世界銀行がオーストラリアの銀行とパートナーして初のブロックチェーン上の債券を立ち上げ

世界銀行がオーストラリアのCommonwealth Bank of Australia(CBA)と共に、初のブロックチェーン上の債券を発行することになった。

この1億1000万オーストラリアドル(8700万USドル)のbond-i(ブロックチェーンによって運用される新しい債務証券)は、分散台帳技術を使って作られ、割り当てられ、送金(振替)され、そして管理される、初めての債券だ。なお、bond-iという名前は、オーストラリアの有名なビーチ、Bondi Beachから取られたに違いない!(銀行家は意外とジョークが好きである)。

この投資は、オーストラリアの金融にとっては小さな一歩だが、世界中のブロックチェーンにとっては大きな跳躍だ(でもないか)。

このブロックチェーンボンドの投資家は、CBA, First State Super, NSW Treasury Corporation, Northern Trust, QBE, SAFA, Treasury Corporation of Victoriaなどだ。それはまるで、オーストラリアの公的金融機関のごった煮のようだが、その意味は大きい。オーストラリアのフィンテックコミュニティはかねてから強力だし、そしてブロックチェーンは、これらの金融機関が探究に向けて関心を持っていたテーマだからだ。

世界銀行の声明によると、これは同行がブロックチェーンに関して行っていくであろう多くの実験の、ひとつである。6月に世界銀行はBlockchain Innovation Labを立ち上げて、その技術を検討してきた。

世界銀行の財務部長Arunma Otehはこう言っている: “公的機関やファンドマネージャー、政府機関、および銀行から寄せられた幅広い関心にとりわけ感銘を受けている。私たちは疑いもなく、コンセプトの現実化に成功した。なぜならば、これらの質の高い投資家たちが、テクノロジーを資本市場のイノベーションに利用することの意義を、理解されたからである”。

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ロシアの銃器メーカーKalashnikovがTeslaとの競合をねらう電気自動車を発表

AK-47マシンガンで有名なロシアの武器メーカーKalahsnikovが今週、電気自動車とハイブリッド車、バギー、そしてオートバイなどから成る、一連の自動車製品を披露した。電気自動車のうちの一台は、同社によると、Teslaとの競合を意識している。

世界でいちばん有名な電気自動車ブランドとの競合は、目標としては立派だが、しかしそのCV-1と呼ばれるレトロなスタイルのコンセプトカーは、ソ連時代に不評だったTrabantによく似ている。

ところで、この車のFahrvergnügen〔‘車の魅力’、VWの広告のキャッチコピー〕は、テレビの人気キャスター、コナン・オブライエンによるデモにいちばん良く表れている:

CV-1は、“Combi”と呼ばれていたレトロ車IZH-21252がベースで、Kalashnikovが自社開発したという電気駆動機構のテストベッドだ。その巡航距離は350キロメートルで、加速性能は0から100キロメートルまで6秒、と同社は言っている。

バッテリーも自社製で、容量は90KW/hだ。

EVを公開したその同じ銃器見本市でKalashnikovはさらに、ハイブリッドのバギーと電気オートバイも見せて、ハットトリックを完成した。

その四人乗りのバギーは最高時速が100キロメートルと言われ、前輪と後輪で別の電気エンジンを使用する。ショックアブソーバーは油圧式だ。ロシアの通信社RTによると、この車は比較的最近、ロシアの軍用車の仲間に加わった。

Kalashnikovの警察用電気オートバイ

KalashnikovはTeslaを意識しているのかもしれないが、もっと意識すべきはロシアの競合企業や製品よりも、アメリカの規制当局だろう。現時点では、この武器メーカーが自動車よりも有利な商機を見つけそうなマシンがもう一つあり、それもこの軍事見本市でデビューした。それは、黄金色の装甲車、ではなくて、黄金色の殺人装甲ロボットだ (!!):

以下は、新しい電気自動車の、Kalashnikov提供の写真集だ:

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  2. Screen-Shot-2018-08-23-at-10.58.10-PM

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  7. Screen-Shot-2018-08-23-at-10.57.42-PM

この記事は、Jon Russellの協力によるところが大きい。

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フォートナイトのプレーヤーは2要素認証を有効にすると新しいエモートをもらえる

歴史的にみて、われわれはデジタルセキュリティーを得意としていない。2016年(安心できるほど遠い昔ではない)、最もよく使われたパスワードは “123456” と “password” だった。

意識はたしかに高まったが、正しい方向に進みたがらない人たちもいる。幸いな、Fortnite Battle RoyaleのメーカーであるEpic Gamesが解決策を思いついた。

同社はゲームに新しいエモートを導入した——エモートとはEpicが10億ドルを荒稼ぎするのを手助けする表面的なアップグレードの一種だ。しかしこのBoogie Downという新しいエモートは、Epic Gameアカウントで2要素認証を有効にしたユーザーだけにあたえられる。

ご想像の通り、ハッカーなどの厄介者たちはFortniteの人気とユーザーがこのゲームに金を使いたがっていることを十分理解している。当然彼らのアカウントは「悪いやつら」の魅力的なターゲットだ。

2要素認証——身元を証明するために2種類の方法を使う(通常はパスワードとSMSによる確認)——には短所もあるが、パスワード単独と比べればアップグレードであることは間違いない。

より良いセキュリティー習慣の動機を与えることは興味深い試みであり、ゲームメーカーがこの手法を選んだのは初めてに違いない。

Boogie Downエモートは2要素認証の報奨であり、Epic Gamesのコンテストの一環として導入された。去る3月、同社はユーザーコミュニティーに対してダンス動画の投稿を呼びかけ勝者はゲームに採用された。

ちなみに、実際のダンスはゲーム内のエモートよりずっとクールだ。

[via Kotaku]

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CI/CDを末端企業にも普及させたいArmoryはY Combinator出身で$10Mを調達

オープンソースのSpinnakerプロジェクトをベースとするCI/CDプラットホームArmoryが今日(米国時間8/22)、シリーズAのラウンドにより1000万ドルの資金を調達したことを発表した。このラウンドはCrosslink Capitalがリードし、Bain Capital Ventures, Javelin Venture Partners, Y Combinator, そしてRobin Vasanらが参加した。

ソフトウェア開発は、ここ数年で確かに変わった。間隔の長いアップデート・サイクルに代わり、継続的デリバリが主流になってきた。このコンセプトは今では、継続的インテグレーション/継続的デリバリ(continuous integration/continuous delivery)を表すCI/CDと呼ばれている。Armoryのプロダクトは、このタイプのソリューションをデプロイするときに伴う複雑性を、軽減しようとする。

同社を創業したときファウンダーたちは、CI/CD技術のバックエンドのベースとしてSpinnakerを使う、と決めた。それは、GoogleやNetflixなど業界の大物たちが支持しているプロジェクトだからだ。ArmoryのCEOで協同ファウンダーのDaniel R. Odioが、今回の資金調達を発表するブログ記事でこう述べている: “Spinnakerは大規模で本格的なマルチクラウドのデプロイを支えるスタンダードになるだろう。自分たちで新たに継続的デリバリのプラットホームを内製で構築する、そんな車輪の再発明を避けて、SpinnakerをArmoryプラットホームのコアにするという、大きな賭をした”。

同社によると、その賭は報われ、Spinnakerの同社バージョンはエンタープライズのソリューションで広くデプロイされている。同社の目標は、Fortune 2000社がソフトウェアのデプロイを今よりずっと速くできるようになることだ。そしてそのためには、CI/CDのアクセスと理解が欠かせない。

今企業は、どんな企業でもソフトウェア企業になりつつあるから、どの企業もこれまでとは異質な部分を抱え込むことになる。GoogleやNetflixのような超大物は、最先端の方法により、ソフトウェアを驚異的なスピードでデプロイする方法を経験から学び構築しているが、製品の製造技術=ソフトウェア開発技術ではない、そこらのふつうの企業は、ソフトウェア技術者もそんなに多くないから、Googleなどに追随することは難しい。

その空隙を補ってくれるのが、Armoryのような企業だ。同社は、オープンソースの技術を核として、その複雑性を包み隠すパッケージにより、高度なソフトウェアデプロイ技術を持たない普通の企業でもCI/CDを導入できるようにする。

中でもとくに同社が強調するマルチクラウドでクラウドネイティブなソフトウェア開発方式は、ユーザーのアプリケーションやインフラストラクチャを、オンプレミスも含む複数のクラウドに分散可能にする。そのようなデプロイ技術の重要な部分が、継続的デプロイを管理する技術だ。

Armoryは2016年にローンチし、ベイエリアに拠を構える。これまで1400万ドルを調達したが、そのうちの400万ドルのシードラウンドは昨年行った。同社はY Combinator 2017冬季の卒業生であり、Y Combinatorは今回の投資に参加している。

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AWS、VPSサーバーのLightsailを半額に値下げ

2016年に提供開始したAWS Lightsailは、Digital Ocean、OVHを始めとする低価格バーチャルプライベートサーバー(VPS)製品に対するAmazonの答だった。Lightsailはごく基本的なサービスとしてスタートしたが、この2年間にブロックストレージ、Windowsサポートの追加、リージョンの拡大などが加わった。

本日(米国時間8/23)Amazonは、新たに2つのインスタンスサイズを追加し、LinuxベースのLightsailインスタンスのほとんどを半額に値下げした。Windowsインスタンスも値下げされるが、値下げ幅は大部分が約30%だ。

Linuxインスタンスの中で唯一50%の値下げでなかったのは、5ドル/月の512 MBインスタンスで新価格は3.50ドル。これでも悪くはない。ニーズによっては512 MBでもプロジェクトをいくつか動かすのに十分なので、1 GBが必要ないユーザーはLightsailを使えばDigital Oceanの最小構成である5ドル/月よりも数ドル安くできる。実際、Lightsailの1 GBインスタンスも5ドル/月になったのも驚きではない。

どのインスタンスタイプも、SSDストレージ、SSHアクセス、固定IPアドレスを含めVPSホスティングサービスに期待される機能をすべて備えている。

例によってWindowsインスタンスは少々高くて(つまるところWindowsのライセンスはただではない)512 MBインスタンスが月額8ドルだ。より使いでのある1 GBインスタンスには毎月12ドルが必要だ。

新しいインスタンスサイズについては、16 GBインスタンスが4つのvCPUと320 GBのストレージ、および余裕の6 TBデータ転送速度を備える。32 GBインスタンスはvCPUとストレージが倍になりデータ転送速度が7 TBになる。

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Adobeのマーケティングツールはメールを送るベストのタイミングをAIが教えてくれる

Adobeの機械学習ツールAdobe Senseiが、マーケティングのためのメールを送る最良のタイミングを教えてくれるようになる。Adobe自身のの研究開発部門Adobe Researchから生まれたこの新しい技術は、近い将来に実用化されるようだ。

マーケターは、AdobeのメールマーケティングツールAdobe Campaignに、キャンペーンの開始日と終了日を教えると、Senseiが、メールが相手の受信箱に到着すべき最良の日時を見つける。そういうメールは消されたり無視されることが多いので、ツールは開封率の最大化を目指して最適化される。

Adobe Researchはさらに、メールの受信者がメッセージにどのように反応したかに基づいて、彼らを自動的に分類分割する技術にも取り組んでいる。これによりマーケターは、コミュニケーションの正しい頻度を判断できる、という。

これら二つのツールはどちらもまだ研究開発の段階だが、今日(米国時間8/22)ローンチしたいくつかの機能は、ユーザーが即利用できる。まず、ドラッグ&ドロップでメールのメッセージをデザインできる機能。そしてAdobe Campaignの動的レポーティング機能。さらに、Adobe Campaignのプッシュ通知の多言語化と高速化により、マーケターは短い時間により多くのメッセージを送ることができるようになった。

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Palette 2はどんな3Dプリンターもカラー化する

Mosaic ManufacturingのPalette 2——オリジナルのPaletteの改訂版——は自己完結のフルカラー3Dプリンティングシステムだ。複数の色のフィラメントを切ったりつないだりして、作品のプリントに合わせてプリンターに送り込む。Splice Coreと呼ばれる独特の内部カッターがフィラメントを適切な長さに切ってプリントに使うフィラメントの色を迅速に切り替える。

プリンターは4色を出力可能になり、好きな色も好きな量だけプリントできる。余分な色はタワーと呼ばれる小さな塊に射出するので、必要に応じて各色をわずかな量でも多くの量でも利用できる。フィラメント切れ検出もあるので長時間かけて大きな作品を作ることもできる。

Paletteは既存の多くの3Dプリンターで使うことが可能で、Paletteや上位機種のPalette Proを使うためにプリンターを改定する必要はない。Canvasという新しいソフトウェアを使うとユーザーはカラープリントの計画を立てて、命令をPaletteとプリンターの両方に送り込める。

Palette 2の価格は449ドル、Proは699ドル。ProはPalette 2よりも高速にプリントできる。

これは実に賢い工夫だ。プリンターに全部の仕事をやらせる代わりに、フィラメントに働かせる。ほぼあらゆるプリンターでPaletteを使うことが可能だが、現在同社は多くの人気プリンターにネイティブサポートをするよう交渉している。スマートフォンのケースや伸縮可能な素材を使ったラバー風ウォッチバンドや教材なども3Dプリントできる。いちばん印象深いのは何か? このシステムを使うと脳の断面図をプリントして腫瘍の部分を黄色で表すことができる。(まだ)完全なフルカラーではないものの、Paletteは低予算でカラー3Dプリントを考えている人にとってはすばらしいソリューションだ。

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GoogleのG SuiteアプリケーションやCalendarにGmailのようなサイドパネルがつく

新しいGmailでとても便利なのは、サイドパネルでCalendarやTasks, Keep, Gmailのエクステンションなどに簡単にアクセスできることだ。そして今日(米国時間8/22)からは、Google CalendarやDocs, Sheets, Slide, Drawingsなどでも、同じサイドパネル機能を利用できることになった。

そこでたとえばGoogle Calendarでは、KeepやTasksにアクセスできるようになり、またそのほかのG Suiteアプリケーションでは、Calendar, Keep, Tasksなどに容易にアクセスできる。

Gmailのサイドパネルでは、ユーザーがインストールしたG Suiteの各種エクステンションを使える。DocsとCalendarではまだそれができないようだが、これらのプロダクトと互換性のあるエクステンションが登場するのも、時間の問題だろう。でも今でも、G Suiteのマーケットプレースには、“Google Calendarで使える”など、ほかのG Suiteアプリケーションをサポートするエクステンションを探すことはできる。

ぼくの場合、ぼく自身のGoogle Calendarにはすでにこのサイドパネル機能があるが、Google Docsはまだだ。展開がゆっくりのようだ。Googleの公式声明では、G Suiteの有料ユーザーは今すでに利用できるが、そのほかは最大二週間待ちだそうだ。

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AppleがFacebookのOnavoをアプリストアから削除、ユーザーデータの無断収集を処罰

Facebookの次の大きなプライバシー問題はなんだろう?と、座席から身を乗り出すようにして期待していた方、お待ちどおさまでした!。The Wall Street Journalによると、AppleはFacebookのOnavoアプリがApp Storeのポリシーに違反しているとして、近く削除することになった。

本誌TechCrunch宛ての声明で、Appleはその理由を説明している:

“私たちはAppleのエコシステム全体にわたって、ユーザーのプライバシーとデータのセキュリティの保護に力を入れている。私たちのガイドラインの最近のアップデートにより、分析や広告/マーケティングのために、アプリがユーザーのデバイスにインストールされているそのほかのアプリに関する情報を集めるべきではないし、またどのユーザーデータを何のために集めているかを明白にすべきである、と明確に決定した。”

しかし、Onavoがこんなに長く続いたことは、ある意味では不思議だ。

Facebookが2013年に買収したOnavoは、二つのことをする。まず、ふつうのユーザーには、OnavoはVPNのように振る舞い、“あなたとあなたのデータの安全を守り”、“有害なWebサイトをブロックしてあなたの個人情報の安全を確保する”。

しかしOnavoの本当の用途は、アプリの利用データを大量にその親会社に送り、人気勃興中のアプリや衰退気味のアプリを知らせて、モバイルのトレンドに関する貴重な鳥瞰図をFacebookに与えることだ。その情報はFacebookに、競争に勝つための戦略と(Snapchatがその好例)、今後の有利な買収候補に関するヒントを、他社に先駆けて与える。

ユーザーにとって便利なアプリと、密かな情報収集、このアプリの二重人格性を、Appleは問題視している。Onavoは、アプリの説明では“あなたの個人情報を守る”ことを強調し、合法的なVPNのふりをしている。

しかしOnavoのVPN機能を使うユーザーが、データをFacebookと共有することをためらったとしても、それはユーザーからの明示的なオプトインではなくて、デフォルトで勝手にonなのだ。このアプリの本当のねらいは、説明の中に奥深く埋(うず)もれている: “Onavoはあなたのモバイルデータのトラフィックを集めます。… その理由は、私たちはFacebookの一員なので、その情報をFacebookのプロダクトとサービスを改良するために使い、それらのプロダクトやサービスの人びとにとっての価値を知り、より良い体験を構築したいからです”。

今年の2月までで、OnavoアプリはiOSとAndroid合わせて3300万回ダウンロードされた。今AppleのApp Storeで検索すると、そのアプリは出てこないが、Googleのやや自由放任的なアプリストアではまだ生きている。だから今のところFacebookは、Androidの上では強力な目と耳を利用できるのだ。

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新ユニコーン誕生:Root Insuranceが評価額10億ドルで1億ドルを調達

オハイオ州拠点のテクノロジーを活用した自動車保険のスタートアップ、Root InsuranceがシリーズDラウンドで1億ドルを調達した。リードしたのはTiger Global Management。これで同社の会社評価額は10億ドルに跳ね上がった。

Redpoint Ventures、Ribbit Capital、およびScale Venture Partnersもラウンドに参加した。

2015年設立の自動車保険会社はこの資金を使って既存市場の拡大とともに、新しい州へも進出しエンジニアやアクチュアリー[保険数理士]、請求・カスタマーサービスなどを増員して規模の拡大に備える。

Rootはドライバー向けの自動車保険を提供している。必ずしも新しいコンセプトではない。しかし同社は、顧客の運転状況に基づき、その他の要素も加味してプレミアムユーザーを認定する。ドライバーはアプリをダウンロードして、通常2~3週間のテストドライブを行う。Rootはそれに基づき、優良な運転挙動に報いる見積もりを出し、顧客は保険契約を切り替えることができる。保険料の支払いや証券の管理はRootアプリを通じて行う。

Rootによるとこの方式によって優良ドライバーは従来の保険会社と比べて50%以上保険料を安くできる。

同社はAIアルゴリズムを使用してリスクを判定し、それに基づいてディスカウントを提供する。たとえば、同社が安全性を高めると認めた高度な運転支援システムを搭載した車には、さらに割引が適用される。

「Root Insuranceは米国の自動車保険のデジタル革新をリードしている」とTiger Global Managementのパートナー、Lee Fixelが声明で語った。「この業界は変革の時を迎えている。本物の成果を得るための専門性とビジョンと勢いを持つチームに投資できることを大いに喜んでいる。同社はRootとの協力関係を強め、彼らが全米にわたって拠点を広げていくことに協力できることを楽しみしている」

同社は地元オハイオ州からこの2年間で20州へと活動の場を拡大してきた。2019年末までには全50州およびワシントンDCに進出する計画だ。

Drive CapitalとSilicon Valley Bankも同社に投資している。

画像クレジット:Getty Images

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HTCがViveヘッドセット用のワイヤレスアダプターを発表, 9月5日から予約販売

HTCは今でも、VRでは大物でいたい。同社は今日、Vive Wireless Adapterの予約販売の開始を発表した。このアダプターを使うと、ViveとVive Proのオーナーは、いわば、コードをカットできる。そしてユーザーは、ワイヤレスで自分のPCに接続できる。

そのBase Adapter*はViveとVive Proの両方で使えるが、ただしVive Proは、60ドルの互換性パックというものが必要だ。それには、Vive Proの接続ケーブルや、発泡プラスチックの緩衝材、Vive Pro用のアタッチメントデバイスなどが入っている。〔*: 別途エンタープライズ用がある。後述。〕

Vive Wireless Adapterは単体で299ドルで売られる。

同社のブログによると、インストールはこうなる:

Vive Wireless Adapterのインストールは数分で終わる。PCI-eカードをインストールして、今やワイヤレスになったViveのヘッドセットとPCが通信するためのセンサーを取り付けるだけである。アダプターのブロードキャストレンジは、センサーを起点として視界150度/6メートルであり、IntelのWiGig仕様により、妨害のない60Ghzの帯域を使用する。コーデックはDisplayLinkのXRを使用し、低いレイテンシーと高いパフォーマンス、および数時間の電池寿命を確保する。

アダプターはHTC QC 3.0 PowerBankを電源として使用する。これはスマートフォン用のポータブル充電器としても使え、アダプターの価格に含まれている。

HTC Viveのワイヤレスアダプターはこれが初めてではなく、2016年にTCPCastが220ドルのアダプターを発売したし、またこのアダプターのエンタープライズバージョンは2kのコンテンツを2ms未満のレイテンシーで複数のHTC Viveに送れる。

このHTC自身によるアダプターは、9月5日よりAmazon, Best Buy, Microsoft, NewEgg, Vive.comなどで予約販売を開始する。

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23andMeの祖先判定ツールが黒人や黄色人種に対しても詳しくなった

遺伝子検査サービスの23andMeが、これまで大まかだったアフリカ、東アジア、およびアメリカ先住民の子孫たちの祖先判別機能を、より細かくした。とくにアフリカと東アジアに関しては、12の新しい地域を加えた。私が数年前に23andMeを試したときには、71%が西アフリカと言われだけで、具体的にどの国か分からない。それが、今度から変わる。もっとも私はすでに、Ancestryにも調べてもらったんだけどね。

[2017/10月Ancestryの結果]

23andMeのシニアプロダクトマネージャーRobin Smithによると: “今回のアップデートで重要なのは、とくにアフリカとアジアではもっと詳しいデータが得られるようになったことだ。それはAfrican Genetics ProjectGlobal Genetics Projectなどの先行プロジェクトのおかげだ”、という。

これまで23andMeは、サハラ以南のアフリカをわずか三つの地域に分けていた。これからは地域が8つ増え、また東アジアも地域が4つ増えた。

以下が、今回増えた12の地域ないし人種だ:

  1. Southern East African 南東アフリカ
  2. Congolese コンゴ
  3. Coastal West African 沿岸部西アフリカ
  4. Ethiopian & Eritrean エチオピアとエルトリア
  5. Senegambian & Guinean セネガンビアとギニア
  6. Nigerian ナイジェリア
  7. Somali ソマリア
  8. Sudanese スーダン
  9. Chinese Dai 中国傣族
  10. Vietnamese ベトナム
  11. Filipino フィリピン
  12. Indonesian, Thai, Khmer & Myanmar インドネシア, タイ, クメール, ミャンマー

23andMeは2007年にローンチしたが、完全な祖先系統情報の提供までには時間を要した。TechCrunch Disrupt SF 2017で23andMeのCEO Anne Wojcickiは、顧客のほぼ75%がヨーロッパの出自だ、と言った。だからSmithによると、もっとデータが必要なことは十分承知していたのだ。

Smithによると、23andMeでこれまでご先祖チェックをやった顧客には、再テストを勧めている。今回のアップデートは、対象者が、もっとも最新のジェノタイピングチップを装着することが必要だからだ。23andMeの今のチップは第五バージョンで、“世界の多様性をよりよく反映できる”そうだ。

つまり顧客は、新しいキットを買うか、今後予定されているアップデートプログラムに参加するか、どちらかを選ぶ。それ以降は、定期的にチップのアップデートを行い、新しい地域/人種を継続的に加えていくそうだ。

アップグレード: これまで23andMeで遺伝子検査をしてもらって、Ancestry Compositionレポートをもらっている人は、無料で第五バージョンのチップによる検査にアップグレードできる(来年以降)。それ以降のさらに新しいバージョンのチップに関しては、新しい健康情報なども含まれるので、アップグレードは有料になる。

昨年の9月に23andMeはおよそ17億5000万ドルの評価額で2億5000万ドルを調達した。そのときWojcickiは、今後もっと、データの多様性を図りたい、と述べた。

今23andMeは、祖先系統の判別のほかにも各種の健康情報を提供している。2017年の初めにはFDAの許認可により、23andMeは、パーキンソン病やアルツハイマー病など10種類の遺伝子リスク検査ができることになった。また23andMeは、DNAがユーザーの容貌や好みや肉体反応に及ぼしている影響、というお楽しみ情報も教えてくれる。

私も近く23andMeのテストを再受診してみて、結果を読者にお教えしよう。なお、下図は、23andMeの研究者がくれた、私の[アップデート前]と[アップデート後]の検査データだ。

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Facebook、5000以上のターゲティング項目を削除して差別広告防止へ

今日(米国時間8/21)午前Facebookは、民族や宗教などにもとづいて広告対象を差別あるいは排除する誤った使い方を防止するために、同サービスの広告ターゲティングシステムを改訂すると発表した。同社はFacebookプラットフォーム上から、誤用により差別的広告を配信する可能性があるターゲティングオプション5000項目以上を削除したと述べた。

このニュースは、ごく最近米国住居・都市開発省(HUD)がFacebookに対して新たな告発状を提出し、同サービスは家主や住居販売業者が公正住宅法に違反することを 助長していると糾弾したことを受けたものだ。同省はFacebookの広告設定は広告主が特定の層をターゲットすることを可能にすることで法を無視していると指摘した。

「Facebookが収集した膨大な個人データを使って広告主の差別を助長することは、人を門前払いするのと同じことだ」と住宅・都市開発省のAnna María Farías次官補(公正住宅・機会均等担当)は同省が発行した声明で言った。

Facebookはこれに対して、こうした行為は同サービスの広告ポリシーで禁止されており、今後もHUDと協力して苦情に対応していくと答えた。

そして本日Facebookは、誤用の恐れのあるターゲティングオプション5000項目以上を削除すると発表した。

「これらのオプションは、特定の商品やサービスに興味のある人々に広告を届ける正当な方法として使用されてきたが、濫用のリスクを最小限にすることの方が重要であると判断した」と同社のブログ記事は説明している。Facebookは、削除されたオプションの一覧を提供していないが、宗教および民族に関係する項目であることは明記している。

また同社は、Ads Managerツールを使って米国の広告主に対して新たな認定を行うことを発表した。このツールの下では、広告主が住宅、雇用あるいはあるいは貸付の広告を掲載する場合、Facebookの差別禁止ポリシーに従っていることを正しく登録しなければならない。広告主は認定を受けるためにポリシーを理解するとともに入力フォームを通じてポリシーに同意する必要がある。

Facebookはこの認定のしくみはいずれ他の国々にも適用され、他のツールやAPIを通じて利用できるようになると言った。

今年Facebookは、差別的広告を掲載前に見つけるためにシステムを改訂し、広告レビュワーを増やすとともに機械学習技術を利用すると 発表した。さらに、広告主がキャンペーンを作成する前に、差別禁止ポリシーに関する警告を表示する新しいプロンプトを導入した。

しかし、これはは単に広告主が一定のオプションを選んで広告対象者をターゲティングする、ということではない——問題は、ターゲティングを使って特定の対象者を排除していることだ。Facebookは4月に、数千個のカテゴリーを人種、民族、性的指向および宗教に関連する項目を使った排除ターゲティングの対象から外した。

しかし同社はその広告ターゲティングツールが悪用される可能性について数年来批判されてきた。

たとえば2016年にFacebookは、住宅、雇用および貸付関連の広告で「民族親和性」に関するターゲティングオプションを 停止した。これはProPublicaのレポートが、これらのツールは住宅および雇用の違法な差別的広告に利用される可能性があると指摘した後のことだった。後にFacebookは、より明確なメッセージを発信するとともに、広告ポリシーを改訂 し、違法広告を識別するツールのテストを開始した。

また同社は最近、広告主が政治的信条、性別、宗教などに関連する興味分野に基づいてユーザーをターゲットすることを許しているとして 非難の的となった。これらのカテゴリーは現行の欧州データ保護法の下で「機密情報」として取り扱われている。同社は当時、ユーザーが自らの広告嗜好を管理できることについて説明してこれに応じた。

本日Facebookは、今後数ヶ月かけて広告ターゲティングをさらに改訂し、ツールの精緻化を進めると語った。

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ブロックチェーンを使用するIoTデバイスの開発が簡単にできる組み込みボードElkrem

スマートフォンをArduinoのボードに接続するツール1Sheeldを作った連中が、さらにおもしろいものを作った。彼らの新製品Elkremは、ブロックチェーンのIoTデバイスを作るためのスマートキットで、彼らはこのプロジェクトのためにEndure CapitalとConsensysから25万ドルを調達した。

ファウンダーのAmr SalehとIslam MustafaはTechCrunch Disrupt 2013で1Sheeldを発表し、その後120か国で数万台を売った。そして今度の彼らの製品は、完全にブロックチェーンがベースだ。

[Bitcoinを使用するキャンディーの自販機]

Salehは説明する: “Elkremは、ブロックチェーンハードウェアを開発するためのボードだ。ブロックチェーンのデベロッパーはハードウェア開発の詳しい知識がなくても、これを使って、ハードウェアのプロトタイプをDapps(分散型アプリケーション)に容易に統合できる。また電気工学のエンジニアやハードウェアのデベロッパーが、ブロックチェーンの詳しい知識がなくても、自分のハードウェアプロジェクトにブロックチェーンを接続できる。どちらもスマートコントラクトでアクチュエータをトリガでき、またセンサーのデータをスマートコントラクトへログできる”。

ボードはArduinoに似ていて、二つのプロセッサーとストレージとWi-Fiがある。プロセッサーのひとつはLinuxの彼ら独自の変種が走り、Ethereumや, IPFS, Swarm, Whisper, Bitcoin, Status.imなどへインタフェイスする。他方のプロセッサーは、もっぱらユーザーに対応する。

Salehは曰く、“うちの強みは、速い開発と速いプロトタイピング、そして速い市場投入だ。このボードがあれば、プライベートで分散型のIoTメッセージをピアツーピアの通信で送れる”。

つまり、このボードがあれば、ブロックチェーンを使うハードウェアの開発が簡単になる。Koynというライブラリを使って、Bitcoinによる決済をわずか1行のコードで処理でき、彼らはすでにサンプルプロジェクトとして、Bitcoin対応のキャンディーマシンや、Bitcoinで料金を払える電源コンセントなどを作っている。このボードは、年内にKickstarterにも登場する予定だ。

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TouchPalキーボードで大ブレークした中国のCootekがニューヨーク証券取引所で$100MのIPO

TouchPalキーボードアプリで有名な中国のモバイルインターネット企業Cootekが、アメリカで上場する。先週SECに提出されたF-1フォームによると、調達目標額は1億ドルだ。

上海で2008年にTouchPalをローンチした同社は2012年3月にCootekという名前で法人化し、SECへの提出書類によると現在の一日のアクティブユーザーは1億3200万、6月現在でその前年同期比増加率は75%、としている。また広告収入は同じ6月までの6か月で453%増加している。

AIを利用しているTouchPalは指をすべらせるグライドタイピングと予想テキスト機能があり、Cootekの一番人気のアプリだが、ほかにも15のアプリがあり、それらはたとえばフィットネスアプリのHiFitとManFITや、バーチャルアシスタントのTaliaなどだ。同社は独自のAI技術とビッグデータ技術により、ユーザーとインターネットから集めた言語データを分析する。そしてそこから得られるインサイトを利用して、ライフスタイルやヘルスケア、エンターテインメントなどのアプリを開発している。15のアプリを合計すると、月間平均ユーザーは2220万、一日では730万となる(6月現在)。

TouchPalそのものの平均ユーザーは、2018年6月の全月で1億2540万だった。一人のアクティブユーザーが一日に72回、このアプリを立ち上げている。現在、110の言語をサポートしている。

Cootekの主な売上源はモバイルの広告だ。同社によると、売上は2016年の1100万ドルから2017年には3730万ドル、その対前年増加率は238.5%だった。利益は6月までの6か月で350万ドル、1年前には1620万ドルの損失だった。

Cootekはニューヨーク証券取引所でチッカーシンボルCTKで上場する計画だ。IPOで得られた資金はユーザーベースの拡大と、AIおよび自然言語処理への投資、広告のパフォーマンスの改善に充てられる。上場の引き受け証券企業はCredit Suisse, BofA Merrill Lync, そしてCitiだ。

画像クレジット: Cootek

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安全検査ロボットのGecko Roboticsが700万ドルを追加調達

Gecko Roboticsは、壁を登るロボットでこの国の発電所の人命を救うことを目的としている。これを継続するために、同社は700万ドルの資金を調達した。出資したのはFounders Fund、Mark Cuban、The Westly Group、Justin Kan、およびY Combinatorらの名だたる投資家だ。

ピッツバーグ拠点のこの会社を本誌が 最初に報じたのは、共同ファウンダーのJake LoosararianがTechCrunch TVスタジオを訪れ、彼のデバイスをカメラの前で披露したときだった。当時GeckoはY Combinatorの2016年春クラスにいて、いくつかの米国発電所と提携して黒字化を目指していた、とLoosararianは語った。

当時のインタビューはここで見られる。

Geckoが作るロボットは工場や発電所施設の安全を確保するうえで重要な役割を担っている。ロボットたちは人間に先行して潜在的危険の確認を行う。彼らは独自の磁気装置を使ってタンクやボイラー、パイプラインなどの工業機器に登り、超音波やレーザーなど様々なセンサーを使って構造の完全性を検査する、と会社のリリース文にかかれている。

安いものではないが——ロボットの価格は5万~10万ドル——もちろん人命と比べれば取るに足りない。

発電所の壁を登って安全検査をするGeckoロボット

Loosararianはさらに、彼のテクノロジーは現存する他者よりも速くて正確であり、それは「最も困難な問題のいくつかを解決するために」機械学習を用いているからだとTechCrunchに語った。

それは、何人かのベテラン投資家の注意を引くだけのユニークなアイデアでもあった。

「工業支援技術の分野では過去数十年間イノベーションはないのも同然だった」とFounding Fundのパートナー、Trae StephensがTechCrunc宛の声明で言った。「Geckoのロボットは施設の停止時間を大幅に削減するとともに、重要な性能データを収集して致命的事故を未然に防ぐ。彼らの作っているものの需要は膨大だ」

ロボットの動いているところを見たい人は下のビデオをご覧あれ:

Diesel_tank_A from Gecko Robotics, Inc on Vimeo.

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金属3DプリンターのVelo3Dが最初の製品を発売へ

ここまで3年間、Volo3Dはステルスモードで活動してきた。サンフランシスコ・ベイエリア拠点のスタートアップは、2015年6月のスタート以来9000万ドルという魅力的な資金調達に成功しつつ秘密裏に動いてきた。しかし今日(米国時間8/19)、社員120名の会社はついに現在取り組んでいることを公にするべく、最初の製品の発売予定を発表した。

SapphireシステムはIntelligent Fusionという会社のテクノロジーを利用している。システムは粉末の塊をレーザーで焼結することによって、複雑な金属物体を3Dプリントする。プロセスは一般的な樹脂ベースの3Dプリンターとさほど変わらない。

このテクノロジーのさらに魅力的な特長のひとつが、幾何的に複雑な立体を、多くのシステムが必要とする支持構造を使うことなく作成できることだ。製品担当責任者のStefan Zschiegnerによると、完全な形になった作品を粉末の中から取り出せる。

同社の新しいマシンが他社と一線を画するのは、プロトタイピングだけでなく、積層造形に焦点を当てているところた。「Desktop MetalやHPなどはプロトタイピングに焦点を当てている」とZschiegnerライバルについて語る(ただしDestop Metalは生産システムを来年発売する予定)。「彼らの部品は最終生産プロセスには使えない」。

もちろん現在のテクノロジーでは本格的量産のためのスケーリングはできない。Velo3Dの早期クライアントには航空宇宙輸送関係の企業もあり、主に3D製造企業を通じて交渉している。フロリダ拠点の3Dプロトタイピング会社、3DMTはこのSapphireシステムを最初に導入する1社だ。Velo3Dは、Sapphireの初回成功率は90%だと言っている。ほかには、チタン製のカスタマイズされた医療用埋め込み器具への応用が考えられる。

正式な販売価格は発表されていないが、同社はほかの工業用金属プリンティングシステムと「競争できる価格」と言った。Veloはこの機を利用して、AutoDeskの元社長・CEO、Carl Brassが会長として取締役会に加わることも発表した。

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Google、データセンターの空調管理をAIに一任

データセンターの中は暑くてうるさい——そしてサーバーをオーバーヒートから守ることは運用コストの大きな部分を占めている。業界の大物、Facebook、Microsoft、Googleらがさまざまな方法で冷却コストの節減を目指しているのも当然だ。Facebookは可能な限り外部の空気を冷やす。Microsoftは水中データセンターを実験中。そしてGoogleは、同社のAIモデルを使っていっそうの節約を目論んでいる。

数年前、Googleは傘下のDeepMindを通じて、データセンターに最適な冷却方法を運用者に提供するために、機械学習の利用を探ってきた。しかし、当時はまだシステムは推奨するだけで実施するかどうかは人間のオペレーターが判断していた。今後その人たちは、午後の昼寝時間を長くとれるようになる。モデルが十分に進歩した結果、AIを備えたシステムに冷却システムの制御を任せられるとチームが判断したからだ。もちろん、オペレーターは今も介入できるが、AIが中止の決定をくださない限り、システムは無人運転を続ける。

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新しい冷却システムは現在複数のGoogleデータセンターに設置されている。5分毎に、システムがデータセンター内の数千個のセンサーから値を取得しその情報を元に最適な行動を選択する。もちろん、そこには様々な抑制と均衡が働いているので、Googleのデータセンターがこのために崩壊する可能性は低い。

多くの機械学習モデルと同じく、システムはデータを収集すればするほど賢くなる。現在、これまでのデータセンターのエネルギー利用と比べて平均30%のエネルギー節約を実現している。

ひとつ指摘しておくべきなのは、Googleはわずかな節約のためだけなく、これを自社の機械学習サービスの宣伝のひとつと考えていることだ。つまるところデータセンターでうまくいくなら、大きなオフィスビルディングにも適用できるはずだ。「長期的には、このテクノロジーをほかの環境にも適用し、より大規模な空調にも役立てる可能性があると考えている」、とDeepMind今日の発表文に書いている。

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ブロックチェーンを破壊するハッカーの手口をシミュレーションしてデベロッパーの事前対策を可能にするIncentivai

暗号通貨のプロジェクトは、人間がそのブロックチェーンを悪用すると破綻する。しかも分散デジタル経済が実際に動き出し、コインが離陸すると、それらを統治するスマートコントラクトの修復は難しい。あくまでも、デベロッパーによる事前対策が必要である。そこで、今日(米国時間8/17)ステルスを脱したIncentivaiは、その人工知能によるシミュレーションで、セキュリティホールを調べるだけでなく、ブロックチェーンのコミュニティを構成している人間たちの貪欲や非論理性にメスを入れる。暗号通貨分野のデベロッパーはIncentivaiのサービスを利用して、自分たちのシステムが動き出す前に、その欠陥を修復できる。

Incentivaiの単独のファウンダーPiotr Grudzieńはこう言う: “スマートコントラクトのコードをチェックする方法はいろいろあるが、新たに作った経済が期待通りに動くことを確認する方法はない。そこで私が考えたのは、機械学習のエージェントを利用するシミュレーションを作り、それが人間のように振る舞うことによって、システムの未来の振る舞いを予見する方法だ”。

Incentivaiは来週Y Combinatorを卒業するが、すでに数社の顧客がいる。顧客(ユーザー)は、Incentivaiの有料サービスにより自分たちのプロジェクトを監査してレポートを作るか、または自分でそのAIによるシミュレーションツールをホストしてSaaSのように利用する。同社がチェックしたブロックチェーンのデプロイは数か月後になるが、そのとき同社はすでに、そのプロダクトの有意義性を実証するための、いくつかのケーススタディーをリリースしているだろう。

Grudzieńは説明する: “理論的にあるいは論理としては、一定の条件下ではこれこれがユーザーにとって最適の戦略だ、と言うことはできる。しかしユーザーは、合理的でも理性的でもない。モデルを作ることが困難な、予想外の行動がたくさんある”。Incentivaiはそれらの理不尽な取引戦略を探求して、デベロッパーがそれらを想像しようと努力して髪をかきむしらなくてもよいようにする。

人間という未知数から暗号通貨を守る

ブロックチェーンの世界には巻き戻しボタンがない。この分散技術の不可変かつ不可逆的な性質が、良かれ悪しかれ、一度でもそれを使ったことのある投資家を遠ざける。ユーザーが偽りの請求をしたり、贈賄によりそれらを認めさせようとしたり、システムを食い物にする行動を取ったりすることを、デベロッパーが予見しなければ、彼らは攻撃を阻止できないだろう。しかし、正しくてオープンエンドな〔固定しない〕(AIに対する)インセンティブがあれば…これが社名の由来だが…AIエージェントはなるべく多くの収益を得るために自分にできることをすべてやってみて、プロジェクトのアーキテクチャにあるコンセプトの欠陥を明らかにするだろう。

Grudzieńはさらに説明する: “この〔すべてをやってみるという〕やり方は、DeepMindがAlphaGoでやったものと同じで、さまざまな戦略をテストするのだ”。彼はケンブリッジの修士課程でAIの技能を究め、その後Microsoftで自然言語処理の研究を担当した。

Incentivaiの仕組みはこうだ。まず、デベロッパーは、ブロックチェーンの上で保険を売るなどの、自分がテストしたいスマートコントラクトを書く。IncentivaiはそのAIエージェントに、何を最適化するのかを告げ、彼らが取りうるすべての可能なアクションを羅列する。エージェントの役柄はさまざまで、大金を手にしたいと思っているハッカーだったり、嘘をばらまく詐欺師だったり、コインの機能性を無視してその価格の最大化だけに関心のある投機家だったりする。

そしてIncentivaiはこれらのエージェントにさらに手を加え、彼らを、ある程度リスク忌避型だったり、ブロックチェーンのシステム全体を混乱させることに関心があったり、といったタイプにする。それから、それらのエージェントをモニターして、システムをどう変えればよいかというインサイトを得る。

たとえば、トークンの不均一な分布がパンプ・アンド・ダンプ(pump and dump, 偽情報メールによる価格操作詐欺)を招く、とIncentivaiが学習したら、デベロッパーはトークンを均一に分割して、初期のユーザーには少なめにする。あるいはIncentivaiは、認められるべき支払請求をユーザーが票決する保険製品は、投票者が偽の請求を偽と立証するために支払う債権価格を上げて、詐欺師から収賄しても投票者の利益にならないようにする必要があることを、学ぶかもしれない。

Grudzieńは、自分のスタートアップIncentivaiについても予測をしている。彼の考えによると、分散アプリケーションの利用が上昇すれば、彼のセキュリティサービスのやり方を真似るスタートアップが続出するだろう。彼によると、すでに一部のスタートアップは、トークンエンジニアリングの監査や、インセンティブの設計、コンサルタント活動などをやっているが、ケーススタディーを作る機能的シミュレーションプロダクトは誰もやっていない。彼曰く、“この業界が成熟するに伴い、そういうシミュレーションを必要とする、ますます複雑な経済システムが登場するだろう”。

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ドローン+AIで発電/送電施設等の異状を至近距離で検出するSterblue

ドローンの商用利用に関する政府の規制は、関連企業にとってとてもポジティブな方向に向かってるようだし、またドローンを利用するスタートアップにとっては、人工知能を利用して人間の努力なしで結果を得る機会がますます増えている。

Y Combinatorの最近のクラスを卒業したフランスのSterblueは、市販のふつうのドローンと、そのような自動化手法を使って、大きな屋外建造物の近接検査をする。

同社のソフトウェアはとくに、自動化されたシンプルな飛跡で大型の送電線やウィンドタービン(風力発電機のタービン)を検査し、それを人間がやるより短時間かつ少ないエラーで行なう。また、対象の至近距離まで接近できるので、細部の高精細画像が得られる。

混みあった都市環境と違ってSterblueが調べる対象物は、異状がそれほど多くない。またCADのデータが得られるので、飛行経路の設計も比較的易しい。そして、まわりに物が密集していないから、風などに対応してドローンの姿勢を直すための空間も十分にある。

ドローンのオペレーターは、ドローンをSterblueのクラウドプラットホームに接続し、そこに写真をアップロードしたり、構造物の3Dモデルを見たりできる。飛行の間、Sterblueのニューラルネットワークが、今後の精査が必要と思われる問題箇所を見つける。Sterblueによると、ドローンは送電線から3メートルの距離にまで接近できるので、同社のAIシステムは撮った写真から異状を容易に検出できる。汚損や傷などの最小検出サイズは、1ミリメートルととても小さい。

最初、ドローンは自社製を使っていたが、ユーザーを増やすにはDJIのような一般市販品をサポートすべし、と気づいた。同社のファウンダーたちはAirbusの元社員で、当面は電気などの公益企業を顧客にしていく予定だ。そして最初はヨーロッパ、次いでアフリカとアジアを市場としてねらっている。

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