ZTEは今度発売するスマートフォンの仕様とデザインをクラウドソーシングする

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スマートフォン市場で目立つことは難しい。ZTEの場合、最近の主な戦略は価格だった。この前はついに、お値段99ドルのAndroidファブレットまで出した。でも、そんな値下げ合戦は、山の頂上を目指す競争というより、山から転がり落ちて誰がまっさきに谷底まで落ちるか、の競争になってしまう。

そこで、この中国のスマートフォンメーカーはこのたび、外部からお知恵をいただく、という戦法に出た。今日同社がローンチを発表したProject CSXは、コミュニティの協力を求め、モバイルデバイスのデザインをオンラインフォーラムのZ-Communityから“クラウドソーシング”する。これは、OnePlusのデバイスが熱心なファンのあいだでヒットした例と似ているが、ZTEの場合は対象をファンに限定しない。

フォーラムの上で同社は、今度発売する新しいモバイルデバイスに関するアイデアを求める。そしてアイデアの投稿があるたびに、製品コンセプトを更新していく。また、今後完成して発売した製品については、優れたフィードバックに賞金を提供し、来年のCESに招待する。CESの方は、賞金ではなく、まあ、賞品のようなものだ。ただし、こんなルールがある:

モバイル製品のアイデアであること。2017年までの技術で、実現可能であること。一般消費者にとって買いやすい値段の製品になること。

中国に住んでる人は、一般発売よりも前に製品を入手できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Mapsの3D画像を利用する世界探検アプリ、まず、雪男の子になってヒマラヤ山脈を踏破するバージョンがローンチ

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Googleが今日(米国時間8/1)、子どもが地図と3D画像を使って世界を探検するアプリケーションをリリースした。この新しいAndroidアプリを同社は“実験”と呼んでおり、Google Mapsのヒマラヤの3D画像を利用するが、3Dのシーンをズームして動き回ることをよりおもしろく、参加性のあるものにするために、ゲームの要素も加えている。

Verne: The Himalayas,”と呼ばれるこのアプリには、Verneという名のキャラクターが登場する。彼は身長500フィートの雪男の子だが、とてもフレンドリーで、ヒマラヤのシーンを歩きまわる。雪男だからエベレスト山にも登れるし、凍った湖でスケートし、ヤクを追いかけ、ジェットパックで飛行し、ヒマラヤの楽器を演奏し、さらにもっといろんなことをする。

ユーザーが教育的な情報を見つけることもできるが、それを子どもに言っちゃだめ! 情報は合成音声で語られ、“ヒマラヤは世界最大の山脈だよ”、などの、ちょっとした事実を教えてくれる。

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Mapsを舞台とするアプリケーションの中でキャラクターにいろんなことをさせるのは、世界はいろんなやり方で経験できるんだよ、と子どもに教えることがねらいだ。子どもたちは過去にGoogle MapsやGoogle Earthで3D画像を見たことがあっても、そこを自分流儀で歩きまわる、という発想はしなかっただろう。

“Verne: The Himalayas”は、Googleの社員たちが自分の子どもでテストしながら作った。そしてGoogle Mapsの3D画像と、ゲームエンジンのUnityを使って制作した。このアプリのWebサイトは、そう説明している。

今はヒマラヤだけだが、最初のうちの何度かは、子どもたちは、自分で登山したり、空を飛んだり、スケートしたりすることを楽しむだろう。でもしかし、十分に遊んだら、今度は別の場所へ行きたいだろうね。だからこの3Dマップを利用する世界探検アプリが、今後本当に世界各地に展開されれば、いわばGoogle Earthの子どもバージョンが出来上がる。そう、願いたいね。

“Verne: The Himalayas”は今のところ、Google Playで無料ダウンロードできるAndroidアプリのみだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoGoGrandparentを使えばスマホがなくてもオンデマンドサービスが利用可能に!

Boy Helping Man Use Cell Phone

2016年は間違いなくオンデマンドの年だ。ライドシェアではUberやLyftが未来の交通手段としての地位を固め、他にもPostmatesの様なオンデマンドのサービスが、ものを「オンデマンド」で注文する、という需要が確かに存在するということを明確に示した、そんな年だ。

しかし問題がある。オンデマンドアプリを使うにはスマホが必要だが、アメリカにはまだスマホを持っていない人が7500万人もいる、つまりこれらの人々はこの生活の仕方を一変させてしまうようなサービスを受ける資格すら与えられていないのだ。

これらの人々は経済力も居住地も様々だが、1つだけ共通点があるようだ。それは、年齢の高い人ほどスマホは愚か、携帯すら持っていない可能性が高くなるということだ。

そこで登場するのがGoGoGrandparentだ。この会社は、Y Combinatorの2016年夏のクラス出身だが、そのミッションとはスマホを持っていない人々でも、Uberの様なオンデマンドサービスを使用できる方法を開発することだ。

この会社が設立に至った経緯はなかなか面白い。共同設立者の1人であるJustin Booogaardは祖母と一緒に住んでいた。祖母は彼がUberをよく使うのを見ており、どうやったら自分も使えるのかを聞いてきた。Justinが、車を呼ぶにはスマホが必要だと教えると、彼女は自分のような人でもUberが使えるような会社を作ってくれと言ったのだ。
 Justinと共同設立者のDavid Lungはそのアイディアを気に入ったが、まずそのアイディアをより公平に検討してみようと考えた。結局のところ、おばあちゃんというのはあなたのすることならなんでも自動的に気に入ってしまうものだからだ。そこで彼らは架空の会社からJustinの祖母に手紙を送りつけ、固定電話や役立たずの携帯からでも、その会社に電話すればUberの配車を手配してくれるというサービスを宣伝した。祖母は実際試してみて、そのサービスがとても気に入り、GoGoGrandparentが誕生した、という訳だ。
面白いのは、このビジネスにおいて、今でも手紙が重要な役割を果たしていることだ。同社によると、手紙というのは古い年代の人々と連絡を取るには素晴らしい方法で、GoGoGrandparentが前週比20%の成長を達成する手助けとなっている。

 

The company can also send texts to loved ones with the status of riders.

移動中の状況を家族にテキストで知らせることも出来る

会社設立当初は、JustinとDavidは文字通りホットラインを設置し、電話を受け付け自分たちのスマホでUberの配車を手配していたが、この方法では今後規模を拡大できないことは明白だった。そこで彼らはTwilioを使って、自動電話サービスを構築した。

まず、オペレーターと話をしてクレジットカードと住所を渡す。そして、もう一度電話した際に全自動のサービスに入り、1を押すと家にお迎えが来る。同社はUberに配車を依頼し、顧客は運転手にどこに行きたいか伝えれば良い。もし、家以外の場所でピックアップして貰いたければ、同社のホットラインに電話して人間のオペレーターと話が出来るようにリクエストすれば良い。システムは前に顧客を降ろした場所を覚えているので、そこをピックアップポイントとしてリクエスト出来る。

GoGoGrandparentは1回の乗車につき13%のコミッションを徴収し、バックエンドのコストをカバーする為の1.80ドルが別途必要だ。同社によると1回の乗車にかかる手数料の合計は平均で大体2.50ドルほどだ。確かに、自分でUberを呼ぶよりは高くつくが、それで移動性を確保できるのであればお安いものだとも言える。

しかしながら、Uberがその気になればこの様なシステムを自分で組み込んでGoGoGrandparentを廃業に追い込むことなど一夜にして出来そうなものだが、なぜそうしないのだろうか。Booogaardの説明によれば、実際彼等はライドシェア専門の会社とこの件について話し合ったそうだが、そこで耳にしたのはこの様な「古い」タイプの人々はUberの顧客中たった3%を占めるに過ぎないということだ。つまりは、Uberは「収穫しやすい果実」に注力し、GoGoGrandparentがUberの為に重労働をしてくれるなら、それは結構なことだと考えているのだ。その間Uberはスマホ世代のさらなる顧客の開拓に精を出すという訳だ。

それでは、同社は将来をどの様に考えているのだろうか。創業者の考えによれば、最終的には同社は非営利団体や市政と組んで、このサービスを設備的に恵まれない人々、つまり必ずしも年寄りではないがスマホを買う余裕のない人々、に提供して行きたいと考えている。また、同社はこのサービスが現在ほとんどの大都市で目にする、いわゆる補助的交通手段(訳注、高齢者や障害者のための予約制交通システム)の代替になるのではないかと考えている。そのような補助的な交通手段は高くつき効率的とは言えないからだ。

最後に、同社は最終的には顧客に他のサービスも提供したいと考えている。それは他のオンデマンドアプリへのアクセス、例えばPostmatesやInstacartかもしれないし家の雑事をこなすHandy、または介護サービスかもしれない。こう言ったサービスを追加することでGoGoGrandparentは収入面で多様化し多くのビジネスチャンスにも恵まれるし、多額の紹介料を手にする可能性もある。

GoGoGrandparentの利用はウェブサイトでサインアップするか電話、(855) 464-6872、へどうぞ。このサービスについて愛する家族に知らせてあげてください、もちろん手紙で

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(翻訳:Tsubouchi)

IoTの力を引き出すフォグコンピューティングとは

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【編集部注】著者のBen Dicksonはソフトウェアエンジニア兼フリーランスライターである。ビジネス、技術、政治について定期的に寄稿している。

