Spheroが音楽教育スタートアップを買収

Spheroの教育分野への方向展開が、初期段階の今どのように進んでいるのかを正確に述べるのは難しいが、同社は最近資金調達を行い、既に新しいスタートアップたちを買収している。このBB-8の玩具で有名になったメーカーは、本日(米国時間6月22日)の朝、Specdrumsを買収したことを発表した。Specdrumsはコロラド州ボルダーのスタートアップで、指輪に接続したアプリを用いて音楽を作成できるプロジェクトでKickstarterを成功させた

一見したところ、それは奇妙な組み合わせだが、Spheroは明らかにSpecdrumsが持つウェアラブル技術を、新しいSTEAM(科学/技術/工学/芸術/数学)教育への注力に向けての力強い援軍だと考えている。

「私たちは音楽演奏が素晴らしい教師だと確信しています。Specdrumsの追加によって、私たちは製品ロードマップの中のSTEAMの”A”を強化しています」とSpheroのCEO、Paul Berberianはニュースに関連したプレスリリースで述べている。「Spheroの持つ基盤と、Specdrumsの創業者たちがすでに完成させた基礎によって、教室やそれ以外の場所で、好奇心を大いに触発し続ける大きなチャンスを手にできたと考えています」。

Specdrumsが、より大きな会社にどのように適応していくかはまだ見守る必要がある、しかし現時点ではSpheroは、今年の終わりから来年の始まりにかけて、最初の音楽製品を再発売することを約束している。Spedrumsの最初の製品は、同社が2017年に行ったクラウドファンディングキャンペーンの終了後に完売していた。

一方Spheroは、同社から沢山出されたディズニーブランドのロボット玩具が、以前のStar Warsのときのような成功を続けることができなかったことから、数十人の従業員を解雇し、今年はあまり調子のよくないスタートを切っていた。当時、同社は教育への注力を倍増することを約束し、最近行った資金調達ラウンドの1200万ドルを使って、その目標を達成しようとしている。

今回の買収に関する条件は開示されていない。

[原文へ]
(翻訳:sako)

Microsoftが強化学習のスタートアップBonsaiを買収して自律型システムの研究開発を推進

もしも、すべてのテクノロジー大企業が現時点で合意しているたったひとつのことがあるとするなら、それは、人工知能と機械学習が彼らの事業が今後進むべき道を指し示している、ということだ。いや、実際にMicrosoftは、バークリーのAIスタートアップBonsaiを買収しようとしている。大きなM社はこの小さなB社を、同社のAIへの取り組みの中心に据えるようだ。

Bonsaiは、強化学習(reinforcement learning)が専門だ。それは主にシミュレーションの分野で、一種の試行錯誤のようなやり方でシステムを教育する。この学習方法は、自律的なシステムを、特定のタスクが完全にできるまで訓練するために利用できる。Microsoftによると、この買収によって、同社がこれまでAzureのクラウドプラットホームでやっていた研究を、前進させることができる。

Microsoftの企業担当VP Gurdeep Pallが、発表声明の中で言っている: “AIを誰でも便利に利用できるようにするためには、開発の障害を取り除き、すべてのデベロッパーに力をつけ、機械学習のエキスパートでなくてもAIデベロッパーになることが重要だ。Bonsaiはそのために大きな進歩を成し遂げており、Microsoftはこの仕事をさらに前進させることに積極的に関わっていく”。

Microsoftは、この4歳のスタートアップを支援してきた複数の高名な企業のうちの一社だ。Crunchbaseによると、昨年はABB, Samsung, Siemensなどの助力で760万ドルのラウンドを調達し、総調達額が1360万ドルに達した。今回の買収事案は、Microsoftが最近演じた、コードホスティングツールGitHubの派手な買収劇別記事)に続くものだ。

Bonsaiの協同ファウンダー/CEO Mark Hammondは、ブログ記事でこう述べている: “私たちの前方には、インテリジェントで自律的なシステムを動かす人工知能を作って運用するために必要なツールと技術で、世界中の企業とデベロッパーに力をつけていく、大きな機会が開けている。そう感じるのは、私達だけではない。今日は、MicrosoftがBonsaiを買収して、この共通のビジョンの実現の加速に力を貸すことに、私たちは大いに勇気づけられている”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Comcast、Fox買収に650億ドル正式提示――連邦地裁決定を受け、Disneyと競り合いへ

アメリカのケーブルテレビ最大手のComcastは21世紀フォックスの買収案を持っているとわれわれは報じたが、事実だった。ComcastはFoxの映画およびテレビ事業を650億ドル(1株あたり35ドル)で買収する提案を行った。

この金額は昨年12月にDisneyとの間で合意に達していた524億ドルを19%上回る。

アメリカ連邦地裁がAT&TとTime Warnerの合併を認める決定を下したことでComcastgがFox買収で新たな動きを見せるはずだと強く予測されていた。反トラスト法に基づく司法省の合併差止を連邦地裁が覆したことで、キャリヤ企業とメディア企業の垂直統合が広く認められることになるはずだ(ちなみにTechCrunchの親会社OathはキャリヤのVerizonのデジタルメディア事業部)。

Foxの経営陣宛 (つまりルパート・マードックらマードック家の3名)書簡でComcastのCEO、Brian Robertsは次のように述べている

昨年われわれが会った後、 経営陣はComcastこそFoxの事業にとって戦略的に理想的な居場所だと結論した…(われわれの買収提案の方が)はっきりと高額であったにもかかわらずFoxがDisneyの買収提案を受諾したことに失望していた。

AT&T/Time Warnerの合併を巡る昨日の裁判所の決定およびFoxの株主総会の期日が迫っているという事情に照らし、われわれは引き続きFox買収に強い意欲を持っているので以下に全額キャッシュによる新しい買収案を提示する。これはFox買収に関するこれまでの取締役会の意思を完全に引き継ぐものだ。

これでComcastとDisneyはFox買収を巡って全面的に対決することになった。買収の対象は Foxの映画スタジオ(『アバター』シリーズ、X-MENの映画化権、『ファンタスティック・ビースト・フォー』、オリジナルの『スター・ウォーズ』を含む)、テレビスタジオ、ケーブルネットワーク、Huluの持ち株だ。

Robertsは書簡で「(ComcastによるFox買収は)Disneyによる買収と同等かそれ以上に規制当局からの承認を受ける可能性がある」と述べ、さらにFoxがDisneyとの合意を解消する場合に必要な制裁金15億ドルをComcastが肩代わりする用意があるとした。

アップデート: Foxは新たな買収案を提示する書簡を受け取ったことを公表した。この声明で同社は「Comcastからの提案により、株主総会を延期ないし一時休止するかどうか、まだ結論を得ていない」としている。Foxでは7月10日にDisneyの買収提案を議題とする株主総会を開催する予定だった。

画像:Mike Mozart / Flickr under a CC BY 2.0 license

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

連邦地裁、AT&TとTime Warnerの合併を承認――政府の差止決定を覆す

反トラスト法に基づいてAT&TとTime Warnerの合併を差し止めたアメリカ政府の決定を連邦地裁のRichard J. Leon判事は覆した。この数週間、こうした決定が下されると予想されていた。当初からこの合併に反対してきたトランプ政権には打撃となるはずだ。決定はニューヨーク証券取引所の取引終了後に発表された。時間外取引への影響は軽微だった。

独自のコンテンツ製作者の立場を確立しようとしてComcastは21st Century Fox(21世紀フォックス)の買収を狙っていた。今日の決定を受けて、Comcastは早ければ明日にも正式な買収提案に動くと予想されている。

2016年10月に AT&TはTime Warnerを854億ドル(純負債を含めて1080億ドル)で買収する計画を発表した。 これに対し、政府は3月に「競争を阻害し、消費者の選択を狭める」として合併を差し止める決定を行った。

今回の連邦地裁の決定が持つ意味は重要だ。AT&TとTime Warnerの合併という個別案件にとどまらずメディアの再編というさらに大きな問題に影響を及ぼすはずだ。

まず第一に、反トラスト法の目的は経済力が1社に過度に集することによってもたらされる不公正なビジネス慣行から消費者を保護することだ。こうした案件では常に合併の結果生じる会社の規模が問題にされる。しかし反トラスト法の目的は規模を制限することではない。垂直統合においては新たな企業が競争を阻害せず、むしろ消費者の選択を増やす場合が往々にしてみられる。

垂直統合というのは、異なった、ないし相補的な関係にあるビジネス分野の2社が合併するような場合だ。新会社が適切な利益を上げつつつ、消費者は同一あるいはより低い料金で以前より広い範囲のサービスを選択することでできる結果となることが珍しくない。もちろんだからといって垂直統合が無条件に承認されるわけではない。FTC(連邦取引委員会)は2000年以来22件の垂直統合を差し止めている。しかし概して水平統合よりも審査は厳しくない。

