鼻に電気を流して「バーチャル臭」を作る研究

IEEEは、私が今月見た中でいちばんクールな研究プロジェクトを紹介した。昔の子供向け電子キットのようなシステムを使って人の嗅覚器官を刺激することで、匂いをシミュレーションするものだ。

このプロジェクトは相当気持ちが悪い。匂いをシミュレーションするために、研究者らは人の鼻にリード線を差し込み神経に直接つなぐ。マレーシアのImagineering Instituteのシニアリサーチフェロー、Kasun Karunanayakaは、博士課程の学生、Adrian Cheokと共に「多感覚インターネット」を作ろうと考えた。Cheokはニワトリに電子的ハグを送ったり、デジタルキスを初めて開発したインターネット有名人だ。

研究チームは数十人の被験者を集め、嗅球を刺激するために長いチューブを鼻に差し込んだ。信号の強さと周波数を変えることによって、いくつか興味深い実験結果が得られた。

被験者がもっとも多く感じたのは、彼らが良い香りまたは薬品臭と表現した匂いだった。中にはフルーティー、甘い、ミント味、木の香りなどと答えた人々もいた。

しかし最大の課題は、この幽霊のような香りを人の鼻にチューブを差し込まずに作り出す方法を見つけられるかどうかだ。この実験が、多くの被験者にとって不快なものだったことをKarunanayakaは認めている。「たくさんの人たちが参加を希望したが、1回テストしたあと帰っていった。我慢できなかったからだ。」

近い将来仮想嗅覚チューブを鼻の穴に入れる日が来ると私は思わないが、このアイデアは卓抜だ。たとえば、感覚が麻痺した人の嗅覚を取り戻すのに使えるかもしれない。決してうさん臭い提案ではない。

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Googleの作成アクションによりGmailの中でいろんなSaaSアプリケーションを利用できる

最近Googleは、メールを送るときの省エネ省時間化に励んでいる。たとえばスマートレスポンス機能は、定型的な返事なら既製品で間に合わせようとする。先行入力(type ahead)機能は人間が文字をタイプする前にコンピューターが先回りしてその文字を入力する(意外と正確だ)。そして今日から一般公開で立ち上げたのが、作成アクション(compose actions)*と呼ばれる省時間機能だ。〔*: ‘作成’は、メールの‘作成’(compose)の意味。〕

それはG Suiteに導入される一種のコネクターで、メールの作成をしながらその中でほかのSaaS(Box, Dropbox, Egnyte, Atlassian Jiraなどなど)にリンクできる。ソフトウェア企業はよく、ほかのアプリケーションに切り替えなくても、自分のアプリケーションで仕事を続けながら、その中でほかのアプリケーションも使えることを強調するが、それと同じことを作成アクションはねらっている。

GmailとChatのプロダクトマネージャーAakash Sahneyが、ブログにこう書いている: “作成アクションにより、Gmailの中でメールを作成しながら、添付ファイルや参考データをどこかのクラウド上から加えたり、お気に入りのサードパーティアプリでこれから作るコンテンツで、メールを楽しくすることなどが容易にできるようになる”。

サービスへの接続はG Suiteの中でGmail Add-onツールを使って行なう。Gmailのワークフローの中にサードパーティ製のツールを簡単に統合できるために、GoogleはGmail Add-onを作った。目的のツールをアドオンとして認可したら、それがメールの作成ウィンドウにオプションとして現れる。それをクリックすればGmailから出ずにそのツールを使える。G Suiteのアドミンが、それらのアプリ/アプリケーションを、限定することもできる。

たとえば、BoxやDropbox、Egnyteなどのファイルやフォルダーを取り入れたいときは、そのアプリを認可してから、メールの作成ウィンドウに表示される作成アクションをクリックしてサービスにアクセスし、ファイルを利用する(下図)。

Gif画像提供: Google

Atlassianを統合すると、プロジェクトのファイルを直接、メールに挿入できる(下図)。

Gif画像提供: Google

それほどすごい機能ではないかもしれないが、これによって節約されるキータイプの量や操作の回数は、一日の作業量としては相当なものだ。目的のサービスとコンテンツを別ウィンドウで開くのではなく、メールの中で目的のコンテンツそのものをメールにコピペできたりするのだ。作成アクションをクリックしてGmailから直接、そのサービスにアクセスして。

作成アクションは、7月にGoogle CloudのNextカンファレンスで発表された。G Suiteのユーザーは、それを今日(米国時間10/18)から利用できる。

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Apple StoreでSkydioの自律飛行ドローンを買えるしApple Watchからコントロールもできる

これからはほんの数タップで、Skydioの1999ドルの自律飛行ドローンをApple Watchからコントロールできる。まるで自分がSFの主人公になったように、高価な自律飛行ドローンを、小さな腕時計型のコンピューターで操縦できる。

このとってもクールな自動飛行ドローンR1は、アメリカのApple Storesでも買えるようになる。これからは、Webサイトに注文しなくてもお店でドローンを買えるようになるのだ。これまでAppleで買えたドローンは、ドローン最大手のDJIのものがほとんどだったが、その中でSkydioは、エリートのような位置づけになる。

ところで、現実に話を戻すと、しかしそもそも、一体何のためにApple Watchからドローンをコントロールしなければならないのだ? 確かに、適切な質問だ。Apple Watchはサードパーティアプリが山のようにあったが、最近ではデベロッパーもAppleも、このデバイスは、何かを積極的にするよりもむしろ、受動的な用途に向いてることに気づき始めた。

SkydioはR1を、GoProのユーザーのような人たちが使う、と位置づけている。とってもユニークな映像を、ドローンが自動操縦で撮ってくれるのだ。でもスマートフォンの上でSkydioのアプリを使うと、今やってるアクションをちょっとやめて、何よりもまずスマホの画面を確認する、という作業が入る。でもApple Watchならもっと撮りやすい、と言える用途がいくつかあるだろう。たとえば、自転車に乗ってる自分をドローンで撮りたい、というときは、スマホの画面という面倒なもののない、ウォッチからのコントロールがずっと楽だ。狭いところで、ローキーな映像を撮りたいときも、ウォッチならコントロールしやすい。

このWatchアプリは単純明快なUIで、ドローンのコントロール項目がたくさんある。スキルのリストがあり、Lead, Follow, Orbitなどのタッピングのモードもある。もっとおもしろいのは、写っている人を指定して、その人を追えることだ。Watchからのコントロールは意外なほど良好で、このデバイスに本来ある強力な機能か、と錯覚してしまう。

Skydioのユーザーにとっては、Watchでコントロールのオプションが増えたことになる。操縦のメカニズムとして理想的、とは言えないけど、とにかくもっと楽にR1を操縦したいと思ったら、このオプションを使いたいだろう。

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Tesla、ギガファクトリー3の建設で中国と合意

Teslaは、約210エーカー(85万平方メートル)の土地を上海臨港地区に確保した。同社初の米国外工場の予定地だ。

Tesla幹部、および上海市経済情報委員会、上海臨港地区開発管理団体、上海臨港グループの首脳らが参加して、水曜日に中国で調印式典を行った。

「Teslaのミッションは世界の維持可能エネルギーへの移行を、全電動車だけでなく、スケーラブルなクリーンエネルギー生成や蓄電製品を通じて促進することだ」とTeslaの国際営業担当VP、Robin Reiが声明で言った。「上海で獲得したこの場所は、Tesla初の国外ギガファクトリーとして、高度で持続可能な開発による次世代製造拠点に向けての重要な礎になるだろう」

この土地移転はTeslaにとって重要な一歩である。最近同社は、コスト上昇によりいわゆるギガファクトリー3の建設を加速する必要に迫られていると語った。Teslaは10月始めの製造・配送レポートで、関税や外洋貨物船の輸送コスト、さらには現地生産の電気自動車に与えられる金銭的インセンティブがないなどの理由により、中国で同社が不利な立場にあることを予告した。

水曜日にTeslaは、プロジェクトは北米でのModel 3生産で学んだ教訓を生かし、「資本の効率化と急成長」を期待していることを改めて宣言した。

Teslaは7月、同社が年間50万台の電気自動車の生産能力を持つという工場を作る計画について上海市当局と合意に達した。工事が始まってからTesla車の製造が可能になるまで、約2年かかる。「工場がフル稼働して年間50万台の車を製造できるようになるにはさらに2~3年が必要」とTesla広報が当時話した。

この上海工場事業は、海外企業による完全所有施設の建設、運用を認めるという中国政府の転換を意味している。従来海外企業が中国に工場を作るためには、現地パートナーと50-50のジョイントベンチャーを作る必要があった。

中国の習近平国家主席は、海外自動車メーカーの共同事業規則を2022年までに廃止すると言った。Teslaはこの規則変更の恩恵を受ける最初の事例となる。

契約は、Teslaが臨港地区で完全所有の工場を建設、運用することを認めている。新工場では、研究開発、製造、および営業活動が行われる。

しかし、依然として中国政府は関与するだろう。協力契約の下、中国政府とTeslaは電気自動車技術と産業の発展を協力して推進することになっている。上海市はGigafactory 3を支援すると言っているが、それが意味するところの詳細は希薄だ。

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サーバーレスのインフラをモニタするEpsagonがステルスを脱して正式ローンチ

イスラエルのEpsagonが今日(米国時間10/17)ローンチしたサーバーレス開発のためのツールは、そのインフラストラクチャのモニタリングを支援する。それが、どこにある何かをデベロッパーが知らなくても。

デベロッパーがインフラのことを知らないのは、サーバーレスの本質でもある。サーバーのリソースは短時日で変わることもある。デベロッパーは一連のイベントトリガーを作り、クラウドのベンダーが必要なサーバーのリソースを動かす。このやり方の美点は、プログラマーがインフラストラクチャのことを気にせずにコードを書けることだ。でも欠点は、オペレーションにとってインフラストラクチャをコントロールしたり理解する方法がないことだ。

Epsagonはこの問題を、サーバーレスのアーキテクチャを見える化することによって解決する。CEOで協同ファウンダーのNitzan Shapiraはこう語る:“うちがやることを一言で言えば、サーバーレスのための分散トレーシングと観察性とコストのモニタリングだ。これまではこそこそとやってきたけど、今日からは会社を正式にローンチする”。

サーバーレスではエージェントを使えない。それをどこへ置けばよいか、分からないからだ。それを置くための固定的なサーバーはない。だから、従来的なログツールも使えない。Epsagonはこの問題を、ライブラリを使うエージェントレスの方式で迂回する。Shapriaによると、同社はそのライブラリをオープンソース化して、それらをデベロッパーにとってより魅力的にしたいと考えている。

同社が最初にサポートするのはAWS Lambdaだが、来年はそのほかのクラウドプラットホームもサポートする予定だ。EpsagonにサインアップしたらAWSの認証情報を入力する。するとただちに、パフォーマンスに関する情報をEpsagonのダッシュボードに表示し始める。ただしShapiraによると、本当の価値はライブラリにある。“このライブラリこそが、うちの道具箱だ。つまり、エージェントと同じ働きをする”、と彼は言う。

スクリーンショット提供: Epsagon

提供するものは、従来的なモニタリングデータだけではない。顧客が費消している費用も分かる。サーバーレスでは、クラウド企業が必要に応じてリソースを提供するが、それゆえにユーザー側のコスト管理が難しい。Epsagonは、今実際にどれだけ使っているかを見せてくれる。

Epsagonの利用料金はまだ確定していないが、最初はセルフサービス方式を採用している。同社のWebサイトにサインアップすると、無料から始まっていろんな料金オプションが並んでいる。いずれも、最初の2週間は無料の試用期間だ。

テルアビブに拠を置くEpsagonは、現在の社員数が11名、営業とマーケティングとサポートの体制ができたら、アメリカにオフィスを持ちたい。同社は1月に、Lightspeed Venture Partnersがリードするラウンドで400万ドルを調達した。

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MongoDBがそのコードのオープンソースライセンスを改定、オープンソースの“食い逃げ”に むかつく

