Facebook Messenger、「一緒にビデオを見る」機能を開発中

“Netflix and chill”[Netflix見ながらいちゃいちゃ]のリモート版? Facebook Messengerはビデオの同時ビューイング機能を内部テスト中だ。ユーザーが気に入った仲間たちと同じビデオを見る機能で、グループチャットしながら語り合ったりジョークを言い合ったりできる。”Watch Videos Together”[一緒にビデオ見よう]と呼ばれる新機能は、ユーザーのMessenger利用時間を増やすとともに、一人でビデオを見る受け身のゾンビビューイングよりも有意義でポジティブな体験の共有を可能にする。Facebookは Watch Partyというグループ視聴機能もテストしていたが、ニュースフィードやグループ、イベントなどよりもメッセージングを通じて行うアプローチの方が自然かもしれない。

この機能をMessengerのコードベースで最初に見つけたのはデッドライン管理アプリTimeboundのファウンダーAnanay Aroraと、TechCrunchの常連タレコミ屋としてモバイル調査をしているJane Manchun Wongのふたりだ。Aroraが見つけたコードには、Messengerで「タップして今すぐ一緒に見る」あるいは「同じビデオについて同じ時間にチャットする」ことができたり、チャットスレッドのメンバーが共同ビューイングが始まった通知を受けることなどが記述されている。「このチャットの全員がビデオをコントロールできて、誰が見ているかを見ることができる」とコードに書かれている。

Facebook広報担当者はTechCrunchに、これは「内部テスト」けであり現在これ以上公表できることはないと語った。しかし、過去にMessengerのコードで発見された Instagramと連絡先を同期などの機能は最終的に正式公開されている。

FacebookにはWatch Partyがあるが、チャット機能に取り込んだ方がよく使われるかもしれない

共同ビューイングで気になる疑問は、みんなで見るためのビデオをどこで見つけるかだ。Facebookで見つけたビデオのURLを打ち込むか、Messenger向けにシェアするか。新しいビデオ検索機能がメッセージ作成かディスカバータグに入るかもしれない。あるいは、もしFacebookがチャットベースの共同視聴に本気で取り組みたいなら、ビデオパートナー、理想的にはYouTubeと提携することも考えられる。

ビデオの共同視聴はMessengerにとって新たな収入源になるかもしれない。予告編などのスポンサー付きビデオをおすすめすることも考えられる。あるいは、ビデオの合間にビデオ広告を挟むだけかもしれない。最近FacebookはMessengerやInstagramなどの子会社に対して収益化のプレッシャーを強めている。ユーザー成長が停滞し、ニュースフィードの広告スペースが限界に達していることから広告売上が鈍化しているためだ。

過去にはYouTubeのUptime(その後中止)やFacebookの初代プレジデントSean ParkerのAirtime(結局公開されず)などのアプリが共同視聴を流行らせようと試みては失敗している。問題は、友達との同期体験のスケジュール調整が難しいことにある。同時ビデオ視聴をMessengerに直接組み込むことによって、Facebookはこれをリンク共有と同じくらいシームレスにできるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コードの各所に関するデベロッパー同士の議論をコメントのように残せるCodeStream、最初はVS Codeをサポート

コードにコメントを入れることは、昔から誰もがやっているが、でも、コードの特定部分に関する同僚などとの会話スレッドを残せるとしたらどうだろう。Y Combinator出身のCodeStreamを使うと、まさにそれができる。

コンテンツに関する議論は、そのコンテンツの直後にある方がよい。Google Docsのアノテーション(注釈)やPowerPointのコメント、Wordのリビジョン(変更履歴)などは、だからとても便利だ。何もかもSlackの上で議論するのは、やめた方がいい。

しかしそれでも、二人のデベロッパーのコラボレーションは、Slackの上のプライベートな会話で始まることが多い。CodeStreamはgit commitやコード中に書くコメントに代わるものではなく、コードの上に便利な会話の層を加える。

誰かと関わりたくなったら、まずテキストをセレクトして議論を開始する。そして、当のコーディングブロックを最初のポストとするスレッドが作られていく。CodeStreamを今使ってるSlackにリンクしたら、Slackのチャネルの中でスレッドが始まる。誰かを@-mentionしたり、数行のコードをコピペしたりもできる。

mentionされたデベロッパーは、そのスレッドをクリックすると、CodeStreamはそのファイルをその行があるところで開く。二人のデベロッパーが同じブランチ上にいなくても、どちらもコードの同じ行を見る。どっちかに新しいコードがあっても。

数か月後にコードベースが進化していても、会話スレッドは残っている。いつでも、過去の会話を見て、なぜそこがそうなったのか、理解できる。

今は、CodeStreamはVS Code(Visual Studio Code)をサポートしている。CodeStreamをインストールしたら、IDEを縦2画面に分割して、左にコード、右にCodeStreamの会話スレッド、という状態にするとよい。

今後は、もっと多くのIDEをサポートしていく予定だ。Visual StudioやJetBrainsエディター、そしてAtomなども。今CodeStreamはベータなので無料だ。

同社は最近、S28 Capitalが率いるラウンドで320万ドルを調達した。それにはPJCが参加した。そのほかに、Y Combinator, Steve Sordello, Mark Stein, David Carlickなども投資に加わった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

東京の2018 TechCrunch Battlefieldは蠅で食糧危機を解決するMuscaが優勝

TechCrunchは今、日本の首都にいる。私たちは、スタートアップのコンペBattlefieldで東京の優秀な起業家たちが競うピッチに耳を傾けた。そして決勝に残った20社がジャッジたちの前で最後のプレゼンテーションを行い、TechCrunch Tokyo 2018の勝者が決まった。

優勝はMuscaだ!