AT&T/Time Warnerの件は垂直統合の例と考えられる。AT&Tはキャリヤであり、コンテンツの配給者であるのに対してTime Warnerはコンテンツの製作者だ。しかし他の要素が問題を複雑化していた。

まずこの分野で活動するプレイヤーの数がきわめて少なく、それぞれが強い影響力を持つ世界的企業だ。AT&T自体、世界最大のテレコム企業であるし、傘下のDirecTVを通じてアメリカ最大の多チャンネル配信者でもある。一方Time WarnerはHBO、TBS、TNT、ワーナー・ブラザース・エンタテインメント、NBA、MLB、NCAA March Madness、 PGAなどのスポーツ試合を中継する有力メディア・コングロマリットだ。

そこで司法省は「AT&T-Time Warnerの合併が行われれば、新会社は競争相手に料金引き上げることを余儀なくさせ、競争力を失わせるために通信料金の引き上げを行うことができる」と主張した。政府はまたネット中立性を担保する規則が廃止されるため、たとえばAT&TはNetflixがTime Warnerのコンテンツを配信しない場合、通信料金を引き上げるのを防ぐことができないと論じた。

これに対してAT&TとTime Warner側は(事実巨大企業ではあるが)激しい競争にさらされており、ライバルとなる有力デジタル企業、FAANG(Facebook、Apple、Amazon、Netflix、Google)はすべてビデオ配信を最優先事項のひとつしていると反論した。CNNMoneyが報じたところによれば、AT&T-Time Warnerの弁護士、Daniel Petrocelliは「〔Time-Warneのような〕伝統的形態のメデイア企業はデジタル革命にすでに大きく遅れを取っている」と述べている。

CNNMoneyによれば、こうだ。

PetrocelliはLeon判事に「推算によればFAANG企業の時価総額合計は3兆ドルにもなる。これに対してAT&T-Time Warnerの合併後の時価総額は3000億ドルにしかならない。われわれは彼らの後ろを懸命に追いかけているところだ」と述べた。

一方、トランプ大統領は選挙キャンペーン中から合併に強く反対してきた。Time WarnerはCNNを所有しており、トランプ大統領が目のかたきにしているメディアだ。2016年の選挙戦の演説でトランプ候補は「私が大統領になればこの合併は断固阻止する」と述べ、メディア事業への政治の介入の懸念を高めていた。ただしトランプ大統領は反トラスト担当者にこの件で連絡は取っておらず、合併を承認しないという決定はホワイトハウスからの指示ではないという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

Microsoft、GitHubを75億ドルで買収へ――将来も独立の運営を約束、新CEOはXamrinの共同ファウンダー

今日(米国時間5/4)、MicrosoftはGitHubを75億ドル相当の株式で買収する計画を発表した。予想どおり、この発表は依然としてMicrosoftに対して反感を抱くメンバーが残るデベロッパー・コミュニティーに衝撃を与えている。今朝のカンファレンス・コールにはMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラ、XamarinファウンダーでGitHubのCEOに就任するNat Friedman、GitHubの共同ファウンダーでCEOを離任する予定のChris Wanstrathが出席し、Microsoftグループの一員となってからのGitHubの未来像を説明した。

ここで出席者全員が特に強調したのは、GitHubは今後も独立の企業として運営されるという点だ。これはMicrosoftがこれまでにLinkedInを買収したときのアプローチであり、順当といえる。しかしMicrosoftとしてはGitHubを本拠と考えるデベロッパーの多くが同社にネガティブなイメージを抱いていることを暗に認めたものとも考えられる。GitHubは今後ともオープンプラットフォームであり、いかなるデベロッパーであろうと自由に利用できることをMicrosoftは約束した。GitHubはあらゆるクラウド、あらゆるデバイスをサポートしていく。

GitHubの本質はまったく変わらないとした上で、当然ながら、MicrosoftはGitHubのエンタープライズ向けサービスを拡張し、自身やパートナー企業のセールスチャンネルに乗せていくことを発表した。ナデラは「GitHubはMicrosoftのデベロッパー向けツールとサービスを新しいオーディエンスに紹介していく」と述べた。

Nat FriedmanがGitHubの CEOに就任することで、同社は尊敬されているテクノロジー専門家をリーダーに迎えることができた。Friedmanが共同ファウンダーであるXamarinのMicrosoftによる買収は(少なくともわれわれの目から見て)成功を収めている。実際、私がFriedmanと話した感触では、XamarinがNovellからMicrosoftに移った結果について好感を抱いているように思えた。GitHubの将来についてもポジティブな見通しなのだと思う。

Microsoftの買収後、Friedmanはこのデベロッパー・サービスのチームの責任者となっている。Wanstrathは前任者がハラスメント・スキャンダルで失脚した後、CEOに就いたが、1年近く前から経営者のポジションを離れてもっと直接にプロダクトを開発する仕事をしたいと語っていた。Microsoftの買収でこれが実現したことになる。WanstrathはMicrosoftのテクニカル・フェローに就任し、「戦略的ソフトウェア・イニシアティブ」に携わるという。

今日の電話記者会見でFriedmanはMicrosoftがGitHubをオープンにしておくと約束したことを強調すると同時に、「われわれはさらに多くのデベロッパーとさらに多様な機能をGitHubにもたらしたい」と述べ、GitHubのサービスとコミュニティーを拡大していく計画を発表した。

私はカンファレンス・コールの後、Friedmanにインタビューした。Friedmanは「デベロッパー・コミュニティーには常に健全な懐疑の念があるものだ。しかし、ここ数年のMicrosoftの行動を詳しく検討すれば、本当の意味でオープンソース・コミュニティーの一員に変身したことが理解できるだろう」と述べ、デベロッパーがMicrosoftをそうした事実に基づいて評価するよう求めた。もちろん本当に重要な点はMicrosoftが今日の約束をどのように守るのかにある。

プロダクトそのものに関してFriedmanは。GitHubの本質はすべてデベロッパーの努力を助けるところにあるべきだと述べた。その手始めとして、クラウドの利用をさらに容易にすることに取り組むという。【略】

もうひとつ力を入れていく分野はGitHubのマーケットプレイスだ。Microsoftは同社のすべてのデベロッパー・ツールやサービスをGitHub Marketplaceに登録する。また当然ながらMicrosoftのオープンソースのエディター、Visual Studio CodeがGitHubに統合される。【略】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、GitHubを買収か?

この週末、レッドモンドではMicrosoftが大手コード共有サイト、GitHubを買収するという情報が流れた。 Bloombergによれば、「事情に通じた筋」から得た情報だとし、早ければ明日にも正式な発表があると予想している。

先週、Business Insiderは、両社の間で買収の話し合いが進められているという記事を掲載した。これはデベロッパーのコミュニティーをビジネス上の非常に重要な要素するMicrosoftとしては理にかなった動きだ。伝えられるところでは、GitHub側もサティヤ・ナデラに「強い印象を受けた」ということだ。ナデラは2014年にMicrosoftのCEOに就任して以来、プログラマー、デベロッパーを積極的に応援してきた。

ナデラは昨年のBuildカンファレンスのキーノートで「デベロッパーが社会のあらゆる要素に深い影響を与えることができるチャンスがこれほど広がった例は過去にない。しかしチャンスには同時に巨大な責任が伴う」と述べている

これはやや劇的な表現だったが、GitHub買収はMicrosoftに2700万人のソフトウェア・デベロッパーにアクセスする道を開く。もちろんデベロッパーのすべてがMicrosoftによるGitHub買収を歓迎しているわけでない

一方GitHubは共同ファウンダーのChris WanstrathがCEOを辞める予定だと発表して以来1年近く後任探しに苦労している。WanstrathがCEOに就任したのはその3年前だった。.

また今年に入ってGitHub史上最大規模のDDoS攻撃を受けた。GitHubはダウンしたものの、10分程度で復帰した。

買収交渉の詳細やこの買収がGitHubの熱心なユーザーのコミュニティーに与える影響などについてはまだ情報がない。われわれはMicrosoftにコメントを求めている。

アップデート:Microsoftのコミュニケーション担当コーポレート・バイスプレジデント、Frank X. Shawは「ノーコメント。この種の噂にわれわれがコメントしたことがないのは皆さんもよく知っているだろう」と述べた。

画像:TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Rackspaceが企業のSalesforce導入を助けるRelationEdgeを買収、アプリケーション管理の部門を充実へ

Rackspaceが今日(米国時間5/17)、Salesforceの実装パートナーでデジタルエージェンシーのRelationEdgeを買収したことを発表した。価額など買収の条件は公表されていない。

Rackspaceは今でも多くの人が、ホスティングとマネージドクラウドサービスとIaaSの企業だと思っている。そしてRelationEdgeは、企業がSalesforceのSaaSを実装しようとするとき、それを支援し管理するサービスだ。しかしRackSpaceは近年、業態の多様化に努めており、各種SaaSアプリケーションの管理サービスもそのポートフォリオに含めようとしている。その最初の試みが、昨年のTriCoreの買収で、こちらもやはりエンタープライズのアプリケーション管理を提供する企業だ。本日の買収も、同じ路線上にある。

Rackspace Application ServicesのゼネラルマネージャーGerard Brossardによると、アプリケーション管理サービスに関しては同社はまだ草創期だが、これらの新しい提供物により新たな顧客を獲得しつつあり、既存の顧客もRackspaceにIaaSを超えた管理サービスを求めるようになっている。そして、“これによってSaaSの管理サービスの分野に参入できるし、しかもSalesforceはエンタープライズSaaSのリーダー格だ”、という。

一方、業績も良く、社員が125名もいるRelationEdgeは、なぜ身売りするのか? RelationEdgeのファウンダーでCEOのMatt Stoykaはこう語る: “まるで木々の自然成長のように、わずかな資金でここまで伸びてきたが、目の前にはもっと大きな機会がある。しかしそれをものにするためには、現状を超えた力が必要だ。つまり社員と企業の両方にとって、正しい新居が必要なのだ”。

彼によると、両社は社風も似ているそうだ。とくに、技術そのものよりも、それが生み出す結果を重視するところが。

当面、RelationEdgeのブランドはそのまま残り、Rackspaceとしても、現状のリーダーシップによる企業の独立性を尊重する、とBrossardは言っている。RelationEdgeのブランドイメージは無視できない、ということだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

T-MobileとSprint、合併で最終合意――最大の課題はアメリカ政府の承認

SprintとT-Mobileはアメリカ最大級となる携帯電話キャリヤを実現させるべく長年交渉を繰り返してきたが、今朝(米国時間4/29)、両者はついに合併に最終的に合意したことを発表した。合併はすべて株式交換によって行われる。今後は規制当局による審査をクリアできるかが最大の課題となる。

これはアメリカ携帯キャリヤとして第3位と第4位の企業が合併するというだけでなく、両者を外国資本がコントロールしているためだ。日本のSoftBankがSprint株式の過半数を、ドイツのDeutsche TelekomがT-Mobile株式の相当部分を握っている。大型買収に関しては、BroadcomのQualcomm買収をアメリカ政府がストップさせたことを考えると、今回の合併に対してどのような態度が表明されるか予測は難しい。

Bloombergの報道によれば合併後の新T-Mobileの42%をDeutsche Telekomが、27%をSoftBankが所有するという。

予想どおり5Gネットワーク建設がいよいよ目前となったことが合併を加速させたようだ。T-Mobileは発表中で、この合併は、次世代5Gネットワークの提供が始まる中、AT&TとVerizonという巨大テレコム企業との競争力を保持していくために必要だったと述べた。同時に「アメリカの消費者にネットワークの選択の自由を与えるものとなる」としている。

T-Mobileのプレスリリースは.「新T-Mobileはアメリカ全土に5Gを迅速に提供するために十分な能力を備えることになる。4Gネットワークの普及にあたってアメリカ企業と起業家が果たしたリーダーとしての役割を来るべき5G時代においても果たそうとしている。新会社はそれぞれ単独で対処するのに比べてはるかに迅速かつ広域的に5Gネットワークの建設に当たることができる。かつてT-MobileはLTEネットワークの全国展開においてVerizonの2倍、AT&Tの3倍のスピードだった。合併後の新会社は5Gネットワークの建設において必要とされる多様な能力とネットワーク容量を備えることになる」と述べている。

両社は先週金曜に合併に最終合意したものとみられる。このとき両社の評価額を決定し、今朝の発表の準備を始めたようだ。これによると、Sprintの企業価値は590億ドルと評価されたもようで、合併後のT-Mobileの価値は1460億ドル前後となる。日曜時点でのAT&Tの時価総額は2140億ドル、Verizonは2130億ドルだ。

T-MobileとSprintの合併を報告できることを欣快とする。両社は親会社を作ることで合意に達した。より大きく、より強力な新会社の誕生はアメリカのすべての消費者、企業に好ましい影響を与えるだろう! クリックして詳細を知ることができる。

この合併は今後規制当局の審査を受けるわけだが、プレスリリースによれば、「2019年上半期中に」結論が出るはずだという。

情報開示:VerizonはOathの親会社で、OathはTechCrunchの親会社

画像:Michael Loccisano

〔日本版〕T-MobineのCEO、John Legereの発音はジョン・レジャーに近い。CNBCビデオの32秒あたりなど。学生時代はマラソン選手で2004年にはチャリティーの一環としてボストン・マラソンを走っている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SquareがWebサイト作成サービスWeeblyを買収、オフライン小売顧客のオンライン化をサポート

Squareが、Webサイト作成サービスWeeblyを現金+株式3億6500万ドルで買収する合意に達した、と発表した

Squareは決済ソフトウェアと関連ハードウェア(レジなど)で有名だが、最近は買収により他分野にも事業を拡大している。たとえば食材宅配のCaviarや、企業向けのケータリングサービスZestyなどだ。

Weeblyは、使いやすいWebサイト構築ツールだ。ぼくみたいに個人が使うだけでなく、同社は最近、中小企業やeコマース企業の顧客開拓にも力を入れている

強力な競合他社のひとつであるSquarespaceは昨年末に、17億ドルの評価額で2億ドルを調達している

Squareによると、Weeblyの買収によって、オンラインとオフラインでビジネスを構築しようとしている起業家に、総合的なソリューションを提供できるようになる。またWeeblyの有料会員62万5000人/社の40%が海外なので、Squareのグローバル展開の足場にもなる。

SquareのCEO Jack Dorseyは、買収を発表するプレスリリースで、“SquareとWeeblyは、起業家の力になり彼らの支えになっていくことへの情熱を共有している。Squareはその旅路をインパーソン(in-person,実物人間)なソリューションから始めたが、Weeblyはオンラインから始めた。それ以降両社はともに、この二つのチャネルを橋渡しするサービスを構築してきたが、これからはさらに遠くまで、しかも早い歩みで、進んでいけるだろう”、と述べている。

Weeblyは2007年に、今もCEOのDavid Rusenko(上図)とChris Fanini、そしてDan Veltrが作った。Crunchbaseによると同社はこれまで、Sequoia Capital, Tencent Holdings, Baseline Ventures, Floodgate, Felicis, Ron Conway, Y Combinatorなどから3570万ドルを調達している。

Squareによると、買収価額にはWeeblyのファウンダーと社員のための、4年間の権利が確定する株式も含まれる。

アップデート:電話会議による記者発表でSquareの役員たちは、同社の企業買収は今後もより積極的に続くのか、と尋ねられた。CFOのSarah Friarはそれに対し、それは今後の出会いの質による、と答えた。今回のWeeblyの場合は、両社の協働関係が長年続いており、彼女によると、“Davidたちの起業家観がとても良い。企業文化という点でも、両社は似合いの仲である”、という。

Friarは、Weeblyの買収をSquareが今後さらに大々的に買収をしていく意思の現れと取るべきでない、と釘を差した。同社は今後も、“何かを自分で作ったり、パートナーを作ったりがメインになる”、と。

Weeblyのチームは、その多くがSquareに加わる。Rusenkoによると、買収を発表する全社集会を終えたばかりだ、という。

Rusenkoは曰く、“今は、とても高揚している。本当の共有と相互尊敬がこれにはある”。そしてチームには、“今後も末永くこのミッションを続けられることが、とても嬉しい”、と告げたそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Verizon/Oath傘下だったFlickrをSmugMugが買収、写真サイトとしてのFlickrは存続

SmugMugがFlickrを、Verizonのメディア系子会社Oathから買収して、二つの写真共有サービスが合体する。

このニュースを速報したUSA Todayは、SmugMugのCEO Don MacAskillにインタビューしている。それによると彼は、Flickrを再び元気にしたい、と言っている。

しかしまだ、具体的なプランはないようだ: “CEOが、これからどうしていいか分からない、なんて言ったら馬鹿と思われるかも知れないけど、SmugMugだって最初にマスタープランがあったわけではない。顧客の声に耳を傾け、多くの人たちが、彼らやコミュニティにとって重要な何かを求めていると分かったら、それを作ってきただけだ”。

Flickrは2004年に創業され、1年後にYahooが買収した。そのYahooはVerizonに買収され、Verizonは同じころ買収したAOLと合わせて、新たな子会社Oathを作った

過去2か月、Oath(本誌TechCrunchのオーナー)はAOLとYahooの一部資産を売却してきた。それらは、Moviefone(MoviePassの親会社(Oathが株主でもある)が買収)、Polyvore(資産をSsenseが買収)、などだ。

この売買に関するFAQで SmugMugは、Flickerは単独のサイトとして運営し、ユーザーのアカウントや写真の併合はしない、と言っている: “いずれはFlickrをSmugMugの技術的インフラストラクチャの上へ移して、Flickrの写真もその移行の一環として物理的には移動すると思われるが、しかし写真そのものはFlickr上に残る”。

このFAQは、今後のサービスについてこう述べている:

SmugMugとFlickrは、世界でもっとも影響力のあるフォトグラファーのコミュニティを代表しており、その強さを数字も示している。われわれはフォトグラファーたちに、彼らが自分のストーリーを語るために必要とするインスピレーションとツールの両方を提供したい。われわれは刺激とエネルギーを結集して、より多くのフォトグラファーたちに、自分が見たものを他と共有したいという意欲を鼓舞していきたい。そしてわれわれは、すべてのフォトグラファーを歓迎するスペースになりたい: ホビイストでも、蒐集家でも、そしてプロの写真家でも。

買収の価額等は公表されていない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

音声認識とAIで会議のノートを取るVoiceraがモバイルの同業Wrappupを買収

Voiceraは、会議などで人間がノートを取ることを今後永遠に不要にしたいと考えている。同社のビジョンはAIによる音声認識システムが、ノートを取るだけでなく話者を認識し、会議の要点や行動案件を要約できることだ。今日(米国時間4/18)同社は、類似のスタートアップWrappupを買収したことを発表した。ここもAIによるノート取りアプリで、Voiceraのビジョンにぴったり符合している。

Wrappupのチームは直ちにVoiceraに加わる。買収価額などの条件は、公表されていない。

VoiceraのCEO Omar Tawakolも、声明文の中で、相性は良い、と見ている: “問題解決への両社のアプローチには、互いにシナジー効果がある。Wrappupはモバイルファーストで目の前の人が相手だから、会議電話が主体のVoiceraを補完する”。

Wrappupの長所は、モバイルのコンテキストでミーティングの重要箇所を見つけることだ。そのために同社は、新しいモバイルアプリのローンチを発表した。これら二つの企業の協働関係は前からあって、それがやっと今日、オフィシャルになったものと思われる。

写真提供: Voicera

WrappupのCEO Rami Salmanによると、Voiceraとの合体によって顧客にとってより魅力的で強力なソリューションが作られた、という。“両社の技術とAIのアルゴリズムが合わさると、ミーティングの重要箇所をより正確に見つけてまとめることができる。それが、どんな場所であっても”、と彼は声明で述べている。

Voiceraの音声認識ツールはEvaと呼ばれるクラウドサービスだ。それは、ミーティングのノートを取る作業を、人間から取り上げるために設計されている。同社は先月、e.ventures, Battery Ventures, GGV Capital, Greycroftなどの著名VCから、シリーズAで1350万ドルを調達した。同社はまた、GoogleのGVやMicrosoft Ventures, Salesforce Ventures, Workday Venturesなどエンタープライズ系のVCからも注目されており、ミーティングの痛点(ノート取り)に対する同社のソリューションが本物であることを伺わせる。

Wrappupは、2015年にドバイで創業された。これまで80万ドルを調達している。同社の製品は、CitrixのGoToMeeting, CiscoのWebEx, UberConference, Zoomなど既存のミーティングツールと併用できる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ゴールは“起業家を増やすこと”——スタートアップメディアの「THE BRIDGE」がPR TIMES傘下に

PR TIMES代表取締役の山口拓己氏(左)、THE BRIDGE取締役・共同創業者の平野武士氏(右)

TechCrunchがシリコンバレーで産声を上げたのは2005年のこと。翌年にはその日本版であるTechCrunch Japan(当時のサイト名はTechCrunch Japanese)がスタートした。そこから12年、日本発でスタートアップの情報を伝えるメディアやブログが徐々に立ち上がっていった(そして、いくつかは消えていった)。そんなスタートアップ向けメディアの1つである「THE BRIDGE」のイグジットに関するニュースが飛び込んできた。

プレスリリース配信事業などを手がけるPR TIMESは4月19日、THE BRIDGEの運営元である株式会社THE BRIDGEからメディア事業を譲受したことをあきらかにした。譲受に関する金額は非公開となっている。なお今後もTHE BRIDGE取締役・共同創業者でブロガーの平野武士氏が中心となってメディアや有料コミュニティの運営を継続。加えてPR TIMES内の編集部にてニュースの執筆なども準備する。一方、THE BRIDGEが開催する仮想通貨をテーマにしたイベント「THE COIN」については、平野氏が個人で運営する予定だという。

THE BRIDGEは2010年の設立(当時の社名はbootupAsia、2013年に社名変更)。エンジェル投資家などから支援を受けていたが、2016年1月にはフジ・スタートアップ・ベンチャーズおよびPR TIMESから資金を調達した。これに先駆けるかたちで2015年2月には、PR TIMESに掲載するスタートアップ(創業7年以内)のプレスリリースの転載を実施。それと前後してPR TIMESが同社のイベント協賛を行うなど、連携を進めてきたという。

なお先に開示しておくと、僕は前職のメディア「CNET Japan」において、THE BRIDGE設立以前の平野氏と契約して1年以上に渡って共同でスタートアップの取材を行っていた関係がある。さらにさかのぼれば、平野氏は立ち上げたばかりのTechCrunch Japanでライター等として活躍。現在はビジネス上の関係はないが、一時は運営元の変更で閉鎖の可能性もあったTechCrunch Japanを支えてきた人物でもある(TechCrunch Japanのこれまでについてはこの記事も参照して欲しい)。また同時に、PR TIMESは僕らが毎年開催してきたスタートアップ向けイベント「TechCrunch Tokyo」のスポンサードをしてくれている企業の1社でもある。

スタートアップのエコシステムとともに成長

THE BRIDGEには当然広告枠もあるが、主な収益源となっているのは、イベントや大企業とスタートアップを結び付けるマッチング・勉強会を軸にした会員制の有料コミュニティだ。「とにかくインプレッション、ユニークユーザー、ページビューといった指標で記事を書く場合、どうしても扇動的な内容やゴシップ、激しいものが必要になってくる。一方でスタートアップの情報は地味。誰も知らない起業家の突拍子もないアイデアや情報を書くので。広告、課金というインターネットのビジネスモデルに当てはめたときに、課金や積み上げのモデルを探したかった」(平野氏)。

また、コンテンツ課金についても考えたが、「誰もが情報発信ができる時代では、コンテンツの価格は限りなくゼロになってくる。それでお金を払ってもらうというのはどうしても信じられなかった」として、ビジネスを模索する中でリリースワイヤー、つまりプレスリリース配信サービスのモデルに興味を持ち、以前からスタートアップコミュニティに積極的にアプローチしていたPR TIMESと関係を深めていったと語る。

一方のPR TIMESは、THE BRIDGEへの資本参加より以前の2015年1月から、特定条件を満たした創業2年以内のスタートアップのプレスリリースを月間1本無料にする「スタートアップチャレンジ」といった取り組みも行ってスタートアップとの関係性を強めてきた。2018年2月末時点では、累計約3200社のスタートアップ(創業2年以内と定義)がサービスを利用している。PR TIMESの利用企業社数は累計2万2000社。スタートアップの割合は決して小さいものではない。

PR TIMES代表取締役の山口拓己氏は、今回の事業譲受にも至ったこれらの取り組みについて、「スタートアップのお客さんを増やして行きたいと思っていたものの、一方でメディアは非常に少ない。生産量も少ない。ニーズはあるが生産者に届くものは少ないので(スタートアップを取り扱うメディアとの)関係を含めたいと考えていた」「PR TIMESが始まった2007年は、PRと言えば大企業のものがほとんどだった。それはメディアが、(メディアの)枠が、尺が限られている中では大企業や社会的役割が大きいところが中心だったから。一方で我々は裾野を広げようと思った。中小企業からスタートアップ、最近では地方まで広げている。その課程の中でスタートアップの人にリリースを活用頂きたいと考えていた。その中でスタートアップチャレンジを始めたり、THE BRIDGEと資本業務提携を進めたりしてきた」と説明する。

スタートアップのプレスリリース配信件数がこの数年で増えているというのは僕も感覚的には理解していたし、そのリリースの種類についてもプロダクトローンチから資金調達、提携、上場と幅広くなっているとは思っていた。実際、山口氏の話では、2017年に上場した90社中40社は上場時にPR TIMESでプレスリリースを配信していたのだそうだ。「 自分たちがスタートアップをけん引したのではない。スタートアップのエコシステムが広がった結果としてこの数年で会社も伸びてきた。 そのエコシステムを作っているのは『参加者』だ。メディアもそうだし、起業家、投資家も増えた。大企業とのコラボレーションも広がった。その核となるメディアに協賛や業務資本提携をしてきたことで、スタートアップのエコシステムの広がりとともに私たちの事業も広がった」(山口氏)

起業家は人をエンパワーする

少し余談になるのだが、日本のオンラインメディアで「ベンチャー(もしくはVB、Venture Business。これは和製英語だという説も)」から「スタートアップ(動詞、名詞として)」という言葉に変わっていったのは、ざっくりした肌感では2009年から2010年頃のことだったと思う(翻訳記事は除く)。そういう意味では平野氏や僕らは国内で「スタートアップ」のニュースに関わった初期の人間かも知れない。

そんな国内のスタートアップの環境の変化について、平野氏は2010年にスタートしたシードアクセラレーションプログラム「Open Network Lab」の存在が1つのターニングポイントになったのではないかと振り返る。「それまであったインキュベーションではなく、3カ月といった期間でスタートアップを生み出すようなプログラムが2008年頃に米国で起こり、それを日本に持ってきたところから環境が変わっていった」「イベントにしても、これまでは登壇者が並んで、話を聞いて、名刺交換をして帰るという、『行くこと』が目的だった。一方で(西海岸を中心に)『ミートアップ』と呼ばれる起業家と投資家が会って、エコシステムを作るための場所ができはじめた。そういうモノをやりたいというのが自身の最初のアクションだった」(平野氏)

そんな平野氏は、メディアの“中の人”から起業家として自らメディアを立ち上げるに至った経緯についてこう語る。

「一番最初はコンプレックスからスタートした。(TechCrunchに関わり始めたのは)30歳になった当時で、米国に行ったこともないし英語もできない。毎日面倒くさくて、給料をもらえればそれでいいくらいだった。でも記事を見ると、シリコンバレーには無茶苦茶なことをやっている起業家達がいた。YouTubeだって違法アップロードが当たり前だし、Napsterのようなサービスもあった。彼らを見て、自分はどう生きていくか考えて、『元気にやっていこう』と気付かされた。自分がそれで元気になれたのだから、もっと色んな人が元気になれるんじゃないかと思った。 起業家は人をエンパワーする力を持っている。 リスクだらけだし、金を借りて出ていくだけかも知れない。人からは怒られるし、詐欺師だとまで言う人がいるかも知れない。ネガティブな話ばかりだ。それでも進んでいって、最後にはみんなを幸せにする人が出てきた。この界隈は本当の詐欺師のような人もいるので、『この人はいい人だ』と伝えていくことにしても、情報を出す意味もある」

「自分で記事を書き始めてむずがゆいところがあった。 取材空いては全員が創業者。何かをやって実績がある人ばかり。だから聞けないことも多かった。じゃあ自分もやってみよう。 そうすれば少なくとも『金に苦労した』ということだって話せると思った。そういうことから同じ年代の起業家と話が聞けるようになると思った」

ゴールは「起業家を増やす」

冒頭にあるとおりだが、PR TIMESは今後、THE BRIDGEのメディアを中心にしつつ、イベントやコミュニティ形成を強化するとしている。またスタートアップに限らず、幅広い層に対してプレスリリースという手段で自身の行動を発信するための施策を展開していくとしている。

また平野氏はTHE BRIDGEのゴールについて「起業家を増やすこと」と語る。「それに取り組んできた10年だし、だからこそ自身で起業もやった。日本でメルカリみたいな規模の会社をもっと作れるはずなのに、なぜ見つからないのだろう。 例えば渋谷には人がたくさん歩いているが、彼らが起業したらどうなるだろうか。でもそんな選択肢を考えるには情報が足りない。大学を出て、いい会社に入って……と思う人はたくさんいるから。ニッチな情報を出すメリットを伝えないといけない」

「今は情報を出す側の人間も圧倒的に少ない。また、今は起業家と投資家を見ると今は投資家のほうが強い。そうなると、どの起業家にどのビジネスをさせると成功するかというのが分かるようになってしまった。ある意味ではリスクを取らなくなってしまった。そういう人達の情報を出すにはPR TIMESなども活用していけばいいと思う。一方でスマートフォンシフトのような大きな波が暗号通貨やブロックチェーンのまわりで起こっているが、情報が足りない。何が正しいのか、誰が悪いのか、そういう情報も分からない。だから情報を出す側も勉強しないといけないし、企業も学ばないといけない。この大きなパラダイムシフトを理解して情報を出すメディアを作らないといけない」(平野氏)

 

AdobeがボイスインターフェースのSayspringを買収

本日(米国時間4/17)Adobeは、 Sayspring買収したことを発表した。SayspringはAmazon AlexaとGoogle Assistant向けアプリのボイスインターフェースのプロトタイピンクと開発を支援するスタートアップだ。Sayspring のチームは明日Adobeに合流し、両者の技術の統合を開始するとAdobeは言った。

現在Sayspringのサービスはすべて無料で提供されている —— ただし、サインアップするためには招待状が必要だ。今後招待枠を徐々に増やしていくとSayspringは言っている。

Adobeといえば、クリエイティブツールのPhotoshopやPremiere Proを思い浮かべるのが普通だろう。音声インターフェースを統合するサービスとしてはあまりピンとこないかもしれないが、AdobeのAIへの取組みのなかには、マーケティング事業とDocument Cloudも含まれていることを思い出してほしい。つまり、AdobeがSayspringの技術を利用してDocument CloudやAdobe Stockの音声検索を強化することは容易に想像できる。クリエイターがPhotoshopの基本作業に音声を利用することもあるかもしれない。Adobe自身はまだ何も言っていないので、今は自由に憶測されたい。

「私たちがデバイスと接する方法は、今重大な転換点を迎えている」とAdobeの執行副社長兼CTOのAbhay Parasnisが今日の発表で語った。「私たちはキーボードやマウス、さらにはタッチスクリーンも超えるもっと自然な方法 —— 自分の声 —— を使ってテクノロジーとやりとりする方向へと進みつつある。音声技術は急速に成長しており、今後Adobeの主力製品の重要な要素になると信じている。SayspringをAdobeに迎えることを大変喜んでいる。今後、より多くの人たちが次世代の音声インターフェースを作るためのテクノロジーを提供していくことを楽しみにしている」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber、東南アジアのビジネスをライバルに売却――Grabの27.5%を得たのはwin-winの取引

スポーツの世界では「強いチームは調子が悪くても勝つ」と言われる。Uberがそれに当たるかもしれない。

Uberが東南アジアのライドシェア事業をGrabに売却することは大きな反響を引き起こしている。しかしこれをGrabが勝ってUberが負けたと捉えるならものごとを単純化し過ぎる。以下この点について背景を交え検討してみよう。

普通に考えればUberの東南アジア市場からの撤退はGrabの勝利だ。しかし神は細部に宿ると言われる。この取引は詳しく見ていけば双方にとって利益をもたらすwin-winの関係だとわかる。勝敗というより新たな提携関係の樹立という側面が重要だ。

まず事実関係をみていこう。

Uberは最近60億ドルと評価されたGrabの27.5%を得た。この所有権は単純計算で16.5億ドルの価値がある。過去5年間にUberが東南アジア市場に投じた資金は7億ドル程度だったことを考えれば、まずこれだけで十分なリターンを得たことがわかる。

一方、Grabは最大のライバルの事業を閉鎖させることに成功した。急成長中のフードデリバリーサービスのUber Eatsも含め、Uberのドライバー、顧客のすべてを手にすることになる。

数年前にスタートしたGrabは、当初は免許のあるタクシーに限った配車サービスで、しかも顧客は料金をキャッシュで支払う必要があった。Grabがライドシェア・ビジネスに転じたのは3年前に過ぎない。Uberが進出したことによって市場の性格は一変した。今度はその市場をGrabがほぼ独占できることになった。この点、Grabにとって画期的な取引だったことは間違いない。

資金、戦略ともGrabが優勢

スタートは比較的ささやかなだった(マレーシアで創立され、後にシンガポールに本拠を移した)にもかかわらず、 Grabはこの2年で長足の進歩を遂げた。現在、タクシー配車、自動車共有、自転車共有、バイクタクシーなど10種類の交通サービスを8カ国で展開している。Grabのローカライゼーションの取り組みはきわめて印象的であり、成長の重要な要素となってる。

ライドシェア企業にとってフードデリバリーへの進出はいわば定石だが、Grabは GrabPayで金融サービス部門にも進出を果たしている。これはオフラインでの商品販売やサービス料金などの支払いを可能にするサービスで、Grabはさらに少額金融や保険といった新たな分野も手がけている。

Grabの目標は単に新しい交通サービスを提供するにとどまらない。交通サービス以外の新しい分野はユーザーに利便性を提供するだけなくGrabにとっても利益率が高いという。

ただし―ここが重要だが―注意すべき点があった。つまり新規事業が現実に利益に反映されるには時間がかかるため、Uberとの競争には役立っていなかった。

ビジネス上の競争は結局のところ資金という要素に行き着くことが多い。

簡単に言えば、Grabは投資家にひんぱんに新たな投資を要請する必要があった。過去2年間、資金調達はGrabに有利に展開してきた。2016年には7億5000万ドル、 2017年には25億ドルを調達することに成功し、60億ドルの評価額に対して総額40億ドルの資金を得ている。

この間、Uberが東南アジア市場に投じた資金は7億ドルだったことと比較すれば、Grabが資金という重要な側面で優位に立っていたことが見てとれる。Uberが世界の市場に投資した資金の総額は印象的だが、東南アジアに関してはUberは投資額に枠をはめていたようだ。

またGrabへの投資には戦略的な意味が見てとれる。

SoftBank と中国版UberのDidi〔滴滴〕は直近の20億ドルのラウンドをリードしている。またトヨタ、Hyundai、Tiger Global、Coatue Management、またインドネシアの有力企業Emtek、Lippoも年来Grabを支援してきた。

こうした広汎なネットワークの構築に成功したことがGrabに大きな利益をもたらしているが、その一つは優秀な人材の獲得だ。特筆すべきなのは1年半前に辣腕のディールメーカーとして名高いMing Maaをプレジデントとして迎え入れたことだろう。Maaはゴールドマン・サックス出身でSoftBankの投資部門にも在籍していた。

Uberは国際化に当って、現地支社にローカライゼーションの主導権を与えているとたびたび主張してきたが、東南アジアにおける現地化にはかなりの混乱が見られた。Uberは早くから東南アジアに参入したにもかかわらず、事業のトップを任命したのは4年後の昨年8月だった。このことはUberが東南アジア戦略の確立にあたってそうとうに出遅れたことをよく象徴している。

Win-winの取引

しかしUberは中国からの撤退でもロシアからの撤退でも有利な取引をまとめている。今回もその例に漏れない。

Grabは未上場企業なので正確な株主情報は得られないが、Uberは今回の取引で最大の株主の一人となったことは間違いない。 東南アジアはライドシェア市場としてもっとも有望と考えらえれているので、この市場で最大の企業の大株主となるのはUberにとってもその投資家にとっても理想的な展開だ。

GrabにとってもUberにとって東南アジア市場は赤字だが、売上は過去2年で倍増しており、Googleも加わっている最近のレポートによれば、2017年には50億ドルの大台に乗ったという。Uberは投資を続けて事業を継続することも十分可能だったはずだが、むしろGrabという代理を通して東南アジア市場におけるプレゼンスを維持することにした。前述したとおり、Uberが保有することになるGrabの株式は直近のラウンドの評価額をベースにすれば16億ドル以上の価値がある。しかも今後利益が出るようになればGrabの価値はさらに大きくアップする見込みだ。

今回の取引にきわめて近い情報源によれば、Uberの500人前後の社員とUber Eatsを含む3カ国でのライドシェア事業を引き取るにあたってGrabはキャッシュでUberに1億ドル弱を支払うという。

Uberは赤字を出す事業を止め、キャッシュを得るだけでなく東南アジアのGrab、中国のDidiに大株主として参加する。UberのCEO、ダラ・コスロウシャヒはGrabの取締役会に加わるという。これは単なる金銭的価値を超えてUberがGrabに強い影響力をもつことを保証するものだ。

東南アジアにおけるライドシェア事業の焦点はGrab対インドネシアのGo-Jekの対決に移る。同社はGoogleやTencentといった有力企業が支援する50億ドルのスタートアップだ。Go-Jekはインドネシアを超えて事業を拡大する野心をがあり、事業分野はまさにGrabとバッティングすることになる。

Go-Jekに近い筋がTechCrunchに語ったところでは同社は今月中にもフィリピンで事業を開始するかもしれないという。 Go-Jekは慎重に戦略を立てることで知られているが、Uberが退場した今、同社はいよいよ正面からGrabとの対決に臨むことになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

トランプ介入でBroadcomの買収を退けたがQualcommに苦難が続く――創業家はVision Fundの資金で攻勢か

Qualcomm対Broadcomの歴史的戦いはとりあえず停戦となった。先週、トランプ政権がCFIUS(対米外国投資委員会)を通じて Broadcomによる買収の差し止めを命じたからだ。実現していればテクノロジー分野における過去最大のM&Aになったはずだ。

これでとりあえずモバイルチップ戦線は異常なしとなった。しかしQualcommとBroadcomは来るべき5G時代に向けてそれぞれ戦略を立て直する必要がある。取締役会から去った創業者の息子、Paul Jacobsによる買収の試みへの対処など、Qualcommの前には深刻な問題がいくつも待ち構えている。

一方、Broadcomも成長を続けるために新たな買収先を探す必要がある。

戦争ではいつもそうなるが、犠牲者は敵対する両陣営内に留まらない。 Qualcommが敵対的買収を防ぐためにとった措置は今後のM&Aにおいて企業統治や株主自主権の範囲の見直しをもたらすだろう。さらにアメリカに対する外国投資には一層厳しい監視の目が向けられることになる。

Qualcommは瓦礫から何を拾えるか?

敵対的買収というのはその結果がどうであろうと犠牲がつきものだ。取締役会、ことにテクノロジー企業の取締役会のもっとも重要な使命は、長期的に何が会社の脅威となるか、チャンスとなるかを見抜き、株主にとって最良の結果を得るよう適切に会社を導びくことにある。この点、敵対的買収への対処は消火作業に似ている。将来へのビジョンやそれを実現するためのロードマップはいったん脇に置き、危険な侵入者を追い払うために1分ごとに新たな策を投入する必要がある。

Qualcommも未来戦略の確立に注力すべきだが、現在は四方八方からの攻撃を受けている。 会社の将来に関して株主と戦い、収入に関してApple、Huaweiと戦い、NXPの買収で中国と戦い、さらには創業者の息子の買収と非公開化の試みとも戦わねばならない。

株主の多くはQualcommのパフォーマンスに満足していない。過去6年Qualcommの株価はかなりの乱高下をみせてきたが、結果として、今日の株価は2012年1月と同水準だ。同じ期間中にBroadcomの株価場合は740%アップしている。半導体各社の株価を総合した指数、PHLX Semiconductor Sector indexによれば、半導体業界は全体として280%のアップだ。

そこでQualcommの株主が35%のプレミアムを上乗せした1株82ドルというBroadcommの買収提案に乗り気になったのは当然だ。Qualcommの取締役会とは逆に株主はBroadcomに買収に前向きだった。Bloombergが報じたように、 Qualcommの取締役会は株主との戦いに敗れたことに気づいたいたようだ。【略】

Broadcomの提案が株主に承認されたことを知り、Qualcommの取締役会は買収に否定的なワシントンの政官界に働きかけの中心を移した。 Bloombergによれば「連邦政府への2017年のロビーイング支出はQualcommの場合、830万ドルで、Broadcommの8万5000のざっと100倍」だったという。こうなればワシントンは調整役というより味方だ。

1月にはいって、Qualcommの取締役会はCFIUSに対して自発的に予備的な秘密の通告を行った。これはBroadcomがQualcommの取締役会を支配しようとについて同委員会の調査を求めるものだった。ここでBroadcomはCFIUSの介入を逃れるためにシンガポール企業からアメリカ企業に戻ろうとした(米国企業であればCFIUSの管轄外となる)。これがアメリカ政府を激怒させ、Broadcommの提案の運命を決めた。Qulcommの取締役会の要請はBroadcommの失策を招き、最終的にトランプ政権による買収ブロックという結果となった。

Qualcommの取締役会は戦争には勝ったものの、依然としてPaul Jacobsなど数多くの敵対者を抱えている。延期されていた株主総会は今週開催され、現取締役は対立候補なしで再任の承認を求める。ロシアの大統領選挙同様、一部の株主はことの成り行きに不満を表明するために棄権するかもしれない。 Wall Street Journalによれば、「有力なプロキシー・アドバイザーのInstitutional Shareholder Services Inc.は …機関投資家向けの水曜のメモでQualcommの11人の取締役選任に当ってはBroadcomが推薦する4名の候補に投票するよう求める立場を再確認した。これは抗議の意思を示すためで、Broadcomm側取締役が選任される可能性はない」という。

今回のQualcommの株主総会が波乱含みなのは疑いない。Qualcommの取締役会と経営陣は「この問題は終わった」と主張するが、内紛もふくめてさらにいくつかの火事を消し止めねばならない。

Qualcommは依然として440億ドルに上るNXPの買収の中途にあり、中国の規制当局の承認待ちだ。当局がいつどのよう判断するかは明らかでない。しかし承認が得られたとしてもまだ契約は成立していない。Qualcommが買収を完了させるためには多大のコストとリソースを要するだろう。

さらに複雑なのはAppleとHuaweiに対するQualcommの知的所有権のライセンスを巡る訴訟だ。.ライセンス料はQualcomの収入のきわめて重要な部分を占める。取締役会は将来のビジョンを考える前に、まず当面の訴訟の動向と訴訟戦術に中を向けねばならない。

内紛というのは、Paul Jacobsが会社の支配を取り戻そうとしている件だ。昨日、Qualcommの取締役会はPaul Jacobsを取締役から解任する決議を行った。JacobsはQualcommのファウンダーの息子であり、2005年から2014にかけて同社のCEOを務めた。Jacobsは先週、エグゼクティブ・チェアマンから単なる取締役に降格されたばかりだった。New York Timesの記事によれば、「この別れは友好的なものではなかった。QualcomのトップからJacobs家のメンバーが完全に外れるのはここ33年で初めての事態だ」という。

別の記事によればJacobsは1000億ドルでQualcomを買収する準備を進めており、資金としてSoftBankのVision Fundを利用するという。言うまでもなくSoftBankは日本の会社であり、Vision FundにはサウジアラビアやUAEの国営ファンドの資金が含まれている。しかもQualcommはSoftBankのVision Fundへの出資者メンバーだ。

JacobsはDellの創業者、Michael Dellでが2013年に240億ドルを投じてDellを上場企業から非公開企業に戻した例にならおうとしている。JacobsはDellの非公開化に必要とした額の4倍もの資金を集められるだろうか? Qualcommは同社のファウンダーの息子による会社支配の試みを「外国勢力による」ものとして再度ブロックをトランプ政権に要求するだろうか?

Jacobsはどうにしか資金の都合を付け、取締役会は創業者の息子で前取締役による買収を差し止めようとワシントンに再度駆け込むことはしないだろう、と私は予測するが、さほど確信があるわけではない。

依然としてBroadcomの立場は強い

大いに目立つ失敗をしたものの、Broadcomがこの戦争で受けた損害はさほどでもない。今週発表された第1四半期の決算はアナリストの予測を上回った。特にワイヤレス・コミュニケーション分野での成長は対前年比88%と著しいものがあった。またBroadcommは大幅なコスト削減にも成功しており、粗利益率を64.8%もアップさせている(たしかにファブレスで特許料を主軸にしたビジネスモデルは効果がある)。

Broadcomは今後も健全なパフォーマンスを続けそうだ。最大の疑問は、Qualcomm買収が失敗に終わった今、Broadcomの次の手は何かだ。QualcommはBroadcomが買収可能なチップメーカーとしては最大にして最も重要なものだった((Intelはスケールが違いすぎる)。もしBroadcomがシンガポール企業からアメリカ企業に戻るなら、国内企業として改めてQualcommの買収を試みることができる。いずれにせよBroadcommがここ数年の成長速度を維持するためには適切な買収相手を発見する必要がある。 【略】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

機械学習によりセキュリティの脅威を自動的に検出するNiddelをVerizonが買収

本誌TechCrunchのオーナー企業であるVerizonが今日(米国時間1/5)、セキュリティの脅威を自動的に検出するサービスNiddelを買収したことを発表した。

Niddelの主要製品であるNiddel Magnetは有料会員制のサービスで、機械学習により顧客の会社内の感染ないし侵されたマシンを見つける。それは、顧客がコードやルールなどを書かなくても完全に自律的自動的に仕事をする。

Verizonのセキュリティサービス担当部長Alexander Schlagerは、声明文の中でこう説明している: “機械学習を利用して情報の精度を大きく上げ、擬陽性を減らし、検出と対応の能力を大幅に改良できる”。それが、今回の買収の主な理由でもある。

人間の誤判断による擬陽性を減らせることが、Niddelのソリューションの大きな目標だ。システムをモニタする有資格のセキュリティアナリストが不足しているから、それがとくに貴重だ。“Niddel Magnetは、従来の人間の目視による方法に比べて、擬陽性を最大96%減らすことができる。弊社が特許を取得している監視つきの機械学習が脅威に関する既存の知識を外挿することにより、得られるアラートの40%は(従来の方法で検出できなかった)新しい脅威だ”、と同社のWebサイトは書いている。

Niddelは、社内社外の50あまりの多様なソースから情報を取り、それらを分析して、顧客の組織内の被害機を襲ったセキュリティの脅威を追跡する。企業がそれらの被害に真剣に対応しようとしたときには、同社が完全に自動化されたソリューションを提供し、簡単には見つからない有資格のアナリストを不要にする。

Niddelは、2014年に創業された。VerizonはNiddelの技術を今後数か月以内に自社システムに組み込む予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アナリティクスダッシュボード作成プラットホームKeen IOがScaleworksの傘下に

非上場企業に主に買収という形で投資をしている、テキサス州サンアントニオのプライベート・エクイティ企業Scaleworksが、休日明けを待ちかねたかのように、同社の最新の買収のニュースを共有した。同社は昨日(米国時間12/22)のMediumのブログ記事で発表したのはKeen IOの買収だ。

買収価額などはは公表されていないし、両社からコメントも得られていないが、Keenは2011年に創業されてからこれまでに3000万ドル近くを調達している。

Keen IOは、デベロッパーがカスタムなアナリティクスダッシュボードを(自分のアプリケーションのために)作るためのツールを作っている。ScaleworksのゼネラルパートナーEd Byrneは、買収の発表声明でもあるブログ記事の中で、Keen IOについて次のように説明している:

“Keen.ioは2011年に創業され、デベロッパーがカスタムなアナリティクスバックエンドを作るための便宜を提供している。同社を利用して企業は、チームや顧客のためのあらゆる種類のアナリティクスを容易に構築して自分のアプリケーションに埋め込むことができ、またお気に入りのSaaSツールにアナリティクスダッシュボードをつけることもできる”。

Byrneはさらに、これまで同社が扱ってきた企業の多くがKeen IOを使ってダッシュボードを作っていることを、長年見てきたので、かねてから同社に着目していた、と述べている。しかしもちろん、Scaleworks傘下の企業ばかりではない。Keen IOのWebサイトによると、今、3500社、約50000名のデベロッパーが、Keen IOのツールを使ってダッシュボードを作っている。その中には、EMC, Adobe, Kik, Pandora, Ticketmaster, Freshdeskなどの著名企業もいる。

同社は2015年に、その中心的なツールData Explorerをオープンソース化し、ユーザーがこのデータ探究ツールを自由に改良できるようにした。同社の最新の資金調達は、2016年の、Pelion Venture Partners率いる1470万ドルだった(CrunchBaseによる)。

ScaleworksはB2BやSaaS企業に的を絞ったプライベート・エクイティ企業¶で、これまでChargify, Earth Class Mail, Assembla*, Filestack, Followup, Qualarooなどに投資/買収してきた。〔*: Assembla日本語記事

〔¶: private equity firm: 非上場企業を対象とする投資会社、主に買収という形が多い。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

この先Appleによるスタートアップの買収は活発化するのか?

【編集部注】著者のJoanna GlasnerCrunchBaseの記者である。

Appleは、地球上のどのテクノロジー企業よりも多額の現金を持っている。それにもかかわらず、これまでその現金は、あまり買収に使われては来なかった。

Crunchbase Newsの分析の結果判明したのは、Appleは、海外口座に保管された資金を含む、現金および現金同等物の合計が、2600億ドルを超えていると推定されているにもかかわらず、過去5年間で米国で最も高い評価額を誇る「Big Five」の中でも、M&Aに費やした金額が最も低い会社だということだ。

まだ買収のタイミングではないのだろうか?今週判明した、音楽発見アプリ「Shazam」の4億ドルの買収は、高価な買い物をする意欲はあることを示している。しかしAppleがこの種の大規模な取引を行うことは極めて稀であることは、歴史が示している通りだ。

各種の数字

Crunchbaseのデータによれば、2013年以来、iPhoneのメーカー(Apple)は、M&A案件に対して、開示された分だけで、総額51億ドルを投じている。ただしその額の半分以上が、単一の取引に使われたものだ。その取引とは2014年、音楽テクノロジー会社Beats Electronicsを30億ドルで買収したときのものである。

買収件数だけを見れば、Appleはかなりアクティブな買い手のように見える。2013年以来、アップルは55社の未上場会社を買収したが、そのうち11社は価格が公表されている。上の51億ドルは、その11社だけに使われた金額だ。

Appleが金額を公表せず買収した残りの44社は、主に設立したばかりのスタートアップ企業たちである。購入価格は確認できないものの、そうした取引は一般的に1億ドルを下回り、多くは数百万ドル程度のものだ。

下の図は、過去5年間のAppleのM&A実績を示したものだ。取引回数は、最低の8回から最高の13回に及んでいる。

Big Fiveの中でAppleのランク

スタートアップを買うという話になると、AppleはBig Five(他の4つはMicrosoftAmazonFacebookGoogle)の中で、最も意欲がないというわけではない。

実際、ベンチャー支援企業に対して大金を払うことに関しては、Amazonが最も消極的である。最近Amazonは、AppleよりもM&Aに、より多額の金額を費やしたが、それはほぼ全額が、137億ドルの上場会社、Whole Foodsの買収に使われたものだ

とはいえ、Appleは驚異的な利益を上げている企業だが、その一方Amazonは非常に薄い(ときにはゼロの)マージンの下で莫大な収益を挙げていることで知られている。それはまさに、リンゴとリンゴを比べるようには比較することはできないものだ。さらに、Appleは近年、公開企業を買う食欲は見せていない。

一方で、買収数では、アップルはBig Fiveの中ほどの位置を占めている。買収数の合計はFacebookやAmazonよりも高く、Microsoftと同等で、Googleよりは遥かに少ない。

下の図では、過去5年間のBig Fiveによる、買収の取引件数と公開された買収金額が示されている。

この先派手な買い物が控えているのだろうか?

Appleがこの先の何回かの四半期の中で、特に米国企業に対する買収意欲を高めていくことには理由がある。

税法の変更もその理由の1つだろう。米国の議会は、現在海外にある資産を米国内に呼び戻した企業に対して、安い税率を課そうとしているように見える。それはおそらく、Appleが米国内の企業の買収に使うことのできる国内資産の増加に寄与することになるだろう。また法人税率の引き下げによっても、その巨額の資産はさらに大きくなるだろう。

Appleはまた、より多くの製造拠点を米国内に移管する戦略を策定したが、それもまた買収を促進することになるだろう。今週Appleは、テキサスに拠点を置くFinisarへの3億9000万ドルの投資を発表した。FinisarはiPhone Xのカメラで使用される部品を製造している。これは買収ではないが、この投資は、Apple製品に競争力をもたらす技術開発者たちに、多大な費用を費やす意欲を示すものだ。

ということで、2018年は、Appleがついにその大量の現金保有にふさわしい、気前の良い買収をする年となるのだろうか?「はい」と答えたくなる理由は目白押しだが、一方Appleはその資産を多大な投資で得たのではないという点にも注目せずにはいられない。そしてこれまでのところ、世界で最も価値のあるテクノロジー会社としての地位を守るために、Appleはそれほど高価なスタートアップの買収は必要として来なかったのだ。

[原文へ]
(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: LI-ANNE DIAS

サービス運営2カ月弱での大型イグジット、買取アプリ「CASH」運営のバンクをDMM.comが70億円で買収

左からバンク代表取締役兼CEOの光本勇介氏、DMM.com代表取締役社長の片桐孝憲氏

“目の前のアイテムを一瞬でキャッシュ(現金)に変えられる”とうたう買取アプリ「CASH(キャッシュ)」。そのコンセプト通り、ファッションアイテムなどをアプリで撮影するだけで即査定というシンプルで素早い現金化のフローもさることながら、サービスローンチからわずか16時間でユーザーからの申し込みが殺到し過ぎてサービスを2カ月ほど停止したこと、さらにはその16時間で3億6000万円分の「キャッシュ化」がされたことなどとにかく話題を集め続けている。そんなCASHが創業から約8カ月、サービス運営期間で言えばわずか2カ月弱で大型のイグジットを実現した。

DMM.comは11月21日、バンクの全株式を取得、子会社化したことを明らかにした。買収は10月31日に合意。買収金額は70億円。代表取締役兼CEOの光本勇介氏をはじめ、6人いるバンクのメンバーは引き続きCASHを初めとしたサービスの開発を担当する。今後は、DMMグループの持つ資本力やシステム基盤、サービス体制を連携させることで、拡大成長を目指すとしている。

「リリースしてから思ったことは、僕たちが取りたい市場には想像した以上のポテンシャルがあるということ。ただ、需要があるからこそ、競合環境も厳しくなると考えた。市場が大きくなる中で、それなりの自己資本も必要。(資金を調達して)一気にアクセルをかけなければならないこのタイミングでの戦い方を考えている中で今回の話を頂いた」

「DMMグループはいわば現代の超クールな総合商社。金融にゲームから、水族館にサッカーチームまで持っている。一方で僕たちみたいなサービス運営が2カ月、売上もこれからの会社の買収も数日で決めてしまう。こんなに“ぶっ込んでいる”会社はない。大きい市場を取りに行こうとしているときに、経済合理性をいったん置いてでも挑戦する会社がサポートしてくれるというのは、とても心強い。困っていることや強化したいことを相談すると、ほとんど何でもある。例えば物流まで持っているんだ、と」

光本氏は今回の買収についてこう語る。

一方、DMM.com代表取締役社長の片桐孝憲氏は、同年代(片桐氏は1982年生まれ、光本氏は1981年生まれ)の経営者である光本氏を自社に欲しかった、と語った上で、「(光本氏は以前ブラケット社を創業、イグジットした上で)2回目でもいいサービス、いいチームを作っていると思っていた。もともとDMMでも(CASHのようなサービスを)やるという話はあったが、結局チームまではコピーできない。とは言えバンクを買収することは不可能だと思っていたので、ちょっと出資ができないかと思っていた」と振り返る。

買収のきっかけとなったメッセージ

片桐氏は以前から競合サービスの立ち上げについてDMM.comグループ会長の亀山敬司氏と話していたが、10月になって事態が動き出したという。片桐氏の海外出張中に、以前から面識があったという亀山氏が、光本氏に直接メッセージを送り、翌日の食事に誘って買収の提案を行ったのだという。その後はトントン拍子で話が進み、約1カ月で買収完了に至った。「きっちりとCFOがデューデリジェンスもしているが、基本的に口頭ベースで合意したのは5日くらいのスピードだった」(片桐氏)

ちなみに今回の買収、光本氏にはロックアップ(買収先の企業へ残って事業の拡大をする拘束期間。通常2〜3年程度付くことが多い)が設定されていないという。「もし明日辞めても、『そっかー……』というくらい。ロックアップというのは意味がないと思っている。僕が担当した会社(DMM.comが買収したnana musicとピックアップのこと)はロックアップがない。経営者との関係性や経営者のやる気がなくなったら意味がないから。僕がバンクを経営できるわけではない。モチベーションを上げるためのソースがないと無理だと思っている。(買収は)事業を付け加えていくことというよりは、いい経営者にジョインしてもらうこと」(片桐氏)

光本氏は先週開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2017」にも登壇してくれており、その際にも尋ねたのだけれども、現状CASHに関する細かな数字については非公開とのこと。「まだ運営して2カ月くらいのサービスなので、僕たちもまだデータをためている段階。ただ、2カ月前に再開して、改めて確信したのは、今までは二次流通や買取の市場——つまり『モノを売る』という手段の一番簡単なものがフリマアプリだと捉えられていたが、(より手軽という意味で)その下はもっとあったのだということ。この市場はフリマアプリと同様に持っていけるポテンシャルがある。それをただただ構築していきたい」(光本氏)

また、少額・即金という資金ニーズに対応するCASHに対して、FinTechをもじって「貧テック」と揶揄する声もあったが、「全く理解できない。前提として僕たちは1円でも高く買い取れるよう努力している。今の時点でも、不利に、安く買いたたいているわけではない。『この価格ならノールックで買い取らせて頂ける』と提示しているだけだ」と反論した。

バンクはDMM.com傘下で開発体制も大幅に強化する。すでにDMMグループからの出向も含めて人数を拡大中で、2018年中には100〜150人規模を目指して採用を進めるとしている。また当初はCASH以外のサービスも展開するとしていたが、「機会があれば(DMMと)一緒に新しい事業をやっていきたい。会社としてはやりたいネタがいっぱいある。まずはCASHに注力しつつ、新規の事業も出していきたい」(光本氏)と語っている。

なお11月20日にはヤフーがオークションサービス「ヤフオク!」内で、ブックオフコーポレーション、マーケットエンタープライズと連携した家電・携帯電話・ブランド品などの買い取りサービス「カウマエニーク」を公開している。こちらはブックオフ店舗持ち込みか宅配による買い取りだが、フリマに続いて買取のマーケットにも続々動きがありそうだ。

マネーフォワードがクラウド記帳ソフトを提供するクラビスを8億円で子会社化、記帳業務の全自動化へ

約1ヶ月前にマザーズへ上場したFintechスタートアップのマネーフォワード。同社は11月2日、クラウド記帳ソフト「STREAMED(ストリームド)」を提供するクラビスの全株式を8億円で取得し、子会社化することを明らかにした。

STREAMEDは経理の記帳業務に特化したクラウドサービスだ。ユーザーが領収書や請求書をスキャンすると、1営業日以内に会計データへと変換。システムによる自動仕訳とオペレーターによる作業を組み合わせることで手書きの領収書でも正確にデータ化できることが特徴だ。会計事務所での記帳代行に加え、個人事業主や一般企業向けのプランも提供し幅広い用途で使われている。

一方マネーフォワードもビジネス向けにバックオフィス業務の効率化を支援する「MFクラウド」シリーズを提供してきた。現在は7つのサービスを展開していて、ユーザー数は50万以上、全国で2400以上の会計事務所で活用されている。

特に主力の「MFクラウド会計・確定申告」は銀行やクレジットカードなどの取引情報の自動取得や自動仕訳といった、「デジタルデータを活用した記帳業務の自動化」をひとつのウリとしてきた。

マネーフォワードでは今回の子会社化をきっかけに「アナログデータの記帳自動化」を強みとするSTREAMEDと連携し記帳業務の全自動化を推進するほか、バックオフィス業務におけるAI活用で国内ナンバー1を目指すとしている。

クラビスは2012年の設立でSTREAMEDのリリースは2014年。株主には代表取締役社長の菅藤達也氏のほか、辻・本郷税理士法人やSMBCベンチャーキャピタル、セゾン・ベンチャーズなどが名を連ねている。