MongoDBは一部の、とりわけアジアの、クラウドプロバイダーのやり方にムカついている。彼らはそのオープンソースのコードを利用して、同社のデータベースの商用バージョンを、オープンソースのルールを無視してユーザーにホストしている。これと戦うためにMongoDBは今日(米国時間10/16)、Server Side Public License(SSPL)と名付けた新しいソフトウェアライセンスを発行した。それは同社のMongoDB Community Serverのすべての新しリリースに適用され、前のバージョンの新しいパッチに対しても適用される。

これまでMongoDBはGNU AGPLv3ライセンスを使ってきたが、今度はSSPLをOpen Source Initiativeに申請して承認を待っている。

現在コミュニティサーバーを使っている通常のユーザーは全員、新しいライセンスが適用されないので何も変らない。むしろこれは、MongoDBがAGPLv3ライセンスの誤用とみなしているものへの対策だ。MongoDBはこう説明している: “MongoDBはこれまで、GNU AGPLv3でライセンスされていた。したがってMongoDBを一般公開サービスとして動かしたい企業は、自分たちのソフトウェアをオープンソースにするか、またはMongoDBから商用ライセンスを入手しなければならない。しかしながらMongoDBの人気のゆえに、一部の企業はGNU AGPLv3の許容限界を試そうとしている”。

つまり、SSPLはGNU GPLv3とそれほど異なるライセンスではない。GPLとほぼ同じ言葉で、コードの利用、変更、再配布の自由が明記され、しかしSSPLが明示的に声明しているのは、MongoDB(やSSPL下のそのほかのソフトウェア)をサービスとして提供しようとする者は何人(なんぴと)たりとも、商用ライセンスを得るか、またはサービスをオープンソースにしてコミュニティに還元しなければならない、という点だ。

MongoDBのCTOで協同ファウンダーのEliot Horowitzは、声明の中でこう述べている: “市場はますます、ソフトウェアをサービスとして消費しており、そこに、オープンソースの優れたサーバーサイドソフトウェアのニューウェーブが生まれ育つすばらしい機会が作られている。しかし残念ながら、一度オープンソースプロジェクトの味をしめたクラウドベンダーはあまりにも安易に、それが自分が開発したソフトウェアではないにもかかわらず、その価値のすべてを取り込み、コミュニティに何も寄与貢献しなくなっている。われわれはオープンソースに大きく貢献し、大きな恩恵を受けている。そういう企業としてわれわれは、多くの企業に影響を及ぼす問題で先頭に立つべき、独自の立ち位置にある。これが今後さらに多くのプロジェクトを刺激して、オープンソースのイノベーションが守られることを望みたい”。

この動きが、一部の人びとの反感を招くことも確実だ。オープンソースのライセンスについて語るときには、その運動の本質をめぐって宗教的な口調にどうしてもなりがちだ。そしてMongoDBはそのソフトウェアの背後にいる商業的実体であり、コードへの外部からのコントリビューションを管理しているから、たとえば大きなオープンソースのファウンデーションなどが管理するプロジェクトと違って、コードに対する一社の権限や態度が実質的にきわめて強い。だからMongoDBがオープンソースの何たるべきかを語るのはお門違い、と見るむきもある。オープンソースはソフトウェアを開発するための実用的な方法にすぎない、という考えもある。

しかしいずれにしてもこれは、私企業とその企業のオープンソースプロジェクトの管理との関係はどうあるべきかをめぐる議論の、契機になると思われる。自分のコードの使われ方に関して、MongoDBのような企業は、どれだけのコントロールを及ぼしうるのか? 今日のHacker Newsを読むのが、楽しみだ。

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Facebook、盗んだコンテンツのサイトをニュースフィードで降格

Facebookは、低俗なニュースパブリッシャーや他の情報源から不正に記事を転載するウェブサイトのランキングを下げる。本日(米国時間10/16)同社は、コンテンツの信憑性に関するこの新基準に加えて、クリックベイトや低俗広告満載のランディングページのサイトへのリンクを、ニュースフィードで目立たなくすることをTechCrunchだけに伝えた。これはFacebookが行ったアンケート調査と対面インタビューで、かき集めコンテンツをユーザーが嫌っているとわかったことを受けての動きだ。

不正入手された知的財産がニュースフィードで配信されにくくなれば、参照トラフィックが減り広告収入も減るので、悪党共が記事や写真やビデオを盗む動機づけがそもそもなくなる。その結果ウェブ全体でコンテンツの信憑性が改善される効果が期待できる。

そして、 最近起きたFacebookの大規模セキュリティー侵害によって2900万ユーザーが盗まれたプロィールデータが万一オンライン公開されたたときに備えて、Facebookはデータへのリンクをフィードから事実上排除するポリシーをすでに制定している。

Facebookの最新ニュースフィードポリシー変更によって降格されるタイプのサイトは、たとえばこれだ。”Latest Nigerian News” は、最近の私のTechCrunch記事を抜き取り、山のような広告で包み込んだ。

An ad-filled site that scraped my recent TechCrunch article. This site might be hit by a News Feed demotion

「当社は本日より、他サイトのコンテンツを複製、転載するだけで独自の価値を持たない低級なサイトにリンクする投稿を、ユーザーが見ることが少なくなるアップデートを公開する。これに伴い当社のパブリッシャー向けガイドラインを修正する」とFacdbookが低俗広告満載サイトの降格について書いた2017年5月の投稿への補遺書いた。Facebookは新しいガイドラインで、報道機関はコンテンツを転載する際に独自コンテンツや価値を付加しなければFacebookコミュニティーの怒りを買う、と警告するつもりだと本誌に語った。

個人的には、こうした話題に関する透明さの重要性を考えると、Facebookは元記事の更新だけでなく、新たな記事を書くべきだと私は思う。

さて、Facebookはどうやってコンテンツが盗まれたものだと決めるのか? システムはあるページのテキストコンテンツが他のあらゆるコンテンツと一致しているかどうか比較する。この一致の程度に基づいてサイトがコンテンツを盗んだかどうかを予測する。この予測値を、サイト見出しのクリックベイト加減やサイト広告の質と量と組み合わせて盗難コンテンツを決定する。

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Y Combinatorが傘下の女性ファウンダーたちのセクハラ被害を調査、被害者が強く立ち直れるための道筋を試行

Y Combinatorが、同社のポートフォリオ企業Callistoと一緒に行った調査は、ベンチャーキャピタルとテクノロジー系スタートアップにおいて、セクシャルハラスメントが相当蔓延していることを浮き彫りにしている。

Callistoは、性的不正行為を報告するソフトウェアで、それを被害者が利用する。同社は、YCの2018冬季クラスを卒業した。そして今回は、YC出身の384名の女性ファウンダーのうち125名にアンケートを送り、彼女らが“エンジェルやVCの投資家から襲われたり強要されたことがあるか”、と質問した。

アンケートには、88名の女性ファウンダーが応じた。内19名は、何らかのハラスメントを経験した、と主張している。

より具体的には、18名が、“望まざる性的申し出”から成る不適切な経験を述べている。15名はそれが“性的強要”だったと述べ、4名は“望まざる性的接触”だった、と言っている。

調査結果のリリースと並行してYCは、ファウンダーが自分が受けたハラスメントや暴行を報告するための公式のプロセスを発表した。それは、ファウンダーのためのプライベートなデジタルポータルBookfaceにおける報告だ。

YCはブログ記事にこう書いている: “報告は、いつでもできる。事件があってから何年経っていてもよい。報告は、その秘密が保たれる。ほかの投資家にも、同様の報告システムをセットアップすることを、強力にお勧めしたい”。

First Round Capitalも最近、傘下のファウンダーたちに対して性的不正行為に関する調査を行った。このアーリーステージ投資家もやはり、調査対象の869名のファウンダーの半数が、自分がハラスメントを受けたり、職場でハラスメントに遭った被害者を知っている、と回答した。

結成から7年になる非営利団体Callistoは、これらの被害者を支援するためにファウンダーたち専用のCallistoを立ち上げる、と言っている。そのCallistoを使ってファウンダーは、テクノロジーおよびVC業界の加害者の実名を記録できる。同団体は情報を収集して、無料で相談に乗ってくれる弁護士を被害者に紹介したり、同じ加害者の別の被害者と情報を共有できるようにする。その後被害者は、加害者を告訴することもできる。

テクノロジー業界に蔓延しているセクシャルハラスメントの問題は、決して新しい問題ではないが、近年では#MeToo運動などに勇気づけられて、多くの女性やハラスメントの被害者が自分たちの被害を言挙げするようになっている。元Binary CapitalのJustin Caldbeckと、元SoFiのCEO Mike Cagneyは、今の#MeTooの時代において、性的不正行為の申し立てにより業界を追放されたシリコンバレーのエリートの例だ。

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マイクロソフト共同創業者ポール・アレン、65歳で死去

Microsoftの共同ファウンダー、Paul Allenが本日(米国時間10/15)午後シアトルで死去した。65歳だった。死因は非ホジキンリンパ腫合併症。

アレンが1986年に設立した非公開会社、Vulcanが公開した声明にこう書かれている、「深い悲しみとともに当社のファウンダー、Paul G. Allenの逝去を報告する。PaulはMicrosoftの共同ファウンダーであり、著名な技術者、篤志家、コミュニティービルダー、自然保護活動家、ミュージシャン、そして芸術の支援者だった」

彼の妹で長年VulcanのCEOを務めた実業家、Jody Allenも声明を発表し、兄について「あらゆるレベルで卓越した人物だった。Paul Allenは多くの人たちに技術者や慈善家として知られていたが、われわれにとっては愛する兄であり叔父であり類まれな友人だった。」と書いた。
「Paulの家族と友人たちは彼の知性、温かさ、寛大さ、そして深い懸念を体験する幸運に恵まれた。忙しいスケジュールの中、彼は常に家族や友人との時間を設けた。われわれ、そして多くの人たちの悲しみのときである今、彼が毎日行動で示していた気遣いと懸念に深く感謝している」

アレンは自身2度目の非ホジキンリンパ腫と戦っていた。体のリンパ系から発生するがんで、白血球の一種であるリンパ球から生じる腫瘍を引き起こす病気だ。

わずか2週間前、アレンは9年前に治療に成功したがんが再発したことを公表し、主治医は「よい結果になることに楽観的」であるとTwitterに書いた。

最近の数十年、アレンはさまざまな分野で知られていた。スポーツを愛し、音楽を愛し、それらに関連して、高価なおもちゃを愛し、そこから数多くのコレクションも築いた。

アレンは、アメリカンフットボール(NFL)チームのシアトル・シーホークスとバスケットボール(NBA)チームのポートランド・トレイルブレイザーズのオーナーであり、サッカーのメジャーリーグチーム、シアトル・サウンダーズFCの共同オーナーでもあった。極めて有能なギタリストだったアレンは、長年にわたり驚くほど多くのギターを収集し、その中にはジミ・ヘンドリックスやウディー・ガスリーが所有していた一ものもあった。

アレンの414フィートのメガヨット “Octopus” が、おそらく最も多くの見出しを飾っただろう——壮大なスケールだけでなく、その野心的探検によって。中でも有名なのが、2015年にアレン指揮の下、研究チームがこの船を使い、1944年に沈没した第二次世界大戦最大級の軍艦である日本の「武蔵」の残骸を発見したことだ。

当時アレンはCNNに、第二次世界大戦の歴史へ強い興味について、父親が米国陸軍に従事していたこと由来すると言い、「武蔵は間違いなく驚異のエンジニアリングであり、生粋のエンジニアとして私は、その建造に注ぎ込まれたテクノロジーと努力に深い敬意を持っている」と語った(さらにAllenは、少なくとも20機の第二次世界大戦の飛行機を一時期所有していた)。

その華麗な生活スタイルの一方で、アレンは慈善活動家としても知られており、最近ではシアトル市役所に3000万ドルを寄付し、ホームレスや低所得家族94世帯を収容する共同住宅の建築に貢献した。2010年にはGiving Pledgeキャンペーンに参加し、財産の半分以上を供出した。彼の最近の純資産は約200億ドルと推定されている。

アレンがMicrosoftを離れた1983年、彼は初めて非ホジキンリンパ腫と診断された。近年にはより治療可能な疾患となったが、早期に発見されないと死に至るか、呼吸障害、感染症などの原因となる。

アレンが初めて共同ファウンダーのビル・ゲイツと出会ったのは、ふたりがシアトルのレイクサイドスクール通っているときだった。アレンは当時14歳、ゲイツは12歳だった。その後10年以内に彼らはMicrosoftを作ったが、アレンが会社を去る頃までに、ふたりの長い友情はぼろぼろになっていた。

実際、2011年にアレンは自叙伝を出版し、その中でゲイツを要求が多く対立的な性格だと評し、アレンががんと戦っていた1982年には、ゲイツと後のMicrosoft CEO Steve Ballmerが「私を陥れる計画」を企んでいたと書いた。

ゲイツとアレンは後に和解したと見られ、2013年には1981年当時の2人が写った古い写真の再現までしてみせた。

画像クレジット:Paul G Allen Foundation

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Adobe、Photoshop CCのiPad版を発表

Adobeが同社の Creative Cloudアプリを近代化して、あらゆるプラットフォームに持ち込もうとしていることは周知の事実だ。本日(米国時間10/15))同社は、ロサンゼルスで行われたMaxカンファレンスで、Photoshop CCのiPad版を正式にアナウンスした。

残念ながら今すぐ試すことはできないが、2019年になったら、あらゆる画像をiPadでレタッチできるようになる。そして、当初はデスクトップ版の全機能を使うことはできないが、今後追加していく予定だとメーカーは言っている。

あらゆるAdobe製品がそうであるように、Photoshop for iPadは他のあらゆるバージョンのPhotoshopと互換があり、PSDに加えた変更はデバイスを横断してすべて同期される。ユーザー体験が一から再構築され、タッチ用にデザイン変更されているのも驚きではない。標準Photoshopの画像編集ツールとレイヤーパネルのほとんどが実装される。もちろん、デジタルスタイラスにも対応している。

iPadバージョンはデスクトップ版Photoshopとコードベースを共有しているため、「機能やパフォーマンスや編集結果に妥協は一切ない」とAdobeは言っている。

しかし現時点でPhotoshop CC iPad版についてわかっていることは、これくらいだ。これ以上は2019年まで待つしかない。もっとも、知っておくべきことはおそらくこれだけだ。Adobeはずっと以前から、ユーザーがどこにいても作業ができるようにしたい、と言ってきた。当初それは、大きなCreative Cloudエコシステムと同期する、機能に特化した数多くの小さなアプリ群のことを意味していたが、今はPhotoshopのような巨大アプリのフルバージョンをモバイルで動かす方向にシフトしているようだ

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ホーキングのブラックホールに関する最終論文がオンライン公開された

スティーヴン・ホーキングは今年76歳で死去したが、彼の驚くべき知性の科学界への貢献はまだ終わっていない。著名な物理学者の最終論文がオンラインで誰にでも読めるように公開され、博士の輝かしい経歴を明らかにした物質界の謎を振り返ることができる。

Black Hole Entropy and Soft Hair“[ブラックホールのエントロピーと柔らかい髪]と題されたその論文は、ホーキング博士と共同研究者のSasha Haco、Malcolm Perry、およびAndrew Stromingerの共著による。論文保存公開サイトのArXivから無料でダウンロードが可能で、ホーキングへの心のこもった賛辞も載せられている。

「私たちは最愛の友で共同研究者だったスティーヴン・ホーキングを亡くし深い悲しみにくれています。ブラックホール物理学に対する博士の貢献は、最後の最後まで絶大な刺激を与え続けるでしょう」

この論文は、ホーキングの経歴にとって一種のブックエンドといえるものであり、ブラックホールの量子構造に関する博士の最近の業績が集められている——ホーキングが 過去40年間追究してきたテーマだ。

ホーキングの最終論文が、物理学最大の未解決問題の一つへの挑戦となったことは実にふさわしいことだ。その問題は博士自身が提起したものでもある:ブラックホールに落ちていく物体は本当に消滅するのか、たとえ物理の法則がそれを不可能だとしていても? このパラドックスが悩ましいのは、量子力学の法則と一般相対性理論の法則を戦わせることになるからだ。

論文中ホーキングらは、「柔らかい髪」と呼ばれるものがその矛盾を解決することを示唆している。「髪」とは」とはブラックホールの縁である事象の地平線に存在する光子を意味している。柔らかい髪バージョンの事象においては、ブラックホールの縁にあるその「髪」が、ブラックホールに落下した物体に関する情報を保管する。これは、物質に付随していた情報は宇宙から消滅したのではなく、見かけ上の地平線の彼方に消えたように見えるだけであることを意味している。

「これは道半ばの一歩であり、決して完全な答えではない」と共同研究者のMalcom PerryがGuardianに語った。「これまでより若干パズルの数は減ったが、厄介な問題がいくつか残っていることは間違いない」

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分散型キッチンのPilotworksが廃業

Pilotworks。分散型キッチンサービスとしてCampbell’s Soup Co.の投資部門などから1300万ドルのベンチャー資金を調達していた同社が店じまいする。昨日同社はこのニュース伝える短い声明をウェブサイトで公開した。

Pilotworksが閉業しても、ほかのスタートアップが、大手チェーンや新たなフードコンセプト向けに分散キッチンを益々アピールしている。

Pilotworksは、既存のチェーンよりも新しい外食起業家に焦点を絞ったたために、思ったほどのスケールを実現できなかったと思われる。

今年6月、Pilotworksの共同ファウンダー・CEOのNick Devaneが辞任し、COOのZach Wareが引き継いだとThe Spoonが報じた。

その後の一か月にかけて、同社はロードアイランド州プロビデンス、ポートランド、メイン州などの施設を縮小、閉鎖していった。

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まだまだメールに起業機会あり、June.aiは効率的なメール分類サービスで$1.5Mを調達

メールは今なお、起業家にとって魅力的なターゲットのひとつだ。なんといってもメールは誰もが使っているし、しかも依然としてそれは、快適な使い心地とは言えない。

June.aiも、メールの使い方を変えようとする多くのスタートアップの仲間に加わろうとしているが、でもこの新人のアプローチはほかとちょっと違う。

協同ファウンダーでCEOのAllie Suttonによると、彼のチームは、人びとのメールの使い方そのものに目を向けているわけではない。むしろ彼らが着目しているのは、コミュニケーションと情報の流れの全体的な姿だ。そしてJuneが作ったのは、必ずしもメールをリプレースするのではなく、むしろ、メールサービスという古いシステムとの互換性のある〔==後方互換性のある〕プラットホームだ。

どういうことか、というと:

まず最初にJuneは、メールを他の人との会話であるものと、企業などからのメールに分類する。それらを二つの別々の受信箱へ入れる。そして情報的なメール、“Your Amazon Order has Shipped”(Amazonの注文が発送されました)や“Check In For Your Flight,”(あなたのフライトにチェックイン…搭乗手続き…してください)などのメッセージは、閲覧しやすいフィードに入れる。

一方コミュニケーションのメッセージは、メールというよりもむしろiMessageやIMのようなインタフェイスの受信箱に整理される。会話は相手の人別に分類され、スレッドや主題別にはしない。だから、特定の人との会話履歴の全貌が、スレッドにとらわれずに把握できる。ファイルもやはり、送り手の人別に分類される。

またJuneの‘gatekeeper’(ゲートキーパー、門番)機能を使って、ユーザーにメールを送ってくる企業や人を、簡単に縁断ち(脱会など)、承認、ブロック(受け取らない、無視する)などできる。

150万ドルの資金を獲得したJuneは、短期の売上を気にすることなく、宣伝やプロモーションに注力できる。

Juneは、Gmail, Yahoo!, Outlookなどのメジャーなメールサービスで使える。

Suttonによれば、最大の難題は採用者の拡大だ。

彼曰く、“みんな我流のやり方でメールを処理しているし、そのやり方は何年も何十年も続いている。うちのやり方ならもっと効率的な処理ができるんだけど、それを説明して分かってもらうのが難関だ。こっちの方が効率的だ、と納得してもらわなければならないからね”。

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毎秒10兆フレームのカメラは光をスローモーションで捕らえる

光は宇宙で一番速いので、その動きを捕まえることは必然的に困難だ。これまでに成功例はいくつかあるが、カリフォルニア工科大学の科学者たちが作った新しい装置は、10兆フレーム毎秒という度肝を抜く速さを実現した。これは光が進むところを捕獲できるという意味だ——しかも彼らはこれを100倍速くすることを計画している。

光の動き方を理解することは、数多くの分野にとって基本的なことなので、Jinyang Liangらを衝き動かしたのは単なる好奇心だけではなかった——そうだとしても何の問題もない。しかし、物理学や工学、医学には、スケールが小さく短いすぎて測定が非常に困難な光の振る舞いに大きく依存する潜在用途がある。

秒間10億フレームや1兆フレームのカメラについて聞いたことがあるかもしれないが、その殆どは「ストリーク・カメラ」と呼ばれ、一種のズルをして数字を達成している。

T-CUPシステムが光のパルスを捕獲する。

光のパルスを完璧に再現できれば、パルスを1ミリ秒毎に放ち、カメラのキャプチャー時間をさらに短い時間、たとえば数フェムト秒(ミリ秒の10億分の1)に設定することができる。1つのパルスをここで捕獲し、次のパルスを少し先で、その次はさらに先でという具合に捕獲する。こうした作られた動画は、いろいろな意味で最初のパルスを高速で捕獲したものと区別がつかない。

これは非常に効果的だ——しかし厳密に同じ光のパルスを100万回放つことは常に可能というわけではない。注意深くレーザーエッチ加工されたレンズが最初に衝突したパルスによって変形されてしまうという状況下で、パルスがレンズを通過する際に何が起きるかを見る必要があるかもしれない。その場合、最初のパルスをリアルタイムで捕獲しなくてはならない——即ち、画像をフェムト秒精度で記録するだけでなく、フェムト秒〈間隔〉で記録するという意味だ。

Simple, right?

T-CUPメソッドのやっているのがそれだ。ストリークカメラにもう一台の固定カメラとトモグラフィーで用いられている技術を組み合わせている。

「フェムト秒ストリークカメラを使うだけでは画質に限界があることはわかっていた。そこでわれわれはこれを改善するために、静止画像を撮影する別のカメラを追加した。両方の画像を組み合わせることで、ラドン変換と呼ばれる手法を利用して高品質の画像を秒間10兆フレーム記録することが可能になった」と、共同研究者のLihong Wangが説明した。

ともあれこの方法によって、わずか100フェムト秒間隔で画像——専門用語では時空間データキューブ——を捕獲できる。これは1秒間に10兆フレームに相当するが、1秒に10兆個のデータキューブを1秒間記録できる速さのストレージアレイは存在しない。このため、今のところ連続して捕獲できるフレーム数は限られている——ここで見ることのできる実験では25フレームだ。

この25フレームは、1フェムト秒長のレーザーパルスがビームスプリッターを通過するところを映し出している——このサイズでは光がレンズ自身を通過する時間も無視できないことに注意されたい。それまでを計算に入れなくてはならないのだ!

このレベルの精度をリアルタイムで実現した前例はない。しかしチームの仕事はまだ終わっていない。

「われわれはこのスピードを1000兆(10の15乗)フレームまで上げられる可能性をすでに発見している!」とLiangがプレスリリースで意気込んでいた。光の振る舞いをこのスケール、この精度で捕獲することは、わずか数年前には想像もできなかった。これは物理学や新種材料のまったく新しい分野を切り開くものだ。

Liangらの論文は今日のLight誌に掲載されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ローターが一つ壊れても安定飛行を続ける四翼ドローンをデルフト工科大学が開発

よくある、人間がロボットをいじめているシーンのようなビデオで、(オランダ国立)デルフト工科大学の研究者たちが、4つのローターの一つが壊れても飛び続ける四翼ドローンを紹介している。

上の、少々退屈なビデオでは、そのドローンが自らの構造的損傷と風の両方と戦って、確実に勝つ様子を見られる。そんな酷悪な条件下で空中に滞留できるドローンは確かに見ものであり、ロボットの堅牢化という課題における心躍るような実験だ。つまり、通常のクヮドコプターなら壊れてしまうような悪条件でも、このドローンはダメージを回避できた。

IEEEに載った記事によると、このドローンには複数のサブシステムがあって、それらにより位置と高度を制御できた。システムはジャイロと加速度計を内蔵し、それらを読むことによって空中姿勢を制御し、大量の計算処理能力により、傾斜姿勢のまま大空の彼方へ飛び去ってしまうことを防ぐ。と同時にモーターのパワーも管理して、ローターの“飽和”を防ぐ。

研究者たち、Sihao Sun, Leon Sijbers, Xuerui Wang, そしてCoen de Visserは、先週スペインで行われたIROS 2018で彼らのペーパーをプレゼンした。

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Facebookの3000万ユーザーの個人情報が漏洩、Facebookならこれぐらいは‘軽微’!?

Facebookが、2週間前に公表したデータ漏洩事件詳細を発表した。最初に推計された5000万ではなく3000万のユーザーが、アクセス情報をハーカーに盗まれた。ご自分について確認したい方は、Facebook’s Help Centerへ行くとよろしい。被害を受けたユーザーにはFacebookが盗まれた情報の詳細を告知し、復旧方法を教える。アクセスはされたけれど、彼らにコピー〜ダウンロードされなかった情報もあると思われるが、その詳細は開示されていない。

Facebookのプロダクトマネージャー担当VP Guy Rosenが、記者たちにこう述べている: “この件に関しては目下FBIの捜査に協力している。FBIはわれわれに、捜査の間犯人に関する情報を明かさないよう求めている”。それは、犯人による証拠隠滅を防ぐためだ。

3000万のうち1500万は、名前、電話番号、そして場合によってはメールアドレスをアクセスされている。1400万はそれプラス、履歴書的情報…ユーザー名、性別、位置、言語、既婚・未婚、宗教、出生地、現住地(本人申請)、誕生日、Facebookにアクセスしているデバイスのタイプ、学歴、職業、最近訪れたサイト10箇所、フォローしている人またはPage、最近行った検索15件、などなど…にアクセスされた。残りの100万は、情報にアクセスされていない。

Facebookのその他のアプリ、Messenger, Messenger Kids, Instagram, WhatsApp, Workplace, Pages, それらに対する支払い決済情報、サードパーティアプリ、アドバタイザー、デベロッパー、などはアクセスされていない。Facebookによると、FBIの捜査中は犯人に関する証拠を明かさないことを、Facebookは法執行当局により求められている。

Facebookによると、ハッカーは、ユーザーのプロフィールを他人の観点から見るプライバシー機能“View As”の三つのバグの組み合わせを悪用した。それによって、そのアカウントの友だちにアクセスし、40万のアカウントのアクセス情報を盗んだ。そして別の方法を使って、彼らの友だち3000万の情報を握った。

多くのデータ漏洩と違って今回のは、最初に予想されたよりも軽微だった、とみなされている。ユーザーは、ログインの再行を求められたときちょっと戸惑ったが、今はこの事故のことを忘れているようだ、という。Q3の決算報告ではFacebookのユーザー数がやや減るおそれもあるが、盗まれたデータが実際に悪用されないかぎりは、Webの至るところで日々起きているエンドレスなサイバーセキュリティエラーのノイズの中で消えてしまうだろう。そのノイズの中には、FacebookのコンペティターGoogle+の閉鎖の遠因となったデータ遺漏事件も含まれている。

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長いパスワードはパスワードの悪用や同一パスワードの再利用を大幅に減らす

インディアナ大学の研究者たちが、パスワードに関する厳しい規則は…相当面倒なものを除いては…実際に効果があることを実証した。その研究を行った院生のJacob Abbott, 同大のCIO Daniel Calarco, そしてL. Jean Camp教授らは、彼らの研究成果を“Factors Influencing Password Reuse: A Case Study.”(パスワード再利用の影響要素に関する事例研究)と題するペーパーで発表した。

Abbottはこう述べている: “われわれのペーパーは、文字数15文字以上などの厳しい要件により、インディアナ大学のユーザーの圧倒的多数(99.98%)が、パスワードをほかのサイトで再利用しなくなることを示している。制限文字数が短い他の大学では40%もの高率でパスワードが再利用されている”。

パスワードの再利用に対する規則の影響力を知るために、インディアナ大学を含むアメリカの22の大学のパスワードに関する規則を調べた。そして、オンラインで公開されている二つの大きなデータセットから、メールとパスワードの組み合わせを取り出した。それらのデータセットには、メールアドレスとパスワードの組み合わせが13億件ある。それらのメールアドレスとパスワードの組み合わせを大学のドメインごとに分類し、各大学の公式のパスワード規則と比較した。

結果は明白であった: 厳しいパスワード規則によって、その大学の個人データ漏洩リスクは大幅に低減していた。

要約すると、長いパスワードを求める厳しいパスワード規則により、パスワードの詐欺的利用や本人のパスワード再利用が99%、すなわちほぼ完全に防止できている。また同研究によると、パスワードの中で自分の名前やユーザー名を使わない、という規則も、セキュリティに貢献している。結局のところ、厳しいパスワード規則がある方が、なにもないよりも、はるかにましである。当たり前のことのようだが、覚えておくべき、そして必ず思い出すべき、重要なポイントだ。

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GoogleのスマートディスプレイとスマートフォンのAssistantが多機能化

今週の初めに行われた例年のハードウェアイベントでGoogleは、同社の新しいスマートフォンPixel 3とスマートディスプレイHome Hubに搭載されるGoogle Assistantの新しい機能をいくつか発表した。でもしかし、Assistantに関してはそれがすべてではなかった。今日(米国時間10/11)はさらに新しい機能がいくつか発表され、また、Pixel 3用として発表された機能の、どれとどれがほかのスマートフォンにも載るか、が説明された。