IoT(Internet of Things)がIoE(Internet of Everything)へと進化し、実質的にあらゆる領域へ侵入するにつれ、高速なデータ処理と分析、そして短い応答時間の必要性がこれまで以上に高まっている。こうした要件を満たすことは、現在の集中型のクラウド(雲)ベースのモデルで支えられたIoTシステムでは困難なことも多い。こうしたことを容易にするのがフォグ(霧)コンピューティングである。その分散型のアーキテクチャパターンはコンピューティングリソースとアプリケーションサービスをサービスのエッジ(界面)に近付ける。そのエッジこそデータソースからクラウドへの連続体の間で最も理にかなった効率的な場所である。

Ciscoによって提唱されたフォグコンピューティングという用語は、クラウドコンピューティングの利点とパワーを、データが作られ適用される場所へ近付ける必要性を指したものである。フォグコンピューティングは、IoT業界の主要な関心事であるセキュリティを向上させながら、処理および分析のためにクラウドに転送されるデータの量を削減する。

ではクラウドからフォグへの移行が、IoT業界の現在そして未来の挑戦を如何に助けるかを以下に解説しよう。

クラウドの問題

IoTの爆発的な成長は、実際の物体やオペレーションテクノロジー(OT)が、分析や機械学習のアプリケーションと結びつけくことに負っている。そうしたアプリケーションはデバイスの生成したデータから少しずつ洞察を収集し、人間が介在することなく「スマート」な意思決定をデバイスが行えるようにする。現在そのようなリソースは、主に計算パワーおよび記憶容量を所有するクラウドサービスプロバイダによって提供されている。

しかしそのパワーにもかかわらず、クラウドモデルは、オペレーションの時間制約が厳しかったり、インターネット接続が悪い環境に適用することはできない。これは、ミリ秒の遅れが致命的な結果を招く、遠隔医療や患者のケアなどのシナリオでは特に課題となる。同じことは、車両同士のコミュニケーションにも適用される、衝突事故を回避するための機構は、クラウドサーバーへのラウンドトリップに起因する遅延を許容できない。クラウドパラダイムは、何マイルも離れた場所から脳が手足に司令をだすようなものである。迅速な反射を必要とする場所では役に立たない。

クラウドパラダイムは、何マイルも離れた場所から脳が手足に司令をだすようなものである。

またそれ以上に、クラウドに接続されているすべてのデバイスからインターネットを介して生データを送信することには、プライバシー、セキュリティ、そして法的懸念が考えられる。特に異なる国家間のそれぞれの規制に関係する、取り扱いに注意を要するデータを扱う場合にはそれが問題となる 。

フォグの位置付けは完璧

IoTノードは作用する場所の近くに置かれているが、現状では分析や機械学習をこなすためのリソースを保有していない。一方クラウドサーバーは、パワーは持つものの、適切な時間内にデータを処理したり応答したりするためにはあまりにも遠く離れすぎている。

デバイスの配置されたエッジ近くで、クラウド機能を模倣するための十分な計算、ストレージ、そして通信リソースを持ち、局所的なデータ処理と素早い応答を返すことのできるフォグレイヤーは、完璧な接合場所である。

IDCによる調査によれば、2020年までに世界のデータの10パーセントは、エッジデバイスによって生成されることが推定されている。これは、低レイテンシと同時に総合的なインテリジェンスを提供する、効率的なフォグコンピューティングソリューションの必要性を促す。

フォグコンピューティングには支持母体がある。2015年11月に設立されたOpenFogコンソーシアムがそれで、その使命はフォグコンピューティングアーキテクチャにおける業界や学術のリーダーシップをまとめることである。コンソーシアムは、開発者やITチームがフォグコンピューティングの真の価値を理解するために役立つリファレンスアーキテクチャ、ガイド、サンプルそしてSDKを提供する。

すでに、Cisco、DellそしてIntelといった主要ハードウェアメーカーたちが、フォグコンピューティングをサポートする、IoTゲートウェイやルータを提供しているIoT分析や機械学習のベンダーたちと提携している。その例の1つが、最近行われたCiscoによるIoT分析会社ParStreamIoTプラットフォームプロバイダJasperの買収である。これによりネットワーク業界の巨人はそのネットワーク機器により良い計算能力を埋め込むことができ、フォグコンピューティングが最も重要なエンタープライズITマーケットにおける大きなシェアを得ることができるようになる。

分析ソフトウェア会社も製品を拡充し、エッジコンピューティングのための新しいツールを開発しいる。ApacheのSparkは、Hadoopエコシステム(エッジが生成するデータのリアルタイム処理に適している)上に構築されたデータ処理フレームワークの一例である。

クラウドによって得られた洞察は、フォグレイヤーでのポリシーや機能の、更新や微調整を助けることができる。

IoT業界の他の主要なプレーヤーたちもまた、フォグコンピューティングの成長に賭けている。最先端のIoTクラウドプラットフォームの1つであるAzure IoTを擁するMicrosoftは、フォグコンピューティングでの優位性の確保を目指して、そのWidows 10 IoTを、IoTゲートウェイ機器や、フォグコンピューティングの中核を担うその他のハイエンドエッジデバイスのためのOSの選択肢としてプッシュしている。

フォグはクラウドを不要にするのか?

フォグコンピューティングは効率を改善し、処理のためにクラウドに送られるデータ量を削減する。しかしそれは、クラウドを補完するために存在するもので、置き換えるものではない。

クラウドはIoTサイクルにおける適切な役割を担い続ける。実際に、フォグコンピューティングがエッジ側で短期分析の負担を引き受けることにより、クラウドリソースは、特に履歴データや膨大なデータセットが関わるような、より重いタスクをこなすために使われるようになる。クラウドによって得られた洞察は、フォグレイヤーでのポリシーや機能の、更新や微調整を助けることができる。

そして、集中化され非常に効率的なクラウドのコンピューティングインフラストラクチャが、パフォーマンス、スケーラビリティそしてコストの点において、分散システムをしのぐ多くの事例も、まだみることができる。これには、広く分散したソースから得られるデータを解析する必要がある環境などが含まれる。

フォグとクラウドコンピューティングの組み合わせこそが、特に企業におけるIoTの適用を加速するものなのだ。

フォグコンピューティングのユースケースは?

フォグコンピューティングの適用対象は多い、それは特に各産業環境におけるIoTエコシステムの重要な部分を支える。

フォグコンピューティングのパワーのおかげで、ニューヨークに拠点を置く再生可能エネルギー会社Envisionは、運用する風力タービンの巨大ネットワークの効率の15%向上を達成することができた。

同社は、管理する2万基のタービンにインストールされた300万個のセンサによって生成される20テラバイトのデータを一度に処理している。エッジ側に計算を移管することによって、Envisionはデータ解析時間を10分からたったの数秒に短縮することができ、これにより彼らは対応可能な洞察と重要なビジネス上の利便性を手に入れることができた。

IoTの会社Plat Oneは、同社が管理する100万個以上のセンサーからのデータ処理を改善するために、フォグコンピューティングを使っている別の事例である。同社は、スマート照明、駐車場、港、および輸送の管理、ならびに5万台のコーヒーマシンのネットワークを含む膨大な数のセンサーのリアルタイム計測サービスを提供するためにParStreamプラットフォームを利用している。

フォグコンピューティングは、スマートシティにもいくつかのユースケースを持っている。カリフォルニア州パロアルトでは 連携する車両群と信号機を統合する300万ドルのプロジェクトが進行している、うまくいけば他の車両のいない交差点で理由もなく待たされることはなくなる未来がやってくるだろう。

走行時には、運転パターンからリアルタイムに分析と判断を提供することによって、半自動運転車のドライバーたちの注意力の低下や、進行方向が曲がることを防ぐことを助ける。

また、警察の計器盤やビデオカメラから生成される音声やビデオ記録の膨大な転送データ量を削減することも可能である。エッジコンピューティング機能を搭載したカメラは、リアルタイムでフィードされる動画を分析し、必要なときに関連するデータのみをクラウドに送信する。

フォグコンピューティングの未来とは何か?