このスタートアップはありふれた生物であるイエバエを、世界の食糧危機のソリューションとして利用する。彼らの技術は、従来の方法よりもずっと迅速に高品質な有機肥料と家畜の飼料を作り、飢餓を根絶できる。同社の秘密兵器はある特定種の蠅で、同社によるとそれはより強靭で実効性も良い。その蠅の幼虫が動物の排泄物の分解と乾燥を促進し、それを高規格な肥料として利用するとともに、幼虫は鳥や魚の飼料になる。その過程はちょうど1週間だが、ほかの方法なら2〜3か月はかかる。

Muscaは最初のプレゼンテーションでわれわれの専門家ジャッジたちに強い印象を与え、して二度目のプレゼンテーションで、Job RainbowKuraseruAeronextPol、そしてEco-Porkらとともに決勝のステージに立った。

Muscaは、100万円の優勝賞金と、日本の最高の若きスタートアップであることを自慢できる権利を獲得した。

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Tesla、トラック輸送会社を買収して12月31日前の納車能力を強化

Tesla CEO Elon Muskは木曜日(米国時間11/15)、同社が「トラック輸送能力を手に入れた」とツイートした。連邦税優遇が減額される12月31日までに同社のModel 3の納車能力を強化するためだ。

当初Muskは「トラック輸送キャパシティーを手に入れた(acquired)」の意味を説明しなかった。同社は買収(acquire)に関する法的書類を提出しておらず、TechCrunchの質問にも回答しなかった。

後にMuskは、Teslaがトラック輸送会社を買収するとともに、「前四半期の輸送能力不足の失敗を避けるために」大手運送業者と契約を結んだとツイートした。

Teslaにとって年が終わるまでにできるだけ多くの車を送り出すことはことは絶対条件だ。国の電気自動車優遇税制によって電気自動車を買った顧客は7500ドルの税額控除を受けられる。しかし、ひとたびある自動車メーカーが電気自動車を20万台売ると、その会社の税額控除は減額されていく。

今年10月、Teslaは20万台目の電気自動車を納車した。この実績によって7500ドルの税額控除のカウントダウンが始まった。現行規則の下では、Teslaの顧客が税額控除の全額を受けるためには、Model S、Model XまたはModel 3を12月31日までに受け取る必要がある。

ここで「受け取る」が重要な用語だ。納車期限を守れない場合、税額控除を期待して滑り込みで購入した客たちの激しい反発が起きる可能性がある。

そして、Model 3の生産を増強中の同社にとって輸送は大きな課題だ。同社の第3四半期にとって物流は大きな弱点だった。顧客からは新しいModel 3の納車遅延や受け取り方法に関する報告が相次いだ。結局何百人というTeslaオーナーが、あちこちのTeslaショールームに足を運び、そこではModel 3が手渡され顧客たちは同社の目標達成に一役買うこととなった。

トラック輸送業界の複数の情報源が、Teslaは小さなトラック輸送会社を1社から2社以上買ったのではないかと憶測している。Teslaが以前取引きしたことのある会社が有力だという。

画像クレジット:Smith Collection/Gado /Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

企業のデータ保護とコンプライアンス充足をAIと機械学習で自動化するCognigoが$8.5Mを調達

AIと機械学習を利用して企業のデータ保護とGDPRなどの規制へのコンプライアンスを助けるCognigoが今日(米国時間11/13)、シリーズAのラウンドで850万ドルを調達したことを発表した。このラウンドをリードしたのはイスラエルのクラウドファンディングプラットホームOurCrowdで、これにプライバシー保護企業のProsegurState of Mind Venturesが参加した。

同社は、重要なデータ資産を護り、個人を同定できる情報が自社のネットワークの外に漏れることを防ごうとしている企業を支援できる、と約束している。そして同社によると、そのやり方は、専用システムのセットアップやそれらの長年の管理を必要とするような手作業の管理ではない。たとえばCognitoによれば、同社は企業のGDPRコンプライアンスの達成を、数か月ではなく数日で完了する。

そのために同社は、事前に訓練したデータ分類用の言語モデルを使用する。そのモデルは、給与明細や特許、NDA、契約書など、よくあるカテゴリーを検出するよう訓練されている。企業は独自のデータサンプルでモデルをさらに訓練し、その独自のニーズのためにモデルをカスタマイズできる。同社のスポークスパーソンは曰く、“唯一必要な人間による介入は構成だが、それは一日で済む作業だ。それ以外では、システムは完全に人手要らずだ”。

同社によると、新たな資金はR&Dとマーケティングと営業のチーム拡大に充てられ、目標は市場プレゼンスの拡張と製品知名度の向上だ。“弊社のビジョンは、顧客が自分のデータを利用して確実にスマートな意思決定ができ、同時にそのデータが継続的に保護されコンプライアンスを維持することだ”、と同社は言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Lime、シアトルでカーシェアリング展開へ

明るい色のドックレス自転車と電動キックスクーターで知られ、資金もたっぷり調達しているLimeは、ユーザーに新たな交通手段を提供する。車だ。

今週から、シアトルのLimeユーザーはLimeブランドの2018 Fiat 500“LimePod”をLimeのモバイルアプリで予約できるようになる。50台でサービスを開始し、今月末にはさらにその台数を増やす見込みだ。

「Limeのカーシェアリングに使うLimePodは地域社会にとって便利で、そして手頃料金で利用でき、耐候性あるモビリティソリューション」とLimeの広報はTechCrunchにコメントしている。「スクーターや電動アシスト自転車とまったく同じように、車探しや解錠、支払いが簡単に済ませられる」。

LimePodの利用は、車を解錠するのに1ドル、使用1分ごとに40セントかかる。Limeはカーシェアリングを来年カリフォルニアでも展開する計画だ。参考までに、電動キックスクーターと電動アシスト自転車の使用料金は解錠するのに1ドル、使用1分ごとに15セントかかり、通常の自転車では解錠1ドル、使用1分ごとに5セントとなっている。

カリフォルニア大学バークレー校卒業生のToby SunとBrad Baoによって設立されたこのスタートアップはこれまでに、GV、Andreessen Horowitz、IVP、Section 32、そしてGGV Capitalなどから資金4億6700万ドルを調達している。報道によると、Limeは現在も資金調達中で、企業価値30億ドル、もしくは最新の企業価値の3倍近くを目標にしている。

Limeは急速に事業を拡大していて、最近ではオーストラリアに電動キックスクーターと電動アシスト自転車を上陸させた。また毎週のように幹部を採用している。先月はAlphabetのベンチャー部門GVのゼネラルパートナーで取締役会の現メンバーでもあるJoe Krausを初のCOOに選出した。その前は、Uberの最高業務責任者だったDavid Richterを、初の最高業務責任者ならびに臨時の最高財務責任者としてひっぱってきた。

7月にLimeはLimePodを主導してもらおうとPeter DempsterをReachNowから引き抜いていた。


イメージクレジット: Lime

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(翻訳:Mizoguchi)