お家(うち)にすでにLenovo Smart DisplayやJBL Link Viewがある方にとって嬉しいのは、Live Albumsと、ドアベルNest Helloのサポート、そしてすべてのスマートホームデバイスをコントロールするHome Viewが近く提供されることだ。またこのスマートディスプレイで最大の不満だったスピーカーグループのサポートの欠如も、解消する。LenovoとJBL の製品も、これでやっと、まともになるだろう。

また、すでに発表されていた、かかってきた電話を選り分ける…迷惑なセールスの電話か?…機能Call Screenと、レストランに予約の電話をかけてくれるDuplexが、年内にPixelに導入される。

その日のビジュアルなスナップショット機能も、AndroidスマートフォンのAssistantにやってくる。これは、重要なリマインダーや、最近のメモ、イベントの通知など、今日忘れてはいけないことをまとめて見せてくれる。Assistantを起動したら画面をスワイプするだけで、それが表示される。

Assistantをロック画面から使えるようになるので、スマートフォンをアンロックしなくてもその日のカレンダーを見たりできる。そのほかのGoogle Homeデバイスと同様、声でユーザーを識別するのだ。

また“Filters”機能では子どもたちに使わせたくないアプリをフィルターし、“downtime”機能でデバイスを使えない時間帯を設定できる。そしてもうすぐ、PixelのDigital Wellbeing機能をAssistantから…つまり音声で…使えるようになる (“Hey Google, 10時には電源切ってね”)。

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ImprobableのMMOプラットホームをUnityから利用できる、バトルロワイヤルのブームか?

Fortniteのようなバトルロワイヤルゲームは、複数のプレーヤーがいて各人が他の全員と戦う。ゲーム企業が理解し始めているのは、それが大量のオーディエンスを一度に呼びこむ仕掛けであることだ。そういう願望は前から存在していたが、しかし資金量十分なスタートアップImprobableは、そのような広大なオンライン世界を、さらに多くのゲームデベロッパーにとって、可利用にするつもりだ。

AIベースのゲームプラットホームメーカーImprobableは、同社のマルチプレーヤープラットホームSpatialOSを用いるゲームSDKを、人気の高いゲーム開発プラットホームUnityに加える、と発表した。今では、ビデオゲームの約半分がUnityを使って作られている、と言われる。

Improbableはマルチプレーヤーゲームに関して壮大なビジョンを持ち、それが大量のベンチャー資本を吸引している。ロンドンに拠を置く同社は、複数のユーザーが同時に広大なオンライン空間を共有するデジタル世界の実現に向けて、これまで6億ドルあまりの資金を調達した。同社のSpatialOSプラットホームを使うと、オンラインゲームの一つのインスタンスが複数のサーバーを横断して動き、各サーバーから他のサーバーが見えることによって世界を一つに縫い合わせる。これをゲームの言葉で言い換えれば、何百人ものゲームプレーヤーがお互いに相手を見られて、彼らのゲーム内のアクションはその世界のどこにいても同じ機能を発揮する。

同社の技術は今、多くのゲームデベロッパーの意欲をかきたてている。このプラットホームを利用したゲームをリリースしたデベロッパーも、すでに数社/数名いる。

今日(米国時間10/11)のニュースは同社の大きな一歩であり、Unityの人気に乗っかって大量の若いゲームデベロッパーたちがMMOの開発により容易に取り組めるようになる。これまでもUnityからSpatialOSを利用することはできたが、それはあくまでも限定的かつ実験的だった。Unityはほかに、Unreal EngineCryEngineによる開発もサポートしている。

今日のリリースでデベロッパーは、同時プレーヤー数最大200名までのSpatialOSゲームを開発できる。そのSDKはデベロッパーに、マルチプレーヤーのネットワーキング機能と、プレイの世界を拡大するための関連機能を提供する。また、デベロッパーがSpatialOSを利用して作ったゲームは、Improbableのサーバーがホストし、そのさまざまなWebツールでメンテナンスしてくれる。

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Apple App Store、Q3売上がGoogle Playを93%上回る

AppleのApp StoreとGoogle Playの売上はこれまでも常に開きがあった。しかし2018年第3四半期、それが大きく広がった——おそらくこれまでで最大だ。Sensor Towerの最新レポートによると、同四半期にApple StoreはGoogle Playより93%多い売上を記録した。これは少なくとも2014年以降では最大の差だ(Sensor TowerがGoogle Playのデータを追跡し始めたのが2014年だった)。

同社によると、2018年Q3に生み出されたモバイルアプリ売上182億ドルのうち、約66%がAppleのApp Storeによるものだった。同社の四半期売上は120億ドルで前年同期の97億ドルから23.3%増えた。

一方同四半期のGoogle Playの売上は62億ドルで、一年前の51億ドルから21.5%伸ばした。

Sensor Towerの両ストアを合わせたトップセールスアプリのランキングを見ると、依然として定期購読が売上増に貢献している。Netflixは非ゲームアプリのトップセールスを3期連続で達成し、両プラットフォーム合わせて推定2.437億ドルを稼いだ。TinderとTencent Videoがそれぞれ2位と3位を守った。

モバイルゲームの利用も売上成長を後押ししており、同四半期の売上は前年比14.9%の138億ドルだった。これは同期の両プラットフォーム全アプリ売上の76%を占め、85億ドルがApp Storeから53億ドルがGoogle Playによる。

しかしながら、アプリのダウンロード数では、Google Playが依然リードしている。これは新興国市場で低価格Android端末が急速に普及したことが理由だとレポートは書いている。両ストア合わせたアプリのインストール数は271億件で2017年Q3の244億件から10.9%アップだった。

最多ダウンロード数アプリのランキングもQ3に大きく動いた。Bytedanceのショートビデオアプリ、TikTokがMusical.lyを吸収したためだ。統合の結果TikTokは、対前期比15%増、対前年比440%増で世界第4位のアプリとなった。

これで同アプリはQ3のアプリダウンロード数でInstagram(第5位)とSnapchat(第10位)の両方を上回り、Bytedanceはソーシャルアプリ市場でより重要なプレーヤーになるための地盤を築いた。

Sensor Towerのレポート全文はここで読むことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook