

都市部に住んでいたり、真に平均的な人物ならば、長期的に貯蓄を積み上げていくことに困難を感じているかもしれない。

Victor Trokoudesも確かにこの問題を感じていた――30代の時には基本的に貯金がなかったのだ。だからこそPlumのアイデアが生まれたのだ。これは、あなたの支出パターンを学習するだけではなく、支払いを抑えてより節約することができる場所を把握するために、請求書も追跡してくれる。

「これは『気付かせる力』(the power of nudge)と呼ばれるもので、人びとに暮らし向きが良くなる判断ができるようにさせるものなのです」とTrokoudesはノーベル賞受賞者のRichard Thalerに言及しながら語った。「PlumはAIを使って皆のお金が、煩わしさなしに、あるべき形で管理されるようにするチャットボットです」。

Trokoudesによれば、1月に発売されて以来、アプリのユーザー数は5万人に達し、毎月20%ずつ増えているという。

5/8 :Mira

生命保険は、特にリスクの高い人にとっては、常に見通しが難しいものだ。しかしShuo Zhangは、例えば糖尿病のような「危険性の高い」カテゴリーに陥る人もいるものの、そういう人たちも本当にリスクが高い顧客とはいえない場合がある、と述べている。

「私たちのオンラインアプリケーションでは、40のユニークな医療、財務およびその他の追跡データを統合することができます。つまり、顧客に関する更に大きな洞察を得ることが可能なのです」と彼は語る。「私たちは、彼らが健康的な食事をし、頻繁に運動を行い、血糖値が安定していることを知ることができます。そうした人たちは、保険会社が考えるほど高リスクではないのです」。

ある顧客が潜在的にハイリスクかもしれないと報告されると、保険会社はそれMiraに照会することができる。Miraは、顧客の実際のリスクプロファイルを把握するための深い探索を行う。この結果、顧客は彼らにハイリスク顧客というラベルを貼る典型的な保険会社と、より有利な条件で保険を契約することが可能になるのだ。

6/8 :MailHaven

もしAmazon Primeの顧客で、大量のパッケージを受け取るような人物なら、荷物の受取に付き纏う不安は――そしてそれが玄関先から盗まれないことを祈ることは――深刻な問題だ。

このため、返品のためのピックアップを行なう、オンデマンドのスタートアップのような、よりスマートなデリバリサービスを提供しようとする試みは、これまでも沢山あったが、MailHavenはもう少しレトロなやり方を考えている。同社はあなたの家の前に置かれる、文字通り「箱」を販売している。配送業者たちはこの箱に荷物を自動的に投入することが可能で、逆に返品の必要がある荷物をピックアップすることも可能なのだ。

「もし何かを返品をする必要が生じる度に、それを家の前に置かれた箱の中に保管しておいて、それを持っていって貰えるようにできたら便利だと思いませんか。そうした仕掛けが無いために、生産性に対して年間450億ドルの損失が生じているのです」とCEOのKela Ivonyeは語る。「2700万人の人がなんとか郵便局まで持ち込むか、高価なオンデマンド配送サービスと契約さぜるを得なくなっているのです」。

399ドルの初期費用と月額15ドルのサブスクリプションを考えると、これは先進国向けのオプションのように見える。しかし、商取引がますますオンライン化されるつれて、MailHavenのようなものが、パッケージを適切なタイミングで入手するための回答になるのだろう。

7/8 :LaborVoices

衣料品ブランドがその生産立ち上げようとするときには、実際にその衣料を作るための工場群に接触しなければならない。しかし全ての工場の正確な状況に、いつでもアクセスできるわけではない。

「現在私たち全員が服を着ていますが、今着ている服が児童労働や強制労働で作られたものなのかどうかを知る術はありません」と語るのはLaborVoicesのCEOであるKohl Gillだ。「不都合な真実は、ブランド自身もその実体を把握していないということなのです。彼らは世界中の工場で何が起こっているのかを知りません」。

ここがLaborVoicesの登場する場所だ。工場の従業員たちが現在の労働状況を、携帯電話を使ってサービスに対して送ってくる仕掛けだ。LaborVoicesはブランドと提携し、全てが標準に準拠して運営されていることを保証する。

Gillによれば、今でもブランドは検査に数十億ドルを費やして、工場からの供給を管理しようとしているものの、そのプロセスは依然として、破綻し上手く行っていない場合が多いということだ。過去1年で、LaborVoicesは60万ドル以上の収益を計上したと、同氏は述べている。

8/8 :Sendoso

おそらくあなたは、朝の仕事を数十(あるいは数百)に及ぶ電子メールの処理で始めなければならないことにうんざりしていることだろう――そしてそれが見込み客を見つけるためだとしたら、その電子メールの山と注意深く格闘することになる。

ということで、実際の物理的メールを受け取ることに喜ぶ人たちの側に振り子が戻っていることは驚きではない。そしてその流れを追う企業たちが存在する。

Sendosoは、そうした企業たちに、潜在的な顧客たちの注意を喚起する手段として、実際の物を送るサービスを提供する。企業はSalesforceを通じて、潜在的な顧客の関心を呼ぶかもしれない物を追跡し、発送する手段を見出すことができる。

「見込み客や顧客を、電子メールや電話で引きつけることはこれまでにないほど難しくなっています」とCEOのKris Rudeegraapは語る。「企業は影響力の強いダイレクトメールのような他のアウトリーチ手段に向かいつつありますが、企業がダイレクトメールを運用し、拡大し、ROIを追跡することはとても困難なのです」。

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(翻訳:Sako)