Bubbleは、コーディング経験がなくてもウェブアプリケーションを作れるサービス

Bubbleは自己資金で立ち上げられたスタートアップで、プログラミングのできない人でもウェブアプリケーションを作れる強力なサービスを提供している。大小さまざまな企業が自社ウェブサイトにBubble を利用している。

正直なところ、初めてBubbleのことを聞いたときはかなり懐疑的だった。すでに多くのスタートアップがレゴブロックで遊ぶくらい簡単にコーディングする方法に挑戦してきた。しかし、どれも苛立たしいほど機能が限定されていた。

Bubbleは、一般のウェブサイト構築サイトよりも強力だ。ウェブプログラミングの中心となる柱をすべてビジュアルインターフェースで作ることができる。

まずデザインタブで真っ白なキャンバスを開き、そこにビジュアルエレメントをドラッグ・アンド・ドロップしてウェブページを作っていく。エレメントはどこにでも置くことができて、マップ、テキストボックス、画像などはリサイズできる。プレビューボタンをクリックすれば制作中のページをいつでも見ることができる。

2番めのタブではサイトの背景にあるロジックを作ることができる。MacのAutomatorに似た働きをする。ブロックを加えて時間軸に沿ってアクションを作っていく。各ブロックには条件を設定できる。

3番目のタブで、データベース操作をする。たとえば、サインアップページを作り、プロフィール情報をデータベースに保存できる。いつでもデータのインポート/エクスポートができる。

そのほか数百種類の プラグインを使って、Stripeの支払いを受け付けたり、TypeFormを埋め込んだり、Intercomを使ってチャットでカスタマーサポートを行ったり、Mixpanelを使うことなどが可能だ。さらに、BubbleのデータをBubble以外で使うこともできる。たとえば、Bubbleデータベースに依存するiPhoneアプリを作ることができる。

多くの小さな会社がBubbleを使い始めていて、うまくいっているところもある。たとえばPlatoはバックオフィスで全面的にBubbleを利用している。QoinsMeetawayはBubbleで動いている。3.65億ドルを調達したDividend FinanceもBubbleを使っている。

Bubbleは利用者のアプリケーションのホスティングも行う。アプリケーションが大きくなってインスタンスをリサイズすると料金が高くなる。

この会社は資金調達したことはないが、すでに毎月11万5000ドルの経常利益を上げている。Bubbleはまだ小さなスタートアップなので、大企業ユーザーにとっては心もとなさがあるかもしれない。しかしBubbleは、製品を改善することで顧客がBubbleの限界を感じないようにしたいと考えている。今の課題は、顧客のニーズより早く成長することだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマホで数学を教えてくれるPhotomathはダウンロード数1億, $6Mを調達

Photomathが、Goodwater Capitalが仕切りLearn Capitalが参加したラウンドで600万ドルを調達した。Photomathは大成功したモバイルアプリで、iOSとAndroid合わせてこれまで1億回ダウンロードされた。

Photomathは2014年に本誌TechCrunch主催のTechCrunch Disrupt Londonでデビューしたが、そのときは(手書きなどの)テキスト認識技術が売りだった。Photomathは、その技術をデモする宣伝用アプリにすぎなかった。

でもそのアプリは、何かの間違いのように消費者向けアプリとして成功した。たちまちそれは、自分のスマートフォンで数学を勉強できたら、と願っている多くの学生たちによって、何百万もダウンロードされた。

5年目の今でも、App StoreとPlay Storeの両方で、トップ集団にいる。大成功の理由は、コンセプトがシンプルなことだ。

アプリをダウンロードしたら、手書きでも印刷物でも何でもよいから、数学の問題を彼に見せる。するとアプリは、一歩々々説明しながら、その問題を解く。

Photomathが便利なのは、二つのものを組み合わせているからだ。WolframAlphaは方程式を解く。Evernoteは手書き文字を認識する。しかしこの二つを組み合わせることは、これまで誰も考えなかった。

キーボードから方程式を入力するのはものすごく難しいから、手書きや印刷物という物理的世界とスマートフォンの間にあるギャップを橋渡しすることはすごくありがたい。まだ誰もが拡張現実という言葉を口にしていないころから、Photomathはすでに、スマートフォンのSoCチップの力を利用していたのだ。

Photomathはグラフも作れるし、極限、積分、複素数などの高度な問題もサポートしている。このアプリは1か月に12億の数学の問題を解いている。

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精密農業スタートアップのTaranis、農業監視テクノロジーで2000万ドル調達

Taranisは、空中監視とディープラーニングを使って農作物の問題を見つけ出す農業技術(AgTech)のスタートアップだ。本日(米国時間11/6)同社は2000万ドルのシリーズBラウンドをViola Venturesのリードで完了した。既存投資家のNutrien(世界最大級の農薬メーカー)、Wilbur-Ellisのベンチャーキャピタル部門Cavallo Ventures、およびSumitomo Corporation Europeも参加した。

テルアビブ拠点のTaranisは、現在同社の空撮テクノロジーは、高速ドローンまたは有人飛行機に搭載されてアルゼンチン、ブラジル、ウクライナ、よび米国で使用されていると語った。このラウンドで調達した資金を使ってオーストラリアをはじめとする他の国々にも進出する計画だ。

この会社は2015年、Ofir Schlam、Asaf Horvitz、Eli Bukchin、Ayal Karmiの4人によって食料生産を増加するために設立された。Taranisのソフトウェアがターゲットにしているのは、トウモロコシ、綿花、大麦、大豆、サトウキビ、ジャガイモなどの大規模生産作物だ。害虫被害、栄養不足、病害などの問題原因を突き止め、農業従事者に(例えば)虫が作物を食べているところの詳細を写した高解像度の拡大画像を提供する。

Viola VenturesのパートナーZvika Orronはプレスリリースで、「デジタル農業産業を分析した結果、Taranisをこの分野で最初の投資先に選んだことを誇りに思っている。Taranisは農業デジタル化のリーダーになるために必要な要素をすべて兼ね備えている。広範囲な精密農業ソリューション、市場のスケールに対応し、市場進出するために必要な第一線業界パートナー、およびそれを実現させる情熱的なチームが揃っている」

従来の農作物監視は労働集約型であり、センサーを使って土壌品質や施肥量、害虫などの問題を追跡する場合であっても、必ずしも正確ではなかった。コンピュータービジョンとAI技術を使ってこのプロセス(「精密農業」と呼ばれる成長分野)を効率化しようとしている他のVC支援スタートアップには、これもテルアビブ拠点のProsperaArableCeres Imagingらがいる。

農業の巨人らも精密農業スタートアップを買いに動き始めている。たとえば、過去12ヶ月間に、DeereがBlue Riverの買収に合意し、ブラジルのスタートアップStriderがSyngentaに買われた

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

デートサービスのTinder、有料ユーザー410万、年間予測売上8億ドルに

デートサービスのTinder、有料ユーザー410万、年間予測売上8億ドルに
Facebook Datingは、Tinderを所有するMatch Group(NASDAQ: MTCH)の敵ではなかった。同社は火曜日(米国時間11/6)に第3四半期決算を発表、1株あたり利益は44セントだった。

TinderのほかHinge、Ok Cupid、PlentyOfFishなど複数ブランドのインターネットデートサービスを所有するMatchは、アナリスト予測売上4.37億ドルを超え、Q3売上は対前年比29%増の4.44億ドルを記録した。

年間予測売上は17.2億ドルになるとMatchは言っている。

好調な売上にも関わらず、同社の4Qへの見通しはウォール街を満足させられなかった。MatchのQ4売上予測4.40~4.50億はアナリスト予測の4.545億ドルに届かなかった。その結果Matchの株価は時間外取引で10%下落した。

今年に入ってからMatch株は約60%上昇している。

位置情報ベースのモバイルデートアプリケーションTinderは、依然としてMatchの成長を支える原動力として同社の有料ユーザーの約半数、年間予測売上の約半分を占めている。Matchの購読ユーザー総数はQ2の770万人から810万人になり、対前年比23%増だった。成長の大部分はTinder Goldによる。これはTinderのプレミアム購読サービスでユーザーは以前「いいね!」した相手をスワイプせずに見ることができる。全体でTinderの有料ユーザーは、前四半期の380万人から410万人に増えた。

Tinderは2018年の年間売上を8億ドルと予測している。

6月にMatchが買収したもうひとつのアプリベース・デートサービスHingeも好調だ。Matchによると、最初に投資してからダウンロード数は5倍になっているという。

さらにMatchは初めて、1株あたり2.00ドルの特別配当金をMatch Groupの普通株およびClass B普通株に対して12月19日に支払うことを発表した。

Matchは引き続き戦略的M&Aの機会をうかがうとCEO Mandy Ginsbergは声明で語った。

「われわれには長期的潜在能力のある革新的製品を見つけたときに会社を買収する財務的余裕がある」と彼女は言った。

報道によると、同社はTinderの競合Bumbleの買収を複数回にわたり試みたが、両社間の厄介な法廷闘争によってその可能性とはなくなった。最近Bumbleは、Matchに対する4億ドルの訴訟を取り下げたことを発表した。同社はMatchが買収交渉中に企業秘密を不法に入手したと主張していた。Bumbleはこの訴訟を州裁判所に再申請する可能性がある。

ダラス拠点のMatchはIACの傘下にあり、、IAC自身の決算報告は明日の市場閉鎖後に行われる。

画像出典:S3studio / 投稿者 / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動車産業が総合交通サービス業になる?自動車メーカーが車を使わない交通アプリTransitに投資

Transitは、都市に住んでる車を使わない人びとのためのモバイルアプリを作っている。同社はこのほど、二つの自動車メーカーからシリーズBで1750万ドルを調達した。

そのラウンドをリードしたのはRenaultNissan-Mitsubishiグループの投資部門Alliance Venturesと、Jaguar Land RoverのVCファンドInMotion Venturesだ。これまでの投資家AccelとReal Venturesも参加した。

RenaultNissan-MitsubishiとJaguar Land Roverの投資は、5年前なら奇妙に感じられただろう。でも、今は2018年だ。今年は、スクーター戦争とマイクロモビリティ(micro-mobility)の年だ。そして自動車メーカーはそろそろ、単純に車を作って売るだけのビジネスから脱して、業態を多様化しようとしている。

2012年に創業されたTransitは最初、バスや列車などの公共交通機関の時間を調べるアプリだったが、だんだん成長して今ではライドシェアや自転車〜スクーターのシェアなども利用できる。データはリアルタイムで、今シェアを利用しているユーザーからのクラウドソーシングも含まれる。アプリはそのユーザーが今利用しているシェアに通知して“次はどこそこへ行け”と指示し、アプリの本来のユーザーにはそのシェアの推定到着時間を教える。今では、ボストンやボルチモア、シリコンバレー、タンパベイ、モントリオールなどの交通局もTransitを利用している。

同社はこのアプリが交通機関/交通手段の種類やその提供企業/製品を特定しないことを目指しており、その意味でオープンAPIの熱心な支持者だ。今その理想にいちばん近い形を実現しているのは、Transit発祥の地、モントリオールだ。COOのJake Sionによると、モントリオールではユーザーが、カーシェア、自転車シェア、Uber、そして公共交通機関を利用できる。

Transitは世界の175の都市で使われており、今回の資金は各地の既存サービスの内容充実と、対応都市の拡大に充てられる。内容充実は、対応する交通機関/手段の増だけでなく、決済方式の改良等も含まれる。

Alliance Globalのベンチャー担当VP François Dossaは、声明でこう述べている: “この投資はTransitの努力をさらに前進させ、都市における移動をシームレスにし、そのアクセス性を向上する。それはAllianceの2022年戦略にもフィットするものであり、そこでは弊社が、各種シェアサービスを含むすべての交通機関交通手段のシームレスな統合化における、業界のリーダーになることを目指している”。

画像クレジット: Transit

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翻訳サービスのReversoが同義語辞典アプリケーションとモバイルアプリをローンチ

言語学習サービスReversoが、新しいWebアプリケーションおよびモバイルアプリとして、Reverso Synonymsを立ち上げた。これは一種のシソーラスサービス(類義語辞典)で、これを使ってユーザーは、新しい言葉を覚えたり自分のボキャブラリーを増やしたりできる。

この機能は、翻訳アプリケーションのReversoに前からあった。語や語のグループを翻訳しているときに、“S”ボタンを押すと、関連語が表示される。

でもそれは、あくまでもソフトロールアウトだったけど、今回は単独の完全なサービスとして提供される(“ハードロールアウト”)。対応している言語は、英語、フランス語、スペイン語など12か国語だ。

使い方は簡単で、単語をタイプするとたくさんの同義語が表示される。例文がついているし、詳しい語義もある。語をタップすると、意味を確認できる。

しかしそれだけではなくて、スラングを翻訳してくれるし、複数の意味がある語には複数の類義語が出る。単語だけでなく、“beside the point”のように複数の語から成る語句も扱える。有料会員は、さらに多くの機能を利用できる。

さらにおもしろいのは、Reversoがこの新サービスのための大きなデータベースを、短時間で作ったことだ。つまり同社は何年もかけて翻訳用の辞書を作ってきたから、そのデータを利用して新製品のためのベーシックなデータベースを作れたのだ。

Reversoの翻訳サービスReverso Contextには、20億語から成るバイリンガルの辞書がある。二つの語が、複数の言語で同じ翻訳結果になれば、同義語だと見なせる。もちろんそのデータは、アルゴリズムの改良と、一部は人間の手により、調整されてきた。

翻訳や辞書ではGoogle Translateがもっぱら優勢だが、それでもReversoは各月のユーザーが数千万いて、Webアプリケーションだけでも4億5000万のページビューを生成している。Googleのほぼ独占の中で、かなり健闘している。メインのサービスはあくまでも翻訳だが、今度の新しいサービスもなかなかおもしろい。

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ソフトバンクの孫正義氏はサウジアラビアとの関係をどう説明するのか? まもなく判明

10月を通じて、SoftBankはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)との良好な関係を見直す必要に迫られている。皇太子は権力の座につくとともに多額の資金を提供していたが、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の陰惨な殺人と死体遺棄が明るみに出るにつれ急速に負の側面が見えてきた(MBSはサウジアラビアを導いて数多くの恐怖をもたらしてきたが、バージニア州在住のWashington PostコラムニストでMBSを批判してきたカショギ氏の残酷な終末は、イエメンで数万人の子供たちが殺された事件と異なり、欧米の注目を集めることとなった)

もちろんSoftBankにとってMBSとの決別は容易な決断ではない。CEOの孫正義氏は、 今年5月に完了した1000億ドルのVision FundはMBSに支えられていると語った。事実、孫氏によるとMBSはサウジの公共投資ファンド450億ドルの提供を45分間で決定し、さらに第2のVision Fund設立のために別途450億ドルをSoftBankに出資する意志を最近表明している。

これは断るにはかなり大きな金額だ。しかし、SoftBankにとってMBSと仕事をすることの是非を再考することは理にかなった行動といえる。Financial Timesによると、SoftBank COOのMarcelo Claureは先月、SoftBankが新たなVision Fundを立ち上げるかどうか「決定していない」ことを公表した。

そして時間が過ぎた。世間の怒りの矛先は別の方に向けられつつある。そして先週の終わり、SoftBankの準備は整ったようで、一時停止ボタンから指を離し大きな契約が2件交わされた。ロボット調理のスタートアップZumeに3.75億ドルを投資し(後日さらに3.75億ドルを投資する計画が報じられた)、金曜日(米国時間11/2)にはインターネットにつながる窓ガラスに使われるガラスのメーカーであるView11億ドル投資することを発表した。

両社の経営陣とも、SoftBankと提携する方が別の資金調達源を探すより得るものが大きいと考えたようだ。

問題は、SoftBank自身が、会社の将来を計画する上で同じ決断を下すのかどうかだ。それがもうすぐ明らかになりそうだ。Financial Timesが報じているように、孫氏はSoftBankの第2四半期決算を明日報告する予定であり、そこではMBSが支配する主権国家資産ファンドであるPublic Investment FundとSoftbankのつながりに関する長い質問リストを提示されることは間違いない。

少なくとも役に立つ答えがいくつか出てくるだろう。これまで孫氏はカショギ事件について何も語ってこなかった。また、孫氏は2週間前にサウジアラビアのリヤドで行われたMBSの投資カンファレンスに姿を見せなかったものの、イベント前に皇太子と個人的に会っていた。本誌の情報源によると、その会合はカショギ事件に対する彼の懸念を個人的に伝えるためだったということだが、つながりを断ち切る話しは出なかったという印象を受けた。

その予想が正しいかどうかはすぐに分かるだろう。いずれにせよ、SoftBankとMBSとの関係がすぐに忘れられることはなさそうだ。Financial Timesの記事にある通り、SoftBank株はカショギ氏が10月初めにトルコのサウジ領事館に足を踏み入れて出てこなかった運命の日から26%下落している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

女性起業家が調達した資金は米国VCのわずか2.2%(今年も)

女性起業家に公平な活躍の場を与えようとする数々の努力にもかかわらず、2018年に米国女性が設立したスタートアップの調達金額はベンチャー資金全体のわずか2.2%だった。

この数字に見覚えがあるかもしれない。PitchBookによると、これは昨年、女性ファウンダー単独あるいは女性のみのチームのスタートアップが調達した資金の割合とまったく同じだ。

この数字は、女性起業家や支援者たちがこの長きにわたる問題の解決を試みる際の一種のスローガンとして使われている。女性起業家が調達する民間資本は男性起業家と比べて著しく少ない。いくつかの新しい試みや、All Raiseのような専門組織が、メンターによる指導プログラムによってこの問題を解決しようとしているが、変化を達成するだけのリソースを追加するためには1年以上必要なのは明らかだ。

現在ベンチャーキャピタル会社の意思決定者に女性の占める割合は10%以下であり、米国VC会社の74%には女性投資家が一人もいない。こうした数字が変わり始めるまで、資金調達のギャップが縮まる見込みは小さい。

良いニュースもある。2018年を2ヶ月残した時点で、女性たちが調達したVC資金の額は過去最高を記録している。過去10ヶ月間に女性が起業したスタートアップは計391件、23億ドルの調達契約を完了し、2017年の20億ドルを超えた。男女混合チームによる今年の資金調達も132億ドル、1346件で、昨年の127億ドルより増えている。

一方米国スタートアップ全体では2018年に967億ドルを調達しており、年内に1000億ドルを超えるペースだ。女性が起業した会社はそのわずか2.2%しか調達していない。男女混合チームの数字は12.8%で前年の約10.4%より増えている。

昨年米国のスタートアップは9000件以上の案件で総額820億ドルを調達し、ベンチャー業界にとって今年同様に印象的な年だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

創業三年で急成長、インフルエンサーマーケティングのMavrckが$5.8Mを追加調達

Mavrckが、新たに580万ドルを調達して、総調達額が1380万ドルになった。

2015年にシリーズAを調達したときは、クライアントの製品をすでに使っている“マイクロインフルエンサー”たちにフォーカスしていた。しかし今は、同社は“オールインワン”のインフルエンサーマーケティングプラットホームを自称し、マーケティング活動を自動化し効果を測定するためのさまざまなツールを提供している。

同社はPinterestとマーケティングで公式にパートナーしているが、先月はPinterestのための新しい機能を発表した。同社によると、これまでは効果測定と詐欺の検出の改良に力を入れてきた。またInstagramのフォロワーに関しては“統計的に有意な標本分析”を掲げ、彼らのコンテンツにエンゲージしているアカウントがボットか否かを判定する。〔ボットは統計的に有意な標本ではない。〕

顧客にはP&G, Godiva, PepsiCoなどがいて、経常収益は年率400%で伸びている。

今回の資金調達の発表声明でCEOのLyle Stevensはこう語っている: “今年Mavrckがやってきたことにはどれも、インフルエンサー産業を前進させる意図が込められていた。導入した機能や、締結したパートナーシップ、追跡してきたインフルエンサーのビヘイビアなどなどはどれも、マーケターが人びとが信頼するコンテンツのパワーを装備して、彼らのブランドのための具体的な事業価値を育てるようにする、という、弊社のミッションの一環である”。

新たな資金の投資家は、GrandBanks CapitalとKepha Partnersだ。シリーズBではなくて、需要増に対応しチャネルとのパートナーシップをサポートするための追加資本だ、という。

画像クレジット: Mavrck

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Brexはその新しい報酬プログラムで、WeWorkやAWSなどとパートナーシップを締結した

スタートアップのための法人カードを発行するBrexが、本日(米国時間10月30日)新しい報酬プログラムを発表した。

3週間前に1億2500万ドルのシリーズCを発表したこの10億ドルの企業は、Amazon Web Service、WeWork、Instacart、Google Ads、SendGrid、Salesforce Essentials、Twilio、Zendesk、Caviar、HubSpot、Orrick、Snap、Clerky、そしてDoorDashとパートナー契約を締結し、起業家たちが、定期的に利用するサービスとプロダクトから、ポイントを得たり使ったりすることができるようにする。

Brexは、スタートアップを立ち上げる際に必要となるコストをよく理解した、22歳の連続起業家ペアによって率いられている企業だ。彼らはこの1年、Brexのパートナーのリストを注意深く構築してきており、彼らのカード所持者たちは、他の競合プログラムからよりもBrexからの方が、およそ20%多い報酬を得ることができると語っている。

「他の誰もがやっていることをやりたいとは考えませんでした。そこで私たちはこれまでの零細企業とスタートアップの違いは何だろうと考えたのです」とBrexの共同創業者でCEOのHenrique DubugrasはTechCrunchに語った。「最大の違いは、彼らがお金を使う対象です。ほとんどのクレジットカードの報酬システムは、個人的な支出のためにデザインされていますが、スタートアップたちはビジネスにもっと多くを費やしているのです」。

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Brexだけを法人カードとして利用している企業は、配車サービスでは7倍、レストランでは3倍、旅行では3倍、ソフトウェアの継続的利用では2倍、それ以外の出費ではそのままのポイントを、上限なしで受け取ることができる。まだ他の法人カードを使用しているBrex所有者の場合は、全ての経費に対して割増のないそのままのポイントを受け取るだけだ。

ほとんどの法人カードは、旅費やレストランの費用に対して同様の報酬を提供するが、Brexは独自のやり方で配車サービスの特典を与え、また特にソフトウェア(SalesForcemHubSpot)の継続使用に対する特典も提供している。

サンフランシスコに拠点を置くBrexは、Greenoaks Capital、DST Global、そしてIVPを含む投資家たちから、これまでに約2億ドルを調達している。その資金調達の時点で、同社はTechCrunchに対して、最新の資金は報酬プログラムを構築し、エンジニアを雇い、顧客基盤をテクノロジースタートアップ以外のビジネスにも広げる手段を探るために使われることになると語っていた。

「これで、Amex、Chase、そして大手銀行たちとの競争が可能になります」とDubugrasは語った。

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(翻訳:sako)

スタートアップのピッチを実用化するために必要なトランスレーション(技術転換)の方法

[著者:Perry Hewitt]
マーケティング、技術、ミッションドリブンな組織の間で活躍している。

大企業に取り入ろうと、舌なめずりをしているスタートアップはいくつもある。それは悪いことではない。大きな企業は古臭いシステムや回りくどい手続きに満ちていて、それにより仕事の良い成果が出にくくなっている。こうした問題を解決する方法を、スタートアップは持っているからだ。

しかし、チッピの内容が伝わらなかったり、約束どおりに準備が進まなかったりという失敗が多い。その障害物が、はっきり見えていることもある。製品と問題とのミスマッチ、スケールの調整ができない、企業からの出資が途絶えるなどだ。だがとりわけ多いのは、スタートアップの価値が、トランスレーション(技術転換)によって失われるという問題だ。

非常に先見的な企業のリーダーたちですら、私が「GAAP(公正妥当と認められる会計原則)ベースのデジタル戦略」と呼ぶ環境下で仕事を行っている。予算編成が、たとえばソフトウエアのライセンス更新料や固定価格のサポート契約といった、特定の種類の購入だけを対象にしている。オープンソースの開発など、変化する新しいコストモデルでは、予算獲得の際に次善策を提示したり説明したりという手間が必要になり、それではやる気のある有能な社員も、時間と労力を奪われて疲弊してしまう。

そこでスタートアップは、どんな役に立つのだろう? 企業に定着した基準に沿った新しいコストモデルが導入できるよう、社内の予算管理者を手助けできれば、資金調達と財務というヒドラのように頭がいくつもある複雑な問題から、牽引力を引き出せるようになる。ひとたび、プロジェクトが軌道にに乗れば、それを推進する担当社員は予算編成を変革することもできるかも知れない。ただしその前に、パイロット版を立ち上げ、結果を見せることが重要だ。

GAAPベースのデジタル戦略には、会計上の習慣を遥かに超えるものがある。たとえば、内部報告書だ。大きな企業では、透明性を高めて仕事の成果への社員の当事者意識を持たせる目的で、上、横、下に向けて報告を行うが、そのために膨大な時間が奪われる。みなさんの部署のKPI(主要業績評価指標)はどうだろう。結果を、その会社の言葉で簡単に説明できるだろうか。顧客と直に接して、既存の報告書の枠組みに沿うよう(そしてそこで目立つよう)長い時間を共に過ごすのだ。

こうした制御システムを動かすことが大変に困難であることを、企業はよく承知している。だから、「イノベーション部門」を設置するところが増えている。一度きりの特別予算を付けて、新しい技術を試す部門だ。これが、スタートアップと新しい顧客との関係の出発地点となる。

スタートアップにとって、これは有り難いアプローチとなる。煩雑なプロキュアメントやIT要件を巡って交渉を重ねることなく、自分たちの価値を示せるからだ。ただ、こうした部門はパイロット版の試験ごとに変わることが多いため、スタートアップの技術を自社の事業のために吸収したいと考える、その分野の積極的で有能な社員と出会うのに苦労することがある。もっとも大きな課題は、イノベーションを立ち上げた後、それを実際の業務として運用できるようにする引き渡しの作業だ。そのための手順を決めていない企業が非常に多い。そのような企業では、手続きや規則とは隔離された「クリーンルーム」でテストされる場合がある。

ここに、拡張現実(AR)ヘッドセットとソフトウエアを持ち込んで、複雑な医薬品製造の環境に変化をもたらしたスタートアップの例がある。彼らはパイロット版の導入ではっきりとした結果を出した。最初は4つか5つのヘッドセットでテストを開始したが、音声を記録でき、両手が自由に使えるようになるARのワークフローが現場の作業員の大きな助けになった。

スタートアップは、その後、現場を訪れ、作業員と一緒に改良点を試し、決まりに従って組み立てられた作業手順に、どのようにその技術を合わせればよいかを話し合った。こうした直接的な関わり合いが報告書に記され、現場が求めていた30個から40個のヘッドセットの納入につながった。中間管理職の決断を待つことなく、そのスタートアップは、実務につながる草の根の足場をしっかりと築いたのだ。

同じように、CPG(一般消費財)販売企業で分析用製品を試験導入したスタートアップは、すぐさまIT部門の分析予算に組み込まれてしまった。そして、ビジネス・インテリジェンス用のダッシュボードからマーケティング技術用ツールまで、さまざまな課題を与えられて、試験導入は方向性を失いかけた。

結果をよく調べてみると、貿易推進部門に効果が出ていることが発見できたので、彼らはツテを頼ってその企業の貿易推進部門を管理する重役に会った。すると彼女は彼らの試験導入を自分の直接管理下に置き、自分の予算で進めるように言ってくれた。彼らはGAAPベースのバケツ(分析)に閉じ込められことなく、重役と直接つながることで、まったく別次元で仕事ができるようになった。

社内の有能な人間を見つけることと、GAAPに縛られずに話を進めることの他に、時間をかけて、顧客である大企業の背景事情、つまりその四半期の株主価値を高める戦略とテーマを理解することも重要だ。解決を目指す課題の周辺だけでなく、その企業全体の目標も考慮して協力する姿勢が大切なのだ。

そこでは、年次報告書が味方になってくれる。企業の目標はデジタル化、国際協力、リスク管理といろいろあるだろうが、こうした優先度の高い課題に沿うことが、内部の信頼を得ることになる。目に見える、予算のついた、CEO主導の、部門の垣根のない流ちょうな戦略を守り、自分たちのソリューションが、その企業にどれだけ役に立つものかを示すことだ。

安心して欲しい。こうした技術転換は、決して一方方向ではない。関わりを深めるほど、顧客である企業はみなさんのスタートアップの考え方から恩恵を受けるようになり、本当に理解したとき、それを活かそうと、技術、作業工程、言葉が変化してゆくものだ。そして理想的には、昔からの煩雑な手続きが衰退し、今のビジネスが被っている構造的な遅れが解消される。それまでの間は、結果を宣伝するばかりでなく、技術転換の方法についてよく考えることも重要になる。

iPhoneの赤外線奥行きセンサーで人間の感情を読み取るObservant

Observantは、iPhone X, XS, XRの、赤外線を利用する奥行き(z軸方向)センサーの、新しい使い方を見つけた: ユーザーの顔の表情を分析して、製品やコンテンツに対する反応を読むのだ。

ObservantはY Combinatorの本年冬季の‘生徒’だったが、3月のデモデーの時点でもステルスだった。作者は、バグを報告するBuglifeを作ったのと同じ企業で、CEO Dave Schukinによると、彼のチームがユーザーの反応を正しく知りたいためにObservantを作った。

本誌TechCrunchはWebカメラ視標追跡(eye tracking)を使う方法を過去にも取り上げてきたが、CTOのDaniel DeCovnickと共に同社を興したSchukinによると、それらの方法はObservantに比べて精度が低い。とくにそれらは、表情の細かいニュアンスを捉えることができず、また十分明るくないと使えない。

彼によると、赤外線を用いる奥行きセンサーは、照度が低いところでも顔を詳細に捉えることができる。またObservantは独自のディープラーニング技術により、顔のデータをリアルタイムで感情に翻訳できる。

Observantは、どんなiOSアプリからでも利用できるSDKと、そのバックエンドとしてのリアルタイムの感情分析ストリームと、アプリ内イベントに対応するユーザーの反応のスナップ・ショットを提供している。今は完全招待制だが、Schukinによると、すでに一部のリテールやeコマース、それにフォーカスグループテストでも利用されている。

Observant

自分のiPhoneがこっそり自分の表情を捉えている、と後で知ったら誰しも気分悪いので、Schukinは事前にユーザーに知らせることを強調する。“ユーザーはそれがどのように使われるか明確に知っている”のだそうだ。またすべての分析はユーザーのデバイス上で行われるので、顔の映像やバイオメトリクスデータなどがどこかへアップロードされることはない。

この技術には、もっといろんな用途がありうる、とSchukinは主張する。たとえば消費者へのリコメンデーションの質をアップしたり、チャットボットが“感情認識能力”を持ったり、居眠り運転を検出したり、などなどだ。

現在、特定のスマートフォンの特定の三機種でしか使えないことに関してSchukinは、赤外線による奥行きセンサーがあるのは、開発を始めた当時iPhone Xだけだった、と言う。そして、いずれはAppleのiPhoneとiPadの全機種に搭載されるだろうし、Androidにも載るだろう、と彼は考えている。

現時点でObservantの将来性を占うのは時期尚早だが、Schukinによると、わずか一機種だったのがすぐに三機種になったのだから、今後この技術が広まっていくことは確実だ、という。

画像クレジット: Observant

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google Mapsでは水飲み場水汲み場が分からないからTapは水のWazeになってプラスチック瓶を世界から減らそうとする

レンタル倉庫サービスMakeSpaceのファウンダーで元CEOのSamuel Rosenが次のベンチャーを立ち上げようとしているが、それはオンデマンド経済とはほとんど無関係だ。今回Rosenが目指すのは、水の世界だ。

Tapがねらうのは、世界で初めての飲料水のための公開インデックスとグローバルな検索エンジンだ。

水を売るために使われているプラスチックボトルは、いろんな意味で、この惑星を苦しめている。プラスチック製の水の瓶が環境に与える悪影響の90%以上は、製造過程で起きており、そしてGuardianの記事によると、2016年には世界中で毎分100万本以上の、プラスチックのボトルに入った水が売られた。

再利用できる瓶や水筒も使われているが、その場合は水を再充填できる場所を見つけるのが難しい。そこで、Tapの出番だ。

創業まもなくのTapは、水のためのWazeのようだ。ユーザーが提供する情報と、噴水式水飲み器のメーカーからのデータを組み合わせて、Tapは水を見つけるための公共的検索エンジンになることをねらっている。今Tapは、30か国の34000箇所あまりの水汲み場をそのアプリ上にインデクスしている。

Tapはまた、水飲み器のメーカー企業のためのバックエンドシステムを提供したいと考えている。これらの企業は通常、空港や商業施設、公共施設などに装置を売っている。据え付けは顧客が指定した場所に行なうが、どこに売れるか据え付けられるかは、水飲み器メーカー企業の関与の外にある。

しかし、これらの企業は水飲み器のメンテナンスも行なう。フィルターを交換したり、壊れた部品を修理したりしなければならない。常時人の多い場所に置かれた水飲み器は、メンテナンスの頻度も多くなる。

Tapが考えているこれらの企業のためのSDKは、それで作ったIoT的なシステムで、ユーザーがフィルターの劣化や水飲み器の故障を報告する。そしてそれらの情報がダッシュボードに表示される。

そしてRosenが考えている水の検索の収益源は、Googleの検索と同じく広告だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

TikTokのByteDanceが世界最大のスタートアップに――Uberを抜く会社評価額で資金調達完了

オンライン広告ネットワークやTikTokなどのサービスを運営する中国のByteDanceがUberを抜いて会社評価額で世界最大のスタートアップとなった。

ForbesBloombergは同社が750億ドルの会社評価額で30億ドルの資金調達を完了したと報じている。TechCrunchの取材に対し、事情に通じた情報源はこの報道が事実であると確認し、会社評価額はプレマネー、つまり資金調達を実施する前の評価額だと述べた。つまり今回のラウンドで得た30億ドルを加えるとByteDanceの評価額は780億ドルとなる。これは配車サービスの巨人、Uberの直近の会社評価額720億ドルを抜くものだ。ただUberはf評価額1200億ドルで来年上場するものとみられる。.

ByteDance にコメントを求めたが回答は得られていない。

TechCrunchはByteDanceがアメリカのベンチャーキャピタルKKR、General Atlanticに加えて日本のSoftBankと新たな資金調達ラウンドに関して協議していることを8月に報じている。 BloombergはこのラウンドでSoftBankが18億ドル程度を出資し、その一部でセカンダリーマーケットで既存の投資家の株式を買取ると報じた。この記事はラウンドは完了しておらず新たな投資家の参加によって資金調達総額がさらに跳ね上がる可能性を指摘していた。

ByteDanceは多様なデジタルメディアを運営しているが、中でも有名なプラットフォームは 今日头条(今日頭條、Toutiao)だろう。これはAIを活用したニュース・サービスで1億2000万のユーザーがおり、中国最大級のダウンロードを集めたアプリとなっている。またByteDanceが運営するYouTube的な短編ビデオ共有サイト、TikTokはライバルの動画サイト、Music.lyと統合された。ByteDanceはMusica.lyを昨年 10億ドルで買収していた。

TikTokが人気があるのは中国だけではない。TikTok-Music.lyの統合は世界的な動画共有プラットフォームとなることを目指す戦略の一環だ。ByteDanceは今日頭條方式のサービスを世界で展開している。ただし、中国内のサービスと国際的サービスの間に慎重に障壁が設けられており、
TikTok(月間5億ユーザー)とその中国版の抖音(Douyin、月間3億ユーザー)はまったく別のサービスとして運営されている。これは主として検閲の影響を考慮したものだ。

ByteDanceはBATと呼ばれるBaidu、Alibaba、Tencentなどの先発企業を押しのけて中国のインターネットでトップクラスの地位を築くという離れ業に成功した。しかしアメリカのテクノロジー企業もByteDanceの動向には注目している。「模倣は最高の賛辞」といいう言葉があるがGoogleは中国向けにo今日頭條に似たニュースアプリを開発中だ(検閲に対応する点が議論を呼んでいる)。一方、TechCrunchはFacebookはTikTokクローンを準備していると報じた。

ただしByteDanceにとってすべてが順風満帆ではない。中国政府はオンラインメディアに対しても厳しい検閲を行っており、メディアやアプリストアが一時停止される制裁を受けている。これにともない同社のメディア審査チームは6000人から1万人に急増した。しかしこうした逆風も一時的な傷みだろうし、政府から厳しい視線が注がれるのも同社の影響力の重要性を物語っていると考えるべきだろう。

〔日本版〕11月15日、16日に渋谷ヒカリエで開催されるTechCrunch Tokyo 2018TikTok日本法人の西田副社長が登壇する。

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滑川海彦@Facebook Google+