現在フォグコンピューティングは、その利用と重要性がIoTの拡大に伴って成長を続け、新しい領域を広げていく傾向にある。安価で低消費電力の処理装置とストレージがより多く利用できるようになれば、計算がよりエッジに近付いて、データを生成しているデバイスの中に浸透し、デバイス連携によるインテリジェンスと対話による大いなる可能性の誕生をも期待することが可能になる。データを記録するだけのセンサーは、やがて過去のものとなるだろう。

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(翻訳:Sako)

クレイジーなVRゲームの未来に賭けるOwlchemy Labsが$5Mを調達、「手でつかめる」VRを目指す

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Owlchemy Labsは、目で見るだけでなく手でつかめるVRを作ろうとしている。

このオースチンのVRスタジオは、Qualcomm Ventures率いるシリーズAにより500万ドルを最近調達した。このラウンドにはHTC, The VR Fund, Colopl Next, そしてCapital Factoryが参加した。

2010年にスタートしたこのVRスタジオはこれまで、VRゲームJob SimulatorでVR界隈にその名を知られていた。これはHTC Viveを予約購入した人に提供されていたが、PlayStation VRとOculus Touchでも最初から提供される。この変てこりんな、あり得ない未来を描いたゲームでは、プレーヤーが、職場でコーヒーカップをひっくり返したり、コンピューターの電源を入れたり、コピーを取ったりする。…と書くとつまんなそうだが、実際にやってみると、相当おもしろい。

Owlchemy LabsのCEO Alex Schwartzが、資金調達に際しての声明文でこう言っている: “何年も前からVRに深い関心と情熱を抱(いだ)いていた。新しい仮想世界をデザインしていく仕事の最先端にいることは、チーム全員の夢だった。VRは設計にも開発にも困難な課題がたくさんあるが、われわれはそれらの一部を解決してきた。今回得られた資金により、これまで学んだことをたくさんの長編ゲームに投入していきたい”。

同社の16名のチームは、ユーザーがVRとどのように対話するのかを、多くの実験によって確認しようとしている。それは、入力的な対話の動きを追跡し、仲間を誘う動き、そして彼らが忘我の境地になっていく過程の、細部を検証する作業だ。

同社のブログ記事は曰く: “VRをずっとやってきて分かったのは、人間が自分の手で仮想世界と直接に対話することは、VRをおもしろくするための必須要件であるだけではなく、今後のコンテンツをものすごく豊富多様にする要素だ”。

Owlchemy Labsは、今回得られた資金で満足することはないだろう。相変わらず、けったいなコンテンツの制作に邁進するだけでなく、もっとクールなプロジェクトの計画もある。同社は最近、マスコミにもかなり取り上げられた。それは、はちゃめちゃテレビ番組Rick and MortyをVR化する、と発表したからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ホワイトハウスが人工知能に関する情報を一般募集、そしてIBMの提出物は優秀なAI入門書だ

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人工知能の分野は今やとても大きいし、ありうるアプリケーションの種類もきわめて多様だ。その全体を簡単に説明することはほぼ不可能だが、IBMは挑戦し、そして成功したようだ。。

6月にホワイトハウスは、AIの可能性とリスクに関する情報を得るために、公式の情報リクエスト(request for information, RFI)を公布した

その要約には、こう書かれている: “AIの広義の受益者であるアメリカ人、すなわち一般消費者や学術研究部門、各産業の研究者たち、民間企業、慈善団体などから寄せられる見解は、多様な分野における現在と未来のAIのニーズへの理解を知らしめるために重要である”。

この要約に続いて、議論の対象とすべき個別の話題(トピック)のリストがある。それらは、未来のAIの公益や乱用に結びつきうるテーマの数々だ。

IBMはこの情報リクエストに応じて、同社としての見解を述べた。各トピック(WHからの質問項目)に対して、しっかりとした説明が書かれているから、これを読み終えたあなたは、仲間内でいちばんのAI通になるだろう。まあ、仲間の数にもよるけどね。

それをここで要約することは不可能だ。量が多すぎるが、各節はきわめて適切で、論争的ではなく、あくまでも教示的な内容だ。ちょっとだけ、引用しよう:

この惑星上の生命を支えている重要なシステムの、曖昧性や非効率の多くを排除できるものと信ずる。そしてAIシステムが、これらの意欲的な目標の達成を助けるツールであると信ずる。

それは基本的に楽観的な展望であり、当然ながらかなりIBM寄りだ。しかしそれでもなお、AIの現状と未来とリスクを理解するための読み物として、優れている。そして、“see more here”のリンクを飛ばしてはいけない。そこから先が、いちばん重要だから。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VRコンテンツに特化した広告ネットワーク「VRise Ad」、クローズドベータテストを開始

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盛り上がりを見せるVR市場にまた新たなスタートアップのサービスが登場した。VRizeは8月4日より、VR内動画広告ネットワーク「VRize Ad」のクローズドベータテストを開始する。申し込みは同社のウェブサイトから行えるが、利用は一部の開発者に限定する見込みだ。正式版のリリースは2016年秋の予定だ。

VR内動画広告ネットワーク——ちょっと聞き慣れないかも知れないが、これはVR向けのコンテンツ内で表示される動画広告のアドネットワークだ。VRアプリを制作する開発者がVRize Adの提供するSDKを組み込むことで動画広告の配信が可能になる。海外を見ると、アプリ向けリワード広告を手がけるTapjoyの元CEOであるMihir Shah氏らが手がけるImmersvなどが同種のサービスを展開しているが、VRize代表取締役の正田英之氏によると、国内企業としては初のプロダクトになるという。

VRise Adで提供する広告は大きく3つ。1つは360度動画を使った広告、もう1つはVR空間にバーチャルな部屋を作り、その中に巨大スクリーンを設置。そのスクリーン上で広告を配信するテレビCM風のもの。そして最後はCGのオブジェクトをVR空間上で動かして表示するものだ。

特に最後の広告については自分で書いていても説明が難しいのだけれども、ゲームアプリなどで言うところの、ステージクリアごとに画面にポップアップ表示される「インタースティシャル広告」の3DCG版といったような印象を受ける。僕がデモで見せてもらったのは、スポーツの360度動画を再生する際、清涼飲料水とそのロゴの3DCGがどこからか目の前に飛んできて目の前に数秒表示され、消えるというものだった。

VRコンテンツに関しては言葉で表現するのは難しいけれども、テレビのCMなんかよりも短く(2、3秒)、かつ目の前に迫ってくる面白さもあって(これは慣れの問題もあるかもしれない)、ユーザーとして決して受け入れにくいモノではないと感じた。正田氏に聞くと、VRiseでもこの最後の広告がビジネスの中心になると考えているそう。今後はアドネットワークのシステム開発だけでなく、CGの制作も請け負う予定だとしている。

VRiseは2016年2月の設立。代表の正田氏は、以前にInstagramを活用したフリマアプリの「10sec」を米国で展開していた人物。独自のフリマアプリなども開発していたが、2015年秋にサービスをクローズ。当時からのメンバーであるCTOの露木雅氏と新会社を立ち上げて二度目のチャレンジとしてVR広告に取り組んでいる。今春にエンジェル複数人から資金を調達。6月に独立系ベンチャーキャピタルのTLM、East Venturesから資金を調達している(いずれも金額、出資比率等非公開だが合計で数千万円前半と見られる)。

VRise代表取締役の正田英之氏(左)と、CTOの

VRise代表取締役の正田英之氏(左)と、共同創業者でCTOの露木雅氏(右)

Microsoft、Excel APIを一般公開―クラウドに保管された表計算データを簡単に参照できる

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今日(米国時間8/3)、Microsoftは比較的短いベータテストの後、Excel APIの一般公開を発表した。これによりデベロッパーはプログラム内からOffice 365のExcelのデータを参照し、計算処理やダッシュボードなどを実現できる。

Microsoftが最初にAPIを紹介したのは昨年11月で、続いてこの3月のBuildカンファレンスでAPIを利用してOffice 365を単なるアプリというより、デベロッパーにとって便利なプラットフォームに変身させる計画を発表した。他のOffice 365 APIと同様、今回のExcel APIも公式のクラウドAPIエンド・ポイントであるMicrosoft Graphにアクセスすることによって利用できる。

MicrosoftがExcel APIを公開しことは、多くのビジネス・ユーザーが(不適切な場合も多いのだが)大量のデータをExcelに保管しているという現実をMicrosoftが密かに認めたということでもある。デベロッパーはAPIを使って参照したExcelのデータにOffice 365の外で独自の処理を加えることができる。またダッシュボードやレポートを作成するためにExcelのシートを参照できる。

APIによるアクセスをさらに簡単にするためにMicrosoftは2つのサードパーティーのサービスと提携した。ZapierのユーザーはExcel for Office 365を参照するアプリを簡単に作成できる。小規模から中規模向けのビジネス管理サービス、Sagの場合、会計処理にExcelを統合的に利用できるようになった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

IntelがVRヘッドセット用の奥行きセンサーアタッチメントをちらりと見せる、意外と重要なユースケースあり

Intelのエンジニアが今日(米国時間8/3)ツイートした写真は、新しいVRセンサーのプロトタイプで、それは来月後半に行われる同社のデベロッパーカンファレンスで大きな役割を演じる、という。

その後ツイートは削除されたが、Intelのプロトタイピング担当上級エンジニアDimitri Diakopoulosによるとそれは、奥行きセンサーのアタッチメントをHTC Viveに取り付けた状態だそうだ。

このセンサーアタッチメントは少なくとも外見的には、前のIntelのデベロッパーキットRealSenseにどことなく似ていて、それは左右対称形のデザインの中にヘッドセットの前方を感知する6つのセンサーが収められていた。

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[ツイート訳: 工業デザインチームの力作だ]

Upload VRとの会話でDiakopoulosは、仮想現実ヘッドセットHTC Vive専用に設計されたその不思議なデバイスの、ありえるユースケースを語っている。

彼によるとこれは、手の動きを追ったり、赤外線追尾方式のコントローラとしても使える。このシステムはまた、環境をリアルタイムでスキャンできる。障害物を自動的に検出する可能性もある。

現実の物や空間ではなく、VRで奥行きセンサーを使う、というアイデアはおもしろい。HTC Viveにはすでにヘッドセットに小型カメラが組み込まれていて、すぐ近くにあるものを半透明の2D画像で表す。でもこのような奥行きセンサーがあれば、VRの中にAR的な体験を導入できるだろう。

もっと明白なユースケースは、入力の追跡だ。Leap Motionのデベロッパーキットは、そのセンサーをデベロッパーがViveにマウントしてユーザーの手の動きを追跡する。でもそれは奥行きセンサーではないから、手がユーザーの真ん前にあるときしか、うまく動作しない。

