Chris Dixonインタビュー:Andreessen Horowitz、3億ドルの暗号通貨ファンド結成――元連邦検事が女性初の共同責任者に

シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタルの一つ、Andreessen Horowitzがビッグニュースを2つ発表した。今日(米国時間6/25)、同社は総額3億ドルの暗号通貨専門ファンドの設立を完了した。Cryptoファンドは先週、Andreessen Horowitzのリミッテッド・パートナーから出資契約を得ていた。

Cryptoファンドは最近シリコンバレーのベンチャー業界最大の話題となっていた。というのも他のベンチャーキャピタルも暗号通貨テクノロジーに対する戦略を決めようとしており、この5年間、暗号通貨への投資を着実に増やしていたAndreessen Horowitzの動向を注視していたからだ。

もうひとつのビッグニュースは、創業9年になるAndreessen Horowitzに初めて(ついに)、女性のジェネラル・パートナーが誕生したことだ。Katie(Kathryn) Haunは以前からジェネラル・マネージャーを務めるChris Dixon(筋金入りの暗号通貨支持者)と共にAndreessen Horowitzの暗号通貨ファンド担当のジェネラル・パートナーに就任した。Haunの株はこの数年シリコンバレーで上昇を続けていたので同社がジェネラル・パートナーに選んだことは意外ではない。

Haunは司法省の連邦検事を10年以上務め、証券取引委員会、FBI、財務省などと協力して詐欺、サイバー犯罪、企業のコンプライアンス違反の捜査と訴追に当ってきた。Haunの略歴には司法省初のデジタル資産担当調整官という職務もみえる。中でも注目すべきなのは、暗号通貨取引所の歴史で最大の経済事件となった、Mt. Goxの不正を捜査し、オンラインの麻薬や違法物質の取引所となっていたSilk Roadを捜査するチームに加わっていた点だろう。Haunはまたスタンフォード大学ビジネススクールの講師、暗号通貨取引ネットワーク、Coinbaseの取締役を務めている。 Andreessen HorowitzはCoinbaseの最初期からの出資者で、Dixonが取締役だったためHaunと知り合ったという(2人は現在も取締役)。

今日、TechCrunchはChris Dixonにインタビューすることができた。われわれはファンドの詳細、特にDixonとHaunが投資先の暗号通貨スタートアップのエグジット(現金化)についてどう考えているかを尋ねた。これまでのところクリプト企業がエグジットに成功した例は少ない。なお、読みやすさと文章量を考慮して以下のテキストには若干の編集が行われている。

Chris Dixonインタビュー

TC: 3億ドルの出資者の大部分はもともとAndreessen Horowitzの本体のファンドの出資者だと思うが、暗号通貨ファンドの結成は今後の本体ファンドの結成に何らかの影響を与えるだろうか? つまりAndreessen Horowitzは暗号通貨分野にこれまで以上に力を入れ、反面、他の分野への投資は減少することになるのだろうか?

CD: 答えはノーだ。われわれはこれまで投資してきた分野への投資をフルスピードで続ける。Cryptoファンドの結成はこの分野への努力を倍加するということであり、コンシューマー向け、エンタープライズ向けのプロダクトだろうと、バイオ・テクノロジーだろうと、これまでのコミットメントを減少させることはまったくない。

TC: 新しいファンドが他の暗号通貨ファンドに投資することはあり得る? Union Squareはこれを積極的に推し進めているが?

CD: あり得る。しかし当面そのつもりはない。われわれは暗号通貨ビジネスについて学ぼうと考え、Polychainその他何社かに1年半前から投資を始めている。今回暗号通貨を専門とする本格的ファンドが作られ、初期段階、後期段階両方の暗号通貨プロジェクトに出資できる体制が整えられた。われわれの使命はあくまでそうしたスタートアップへの直接投資だ。もっとも何ごとであれ「絶対ない」と言うつもりはない。

TC: Andreessen Horowitzはこれまでに何件ほど暗号通貨プロジェクトに投資してきたのか? そのうちの何件かは新しいファンドに移管されるのか?

CD: われわれはこの5年で20件程度の暗号通貨投資を行っている。. [Bitcoinのライバル] Ripple は私の最初の暗号通貨投資で、2013年1月のことだった。その後、同年中にCoinbase、21.coに投資した(同社はEarnになり、今年Coinbaseが買収している)。 その他、OpenBazaar、Mediachainにも投資した。やがてEthereumがスタートして暗号通貨分野の動きが激しくなってきた。才能ある起業家や優秀な企業が参入し始めた。われわれの[既存の暗号通貨プロジェクトへの]投資は当初の枠組みのまま本体ファンドに残る。

TC: 新ファンドですでに投資を決めた案件は?

CD: いくつか検討中のプロジェクトがある。ただし決定したものはない。

TC: このファンドの投資はどのような形態になるのか?

CD: エクイティー〔株式〕投資の一部はトークンによる投資 [つまりスタートアップがトークンを発行し、投資家が購入できる場合]が行われるだろう。われわれは〔適格投資家のみを対象とする〕SAFTによる投資も実施している。 われわれはまたストレートなBitcoinやEthereumの購入という形式でも投資してきた。しかし〔Andreessen Horowitzの〕本体ファンドでは投資方法に限界に突き当たった。そこで優秀な起業家がビッグかつ重要なアイディアを実行に移そうとしており、それに経済的将来性があるなら、あらゆる方法で投資したい。そこで条件を整えた専門ファンドを結成したわけだ。

TC: そうした投資のエグジットはどうなるのか?

CD: いい質問だ。これまでわれわれは暗号通貨資産を売却したことはない。この業界のプレイヤーの多くはデイトレーダーだ。しかしわれわれは投機筋ではなく、投資家だ。われわれはどんな投資も5年から10年にわたってポジションを維持していく考えだ。こうしたスタートアップの一部が発行するトークンは自由に流通するようになるだろうから、そういう形でのエグジットも可能だろう。いちばん可能性が高いシナリオは、アーリー・ステージの暗号通貨プロジェクトに投資し、引き換えにデジタルコインあるいはトークンを受け取ることだろう。その後プロジェクトが成功すればこうしたデジタル資産はそれに応じた評価を受ける。しかし何億という人々に利用されるようになることを目標とするプロジェクトの場合、われわれはそうした目標が実現するまでエグジットを考えることはない。

TC: ファンドの出資者に対してトークンで払い戻しを行うことはないと考えていいだろうか?

CD: そのとおり。われわのリミッテッド・パートナーは通常のキャッシュを好んでいる。

TC: 投資先企業における持ち分比率についてどのように考えているか?

CD: 伝統的なベンチャーキャピタルのビジネスモデルでは10%から20%の持ち株比率を目標とする。しかし暗号通貨スタートアップの場合は固定的な持ち株比率を考えるのは現実的でない。ごく初期のプロジェクトでは持ち株比率が会社評価額と連動するからそれを目安とするかもしれない。しかし一般的に言って、われわれは率ではなく額を問題にする。この投資は元が取れるほど成功しそうか、といったことだ。次のビッグウェーブに登場する企業はわれわれがこれまで経験したのに比べて10倍も大きくなるだろう。

TC: ICOについてどう考えるか? 将来適格投資家以外にもトークンを広く販売する予定の会社にも投資する予定か?

CD:適切に実施されるならICOは暗号通貨へのアクセスを拡大し、デモクラタイズする。これは正しい考えだと思う。参加者を増やすために役立つアイディアはなんであれ歓迎だ。しかし現在実施されている多くのICOは規則を忠実に守って実施されているとは考えられていない。われわれはこうしたICOには一切関与して来なかった。われわれはFilecoinに投資しているが、このICOの対象は厳密に適格投資家に限られていた。

TC: 投資における利益相反についてどう思うか? この分野はスタートしたばかりなので同種の企業に投資する制限についてもこれまでの例とは異なる点が多いのではないかと思う。伝統的分野におけるベンチャー投資では、当然ながら、複数のライバル企業に投資するのはタブーだが。

CD: クリプト企業への投資では伝統的なベンチャー企業への投資とは行動基準が違ってくる。基本的にベンチャーキャピタルは直接の競合関係になる会社の双方に投資してはならない。しかし暗号通貨では倫理が異なる。企業同士はライバルというより協力関係にあることが多い。この分野の参加者はパイ一切れの大きさを巡って戦うのでなしに、まず協力してパイ全体を大きくしたいと考えている。われわれは競合するプロジェクトへの投資が行われないようチェックしてきた。しかし暗号通貨のような動きの速い新興マーケットでは固定的なカテゴリーで考えることは難しい。この分野での投資基準はまだ確立していないが、たとえば、暗号通貨を複数の種類支援することはあり得る。

TC: Basisの投資家の1人としてステーブルコインについてどう考えているか? 価値が不規則に変動せず安定したプロダクトを作り出そうとしているスタートアップだが、暗号通貨が広く利用されるためには価格安定性が必須だろう。ステーブルコインでは複数のプレイヤーが存在する余地があると考えるか?

TC: われわれはBasisだけでなくMakerにも投資している。両者の仕組みは大きく異なるが、われわれは相互補完的だと考えている。投資を決定する際に両者に詳しく話を聞いた。ステーブルコインというアイディアは重要だ。暗号通貨がメインストリームになるためには、現在のような価値がボラタイルな通貨でなく、アメリカ・ドルのような安定した外部の価値によって担保される仕組みが必須だ。そうした重要性を持つインフラだけに、勝者は複数存在することになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

プログラマーのための即席ファイル共有ツールTransfer.shはコマンドラインで使う

今日このごろファイル共有ツールはあまりにもありふれている。Dropboxがあり、Google Driveがあり、iCloudがある。でも、コマンドラインで迅速容易にシェアしたい、と思ったらどうだろう? そこでプログラマーのRemco Verhoefは、Transfer.shを作った。

このサービスは要するにファイルダンプで、curlでtransfer.shにファイルを送ると14日間保存されて、その後自動的に削除される。たとえばぼくは、この画像を、自分の.bashrcにちょっとコードを加えることによってアップロードした。

このシステムは、よくある、必要な仕事だけをしてくれる小さくて巧妙なツールの例だ。Verhoefは、仕事中に簡単にファイルをアップロードしたいから、これを作った。

彼曰く: “ぼくがこのアプリケーションを作ったのは、sshシェルの中から誰かにログのデータをシェアする必要があったからだ。そこでぼくは、コマンドラインを使ってcurlでファイルを簡単にアップロードしたり変えたりできるWebアプリケーションを作った。コンテンツを暗号化したり、それらに対してgrepなどを使ったりもできる。curlは、ほとんど、どんなプラットホームにもあるからね。アプリケーションはオープンソースにしたから、ほかの人たちも使えるし、みんなぜひ、自分のサーバーを動かして使ってほしい”。

“ビジネスモデルなんか、ないよ。今でもサイトを動かしているのは、一種の礼儀だな。でも人気が出てきてユーザーが増えてるから、このまま動かすのは難しい”、とも言っている。彼には自分のデベロッパーショップがあって、ICOのセキュリティなど、いろんなプロダクトを売っている。

Verhoefは、彼のプラットホームのセキュリティは約束していない。単純に便利なツールであるだけだ。彼は、ファイルをgpgにパイプしてアップロードすることを勧めている。

このプロダクトが、善いことだけに使われていないことが、彼のチームの不満だ。

“たくさんの人たちが使っている。ログファイルをアップロードするために使っている人もいれば、隠し撮りビデオを全部エクスポートするやつもいる。マルウェアやボットネットなどの配布に悪用されることもある。でもそれらは、なるべく早く見つけてやめさせている。ポルノサイトがポルノ写真のサーバーとして使ったこともあるが、それを見つけたときは、写真を全部、犬と子猫の写真にリプレースしたよ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

WordPress.comがAtavistの買収で支払い決済や有料購読制をサポートか

本誌TechCrunchのベースシステムであるブログプラットホームWordPressを作り、そのほかにもWooCommerce, Longreads, Simplenoteなどのプロダクトを提供しているAutomatticが、ブルックリンのスタートアップAtavistを買収する。

Atavistは、主に個人のブロガーやライターのための、コンテンツ管理システム(CMS)を提供している。AtavistのWebサイトから、誰もが簡単に、画像やビデオや地図など多様なメディアを含むストーリーを書いて公開できる。

そうやって自分のWebサイトを作るのなら、そもそもWordPress.com(AutomatticがホストするWordPress)でよいではないか。SquarespaceのようなWebサイトビルダーもある。でも、Atavistを使うとペイウォール(paywall, 支払い決済システム)を作れるし、購読などの有料会員制(サブスクリプション, subscriptions)のセットアップもできる。

多くのライターが、Webサイトの技術的な細部を自分で扱いたくない、と思っているから、そんな人たちのためにAtavistは便利なツールを用意し、ユーザーが自分のストーリーに集中できるようにしている。

Atavist自身にも、Atavist Magazineという刊行物がある。これ自身もやはり、Automatticの傘下になる。Longreadsの一部になるのか、独自性を維持するのか、それはまだ分からない。

AtavistのCMS本体はそのままではなく、WordPressに統合される、とAutomatticは言っている。これが、この買収ドラマのおもしろい部分だ。

CMSとしてはWordPressの方がたぶんAtavistより相当にしっかりしているが、Automatticはさらに、サブスクリプションとペイウォールの提供を開始したいのかもしれない。月額のサブスクリプションをネイティブで(本体機能として)提供するWordPress.comのWebサイトを想像できる。

今や、全Webサイトの30%がWordPress上だ、と言われる。自分のサーバーの上でオープンソースのWordPressを動かしているところもあるし、本誌TechCrunchのように、Automatticがホストし動かしているWordPress CMS、すなわちWordPress.comの上にブログなどを構築提供するところも少なくない。

このWordPress.comでサブスクリプションができるようになると、それはWebにとって良いニュースだ。Mediumはそのサブスクリプションプログラムを唐突にやめてしまい、個人の出版者の多くが途方に暮れた。購読の有料制を導入したい個人ライターは、もうMediumを信ずる気にならないだろう。

AutomatticはAtavistをベースに、複数の出版サイトのサブスクリプションを管理するシームレスなポータルを作れる。そして、広告のない優れたコンテンツが増えるだろう。

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オープンソースWebサーバーの雄NginxがシリーズCの$43Mでさらなる拡張を計画

オープンソースのWebサーバーNGINXを作っているNginxが今日(米国時間6/20)、Goldman Sachs Growth Equityが率いるシリーズC、4300万ドルの資金調達を発表した。

初期の投資家として取締役を送り込んでいるNEAも、このラウンドに参加した。今回はGoldman Sachs Merchant Banking DivisionのマネージングディレクターDavid Campbellが、同じくNginxの取締役会に加わる。同社によると、今回の投資でこれまでの調達総額は1億300万ドルになる。

このラウンドにおける同社の評価額は、公表されていない。

オープンソースのNGINXは評価が高く、著名な大手サイトも含め、全世界で4億のWebサイトを動かしている。一方、商用バージョンには1500の有料顧客がおり、同社は彼らに、サポートだけでなく、ロードバランシングやAPIゲートウェイ、アナリティクスなどの機能を提供している。

NginxのCEO Gus Robertsonは、名門の投資家たちから支持を得たことを喜んでいる。“NEAはシリコンバレーの最大のベンチャーキャピタリストのひとつであり、Goldman Sachsは世界最大の投資銀行のひとつだ。この両者が共同で今回のラウンドをリードしたことは、企業と技術とチームにとって、すばらしい評価だ”、と彼は述べている。

同社にはすでに、商用製品Nginx Plusを今後数週間かけて拡張する計画がある。“われわれには、イノベーションを継続して、われわれの顧客が分散アプリケーションやマイクロサービスベースのアプリケーションをデリバリするときの、複雑性を軽減する必要がある。そのために数週間後には、Controllerと呼ばれる新製品をリリースする。ControllerはNginx Plusの上のコントロールプレーンだ”、とRobertsonは説明する。Controllerは昨年の秋に、ベータでローンチした

しかし4300万ドルを得た今では、同社は向こう12-18か月でNginx Plusの本格的な‘増築’をしたい意向だ。また、世界各地にオフィスを開いて国際展開を本格化したいし、パートナーのエコシステムも大きくしたい。そしてこれらの取り組みの結果、年内に社員数を現在の220名から300名に増やしたい。

同社のオープンソースのプロダクトは最初、2002年にIgor Sysoevが作った。オープンソースのプロジェクトをベースに彼が商業的企業Nginx社を作ったのが、2011年だ。そしてその1年後に、RobertsonをCEOに迎えた。同社は2013年から今日まで、各年の前年比成長率100%を維持し、その軌道は2019年にも継続すると予想している。

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モバイルのプライバシーで頑張るKeepsafeが守秘機能を強調したブラウザーをリリース

プライベートな写真アプリKeepsafeを作っているKeepsafeが、製品ラインを拡大し、モバイルのWebブラウザーをリリースした。

協同ファウンダーでCEOのZouhair Belkouraによると、写真アプリ、VPN、プライベートな電話番号生成アプリなどKeepsafeの製品はすべて、プライバシーの保護で共通しているだけでなく、意図的にそれらの機能をシンプルで分かりやすくしている。Belkouraによるとそのやり方は、独特のジャーゴンや複雑な設定の多い、今のセキュリティ技術の対極にある。

さらにBelkouraによると、インターネット上のプライバシーには複数のレベルがある。たとえば政府機関や大手テクノロジー企業が個人データにアクセスしているが、そのことは知識のレベルでは気になっても、感情のレベルでは誰も本気で気にしていない。

そして、“うるさいご近所さん”という問題もある。つまりBelkouraによれば、“10億人がGmailを使っていて、それらのメールはすべて広告のためにスキャンされているにもかかわらず、ご近所の人に‘あなたのメール読ましてくれる?’と言ったら必ず断られる”。

Keepsafeの今度のブラウザーは、この二種類のプライバシーに対応しているようだ。まず、自分のブラウザーをPINでロックできる(Touch IDやAndroid Fingerprintも使える)。

Keepsafe browser tabs

また実際にWebを閲覧しているときは、通常の個々のタブで、ソーシャルサイトや広告やアナリティクスによる個人追跡をブロックできる(追跡者の種類も指定できる)。ただしクッキーとキャッシュは保存されるから、今ログインしているWebサイトやそのほかのセッションのデータは維持される。しかし、タブ全体をプライベートに指定すると、そのタブを閉じたら何もかも消え去る。

従来のブラウザーにもプライベート(匿名)モードがあるが、Belkouraに言わせると、Keepsafeのブラウザーはプライバシーを最前面に打ち出して設計されている。ユーザーには最初からそのことが、強烈かつ明確に訴求される。そしてこのブラウザーは、同社のさまざまなプライバシー製品の一環にすぎない。今後は、それら複数のプライバシー製品の統合も予定している。

そのKeepsafe Browserは、iOSもAndroidも無料だ。

収益化に関してBelkouraは、“プライベートなブラウザーそのものを売り物にしたくはない。今後もっと総合的なKeepsafe Suite(総合ソフトウェア集)が形をなしてきたら、そこらで課金を考えたい”、と言っている。

画像クレジット: Keepsafe

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Atomsは、究極のフィット感を提供するミニマリズムのスニーカー

Atomsは1/4刻みのサイズを揃えたスニーカーだ。私はこの2ヶ月間毎日Atomsを履いている。これはセミフォーマルな場面でも使える初めてのスニーカーでありながら、何時間歩いても快適で、ハイキングにも行ける。

Atomsが届ける最新のフットウェア体験のしくみはこうだ。

  • サイズを1/4単位でたとえば10.25を選ぶ。するとAtomsは10s、10.25s、10.5sの3足と靴下を送ってくる。
  • 試しに履いてみて、気に入ったペアを選ぶ。左右別々のサイズでもいい。残りは送り返す。
  • ロゴはついていない。Atomのカラーはジェットブラック、ピュアホワイト、または上が黒下が白の3種類で、あなたの足に広告を載せない。
  • 編み込まれた銅の糸が細菌を防ぎ防臭する。
  • 伸縮性の靴紐と楕円形の紐通し穴のおかげで、Atomは紐をほどかずに履くことができ、めったに紐を占める必要がない。
  • 古いAtomsを分析と寄付のために送り返すと、次の一足がディスカウントされる。

Image via Jeff Macke

179ドルのAtomは、100ドルのNikeや79ドルのAllbirdより高価だ。しかしバスケットボールシューズの巨人は1/2サイズ刻み、Allbirdは整数サイズしかないのでぴったりと足に合う人は稀だ。左右それぞれの足によく合った1/4サイズの靴は、体と一体化しているように感じられる。

「より良い靴を作るためには、なぜ人は靴を履くのかを知る必要がある」とAtomsの共同ファウンダー、Waqas Aliが私に言った。「人は決して履くことのないファンシーなドレスシューズを買い、子供っぽいデザインとブランディングに失望する。私たちはAtomsを日々の生活で使うことを念頭に開発してきた。歩く、立つ、通勤する。消費者は人間であり広告塔ではない。だからロゴはつけない。

それでもAtomsはベータテスト中からバイラルに広まった。一番に欲しい人たち4000人が 予約待ちの行列に並んだ。米国でのAtomsの発売は今年の夏だが、第一群の予約客たちは6月末から7月はじめに靴を手に入れる。

ビッグバン

Waqas AliとSidra Aliの夫婦ペアは、2012年にパキスタンのオカラでMarkhorという最初の靴の会社をスタートさせた。彼らは起業家にとって最大の特性ともいえる「好奇心」を武器に市場に挑戦した。先入観を捨て、世界中を回って人がどのように靴を履いているのかを調べた。「みんな『イタリアではみんな革靴を履いている』と思うかもしれないが、若者たちは皆スニーカーを履いていた」とWaqasは言う。

Kickstarterでプロジェクトを立ち上げたあと、Ali夫妻はシリコンバレーに来て、定評あるスタートアップアクセラレーター、Y Combinatorの2015年夏学期に参加した。

履き心地とスタイルがスニーカー購入の大きな決定要素だったので、ふたりはそこで差別化を図った。調査の結果70%以上の人たちが、左右の足で少なくとも1/4サイズ以上、7%以上が1/2サイズ違うことがわかった。だったらなぜ靴メーカーは1/4サイズを作らないのか?山ほどの種類の靴を作っているのに」とWaqasは言う。。

2つの基本方針が急遽一致した。男女兼用のモデルを1種類だけ限られたカラーでデザインすることで余分な布地や型紙を排除し、1/4刻みのサイズを作ることができる。事実、顧客の35%は左右で別のサイズを選んだ。こうしたブレークスルーによって、56万ドルのシード資金を元LinkedInのグロース責任者Aatif AwanとShrug Capitalから調達した。

しかしAtomsはシリコンバレーのシューズというラベル付を避けようと決意をした。プログラマーたちではなく、画家やグラフィックデザイナーのようなクリエイティブタイプの人たちにアーリーアダプターになって欲しいと考えている。目標は、コック長が一晩中履いても痛くならず、それでいてシックなダイニングルームに自信を持って立ち入れるエレガントなスニーカーを作ることだ。

フットウェアの未来

「市場にある履き心地の良い靴のほとんどが、心地よいのは試着したときだけだ」とWaqasは嘆く。別の靴スタートアップであるAllbirdsを見てみよう。超ソフトなウール製で、最初の何歩かはまるで雲のスリッパを履いているように感じる。しかし10ブロックも歩くと、曲がりやすい靴底はあまり足を保護していてないことがわかる。

そこでAtomsは靴ビジネス18年のベテランでポートランドと韓国でAdidasとPumaに勤めていたSangmin Leeを雇った。彼は大量の試作品を作り、その結果生まれたのが堅牢だが軽く、滑り止めと軽量化のための切れ込みの入った靴底だった。一方靴上部に使われている丈夫なメッシュ素材は通気性を保ちつつ形状を維持し、汚れにくい。

Image via Adam Bain

「靴メーカーは持続可能な材料を使っていると言うが、工場に履いていくとバラバラになってしまう」とSidraが私に言った。われわれの靴が環境の優しいのは、長持ちするからだ」とWawasが笑いながら言った。

現在Atomsは、購入者を永久利用者に変えるためのコマース・イノベーションを起こそうとしている。インソールに特殊なパターンを印刷し、体重のかかる位置のパターンが消えるようにする。利用者がディスカウントを受けるために古い靴を送ってきたら、インソールのパターンを分析して将来のモデルの形状を改善するのに役立てようという考えだ。

大手靴メーカーがミニマリストの1/4サイズスニーカーに進出してきたときのために、顧客ロイヤリティーが必要だ。1スタイルでカラーも限られていることから、テイストに合わないという人も多いだろう。ジムに行くのにもスーツにも似合わないかもしれない。しかし、しかし、控えめで丈夫で余計なことを考える必要のない靴がほしい人にはAtomsは最適だ。

膨大な広告とリアル店舗の流通力によって大ブランドが支配する市場で、スタートアップが手がかりをつかむためには、迅速さと完璧な顧客体験に頼るほかはない。ライバルの靴スタートアップに感謝すべきなのは、「世界はNikeとAdidasだけが支配しているのではないことをAllbirdsが示した」ことだろう。。

幸いAtomsには、交換可能なスニーカーの世界で強力な差別化要因を持っていることだ。「1/4刻みのサイズなんてジョークかギミックだと思っていた。10.25sを試すまでは」とAirbnbのデザイナー、Bryce Danielがツイートした。「10.25がこんなにぴったりなのに10.5には戻れない」。個人的には、過去十年間に私の生活にここまで深く浸透したIT製品やスタートアップ製品は、AppleのAirPods以来だ。

「靴をハックする方法はない」とWaqasは結んだ。「良い靴を作るしかない」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ニュースソースの信頼度をランク付けするNuzzelRank、本誌TechCrunchは総合4位だった!

Elon MuskAdBlock Plusも、誰もかれもが、信頼できるニュースソースはこれだあれだと主張する。今回、ニュースアグリゲーターのNuzzelももその仲間に加わった。

このほど同社がローンチしたNuzzelRankは、CEOのJonathan Abramsによると、“人気も評価も高い何千ものニュースソースを優秀なビジネスインフルエンサーたちからのシグナルに基づいて、権威あるランク付けを行ったもの”、だ。彼によるとそれは、これまで同社のニュースモニタリングとリサーチサービスNuzzel Media Intelligenceで使っていたランキングシステムをリプレースする。

NuzzelRankは、同社のMedia Intelligenceリポートの外で見ることもある。たとえばNuzzelのトップソースには新たにランキングのページがある。またAbramsによると、パブリッシャーは自分のWebサイトにNuzzelRankのスコアのバッジを貼り付けることができる。このバッジ機能は、API化するつもりだ。

ではでは、Nuzzelはどのようにしてランク付けをしているのだろうか? トップソースのランキングで本誌TechCrunchが、全体の中で信頼度4位であることを知ったら、ますますそれを知りたいだろう。1〜3位はThe New York Times, The Washington Post, The Atlantic(1857年創刊!)と老舗有名紙誌が並ぶが、The New YorkerやWiredは本誌より下だ…こいつらはどちらも、きれいごとの記事が多く、ちょいとアホっぽいもんね。

Abramsによると、Nuzzelのランク採点法は主に三つあり、まず、読者が読んだか読まなかったかというNuzzel自身のデータ。第二に、“ニュースソースのエンゲージメントと権威に関する外部のシグナル”を見る。

第三は、いろんな独自のやり方でニュースソースを採点している大量の外部団体を参考にし、それらを信頼性でソートする。そのためNuzzelは、Trust ProjectとCredibility Coalitionに参加しているし、またNewsGuardやDeepnews.aiとパートナーしている。

NuzzelRankの発表声明の中でAbramsは、同社は人間編集者に依存していないし、彼らの判断をそのまま使うことはない、と強調している。“Nuzzelはつねに、スケーラブルなソリューションの構築にフォーカスしており、そのためにソフトウェアを使って既存の貴重なシグナルを集積し、有用で役に立つ結果を提供している。人間的なアプローチはスケーラビリティがなく、偏りがちだ”、というのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

WebサイトビルダーSquarespaceがユーザーのビジネスツールの一環としてメールマーケティングを提供

Webサイトビルダーの今や老舗Squarespaceが、初めてメールマーケティングツールを顧客に提供する。CEOのAnthony Casalenaとプロダクト担当ディレクターNatalie Gibralterによると、Squarespaceというプラットホームは徐々にシンプルなWebサイトビルダーであることを超えて、eコマースアナリティクスなどの機能を加えてきた。

Gibralterによると、目標はSquarespaceをWebでビジネスをしたい人の“オールインワンのプラットホーム”にすることだ。“マーケティングツールのもっと幅広いスイートを構想しているが、メールはその最初の出だしだ”、という。

しかしeメールマーケティングツールは昔からいろいろある。スタンドアローンのツールだけでなく、Weeblyなど競合するWebサイトビルダーにも、メールマーケティング機能がある。しかしCasalenaとGibralterによると、主なアドバンテージはSquarespaceがメールマーケティングをもっと大きなプラットホームに統合していることだ。

大きなプラットホームというのは、Casalenaによると、“eコマース機能は前からあるので、各サイトにはその顧客に関する情報(購入履歴など)の蓄積がある。ユーザーがブログを併設していれば、顧客との優れた接点がすでにある。それらはいずれも、シンプルで使いやすいし、最初から的(まと)を得ている”、のだそうだ。つまり、メールマーケティングを展開するための情報リソースとしてのインフラがすでにある、と言いたいのだ。

[eメールエディター]
Squarespace Email Editor

またSquarespaceは長年のWebサイト制作から学んで、メールビルダーも単純明快ですっきりとしたプロフェッショナルなツールを提供できているようだ。Gibralterがやってくれたデモからは、そう感じた。

そのメールビルダーは、テンプレートがあるのでそれをカスタマイズすることから始める。コンテンツはWebサイトやブログからインポートでき、応答性の良いレイアウトにより、デスクトップでもモバイルでも見栄えが良い。スマートフォン上でもメールの作成やエディットがやりやすい。ダッシュボードからマーケティングの全体を概観でき、過去のキャンペーンとその成果も分かる。古いレイアウトの再利用もできる。

また、Squarespaceのアナリティクスツールと統合されているので、メールがオープンされたことだけでなく、それがそのユーザーのWebサイトへのその後のトラフィックや購入アクションを生成したかも分かる。

GibralterによるとSquarespaceは、必要な情報開示をちゃんとやっているかなど、法的なコンプライアンスでもユーザーのビジネスを助けている。ユーザーが使っている色も保存して、今後の一貫したブランド構築を助ける。この、使用色の統一という機能はとても役に立つので、Webサイトビルダーの機能にもしたい、と言っている。

でもGibralterはさらに曰く、これはマーケティング機能の始まりに過ぎない。顧客のセグメンテーションやドリップキャンペーンも今後の予定に載っている。

メールマーケティングはまず既存の顧客への無料の展開からスタートする。本格的な開始は秋からで、料金は月額8ドルだ。

画像クレジット: Squarespace

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

改造機のマーケットプレースBack Marketが$48Mを調達…スマートフォン市場の成熟で成長企業に

古いスマートフォンを改造機/改装機のWebサイトで売ろうとしたら、タブをたくさん開いて買い取り値段を比較することになるだろう。そこでフランスのBack Marketは、この断片化した産業をなんとかすべく、すべての改造機屋さんが集まれるマーケットプレースを作り、一箇所であらゆるニーズが満たせるようにした。

同社は今日、4800万ドルを調達した。投資家は、Groupe Arnault, Eurazeo, Aglaé Ventures, Daphniなどだ。

5月に取材したときは、同社に270あまりのファクトリーが登録している、と言った〔たぶん170の間違い〕。Back Marketが3年間に扱った商品総額は、1億1000万ドルを超えている。今サービスの供用地域はフランス、ドイツ、スペイン、そしてイタリアだ。アメリカにも、最近進出した。

協同ファウンダーでチーフクリエイティブオフィサーのVianney Vauteはこう言う: “改造機は一部のテクノロジーマニアのものだったけど、Back Market以降は一般消費者の一般的な代替機だ”。

複数のファクトリーとパートナーしていると、価格や故障率、品質保証などが良い方向へ揃っていく。選ぶパートナーは、その質で厳選している。このマーケットプレースに参加したいスタートアップは、消費者が信頼するブランドを築く必要がある。

いちばん突出している製品はスマートフォンとラップトップだが、ほかにゲーム機やテレビ、ヘッドホン、コーヒーマシンなども扱う。Apple自身が改修したApple製品も売っている。

今のスマートフォン市場は成熟市場なので、ぴかぴかの新品でなくてもよい、というお客は多い。昨年や一昨年の機種でも、十分に使えればそれでよい、という。そんな今の時代は、Back Marketにとっても、改造機産業にとっても、ビッグな機会だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

このARグッピーは人間の感情を餌にして育つ

Indiecadeは、雑踏で暑苦しいE3カンファレンスの展示フロアの中で、いつもほっと一息つかせてくれる。独立デベロッパーたちのたちの緩いつながりによる集団は、大規模スタジオシステムにはない興味深く独特なゲーミング体験を提供してくれる。

TendARはその中でも今年特に期待される事例だ。一言で言えば、人間の感情をARを通じて常食とするペットフィッシュだ。なぜこれが素晴らしいのか説明できないが、とにかくそうなのだ。これはビデオゲームなのだからただ受け入れて先へ進むしかない。

アプリを作っているTender Clawsはロサンゼルスの小さなゲーム会社で、Virtual Virtual Realityで最もよく知られている。Oculusのタイトルで、その「重要な特徴」は、50種類以上のユニークなバーチャル・バーチャルリアリティーとこちらにむかって金切り声を浴びせるアーティチョークだ。

TendARは、不条理主義の枠組みにしっかり収まってはいるが、たまごっちやDreamcastのカルト的ヒット作シーマンなどのバーチャルペットと共通点が多いかもしれない。ペットのグッピーが顔認識を通じて検出された人間の感情を餌にするシステムには、ダグラス・アダムスの要素も少々入っている。

ゲームは2人のプレーヤー向けにデザインされていて、一つの端末を2人で持ち。おしゃべりな魚に促されてはさまざまな感情を模倣する。望まれたものを与えるのに失敗すると魚は傷つく。試してみたところ私のグッピーはあっという間に死んでしまった。私は悲しみを真似る能力を著しく欠いていたようだ。

アプリはAndroid用で今年中に公開される予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Airbnb、緊急時に備えた宿泊提供ボランティア登録を受付へ

宿泊先を探している人に個人が自分の家や部屋を貸し出すことができる旅行スタートアップAirbnbには、オープンハウスプログラムというものがあり、これまで1万7000日分もの宿泊を提供してきた。これはAirbnbホストのボランティアプログラムで、ハリケーンや洪水、その他の自然災害などで避難を余儀なくされた人や、災害に遭った家族をサポートするために他の都市から来た人に、家や部屋を無料で提供するというものだ。

そして今、Airbnbはこのプログラムをより多くの人が参加できるようなものにするため、新バージョンを試行しようとしている。その新バージョンでは、Airbnbのホスト、そしてホストではなくても困っている人に宿を提供したいと思う人なら誰でも“スタンバイ”リストに登録できるというものだ。

今夏に試験開始を見込む今回の取り組みは、まずカリフォルニア州サンノゼで実施する。その後、年内にいくつかの都市に広げ、最終的にはグローバル展開する予定だ。

オープンホームの拡大は、このプログラムを災害などの緊急時にいかに素早く役立てられるようにするか、というところからきている。Airbnbはこれまで90件超の災害時に9000軒の家(部屋)での宿泊を提供した。その中で、時間的ギャップが課題として浮かび上がった。というのも、家や部屋を貸し出すボランティアを募るのに数日かかるからだ。必要な時にすぐにサービスを提供できるよう、前もって準備できることがある、ということで今回の取り組みに至っている。

サンノゼがプログラムの試験を行う初の都市に選ばれたのには2つ理由がある。2017年の大規模な洪水では、同市は1万4000世帯を避難させなけれなならず、そうした人たちの宿泊場所を用意するのにAirbnbに頼ったという経緯がある。それだけに、サンノゼはこのプログラムの意義を理解しているのだ。またサンノゼはシリコンバレーの中心地に位置するだけあって、テック企業主導のサービスを積極的に受け入れる素地がある。

「想像がつくかと思うが、シリコンバレーにおける最大の都市として、テック企業とのコラボレーションはいいことだと思っている」とサンノゼ市長のSam Liccardoはインタビューでこう答えている。「テクノロジーは私たちの経済を一変させた。と同時に、コラボレーション的なアプローチをとることも可能なはずだ」と話した。

これまでにもサンノゼとAirbnbは協力したことがある。ホテルに宿泊する人が払う宿泊税を、Airbnbのホストが自分の部屋に泊まる客から集め、市がホストに課税するというスキームをつくった。これについてLiccardoは、このスキームがAirbnbが他都市で同様の税金に対応する際のテンプレートとなった、と指摘する。

Airbnbがサンノゼでオープンホームを展開したのは洪水がきっかけだったが、Liccardoによるとサンノゼが洪水よりも懸念している自然災害は地震であり、それに十分に備えたいという考えだ。

Airbnbの災害対応・救援の責任者Kellie Bentzは、Airbnbはこれまで救援団体と宿のコーディネートで協力してきた、と語る。オープンホームの次の段階では、このプログラムを拡充するために市当局と緊密に連携を取ることになる。

詳細は今後詰められることになるが、このプログラムはAirbnbのホスト登録をしていない人にもアピールするものとなるため、Airbnbとサンノゼ市が共同で社会に向けて発信するとことになりそうだ。これには、公共サービスでの告知や、災害時に宿を提供することについてその詳細を直接聞くことができるセッションも含まれる。災害時の宿の提供では、ホストはおそらく収入を得ることはできないが、Airbnbがある程度のコストを負担することはあり得る。宿を提供してもいいと考える人のネットワークをあらかじめ築くことで、Airbnbは各ホストがどんな宿を提供できるのか、あるいはどんな制限があるのかといった、より包括的なデータを集めることができる。

このプログラムの趣旨について、Bentzはサンノゼ市に取り入るものでもなければ、Airbnbのホストを増やすこともでもないと断言する。しかし想像するに、この2つは(意図していないとしても)おおいに起こりうる副作用だろう。サンノゼ市はこれまでAirbnbとずっとうまくやってきたというわけではない。Airbnbはホテル向けの規則に違反し、いくつかのケースではまだAirbnbの宿に修正を加えている最中だ。今回の取り組みにより、Airbnbは、崩壊的な侵略者ではなく頼れる存在になる、という社会的信用を得られる。一方、ホストについてだが、これまでAirbnbの宿を何回も利用したことはあっても自分の住まいを誰かに貸すことに消極的という人に対し、このプログラムは少なくともコンセプトをアピールするチャンスになる(厳密に言うと、Airbnbはそうした理由でこのプログラムを拡大するわけではない、としている。このプログラムに誠実さがなければ、私は今ここにいないだろう、とBentzは語った)。

緊急時の宿泊提供者になるというのは、Airbnb以外のところでもできることだが、Airbnbはこれまでのところ、バケーションレンタルのHomeAwayのような家を貸し出す他のプラットフォームと特に協力していない。Bentzは「他社との協力について我々には話し合う用意がある。しかし今のところ、どこかが興味をもっているというような話は聞いていない」と述べている。

 イメージクレジット:Radius Images

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(翻訳:Mizoguchi)

EUのデジタルシングルマーケットを離れるということーUKスタートアップへの影響は

EUのデジタルシングルマーケット(DSM)を去る。これはUKのスタートアップにとって何を意味するのだろう。実際のところ、誰にもわからない。だからこそ、来年のEU離脱にともなってDSMを去ることがUKのテックスタートアップにどのような影響を及ぼすのか、UKの3つのベンチャーキャピタルが主導して調査を行なっている。

3つのベンチャーキャピタルとは、LocalGlobeIndex VenturesAtomicoだ。あなたもこちらで短い調査に参加できる。

英国のテリザ・メイ首相は以前、英国が来年正式にEUを離脱するときDSMを去ることになるだろうと発表した。しかし、情報筋がTechCrunchに明らかにしたところによると、これは諮問にかけられていないのだという。

2015年5月に発表され、当時の英国政府に強力に支えられたこのDSMの狙いは、規則の壁をなくし、28カ国の‘デジタル’マーケットを1つにする、というものだった。予想では、これは年間4150億ユーロの経済効果があり、何百、何千もの雇用を生み出せる、とされた。

DSMは欧州委員会の優先すべき10の施策の1つで、下記にある3つの柱で構成されている。

1.デジタル商品・サービスへのアクセスを改善する

デジタル・シングル・マーケット戦略では、消費者や事業者が欧州全体でオンライン商品やオンラインサービスにスムースにアクセスできるよう模索する。例えば、eコマースの国境をなくし、消費者を保護しながらオンラインコンテンツへのアクセスを可能にする。

2.デジタルネットワークやサービスが成長する環境

デジタル・シングル・マーケットは、正しい規則のもとでハイスピードかつ安全、そして信頼できるインフラを整備し、これによりデジタルネットワークやサービスの環境を整えることを目的とする。懸念事項としては、サイバーセキュリティ、データ保護/eプライバシー、公正さ、オンラインプラットフォームの透明性が挙げられる。

3.成長の原動力としてデジタル

デジタル・シングル・マーケット戦略は欧州のデジタル経済の成長の可能性を最大化することを目的とする。ゆえに、今日のデジタル社会では必須となっているデジタルスキルを磨くなどして、全ての欧州市民がこの恩恵にあずかる。

ところで、Tech For UKは、英国のEU脱退を問う‘市民の投票’をサポートした、英国テック企業のリーダー100人超で構成される新たなグループだ。現在、新たなサポーターを募集している。

このグループは、Lastminute.comの共同設立者として知られるMartha Lane-Fox、P2Pファイナス先駆けのZopawp設立に関わった1人Giles Andrews、Tide銀行のCEO、George Bevisらテック業界で名を馳せるリーダーたちをメンバーとして有する。また、Episode 1 VenturesのパートナーであるSimon Murdochといった主要なベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ投資家も含まれる。

Tech For UKは、欧州投資基金のような欧州LPファンドへのアクセスを失うこと、UKのテック企業を支えてきた優秀な人材がUKの入国管理の不透明さを嫌って流出すること、DSMへのアクセスを失うことはUKのテック産業にとって不利に働く、と主張している。

(宣言:私もTech For UKを支持している)

Image Credits: altamira83/iStock

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(翻訳:Mizoguchi)

ディープラーニング専用チップのHailoが$12.5Mを調達、従来型CPUの数倍の性能を達成

これまであまりにも長く、チップは退屈な話題だった。でもでディープラーニングというコンピューティングの革命のおかげで新しい市場が開け、スタートアップがディープラーニングとモデルの計算を加速する専用チップを作って、売ることができるようになった。イスラエルのHailoもそんなスタートアップのひとつで、同社は組み込みデバイス用のディープラーニングチップを作っている。同社は今日(米国時間6/5)、シリーズAで1200万ドルの資金を調達した。

投資家はイスラエルのクラウドファンディングプラットホームOurCrowdのほか, Maniv Mobility, Next Gear, それに複数のエンジェル投資家で、その中にはHailoの会長Zohar Zisapel, Delek MotorsのGil Agmonらがいる。

これでHailoの調達総額は1600万ドルになるが、資金はもっぱら今後のディープラーニングプロセッサーの開発に充てられる。同社の予測では、最初の製品のサンプルを市場に出せるのが2019年の前半だ。それらのチップは主に、ドローンや自動車、各種スマートホーム製品、カメラなど多様なデバイスの、組み込みAIアプリケーションを駆動する。

しかしHailoの主力市場は自動車産業だ。その意味では同社は、最近Intelが買収した同じくイスラエルのMobileyeの後を追う形だ。

HailoのCEO Orr Danonはこう述べる: “これまでのプロセッサーのアーキテクチャは70歳の老人で、今日のディープラーニングやAIの処理ニーズに適していない。Hailoはプロセッサーの革命的なアーキテクチャにより、ディープラーニングの処理を数倍速くする。われわれはコンピューターのアーキテクチャの基本要素であるメモリーとコントロールとコンピュートと、それらの間の関係を、完全に新しい設計にした”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

手数料なしのモバイル銀行Chime、シリーズCで7000万ドル調達して企業価値5億ドルに

サンフランシスコ拠点のChimeは顧客フレンドリー、手数料なしという新進気鋭の銀行として知られる。そのChimeがMenlo Ventures主導のシリーズCラウンドで7000万ドルを調達した。共同投資を行ったのは、これまでも投資してきたForerunner Ventures、Aspec Ventures、Cathay Innovation、Northwestern Mutual、Crosslink Capital、そしてOmidyar Networkで、これまでの累計調達額は1億ドルを超え、企業価値はおおよそ5億ドルだ。

このスタートアップは、実在店舗を必要としない若い人々、特にミレニアル世代に人気がある新手の銀行の一つだ。ミレニアル世代は、当座貸越しとなったり最低残高を下回ったりしたときに課金されるのにうんざりしている。手数料というのは、消費者が金融面で最も重視するポイントだ。

Chimeの指摘にあるように、既存の銀行は2017年、顧客に340億ドル超の手数料を課した。一方のChimeは、顧客向け手数料を下げている。

月々の手数料なし、口座維持手数料なし、当座貸越し手数料なし、そして海外送金手数料もなし。加えて、無料で利用できる約4万台のATMネットワークも展開している。顧客を脅かすように手数料をとる代わりに、Chimeはデビッドカードを含む支払い手数料ベースのビジネスモデルで収益をあげている。デビットカードでは、Visaからの1.5%の支払い手数料で稼いでいる。

手数料がないというのは消費者にとって大きな魅力である一方で、Chimeは斬新な機能でも人気を博している。スタートアップとファイナンスそれぞれの専門家が組んで立ち上げられたサービスだけあって、アプリは古めかしい銀行のものではなく、まるでテック企業が展開しているもののようだ。

Chimeの共同創業者でCEOのChris Brittは以前Flycastで働き、comScoreの初期の社員でもあり、VisaとGreen Dotでも働いた経験を持つ。共同創業者でCTOのRyan KingはPlaxoとComcastで経験を積んだ。

「私がこの会社を立ち上げたのは、Green Dotはクレジットの返済履歴が良くないなどして銀行に口座をひらけないような人を専門としてきたから」とBrittは説明する。「Green Dotはあらゆる機能を持つ口座ではなかった。だから、私がChimeでしたいのは、通常の人々向けのプロダクトをつくることだった。その通常の人というのはBank of AmericaやWells Fargoに実際に口座を持っているものの、さまざまな理由で銀行に決して満足していない。おそらく真っ先に来るその理由は、銀行のプロダクトがかなり罰則主義だから、というもものだろう」と語る。

Chimeがコンシューマー向けのサービスを開始したのは2014年半ばのことだ。しかしChimeをメーンバンクとして利用してもらうための一連の機能は2016年初めまで提供していなかった。

今日では、そうしたメーンバンクとしての機能には、カード利用時の端数を自動的に預金するオプションや、給料の10%を自動的に定期口座に入れるサービスも含まれる。また、人気の手数料なし給料前払いサービスもある。このサービスでは、給料を支払う側が支払いの手続きをすると、Chimeが実際の給料支払日前であっても給料を使えるようにするというものだ。

こうした機能、そして手数料なしという点で、Chimeは他の銀行を利用していた全米の多くの若者を魅了した。数週間前にChimeの口座数は100万を超え、今では毎月10万件の口座開設がある。また、これまでの取引高は45億ドルにのぼり、今年末には100億ドルを達成する見込みだ。

追加の資金調達で、Chimeは事業規模をさらに大きくしようとしている。マーケティングに力を入れるのはもちろん、現在80人規模のサンフランシスコのチームを100人規模にし、商品開発や新たな機能の提供を行う予定だ。

「次に取り組むべきは、顧客がより効率的にクレジットやローンを管理できるようになるのを手伝うこと。クレジットカード締め切りのサイクルを短くすることで負債の管理ができるようになると考えている」とBrittは語る。しかし、詳しい情報は明らかにしなかった。

Chimeはまた給料を支払う企業とも何かしら試みを抱えているようだが、今回詳細は語れない。

今回の資金調達ラウンドでは、Menlo VenturesのShawn Carolanが役員に加わった。

CarolanはMenloの投資について「銀行の口座というのは、財政上そして精神衛生上、暮らしの中心にあるもの」と話す。また「表に出さない手数料で顧客を脅すようなやり方ではなく、顧客自身のために貯蓄するのをより促すというやり方で成長するChimeのアプローチに共感する。ファイナンシャルサービス分野におけるこうしたビジネスモデルへの移行は避けられず、Chimeはその先頭をいくものになる」とも語った。

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(翻訳:Mizoguchi)

GoogleのインキュベーターからWAYZのNY地下鉄版登場――Pigeonはクラウドーシングで遅延を教えてくれる

Googleのインキュベーター、Area 120からニューヨーク市の地下鉄通勤者を助ける新しいアプリが登場した。最近NYの地下鉄はとみに遅延の回数が増えているが、アプリは利用者にクラウドーシングで最新の運行状況を教えてくれる。

PigeonアプリはAppleのApp storeに登録されているものの、現在は「招待オンリー」なので、私自身はまだ試していない。

しかPigeonのウェブサイトの説明によれば、利用者は日頃通勤、通学に使うルートを設定しておくと、運行に遅延が生じた場合、適切な代替ルートを教えてくれる。運行情報は他の地下鉄利用者からリアルタイムで収集されるので正確だ。クラウドーシングでナビゲーションができる点、地下鉄版のGoogle WAYZといっていいだろう。

Pigeonの開発チームはウェブサイトに「長年ニューヨーク市に住んで地下鉄を利用してきたので運行があてにならず苛立たしい思いをすることが多いのを実際に知っている。そこでわれわれはこのプロジェクトを立ち上げた。地下鉄利用者が互いに情報を交換して助け合い、ニューヨークにおける通勤をかくも不快なものにしている混雑、遅れ、ストレスを最小限に留めるためのアプリだ」と書いている。

Pigeon

私自身もニューヨーカーだが、地下鉄での移動ではもっぱらGoogleマップを頼りにしている。このアプリにはMTAの発表をベースにした遅延情報やそこそこ正確な到着予定時間が表示される。しかしもっと正確でもっとリアルタイム性の高いデータが得られるなら大歓迎だ。それに私は通常の通勤ルートで地下鉄に乗る場合、いちいちGoogleマップをチェックしない。つまり思わぬ遅延に出くわして重要なミーティングに出られなかったり、ひどく遅れたりする可能性があるわけだ。

Accel Partnersが支援するTransitやSequoia、 Intel Capitalが支援するMoovitのようなスタートアップも公共交通機関の利用にすぐれたナビゲーションを提供しようと努力している。

このアプリについて問い合わせるとGoogleの広報担当者から以下にような声明が送られてきた。

インキュベーターのArea 120ではさまざまなプロジェクトが動いているがPigeonもその一つだ。このiOSアプリはニューヨーク市の地下鉄利用者に他の利用者からリアルタイムで運行状況を知らせ、最適な代替ルートを選べるようにする。Area 120の他のプロジェクトと同様、きわめて初期段階の実験であるため今のところ発表可能な詳細は少ない

画像:Joe Josephs / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Airbnb CEO、「来年のIPOは可能、だけどないかもしれない」

Airbnbは年間数十億ドルの売上をもたらし、EBITDAベースで黒字なので、この宿泊シェアリング会社がいつ上場するのか多くの人々が注目している。今日(米国時間5/30)のCodeカンファレンスで、Airbnb CEO Brian Cheskyは、「来年IPOはできるだろうが、するかどうかはわからない」と言った。

Airbnbが上場するときは、それが間違いなく会社にとって大きな利益になることを考えなくてはならないと付け加えた。いくつかの質問のあと、Cheskyは「上場することに問題はない。上場は可能だ」と語った。

一方Airbnbは規制問題に関しては2010年以来苦闘を続けている。中でもサンフランシスコとニューヨークは規制の観点から見てもっとも困難な2都市だとCheskeyは言った。

たとえばニューヨークは2010年以来停滞状態にある。Cheskyによると、彼はニューヨークの問題は解決にあと数年かかると予想している。

「この挑戦には終わりがないように思える」とCheskyは言った。Cheskyによるとこの問題には、ホテル業界および「この終わりのない戦いに人々を駆り立てた」組合も関係しているという。

ほかにAirbnbに対する批判として、家賃の上昇と立退きの問題が挙げられている。Cheskyはこれを単なる経営判断だとして付け加えた。ニューヨークには「住む価値がなかったということだろう」。しかしCheskyは、Airbnbで収入を得ることに依存しているホストもいると言う。

CodeカンファレンスでCheskyは、AirbnbのExperience製品を説明し、同社の宿泊サービスの10倍以上の速さで伸びていることを自慢した。Airbnb ExperienceはAirbnbが2014年にテストを始め、正式には2016年にスタートした、旅行者が世界中の都市でなにかを見つけるのを手伝うサービスだ。

スタート当初、Airbnbはそれぞれの体験について調べていなかったが、悪い体験がいくつかあって以来、Aibrnbは検証を始めた

「非常にうまくいっている」とCheskyは言った。さらに、「Experience経済」は成長中であり、「おそらく各種の体験を中心にして大きな経済が生まれるだろう」と付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転車を生み出す資金潤沢なスタートアップたち

【編集部注】著者のJason Rowleyは、ベンチャーキャピタルであり、Crunchbase Newsのテクノロジーレポーターでもある。

未来のいつか、車に乗りながら子供が親たちに質問を投げかけるかもしれない。自動車を操縦するのにハンドルとペダルを使っていたのはどれ位前のことなの?と。もちろん、完全に自律走行を行う自動車の形での実現はまだまだ先のことだが、それにも関わらず、その未来を生み出そうと現在努力を続けている企業がある。

しかし、輸送の様相を変えることはコストのかかる事業であり、そのような野心的な目標を達成するためには、通常企業の支援や多額のベンチャー資金が必要となる。最近行われた、深圳に拠点を構えるRoadstar.aiによる、1億2800万ドルのシリーズAラウンドが、私たちCrunchbase Newsに1つの疑問を投げかけた。十分な資金を持つ自動運転車の独立スタートアップは一体何社存在しているのだろうか?

結論を先に言えば、想像されるほどは多くない。さらに調査をするために、私たちはCrunchbaseの“autonomous vehicle”(自動運転車)カテゴリーの中で、5000万ドル以上のベンチャー資金を調達した独立系企業群を選び出した。少しばかり手を動かして整理してみたところ、私たちはそれらの会社が大きく2つのカテゴリーに分かれることに気が付いた。1つは任意の自動運転システムに組み込むことを狙うセンサーテクノロジーを開発する企業、そしてもう1つはセンサーや機械学習ソフトウェアモデル、そして制御機構を、より統合された自律システムに組み込む「フルスタック」ハードウェア/ソフトウェア企業である。

フルスタック自動運転車開発企業

まずはフルスタック企業から始めよう。下の表は、現在市場に存在する独立したフルスタック自動運転自動車会社たちと、その重点分野、本社の所在地、およびベンチャー資金調達総額を示している。

上記にリストされた企業間の重点分野の内訳に注意して欲しい。一般的にこれらの企業は、より一般化されたテクノロジープラットフォームを構築することに集中している。おそらく将来的には大手自動車メーカーに販売またはライセンス供与することになるのだろう。一方自動運転車のテクノロジーを開発するだけではなく、オンデマンドタクシーやその他の移動サービスを展開したいと考える企業たちもいる。

自動運転車の目と耳を作る

センサー側を見た場合、以下の表から分かるように、1つの重点分野に集中する傾向が見られる:

センシング分野の中で最も多額の資金調達を行ったスタートアップのなかには、LiDARテクノロジーを開発するものもいる(LiDARは基本的に自動運転車に深さを検知する「目」を提供する仕掛けだ)。CYNGNはLiDARを含む多くの異なるセンサーを、そのハードウェアとソフトウェアに統合している。同社は以前Cyanogenという名の携帯電話のOSメーカーが大胆な方向転換をしたものだ。

しかし、これらのセンサー企業たちには、また別の問題領域がある、たとえば位置データを収集し、注意散漫な運転を検出するNautoのスマートダッシュカムや、車両間の通信を支援する、AutotalkDSRC技術などだ。(4月にCrunchbase Newsでは、オープンソースのダッシュカムアプリをリリースしたCommaによる、500万ドルのシリーズAについて報告している)。

前述のフルスタックプロバイダとは異なり、これらのセンサーベンダの多くは、自動車業界に対するベンダ関係を確立している。例えばQuanergy Systemsは 、自動車部品の巨人Delphiや、高級車メーカーであるJaguarやMercedes-Benz、そしてHyundaiやRenault-Nissanのような自動車メーカーを、パートナーや投資家として挙げている。Innovizは、同社のウェブサイトによよれば、そのソリッドステートLiDAR技術をBMW Groupに供給している。

レーダーは(そしてLiDARであったとしても)、今や古い帽子ではあるものの、センサーにおける革新は続いている。IEEE Spectrumに書かれたOryx Visionの技術プロフィールによれば、その「コヒーレント光レーダー」システムはレーダーとLiDARにハイブリッドのようなものであり、「前方の道路を照射するためにレーザーを(赤外線と共に)利用しているものの、レーダーのように反射した信号を粒子ではなく波として扱う」そうだ。その技術は、従来のレーダーや新しいLiDAR技術よりも、長い距離にわたって高解像度のセンシングを提供することができる。

スタートアップたちが、大企業の競合他社に対して対抗することは可能なのか?

潤沢な企業資金に裏打ちされた、自動運転車への取り組みは沢山存在している。Alphabetの子会社であるWaymoは、Googleが生み出す巨額の検索利益から補助を受けている 。Uberも、自動運転車への取り組みを行っているが、今年初めに起きた歩行者を死なせた最初の企業となった不幸な出来事を含む、法律上および安全上の課題を抱えている。

Teslaもその車両向けの、運転補助技術開発にかなりの資金を投入してきたが、そのAutopilot(社内自動運転ソリューション)の責任者が4月に辞任したことで、問題に突き当たっている。同社はまた押し寄せる自社の安全性に対する懸念にも晒されている。そしてAppleの自動運転車プログラムは、他のものよりは公表されていないものの、見えないところで開発は続いている。BaiduやDidi Chuxingのような中国の企業も、シリコンバレーにフルスタック型R&D研究所立ち上げた

従来の自動車メーカーたちもまた、争いに乗り込んで来た。2016年には、10億ドルという驚くべき価格での買収で、ゼネラルモーターズはCruise AutomationをそのR&Dの中に取り込んだ。そして、負けてはならじと、FordもArgo AIの大半の株式を、10億ドルで買収した

このことは私たちに疑問を提起する。先に挙げた資金潤沢なスタートアップたちでも、既存勢力たちから市場の優位性を奪うことは可能なのだろうか?あるいは少なくともいい勝負まで持っていくことが?おそらくは。

投資家の現金がこれらの企業に流入する理由は、自動運転車技術によってもたらされる市場機会が、想像を絶するほど巨大だからだ。それは単に車市場だけの問題ではない(2018年には8000万台以上の車が世界では売られると予想されているが)。それはコンピューターにハンドル操作を任せることによって生み出される時間と心の余裕をどこへ振り向けるかという問題なのだ。非常に多くの企業やその支持者たちが、そのパイの小さな断片でいいから手に入れたいと欲しているのは、不思議でも何でもないことだ。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Photo by Caleb George on Unsplash

Kiwiのロボットが腹ペコのバークレーの学生たちに食事を届ける

SkyDeckの本部を訪れると、そこここにKiwiロボットが居るのを見ることができる。このカリフォリニア大学バークレー校のアクセラレータのフロアには、様々なものが並べられているが、スタートアップの小さなチームは、スペースの片隅でロボットを動作させようと奮闘している。

このロボットは、最近UCバークレー校を訪問した人には見慣れたものとなっている。何年もの間、製品のインキュベーションと試作を繰り返す無数のハードウェアスタートアップたちとは異なり、Kiwiのチームは実際の世界で彼らの製品をテストするために、バークレイキャンパスに製品を持ち込んだ。

共同創業者兼CEOのFelipe Chavez Cortesによれば、同社は既にデリバリーロボット群を使って、1万件以上の注文を処理したそうだ。ますます混み合ってきたデリバリーロボットの世界では、これは差別化できる要素である。なぜなら現在都市部の歩道でのテストには問題が指摘されているからだ。昨年の12月、サンフランシスコ市は、ロボットによる歩道占拠の恐れから、都市の路上でのロボット走行を禁止したのだ。

バークレーキャンパスの目と鼻の先に拠点を置くことで、アクセスの良さが担保され、常に空腹の学生たちというリソースが存在することとなり、同社のテストに役立つということがわかった。また同社の小さなロボットは、競合相手の製品のように、歩道を占拠することもない。

「歩道は大切な場所です、私たちは可能な限り最善の方法で、人びとと交流する技術を創造する必要があります」とCotesは言う。「それこそが、私たちが複数の種類のロボットを使っている理由なのです。このサイズのものは注文の80%に対応できます」。

もう一つの重要な差別化要素は、KIwiの、よりモジュール化されたデリバリー方法である。1台のロボットで配送のすべてをこなすのではなく、この小さな4輪のロボットは最後の300メートルをカバーすることを想定してデザインされている。

「当初レストランから顧客の家に直接向かう1台のロボットから始めたのですが、ごく初期のうちにそのやり方は非効率であることがわかりました」とCortes。「そこで私たちはマルチモーダル(複数形態)システムを作りました。私たちは3種類のロボットを持っています。1つはレストラン店内で働くもの、2つめは通りを走る半自律運転の三輪車、そして3番目はラストマイルロボットです。ラストマイルロボットを街に配備しておき、三輪車を使って一度に何十もの食事をピックアップしてきて、それをロボットに乗せます。ロボットが最後の300メートルを担当します。これはうまく行っています。現時点で、人間の配達員を使うよりも安く、企業は配達をコントロールできています」。

今のところ、Kiwiは大胆なスタートアップの1つであり、それを生み出したアクセラレーターと共に働いている。より大規模なスケールでソリューションを提供するためには、同社にはまだまだ取り組むべき課題がたくさん残っている。バークレイキャンパスを一歩踏み出したら、完全な自律走行の問題や、盗難の可能性などの問題に向き合う必要があるからだ。しかし、それでもこれは有望なスタートの1つだ。

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(翻訳:sako)

ビジネスプロセスオートメーションのWorkFusionが$50Mを調達して買収に向け力をつける

ビジネスプロセスオートメーションのソフトウェアを作っているWorkFusionが、同社の4月の5000万ドルの資金調達ラウンドに新たな投資家を2社加えた。

これで同社の新たな戦略的投資家は、大手保険会社のGuardian、ヘルスケアサービスプロバイダーNew York-Presbyterian、商業銀行のPNC Bankとなる。主に人工知能企業に投資しているベンチャー投資家のAlpha Intelligence Capitalも、この新たな投資に参加した。

企業が手作業で、あのサービスを使ったり、このサービスを使ったりしてやっているビジネスプロセスを、WorkFusionは最初のうち、クラウドソーシングで獲得した労働者にアルゴリズムを教育訓練して、それらのワークフローの自動化*を行っていた。そのころからすでに10年近い年月が経っているが、Crunchbaseによれば、その間に約1億2100万ドルの資金を調達している。それが今では同社の評価に結びつくし、同社の中核的市場である金融サービスと保険業界には、本物のファン層が形成されている。〔*: SaaSインテグレーション、クラウドインテグレーションなどとも呼ばれる。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

デバッグをワークフローに統合してエラーの発見と修復を迅速化するSentryがS16Mを調達

デバッグを大幅に効率化し、その所要時間を“5時間から5分に短縮する”と自称するSentryが今日(米国時間5/24)、これまでの投資家NEAとAccelがリードするシリーズBのラウンドで1600万ドルを調達したことを発表した。NEAとAccelは、Sentryの2年前のシリーズAにも参加している。

協同ファウンダーでCEOのDavid Cramerによると、このラウンドでSentryの調達前評価額はおよそ1億ドルになった。同社が最近リリースしたSentry 9は、同社のそのほかのソフトウェアと同様、オープンソースだ。Sentry 9を使うとエラー修正をデベロッパーのワークフローに統合/一体化でき、コードの各部を担当しているデベロッパーに自動的に通知を送り、環境でフィルターする*ことによって、問題箇所の特定を助ける。またそれにより、複数のチーム間のコラボレーションも可能にする。同社によると、この方式ならバグフィックスに要する時間が“5時間から5分に短縮される”、という。〔*: 参考記事

同社は、とくにプロダクトのチームでは、“デベロッパーと彼らに隣接しているロールを重視する”、とCramerは語る。そこで同社が次に出す予定のツールは、単純なバグでなく、アプリケーションのパフォーマンス管理に関連したより深い疑問に答えるものだ。

“今の弊社のツールが答える疑問は、‘ここのこれが壊れているんだけど、なぜ?’というレベルの疑問だ。それをもっと拡張して、‘これら一連のものごとが同じ理由で壊れているのか?’というより深い洞察に取り組みたい。エラーでないものも、調べなければならない。たとえば、プロダクトのアップデートをデプロイしたら、サインアップフォームへのトラフィックがゼロになった。どこにもエラーはないが、相当深刻だ。…そんな例だ”、とCramerは述べる。

Sentryの技術は、ファウンダーのChris JenningsとCramerがDisqusにいたとき担当したDjanaアプリケーションの、例外(エクセプション)をログする社内的ツールがルーツだ。そのツールをオープンソースにしたら、たちまち、いろんなプログラミング言語用のフォークができてしまった。その需要に応えるべく、2012年にSentryはサービスをホストした。今では有料顧客が9000社(Airbnb, Dropbox, PayPal, Twitte, Uberなど)、計50万のエンジニアが利用し、1年に3600億件あまりのエラーを処理している。

プレス向けの声明でAccelのパートナーDan Levineが言っている: “Sentryの成長は、世界中どこでも、アプリケーションのユーザーが、バグやクラッシュのない完全なユーザー体験を求めていることの証(あかし)だ。お粗末なユーザー体験は、会社を殺す。迅速かつ継続的に前進できるためには、プロダクトのチームは、アプリケーションのアップデートの不具合で去る顧客はいないことを、知る必要がある。重要なのはソフトウェアの本体機能であり、その機能性だけは、エラーフリーでなければならない。Sentryは、デベロッパーがそんなソフトウェアを作れるようにしてくれる”。

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