これまでは、RealSenseデベロッパーキット以外には、Intelからの重点的なVR/AR技術はほとんどなかった。だから、消費者用のヘッドマウントディスプレイにこんなセンサーが急に登場してきたこと自体、とても興味深い。

Intelにコメントを求めているが、まだ彼らは無言だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

オンライン印刷のラクスル、フィデリティ投信などから20.5億円を調達——既存事業のほか海外展開も強化

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏(写真は2015年3月撮影)

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏(写真は2015年3月撮影)

オンライン印刷サービス「ラクスル」などを手がけるラクスル。2015年2月に40億円の大型調達を実施した同社が8月4日、新たにFidelity Investments(フィデリティ投信)、日本政策投資銀行(いずれも新規株主)のほか、オプト、グローバル・ブレイン、GMOベンチャーパートナーズ、Global Catalyst Partners(いずれも既存株主)から第三者割当増資により20億5000万円の資金調達を実施したことを発表した。

ラクスルでは今回調達した資金をもとに、主力である印刷事業に加えて、2015年12月にスタートしたCtoC型配送サービスの「ハコベル」事業(詳細はこちら)の2つの事業領域の成長に向け、マーケティング投資、人員拡充、システム投資を進める。加えて、海外投資と新規事業への投資も進めるとしている。

またラクスルは2015年11月にインドネシアで同様のサービスを手がけるPrinzioに出資しているが、これに続いて、インドのInkmonkへの投資も実施しているという。両社に対しては日本のナレッジを共有するほか、ベトナムや中国に持つオペレーション部隊のシェア、システムAPIの提供などを行い、事業面でのバックアップを行っているという。

ラクスルの創業は2009年。印刷所の非稼働時間を利用して、安価な印刷サービスを展開。これに加えて中小企業向けにチラシポスティングなどのマーケティング支援、前述のハコベルによる配送サービスなどを手がけている。7月末時点での中小企業ユーザーは30万アカウント、売上高は非公開だが3年間で50倍に成長した。またハコベルは現在2000台のトラックを登録しており、マーケティング支援事業と合わせて急成長しているという。

以前の資金調達時、ラクスル代表取締役の松本恭攝(やすかね)氏は「『投資をすれば拡大する』ということが見えてきたので、小さく上場するより赤字を掘ってでもより成長しようと考えた」といった話をしていた。今回の調達について尋ねたところ、「掘った後の大きな利益成長、Jカーブ(事業開始からしばらくの間は投資フェーズで赤字になるが、その後は投資した分大きく成長していくというスタートアップの成長モデル)を実現する。むやみに掘ってるわけではなく、資本効率の良い範囲で、最大の投資をしてる」という回答を得た。また今後の上場に関しては「ノーコメント」とのこと。

なおフィデリティ投信は年金基金や機関投資家の資金をもとに、上場株や債権などに投資を実施している。また傘下のベンチャーキャピタルであるEight Roads Venturesの日本チームがUI/UX改善ソリューションを手がけるKAIZEN Platformやグルメサイト運営のRettyなど国内スタートアップに投資を行ってきているが(厳密にはKAIZENは米国登記)、フィデリティ投信本体での国内スタートアップへの投資は公表されている限りこれが初めて。CrunchBaseにもあるが、フィデリティではこれまでSpotifyやUber、Airbnb、SnapChatなどへの出資を行っている。

スマートウォッチのiBeatが150万ドルを調達、「身につけたくなる」心拍計の提供を目指す

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サンフランシスコのスタートアップiBeatがスマートウォッチの製造に向けて150万ドルのシード資金を調達した。このスマートウォッチは着用者の心拍数を常時モニタするもので、心拍が検出されなくなると着用者の無事を確認し、必要に応じて近親者と緊急通報用番号に通知してくれる。

ファウンダー兼CEOのRyan Howardは、電子カルテ関連ベンチャーPractice Fusionのファウンダーで前CEOでもある。彼は、まだ40歳ほどだった友人を心停止で亡くしたことがiBeatを設立する動機になったと語る。

Howardによれば、iBeatは典型的なスマートウォッチや心拍・脈拍計アプリを超えた測定能力を備え、フィットネス用リストバンドとは異なり、昼夜問わず一日中快適に身につけられるように開発したという。

iBeatは1秒間に2回、パルスオキシメトリ(血中酸素濃度)のほか、心拍間隔やその他の変動などの「心臓の働き」を測定する。しかもこのウォッチはスマートフォンから独立して動作するようになっている。

また、iBeatでは着用者に関する医療データの一覧を表示し、そのデータを緊急通報の担当者や救急医療士を含め、処置に関わる医療担当者に役立ててもらうことも可能だ。

iBeatウォッチを通じて表示・送信されるデータは、アレルギーや処方薬、深刻な既往症などの医療情報を金属製のブレスレットに刻印して身につけておくものと感覚が近いかもしれない。

着用者がケガや命に関わるような状況にさらされた際には、iBeatの画面をスワイプするだけで近親者と医者に知らせることもできる。

iBeatは、Life AlertやPhilips社のLifelineComfort Keepers社のSafetyChoiceなどの個人用緊急応答システム(PERS)に挑み、あるいはそれらに取って代わるだろうとHowardは語る。

PERS機器の多くは、しゃれたウェアラブルではなく、見かけも着け心地も医療機器めいている。Howardは「身につけていても人間としての尊厳が失われないような製品を市場に提供したいと願っていました」という。

iBeatのユーザーエクスペリエンス研究者は、本来PERS機器を身につけるべき人々が、まるで病人になった気がする、病人のように見えるという理由で機器を着用したがらないことを発見した。

そこで同社はサンフランシスコのデザイン事務所Ammunition Groupと工業デザイン面で協働することになった。同事務所はビーツ ヘッドホンの立役者で、iBeatに出資もしている。

iBeatのシードラウンドを率いたのはMaveronSubtraction Capital、および Correlation Venturesだ。その他投資家にはAli & Hadi Partovi、Russell Okung(現役NFL選手)、Henry Kravis(KKR共同設立者)、Band of Angelsなどが名前を連ねる。

CEOであるHowardは、今回の資金は研究開発のほか、iBeatスマートウォッチの初回製造およびマーケティングに使う予定だと述べた。現在従業員12人を抱える同社では、クラウドファンディングのキャンペーンを実施してiBeatを広めると同時に、運用資金の追加調達を行う意向だ。

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(翻訳:Ayako Teranishi)

アプリをストリーミングしてモバイルコンテンツを利用する未来

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【編集部注】執筆者のWally Nguyenは、mNectarのCEO。

消費者は、映画やテレビ番組、音楽、ビデオゲームなどのコンテンツをストリーミング形式で楽しむのに何の問題も持っていない。実際、Ciscoの予測によれば、2020年までに世界のモバイルデータのトラフィックのうち75%がビデオに関連したものになる。

しかし、モバイル端末上でアプリをストリーミングするという考え方は、好むと好まざるにかかわらず、ほとんど進展していない。2008年にAppleのApp Storeが登場して以降、私たちはあるコンテンツを利用するために、対応したアプリをダウンロードしなければならないという状況に慣れてしまっていた。というより単にそれ以外の方法がないのだ。

しかし、消費者は段々とアプリをダウンロードするのにうんざりし始めている。彼らはコンテンツやサービスを即座に利用したいと考えており、ひとつの機能やサービスしか提供できないアプリをダウンロードするのに3、4分も待ちたくないのだ。例えば、チャットボットの盛り上がりは、App Storeの壁を超えてアプリの機能を使いたいと考える人たちに起因していると見ることができる。また、消費者のフラストレーションを理解したGoogleは、Android Instant Appsを発表し、アプリ全体をダウンロードせず、ある機能を担う一部分だけにアクセスできるようにしようとしている。

Android Instant Appが公言しているように、あるアプリの一部を利用できるだけでなく、もう二度とアプリをダウンロード、アップデート、そして削除する必要がなくなり、リンクをクリックすればすぐにアプリを使ったときと同じ機能にアクセスできるような状況を想像してみてほしい。

アプリのストリーミングというコンセプトは比較的新しいが、ダウンロードという行為が新たな発見やアクセスを阻害しなくなることで、モバイルコンテンツやサービスと私たちの関わり方をすっかり変えてしまう可能性を秘めている。そして、以下がアプリストリーミングの恩恵を受けると思われる5つの業界だ。

ヘルスケア

モバイルヘルスケアアプリで、医療従事者と患者のコミュニケーションを簡素化できるということに疑いの余地はないが、これまでモバイルヘルスケア業界は、患者の個人情報や、セキュリティ、秘密保持などをどう扱うかという難しい問題に悩まされてきた。そして、言うまでもなく患者側の最大の不安は、自分たちの体に関する情報が盗まれてしまうということだ。

アプリの利用について、医者や看護師は、自分たちのスマートフォンが、持ち運びができてしまう患者情報へのアクセスポイントとなることを恐れている。もしも、医療従事者が患者とのコミュニケーションのためにアプリをダウンロードする代わりに、安全でユニークなセッションを通じてアプリをストリーミングし、必要な情報が共有できた段階でセッションが終了できるとしたらどうだろうか? 医者は、自分たちのスマートフォンに患者の情報をダウンロードしたり保存したりしなくてよくなり、患者も、セキュリティやプライバシーを犠牲にすることなく必要なケアを受けられると安心できる。

カスタマーサービス

様々な企業が、自分たちのウェブサイトやアプリ上での顧客経験を解読するのにかなり苦労している。そして、消費者が利用している種々のデバイスがさらにその状況を悪化させているのだ。多くの人員を抱える、専門のカスタマーサービスチームが、たくさんの時間とリソースを割いて、エラーやインターフェイス上の問題の解決にあたっている。その中でも1番大変なのが、問題を再現して、iPhone、Samsung Galaxy、Windows Surfaceなど、ユーザーが利用しているそれぞれの端末上で、問題がどのように表示されるのかを確認することだ。

消費者はアプリをダウンロードするのにうんざりし始めている。

大企業のカスタマーサービスチームは、問題を再現するにあたって、顧客と電話をしながら複数のデバイスを行ったり来たりしなければならない。しかし、アプリストリーミングによって、このカスタマーサービスの悪夢が簡単に解決されるかもしれない。物理デバイス上で問題を再現する代わりに、アプリストリーミングを使うことで、カスタマーサービスの担当者がデバイスの種類を選べば、即座に問題を再現でき、素早く問題の内容把握や解決ができるようになるかもしれないのだ。

旅行

スマートフォンを使って、旅行関連の価格比較サイトを見ながら、航空会社のウェブサイトに進んで、いくつかの旅程を試してみたり、車やホテルなどの予約サイトを見みたりしたことがある人は、モバイル旅行業界にもディスラプションが必要だと感じていることだろう。休暇を計画するのに、既に労働集約的な検索作業を、それぞれのサービス毎に違うアプリを使って行いたいと思う人はいないだろう。そして、私と同じような考えの人であれば、特定のブランドやサービスに愛着をもっていないため、旅行関連アプリをダウンロードしても、大体の場合すぐに削除してしまうだろう

アプリストリーミングを利用すれば、旅行業界につきものの無駄や反復の大部分を削減することができる。例えば、3つの航空券検索アプリをストリーミングして、どのアプリが1番お買い得な情報を掲載しているかチェックするとしよう。どの航空券にするか決めたら、そのリンクから直接航空会社のアプリへ飛べるようになっており、さらには予約しようとした航空券が既にカートに入った状態で、予め保存された個人情報も再度入力する必要がない。アプリストリーミングによって、旅行者はどのアプリが1番良いかではなく、どの商品が1番お得かということに集中することができる。

モバイル決済

昨年起きたVenmoのハッキング被害などの大きなニュースが発表される前から、セキュリティに関する不安が最大の障害となり、消費者はモバイル決済アプリの導入には慎重だった。ちょうど前述のヘルスケア業界の例のように、信頼はモバイル決済アプリと消費者の間に欠かせない要素となっている。しかし、決済の認証情報を頼りにするアプリが無防備な状態でスマートフォン上にあっては、消費者との信頼関係を構築するのは難しい。

誤解しないでほしいのは、モバイル決済における改善点のほとんどは、本人確認や認証技術に関連したものだ。しかし、その域を超えて、もしも私たちの日々の決済情報がアプリ上に記録されず、モバイルショッピングサイトでの支払のように、セキュアなセッションを通じて行われるとすれば、モバイル決済アプリはさらなる進化を遂げることになるだろう。さらに、アプリストリーミングで相互運用性の問題も軽減することが期待されている。私はVenmoを使っているが、友人はWells Frago SurePayを使っていて、公共の駐車場を使うには街が運営するアプリを利用しなければならないとする。そこでアプリストリーミングを利用すれば、新たなアプリをダウンロードすることなく、全ての支払や振込を行うことができるのだ。

小売

私は買い物が好きだし、気に入っているブランドも間違いなくたくさんあるが、複数の小売企業のアプリをダウンロードして管理したいとは思わない。RetailMeNotが昨年行った調査でも同様の結果がでており、スマートフォンでオンラインショッピングを行う消費者の60%が、2つ以下しか特定の小売企業のアプリをインストールしておらず、21%の消費者がそのようなアプリを全く利用していない。

消費者は、買い物やウィンドウショッピングといった一時的な行為に対して、アプリのように常在するものを使いたくないのではないかと私は考えている。つまり、アプリのダウンロードはコミットメントの度合いが高過ぎるのだ。買い物をする人は、スマートフォンの容量をとってしまうアプリをダウンロードしなくていいとなれば、小売企業が提供するモバイル体験に対してもっとオープンになるかもしれない。

また、アプリストリーミングを使えば、クーポンや店内限定の賞品などの特典はそのままで、今日の小売アプリにつきもののめんどくささを省くことができる。そうすることで、異なるお店間をスムーズに移動しながら、全ての小売アプリの特典を獲得することができ、15%の割引のために4、5分待つということもなくなる。

アプリストリーミングの影響は、上記の業界だけに限ったものではないものの、これら5つの業界におけるモバイルアプリ分野での課題を考慮すると、彼らが早い段階からアプリストリーミングの後押しをする存在になると私は考えている。

もっと広い意味で言えば、アプリストリーミングは、7年前にAppleがつくったモバイル体験の仕組み全体に変革をもたらす可能性を持っている。開発者が1人のユーザーを「獲得する」(もしくはアプリをダウンロードさせる)のに、5〜7ドルのコストがかかることもある。しかし、アプリをダウンロード後に一度利用して削除するか、その後二度と使わないといったことが普通に起きている中、ユーザー1人当たりにかかっている5〜7ドルのコストは完全に無駄になってしまっている。

そのため、この状況は長期的には持続することができない。アプリストリーミングが、アプリインストールモデルをこじ開けることで、アプリ内のコンテンツやサービスへモバイルウェブサイトのようにアクセスできるようになるかもしれない。そして、最終的にこの動きが、デジタル経済の中にいる全ての業界の人々のためになることだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

SoftbankのPepperロボットがアメリカのハイテク製品ショップで販売員のアルバイト

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アジア各地の小売店にPepperが進出中だ。日本のファーストフード店ではレジ係をしているのが一例だ。Softbankのこの人間型ロボットはアメリカでは職を見つけるのに苦労していた。しかしアメリカでのリリースを年内に控え(最初の海外での販売は台湾)、あちこちでPepperを目にする機会が増えそうだ。

実際、Pepperはベイエリアのハイテク製品のチェーン店、b8taで短期のアルバイトをするという。アメリカでロボット販売員が顧客への挨拶を担当するというのはこのデモが最初らしい。 b8taのフラグシップ、パロアルト店では 8月11日から1週間Pepperを雇う。4フィート(1.2m)のロボットはピザハットのレジ係より一段と目立つ存在なりそうだ。

Softbankでは同時にデベロッパー・ワークショップも開催する。5月の I/Oでスタートしたデベロッパー向けのポータルにさらに多数のプログラマーを参加させるのが狙いだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Comma.ai、高速道路自動走行のデータをオープンソースで公開―低価格の自動運転車に道

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George Hotz(Geohotz)が創立したスタートアップ、comma.aiは既存の自動車に既存のパーツを組み合わせることによって比較的低価格で自動運転車を製作できることを実証した。そのcomma.aiが7時間25分にわたる高速道路での自動運転で収集した全データをオープンソースで公開した。

地味なニュースに思えるかもしれないがそうではない。すくなくとも現在までに公開された高速道路の自動運転のデータと比べれば画期的だ。

comma.aiは最初の走行デモを成功させたときにBloombergで大きな記事になった。公開されたのは記事で紹介された自動走行システムを作るために機械学習システムを訓練したデータそのものだという。

Hotzはインタビューに答えて「このプロジェクトを始めたときは自動運転車は考えていなかった。単に機械学習をいろいろ試そうとしただけだった。ところがあたりを見回しても機械学習の実験に適した手頃なデータがなかった」と説明している。

HotzはKITTIのデータセットや最近発表されたさらに詳細なOxford RobotCarデータセットなどいくつかのデータを調べた。しかしこうしたデータ・セットは都市部の交通の実験で、Hotzが必要としていたのは高速道路での自動運転のデータだった。

「現在BloombergやNvidiaの実験を再現するのに適したデータは公開されていない。そこでそういうデータが世界に公開されてもいい時期だと考えた」とHotzは説明する。

もちろんcomma.aiのデータが利用できるからといって、誰でも1998年モデルのFord Tempoを自動運転車に変えることができるわけではない。しかしこのデータは有力なスタート地点を提供する。comma.aiが公開したのは現在取り組んでいる自動運転車のデータではなく、約半年前に行ったテストに関する全データだ。comma.aiのテクノロジーがその後さらに進歩しているのは間違いない。

Hotzは私の取材に対して「公開主のビジネスを危険にさらさずにオープンソース化はできるはずだと信じている。オープンソースでさらに情報を公開するためにも会社が生き延びることが重要だ。こうしたデータが得られるまでには数多くの失敗がある。誰もそういう失敗を繰り返す必要はない」とcomma.aiのデータ公開に関するアプローチを説明した。

Hotzによれば、comma.aiがデータをオープンソース化するのは、ホビイストのコミュニティーがさらに多くの貢献をできるようにするためだという。しかし機械学習システムの訓練に必要な基礎的な運転データの収集に膨大なは時間と資源を必要とする。Hotzはオープンソース・データの例としてDeepDriveを挙げた。これはGrand Theft Auto Vのプラットフォームを用いてリアルな自動運転シミュレーションを行うためのニューラルネットワーク・システムだ。

ホビイストを助けるというのは、才能ある人材を獲得するためのパイプラインを築くことでもある。comma.aiはオープンソース化したデータを用いて誰がどのようにさらなるオープンソース化をしているかモニターできる。comma.aiはもっとも輝かしい人材が誰なのかいち早く知ることができる。

Hotzによればcomma.aiのビジョンはシンプルだ。「われわれは今何をしているのかできるかぎり正確な情報を公開する。それでもスタートアップは〔大組織よりも〕速く、スマートかつ安価に機能できるということを確信している」のだという。

〔日本版〕ジョージ・ホッツは17歳で個人として初めてiPhoneのジェイルブレイクに成功するなど著名なハッカー。オープンソース化された自動運転データは圧縮で40GB(解凍後80GB)のサイズで、Anaconda、TensorFlowなどを必要とするという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

消費者がネット上をあちこち持ち歩ける決済機能付きショッピングカートを提供するShoppableが$3.5Mを調達…今200店が参加、もっと増やしたい

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ちょっと風変わりなeコマースサービスShoppableが、シリーズAで350万ドルを調達した。

ニューヨークを拠点とする同社は、自身が何かを売るというより、Webページやコンテンツのパブリッシャーと消費者を結びつけて、CEOのHeather Marie(上図)が言うところの“shoppable moments, 買える機会”〔仮訳: それを買える状態〕を作り出す。たとえばどこかで写真やビデオを見ていて、そこに映っていたものを、欲しい・買いたいと思ったら、Shoppableがそれを、実際に買うことを可能にしてくれる。

何かをクリックしたらそれを買える、という方式は、昔からあるアフィリエイトネットワークに似ている。その場合は、Webページ上のリンクが商業者のWebサイトへ読者を連れて行くので、そこで当の品物を買える。そして元のサイトのパブリッシャーは、売上のマージンをもらう。

しかしShoppableでは、読者がパブリッシャーのWebサイトを去らなくてもよい。そこに居るままで、複数のお店の品物を見て、買うものを決め、実際に買う、お金を払う、というところまで行ける。いわばそれは、あなたがどのWebサイトへ行こうと、あなたにくっついて同行するショッピングカートだ。

“支払いもパブリッシャーのWebサイトに居る状態で済ませられる”、とMarieは述べる。彼女によると、それは“とてもシームレスな(なめらかな)体験”をユーザーに提供するだけでなく、パブリッシャーがビジターのデータや買い物傾向を把握しやすい。“自分のサイトで何が売れるかが分かっていれば、どんな人たちが自分のサイトのユーザーベースなのかも分かるのよ。データからユーザーを理解するやり方としては、コロンブスの卵のような重要な変化だと思う”、と彼女は自負する。

Shoppableには、個人ユーザーのためのGoogle Chromeエクステンションがある。そのエクステンションが動いていれば、Webページ上で見た製品をShoppable経由で買うことができる。一方パブリッシャーはShoppableのウィジェットを自分のWebサイトにインストールして、どんな製品を売るかを決める。また、ShoppableのMagicサービスを利用すると、ショッピング機能を自動的に作ってくれる。

今回のシリーズAは、匿名の投資家がリーダーだ。Marieによると、すでに利益が出ているShoppableにとっては、いわゆる戦略的投資であり、同じ投資家がリードするもっと大きな資金調達を、数か月後に発表するそうだ。今回のラウンドに参加した投資家は、MI Ventures, Canary Ventures, On Grid Ventures, Thomas Varghese, Bodley Group, John D. Owen, Noopur Shukla, Andrew Boszhardt Jr., Sandeep Bhanoteなどなどだ。

資金の主な用途は、Shoppableを利用する商業者をもっと増やすこと。今およそ200店/社がShoppableの輪に加わっているが、それ以外に100店/社が現在、待機状態だ。

Shoppableは最初、ラグジュアリー商品が主体、という意味で、72Luxという名前だった。しかしその後、普遍的なチェックアウトプロダクトであることが分かる、現在の名前に変えた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コンテンツ・アドレッサブルで多バージョン分散データベースNomsのAttic Labsが$8.1Mを調達

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サンフランシスコのAttic Labsが今日(米国時間8/2)立ち上げたNomsは、新しい分散データベースで、その‘新しさ’はGit, Camlistore, ipfs, bupなどからヒントを得ている。同社の今日の発表では、GreylockがリードするシリーズAで810万ドルを調達し、Nomsなどのプロジェクトの継続が可能になった。Harrison Metalなどのエンジェル投資家たちも、このラウンドに参加した。

Attic Labsが初耳の人でも、ほとんどの人が、ここのチームが関わったプロジェクトのどれかを、使ったことがあるはずだ。たとえば協同ファウンダーのAaron BoodmanはGreasemonkeyの作者だし、Google Chromeの開発リーダーでもあった。もう一人の協同ファウンダーRafael WeinsteinもChromeの開発(等々)に関わり、チームのほかのメンバーたちも、Chrome、Chrome OS、ECMAScript(JavaScriptのスタンダード)などで仕事をしている。

では、Nomsは、これまでのデータベースとどこが違うのか? チームが主張するのは、今日のデータベースはその多くが、“データを単一時点の存在”と捉えている。たとえばある欄がアップデートされると、アップデートされた時点の値がその欄の値に(次にアップデートされるまで)なり、前の値を知ることは困難である。今のデータベースを分散化することは可能でも、利用する側にとってそれは単なる単一のデータ集合であり、分散にユーザーレベル、アプリケーションレベルの意味は何もない。

そこでBoodmanが今日の発表声明で書いているのは、Nomsはたぶん、Gitと比較すると分かりやすいだろう、ということだ。GitのようにNomsでもユーザーはデータをレプリケート(複製)でき、複数のマシンの上でオフラインでエディットし、それらのエディットを再びシンクする(BoodmanとWeinsteinはAvantGoなどのシンクサービスの仕事をしたこともある)。Nomsでは、ヴァージョニングとエディットが破壊的でない〔前のバージョン、前のエディットが消えない〕。ただしGitと違うのは、保存するのが定型データだけで、テキストファイルは保存しない。主に、非常に大きなデータ集合をサポートすることが目的だ。

そのため、Nomsはとくに、大量のデータをインポートする業務に向いている(自動的に重複エントリを一つにする)。また、複数のソースからのデータを組み合わせ結びつけるタスクにも合う(データの変形が簡単にできる)。そしていちばん得意なのは、そんなユースケースで必ず必要になる、大きなデータセットのシンクだ。

Boodmanは次のように書いている: “Gitがソフトウェアの世界をほとんど一晩で席巻してしまったのは、分散が本質であるためにソースコードが複数のコンピューターや組織、そして人びとのあいだを、とてもなめらかに移動し、それによって、すごく充実したコラボレーションが可能だからだ。世界は、データをなめらかに共有し、密なコラボレーションのできる方法を必要としている、と思う。それを実現する自然で必然的な方法は、コンテンツでアドレシングできる(content-addressed)〔日本語Wiki〕、非集中型で、シンク能力のあるデータベースだ”。

今日の投資の結果として、GreylockのJerry ChenがAttic Labsの取締役会に加わる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Living Computer Museum、Xerox Altoをレストアし、新しく忠実なエミュレーターも公開

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パーソナルコンピューティングの歴史に興味をお持ちなら、Xerox Altoについて聞いたことがあるはずだ。しかし実機をみたり触ったりしたことはおありだろうか。あのポール・アレンですら「しばらく触っていないな」と考えたようなのだ。そこで彼は2台のAltoをレストアすることにした。レストアして、シアトルのLiving Computer Museumに展示しようと考えたのだ。

私のところからはすぐそこなのだが(と、ちょっと羨ましがらせてみたくなっただけだ)、遠くの方も絶望する必要はない。アレンたちは非常に忠実なエミュレーターの開発も行ったのだ。自宅にいながら、XeroxのもたらしたUI革命を体感してみることができるのだ。

ちなみにこのLiving Computer Museumを作ったのもアレンだ。ここではレストアした実機を展示しようとする前から、Altoの簡単な歴史や、その後のパーソナルコンピューティングに与えた影響について記した文章も掲示してきている(ここに転載するにはちょっと長い)。

xerox alto 1文書には「真のブレイクスルーについて学ぶことも、そして実際に触ってみることもともに有益なことだ」と記されている。

Altoはイーサネット(これもAlto関連の技術といえる)で繋いで通信を行うようになっている。今回のレストアでは、通信機能も実働するようにしている。さらにはAlto同士を繋ぐだけでなく、3メガビットのイーサネットブリッジも開発し、現在のPCなどとも通信できるように行ったそうだ。もちろん現在の機器が遠い昔の言葉を理解してやることが必要にはなる。

ちなみにY CombinatorでもAltoのレストアに取り組んでおり、詳細なドキュメントを公開している。興味のある方は(読者の中で興味のない人などいないかもしれないが)、day 1day 2day 3およびday 4などに文書が公開されている。まだ続きが公開される予定となっている。

このY Combinator側の作業もLiving Computer Museumとの協働が考えられていて、インターネットを介してAltoと通信するようなことも可能になるのかもしれない。異なる大陸間でMazeWarを楽しんだりすることができるようになるかもしれない。そんなことにAltoを使うのはまったく新しいことだが、しかし1970年代のうちから、Xeroxの技術者たちはそうした使い方を夢に描いていたはずなのだ。

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Lenna(左)とピンボール(右)。

Living Computer MuseumのエミュレーターはContrAltoという名前だ。アレンによれば「マイクロコードレベルでAltoをシミュレートする」ものだそうだ。「オリジナルに忠実な再現性能を持つ」とのこと。

なおAltoのエミュレーターにはSaltoというものもある。ただしこちらは制作者もいうように「バグが多い」状態のものだ。エミュレーション範囲も完全というわけではない。ContrAltoの方は、ゲームやプログラムをロードして少し使ってみたところではかなりの性能をもつようだ。いくつかのプログラムではクラッシュすることもあったが、それはこちらの操作に問題があったのかもしれない。Brvoで初期のWYSIWYGを試してみたり、Breakoutを楽しむこともできる。OSを起動してディスクを読み取り、そして「?」コマンドで実行可能ファイルのリストを取得する。

Living Computer Museumお近くの方はぜひ訪ねてみることをおすすめする。Altoの他にも、コンピューターの歴史を堪能できる(そして実際に動作する)さまざまなデバイスが展示されている。SoDo地区にあり、第一木曜日に無料で観覧するkとができる。

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(翻訳:Maeda, H

ローンチ5年で10億ユーザー、Facebookメッセンジャーの過去と未来

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users   TechCrunch

Facebookがメッセンジャーのダウンロードを強制させるという賭けに成功した。その反動にかかわらず、20ヶ月の間にメッセンジャーはユーザー数を倍にし、開始から5年でユーザー数は10億人に到達した。メッセンジャーはFacebookや、Facebookが買収したWhatsApp、GoogleのYoutubeなどで構成される10億ユーザークラブに参加した。

メッセンジャーアプリは他にも印象的な記録を残してきた。毎月170億枚の写真が送信され、ユーザーと企業の間で10億メッセージのやりとりがなされている。また、毎日3億8000万のスタンプと2200万のGIFが送信されている。そしてVoIP電話全体の内10%はメッセンジャー経由とのことだ。メッセンジャーが新しく開設したチャットボットのプラットフォームには現在1万8000チャットボットが存在し、2万3000のデベロッパーがFacebookのWit.ai ボットエンジンに登録してきた。

ユーザー数10億人という節目となる記録はFacebookが企業、デベロッパーのメッセンジャーのプラットフォームへの関心を引くことを容易にする。メッセンジャーの普及が進むことは次のようなことを意味する。新たにメッセンジャーを利用し始めた他のユーザーの存在が、未だにSMSやメッセンジャーの競合サービスを使っている人にメッセンジャーをより便利なアプリだと思わせるのだ。

Facebookのようなネットワーク効果を持っている企業は他に類を見ない。

Facebook Messenger Team

David Marcus氏とマーク・ザッカーバーグ氏がロゴをかたどったメッセンジャチームの万歳をリードしている

メッセンジャーは元Googleの社員が起ち上げたチャットアプリBelugaを元に名前だけ変えて始めたものだ。FacebookはBelugaを2011年の3月に買収している。「10億人ものユーザーを獲得するなんて想像もできませんでした。しかし、それを実現したいとは思っていました。それが私たちのビジョンでした。世界中の人々をそのようにつなげたかったのです」Beluga共同創業者のLucy Zhang氏はそう語る。

「みんなが飛び上がってこのことを祝うと思っていますよね」Facebookの現在のメッセンジャーの責任者David Marcus氏はそう語る。「しかし、サービスをユーザーに提供すること、正しいものを作ること、問題なく運用すること、人々の日々の生活を支援することなど一層の責任が発生します」。

すべての人がメッセンジャーのユーザー数10億人突破のお祝いに参加できるようにしている。風船の絵文字をFacebook上で送ると画面上でユーザー数10億人突破を祝うライトアップを見ることができる。

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ユーザー数10億人への道のり

Zhang氏とMarcus氏は、派手な機能、利用のしやすさ、地味だがパフォーマンスの向上につながることまでの全てに継続的なイテレーション(分析、設計、開発、テストのサイクルを回すこと)を行ったことがメッセンジャーの発展につながったと語る。以下に時系列でメッセンジャーのこれまでの変遷を紹介する。

Beluga

Belugaは「グループ」ではなく「ポッド」を持っていた

Belugaは「グループ」ではなく「ポッド」を持っていた

2010年、グループチャットが人気を獲得し始めていたが、SMSはひどい有様だった。同年に開催されたTechCrunch Disruptのハッカソンで生まれたGroupMeは勢い良く成長した。しかし、GroupMeはネイティブアプリではなくコストの高いSMSに依拠していた。

2010年の7月、Belugaはデータ通信のチャットに焦点を当てて設立され12月までに大きく成長した。「友達のそばにいたいという私たち自身の希望、要望から生まれました」とZhang氏は語る。その時、Facebookチャットはどちらかというと非同期のメッセージサービスで、Facebookアプリの中に埋もれていたために快適さに欠けていた。Facebookはメッセージに特化したアプリをリリースする機会を得るためにBelugaを2011年の3月に買収した。

 メッセンジャーのファースト・バージョン

「メッセンジャーのファースト・バージョンをリリースするのに3、4ヶ月を費やしました」とZhang氏は回想する。その当時、メッセンジャーのチームメンバーはZhang氏、共同創業者のJonathan Perlow氏(現Facebook社員)、Ben Davenport氏、そしてエンジニア1名、プロダクトマネージャー1名、デザイナー1名だった。

メッセンジャーは2011年の8月にサービスの提供を開始した。デスクトップ、モバイルなどの異なるプラットフォームでメッセージを送受信することができるものだった。写真と位置情報の共有以外の今でもメッセンジャーにあるいくつかの機能を備えていた。その1年後には既読機能を実装し、まるで顔を合わせて話しをしているかのようなチャットへと変化した。

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左がメッセンジャーファースト・バージョン、右が現在のメッセンジャーのデザイン

Facebook本体のアプリから分離した初めてのアプリとして、メッセンジャーアプリは1つの重要な機能に特化したシンプルなモバイルプロダクトの価値を証明した。

使いやすくなったメッセンジャー

Facebookはメッセンジャー普及のために戦略を練ってきた。ユーザーがやりたいコミュニケーションができるようにフレキシブルさを追加してきた。2012年から2013年までの間に、メッセンジャーを利用するのにFacebookアカウントを必要とする条件を撤廃し始めた。Facebook友達でない場合、電話番号を利用してSMS経由で連絡を取ることができるようにした。VoIP電話をコミュニケーションツールとして当たり前のものとするための賭けに打って出た。メッセンジャーのデザインは本元のFacebookとは異なり、操作スピード、シンプルさを追求するためより洗練されたものとなった。

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メッセンジャーはデザインの一新でアイデンティティーを得た

アプリダウンロードの強制

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users 2TechCrunchメッセンジャーのサービス提供開始から3年間の成長は停滞していた。しかし2014年4月、Facebookがユーザー数2億人到達を発表する少し前、同社の高圧的な告知によりコミュニティーがざわついた。その告知とはFacebookアプリからチャット機能をなくし、代わりに強制的にメッセンジャーをダウンロードさせるというものだった。この強制の言い分としてはメッセンジャーアプリによって、ユーザー間でのやり取りがより早くなり、メッセージを見逃すことも少なくなるということだった。

ユーザーは腹を立てている。Facebookがスマホのホームスクリーンを占有しようとしているとしてFacebookを責めた。ユーザーは1つのアプリでも十分快適だったのに、なぜFacebookのアプリを2つも利用しなければならないのだろうか?メッセンジャーの平均的なレビューは星1つとなったがAppストアでダウンロード数がトップにもなった。

Facebookは膨らみすぎたアプリからメッセンジャーを解放することで、新たにメッセンジャーにたくさんの機能を追加することができるようになった。そして結果的に、ユーザーもついてきたのだ。ユーザーはメッセンジャーを頻繁に使うようになった。もしメッセンジャーがFacebookアプリに埋め込まれたままだったとしたら、メッセンジャーを開く手間にストレスを感じるほどにだ。2014年の11月までにユーザー数は5億人に到達した。

スピードの必要性

さほど関心を集めなかったが、2014年の末にFacebookはメッセンジャーの大幅な技術的改良を実施した。数十億のメッセージがやりとりされる規模においては、ミリ秒の短縮はメッセージの送受信に大きな差を生み出す。私がここで説明する言葉より表現豊かに、メッセンジャーチームはユーザー間の送受信における遅延を減らすためのパフォーマンス、安定性に対して多くの時間を費やしたとMarcus氏は語った。Marcus氏はPayPalの会長を務めた人物で、Paypalを退任後に初めて取り組んだのがメッセンジャーのプロジェクトだった。

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ユーザーが送信したメッセージがどのような状況にあるのか分かりやすくするため、メッセンジャーはメッセージの横に小さなサークル(円のマーク)を設置した。サークルが空白の表示は送信中であること、空白にチェックマークが表示されれば送信完了、サークルに色とチェックマークが付けば相手に届いたこと、サークルにプロフィール写真が表示されると相手がメッセージを読んだことを示す。繰り返すが、これは小さなことかもしれないが、これによりSMSで発生していたようなコミュニケーションにおける曖昧さを排除することができた。それは2014年初めにFacebookがWhatsAppを買収した後からMessengerにとって問題となっていたことだった。

アプリとビデオ

2015年はメッセンジャーが単なるチャット以上の存在になった年だ。SMSを時代遅れなものとし、現代風のメッセンジャーを通してユーザーの生活を支えるように改良がなされた。ビデオがいたるところで盛り上がりを見せ始めていたが、ビデオチャットはFaceTime、GoogleHangoutsのような限られたプラットフォームのみだったところで、メッセンジャーはビデオチャットを開始した。Marcus氏はビデオチャットを実装したことがメッセンジャーが電話に代わる多機能なコミュニケーションツールになるきっかけになったとしている。

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メッセンジャーのプロダクト責任者Stan Chaudonovsky氏がビデオチャットを実演

FacebookはVenmo風の個人間で送金ができる機能をメッセンジャーに追加した。そしてF8デベロッパー・カンファレンスにおいてメッセンジャー・プラットフォームについて明らかにした。そのプラットフォームでは、Giphyのようなコンテンツを共有することを始め、最終的にUberの車を呼んだり航空会社のカスタマーサービスを受けることができるようになった。2016年内には、チャットボットのデベロッパーやニュースメディアもメッセンジャーに参加するだろう。また、Facebookはたらい回しにされ苛々させられる電話のカスタマーサービスの代わりにメッセンジャーを使うことを法人に提案している。

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メッセンジャー・プラットフォーム

 

有用であることが先、おもちゃではない

ユーザーがチャットボットに慣れ始めているところだが、世界中のユーザーがメッセンジャーを利用できるようにすることに再び焦点を当てている。「全ての人が電話を持っているように思いがちですが、世界のすべての国には当てはまらないのです」とMarcus氏は語る。

Marcus氏は、最近のメッセンジャーの成長の理由についてアカウントの切り替え機能を実装し始めたことを挙げる。一家で1台の電話を共有しているような発展途上国の家族全員が自分のアカウントでメッセンジャーを使うことができる。

メッセンジャーは電話番号の代わりとなるため、メッセージリクエストを実装した。これはユーザーが誰にでもメッセージを送ることを可能にし、知らない人からのメッセージはフィルタリングして別の受信箱へと選り分ける門番のようなものだ。新しくなったメッセンジャーではユーザ名、短縮URL、QRコードでよりシンプルにユーザー同士がお互いに見つけることができるようになった。
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メッセンジャーのこれらの特徴は、誰かと連絡するために任意の連絡先情報を必要とすることから、幅広く使われている名前だけでコミュニケーションができる世界への抜本的な転換を示す。良くも悪くも電話番号を聞くというような気まずい質問をする必要がなくなる一方、受信者は話したくない人をブロックすることも容易になる。

失速するSMSをついに葬り去ることに期待して、先日FacebookはAndroidユーザーがメッセンジャー上でSMSの送受信をできるようにした。今月7月にはFacebookはさらに高度なセキュリティが必要な送受信のためにエンドツーエンドの暗号化機能「秘密の会話」を実装した。

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users TechCrunch

メッセンジャーの未来

これらの着実な発展で、Facebookメッセンジャーは競合である他のモバイルメッセージアプリよりも一歩抜きん出ている。KakaoTalkは5000万人ユーザー、Kikは1億7500万人ユーザー、LINEは2億1800万人ユーザーだ。今のところ、メッセンジャーの最大の競合は、メッセンジャーが営業できない中国拠点の7億6000万人ユーザーを持つWeChatだ。そしてメッセージを送るためというよりは話題を共有したり、写真を送ることで人気のあるアプリ1日1億5000万人の利用ユーザーを持つSnapchatだ。

WhatsAppがいる中国を除く地域では、Facebookのメッセンジャーはチャット市場の覇権争いで優位に立つだろう(打たれ強いSMSを除く)。Marcus氏は以下の様に結論付ける。もともとのテキストメッセージのスタンダードを打ち壊すには、メッセンジャーを徹底的に普及させなければならない。ユーザーの友達が1人でもメッセンジャーを利用していないだけで、ユーザーをiMessageやAndroidのメールに引き戻してしまうからだ。

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users TechCrunch

Sheryl Sandberg氏とDavid Marcus氏

「1つのプラットフォームに話したい人がほとんどいる場合、電話番号は必要なくなります。名前で彼らを見つけることができるし、さらに多くのものを送ることができて、ビデオ電話も可能です」。Marcus氏は自信を持って、「メッセンジャーはこの世界にとって重要なコミュニケーションツールになりつつあると信じています」と言う。

 

現在、メッセンジャーが必要としていることに関して、Marcus氏は「一番必要なのは時間です。メッセンジャーに対して多くの人が持つイメージを変えなければならないのです。多くの人は、電話番号を持っていないFacebookの友達にメッセージを送る手段と考えています。10億人を超えるユーザーの考え方を変えるために多くのことをしなければならないのです。しかし徐々にですが、その方向に進みつつあります」と語った。

これまでの人類の歴史で、無料でここまで活発に多くの人がつながったことはない。10億人が名前とインターネットアクセスのほか何も必要なく、簡単にコミュニケーションを取ることができるのだ。歴史的に「恐怖」というのは分離や未知から発生する副産物であった。しかしメッセンジャーによって私たちはより簡単にお互いを知ることができるようになるのだ。

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users TechCrunch

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

 

MicrosoftがHoloLensヘルメットを3000ドルで一般発売、誰でも買えるが主に企業対象か

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Microsoftの未来的な拡張現実ヘルメットHoloLens(のDevelopment Edition)を、それを利用するアプリケーションを作らない人でも自由に買えるようになった。これまでは、実際にアプリケーションでそれを使うデベロッパーしか、入手できなかった。でもこれからは、アメリカかカナダにいて3000ドル払える人は、Microsoftから直接、最大で5台まで、買うことができる。

3000ドル〔従来からのデベロッパー価格〕は決してお安くないから、誰でも衝動買いできるとは思わないが、なにしろ、どうしても欲しかった人は、手に入れることができる。Microsoftの発表では、これはまだ“Development Edition”であるので、デベロッパーや企業顧客向けだ、と言っている。しかし、デベロッパーでも企業の人でもない、ふつうの人でも、喜んで売ってくれる。条件は、アメリカかカナダに住所があること、Microsoftのアカウントがあること、そして十分なお金があることだ。

Microsoftによると、同社の小売ストアは、HoloLensをまだ扱っていない。

Microsoftは今日、HoloLensの可用性を広げることと並行して、HoloLens Commercial Suiteというものを立ち上げた。これにはHoloLens本体とともに、企業向けのセキュリティおよびデバイス管理機能が含まれている。

このエンタープライズスイートにはKiosk Modeというモードがあって、使えるアプリケーションを限定したり、ユーザーの本人性確認、デバイス管理、BitLockerによる暗号化などの機能がある。

このアップデートは明らかに、HoloLensを企業市場に大々的に売りたいという、Microsoftの意欲の表れだ。企業市場は、Microsoftが長年、得意とする市場である。

一部のデベロッパーにHoloLensの提供を開始したのは3月だった。それからまだ日が浅いのに、大々的な一般販売に踏み切ったのは、ハードウェアの安定性と大量生産能力に対する自信の現れかもしれない。もうすぐ今度はたぶん、一般消費者向けの発売に踏み切るのだろう。

〔参考記事: 企業利用の一例

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MITが「さわれる」ビデオを作った

poltergeist-movie

厳密に言うと、ビデオは対話型メディアではない。しかしMITの新たな研究プロジェクトはそれを変えようとしている。同大学のCSAILラボが開発した技法を使うと、視聴者はビデオに映った物に「触れ」て、まるで現実世界で物に触れているかのように直接動かしたり影響を与えたりできるようになる。

つまりこの技術を使うと、誰かがギターを弾いているYouTubeビデオでフレットを拡大表示して弦をマウスでドラッグすれば、実際に弦をはじいたような音がするという意味だ。あるいは、古い橋に人工の風やトラックの振動等のバーチャルストレスを与えて、負荷テストを行うこともできる。

このCSAILの新しいモデルでは、通常のカメラで撮影したビデオをチームが開発したアルゴリズムで解析し、個々の物体の振動を分析する。最短5秒間のビデオからでも解析が可能で、他の動作に対してどう反応するかを予測して現実的な予測モデルを作ることができる。


通常この種の効果をビデオゲームや対話型メディアで実現するためには、バーチャルモデルの製作という費用も時間もかかる手作業が必要だ。バーチャルなアニメキャラクターが現実世界と融合したロジャーラビット型映画の制作にこの新技術を使えば、リアルなビデオをCGと合成するのも簡単になり、ロジャーラビットをはるかに越える応用が可能になる。

MITはこの技術が面白い結果を生みそうな場所として、ポケモンGOの名前を挙げている。捕えようとしているBulbasaur[フシギダネ]が、草むらと実際に触れあっているように見えたらどうだろうか。大作映画でCGエイリアンが現実世界の都市を破壊する様子をビジュアルに表現するのもずっと容易になるだろう。

この新しい手法は、VRやARの技術に対する関心と投資の波に乗る最適のタイミングで登場した。多くの対話型VR体験の開発コストを大幅に削減することで、コンテンツ分野に新たな関心が寄せられることが期待できる。つまるところ、誰もがVRの価値を証明するものを求めている。最終的にCSAILは、VRビデオが今以上に魅力ある双方向メディアになれることを証明できるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook